説明

通信装置

【課題】送信元毎に文書のバージョンを比較し、送信元毎に個別の制御を行うことができる通信装置を提供する。
【解決手段】送信元から文書を受信する受信手段と、送信元毎に、文書を蓄積する蓄積手段と、送信元毎に、実行されるべき制御が対応付けられた設定を記憶する設定記憶手段と、設定に基づいて制御を行う制御手段と、を有し、制御手段は、受信手段で文書を受信した場合、当該受信文書の送信元と同じ送信元の蓄積文書を蓄積手段から検索し、受信文書のバージョンと蓄積文書のバージョンの比較を行い、比較の結果と、設定記憶手段に記憶されている設定とに基づいて、受信文書の送信元に対応付けられている制御を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文書のバージョンに基づいて制御を行う通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばファクシミリ装置やファクシミリ機能を備えた複合機など、文書の受信が可能な通信装置において、受信する文書のバージョン(新旧を示す情報)を認識し、そのバージョンに基づいて制御を行う技術が知られている。例えば特許文献1には、文書が入力された場合、予め蓄積している文書のうち、入力された文書のバージョンよりも古いバージョンのものを自動的に削除する技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上述したような従来技術では、文書の送信元を区別することなく文書のバージョンを比較し、その結果に基づいて削除等の制御を行っている。よって、文書の送信元毎に文書のバージョンを比較し、その結果に基づいて送信元毎に個別の制御を行うことができなかった。
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、送信元毎に文書のバージョンを比較し、送信元毎に個別の制御を行うことができる通信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる目的を達成するために、本発明の通信装置は、送信元から文書を受信する受信手段と、送信元毎に、文書を蓄積する蓄積手段と、送信元毎に、実行されるべき制御が対応付けられた設定を記憶する設定記憶手段と、設定に基づいて制御を行う制御手段と、を有し、制御手段は、受信手段で文書を受信した場合、当該受信文書の送信元と同じ送信元の蓄積文書を蓄積手段から検索し、受信文書のバージョンと蓄積文書のバージョンの比較を行い、比較の結果と、設定記憶手段に記憶されている設定とに基づいて、受信文書の送信元に対応付けられている制御を実行することを特徴とする。
【0006】
また、本発明の通信装置において、設定記憶手段には、制御手段による比較の結果、蓄積文書のバージョンが古い場合に、蓄積文書を削除するか否かが設定されることを特徴としてもよい。
【0007】
また、本発明の通信装置において、設定記憶手段には、蓄積文書を削除する場合に、蓄積文書の出力を行うか否か、及び、出力を行う場合はどのような方法で出力するかが設定されることを特徴としてもよい。
【0008】
また、本発明の通信装置において、設定記憶手段には、蓄積文書を削除する場合に、その旨を送信元へ通知するか否か、及び、通知を行う場合はどのような方法で通知するかが設定されることを特徴としてもよい。
【0009】
また、本発明の通信装置において、設定記憶手段には、蓄積文書を削除する場合に、その旨をレポート出力するか否か、及び、レポート出力を行う場合はどのような方法でレポート出力するかが設定されることを特徴としてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、文書の送信元毎に文書のバージョンを比較して、送信元毎に個別の制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係る通信装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る通信装置の操作パネルの外観例を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る通信装置の受信文書管理設定の画面表示例を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る通信装置の受信文書管理設定の動作例を示すフローチャートである。
【図5】本発明の一実施形態に係る文書受信時の動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態(実施形態)について添付図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態である通信装置のハードウェア構成の一例を示す図である。図1に示すように、本実施形態の通信装置では、CPU(Central Processing Unit)1、RAM(Random Access Memory)2、ROM(Read Only Memory)3、NVRAM(不揮発RAM)4、パネル制御部5と操作パネル6、エンジン制御部7とスキャン/プリントエンジン8、ディスクドライバ9と記憶媒体10、外部I/F(InterFace)11、モデム12、通信制御部13が、データバス14を介して接続されている。
【0014】
CPU1は、データバス14を介して、通信装置内の各部に接続されており、読み込んだプログラムに従って通信装置全体の動作を制御し、各種機能を実現する。CPU1は、制御手段と呼ぶことができる。
【0015】
ROM3は、CPU1を制御するプログラム、フォント、及び、その他の静的なデータが格納された記憶媒体である。CPU1は、このROM3からプログラムを読み込む。
【0016】
RAM2は、CPU1がROM3から読み込んだプログラムを実行する上で一時的に必要とされるデータの一時的な記憶場所として利用される作業用記憶媒体である。
【0017】
NVRAM4は、不揮発性のデータ(例えば、後述する設定情報)を格納する記憶媒体である。NVRAM4は、設定記憶手段や蓄積手段と呼ぶことができる。
【0018】
操作パネル6は、通信装置のユーザ(操作者)により各種操作が行われるとともに、ユーザに対し各種表示を行う。パネル制御部5は、操作パネル6におけるユーザの操作を受け付けるとともに、ユーザに対する表示の切り替え等を行う。すなわち、パネル制御部5と操作パネル6は、ユーザとのインターフェースとなる。
【0019】
エンジン制御部7とスキャン/プリントエンジン8は、イメージデータの入出力ユニットとして、紙原稿の読み取り(スキャン)と転写紙への印刷(プリント)を行う。
【0020】
ディスクドライバ9と記憶媒体10は、大量のイメージデータ(文書データ)の蓄積場所、データベースの記憶場所として利用される。なお、記憶媒体10において、受信した文書を蓄積する場合、受信した文書データと、その文書データの送信元を識別できる情報(アドレス情報や識別子など)とが紐付けて記憶される。記憶媒体10は、蓄積手段と呼ぶことができる。
【0021】
外部I/F11は、セントロニクス等のインターフェースを用いて、通信装置の外部との通信を可能にする。外部I/F11は、受信手段と呼ぶことができる。
【0022】
モデム12は、公衆電話回線と接続され、外部機器(本実施形態の通信装置以外の情報処理端末装置)との通信を可能にする。モデム12は、受信手段と呼ぶことができる。
【0023】
通信制御部13は、イーサネット(登録商標)や無線LAN(Local Area Network)等のネットワークに接続され、外部機器(本実施形態の通信装置以外の情報処理端末装置)との通信を可能とする。通信制御部13は、受信手段と呼ぶことができる。
【0024】
図2は、本実施形態の通信装置の操作パネル6の外観を示す図である。図2に示すように、操作パネル6には、画面15の他に、ユーザによって操作される各種ボタン(キー)が備えられる。画面15は、例えばタッチパネルで構成される。また、ボタン16は、受信文書管理設定画面を画面15に表示させるためのボタンである。ユーザは、受信文書管理設定画面の表示を希望する場合、ボタン16を操作(押下)する。すると、例えば図3に示す受信文書管理設定画面が画面15に表示される。ユーザは、図3に示す受信文書管理設定画面を見ながら、指先等で所望の表示部分をタッチして、受信文書管理設定を行う。なお、図3に示す受信文書管理設定画面で設定した内容(V1〜V4の設定内容を示す設定情報)は、操作パネル6にて入力された後、パネル制御部5及びデータバス14を介してNVRAM4に格納される。
【0025】
図3に示すように、文書管理設定画面では、送信元毎に、現在の設定内容が表示される。図3では例として、バージョン管理設定、出力設定、通知設定、レポート設定の4つの設定内容がそれぞれ表示部分V1〜V4に表示されている。表示部分V1〜V4は、ユーザが各設定を行う操作部分でもある。すなわち、ユーザは、表示部分V1〜V4を押下することにより、押下した部分の設定内容を所望の内容に変更することができる。以下、受信文書管理設定の各例について具体的に説明する。
【0026】
〔例1〕
まず、バージョン管理設定について説明する。バージョン管理設定とは、通信装置において、新しいバージョンの文書を受信したときに、予め保存されている古いバージョンの文書を削除するか否かの設定である。
【0027】
図3の例では、V1の表示として、「古いバージョンを削除」、「古いバージョンを削除しない」が予め用意されている。ユーザは、送信元毎に、V1をタッチすることでこれらの表示を切り替え、所望のものを表示させたまま図3に示す画面右上の「設定」を押下すると、バージョン管理設定は、表示させた設定内容に決定される。決定された設定内容は、設定情報として、送信元を識別できる情報(例えば、識別子、又は、電話番号やメールアドレス等のアドレス情報)と紐付けられ、NVRAM4に格納される。
【0028】
図3の例では、V1の押下により、送信元シムラ、ナカモトは古いバージョンの文書を削除するように設定され、送信元カトウは、古いバージョンの文書を削除しないように設定されている。
【0029】
また図3では、送信元タカギの設定内容が「シムラ同様」となっている。このように、他の送信元と同様の内容に設定できるボタン・表示を用意しておき、ユーザが直感的に他の送信元と同じ設定内容を選択できるようにしてもよい。例えば、送信元タカギのバージョン管理設定を行うときのV1の表示として、「古いバージョンを削除」及び「古いバージョンを削除しない」の他に、「シムラ同様」、「カトウ同様」、「ナカモト同様」が予め用意されている。そして、ユーザが「シムラ同様」を選択すると、送信元シムラの設定内容と同じ「古いバージョンを削除」に決定される。なお、上述した受信文書管理設定の動作の詳細については、図4を用いて後述する。
【0030】
上記バージョン管理設定が終了した後、通信装置において、図3に示すいずれかの送信元から新しいバージョンの文書を受信した場合、CPU1は、NVRAM4に格納されているバージョン管理設定の設定内容に従って、例えば記憶媒体10に格納されている古いバージョンの文書を削除するかどうかを決定する。CPU1は、古いバージョンの文書を削除する場合、削除後、新しいバージョンの文書を例えば記憶媒体10に格納する。なお、上述した文書受信の動作の詳細については、図5を用いて後述する。
【0031】
このように本例によれば、送信元毎に文書のバージョンを比較し、その結果に基づいて送信元毎に個別の制御(上記例では文書の蓄積管理)を行うことができる。これにより、送信元毎に、重要度に従って例えば文書を管理でき、より効率的に受信領域の確保ができる。
【0032】
また、本例では、送信元毎にバージョン管理の設定をする場合に、他の送信元と同様の設定内容にする操作を行うことができる。これにより、ユーザは、直感的に設定の操作を行うことができる。また、例えば、重要度が等しい送信元からの設定を共通にしたい場合に便利である。
【0033】
〔例2〕
次に、出力設定について説明する。出力設定とは、通信装置において、古いバージョンの文書を削除する場合に、その古いバージョンの文書を出力するか否か、及び、出力する場合はその手段・方法をどのようにするかの設定である。
【0034】
図3の例では、V2の表示として、「印刷」、「repository@a.comに転送」、「出力しない」が予め用意されている。ユーザは、送信元毎に、V2をタッチすることでこれらの表示を切り替え、所望のものを表示させたまま図3に示す画面右上の「設定」を押下すると、出力設定は、表示させた設定内容に決定される。決定された設定内容は、上記バージョン管理設定のときと同様にして、NVRAM4に格納される。
【0035】
図3の例では、V2の押下により、送信元シムラ、タカギ、ナカモトの3つに出力設定が行われている。送信元シムラは、古いバージョンの文書を出力するように設定され、出力方法として印刷が設定されている。送信元タカギは、古いバージョンの文書を出力するように設定され、出力方法としてメール送信(及び送信先のアドレス)が設定されている。送信元ナカモトは、古いバージョンの文書を出力しないように設定されている。一方で、送信元カトウは、古いバージョンの文書を削除しないように設定されているため、出力設定はできないようになっている。
【0036】
この出力設定においても、上記バージョン管理設定のときと同様、他の送信元と同様の内容に設定できるボタン・表示を用意しておき、ユーザが直感的に他の送信元と同じ設定内容を選択できるようにしてもよい。なお、上述した受信文書管理設定の動作の詳細については、図4を用いて後述する。
【0037】
上記出力設定が終了した後、通信装置において、図3に示すいずれかの送信元から新しいバージョンの文書を受信し、例えば記憶媒体10に格納されている古いバージョンの文書を削除する場合、CPU1は、NVRAM4に格納されている出力設定の設定内容に従って、古いバージョンの文書を出力するか否か、及び、出力する場合はどのような手段・方法を用いるかを決定する。CPU1は、古いバージョンの文書を出力する場合、設定された出力方法に係る図1に示す各部を制御する。例えば、出力方法が「印刷」に設定されている場合、CPU1は、記憶媒体10に格納されている古いバージョンの文書を印刷するように、エンジン制御部7及びスキャン/プリントエンジン8を制御する。なお、上述した文書受信の動作の詳細については、図5を用いて後述する。
【0038】
このように本例によれば、例1における効果に加えて以下の効果を奏する。すなわち、本例では、古いバージョンの文書を削除する場合、その文書を別手段で出力することで、受信領域の確保と同時に、古いバージョンの文書のバックアップもできる。
【0039】
〔例3〕
次に、通知設定について説明する。通知設定とは、通信装置において、古いバージョンの文書を削除した場合に、削除が完了した旨を送信元に通知するか否か、及び、通知する場合はその手段・方法をどのようにするかの設定である。
【0040】
図3の例では、V3の表示として、「プロトコルで送信」、「ikariya@b.comに通知」、「通知しない」が予め用意されている。ユーザは、送信元毎に、V3をタッチすることでこれらの表示を切り替え、所望のものを表示させたまま図3に示す画面右上の「設定」を押下すると、通知設定は、表示させた設定内容に決定される。決定された設定内容は、上記バージョン管理設定等のときと同様にして、NVRAM4に格納される。
【0041】
図3の例では、V3の押下により、送信元シムラ、タカギ、ナカモトの3つに通知設定が行われている。送信元シムラは、古いバージョンの文書の削除を通知するように設定され、通知方法としてプロトコルによる送信が設定されている。送信元タカギは、古いバージョンの文書の削除を通知するように設定され、通知方法としてメール送信(及び送信先のアドレス)が設定されている。送信元ナカモトは、古いバージョンの文書の削除を通知しないように設定されている。一方で、送信元カトウは、古いバージョンの文書を削除しないように設定されているため、出力設定と同様に通知設定はできないようになっている。
【0042】
この通知設定においても、上記バージョン管理設定等のときと同様、他の送信元と同様の内容に設定できるボタン・表示を用意しておき、ユーザが直感的に他の送信元と同じ設定内容を選択できるようにしてもよい。なお、上述した受信文書管理設定の動作の詳細については、図4を用いて後述する。
【0043】
上記通知設定が終了した後、通信装置において、図3に示すいずれかの送信元から新しいバージョンの文書を受信し、例えば記憶媒体10に格納されている古いバージョンの文書を削除した場合、CPU1は、NVRAM4に格納されている通知設定の設定内容に従って、古いバージョンの文書の削除を送信元に通知するか否か、及び、通知する場合はどのような手段・方法を用いるかを決定する。CPU1は、古いバージョンの文書の削除を送信元に通知する場合、設定された通知方法に係る図1に示す各部を制御する。例えば、通知方法が「メール送信」に設定されている場合、CPU1は、古いバージョンの文書を削除した旨を示す電子メールを、指定された通知先へ送信するように、通信制御部13を制御する。この電子メールは、通知先(送信先のアドレス)が指定された状態で、定型文メールとして例えば記憶媒体10に予め格納されている。なお、上述した文書受信の動作の詳細については、図5を用いて後述する。
【0044】
このように本例によれば、例1、2における効果に加えて以下の効果を奏する。すなわち、本例では、古いバージョンの文書を削除したことを送信元に通知することにより、送信元は、文書のバージョンが管理されている受信機(通信装置)に文書を送信したことを知ることができ、今後もバージョン管理された文書を送信できることが分かり、無駄が省ける。また、送信元は、古いバージョンの文書が削除されたことを知ることができ、確実に文書が更新されたことを知ることができる。
【0045】
〔例4〕
次に、レポート設定について説明する。レポート設定とは、通信装置において、古いバージョンの文書を削除した場合に、その旨のレポートを出力するか否か、及び、レポート出力する場合はその手段・方法をどのようにするかの設定である。
【0046】
図3の例では、V4の表示として、「印刷」、「出力しない」が予め用意されている。ユーザは、送信元毎に、V4をタッチすることでこれらの表示を切り替え、所望のものを表示させたまま図3に示す画面右上の「設定」を押下すると、レポート設定は、表示させた設定内容に決定される。決定された設定内容は、上記バージョン管理設定等のときと同様にして、NVRAM4に格納される。
【0047】
図3の例では、V4の押下により、送信元シムラ、タカギにレポート設定が行われている。送信元シムラは、レポート出力するように設定され、出力方法として印刷が設定されている。送信元タカギは、レポート出力しないように設定されている。一方で、送信元カトウは、古いバージョンの文書を削除しないように設定されているため、出力設定等と同様にレポート設定はできないようになっている。
【0048】
また、図3の例では、送信元ナカモトの設定内容は「シムラ同様」となっている。すなわち、このレポート設定においても、上記バージョン管理設定等のときと同様、他の送信元と同様の内容に設定できるボタン・表示を用意しておき、ユーザが直感的に他の送信元と同じ設定内容を選択できる。例えば、送信元ナカモトのレポート設定を行うときのV4の表示として、「印刷」及び「出力しない」の他に、「シムラ同様」、「カトウ同様」、「タカギ同様」が予め用意されている。そして、ユーザが「シムラ同様」を選択すると、送信元シムラの設定内容と同じ「印刷」に決定される。なお、上述した受信文書管理設定の動作の詳細については、図4を用いて後述する。
【0049】
上記レポート設定が終了した後、通信装置において、図3に示すいずれかの送信元から新しいバージョンの文書を受信し、例えば記憶媒体10に格納されている古いバージョンの文書を削除した場合、CPU1は、NVRAM4に格納されているレポート設定の設定内容に従って、古いバージョンの文書を削除した旨のレポートを出力するか否か、及び、レポート出力する場合はどのような手段・方法を用いるかを決定する。CPU1は、レポート出力する場合、設定されたレポート出力方法に係る図1に示す各部を制御する。例えば、レポート出力方法が「印刷」に設定されている場合、CPU1は、古いバージョンの文書を削除した旨を示すレポートを印刷するように、エンジン制御部7及びスキャン/プリントエンジン8を制御する。レポートに印刷する内容は、定型文として例えば記憶媒体10に予め格納されている。なお、上述した文書受信の動作の詳細については、図5を用いて後述する。
【0050】
このように本例によれば、例1、2、3における効果に加えて以下の効果を奏する。すなわち、本例では、古いバージョンの文書を削除したことをレポート出力することにより、受信者(通信装置のユーザ)は、バージョン管理された文書が削除されたことを知ることができ、新しい文書を取得できる。また、受信者は、古いバージョンの文書が削除されたことを知ることができ、確実に文書が更新されたことを知ることができる。
【0051】
次に、上記例1〜4で説明した受信文書管理設定の動作の詳細について、図4のフローチャートを参照して以下に説明する。なお、以下の説明では、図3に示す各表示部分V1〜V4に対応して、バージョン管理設定をV1、出力設定をV2、通知設定をV3、レポート設定をV4という。
【0052】
ユーザは、図3の画面において、所望の送信元のV1を設定する(ステップS1)。ここで、ユーザが、現在設定中の送信元の設定を他の送信元と同様にするための表示(例えば図3に示す「シムラ同様」)を選択した場合は(ステップS2/YES)、ステップS3へ進む。一方、ユーザが、現在設定中の送信元の設定を他の送信元と同様にするための表示を選択しなかった場合は(ステップS2/NO)、ステップS4へ進む。
【0053】
ステップS3において、ユーザは、選択した表示の他の送信元で現在設定されている設定内容と、現在設定中の送信元に設定しようとする設定内容とが同じであるかを確認する。確認の結果、2つの設定内容が異なる場合(ステップS3/NO)、すなわち、既に設定されている他の送信元の設定内容が所望するものではない場合、ステップS1へ戻って設定をやり直す。一方で、2つの設定内容が同じである場合(ステップS3/YES)、すなわち、既に設定されている他の送信元の設定内容が所望するものである場合、ステップS4へ進む。
【0054】
ここで、V1の設定内容が「古いバージョンを削除しない」である場合(ステップS4/NO)、現在設定中の送信元の全ての設定は終了する。例えば図3に示す送信元カトウが、この場合に相当する。一方で、V1の設定内容が「古いバージョンを削除」である場合(ステップS4/YES)、ユーザは、図3の画面においてV2を設定する(ステップS5)。
【0055】
V1のときと同様に、ユーザが、現在設定中の送信元の設定を他の送信元と同様にするための表示を選択した場合は(ステップS6/YES)、ステップS7へ進む。一方、ユーザが、現在設定中の送信元の設定を他の送信元と同様にするための表示を選択しなかった場合は(ステップS6/NO)、ステップS8へ進む。
【0056】
ステップS7において、ユーザは、選択した表示の他の送信元で現在設定されている設定内容と、現在設定中の送信元に設定しようとする設定内容とが同じであるかを確認する。確認の結果、2つの設定内容が異なる場合(ステップS7/NO)、すなわち、既に設定されている他の送信元の設定内容が所望するものではない場合、ステップS5へ戻って設定をやり直す。一方で、2つの設定内容が同じである場合(ステップS7/YES)、すなわち、既に設定されている他の送信元の設定内容が所望するものである場合、ステップS8へ進む。
【0057】
ユーザは、図3の画面においてV3を設定する(ステップS8)。
【0058】
V1、V2のときと同様に、ユーザが、現在設定中の送信元の設定を他の送信元と同様にするための表示を選択した場合は(ステップS9/YES)、ステップS10へ進む。一方、ユーザが、現在設定中の送信元の設定を他の送信元と同様にするための表示を選択しなかった場合は(ステップS9/NO)、ステップS11へ進む。
【0059】
ステップS10において、ユーザは、選択した表示の他の送信元で現在設定されている設定内容と、現在設定中の送信元に設定しようとする設定内容とが同じであるかを確認する。確認の結果、2つの設定内容が異なる場合(ステップS10/NO)、すなわち、既に設定されている他の送信元の設定内容が所望するものではない場合、ステップS8へ戻って設定をやり直す。一方で、2つの設定内容が同じである場合(ステップS10/YES)、すなわち、既に設定されている他の送信元の設定内容が所望するものである場合、ステップS11へ進む。
【0060】
ユーザは、図3の画面においてV4を設定する(ステップS11)。
【0061】
V1〜V3のときと同様に、ユーザが、現在設定中の送信元の設定を他の送信元と同様にするための表示を選択した場合は(ステップS12/YES)、ステップS13へ進む。一方、ユーザが、現在設定中の送信元の設定を他の送信元と同様にするための表示を選択しなかった場合は(ステップS12/NO)、現在設定中の送信元の全ての設定が終了する。
【0062】
ステップS13において、ユーザは、選択した表示の他の送信元で現在設定されている設定内容と、現在設定中の送信元に設定しようとする設定内容とが同じであるかを確認する。確認の結果、2つの設定内容が異なる場合(ステップS13/NO)、すなわち、既に設定されている他の送信元の設定内容が所望するものではない場合、ステップS11へ戻って設定をやり直す。一方で、2つの設定内容が同じである場合(ステップS13/YES)、すなわち、既に設定されている他の送信元の設定内容が所望するものである場合、現在設定中の送信元の全ての設定が終了する。
【0063】
以上説明したように、ユーザは図4のフローに従って、送信元毎に受信文書管理設定の設定を行うことができる。図4のフローに従ってなされた設定内容は、上述したように、送信元毎にNVRAM4に格納される。
【0064】
次に、上記例1〜4で説明した文書受信の動作の詳細について、図5のフローチャートを参照して以下に説明する。なお、図5の動作の前に、図4のフローによって送信元毎に受信文書管理設定が行われているものとする。
【0065】
CPU1は、文書を受信した場合、その文書(以下、受信文書という)に付与されている送信元を示す情報と、受信文書管理設定にて予めNVRAM4に格納されている、送信元を示す情報とを比較する(ステップS21)。これにより、受信文書の送信元が、予め受信文書管理設定がなされているかどうかが判別される。
【0066】
CPU1は、比較の結果、NVRAM4の中で、受信文書の送信元と一致する送信元が見つかった場合(ステップS22/YES)、受信文書の送信元が、予め受信文書管理設定がなされているものと判断する。この受信文書の送信元と一致する送信元を、以下「設定済送信元」と記す。なお、比較の結果、NVRAM4の中で、受信文書の送信元と一致する送信元が見つからなかった場合(ステップS22/NO)、ステップS37へ進む。
【0067】
そして、CPU1は、予め記憶媒体10等に蓄積されている文書(以下、蓄積文書という)の中から、上記設定済送信元と同じ送信元を示す情報に紐付けられた蓄積文書を検索し、受信文書のバージョンと、検索した蓄積文書のバージョンとを比較する(ステップS23)。
【0068】
比較の結果、受信文書のバージョンが古い場合(ステップS24/NO)、CPU1は、一連の処理を終了する。一方で、蓄積文書のバージョンが古い場合(ステップS24/YES)、CPU1は、NVRAM4に格納されている、上記設定済送信元を示す情報に紐づけられた設定情報「V1の設定内容」を参照する(ステップS25)。
【0069】
参照の結果、V1の設定内容が「古い(バージョンの)蓄積文書を削除する」ではない場合(ステップS26/NO)、ステップS37へ進む。一方で、「古い蓄積文書を削除する」である場合(ステップS26/YES)、CPU1は、NVRAM4に格納されている、上記設定済送信元を示す情報に紐づけられた設定情報「V2の設定内容」を参照する(ステップS27)。
【0070】
参照の結果、V2の設定内容が「古い蓄積文書を出力する」ではない場合(ステップS28/NO)、ステップS30へ進む。一方で、「古い蓄積文書を出力する」である場合(ステップS28/YES)、CPU1は、V2の設定内容として設定されている出力方法を用いるように、図1に示す各部のうち上記出力方法に係る部分を制御する(ステップS29)。これにより、削除される古い蓄積文書が出力される。
【0071】
CPU1は、NVRAM4に格納されている、上記設定済送信元を示す情報に紐づけられた設定情報「V3の設定内容」を参照する(ステップS30)。
【0072】
参照の結果、V3の設定内容が「古い蓄積文書の削除を送信元に通知する」ではない場合(ステップS31/NO)、ステップS33へ進む。一方で、「古い蓄積文書の削除を送信元に通知する」である場合(ステップS31/YES)、CPU1は、V3の設定内容として設定されている通知方法を用いるように、図1に示す各部のうち上記通知方法に係る部分を制御する(ステップS32)。これにより、古い蓄積文書の削除が送信元に通知される。
【0073】
CPU1は、NVRAM4に格納されている、上記設定済送信元を示す情報に紐づけられた設定情報「V4の設定内容」を参照する(ステップS33)。
【0074】
参照の結果、V4の設定内容が「古い蓄積文書の削除をレポート出力する」ではない場合(ステップS34/NO)、ステップS36へ進む。一方で、「古い蓄積文書の削除をレポート出力する」である場合(ステップS34/YES)、CPU1は、V4の設定内容として設定されているレポート出力方法を用いるように、図1に示す各部のうち上記レポート出力方法に係る部分を制御する(ステップS35)。これにより、古い蓄積文書の削除がレポート出力される。
【0075】
最後に、CPU1は、例えば記憶媒体10において、古い蓄積文書を削除し(ステップS36)、受信文書を蓄積する(ステップS37)。これにより、一連の処理が終了する。
【0076】
なお、上記図5の説明では、例として、V1に係る処理(ステップS25〜S26)、V2に係る処理(ステップS27〜S29)、V3に係る処理(ステップS30〜S32)、V4に係る処理(ステップS33〜S35)を順番に行うようにしたが、順序はこれに限定されない。また、必ずしも、V1〜V4のそれぞれに係る処理の全てを行う必要はなく、それら各処理を任意に組み合わせて行うことができるものとする。
【0077】
また、上記図5の説明では、例として、蓄積文書の削除(ステップS36)を、V1〜V4のそれぞれに係る処理が全て終了した後で行うようにしたが、順序はこれに限定されない。例えば、V3に係る処理(ステップS30〜S32)及びV4に係る処理(ステップS33〜S35)は、ステップS36の後に行われるようにしてもよい。
【0078】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変形が可能である。
【0079】
例えば、上述した実施形態における動作は、ハードウェア、または、ソフトウェア、あるいは、両者の複合構成によって実行することも可能である。
【0080】
ソフトウェアによる処理を実行する場合には、処理シーケンスを記録したプログラムを、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ内のメモリにインストールして実行させてもよい。あるいは、各種処理が実行可能な汎用コンピュータにプログラムをインストールして実行させてもよい。
【0081】
例えば、プログラムは、記録媒体としてのハードディスクやROM(Read Only Memory)に予め記録しておくことが可能である。あるいは、プログラムは、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory),MO(Magneto optical)ディスク,DVD(Digital Versatile Disc)、磁気ディスク、半導体メモリなどのリムーバブル記録媒体に、一時的、あるいは、永続的に格納(記録)しておくことが可能である。このようなリムーバブル記録媒体は、いわゆるパッケージソフトウエアとして提供することが可能である。
【0082】
なお、プログラムは、上述したようなリムーバブル記録媒体からコンピュータにインストールする他、ダウンロードサイトから、コンピュータに無線転送してもよい。または、LAN(Local Area Network)、インターネットといったネットワークを介して、コンピュータに有線で転送してもよい。コンピュータでは、転送されてきたプログラムを受信し、内蔵するハードディスク等の記録媒体にインストールすることが可能である。
【0083】
また、上記実施形態で説明した処理動作に従って時系列的に実行されるのみならず、処理を実行する装置の処理能力、あるいは、必要に応じて並列的にあるいは個別に実行するように構築することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明は、バージョン(新旧を示す情報)が付与されたデータを受信し蓄積する装置・機器、システム、方法、プログラム等に適用できる。
【符号の説明】
【0085】
1 CPU
2 RAM
3 ROM
4 NVRAM
5 パネル制御部
6 操作パネル
7 エンジン制御部
8 スキャン/プリントエンジン
9 ディスクドライバ
10 記憶媒体
11 外部I/F
12 モデム
13 通信制御部
14 データバス
15 画面
16 ボタン
【先行技術文献】
【特許文献】
【0086】
【特許文献1】特開2002−328565号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信元から文書を受信する受信手段と、
前記送信元毎に、前記文書を蓄積する蓄積手段と、
前記送信元毎に、実行されるべき制御が対応付けられた設定を記憶する設定記憶手段と、
前記設定に基づいて制御を行う制御手段と、を有し、
前記制御手段は、
前記受信手段で文書を受信した場合、当該受信文書の送信元と同じ送信元の蓄積文書を前記蓄積手段から検索し、前記受信文書のバージョンと前記蓄積文書のバージョンの比較を行い、
前記比較の結果と、前記設定記憶手段に記憶されている設定とに基づいて、前記受信文書の送信元に対応付けられている制御を実行することを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記設定記憶手段には、
前記制御手段による前記比較の結果、前記蓄積文書のバージョンが古い場合に、前記蓄積文書を削除するか否かが設定されることを特徴とする請求項1記載の通信装置。
【請求項3】
前記設定記憶手段には、
前記蓄積文書を削除する場合に、前記蓄積文書の出力を行うか否か、及び、前記出力を行う場合はどのような方法で出力するかが設定されることを特徴とする請求項2記載の通信装置。
【請求項4】
前記設定記憶手段には、
前記蓄積文書を削除する場合に、その旨を前記送信元へ通知するか否か、及び、前記通知を行う場合はどのような方法で通知するかが設定されることを特徴とする請求項2又は3記載の通信装置。
【請求項5】
前記設定記憶手段には、
前記蓄積文書を削除する場合に、その旨をレポート出力するか否か、及び、前記レポート出力を行う場合はどのような方法でレポート出力するかが設定されることを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載の通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−212780(P2010−212780A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−53857(P2009−53857)
【出願日】平成21年3月6日(2009.3.6)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】