説明

通話システム、通話方法、通話プログラム、電話端末及び交換機

【課題】周囲にいる第三者に通話内容を聞かれずに、通話相手との会話を成立させるようにする。
【解決手段】本発明の通話システムは、音声データを入力する音声入力手段と、通話先に向けて音声データを出力する音声出力手段と、秘匿性のある第1キーワードと、これとは別の第2キーワードと対応付けたキーワード変換情報を記憶するデータベースと、入力された音声データを認識してテキストデータに変換する音声認識手段と、テキストデータから第2キーワードに該当するデータを検索する検索手段と、第2キーワードが検索された場合、入力された音声データにおける第2キーワードの位置に、第2キーワードに対応する第1キーワードの音声データを合成して出力させる音声合成手段とを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通話システム、通話方法、通話プログラム、電話端末及び交換機に関し、例えば、話者の会話内容が第三者に知られないようにするための通話方式に適用し得るものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、電話機を使用して秘匿にしたい内容を発する場合、その内容を周囲に気づかれないようにしたいとする要望が強くある。
【0003】
このような課題を解決する技術として、特許文献1及び特許文献2に記載されるような技術がある。
【0004】
特許文献1には、通話者の口元を遮る遮音構造に形成された携帯電話機付属具を具備した電話機に関する技術が記載されており、これを用いて話者が発話することで、発話内容が遮音され、周囲への情報漏洩を防止できるというものである。
【0005】
また、特許文献2には、携帯局と基地局との間の秘話通信方法に関するものであり、例えば携帯局及び基地局間で、秘話コードを利用して送信信号を擬似雑音化して通信する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平5−18143号公報
【特許文献2】特開平10−75486号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の記載技術は、携帯電話機付属具を用いて話者が発話するが、それでも完璧な遮音ができる保証はなく、会話内容が周囲に充分に認識されるおそれがある。特に、守秘性のある会話を行う場合、かなり周囲を気にする必要があるところ、不注意により情報漏洩や盗聴などが発生するという問題が生じ得る。
【0008】
また、特許文献2の記載技術は、携帯局と基地局との間の通信回線からの漏洩・盗聴を防止する技術であり、話者が発した音声の漏洩・盗聴に対する対応策ではない。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑み、例えば公衆の中にあっても周囲を気にせずに通話ができ、しかも装置全体の小形化が容易な通話システム、通話方法、通話プログラム、電話端末及び交換機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる課題を解決するために、第1の本発明の通話システムは、(1)音声データを入力する音声入力手段と、(2)通話先に向けて音声データを出力する音声出力手段と、(3)秘匿性のある第1キーワードと、これとは別の第2キーワードと対応付けたキーワード変換情報を記憶するデータベースと、(4)入力された音声データを認識してテキストデータに変換する音声認識手段と、(5)テキストデータから第2キーワードに該当するデータを検索する検索手段と、(6)第2キーワードが検索された場合、入力された音声データにおける第2キーワードの位置に、第2キーワードに対応する第1キーワードの音声データを合成して出力させる音声合成手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
第2の本発明の通話方法は、秘匿性のある第1キーワードと、これとは別の第2キーワードと対応付けたキーワード変換情報を記憶するデータベースを備えた通話システムの通話方法において、(1)音声入力手段が、音声データを入力する音声入力工程と、(2)音声出力手段が、通話先に向けて音声データを出力する音声出力工程と、(3)音声認識手段が、入力された音声データを認識してテキストデータに変換する音声認識工程と、(4)検索手段が、テキストデータから第2キーワードに該当するデータを検索する検索工程と、(5)音声合成手段が、第2キーワードが検索された場合、入力された音声データにおける第2キーワードの位置に、第2キーワードに対応する第1キーワードの音声データを合成して出力させる音声合成工程とを有することを特徴とする。
【0012】
第3の本発明の通話プログラムは、秘匿性のある第1キーワードと、これとは別の第2キーワードと対応付けたキーワード変換情報を記憶するデータベースを備えたコンピュータを、(1)音声データを入力する音声入力手段、(2)通話先に向けて音声データを出力する音声出力手段、(3)入力された音声データを認識してテキストデータに変換する音声認識手段、(4)テキストデータから第2キーワードに該当するデータを検索する検索手段、(5)第2キーワードが検索された場合、入力された音声データにおける第2キーワードの位置に、第2キーワードに対応する第1キーワードの音声データを合成して出力させる音声合成手段として機能させることを特徴とする。
【0013】
第4の本発明の電話端末は、第1の本発明の通話システムを有することを特徴とする。
【0014】
第5の本発明の交換機は、第1の本発明の通話システムを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、周囲にいる第三者に通話内容を聞かれることなく、通話相手との会話を成立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1の実施形態の通信システムの構成及び電話端末の構成を示す構成図である。
【図2】第1の実施形態の変換テーブルの構成を示す構成図である。
【図3】第1の実施形態のアクセス制限テーブルの構成を示す構成図である。
【図4】第1の実施形態の通信システムにおける処理を示すフローチャートである。
【図5】第2の実施形態の通信システムの構成及び電話交換機の構成を示す構成図である。
【図6】第2の実施形態の変換テーブルの構成を示す構成図である。
【図7】第2の実施形態のアクセス制限テーブルの構成を示す構成図である。
【図8】第2の実施形態の通信システムにおける処理を示すフローチャートである。
【図9】第2の実施形態の発信者番号リストを説明する説明図である。
【図10】変形実施形態のデータベースの利用方法を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(A)第1の実施形態
以下では、本発明の通話システム、通話方法、通話プログラム、電話端末及び交換機の第1の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0018】
第1の実施形態は、電話端末に本発明を適用した場合の実施形態を例示して説明する。
【0019】
(A−1)第1の実施形態の構成
図1は、第1の実施形態の通信システムの構成及び電話端末の構成を示す構成図である。
【0020】
図1に示す第1の実施形態の通信システム10では、利用者Uが、携帯電話網2に接続可能な電話端末1を用いて、図示しない通話相手と通話を行うシステムである。
【0021】
電話端末1は、通話機能を有する端末を広く適用することができ、第1の実施形態では通信機能を有する携帯端末(例えば、携帯電話機、PHS端末、PDA端末、ゲーム端末等を含む概念)を想定して説明するが固定電話機としても良い。
【0022】
図1に示すように、電話端末1は、音声入力部101、音声認識部102、登録入力部103、登録制御部104、データベース105、検索制御部106、音声合成部107、通話管理部108、電波入出力部109、音声出力部110を少なくとも有する。
【0023】
音声入力部101は、図示しない送話器が捕捉した利用者Uの音声を取り込み、入力音声に基づいて量子化などのデジタル化処理を施して音声データを形成し、この音声データを音声認識部102及び音声合成部107に与えるものである。
【0024】
音声認識部102は、音声入力部101からの音声データに基づいて音声認識を行い、その認識した音声をテキストデータに変換して検索制御部106に与えるものである。ここで、音声認識技術は、種々の既存技術を広く適用することができる。例えば、音声認識技術の一例として、隠れマルコフモデルを用いた技術を適用することができる。
【0025】
登録入力部103は、利用者Uの操作を取り込み、データベース105に登録する入力情報を取り込むものである。利用者Uは、電話端末1の図示しないキーを操作することで、入力情報の入力を行うことができる。また、利用者Uによる登録処理は、いつでも可能であるが、少なくとも通話開始前に行うことが必要である。
【0026】
登録制御部104は、登録入力部103からの入力情報をデータベース105に登録させる制御手段である。
【0027】
データベース105は、登録制御部104の制御により、登録入力部104に入力された情報を記憶する記憶領域である。
【0028】
ここで、データベース105に登録される登録情報について説明する。データベース105には、少なくともキーワード変換情報及びアクセス制限情報が記憶される。
【0029】
キーワード変換情報とは、利用者Uが発した通話内容の中に、所定の語句が含まれている場合に、その語句を別の語句に変換させるための情報である。これにより、例えば隠語のように発話時には別の語句を発するが、通話相手に対しては変換後の語句(すなわち秘匿を希望する語句)を伝えることができる。そのため、周囲に秘匿すべき語句を知られることを防止できる。
【0030】
なお、変換後の語句を伝えるべき相手を特定の者に限定したい場合がある。逆を言えば、変換前の語句をそのまま通話相手に伝えたい場合もある。この点を考慮し、アクセス制限情報は、変換後の語句を伝えるべき相手先を特定の者に制限するための情報である。これにより、誤って通信相手に不必要な情報を送付してしまうことを防止するために、変換した語句を伝える相手先を特定の者に限定することができる。
【0031】
図2は、キーワード変換情報としての変換テーブル21の構成例を説明する説明図である。図2に示すように、変換テーブル21は、「管理番号」、「変換前キーワード」、「変換後キーワード」を項目としてもつ。
【0032】
「管理番号」には、変換前キーワード及び変換後キーワードの対応関係を示す管理番号が格納される。
【0033】
「変換後キーワード」には、利用者Uが秘匿を希望する語句が格納される。また「変換前キーワード」には、その秘匿を希望する語句を意図するキーワードが(例えば隠語等)格納される。
【0034】
例えば、図2の「管理番号:1」では、「変換後キーワード:B株式会社」を意図するキーワードとして「変換前キーワード:A株式会社」が対応付けられて、変換テーブル21に登録される。
【0035】
また例えば、「管理番号:4」では、「変換後キーワード:受注」を意図するキーワードとして「変換前キーワード:お土産」が対応付けられて、変換テーブル21に登録される。
【0036】
図3は、アクセス制限情報としてのアクセス制限テーブル31の構成例を説明する説明図である。図3に示すように、アクセス制限テーブル31は、「管理番号」、「変換後キーワード」、「相手先発信者番号」を項目としてもつ。
【0037】
「管理番号」には、変換後キーワード及び相手先発信者番号の対応関係を示す管理番号が格納される。
【0038】
「変換後キーワード」には、図2の「変換後キーワード」に対応する語句が格納される。「相手先発信者番号」には、通話相手の電話番号(発信者番号)が格納される。
【0039】
検索制御部106は、音声認識部102からテキストデータを受け取り、データベース105の変換テーブル21を参照して、「変換前キーワード」からテキストデータに対応するキーワードを検索するものである。
【0040】
テキストデータのキーワードを検索すると、検索制御部106は、これに対応する変換後キーワードを読み出すと共に、通話管理部108から通話相手の発信者番号を受け取り、さらにアクセス制限テーブル31を参照して、現在の通話相手先が特定の者であるか否かを判断するものである。
【0041】
そして、通話相手が特定の者である場合、検索制御部106は、テキストデータのキーワードを変換後のキーワードに変換して、音声合成部107に与える。
【0042】
なお、テキストデータのキーワードが検索できない場合や、キーワード検索できても特定の者でない場合、検索制御部106は当該テキストデータの変換を行わない。
【0043】
音声合成部107は、検索制御部106から変換後キーワードを受け取ると、その変換後キーワードを音声データに変換して、音声入力部101からの音声データのうち、変換前キーワードの位置に上記変換後キーワードの音声データを合成して、電波入出力部109に与えるものである。
【0044】
電波入出力部109は、音声合成部107からの音声データに基づいて変調処理を行い、携帯電話網2に送信するものである。また、電波入出力部109は、携帯電話網2から受波した電波を復調し、その復調した音声データを音声出力部110に与えるものである。
【0045】
音声出力部110は、電波入出力部109からの音声データを音声に変化して出力するものである。
【0046】
(A−2)第1の実施形態の動作
次に、第1の実施形態の通信システム10における処理の動作について図面を参照しながら説明する。以下では、利用者Uが携帯端末1を用いて通信相手と通話を開始する場合を例示する。
【0047】
図4は、第1の実施形態の通信システム10における処理のフローチャートである。
【0048】
まず、利用者Uが発話すると、利用者が発した音声が音声入力部101に捕捉されて(ステップS101)、音声入力部101によりデジタル処理が行なわれ(ステップS102)、音声データが音声認識部102に与えられる。
【0049】
このとき同時に、音声データは、音声合成部107にも出力されるが、音声合成部107からの出力は待機状態となる。
【0050】
音声認識部102では、利用者Uからの音声データが認識され(ステップS103)、その認識された音声データがテキストデータに変換され、テキストデータが検索制御部106に与えられる(ステップS104)。
【0051】
検索制御部106では、データベース105に記憶される変換テーブル21から音声認識部102からのテキストデータに該当する情報があるか否かの検索が行なわれる(ステップS105)。そして、該当する情報を検索した場合、変換テーブル21から変換前キーワードに対応する変換後キーワードを取得される。
【0052】
このとき、検索制御部106は、通話管理部108から通話相手の発信者番号(電話番号)を読み出し、データベース105のアクセス制限テーブル31を用いて、変換後キーワード及び相手先発信者番号に該当する情報があるか否かの検索を行なう(ステップS106)。
【0053】
そして、アクセス制限テーブル31に該当する情報がある場合、その変換後キーワードが音声合成部107に与えられ、元の変換前キーワードの位置に変換後キーワードの音声が合成され(ステップS107)、電波入出力部109を介して送出される。
【0054】
一方、アクセス制限テーブル31に該当する情報がない場合には、変換後キーワードの音声合成は行なわれず(ステップS108)、電波入出力部109を介して送出される。
【0055】
なお、音声合成されない場合、例えば、変換前キーワードのままの音声としてもよいし、例えば「ピー」というトーン信号音を合成するようにしてもよい。
【0056】
例えば、利用者Uが、B株式会社から受注をもらったことを電話で伝える場合、周囲に聞かれたくないので、「A株式会社からお土産をもらった」と発する。
【0057】
この音声が電話端末1に入力され、音声認識部102によりテキストデータに変化されると、検索制御部106がデータベース105を参照して該当する情報の検索を行なう。
【0058】
上記例の場合、「A株式会社」、「お土産」が、図2に例示する変換テーブル21に該当するから、「A株式会社」及び「お土産」に対応する「B株式会社」及び「受注」が読み取られる。
【0059】
このとき、通話相手の発信者番号が例えば「03-2222-2222」である場合、図3に例示するアクセス制限テーブル31を参照すると、「B株式会社」及び「受注」について発信者番号「03-2222-2222」の登録があるので、「B株式会社」及び「受注」が音声合成部107に与えられて、変換後キーワードが音声合成されて送出される。
【0060】
これにより、利用者の発言は「A株式会社からお土産もらいましたので、大至急・・・」であるのに対して、通話相手には「B株式会社から受注もらいましたので、大至急・・・」と聞こえる。
【0061】
一方、通話相手の発信者番号が例えば「03-4444-4444」である場合、図3に例示するアクセス制限テーブル31を参照すると、「B株式会社」及び「受注」について発信者番号「03-4444-4444」の登録がないので、この変換後キーワード「B株式会社」及び「受注」の音声合成は行なわれない。
【0062】
(A−3)第1の実施形態の効果
以上のように、第1の実施形態によれば、秘匿したいキーワードを別のキーワードに変換する機能を電話端末が備えることにより、周囲に知られることなく、又通話相手には特段の負担をかけずに確実に守秘性のある語句を伝えることができる。
【0063】
また、装置規模を大きくすることなく、秘匿な内容を含む会話を成立させることができる。
【0064】
(B)第2の実施形態
次に、本発明の通話システム、通話方法、通話プログラム、電話端末及び交換機の第2の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0065】
第1の実施形態は、電話端末が音声変換機能を備えた場合を説明したが、第2の実施形態では、交換機が音声変換機能を備える場合を例示して説明する。
【0066】
(B−1)第2の実施形態の構成
図5は、第2の実施形態の通信システム20の全体構成及び交換機の内部構成を示す構成図である。
【0067】
図5において、第2の実施形態の通信システム20は、携帯電話網2に接続可能な電話端末3と、公衆電話網4に接続可能な電話交換機5とを少なくとも有して構成される。
【0068】
公衆電話網4は、図示しない中継装置を介して携帯電話網2と接続可能であり、通話相手U2が利用する電話端末とも接続可能な通信網である。
【0069】
電話交換機5は、公衆電話網4上に存在する交換機である。電話交換機5は、予め利用者U1により音声変換を希望するキーワードの登録やアクセス制限の設定等の処理を受け付け、その利用者からの通話に対して音声変換を行う機能を有する。
【0070】
このように電話交換機5が登録利用者からの通話において、登録されたキーワードについての音声変換を行うことにより、漏洩・盗聴防止処理を集中管理することができる。
【0071】
図5に示すように、電話入出力部501、音声認識部502、登録入力部503、登録制御部504、データベース505、検索制御部506、音声合成部507、通話管理部508を少なくとも有して構成されるものである。
【0072】
電話入出力部501は、公衆電話網4との間で通話信号の授受を行う通信処理部である。電話入出力部501は、例えば、RTP(Realtime-Transport-Protocol)パケットで送受信を行うものであり、受信したRTPパケットのRTPデータを音声認識部502及び音声合成部507に与える。
【0073】
音声認識部502は、電話入出力部501から入力された音声データに基づいて音声を認識し、その認識した音声データをテキストデータに変換して検索制御部502に与えるものである。
【0074】
登録入力部503は、利用者U1からの要求に応じて、音声変換に係る情報の入力処理を行うものである。
【0075】
登録制御部504は、利用者U1が希望する音声変換に係る情報を登録入力部503から受け取り、この情報をデータベース504に登録させる制御手段である。
【0076】
データベース505は、登録制御部504の制御により、登録入力部504からの入力情報を記憶する記憶領域である。データベース505は、少なくともキーワード変換情報及びアクセス制限情報を記憶する。
【0077】
ここで、データベース505への登録処理としては、例えば、利用者U1がWebブラウザ等を介して登録入力部503にアクセスし、データベース505への登録を行う方法を適用できる。また、例えば企業をユーザとする場合には変換情報も多くなるので、システム管理者により一括してデータベース登録を行うようにしてもよい。
【0078】
図6は、第2の実施形態の変換テーブル22の構成例を説明する説明図である。また、図7は、第2の実施形態のアクセス制限テーブル32の構成例を説明する説明図である。
【0079】
図6及び図7において、第1の実施形態の変換テーブル21及びアクセス制限テーブル31と異なる点は、利用者の発信者番号が登録されている点である。
【0080】
また、システム管理者により一括してデータベース登録を行う場合には、利用者情報に基づくアクセス制限を行うようにしてもよい。この場合、例えば変換前キーワードと変換後キーワードを対応付けた変換テーブル(及び又はアクセス制限テーブル)と、この変換テーブル(及び又はアクセス制限テーブル)を利用できる発信者番号リストとを備えることで実現できる。これにより、発信元の電話番号が発信者番号リストに該当する場合に、上記変換テーブル(及び又はアクセス制限テーブル)を用いたテキストデータの変換が可能となる。
【0081】
上記の場合、システム管理者は、発信者番号リストの内容を必要に応じて変更できるようにしても良い。
【0082】
さらに、変換テーブルやアクセス制限テーブルの管理番号毎に利用できる利用者を設定するようにしても良い。
【0083】
例えば、図9は、変換テーブル22を利用できる発信者番号リストの例を示す。図9において、例えば、「発信者番号:03-9999-9999」の利用者は、変換テーブル22の「管理番号1及び2」は利用可能であるが、「管理番号3」については利用できないというように、管理番号毎に利用可・不可を設定するようにしても良い。
【0084】
検索制御部506は、通話管理部508から当該音声変換のサービスを提供するユーザからの通話であるか否かが通知される。当該サービスのユーザである場合、検索制御部506は、通話管理部508から発信元の電話番号(ユーザの発信者番号)及び着信先の電話番号を受け取り、発信元の電話番号に基づいて当該ユーザの変換テーブル22及びアクセス制限テーブル32をデータベース505から読み出す。
【0085】
さらに、検索制御部506は、音声認識部502からのテキストデータに該当する情報を変換テーブル22から検索する。該当する情報を検索できた場合、検索制御部506は、第1の実施形態と同様に、アクセス制限テーブル32を参照して、アクセス制限を行うか否かの判断を行う。このテキストデータを用いたキーワードの検索処理は、第1の実施形態と同じである。
【0086】
音声合成部507は、検索制御部506から変換後キーワードを受け取ると、その変換後キーワードに基づいて音声データを形成し、電話入出力部501から受け取った音声データの変換前キーワードの位置に、変換後キーワードの音声データを合成するものである。また、音声合成部507は、その合成した音声データを電話入出力部501に与えて通信相手先に送出させるものである。
【0087】
電話端末3は、利用者U1が利用する電話機能を有する端末である。電話端末3は、通常の電話端末を適用することができ、その内部機能として、図5に示すように、音声入力部31、音声出力部32、電波入出力部33を少なくとも有するものである。
【0088】
(B−2)第2の実施形態の動作
次に、第2の実施形態の通信システム20における処理の動作について図面を参照しながら説明する。以下では、利用者U1が当該サービスのユーザであり、この利用者U1から通信相手U2に対して送話する場合の処理を例示して説明する。
【0089】
図8は、第2の実施形態の通信システム20における処理のフローチャートである。
【0090】
まず、利用者U1は電話端末3を操作して、希望する通話相手U2と通話するために、通話相手U2の発信者番号と共に、呼要求を電話交換機5に対して行う(ステップS201)。
【0091】
電話交換機5は、利用者U1の電話端末3からの呼要求を受けて、通話相手U2との間の呼処理を行い、利用者U1の電話端末3と通話相手U2との間の通信を開始する(ステップS202)。
【0092】
このとき、電話交換機1では、通話管理部508が発信元の電話番号に基づいて、当該発信者が当該サービスの利用者であるかを否かの確認を行う(ステップS203)。当該サービスの利用者であると判断した場合、その旨を検索制御部506に予め通知しておいても良い。これにより、キーワード変換をより迅速に行うことができる。
【0093】
通話開始後、利用者U1が発言すると、電話端末3からの音声信号が、携帯電話網2及び公衆電話網4を介して、電話交換機5の電話入出力部501に与えられる(ステップS204)。
【0094】
電話交換機5では、電話入出力部501で受信した音声データが音声認識部502に与えられ(ステップS205)、音声認識部502により音声データはテキストデータに変換され、検索制御部506に与えられる(ステップS206)。このとき、同時に音声合成部507にも音声データが出力されるが、音声合成部507からの出力は待機状態とする。
【0095】
検索制御部506は、テキストデータをデータベース505の変換テーブル22で検索し(ステップS207)、該当情報がある場合、これに対応する変換後キーワードを取得する。
【0096】
さらに、検索制御部506は、通話管理部508から発信元の電話番号及び通話相手の発信者番号(電話番号)を読み出し、データベース505のアクセス制限テーブル32を用いて、変換後キーワード及び相手先発信者番号に該当する情報があるか否かの検索を行なう(ステップS208)。
【0097】
そして、アクセス制限テーブル32に該当する情報がある場合、その変換後キーワードが音声合成部507に与えられ、元の変換前キーワードの位置に変換後キーワードの音声が合成され(ステップS209)、電話入出力部501から送信される。
【0098】
一方、アクセス制限テーブル32に該当する情報がない場合には、変換後キーワードの音声合成は行なわれず(ステップS210)、電話入出力部501から送信される。
【0099】
このようにすることで、公衆電話網4を介して、通話相手先に音声信号が伝達することができる。また、通話相手からの音声信号については、通常の電話交換処理と同様に、公衆電話網4及び携帯電話網2を介して電話端末3に送信される。
【0100】
(B−3)第2の実施形態の効果
以上のように、第2の実施形態によれば、第1の実施形態の効果と同様に、周囲には守秘性のあるキーワードを認識されずに会話を行うことを、通話相手に特段の負担をかけずに実現することが可能となる。
【0101】
さらに、第2の実施形態では、第1の実施形態の効果に加え、システム管理者による集中管理や、利用者情報などに基づくより細かいアクセス制御が可能なものとなる。
【0102】
(C)他の実施形態
上述した第1及び第2の実施形態でも種々の変形実施形態を説明したが、その他の変形実施形態を以下に示す。
【0103】
(C−1)第1及び第2の実施形態では、携帯電話端末を対象とした実施形態を例示したが、当然ながら公衆固定電話、宅内固定電話、企業内固定電話など別の形態の電話端末での利用も可能である。
【0104】
(C−2)第1及び第2の実施形態で説明したデータベースの変形例として、変換テーブル、アクセス制限テーブルは、例えば会話内容毎に設定するようにしても良い。例えば、A株式会社に関連する話題の場合、「A株式会社」用の変換テーブル、アクセス制限テーブルを設定するようにしても良い。
【0105】
また、データベースが、話題毎の変換テーブル、アクセス制限テーブルを階層的に(又は分割して)図10のようにして記憶しておき、通話前又は通話中に、利用者操作により送出されたトーン信号に応じて、利用する変換テーブル、アクセス制限テーブルを選択するようにしても良い。
【0106】
これにより、予め利用する変換テーブル、アクセス制限テーブルを選択できるので、データベースへのアクセス時間を短縮できるので、リアルタイム性を保持しながら、音声変換を実現することができる。
【0107】
例えば、図10において、利用者が「A株式会社」に関連する話題を行う場合、トーン信号1(例えば電話端末の「1」ボタン)を押下することにより、予め利用すべきデータベースの範囲を選択できる。
【0108】
(C−3)第1の実施形態の電話端末、第2の実施形態の電話交換機が、変換処理をしたキーワードの位置を知らせる通知手段を備えるようにしてもよい。
【0109】
例えば、第2の実施形態の電話交換機の場合、話者が隠語(キーワード)を発したときに、変換後の会話中のキーワードの出現位置に、例えばBT(ビジートーン)信号等を送信するようにしてもよい。
【0110】
また例えば、第1の実施形態の電話端末の場合には、トーン信号を変換後キーワードの位置に送信するようにしても良い。
【0111】
(C−4)第1及び第2の実施形態で説明した通話システムは、例えばソフトウェア処理により実現することができる。例えば、CPU、ROM、RAM、EEPROM等をハードウェアとする装置で、CPUが、ROMに格納される処理プログラムを実行することにより第1及び第2の実施形態で説明した通話システムを実現することができる。
【符号の説明】
【0112】
1、3…電話端末、2…携帯電話網、4…公衆電話網、5…電話交換機、
101…音声入力部、501…電話入出力部、102及び502…音声認識部、
103及び503…登録入力部、104及び504…登録制御部、
105及び505…データベース、106及び506…検索制御部、
107及び507…音声合成部、108及び508…通話管理部、
109…電波入出力部、110…音声出力部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声データを入力する音声入力手段と、
通話先に向けて音声データを出力する音声出力手段と、
秘匿性のある第1キーワードと、これとは別の第2キーワードと対応付けたキーワード変換情報を記憶するデータベースと、
入力された音声データを認識してテキストデータに変換する音声認識手段と、
上記テキストデータから上記第2キーワードに該当するデータを検索する検索手段と、
上記第2キーワードが検索された場合、上記入力された音声データにおける上記第2キーワードの位置に、上記第2キーワードに対応する上記第1キーワードの音声データを合成して出力させる音声合成手段と
を備えることを特徴とする通話システム。
【請求項2】
少なくとも当該通話の通話先情報を管理する通話管理手段をさらに備え、
上記データベースには、通話先情報に応じて上記第1キーワードへの変換を制限する制限情報が記憶されており、
上記音声合成手段は、上記通話管理手段からの当該通話の通話先情報が上記制限情報に含まれる場合、上記第1キーワードの音声データの合成処理を行なわないことを特徴とする請求項1に記載の通話システム。
【請求項3】
上記音声合成手段により音声データの合成が行なわれた位置を通知する通知手段を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の通話システム。
【請求項4】
上記データベースには、所定種別毎の上記キーワード変換情報が分別されて記憶されており、
上記検索手段が、利用者側から検索に利用する上記キーワード変換情報の種類を示す信号を受け取り、その信号に応じて上記キーワード変換情報を用いて検索を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の通話システム。
【請求項5】
秘匿性のある第1キーワードと、これとは別の第2キーワードと対応付けたキーワード変換情報を記憶するデータベースを備えた通話システムの通話方法において、
音声入力手段が、音声データを入力する音声入力工程と、
音声出力手段が、通話先に向けて音声データを出力する音声出力工程と、
音声認識手段が、入力された音声データを認識してテキストデータに変換する音声認識工程と、
検索手段が、上記テキストデータから上記第2キーワードに該当するデータを検索する検索工程と、
音声合成手段が、上記第2キーワードが検索された場合、上記入力された音声データにおける上記第2キーワードの位置に、上記第2キーワードに対応する上記第1キーワードの音声データを合成して出力させる音声合成工程と
を有することを特徴とする通話方法。
【請求項6】
秘匿性のある第1キーワードと、これとは別の第2キーワードと対応付けたキーワード変換情報を記憶するデータベースを備えたコンピュータを、
音声データを入力する音声入力手段、
通話先に向けて音声データを出力する音声出力手段、
入力された音声データを認識してテキストデータに変換する音声認識手段、
上記テキストデータから上記第2キーワードに該当するデータを検索する検索手段、
上記第2キーワードが検索された場合、上記入力された音声データにおける上記第2キーワードの位置に、上記第2キーワードに対応する上記第1キーワードの音声データを合成して出力させる音声合成手段
として機能させることを特徴とする通話プログラム。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれかに記載の通話システムを有することを特徴とする電話端末。
【請求項8】
請求項1〜4のいずれかに記載の通話システムを有することを特徴とする交換機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−193391(P2010−193391A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−38344(P2009−38344)
【出願日】平成21年2月20日(2009.2.20)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.EEPROM
【出願人】(308033722)株式会社OKIネットワークス (165)
【出願人】(506146275)沖電気ネットワークインテグレーション株式会社 (17)
【Fターム(参考)】