説明

連接車両安定化システム

【課題】連接車両を提供すること。
【解決手段】連接車両は、車両のトレーラ部の転覆を阻止するためになされた安定化システムを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連接車両に関し、より詳細には、連接車両の転覆を阻止するための安定化システムに関する。
【背景技術】
【0002】
本願は、2005年7月21日に出願されたAndersonらの「Articulated Vehicle Stabilization System」という名称の米国特許出願第11/186,563号の一部継続出願であり、2008年2月2日に出願された、Andersonの「Articulated Vehicle Stabilization System」という名称の米国仮特許出願第61/025,555号の利益を主張するものであり、これらの開示は参照により本明細書に明白に組み込まれている。
【0003】
連接ダンプトラック(ADT)など連接車両は当技術分野でよく知られている。例えば、通常、ADTは、運転者のキャブを支持する第1の車枠を有するキャブ部と、ビンを支持する第2の車枠を有するトレーラ部とを含む。ビンは積荷を入れるようになされ、通常、第2の車枠に対して角度的な移動のためのアクチュエータに連結される。第1の車枠および第2の車枠は、垂直軸の周りで第2の車枠に対して第1の車枠の連接運動をもたらすための枢動式車枠連結器と、縦方向軸の周りで第1の車枠に対して第2の車枠の揺動運動をもたらすための揺動式車枠連結器とを含む自在継手を介して作動可能に連結され得る。第1の車輪組立体が第1の車枠を支持し、第2の車輪組立体が第2の車枠を支持する。第2の車輪組立体は、回転可能に支持された前輪と、回転可能に支持された後輪とを含む。前輪および後輪は、タンデム連結器によって第2の車枠に枢動可能に連結されたタンデムまたはウォーキングビームに連結される。したがって、前輪および後輪は、起伏に富む地形の上で連続した車輪係合を容易にするためにタンデム連結器の周りでの枢動運動のために支持される。
【0004】
ADTは、不適切に運転されまたは積荷されると、安定性の問題に悩まされることがある。例えば、不安定性は、ADTが連接範囲の端部近くで不完全に(ビンの上で過剰に重く過剰に前方に)積荷されることから生じることがあり、比較的高速でこのような状態で運転することによって悪化することがある。このような安定性問題は、トレーラ部の重心が枢動式車枠連結器からタンデム連結器に延在する作用線を越えて外側に移動する場合、「ビンダンプ(bin dump)」状態をもたらすことがある。この状態では、トレーラ部は、キャブ部が直立の状態のままである間に転覆する。通常、このような転覆は、恒久的な装備損傷または運転者の負傷を引き起こさないが、これにより、ADTおよび関連したエキスカベータが、トレーラ部が直立されるまで使用不可能にされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願第11/186,563号
【特許文献2】米国仮特許出願第61/025,555号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様によると、第1の車枠と、第1の車枠に作動可能に連結された第1の車輪組立体と、縦方向軸を画成する第2の車枠と、第2の車枠に作動可能に連結された第2の車輪組立体とを含む車両が提供される。第2の車輪組立体は、枢動式連結器で第2の車枠に枢動可能に連結されたタンデムと、タンデムに作動可能に連結された前輪と、タンデムに作動可能に連結された後輪とを含む。車両は、第2の車枠によって支持され、積荷を支持するようになされているビンと、第1の車枠と第2の車枠の間にある車枠連結器とをさらに含む。連結器は、第1の車枠と第2の車枠の間で垂直軸の周りで枢動運動をもたらすようになされている。車両は、車両の状態を検出するようになされている車両状態センサと、車両状態センサと通信する制御装置と、第2の車枠およびタンデムに作動可能に連結されたスタビライザとをさらに含む。スタビライザは、車両状態センサによって検知された状態に応答してタンデムの枢動運動を制限するようになされているシリンダを含む。スタビライザは、シリンダへの加圧流体の供給を制御する弁をさらに含む。
【0007】
本開示の別の態様によると、積荷を輸送するようになされている輸送車両が提供される。車両は、前側車両車枠に回転支持をもたらすために前側車両車枠に作動可能に連結された前側車両車枠組立体と、トレーラとを含む。トレーラは、トレーラ車枠と、トレーラ車枠に回転支持をもたらすためにトレーラ車枠に作動可能に連結されたトレーラ車輪組立体とを含む。トレーラ車輪組立体は、タンデム枢動式連結器でトレーラに枢動可能に連結されたトレーラタンデムと、トレーラ車輪組立体のトレーラタンデムの回転支持をもたらすためにトレーラ車輪組立体のトレーラタンデムに回転可能に連結された前側トレーラタンデム車輪と、トレーラ車輪組立体のトレーラタンデムの回転支持をもたらすためにトレーラ車輪組立体のトレーラタンデムに回転可能に連結された後側トレーラタンデム車輪とを含む。トレーラは、トレーラ車枠によって支持され、輸送車両によって輸送される積荷を支持するようになされている積荷ビンと、重心と、安定領域を間に画成する少なくとも2つの作用線とをさらに含む。車両は、前側車両車枠とトレーラ車枠の間に配置され、垂直枢動軸の周りで前側車両車枠とトレーラ車枠の間で枢動運動をもたらすようになされている輸送車両車枠連結器をさらに含む。車両は、輸送車両の状態を検出するようになされている輸送車両状態センサと、輸送車両状態センサと通信する輸送車両制御装置と、トレーラ車枠およびトレーラタンデムに作動可能に連結された輸送車両スタビライザとをさらに含む。輸送車両スタビライザは、輸送車両状態センサによって検知された輸送車両の状態に応答して第2の輸送車両車輪組立体の輸送車両タンデムの枢動運動を制限するようになされている流体シリンダと、加圧下で流体を供給するようになされている流体ポンプと、弁ハウジングおよび流体の流れを制御するために弁ハウジングの内側に配置された弁部材を含む少なくとも1つの流体弁とを含む。スタビライザは、流体シリンダと、流体ポンプと、少なくとも1つの流体弁との間の流体を連通する1つの流体管路をさらに含む。少なくとも1つの流体弁は、安定領域の範囲のサイズを制御するために作用線の少なくとも1つの位置を制御するようになされている。
【0008】
本開示の別の態様によると、積荷を運搬するようになされている輸送車両が提供される。車両は、第1の輸送車両車枠と、第1の輸送車両車枠に回転支持をもたらすために第1の輸送車両車枠に作動可能に連結された第1の輸送車両車輪組立体と、縦方向輸送車両車枠軸を画成する第2の輸送車両車枠と、第2の輸送車両車枠に回転支持をもたらすために第2の輸送車両車枠に作動可能に連結された第2の輸送車両車輪組立体とを含む。第2の輸送車両車輪組立体は、タンデム枢動式連結器で第2の輸送車両車枠に枢動可能に連結された輸送車両タンデムと、第2の輸送車両車輪組立体の輸送車両タンデムの回転支持をもたらすために第2の輸送車両車輪組立体の輸送車両タンデムに回転可能に連結された前側タンデム車輪と、第2の輸送車両車輪組立体の輸送車両タンデムの回転支持をもたらすために第2の輸送車両車輪組立体の輸送車両タンデムに回転可能に連結された後側タンデム車輪とを含む。車両は、第2の輸送車両車枠によって支持され、輸送車両によって輸送される積荷を支持するようになされている積荷ビンと、第1の輸送車両車枠と第2の輸送車両車枠の間にあり、第1の輸送車両車枠と第2の輸送車両車枠の間で垂直枢動軸の周りで枢動運動をもたらすようになされている輸送車両車枠連結器と、輸送車両の状態を検出するようになされている輸送車両状態センサと、輸送車両状態センサと通信する輸送車両制御装置と、第2の輸送車両車枠および第2の輸送車両車輪組立体の輸送車両タンデムに作動可能に連結された輸送車両スタビライザとをさらに含む。輸送車両スタビライザは、輸送車両状態センサによって検知された輸送車両の状態に応答して第2の輸送車両車輪組立体の輸送車両タンデムの枢動運動を制限するようになされている流体シリンダと、加圧下で流体を供給するようになされている流体ポンプと、流体を入れることができるようになされている流体タンクと、流体の流れを制御するようになされている少なくとも1つの流体弁と、少なくとも1つの流体管路とを含む。少なくとも1つの流体管路は、流体シリンダと、流体ポンプと、流体タンクと、少なくとも1つの流体弁との間の流体を連通する。少なくとも1つの流体弁は、流体ポンプと流体シリンダの間の流体の流れおよび流体タンクと流体シリンダの間の流体の供給を制御するようになされている。少なくとも1つの流体弁は、流体ポンプと流体シリンダの間の少なくとも1つの流体管路を通って流れる流体の割合および流体タンクと流体シリンダの間の少なくとも1つの流体管路を通って流れる流体の割合を制御するために輸送車両状態センサによって検知された輸送車両の輸送車両状態に基づいて制御装置から入力を受けるようになされている。
【0009】
本発明の追加的な特徴および利点は、現在考えられるように本発明を実施する最良実施態様を実証する例示の実施形態の以下の詳細説明を考慮した上で当業者に明らかになろう。
【0010】
具体的には、図面の詳細説明は添付図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本開示の安定化システムを組み込む例示の実施形態の連接車両の側面図である。
【図2】整列位置で第1の車枠および第2の車枠を示す図1の連接車両の概略上面図である。
【図3】第1の車枠に対して第1の連接位置で第2の車枠を示す図2と類似の概略上面図である。
【図4】第1の車枠に対して第2の連接位置で第2の車枠を示す図2と類似の概略上面図である。
【図5】図1の安定化システムの例示の実施形態の制御システムのブロック図である。
【図6】例示の実施形態の安定化システムの概略図である。
【図7】図1の車両の例示の実施形態の後輪組立体の概略部分側面図である。
【図8】好ましい弁の配置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
最初に図1および2を参照すると、例示の実施形態の連接車両10は、例示で第1の部分またはキャブ部12および第2の部分またはトレーラ部16を有するシャーシ11を含む。キャブ部12は第1の車枠14を含み、トレーラ部16は第2の車枠18を含む。第1の車枠14は連結器組立体20を介して第2の車枠18に連結される。連結器組立体20は、垂直軸24の周りで第1の車枠14に対する第2の車枠18の連接運動または回転に備える枢動式車枠連結器22を含む。連結器組立体20は、縦方向軸28の周りで第1の車枠14に対する第2の車枠18の枢動運動または揺動に備える揺動式車枠連結器26をさらに含む。
【0013】
第1の車枠14は、例示で運転者のキャブ30、および車両10を推進させるエンジン31を支持する。第1の車輪組立体または前輪組立体32がキャブ部12を支持し、第1の車枠14に作動可能に連結される。第1の車輪組立体32は、1対の車輪34a、34bを含む。
【0014】
積荷を入れるためのビン35が第2の車枠18によって支持される。油圧シリンダ37などアクチュエータは、(図1に破線で示されるように)第2の車枠18に対して角度を形成してビン35を上昇するためにビン35に連結されてよい。左および右の第2の車輪組立体または後輪組立体36a、36bは第2の車枠18によって支持され、例示でそれぞれ前輪40および後輪42を含む。前輪40および後輪42のそれぞれは、タンデムまたはウォーキングビーム44に回転可能に連結される。タンデム44は枢動式タンデム連結器46を介して第2の車枠18に枢動可能に連結される。タンデム44の動作は、連結器46の周りで後輪42に対する前輪40の枢動運動を容易にし、これによって車輪40、42による連続した接地係合を容易にする。図1から4および7に示されるように、連結器46は、間で枢動させるために第2の車枠18からタンデム44に延在する剛体のシャフトから成る。回転以外では、シャフト46は、常に第2の車枠18とともに垂直方向、縦方向および横方向に移動するように第2の車枠18に対して一定の位置を有する。この結果、ビン35が、積荷され、荷降ろしされ、車両がでこぼこのまたは不均一な地形の上を進むと、シャフト46は第2の車枠18とともに移動する。前輪40および後輪42はシャフト46から一定の距離にある。この結果、第2の車枠18に対して前輪40および後輪42の回転軸の垂直位置は、ビン35によって運搬される積荷と無関係である。剛体のシャフト46が第2の車枠18およびタンデム44に直接連結されるので、第2の車枠18とタンデム44の間のバネ定数は、第2の車枠18とタンデム44の間で本体の回転がないように極めて大きい。
【0015】
図2に示されるように、運転の正常または非制限モードの間、作用線50a、50bは、枢動式車枠連結器22と各タンデム連結器46a、46bの間に延在する。第2の車枠18と、ビン35と、中に支持される任意の積荷とを含むトレーラ部16は、重心52を規定する。重心52が縦方向軸28と作用線50a、50bの間に画成された安定領域54a、54bの外側に移動する場合(図2)、トレーラ部16が不安定になり転覆する場合があることがよく知られている。
【0016】
本開示は、縦方向軸28およびトレーラ部16の幾何学的中心からさらに離れて外側に作用線50a、50bを移動するようになされている安定化システム56を含む。
図3に示されるように、例示の安定化システム56は、運転の非制限モードでそれぞれの作用線50a、50bを作用線50a’、50b’の位置から縦方向軸28から外側に離れて移動するために第2の車輪組立体36a、36bと協働する。枢動式車枠連結器22の周りで第1の車枠14と第2の車枠18の間の連接角度αが増加すると、作用線50a、50bは、それぞれの前輪40の中心と交差するまでさらに外側に移動する(図4に示される作用線50a)。
【0017】
安定化システム56は、第2の車枠18に作動可能に連結され、重心52が縦方向軸28から作用線50a、50bを越えて外側に動くことを阻止するようになされている。安定化システム56は、例示で第2の車枠18と各後輪組立体36a、36bのタンデム44の間に連結されたスタビライザ58を含む。図7に示される本開示の例示の実施形態では、スタビライザ58は、可動ピストン64を受け入れるシリンダ本体62を含む油圧シリンダ60などアクチュエータを備える。ロッド66がともに移動するためにピストン64に連結される。ロッド66の自由端68が、タンデム44に連結された取付けブロック70に枢動可能に連結される。シリンダ60の本体62の取付けブラケット72は、第2の車枠18に枢動可能に連結される。例示の実施形態が油圧シリンダ60を用いているが、他の装置が代用されてよいことが理解されよう。具体的には、タンデム44の枢動運動に抵抗をもたらすようになされている空気圧シリンダ、バネ機構および他の電気機械式調節要素などどのような装置が用いられてもよい。
【0018】
スタビライザ58は、車両状態センサからの入力74に応答してタンデム44を「堅くさせ」、またはタンデム44の枢動運動に抵抗するようになされている。具体的には、スタビライザ58は入力74などに応答してタンデム連結器46の周りでタンデム44の枢動運動への抵抗を強めるようになされている。例示では、スタビライザ58は、スタビライザ58の動作を制御する制御装置76と通信している。1つの例示の実施形態では、入力74は、枢動式車枠連結器22に作動可能に連結された連接角度センサ78からのものである。第1の車枠14が枢動式車枠連結器22の周りで第2の車枠18と連接するかまたは枢動すると、角度αは、連接角度センサ78によって測定され、制御装置76に与えられる。測定角度αが増加すると、制御装置により、スタビライザ58がタンデム44の枢動運動を制限する。連接角度センサ78は、従来のポテンショメータまたは他の類似の角度センサを備えることができる。別の例示の実施形態では、連接角度センサ78は、車両操舵システム(図示せず)の中に一体化されてよい。
【0019】
入力74’、74”はまた、単体または連接角度センサ78と相まって他の車両状態センサによって与えられてよい。例えば、速度計82が、制御装置76に連結され、車両10の速度を測定するようになされてよい。測定速度に応答して、制御装置76はスタビライザ58の動作を制御する。具体的には、制御装置76は、測定速度が増加するにつれて、タンデム44の抑動、およびタンデム44の移動への抵抗を強める。別の例示の実施形態では、ビン傾斜角度センサ84が、制御装置に連結され、第2の車枠18に対してビン35の傾斜角度を測定するようになされてよい。測定傾斜角度に応答して、制御装置はスタビライザ58の運転を制御する。具体的には、制御装置76は、測定角度が増加するにつれて、タンデム44の抑動またはタンデム44の移動への抵抗を強める。ユーザインターフェース85がまた、例えば、設定または入力命令を修正するために運転者が制御装置76にアクセスするために備えられてよい。ユーザインターフェース85は、キーパッドまたは制御盤など従来のデザインであってよく、例示でキャブ30の中に配置される。
【0020】
次に図6に戻ると、安定化システム56の1つの例示の実施形態が、制御装置76によって操作される2位置4方向制御弁86を含む。油圧シリンダ60のそれぞれのチャンバ92、94と流体連通している管路88、90は、比例弁86を経由してタンクまたは流体タンク96に選択的に連結可能である。弁86は、タンク96から油圧シリンダ60を漸進的に遮断するために制御装置76によって移動されるようになされている。
【0021】
運転の正常または非制限モードでは、流体が、タンク96と油圧シリンダ60の間を流れることが可能にされる。センサ78によって制御装置76に与えられる入力74が連接角度αの増加を示すと、弁86は、閉まり始め、タンデム44の追加の枢動運動への抵抗を強める。この部分的に閉じた状態では、シリンダ60は抑動器として作用する。測定連接角度αが所定の値に達すると、弁86は閉まり、これによって油圧シリンダ60を遮断する。したがって、油圧シリンダ60はタンデム44のさらなる枢動運動に対抗する。
【0022】
シリンダ60により、タンデムの移動への抵抗が強まると、作用線50は、枢動式タンデム連結器46から離れ前輪40の中心に向かう方向に移動する。言い換えれば、安定領域54は、作用線50が第2の車枠18の幾何学的中心および縦方向軸28から離れて外側に移動するにつれて増加する。シリンダ60が完全に遮断されると、作用線50は、枢動式車枠連結器22から前輪40の中心に延在する。理解することができるように、前輪40に向かって作用線50を移動させることによって、作用線50が重心52から遠くに配置されるので、トレーラ部16の安定性は強められる。
【0023】
安定化システム56の別の例示の実施形態では、電気油圧式減圧弁が、後輪42から前輪40への積荷分布を修正するために用いられてよく、これによって、第2の車枠18が第1の車枠14に対して連接されながらよい積荷の支持をもたらす。
【0024】
安定化システム56の別の例示の態様では、揺動式車枠連結器26が、枢動式車枠連結器22の周りでの連接に応答して第2の車枠18から第1の車枠14に通るトルクの伝達を容易にするために例示では抑動によって制御されてよい。言い換えれば、連結器26により、トルクの伝達がキャブ部12の転覆に抵抗しながらトレーラ部16の転覆も阻止することを可能にする。トルクは、第2の車枠18と第1の車枠14の間の揺動に備える揺動シャフト(図示せず)の上のクラッチ(図示せず)を用いて伝達されてよい。伝達されるトルク量は、第1の車枠14と第2の車枠18の間の連接またはADT10の速度など任意の他の車両状態の関数として変化に富んでよい。例示では、伝達されるトルク量は、ビンを傾けて空ける場合にトレーラ部16とともにキャブ部12が倒れることを避けるために制限される。
【0025】
図4に示されるように、連結器26を通るトルクの伝達を増加することによって、作用線50a”は、縦方向軸28から離れて外側に移動される。具体的には、作用線50a”は、枢動軸24と交差する位置から外側に移動される。図4に示されるように例示の実施形態では、安定化システム56を完全に実行すると、作用線50a”は、キャブ部12の車輪34aと交差する。タンデム44の抑動および揺動式車枠連結器26の抑動の組合せによって、作用線50aが車輪40aおよび車輪34aの両方にそれぞれ近位の交点に移動され得ることを理解されたい。
【0026】
次に図8を参照すると、安定化システム56の1つの例示の実施形態が比例減圧弁98を含み、この比例減圧弁98は制御装置76によって操作される。油圧シリンダ60のチャンバ94と流体連通する管路90は、ポンプ106と流体タンク96の間で比例弁98を経由して選択的に連結可能である。弁98は、油圧シリンダ60のチャンバ94への流体圧力を漸進的に増加させまたは減少させるために制御装置76によって移動されるようになされている。
【0027】
運転の正常または非制限モードでは、油圧シリンダ60がタンデム44の枢動への抵抗をほとんどもたらさないかまたはもたらさないように、弁98により、流体がタンク96と油圧シリンダ60の間を流れることを可能にする。センサ78によって制御装置76に与えられる入力74が連接角度αの増加(あるいは他の不安定入力または不安定入力の組合せ)を示すと、弁98は、移動し始め、前側タイヤ40に力を加えるためにポンプ106からチャンバ94に圧力を印加する。測定連接角度α(あるいは他の不安定入力または不安定入力の組合せ)が所定の値に達すると、弁98は、前側タイヤ40に所定の最大力を加えるためにポンプ106に完全に開く。
【0028】
シリンダ60により、力が前側タイヤ40に加えられるにつれて、前側タイヤ40は積荷の百分率の増加を支持し、作用線50は、枢動式タンデム連結器46から離れて前輪40の中心に向かう方向で移動する。言い換えれば、安定領域54は、作用線50が第2の車枠18の幾何学中心および縦方向軸28から離れて外側に移動するにつれて、増加する。弁98が完全に開き、全ての力がシリンダ60によって加えられると、作用線50は、枢動式車枠連結器22から前輪40の中心に延在する。理解することができるように、前輪40に向かって作用線50を移動させることによって、トレーラ部16の安定性は、作用線50が重心52から遠くに配置されるので増加される。不安定入力が減少するにつれて、制御装置76は、タンデム44が連結器46の周りでより自由に枢動することを可能にするためにシリンダ60によって加えられる力を減少させる。
【0029】
本発明を特定の好ましい実施形態を参照して詳細に説明したが、変形形態および修正形態は、添付の特許の請求範囲で説明され定義される本発明の精神および範囲の中に存在する。
【符号の説明】
【0030】
10 連接車両、ADT
11 シャーシ
12 キャブ部
14 第1の車枠
16 トレーラ部
18 第2の車枠
20 連結器組立体
22 枢動式車枠連結器
24 軸
26 揺動式車枠連結器
28 縦方向軸
30 キャブ
31 エンジン
32 第1の車輪組立体、前輪組立体
34a 車輪
34b 車輪
35 ビン
36a 左の第2の車輪組立体、後輪組立体
36b 右の第2の車輪組立体、後輪組立体
37 油圧シリンダ
40 前輪、前側タイヤ
40a 車輪
42 後輪
44 タンデム、ウォーキングビーム
46 枢動式タンデム連結器、シャフト
46a タンデム連結器
46b タンデム連結器
50a 作用線
50a’ 作用線
50a” 作用線
50b 作用線
50b’ 作用線
52 重心
54 安定領域
56 安定化システム
58 スタビライザ
60 油圧シリンダ
62 シリンダ本体
64 可動ピストン
66 ロッド
68 自由端
70 取付けブロック
72 取付けブラケット
74 入力
74’ 入力
74” 入力
76 制御装置
78 連接角度センサ
82 速度計
84 ビン傾斜角度センサ
85 ユーザインターフェース
86 2位置4方向制御弁、比例弁、弁
88 管路
90 管路
92 チャンバ
94 チャンバ
96 流体タンク
98 比例減圧弁
106 ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
積荷を輸送するようになされている輸送車両であって、
前側車両車枠と、
前記前側車両車枠に作動可能に連結され、前記前側車両車枠に回転支持をもたらす前側車両車輪組立体と、
トレーラであって、
トレーラ車枠、
前記トレーラ車枠に作動可能に連結され、前記トレーラ車枠に回転支持をもたらすトレーラ車輪組立体であって、
タンデム枢動式連結器で前記トレーラに枢動可能に連結されたトレーラタンデム、
前記トレーラ車輪組立体の前記トレーラタンデムの回転支持をもたらすために前記トレーラ車輪組立体の前記トレーラタンデムに回転可能に連結された前側トレーラタンデム車輪、および
前記トレーラ車輪組立体の前記トレーラタンデムの回転支持をもたらすために前記トレーラ車輪組立体の前記トレーラタンデムに回転可能に連結された後側トレーラタンデム車輪
を含むトレーラ車輪組立体、
前記トレーラ車枠によって支持され、前記輸送車両によって輸送される積荷を支持するようになされている積荷ビン、
重心、ならびに
安定領域を間に画成する少なくとも2つの作用線
を含むトレーラと、
前記前側車両車枠と前記トレーラ車枠の間にあり、垂直枢動軸の周りで前記前側車両車枠と前記トレーラ車枠の間で枢動運動をもたらすようになされている輸送車両車枠連結器と、
前記輸送車両の状態を検出するようになされている輸送車両状態センサと、
前記輸送車両状態センサと通信する輸送車両制御装置と、
前記トレーラ車枠および前記トレーラタンデムに作動可能に連結された輸送車両スタビライザであって、
前記輸送車両状態センサによって検知された前記輸送車両の前記状態に応答して前記第2の輸送車両車輪組立体の前記輸送車両タンデムの枢動運動を制限するようになされている流体シリンダ、
加圧下で流体を供給するようになされている流体ポンプ、
弁ハウジングおよび流体の流れを制御するために前記弁ハウジングの内側に配置された弁部材を含む少なくとも1つの流体弁、ならびに
前記流体シリンダと、前記流体ポンプと、前記安定領域の範囲のサイズを制御するために前記作用線の少なくとも1つの位置を制御するようになされている前記少なくとも1つの流体弁との間の流体を連通する少なくとも1つの流体管路
を含む輸送車両スタビライザと
を含む輸送車両。
【請求項2】
前記作用線の少なくとも1つは、前記弁が第1の位置にあると、前記タンデム枢動式連結器を通って延在し、前記作用線の少なくとも1つは、前記弁が第2の位置にあると、前記タンデム枢動式連結器から外側に配置される、請求項1に記載の輸送車両。
【請求項3】
前記輸送車両スタビライザはタンクをさらに含み、前記少なくとも1つの流体管路は、前記少なくとも1つの流体弁と前記タンクの間で流体を連通し、前記制御装置は、前記流体ポンプと前記流体シリンダの間の流体連通の割合および前記流体タンクと前記流体シリンダの間の流体連通の割合を制御するために前記少なくとも1つの弁に命令を与え、前記流体ポンプと前記流体シリンダの間の流体連通の前記割合を増加させると、前記安定領域の範囲を増加する、請求項1に記載の輸送車両。
【請求項4】
前記タンデム枢動式連結器はシャフト枢動軸を画成するシャフトを含み、前記前側トレーラ車輪は前輪枢動軸の周りで回転し、前記シャフト枢動軸と前記前輪枢動軸の間の距離が固定されている、請求項1に記載の輸送車両。
【請求項5】
前記シャフトは前記トレーラ車枠から前記トレーラタンデムに延在し、前記シャフト枢動軸は水平方向および横方向に延在し、前記トレーラタンデムは前記シャフト枢動軸の周りで回転する、請求項4に記載の輸送車両。
【請求項6】
前記重心と前記トレーラタンデムの間の垂直距離は、前記輸送車両状態センサによって検知される前記輸送車両の前記状態と無関係である、請求項1に記載の輸送車両。
【請求項7】
積荷を輸送するようになされている輸送車両であって、
第1の輸送車両車枠と、
前記第1の輸送車両車枠に作動可能に連結され、前記第1の輸送車両車枠に回転支持をもたらす第1の輸送車両車輪組立体と、
縦方向輸送車両車枠軸を画成する第2の輸送車両車枠と、
前記第2の輸送車両車枠に作動可能に連結され、前記第2の輸送車両車枠に回転支持をもたらす第2の輸送車両車輪組立体であって、
タンデム枢動式連結器で前記第2の輸送車両車枠に枢動可能に連結された輸送車両タンデム、
前記第2の輸送車両車輪組立体の前記輸送車両タンデムの回転支持をもたらすために前記第2の輸送車両車輪組立体の前記輸送車両タンデムに回転可能に連結された前側タンデム車輪、および
前記第2の輸送車両車輪組立体の前記輸送車両タンデムの回転支持をもたらすために前記第2の輸送車両車輪組立体の前記輸送車両タンデムに回転可能に連結された後側タンデム車輪
を含む第2の輸送車両車輪組立体と、
前記第2の輸送車両車枠によって支持され、前記輸送車両によって輸送される積荷を支持するようになされている積荷ビンと、
前記第1の輸送車両車枠と前記第2の輸送車両車枠の間にあり、前記第1の輸送車両車枠と前記第2の輸送車両車枠の間で垂直枢動軸の周りで枢動運動をもたらすようになされている輸送車両車枠連結器と、
前記輸送車両の状態を検出するようになされている輸送車両状態センサと、
前記輸送車両状態センサと通信する輸送車両制御装置と、
前記第2の輸送車両車枠および前記第2の輸送車両車輪組立体の前記輸送車両タンデムに作動可能に連結された輸送車両スタビライザであって、
前記輸送車両状態センサによって検知された前記輸送車両の前記状態に応答して前記第2の輸送車両車輪組立体の前記輸送車両タンデムの枢動運動を制限するようになされている流体シリンダ、
加圧下で流体を供給するようになされている流体ポンプ、
前記流体を入れることができるようになされている流体タンク、
前記流体の流れを制御するようになされている少なくとも1つの流体弁、ならびに
前記流体シリンダと、前記流体ポンプと、前記流体タンクと、前記少なくとも1つの流体弁との間で流体を連通する少なくとも1つの流体管路を含み、前記少なくとも1つの流体弁は、前記流体ポンプと前記流体シリンダの間の前記流体の流れおよび前記流体タンクと前記流体シリンダの間の流体の供給を制御するようになされ、前記少なくとも1つの流体弁は、前記流体ポンプと前記流体シリンダの間の前記少なくとも1つの流体管路を通って流れる前記流体の割合および前記流体タンクと前記流体シリンダの間の前記少なくとも1つの流体管路を通って流れる前記流体の割合を制御するために前記輸送車両状態センサによって検知された前記輸送車両の前記輸送車両状態に基づいて前記制御装置から入力を受けるようになされている輸送車両スタビライザと
を含む輸送車両。
【請求項8】
前記制御装置は、前記ポンプと前記シリンダの間の流体連通の前記割合を増加させ、前記車両状態センサが前記車両の安定性の低下を検出すると、前記ポンプと前記シリンダの間の流体連通の前記割合を減少させる、請求項7に記載の輸送車両。
【請求項9】
前記車両が減少させる作用線をさらに含み、前記作用線は前記弁の移動に応答して前記第2の車枠に対して移動する、請求項7に記載の輸送車両。
【請求項10】
前記タンデム枢動式連結器はシャフト枢動軸を画成するシャフトを含み、前記前側タンデム車輪は前側タンデム車輪枢動軸の周りで回転し、前記シャフト枢動軸と前記前側タンデム車輪枢動軸の間の距離が固定されている、請求項9に記載の輸送車両。
【請求項11】
前記シャフトは前記第2の輸送車両車枠から前記輸送車両タンデムに延在し、前記シャフト枢動軸は水平方向および横方向に延在し、前記輸送車両タンデムは前記シャフト枢動軸の周りで回転する、請求項10に記載の輸送車両。
【請求項12】
前記第2の輸送車両車枠と前記輸送車両タンデムの間の垂直距離は、前記積荷ビンによって運搬される前記積荷と無関係である、請求項9に記載の輸送車両。
【請求項13】
前記第2の輸送車両車枠と前記輸送車両タンデムの間の前記垂直距離は、前記車両状態センサによって検出される前記状態と無関係である、請求項9に記載の輸送車両。
【請求項14】
第1の車枠と、
前記第1の車枠に作動可能に連結された第1の車輪組立体と、
縦方向軸を画成する第2の車枠と、
前記第2の車枠に作動可能に連結され、枢動式連結器で前記第2の車枠に枢動可能に連結されたタンデム、前記タンデムに作動可能に連結された前輪、および前記タンデムに作動可能に連結された後輪を含む第2の車輪組立体と、
前記第2の車枠によって支持され、積荷を支持するようになされているビンと、
前記第1の車枠と前記第2の車枠の間にあり、前記第1の車枠と前記第2の車枠の間で垂直軸の周りで枢動運動をもたらすようになされている車枠連結器と、
前記車両の状態を検出するようになされている車両状態センサと、
前記車両状態センサと通信する制御装置と、
前記第2の車枠および前記タンデムに作動可能に連結され、前記車両状態センサによって検知された前記状態に応答して前記タンデムの枢動運動を制限するようになされているシリンダを含み、前記シリンダへの加圧流体の供給を制御する弁をさらに含むスタビライザと
を含む車両。
【請求項15】
前記スタビライザは、前記弁と流体連通する流体タンクと、加圧流体の供給をもたらし、前記弁と流体連通しているポンプとをさらに含み、前記制御装置は、前記流体タンクと前記シリンダの間の流体連通および前記ポンプと前記シリンダの間の流体連通の割合を調節するために前記弁を制御する、請求項14に記載の車両。
【請求項16】
前記制御装置は、前記ポンプと前記シリンダの間の流体連通の前記割合を増加させ、前記車両状態センサが前記車両の安定性の低下を検出すると、前記ポンプと前記シリンダの間の流体連通の前記割合を減少させる、請求項15に記載の車両。
【請求項17】
前記車両が減少させる作用線をさらに含み、前記作用線は、前記弁の移動に応答して前記第2の車枠に対して移動する、請求項14に記載の車両。
【請求項18】
前記枢動式連結器はシャフト枢動軸を画成するシャフトを含み、前記前側トレーラ車輪は前輪枢動軸の周りで回転し、前記シャフト枢動軸と前記前輪枢動軸の間の距離が固定されている、請求項14に記載の車両。
【請求項19】
前記シャフトは前記トレーラ車枠から前記トレーラタンデムに延在し、前記シャフト枢動軸は水平方向および横方向に延在し、前記タンデムは前記シャフト枢動軸の周りを回転する、請求項18に記載の車両。
【請求項20】
前記タンデムは、前記タンデムを通して延在する枢動軸の周りを枢動する、請求項14に記載の車両。
【請求項21】
前記タンデムは枢動軸の周りを枢動し、前記前輪および前記後輪は常に前記枢動軸に対して垂直両方向に移動する、請求項14に記載の車両。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2009−184663(P2009−184663A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−19437(P2009−19437)
【出願日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【出願人】(591005165)ディーア・アンド・カンパニー (109)
【氏名又は名称原語表記】DEERE AND COMPANY
【Fターム(参考)】