説明

連携処理装置

【課題】画像形成装置と外部装置とでの連携処理時に異常などを契機とする処理中断が発生した際にも、適正な課金処理を行なうことができるようにする。
【解決手段】処理中断検知部150は、複数装置間で連携処理を行なっている際に生じ得る、自装置もしくは連携する他装置に生じる異常やユーザ指示を契機とした処理中断を検知する。連携処理調整制御部170は、処理中断が発生したことを処理中断検知部150が検知したときに、自装置もしくは連携する他装置に残った連携処理ジョブに関するデータの全部もしくは一部をデータ保持部140から廃棄する、あるいはデータを処理中断前の状態に戻すように制御する。課金制御部180は、課金処理に関わるデータ(連携処理調整制御部170により調整されたものを含む)に基づいて連携処理に対する対価計算や精算処理などの課金処理に関わる処理を行なう、あるいは他の装置に対して課金処理指示を発する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本発明は、たとえばプリンタ装置、ファクシミリ装置、あるいはそれらの機能を有する複合機などの画像形成装置と、画像形成装置では対処不能な所定の処理を行なう外部装置とが連携することで、一方の装置のみでは実現できない所定の処理を実現する仕組みに関する。より詳細には、連携処理時に何れかの装置で処理中断(たとえば異常発生やユーザ指示による)が発生した場合における、連携処理に対する対価計算や精算処理などの課金処理の対処の仕組みに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の装置(デバイス)が連携して所定の処理を行なうことで、一方の装置のみでは提供できない様々な処理を行なうようにした外部連携システムがある。
【0003】
たとえば、特許文献1には、画像形成装置とネットワーク課金サーバ装置とをネットワーク接続してなるネットワーク課金管理システムが提案されている。
【0004】
【特許文献1】特開2002−261997号公報
【0005】
この特許文献1に記載の仕組みでは、ネットワーク課金サーバ装置との間に生じた異常を検知した場合には、たとえば、ジョブを中断する、あるいは、実行途中のジョブに関する課金情報を課金情報記憶手段に記憶しておき、さらに異常が解除された場合には、記憶しておいた課金情報をネットワーク課金サーバ装置に送信することで、画像形成装置のジョブ実行中に課金管理サーバ装置やネットワーク系に異常が発生した場合でも、課金管理における集計が正しく行われるようにしている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の仕組みでは、ネットワーク課金サーバ装置との間に生じた異常を検知することでジョブを中断するなどするので、ネットワーク課金サーバ装置との間に生じた異常時に対しては対処し得るものの、画像形成装置とネットワーク課金サーバ装置と画像形成装置では対処不能な所定の処理を行なう他の連携処理装置(ネットワーク課金サーバ装置を除く)とを備えてなる外部連携システムにおいては、他の連携処理装置との間に生じた異常時に対しては対処することができない。加えて、処理が中断したときに、既に行なってしまった処理の課金処理をどうするかなど、処理途中での課金制御を如何様に行なうのかについては何らの開示がない。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、何れかの装置での異常などを契機とした処理中断が連携処理時に発生した場合にも、課金処理を不都合なく行なうことのできる仕組みを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る第1の連携処理装置は、相互連携処理途中で中断が発生したときには、課金処理に関わる情報を処理前の状態に戻すように制御する制御部を備えるものとした。
【0009】
本発明に係る第2の連携処理装置は、相互連携処理途中で中断が発生したときには、それまでに要した処理についての課金処理に関わる情報をユーザに提示するように制御する制御部を備えるものとした。
【0010】
本発明に係る第3の連携処理装置は、相互連携処理が正常終了した際に、相互連携処理に関わる課金処理がなされるように制御する制御部を備えるものとした。
【0011】
本発明に係る第4の連携処理装置は、相互連携処理における課金処理以外の最後の処理が終わった時点で、相互連携処理に関わる課金処理がなされるように制御する制御部を備えるものとした。
【0012】
本発明に係る第5の連携処理装置は、相互連携処理が正常終了した際に、または、相互連携処理における課金処理以外の最後の処理が終わった時点で、それまでに要した処理についての課金処理に関わる情報をユーザに提示するように制御する制御部を備えるものとした。提示後に処理中断指示を受け付けた際には、それまで処理した内容を中止させるし、処理中断指示を受け付けた際には、相互連携処理の全てについてではなく、それまでに処理した分の課金処理がなされるように制御するのがよい。なお、「それまで処理した内容を中止させる」とは、処理結果の提示を止めることや、中間先生ファイルを破棄することを含む。
【0013】
本発明に係る第6の連携処理装置は、相互連携処理の開始に先立って、相互連携処理についての課金処理に関わる情報をユーザに提示するように制御する制御部を備えるものとした。
【0014】
なお、本発明に係る各連携処理装置における課金処理に関わる制御を行なう制御部は、電子計算機(コンピュータ)を用いてソフトウェアで実現することもでき、本発明に係る各連携処理装置を、電子計算機を用いてソフトウェアで実現するために好適なプログラムあるいはこのプログラムを格納したコンピュータ読取可能な記憶媒体を発明として抽出することもできる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る各連携処理装置によれば、「画像形成装置と画像形成装置では対処不能な所定の処理を行なう他の連携処理装置(課金装置を除く)と課金装置とを備えてなる外部連携システム」を対象として、課金処理に関わる各種の制御処理を行なうようにしたので、他の連携処理装置との間での相互連携処理に対する課金処理に柔軟に対処することができる。たとえば、他の連携処理装置との間に生じる異常時などを契機とした中断に対しても不都合なく対処することができる。
【0016】
また、本発明に係る第1の連携処理装置によれば、相互連携処理途中で中断が発生すると、課金処理に関わる情報を処理前の状態に戻すようにしたので、連携システムで課金した後に処理中断が発生した場合でもミス課金されないようにすることができる。
【0017】
また、本発明に係る第2の連携処理装置によれば、相互連携処理途中で中断が発生すると、それまでに要した処理についての課金処理に関わる情報をユーザに提示するようにしたので、連携システムの一連の課金された情報をユーザが確認して納得してもらってから課金するようにすることができる。
【0018】
また、本発明に係る第3および第4の連携処理装置によれば、相互連携処理が正常終了した際に、あるいは相互連携処理における課金処理以外の最後の処理が終わった時点で、相互連携処理に関わる課金処理がなされるようにしたので、連携システムに中断が発生すると課金がなされないようにすることができる。
【0019】
また、本発明に係る第5の連携処理装置によれば、相互連携処理が正常終了した際に、または、相互連携処理における課金処理以外の最後の処理が終わった時点で、それまでに要した処理についての課金処理に関わる情報をユーザに提示するようにしたので、連携システムの一連の課金された情報をユーザが確認して納得してもらってから課金されるようにすることができる。たとえば、一部処理済みではあるが今後の処理で課金金額を見て問題がある場合はこれから要する課金金額が請求されないようにすることができる。
【0020】
また、本発明に係る第6の連携処理装置によれば、相互連携処理の開始に先立って相互連携処理についての課金処理に関わる情報をユーザに提示するようにしたので、処理中断があるか否かに関わらず、事前にユーザが確認して納得してもらってから処理を実行し課金を行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0022】
<システム構成>
図1は、本発明に係る連携処理装置の一例である画像形成装置と外部装置とがネットワーク接続されてなる外部連携システムの構成例を示す図である。
【0023】
外部連携システム1は、画像を読み取ったり、読み取った画像に基づいて印刷処理を行なったり、クライアント端末から受け取った印刷データに基づいて印刷処理を行なったりする画像形成装置5と、この画像形成装置5では対処し得ない所定のデータ処理を行なう外部装置7とが、ネットワーク9により接続されて構成されている。なお、外部装置7としては、本例では外部装置7_1,7_2、7_3の3種類のものが用意されている。
【0024】
画像形成装置5は、本体に設けられているユーザインタフェース機器からのユーザ操作により、所定の連携処理ジョブを起動可能になっている。
【0025】
このような構成の外部連携システム1では、互いに連携して所定の処理を行なうことで、一方の装置のみでは提供できない様々な処理を行なうことができる。
【0026】
画像形成装置5には、画像入力端末3が接続され、処理対象のデータが入力されるようになっている。たとえば、画像入力端末3は、デジタルドキュメント(以下単にドキュメントという)DOCを作成し、また編集などの処理をする、たとえばパソコン(パーソナルコンピュータ)3a、カラースキャナ3b、デジタルカメラ3c、またはハードディスク装置や光磁気ディスク装置あるいは光ディスク装置などのデータ格納装置3d、さらにはFAX装置3eなど、任意数の画像入力ソースを含み得る。また、インターネット上のWebサーバ3fも、画像形成装置5に対してホームページなどのデジタルドキュメントを入力する画像入力ソースとなり得る。
【0027】
画像入力端末3のそれぞれには、ドキュメントDOC作成用のアプリケーションプログラムなどが組み込まれる。たとえば、画像入力端末3側にて用意されるドキュメントDOCを表す電子データは、画像形成装置5で処理可能な画像フォーマット(たとえば、JPEG、BMP、PNGなど)で記述される。
【0028】
またたとえば、パソコン3aで作成された文書ファイルは、たとえばプリンタなどで印刷出力するために、図形、文字などの拡大、回転、変形などが自由に制御できるページ記述言語(PDL:Page Description Language )で記載されたデータとして画像形成装置5に送られる。このPDLデータを受け取った画像形成装置5は、印刷前に出力単位ごと(1ページごと)に画像データをレンダリング(描画展開)してから画像出力部(プリンタエンジン部)にラスタデータを出力する。
【0029】
画像形成装置5は、たとえば複写機能、ページプリンタ機能、およびファクシミリ送受信機能を備えたいわゆる複合機(マルチファンクション機)で、デジタルプリント装置として構成されている。
【0030】
この画像形成装置5は、大まかに、原稿を読み取る画像読取部10、入力された画像データに対して所望の画像処理を施す画像処理機能と端末全体の動作を制御する制御機能とを備えたコントローラ部20、およびコントローラ部20からの画像データに基づいて所定の出力媒体に可視画像を形成して出力する画像出力部30、および内蔵の給紙トレイ82(図では82a,82b,83cの3段構成)あるいは手差しトレイ83の内の何れかから出力媒体としての印刷用紙を画像出力部30に搬送する給紙部80を備える。
【0031】
コントローラ部20は、画像読取部10と画像出力部30と接続された処理基板39上に設けられている。なお、各給紙トレイ82は、通常の使用に際して(たとえば、メンテナンス時を除いて)、装置本体に対して着脱不可能な構成のものであってもよいし、着脱可能なものであってもよい。
【0032】
また画像形成装置5は、課金装置70と接続されている。課金装置70は、硬貨や紙幣の入金を受けて、複写や印刷などの画像形成装置5単独の処理に対する対価計算や精算処理などの課金処理を現金決済で行なうだけでなく、当該外部連携システム1を利用した連携処理に対する対価計算や精算処理などの課金処理を現金決済で行なうこともできるようになっている。
【0033】
また画像形成装置5は、接続ケーブルやネットワークを介して画像入力端末3や外部装置7に接続可能になっている。たとえば、CSMA/CD(Carrier Sense Multiple Access with Collision Detection)型LAN(Local Area Network;たとえばIEEE802.3)やギガビット(Giga Bit)ベースのLAN(以下纏めて有線LANという)によりパソコンなどの画像入力端末3に接続される。なお、有線LANは、無線LANにすることもできる。
【0034】
あるいは一般加入電話網(PSTN:Public Switched Telephone Network )を介してFAX装置などの画像入力端末3に接続される。なお、一般加入電話網(PSTN)9に代えて、ISDN(Integrated Switched Digital Network )またはインターネットを含む他の通信媒体を利用してファクシミリをやり取りするようにしてもよい。
【0035】
また、画像形成装置5は、たとえばIEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc. ;米国電気電子学会)1394規格のデバイス3gやUSB(Universal Serial Bus)2.0規格のデバイス3hなどとも接続可能となっており、これらのデバイス3g,3hからデジタル画像データを受け付けることもできる。あるいは、これらデバイス3g,3hを介してリモートで画像形成装置5を制御することもできるようになっている。
【0036】
このような構成により、画像形成装置5は、前述のように、画像読取部10にて読み取った画像の印刷機能すなわち複写機能に限らず、接続ケーブル90を介してパソコンなどの画像入力端末3から取得した文書データや画像ファイルなどに基づいて画像を印刷するいわゆるプリント機能や、電話回線やその他の通信インタフェースを介して取得したFAXデータやその他の画像データに基づいて印刷出力する機能も備えるようになる。
【0037】
画像読取装置10は、プラテンカバーの機能も備え、原稿を図示しない読取台(プラテンガラス)上の読取位置まで搬送し排紙するドキュメントフィーダ(ADF(自動原稿搬送)装置)12と、装置使用のためのガイダンス情報や所定の情報処理結果や管理情報などを表示する操作パネル部15aやオペレータからの装置に対する種々の指示入力を受け付けるための操作キー部15bを有するユーザインタフェース部15とを有している。なお、操作パネル部15aや操作キー部15bに代えて、あるいはこれらとともに使用される大型ユーザインタフェースあるいはメンテナンス画面を備えたユーザインタフェース装置16を設けてもよい。また、操作パネル部15aの下部であって装置の前面側には、ユーザ認証を行なうためのIDカード挿入口17が設けられている。
【0038】
画像読取部10は、画像入力端末の機能を備えており、たとえばCCD固体撮像素子の全幅アレイを使用して、読取位置へ送られた原稿に光を照射することで、原稿上の画像を読み取り、この読み取った画像を表す赤、緑、青のアナログビデオ信号をデジタル信号へ変換し、コントローラ部20の画像処理機能部へ送る。
【0039】
このようにして、読取りが完了すると、コントローラ部20の画像処理機能部は、画像読取部10からの赤、緑、青の画像データR,G,Bに基づいて、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)のオンオフ2値化トナー信号を得、各トナー信号を画像出力部30に出力する。
【0040】
画像出力部30は、画像形成ユニット32と、両面複写ユニット34と、通常の搬送用紙(記録済用紙)が排出される複数の排紙トレイ36を具備した排紙ユニット36と、1枚もしくは複数枚(図は複数枚で例示)の処理基板39とを含む。
【0041】
画像形成ユニット32は、画像読取装置10にて得られた画像信号により表される画像を、電子写真式、感熱式、熱転写式、インクジェット式、あるいは同様な従来の画像形成処理を利用して、普通紙や感熱紙上に可視画像を形成する(印刷する)すなわち複写する。このため、画像形成ユニット32は、たとえば画像形成装置5をデジタル印刷システムとして稼働させるためのラスタ出力スキャン(ROS)ベースのプリントエンジンを備える。
【0042】
処理基板39には、画像出力部30用の処理部(特に画像処理部や制御部)だけでなく、コントローラ部20の画像処理機能部や画像形成装置5全体の種々の処理をするための回路が搭載される。たとえば、画像形成装置5内に構築された資源であるドキュメントフィーダ12、操作パネル部15a、画像読取部10の図示しない画像読取ユニット(スキャナ部)、画像形成ユニット32、両面複写ユニット34、排紙ユニット36、あるいは給紙トレイ82などを制御する回路が搭載される。この処理基板39には、半導体製の記憶媒体が搭載され、たとえば、複写アプリケーション、プリンタアプリケーション、ファクシミリ(FAX)アプリケーション、あるいは他のアプリケーション用の処理プログラムが格納される。
【0043】
たとえば、画像読取装置10は、画像入力端末の機能を備えており、たとえばCCD固体撮像素子の全幅アレイを使用して、読取位置へ送られた原稿に光を照射することで、原稿上の画像を読み取り、この読み取った画像を表すアナログビデオ信号をデジタル信号へ変換し、コントローラ部20の画像処理機能部へ送る。
【0044】
この画像読取装置10の読み取りに同期して、用紙が複数(A4,B4,A3)の給紙トレイ82の内の何れかから画像出力部30へ給紙されると、画像出力部30の画像形成ユニット32は、その用紙の一方の面に、コントローラ部20の画像処理機能部から送られたK,Y,M,Cのトナー信号に基づいて可視画像を形成する。
【0045】
両面複写ユニット34は、一方の面に画像が形成された用紙を裏返し、再び画像形成ユニット32にその用紙を給紙する。これにより、画像読取装置10が読み取った画像が用紙の他方の面に形成され、両面複写が完了される。
【0046】
画像形成ユニット32から排出される用紙あるいは両面複写済み用紙は、排紙ユニット36により、ページ順に連続的にあるいは1ページごとにソートされる。
【0047】
外部装置7は、画像形成装置5では対処し得ない所定のデータ処理を行なうサーバ機能を有するものである。一例として、第1の外部装置7として画像形成装置5から送られた画像データに基づいて文字認識(OCR)処理を行なう第1APS7_1を、また第2の外部装置7として画像形成装置5から送られた文書データや第1APS7_1で文字認識された文書データに基づいて翻訳処理を行なう第2APS7_2を、また第3の外部装置7として当該外部連携システム1を利用した連携処理に対する対価計算や精算処理などの課金処理を行なう課金サーバ7_3が設けられている。
【0048】
画像形成装置5は、IDカード挿入口17にIDカードが挿入されるか、あるいは操作キー部15bにてユーザIDが入力されると、それらのユーザ照合情報を、個人情報が予め登録してある画像形成装置6とネットワークで接続された図示しないデータベースサーバまたは画像形成装置6に設けた個人情報が予め登録してあるデータベースと照合して、正規のユーザであるか否かを照合する。適正な認証が得られると、外部連携システム1を利用した連携処理に対する対価計算や精算処理などの課金処理を、課金装置70による現金決済だけでなく、課金サーバ7_3にユーザ情報を通知することで、課金サーバ7_3では、事前に登録済の情報を使って口座決済やクレジット決済にてもできるようになる。また、課金サーバ7_3では、ユーザ照合がない場合でも、画像形成装置5にて入力された口座番号やクレジット番号に基づいて口座決済やクレジット決済にても課金処理をできる。
【0049】
これにより、たとえば、画像形成装置5の画像読取部10で読み取った画像やWebサーバ3fからダウンロードした画像などを第1APS7_1に送り文字認識処理を行なってから、その文書データを第2APS7_2に送り翻訳処理を行なって、処理後の文書データを画像形成装置5に送り、この連携処理に対する課金処理を課金サーバ7_3もしくは課金装置70にて行なうといった、画像形成装置5単独では実現し得ない連携サービスをユーザに提供できるようになる。
【0050】
<各種装置の基本構成例>
図2は、外部連携処理に対する対価計算や精算処理などの課金処理を行なうための機能部分に注目した、画像形成装置5および外部装置7(纏めて連携処理装置ともいう)の機能ブロック図である。
【0051】
画像形成装置5や外部装置7などの連携処理装置は、当該連携処理装置の操作指示を受け付ける指示受付部110と、操作メニューを表示したり装置の動作状態や各種の情報を表示したりする表示部120と、ネットワークとのインタフェース機能をなす通信インタフェース部130と、連携処理ジョブに関するデータを保持するハードディスク装置や半導体製の記憶装置などでなるデータ保持部140とを備えている。
【0052】
また、各連携処理装置は、本実施形態特有の構成として、自装置やネットワーク接続された他の装置の異常発生やユーザ指示などを契機とした処理中断を検知する処理中断検知部150と、相互連携処理途中での処理中断が発生したことを処理中断検知部150が検知したときに自装置もしくは連携する他の装置のデータ保持部140に保持されている課金処理に関わるデータなど連携処理ジョブに関するデータを調整する連携処理調整制御部170と、課金処理に関わるデータ(連携処理調整制御部170により調整されたものを含む)に基づいて連携処理に対する対価計算や精算処理などの課金処理に関わる処理を行なうあるいは他の装置に対して課金処理指示を発する課金制御部180とを備えている。「連携処理ジョブに関するデータを調整する」とは、データの全部もしくは一部を削除(廃棄)することや、データを処理中断前の状態に戻すことを意味する。
【0053】
これら処理中断検知部150、連携処理調整制御部170、および課金制御部180でなる相互連携処理の調整や課金処理に関わる制御を行なう制御部を備えることで、画像形成装置5と画像形成装置5では対処不能な所定のデータ処理を行なう他の連携処理装置(本例では課金サーバ7_3を除く第1APS7_1および第2APS7_2)と課金装置(本例では画像形成装置5側の課金装置70とネットワーク側の課金サーバ7_3)とを備えてなる外部連携システム1を対象として、課金処理に関わる各種の制御処理を行なうので、画像形成装置5に対しての他の連携処理装置との間での相互連携処理に対する課金処理に柔軟に対処することができ、たとえば、他の連携処理装置との間に生じる異常時やユーザによる意図的な指示などを契機とした中断に対しても不都合なく対処することができる。
【0054】
たとえば、処理中断検知部150は、自装置内に生じた処理中断を自ら検知したり、連携する他の装置内に生じた処理中断を通知送受信機能を利用して検知したりするなど、相互連携処理途中で外部連携システム1の何れかに処理中断が生じたことを検知できるものであればよく、公知の種々の手法を採用することができる。ここでは、それらの具体的な仕組みについては説明を割愛する。
【0055】
なお、相互連携処理途中で外部連携システム1の何れかに処理中断が生じたことを検知するに当たっては、連携動作する他の複数の装置のうち、少なくとも1つの装置から一定の応答がないときにも処理中断が生じたと判定するようにすることができる。
【0056】
また、連携動作する他の複数の装置から一定の応答がないときに処理中断が生じたと判定するに当たっては、何れか1つの装置から一定の応答がないときに必ず処理中断であると判定することは必須ではなく、他の装置の特質を考慮して、一定の応答がないときに処理中断であると判定するか否かを判断するようにすることもできる。たとえば、連携動作する複数の装置のうち、データを残すとセキュリティ上致命的となる装置から一定の応答がないときに処理中断であると判定するようにしてもよい。データのセキュリティ対策として重要な装置から一定の応答がないときに処理中断であるとしてデータ廃棄や復帰などのデータ調整を行なうことで、システム異常に過剰に反応して各種連携装置でデータ廃棄や復帰などのデータ調整を行なうような事態を回避することができる。
【0057】
連携処理調整制御部170は、相互連携処理途中での処理中断が発生すると、自装置内部に残った連携処理ジョブに関するデータを自ら自動的に削除するあるいは処理中断発生前の状態に復帰させるなどのデータ調整を行なうように自装置に備えられたデータ保持部140を制御する。
【0058】
あるいは、連携する他の装置の内部に残った連携処理ジョブに関するデータを、その他の装置に備えられたデータ保持部140から削除するあるいは処理中断発生前の状態に復帰させるなどのデータ調整ができるように、連携処理調整制御部170は、連携する他の装置の処理中断検知部150に対して処理中断通知を発する。この処理中断通知を受けた連携する他の装置では、連携処理調整制御部170は、自装置内部のデータ保持部140に残った連携処理ジョブに関するデータを削除するあるいは処理中断発生前の状態に復帰させるなどのデータ調整を行なうように自装置に備えられたデータ保持部140を制御する。なお、ここでは他装置への処理中断通知を連携処理調整制御部170を介して行なうようにしているが、処理中断検知部150が行なうように構成することもできる。
【0059】
つまり、本実施形態の外部連携システム1においては、連携動作する複数の装置のうち、少なくとも1つにて処理中断が発生すると、処理中断を検知した自装置自らが自装置内に残る連携処理ジョブに関するデータを削除するあるいは処理中断発生前の状態に復帰させるなどのデータ調整を行なうし、処理中断通知を受けた他の装置でも、その処理中断通知を受けたときに、自装置(連携動作する他の装置)内に残る連携処理ジョブに関するデータを削除するあるいは処理中断発生前の状態に復帰させるなどのデータ調整を行なうのである。
【0060】
なお、処理中断通知を受けた他の装置において、その連携動作する他の装置内に残る連携処理ジョブに関するデータを削除あるいは復帰させるなどのデータ調整を行なうに当たっては、処理中断通知を受信したときに必ずデータ調整処理を行なうことは必須ではなく、処理中断通知を発した装置の特質を考慮して、データ調整処理を行なうか否かを判断するようにすることもできる。たとえば、連携動作する複数の装置のうち、データを残すとセキュリティ上致命的となる装置からの処理中断が通知されたときにデータ調整を行なうようにしてもよい。データのセキュリティ対策として重要な装置で処理中断があったときにのみデータ調整を行なうことで、各種連携装置で処理中断に過剰に反応してデータ調整を行なうような事態を回避することができる。
【0061】
また、処理中断時のデータ調整対象となる連携処理ジョブに関するデータとしては、たとえば、画像形成装置5の画像読取部10で読み取った画像やWebサーバ3fからダウンロードした画像などに対する画像形成装置5における処理途中のデータである中間生成ファイルがある。また、第1APS7_1における文字認識処理済みの文書データや第2APS7_2における翻訳処理済みの文書データ、あるいは第1APS7_1や第2APS7_2における処理途中のデータである中間生成ファイルがある。また、課金サーバ7_3もしくは課金装置70における課金処理に供される課金情報やその課金処理途中のデータである中間生成ファイルもある。また、これら外部連携処理において使用されるユーザ情報もデータ調整の対象となる連携処理ジョブに関するデータの一例となる。
【0062】
<電子計算機を利用した連携処理装置の構成例>
なお本実施形態において、外部連携処理を行なっている際の処理中断発生時にデータ廃棄処理を行なう仕組みは、ハードウェア処理回路により構成することに限らず、その機能を実現するプログラムコードに基づき電子計算機(コンピュータ)を用いてソフトウェア的に実現することも可能である。
【0063】
よって、外部連携処理方法(特に課金制御に関わる処理)や画像形成装置あるいは連携処理装置(特に課金制御に関わる機能部分)を、電子計算機(コンピュータ)を用いてソフトウェアで実現するために好適なプログラムあるいはこのプログラムを格納したコンピュータ読取可能な記憶媒体を発明として抽出することもできる。
【0064】
電子計算機に一連の外部連携処理(特に課金情報調整処理)機能をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ(組込マイコンなど)、あるいは、CPU(Central Processing Unit )、論理回路、記憶装置などの機能を1つのチップ上に搭載して所望のシステムを実現するSOC(System On a Chip:システムオンチップ)、または、各種のプログラムをインストールすることで各種の機能を実行することが可能な汎用のパーソナルコンピュータなどに、記録媒体からインストールされる。
【0065】
記録媒体は、コンピュータのハードウェア資源に備えられている読取装置に対して、プログラムの記述内容に応じて、磁気、光、電気などのエネルギの状態変化を引き起こして、それに対応する信号の形式で、読取装置にプログラムの記述内容を伝達できるものである。
【0066】
たとえば、コンピュータとは別に、ユーザにプログラムを提供するために配布される、プログラムが記録されている磁気ディスク(フレキシブルディスクFDを含む)、光ディスク(CD−ROM(Compact Disc-Read Only Memory )、DVD(Digital Versatile Disc)を含む)、光磁気ディスク(MD(Mini Disc )を含む)、または半導体メモリなどよりなるパッケージメディア(可搬型の記憶媒体)により構成されるだけでなく、コンピュータに予め組み込まれた状態でユーザに提供される、プログラムが記録されているROMやハードディスクなどで構成されてもよい。
【0067】
また、ソフトウェアを構成するプログラムは、記録媒体を介して提供されることに限らず、記録媒体を用いずに、有線あるいは無線などの通信網を介して提供されてもよい。
【0068】
たとえば、外部連携処理機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても、ハードウェア処理回路にて構成する場合と同様の効果は達成される。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が外部連携処理機能を実現する。
【0069】
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することで、外部連携処理を行なう機能が実現されるだけでなく、プログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOS(Operating Systems ;基本ソフト)などが実際の処理の一部または全部を行ない、その処理により外部連携処理を行なう機能が実現される場合であってもよい。
【0070】
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張カードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張カードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行ない、その処理によって外部連携処理を行なう機能が実現される場合であってもよい。
【0071】
なお、外部連携処理を行なう機能を実現するプログラムコードを記述したファイルとしてプログラムが提供されるが、この場合、一括のプログラムファイルとして提供されることに限らず、コンピュータで構成されるシステムのハードウェア構成に応じて、個別のプログラムモジュールとして提供されてもよい。
【0072】
たとえば図3は、CPUやメモリを利用してソフトウェア的に外部連携処理を行なう機能を持つ画像形成装置5や外部装置7などの連携処理装置を構成する、すなわちパーソナルコンピュータなどのコンピュータ(電子計算機)の機能を利用して外部連携処理をソフトウェア的に実現する場合のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0073】
もちろん、このようなコンピュータを用いた構成に限らず、図2を用いて示した画像形成装置5や外部装置7の各機能部の処理をなす専用のハードウェアの組合せにより外部連携処理を行なう構成にすることもできる。ただし、ソフトウェアにより処理を実行させる仕組みとすることで、ハードウェアの変更を伴うことなく、処理手順などを容易に変更できる利点を享受できるようになる。
【0074】
たとえば、コンピュータシステム900は、コントローラ部901と、ハードディスク装置、フレキシブルディスク(FD)ドライブ、あるいはCD−ROM(Compact Disk ROM)ドライブ、半導体メモリコントローラなどの、所定の記憶媒体からデータを読み出したり記録したりするための記録・読取制御部902(データ保持部140相当)とを有する。
【0075】
コントローラ部901は、CPU(Central Processing Unit )912、読出専用の記憶部であるROM(Read Only Memory)913、随時書込みおよび読出しが可能であるとともに揮発性の記憶部の一例であるRAM(Random Access Memory)915、および不揮発性の記憶部の一例であるRAM(NVRAMと記述する)916を有している。NVRAM916には、たとえば、一時データなどを格納することができる。この場合、NVRAM916は、一時データ保存部として機能することとなる。
【0076】
上記において“揮発性の記憶部”とは、連携処理装置の主電源がオフされた場合には、記憶内容を消滅してしまう形態の記憶部を意味する。一方、“不揮発性の記憶部”とは、連携処理装置の主電源がオフされた場合でも記憶内容を保持し続ける形態の記憶部を意味する。記憶内容を保持し続けることができるものであればよく、半導体製のメモリ素子自体が不揮発性を有するものに限らず、バックアップ電源を備えることで、揮発性のメモリ素子を“不揮発性”を呈するように構成するものであってもよい。また、半導体製のメモリ素子により構成することに限らず、磁気ディスクや光ディスクなどの媒体を利用して構成してもよい。たとえば、ハードディスク装置を不揮発性の記憶部として利用できる。
【0077】
また、コンピュータシステム900は、ユーザインタフェースをなす機能部として、キーボードやマウスあるいは表示パネル部941aや操作キー部941bを具備した連携処理装置に備えられる操作パネル部941などを利用した指示入力部903(指示受付部110相当)と、操作時のガイダンス画面や処理結果などの所定の情報をユーザに提示する表示出力部904(表示部120相当)と、各機能部との間のインタフェース機能をなすインタフェース部(IF部)909とを有する。
【0078】
表示出力部904は、表示制御部942と表示装置とを備える。表示装置としては、たとえば、連携処理装置に備えられる操作パネル部941を利用することができる。あるいは、CRTやLCDなどでなるその他のディスプレイ部944を利用することもできる。なお、表示面上にタッチパネル943を有するディスプレイ部944とすることで、指先やペンなどで所定の情報を入力する指示入力部903を構成することもできる。
【0079】
なお、画像形成装置5を構成する場合には、コンピュータシステム900には、外部連携処理に供されるデータに対する所定のデータ処理を行なう機能部分も設けられる。たとえば、リンク先のアドレスがコード化されて印刷イメージ中に埋め込まれた画像を所定の出力媒体(たとえば印刷用紙)に出力する画像出力部30相当の画像形成部906と、その印刷対象となる画像を読み取る画像読取部10相当の画像読取部(スキャナユニット)907とが設けられる構成とする。
【0080】
画像形成部906は、たとえば画像読取部907にて得られた画像信号により表される画像や受信した画像データに基づき、電子写真式、感熱式、熱転写式、インクジェット式、あるいは同様な従来の画像形成処理を利用して、普通紙や感熱紙上に可視画像を形成する(印刷する)。このため、画像形成部906は、たとえばイエローY,マゼンタM,シアンC,ブラックKの2値化信号などの印刷出力用データを生成する画像処理部962と、たとえばラスタ出力スキャンベースやインクジェット方式などのプリントエンジン964とを備える。
【0081】
画像読取部907は、画像入力端末の機能を備えており、たとえばCCD固体撮像素子の全幅アレイを使用して、読取位置へ送られた原稿に光を照射することで、原稿上の画像を読み取り、この読み取った画像を表す赤R、緑G、青Bのアナログビデオ信号をデジタル信号へ変換する。
【0082】
インタフェース部909としては、処理データ(画像データを含む)や制御データの転送経路であるシステムバス991の他、たとえば、画像読取部907とのインタフェース機能をなすスキャナIF部997、画像形成部906や他のプリンタとのインタフェース機能をなすプリンタIF部996、およびインターネットなどのネットワークとの間の通信データの受け渡しを仲介する通信IF部999(通信インタフェース部130相当)を有している。
【0083】
なお、外部連携処理のための各機能部分の全ての処理をソフトウェアで行なうのではなく、これら機能部分の一部を専用のハードウェアにて行なう処理中断検知部150や連携処理調整制御部170や課金制御部180などを構成するための処理回路908を設けてもよい。ソフトウェアで行なう仕組みは、並列処理や連続処理に柔軟に対処し得るものの、その処理が複雑になるに連れ処理時間が長くなるため、処理速度の低下が問題となる。これに対して、ハードウェア処理回路で行なうことで、高速化を図ったアクセラレータシステムを構築することができるようになる。アクセラレータシステムは、処理が複雑であっても、処理速度の低下を防ぐことができ、高いスループットを得ることができる。
【0084】
このような構成において、CPU912は、システムバス991を介してシステム全体の制御を行なうものであり、いわゆるコントローラ部に対応する。ROM913は、CPU912の制御プログラムなどを格納する。RAM915は、SRAM(Static Random Access Memory )などで構成され、プログラム制御変数や各種処理のためのデータなどを格納する。また、RAM915は、所定のアプリケーションプログラムによって取得した電子ドキュメント(文字データのみに限らず画像データを含んでよい)や自装置に備えられている画像読取部907で取得した画像データ、さらには外部から取得した電子文書などを一時的に格納する領域を含んでいる。
【0085】
たとえば、外部連携処理機能をコンピュータに実行させるプログラムは、CD−ROMなどの記録媒体を通じて配布される。あるいは、このプログラムは、CD−ROMではなくFDに格納されてもよい。また、MOドライブを設け、MOに前記プログラムを格納してもよく、またフラッシュメモリなどの不揮発性の半導体メモリカードなど、その他の記録媒体にプログラムを格納してもよい。さらに、他のサーバなどからインターネットなどのネットワークを経由してプログラムをダウンロードして取得したり、あるいは更新したりしてもよい。
【0086】
なお、プログラムを提供するための記録媒体としては、FDやCD−ROMなどの他にも、DVDなどの光学記録媒体、MDなどの磁気記録媒体、PDなどの光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、ICカードやミニチュアカードなどの半導体メモリを用いることができる。記録媒体の一例としてのFDやCD−ROMなどには、外部連携処理機能を実現する際の、一部または全ての機能を格納することができる。
【0087】
また、ハードディスク装置は、制御プログラムによる各種処理のためのデータを格納したり、画像読取部907で取得した画像データや外部から受信した画像データなどを大量に一時的に格納したりする領域を含んでいる。また、ハードディスク装置、FDドライブ、あるいはCD−ROMドライブは、たとえば、CPU912にコンテンツ取得やアドレス取得あるいはアドレス設定などの処理をソフトウェアにて実行させるためのプログラムデータを登録するなどのために利用される。
【0088】
<処理事例;第1実施形態>
図4および図5は、上記構成の外部連携システム1における外部連携処理の第1実施形態の基本処理例(図4)とその変形処理例(図5)を説明する図である。この第1実施形態は、相互連携処理が正常終了した際に課金を行なうことで、処理中断発生による課金処理の不都合を解消しようとするものである。
【0089】
先ず、画像形成装置5,第1APS7_1,第2APS7_2、および課金サーバ7_3は、処理中断通知を相互に通知可能になっており、自装置で処理中断が生じたことを処理中断検知部150にて検知すると、処理中断検知部150自身もしくは連携処理調整制御部170が他の装置の処理中断検知部150にネットワーク9を介して、処理中断が生じた旨を通知するようになっている。
【0090】
Webサーバ3fからホームページデータをダウンロードして操作パネル部15aやユーザインタフェース装置16の表示画面上に表示したり、そのホームページの情報を用紙に印刷したりするなどのブラウザ機能を有する画像形成装置5で、画像読取部10にて読み取った文書画像やWebサーバ3fからダウンロードした画像などを文字認識サービスを行なう第1APS7_1に転送する(S10)。
【0091】
第1APS7_1は、画像形成装置5から転送された画像中に存在する文字部分を認識してテキスト情報でなる文書データを作成し、この文書データを画像形成装置5に転送するとともに(S12)、翻訳サービスを行なう第2APS7_2にも転送する(S14)。また、第1APS7_1は、この文字認識処理に要した負荷情報(たとえば処理時間など)を課金サーバ7_3や画像形成装置5側の課金装置70に送る(S16)。
【0092】
また、画像形成装置5は、Webサーバ3fからホームページデータ(文書データの一例)をダウンロードして翻訳サービスを行なう第2APS7_2に転送する(S18)。
【0093】
翻訳サービスを行なう第2APS7_2は、第1APS7_1から転送された文書データや画像形成装置5から転送されたホームページデータを、異なる言語体系の文書データに変換し(つまり翻訳し)、翻訳済みの文書データを画像形成装置5に転送する(S20)。また、第2APS7_2は、この翻訳処理に要した負荷情報(たとえば処理時間など)を課金サーバ7_3に送る(S22)。
【0094】
全ての処理が正常に終了すると、画像形成装置5は、連携処理結果をユーザに提示する。なお、「連携処理結果をユーザに提示する」とは、第1APS7_1からの文字認識済の文書データや第2APS7_2からの翻訳済の文書データをユーザが利用可能にすることを意味し、たとえばそれぞれの文書データを所定の記憶媒体にセーブすることや、文書データに基づいて表示したり印刷出力したりすることを含む。
【0095】
また、課金制御部180は、課金装置70もしくは課金サーバ7_3に対して課金処理要求を発する。たとえば、課金サーバ7_3の課金制御部180は、この外部連携システム1における連携処理に対する課金処理要求を画像形成装置5から受け付けると(S30)、第1APS7_1や第2APS7_2から転送された文字認識処理や翻訳処理に要した負荷情報に基づいて、この外部連携システム1における連携処理に対する課金処理を行ない、その課金処理過程の中間生成ファイルや課金処理結果の情報を画像形成装置5に通知する(S32)。画像形成装置5では、課金制御部180は、中間生成ファイルや課金処理結果の情報に基づき、課金額を操作パネル部15aなどにてユーザに提示することができる。
【0096】
つまり、ブラウザ機能を有する画像形成装置5、OCRサーバ機能を有する第1APS7_1、翻訳サーバ機能を有する第2APS7_2、および課金サーバ7_3が連携動作する連携システムにおいて、全ての処理が正常終了した時点で、課金サーバ7_3にて正常な課金がなされる。
【0097】
一方、図4に示す基本処理例のように、たとえば画像形成装置5の画像読取部10にて読み取った文書画像を第1APS7_1で文字認識した後第2APS7_2に転送後に、翻訳サービスを行なう第2APS7_2に異常が発生したことで連携処理の中断が発生した場合(S40)、第2APS7_2は、自装置内のデータ保持部140に保持している翻訳処理に関わる中間生成ファイルを削除するとともに(S42)、処理中断通知を画像形成装置5や第1APS7_1、課金サーバ7_3に送る(S44)。この際には、第2APS7_2の連携処理調整制御部170は、第1APS7_1や画像形成装置5に、ジョブを識別するID番号(ジョブID)とともに課金取止め情報を通知する。
【0098】
この処理中断通知やジョブIDや課金取止め通知を受けた画像形成装置5において、連携処理調整制御部170は、課金装置70もしくは課金サーバ7_3に対して課金処理要求を発することはしない。また、自動的に、当該画像形成装置5のデータ保持部140に残ったジョブIDに対応する文字認識サービスや翻訳サービスの課金のためのユーザ情報などや課金に関する中間生成ファイルを削除させ、それらが無かったことにする(S46)。
【0099】
また、画像形成装置5の連携処理調整制御部170は、処理中断を発生した第2APS7_2以外の連携ASP(残余装置の一例)である第1APS7_1内のデータ保持部140に残ったジョブIDに対応する文字認識処理に関わる中間生成ファイルや課金情報を削除するように、第1APS7_1の連携処理調整制御部170に要求する、すなわち削除依頼を行なう(S50)。この要求を受けた第1APS7_1の連携処理調整制御部170は、当該第1APS7_1のデータ保持部140に残ったジョブIDに対応する文字認識処理に関わる中間生成ファイルや翻訳サービスの課金のためのユーザ情報などや課金に関する中間生成ファイル(たとえば負荷情報)を削除させる(S52)。
【0100】
また、画像形成装置5の連携処理調整制御部170は、処理中断を発生した第2APS7_2以外の連携ASPで(残余装置の一例)ある課金サーバ7_3内のデータ保持部140に残ったジョブIDに対応する文字認識処理や翻訳処理の課金のための課金情報(たとえばユーザ情報)や中間生成ファイルを削除を削除するように、課金サーバ7_3の連携処理調整制御部170に要求する、すなわち削除依頼を行なう(S60)。この要求を受けた課金サーバ7_3の連携処理調整制御部170は、当該課金サーバ7_3のデータ保持部140に残ったジョブIDに対応する課金情報(たとえばユーザ情報)や中間生成ファイルを削除させる(S62)。
【0101】
なお、この図4に示す基本処理例では、相互連携処理途中で第2APS7_2にて処理中断が発生したときの画像形成装置5と連携する外部機器である第1APS7_1や課金サーバ7_3内部に残った当該連携処理ジョブに関するデータの廃棄処理を、画像形成装置5からの廃棄要求を受けてから行なうようにしていたが、それぞれ第2APS7_2からの処理中断通知を受けてから行なうようにすることもできる。
【0102】
また、図5に示す変形処理例のように、異常などの処理中断が発生した第2APS7_2から先ず課金サーバ7_3に処理中断通知やジョブを識別するID番号(ジョブID)や課金取止め情報を通知し、課金サーバ7_3から、画像形成装置5や第1APS7_1におけるデータ廃棄処理を制御するようにすることもできる。
【0103】
すなわち、画像形成装置5の画像読取部10にて読み取った文書画像を第1APS7_1で文字認識した後第2APS7_2に転送後に、翻訳サービスを行なう第2APS7_2に異常が発生したことで連携処理の中断が発生した場合(S40)、第2APS7_2は、自装置内のデータ保持部140に保持している翻訳処理に関わる中間生成ファイルを削除するとともに(S42)、処理中断通知を先ず課金サーバ7_3に送る(S74)。この際には、第2APS7_2の連携処理調整制御部170は、課金サーバ7_3に、ジョブを識別するID番号(ジョブID)とともに課金取止め情報を通知する。
【0104】
つまり、第2APS7_2の連携処理調整制御部170は、処理中断を発生した第2APS7_2以外の連携ASPで(残余装置の一例)ある課金サーバ7_3内のデータ保持部140に残ったジョブIDに対応する文字認識処理や翻訳処理の課金のための課金情報(たとえばユーザ情報)や中間生成ファイルを削除を削除するように、課金サーバ7_3の連携処理調整制御部170に要求する、すなわち削除依頼を行なう。
【0105】
この処理中断通知やジョブIDや課金取止め通知を受けた課金サーバ7_3の連携処理調整制御部170は、当該課金サーバ7_3のデータ保持部140に残ったジョブIDに対応する課金情報(たとえばユーザ情報)や中間生成ファイルを削除させ、それらが無かったことにする(S76)。
【0106】
また、課金サーバ7_3の連携処理調整制御部170は、第1APS7_1や画像形成装置5に、ジョブを識別するID番号(ジョブID)とともに課金取止め情報を通知する(S78)。この通知を受けた第1APS7_1の連携処理調整制御部170は、当該第1APS7_1のデータ保持部140に残ったジョブIDに対応する文字認識処理に関わる中間生成ファイルや翻訳サービスの課金のためのユーザ情報などや課金に関する中間生成ファイル(たとえば負荷情報)を削除させる(S82)。
【0107】
同様に、画像形成装置5において、連携処理調整制御部170は、課金装置70に対して課金処理要求を発することはしない。また、当該画像形成装置5のデータ保持部140に残ったジョブIDに対応する文字認識サービスや翻訳サービスの課金のためのユーザ情報などや課金に関する中間生成ファイルを削除させ、それらが無かったことにする(S86)。
【0108】
このように、第1実施形態の基本処理例および変形処理例の何れにおいても、連携処理が異常発生により処理中断状態になった際に、各自装置内の処理途中で残った中間生成ファイルやデータを削除することができ、その装置自身として高いセキュリティを保つことができる。また、連携処理が処理中断状態になった際に、連携処理を行なっている他の装置内に残った中間生成ファイルやデータも削除することができ、他の装置としても、高いセキュリティを保つことができる。
【0109】
加えて、処理中断通知を受けた画像形成装置5の連携処理調整制御部170は、課金装置70もしくは課金サーバ7_3に対して課金処理要求を発することはしないので、連携システムに異常が発生するなどして処理が中断し、相互連携処理が正常終了しないことになる場合には、課金サーバ7_3などにて課金がなされることはない。
【0110】
すなわち、ブラウザ機能を有する画像形成装置5、OCRサーバ機能を有する第1APS7_1、翻訳サーバ機能を有する第2APS7_2、および課金サーバ7_3が連携動作する連携システムにおいては、第2APS7_2での翻訳処理が終わっていないので、課金処理に関係した各種情報(中間ファイルも含む)を削除(廃棄)することで、課金サーバ7_3にて課金がなされることがないようにすることができる。
【0111】
なお、データ廃棄処理を行なうようにした際に、場合によっては、必ずしも廃棄処理ができないこともある。たとえば、第1APS7_1での文字認識処理結果を画像形成装置5に転送したときに、画像形成装置5にてその文字認識処理済の文書データをユーザに提示した場合を考える。
【0112】
この場合、文字認識処理→文字認識処理結果の提示→翻訳処理→翻訳処理結果の提示、と言った一連の連携処理の内、文字認識処理や文字認識処理結果の提示に関しては、たとえ連携処理に異常が発生し連携処理が途中で中断したとしても、既にユーザに価値を提供したものであるから、その分の対価請求を一切行なわないというのは適当でない。
【0113】
よって、このようなケースでは、相互連携処理途中での異常などを契機として処理中断が発生したとき、画像形成装置5の課金制御部180は、連携処理の最終結果(本例では翻訳済の文書データ)をユーザに提示する場合の総額料金での精算処理を課金装置70や課金サーバ7_3に要求するのではなく、その中断発生時までに要した処理に見合った経費額のみの精算処理を課金装置70や課金サーバ7_3に要求するようにしてもよい。ここで、「その中断発生時までに要した処理に見合った経費額」とは、「これまでに要した処理に見合った経費額」とも言えるものであり、本例の場合、文字認識処理や文字認識処理結果のユーザ提示に見合った経費額である。
【0114】
こうすることで、一部処理済みではあるが、中断発生によって今後の処理がなされず、連携処理の最終結果をユーザに提示するものとしての総額料金での精算処理では問題がある場合は、少なくとも、中断発生後の課金金額(本例では、連携処理の最終結果である翻訳済の文書データをユーザに提示する分の金額)は、ユーザに請求されないことになる。
【0115】
また、この場合、連携処理調整制御部170は、第1APS7_1および第2APS7_2に対して、データ保持部140に残ったジョブIDに対応する文字認識処理や翻訳処理の中間生成ファイルの全てを削除させるのではなく、請求額に見合った分を保持し、残りを削除するように要求する。この要求を受けた各連携処理調整制御部170は、各データ保持部140に残ったジョブIDに対応する文字認識処理や翻訳処理の中間生成ファイルのうち、請求額に見合った分を保持し、残りを削除させる。また、このように、請求額に見合ったデータの一部をデータ保持部140に保持(リカバリ)している旨やそのデータの内容を操作パネル部15aなどによりユーザに通知する。
【0116】
つまり、一連の連携処理を行なっている際に、異常が発生し連携処理が途中で中断したとしても、既にユーザに価値を提供した分が存在する場合には、「その中断発生時までに要した処理に見合った経費額」を請求するとともに処理済みのデータ(本例では翻訳済の文書データ)を破棄するが、中間生成ファイルの全てを破棄するのではなく、請求額に見合った分のデータだけは保持しておくようにする。こうすることで、文書データ、課金情報、課金処理に関わるユーザ情報、あるいは処理中の中間生成ファイルなど、データの種類を問わず、請求額に見合った分を除いてデータ残りを回避することができるので、データ蓄積によりメモリが占有され処理負担となると言った問題を軽減できる。
【0117】
加えて、請求額に見合った分つまりユーザが支払った分のデータがデータ保持部140に保持されているので、改めて、継続処理要求をユーザから指示された際には、最初から処理を行なうのではなく、データ保持部140に保持されている中間生成ファイルを使って処理を継続することができる。これにより、最初から処理を行なう場合に比べて処理完了までの時間を短くすることができるし、その継続分だけの費用請求をユーザに行なうようにすることができ、トータルコストを低く抑えることができる。
【0118】
<処理事例;第2実施形態>
図6は、上記構成の外部連携システム1における外部連携処理の第2実施形態を説明する図である。この第2実施形態は、第1実施形態に対しての変形処理の一例であって、第1実施形態と同様に、相互連携処理が正常終了した際に課金を行なうことを前提としつつ、正常終了した際は、それまでに要した処理についての課金処理に関わる情報をユーザに通知し、ユーザからの継続確認指示を待って連携処理結果をユーザに提示するとともに課金処理を行なう点に特徴を有する。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0119】
全ての処理が正常に終了すると、画像形成装置5は、先ず、連携処理結果をユーザに提示する前に、課金制御部180が課金装置70もしくは課金サーバ7_3に対して課金処理要求を発する。なお、ここでの課金処理要求は、精算処理前までであって、具体的には、文字認識処理や翻訳処理などの処理ごとの料金計算(中間生成ファイルに相当)と、連携処理結果をユーザに提示する場合の総額料金の計算を要求する。
【0120】
たとえば、課金サーバ7_3は、この外部連携システム1における連携処理に対する課金処理要求を画像形成装置5から受け付けると(S30)、第1APS7_1や第2APS7_2から転送された文字認識処理や翻訳処理に要した負荷情報に基づいて、この外部連携システム1における連携処理に対する課金処理(総額料金の計算まで)を行ない、その課金処理過程の中間生成ファイル(処理ごとの料金計算結果)や課金処理結果の情報(特に総額料金の計算結果)を画像形成装置5に通知する(S32)。
【0121】
これら課金に関する情報の通知を受けた画像形成装置5の課金制御部180は、先ず連携処理結果をユーザに提示する場合の総額料金を操作パネル部15aなどに表示し(S34)、さらに処理を継続するか否か(本例の場合、連携処理結果をユーザに提示するか否か)の確認をユーザに求める。そして、継続指示があったときにのみ、連携処理結果である翻訳結果の文書データをユーザに提示するとともに、実際の精算処理を課金装置70や課金サーバ7_3に要求する。このように、連携システムの一連の課金された情報をユーザに提示することで、確認した上で納得してもらってから課金を行なうことができる。
【0122】
一方、金額が高すぎるため処理中止をユーザが望んだ場合など、処理を継続しない旨の指示(処理中断指示)が発せられた際には、連携処理調整制御部170は、自動的に、当該画像形成装置5のデータ保持部140に残ったジョブIDに対応する文字認識サービスや翻訳サービスの課金のためのユーザ情報などや課金に関する中間生成ファイルを削除させ、それらが無かったことにする(S142)。
【0123】
また、画像形成装置5の連携処理調整制御部170は、処理中断を発生した第2APS7_2以外の連携ASP(残余装置の一例)である第1APS7_1や第2APS7_2や課金サーバ7_3内のデータ保持部140に残ったジョブIDに対応する文字認識処理や翻訳処理に関わる中間生成ファイルや課金情報やその中間生成ファイルなどを削除するように、それぞれの連携処理調整制御部170に要求する、すなわち削除依頼を行なう(S144)。
【0124】
この要求を受けた各連携処理調整制御部170は、各データ保持部140に残ったジョブIDに対応する文字認識処理や翻訳処理に関わる中間生成ファイルや、これらの処理に対する課金処理のためのユーザ情報などや課金に関する中間生成ファイル(たとえば負荷情報)などを削除させる(S146)。
【0125】
つまり、連携システムの一連の課金された情報をユーザに提示し、確認した上での納得がユーザから得られないときには、対価請求を一切行なわない代りに、処理済みのデータや中間生成ファイルの全てを破棄する。こうすることで、継続しない(課金を許さない)場合、これまで処理した内容を中止することができるし、文書データ、課金情報、課金処理に関わるユーザ情報、あるいは処理中の中間生成ファイルなど、データの種類を問わず、データ残りを回避することができ、データ蓄積によりメモリが占有され処理負担となると言った問題は生じない。
【0126】
あるいは、画像形成装置5は、別の処理手法として、金額が高すぎるため処理中止をユーザが望んだ場合など、処理を継続しない(中断する)指示が発せられた際には、連携処理調整制御部170は、「これまでに要した処理に見合った経費額」分のデータを保持し残りを削除するようデータ保持部140を制御し(S150)、また課金制御部180は、連携処理結果をユーザに提示する場合の総額料金での精算処理を課金装置70や課金サーバ7_3に要求するのではなく、これまでに要した処理に見合った経費額のみの精算処理を課金装置70や課金サーバ7_3に要求するようにしてもよい(S151)。これにより、課金サーバ7_3などは、経費分の精算を行なう(S152)
【0127】
ここで、「これまでに要した処理に見合った経費額」とは、必ずしも、これまでに行なった全ての処理に対する対価の全てを意味するものではない。システム管理者の運用によって柔軟にその額を決めてよいのである。
【0128】
こうすることで、一部処理済みではあるが、今後の処理で課金金額を見て問題がある場合は、少なくとも、これから要する課金金額(本例では、連携処理結果である翻訳済の文書データをユーザに提示する分の金額)は、ユーザに請求されないことになる。
【0129】
また、この場合、連携処理調整制御部170は、第1APS7_1および第2APS7_2に対して、データ保持部140に残ったジョブIDに対応する文字認識処理や翻訳処理の中間生成ファイルの全てを削除させるのではなく、請求額に見合った分を保持し、残りを削除するように要求する(S154)。この要求を受けた各連携処理調整制御部170は、各データ保持部140に残ったジョブIDに対応する文字認識処理や翻訳処理の中間生成ファイルのうち、請求額に見合った分を保持し、残りを削除させる(S156)。また、このように、請求額に見合ったデータの一部をデータ保持部140に保持(リカバリ)している旨やそのデータの内容をユーザに通知する。
【0130】
つまり、連携システムの一連の課金された情報をユーザに提示し、確認した上での納得がユーザから得られないときには、「これまでに要した処理に見合った経費額」を請求するとともに処理済みのデータ(本例では翻訳済の文書データ)を破棄するが、中間生成ファイルの全てを破棄するのではなく、請求額に見合った分のデータだけは保持しておくようにする。こうすることで、文書データ、課金情報、課金処理に関わるユーザ情報、あるいは処理中の中間生成ファイルなど、データの種類を問わず、請求額に見合った分を除いてデータ残りを回避することができるので、データ蓄積によりメモリが占有され処理負担となると言った問題を軽減できる。
【0131】
加えて、請求額に見合った分つまりユーザが支払った分のデータがデータ保持部140に保持(リカバリ)されているので、改めて、継続処理要求をユーザから指示された際には、最初から処理を行なうのではなく、データ保持部140に保持されている中間生成ファイルを使って処理を継続することができる。これにより、最初から処理を行なう場合に比べて処理完了までの時間を短くすることができるし、その継続分だけの費用請求をユーザに行なうようにすることができ、トータルコストを低く抑えることができる。
【0132】
なお、この第2実施形態におけるステップS150以降の処理は、「これまでに要した処理に見合った経費額」を請求すると言う点で、第1実施形態の処理における経費額に見合った請求とデータ保持を行なう処理と類似している。すなわち、第1実施形態の処理における経費額に見合った請求とデータ保持の処理は、連携システムにおいて異常が発生することで連携処理を処理完結前に中断した場合であり、第2実施形態の処理におけるステップS150以降の処理は、料金情報を提示されたユーザが意図的に処理完結前に連携処理を中断させた場合であり、何れも、中断の契機となるものが違うだけで、連携処理を処理完了の前に中断する点で共通するのである。
【0133】
<処理事例;第3実施形態>
図9は、上記構成の外部連携システム1における外部連携処理の第3実施形態を説明する図である。この第3実施形態は、相互連携処理における個々の処理が完了するごとに、その処理に要した費用に対する対価計算を行なうことを前提としつつ、処理中断発生時には、それらの計算結果を元の状態に戻すことで、処理中断発生による課金処理の不都合を解消しようとするものである。なお、「元の状態に戻す」とは、連携処理開始前や中断された処理前の任意の処理完了段階までの状態に戻すことを意味する。
【0134】
Webサーバ3fからホームページデータをダウンロードして操作パネル部15aやユーザインタフェース装置16の表示画面上に表示したり、そのホームページの情報を用紙に印刷したりするなどのブラウザ機能を有する画像形成装置5で、画像読取部10にて読み取った文書画像やWebサーバ3fからダウンロードした画像などを文字認識サービスを行なう第1APS7_1に転送する(S10)。
【0135】
第1APS7_1は、画像形成装置5から転送された画像中に存在する文字部分を認識してテキスト情報でなる文書データを作成し、この文書データを画像形成装置5に転送するとともに(S12)、翻訳サービスを行なう第2APS7_2にも転送する(S14)。また、第1APS7_1は、この文字認識処理に関して、処理のキャンセルや課金のキャンセルが不可である旨の情報を課金サーバ7_3や画像形成装置5側の課金装置70に送る(S16)。
【0136】
課金サーバ7_3や画像形成装置5側の課金装置70は、第1APS7_1から転送された文字認識処理に要した負荷情報に基づいて、文字認識処理に対する課金処理を行ない、その課金処理過程の中間生成ファイルや課金処理結果の情報を画像形成装置5に通知する(S17)。
【0137】
画像形成装置5では、課金制御部180は、中間生成ファイルや課金処理結果の情報に基づき、文字認識処理に関わる課金額を操作パネル部15aなどにてユーザに提示することができる。
【0138】
また、第1APS7_1からの文字認識済の文書データをユーザが利用可能にしてもよい。ただしこのことは必須ではない。たとえば文字認識済の文書データを所定の記憶媒体にセーブすることや、文字認識済の文書データに基づいて表示したり印刷出力したりしてもよい。 また、画像形成装置5は、Webサーバ3fからホームページデータ(文書データの一例)をダウンロードして翻訳サービスを行なう第2APS7_2に転送する(S18)。
【0139】
翻訳サービスを行なう第2APS7_2は、第1APS7_1から転送された文書データや画像形成装置5から転送されたホームページデータを、異なる言語体系の文書データに変換し(つまり翻訳し)、翻訳済みの文書データを画像形成装置5に転送する(S20)。また、第2APS7_2は、この翻訳処理に要した負荷情報(たとえば処理時間、処理単語数など)やこの翻訳処理に対する対価の情報を課金サーバ7_3に送る(S22)。
【0140】
課金サーバ7_3や画像形成装置5側の課金装置70は、第2APS7_2から転送された翻訳処理に要した負荷情報に基づいて、翻訳処理に対する課金処理や連携処理結果に対する課金処理を行ない、その課金処理過程の中間生成ファイルや課金処理結果の情報を画像形成装置5に通知する(S23)。
【0141】
全ての処理が正常に終了すると、画像形成装置5は、連携処理結果をユーザに提示する。なお、「連携処理結果をユーザに提示する」とは、第1APS7_1からの文字認識済の文書データや第2APS7_2からの翻訳済の文書データをユーザが利用可能にすることを意味し、たとえばそれぞれの文書データを所定の記憶媒体にセーブすることや、文書データに基づいて表示したり印刷出力したりすることを含む。
【0142】
また画像形成装置5では、課金制御部180は、中間生成ファイルや課金処理結果の情報に基づき、翻訳処理に関わる課金額や一連の連携処理についての課金額を操作パネル部15aなどにてユーザに提示することができる。
【0143】
つまり、この第3実施形態では、ブラウザ機能を有する画像形成装置5、OCRサーバ機能を有する第1APS7_1、翻訳サーバ機能を有する第2APS7_2、および課金サーバ7_3が連携動作する連携システムにおいて、連携処理を構成する各処理が完了するごとに、課金装置70や課金サーバ7_3にて課金がなされるのである。異常が発生するなどして連携処理が途中で中断しても、その途中段階までの処理に関しての課金計算処理を完了させておくことができ、場合によっては、途中段階の処理完了ごとに精算処理をも完了させておくこともできる。
【0144】
一方、たとえば画像形成装置5の画像読取部10にて読み取った文書画像を第1APS7_1で文字認識した後第2APS7_2に転送後に、翻訳サービスを行なう第2APS7_2に異常が発生したことで連携処理の中断が発生した場合(S240)、第2APS7_2は、自装置内のデータ保持部140に保持している翻訳処理に関わる中間生成ファイルを削除するとともに(S242)、処理中断通知を画像形成装置5や第1APS7_1、課金サーバ7_3に送る(S244)。
【0145】
この処理中断通知を受けた画像形成装置5において、課金制御部180は、相互連携処理における個々の処理が完了するごとにその処理に要した費用に対する対価計算や精算処理を課金装置70にて行なっていたときには、当該画像形成装置5側での課金装置70による課金について、正常に完了した処理に関する対価の計数を行なうとともに、異常が発生した処理や実際には行なわれなかった処理の対価の計数のキャンセルを行なうことにより課金情報を修正する(S246)。また、操作パネル部15aなどを利用して、その旨や、修正後の課金情報をユーザに通知する(S247)。こうすることで、連携システムの処理異常の場合に、課金される情報と修正後の課金情報をユーザに示すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0146】
【図1】本発明に係る連携処理装置の一例である画像形成装置と外部装置とがネットワーク接続されてなる外部連携システムの構成例を示す図である。
【図2】外部連携処理に対する課金処理を行なうための機能部分に注目した連携処理装置の機能ブロック図である。
【図3】連携処理装置を電子計算機を用いて構成する場合のハードウェア構成の一例を示した図である。
【図4】外部連携処理の第1実施形態の基本処理例を説明する図である。
【図5】外部連携処理の第1実施形態の変形処理例を説明する図である。
【図6】外部連携処理の第2実施形態を説明する図である。
【図7】外部連携処理の第3実施形態を説明する図である。
【符号の説明】
【0147】
1…外部連携システム、3…画像入力端末、5…画像形成装置、7…外部装置、7_1…第1APS、7_1…第2APS、7_1…課金サーバ、9…ネットワーク、70…課金装置、110…指示受付部、120…表示部、130…通信インタフェース部、140…データ保持部、150…処理中断検知部、170…連携処理調整制御部、180…課金制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の装置と、当該一方の装置では対処不能な所定の処理を行なう他方の装置と、課金装置と、を備えてなる外部連携システムに使用される連携処理装置であって、
前記一方の連携処理装置は画像を取り扱う画像形成装置であり、
前記他方の連携処理装置は前記画像形成装置では対処不能な所定の処理を行なう外部装置であり、
前記相互連携処理途中で中断が発生したときには、前記課金処理に関わる情報を処理前の状態に戻すように制御する制御部
を備えていることを特徴とする連携処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記課金処理に関わる情報を処理前の状態に戻した旨をユーザに通知するように制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の連携処理装置。
【請求項3】
一方の装置と、当該一方の装置では対処不能な所定の処理を行なう他方の装置と、課金装置と、を備えてなる外部連携システムに使用される連携処理装置であって、
前記一方の連携処理装置は画像を取り扱う画像形成装置であり、
前記他方の連携処理装置は前記画像形成装置では対処不能な所定の処理を行なう外部装置であり、
前記相互連携処理途中で中断が発生したときには、それまでに要した処理についての前記課金処理に関わる情報をユーザに提示するように制御する制御部
を備えていることを特徴とする連携処理装置。
【請求項4】
一方の装置と、当該一方の装置では対処不能な所定の処理を行なう他方の装置と、課金装置と、を備えてなる外部連携システムに使用される連携処理装置であって、
前記一方の連携処理装置は画像を取り扱う画像形成装置であり、
前記他方の連携処理装置は前記画像形成装置では対処不能な所定の処理を行なう外部装置であり、
前記相互連携処理が正常終了した際に、当該相互連携処理に関わる課金処理がなされるように制御する制御部
を備えていることを特徴とする連携処理装置。
【請求項5】
一方の装置と、当該一方の装置では対処不能な所定の処理を行なう他方の装置と、課金装置と、を備えてなる外部連携システムに使用される連携処理装置であって、
前記一方の連携処理装置は画像を取り扱う画像形成装置であり、
前記他方の連携処理装置は前記画像形成装置では対処不能な所定の処理を行なう外部装置であり、
前記相互連携処理における前記課金処理以外の最後の処理が終わった時点で、当該相互連携処理に関わる課金処理がなされるように制御する制御部
を備えていることを特徴とする連携処理装置。
【請求項6】
一方の装置と、当該一方の装置では対処不能な所定の処理を行なう他方の装置と、課金装置と、を備えてなる外部連携システムに使用される連携処理装置であって、
前記一方の連携処理装置は画像を取り扱う画像形成装置であり、
前記他方の連携処理装置は前記画像形成装置では対処不能な所定の処理を行なう外部装置であり、
前記相互連携処理が正常終了した際に、または、前記相互連携処理における前記課金処理以外の最後の処理が終わった時点で、それまでに要した処理についての前記課金処理に関わる情報をユーザに提示するように制御する制御部
を備えていることを特徴とする連携処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記課金処理に関わる情報の提示に対しての処理中断指示を受け付けた際には、それまで処理した内容を中止させる
ことを特徴とする請求項6記載の連携処理装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記課金処理に関わる情報の提示に対しての処理中断指示を受け付けた際には、相互連携処理の全てについてではなく、それまでに処理した分の前記課金処理がなされるように制御する
ことを特徴とする請求項6に記載の連携処理装置。
【請求項9】
一方の装置と、当該一方の装置では対処不能な所定の処理を行なう他方の装置と、課金装置と、を備えてなる外部連携システムに使用される連携処理装置であって、
前記一方の連携処理装置は画像を取り扱う画像形成装置であり、
前記他方の連携処理装置は前記画像形成装置では対処不能な所定の処理を行なう外部装置であり、
前記相互連携処理の開始に先立って、当該相互連携処理についての前記課金処理に関わる情報をユーザに提示するように制御する制御部
を備えていることを特徴とする連携処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−59232(P2008−59232A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−234805(P2006−234805)
【出願日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】