説明

連続混練機

【課題】 連続混練機において、駆動部と混練用セグメントとの間における混練ロータのねじり剛性やねじり振動固有値を大きくする。
【解決手段】本発明の連続混練機1は、内部が空洞とされたバレル6と、バレル6内に挿入されると共に軸方向の中途側に材料を混練する混練部4が設けられた混練ロータ2と、混練ロータ2を回転させる駆動部5とを備え、混練ロータ2を回転自在に支持するラジアル軸受3が軸方向に少なくとも3個備えられたものであって、混練部4と駆動部5との距離を短くするべく、少なくとも3個のラジアル軸受3のうち1個のラジアル軸受3が混練部4より駆動部側に、また残りのラジアル軸受3が混練部4より反駆動部側に配備されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続混練機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1〜3に示す連続混練機は、樹脂を内部に収容するバレルと、このバレル内に回転自在に挿入された混練ロータ(混練スクリュともいう)とを備えており、駆動部で発生した回転駆動力をカップリングを介して混練ロータに伝達してこの混練ロータを回転させることで樹脂などの材料を混練する構成となっている。
このような連続混練機の混練ロータは、支持フレームに設けられた複数の軸受でバレルとの間に適度な隙間を保ちつつ回転自在に支持されている。上述の文献の連続混練機でも、混練ロータを支持するために減速機側(ドライブエンド側)の端部に2個、反減速機側(ウォータエンド側)の端部に1個の軸受(ラジアル荷重軸受)がそれぞれ配備されている。
【0003】
ところで、上述の連続混練機では、混練を行う際は混練ロータに回転方向とは逆方向に大きなねじり荷重が加わるため、ねじれ荷重が大きくなり過ぎると混練ロータの破損が起こる可能性もある。また、連続混練機を運転する際に混練ロータの回転数が高くなり過ぎると、混練ロータの回転数やその整数倍がねじれ固有振動数と一致して共振が発生し、共振が原因となって混練ロータの破損が起きやすくなる。
【0004】
ただ、混練ロータはねじり荷重が加わっても破損が起きないような剛性を備えたものとして設計されているし、運転条件も共振が発生しないような回転数に設定されているため、上述の連続混練機ではねじれ荷重によって混練ロータが破損することはないし、通常の運転条件であれば混練ロータに共振が発生することもない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−129823号公報
【特許文献2】実開平5−26316号公報
【特許文献3】特開平10−138235号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、近年は連続混練機に対して高生産量化を望むニーズが高まりつつあり、連続混練機はより大型化され且つ高回転の運転条件を実現可能なものになりつつある。その場合、連続混練機を大型化すると混練ロータに大きなねじり荷重が加わり、また運転条件をより高回転なものにすると混練ロータの回転数やその高調波がねじれ固有振動値に近づくので、混練ロータが破損する可能性も高まることになる。
【0007】
かかる観点から特許文献1〜3を鑑みるに、これらの文献の連続混練機は軸受を混練ロータのドライブエンド側端部に2個備えているため、軸受の設置数の分だけ駆動部と混練用セグメントとの間隔が大きくなりやすく、混練ロータの長さも長くなる。また、混練ロータには軸受の位置決めを行うため段差が形成してあり、混練ロータの軸径は端部に向かうにつれて徐々に細くなる。
【0008】
つまり、ラジアル軸受を2個備える上述の文献の連続混練機では、ドライブエンド側の混練ロータの長さが長く、カップリングに接続される部分では混練ロータの軸径も非常に細いため、ねじり剛性値やねじり振動固有値が小さなものとなりやすい。そして、このようにねじり剛性値が小さい連続混練機を大型化する、あるいはねじり振動固有値が小さな連続混練機を高回転で運転させると、破損や共振が発生する可能性がさらに高まることになる。
【0009】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、ドライブエンド側の混練ロータのねじり剛性やねじり振動固有値を大きくして、混練機の大型化や運転条件の高回転化が可能となる連続混練機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するため、本発明は次の技術的手段を講じている。
即ち、本発明の連続混練機は、内部が空洞とされたバレルと、当該バレル内に挿入されると共に軸方向の中途側に材料を混練する混練部が設けられた混練ロータと、当該混練ロータを回転させる駆動部とを備え、前記混練ロータを回転自在に支持するラジアル軸受が、当該混練ロータの軸方向に少なくとも3個備えられた連続混練機であって、前記混練部と駆動部との距離を短くするべく、前記少なくとも3個のラジアル軸受のうち、1個のラジアル軸受が前記混練部より駆動部側に配備され、残りのラジアル軸受が前記混練部より反駆動部側に配備されていることを特徴とするものである。
【0011】
本発明者は、混練ロータのドライブエンド側に配備されるラジアル軸受の設置数を少なくすれば、混練ロータの長さが短くなり軸径も大きくなって、ねじり剛性やねじり振動固有値を高くできるのではないかと考えた。そして、混練部より駆動部側に配備されるラジアル軸受の設置数を1個とし、混練部より反駆動部側に残りのラジアル軸受をすべて配備することにより、混練機の大型化や運転条件の高回転化が可能となることを知見して、本発明を完成させたのである。
【0012】
なお、前記ラジアル軸受は前記混練ロータに3個備えられているのが好ましい。耐荷重性能や寿命を考慮すればラジアル軸受は混練ロータ毎に3個備えられているのが妥当であるからである。
また、ラジアル軸受が混練ロータの軸方向に3個備えられている場合にあっては、前記駆動部側に配備される1個のラジアル軸受が許容するラジアル荷重をDE、前記反駆動部側に配備される2個の軸受のうち、前記混練部から遠いラジアル軸受が許容するラジアル荷重をWE1、前記混練部に近いラジアル軸受が許容するラジアル荷重をWE2とした場合に、WE2≧DE>WE1の関係が成立するのが好ましい。
【0013】
このようにすれば、ラジアル軸受全体で受け持つことのできるラジアル荷重値を損なうことなくドライブエンド側に許容荷重が大きなラジアル軸受、言い換えれば比較的軸穴の径が大きな軸受を用いることが可能となる。その結果、ドライブエンド側の混練ロータの長さをより短くできると共に軸受部の軸径が細くなることもないため、混練ロータのねじり剛性やねじり振動固有値をさらに大きくすることも可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の連続混練機によれば、ドライブエンド側の混練ロータのねじり剛性やねじり振動固有値を大きくして、混練機の大型化や運転条件の高回転化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の連続混練機の正面断面図である。
【図2】(a)は本発明の連続混練機のドライブエンド側の拡大断面図であり、(b)は従来の連続混練機のドライブエンド側の拡大断面図である。
【図3】従来の連続混練機の正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の連続混練機1は、混練ロータ2を支持する少なくとも3個のラジアル軸受(ラジアル荷重を受けられる軸受、以下単に軸受3という)のうち、1個の軸受3を混練部4より駆動部側(ロータ2のドライブエンド側)に配備し、残りの軸受3を混練部4より反駆動部側(ロータ2のウォータエンド側)に配備したものであり、3個の軸受3が許容するラジアル荷重値を損なうことなく混練ロータ2上で混練部4と駆動部5との距離を短くすることができるように配置されていることを特徴とするものである。以降では、まず連続混練機1の構成を説明した上で、特徴である軸受3の配置について詳述する。
<第1実施形態>
以下、第1実施形態の連続混練機1を図面に基づき説明する。
【0017】
図1に模式的に示されるように、第1実施形態の連続混練機1(以降、単に混練機1という)は、異方向回転型の2軸連続混練機である。混練機1は、内部が空洞状に形成されたバレル6と、バレル6の内部を軸方向に沿って挿通する一対の混練ロータ2、2とを有している。混練機1は、混練ロータ2の回転軸が水平方向を向くように基礎7の上に配備されていて、混練ロータ2とこの混練ロータ2を収容するバレル6とは基礎7に対して複数の支持フレーム8を用いて支持されている。
【0018】
なお、以降の説明において、図1の紙面の左側を混練機1を説明する際の上流側又はドライブエンド側(駆動部5側)とし、紙面の右側を下流側又はウォータエンド側(反駆動部側)とする。また、混練ロータ2の回転軸に沿った方向を混練機1を説明する際の軸方向と呼び、図1の紙面の上側及び下側を混練機1を説明する際の上側及び下側と呼ぶ。
バレル6は軸方向に沿って長い筒状に形成されている。バレル6の内部には断面がめがね孔状の空洞部9が軸方向に沿って形成されており、この空洞部9に一対の混練ロータ2、2が回転自在に挿通されている。また、バレル6は、ドライブエンド側に材料供給用のホッパ10を有しており、軸方向の中途部にゲート式の混練度調整部11を備えている。
【0019】
混練ロータ2は、バレル6の内部(空洞部9)を軸方向に貫通するように一対設けられている。それぞれの混練ロータ2は、軸方向の中途側に混練翼部12とスクリュ翼部13とを有している。混練翼部12は材料を混ぜ合わせるのに適した翼を有しており、混練ロータ2はこの混練翼部12が設けられた混練部4でバレル6内の材料を混練する構成となっている。また、スクリュ翼部13は、混練翼部12の上流側と下流側とに配備されており、材料を下流側に向かって送り出せるように軸方向に沿ってねじれた翼を有している。混練ロータ2は、スクリュ翼部13を用いて混練部4に材料を送る、あるいは混練部4で混練された材料を混練部4の下流側に送る構成となっている。
【0020】
混練ロータ2は、上流側に混練ロータ2を回転駆動する駆動部5を有している。この駆動部5の内部には、図示は省略するが、回転駆動力を発生させる駆動モータで発生した回転駆動力を減速しつつ2つの混練ロータ2へ向けて二分する減速機が設けられている。駆動部5は内部で二分した駆動力を2本の動力伝達軸14から出力する構成となっており、動力伝達軸14と混練ロータ2との間には駆動力を伝達するカップリング15がそれぞれ設けられている。
【0021】
混練ロータ2におけるウォータエンド側及びドライブエンド側の端部は、混練翼部12やスクリュ翼部13が設けられていない円筒状の軸部16として形成されている。この円筒状の軸部16には、混練ロータ2を回転自在に支持する複数の軸受3が設けられている。また、混練ロータ2のウォータエンド側の端部には混練ロータ2の内部に冷却水を送る冷却水供給部17が備えられている。
【0022】
軸受3は、支持フレーム8に設けられて混練ロータ2を回転自在に支持するものであり、混練ロータ2から加わるラジアル方向の荷重を受けられる構成となっている。これらの軸受3は、ウォータエンド側の軸部16とドライブエンド側の軸部16とに分かれて少なくとも3個設けられている。なお、本実施形態では、耐荷重性能や寿命を考慮して3個の軸受3が配備された連続混練機1を例示している。
【0023】
また、これらの軸受3の上流側にはスラスト荷重を受けられる軸受18(スラスト軸受18)がそれぞれ設けられている。本実施形態の連続混練機1ではラジアル荷重を受ける軸受3とスラスト荷重を受ける軸受18とが軸方向に隣接して配備されたものを例示しているが、両軸受3、18は互いに隣接していても良いし離れて配備されていても良い。
それぞれの軸受3の下方には、基礎7に対して混練ロータ2を支持する支持フレーム8が設けられている。本実施形態では、これらの支持フレーム8はウォータエンド側の端部とドライブエンド側の端部とに3個設けられている。
【0024】
本発明の連続混練機1は、上述した軸受3の配置を特徴とするものであり、1個の軸受3が混練部4より駆動部5側に配備され、残りの軸受3が混練部4より反駆動部側に配備されるものである。
図1に示される本実施形態の場合では、ドライブエンド側の端部(駆動部5側)に1個(以降、ドライブエンド軸受19という)、またウォータエンド側の端部(反駆動側)に2個(以降、混練部4から遠い側に設けられたものを第1ウォータエンド軸受20、近い側に設けられたものを第2ウォータエンド軸受21という)の軸受3が配備されている。このように従来の混練ロータ2で2個とされていたドライブエンド軸受19の設置数を1個にすれば、後述するように混練ロータ2のドライブエンド側の軸部16の長さが従来の連続混練機の“b”よりもはるかに短い“a”となって、ドライブエンド側の混練ロータ2のねじり剛性やねじり振動固有値を大きくすることが可能となる。
【0025】
次に、本実施形態の連続混練機1に用いられるラジアル軸受3及びそれらの配置について詳しく説明する。
混練部4(混練用セグメント12)より上流側に配備されたドライブエンド軸受19は、テーパローラを有するラジアル軸受3である。ドライブエンド軸受19は混練ロータ2のドライブエンド側の軸部16に段差22を設けて位置決めされており、ドライブエンド側の軸部16は下流側から上流側に向かうにつれて軸径が小さくなる構成なっている。
【0026】
混練部4(混練用セグメント12)より下流側に配備された第1ウォータエンド軸受20及び第2ウォータエンド軸受21は、テーパローラを有するラジアル軸受3であり、混練ロータ2のウォータエンド側の軸部16に設けられた段差の2つにそれぞれ位置決めされている。つまり、下流側の段差24には第1ウォータエンド軸受20が、また段差24より上流側の段差23には第2ウォータエンド軸受21が取り付けられていて、これらの段差23、24を有することによりウォータエンド側の混練ロータ2は上流側から下流側に向かうにつれて(軸端に向かって)軸径が小さくなる構成になっている。
【0027】
上述のようにドライブエンド側に配備される軸受3を1個、ウォータエンド側に配備される軸受3を2個とすれば、以下に示すような従来に比して著しい効果が得られる。
図3は、従来の連続混練機の正面断面図である。この従来の連続混練機では、3個の軸受3のうち、ドライブエンド側の端部に2個の軸受3が、またウォータエンド側の端部に1個の軸受3が配備されている。従来の連続混練機がこのような軸受配置を採用するのは、混練ロータ2のドライブエンド側の端部にタイミングギアを設ける場合があったからであり、タイミングギアの前後2箇所で混練ロータ2を支持することを想定していたからである。
【0028】
具体的には、図3の拡大図である図2(b)に示すように、従来の連続混練機における混練ロータ2のドライブエンド側には、混練部4に近い側に第1ドライブエンド軸受25が、また混練部4から遠い側に第2ドライブエンド軸受26が配備される。これらの第1ドライブエンド軸受25及び第2ドライブエンド軸受26の下方には、第1ドライブエンド軸受25に対応して第1フレーム部材28が、また第2ドライブエンド軸受26に対応して第2フレーム部材29が設けられており、従来の連続混練機は混練ロータ2のドライブエンド側を軸方向に離れた2箇所で支持する構成となっている。
【0029】
図2(a)に示すように、本実施形態の連続混練機1における混練ロータ2のドライブエンド側では、従来の連続混練機1に対してラジアル軸受3は1箇所だけとなる。
つまり、本実施形態の連続混練機1では、従来の連続混練機のように2個のラジアル軸受3を距離をあけてドライブエンド側の2箇所に設ける必要はなく、ドライブエンド側の軸部16の長さは従来の連続混練機の“b”より小さい“a”となる。また、ドライブエンド側のラジアル軸受3を位置決めする段差22も1箇所で良いので、段差の数も従来のものより1箇所少なくなり、カップリング15との接続位置での軸径は従来の軸径rより大きなRとなる。つまり、本発明のドライブエンド側の混練ロータ2は従来の連続混練機より太く且つ短くでき、混練ロータ2のねじり剛性が大きくなり、またねじり振動固有値も高くなるため、混練機を大型化して駆動部5(駆動モータ)の出力を高めても、あるいは運転条件をより高回転なものに変更しても共振が発生する可能性が低く、混練ロータ2の破損も起こりにくくなるのである。
【0030】
上述の作用効果を具体的な数値を挙げて説明すれば、ドライブエンド軸受25、26を2個備えた従来の連続混練機では、例えばドライブエンド側の軸部16の長さbは2156mm、カップリングに接続される混練ロータ2の軸径rは300mmとなり、混練ロータの固有振動数は35.84Hzとなる。
例えば混練ロータ2の混練翼部12が3条の翼を備えている場合であれば、混練ロータ2の回転数の3倍や6倍の周波数がねじれ固有振動値と一致すると共振が発生しやすい。それゆえ、上述のように固有振動数が35.84Hzの場合には共振を起こしやすい混練ロータ2の回転数は約350rpmや約700rpmとなる。
【0031】
一方、同種の連続混練機で比較した場合、本発明の連続混練機1のようにドライブエンド側のラジアル軸受3を1個とすれば、混練部4とカップリング15との距離aは883mmと59%も短縮でき、またカップリング15に接続される混練ロータ2の軸径Rは310mmと3%程度太くできる。その結果、混練ロータ2のねじり固有振動数は41.64Hzと16%も高くなり、共振を起こしやすい混練ロータ2の回転数も約400rpmや約800rpmと高くなる。
【0032】
このような状況下で、例えば今まで500rpmで運転していた混練ロータ2の回転数を700rpm(40%アップ)まで上げたとすると、従来の連続混練機では混練ロータ2の6次高調波がねじれ固有振動値と一致して共振が発生する可能性が高いが、本発明の連続混練機1では混練ロータ2の6次高調波がねじれ固有振動値と一致することはなく、共振が発生する虞もない。それゆえ、本発明の連続混練機1では従来の連続混練機より運転条件の高回転化や混練機の大型化が確実に行えるのである。
【0033】
また、上述した従来の連続混練機では、第1ドライブエンド軸受25が許容するラジアル荷重をDE1、第2ドライブエンド軸受26が許容するラジアル荷重をDE2、ウォータエンド軸受27が許容するラジアル荷重をWEとすると、これらの間には以下の式(1)で示される関係が成立していた。

DE1>DE2≧WE ・・・(1)

この式(1)からも分かるように、従来の連続混練機ではドライブエンド側に配備される2つの軸受25、26は、上流側の方が許容できるラジアル荷重が小さい軸受、言い換えればサイズがより小さく支持する軸の径も小さい軸受となっている。そのため、このようにより小さな軸受をドライブエンド側に配備するものでは、ねじり固有振動数を高くすることができず、更に大型化により増大したトルクを伝達することに対しても不利になってしまう。
【0034】
そこで、本発明の連続混練機1では、ドライブエンド軸受19が許容するラジアル荷重をDE、第1ウォータエンド軸受20が許容するラジアル荷重をWE1、第2ウォータエンド軸受21が許容するラジアル荷重をWE2とした場合に、以下の式(2)で示される関係が成立するようなラジアル軸受3を配備している。

WE2≧DE>WE1 ・・・(2)

このようにすれば、ドライブエンド側の軸受3に対して許容するラジアル荷重が小さいものを用いることがなくなり、この軸受3の設置も1箇所だけにすることが可能となる。その結果、ドライブエンド側の混練ロータ2の軸部16の太さを細くすることなく、その長さが従来の“b”より短い“a”となって、混練ロータ2のねじり剛性やねじり振動固有値を従来の連続混練機よりさらに大きくすることが可能となるのである。
【0035】
本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、発明の本質を変更しない範囲で各部材の形状、構造、材質、組み合わせなどを適宜変更可能である。
上記実施形態では、連続混練機1として異方向回転型の2軸連続混練機を例示した。しかし、本発明の軸受配置は、同方向回転型の連続混練機や2軸以外の連続混練機にも用いることができる。
【0036】
上記実施形態では、ラジアル軸受3が混練ロータ2に3個備えられた連続混練機1を例示したが、混練ロータ2に対するラジアル軸受3の設置数は必要に応じて3個以上であっても良い。
【符号の説明】
【0037】
1 連続混練機(混練機)
2 混練ロータ
3 ラジアル軸受
4 混練部
5 駆動部
6 バレル
7 基礎
8 支持フレーム
9 空洞部
10 ホッパ
11 混練度調整部
12 混練翼部
13 スクリュ翼部
14 動力伝達軸
15 カップリング
16 軸部
17 冷却水供給部
18 スラスト軸受
19 ドライブエンド軸受
20 第1ウォータエンド軸受
21 第2ウォータエンド軸受
22 ドライブエンド側の段差
23 ウォータエンド側の段差(混練部に近い側)
24 ウォータエンド側の段差(混練部から遠い側)
25 従来の連続混練機の第1ドライブエンド軸受
26 従来の連続混練機の第2ドライブエンド軸受
27 従来の連続混練機のウォータエンド軸受
28 従来の連続混練機のフレーム部材
29 従来の連続混練機のフレーム部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部が空洞とされたバレルと、当該バレル内に挿入されると共に軸方向の中途側に材料を混練する混練部が設けられた混練ロータと、当該混練ロータを回転させる駆動部とを備え、前記混練ロータを回転自在に支持するラジアル軸受が、当該混練ロータの軸方向に少なくとも3個備えられた連続混練機であって、
前記混練部と駆動部との距離を短くするべく、前記少なくとも3個のラジアル軸受のうち、1個のラジアル軸受が前記混練部より駆動部側に配備され、残りのラジアル軸受が前記混練部より反駆動部側に配備されていることを特徴とする連続混練機。
【請求項2】
前記ラジアル軸受は、前記混練ロータに3個備えられていることを特徴とする請求項1に記載の連続混練機。
【請求項3】
前記駆動部側に配備される1個のラジアル軸受が許容するラジアル荷重をDE、前記反駆動部側に配備される2個のラジアル軸受のうち、前記混練部から遠いラジアル軸受が許容するラジアル荷重をWE1、前記混練部に近いラジアル軸受が許容するラジアル荷重をWE2とした場合に、WE2≧DE>WE1の関係が成立することを特徴とする請求項2に記載の連続混練機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−152705(P2011−152705A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−15549(P2010−15549)
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】