説明

進行性ミオクローヌスてんかんに特徴付けられる疾患の治療用ブリバラセタムの使用

本発明は、進行性ミオクローヌスてんかんの予防又は治療に有効な薬物の調製のためのブリバラセタムの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、進行性ミオクローヌス(myoclonic)てんかんの予防又は治療に有効な薬物の調製のためのブリバラセタム(brivaracetam)の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
英国特許第1,039,113号には、化合物2−ピロリジンアセトアミドが記載されており、この化合物は治療目的に使用することができることが述べられている。この化合物は、ピラセタムとしても知られている。
【0003】
低酸素性虚血性の中枢神経系への侵襲の治療及び予防のための保護剤としてレベチラセタムとしても知られている、左旋性(S)−α−エチル−2−オキソ−1−ピロリジンアセトアミドの使用は、欧州特許出願公開第0162036(A)号明細書に記載されている。この化合物は、てんかんの治療においても使用することができ、その治療効果によって、その右旋性の鏡像異性体である(R)−(+)−α−エチル−2−オキソ−1−ピロリジン−アセトアミドは、完全にその活性を欠いていることが示されている(A.J.GOWER et al.,Eur.J.Pharmacol.,222,(1992),193−203)。不安の治療用として、レベチラセタムは欧州特許出願公開第0645139(A)号明細書にも記載されている。
【0004】
ブリバラセタムなどの2−オキソ−1−ピロリジン誘導体、並びに医薬品としてのその使用は、公開番号第01/62726号を有する国際特許出願に記載されている。その誘導体は、神経障害の治療に特に適している。
【0005】
ブリバラセタムは、進行性ミオクローヌスてんかんに特徴付けられる病状の予防又は治療に特に有用な治療特性を有することが今や見出された。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
したがって1つの態様によれば、本発明は、進行性ミオクローヌスてんかんの予防又は治療用医薬の製造のための活性化合物ブリバラセタムの使用に関する。
【0007】
他の態様では、本発明は、活性化合物ブリバラセタムの有効用量を投与することによる、患者の進行性ミオクローヌスてんかんの予防法又は治療法に関する。
【0008】
上記のように、患者に投与される活性化合物の有効用量は、体重1kg当たりブリバラセタム0.03〜30mgである。
【0009】
ブリバラセタムは、下記の化学構造
【化1】


を有する(2S)−2−[(4R)−2−オキソ−4−プロピルピロリジニル]ブタンアミドとしても知られる、(αS、4R)−α−エチル−2−オキソ−4−プロピル−1−ピロリジンアセトアミド)として公開番号WO01/62726を有する国際特許出願に記載されている。
【0010】
本発明によれば、進行性ミオクローヌスてんかん(PME)は、ミオクローヌス発作、強直間代発作、及び進行性の神経機能低下によって特徴付けられ、通常小脳徴候及び認知症を伴う。進行性ミオクローヌスてんかんは、発作、ミオクローヌス、進行性の神経機能障害、及び避けられない衰弱が起こることに特徴付けられる、衰弱性の重篤なてんかん障害の一群である。この障害は、遺伝要素を有する。PMEには、ウンフェルリヒト−ルントボルク病、ラフォラ病、赤色ぼろ線維を伴うミオクローヌスてんかん、神経セロイドリポフスチン症、シアリドーシス、及び歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症が含まれる。
【0011】
ウンフェルリヒト−ルントボルク病は、進行性ミオクローヌスてんかんである。これはシスタチンB遺伝子の突然変異に起因する常染色体劣性遺伝性の神経変性障害である。他の態様では、本発明は、ウンフェルリヒト−ルントボルク病に特徴付けられる病状の予防又は治療用医薬の製造のための活性化合物ブリバラセタムの使用に関する。
【0012】
PMEにおけるミオクローヌスは通常断片的であり、姿勢、行動、或いは光、音又は接触などの外部刺激によって誘発されることが多い。PMEにおけるミオクローヌスは多数の小さな痙動を伴い、比較的持続性があり、舞踏病に似ている場合がある随意運動によって増大する、様々な振幅の多発性なものである傾向がある。このような徴候において、ミオクローヌスはまた、全般性か又は両側性の激しいミオクローヌスとして起こる場合がある。さらに、PMEの最も決定的な特徴は、重篤な進行性の神経脱落、主として運動失調及び/又は認知症である。
【0013】
PMEをてんかんと区別するのに、いくつかの脳波(EEG)の特徴が有用である。各々の臨床上のミオクローヌスの事象は、EEG上の棘波又は棘徐波発射と関連する場合もあれば、関連しない場合もある。若年性ミオクローヌスてんかん(JME)と異なり、PME症候群のミオクローヌスの動きの大部分は、特にほぼ連続性で低振幅の痙動においては、EEG上の発射と時間的に同期しない。それらが皮質下における現象であるか、又は皮質の限定された領域の発射かは不明である。高振幅の痙動は、EEG相関を有する場合があり、JMEと関連するものよりもより遅くリズム性が弱く、非常に高振幅で全般性の棘徐波群発であることが多い。EEGの背景活動は遅く、これによって特発性全般てんかんからの状態と区別される。体性感覚誘発電位(SEP)も異常で、大きい皮質反応を示す。
【0014】
光過敏性が著しく特徴的であるウンフェルリヒト−ルントボルク病を除いて、体感覚性又は音響が反射誘発する発作がPMEにおいてはより一般であり、光誘発性の発作がJMEにおいてより一般である。
【0015】
神経画像検査によって萎縮が認められるが、特定の放射線特徴はない。皮膚又は筋肉生検をPMEの診断に用いることができる。
【0016】
臨床経過は明確である。ラフォラ小体疾患(LD)及び神経セロイドリポフスチン症(NCL)は、必ず致命的な経過をたどるのに対して、ウンフェルリヒト−ルントボルク病(EPM1)などの他の疾患は、適切な支持療法が行われれば、比較的通常の寿命を伴い得る。
【0017】
本発明は、活性化合物ブリバラセタムの治療有効量及び医薬として許容される担体を含む、進行性ミオクローヌスてんかんの予防又は治療用医薬組成物にも関する。
【0018】
活性化合物を含む医薬組成物は、例えば経口又は非経口、すなわち静脈内、筋肉内、皮下又は髄腔内に投与することができる。
【0019】
経口投与に使用できる医薬組成物は、固体又は液体でよく、例えば、錠剤、丸剤、糖衣錠、ゼラチンカプセル剤、液剤、シロップ剤などの形態でよい。
【0020】
この目的のために、活性化合物は、例えばデンプン若しくはラクトースなどの、不活性な希釈剤、又は無毒性の医薬として許容されるビヒクルと混合して使用することができる。このような医薬組成物は、微結晶性セルロース、トラガカントゴム又はゼラチンなどの結合剤、アルギン酸などの崩壊剤、ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤、コロイド状二酸化ケイ素などの流動促進剤、スクロース又はサッカリンなどの甘味料、或いは着色剤、或いはペパーミント又はサリチル酸メチルなどの香味剤を、任意選択で含むこともできる。それらは、制御された方法で活性成分を放出することができる組成物も含む。非経口投与に使用することができる医薬組成物は、この投与方法において公知である医薬品形態であり、アンプル、使い捨て注射器、ガラス製若しくはプラスチック製のバイアル又は注入容器に一般に入れられた、水性若しくは油性溶液又は懸濁液の形態である。
【0021】
活性化合物に加えて、これらの溶液又は懸濁液は、注射用水、生理食塩水溶液、油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール又は他の合成溶媒などの無菌希釈剤;ベンジルアルコールなどの抗菌剤;アスコルビン酸又は重亜硫酸ナトリウムなどの抗酸化剤;エチレンジアミン四酢酸などのキレート剤;酢酸、クエン酸又はリン酸などの緩衝液;及び塩化ナトリウム又はデクストロースなどの浸透圧調製剤を任意選択で含有することもできる。
【0022】
このような医薬品形態は、薬剤師によって日常使用されている方法を使用して調製される。医薬組成物中の活性物質の割合は、広範囲の濃度内にあることが可能であり、患者の性別、年齢、体重及び病状などの種々の要因、並びに投与方法によって決まる。したがって、経口投与のための組成物中の活性生成物の量は、組成物重量に対して少なくとも0.5重量%であり、80重量%まででよい。「活性物質」及び「活性生成物」という用語は、本出願人によって使用された場合、ブリバラセタム単独、又はこのような病状で使用するための少なくとも1種類の他の医薬活性化合物と混合することを意味する。
【0023】
非経口投与のための組成物中に存在する活性物質の量は、組成物重量に対して少なくとも0.5重量%であり、33重量%まででよい。好ましい非経口組成物のための投与単位は、活性生成物が0.1mg〜1500mgの範囲である。
【0024】
進行性ミオクローヌスてんかんによって特徴付けられる病状の予防又は治療用ブリバラセタムの有効性は、下記の薬理試験において例示することができる。
【実施例1】
【0025】
低酸素後ミオクローヌスのラットモデルにおいて、ブリバラセタムを評価した[Truong et al.(1994)「低酸素後ミオクローヌスの新規なラットの心停止モデル(Novel rat cardiac arrest model of post−hypoxic myoclonus)」Mov.Disord.9:201−206]。このモデルにおいて、雄性Sprague−Dawleyラットを、短時間機械的に誘導した心停止状態とし、その間に脳の低酸素障害を誘発する。
【0026】
全ての手術手順は、深い麻酔(ケタミン85mg/kg ip及びキシラジン15mg/kg ip)下で行われる。ラット体腔内に挿入したL型ループで血管を留めることにより、大動脈を含めた全ての心臓の主要な血管を機械的ふさぐことによって、心停止を開始し、8分間維持する。動脈の血圧を、0〜10mmHgに維持し、それが脳潅流の停止につながる。
【0027】
用手による心マッサージを再開することによって、並びにエピネフリン(10μg/kg)及び炭酸水素ナトリウム(4mEq/kg)のIV投与によって、心停止に続く8分後に蘇生を開始する。
【0028】
これらの動物は、聴覚刺激に反応した痙動挙動、及びヒトの状態に観察されるのと同様のミオクローヌスの他の特徴を示す。聴覚刺激に反応したミオクローヌスの痙動挙動は、その強度によってランク付けされる。聴覚刺激は、メトロノームの45回のクリック音であり、各刺激は周波数0.75Hzで40ミリ秒続く96dBの音の強さを有する。各々の刺激に反応した不随意筋の痙動は、下記のように点数を付けられる。0=痙動なし、1=耳の単収縮、2=耳及び体の痙動、3=耳、頭及び肩の痙動、4=体全体の痙動、並びに5=跳躍を伴う体全体の痙動。
【0029】
10、30、100及び300mg/kgでip投与したブリバラセタムの抗ミオクローヌス作用を、心停止48時間後に評価する。ミオクローヌススコアを、1用量当たり6匹のラットの群において投薬後3時間に亘り30分間隔で記録する。
【0030】
ブリバラセタムを、上記の手順によって試験し、活性があることを見出す。
【実施例2】
【0031】
ブリバラセタムを、発作及びてんかんの広範囲の動物モデルにおいて評価する。この評価における様々な試験の簡単な説明を下記に示す。
【0032】
最大電気ショック発作(MES)及びペンチレンテトラゾール(PTZ)発作に対するブリバラセタムの効果を、雄性NMRIマウス(20〜30g、一群当たりN=10)で評価する。MESは、0.2秒の間50mAの電流を供給する角膜電極によって誘発され、食塩水で処置した動物の100%において後肢強直性伸展を誘発する。
【0033】
PTZを、89mg/kg s.c.の用量で投与し、これは食塩水で処置した動物の97%の全ての四肢に間代性痙攣を誘発する用量を表す。マウスを、食塩水又は異なる用量のブリバラセタム(i.p.投与、−30分)で前処置し、発作から保護されたマウスの割合を記録する。
【0034】
DMCM誘発発作の閾値に対するブリバラセタムの効果を、雄性NMRIマウス(25〜35g、1群当たりN=10)で評価する。0.5mg/mlの濃度のDMCMを、薬物注入ポンプを用いて0.25ml/分の割合及び最長2分の注入時間で、無拘束の自由に動くマウスの尾静脈に注入することによって、全ての四肢におけるミオクローヌスの痙動及び間代性痙攣誘発の閾値を決定する。食塩水又は異なる用量のブリバラセタムをDMCM注入30分前に投与する。
【0035】
聴覚刺激に対して、激しい走り、間代性及び強直性痙攣で反応する、雄性の遺伝的に音に敏感なマウス(16〜28g、1群当たりN=10)で、ブリバラセタムを試験する。聴原発作を30秒の聴覚刺激(90dB、10〜20kHz)によって誘発する。マウスを、食塩水又は異なる用量のブリバラセタム(i.p.投与、−30分)で前処置し、間代性痙攣及び強直性痙攣の両方から保護されたマウスの割合を、抗痙攣作用を評価するためのエンドポイントとして使用する。
【0036】
キンドリング発作に対するブリバラセタムの効果を、ペントバルビタール麻酔下で双極の刺激/記録電極を右扁桃体基底外側部に埋め込まれた雄性Sprague−Dawleyラット(250〜350g)で評価する[AP−2.3、L−4.8、V−8.5(Paxinos及びWatson、1982)]。1日1回、1週間5日の刺激(500μAの単相方形波パルス、50Hz、1秒)によって、キンドリングを誘発する(Loescher et al.,1986)。Racineのスケールによって、少なくとも10回の連続したステージ4又は5の発作が現れた後に、動物はキンドリングされたと考えられる(Racine、1972)。完全にキンドリングされたラット(1群当たりN=8)を、食塩水(i.p.、−60分)投与後に、上記と同じ刺激パラメーターで一度刺激する。
【0037】
食塩水又は異なる用量のブリバラセタム(i.p.、−60分)で前処置した後に、この手順を2日後に繰り返す。
【0038】
刺激の行動への効果を、Racineのスケールによって段階評価し、全般性運動発作(ステージ<3)から保護されたラットの割合を記録する。
【0039】
遺伝性欠神性てんかんラット系からの雄性ラットを、ペントバルビタール麻酔下で左及び右前頭皮質並びに左及び右後頭皮質に、4つの白金電極を埋め込む。Plexiglassの箱内に入れられ、穏やかな感覚刺激によって眠るのを妨げられたれたラットから、皮質の自発的な棘徐波発射(SWD)が両側性で記録される。20分の順化期間後に、ラットに食塩水又は異なる用量のブリバラセタムのi.p.注射を行い、120分まで連続20分の間隔に亘りEEGを連続記録する。SWDの累積期間を計算する。
【0040】
ブリバラセタムは、マウス及びラットの両方において、異なる種類の発作を強力に防ぐ(表1及び2)。
【0041】
【表1】


括弧内の値は95%信頼区間である。
【0042】
【表2】


所与の値は、平均値±S.D.である。
*P<0.05Kruskall Wallis検定に続いて、事後におけるダンの多重比較試験対対照群
これらの結果全てで、ミオクローヌス痙動、間代及び強直発作、二次性全般化を伴う部分発作、並びに全般性欠神発作を含めた、齧歯類の異なる発作の種類に対する、ブリバラセタムの広範囲抗痙攣プロファイルが示される。
【実施例3】
【0043】
プラセボ対照、単盲検の多施設共同治験の目的は、光過敏性てんかん被験者における、ブリバラセタム(BRV)の1回の経口量(10、20、40及び80mg)の後の光突発EEG(脳波)反応(PPR)を調査することである。
【0044】
この研究において、安定したPPRを有し、少なくとも単眼条件(開眼状態、閉眼状態、閉眼)の光過敏性てんかんを有する白人被験者19人(女性15人、男性4人)を登録する。被験者は、3日間異なる周波数で、標準化された間欠的光刺激(IPS)を受け、被験者毎に周波数ステップにおける標準光過敏性範囲(SPR)を1日の間の決まった時点(服用前(−0.5時間)及び服用後(1、2、4、6、8、24、28、32、48、及び72時間))で決定する。プラセボのベースラインの日(1日目)の後、BRVを単回の経口量で与え、80mgから始め、その後は4人の被験者毎の結果によって用量を減少又は増加させていく。80mgの最初の投与量で肯定的な結果が観察されたため、この投与量を連続的に10mgへと減少させる。
【0045】
全部で18人の被験者が評価可能である。1人の被験者はベースラインの日にもはや敏感でないようであり、したがって評価可能でない。プラセボ投与下で、「閉眼」状態での投与前からのSPR変化はほとんど観察されない。全ての試験した用量のBRV投与後に、重大なSPR変化又は光過敏性窓が完全になくなることさえ観察される。
【0046】
本研究において投与された全ての単回量(10、20、40、及び80mgのBRV)は、光過敏性てんかん被験者(78%)の光突発EEG反応を減少させる(94%)又はなくすのに効果的である。全ての用量は安全で及び良好な耐容性を示す。20mg及び80mgの両方で、全ての被験者のEEG反応がなくなるので、明確な用量反応は確認できない。20mgの群のただ1人の患者は、投与前の試験でEEG反応がなかったため無反応である。
【0047】
「閉眼」状態における最初の反応までの時間及び奏功期間の記述統計学(N、中央値(範囲))を、下記の表3に表す。反応は、少なくとも3回の周波数ステップのSPR変化として定義される。奏功期間が、特に80mgの群において、約7.7時間のこの化合物の半減期を基礎とした期待効果をはるかに超えて続くことに注意することが重要である。
【0048】
【表3】


(a)反応のあった被験者の数
【0049】
全ての用量の最初の反応までの時間の中間値は0.5時間で、10、20、又は40mgのBRV後の奏功期間の中間値は約28時間である。80mgのBRV後の期間の中間値はより長い(59.5時間)。SPRにおける最大減少までの時間は用量依存性であり、10、20、40、及び80mgのBRVで、各々1.5、1.0、1.0及び0.5時間である。ブリバラセタム(BRV)の血漿濃度は、約2.0時間でピークに達する。T1/2は約8.5時間である。BRVの効果は、定量化におけるより低いレベル未満のBRV血漿濃度でさえ観察されることが多い。
【0050】
BRVの前臨床データは、てんかんに対する高い有効性を示し、これはヒトの治療効果において言い換えると、不応性てんかん患者における、発作頻度の大幅な減少並びに応答者及び発作がなくなった患者の数の増加を意味する。
【0051】
さらに、光突発EEG反応研究において光過敏性てんかんを有する患者で、BRVはヒトにおいて強い有効性を示す。上記で示されるように、BRVによって、全ての試験した用量(10、20、40、80mgの単回量)の患者において閃光刺激に続いてEEG上でてんかん型発射がなくなるか又は減少する。同じモデルで、BRV20及び80mgの単回の経口量によって、処置されて評価可能な全ての患者のEEGにおけるてんかん型発射の完全な抑制がもたらされる。しかし、BRV10mgの単回量でも、4人の患者のうち3人について反応の停止をもたらされ、4人目の患者ではEEG反応の減少をもたらされた。
【0052】
EPM1(ウンフェルリヒト−ルントボルク病)及びLD(ラフォラ病)を有する患者の光過敏性によって、このような結果は、これらの患者における潜在的有効性と関連していると考えられる。間欠的閃光刺激によるミオクローヌス痙動の誘発がPME患者の大部分の特性であることを考慮すると、PPRの結果はこれらの適応症の治療におけるBRVの有効性を予測する可能性があるものとして考えることができる。
【0053】
前臨床プロファイルは、BRVの高い可能性及び有効性を示し、EPM1におけるミオクローヌスの症状改善効果が示されるが、これは主にミオクローヌスの表現型を有する他のPMEに及ぶ可能性を秘めている。さらに、この疾患に発現する全般性発作の制御に有効性があるという可能性によって、患者が、併用のより耐容性が低い薬剤の数及び用量を減らし、又はそれどころか単独療法に戻る可能性を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
進行性ミオクローヌスてんかんに特徴付けられる病状の予防又は治療用医薬の製造のための、(2S)−2−[(4R)−2−オキソ−4−プロピルピロリジニル]ブタンアミドの使用。
【請求項2】
進行性ミオクローヌスてんかんに特徴付けられる病状が、ウンフェルリヒト−ルントボルク病、ラフォラ病、赤色ぼろ線維を伴うミオクローヌスてんかん、神経セロイドリポフスチン症、シアリドーシス、及び歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症から選択される、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
病状がウンフェルリヒト−ルントボルク病である、請求項1に記載の使用。
【請求項4】
(2S)−2−[(4R)−2−オキソ−4−プロピルピロリジニル]ブタンアミドの治療有効量及び医薬として許容される担体を含む、進行性ミオクローヌスてんかんに特徴付けられる病状の予防又は治療用医薬組成物。

【公表番号】特表2008−542417(P2008−542417A)
【公表日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−515129(P2008−515129)
【出願日】平成18年6月7日(2006.6.7)
【国際出願番号】PCT/EP2006/005405
【国際公開番号】WO2006/131322
【国際公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【出願人】(507073918)ユセベ ファルマ ソシエテ アノニム (70)
【Fターム(参考)】