説明

遊技メダル及び遊技機

【課題】不正メダルであるか否かを容易に判別することが可能な遊技メダル、この遊技メダルを利用する遊技機等を提供する。
【解決手段】遊技メダルMは円板状の金属によって形成されており、略円形の遊技メダルMの中心から一定の幅を持った円周上に識別番号を記した図形情報がメダル表面に刻印されている。この識別番号は、ユニークな識別IDとこの識別IDに対する暗号化されたチェックサムによって形成されており、この識別IDとチェックサムを利用することで、当該遊技メダルが不正メダルであるか否かを判断することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スロットマシン等の遊技機において用いられる遊技メダルに関する。
【背景技術】
【0002】
スロットマシン等の遊技機は、遊技者が所定枚数の遊技メダル(以下、単に「メダル」ともいう)を遊技機に投入してゲームを楽しむことができる。遊技に必要なメダルは、遊技ホール内に設けられたメダル貸機などで借りることができ、所望の遊技機のメダル投入口にメダルを投入することで、ゲームを開始することができる(例えば特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2005−334178号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記遊技機に用いられるメダルは、どこの遊技場でもその形状や重量が概ね同じであったため、ある遊技場において貸し出されたメダルが遊技場外へ持ち出され、そのメダルが他の遊技場に持ち込まれて遊技に使用されてしまう問題や、偽造した遊技メダル(以下、これらを「不正メダル」と総称)が流通し、これが遊技に使用されてしまうといった問題が生じていた。
【0005】
本発明は以上説明した事情を鑑みてなされたものであり、不正メダルであるか否かを容易に判別することが可能な遊技メダル、この遊技メダルを利用する遊技機等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る遊技メダルは、遊技機に利用される遊技メダルであって、当該遊技メダルの利用が可能な遊技場に関連する固有の識別番号Nを、何れかの面にあらわしたことを特徴とする。
【0007】
かかる構成によれば、遊技メダルの何れかの面に、当該遊技メダルの利用が可能な遊技場に関連する固有の識別番号があらわれているため、この識別番号を読み取ることにより、不正メダルであるか否かを容易に判別することが可能となる。よって、遊技場外などから不正に遊技メダルが持ち込まれたとしても、その遊技メダルを使用することはできず、不正メダルによる遊技を未然に防止することが可能となる。
【0008】
ここで、上記構成にあっては、前記識別番号は、当該遊技メダルの表面または側面に、図形化して刻まれている態様が好ましい。
【0009】
また、上記構成にあっては、外部読取装置を使用して読み取り可能な前記識別番号が埋め込まれた電子タグを備える態様が好ましい。
【0010】
また、本発明に係る遊技機は、前記遊技メダルを投入するための投入口と、前記遊技メダルの投入を検知する検知手段と、投入された前記遊技メダルの前記識別番号を読み取り、読み取った結果に基づいて不正メダルであるか正規メダルであるかを判断する判断手段と、不正メダルであると判断された場合に、異常が生じた旨の信号を出力する出力手段とを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、不正メダルであるか否かを容易に判別することが可能な遊技メダル、この遊技メダルを利用する遊技機等を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
A.第1実施形態
以下、本発明の実施形態として、遊技場等に設置される遊技機としてスロットマシンを用いた場合について説明する。
【0013】
(A−1−1.遊技機の構成)
図1は、本スロットマシン100の外部構成を示した平面図である。図1において、本スロットマシン100は、遊技者に面するフロントドア101と、フロントドア101が開閉可能に取り付けられた後述の筐体102とを備えて構成されている。フロントドア101は、上部パネル部103と中部パネル104と下部パネル部105とを備え、全体的に金属製のフレーム(図示略)と硬質プラスチックで成形された前面パネルとで形成されることによって、機械的に強固な構造を有している。
【0014】
上部パネル部は103には、上部ランプと呼ばれる演出用ランプ103aと、スピーカが取り付けられた放音部103b、103cと、液晶ディスプレイ等で形成された演出表示装置103dとが設けられている。
【0015】
中部パネル部104には、複数個(本実施形態では3個)の回胴リールR1,R2,R3を備えた回胴リール装置200が設けられる。なお、回胴リールR1,R2,R3の前面には、透明な硬質プラスチック板で形成された略長方形の透過窓WDが設けられ、これによって回胴リール装置200を外部から保護すると共に、遊技者が透過窓WDを介して回胴リールR1,R2,R3を見ることが可能となっている。
【0016】
更に、中部パネル部104の下端には遊技者が操作するための操作部104cが設けられ、当該操作部104cには、遊技メダルを投入するためのメダル投入部MDと、1ゲーム当たりのメダル数を提示するためのベットボタンB1,マックスベットボタンB2と、1ゲームの開始を指示するためのスタートレバーSTと、回転中の回胴リールR1,R2,R3を個別に停止させるための3個のストップボタンSP1,SP2,SP3が設けられている。マックスベットボタンB2の近傍には、投入枚数表示部AAが設けられ、上下方向に等間隔で並んだ3つのLEDにより構成されている。投入枚数表示部AAは、投入枚数1枚毎に、LEDが1つ点灯する構成となっている。
【0017】
また、透過窓WDの下側には、入賞により加算される獲得度数を表示する獲得度数表示部32と、クレジットの残度数を表示するクレジット表示部31が設けられている。
この実施形態では、規定投入枚数(3枚)が、投入され、投入枚数表示部AAの3つのLEDが全て点灯されている状態で、スタートレバーSTの操作により、ゲームが開始される。規定投入枚数の投入は、メダル投入部MDからのメダル投入の他、ベットボタンB1を押し下げることにより行うことができる。ベットボタンB1の1回の操作で、1度数が、貯留装置より投入され、クレジット表示部31の表示が1つ減算される。また、マックスベットボタンB2を押し下げることにより、規定投入枚数(3枚)が一時に投入され、クレジット表示部31から、投入された枚数に相当する度数が減算される。規定投入枚数の一部が既に投入されている場合には、マックスベットボタンB2の押し下げにより、不足分が投入される。
【0018】
貯留装置には、貯留可能な上限の枚数(例えば、50枚)が決められている。この枚数を越えてメダル投入部MDから投入されたメダルは、後述の排出口105aから返却される。貯留装置に貯留されている枚数は、クレジット表示部31に表示される。
下部パネル部105には、本スロットマシン100のゲーム内容に関連した画像等(図示略)が描かれており、遊技者の取得したメダルを払い出すための排出口105a及び受皿105bと、スピーカが取り付けられた放音部105cが設けられている。
【0019】
次に図2を参照して遊技機100のシステム構成を説明する。
主基板700は、スロットマシン100の動作全体を管理するシステムプログラム及びスロットマシンゲーム用の実行プログラムが予め記憶されている半導体メモリ等で形成された記憶部と、これらのプログラムを実行するマイクロプロセッサ(MPU)とを有し、上述のマイクロプロセッサに設けられている入力ポート及び出力ポートと残余の基板300,600,400,500,800との間が配線ケーブル(ハーネス)によって配線接続されている。
【0020】
更に又、演出用スピーカSR,SWと演出用ランプ103aと演出表示装置103dが配線ケーブルを介してサブ制御基板300に配線接続され、主基板700中の上記マイクロプロセッサから供給される演出制御信号に従って、サブ制御基板300に設けられている電気回路がこれら演出用スピーカSR,SWと演出用ランプ103aと演出表示装置103dを駆動することにより、遊技者の視覚と聴覚に訴える演出を行う。
【0021】
また、回胴装置基板600は、図柄を回転させるための装置である各回胴を回転または停止させるために、主制御基板700と各回胴の回胴ステッピングモータ、及び回転中の回胴の基準位置を検知するための回胴センサとの間を中継していると共に、主制御基板700と外部集中端子基板800との間を中継しているものである。したがって、この回胴装置基板600には、電動モータによって回転駆動される回胴リールR1,R2,R3を備えた回胴リール装置200が配線接続されており、主基板700中の上記マイクロプロセッサから供給されるリール制御信号によって、上述の電動モータを制御することにより、回胴リールR1,R2,R3の回転と制動及び停止の制御を行う。
【0022】
中央表示基板400には、振分機構G0、ベットボタンB1,マックスベットボタンB2,スタートレバーST,ストップボタンSP1,SP2,SP3、設定表示素子CT、及び設定ボタンCS、入力手段IDIが配線接続されており、振分機構G0から出力されるCT、及び設定ボタンCSが配線接続されており、振分機構G0から出力されるメダル検出信号と、ベットボタンB1,マックスベットボタンB2,とスタートレバーST及びストップボタンSP1,SP2,SP3から夫々出力されるオンオフ信号を主基板700中の上記マイクロプロセッサへ転送すると共に、マイクロプロセッサから供給されるセグメント表示信号に基づいて、設定表示素子CTに0から6までの数字を表示させる。
【0023】
電源装置基板500は、各部へ電源を供給すると共に、主制御基板700とメダル払出装置、電源モニタ基板、電源スイッチ、及び遊技メダル補助収納庫満杯検知電極との間を中継するものである。このメダル払出装置は、入賞、メダル貯留装置の精算、または投入された遊技メダルの払い戻しにより遊技メダルを排出するためのものである。なお、払い戻しにより払い出された遊技メダルは払出センサにより検知される。また、電源モニタ基板は、自動精算スイッチ、打ち止めスイッチ、各ヒューズを有すると共に、電源装置基板500と設定キースイッチ、及びリセットボタンとの間を中継しているものである。自動精算スイッチは、役物連続作動装置の作動終了後に、自動精算ありにするか、または自動精算無しにするかを設定するためのものである。打ち止めスイッチは、役物連続作動装置の作動終了後に、打ち止め有りにするか、または打ち止め無しにするかを設定するためのものである。また、設定キースイッチは、遊技機の入賞当り率の段階設定及び確認を行うためのものである。また、リセットボタンは、打ち止めまたはエラーの解除を行うものである。また、電源スイッチは、主電源のON.OFFを行うためのものである。また、遊技メダル補助収納庫満杯検知電極は、メダル払出装置の貯蔵容量を超えた遊技メダルを収納するための遊技メダル補助収納庫の満杯状態を検知するための電極である。
【0024】
この電源装置基板500には、設定スイッチBO、電源スイッチBQ、ホッパ装置HP,電源装置PWUが配線接続され、設定スイッチBOと電源スイッチBQから夫々出力されるオンオフ信号を主基板700中の上記マイクロプロセッサへ転送する。更に、電源装置基板500には、電源装置PWUで発生される各種電源電圧をホッパ装置HPその他各所に配電する配電回路が形成されており、かかる配線回路から遊技機100の動作に必要な電源供給が行われている。
【0025】
外部集中端子基板800は、主基板700中に上記マイクロプロセッサから出力される信号を並列入力することが可能な複数個の入力端子と、該当信号を管理用電子装置としてのホールコンピュータ側へ並列転送することが可能な複数個の出力端子とを備える他、ホールコンピュータ側から供給される信号を入力する入力端子及び上記マイクロプロセッサへ転送する出力端子を備えて構成されている。
【0026】
すなわち、上述の出力端子および入力端子と、ホールコンピュータに設けられている入出力インターフェースとの間を例えばフラットケーブル等の配線ケーブルで接続することによって、主基板700からホールコンピュータ側へ信号を転送し、また、ホールコンピュータから主基板700側へ信号を転送することが可能となっている。
【0027】
なお、このような信号には、メダル投入部MDからホッパ装置HPへ遊技メダルが枚投入される毎に出力される「遊技メダル投入信号」、ホッパ装置HPから排出口105aへ遊技メダルが1枚払い出されるごとに出力される「遊技メダル払出信号」、レギュラーボーナス(RB)と呼ばれる特別役に入賞したときに出力される「役物連続作動装置本当たり信号」、ビックボーナス(BB)と呼ばれるレギュラーボーナス(RB)よりも大きな特別役に入賞したときに出力される「役物連続作動増加装置本当たり信号」、いわゆる出玉率の設定操作がなされたことを示す、「設定操作信号」などがある。
【0028】
さらに、主基板700には、不正メダル検査装置20が接続されている。不正メダル検査装置200は、メダル投入部MDから投入される遊技メダルMが正規メダルであるか、不正メダルであるかの検査を行う(詳細は後述)。
【0029】
(A−1−2.遊技メダルの構成)
図3は、遊技メダルMの特徴を示す図である。
図3Aに示すように、遊技メダルMは円板状の金属によって形成されており、略円形の遊技メダルMの中心から一定の幅を持った円周上に識別番号Nを記した図形(図形情報)がメダル表面に刻印(印刷を含む)されている。この識別番号Nは、ユニークな識別IDとこの識別IDに対する暗号化されたチェックサムによって形成されている(図3B参照)。この識別番号Nを図形化したものが、上述した図形情報である。ここで、ユニークな識別IDは、例えば当該遊技場(ホール)の会社情報と連番のものを用いることができるが、当該遊技メダルの利用が可能な遊技場に関連する固有の識別番号など、種々の識別番号を採用することができる。
【0030】
また、識別IDとして、様々な記号、数字、文字(ローマ字、漢字、ひらがな、カタカナなど)を利用することができる。さらに、識別番号Nの配列方法は任意に設定することができ、例えば図3Cに示すようにスター型に配列するなど、種々の形状に配列(すなわち、図形化)しても良い。
【0031】
このように、識別番号Nを図形化することで、まずは図形化された部分を利用して当該遊技メダルMが正規メダルであるか不正メダルであるかを大まかに判断することが可能となる。
さらに、正規メダルであるか不正メダルであるかの詳細な判断については、識別番号Nを形成するユニークな識別IDとこの識別IDに対する暗号化されたチェックサムを利用することで、判断することができる。
【0032】
(A−1−3.不正メダル検査装置の構成)
図4は、遊技機100に搭載されている不正メダル検査装置200の構成を示す図である。
不正メダル検査装置200は、メダル投入部(投入口)MDから投入された遊技メダルMを転動させながら排出口へと導くメダルレール(メダル通路)210と、遊技メダルMの通過を監視する監視センサ220と、遊技メダルMに付された識別番号N(すなわち図形情報)を読み取るための読取装置230と、読み取った識別番号Nからに基づき、遊技メダルMが正規メダルであるか不正メダルであるかを判断する演算装置(判断手段)240とを備えている。
【0033】
メダルレール210は、遊技メダルMの直径よりも若干広く設定されており、図4に示すように、窓Wが設けられた傾斜の浅い読み取り部210aが設けられている。図5は、読み取り部210aの断面図である。同図に示すように、窓(読み取り窓)Wは、メダルレール210の左右両側に設けられており、読み取り部210aのレール幅は、遊技メダルMの厚さよりも若干広く設定されている。この窓Wは、メダルレール210を転がる遊技メダルMの表面に付された識別番号Nを読み取るために設けたものである。読み取り部210aの下底部210bには、ゴム210cが貼り付けられており、これにより、遊技メダルMが確実に回転する(すなわち、空回りしない)ようになっている。なお、ゴムの代わりに樹脂などでも良く、遊技メダルMの回転を促す部材(空回り防止部材)であればどのような部材であっても良い。
【0034】
監視センサ220は、上流センサ220aと下流センサ220bとを備えて構成されている。上流センサ220aは、メダル投入部MDから読み取り部210aに導入される遊技メダルMを検知するセンサであり、この検知タイミングにあわせて読取装置230をオンする構成となっている。一方、下流センサ220bは、読み取り部210aを通過した遊技メダルMを検知するセンサであり、この検知タイミングにあわせて読取装置230をオフする構成となっている。これら上流センサ220a、下流センサ220bは、例えば1対の光センサによって構成することができる。もちろん、遊技メダルMの通過を検知することができるのであれば、光センサに限らず、どのようなセンサ(例えば近接センサなど)を採用しても良い。
【0035】
読取装置230は、カメラ230aと照明装置230bとを備えて構成されている。このカメラ230aと照明装置230bは、メダルレール210の左右両側に1対ずつ設けられている。照明装置230bは、上流センサ220aからのオン指令に基づき、照明をオンする一方、下流センサ220bからのオフ指令に基づき照明をオフする。かかる制御により、少なくとも遊技メダルMが窓Wを通過している間、窓Wを通過する遊技メダルMに記された図形情報をカメラ230aによって読み取ることが可能となる。また、各カメラ230aは、窓Wから見える遊技メダルMの図形情報を読み取り、読み取った図形情報を演算装置240に出力する。
【0036】
演算装置240は、各カメラ230aから出力される図形情報に基づき、正規メダルであるか不正メダルであるかを判断する。前述したように、図形情報としての識別番号Nは、ユニークな識別IDとこの識別IDに対する暗号化されたチェックサムによって形成されている。演算装置240は、遊技メダルMに記されたチェックサムを利用して識別IDの正当性を判断する。演算装置240は、チェックサムによって識別IDが正しいと認めた場合には、正規メダルであると判断する一方、チェックサムによって識別IDが誤っていると認めた場合には、不正メダルであると判断する。演算装置240は、正規メダルであると判断すると、図示せぬメダル振り分け機構により、遊技メダルMを回収経路へと導く。なお、このとき、遊技機においては、遊技メダルMの投入をカウントアップする処理、遊技メダルMの投入枚数を更新する処理などが行われる。
【0037】
一方、演算装置240は、不正メダルであると判断すると、図示せぬメダル振り分け機構により遊技メダルMを払戻経路へと導くとともに、警報ランプ(図示略)に対して信号を出力して警報ランプを点灯させる。なお、本実施形態では、演算装置240が直接警報ランプを点灯させたりするが、外部装置(図示略)へ不正メダルであるか正規メダルであるかの判断結果を通知し、外部装置が判断結果に基づき警報ランプを点灯させたりしても良い。以下、不正メダル判定処理について図6のフローチャートを参照しながら説明する。
【0038】
監視センサ220の上流センサ220aは、遊技メダルMがメダル投入部MDに投入されたか否かを判断する(ステップS110)。上流センサ220aは、遊技メダルMがメダル投入部MDから投入され、読み取り部210aに導入されたことを検知すると、この検知タイミングにあわせて読取装置230をオンにする(ステップS120)。
【0039】
具体的には、上流センサ220aは、遊技メダルMがメダル投入部MDから投入され、読み取り部210aに導入されたことを検知すると、カメラ230aと照明装置230bに対してオン指令を送出する。これを受け、照明装置230bは、照明をオンにする一方、カメラ230aは遊技メダルMの図形情報の読み取りを開始する。メダルレール210の左右両側に設けられた各カメラ230aは、それぞれ窓Wから見える遊技メダルMの図形情報を読み取り、読み取った図形情報を演算装置240に順次出力する(ステップS130)。各カメラ230aは、下流センサ220bからオフ指令が送出されるまでの間、遊技メダルMの図形情報の読み取りを継続する。詳述すると、下流センサ220bは、遊技メダルMが読み取り部210aを通過したか否かを検知し(ステップS140)、通過していない場合はステップS130に戻り、遊技メダルMの図形情報の読み取りを継続する。一方、下流センサは、遊技メダルMが読み取り部210aを通過したことを検知すると、カメラ230aと照明装置230bに対してオフ指令を送出する。
【0040】
演算装置240は、各カメラ230aから供給される図形情報に基づき、当該遊技メダルに刻印された識別番号Nを読み取り、読み取った識別番号Nに基づき正規メダルであるか不正メダルであるかを判断する(ステップS150)。前述したように、識別番号Nは、ユニークな識別IDとこの識別IDに対する暗号化されたチェックサムによって形成されている。演算装置240は、チェックサムを利用して識別IDの正当性を判断する。
【0041】
演算装置240は、チェックサムによって識別IDが正しいと認めた場合には、正規メダルであると判断し、遊技メダルMの投入をカウントアップしたり、遊技メダルMの投入枚数を更新するなどの処理(メダル計数処理)を実行した後(ステップS160)、処理を終了する。
【0042】
一方、演算装置240は、チェックサムによって識別IDが誤っていると認めた場合には、不正メダルであると判断し、図示せぬメダル振り分け機構により、遊技メダルMを回収経路へと導き、外部に排出するための制御を行う(ステップS170)。そして、演算装置240は、警報ランプ(図示略)に対して信号を出力して警報ランプを点灯させた後(ステップS180)、処理を終了する。
【0043】
以上説明したように、本実施形態によれば、遊技メダルの表面に識別番号Nによって形成された図形情報が刻印されているため、図形情報を読み取ることによって不正メダルであるか否かの判断が可能となる。これにより、遊技場外などから不正に遊技メダルが持ち込まれたとしても、その遊技メダルを使用することはできず、不正メダルによる遊技を未然に防止することが可能となる。
【0044】
また、不正メダルが投入されたとしても、そのメダルは遊技者側に返却されるため、不正メダルが正規メダルの中に混入してしまうおそれがない。さらに、不正メダルが投入された場合には、警報ランプが点灯するため、悪意ある遊技者の不正行為を未然に抑制することが可能となる。なお、この警報ランプは、不正メダルが使用された遊技機の近傍で警報ランプを点灯させても良いが、まずは遊技場の集中管理室内に設置された警報ランプを点灯させた後、無線などで店員に通知し、意図的な不正行為であったか否かを店員に確認させるようにしても良い。
【0045】
B.第2実施形態
上述した第1実施形態では、遊技者による不正行為を防止すべく、識別番号Nによって形成された図形情報を表面に刻印した遊技メダルMを利用したが、図7に示すように、円周側面に識別番号Nによって形成された図形情報を刻印した遊技メダルM’を利用しても良い。
【0046】
図8は、第2実施形態に係る不正メダル検査装置200’の要部構成を示す図である。なお、図4に示す不正メダル検査装置200と対応する部分には同一符号を付し、説明を省略する。
図8に示すように、第2実施形態に係る読み取り部210aには、メダルレール210の上面に窓Wが設けられている。さらに、この窓Wに対抗する上部位置に読取装置230が設けられている。読取装置230を構成するカメラ230aは、メダルレール210を転がる遊技メダルM’の円周側面に刻印された図形情報を読み取り、これを演算装置240に送出する。なお、上述した第1実施形態と同様、読み取り部210aの下底部210bには、遊技メダルMの回転を確実なもとのとするために、ゴム210cが貼り付けられている(図4参照)。
【0047】
かかる構成により、円周側面に刻印した図形情報を確実に読み取ることが可能となる。なお、本実施形態では、メダルレール210の上面に窓Wを設けたが、これに代えて(あるいは加えて)メダルレール210の下面に窓Wを設けても良いのは勿論である。
【0048】
C.変形例
(1)各実施形態では、図形情報が遊技メダルに刻印されている場合について説明したが、識別IDを埋め込んだICタグを遊技メダルに付与しても良い。そして、専用のリーダ/ライタとの間で、近距離無線通信などによりデータの授受を行い、不正メダルであるか否かを判断する。かかる構成によれば、メダルレール210に窓Wを設けたり、照明装置230aを設ける必要がなく、スペースに余裕を持たせることができる。さらに、識別IDの書き換え等が可能であるため、例えば一定期間ごとに識別IDの書き換えを行い、セキュリティ性を高めるようにしても良い。
【0049】
(2)各実施形態では、遊技機としてスロットマシンを例に説明したが、例えば雀球遊技機など、遊技メダルを利用するあらゆる遊技機に適用可能である。さらに、遊技機に限ることなく、例えば遊技メダルの数を計測するメダル計数機など、遊技メダルを使用する全ての機器に適用可能である。なお、遊技メダルに限ることなく、遊技球など、あらゆる遊技媒体に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】第1実施形態における遊技機の外部構成を示す図である。
【図2】同実施形態に係る遊技機における制御システムの構成を示すブロック図である。
【図3A】同実施形態に係る遊技メダルを例示した図である。
【図3B】同実施形態に係る遊技メダルに刻印された識別番号の構成を示す図である。
【図3C】同実施形態に係る遊技メダルに刻印された識別番号の配列を例示した図である。
【図4】同実施形態に係る不正メダル検査装置の構成を示す図である。
【図5】同実施形態に係るメダルレールの断面図である。
【図6】同実施形態に係る不正メダル判定処理を示すフローチャートである。
【図7】第2実施形態に係る遊技メダルを例示した図である。
【図8】同実施形態に係る不正メダル検査装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0051】
1:遊技機
MD:メダル投入部
M,M’:遊技メダル
N:識別番号
200,200’:不正メダル検査装置
210:メダルレール
220:監視センサ
230:読取装置
240:演算装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機に利用される遊技メダルであって、
当該遊技メダルの利用が可能な遊技場に関連する固有の識別番号を、何れかの面にあらわしたことを特徴とする遊技メダル。
【請求項2】
前記識別番号は、当該遊技メダルの表面または側面に、図形化して刻まれていることを特徴とする請求項1に記載の遊技メダル。
【請求項3】
外部読取装置を使用して読み取り可能な前記識別番号が埋め込まれた電子タグを備えることを特徴とする請求項1に記載の遊技メダル。
【請求項4】
請求項1または2に記載の遊技メダルを投入するための投入口と、
前記遊技メダルの投入を検知する検知手段と、
投入された前記遊技メダルの前記識別番号を読み取り、読み取った結果に基づいて不正メダルであるか正規メダルであるかを判断する判断手段と、
不正メダルであると判断された場合に、異常が生じた旨の信号を出力する出力手段と
を具備することを特徴とする遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−237446(P2008−237446A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−80738(P2007−80738)
【出願日】平成19年3月27日(2007.3.27)
【出願人】(390031783)サミー株式会社 (5,279)
【Fターム(参考)】