説明

遊技場用管理システム

【課題】遊技場における遊技価値の付与率や利益を良好に予測することができる遊技場用管理システムを提供する。
【解決手段】遊技場用管理システムの管理装置は、遊技機側の機器から出力される遊技信号に基づいて遊技機の遊技情報を集計し、集計した遊技機の実績データ等に基づいて、管理者により遊技機2に設定した設定値の数および設定変更が行われた台数が入力されると(D1)、実績アウト及び基準アウトを設定し(D2)、遊技機全体でみたアウトの予測値である計画アウト(予測遊技価値)を算出し(D3)、遊技機全体でみた出玉率の予測値である計画出玉率を算出すると共に(D4)、予測利益を算出する(D5)。このとき、管理装置は、設定値の変更が行われていなければ第一出玉率に基づいて、設定値の変更が行われていれば第二出玉率に基づいて計画アウト及び予測利益を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数段階の設定情報の中から何れか1つの設定情報を選択して使用することにより遊技価値の遊技者への付与率を段階的に設定することが可能な遊技機が複数設置された遊技場を管理する遊技場用管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
遊技場に設置されているスロットマシン等の遊技機には、役の入賞確率を変化させる等、遊技機の所謂割数(遊技価値の付与率)に対応した複数段階の設定値(設定情報)が設けられ、遊技場の管理者は設定値を選択する(選択操作を実行する)ことで遊技機ごとに割数を調整している。これにより、遊技場の利益を確保しつつも、割数の高い設定値の遊技機にて遊技を行う機会を遊技者に与えている。
ここで、特許文献1には、複数段階の設定値をそれぞれいくつ使用しているかに応じて、遊技場における粗利等を予測するものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−195639号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、遊技機によっては、設定値を変更した場合、遊技者に有利な遊技状態の設定が実行されることがあり、同じ設定値であったとしても設定値を変更した直後か否かによって遊技者の有利度が異なる。上記した特許文献1のような従来のものは、設定値を変更しているか否かを考慮した粗利等の予測を行っていない。つまり、遊技場における利益や遊技価値の付与率を予測する上で未だ改善の余地がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、遊技場における遊技価値の付与率や利益を良好に予測することができる遊技場用管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載した発明は、複数段階の設定情報の中から何れか1つの設定情報を選択して使用することにより、遊技価値の遊技者への付与率を段階的に設定することが可能であり、遊技場における管理者が前記設定情報を選択する選択操作を行うと、同一の設定情報だったとしても前記付与率が異なる又は前記選択操作の実行から所定期間が経過するまでの前記付与率が異なる遊技状態の設定を実行する遊技機が複数設置された遊技場を管理する遊技場用管理システムであって、前記遊技機における前記設定情報ごとに対応付けられた前記付与率を、前記選択操作が行われた場合と前記選択操作が行われていない場合とのそれぞれについて個別に記憶する付与率記憶手段と、前記複数の遊技機における前記設定情報を特定する設定情報特定手段と、管理者が前記選択操作を行ったことを特定する選択操作特定手段と、前記複数の遊技機に選択された各設定情報の数に応じて、前記複数の遊技機全体の予測付与率、又は、遊技場における予測利益を算出する算出処理を実行する予測算出手段と、を備え、前記予測算出手段は、前記選択操作特定手段が前記選択操作の実行を特定していない場合、前記選択操作が行われていない場合の前記付与率を用いて前記算出処理を実行する一方、前記選択操作特定手段が前記選択操作の実行を特定している場合、前記選択操作が行われている場合の前記付与率を用いて前記算出処理を実行することを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載した発明は、遊技者が使用する遊技価値の大きさの予測値である予測遊技価値の大きさを設定する予測遊技価値設定手段を備え、前記予測算出手段は、前記選択操作特定手段が前記選択操作の実行を特定している場合、前記予測遊技価値の大きさのうち、一部の大きさについては前記選択操作が行われた場合の前記付与率を用いると共に、残りの大きさについては前記選択操作が行われていない場合の前記付与率を用いて前記算出処理を実行することを特徴とする。
請求項3に記載した発明は、前記予測遊技価値設定手段は、複数段階の設定情報のうち一の設定情報について管理者が予測遊技価値の大きさを設定した場合、その予測遊技価値の大きさからその他の設定情報に対応した予測遊技価値の大きさを算出するものであり、さらに、前記選択操作が行われていたか否かに関わらず、その他の設定情報に対応した予測遊技価値の大きさの算出結果が同じ大きさになることを特徴とする。
【0007】
請求項4に記載した発明は、複数段階の設定情報の中から何れか1つの設定情報を選択して使用することにより、遊技価値の遊技者への付与率を段階的に設定することが可能であり、遊技場における管理者が前記設定情報を選択する選択操作を行うと、同一の設定情報だったとしても前記付与率が異なる又は前記選択操作の実行から所定期間が経過するまで前記付与率が異なる遊技状態の設定を実行する遊技機を管理する遊技場用管理システムであって、管理者が前記選択操作を行ったことを特定する選択操作特定手段と、遊技者が使用した遊技価値である使用遊技価値の大きさを、前記選択操作の実行の有無を区別しつつ前記設定情報ごとに集計する使用遊技価値集計手段と、遊技の進行に応じて遊技機が遊技者に付与した遊技価値である付与遊技価値の大きさを、前記選択操作の有無を区別しつつ前記設定情報ごとに集計する付与遊技価値集計手段と、各集計手段による前記使用遊技価値の大きさ及び前記付与遊技価値の大きさの集計結果のうち、前記選択操作が行われている場合と前記選択操作が行われていない場合とを区別して、前記設定情報ごとの遊技者に対する遊技価値の付与率を算出する付与率算出手段と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項5に記載した発明は、前記使用遊技価値集計手段及び前記付与遊技価値集計手段のそれぞれは、前記選択操作が行われた後予め定められた遊技価値の大きさが遊技者により使用されるまでを前記選択操作が行われたことの影響が及ぶ期間であるとして、前記選択操作の実行の有無を区別して遊技価値の大きさを集計することを特徴とする。
請求項6に記載した発明は、前記付与率算出手段は、前記選択操作が行われていない場合の前記付与率を、前記選択操作が行われていたか否かを区別することなく前記使用遊技価値の累計及び前記付与遊技価値の累計から算出することを特徴とする。
【0009】
請求項7に記載した発明は、前記付与率算出手段は、前記選択操作が行われていない場合の前記付与率を、前記使用遊技価値集計手段が集計している使用遊技価値の大きさが予め定められた大きさよりも小さい場合は前記選択操作が行われていたか否かを区別することなく前記使用遊技価値の累計及び前記付与遊技価値の累計から算出する一方、前記使用遊技価値集計手段が集計している使用遊技価値の大きさが予め定められた大きさよりも大きい場合は前記選択操作が行われていない場合に集計した前記使用遊技価値の累計及び前記付与遊技価値の累計から算出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載した発明によれば、遊技機では設定情報(設定値)の選択操作(設定値の変更)が行われた場合に遊技状態の設定を実行されるため、設定値の変更が行われたか否かによって付与率が変化するが、設定値の変更が行われた場合と行われていない場合とで設定値に対応付けられた付与率を変更することにより、複数の遊技機全体を対象とした付与率の予測値である予測付与率や、予測利益の算出をより正確に行うことができる。
【0011】
請求項2に記載した発明によれば、予測算出手段は、予測遊技価値の大きさのうち一部の大きさについては選択操作が行われた場合の付与率を用い、残りの大きさについては選択操作が行われていない場合の付与率を用いて算出する。設定値の変更に基づき行われる遊技状態の設定に起因する付与率への影響は、選択操作の実行後の所定期間に亘って大きくなるものと考えられる。そのため、予測付与率や予測利益を算出する際、所定期間に対応する一部については設定値の変更が行われた場合の付与率を用い、残り(所定期間を除く期間)については設定値の変更が行われていない場合の付与率を用いて算出することで、予測付与率や予測利益の算出をより正確に行う効果を高めることができる。
【0012】
請求項3に記載した発明によれば、一の設定情報に対する予測遊技価値を設定すれば、他の設定情報に対する予測遊技価値を管理者が設定する必要がない。遊技機の稼動率は付与率によって変化し易く、例えば、実際の付与率が高ければ設定値が高い遊技機であると遊技者が考えて遊技時間が長く(稼動率が高く)なり易い。つまり本構成によれば、付与率に応じて遊技機の稼動率を算出できる。ここで、設定値の変更の影響は遊技状態の設定が行われている所定期間までしか及ばないことが想定でき、設定値の変更の有無によって予測遊技価値の大きさを大きく変化させることは好ましくない。本構成では予測遊技価値の大きさは変化させないため、予測付与率や予測利益の算出を正確に行う効果を顕著なものとすることができる。
【0013】
請求項4に記載した発明によれば、設定値の変更の有無を区別して付与率を算出することができる。これにより、遊技場の管理者が遊技場全体の利益等を正確に特定し易くなる。また、設定値の変更に基づく付与率の差違を特定すれば、設定値の変更の有無により遊技場の利益に与える影響を特定することも可能となる。
請求項5に記載した発明によれば、選択操作が行われた後予め定められた遊技価値の大きさが遊技者により使用されるまでの所定期間については、選択操作が行われたことの影響が及ぶ期間であるとして設定値の変更の有無を区別して遊技価値の大きさを集計する。これにより、上記した請求項2に記載した発明と同様に、予測付与率や予測利益を算出する際に予測付与率や予測利益の算出をより正確に行う効果を高めることができる。
【0014】
請求項6に記載した発明によれば、例えば所謂新台のような新しい種類の遊技機である等、使用遊技価値の大きさ及び付与遊技価値の大きさの集計を開始した直後は、可能な限り各遊技価値の集計量を増やしたいと考えるが、設定値の変更が行われていない場合の付与率の算出には設定値の変更が行われていたか否かに関わらず各遊技価値の累計を用いることで、集計量を増やし易くすることが可能となる。しかも、設定値の変更は営業日毎に全ての遊技機に対して行われるものではなく、設定値の変更が行われたことにより影響が及ぶ期間は全体の割合からみれば少ない期間であることが考えられる。このため、設定値の変更は行われていない場合の付与率については、使用遊技価値の大きさ及び付与遊技価値の大きさの累計から算出してしまっても、実際の付与率との乖離が小さい。つまり、設定値の変更が行われていない場合の付与率を、設定値の変更が行われていたか否かを区別することなく各遊技価値の累計から算出したとしても不具合が生じにくい。
【0015】
請求項7に記載した発明によれば、上記した請求項6に記載の構成を採用した場合、実際の付与率との乖離が小さいとしても、実際の付与率との乖離は生じているが、集計量が多くなった場合、即ち、使用遊技価値の大きさが予め定められた大きさよりも大きくなった場合には、設定値の変更が行われていない場合に集計した使用遊技価値の累計及び付与遊技価値の累計から算出する。これにより、実際の付与率との乖離をより小さくすることができる。つまり、早い段階で集計量を増やすという優れた効果を得つつ、集計量が増えた場合にはより正確な付与率を算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態による遊技場用管理システムの構成を概略的に示す図
【図2】遊技機の電気的構成を示す機能ブロック図
【図3】遊技機のリール配列を示す図
【図4】遊技機の役設定を示す図
【図5】遊技機の有効ラインを示す図
【図6】遊技機に設定されている当選乱数の数を示す図
【図7】管理装置の電気的構成を示す機能ブロック図
【図8】管理装置が記憶する遊技機の出玉率を示す図
【図9】管理装置が記憶する設定値アウト比率を示す図
【図10】遊技機が実行するCZ状態設定処理を示すフローチャート
【図11】遊技機が実行するCZ状態対応処理を示すフローチャート
【図12】管理装置が実行する出玉率特定処理を示すフローチャート
【図13】管理装置が実行する予測処理を示すフローチャート
【図14】遊技場用管理システムによる予測結果の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態による遊技場用管理システムについて、図1から図14を参照しながら説明する。
図1は、遊技場用管理システム1の全体構成を概略的に示している。遊技場用管理システム1が設けられている遊技場内には、複数台の遊技機2が設置されている。本実施形態の場合、遊技機2はいわゆるスロットマシンである。各遊技機2には、貸出装置3及び情報表示装置4がそれぞれ付設されている。これら遊技機2、貸出装置3及び情報表示装置4は、中継装置5に接続されている。この中継装置5は、LAN6を介して管理装置7に接続している。このため、遊技機2や貸出装置3等の遊技機2側の機器から出力される後述する遊技信号は、中継装置5によって管理装置7に送信される。管理装置7は、遊技場内の例えば事務所等に設置されており、モニタ8や図示しないプリンタ等の出力手段が接続されている。このような遊技場内には、例えば数百台の遊技機2が設置されており、管理装置7の管理対象となっている。
【0018】
遊技機2は、図2に示すように、制御部10を備えている。この制御部10は、CPU、ROM、RAM、I/Oなどを備えたマイクロコンピュータにより構成されており、スタートレバー11、左ストップボタン12a、中ストップボタン12b、右ストップボタン12c、投入メダル検知部13、クレジット精算ボタン14、MAXBETボタン15、設定値操作部16、リール17を駆動するリール駆動部18、リール17の位置を検知する基準位置検知部19、音声出力部20及びスピーカ21、遊技価値付与手段に相当するメダル払出部22、液晶表示部23、各種表示部24、ランプ部25、信号出力部26等に接続している。
【0019】
遊技機2の作動は概ね周知であるので詳細な説明は省略するが、制御部10は、メダル投入口からのメダル(遊技価値に相当する)或いはMAXBETボタン15の押下によりメダルが投入され、遊技者によりスタートレバー11が操作されると内部抽選を実行すると共にリール17を駆動し、ストップボタン12a〜12cの操作に応じて所謂引込制御によりリール17を停止する。この引込制御は、各ストップボタン12a〜12cの操作を検出した時点から予め規定された範囲内(最大で4図柄まで)にある図柄をいずれかの有効ライン上に引込んで停止させることが可能な制御である。
【0020】
リール17には、図3に示すように、遊技機2に設定されている内部当選役に対応する各図柄が描かれている。各図柄は、各リール17が停止した状態では、遊技機2の表示窓(図示せず)の上段、中段及び下段に対応して表示される。即ち、遊技機2には、各リール17について3図柄ずつ、合計9図柄分の図柄表示領域が形成されている。この遊技機2には、図4に示すように、ボーナス役、小役、リプレイ役の3種類が内部当選役として設定されている。このうち、ボーナス役としてはBB役及びRB役の2種類、小役としてはリンゴ役、ベル役及びチェリー役の3種類が設定されている。
遊技機2には、図5に示すように、合計5本(表示窓の上段、中段、下段に対応した横方向に1本ずつの3本及び斜め方向の2本)の有効ライン1〜5が設けられている。これらの有効ライン1〜5のうち何れかの有効ライン上に内部当選役に対応する図柄が揃ったとき、即ち、有効ライン上に停止表示された図柄の組合せが内部当選役に対応する図柄の組合せと一致したときに入賞が発生する。
【0021】
この遊技機2は、設定値操作部16において設定値(設定情報に相当する)を変更することにより、例えばBB役やRB役等の内部当選確率を変更可能となっている。遊技機2には設定1〜6の6段階で各役の内部当選確率を設定するための設定値が設けられており、遊技場の管理者により何れか1つが選択されて使用される。設定値が選択されると(設定値の変更が行われると)、設定値に対応した理論値の出玉率が設定される。具体的には、遊技機2では、上記した内部当選役の当選確率等が変更されることにより、設定値に応じて理論上の付与率が変化する。この設定値操作部16では、設定変更キー16aを挿入して設定値の変更を可能な状態とした上で、例えば図示しないDIPスイッチの切り替えなどによって設定値が変更される。
【0022】
遊技機2には、通常状態、ボーナス状態、CZ状態及びRT状態の4つの遊技状態が設けられており、予め定められた条件の成立に応じてこれらの遊技状態が切換わるようになっている。通常状態では、遊技者が入賞させた役に応じて対応する数のメダルが遊技者に付与される(リプレイ入賞時も含む)。また、通常状態においてボーナス役(BB役又はRB役)が入賞した場合には、入賞したボーナス役に応じたボーナス状態(BB状態又はRB状態)が発生する。このボーナス状態は、例えばメダルの払出枚数等の予め定められている終了条件が成立すると、終了する。
また、遊技機2は、ボーナス状態の終了後、及び上記した設定変更が行われた後、CZ状態となる(遊技状態の設定を実行する)。このCZ状態においてリプレイ役が入賞すると、遊技機2は通常状態へ移行する。また、CZ状態においてベル役が入賞すると、遊技機2はRT状態へ移行する。このRT状態は、ボーナス役に当選した場合、又はRT状態で50ゲームが経過した場合に終了する。
【0023】
図6は、遊技機2に設定されている各役の当選乱数の数を示している。遊技機2は、0〜65535の間で発生する1つの乱数を取得することで内部抽選を実行している。そのため、この図6は、各役の内部当選確率を示すものでもあり、上記した理論上の出玉率は、この図6に基づいて算出されている。この当選乱数の数は、設定値ごとに異なるテーブルが設けられているため、上記したように設定値に応じて理論上の出玉率が変化する。遊技機2の場合、通常状態及びCZ状態においては、BB役及びRB役に200個、リンゴ役及びチェリー役に1300個、ベル役及びリプレイ役に9000個、外れに44536個の当選乱数が割り振られている。また、RT状態では、BB役及びRB役に200個、リンゴ役及びチェリー役に1300個、ベル役に9000個、リプレイ役に53536個の当選乱数が割り振られている。また、BB状態及びRB状態ではベル役に65536個の当選乱数が割り振られている。
【0024】
遊技機2は、通常状態における出玉率が約43%の設定になるのに対して、RT状態における出玉率が約110%の設定になる。そして、設定変更が行われた場合においては、遊技機2がCZ状態から遊技をスタートする。このため、遊技機2は、設定変更が行われると、設定変更が行われなかった場合よりも遊技者に有利な遊技状態になる。換言すると、同一の設定値であったとしても、設定値の変更が行われた遊技機2と設定値の変更が行われなかった遊技機2とでは出玉率が異なる(有利度が異なる)。より具体的には、設定値が変更された遊技機2は、設定値の変更の実行から所定期間が経過するまで(本実施形態ではRT状態が終了するまで)の出玉率が異なる。
【0025】
貸出装置3は、図1に示すように、最上部に動作状態を示す動作ランプ3a、その下方に貨幣投入口3b、下部にメダル払出口3cを備えている。動作ランプ3aは、不具合が生じた場合等に点灯し、従業員に不具合の発生等を報知する。貸出装置3は、遊技者が貨幣投入口3bに貨幣を投入すると、メダル払出口3cから投入された貨幣に応じた数のメダルを遊技者に貸し出す。
これら遊技機2側の機器からは、例えば使用したメダルの数(アウト。使用遊技価値に相当し、遊技機2に投入された累計のメダルの数)を特定可能なアウト信号、入賞の発生に伴って遊技者に付与されたメダルの数(セーフ。付与遊技価値に相当し、遊技機2から付与された累計のメダルの数)を特定可能なセーフ信号、ボーナス状態を特定可能なボーナス信号、投入された貨幣の大きさを示す貸出信号等の各種の遊技信号が出力される。
【0026】
情報表示装置4は、データ表示部4a及び複数の操作ボタン4bを備えている。情報表示装置4は、遊技機2側の機器から出力される各種の遊技信号を受信して、その遊技信号を管理装置7へ転送する。また、情報表示装置4は、管理装置7から取得した各種の遊技データをデータ表示部4aに表示する。このとき、遊技者は、操作ボタン4bを操作することにより、データ表示部4aに表示される遊技データの種類の切り替えを行うことができる。また、操作ボタン4bには、遊技場の従業員の呼出等を行う機能も設定されている。
【0027】
管理装置7は、図7に示すように、CPU7a、ROM7b、RAM7c、入出力部7d、及び、HDD7e等の記憶手段を備えたコンピュータで構成されており、例えばROM7bやHDD7e等に記憶されている制御プログラムに従って作動する。管理装置7は、遊技機2側の機器から送信される上記したような各種の遊技信号に基づいて遊技情報を集計する。この遊技情報には、例えば差枚数=セーフ−アウト、遊技者に対する実際の出玉率=セーフ÷アウト、売上げ=貸出信号×貸出単価、ボーナス確率=ボーナス入賞回数÷通常状態で実行された累計のゲーム数、等が含まれる。尚、管理装置7は、必ずしも上記にて例示した全ての遊技情報を集計対象とする必要はないし、また、例示されていない他の遊技情報を集計してもよい。
【0028】
また、管理装置7は、本発明に関連して、付与率記憶部7f(付与率記憶手段に相当する)、設定情報特定部7g(設定値特定手段に相当する)、選択操作特定部7h(選択操作特定手段に相当する)、予測算出部7i(予測算出手段に相当する)、予測遊技価値設定部7j(予測遊技価値設定手段に相当する)、使用遊技価値集計部7k(使用遊技価値集計手段)、付与遊技価値集計部7l(付与遊技価値集計手段)、及び付与率算出部7m(付与率算出手段)を備えている。これら付与率記憶部7f、設定情報特定部7g、選択操作特定部7h、予測算出部7i、予測遊技価値設定部7j、使用遊技価値集計部7k、付与遊技価値集計部7l、及び付与率算出部7mは、本実施形態の場合、CPU7aにより実行されるコンピュータプログラムによってソフトウェア的に実現されている。
【0029】
付与率記憶部7fは、図8に示すように、第一出玉率及び第二出玉率を記憶している。これらの出玉率は、本実施形態の場合、後述する出玉率特定処理(算出処理に相当する)により特定される値(遊技機2の実績データ)である。ここで、第一出玉率は、遊技機2の設定値ごとに集計された出玉率であり、第二出玉率は、設定変更後のアウトが180枚を越えるまでの期間(以下、アウト180と称する)における出玉率を示している。即ち、第一出玉率が特許請求の範囲に記載した「選択操作が行われていない場合の前記付与率」に相当し、第二出玉率が「選択操作が行われた場合の前記付与率」に相当する。また、詳細は後述するが、アウト180の期間、即ち、選択操作が行われた後予め定められた遊技価値の大きさ(180枚)が遊技者により使用されるまでの期間が、特許請求の範囲に記載した「選択操作が行われたことの影響が及ぶ期間」に相当する。
【0030】
設定情報特定部7gは、それぞれ遊技機2に設定されている設定値を特定する。選択操作特定部7hは、管理者により設定された各遊技機2に対する設定値を例えばHDD7e等に記憶することにより、遊技場の管理者により設定値の変更が行われたか否かを特定する。この場合、設定値の変更がいつ(例えば日付や時間等)行われたかを特定可能に記憶している。予測算出部7iは、後述するように、複数の遊技機2に選択された各設定値の数に基づいて、複数の遊技機2全体の予測付与率、又は、遊技場における予測利益を算出する。
【0031】
予測遊技価値設定部7jは、図9に示す設定値ごとに期待されるアウトの比率を示す設定値アウト比率を記憶しており、遊技者が使用する遊技価値の大きさの予測値である予測遊技価値の大きさを設定する。設定値アウト比率は、アウトと設定値との相関関係を示す経験的に得られた(或いは過去の実績に基づいて集計した)データであり、設定値1を基準にした場合に各設定値において予想されるアウトの比率をアウトの範囲ごとに区分けして集計したデータである。遊技機2の稼動はアウトの大きさに比例するため、アウトが大きいほど稼動がよいといえる。また、過去に多くの出玉があれば次の遊技者がその遊技機2で遊技を行う傾向が多いため、設定値が大きい(出玉率が高い)高設定になるほど、設定値が小さい(出玉率が低い)低設定よりもアウト比率が高くなっている。
【0032】
この場合、設定値1のアウトを基準(1.00)として設定値ごとのアウト比率を乗算することにより、そのアウト範囲(例えば0〜8000の範囲など)における設定値ごとのアウトの予想ができ、高設定のアウトがどのくらいになるかを算出できる。即ち、一の設定値を管理者が設定した場合、そのアウトから他の設定値に対応したアウトを算出する。また、通常は基準となるアウトが低いほど(稼動率が悪い遊技場)、高設定と低設定との稼動の差が大きくなる傾向にあるため、アウトの範囲が低い(例えば0〜8000の範囲)ほど、設定値ごとのアウト比率の差は大きくなる。この設定値アウト比率は、後述する図14に示す計画出玉率(予測付与率に相当する)や予測利益の算出に用いられる。
【0033】
使用遊技価値集計部7kは、遊技機2から出力される遊技信号(本実施形態ではアウト信号)に基づいて、遊技機2にて使用されたメダルの枚数を、設定値の変更が行われたか否かにより区分して、また、設定値により区分して集計する。付与遊技価値集計部7lは、遊技機2から出力される遊技信号(本実施形態ではセーフ信号)に基づいて、遊技者に付与したメダルの枚数を、設定値の変更が行われたか否かにより区分して、また、設定値により区分して集計する。付与率算出部7mは、後述するように、使用遊技価値集計部7kで集計した遊技機2にて使用されたメダルの枚数(使用遊技価値の大きさ)と、付与遊技価値集計部7lで集計した遊技者に付与したメダルの枚数(付与遊技価値の大きさ)に基づいて、設定値の変更が行われたか否かにより区分して付与率を算出する。
【0034】
次に、上記した遊技場用管理システム1の作用について説明する。
まず、遊技機2の作動について説明する。遊技機2は、上記したような遊技の実行処理、並びに、図10に示すCZ状態設定処理及び図11に示すCZ状態対応処理を実行している。遊技機2は、遊技者による遊技の進行に応じて、図10に示すCZ状態設定処理において、ボーナス状態が終了したか(A1)、及び、設定変更(設定値の変更)があったかを判定しており(A3)、遊技機2でボーナス状態が発生した後にそのボーナス状態が終了した場合(A1:YES)、及び、設定変更が有った場合(A3:YES)には、CZ状態を設定(遊技状態の実行を設定)する(A2)。
【0035】
CZ状態を設定すると、遊技機2は、図11にCZ状態対応処理において、CZ状態であることから(B1:YES)、ベル入賞したか(B2)、及びリプレイ入賞したか(B5)を判定する。このとき、ベル入賞(ベル役が入賞)した場合には(B2:YES)、CZ状態を終了し(B3)、RT状態を設定して(B4)、リターンする。これにより、遊技機2は、通常状態よりも出玉率が高くなるRT状態へ移行する。一方、リプレイ入賞(リプレイ役が入賞)した場合には(B5:YES)、CZ状態を終了して(B6)、リターンする。この場合、遊技機2は、通常状態へ移行する。
このように、遊技機2は、ボーナス状態の終了或いは設定値の変更が行われると、RT状態に移行可能なCZ状態が設定される。このため、設定値の変更後には、遊技機2の遊技状態はCZ状態からスタートする。その場合、出玉率が高いRT状態が発生することから、同一の設定値であっても設定値の変更が行われていない遊技機2に比べて出玉率が高くなる(有利度が異なる)。
【0036】
そこで、管理装置7は、上記したような設定値の変更が行われた際に遊技状態(本実施形態ではCZ状態)が設定される遊技機2の遊技情報を、図12に示す出玉率特定処理を実行することにより集計、及びHDD7eなどに設けられている遊技情報記憶領域に記憶する。このとき、遊技情報は、選択操作特定部7hにより特定される設定値の変更が行われたか否か(選択操作の実行の有無)により区別されて遊技情報記憶領域に記憶される。具体的には、設定値の変更が行われた場合における遊技情報は、遊技情報記憶領域の設定値変更対応エリアに記憶され、設定値の変更が行われていない場合における遊技情報は、遊技情報記憶領域の通常エリアに記憶される。この場合、管理装置7は、設定値変更対応エリア及び通常エリアを遊技機2の設定値ごとにさらに区別して遊技情報を記憶している。
【0037】
ここで、本実施形態でいう「設定値の変更が行われた場合における遊技情報」とは、設定値の変更がなされてからのアウトが180枚を越えるまでの期間(アウト180の期間)における遊技情報を意味している。また、「設定値の変更が行われていない場合における遊技情報」とは、上記した「設定値の変更が行われた場合の遊技情報」を除いた期間における遊技情報を意味している。つまり、設定変更が行われた直後においては上記したように遊技機2の出玉率が変化する(出玉率の算出に影響を与える)ものの、RT状態はある程度の期間継続した後に終了することから、RT状態の終了後においては設定値の変更の有無が出玉率に与える影響がなくなる。そのため、本実施形態では、RT状態が継続する最大の期間(50ゲーム=アウトが150)と、CZ状態においてRT状態が設定されるまでに実行されると想定されるゲーム数とを考慮して、アウトが150に達する期間(即ち、RT状態である期間)よりも長いアウトが180を越えるまでの期間であるアウト180の期間を設定している。そして、アウト180の期間における出玉率を区別するために、「設定値の変更が行われた場合における遊技情報」と「設定値の変更が行われていない場合における遊技情報」とを区別して記憶する。以下、「設定値の変更がある」或いは「設定値の変更がない」などの記載も、同様の趣旨にて記載している。
【0038】
また、計画出玉率や予測利益を算出する際には、正確な遊技情報の集計が必要となる。即ち、集計する遊技情報が不正確であれば、それに基づいて算出される計画出玉率や予測利益も不正確になってしまう。例えば遊技機2のメーカから提供される上記した理論上の出玉率はあくまでも理論上のものであり、実際の遊技機2の出玉率(実績データ)と異なるおそれがある。そこで、管理装置7は、正確且つ実際の遊技情報を集計している。
【0039】
具体的には、管理装置7は、管理者により設定値の変更(以下、便宜的に設定変更と称する)が行われた場合、遊技機2に設定された設定値、設定変更の有無、及び、設定変更が行われた時点を特定可能にそれらの情報を記憶している。この場合、同一設定値に設定し直すことも、設定値の変更に含まれる。尚、以下の説明における各処理は、上記した付与率記憶部7f等の各機能部により実行される処理であるものの、説明の簡略化のため、管理装置7を主体として説明する。
【0040】
管理装置7は、図12に示す出玉率特定処理において、アウト信号を受信したか(C1)、及びセーフ信号を受信したか(C9)を判定しており、何れの信号も受信していない場合には(C1:NO、C2:NO)、リターンする。
管理装置7は、アウト信号を受信すると(C1:YES)、設定情報特定部7gにより設定値を特定した後(C2)、設定値の変更の後且つアウト180以内(アウト180の期間)であるかを判定する(C3)。そして、設定変更が行われた後のアウト180の期間である場合には(C3:YES)、設定値変更対応エリアのアウトを加算し(C4)、通常エリアのアウトも加算する(C5)。一方、設定変更が行われていない場合、及び、設定変更が行われていてもアウト180の期間でない場合には(C3:NO)、ステップC2にて特定した設定値に対応する通常エリアのアウトを加算する(C5)。尚、いずれの場合にも通常エリアのアウトは加算される。即ち、通常エリアには、設定変更の有無を区別しない状態でアウトの累計値が記憶される。
【0041】
同様に、管理装置7は、セーフ信号を受信すると(C9:YES)、設定情報特定部7gにより設定値を特定した後(C10)、設定値変更の後且つアウト180以内であるかを判定する(C11)。そして、設定変更が行われた後のアウト180の期間である場合には(C11:YES)、設定値変更対応エリアのアウトを加算し(C12)、通常エリアのセーフも加算する(C13)。一方、設定変更が行われていない場合、及び、設定変更が行われていてもアウト180の期間でない場合には(C11:NO)、ステップC10にて特定した設定値に対応する通常エリアのセーフを加算する(C13)。尚、いずれの場合にも通常エリアのセーフは加算される。即ち、通常エリアには、設定変更の有無を区別しない状態でセーフの累計値が記憶される。
【0042】
このように設定値変更が行われた場合と行われていない場合とで区分けして遊技情報を集計することにより、設定値の変更が行われた場合の出玉率の変化に起因する影響を考慮した予測利益の算出等が可能となる。
ところで、例えば新台入替のような新しい種類の遊技機2を導入した場合等、アウト及びセーフの集計を開始した直後においては、遊技場側は可能な限り各遊技価値の集計量を増やしたいと考える。そこで、管理装置7は、以下のようにして集計量(サンプル数)を増やしている。
【0043】
管理装置7は、アウトの加算(C5)又はセーフの加算(C13)を行うと、設定値変更がない場合のアウトが1000000より大きいかを判定する(C6)。ここで、「設定値変更がない場合のアウト」とは通常エリアに記憶されているアウトから設定値変更対応エリアに記憶されているアウトを減算した値であり、このステップC6では、遊技機2ごとに集計されている「設定値変更がない場合のアウト」を遊技機2全体について合算した値が1000000より大きいかを判定している。尚、遊技機2の機種ごとに合算した値であってもよい。
【0044】
管理装置7は、設定値の変更がない場合のアウトが1000000より大きい場合には(C6:YES)、通常エリアに記憶されている値から設定値変更対応エリアに記憶されている値を減算して、第一出玉率を更新し(C14)、設定値変更対応エリアの値から出玉率(第二出玉率)を更新する(C8)。つまり、アウトが1000000より大きくなると、例えば新台入替後に十分長い期間遊技が行われ、サンプル数が十分になり期待値と実績データとの乖離が少なくなったと考えられる。そのため、管理装置7は、設定値の変更の有無で区別して集計した遊技情報(アウト及びセーフ)から第一出玉率を算出すると共に、アウト180の期間に対応する第二出玉率を算出する。第一出玉率及び第二出玉率を算出すると、図8の出玉率を更新する。これにより、図8には、例えば設定値1の第一出玉率が95.0%で第二出玉率が115.0%、或いは設定値6の第一出玉率が108.2%で第二出玉率が125.8%である等の実績データが得られる。
【0045】
これに対して、管理装置7は、設定値の変更がない場合のアウトが1000000より小さい場合には(C6:NO)、通常エリアに記憶されている値(アウト及びセーフ)から出玉率(第一出玉率)を更新し(C7)、設定値変更対応エリアの値から出玉率(第二出玉率)を更新する(C8)。つまり、アウトの合算値が小さい期間においては、サンプル数が不十分なため期待値と実績データとが乖離する可能性が大きく、出玉率の算出に影響を与えるおそれがまだあると想定される。そのため、アウトが1000000より小さい場合には、サンプル数を増加させるために通常エリアに記憶されている遊技情報にて出玉率を算出する
このように、管理装置7は、遊技機2の累計のアウトが例えば1000000より大きいか否かに基づいて、サンプル数の増加を図っている。
【0046】
さて、管理装置7は、このようにして算出した出玉率の実績データ等に基づいて、図13に示す予測処理(算出処理に相当する)において計画出玉率や予測利益を算出する算出処理を実行する。管理装置7は、管理者により遊技機2に設定した設定値の数および設定変更が行われた台数が入力されると(D1)、実績アウト及び基準アウトを設定する(D2)。
実績アウトは、例えば以下のような方法で自動的に設定することも可能であるが、管理者が手動で設定してもよい。
A)配分対象となる機種の過去の実績データがある場合には、配分を決定する日が平日であれば予め定められている算出期間(例えば7日間)のうち平日における機種ごとの平均値が設定され、配分を決定する日が休日や祝日であれば実績算出期間のうち休日や祝日における機種ごとの平均値が設定される。
B)配分対象となる機種が新台の場合には、過去の一定期間(例えば3ヶ月)に新台として導入された機種の平均値が設定される。
C)配分対象となる機種の実績データがない場合には0が設定される。尚、実績データが0になった場合には、遊技場の管理者が手動で実績データを設定する必要がある。
【0047】
このような条件の下、本実施形態では、図14に示すように、実績アウトとして10000枚が設定されている。また、図14に示す基準アウトが管理者により設定されるものであるが、管理装置7により初期値として実績アウトと同じ値に設定してもよい。この図14では、機種Aが5台設けられている例が示されている。この5台の遊技機2は、「設定値の数」に示すように、設定値1が3台、設定値3が1台、設定値6が1台の内訳となっている。また、カッコ内の数値は設定変更が行われた台数を示しており、それぞれ1台ずつ設定値の変更が行われたことが示されている。
【0048】
続いて、管理装置7は、計画アウト(予測遊技価値に相当する)を算出する(D3)。この計画アウトは、遊技機2全体でみたアウトの予測値である。管理装置7は、図9に示す設定値アウト比率に基づいて、計画アウト=基準アウト×配分の平均値で算出する。具体的には、基準アウトが10000(アウト値が8001〜15000の範囲)であり、設定値1の3台のアウト比率が1.00、設定値3の1台のアウト比率が1.10、設定値6の1台のアウト比率が1.53であることから、計画アウト=10000×((1.00×3+1.10×1+1.53×1)÷5)=11260として算出される。つまり、計画アウトは、管理者が設定値1に対する予測値である基準アウトを設定すると、他の設定値に対する予測値を図9の設定値アウト比率に基づいて算出すると共に、設定値の変更が行われた場合と行われなかった場合とで同じ値が算出される。
【0049】
続いて、管理装置7は、計画出玉率を算出する(D4)。この計画出玉率は、遊技機2全体でみた出玉率の予測値である。管理装置7は、設定値の変更が行われていなければ第一出玉率に基づいて、設定値の変更が行われていれば第二出玉率に基づいて各設定値における出玉率を算出する。このとき、上記したように、設定値の変更が行われている場合については、その影響があると考えられるアウト180までの期間(総アウトのうち180まで)について、第二出玉率を参照して計画出玉率を算出する。つまり、設定値の変更がある場合には、一部の大きさについては設定値の変更が行われた場合の出玉率を用いると共に、残りの大きさについては設定値の変更が行われていない場合の出玉率を用いて算出処理を実行している。
【0050】
具体的には、設定値1の3台のうち2台については第一出玉率(95.0%)で付与率を算出し、1台についてはアウト180の期間は第二出玉率(115.0%)で、残り(10000−180)の期間は第一出玉率で付与率を算出する。設定値1の遊技機2では、設定された基準アウト(10000)に対して予測されるセーフである予測セーフは、9500+9500+(9329+207)=28536となる。同様に、設定値3及び設定値6の遊技機2は、それぞれ予測セーフが11058、16586と算出される。これらの結果から、計画出玉率=総セーフ(28536+11508+16586)÷総アウト(11260×5)=99.8%と算出される。
【0051】
そして、管理装置7は、算出した計画出玉率に基づいて、予測利益を算出する(D5)。この予測利益は、いわゆる特殊景品への交換単価や遊技場の営業形態等により変動するため、遊技場ごとに異なる値となる。そのため、詳細な算出方法は省略する。尚、予測利益を例えば計画出玉率に基づいて算出した粗利等としてもよい。
このように、管理装置7は、設定値の変更が行われたか否かを区別して集計した遊技情報に基づいて、計画出玉率及び予測利益を算出している。算出された計画出玉率及び予測利益は、モニタ8や図示しないプリンタ等に表示或いは印字出力可能である。
【0052】
以上説明した遊技場用管理システム1によれば、次のような効果を奏する。
管理装置7は、設定値の変更が行われた場合遊技状態の設定を実行する遊技機2の遊技情報を管理し、遊技場の計画出玉率や予測利益を算出する。このとき、設定値の変更が行われたか否かによって付与率が変化するものの、設定値の変更が行われた場合と行われていない場合とで設定値に対応付けられた付与率を変更して集計して計画出玉率及び予測利益を算出する。これにより、予測利益の算出を正確に行うことができる。
【0053】
管理装置7は、計画出玉率のうち一部については選択操作が行われた場合の第一付与率を用い、残りについては選択操作が行われていない場合の第二付与率を用いて算出する。
設定値の変更に基づく遊技状態の設定に起因する付与率への影響は、設定値の変更後の所定期間に亘って大きくなるものと考えられる。そのため、予測付与率や予測利益を算出する際、所定期間に対応する一部については選択操作が行われた場合の付与率を用い、残り(所定期間を除く期間)については選択操作が行われていない場合の付与率を用いて算出することで、予測付与率や予測利益の算出をより正確に行うことができる。
また、設定値の変更が行われた後予め定められたメダルの枚数が遊技者により使用されるまでの所定期間(本実施形態ではアウト180の期間)については、設定値の変更が行われたことの影響が及ぶ期間であるとして設定値の変更の有無を区別してアウト及びセーフを集計する。これにより、計画出玉率や予測利益を算出する際に予測付与率や予測利益の算出をより正確に行うことができる。
【0054】
管理装置7は、図9に示す設定値アウト比率を記憶しているので、一の設定値に対する予測遊技価値(本実施形態では、設定値1の遊技機2に対する基準アウト)を設定すれば、他の設定値に対する予測遊技価値を管理者が設定する必要がない。遊技機2の稼動率は付与率によって変化し易く、例えば、実際の付与率が高ければ設定値が高い遊技機2であると遊技者が考えて遊技時間が長く(稼動率が高く)なり易い。つまり設定値アウト比率からは、付与率に応じて遊技機2の稼動率を算出できる。
また、上記したように設定値を変更したことによる影響は遊技状態の設定が行われている所定期間(本実施形態ではアウト180の期間)までしか及ばないことが想定でき、設定値の変更の有無によって予測遊技価値の大きさを大きく変化させることは好ましくない。そこで、管理装置7は、計画出玉率や予測利益を算出する場合であっても予測遊技価値の大きさは変化させないため、計画出玉率や予測利益の算出を正確に行うことができる。
【0055】
また、管理装置7は、設定値の変更が行われたか否かを区別して遊技情報(アウト、セーフ等)を集計するので、設定値の変更の有無を区別して付与率を算出することができる。これにより、遊技場の管理者が遊技場全体の利益等を正確に特定し易くなる。また、設定値の変更に基づく付与率の差違を特定すれば、設定値の変更の有無により遊技場の利益に与える影響を特定することも可能となる。
【0056】
例えば所謂新台のような新しい種類の遊技機2を導入した場合等、その導入効果を見極めるために可能な限りアウト(使用遊技媒体数の累計値)やセーフ(付与遊技媒体数の累計値)の集計量を増やしたいと考える。そのため、管理装置7は、通常エリアに設定値の変更の有無を区別しないアウト及びセーフを記憶し、設定値の変更が行われていない場合の付与率の算出には通常エリアに記憶している遊技情報(設定値の変更の有無を区別しない累計値)を用いている。これにより、アウト及びセーフの集計量を増やし易くすることができる。この場合、設定値の変更は営業日毎に全ての遊技機2に対して行われるものではなく、設定値の変更が行われたことにより影響が及ぶ期間は全体の割合からみれば少ない期間であることが考えられる。このため、設定値の変更は行われていない場合の付与率については、アウト及びセーフで算出しても実際の付与率との乖離が小さいと想定される。つまり、設定値の変更が行われていない場合の付与率を、設定値の変更が行われていたか否かを区別することなくアウト及びセーフから算出したとしても不具合が生じにくい。
【0057】
この場合、実際の付与率との乖離が小さいとしても、実際の付与率との乖離は若干は生じると予想されるが、集計量が多くなった場合、即ち、アウトが予め定められた大きさ(本実施形態では1000000)よりも大きくなった場合には、設定値の変更が行われていない場合に集計したアウト及びセーフから算出する。これにより、実際の付与率との乖離をより小さくすることができる。つまり、早い段階で集計量を増やすことができるという優れた効果を得つつ、集計量が増えた場合にはより正確な付与率を算出することができる。
【0058】
(その他の実施形態)
本発明は、上記した一実施形態にて例示したものに限定されることなく、次のように変形又は拡張することができる。
管理装置7において配分を決定する対象となる遊技機2の構成は、一実施形態で示したものに限定されない。例えば、設定値に応じてボーナス役当選確率が変化しなくともよい(設定値により遊技者の有利度が異なればよい。例えば小役の内部当選確率や所謂ARTの発生確率などが異なる場合が考えられる)。また、設定値のあるパチンコ遊技機や封入式パチンコ遊技機、或いは完全クレジット式スロットマシン等も含まれる。
【0059】
期間平均アウトを求める対象となる期間は、遊技場の営業形態等に応じて適宜選択できるようにすればよい。期間出玉率を求める場合の期間も同様である。また、期間平均アウトに基づいて期間出玉率を算出しなくともよい。つまり、期間平均アウトに応じて設定値アウト比率が異なっていなくともよい。
出玉率の集計は、遊技場ごとに行う必要は必ずしもなく、例えば遊技場に対して各種の情報を提供するサービス用のサーバ上にて管理するようにしてもよい。この場合、遊技場側から算出した計画出玉率及び予測利益をサーバにアップロードし、サーバから設定値ごとの出玉率をダウンロードするようにすればよい。このような構成にすれば、他の遊技場も含めて集計された遊技情報に基づいて算出された出玉率から計画出玉率や予測利益の算出を行うことができると共に、複数の遊技場からデータを集めることが可能となる。
【0060】
設定値ごとの出玉率を集計する場合、設定値の変更の後のアウト180を除外してもよい。
設定値の変更が行われた場合の出玉率を集計する場合、アウト180までではなく、ボーナス当選となるまで、ボーナス発生となるまで、通常ゲームにて所定ゲーム数経過するまで等としてもよい。さらには、設定値の変更が行われた日の営業の開始から終了まで等を区別して集計するようにしてもよい。この場合、設定変更が行われた営業日の出玉率、設定変更が行わなかった営業日の出玉率をそれぞれ集計することが可能となる。したがって、計画出玉率や予測利益を算出する場合、各出玉率のうちいずれかのみを参照すればよくなる。つまり、設定値の変更に対応した出玉率がいずれの期間に対応しているかに応じて計画出玉率や予測利益の算出方法を変更してもよい。
【0061】
一実施形態では計画出玉率及び予測利益の双方を算出したが、一方を算出しなくともよい。
設定値アウト比率は一例であり、例示した数値に限定されない。また、アウト範囲についてもその範囲を適宜変更してもよい。さらには、設定値の変更の影響が及ぶ所定期間もアウトが180を越えるまでに限定されず、他の範囲(例えば150や200等)にしてもよいし、所定期間を遊技状態にて判定するようにしてもよい。また、出玉率を算出する際の使用遊技価値の大きさ(アウトの合算値。図12のステップC6参照)も1000000以外であってもよい。即ち、一実施形態にて示した数値等は、遊技機2の種類等に応じて、或いは遊技場の遊技形態に応じて適宜設定すればよい。
【0062】
遊技機2から設定値や、設定値の変更を特定可能な信号が出力される場合、その信号から遊技機2の設定値や設定値の変更の有無を特定してもよい。
遊技状態の設定には、RTやCZ以外の遊技状態を設定するものが含まれる。また、ARTやRTが設定され易くなる高確率状態を設定するようにしてもよい。さらには、設定値の変更が行われた場合、遊技者に不利益な遊技状態が設定されるようにしてもよい。例えば、遊技状態の設定として、天井までのゲーム数を設定(ゲーム数をリセット)するようにしてもよい。つまり、本発明には、設定変更に応じて、遊技状態に何らかの変化が生じ得る遊技機を管理対象とするものが含まれる。
【符号の説明】
【0063】
図面中、1は遊技場用管理システム、2は遊技機、7fは付与率記憶部(付与率記憶手段)、7gは設定情報特定部(設定値特定手段)、7hは選択操作特定部(選択操作特定手段)、7iは予測算出部(予測算出手段)、7jは予測遊技価値設定部(予測遊技価値設定手段)、7kは使用遊技価値集計部(使用遊技価値集計手段)、7lは付与遊技価値集計部(付与遊技価値集計手段)、7mは付与率算出部(付与率算出手段)を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数段階の設定情報の中から何れか1つの設定情報を選択して使用することにより、遊技価値の遊技者への付与率を段階的に設定することが可能であり、遊技場における管理者が前記設定情報を選択する選択操作を行うと、同一の設定情報だったとしても前記付与率が異なる又は前記選択操作の実行から所定期間が経過するまでの前記付与率が異なる遊技状態の設定を実行する遊技機が複数設置された遊技場を管理する遊技場用管理システムであって、
前記遊技機における前記設定情報ごとに対応付けられた前記付与率を、前記選択操作が行われた場合と前記選択操作が行われていない場合とのそれぞれについて個別に記憶する付与率記憶手段と、
前記複数の遊技機における前記設定情報を特定する設定情報特定手段と、
管理者が前記選択操作を行ったことを特定する選択操作特定手段と、
前記複数の遊技機に選択された各設定情報の数に応じて、前記複数の遊技機全体の予測付与率、又は、遊技場における予測利益を算出する算出処理を実行する予測算出手段と、を備え、
前記予測算出手段は、前記選択操作特定手段が前記選択操作の実行を特定していない場合、前記選択操作が行われていない場合の前記付与率を用いて前記算出処理を実行する一方、前記選択操作特定手段が前記選択操作の実行を特定している場合、前記選択操作が行われている場合の前記付与率を用いて前記算出処理を実行することを特徴とする遊技場用管理システム。
【請求項2】
遊技者が使用する遊技価値の大きさの予測値である予測遊技価値の大きさを設定する予測遊技価値設定手段を備え、
前記予測算出手段は、前記選択操作特定手段が前記選択操作の実行を特定している場合、前記予測遊技価値の大きさのうち、一部の大きさについては前記選択操作が行われた場合の前記付与率を用いると共に、残りの大きさについては前記選択操作が行われていない場合の前記付与率を用いて前記算出処理を実行することを特徴とする請求項1に記載の遊技場用管理システム。
【請求項3】
前記予測遊技価値設定手段は、複数段階の設定情報のうち一の設定情報について管理者が予測遊技価値の大きさを設定した場合、その予測遊技価値の大きさからその他の設定情報に対応した予測遊技価値の大きさを算出するものであり、さらに、前記選択操作が行われていたか否かに関わらず、その他の設定情報に対応した予測遊技価値の大きさの算出結果が同じ大きさになることを特徴とする請求項2に記載の遊技場用管理システム。
【請求項4】
複数段階の設定情報の中から何れか1つの設定情報を選択して使用することにより、遊技価値の遊技者への付与率を段階的に設定することが可能であり、遊技場における管理者が前記設定情報を選択する選択操作を行うと、同一の設定情報だったとしても前記付与率が異なる又は前記選択操作の実行から所定期間が経過するまで前記付与率が異なる遊技状態の設定を実行する遊技機を管理する遊技場用管理システムであって、
管理者が前記選択操作を行ったことを特定する選択操作特定手段と、
遊技者が使用した遊技価値である使用遊技価値の大きさを、前記選択操作の実行の有無を区別しつつ前記設定情報ごとに集計する使用遊技価値集計手段と、
遊技の進行に応じて遊技機が遊技者に付与した遊技価値である付与遊技価値の大きさを、前記選択操作の有無を区別しつつ前記設定情報ごとに集計する付与遊技価値集計手段と、
各集計手段による前記使用遊技価値の大きさ及び前記付与遊技価値の大きさの集計結果のうち、前記選択操作が行われている場合と前記選択操作が行われていない場合とを区別して、前記設定情報ごとの遊技者に対する遊技価値の付与率を算出する付与率算出手段と、
を備えたことを特徴とする遊技場用管理システム。
【請求項5】
前記使用遊技価値集計手段及び前記付与遊技価値集計手段のそれぞれは、前記選択操作が行われた後予め定められた遊技価値の大きさが遊技者により使用されるまでの期間を前記選択操作が行われたことの影響が及ぶ期間であるものとして、前記選択操作の実行の有無を区別して遊技価値の大きさを集計することを特徴とする請求項4に記載の遊技場用管理システム。
【請求項6】
前記付与率算出手段は、前記選択操作が行われていない場合の前記付与率を、前記選択操作が行われていたか否かを区別することなく前記使用遊技価値の累計及び前記付与遊技価値の累計から算出することを特徴とする請求項4又は5に記載の遊技場用管理システム。
【請求項7】
前記付与率算出手段は、前記選択操作が行われていない場合の前記付与率を、前記使用遊技価値集計手段が集計している使用遊技価値の大きさが予め定められた大きさよりも小さい場合は前記選択操作が行われていたか否かを区別することなく前記使用遊技価値の累計及び前記付与遊技価値の累計から算出する一方、前記使用遊技価値集計手段が集計している使用遊技価値の大きさが予め定められた大きさよりも大きい場合は前記選択操作が行われていない場合に集計した前記使用遊技価値の累計及び前記付与遊技価値の累計から算出することを特徴とする請求項6に記載の遊技場用管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−34574(P2013−34574A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−171843(P2011−171843)
【出願日】平成23年8月5日(2011.8.5)
【出願人】(000108937)ダイコク電機株式会社 (893)
【Fターム(参考)】