説明

遊技機および演出役物装置

【課題】設計作業を簡素化しつつ、迫力ある演出を行う。
【解決手段】第1本体部110aおよび第2本体部110bを有する役物本体110と、第1本体部および第2本体部を退避位置と突出位置との間で移動させる駆動機構200とを備え、駆動機構は、突出位置において合体姿勢に役物本体を保持し、退避位置において両対向面120a、120bの対向角度が合体姿勢よりも大きく、かつ、退避位置から突出位置への移動方向における後方側に両対向面を臨ませた格納姿勢に役物本体を保持する。また駆動機構は、第1本体部および第2本体部を突出位置から退避位置へと移動させる際、移動方向における前方側の第1本体部および第2本体部の両対向面間の距離を、移動方向における後方側の両対向面間の距離に比べて徐々に大きくする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、演出役物装置を有する遊技機および演出役物装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、遊技機において、液晶表示装置を用いた演出のみならず、機械的に駆動する演出役物装置を用いた演出が遂行されている。演出役物装置を用いた演出として、例えば、特許文献1に示されるように、液晶表示装置の上方に形成された空間に役物本体を退避させておき、所定の契機に基づいて当該役物本体を液晶表示装置の表示面上に降下させることで、演出を遂行する遊技機が知られている。また特許文献2に示されるように、液晶表示装置の側方に形成された空間に役物本体を退避させておき、所定の契機に基づいて当該役物本体を液晶表示装置の表示面上に突出させることで、演出を遂行する遊技機もある。
【0003】
さらに、特許文献3、4に示されるように、収容空間に臨む端部が回転可能に連結された第1役物本体および第2役物本体を備え、収容空間に退避させているときには、第1役物本体および第2役物本体が2分割され、収容空間から降下または突出させるときに、第1役物本体および第2役物本体が合体される技術も開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−311号公報
【特許文献2】特開2011−92640号公報
【特許文献3】特開2007−143966号公報
【特許文献4】特開2009−112658号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の演出役物装置は、通常、遊技盤の背面に設けられているが、遊技盤の背面には、液晶表示装置や各種の基板等、種々の部品が取り付けられている。そのため、役物本体が可動する演出役物装置を設ける場合、役物本体が他の部品と干渉しないように設計する必要があり、設計作業が煩雑化してしまうといった問題がある。また、他の部品との干渉を避けるために、役物本体のサイズが制約されてしまう場合があり、このような場合には、役物本体の可動による迫力が低下して演出効果が低下してしまうといった問題が生じる。
【0006】
本発明の目的は、設計作業を簡素化しつつ、迫力ある演出を行うことができる演出役物装置を有する遊技機および演出役物装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の遊技機は、演出役物装置を有する遊技機であって、前記演出役物装置は、第1本体部および第2本体部を有する役物本体と、前記第1本体部および第2本体部のそれぞれを退避位置と突出位置との間で移動させ、前記突出位置において前記第1本体部の対向面および前記第2本体部の対向面を対向させた合体姿勢に前記役物本体を保持し、前記退避位置において前記第1本体部および第2本体部の両対向面の対向角度が前記合体姿勢よりも大きく、かつ、前記退避位置から突出位置への移動方向における後方側に前記第1本体部および第2本体部の両対向面を臨ませた格納姿勢に前記役物本体を保持する駆動機構と、を備え、前記駆動機構は、前記第1本体部および第2本体部を前記突出位置から前記退避位置へと移動させる際、移動方向における前方側の前記第1本体部および第2本体部の両対向面間の距離を、移動方向における後方側の前記第1本体部および第2本体部の両対向面間の距離に比べて徐々に大きくすることを特徴とする。
【0008】
また、前記第1本体部および第2本体部のそれぞれに設けられ、前記役物本体が前記合体姿勢にあるとき、当該役物本体の前記突出位置と退避位置との間の移動方向と交差する方向に延在する本体側案内部と、一端側が回転自在に軸支され、他端側に前記第1本体部の前記本体側案内部にスライド可能に係合される係合部が設けられた第1リンク部材と、一端側が回転自在に軸支され、他端側に前記第2本体部の前記本体側案内部にスライド可能に係合される係合部が設けられた第2リンク部材と、を備え、前記第1リンク部材および第2リンク部材は、前記役物本体が前記合体姿勢にあるとき、前記係合部を、前記第1本体部および第2本体部における両本体側案内部のうち、互いに近接する側の一方の端部に位置させるとともに、前記役物本体を前記突出位置から退避位置へと移動させる際、前記一端側を回転軸として前記係合部が互いに離反する方向に回転し、前記係合部は、前記第1リンク部材および第2リンク部材の回転に伴って前記役物本体が前記合体姿勢から前記格納姿勢に変位する過程で、前記両本体側案内部を前記一方の端部と他方の端部との間でスライドし、前記役物本体が格納姿勢にあるとき、前記一方の端部に位置してもよい。
【0009】
また、一端側が前記第1リンク部材に回転自在に連結され、他端側が前記第1本体部に回転自在に連結された第1連結部材と、一端側が前記第2リンク部材に回転自在に連結され、他端側が前記第2本体部に回転自在に連結された第2連結部材と、を備え、前記第1本体部および前記第2本体部は、前記第1リンク部材および第2リンク部材の回転に伴う前記第1連結部材および第2連結部材の揺動と、前記係合部の前記本体側案内部におけるスライドとにより、前記格納姿勢と合体姿勢との間で変位してもよい。
【0010】
また、本発明の演出役物装置は、遊技機の遊技盤に固定される演出役物装置であって、前記遊技盤に固定される支持体と、前記支持体に設けられたモータと、前記モータの回転に伴って可動するリンク機構と、前記リンク機構に可動自在に連結された第1本体部および第2本体部を有する役物本体と、前記第1本体部および第2本体部のそれぞれを退避位置と突出位置との間で移動させ、前記突出位置において前記第1本体部の対向面および前記第2本体部の対向面を対向させた合体姿勢に前記役物本体を保持し、前記退避位置において前記第1本体部および第2本体部の両対向面の対向角度が前記合体姿勢よりも大きく、かつ、前記退避位置から突出位置への移動方向における後方側に前記第1本体部および第2本体部の両対向面を臨ませた格納姿勢に前記役物本体を保持する駆動機構と、を備え、前記駆動機構は、前記第1本体部および第2本体部を前記突出位置から前記退避位置へと移動させる際、移動方向における前方側の前記第1本体部および第2本体部の両対向面間の距離を、移動方向における後方側の前記第1本体部および第2本体部の両対向面間の距離に比べて徐々に大きくすることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】扉が開放された状態を示す遊技機本体の斜視図である。
【図2】遊技機本体の正面図である。
【図3】遊技機本体の正面図である。
【図4】演出役物装置を構成する役物本体を説明するための図である。
【図5】役物本体を遊技盤に固定するための支持体を説明するための図である。
【図6】役物本体が退避位置に配されたときの演出役物装置を説明する図である。
【図7】退避位置と突出位置との間の位置に配されたときの演出役物装置を説明する図である。
【図8】役物本体が突出位置に配されたときの演出役物装置を説明する図である。
【図9】第1本体部および第2本体部の移動軌跡を説明するための図である。
【図10】第1連結部材および第2連結部材の効果を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0013】
図1は、本実施形態の遊技機本体1の斜視図であり、扉が開放された状態を示している。図示のように、遊技機1は、略矩形状に組まれた四辺によって囲繞空間が形成される外枠2と、この外枠2にヒンジ機構によって開閉自在に取り付けられた中枠3と、この中枠3と同様に、ヒンジ機構によって外枠2に開閉自在に取り付けられた前枠4と、を備えている。
【0014】
中枠3は、外枠2と同様に、略矩形状に組まれた四辺によって囲繞空間が形成されており、この囲繞空間に遊技盤5が保持されている。また、前枠4には、ガラス製または樹脂製の透過板6が保持されている。そして、これら中枠3および前枠4を外枠2に対して閉じると、遊技盤5と透過板6とが所定の間隔を維持して略平行に対面するとともに、遊技機本体1の正面側から、透過板6を介して遊技盤5が視認可能となる。
【0015】
図2、図3は、遊技機本体1の正面図である。これらの図に示すように、前枠4の下部には、遊技機本体1の正面側に突出する操作ハンドル7が設けられている。この操作ハンドル7は、遊技者が回転操作可能に設けられており、遊技者が操作ハンドル7を回転させて発射操作を行うと、当該操作ハンドル7の回転角度に応じた強度で、不図示の発射機構によって遊技球が発射される。このようにして発射された遊技球は、遊技盤5に設けられたレール8a、8b間を上昇して遊技領域9に導かれることとなる。
【0016】
遊技領域9は、遊技盤5と透過板6との間に形成される空間であって、発射機構によって発射された遊技球がレール8a、8bから導かれる領域である。この遊技領域9には、遊技球が入球可能な一般入賞口10、第1始動口11、第2始動口12が設けられており、これら一般入賞口10、第1始動口11、第2始動口12に遊技球が入球すると、それぞれ所定の賞球が遊技者に払い出される。
【0017】
なお、第1始動口11または第2始動口12に遊技球が入球すると、予め設けられた複数の特別図柄の中からいずれか1の特別図柄を決定するための抽選が行われる。各特別図柄には、遊技者にとって有利な特別遊技の実行可否や、特別遊技を実行する場合における当該特別遊技の内容が対応付けられている。したがって、遊技者は、第1始動口11または第2始動口12に遊技球が入球すると、所定の賞球を獲得するのと同時に、種々の遊技利益を受ける権利獲得の機会を獲得することとなる。
【0018】
また、第2始動口12は、可動片12bを開閉可能に備えており、この可動片12bの状態に応じて、第2始動口12への遊技球の進入容易性が変化するようになっている。具体的には、第2始動口12は遊技盤5の正面側に向けて出没自在に構成されており、可動片12bが遊技盤5に対して没入した閉状態にあるときには、第2始動口12への遊技球の入球が不可能もしくは困難となっている。
【0019】
さらに、遊技領域9にはアタッカー装置13が設けられている。このアタッカー装置13は、遊技球が入球可能な大入賞口14と、この大入賞口14を開閉する開閉扉14bと、を備えており、通常、開閉扉14bが大入賞口14を閉扉して、大入賞口14への遊技球の入球が不可能となっている。これに対して、前述の特別遊技が実行されると、開閉扉14bが開状態に制御されて、大入賞口14への遊技球の入球が可能となり、当該大入賞口14に遊技球が入球すると、所定の賞球が遊技者に払い出される。
【0020】
なお、遊技領域9の最下部には、一般入賞口10、第1始動口11、第2始動口12、大入賞口14のいずれにも入球しなかった遊技球を、遊技領域9から遊技盤5の背面側に排出する排出口15が設けられている。
【0021】
そして、遊技盤5には、遊技の進行中等に演出を行う演出装置として、液晶表示装置からなる演出表示装置50と、可動装置からなる演出役物装置100(図3参照)とが設けられている。演出表示装置50は、画像を表示する演出表示部50aを備えており、この演出表示部50aが遊技盤5の背面に固定されている。遊技盤5の略中央部分には貫通孔5aが形成されており、演出表示部50aは、貫通孔5aを介して、遊技機本体1の正面側から視認可能に配置されている。この演出表示部50aには、図示のように演出図柄60a、60b、60cが変動表示され、これら各演出図柄60a、60b、60cの停止表示態様によって大当たりの抽選結果が遊技者に報知されることとなる。
【0022】
また、演出表示部50aの上方には、演出役物装置100が設けられている。詳しくは後述するが、演出役物装置100を構成する役物本体110は、図2に示すように通常、演出表示部50aの上方に形成された遊技盤5の背面側の空間(以下、収容空間と称する)に退避しており、遊技者から視認困難となっている。一方、図3に示すように、上記の演出図柄60a、60b、60cの変動表示中などに、役物本体110は可動され、収容空間から突出して、液晶表示部50aの前面に配される。このようにして、演出役物装置100は、遊技者に大当たりの期待感を付与する。以下、収容空間に配されるときの役物本体110の位置を「退避位置」と称し、演出表示部50aの前面に配されるときの役物本体110の位置を「突出位置」と称する。
【0023】
図4は、演出役物装置100を構成する役物本体110を説明するための図であり、図4(a)は退避位置における役物本体110の正面図を、図4(b)は退避位置における役物本体110の背面図を、図4(c)は突出位置における役物本体110の正面図を、図4(d)は突出位置における役物本体110の背面図を示す。
【0024】
図4に示すように、役物本体110は、第1本体部110aと、第2本体部110bと、連結部112とを含んで構成される。第1本体部110aおよび第2本体部110bは、それぞれ略半円形状に構成され、双方の下端(退避位置から突出位置への移動方向における前方の端部)が連結部112によって回転自在に連結されている。詳しくは後述するが、役物本体110が退避位置から突出位置へ移動する際に、図4(a)、(b)中矢印で示すように、第1本体部110aの対向面120aおよび第2本体部110bの対向面120bが互いに近づき、図4(c)、(d)に示すように、突出位置において役物本体110は、対向面120aおよび対向面120bを対向(平行に対面)させた合体姿勢に保持される。したがって、突出位置において役物本体110は、略真円形状となる。
【0025】
また、図4(d)に示すように、第1本体部110aおよび第2本体部110bの背面には、役物本体110が合体姿勢にあるとき、役物本体110の突出位置と退避位置との間の移動方向に交差する方向に延在する本体側案内部130a、130bが設けられている。本実施形態において、本体側案内部130aは、第1本体部110aの対向面120aから円弧面122aに向かって延在し、本体側案内部130bは、第2本体部110bの対向面120bから円弧面122bに向かって延在している。
【0026】
図5は、演出役物装置100を構成し、役物本体110を支持する支持体150を説明するための図であり、図5(a)は支持体150の正面図を、図5(b)は支持体150の背面図を示す。
【0027】
図5に示すように、支持体150は、薄板部材で構成され、遊技盤5の背面であって、遊技盤5の貫通孔5aの上方に固定される。また、支持体150の長手方向中央近傍には、弧状に湾曲するガイド孔152a、152bが設けられている。また、支持体150の長手方向の端部近傍には、後述する第2ギヤ206、306の回転角度を規制するガイド孔154a、154bが設けられている。このように構成された支持体150に、後述するリンク機構210を介して役物本体110が移動可能に支持される。
【0028】
図6、図7、図8は、演出役物装置100を説明する図であり、図6は、役物本体110が退避位置に配されたときの演出役物装置100を示し、図7は、役物本体110が退避位置と突出位置との間の位置に配されたときの演出役物装置100を示し、図8は、突出位置に配されたときの演出役物装置100を示す。また、図6(a)、図7(a)、図8(a)、は、演出役物装置100の正面図を、図6(b)、(c)、図7(b)、(c)、図8(b)は、演出役物装置100の背面図を示す。なお、理解を容易にするために、図6(c)では、支持体150の記載を省略するとともに、第2ギヤ206、306を破線で示し、図7(c)では、支持体150、第1ギヤ204、304、第2ギヤ206、306、第1アーム212、312、第2アーム214、314の記載を省略し、図8(b)では、支持体150を破線で示す。
【0029】
これらの図に示すように、演出役物装置100は、上記役物本体110、上記支持体150、および、役物本体110を駆動する駆動機構200を含んで構成される。
【0030】
駆動機構200は、モータ202、302と、第1ギヤ204、304と、第1ギヤ204、304に噛合する第2ギヤ206、306と、リンク機構210とを含んで構成され、役物本体110を退避位置から突出位置に移動させたり、突出位置から退避位置に移動させたりする。なお、本実施形態において駆動機構200は、同一平面上(ここでは、演出表示部50aの表示面と平行な平面上)で役物本体100を移動させる。リンク機構210は、第1アーム212、312と、第2アーム214、314と、第1リンク部材220と、第2リンク部材320と、第1連結部材250と、第2連結部材350とを含んで構成される。
【0031】
以下に、駆動機構200における各構成部材の接続関係と、駆動機構200および役物本体110の接続関係について具体的に説明する。なお、本実施形態における演出役物装置100は、遊技機本体1の正面視において左右対称(遊技機本体1の幅方向の一端側と他端側が対称)に構成されている。したがって、ここでは、遊技機本体1の幅方向一端側における構成、具体的には、モータ202、第1ギヤ204、第2ギヤ206、第1アーム212、第2アーム214、ガイドピン214a、第1リンク部材220(一端側220a、係合部220b)、第1連結部材250(一端側250a、他端側250b)、第1本体部110aについて説明し、幅方向他端側における構成(モータ302、第1ギヤ304、第2ギヤ306、第1アーム312、第2アーム314、ガイドピン314a、第2リンク部材320(一端側320a、係合部320b)、第2連結部材350(一端側350a、他端側350b)、第2本体部110b)については説明を省略する。
【0032】
図6(a)に示すように、支持体150の正面側(表側)には、長手方向の両端部近傍それぞれにモータ202、302が固定され、モータ202、302の出力軸が背面側(裏側)に貫通している。また、図6(b)に示すように、支持体150の裏側には、モータ202、302の出力軸に固定された第1ギヤ204、304が設けられており、第1ギヤ204、304に噛合する第2ギヤ206、306が支持体150に回転自在に支持されている。
【0033】
また、第1アーム212は、その一端が第2ギヤ206の平面(外周近傍)に回転自在に連結される。第2アーム214は、その一端が支持体150に回転自在に支持されるとともに、他端に設けられたガイドピン214aが支持体150の裏側から表側に向けてガイド孔152aを挿通している。第1アーム212の他端は第2アーム214に回転自在に連結されており、第2ギヤ206が回転すると第2アーム214が一端を軸とし、他端がガイド孔152aを沿うように揺動する。
【0034】
第1リンク部材220は、支持体150の表側に設けられ、図6(c)に示すように、一端側220aが支持体150の長手方向中央近傍に回転自在に軸支される。また、第1リンク部材220の他端側には係合部220bが設けられている。係合部220bは、第1本体部110aの背面に設けられた本体側案内部130aにスライド可能に係合されている。さらに、第1リンク部材220には、第1リンク部材220自体の長手方向に沿って形成される長孔220cが設けられており、第2アーム214の他端に設けられたガイドピン214aが支持体150のガイド孔152aを貫通して、長孔220cに係合されている。
【0035】
第1連結部材250は、図6(c)に示すように、略L字形状の屈曲部材で構成され、その一端側250aが第1リンク部材220の中央近傍に回転自在に連結されており、他端側250bが第1本体部110aの背面に回転自在に連結されている。
【0036】
以下、上記で説明した駆動機構200による役物本体110の駆動態様について、図6〜図8を用いて説明する。ここでは、退避位置から突出位置へ移動する際の演出役物装置100の駆動態様について説明する。なお、上述したように、本実施形態における演出役物装置100は、遊技機本体1の正面視において左右対称に構成されている。したがって、ここでは、遊技機本体1の幅方向一端側における構成の駆動態様、具体的には、モータ202、第1ギヤ204、第2ギヤ206、第1アーム212、第2アーム214、ガイドピン214a、第1リンク部材220(一端側220a、係合部220b)、第1連結部材250(一端側250a、他端側250b)、第1本体部110aの駆動態様について説明し、幅方向他端側における構成(モータ302、第1ギヤ304、第2ギヤ306、第1アーム312、第2アーム314、第2リンク部材320(一端側320a、係合部320b)、第2連結部材350(一端側350a、他端側350b)第2本体部110b)の駆動態様については説明を省略する。
【0037】
図6に示す退避位置において、駆動機構200は、第1本体部110aおよび第2本体部110bの両対向面120a、120bの対向角度(両対向面120a、120bが成す角度)が合体姿勢よりも大きく、かつ、退避位置から突出位置への移動方向における後方(図6中、上方)側に第1本体部110aおよび第2本体部110bの両対向面120a、120bを臨ませた格納姿勢に役物本体110を保持する。
【0038】
駆動機構200が退避位置から突出位置へ第1本体部110aを移動させる場合、モータ202によって第1ギヤ204が回転され、第1ギヤ204に噛合された第2ギヤ206が回転する。これに伴って、第2ギヤ206に連結された第1アーム212が移動し、第1アーム212に連結された第2アーム214は、支持体150に支持された一端を軸とし、他端(ガイドピン214a)がガイド孔152aに沿うように揺動する(図7(b)参照)。
【0039】
第1リンク部材220の長孔220cには、第2アーム214の他端に設けられたガイドピン214aが係合されている。したがって、ガイドピン214aがガイド孔152aに沿って円弧状に移動すると、当該ガイドピン214aの移動に伴って、長孔220cすなわち第1リンク部材220を鉛直下方に押し下げる力が作用する。その結果、第1リンク部材220は、一端側220aを回転軸として、係合部220bが、支持体150の端部側から中央側に向かって下方に円弧を描くように回転する(図7(c)参照)。つまり、退避位置から突出位置へ移動させる過程において、第1リンク部材220および第2リンク部材320は、係合部220bと係合部320bとが互いに近接する方向に回転する。
【0040】
そして、この第1リンク部材220および第2リンク部材320の回転に伴う第1連結部材250および第2連結部材350の揺動と、係合部220b、320bの本体側案内部130a、130bにおけるスライドとにより、第1本体部110aおよび第2本体部110bを格納姿勢から合体姿勢へ変位させる。本実施形態において、第1本体部110aおよび第2本体部110bの退避位置から突出位置への移動(格納姿勢から合体姿勢への変位)は、以下に示すように遂行される。
【0041】
すなわち、図6(c)に示すように、退避位置において第1リンク部材220の係合部220bは、本体側案内部130aにおける対向面120a側の端部(役物本体110が合体姿勢にあるとき、第1本体部110aおよび第2本体部110bにおける両本体側案内部130a、l30bのうち、互いに近接する側に位置する端部)に位置する。そして、駆動機構200によって第1本体部110aが退避位置から突出位置への移動を開始すると、図7に示すように、第1リンク部材220は、一端側220aを回転軸として係合部220bが第2本体部110bに近接する方向に回転するとともに、第1連結部材250が揺動する。このとき、第1連結部材250における一端側250aと他端側250bとの距離は固定されているため、第1リンク部材220の回転に伴って、第1本体部110aが下方に移動するとともに、連結部112を回転軸として第1連結部材250が第1本体部110aの上端を支持体150の中央側に引き寄せる。
【0042】
また、このとき、第1リンク部材220の係合部220bが、本体側案内部130aを対向面120a側の端部から円弧面122a側の端部にスライドし、これによって、第1本体部110aの上端が支持体150の中央側に引き寄せられる。
【0043】
そして、係合部220bが本体側案内部130aにおける円弧面122a側の端部に到達すると、図7に示すように、第1リンク部材220および第1連結部材250は、係合部220bを本体側案内部130aの円弧面122a側の端部に位置させた状態で、第1本体部110aをさらに下方に移動させるとともに、第1本体部110aの上端を支持体150の中央側に引き寄せる。
【0044】
そして、所定の角度まで第1本体部110aを回転させると、第1リンク部材220の回転に伴って、本体側案内部130aが係合部220bに案内されるようにスライドする。すなわち、係合部220bは、本体側案内部130aを円弧面122a側の端部から対向面120a側の端部にスライドすることになる。これによって、第1本体部110aの上端が支持体150の中央側に引き寄せられ、対向面120aが第2本体部110bの対向面120bと平行に対向することになる(図8参照)。
【0045】
また、モータ302、第1ギヤ304、第2ギヤ306、第1アーム312、第2アーム314によって、第2リンク部材320が回転するとともに、第2連結部材350が揺動し、上記と同様に第2本体部110bを下方に移動させるとともに、連結部112を回転軸として第2本体部110bの上端を支持体150の中央側に引き寄せる。
【0046】
このように、駆動機構200によって退避位置から突出位置へ駆動されることで、役物本体110は格納姿勢から合体姿勢に変位することになる。なお、図8に示すように、役物本体110が合体姿勢にあるとき、係合部220b、320bは、第1本体部110aおよび第2本体部110bにおける両本体側案内部130a、130bのうち、互いに近接する側の一方の端部(対向面120a、120b側の端部)に位置している。
【0047】
つまり、退避位置から突出位置へ移動させる際、係合部220b、320bは、第1リンク部材220および第2リンク部材320の回転に伴って役物本体110が格納姿勢から合体姿勢に変位する過程で、両本体側案内部130a、130bを一方の端部と他方の端部との間で往復動することになる。
【0048】
なお、駆動機構200によって、突出位置から退避位置へ移動する際の第1本体部110aおよび第2本体部110bの移動態様は、上記で説明した退避位置から突出位置への移動と逆の順、すなわち、図8、図7、図6に示す順で遂行される。
【0049】
具体的に説明すると、図8に示すように突出位置において、第1リンク部材220および第2リンク部材320は、両係合部220b、320bを、第1本体部110aおよび第2本体部110bにおける両本体側案内部130a、130bのうち、互いに近接する側の一方の端部(対向面120a、120b側の端部)に位置させている。そして、突出位置から退避位置へ移動する場合に、モータ204、304を上記とは逆方向に回転させると、第1リンク部材220および第2リンク部材320は、一端側220a、320aを回転軸として係合部220b、320bが互いに離反する方向に回転する。
【0050】
このとき、第1連結部材250における一端側250aと他端側250bとの距離、および第2連結部材350における一端側350aと他端側350bとの距離は固定されているため、第1リンク部材220および第2リンク部材320の回転に伴って、第1本体部110aおよび第2本体部110bが上方に移動するとともに、第1連結部材250および第2連結部材350によって、連結部112を回転軸として、第1本体部110aの上端および第2本体部110bの上端が徐々に離隔する。
【0051】
また、このとき、第1本体部110aおよび第2本体部110bを回転させると、第1リンク部材220および第2リンク部材320の回転に伴って、本体側案内部130a、130bが係合部220b、320bに案内されるようにスライドする。すなわち、係合部220b、320bは、本体側案内部130a、130bを対向面120a、120b側の端部から円弧面122a、122b側の端部にスライドすることになる。これによって、第1本体部110aの上端および第2本体部110bの上端が徐々に離隔する。
【0052】
そして、係合部220b、320bが本体側案内部130a、130bにおける円弧面122a、122b側の端部に到達すると、図7に示すように、第1リンク部材220および第1連結部材250と、第2リンク部材320および第2連結部材350は、係合部220b、320bを本体側案内部130a、130bの円弧面122a、122b側の端部に位置させた状態で第1本体部110aおよび第2本体部110bをさらに上方に移動させるとともに、第1本体部110aおよび第2本体部110bの上端を離隔させる。
【0053】
そして、所定の角度まで第1本体部110aおよび第2本体部110bを回転させると、第1リンク部材220および第2リンク部材320の回転に伴って、係合部220b、320bが、本体側案内部130a、130bを円弧面122a側の端部から対向面120a側の端部にスライドし、これによって、第1本体部110aおよび第2本体部110bの上端が離隔し、図6に示す格納姿勢となる。
【0054】
つまり、駆動機構200は、第1本体部110aおよび第2本体部110bを突出位置から退避位置へと移動させる際、移動方向における前方(図6、図7、図8中上方)側の第1本体部110aおよび第2本体部110bの両対向面間の距離を、移動方向における後方(図6、図7、図8中下方)側の両対向面間の距離に比べて徐々に大きくすることとなる。
【0055】
(第1本体部および第2本体部の移動軌跡)
図9は、第1本体部および第2本体部の移動軌跡を説明するための図である。図9中、従来の第1本体部および第2本体部の移動軌跡を破線で、本実施形態の第1本体部110aおよび第2本体部110bの移動軌跡を実線で示す。
【0056】
図9に示すように、従来の第1本体部および第2本体部は、第1本体部および第2本体部の退避位置から突出位置への移動方向における後方の端部、すなわち図9中上端が連結されている。この場合、第1本体部および第2本体部の移動空間は、図9中破線で示すように、移動方向と直交する方向(図9中左右方向)へ大きく広がってしまう。
【0057】
一方、本実施形態にかかる、第1本体部110aおよび第2本体部110bは、図9中実線で示すように、連結部112によって下端が連結され、かつ、突出位置から退避位置へと移動させる際、リンク機構210によって、移動方向における前方側の第1本体部110aおよび第2本体部110bの両対向面間の距離を、移動方向における後方側の両対向面間の距離に比べて徐々に大きくするように移動する。こうすることで、本実施形態の役物本体110の移動空間は従来の役物本体の移動空間と比較して移動方向と直交する方向の空間を大幅に小さくすることができる。
【0058】
(第1連結部材250および第2連結部材350の効果)
図10は、第1連結部材250および第2連結部材350の効果を説明するための図である。本実施形態においては、上記のとおりに、第1本体部110aに第1連結部材250および第1リンク部材220が連結、係合され、第2本体部110bに第2連結部材350および第2リンク部材320が連結、係合されることで、図9に示す如く、移動空間が小さくなる。しかしながら、本実施形態の第1連結部材250および第2連結部材350を設けずに、第1リンク部材220および第2リンク部材320によっても、従来に比して、役物本体110の移動空間を小さくすることが可能である。
【0059】
図10では、第1連結部材250および第2連結部材350を備えない変形例のリンク機構によって移動する第1本体部および第2本体部の移動軌跡を破線で、第1連結部材250および第2連結部材350を備えた本実施形態のリンク機構210によって移動する第1本体部110aおよび第2本体部110bの移動軌跡を実線で示す。
【0060】
この図からも明らかなように、変形例のリンク機構によっても、従来に比して役物本体110の移動空間を小さくすることが可能である。しかしながら、本実施形態のように、第1連結部材250および第2連結部材350を設けることにより、役物本体110の移動空間のうち、特に、移動方向と直交する方向の空間をより一層小さくすることができる。
【0061】
以上説明したように、本実施形態にかかる演出役物装置100によれば、設計作業を簡素化しつつ、迫力ある演出を行うことができる。
【0062】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0063】
例えば、本実施形態において、演出役物装置100の駆動機構200が、役物本体100(第1本体部110aおよび第2本体部110b)を鉛直方向に移動させる場合を例に挙げて説明したが、移動方向に限定はなく、例えば水平方向に移動させてもよい。
また、本実施形態において、駆動機構200は、役物本体100を同一平面上で移動させる場合を例に挙げて説明したが、必ずしも同一平面上で移動させる必要はない。
また、本実施形態において、第1本体部110aおよび第2本体部110bを略半円形状で構成したが、形状に限定はない。
また、本実施形態においては、2つのモータを設けることとしたが、第1本体部110aおよび第2本体部110bのそれぞれを支持するリンク機構を、1つのモータによって駆動しても構わない。
【符号の説明】
【0064】
1 …遊技機本体
100 …演出役物装置
110 …役物本体
110a …第1本体部
110b …第2本体部
120a、120b …対向面
130a、130b …本体側案内部
200 …駆動機構
220 …第1リンク部材
250 …第1連結部材
320 …第2リンク部材
350 …第2連結部材
220b、320b …係合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
演出役物装置を有する遊技機であって、
前記演出役物装置は、
第1本体部および第2本体部を有する役物本体と、
前記第1本体部および第2本体部のそれぞれを退避位置と突出位置との間で移動させ、前記突出位置において前記第1本体部の対向面および前記第2本体部の対向面を対向させた合体姿勢に前記役物本体を保持し、前記退避位置において前記第1本体部および第2本体部の両対向面の対向角度が前記合体姿勢よりも大きく、かつ、前記退避位置から突出位置への移動方向における後方側に前記第1本体部および第2本体部の両対向面を臨ませた格納姿勢に前記役物本体を保持する駆動機構と、を備え、
前記駆動機構は、
前記第1本体部および第2本体部を前記突出位置から前記退避位置へと移動させる際、移動方向における前方側の前記第1本体部および第2本体部の両対向面間の距離を、移動方向における後方側の前記第1本体部および第2本体部の両対向面間の距離に比べて徐々に大きくすることを特徴とする演出役物装置を有する遊技機。
【請求項2】
前記第1本体部および第2本体部のそれぞれに設けられ、前記役物本体が前記合体姿勢にあるとき、当該役物本体の前記突出位置と退避位置との間の移動方向と交差する方向に延在する本体側案内部と、
一端側が回転自在に軸支され、他端側に前記第1本体部の前記本体側案内部にスライド可能に係合される係合部が設けられた第1リンク部材と、
一端側が回転自在に軸支され、他端側に前記第2本体部の前記本体側案内部にスライド可能に係合される係合部が設けられた第2リンク部材と、を備え、
前記第1リンク部材および第2リンク部材は、
前記役物本体が前記合体姿勢にあるとき、前記係合部を、前記第1本体部および第2本体部における両本体側案内部のうち、互いに近接する側の一方の端部に位置させるとともに、前記役物本体を前記突出位置から退避位置へと移動させる際、前記一端側を回転軸として前記係合部が互いに離反する方向に回転し、
前記係合部は、
前記第1リンク部材および第2リンク部材の回転に伴って前記役物本体が前記合体姿勢から前記格納姿勢に変位する過程で、前記両本体側案内部を前記一方の端部と他方の端部との間でスライドし、前記役物本体が格納姿勢にあるとき、前記一方の端部に位置することを特徴とする請求項1記載の演出役物装置を有する遊技機。
【請求項3】
一端側が前記第1リンク部材に回転自在に連結され、他端側が前記第1本体部に回転自在に連結された第1連結部材と、
一端側が前記第2リンク部材に回転自在に連結され、他端側が前記第2本体部に回転自在に連結された第2連結部材と、を備え、
前記第1本体部および前記第2本体部は、
前記第1リンク部材および第2リンク部材の回転に伴う前記第1連結部材および第2連結部材の揺動と、前記係合部の前記本体側案内部におけるスライドとにより、前記格納姿勢と合体姿勢との間で変位することを特徴とする請求項2記載の演出役物装置を有する遊技機。
【請求項4】
遊技機の遊技盤に固定される演出役物装置であって、
前記遊技盤に固定される支持体と、
前記支持体に設けられたモータと、
前記モータの回転に伴って可動するリンク機構と、
前記リンク機構に可動自在に連結された第1本体部および第2本体部を有する役物本体と、
前記第1本体部および第2本体部のそれぞれを退避位置と突出位置との間で移動させ、前記突出位置において前記第1本体部の対向面および前記第2本体部の対向面を対向させた合体姿勢に前記役物本体を保持し、前記退避位置において前記第1本体部および第2本体部の両対向面の対向角度が前記合体姿勢よりも大きく、かつ、前記退避位置から突出位置への移動方向における後方側に前記第1本体部および第2本体部の両対向面を臨ませた格納姿勢に前記役物本体を保持する駆動機構と、を備え、
前記駆動機構は、
前記第1本体部および第2本体部を前記突出位置から前記退避位置へと移動させる際、移動方向における前方側の前記第1本体部および第2本体部の両対向面間の距離を、移動方向における後方側の前記第1本体部および第2本体部の両対向面間の距離に比べて徐々に大きくすることを特徴とする演出役物装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−111182(P2013−111182A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−259067(P2011−259067)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(000154679)株式会社平和 (1,976)
【Fターム(参考)】