説明

遊技機

【課題】 釘調整の代わりに出球率を精度よく調整することで熟練を要していた釘調整を簡略化することができ、かつ当該釘調整に代わる遊技者救済の機能を遊技者へアピールすることで遊技意欲を増大させ、稼動率を向上する。
【解決手段】 それぞれ定めた条件((A)乃至(D))が成立したときに、電役補正、すなわち、遊技盤面上の何れか、もしくは複数の入賞口への入賞確率を高めるようにしたため、各パチンコ機10間での始動入賞口46への入賞率の格差を抑制することができる。このため、従来、釘による入賞口への入賞率の調整を簡便なものとし、熟練を要する技術に代えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技媒体の払い出し制御と、特別遊技を所定条件の間行うための特別遊技制御と、入賞口への入賞を容易にする普通電動役物の開閉制御と、を実行する遊技実行制御手段を備えた遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、遊技機、特にパチンコ機において、通常遊技状態で、始動入賞口(特別図柄始動入賞口)に入賞したパチンコ球を検出することで抽選がなされ、この抽選の結果、当たりとなると、前記通常遊技状態では閉止状態とされている大入賞口が所定期間、所定回数開放され(1回の開閉を1ラウンドとし、一般に10〜16ラウンド継続する。)、遊技球の入賞率を高める、遊技者に有利な状態とする特別遊技状態(以下、大当り処理という)を持つパチンコ機がある。
【0003】
この種のパチンコ機では、遊技盤面(一般には中央にあるセンター役物等)に液晶表示装置等の画像表示制御による表示部、或いはリールや球体等の機械動作制御による可動装置(以下、総称して図柄変動表示装置という)を配置し、この図柄変動表示装置に、例えば複数の図柄列をスクロール変動させ、当該変動が停止したときの各列の図柄の状態(図柄配列状態)で、前記抽選の結果を報知することがなされている(以下、図柄変動パターン演出という)。
【0004】
上記のようなパチンコ機では、通常遊技状態における出球率を「ベース」という所定の演算結果に基づく数値で表すことがある。
【0005】
すなわち、ベースとは、パチンコ球を100球発射(投入)した場合に何個戻ってくる(払い出される)かという、大当たり中を除いた通常遊技(以下、「大当たり中以外」という)における出球率を言う。
【0006】
具体的な計算式としては、ベース=大当たり中以外の払出数(セーフ球ともいう)/大当たり中以外の投入数(アウト球ともいう)で表される。
【0007】
例えば、1日の営業時間中に28000球(大当たり中以外)を投入し、11760球(大当たり中以外)の払い出しがあったとすると、ベース=11760/28000=0.42(42%)となる。
【0008】
従って、このベースを演算することで、当該パチンコ機の通常遊技における出球状態を認識することができる。
【0009】
また、前記始動入賞口への入賞を抽選(及びその後の図柄変動パターン演出)の実行条件としたパチンコ機においては、遊技中に前記始動入賞口に入賞する入賞球数(あるいは、始動入賞口への入賞に基づく抽選が実行される回数(以下、「始動入賞口入賞回数」という)が多いほど、遊技中に大当たりになる確率が高いことを意味する。逆に、遊技中に始動入賞口に入賞する入賞球数(あるいは、始動入賞口入賞回数)が少ないほど、遊技中に大当たりになる確率が低いことを意味する。
【0010】
ここで、遊技店では、ベースに基づいて、始動入賞口を含む入賞口への入賞確率を調整するべく、遊技盤に植設された釘の微妙な曲げ具合や曲げ方向等の調整するようにしている(釘調整)。
【0011】
ところで、上記釘調整は、高度な専門技術が必要であり、かつ熟練した職人的な技術が重要な要素となっている。このため、遊技店と遊技者双方の利益バランスをとるような釘調整は非常に難しい。
【0012】
このため、熟練した釘調整技術がなくても、打玉の始動入賞率を比較的簡単に調整することが開示されている(特許文献1参照)。
【0013】
すなわち、特許文献1では、特別可変表示装置と始動入賞領域として機能する普通可変入賞球装置へ打玉が入賞しやすい入賞向上状態に制御する始動入賞制御手段を設け、その始動入賞制御手段の制御内容を変更して、普通可変入賞球装置への打玉の入賞率を変更する設定を可能としている。
【特許文献1】特許第2989869号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、上記特許文献1では、始動入賞制御手段の制御内容を変更するための割数を常に算出し、この割数に基づいて、普通可変入賞球装置への打玉の入賞率を調整しているため、技術介入性が極端に低く、割数を普通可変入賞球装置への打玉の入賞率に対してフィードバックをかけるというのは、一見優れているように見えるが、遊技機の本質を全く見過ごした方法であるといえる。
【0015】
すなわち、大当たり確率が理論的には同一であっても、一日のうちにたくさん、大当たりが出現したり、しなかったりするのが、遊技の興趣であり、これが一定値に収束する様に調整されてしまっては、つまらないし、さらにはその遊技履歴を把握することにより、今後の出球をある程度予測できてしまい不正されやすい。
【0016】
本来的には、自然の大当たり抽選確率に任せ、長期間に亘った結果として、理論値の大当たり確率に収束する従来の考え方が望ましい。
【0017】
本発明は上記事実を考慮し、釘調整の本来の考え方を承継しつつ、釘調整の代わりに通常遊技における出球率を精度よく調整することで熟練を要していた釘調整を簡略化することができ、かつ当該釘調整に代わる遊技者救済の機能を遊技者へアピールすることで遊技意欲を増大させ、稼動率を向上することができる遊技機を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0018】
請求項1に記載の発明は、遊技媒体が遊技盤面上の入賞口へ入賞することによる所定数の遊技媒体の払い出し制御と、前記入賞口に含まれる抽選用入賞口への入賞により所定の抽選確率の下で抽選を行い、当該抽選の結果が当たりの場合に、前記遊技盤面上での入賞確率が比較的大きくない通常遊技中よりも多くの払い出しを受けることが可能な入賞確率状態となる特別遊技を所定条件の間行うための特別遊技制御と、前記遊技盤面上の何れか、もしくは複数の入賞口への入賞を容易にする普通電動役物の開閉制御と、を実行する遊技実行制御手段を備えた遊技機であって、前記遊技実行制御手段が、前記通常遊技における前記遊技盤面へ発射された遊技媒体の振り分け履歴に基づく所定の遊技媒体投入数に対する、全ての入賞口への入賞による遊技媒体の払出数の割合として演算される計数値である通常ベース値が所定値以下となったとき、或いは、前記通常遊技における前記遊技盤面へ発射された遊技媒体の振り分け履歴に基づく所定の遊技媒体投入数に対する、全ての入賞口への入賞による遊技媒体の払出数の割合として演算される計数値である通常ベース値が所定値以下となった場合に判定される所定の第1条件がさらに成立したときに、前記遊技盤面上の何れか、もしくは複数の入賞口への入賞確率を高めるように所定の第2の条件に基づき前記普通電動役物を作動制御するようにしたことを特徴としている。
【0019】
請求項1に記載の発明によれば、遊技実行制御手段により、通常遊技が実行されているとき、遊技盤面へ発射された遊技媒体の振り分け履歴に基づく所定の遊技媒体投入数に対する、全ての入賞口への入賞による遊技媒体の払出数の割合として演算される計数値である通常ベース値が所定値以下となったとき、或いは、前記通常遊技における前記遊技盤面へ発射された遊技媒体の振り分け履歴に基づく所定の遊技媒体投入数に対する、全ての入賞口への入賞による遊技媒体の払出数の割合として演算される計数値である通常ベース値が所定値以下となった場合に判定される所定の第1条件がさらに成立したときに、前記遊技盤面上の何れか、もしくは複数の入賞口への入賞確率を高めるように所定の第2の条件に基づき前記普通電動役物を作動制御する。
【0020】
ここで、計数値である通常ベース値が所定値以下となったとき、あるいはさらに所定の第1の条件が成立したときは、前記計数値データが釘調整した場合と同様の効果を得るために、プラスの補正が必要となった場合とする。
【0021】
ここで、プラスの補正としたのは、マイナスの補正は、遊技者に不利になる状態を強制的に作り出すのは困難、かつ遊技意欲の減退を招く等の理由からである。
【0022】
また、本発明においては、釘調整を施した遊技機に比べ、通常状態をマイナス状態にしておき、プラスの補正の必要性を確保し、そのプラスの補正量により釘調整の機能を実現するという考え方が好適である。
【0023】
上記普通電動役物を所定の第2の条件で作動制御することで、その分遊技者は特別遊技になる機会が増え、遊技者の有利な遊技状態となり得る。
【0024】
これにより、遊技機毎に比較的ラフな釘調整がなされていても、すなわち、釘状態がきちんと調整されていなくても、釘調整による出球率の調整に頼ることがなく、遊技機間での遊技者の釘調整に関する損益の格差を是正することができる。
【0025】
請求項2に記載の発明は、遊技媒体が遊技盤面上の入賞口へ入賞することによる所定数の遊技媒体の払い出し制御と、前記入賞口に含まれる抽選用入賞口への入賞により所定の抽選確率の下で抽選を行い、当該抽選の結果が当たりの場合に、前記遊技盤面上での入賞確率が比較的大きくない通常遊技中よりも多くの払い出しを受けることが可能な入賞確率状態となる特別遊技を所定条件の間行うための特別遊技制御と、前記遊技盤面上の何れか、もしくは複数の入賞口への入賞を容易にする普通電動役物の開閉制御と、実行する遊技実行制御手段を備えた遊技機であって、前記特別遊技において通常遊技よりも多くの払い出しを受けることが可能なように開放制御される特別入賞口を有し、前記遊技実行制御手段が、前記遊技盤面へ発射された遊技媒体の振り分け履歴に基づく所定の遊技媒体投入数に対する、前記特別入賞口以外の入賞口への入賞による遊技媒体の払出数の割合として演算される計数値である一般ベース値が所定値以下となったとき、或いは、前記遊技盤面へ発射された遊技媒体の振り分け履歴に基づく所定の遊技媒体投入数に対する、前記特別入賞口以外の入賞口への入賞による遊技媒体の払出数の割合として演算される計数値である一般ベース値が所定値以下となった場合に判定される所定の第1条件がさらに成立したときに、前記遊技盤面上の何れか、もしくは複数の入賞口への入賞確率を高めるように所定の第2の条件に基づき前記普通電動役物を作動制御するようにしたことを特徴としている。
【0026】
請求項2に記載の発明によれば、遊技実行制御手段により、遊技盤面へ発射された遊技媒体の振り分け履歴に基づく所定の遊技媒体投入数に対する、前記特別入賞口以外の入賞口への入賞による遊技媒体の払出数の割合として演算される計数値である一般ベース値が所定値以下となったとき、或いは、前記遊技盤面へ発射された遊技媒体の振り分け履歴に基づく所定の遊技媒体投入数に対する、前記特別入賞口以外の入賞口への入賞による遊技媒体の払出数の割合として演算される計数値である一般ベース値が所定値以下となった場合に判定される所定の第1条件がさらに成立したときに、前記遊技盤面上の何れか、もしくは複数の入賞口への入賞確率を高めるように所定の第2の条件に基づき前記普通電動役物を作動制御する。
【0027】
ここで、計数値である一般ベース値が所定値以下となったとき、あるいはさらに所定の第1の条件が成立したときは、前記計数値データが釘調整した場合と同様の効果を得るために、プラスの補正が必要となった場合とする。
【0028】
ここで、プラスの補正としたのは、マイナスの補正は、遊技者に不利になる状態を強制的に作り出すのは困難、かつ遊技意欲の減退を招く等の理由からである。
【0029】
また、本発明においては、釘調整を施した遊技機に比べ、通常状態をマイナス状態にしておき、プラスの補正の必要性を確保し、そのプラスの補正量により釘調整の機能を実現するという考え方が好適である。
【0030】
上記普通電動役物を所定の第2の条件で作動制御することで、その分遊技者は特別遊技になる機会が増え、遊技者の有利な遊技状態となり得る。
【0031】
これにより、遊技機毎に比較的ラフな釘調整がなされていても、すなわち、釘状態がきちんと調整されていなくても、釘調整による出球率の調整に頼ることがなく、遊技機間での遊技者の釘調整に関する損益の格差を是正することができる。
【0032】
請求項3に記載の発明は、遊技媒体が遊技盤面上の入賞口へ入賞することによる所定数の遊技媒体の払い出し制御と、前記入賞口に含まれる抽選用入賞口への入賞により所定の抽選確率の下で抽選を行い、当該抽選の結果が当たりの場合に、前記遊技盤面上での入賞確率が比較的大きくない通常遊技中よりも多くの払い出しを受けることが可能な入賞確率状態となる特別遊技を所定条件の間行うための特別遊技制御と、前記遊技盤面上の何れか、もしくは複数の入賞口への入賞を容易にする普通電動役物の開閉制御と、実行する遊技実行制御手段を備えた遊技機であって、前記遊技実行制御手段が、前記遊技盤面へ発射された遊技媒体の振り分け履歴に基づく所定の遊技媒体投入数に対する、前記遊技盤面上の入賞口のうちの指定された入賞口への入賞による遊技媒体の払出数の割合として演算される計数値である指定入賞口ベース値が所定値以下となったとき、或いは、前記遊技盤面へ発射された遊技媒体の振り分け履歴に基づく所定の遊技媒体投入数に対する、前記遊技盤面上の入賞口のうちの指定された入賞口への入賞による遊技媒体の払出数の割合として演算される計数値である指定入賞口ベース値が所定値以下となった場合に判定される所定の第1条件がさらに成立したときに、前記遊技盤面上の何れか、もしくは複数の入賞口への入賞確率を高めるように所定の第2の条件に基づき前記普通電動役物を作動制御するようにしたことを特徴としている。
【0033】
請求項3に記載の発明によれば、遊技実行制御手段により、遊技盤面へ発射された遊技媒体の振り分け履歴に基づく所定の遊技媒体投入数に対する、前記遊技盤面上の入賞口のうちの指定された入賞口への入賞による遊技媒体の払出数の割合として演算される計数値である指定入賞口ベース値が所定値以下となったとき、或いは、前記遊技盤面へ発射された遊技媒体の振り分け履歴に基づく所定の遊技媒体投入数に対する、前記遊技盤面上の入賞口のうちの指定された入賞口への入賞による遊技媒体の払出数の割合として演算される計数値である指定入賞口ベース値が所定値以下となった場合に判定される所定の第1条件がさらに成立したときに、前記遊技盤面上の何れか、もしくは複数の入賞口への入賞確率を高めるように所定の第2の条件に基づき前記普通電動役物を作動制御する。
【0034】
ここで、計数値である指定入賞口ベース値が所定値以下となったとき、あるいはさらに所定の第1の条件が成立したときは、前記計数値データが釘調整した場合と同様の効果を得るために、プラスの補正が必要となった場合とする。
【0035】
ここで、プラスの補正としたのは、マイナスの補正は、遊技者に不利になる状態を強制的に作り出すのは困難、かつ遊技意欲の減退を招く等の理由からである。
【0036】
また、本発明においては、釘調整を施した遊技機に比べ、通常状態をマイナス状態にしておき、プラスの補正の必要性を確保し、そのプラスの補正量により釘調整の機能を実現するという考え方が好適である。
【0037】
上記普通電動役物を所定の第2の条件で作動制御することで、その分遊技者は特別遊技になる機会が増え、遊技者の有利な遊技状態となり得る。
【0038】
これにより、遊技機毎に比較的ラフな釘調整がなされていても、すなわち、釘状態がきちんと調整されていなくても、釘調整による出球率の調整に頼ることがなく、遊技機間での遊技者の釘調整に関する損益の格差を是正することができる。
【0039】
請求項4に記載の発明は、前記請求項3に記載の発明において、前記指定入賞口が、少なくとも前記抽選用入賞口を含むことを特徴としている。
【0040】
請求項4に記載の発明によれば、指定入賞口としては、特別遊技に直接関わりのある抽選用入賞口(一般的には、「始動入賞口」、「特図始動口」、「始動口」等と称する場合がある)を指定する。この場合、この抽選用入賞口が指定されていれば、他の入賞口を含めてもよい。
【0041】
請求項5に記載の発明は、遊技媒体が遊技盤面上の入賞口へ入賞することによる所定数の遊技媒体の払い出し制御と、前記入賞口に含まれる抽選用入賞口への入賞により所定の抽選確率の下で抽選を行い、当該抽選の結果が当たりの場合に、前記遊技盤面上での入賞確率が比較的大きくない通常遊技中よりも多くの払い出しを受けることが可能な入賞確率状態となる特別遊技を所定条件の間行うための特別遊技制御と、前記遊技盤面上の何れか、もしくは複数の入賞口への入賞を容易にする普通電動役物の開閉制御と、を実行する遊技実行制御手段を備えた遊技機であって、前記遊技実行制御手段が、前記遊技盤面へ発射された遊技媒体の振り分け履歴に基づく所定の遊技媒体投入数に対する、前記抽選用入賞口への前記抽選が有効となる入賞数の割合として演算される計数値である始動率が所定値以下となったとき、或いは、前記遊技盤面へ発射された遊技媒体の振り分け履歴に基づく所定の遊技媒体投入数に対する、前記抽選用入賞口への前記抽選が有効となる入賞数の割合として演算される計数値である始動率が所定値以下となった場合に判定される所定の第1条件がさらに成立したときに、前記遊技盤面上の何れか、もしくは複数の入賞口への入賞確率を高めるように所定の第2の条件に基づき前記普通電動役物を作動制御するようにしたことを特徴としている。
【0042】
請求項5に記載の発明によれば、遊技実行制御手段により、遊技盤面へ発射された遊技媒体の振り分け履歴に基づく所定の遊技媒体投入数に対する、前記抽選用入賞口への前記抽選が有効となる入賞数の割合として演算される計数値である始動率が所定値以下となったとき、或いは、前記遊技盤面へ発射された遊技媒体の振り分け履歴に基づく所定の遊技媒体投入数に対する、前記抽選用入賞口への前記抽選が有効となる入賞数の割合として演算される計数値である始動率が所定値以下となった場合に判定される所定の第1条件がさらに成立したときに、前記遊技盤面上の何れか、もしくは複数の入賞口への入賞確率を高めるように所定の第2の条件に基づき前記普通電動役物を作動制御する。
【0043】
ここで、計数値である始動率が所定値以下となったとき、あるいはさらに所定の第1の条件が成立したときは、前記計数値データが釘調整した場合と同様の効果を得るために、プラスの補正が必要となった場合とする。
【0044】
ここで、プラスの補正としたのは、マイナスの補正は、遊技者に不利になる状態を強制的に作り出すのは困難、かつ遊技意欲の減退を招く等の理由からである。
【0045】
また、本発明においては、釘調整を施した遊技機に比べ、通常状態をマイナス状態にしておき、プラスの補正の必要性を確保し、そのプラスの補正量により釘調整の機能を実現するという考え方が好適である。
【0046】
上記普通電動役物を所定の第2の条件で作動制御することで、その分遊技者は特別遊技になる機会が増え、遊技者の有利な遊技状態となり得る。
【0047】
これにより、遊技機毎に比較的ラフな釘調整がなされていても、すなわち、釘状態がきちんと調整されていなくても、釘調整による出球率の調整に頼ることがなく、遊技機間での遊技者の釘調整に関する損益の格差を是正することができる。
【0048】
請求項6に記載の発明は、遊技媒体が遊技盤面上の入賞口へ入賞することによる所定数の遊技媒体の払い出し制御と、前記入賞口に含まれる抽選用入賞口への入賞により所定の抽選確率の下で抽選を行い、当該抽選の結果が当たりの場合に、前記遊技盤面上での入賞確率が比較的大きくない通常遊技中よりも多くの払い出しを受けることが可能な入賞確率状態となる特別遊技を所定条件の間行うための特別遊技制御と、前記遊技盤面上の何れか、もしくは複数の入賞口への入賞を容易にする普通電動役物の開閉制御と、を実行する遊技実行制御手段を備えた遊技機であって、前記遊技実行制御手段が、前記抽選用入賞口への前記抽選が有効となる計数値である入賞回数が所定値以上となったとき、或いは、前記前記抽選用入賞口への前記抽選が有効となる計数値である入賞回数が所定値以上となったとき判定される所定の第1条件がさらに成立したときに、前記遊技盤面上の何れか、もしくは複数の入賞口への入賞確率を高めるように所定の第2の条件に基づき前記普通電動役物を作動制御するようにしたことを特徴としている。
請求項6に記載の発明によれば、遊技実行制御手段により、抽選用入賞口への前記抽選が有効となる計数値である入賞回数が所定値以上となったとき、或いは、前記前記抽選用入賞口への前記抽選が有効となる計数値である入賞回数が所定値以上となったとき判定される所定の第1条件がさらに成立したときに、前記遊技盤面上の何れか、もしくは複数の入賞口への入賞確率を高めるように所定の第2の条件に基づき前記普通電動役物を作動制御する。
【0049】
ここで、計数値である入賞回数が所定値以上となったとき、あるいはさらに所定の第1の条件が成立したときは、前記計数値データが釘調整した場合と同様の効果を得るために、プラスの補正が必要となった場合とする。
【0050】
ここで、プラスの補正としたのは、マイナスの補正は、遊技者に不利になる状態を強制的に作り出すのは困難、かつ遊技意欲の減退を招く等の理由からである。
【0051】
また、本発明においては、釘調整を施した遊技機に比べ、通常状態をマイナス状態にしておき、プラスの補正の必要性を確保し、そのプラスの補正量により釘調整の機能を実現するという考え方が好適である。
【0052】
上記普通電動役物を所定の第2の条件で作動制御することで、その分遊技者は特別遊技になる機会が増え、遊技者の有利な遊技状態となり得る。
【0053】
これにより、遊技機毎に比較的ラフな釘調整がなされていても、すなわち、釘状態がきちんと調整されていなくても、釘調整による出球率の調整に頼ることがなく、遊技機間での遊技者の釘調整に関する損益の格差を是正することができる。
【0054】
請求項7に記載の発明は、前記請求項1乃至請求項6の何れか1項記載の発明において、前記遊技実行制御手段が、前記普通電動役物を作動させるか否かを報知するための普通図柄を変動制御させると共に、前記普通電動役物の作動制御は、前記普通図柄の変動時間を通常時の変動時間よりも短縮することにより、前記遊技盤面上の何れか、もしくは複数の入賞口への入賞確率を高めたことを特徴としている。
【0055】
請求項7に記載の発明によれば、遊技実行制御手段では、前記普通電動役物を作動させるか否かを報知するための普通図柄を変動制御する。この普通電動役物の作動制御は、普通図柄の変動時間を通常時の変動時間よりも短縮することにより、遊技盤面上の何れか、もしくは複数の入賞口への入賞確率を高めるようにしたため、その分、遊技者の救済と成り得る(プラスの補正)。
【0056】
請求項8に記載の発明は、前記請求項1乃至請求項6の何れか1項記載の発明において、前記遊技実行制御手段が、前記普通電動役物を作動させるか否かを報知するための普通図柄を変動制御させると共に、前記普通電動役物の作動制御は、前記普通図柄の抽選確率を通常時の確率よりも高くすることにより、前記遊技盤面上の何れか、もしくは複数の入賞口への入賞確率を高めたことを特徴としている。
【0057】
請求項8に記載の発明によれば、遊技実行制御手段では、前記普通電動役物を作動させるか否かを報知するための普通図柄を変動制御する。この普通電動役物の作動制御は、普通図柄の抽選確率を通常時の確率よりも高くすることにより、遊技盤面上の何れか、もしくは複数の入賞口への入賞確率を高めるようにしたため、その分、遊技者の救済と成り得る(プラスの補正)。
【0058】
請求項9に記載の発明は、前記請求項1乃至請求項6の何れか1項記載の発明において、前記普通電動役物の作動制御は、前記普通電動役物の開放回数を含めた総開放時間を増加させることにより、前記遊技盤面上の何れか、もしくは複数の入賞口への入賞確率を高めたことを特徴としている。
【0059】
請求項9に記載の発明によれば、普通電動役物の作動制御は、普通電動役物の開放回数を含めた総開放時間を増加させることにより、遊技盤面上の何れか、もしくは複数の入賞口への入賞確率を高めるようにしたため、その分、遊技者の救済と成り得る(プラスの補正)。
【0060】
請求項10に記載の発明は、前記請求項1乃至請求項6の何れか1項記載の発明において、前記普通電動役物の作動制御は、前記普通電動役物の規定入賞数を増加させることにより、前記遊技盤面上の何れか、もしくは複数の入賞口への入賞確率を高めたことを特徴としている。
【0061】
請求項10に記載の発明によれば、普通電動役物の作動制御は、普通電動役物の規定入賞数を増加させることにより、遊技盤面上の何れか、もしくは複数の入賞口への入賞確率を高めるようにしたため、その分、遊技者の救済と成り得る(プラスの補正)。
【0062】
請求項11に記載の発明は、前記請求項1乃至請求項10の何れか1項記載の発明において、所定期間遊技が実行されなかったときに、前記判定に用いる計数値を初期化することを特徴としている。
【0063】
請求項11に記載の発明によれば、所定期間遊技が実行されなかったことで、遊技者が交代したと予測することができ(なお、100%予測が的中する必要はない)、遊技者間の不公平さを解消するべく、判定に用いる計数値、すなわち、通常ベース値(請求項1)、一般ベース値(請求項2)、指定入賞口ベース値(請求項3、抽選用入賞口が指定された場合は、請求項4に対応)、始動率(請求項5)、抽選用入賞口への入賞回数(請求項6)を初期化する。
【0064】
なお、食事等により長時間同一の遊技者が不在で、遊技媒体の投入がない場合もあるが、これを明確に分類するほどの厳密さは不要である。必要であれば、累積値を保持する保持ボタン(店員のみが操作可能が好ましい)等を設置するようにしてもよい。
【0065】
さらには、上記に加え、遊技者が自らの意思で履歴をクリア可能とするように構成してもよい。すなわち、遊技を終え、席を立つとき、自らの履歴を次の遊技者に残したくない場合、専用に設けた履歴クリアボタン等を操作(押圧)することにより履歴がクリアされるようにする。なお、履歴のクリア(自動クリアを含む)の際、遊技者が利益超過となっているデータはクリアされないようにすると、さらに好適である。
【発明の効果】
【0066】
以上説明した如く本発明では、釘調整の代わりに出球率を精度よく調整することで熟練を要していた釘調整を簡略化することができ、かつ当該釘調整に代わる遊技者救済の機能を遊技者へアピールすることで遊技意欲を増大させ、稼動率を向上することができるという優れた効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0067】
(第1の実施の形態)
図1には、第1の実施の形態に係るパチンコ機10が示されている。パチンコ機10は外枠12を備え、外枠12の前面には、窓部を有する額縁状の内枠14の一側部(図1の左辺部)が開閉可能に取付けられている。
【0068】
内枠14には、複数の表示灯62やスピーカ64が設けられている。また、内枠14の中央には、窓部となっており、この窓部には紙面奥行き方向に所定の間隔で互いに平行とされた一対のガラス16(二重構造)が装着されたガラス枠20が設けられている。また、内枠14の図1の右辺部には施錠装置(シリンダ)22が設けられている。
【0069】
ガラス枠20の下方位置には、球皿部24を備えた一体皿26が配設されている。この一体皿の球皿部24には、貯球タンク(図示省略)と連通し、この貯球タンク内のパチンコ球を球皿部24へ流出させる連通口23が設けられている。
【0070】
一体皿26は、その一側部(図1の左辺部)が内枠14に対して開閉可能に取付けられている。一体皿26の前面には、左側下部に灰皿28が配置され、右側下部には発射装置164(図3参照)から発射する打球の飛距離を調整するための発射ハンドル30が設けられている。
【0071】
また内枠14の窓部には、遊技盤載置台に載せて交換可能とされた遊技盤32が窓部に対応して設置されている。
【0072】
図2に示される如く、遊技盤32は、外バンド36及び内バンド38によって囲まれた略円形状の遊技領域40が形成されている。
【0073】
遊技領域40には、図示しない釘や風車の他、センター役物42、当該センター役物42に設けられた表示部43、並びに大入賞口(変動入賞装置)44等の役物、始動入賞口46や始動チャッカー48、一般入賞口49等の遊技部品が取り付けられており、最下位置にアウト口54が配置されている。なお、センター役物42の上端部には、普通図柄表示装置42Aが設けられている。
【0074】
始動チャッカー48(一般には、図2に向かって左側のみであるが、右側を含んでもよい)は、前記普通図柄表示装置42Aの始動トリガとなっており、始動チャッカー48をパチンコ球が通過すると、後述する普通図柄始動入賞センサ169でこれを検出し、普通図柄抽選が実行され、当たりの場合、普通図柄表示装置42Aの表示が当りを表示し、電動チューリップ47(普通電動役物)が開放し、指定入賞口としての始動入賞口46への入賞の確率が物理的に高まるようになっている。
【0075】
また、表示部43の上部には、保留ランプ100が設けられており、第1の実施の形態では、最大4個の保留が可能であるため、この数に対応した4個の保留ランプ100が設けられている。
【0076】
保留とは、前記表示部43において、図柄変動パターン演出を実行中に新たに始動入賞口46に入賞した場合に、この入賞により実行された抽選の結果の報知を待機することを言う。なお、大当たり処理中に始動入賞口46に入賞した場合も、表示部43が大当たり処理演出の動画パターンを再生しているため、保留の対象となる。但し、保留する数には限度があり(第1の実施の形態では4個)、これ以上の始動入賞口46への入賞は保留の対象とはならない。
【0077】
図3には、パチンコ機10を制御するための制御系の概略が示されている。制御系は、主制御部150を中心として構成されている。主制御部150には、遊技に関する基本的なプログラムが記憶されており、この主制御部150からの命令信号に基づいて、各部の動作が制御されるようになっている。
【0078】
この主制御部150には、始動入賞口46に設けられた特別図柄始動入賞センサ168、始動チャッカー48を通過したパチンコ球を検出する普通図柄始動入賞センサ169、入賞装置49に設けられた入賞センサ172並びに大入賞口44に入賞したパチンコ球を検出する大入賞口センサ173、アウト口54を通過して回収されるパチンコ球を検出するアウト球検出センサ179が接続されている。なお、大入賞口44には、大入賞口の開閉動作を継続するためのVゾーンが設けられており、このVゾーンにもVゾーンセンサ177が設けられており、主制御部150に接続されている。なお、Vゾーンセンサ177を省略し、大入賞口センサ173のみにするものでもよい。
【0079】
さらに、主制御部150には、始動入賞口46に設けられた電動チューリップ47(図2参照)を開閉させるためのソレノイド174、大入賞口44を開閉させるためのソレノイド175が接続されている。
【0080】
また、主制御部150からは盤用外部端子190を介してホールコンピュータへ遊技の進行状態を示す情報が出力されるようになっている。
【0081】
ここで、パチンコ球が始動入賞口46に入賞すると、これを特別図柄始動入賞センサ168で検出することで抽選が実行されるようになっており、当たりの場合は、通常遊技状態から特別遊技状態へ遊技状態が移行されるようになっている。
【0082】
従って、始動入賞口46への入賞が、特別遊技状態とするための大きなカギを握ることになる。より具体的には、始動入賞口46に入賞する確率が高いほど遊技者に有利ということができる。
【0083】
一方、この主制御部150には、演出制御部152と、払出制御部154とが接続されている。
【0084】
演出制御部152には、図柄・音声制御部156を介してスピーカ64、センター役物42の表示部(LCD)43、普通図柄表示装置42A、並びに保留ランプ100が接続されている。また、演出制御部152は、パチンコ機10のガラス枠20に取り付けられた複数の表示灯62の点灯・消灯を制御する。なお、表示部43では、前記抽選の結果を報知するための図柄変動パターン演出画像を表示すると共に、スピーカ64からは当該図柄変動パターン演出時のBGMが出力されるようになっている。すなわち、遊技者は、視覚及び聴覚を通じて、抽選の結果を含む演出を楽しむことができる。なお、普通図柄表示装置42A、保留ランプ100は表示部43にて表示するものでもよい。
【0085】
次に、前記主制御部150に接続された払出制御部154には、パチンコ球の払出しを実行する払出装置192が接続されている。
【0086】
また、払出制御部154には、発射制御部158が接続されており、発射制御部158は、発射装置164を制御して、遊技者によるハンドル30の操作に応じてパチンコ球を打ち出す。
【0087】
さらに、払出制御部154では、枠用外部端子194を介して払出情報をホールに設置されたホールコンピュータへ送出するようになっている。
【0088】
ここで、前記抽選の結果が当たりとなり、表示部43における図柄変動パターン演出並びにスピーカ64からのBGM出力によって、当該当選を報知し終えると、特別遊技状態である大当たり処理が実行される。
【0089】
この大当たり処理は、前記大入賞口44が所定回数(ラウンド)開放するものである。1ラウンドの開放時間は約30秒とされ、この間に最大10個のパチンコ球が入賞可能となる。すなわち、時間制限である30秒、或いは数制限である10個の何れか一方が先に満足されると、そのラウンドの権利は消滅し、当該大当たり処理中に大入賞口44内のVゾーンへの入賞があった場合に、次のラウンドへ移行することが約束される。なお、Vゾーンを省略し、単に所定個数のカウントをし、それを基に、次に継続するものでもよい。
【0090】
このため、特別遊技状態では、通常遊技状態よりも短期間で多くの入賞が期待され、遊技者にとって有利な遊技状態とすることができる。
【0091】
なお、大当たり終了後、所定回数もしくは次回大当たりまで普通電動役物(電動チューリップ47)の作動率を上げるように構成した場合、大当たり後の前記作動率が上がっている間も、特別遊技状態に含ませてもよい。
【0092】
また、前述したように、前記表示部43において、図柄変動パターン演出を実行中に新たに始動入賞口46に入賞した場合、並びに大当たり処理中に始動入賞口46に入賞した場合、保留ランプ100の表示がその分、点灯数が増えていく(最大4個)。
【0093】
一方、前回の図柄変動パターン演出が終了する、或いは大当たり処理が終了すると、表示部43では、保留分の抽選結果の報知を行うべく、新たな図柄変動パターン演出が開始される。これに伴い、保留ランプ100が1個消灯し、保留分の消化を遊技者に報知する。
【0094】
ところで、図柄変動パターンは、当たり/外れの抽選の後に、図柄変動パターンの選択抽選によって決められるようになっている。
【0095】
すなわち、図柄変動パターンは、複数種類あり、その中でも当選の期待値が低いものから高いものまで様々な種類が存在し、遊技者に対して本来の目的である抽選結果の報知とは別に、表示部43での演出による趣向性を提供することができるようになっている。
【0096】
ここで、上記特別遊技は、パチンコ球の始動入賞口46への入賞があって、はじめて抽選の権利が与えられ、当該抽選の結果が当たりとなり、これを図柄変動パターン演出で報知した後に実行されるものである。従って、遊技者がパチンコ球を発射し、まず、始動入賞口46への入賞がないかぎり、特別遊技への移行はあり得ない。
【0097】
この場合、従来では、始動入賞口46へパチンコ球が入賞するか否かの調整としては、遊技盤32面上の釘調整が主体となっており、精密な釘調整が強いられていた。このような釘調整は、熟練した技術を要するため、その人材も少なく、釘調整作業にも時間を要していた。
【0098】
そこで、第1の実施の形態では、釘調整に代わる手段として、遊技の進行によって変化し、遊技状態を予測することができる所定のパラメータの計数値が一定のレベルに達した場合に(所定の第1の条件であり、判定による)、間接的に始動入賞口46への入賞確率を高める(すなわち、電動チューリップ47の開放条件の設定を補正する)ことで、特別遊技実行機会を増加させるようにした。なお、以下、電動チューリップ47の開放条件の設定の補正を、「電役補正」という。
【0099】
前記パラメータとは、(A)ベース値(通常ベース値又は一般ベース値)、(B)指定入賞口ベースとしての始動入賞口ベース値、(C)始動率、(D)始動回数を基準とした、それぞれ定められたしきい値との比較結果であり、上記(A)乃至(D)の何れか1つ、或いは2以上を併合したものを所定の条件としている。以下、第1の実施の形態では、(A)ベース値に基づく電役補正抽選を例にとり説明する。
【0100】
(A) ベース値(通常ベース値又は一般ベース値)に基づく条件判別
まず、通常ベース値と一般ベース値との違いは、通常ベース値が入賞口全般(すなわち、大入賞口44を含む全ての入賞口)を対象とするのに対し、一般ベース値は一般入賞口のみ(すなわち、大入賞口44を含まない他の入賞口)を対象としている。
【0101】
以下、一般ベース値を主として説明し、必要に応じて、その都度通常ベース値との構成の違いを説明する。
【0102】
図4には、主制御部150における、ベース値に基づく条件判別のための制御系を機能的に示したブロックが示されている。
【0103】
ベース値(一般ベース値)とは、遊技者によるパチンコ球の発射数PTOTALに対する始動入賞口46及び一般入賞口49を対象とした、払出数PPAYの割合である。このため、発射数を検出するべく、発射数累積部200には、前述した入賞センサ172、特別図柄始動入賞センサ168、大入賞口センサ173、アウト口54に設けられたアウト球検出センサ179が接続されている。
【0104】
発射数累積部200では、前記入賞センサ172、特別図柄始動入賞センサ168、大入賞口センサ173、アウト球検出センサ179によって検出した信号(パルス信号)を、カウントし発射数PTOTALを得る。
【0105】
図2からも分かるように、盤面に発射されたパチンコ球はこれら何れかのセンサを1回だけ通過するように構成されているため、これらのカウント値を積算すると発射数となる。発射数累積部200で得られた発射数PTOTALは、ベース値(通常ベース値又は一般ベース値)演算部202へ送出される。
【0106】
なお、発射数累積部200には、タイマ201が接続されている。このタイマ201には、発射数累積部200で累積した値をリセットするリセット部203で接続されている。このリセット部203は、払出管理部206にも接続されている。
【0107】
前記リセット部203では、タイマ201で所定時間(例えば、遊技者が交代する程度の時間)を計時し、所定時間が経過した時点で、リセット部203によって累積値をリセットするようにしている(同時に、後述するPPAYもリセットされる)。このタイマ201及びリセット部203は、遊技者をまたいでの電役補正の付与を極力回避するために設けられている。
【0108】
また、主制御部150には、通常遊技及び特別遊技等の遊技全般を制御する遊技実行制御部204が設けられている。この遊技実行制御部204には、払出管理部206が接続されており、払い出しが必要となった場合、遊技実行制御部204から払出管理部206へ払出指示信号が送出されるようになっている。
【0109】
払出管理部206では、払出指示信号に基づき、払出指示部208を介して払出制御部154へ払い出しの指示を行う。
【0110】
また、前記払出指示信号に基づき、累積演算された払出数PPAYは、前記ベース値演算部202へ送出されるようになっている。
【0111】
なお、一般ベース値の場合、大入賞口への入賞による払出数はPPAYには加算されないように構成管理されている。具体的には、遊技実行制御部204から払出管理部206への払出指示信号には大入賞口へ入賞した場合の識別情報が付与されており、その場合の払出指示信号に基づく払出数は、PPAYに加算されない。
【0112】
この結果、ベース値演算部202には、発射数PTOTALと払出数PPAYとが入力されるため、これらからベース値Bを演算する(払出数PPAY/発射数PTOTAL)。演算されたベース値Bは、比較部210へ送出されるようになっている。
【0113】
比較部210には、ベース値の基準値メモリ212が接続されており、前記入力されるベース値Bと比較されるようになっている。この基準値は、店側で操作可能な位置(例えば、パチンコ機10の裏面側)に設けられた設定操作部214の操作によって、6段階に設定可能となっており(表1参照)、設定操作に基づいて、基準値設定部216では、基準値データ群メモリ218から設定操作に対応する設定値(設定1〜6)が読み出され、基準値メモリ212に登録されるようになっている。
【0114】
なお、基準値データ群メモリ218には、表1に示されるような設定1〜設定6までの基準値データ群が記憶されている。
【0115】
【表1】

【0116】
図5に示される如く、設定操作部214は、主制御部150を構成する基板上の設定部コントローラ214Aと、前記基板或いは基板を保護するための保護カバー等に設けられた設定キーシリンダ214Bと、7セグメント表示部214Cと、で構成されている。
【0117】
設定部コントローラ214Aは、キーシリンダ214Bに特定のキーを挿入操作することで起動するようになっており、キーは、店側が保管することになる。
【0118】
操作手順としては、キーをキーシリンダ214Bへ挿入すると、設定部コントローラ214Aが起動して、まず、現在の設定値(1〜6の何れか)を7セグメント表示部214Cに表示する。設定を変更する場合には、キーを図5の時計回り方向に90°回転し、続けて反時計回り方向に90°回転して元の位置に戻すことで、設定値が1〜6の間でローテーションし、その都度、設定されている状態が表示される。なお、設定操作部214に関しては、設定値が1〜6に変更できれば、構造、操作手順は限定されるものではない。
【0119】
図4に示される如く、前記比較部210では、演算されたベース値に基づいて、基準値メモリ212に登録されているデータ群の何れに属するかを比較判別し、判定確率を決定する。決定した判定確率は、電役補正抽選部220へ送出され、当該決定した判定確率の下での抽選(所定の第1の条件)で電役補正(すなわち、電動チューリップ47の開放度合いを高める権利の付与)を実行するか否かを判断し、電役補正抽選に当選した場合には、電役補正指示部222で一旦カウント記憶した後、当該カウント記憶に基づき前記遊技実行制御部204へ電役補正の実施を指示する。
【0120】
遊技実行制御部204では、電役補正指示が入力されると、電役補正を実行する。
【0121】
すなわち、ベース値が低ければ低いほど、電役補正を実行する権利を付与する可能性を高くすることで、遊技者にとって不利な状態を是正するようにしている。
【0122】
以下に、第1の実施の形態の作用を説明する。
【0123】
まず、通常遊技(特別図柄ゲーム、普通図柄ゲーム)の流れを説明する。
【0124】
図1及び図2において、遊技者がハンドル30を把持し、発射のための操作を行なうと、このハンドル操作量(回転量)に応じた強度で、パチンコ球が打ち出される。
【0125】
パチンコ球が打ち出されると、外バンド36及び内バンド38に案内されて盤面32の釘や風車等に当接しながら、予測し得ない移動をしながら落下していく。ここで、始動入賞口46にパチンコ球が入賞すると、所定の確率下で抽選が開始される。例えば、乱数カウンタ等から乱数を取得する。なお、大当たり判定は、前記取得した乱数値と予め設定した当たり値との照合をすることで、当たり/外れを判定するものである。
【0126】
抽選の結果が当りの場合は、大当たり処理の実行が開始され、予め設定したラウンド数(例えば、15ラウンド)の大当たり処理が実行される。この大当たり処理中は、大入賞口44がほとんど開放状態であるため、遊技者によって有利な状態とすることができる。所定ラウンドの大当たり処理が終了すると、通常の遊技に戻る。
【0127】
ところで、図柄変動パターンの内、リーチパターンとなると、当選の期待値は飛躍的に高まり、遊技者は表示部43での図柄変動パターン演出を期待感を持って見ることになる。
【0128】
ここで、大当たり処理、すなわち特別遊技となるには、遊技者が発射したパチンコ球が始動入賞口46へ入賞することが大前提となる。すなわち、発射数に対する始動入賞口46への入賞が、ある程度のレベルを維持していることが必要となる。
【0129】
そこで、第1の実施の形態では、上記ベース値(通常ベース値又は一般ベース値)に基づいて、実際に釘の状態が悪く始動入賞口46への入賞がない状態でも、必要に応じて、遊技盤面上の何れか、若しくは複数の入賞口への入賞確率を高めるようにしている。
【0130】
以下、図6乃至図12のフローチャートに従い、電役補正抽選機能を実現するための制御の流れを説明する。
【0131】
まず、図6は、全体処理であり、電源が投入されると、ステップ300では初期化処理を行い、次いでステップ302へ移行して電役補正率設定処理(設定値操作)が実行される(詳細は、図8に従い後述する)。
【0132】
電役補正率設定処理が完了すると、ステップ302からステップ304へ移行して乱数処理が電源がオフになるまで無限処理される。すなわち、ステップ302の電役補正率設定処理は、一度電源をオンして設定を行ったら(行わず、従前のままの場合もある)、電源を一旦オフしないと、設定変更はできないようにしている。これにより、不正による設定変更を防止することができる。
【0133】
次に、図7(A)は、図6のフローチャートに対して、一定周期で割り込みする、実質的なメイン処理ルーチンであり、ステップ306では、始動入賞口46への入賞、抽選、表示部43での図柄変動パターン演出等の特別図柄ゲーム処理(特別電動役物処理)が実行され、次いで、ステップ308では、始動チャッカー48の通過、抽選、電動チューリップの開閉制御等の普通図柄ゲーム処理(普通電動役物処理)が実行され(図7(B)参照、後述)、ステップ309へ移行して、入賞球処理(図7(C)参照、後述)を実行し、ステップ310へ移行する。
【0134】
ステップ310では、電役補正抽選を実行するか否かの判断をする計数処理(図9参照、後述)、次いでステップ312では、電役補正抽選処理(図10参照、後述)をそれぞれ実行する。
【0135】
図8は、図6のステップ302で処理される電役補正率設定処理ルーチンを示しており、ステップ314では、キーがキーシリンダ214Bに挿入されているか否かが判断される。このステップ314で否定判定、すなわち、電源投入時(投入前)にキーが挿入されていないと判定された場合には、電役補正率設定処理の意志がないものと判断し、このルーチンは終了する。
【0136】
また、ステップ314で肯定判定、すなわち、電源投入時(投入前)にキーが挿入されていると判定された場合には、電役補正率設定処理の意志があるものと判断し、ステップ316へ移行する。ステップ316では、7セグメント表示部214Cに現在の設定値を表示し、ステップ318へ移行する。
【0137】
ステップ318では、キーがキーシリンダ214Bから外されたか否かが判断され、肯定判定されると、電役補正率設定処理の終了と判断し、ステップ320で7セグメント表示部214Cの表示を消灯し、このルーチンは終了する。
【0138】
また、ステップ318で否定判定された場合には、ステップ321へ移行して、キーが往復操作(図5の時計回り方向に90°回転、続いて図5の反時計回り方向に90°回転)がなされたか否かが判断され、否定判定の場合には、ステップ316へ戻る。また、ステップ320で肯定判定された場合には、ステップ322へ移行して、現在の電役補正率の設定値を更新(1〜6のローテーション)し、ステップ316へ戻る。
【0139】
図7(B)は、図7(A)のステップ308における普通図柄ゲーム処理の一部である普通電動役物処理(後述するステップ358で実行される)の詳細を示しており、ステップ308Aでは、開放タイマが0か否かが判断され、否定判定された場合には、ステップ308Bへ移行して、規定入賞数に達したか否かが判断される。
【0140】
このステップ308Bにおいて肯定判定されると、ステップ308Cへ移行して開放タイマをクリアし、ステップ308Dへ移行する。また、前記ステップ308Aにおいて肯定判定された場合にも、ステップ308Dへ移行する。
【0141】
ステップ308Dでは、普通電動役物(すなわち、電動チューリップ47)を閉止処理し、このルーチンは終了する。
【0142】
一方、ステップ308Bにおいて否定判定された場合には、ステップ308Eへ移行し、普通電動役物(すなわち、電動チューリップ47)を開放処理し、このルーチンは終了する。
【0143】
図7(C)は、図7(A)のステップ309における入賞球処理の詳細を示しており、ステップ309Aでは、入賞球を検出し、次いでステップ309Bにおいて、始動入賞口46への入賞があったか否かが判断される。
【0144】
このステップ309Bにおいて肯定判定されると、ステップ309Cへ移行して、前記始動入賞口46への入賞が抽選に対して有効か(有効始動か)否か、すなわち、始動記憶数(保留ランプ100で表示される保留数)の上限を超えていないかが判断される。
【0145】
このステップ309Cで肯定判定されると、ステップ309Dへ移行して、乱数抽選(乱数取得)並びに取得した乱数を記憶し、次いでステップ309Eで始動記憶数を+1加算してステップ309Fへ移行する。なお、前記ステップ309B及びステップ309Cで否定判定された場合は、ステップ309Fへ移行する。
【0146】
ステップ309Fでは、後述する計数処理用の入賞情報を記憶して、このルーチンは終了する。
【0147】
次に、図9は、図7(A)のステップ310における計数処理の詳細を示しており、ステップ324では、大当たり中か否かが判断され、肯定判定された場合には、計数処理を実行する時期ではないため、このルーチンは終了する。
【0148】
また、ステップ324で否定判定された場合には、ステップ328へ移行して入賞口への入賞があったか否かが判断される。なお、このステップ324は必須ではないため、省略し、ステップ328からスタートしてもよい。
【0149】
また、ステップ328において、全ての入賞口への入賞チェックが実行される。
【0150】
このステップ328で肯定判定されると、ステップ330へ移行してそれぞれの入賞口への入賞に対する払出数をPPAYに加算(ベース値として通常ベース値が選択された場合には、全ての入賞口への入賞に対する払出数の加算が、ベース値として一般ベース値が選択された場合には大入賞口44を除く入賞口に対する払出数の加算が、それぞれのベース値に対し行われる)、累積し、次いでステップ332へ移行して、何れのベース値の場合も全ての入賞口への入賞球数の合計(すなわち、今回検出された入賞球の合計数)を発射数PTOTALに加算し、ステップ334へ移行する。また、ステップ328で否定判定された場合には、ステップ334へ移行する。
【0151】
ステップ334では、アウト口54から排出されるパチンコ球の有無をアウト球検出センサ179に基づいて判別し、ステップ336でアウト球が有りと判断された場合には、ステップ338へ移行して発射数PTOTALに+1を加算し、このルーチンは終了する。
【0152】
なお、第1の実施の形態において、アウト球が複数同時にアウト球検出センサ179を通過しないようになっている(後述する第2実施の形態乃至第4の実施の形態でも同様)。また、PTOTALは、入賞口及びアウト口54への入球確認により計数されるように構成されており、PTOTALが所定値となるタイミングが毎回バラつき、不正されづらく好適ではあるが、遊技領域へ入球した打球と専用センサで直接計数するように構成してもよい。
【0153】
また、ステップ336で否定判定された場合には、このルーチンは終了する。なお、ここで用いられた入賞情報は、図7(A)のステップ309(入賞球処理)におけるステップ309F(図7(C)参照)で記憶された情報に基づいている。
【0154】
次に、図10は、図7(A)のステップ312における電役補正抽選処理の詳細を示しており、ステップ340では、発射数PTOTALが所定値(一定の条件で電役補正抽選の実施/不実施を判断するための数)以上になったか否かが判断され、肯定判定されると、ステップ342へ移行してベース値(通常ベース値又は一般ベース値)B(B=PPAY/PTOTAL)を演算し、次いでステップ344へ移行して、発射数から所定値(前記ステップ340で使用した所定値と同じ値の所定値)を減算し(通常は、0になるが、同時に複数の入賞、並びにアウト球が発見された場合、所定数をとび超える事がある(+1〜2個)。この場合、端数は次回判定用に繰り越し、誤差とはならないようにする。よって、ゼロクリアではなく、所定値を減算する。)、ステップ346へ移行する。
【0155】
なお、ここで、ステップ340及びステップ344における所定数を100(個)とすれば、ベース値(通常ベース値又は一般ベース値)Bを100倍した値B(%)は、100個発射(PTOTAL=100)した時の払出数(遊技者への払い戻し数)として求めることができる。
【0156】
ステップ346では、基準値メモリ212に登録されている現在の設定値(設定1〜設定6)を読み出し、次いでステップ348で、前記演算されたベース値(通常ベース値又は一般ベース値)B(%)と、読み出された設定値の中のそれぞれのベース値(通常ベース値又は一般ベース値)とを比較して、対応する判定確率に基づいて電役補正抽選を実行する。すなわち、表1に記載の内容の抽選を行う。例えば、設定が1、ベース値(通常ベース値又は一般ベース値)が22であった場合、電役補正の権利は、50%の判定確率(当選確率)で抽選される。
【0157】
次のステップ350では、演算したベース値(通常ベース値又は一般ベース値)B及び払出数PPAYをクリアし、次いでステップ352へ移行して、前記電役補正抽選の結果が当選か否かが判断される。このステップ352で肯定判定されると、ステップ354へ移行して、電役補正を実行するための電役補正カウント値を加算し、このルーチンは終了する。
【0158】
また、ステップ352で否定判定された場合には、電役補正を実行しないと判断し、このルーチンは終了する。
【0159】
図11は、図7(A)のステップ308における普通図柄ゲーム処理を詳細に示した制御ルーチンである。
【0160】
ステップ356では、普通図柄ゲーム処理中か否かが判断される。すなわち、普通図柄表示装置42Aの変動表示中、或いは普通電動役物開放となる当たり処理中か否かが判断され、肯定判定されると、ステップ358へ移行して、普通図柄ゲームの進行処理を継続し、このルーチンは終了する。
【0161】
なお、上記したように、普通図柄ゲーム処理(ステップ358の処理)は、普通図柄の変動処理が主体であり、外れの場合、外れ図柄が表示され、そのゲームが終了する。当りの場合は、当り図柄が表示された後、このステップ358に含まれる図7(B)の普通電動役物処理により普通電動役物が所定の条件のもとに作動し、作動が終了するとそのゲームが終了する。
【0162】
また、ステップ356で否定判定された場合には、通常遊技において、普通図柄表示装置42Aの変動表示等が一切実行されていない状態と判断し、ステップ359へ移行する。
【0163】
ステップ359では、普通図柄始動記憶があるか否かが判断され、肯定判定されると、ステップ360へ移行し、否定判定された場合には、このルーチンは終了する。
【0164】
ステップ360では、電役補正カウントが有る(1以上)か否かが判断され、肯定判定、すなわち電役補正カウント有りと判断されると、ステップ362へ移行して電役補正カウントを減算し、次いでステップ364へ移行して、高作動率状態の当たり判定状態に設定し、ステップ368へ移行する。
【0165】
また、ステップ360で否定判定されると、電役補正カウントがないため、ステップ366へ移行して通常の当たり判定状態に設定し、ステップ368へ移行する。ステップ368では、普通図柄ゲームを開始する。
【0166】
ここで、ステップ364における高作動率状態とは、(a1)普通図柄変動時間を短縮すること、(a2)普通図柄抽選の当選確率を高くすること、(a3)電動チューリップ47の開放時間を長くすること、(a4)電動チューリップ47の開放中に入賞する個数の限度(規定入賞数)を多くすること、の少なくとも何れか1つを実行することである。
【0167】
図12は、通常時の条件(a0)と、上記(a1)乃至(a4)に示した高作動率条件との比較を示す図表である。なお、図12における(a5)は(a1)乃至(a4)を全て含めたものである。
【0168】
高作動率条件例(a1)乃至(a4)は、それぞれ遊技者に対する有利度合いがほぼ同一となるように設定してあるが、特に同一にすることは必須ではなく、それぞれ有利度合いが異なる相関関係を持たせるようにして、店側で選択できるようにしてもよい。
【0169】
なお、第1の実施の形態では、前述した4つの条件判別、すなわち、(A)ベース値(通常ベース値又は一般ベース値)、(B)指定入賞口ベースとしての始動入賞口ベース値、(C)始動率、(D)始動回数の内、(A)ベース値(通常ベース値又は一般ベース値)に基づいて条件判別を行い、電役補正を実施するか否かを決定するようにしたが、他の条件判別(B)乃至(D)を条件判別対象としても同様の効果を得ることができる。以下、(B)乃至(D)を条件判別対象とした実施の形態を説明する。
【0170】
(第2の実施の形態)
以下、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同一構成部分については、同一の符号を付し、一部は構成の説明を省略する。
【0171】
この第2の実施の形態では、(B)始動入賞口ベース値による条件判別としている。
【0172】
図13には、主制御部150における、始動入賞口ベース値に基づく条件判別のための制御系を機能的に示したブロックが示されている。
【0173】
始動入賞口ベース値とは、入賞口の何れかの特定の入賞口(指定入賞口)として始動入賞口46を選択指定した場合の指定入賞口ベース値のことであり、遊技者によるパチンコ球の発射数PTOTALに対する始動入賞口46を対象とした払出数PSPAYの割合である。このため、発射数を検出するべく、発射数累積部200には、前述した入賞センサ172及び特別図柄始動入賞センサ168、大入賞口センサ173、アウト口54に設けられたアウト球検出センサ179が接続されている。
【0174】
発射数累積部200では、前記入賞センサ172、特別図柄始動入賞センサ168、アウト球検出センサ179、大入賞口センサ173によって検出した信号(パルス信号)を、カウントし発射数PTOTALを得る。発射数累積部200で得られた発射数PTOTALは、始動入賞口ベース値演算部202Aへ送出される。
【0175】
また、主制御部150には、通常遊技及び特別遊技等の遊技全般を制御する遊技実行制御部204が設けられている。この遊技実行制御部204には、払出管理部206が接続されており、払い出しが必要となった場合、遊技実行制御部204から払出管理部206へ払出指示信号が送出されるようになっている。
【0176】
払出管理部206では、払出指示信号に基づき、払出指示部208を介して払出制御部154へ払い出しの指示を行う。
【0177】
また、前記払出指示信号に基づき、累積演算された払出数PSPAYは、前記始動入賞口ベース値演算部202Aへ送出されるようになっている。
【0178】
なお、始動入賞口ベース値の場合、始動入賞口以外の一般入賞口、並びに大入賞口への入賞による払出数はPSPAYには加算されないように構成管理されている。具体的には、遊技実行制御部204から払出管理部206への払出指示信号には、始動入賞口以外の一般入賞口及び大入賞口へ入賞した場合の識別情報が付与されており、その場合の払出指示信号に基づく払出数は、PSPAYに加算されない。ただし、始動入賞口46への入賞の識別方法は、これ以外何でもよい。
【0179】
この結果、始動入賞口ベース値演算部202Aには、発射数PTOTALと始動入賞口46での払出数PSPAYとが入力されるため、これらから始動入賞口ベース値BSを演算する(払出数PSPAY/発射数PTOTAL)。演算された始動入賞口ベース値BSは、比較部210へ送出されるようになっている。
【0180】
比較部210には、基準値メモリ212が接続されており、前記入力される始動入賞口ベース値BSと比較されるようになっている。この基準値は、店側で操作可能な位置(例えば、パチンコ機10の裏面側)に設けられた設定操作部214(図5参照)の操作によって、6段階に設定可能となっている(表2参照)。
【0181】
設定操作部214は、基準値設定部216に接続されており、この基準値設定部216には、基準値データ群メモリ218が接続されている。基準値データ群メモリ218には、表2に示されるような設定1〜設定6までの基準値データ群が記憶されており、何れかの設定(1〜6)が選択され、基準値メモリ212に登録されるようになっている。
【0182】
【表2】

【0183】
前記比較部210では、演算された始動入賞口ベース値BS(%)に基づいて、基準値メモリ212に登録されているデータ群の何れに属するかを比較判別し、判定確率を決定する。決定した判定確率は、電役補正抽選部220へ送出され、当該決定した判定確率の下での抽選で電役補正抽選を実行するか否かを判断し、電役補正抽選に当選した場合には、電役補正指示部222で一旦カウントした後、当該カウント記憶に基づき、前記遊技実行制御部204へ電役補正の実施を指示する。
【0184】
以下、第2の実施の形態の作用を説明する。
【0185】
第2の実施の形態では、計数処理と電役補正抽選処理以外の全体処理(図6)、割り込み処理(図7(A))、普通電動役物処理(図7(B))、入賞球処理(図7(C))、電役補正率設定処理(図8)並びに普通図柄ゲーム処理(図11)は、ベース値を基準とした処理と同一であるので省略する。
【0186】
図14には、始動入賞口ベース値に基づく計数処理の詳細が示されており、ステップ400では、大当たり中か否かが判断され、肯定判定された場合には、計数処理を実行する時期ではないため、このルーチンは終了する。
【0187】
また、ステップ400で否定判定された場合には、ステップ404へ移行して始動入賞口46への入賞があったか否かが判断される。なお、このステップ400は必須ではないため、省略し、ステップ404からスタートしてもよい。
【0188】
このステップ404で肯定判定されると、ステップ406へ移行して始動入賞口46への入賞に対する払出数PSPAYを加算、累積し(始動入賞口ベース値に始動入賞口に対応した賞球数を加算し)、次いでステップ408へ移行して、発射数PTOTALに+1を加算して、ステップ410へ移行する。
【0189】
ステップ410では、その他の入賞口49(一般入賞口49)への入賞があったか否かが判断され、肯定判定されるとステップ412へ移行して、その他の入賞口への入賞球数の合計、すなわち今回検出されたその他の入賞口への入賞球の合計個数を発射数PTOTALに加算し、ステップ414へ移行する。また、ステップ410で否定判定された場合には、ステップ414へ移行する。
【0190】
ステップ414では、アウト口54から排出されるパチンコ球の有無をアウト球検出センサ179に基づいて判別し、ステップ416でアウト球が有りと判断された場合には、ステップ418へ移行して発射数PTOTALに1を加算し、このルーチンは終了する。また、ステップ416で否定判定された場合には、このルーチンは終了する。なお、ここで用いられた入賞情報は、図7(A)のステップ309(入賞球処理)におけるステップ309F(図7(c)参照)で記憶された情報に基づいている。
【0191】
次に、図15は、始動入賞口ベース値に基づく、電役補正抽選処理の詳細を示しており、ステップ420では、発射数PTOTALが所定値(一定の条件で電役補正抽選の実施/不実施を判断するための数)以上になったか否かが判断され、肯定判定されると、ステップ422へ移行して始動入賞口ベース値BS(BS=PSPAY/PTOTAL)を演算し、次いでステップ424へ移行して、発射数PTOTALから所定値(ステップ420で使用した所定値と同じ値の所定値)を減算し(通常は、0になるが、同時に複数の入賞、並びにアウト球が発見された場合、所定数をとび超える事がある(+1〜2個)。この場合、端数は次回判定用に繰り越し、誤差とはならないようにする。よって、ゼロクリアではなく、所定値を減算する。)、ステップ426へ移行する。
【0192】
ステップ426では、基準値メモリ212に登録されている現在の設定値(設定1〜設定6)を読み出し、次いでステップ428で、前記演算された始動入賞口ベース値BSと、読み出された設定値の中のそれぞれの始動入賞口ベース値とを比較して、対応する判定確率に基づいて電役補正抽選を実行する。例えば、設定1、始動入賞口ベース値が19であった場合、電役補正は、50%の判定確率(当選確率)で抽選される。
【0193】
次のステップ430では、演算した始動入賞口ベース値BS及び払出数PSPAYをクリアし、次いでステップ432へ移行して、前記電役補正抽選の結果が当選か否かが判断される。このステップ432で肯定判定されると、ステップ434へ移行して、電役補正を実行するための電役補正カウント値を加算し、このルーチンは終了する。
【0194】
また、ステップ432で否定判定された場合には、電役補正を実行しないと判断し、このルーチンは終了する。
【0195】
(第3の実施の形態)
以下、本発明の第3の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同一構成部分については、同一の符号を付し、一部は構成の説明を省略する。
【0196】
この第3の実施の形態では、(C)始動率による条件判別としている。
【0197】
図16には、主制御部150における、始動率に基づく条件判別のための制御系を機能的に示したブロックが示されている。
【0198】
始動率とは、始動入賞口46を対象とした、遊技者によるパチンコ球の発射数PTOTALに対する始動回数NRの割合(R)である。始動回数とは、始動入賞口46へのパチンコ球の入賞の内、抽選の対象となる(有効始動となる)入賞回数である。なお、発射数PTOTALを100とすれば、始動回数の数値がそのままパーセンテージを示す数値となる。
【0199】
このため、発射数を検出するべく、発射数累積部200には、前述した入賞センサ172及び特別図柄始動入賞センサ168、大入賞口センサ173、アウト口54に設けられたアウト球検出センサ179が接続されている。
【0200】
発射数累積部200では、前記入賞センサ172、特別図柄始動入賞センサ168、大入賞口センサ173、アウト球検出センサ179によって検出した信号(パルス信号)を、カウントし発射数PTOTALを得る。発射数累積部200で得られた発射数PTOTALは、始動率演算部202Bへ送出される。
【0201】
なお、発射数累積部200には、タイマ201が接続されている。このタイマ201には、発射数累積部200で累積した値をリセットするリセット部203で接続されている。このリセット部203は、遊技実行制御部204にも接続されている。
【0202】
また、主制御部150には、通常遊技及び特別遊技等の遊技全般を制御する遊技実行制御部204が設けられている。前記始動率演算部202Bには、この遊技実行制御部204から、始動入賞口46に入賞したパチンコ球が有効始動と判断される毎に累積される始動回数NRが入力されるようになっている。
【0203】
この結果、始動率演算部202Bには、発射数PTOTALと始動回数NRとが入力されるため、これらから始動率Rを演算する(始動回数NR/発射数PTOTAL)。演算された始動率Rは、比較部210へ送出されるようになっている。
【0204】
比較部210には、基準値メモリ212が接続されており、前記入力される始動率Rと比較されるようになっている。この基準値は、店側で操作可能な位置(例えば、パチンコ機10の裏面側)に設けられた設定操作部214(図5参照)の操作によって、6段階に設定可能となっている(表3参照)。
【0205】
設定操作部214は、基準値設定部216に接続されており、この基準値設定部216には、基準値データ群メモリ218が接続されている。基準値データ群メモリ218には、表3に示されるような設定1〜設定6までの基準値データ群が記憶されており、何れかの設定(1〜6)が選択され、基準値メモリ212に登録されるようになっている。
【0206】
【表3】

【0207】
前記比較部210では、演算された始動率Rに基づいて、基準値メモリ212に登録されているデータ群の何れに属するかを比較判別し、判定確率を決定する。決定した判定確率は、電役補正抽選部220へ送出され、当該決定した判定確率の下での抽選で電役補正を実行するか否かを判断し、電役補正抽選に当選した場合には、当選した電役補正回数分、電役補正指示部222で一旦加算記憶した後、当該記憶に基づき、前記遊技実行制御部204へ電役補正の実施を指示する。
【0208】
以下、第3の実施の形態の作用を説明する。
【0209】
第3の実施の形態では、計数処理と電役補正抽選処理以外の全体処理(図6)、割り込み処理(図7(A))、普通電動役物処理(図7(B))、入賞球処理(図7(C))、電役補正率設定処理(図8)並びに普通図柄ゲーム処理(図11)は、電役補正抽選率設定処理(図8)並びに普通図柄ゲーム処理(図11)は、ベース値を基準とした処理と同一であるので省略する。
【0210】
図17には、始動率の算定に係わる計数処理の詳細が示されており、ステップ504では、始動入賞口46への入賞があったか否かが判断される。
【0211】
このステップ504で肯定判定されると、ステップ506へ移行して始動入賞口46への入賞が、抽選の機会となる有効始動か否かが判断される。このステップ506で肯定判定されると、ステップ508へ移行して始動回数NRを加算し、次いでステップ510で発射数PTOTALを+1加算して、ステップ511へ移行する。なお、ステップ508、510は大当たり中実行しないようにしてもよい。
【0212】
ステップ511では、大当たり中か否かが判断され、肯定判定された場合には、計数処理を実行する時期ではないため、このルーチンは終了する。
【0213】
また、ステップ511で否定判定された場合には、ステップ512へ移行してその他の入賞口(一般入賞口49)への入賞があったか否かが判断される。なお、ステップ511は必須ではないので、省略し、ステップ510からステップ512へ直接移行するようにしてもよい。
【0214】
ステップ512で、肯定判定されるとステップ514へ移行して、全ての入賞口への入賞球数の合計、すなわち今回検出された全ての入賞口(一般入賞口49)への入賞の合計個数を発射数PTOTALに加算し、ステップ516へ移行する。また、ステップ512で否定判定された場合には、ステップ516へ移行する。
【0215】
ステップ516では、アウト口54から排出されるパチンコ球の有無をアウト球検出センサ179に基づいて判別し、ステップ518でアウト球が有りと判断された場合には、ステップ520へ移行して発射数PTOTALに1を加算し、このルーチンは終了する。また、ステップ518で否定判定された場合には、このルーチンは終了する。なお、ここで用いられた入賞情報は、図7(A)のステップ309(入賞処理)におけるステップ309F(図7(C)参照)で記憶された情報に基づいている。
【0216】
次に、図18は、始動率に基づく、電役補正抽選処理の詳細を示しており、ステップ522では、発射数PTOTALが所定値(一定の条件で電役補正の実施/不実施を判断するための数)以上になったか否かが判断され、肯定判定されると、ステップ524へ移行して始動率R(R=NR/PTOTAL)を演算し、次いでステップ526へ移行して、発射数から所定値(ステップ522で使用した所定値と同じ値の所定値)を減算し(通常は、0になるが、同時に複数の入賞、並びにアウト球が発見された場合、所定数をとび超える事がある(+1〜2個)。この場合、端数は次回判定用に繰り越し、誤差とはならないようにする。よって、ゼロクリアではなく、所定値を減算する。)、ステップ528へ移行する。
【0217】
ステップ528では、基準値メモリ212に登録されている現在の設定値(設定1〜設定6)を読み出し、次いでステップ530で、前記演算された始動率Rと、読み出された設定値の中のそれぞれの始動率とを比較して、対応する回数振り分け値に基づいて電役補正回数の抽選を実行する。
【0218】
すなわち、表3における抽選を行う。具体的には、設定1で、始動率が2(小数点以下四捨五入)の場合、電役補正の複数回数の権利として、3回が90%、2回が10%、それ以外が0%の判定確率(当選確率)で抽選される。
【0219】
次のステップ532では、電役補正抽選で得られた回数分を実行するための電役補正カウント値に加算し、次いでステップ534で、始動回数NRをクリアして、このルーチンは終了する。
【0220】
なお、この表3に示す回数振分方式は、他の実施の形態にも応用可能である。
【0221】
(第4の実施の形態)
以下、本発明の第4の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同一構成部分については、同一の符号を付し、一部は構成の説明を省略する。
【0222】
この第4の実施の形態では、(D)始動回数による条件判別としている。
【0223】
図19には、主制御部150における、始動回数に基づく条件判別のための制御系を機能的に示したブロックが示されている。
【0224】
始動回数とは、始動入賞口46へのパチンコ球の入賞の内、抽選の対象となる(有効始動となる)入賞回数である(以下、始動回数NYという)。
【0225】
なお、始動回数NYは、前述の第3の実施の形態で示した始動回数NRと同一であるが、実施の形態間の混同を避けるため、第4の実施の形態では、変数記号としてNRではなく異なる変数NYを用いる。
【0226】
始動回数累積部202Cには、遊技実行制御部204から、始動入賞口46に入賞したパチンコ球が有効始動と判断される毎に、始動回数NYが入力され、累積されるようになっている。
【0227】
始動回数累積部202Cで累積された始動回数NYは、所定回数(たとえば、20回)毎に電役補正実行判定部210Aへ送出する。
【0228】
電役補正実行判定部210Aには、始動回数基準値を記憶する基準値メモリ212が接続されており、前記入力される始動回数NYと比較されるようになっている。この基準値は、店側で操作可能な位置(例えば、パチンコ機10の裏面側)に設けられた設定操作部214(図5参照)の操作によって、6段階に設定可能となっている(表4参照)。
【0229】
設定操作部214は、基準値設定部216に接続されており、この基準値設定部216には、基準値データ群メモリ218が接続されている。基準値データ群メモリ218には、表4に示されるような設定1〜設定6までの基準値データ群が記憶されており、何れかの設定(1〜6)が選択され、基準値メモリ212に登録されるようになっている。
【0230】
【表4】

【0231】
前記電役補正実行判定部210Aでは、累積された始動回数NYに基づいて、基準値メモリ212に登録されているデータ群の何れに属するかを比較判別し、判定確率を決定する。決定した判定確率は、電役補正抽選部220へ送出され、当該決定した判定確率の下での抽選で電役補正を実行するか否かを判断し、電役補正抽選に当選した場合には、電役補正指示部222で一旦加算記憶した後、当該カウント記憶に基づいて、前記遊技実行制御部204へ電役補正の実施を指示する。
【0232】
以下、第4の実施の形態の作用を説明する。
【0233】
第4の実施の形態では、計数処理と電役補正抽選処理以外の全体処理(図6)、割り込み処理(図7(A))、普通電動役物処理(図7(B))、入賞球処理(図7(C))、電役補正率設定処理(図8)並びに普通図柄ゲーム処理(図11)は、電役補正抽選率設定処理(図8)並びに普通図柄ゲーム処理(図11)は、ベース値を基準とした処理と同一であるので省略する。
【0234】
図20には、始動回数に基づく計数処理の詳細が示されており、ステップ604では、始動入賞口46への入賞があったか否かが判断される。このステップ604で肯定判定されると、ステップ606へ移行して当該始動入賞口46への入賞球が有効始動か否かが判断される。すなわち、抽選の対象となる始動入賞か否かを判断する。
【0235】
ステップ606で肯定判定されると、ステップ608へ移行して、始動回数NYを加算し、このルーチンは終了する。
【0236】
次に、図21は、始動回数NYに基づく、電役補正抽選処理の詳細を示しており、ステップ610では、始動回数NYが所定値(例えば,20回)以上か否かが判断され、肯定判定されると、ステップ612へ移行して始動回数NYをクリアする。
【0237】
次のステップ614では、基準値メモリ212に登録されている現在の設定値(設定1〜設定6)を読み出し、次いでステップ616で読み出された設定値に対応する確率で電役補正抽選を実行する。すなわち、表4に記載の抽選を行う。例えば、設定が3の時、80/100の判定確率(当選確率)で抽選される。
【0238】
次のステップ618では、電役補正抽選に当選したか否かが判断され、肯定判定(当選)されると、ステップ620へ移行して、電役補正を実行するための電役補正カウント値を加算し、このルーチンは終了する。また、ステップ618で否定判定(落選)されると、このルーチンは終了する。
【0239】
なお、この第4の実施の形態において、始動回数が所定回数(20回)になる毎に設定値に応じた抽選(表4参照)を行うようにしたが、表5に示される如く、設定値により始動回数を定め、当該始動回数に達した時点で、予め決められた抽選で電役補正抽選を行うようにしてもよい。また、表4と表5を併用してもよい。
【0240】
【表5】

【0241】
以上説明したように、上記第1乃至第4の実施の形態では、それぞれ定めた条件((A)乃至(D))が成立したときに、電役補正、すなわち、普通図柄抽選の高作動率化という特典を付与するようにしたため、各パチンコ機10間での始動入賞口46への入賞率の格差を抑制することができる。このため、従来、釘による入賞口への入賞率の調整を簡便なものとし、熟練を要する技術に代えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0242】
【図1】第1の実施の形態に係るパチンコ機の正面図である。
【図2】第1の実施の形態に係る遊技盤の正面図である。
【図3】第1の実施の形態に係るパチンコ機の制御系の概略を示すブロック図である。
【図4】第1の実施の形態に係る主制御部における電役補正を実現するための機能ブロック図である。
【図5】設定操作部の構造を示す正面図である。
【図6】電役補正制御の全体処理ルーチンを示す制御フローチャートである。
【図7】(A)は図6に定期的に割り込まれる割込ルーチンを示す制御フローチャート、(B)は普通電動役物処理ルーチンを示す制御フローチャート、(C)は図7(A)の入賞球処理の詳細を示す制御フローチャートである。
【図8】電役補正率設定処理ルーチンを示す制御フローチャートである。
【図9】第1の実施の形態に係る計数処理ルーチンを示す制御フローチャートである。
【図10】第1の実施の形態に係る電役補正抽選処理ルーチンを示す制御フローチャートである。
【図11】普通図柄ゲーム処理ルーチンを示す制御フローチャートである。
【図12】電役補正の際の高作動条件例を示す図表である。
【図13】第2の実施の形態に係る主制御部における電役補正を実現するための機能ブロック図である。
【図14】第2の実施の形態に係る計数処理ルーチンを示す制御フローチャートである。
【図15】第2の実施の形態に係る電役補正抽選処理ルーチンを示す制御フローチャートである。
【図16】第3の実施の形態に係る主制御部における電役補正を実現するための機能ブロック図である。
【図17】第3の実施の形態に係る計数処理ルーチンを示す制御フローチャートである。
【図18】第4の実施の形態に係る電役補正抽選処理ルーチンを示す制御フローチャートである。
【図19】第4の実施の形態に係る主制御部における電役補正を実現するための機能ブロック図である。
【図20】第4の実施の形態に係る計数処理ルーチンを示す制御フローチャートである。
【図21】第4の実施の形態に係る電役補正抽選処理ルーチンを示す制御フローチャートである。
【符号の説明】
【0243】
10 パチンコ機(遊技機)
32 遊技盤
43 表示部
44 大入賞口
46 始動入賞口
54 アウト口
100 保留ランプ
150 主制御部
152 演出制御部
156 図柄・音声制御部
168 特別図柄始動入賞センサ
172 入賞センサ
179 アウト球検出センサ
200 発射数累積部
202 ベース値演算部
204 遊技実行制御部
204A 保留メモリ
206 払出管理部
208 払出指示部
210 比較部
212 基準値メモリ
214 設定操作部
214A 設定部コントローラ
214B キーシリンダ
214C 7セグメント表示部
216 基準値設定部
218 基準値データ群メモリ
220 電役補正抽選部
222 電役補正指示部
202A 始動入賞口ベース値演算部
202B 始動率演算部
202C 始動回数累積部
210A 電役補正実行判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技媒体が遊技盤面上の入賞口へ入賞することによる所定数の遊技媒体の払い出し制御と、
前記入賞口に含まれる抽選用入賞口への入賞により所定の抽選確率の下で抽選を行い、当該抽選の結果が当たりの場合に、前記遊技盤面上での入賞確率が比較的大きくない通常遊技中よりも多くの払い出しを受けることが可能な入賞確率状態となる特別遊技を所定条件の間行うための特別遊技制御と、
前記遊技盤面上の何れか、もしくは複数の入賞口への入賞を容易にする普通電動役物の開閉制御と、
を実行する遊技実行制御手段を備えた遊技機であって、
前記遊技実行制御手段が、
前記通常遊技における前記遊技盤面へ発射された遊技媒体の振り分け履歴に基づく所定の遊技媒体投入数に対する、全ての入賞口への入賞による遊技媒体の払出数の割合として演算される計数値である通常ベース値が所定値以下となったとき、
或いは、前記通常遊技における前記遊技盤面へ発射された遊技媒体の振り分け履歴に基づく所定の遊技媒体投入数に対する、全ての入賞口への入賞による遊技媒体の払出数の割合として演算される計数値である通常ベース値が所定値以下となった場合に判定される所定の第1条件がさらに成立したときに、
前記遊技盤面上の何れか、もしくは複数の入賞口への入賞確率を高めるように所定の第2の条件に基づき前記普通電動役物を作動制御するようにしたことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
遊技媒体が遊技盤面上の入賞口へ入賞することによる所定数の遊技媒体の払い出し制御と、
前記入賞口に含まれる抽選用入賞口への入賞により所定の抽選確率の下で抽選を行い、当該抽選の結果が当たりの場合に、前記遊技盤面上での入賞確率が比較的大きくない通常遊技中よりも多くの払い出しを受けることが可能な入賞確率状態となる特別遊技を所定条件の間行うための特別遊技制御と、
前記遊技盤面上の何れか、もしくは複数の入賞口への入賞を容易にする普通電動役物の開閉制御と、
を実行する遊技実行制御手段を備えた遊技機であって、
前記特別遊技において通常遊技よりも多くの払い出しを受けることが可能なように開放制御される特別入賞口を有し、
前記遊技実行制御手段が、
前記遊技盤面へ発射された遊技媒体の振り分け履歴に基づく所定の遊技媒体投入数に対する、前記特別入賞口以外の入賞口への入賞による遊技媒体の払出数の割合として演算される計数値である一般ベース値が所定値以下となったとき、
或いは、前記遊技盤面へ発射された遊技媒体の振り分け履歴に基づく所定の遊技媒体投入数に対する、前記特別入賞口以外の入賞口への入賞による遊技媒体の払出数の割合として演算される計数値である一般ベース値が所定値以下となった場合に判定される所定の第1条件がさらに成立したときに、
前記遊技盤面上の何れか、もしくは複数の入賞口への入賞確率を高めるように所定の第2の条件に基づき前記普通電動役物を作動制御するようにしたことを特徴とする遊技機。
【請求項3】
遊技媒体が遊技盤面上の入賞口へ入賞することによる所定数の遊技媒体の払い出し制御と、
前記入賞口に含まれる抽選用入賞口への入賞により所定の抽選確率の下で抽選を行い、当該抽選の結果が当たりの場合に、前記遊技盤面上での入賞確率が比較的大きくない通常遊技中よりも多くの払い出しを受けることが可能な入賞確率状態となる特別遊技を所定条件の間行うための特別遊技制御と、
前記遊技盤面上の何れか、もしくは複数の入賞口への入賞を容易にする普通電動役物の開閉制御と、
を実行する遊技実行制御手段を備えた遊技機であって、
前記遊技実行制御手段が、
前記遊技盤面へ発射された遊技媒体の振り分け履歴に基づく所定の遊技媒体投入数に対する、前記遊技盤面上の入賞口のうちの指定された入賞口への入賞による遊技媒体の払出数の割合として演算される計数値である指定入賞口ベース値が所定値以下となったとき、
或いは、前記遊技盤面へ発射された遊技媒体の振り分け履歴に基づく所定の遊技媒体投入数に対する、前記遊技盤面上の入賞口のうちの指定された入賞口への入賞による遊技媒体の払出数の割合として演算される計数値である指定入賞口ベース値が所定値以下となった場合に判定される所定の第1条件がさらに成立したときに、
前記遊技盤面上の何れか、もしくは複数の入賞口への入賞確率を高めるように所定の第2の条件に基づき前記普通電動役物を作動制御するようにしたことを特徴とする遊技機。
【請求項4】
前記指定入賞口が、少なくとも前記抽選用入賞口を含むことを特徴とする請求項3記載の遊技機。
【請求項5】
遊技媒体が遊技盤面上の入賞口へ入賞することによる所定数の遊技媒体の払い出し制御と、
前記入賞口に含まれる抽選用入賞口への入賞により所定の抽選確率の下で抽選を行い、当該抽選の結果が当たりの場合に、前記遊技盤面上での入賞確率が比較的大きくない通常遊技中よりも多くの払い出しを受けることが可能な入賞確率状態となる特別遊技を所定条件の間行うための特別遊技制御と、
前記遊技盤面上の何れか、もしくは複数の入賞口への入賞を容易にする普通電動役物の開閉制御と、
を実行する遊技実行制御手段を備えた遊技機であって、
前記遊技実行制御手段が、
前記遊技盤面へ発射された遊技媒体の振り分け履歴に基づく所定の遊技媒体投入数に対する、前記抽選用入賞口への前記抽選が有効となる入賞数の割合として演算される計数値である始動率が所定値以下となったとき、
或いは、前記遊技盤面へ発射された遊技媒体の振り分け履歴に基づく所定の遊技媒体投入数に対する、前記抽選用入賞口への前記抽選が有効となる入賞数の割合として演算される計数値である始動率が所定値以下となった場合に判定される所定の第1条件がさらに成立したときに、
前記遊技盤面上の何れか、もしくは複数の入賞口への入賞確率を高めるように所定の第2の条件に基づき前記普通電動役物を作動制御するようにしたことを特徴とする遊技機。
【請求項6】
遊技媒体が遊技盤面上の入賞口へ入賞することによる所定数の遊技媒体の払い出し制御と、
前記入賞口に含まれる抽選用入賞口への入賞により所定の抽選確率の下で抽選を行い、当該抽選の結果が当たりの場合に、前記遊技盤面上での入賞確率が比較的大きくない通常遊技中よりも多くの払い出しを受けることが可能な入賞確率状態となる特別遊技を所定条件の間行うための特別遊技制御と、
前記遊技盤面上の何れか、もしくは複数の入賞口への入賞を容易にする普通電動役物の開閉制御と、
を実行する遊技実行制御手段を備えた遊技機であって、
前記遊技実行制御手段が、
前記前記抽選用入賞口への前記抽選が有効となる計数値である入賞回数が所定値以上となったとき、
或いは、前記前記抽選用入賞口への前記抽選が有効となる計数値である入賞回数が所定値以上となったとき判定される所定の第1条件がさらに成立したときに、
前記遊技盤面上の何れか、もしくは複数の入賞口への入賞確率を高めるように所定の第2の条件に基づき前記普通電動役物を作動制御するようにしたことを特徴とする遊技機。
【請求項7】
前記遊技実行制御手段が、前記普通電動役物を作動させるか否かを報知するための普通図柄を変動制御させると共に、
前記普通電動役物の作動制御は、前記普通図柄の変動時間を通常時の変動時間よりも短縮することにより、前記遊技盤面上の何れか、もしくは複数の入賞口への入賞確率を高めたことを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか1項記載の遊技機。
【請求項8】
前記遊技実行制御手段が、前記普通電動役物を作動させるか否かを報知するための普通図柄を変動制御させると共に、
前記普通電動役物の作動制御は、前記普通図柄の抽選確率を通常時の確率よりも高くすることにより、前記遊技盤面上の何れか、もしくは複数の入賞口への入賞確率を高めたことを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか1項記載の遊技機。
【請求項9】
前記普通電動役物の作動制御は、前記普通電動役物の開放回数を含めた総開放時間を増加させることにより、前記遊技盤面上の何れか、もしくは複数の入賞口への入賞確率を高めたことを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか1項記載の遊技機。
【請求項10】
前記普通電動役物の作動制御は、前記普通電動役物の規定入賞数を増加させることにより、前記遊技盤面上の何れか、もしくは複数の入賞口への入賞確率を高めたことを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか1項記載の遊技機。
【請求項11】
所定期間遊技が実行されなかったときに、前記判定に用いる計数値を初期化することを特徴とする請求項1乃至請求項10の何れか1項記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2006−305229(P2006−305229A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−134323(P2005−134323)
【出願日】平成17年5月2日(2005.5.2)
【出願人】(000154679)株式会社平和 (1,976)
【Fターム(参考)】