説明

遊技機

【課題】スロットマシンの回胴演出開始時の回胴のブレを軽減し、脱調等の不具合を防止する。
【解決手段】スロットマシンにおいて、回胴演出を行うときにモータを回転させるための予め定められた回胴演出用の励磁パターンを記憶する回胴演出用励磁パターン記憶部と、前記回胴演出用励磁パターン記憶部の前記回胴演出用の励磁パターンに基づき前記モータを回転させる演出用回胴制御部と、前記モータの停止時の励磁パターンを記憶する停止時励磁パターン記憶部を備え、前記演出用回胴制御部は、前記回胴演出を行うときに、前記停止時励磁パターン記憶部から前記停止時の励磁パターンを読み出し、読み出した当該励磁パターンに基づき前記モータを駆動し、その後、演出用回転シーケンスを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、回胴(リール)とそれを回転駆動するステッピングモータを備えるスロットマシンなどの遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から外周面に図柄が配列された複数の回胴を備えた遊技機(回胴式遊技機、スロットマシン)が知られている。この種の遊技機は、遊技媒体(メダル)に対して一定の遊技価値を付与し、このような遊技媒体を獲得するための遊技を行うものである。また、この種の遊技機は、遊技者の回転開始操作を契機として、内部抽選を行うとともに複数の回胴の回転を開始させ、遊技者の停止操作を契機として、内部抽選の結果に応じた態様で複数の回胴を停止させる制御を行っている。そして、遊技の結果は、複数の回胴が停止した状態における入賞判定ライン上に表示された図柄組合せによって判定され、遊技の結果に応じてメダル等の払い出しなどが行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−135469号公報 ステッピングモ一夕加速時の回転揺れを無くするために、加速期間に合わせて励磁時間と励磁相数を制御する。この励磁時間は揺れがなくなるまでモータをホールドすることにより得られる。なお、加速は2段階に分けられ、初期励磁段階の2相励磁と定速回転に至る段階の1−2相励磁とに分けられる。これにより、加速への移行時間を最少にできる。
【特許文献2】特開2011−010784号公報 回胴の回転開始前に、停止状態にある回胴の励磁状態が1相励磁である場合には、励磁状態を所定の励磁変更順序に従って「−1」更新し、直前の2相励磁に補正する通常補正処理を実行する。さらに、今回の回胴の回転が逆回転である場合には、通常補正処理にて補正した励磁状態を逆回転に適する励磁状態に再補正する再補正処理を実行する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スロットマシンの中には、内部当選を報知する際に回胴を動かすものがある。通常、回胴はスタートスイッチの押下による遊技の開始で回転し、ストップスイッチの押下で停止するものであるが、回胴による演出機能を備えるスロットマシンでは、スタートスイッチ押下からストップボタンの押下が可能になるまでの期間、より正確に言えばスタートスイッチ押下から回胴が定常回転になるまでの期間において、各回胴を不規則に上下に動かすなどの特殊な動作を行うことで、内部当選を報知することがある(通常遊技における回胴の動きは一方向かつ一定速度の規則的なものであるから、演出による回胴の動きとは容易に区別することができる)。このようなリールの動作は、回胴演出と呼ばれる。
なお、全ての回胴が停止した後から次回遊技に係るメダル投入受け付け開始までの間に上記回胴演出が行われるようにすることもできる。
【0005】
回胴の動き(回転)は、具体的には所定の励磁パターンでステッピングモータを駆動することで実現される(詳細は後述する)。励磁パターンとモータの回転位置(ロータの位置)の間には特定の関係があり、この関係に従って予め定められた励磁パターンを使用する。
【0006】
ところで、停止していた回胴を再び回転させるために所定の励磁パターンでモータを駆動する際において、何らかの理由で(例えば停止の際あるいは停止後に回胴が動いたなどにより)停止時の励磁パターンと回転開始時の励磁パターンが一致しないとモータがスムーズに動かない。ステッピングモータにおいて、負荷が大きすぎたり、パルス周波数が高すぎると同期が外れて制御が乱れる、いわゆる「脱調」現象が知られている。つまり、励磁パターンの変化とステッピングモータのロータの回転とが一致していればスムーズに動くが、不一致であるとスムーズに動かなくなる。これは、ステッピングモータの制御回路はフィードバック回路を備えずオープンループ制御を行っており、励磁パターンとロータの位置に不一致が生じてもこれを知ることができないためである。同様に、起動の際に、停止状態において本来与えられるべき励磁パターンと実際の与えられた励磁パターンが不一致であると、動きに乱れが生じてスムーズに動かないのである。
【0007】
例えば、前回の回胴の停止時において図10のステップ6の励磁パターンであるときに、回胴演出の開始時において図12のステップ4の励磁パターンが選択されるのであればモータはスムーズに起動するが、他の励磁パターンが選択され、それが回転開始時の励磁パターンであると、モータがぶるぶると震えるようになりスムーズに起動しないことがある。時間が経過して励磁パターンが順次切り替えられるといずれ図12のステップ4の励磁パターンになり、やがて回転開始するので回胴が起動しない、ということはない。しかし、その間において回胴が回転しないように見えるため、遊技者に不審に思われるおそれがある。ひいては興趣が失われることになりかねない。
【0008】
ところで、従来の回胴演出を行わない遊技機においては、回胴制御を行う処理はひとつ(遊技に関する回胴制御プログラム)だけであったので、直前の停止の際の励磁パターンからスタートして回胴を回転させることは容易であった。しかし、回胴演出を行う遊技機においては、回胴制御を行う処理は、遊技に関する回胴制御プログラムと回胴演出プログラムの複数存在する(図10〜図12に示すように複数の励磁パターン群が存在する)。これらの処理においてそれぞれ任意の励磁パターンから回胴の回転を開始するようにするとそれは停止時の励磁パターンと必ずしも一致せず、上述のような問題が生じることになる。つまり、回胴演出によっても、上記の回胴起動時の問題が生じるようになった。
【0009】
また、通常遊技の際の回胴回転の起動時において加速シーケンスを行うことにより、脱調現象を回避していた。回転速度が低いと脱調現象は起きにくいので、起動時においては定常回転シーケンスの励磁パターンの切換速度(例えば668pps)よりも低い速度で励磁パターンを切り換え(例えば、222ppsや167pps)、その後定常回転シーケンスに移行することで脱調現象の発生を抑制できる。しかし、加速シーケンスを行うためにはそのための処理プログラムや励磁パターンを記憶するテーブルを用意する必要がある。遊技機のメモリの容量には制限があり、むやみにプログラムやテーブルを増やすことができない。このため回胴演出において加速シーケンスを設けることは現実的ではない。
【0010】
本発明は上記課題に鑑みてなされたもので、回胴演出を行う遊技機において、回胴演出開始時の回胴の動きをスムーズにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明は、複数の回胴と、前記複数の回胴をそれぞれ回転させる複数のモータと、前記複数の回胴の回転を開始させるためのスタートスイッチと、前記複数のモータにそれぞれ予め定められた励磁パターンの駆動信号を与えて前記複数の回胴を回転させる回胴制御手段と、前記スタートスイッチからのスタート信号に基づいて役の当否を決定する内部抽選を行う内部抽選手段と、を備える遊技機において、
前記回胴は、所定の通常遊技及び所定の演出を行う回胴演出の際に回転するものであり、
前記回胴制御手段は、前記通常遊技を行うために前記複数の回胴を回転させるとともに、前記回胴の動作態様により前記回胴演出を行うものであり、
前記回胴制御手段は、
前記通常遊技を行うときに前記モータを回転させるための予め定められた遊技用の励磁パターンを記憶する遊技用励磁パターン記憶部と、
前記遊技用励磁パターン記憶部の前記遊技用の励磁パターンに基づき前記モータを回転させる通常遊技用回胴制御部と、
前記回胴演出を行うときに前記モータを回転させるための予め定められた回胴演出用の励磁パターンを記憶する回胴演出用励磁パターン記憶部と、
前記回胴演出用励磁パターン記憶部の前記回胴演出用の励磁パターンに基づき前記モータを回転させる演出用回胴制御部と、
前記モータの停止時の励磁パターンを記憶する停止時励磁パターン記憶部を備え、
前記回胴演出を行うときの前記モータの回転速度は、前記通常遊技を行うときの前記モータの回転速度よりも低く、
前記演出用回胴制御部は、
前記回胴演出を行うときに、前記停止時励磁パターン記憶部から前記停止時の励磁パターンを読み出し、読み出した当該励磁パターンに基づき前記モータを駆動し、
その後、前記回胴演出用励磁パターン記憶部の前記回胴演出用の励磁パターンを予め定められた第1繰り返し速度で前記モータに与える演出用回転シーケンスを行う、ことを特徴とするものである。
【0012】
前記通常遊技用回胴制御部は、
前記遊技用励磁パターン記憶部の前記遊技用の励磁パターンを予め定められた第2繰り返し速度で前記モータに与える定常回転シーケンスを行うとともに、
前記通常遊技を行うために前記回胴の回転を開始させる起動時において前記遊技用の励磁パターンを前記第2繰り返し速度よりも低い第3繰り返し速度で前記モータに与える加速シーケンスを行い、その後、前記定常回転シーケンスを行う。
【0013】
前記回胴演出用の前記第1繰り返し速度は、好ましくは、前記遊技用の前記第2繰り返し速度よりも低く、かつ、前記第2繰り返し速度は前記第1繰り返し速度の整数倍である。
【0014】
前記演出用回胴制御部は、
前記第2繰り返し速度と前記第1繰り返し速度の比に応じて、前記回胴演出用励磁パターン記憶部の前記回胴演出用の励磁パターンの読み出し周期を長くする読出タイミング調整部を備えるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、回胴演出を行う際において前回停止時の励磁パターンに基づき励磁をかけ(プリ励磁)、その後定常回転シーケンスを行うようにしたので、定常回転開始時においてモータの回転と励磁パターンが一致し、これによりモータがスムーズに起動するようになる。回胴演出実行時の動作不具合を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】前扉を閉めた状態を示すスロットマシンの正面図である。
【図2】前扉を180度開いた状態を示すスロットマシンの正面図である。
【図3】スロットマシンのブロック図である。
【図4】図4(a)は遊技時の回胴の回転速度のグラフ(タイミングチャート)であり、図4(b)は回胴演出時の回胴の回転速度のグラフ(タイミングチャート)である。
【図5】スロットマシンのリールユニットを示す斜視図である。
【図6】スロットマシンのリールユニットを構成する回胴の構造を示す斜視図である。
【図7】スロットマシンのステッピングモータの駆動回路のブロック図である。
【図8】発明の実施の形態に係る回胴制御手段のブロック図である。
【図9】発明の実施の形態に係る回胴制御手段の他のブロック図である。
【図10】発明の実施の形態に係る励磁パターン1(遊技用)の説明図である。
【図11】発明の実施の形態に係る励磁パターン2(回胴演出用)の説明図である。
【図12】発明の実施の形態に係る励磁パターン3(回胴演出用)の説明図である。
【図13】遊技処理の概要を示すフローチャートである。
【図14】発明の実施の形態に係る回胴演出処理のフローチャートである(図13のS4のサブルーチン)。
【図15】発明の実施の形態に係る遊技用回胴回転処理のフローチャートである。図15(a)は図13のS5のサブルーチン、図15(b)は図13のS6のサブルーチンである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は前扉を閉めた状態を示すスロットマシンの正面図、図2は前扉を180度開いた状態を示すスロットマシンの正面図を示す。
図1及び図2中、100はスロットマシンを示すもので、このスロットマシン100は、図1に示すように、スロットマシン本体120と、このスロットマシン本体120の前面片側にヒンジ等により開閉可能に取り付けられた前扉130とを備えている。前記前扉130の前面には、図1に示すように、ほぼ中央にゲーム表示部131を設け、ゲーム表示部131の右下隅部に、遊技者がメダルを投入するためのメダル投入口132を設け、メダル投入口132の下側には、メダル投入口132から投入され、詰まってしまったメダルをスロットマシン100外に強制的に排出するためのリジェクトボタン133が設けられている。
【0018】
また、前記ゲーム表示部131の左下方には、ゲームを開始するためのスタートスイッチ134を設けてあり、3つの回胴のそれぞれに対応して3つのストップスイッチ140を設けてある。前扉の下端部中央には、メダルの払出し口135を設けてある。前記ゲーム表示部131の上側には、液晶表示装置LCDが設けてある。
【0019】
スロットマシン本体120の内部には、図2に示すように、その内底面に固定され、内部に複数のメダルを貯留して、貯留したメダルを前扉130の前面に設けた払出し口135に1枚ずつ払い出すためのホッパ装置121が設置されている。このホッパ装置121の上部には、上方に向けて開口し、内部に複数のメダルを貯留するホッパタンク122を備えている。スロットマシン本体120の内部には、前扉130を閉めたときにゲーム表示部131が来る位置に三個の回胴を含むリール(回胴)ユニット203が設置されている。リールユニット203は、外周面に複数種類の図柄が配列されている3つの回胴(回胴40a〜回胴40c)を備えている。ゲーム表示部131には開口部が設けられていて、それを通して遊技者が前記リールユニット203の各回胴の図柄を見ることができるようになっている。ホッパ装置121の左側には電源部205が設けられている。
【0020】
前記前扉130の裏面には、図2に示すように、メダル(コイン)セレクタ1が、前扉130の前面に設けられたメダル投入口132のやや下側、イジェクトボタン133の裏面付近に取り付けられている。このメダルセレクタ1は、メダル投入口132から投入されたメダルの通過を検出しながら、当該メダルをホッパ装置121に向かって転動させ、外径が所定寸法と違う異径メダルや、鉄又は鉄合金で作製された不正メダルを選別して排除するとともに、1ゲームあたりに投入可能な所定枚数以上のメダルを選別して排除するための装置である。
また、メダルセレクタ1の下側には、図2に示すように、その下部側を覆って前扉130の払出し口135に連通する導出路136が設けられている。メダルセレクタ1により振り分けられたメダルは、この導出路136を介して払出し口135から遊技者に返却される。
【0021】
図3は発明の実施の形態に係るスロットマシン100の機能ブロック図を示す。
この図において電源系統についての表示は省略されている。図示しないが、スロットマシンは商用電源(AC100V)から直流電源(+5Vなど)を発生するための電源部を備える。
スロットマシン100は、その主要な処理装置としてメイン基板(処理部)10とこれからコマンドを受けて動作するサブ基板20とを備える。なお、少なくともメイン基板10は、外部から接触不能となるようにケース内部に収容され、これら基板を取り外す際に痕跡が残るように封印処理が施されている。
【0022】
メイン基板10は、遊技者の操作を受けて内部抽選を行ったり、回胴の回転・停止やメダルの払い出しなどの処理を行うためのものである。メイン基板10は、予め設定されたプログラムに従って制御動作を行うCPUと、前記プログラムを記憶する記憶手段であるROMおよび処理結果などを一時的に記憶するRAMを含む。
【0023】
サブ基板20は、メイン基板10からコマンド信号を受けて内部抽選の結果を報知したり各種演出を行うためのものである。サブ基板20は、前記コマンド信号に応じた予め設定されたプログラムに従って制御動作を行うCPUと、前記プログラムを記憶する記憶手段であるROMおよび処理結果などを一時的に記憶するRAMを含む。コマンドの流れはメイン基板10からサブ基板20への一方のみであり、逆にサブ基板20からメイン基板10へコマンド等が出されることはない。
【0024】
メイン基板10には、ベットスイッチBET、スタートスイッチ134,ストップボタン140,リール(回胴)ユニット203、ホッパ駆動部80、ホッパ81及びホッパ81から払い出されたメダルの枚数を数えるためのメダル検出部82(これらは前述のホッパ装置121を構成する)が接続されている。サブ基板20には液晶表示装置の制御用の液晶制御基板200、スピーカ基板201、LED基板202などの周辺基板(ローカル基板)が接続されている。
【0025】
メイン基板10には、さらに、メダルセレクタ1のメダルセンサS1及びS2が接続されている。
【0026】
メダルセレクタ1には、メダルを計数するためのメダルセンサS1及びS2が設けられている。メダルセンサS1及びS2は、メダルセレクタ1に設けられた図示しないメダル通路の下流側(出口近傍)に設けられている(メダル通路の上流側はメダル投入口132に連通している)。2つのメダルセンサS1とS2は、メダルの進行方向に沿って所定間隔を空けて並べて設けられている。メダルセンサS1、S2は、例えば、互いに対向した発光部と受光部とを有して断面コ字状に形成され、その検出光軸をメダル通路内に上方から臨ませて位置するフォトインタラプタである。各フォトインタラプタにより、途中で阻止されずに送られてきたメダルの通過が検出される。なお、フォトインタラプタを2つ隣接させたのは、メダル枚数を検出するだけでなく、メダルの通過が正常か否かを監視するためである。すなわち、フォトインタラプタを2つ隣接させて設けることにより、メダルの通過速度や通過方向を検出することができ、これによりメダル枚数だけでなく、逆方向に移動する不正行為を感知することができる。
【0027】
リールユニット203は、3つの回胴40a〜40cと(図5参照)、これらをそれぞれ回転させるステッピングモータ155a〜155cと、それらの位置をそれぞれ検出する回胴位置検出器(インデックスセンサ)159a〜159cとを備える(なお、ステッピングモータ155a〜155cを単にモータ155あるいはモータと記すことがある)。
【0028】
遊技機では、後述のように(図6及びその説明参照)、リールユニット203は、インデックス160と、これを検知するインデックスセンサ(インデックスセンサ:フォトインタラプタ)159とを備えており、回胴制御手段1300は、回胴40a〜40cそれぞれが1回転する毎にインデックスセンサ159で検出される基準位置信号に基づいて、回胴40の基準位置(リールインデックスによって検出されるコマ)からの回転角度を求める(ステップモータの回転軸の回転ステップ数をカウントする)ことによって、現在の回胴40の回転状態を監視することができるようになっている。すなわち、メイン基板10は、回胴40の基準位置からの回転角度を求めることにより、ストップボタン140の作動時における回胴40の位置を得ることができる。
【0029】
図5は、リールユニット203を示す斜視図である。
各回転リール(回胴)40a〜40cがリールユニット203の主要部である。各回転リール(回胴)40a〜40cは、フレーム151にブラケット152を介して取り付けられている。各回転リール(回胴)40a〜40cはそれぞれドラム153の外周に帯154が貼られたものである。帯154の外周面には21個の図柄(図示せず)が描かれている。また、各ブラケット152にはステッピングモータ155が設けられており、各回転リール(回胴)40a〜40cはこれらステッピングモータ155a〜155cで駆動されて回転する。
【0030】
図6(a)は、回胴40a〜40cの構造を示す斜視図である。
帯154の背後のドラム153内部にはランプケース156が設けられており、このランプケース156の3個の各部屋にはそれぞれバックランプ157a,157b,157cが取り付けられている。これらバックランプ157a〜157cは図6(b)に示すように基板158に実装されており、この基板158がランプケース156の背面側に取り付けられている。また、ブラケット152にはフォトインタラプタ(インデックスセンサ)159が取り付けられている。フォトインタラプタとは、1つのケースの中に発光素子(発光ダイオードなど)と受光素子(フォトトランジスタ、フォトダイオードなど)を対向配置し、その間に検出用の溝を設け、当該検出溝間を物体が通過したことを非接触で検知するものである。このフォトインタラプタ159は、ドラム153に設けられたインデックス(遮蔽板)160がドラム153の回転に伴ってフォトインタラプタ159を通過するのを検出する。
【0031】
各バックランプ157a〜157cは図示しないランプ駆動回路によって個別に点灯制御される。各バックランプ157a〜157cの点灯により、帯154に描かれた図柄のうち、各バックランプ157の前部に位置する3個の図柄が背後から個別に照らし出され、図柄表示窓131にそれぞれ3個ずつの図柄が映し出される。
【0032】
なお、以下の説明において、任意のひとつ又は複数の回胴を示すときは符号40を使用し、3つの回胴をそれぞれ区別して示すときは符号40a〜40cを使用することにする。
【0033】
ホッパ駆動部80は、ホッパ81の図示しない回転ディスクを回転駆動して、メイン基板10によって指示された払出数のメダルを払い出す動作を行う。遊技機は、メダルを1枚払い出す毎に作動するメダル検出部82を備えており、メイン基板10は、メダル検出部82からの入力信号に基づいてホッパ81から実際に払い出されたメダルの数を管理することができる。
【0034】
投入受付部(投入受付手段)1050は、メダルセレクタ1のメダルセンサS1とS2の出力を受け、遊技毎にメダルの投入を受け付けて、規定投入数に相当するメダルが投入されたことに基づいて、スタートスイッチ134に対する回胴40a〜回胴40cの回転開始操作を許可する処理を行う。なお、スタートスイッチ134の押下操作が、回胴40a〜回胴40cの回転を開始させる契機となっているとともに、内部抽選を実行する契機となっている。また、遊技状態に応じて規定投入数を設定し、通常状態およびボーナス成立状態では規定投入数を3枚に設定し、ボーナス状態では規定投入数を1枚に設定する。
【0035】
メダルが投入されると、遊技状態に応じた規定投入数を限度として、投入されたメダルを投入状態に設定する。あるいは、遊技機にメダルがクレジットされた状態で、ベットスイッチBETが押下されると、遊技状態に応じた規定投入数を限度して、クレジットされたメダルを投入状態に設定する。メダルの投入を受け付けるかどうかは、メイン基板10が制御する。スタートスイッチ134が押下され各回胴の回転が開始した時点(遊技開始時点)から3つのストップスイッチ140が押下され各回胴の回転が停止した時点(入賞した場合はメダル払い出しが完了した時点)(遊技終了時点)の間であって、メダルの投入を受け付ける状態になっていないときは(許可されていないときは)、メダルを投入してもメダルセンサS1、S2でカウントされず、そのまま返却される。同様に、メイン基板10は、メダルの投入を受け付ける状態か否かに応じて、ベットスイッチBETの有効/無効を制御する。また、前記遊技終了時点から前記遊技開始時点までの間でベットスイッチBETは有効となるが、これ以外の期間においては(BETスイッチの押下が許可されていないときは)、ベットスイッチBETを押下しても、それは無視される。
【0036】
メイン基板10は、乱数発生手段1100を内蔵する。乱数発生手段1100は、抽選用の乱数値を発生させる手段である。乱数値は、例えば、インクリメントカウンタ(所定のカウント範囲を循環するように数値をカウントするカウンタ)のカウント値に基づいて発生させることができる。なお本実施形態において「乱数値」には、数学的な意味でランダムに発生する値のみならず、その発生自体は規則的であっても、その取得タイミング等が不規則であるために実質的に乱数として機能しうる値も含まれる。
【0037】
内部抽選手段1200は、遊技者がスタートスイッチ134からのスタート信号に基づいて、役の当否を決定する内部抽選を行う。すなわち、メイン基板10のメモリ(図示せず)に記憶されている抽選テーブル(図示せず)を選択する抽選テーブル選択処理、乱数発生手段1100から得た乱数の当選を判定する乱数判定処理、当選の判定結果で大当たりなどに当選したときにその旨のフラグを設定する抽選フラグ設定処理などを行う。
【0038】
抽選テーブル選択処理では、図示しない記憶手段(ROM)に格納されている複数の抽選テーブル(図示せず)のうち、いずれの抽選テーブルを用いて内部抽選を行うかを決定する。抽選テーブルでは、複数の乱数値(例えば、0〜65535の65536個の乱数値)のそれぞれに対して、リプレイ、小役(ベル、チェリー)、レギュラーボーナス(RB:ボーナス)、およびビッグボーナス(BB:ボーナス)などの各種の役が対応づけられている。また、遊技状態として、通常状態、ボーナス成立状態、およびボーナス状態が設定可能とされる。ボーナス成立状態は、内部抽選でビッグボーナスあるいはレギュラーボーナスに当選したことを契機として移行する遊技状態である。さらにリプレイの抽選状態として、リプレイ無抽選状態、リプレイ低確率状態、リプレイ高確率状態が設定可能とされる。
【0039】
乱数判定処理では、スタートスイッチ134からのスタート信号に基づいて、遊技毎に前記乱数発生手段(図示せず)から乱数値(抽選用乱数)を取得し、取得した乱数値について前記抽選テーブルを参照して役に当選したか否かを判定する。
【0040】
抽選フラグ設定処理では、乱数判定処理の結果に基づいて、当選したと判定された役の抽選フラグを非当選状態(第1のフラグ状態、オフ状態)から当選状態(第2のフラグ状態、オン状態)に設定する。2種類以上の役が重複して当選した場合には、重複して当選した2種類以上の役のそれぞれに対応する抽選フラグが当選状態に設定される。抽選フラグの設定情報は、記憶手段(RAM)に格納される。
【0041】
入賞するまで次回以降の遊技に当選状態を持ち越し可能な抽選フラグ(持越可能フラグ)と、入賞の如何に関わらず次回以降の遊技に当選状態を持ち越さずに非当選状態にリセットされる抽選フラグ(持越不可フラグ)とが用意されていることがある。この場合、前者の持越可能フラグが対応づけられる役としては、レギュラーボーナス(RB)およびビッグボーナス(BB)があり、それ以外の役(例えば、小役、リプレイ)は後者の持越不可フラグに対応づけられている。すなわち抽選フラグ設定処理では、内部抽選でレギュラーボーナスに当選すると、レギュラーボーナスの抽選フラグの当選状態を、レギュラーボーナスが入賞するまで持ち越す処理を行い、内部抽選でビッグボーナスに当選すると、ビッグボーナスの抽選フラグの当選状態を、ビッグボーナスが入賞するまで持ち越す処理を行う。このときメイン基板10は、内部抽選機能により、レギュラーボーナスやビッグボーナスの抽選フラグの当選状態が持ち越されている遊技でも、レギュラーボーナスおよびビッグボーナス以外の役(小役およびリプレイ)についての当否を決定する内部抽選を行っている。すなわち抽選フラグ設定処理では、レギュラーボーナスの抽選フラグの当選状態が持ち越されている遊技において、内部抽選で小役あるいはリプレイが当選した場合には、既に当選しているレギュラーボーナスの抽選フラグと内部抽選で当選した小役あるいはリプレイの抽選フラグとからなる2種類以上の役に対応する抽選フラグを当選状態に設定し、ビッグボーナスの抽選フラグの当選状態が持ち越されている遊技において、内部抽選で小役あるいはリプレイが当選した場合には、既に当選しているビッグボーナスの抽選フラグと内部抽選で当選した小役あるいはリプレイの抽選フラグとからなる2種類以上の役に対応する抽選フラグを当選状態に設定する。
【0042】
リプレイ処理手段1600は、所定条件下で内部抽選におけるリプレイの当選確率を変動させる制御を行うことがある。例えば、ストップボタン140の操作によってリールを停止させた際に所定の出目が表示されるとリプレイの当選確率が変動する。リプレイ処理手段1600については、後に再度説明を加える。リプレイの抽選状態として、リプレイが内部抽選の対象から除外されるリプレイ無抽選状態、リプレイの当選確率が約1/7.3に設定されるリプレイ低確率状態、およびリプレイの当選確率が約1/6に設定されるリプレイ高確率状態という複数種類の抽選状態を設定可能とされている。リプレイの抽選状態を変化させることにより、内部抽選におけるリプレイの当選確率を変動させる。
【0043】
回胴制御手段1300は、遊技者のスタートスイッチ134の押下操作(回転開始操作)によるスタート信号に基づいて、回胴40a〜回胴40cをステッピングモータにより回転駆動させ、回胴40a〜回胴40cの回転速度が所定速度(約80rpm:1分間あたり約80回転となる回転速度)に達した状態において回転中の回胴にそれぞれ対応する3つのストップボタン140の押下操作(停止操作)を許可する制御を行うとともに、ステッピングモータにより回転駆動されている回胴40a〜回胴40cを抽選フラグの設定状態(内部抽選の結果)に応じて停止させる制御を行う。
回胴制御手段1300は、各回胴を上記所定速度(約80rpm)で回転させるとき(定常回転)には所定の速度(例えば668pps)で励磁パターンを切り換えて生成した駆動信号をステッピングモータに与えている。また、脱調現象を回避するために起動時において加速シーケンスを行うが、これは、定常回転シーケンスの励磁パターンの切換速度よりも低い速度(例えば、222ppsや167pps)で励磁パターンを切り換えて生成した駆動信号をステッピングモータに与えている。この後、所定の速度(例えば668pps)で励磁パターンを切り換えて生成した駆動信号をステッピングモータに与えるようにしている。
【0044】
また、回胴制御手段1300は、3つのストップボタン140に対する押下操作(停止操作)が許可(有効化)された状態において、遊技者が3つのストップボタン140を押下することにより、その回胴停止信号に基づいて、リールユニット203のステッピングモータへの駆動パルス(モータ駆動信号)の供給を停止することにより、回胴40a〜回胴40cの各回胴を停止させる制御を行う。
【0045】
すなわち、回胴制御手段1300は、3つのストップボタン140の各ボタンが押下される毎に、回胴40a〜回胴40cのうち押下されたボタンに対応する回胴の停止位置を決定して、決定された停止位置で回胴を停止させる制御を行っている。具体的には、記憶手段(ROM)に記憶されている停止制御テーブル(図示せず)を参照して3つのストップボタンの押下タイミングや押下順序等(停止操作の態様)に応じた回胴40a〜回胴40cの停止位置を決定し、決定された停止位置で回胴40a〜回胴40cを停止させる制御を行う。
【0046】
ここで停止制御テーブルでは、ストップボタン140の作動時点における回胴40a〜回胴40cの位置(押下検出位置)と、回胴40a〜回胴40cの実際の停止位置(または押下検出位置からの滑りコマ数)との対応関係が設定されている。抽選フラグの設定状態に応じて、回胴40a〜回胴40cの停止位置を定めるための停止制御テーブルが用意されることもある。
【0047】
遊技機では、リールユニット203がフォトセンサからなるインデックスセンサを備えており、回胴制御手段1300は、回胴が1回転する毎にインデックスセンサで検出される基準位置信号に基づいて、回胴の基準位置(インデックスセンサによって検出されるコマ)からの回転角度(ステップモータの回転軸の回転ステップ数)を求めることによって、現在の回胴の回転状態を監視することができるようになっている。すなわち、メイン基板10は、ストップスイッチ140の作動時における回胴の位置を、回胴の基準位置からの回転角度を求めることにより得ることができる。
【0048】
回胴制御手段1300は、いわゆる引き込み処理と蹴飛ばし処理とを回胴を停止させる制御として行っている。引き込み処理とは、抽選フラグが当選状態に設定された役に対応する図柄が有効な入賞判定ライン上に停止するように(当選した役を入賞させることができるように)回胴を停止させる制御処理である。一方蹴飛ばし処理とは、抽選フラグが非当選状態に設定された役に対応する図柄が有効な入賞判定ライン上に停止しないように(当選していない役を入賞させることができないように)回胴を停止させる制御処理である。すなわち本実施形態の遊技機では、上記引き込み処理及び蹴飛ばし処理を実現させるべく、抽選フラグの設定状態、ストップボタン140の押下タイミング、押下順序、既に停止している回胴の停止位置(表示図柄の種類)などに応じて各回胴の停止位置が変化するように停止制御テーブルが設定されている。このように、メイン基板10は、抽選フラグが当選状態に設定された役の図柄を入賞の形態で停止可能にし、一方で抽選フラグが非当選状態に設定された役の図柄が入賞の形態で停止しないように回胴40a〜回胴40cを停止させる制御を行っている。
【0049】
遊技機では、回胴40a〜回胴40cが、ストップボタン140が押下された時点から190ms以内に、押下されたストップボタンに対応する回転中の回胴を停止させる制御状態に設定されている。すなわち回転している各回胴の停止位置を決めるための停止制御テーブルでは、ストップボタン140の押下時点から各回胴が停止するまでに要するコマ数が0コマ〜4コマの範囲(所定の引き込み範囲)で設定されている。
【0050】
リール制御手段1300は、回胴演出に係る制御も行う。スロットマシンの中には、内部当選を報知する際に回胴を動かすものがある。通常、回胴はスタートスイッチの押下による遊技の開始で回転し、ストップボタンの押下で停止するものであるが、回胴による演出機能を備えるスロットマシンでは、スタートスイッチ押下からストップボタンの押下が可能になるまでの期間、より正確に言えばスタートスイッチ押下から回胴が遊技者による停止操作が可能になるまでの期間において、各回胴を不規則に上下に動かすなどの特殊な動作を行うことで、内部当選を報知することがある(通常遊技における回胴の動きは一方向かつ一定速度の規則的なものであるから、演出による回胴の動きとは容易に区別することができる)。このようなリールの動作は、回胴演出と呼ばれる。なお、回胴演出においても遊技者のストップボタンの押下操作を有効とし、演出中の回胴が一時停止(擬似停止)するという動作が可能なこともあり、これも回胴演出に含まれる。
【0051】
なお、全ての回胴が停止した後から次回遊技に係るメダル投入受け付け開始までの間に上記回胴演出が行われるようにすることもできる。
【0052】
図4(a)は通常遊技時の回胴の回転速度の変化を示すグラフであり、同図(b)は回胴演出時の回胴の回転変化を示すグラフである。いずれも一例を示す模式図である。
【0053】
図4(a)を参照して通常遊技時の回胴の回転について説明を加える。
【0054】
時刻t1でスタートスイッチ134が押下されると回胴は回転を開始する。そして予め定められた回転速度ω1に到達する。そして、時刻t2でストップボタン140が押下されることで回胴が停止するが、この際に、上述の滑りの制御が行われる。図4(a)において、符号γは加速シーケンスが行われる期間を示し、符号βは滑りの制御が行われる期間を示し、符号αは減速シーケンスが行われる期間を示す。加速シーケンスとは、定常回転よりも低い周波数(長い読み出し周期)で後述の励磁パターンを変化させることで脱調現象を抑制しつつ回胴を回転させる手順であり、減速シーケンスとは、定常回転よりも低い周波数(長い読み出し周期)で励磁パターンを変化させることで回胴をスムーズに停止させる手順である。また、時刻t3からt4の期間では定常回転シーケンスが行われる。定常回転シーケンスは、予め定められた速度ω1で回胴が回転するように、予め定められた速さで励磁パターンを変化させる手順である(例えば、1秒間に668回励磁パターンを変化させる。これを以下の説明において668ppsのように表記する)。
【0055】
図4(b)を参照して回胴演出時の回胴の回転について説明を加える。
【0056】
同図の例は順方向(通常遊技時と同じ回転方向)へ2回(符号T−1とT−3)、逆方向へ2回(符号T−2とT−4)、交互に回転方向を切り換えながら回胴を回転させる演出の例を示す。順方向の回転速度はω2、逆方向の回転速度はω3である(例えば、ω2とω3それぞれの絶対値は等しい)。回胴演出時の回転速度は、通常遊技機のそれよりも低いものとする。例えば、ω2はω1の半分である(上記例で言えば励磁パターンの切換速度は334pps)。
【0057】
図4(b)を図4(a)と対比すると容易に理解できるように、回胴演出においては加速シーケンスと減速シーケンスは設けられていない。これは前述したように、遊技機において加速シーケンスと減速シーケンスを設けることには制約があるためである。すなわち、加速シーケンスを行うためにはそのための処理プログラムや励磁パターンを記憶するテーブルを用意する必要があるが、遊技機のメモリの容量には制限があり、むやみにプログラムやテーブルを増やすことができない、という事情があるためである。
また、通常遊技の場合よりも回胴演出の回転速度が低いため脱調現象が生じにくいので加速シーケンスがなくても支障がない場合があるという理由もある。発明の実施の形態では後述のようにプリ励磁を行っているが、これは回胴演出の際の起動時(図4(b)の符号δとδ’)に適用される。
【0058】
なお、回胴演出には、回胴演出中に遊技者が擬似停止操作(ストップボタン140の操作)を行うと、擬似的に回胴が停止(一時停止を含む)するというものもある(この回胴の停止は通常遊技の停止とは異なりこの結果により特定の賞に入賞するというものではない)。通常遊技機おけるストップボタン140操作による回胴の停止の際にはいわゆる滑りの制御が行われていたが、回胴演出においては滑りの制御は行わなくてもよい。この場合、擬似停止操作を行うと回胴は即時に停止する(ビタ止まり)。
【0059】
擬似停止操作の際は入賞判定を行わないと上述したが、これには限定されず、回胴演出の際にも入賞判定を行うようにしてもよい。例えば、擬似停止時に目押しによって所定の図柄組み合わせ(例えば「7・7・7」)を揃えることができた場合に、いわゆるAT(当選役に対応した図柄組み合わせのナビあるいは押し順のナビ)などの特典を遊技者に与えるようにしてもよい。このようにすることにより、回胴演出中において擬似停止を行う動機付けを遊技者に与えることができ、遊技者にスムーズに擬似遊技(擬似停止操作)を行わせることができるという効果が生じる。これは、特に回胴演出に制限時間(回胴演出開始時にセットされ、タイムアップで回胴演出が終了して定常回転へ向かうシーケンスが開始されるといった場合の制限時間)を設けた場合に好適である。
【0060】
上述の回胴演出が終了すると、その直後に通常の方向の定常回転を行わせる処理(加速シーケンス、定常回転シーケンス)が開始される。回胴演出の具体的内容については後述する。
【0061】
入賞判定手段1400は、回胴40a〜回胴40cの停止態様に基づいて、役が入賞したか否かを判定する処理を行う。具体的には、記憶手段(ROM)に記憶されている入賞判定テーブルを参照しながら、回胴40a〜回胴40cの全てが停止した時点で入賞判定ライン上に表示されている図柄組合せが、予め定められた役の入賞の形態であるか否かを判定する。
【0062】
入賞判定手段1400は、その判定結果に基づいて、入賞時処理を実行する。入賞時処理としては、例えば、小役が入賞した場合にはホッパ81を駆動してメダルの払出制御処理が行われるか、あるいはクレジットの増加され(規定の最大枚数例えば50枚まで増加され、それを超えた分だけ実際にメダル払い出される)、リプレイが入賞した場合にはリプレイ処理が行われ、ビッグボーナスやレギュラーボーナスが入賞した場合には遊技状態を移行させる遊技状態移行制御処理が行われる。
【0063】
払出制御手段1500は、遊技結果に応じたメダルの払い出しに関する払出制御処理を行う。具体的には、小役が入賞した場合に、役毎に予め定められている配当に基づいて遊技におけるメダルの払出数を決定し、決定された払出数に相当するメダルを、ホッパ駆動部80でホッパ81を駆動して払い出させる。この際に、ホッパ81に内蔵される図示しないモータに電流が流れることになる。
【0064】
メダルのクレジット(内部貯留)が許可されている場合には、ホッパ81によって実際にメダルの払い出しを行う代わりに、記憶手段(RAM)のクレジット記憶領域(図示省略)に記憶されているクレジット数(クレジットされたメダルの数)に対して払出数を加算するクレジット加算処理を行って仮想的にメダルを払い出す処理を行う。
【0065】
リプレイ処理手段1600は、リプレイが入賞した場合に、次回の遊技に関して遊技者の所有するメダルの投入を要さずに前回の遊技と同じ準備状態に設定するリプレイ処理(再遊技処理)を行う。リプレイが入賞した場合には、遊技者の手持ちのメダル(クレジットメダルを含む)を使わずに前回の遊技と同じ規定投入数のメダルが自動的に投入状態に設定される自動投入処理が行われ、遊技機が前回の遊技と同じ入賞判定ラインを有効化した状態で次回の遊技における回転開始操作(遊技者によるスタートスイッチ134の押下操作)を待機する状態に設定される。
【0066】
また、メイン基板10は、通常状態、ボーナス成立状態、およびボーナス状態の間で遊技状態を移行させる制御を行うことがある(遊技状態移行制御機能)。遊技状態の移行条件は、1の条件が定められていてもよいし、複数の条件が定められていてもよい。複数の条件が定められている場合には、複数の条件のうち1の条件が成立したこと、あるいは複数の条件の全てが成立したことに基づいて、遊技状態を他の遊技状態へ移行させることができる。
【0067】
通常状態は、複数種類の遊技状態の中で初期状態に相当する遊技状態で、通常状態からはボーナス成立状態への移行が可能となっている。ボーナス成立状態は、内部抽選でビッグボーナスあるいはレギュラーボーナスに当選したことを契機として移行する遊技状態である。ボーナス成立状態では、通常状態における内部抽選でビッグボーナスが当選した場合、ビッグボーナスが入賞するまでビッグボーナスに対応する抽選フラグが当選状態に維持され、通常状態における内部抽選でレギュラーボーナスが当選した場合、レギュラーボーナスが入賞するまでレギュラーボーナスに対応する抽選フラグが当選状態に維持される。ボーナス状態では、ボーナス遊技によって払い出されたメダルの合計数により終了条件が成立したか否かを判断し、入賞したボーナスの種類に応じて予め定められた払出上限数を超えるメダルが払い出されると、ボーナス状態を終了させて、遊技状態を通常状態へ復帰させる。
【0068】
リールユニット203は、3つの回胴40a〜40cを備えるが、3つの回胴40a〜40cそれぞれにひとつづつステッピングモータ155a〜155cが取り付けられている。ステッピングモータ155は、回転子(ロータ)として歯車状の鉄心あるいは永久磁石を備え、固定子(ステータ)として複数の巻線(コイル)を備え、電流を流す巻線を切り替えることによって回転動作させるものである。すなわち、固定子の巻線に電流を流して磁力を発生させ、回転子を引きつけることで回転するものである。回転軸を指定された角度で停止させることが可能なことから、スロットマシンの回胴の回転駆動に使用されている。複数の巻線がひとつの相を構成する。相の数として、例えば、2つ(二相)、4つ(4相)、5つ(5相)のものもある。
【0069】
ステッピングモータは、各相の巻線への電流の与え方を変えることにより、特性を変えることができる(励磁モードが変わる)。二相型については次の通りである。
【0070】
・一相励磁
常に巻線一相のみに電流を流す。位置決め精度は良い。
【0071】
・二相励磁
二相に電流を流す。一相励磁の約2倍の出力トルクが得られる。位置決め精度は良く、停止したときの静止トルクが大きいため、停止位置を確実に保持できる。
【0072】
・一−二相励磁
一相と二相を交互に切り替えて電流を流す。一相励磁・二相励磁の場合のステップ角度の半分にすることができるので、滑らかな回転を得られる。
【0073】
なお、ステッピングモータを「駆動する」とは、当該モータを上記励磁により回転させることとともに、所望の位置で停止させその位置を保持するために各相を励磁することも含むものとする。
【0074】
スロットマシンでは、例えば、4相の基本ステップ角度1.43度のステッピングモータを使用し、パルスの出力方法として一−二相励磁を採用している。
【0075】
図7は、スロットマシンのステッピングモータの駆動回路のブロック図である(同図の符号203Mは符号155と同じもの)。この図では、説明を簡単にするために2相のモータを示しているが、4相の場合でも同様である。なお、図7では、各回胴の位置を検出するためのインデックスなど要素は省略している。
【0076】
同図において、1310−1〜3はステッピングモータ203M−1〜3のコイル203(A相のコイル)A−1〜3とコイル(B相のコイル)203B−1〜3のオンオフ(電流を流すかどうか)を切り替える駆動回路である。1320−1〜3は、駆動回路1310−1〜3の出力に従いコイル203A−1〜3と203B−1〜3へ電流を流す励磁回路である。なお、コイル203A−2、3と203B−2、3の表示は省略している。
【0077】
コイル203A−1〜3はA相のコイルであり、Aと/Aの2種類のコイルを含む。各相は、A端子と/A端子の他に共通端子COMを含むが、その図示は省略している。コイル203B−1〜3はB相のコイルであり、Bと/Bの2種類のコイルを含む。A相のコイルとB相のコイルは、例えば、A、B、/A、/B、・・・のように交互に配置されている。A→B→・・・の順に励磁するとモータは正回転し、B→A→・・・の順に励磁すると逆回転を行う。各相の励磁を切り替える間隔を短くすればモータは速く回り、間隔を長くすると遅く回る。ここで励磁する相を切り替えずに同じステータに電流を流し続けると、ロータが同じステータの位置に固定され、モータが現在の位置を保持しつづけることになる。
【0078】
図8は、発明の実施の形態に係る回胴制御手段1300のブロック図である。回胴制御手段1300は、メモリやコントローラなどのハードウエア又はプログラムによるソフトウエアで実現される。
【0079】
301は、遊技用励磁パターン記憶部302の遊技用の励磁パターンに基づきモータを回転させる通常遊技用回胴制御部である。
【0080】
302は、遊技用励磁パターンを予め記憶する遊技用励磁パターン記憶部である。遊技用励磁パターンは、例えば、図10に示す励磁パターン1のようなものである。
【0081】
303は、回胴演出用励磁パターン記憶部304の回胴演出用の励磁パターンに基づきモータを回転させる演出用回胴制御部である。
【0082】
304は、回胴演出用励磁パターンを予め記憶する回胴演出用励磁パターン記憶部である。回胴演出用励磁パターンは、例えば、図11(あるいは図12)に示すようなものである。これは、通常遊技における回胴の回転とは逆の回転を行うもので、速度や回転方向の変化のない、最も単純なものである。実際の回胴演出用励磁パターンは、図11(あるいは図12)にさらに図10のパターンが付加されたものであったり(例えば図4(b))、その途中でモータが停止する(励磁パターンが変化しない)ようになっているなど、もっと複雑なものである。しかし、発明の実施の形態の動作の点で、回胴演出用励磁パターンが単純なものであるか、複雑であるかは違いがないので、説明の便宜上最も簡単な励磁パターンの例である図11(あるいは図12)を参照することにする。
【0083】
305は、回胴停止時の励磁パターンを記憶する停止時励磁パターン記憶部である。停止時励磁パターン記憶部305は、通常遊技の回胴回転、回胴演出の回転を問わず、停止の際の励磁パターンを記憶する。なお、通常遊技と回胴演出のそれぞれについて固有の停止時励磁パターン記憶部を設けるようにしてもよい。
【0084】
通常遊技用回胴制御部301は、前述の加速シーケンスを行う加速部301aと、定常回転シーケンスを行う定常回転部301bと、減速シーケンスを行う減速部301cとを含む。加速部301aは図4(a)の符号γの加速を行い、定常回転部301bは同図の時刻t3からt4にかけて定常回転を行い、減速部301cは同図の符号αの減速を行う。
【0085】
具体的には、定常回転部301bは遊技用励磁パターン記憶部302の遊技用の励磁パターンを予め定められた第2繰り返し速度で読み出し(668pps、すなわち毎秒668回の割合、言い換えれば、約1.5msの間隔で励磁パターンを順番に読み出す)、読み出した励磁パターンをモータに与えることにより定常回転シーケンスを実現する。このときの回転速度は図4のω1である。
【0086】
また、加速部301aは、起動時において遊技用の励磁パターンを第2繰り返し速度よりも低い第3繰り返し速度(例えば167pps及び/又は222pps)で読み出し、読み出した励磁パターンをモータに与えることにより加速シーケンスを実現する。加速シーケンスとは、停止状態の回胴を、まず、第2繰り返し速度よりも低い第3繰り返し速度の励磁パターンをモータに与えることで脱調を防止しつつ回転を開始させるものである。そしてその後、第2繰り返し速度の励磁パターンをモータに与える定常回転シーケンスに移行する。加速シーケンスを介することにより、回転速度を段階的に上げつつ定常回転シーケンスに移行するものである。なお、第3繰り返し速度は複数の速度であってもよい。例えば、最初に167ppsで励磁し、次に222ppsで励磁するといった2段階の加速シーケンスとすることもできる。222ppsの励磁の次に定常回転シーケンスに移行する。
【0087】
また、減速部301cは、起動時において遊技用の励磁パターンを第2繰り返し速度よりも低い第4繰り返し速度(例えば167pps及び/又は222pps)で読み出し、読み出した励磁パターンをモータに与えることにより減速シーケンスを実現する。減速シーケンスは、加速シーケンスと同様の段階的な制御であり、回転速度を段階的に下げつつ回胴を停止させるものである。減速シーケンスにより回胴に対する機械的なストレスを抑制できるとともに、停止の際に回胴が振動するといった現象を抑制することができる。また、全相励磁に比べて消費電力が少ないというメリットもある。減速シーケンスの第4繰り返し速度も複数の速度であってもよい。例えば、定常回転シーケンスの直後に222ppsで励磁し、次に167ppsで励磁するといった2段階の減速シーケンスとすることもできる。
【0088】
演出用回胴制御部303は、プリ励磁を行うプリ励磁部303aと、定常回転シーケンスを行う定常回転部303bとを含む。
【0089】
プリ励磁部303aは、回胴演出を行うときに、停止時励磁パターン記憶部305から前回停止時の励磁パターンを読み出し、読み出した当該励磁パターンに基づきモータを駆動する(これを「プリ励磁」と名付ける)。図4(b)の符号δとδ’のタイミングでプリ励磁が行われる。
【0090】
プリ励磁の意義は次のとおりである。
【0091】
モータが停止したときの実際の励磁パターンを前回停止時に記憶された励磁パターンに合わせることを目的とし、上記プリ励磁によりモータの状態(ハード上の励磁パターン)が前回停止時に記憶された励磁パターン(ソフト上の励磁パターン)に一致するようにモータを動かすように作用し、この結果、脱調現象が生じないという効果を奏する。
【0092】
その後、定常回転部303bが動作を開始する。定常回転部303bは回胴演出用励磁パターン記憶部304の遊技用の励磁パターンを予め定められた第1繰り返し速度で読み出し(334pps、すなわち毎秒334回の割合、言い換えれば、約3.0msの間隔で励磁パターンを順番に読み出す)、読み出した励磁パターンをモータに与えることにより定常回転シーケンスを実現する。このときの回転速度は図4のω2とω3である(ω3の絶対値とω2の絶対値が等しいとする)。
【0093】
回胴演出用の第1繰り返し速度は、遊技用の第2繰り返し速度よりも低く、かつ、第2繰り返し速度は第1繰り返し速度の整数倍である(上記例では、第2繰り返し速度=2×第1繰り返し速度)。なお、この整数倍の関係は、励磁パターンを読み出すタイミング信号が基準信号(クロック)から分周により生成されていることによる。こうすることで各読み出しタイミング間の同期が確保され、安定した動作を期待できる。
【0094】
前述のように、起動の際に、停止状態において本来与えられるべき励磁パターンと実際の与えられた励磁パターンが不一致であると、動きに乱れが生じてスムーズに動かないのであるから、プリ励磁により当該不一致を解消することで当該不具合を抑制することができる。
【0095】
実際の遊技機において定常回転速度ωを変化させつつ確かめたところ、(ア)ωが十分に小さければ、仮に上記不一致があったとしても、いきなり定常回転シーケンスを行っても脱調現象は生じない(プリ励磁は不要である)。これに対し、(イ)ωがある程度大きいと、プリ励磁を行っても脱調現象が生じることがある(これを避けるには加速シーケンスを行う必要がある)。したがって、本発明の実施の形態に係るプリ励磁は、(ア)のしきい値(上限値ωU)と(イ)のしきい値(下限値ωL)が存在するとして、その間(ωU〜ωL)の定常回転速度に対して有効であると言える。例えば、通常遊技の定常回転に係る668ppsの読み出し速度(励磁パターンの切換速度)は上記(イ)に該当するが、回胴演出の定常回転に係る334ppsの読み出し速度に対しては、プリ励磁は有効である。
【0096】
要するに、本発明の実施の形態に係るプリ励磁が有効であるのは、回胴演出時の定常回転速度の絶対値が、脱調が生じなくなる程度の回転速度よりも大きく、プリ励磁を行っても脱調が生じる程度の回転速度よりも小さい範囲である。
【0097】
図10は、スロットマシンのステッピングモータの駆動方法の説明図である。同図は一−二相励磁の例を示している。同図の表の○はコイルに電流を流していることを示す。同図の表のステップ1、2、・・・、8の順番でコイルに電流を流すとモータは回転し、逆の順番にするとモータは逆回転する。同図は通常遊技用の励磁パターンである。
【0098】
ステップ1、2、・・・、8によるコイルの電流のオンオフのパターンを励磁パターンと呼ぶことにする。図10の例は8つの励磁パターンの組み合わせを示す。
【0099】
遊技用励磁パターン記憶部302は、例えば図10の励磁パターンを記憶し、定常回転部301bは予め定められた時間間隔(例えば1.5ms)で励磁パターンをステップ1、2、・・・、8の順番に読み出すことで遊技用定常回転を実現する。
【0100】
図11は、回胴演出用の励磁パターンである。同図の表のステップ1、2、・・・、16の順番でコイルに電流を流すとモータは逆回転する。これは図10とはモータの回転が逆となる。
【0101】
回胴演出用励磁パターン記憶部304は、例えば図11の励磁パターンを記憶し、定常回転部303bは予め定められた時間間隔(例えば1.5ms)で励磁パターンをステップ1、2、・・・、16の順番に読み出すことで回胴演出用定常回転(図4(b)の符号T−2、T−4)を実現する。
【0102】
図10と図11を比較すると理解できるように、図11は2つの連続するステップの励磁パターンが同じである。したがって、同じ時間間隔で励磁パターンを読みだしても、定常回転部301bと303bとでは励磁パターンの切換速度は異なる(実質的な切換速度の点では301bは303bの2倍速い)。
【0103】
図11の励磁パターンは、図10の2倍のデータ量を持っている。前述のように、遊技機にはメモリ容量の制約があるから励磁パターンのテーブルはなるべく小さいほうがよい。そこで、図12の励磁パターンを使用することを考える。
【0104】
図12は、図10とは反対方向に回転させるための励磁パターンである。図11では2つの連続するステップの励磁パターンが同じであったがこれは冗長であるので、重複するデータを省いたものが図12のテーブルに相当する。図12のテーブルを用いつつ、定常回転速度を遊技時の半分にするには、読み出し速度を半分にする必要がある。
【0105】
例えば、図9に示すように、演出用回胴制御部303に読出タイミング調整部303cを設け、これにより読み出し速度を調整する。
【0106】
すなわち、読出タイミング調整部303cから受けた読み出しタイミングに基づき、定常回転部303bは予め定められた時間間隔(例えば3.0ms、上記1.5msの2倍)で励磁パターンをステップ1、2、・・・、8の順番に読み出すことで回胴演出用定常回転(図4(b)の符号T−2、T−4)を実現する。
【0107】
読出タイミング調整部303cは、第2繰り返し速度と第1繰り返し速度の比に応じて、回胴演出用の励磁パターンの読み出し周期を長くしている。
【0108】
なお、回胴を所望の位置に停止させる際は、所望の位置になった時点あるいはその直前で電流を流すコイルの切替を停止する。これで回胴は停止するが、前述のように、二相に電流を流すことで一相励磁の約2倍の出力トルクが得られるから、停止位置を確実に保持するために二相に電流を流すことがある。多相の場合は全ての相(コイル)に電流を流すとよいが、全ての相の2以上の相に電流を流しても、停止位置を確実に保持する点で一定の効果を奏する。以下、このことを、多数の相を備える場合においてその2以上の相に電流を流すことを含めて(全ての相に電流を流さず一部の相にのみ電流を流す場合を含む)、全相励磁と呼ぶ。全相励磁では、多くのコイルに電流を流すので、ステッピングモータの消費電流は最大になる。回胴停止後、一定時間はステッピングモータに電流が流され続けている。
【0109】
図13は、遊技機のメインループの処理フローチャートである。この図は遊技処理の概要を示すものであり、その基本動作のみを示している(リプレイ処理などの表示は省略している)。
【0110】
S1:遊技メダル投入、スタートスイッチ処理
この処理は、投入受付手段1050が行う処理に相当する。遊技メダルの投入を受けてスタートスイッチ134を有効化する。
【0111】
S2:内部抽選処理
この処理は、乱数発生手段1100及び内部抽選手段1200が行う処理に相当する。スタートスイッチ134の押下を受けて、内部抽選処理を行う。
【0112】
S3:回胴演出発生か?
回胴演出発生が発生したら(YES)、回胴制御手段1300はS4の処理を行う。
内部抽選処理の結果に基づき、回胴演出を行うかどうか判定する。内部当選役が予め定められた結果(例えば「大当たり」の場合)、回胴演出を行う(YES)ものとする。
YESのときS4を実行し、NO(回胴演出を行わないとき)はS4をスキップして、S5の処理を実行する。
【0113】
S4:回胴演出処理を行う。
回胴演出の内容は予め定められている。例えば、回胴を上下に繰り返し動かし、その後に停止するなどの演出を行う。この演出の内容に応じてステッピングモータを制御する。
回胴演出の内容は回胴演出用励磁パターン記憶部304の記憶内容に従う。
【0114】
S5:遊技用回胴回転処理を行う。
予め定められた方向に3つの回胴を一斉に回胴させる。これは通常遊技用の回胴回転である。
【0115】
S6:回胴停止処理を行う。
3つのストップスイッチ140のいずれかが押下されたとき、回胴制御手段1300は対応する回胴を停止させる。同じことを3つ全ての回胴について行う。
【0116】
S7:入賞判定を行う。
入賞判定部1400が、内部抽選の結果と回胴の停止出目に基づき入賞の有無及びその種類を判定する。
【0117】
S8:払出処理
入賞したときは、払出制御手段1500が払い出しを行う。
【0118】
図14を参照して、発明の実施の形態に係る回胴演出処理について説明する。
【0119】
S10:演出用回胴制御部303が、前回回胴停止時の励磁パターンを取得する。
停止時励磁パターン記憶部305に記憶されている励磁パターンを取得する。
例えば、取得したパターンが、図10のステップ6であったとして説明を加える。
【0120】
S11:プリ励磁部303aが、取得した励磁パターンでプリ励磁を行う。
図10のステップ6の励磁パターン(図11のステップ7又は8、図12のステップ4に相当)でモータを励磁する。実際の停止位置と記憶していた停止位置(励磁パターン)で不一致が生じていても、プリ励磁により両者は一致するようになる。
【0121】
S12:定常回転部303bが、取得した励磁パターンに基づき励磁を開始する。
停止時励磁パターン記憶部305に記憶されていた励磁パターンに一致するパターンを回胴演出用励磁パターン記憶部304で検索する。
取得した図10のステップ6のパターンと同じものを、回胴演出用のテーブルから検索すると、例えば、図11のステップ7又は8、図12のステップ4が同じものである。
【0122】
上記例によれば、図11のステップ7又は8、図12のステップ4が開始位置となる。
【0123】
S13:定常回転部303bが、回胴演出用励磁パターン記憶部303に基づき励磁パターンを順次切り替える。
例えば、図11のステップ7、8、・・・、16、1、2、・・・のように、あるいは図12のステップ4、5、6、7、8、1、・・・のように励磁パターンを切り替える。これによりステッピングモータが回転する。なお、プリ励磁を行っているので、最初の励磁パターン(図11のステップ7、8、あるいは図12のステップ4)は省略することができる。
【0124】
なお、回胴演出用励磁パターンは任意であり、例えば、4、5、6、7、6、5、4、・・・のようなパターンを予め用意しておくことにより回胴を上下に繰り返し動かすことができるし、4、5、6、7、7、7、7、・・・のようなパターンであれば一定角度回転した後に停止するという動作を行わせることができる。
【0125】
S14:演出用回胴制御部303が、回胴演出が終了したかどうか判定する。
例えば、図示しないタイマーにより回胴演出開始から一定時間経過したときに回胴演出を終了する。あるいは、図11,図12のような励磁パターンを予め定められた回数繰り返した時点で回胴演出終了と判定してもよい。
【0126】
S15:演出用回胴制御部303が、回胴を停止する。
回胴演出の終了時(S14でYES)、励磁パターンの切り替えを停止する。これにより回胴は停止する。
【0127】
なお、回胴演出から通常遊技の回胴回転は(遊技者が認識できる)停止を介さずに連続して行われることがある。例えば、上記停止の中には遊技者から見て回胴の停止を視認できない程度の僅かな停止(励磁パターンの切り替えを停止しても回胴の回転速度がゼロにならないこと)も含む。S15の処理は回胴演出の回胴処理の終了を意味するものであり、回胴の停止はその典型例であって、発明の実施の形態の遊技機の動作はこれに限定されない。停止を回胴演出と通常遊技の回胴回転の境界にしないのであれば、S15はなくてもよい。
【0128】
S16:停止時励磁パターン記憶部305が、停止時の励磁パターンを記憶する。
例えば、図12のステップ8の励磁パターンで停止したとき、当該励磁パターンを停止時励磁パターン記憶部305に記憶する。
上記「停止」は、S15で説明したことを意味する。もし、S15がないときは、S14でYES(回胴演出終了)と判定されたときの励磁パターンを記憶する。
【0129】
次に、図15(a)を参照して、通常遊技における回胴回転処理について説明する。3つの回胴それぞれについて回胴回転処理が実行される。
【0130】
S20:通常遊技用回胴制御部301が、前回回胴停止時の励磁パターンを取得する。
停止時励磁パターン記憶部305から記憶されている励磁パターンを取得する。
例えば、取得したパターンが、図12のステップ8であったとする。
【0131】
S21:通常遊技用回胴制御部301が、遊技用励磁パターン記憶部302から取得した励磁パターンに一致するパターンを検索する。
取得した図12の8のパターンと同じものを、遊技用励磁パターンの図10から検索すると、同図のステップ2が同じものである。
【0132】
S22:通常遊技用回胴制御部301が、一致したパターンを励磁の開始位置とする。
上記例によれば、図10のステップ2が開始位置となる。
【0133】
S23:加速部301aが、遊技用励磁パターン記憶部302に基づき励磁パターンを順次切り替える。次に、定常回転部301bが同様の処理を行う。
例えば、図10の2、3、4、5、6、7、8、1、・・・のように励磁パターンを切り替える。これによりステッピングモータが一定方向に回転する。
通常遊技時の回転は、回胴演出時とは異なり一定方向への一定速度の回転であり、規則的である。したがって、どの遊技機も図10と同じ又は相当する励磁パターンを持っている。
【0134】
図15(b)を参照して、回胴停止処理について説明する。
S24:通常遊技用回胴制御部301が、ストップスイッチ140が押下されたかどうか判定する。
3つのストップスイッチ140のいずれかが押下されたとき(YES)、S25に進む。
【0135】
S25:減速部301cが、回胴を停止する。
3つのストップスイッチ140のいずれかが押下されたときS24でYESとなり、対応する回胴の回転を停止させる。すなわち当該回胴のステッピングモータの励磁パターンの切り替えを停止する。
【0136】
S26:停止時励磁パターン記憶部305が、停止時の励磁パターンを記憶する。
例えば、図10のステップ6の励磁パターンで停止したとき、当該励磁パターンを停止時励磁パターン記憶部305に記憶する。
【0137】
S27:通常遊技用回胴制御部301が、全回胴が停止したかどうか判断する。
全回胴が停止していれば(YES)図15(b)の処理を終了し、停止していない回胴(押されていないストップスイッチ140があれば)(NO)、S24の判断を繰り返す。
【0138】
発明の実施の形態では、回胴演出を行う際において前回停止時の励磁パターンに基づき励磁をかけ(プリ励磁)、その後定常回転シーケンスを行うようにしたので、定常回転開始時においてモータのロータの回転と励磁パターンが一致し、これによりモータがスムーズに起動するようになる。回胴演出実行時の動作不具合を抑制することができる。
【0139】
また、発明の実施の形態によれば、回胴回転停止時(励磁パターン更新停止時)の励磁パターンを記憶し、記憶した停止時の励磁パターンで、回胴を再度回転させる際に使用する励磁パターン群を参照し、当該停止時の励磁パターンに対応する励磁パターンを開始位置とし、そこから励磁パターンの切り替えを開始するので、回転開始時の回胴の動きをスムーズにすることができる。
【0140】
これにより、回転開始時の回胴のブレを軽減でき、脱調等の不具合を防止することができる。
【0141】
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0142】
40a〜40c 回胴
134 スタートスイッチ
140 ストップスイッチ
155、203M ステッピングモータ
203 リールユニット
301 通常遊技用回胴制御部
301a 加速部
301b 定常回転部
301c 減速部
302 遊技用励磁パターン記憶部
303 演出用回胴制御部
303a プリ励磁部
303b 定常回転部
303c 読出タイミング調整部
304 回胴演出用励磁パターン記憶部
305 停止時励磁パターン記憶部
1200 内部抽選手段
1300 回胴制御手段
1310 駆動回路
1320 励磁回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の回胴と、前記複数の回胴をそれぞれ回転させる複数のモータと、前記複数の回胴の回転を開始させるためのスタートスイッチと、前記複数のモータにそれぞれ予め定められた励磁パターンの駆動信号を与えて前記複数の回胴を回転させる回胴制御手段と、前記スタートスイッチからのスタート信号に基づいて役の当否を決定する内部抽選を行う内部抽選手段と、を備える遊技機において、
前記回胴は、所定の通常遊技及び所定の演出を行う回胴演出の際に回転するものであり、
前記回胴制御手段は、前記通常遊技を行うために前記複数の回胴を回転させるとともに、前記回胴の動作態様により前記回胴演出を行うものであり、
前記回胴制御手段は、
前記通常遊技を行うときに前記モータを回転させるための予め定められた遊技用の励磁パターンを記憶する遊技用励磁パターン記憶部と、
前記遊技用励磁パターン記憶部の前記遊技用の励磁パターンに基づき前記モータを回転させる通常遊技用回胴制御部と、
前記回胴演出を行うときに前記モータを回転させるための予め定められた回胴演出用の励磁パターンを記憶する回胴演出用励磁パターン記憶部と、
前記回胴演出用励磁パターン記憶部の前記回胴演出用の励磁パターンに基づき前記モータを回転させる演出用回胴制御部と、
前記モータの停止時の励磁パターンを記憶する停止時励磁パターン記憶部を備え、
前記回胴演出を行うときの前記モータの回転速度は、前記通常遊技を行うときの前記モータの回転速度よりも低く、
前記演出用回胴制御部は、
前記回胴演出を行うときに、前記停止時励磁パターン記憶部から前記停止時の励磁パターンを読み出し、読み出した当該励磁パターンに基づき前記モータを駆動し、
その後、前記回胴演出用励磁パターン記憶部の前記回胴演出用の励磁パターンを予め定められた第1繰り返し速度で前記モータに与える演出用回転シーケンスを行う、ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記通常遊技用回胴制御部は、
前記遊技用励磁パターン記憶部の前記遊技用の励磁パターンを予め定められた第2繰り返し速度で前記モータに与える定常回転シーケンスを行うとともに、
前記通常遊技を行うために前記回胴の回転を開始させる起動時において前記遊技用の励磁パターンを前記第2繰り返し速度よりも低い第3繰り返し速度で前記モータに与える加速シーケンスを行い、その後、前記定常回転シーケンスを行い、
前記回胴演出用の前記第1繰り返し速度は、前記遊技用の前記第2繰り返し速度よりも低く、かつ、前記第2繰り返し速度は前記第1繰り返し速度の整数倍であることを特徴とする請求項1記載の遊技機。
【請求項3】
前記通常遊技用回胴制御部は、
前記遊技用励磁パターン記憶部の前記遊技用の励磁パターンを予め定められた第2繰り返し速度で前記モータに与える定常回転シーケンスを行うとともに、
前記通常遊技を行うために前記回胴の回転を開始させる起動時において前記遊技用の励磁パターンを前記第2繰り返し速度よりも低い第3繰り返し速度で前記モータに与える加速シーケンスを行い、その後、前記定常回転シーケンスを行い、
前記演出用回胴制御部は、
前記第2繰り返し速度と前記第1繰り返し速度の比に応じて、前記回胴演出用励磁パターン記憶部の前記回胴演出用の励磁パターンの読み出し周期を長くする読出タイミング調整部を備えることを特徴とする請求項1記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−39190(P2013−39190A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−176941(P2011−176941)
【出願日】平成23年8月12日(2011.8.12)
【出願人】(390031772)株式会社オリンピア (2,719)
【Fターム(参考)】