説明

遊技機

【課題】遊技領域上にて死に領域と化している遊技球の発射領域とは反対側の領域も活用し、遊技領域の中心部に遊技球を戻すことにより、従来のアウト球を入賞口に入賞する可能性が高いものに変換することで、遊技の興趣を高めることができる遊技機を提供する。
【解決手段】遊技盤面11上の遊技領域12に遊技球を打ち出す遊技機10において、遊技球は前記遊技領域12の一端側下方より他端側上方に向けて打ち出され、前記遊技領域12の他端側に、飛来した遊技球を前記遊技領域12の中心部12aであって少なくとも1ヶ所以上に入賞口31等が配設された箇所に向けて誘導するガイド部材20を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技盤面上の遊技領域に遊技球を打ち出す遊技機に関する。ここで遊技機とは、主としてパチンコ機を指すものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の遊技機は、遊技盤面の正面視右端下方に遊技球の発射装置が設けられており、この発射装置から発射された遊技球は、左斜め上向きに取り付けられた発射レールに案内された後、遊技盤面の左端に沿って取り付けられた外レールと内レールの間を通って左上コーナーより遊技領域の右側に向けて打ち出されるタイプが多く知られている(例えば、特許文献1参照)。遊技領域に打ち出された遊技球は一旦天釘に当たって左、中央、右の方向へ拡散し下方へ落下をしていく。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−61638号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述した従来の遊技機では、打ち出された遊技球のうち、天釘に当たり遊技盤面の正面視右方向へ落下していく遊技球の多くは、外レールに沿ってそのままアウト球口に導かれる可能性が高いため、何れかの入賞口に入賞する可能性に乏しく、単にアウト球として処理されることが多かった。よって、遊技者は遊技領域の右側に打ち出された遊技球の行方に関心もなく、遊技の面白味に欠けるという問題点があった。
【0005】
本発明は、以上のような従来技術の有する問題点に着目して成されたものであり、遊技領域上で入賞の可能性が乏しくなり遊技者が行方に関心を払わなくなる遊技球を入賞口の近傍まで戻すことにより、従来のアウト球を入賞口に入賞する可能性を高いものに変換し、また、アウト球口に入った遊技球に関してもその一部を再度打ち出し可能な状態とする戻し処理を行うことで、遊技の興趣を高めることができる遊技機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した目的を達成するための本発明の要旨とするところは、以下の各項の発明に存する。
[1]遊技盤面(11)上に外レールで区画された遊技領域(12)を備え、遊技球を前記遊技領域(12)の一端側下方より他端側上方に向けて打ち出す遊技機(10)において、
前記遊技領域(12)の他端側に、遊技球を受け入れて賞出に関わらないアウト球とするアウト球口(25)を配置し、
前記アウト球口(25)に、前記外レール(17)に沿って落下する遊技球を、該アウト球口(25)ないし遊技領域(12)の中央部側に導くガイド部材(20)を配置し、
前記アウト球口(25)は、複数個配置されており、
前記アウト球口(25)は、受け入れた遊技球を前記アウト球として扱うアウト処理を行うととともに、一部の遊技球を再度打ち出し可能な状態とする戻し処理を行い、
前記戻し処理される球数は、アウト球数の多少に応じて変化することを特徴とする遊技機(10)。
【0007】
[2]前記複数あるアウト球口(25)の配置場所がそれぞれ異なることを特徴とする[1]に記載の遊技機(10)。
【0008】
[3]前記遊技領域には複数の入賞口(30)が配置されており、該入賞口(30)への遊技球の入賞は、該入賞口(30)下部に配置された誘導体(31)に導かれるようにし、前記ガイド部材(20)が配置されているアウト球口(25)上方の入賞口の誘導体(31)は可動可能に構成したことを特徴とする[1]または[2]に記載の遊技機(10)。
【0009】
[4]前記ガイド部材(20)の配置されているアウト球口(25)と可動可能な誘導体(31)よりなる入賞口の配置場所を異ならせたことを特徴とする[3]に記載の遊技機(10)。
【0010】
[5]前記アウト球口(25)におけるアウト球の数に対して戻し処理をする球の数の比率は、
発射された遊技球が入る確率が高い位置に配置されている前記アウト球口(25)においては低く、
発射された遊技球が入る確率が低い位置に配置されている前記アウト球口(25)においては高く設定されていることを特徴とする[1],[2],[3]または[4]に記載の遊技機(10)。
【0011】
[6]前記アウト球口(25)におけるアウト球に対して戻し処理をする球の比率は、設定変更手段(37)によって変更可能としたことを特徴とする[1],[2],[3],[4]または[5]に記載の遊技機(10)。
【0012】
[7]前記アウト球口に入らない遊技球を始動入賞口(32)に導入する導入レール(35)を設けたことを特徴とする[1],[2],[3],[4],[5]または[6]に記載の遊技機(10)。
【0013】
[8]前記導入レール(35)と、該導入レール(35)下方に配置されている該アウト球口(25)に遊技球を導入するレールを別々にしたことを特徴とする[1],[2],[3],[4],[5]または[6]に記載の遊技機(10)。
【0014】
[9]始動入賞口(32)下方にアウト球口(25)を複数個配置したことを特徴とする[1],[2],[3],[4],[5],[6],[7]または[8]に記載の遊技機(10)。
【0015】
[10]連続して植設された釘によって前記導入レール(35)を形成したことを特徴とする[1],[2],[3],[4],[5],[6],[7],[8]または[9]に記載の遊技機(10)。
【0016】
前記本発明は、次のように作用する。
前記[1]に記載の遊技機(10)によれば、遊技球は遊技盤面(11)上の外レールで区画された遊技領域(12)の一端側下方より他端側上方に向けて打ち出されるが、ここで遊技球が打ち出される側と反対側である遊技領域(12)の他端側に外レール(17)に沿って落下する遊技球をアウト球口(25)ないし遊技領域(12)の中央部側に導くガイド部材(20)が配置されており、これにより左右に亘る遊技領域(12)の広い部分を活用することができる。
【0017】
また、前記ガイド部材(20)に連なって配置されたアウト球口(25)は、受け入れた遊技球をアウト球として扱うアウト処理を行うほか、その一部を再度打ち出し可能な状態とする戻し処理を行う。これにより、打ち出された遊技球はアウト球口(25)に入りアウト球として処理されてその一部が戻し処理されるか、遊技領域(12)の中央部側へ戻されて有効球として処理されるか、遊技球の行き先から目を離すことなく、遊技の興趣を増加させることができる。
また、有効球(戻し処理される球を含む)として処理されることにより、いわゆる死に領域となっている部分を減らし、遊技領域(12)全域を広く使うことができる。
【0018】
前記[2]に記載の遊技機(10)によれば、ガイド部材(20)が配置されているアウト球口(25)の配置場所が異なることにより、発射されて勢いのある遊技球のガイド部材で受け止める位置が移動し、アウト球になるか有効球になるかの比率に変更を生じ、アウト球口に入る球の数を調整し、遊技によりバリエーションを与えることができる。
【0019】
前記[3]に記載の遊技機(10)によれば、入賞口(30)の近傍には落下する遊技球を入賞口(30)に誘導する誘導体(31)が設けられている。該誘導体(31)は可動可能に構成されており、アウト球口(25)に入らなかった遊技球を入賞口(30)に誘導する。これにより、発射されて勢いのある遊技球が、アウト処理されるか、入賞口(30)に入って入賞処理されるか、遊技領域(12)の中央部側に戻されて有効球として処理されるか、遊技球の動きに目を離すことができなくなり、興趣を高めることができる。
【0020】
前記[4]に記載の遊技機(10)によれば、ガイド部材(20)の配置されているアウト球口(25)と可動可能な誘導体(31)よりなる入賞口の配置場所を異ならせたことにより、アウト球になるか有効球になるかの比率に変更を生じ、アウト球口(25)に入る球の数を調整することができる。
【0021】
前記[5]に記載の遊技機(10)によれば、発射された遊技球が入る確率が高い位置にあるアウト球口(25)においては、戻し処理をする球の比率を低く、発射された遊技球が入る確率が低い位置にあるアウト球口(25)においては、戻し処理をする球の比率を高く設定してあるので、遊技者は遊技領域(12)全体のアウト球口(25)への遊技球の行方に興味たらしめ興趣を高めることができる。
【0022】
前記[6]に記載の遊技機(10)によれば、アウト球口(25)におけるアウト球の数に対して戻し処理をする球の数の比率を設定変更手段(37)によって変更することができるので、発射された遊戯球の入る確率等とあわせ、各種制御することが可能となる。
【0023】
前記[7]に記載の遊技機(10)によれば、アウト球口に入らない遊技球を始動入賞口に導入する導入レール(35)を設けている。これにより、始動入賞口(32)へ遊技球を入賞させ、遊技者に遊技球の行方に興味を惹かせることができる。
【0024】
前記[8]に記載の遊技機(10)によれば、導入レールと該導入レールの下方に配置されているアウト球口(25)に遊技球を導入するレールを別々に設けた。これにより、始動入賞口(32)へより遊技球を入賞し易くすることができる。
【0025】
前記[9]に記載の遊技機(10)によれば、始動入賞口(32)の下方にアウト球口(25)を複数個配置した。これにより、より多くのアウト球口(25)に入る遊技球を戻し処理することができる。
【0026】
前記[10]に記載の遊技機(10)によれば、導入レールを連続して植設した釘によって形成した。これにより、遊技盤面(11)の構成により多くのバリエーションを付加することが可能となった。
【発明の効果】
【0027】
本発明に係る遊技機によれば、遊技領域上にて死に領域と化している遊技球の発射領域とは反対側の領域も活用して、遊技領域の中心部に遊技球を戻すことにより、従来のアウト球を入賞口に入賞する可能性が高いものに変換することで、遊技の興趣を高めることができる。また、アウト球口に入る遊技球の一部を戻し処理することで、遊技者に遊技球の行方により興味を引くことが可能となり、遊技の興趣を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】 本発明の第1実施の形態に係る遊技機を示す正面図である。
【図2】 本発明の第2実施の形態に係る遊技機の遊技盤を示す正面図である。
【図3】 本発明の第3実施の形態に係る遊技機を示す正面図である。
【図4】 本発明の第4実施の形態に係る遊技機の遊技盤を示す正面図である。
【図5】 本発明の第5実施の形態に係る遊技機の遊技盤を示す正面図とアウト球口の設定の例を表した説明図である。
【図6】 本発明の第6実施の形態に係る遊技機を示す正面図である。
【図7】 本発明の第7実施の形態に係る遊技機を示す正面図である。
【図8】 本発明の第8実施の形態に係る遊技機を示す正面図である。
【図9】 本発明の第3実施の形態に係る入賞口および可動可能な誘導体を拡大して示す斜視図である。
【図10】 本発明の第1〜8実施の形態に係るアウト球口を拡大して示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面に基づき、本発明を代表する各種実施の形態を説明する。
図1は、本発明の第1実施の形態に係る遊技機10を示している。
図1に示すように、遊技機10は、遊技盤面11上に遊技球(以下「球」とも称する)を打ち出して遊技を行うパチンコ機である。遊技機10は、打ち出された遊技球が落下して遊技を進行させる役物等が取り付けられた遊技領域12をなす遊技盤面11と、遊技領域12の正面を覆うガラスを固定するガラス枠13等を有している。
【0030】
ガラス枠13には、装飾装置であるランプ・LED等が組み付けられている。また、ガラス枠13の下方には、遊技球である貸球や賞球を貯留する上受け皿14、上受け皿14から溢れた遊技球を貯留する下受け皿15、遊技球の打ち出し操作を遊技者が行うハンドル16等が設けられている。なお、図示省略したが遊技機10には、有価価値カードの挿入により遊技球を貸し出すためのカードユニット(CR球貸機)が付設されている。
【0031】
遊技盤面11上の遊技領域12は、その外周に沿って設けられたガイドレールである外側レール17によって区画されている。遊技領域12の正面視において左側端縁を区画する位置には、前記ハンドル16の回転操作により内部の発射装置(図示せず)から打ち出された遊技球を遊技領域12の上方へ導くための誘導レールである内側レール18が設けられている。
【0032】
内側レール18によって、遊技球は遊技領域12の左端(一端)側下方より右端(他端)側上方に向けて打ち出される。遊技領域12の右端側には、飛来した遊技球を遊技領域12のアウト球口ないし中央部側へ導くガイド部材20が配置される。
【0033】
ガイド部材20は、前記外側レール17のうち遊技領域12の右端側上方を区画する部位に配設されている。詳しく言えば、ガイド部材20は、所定幅で延びる板状部材によって形成され、遊技球を受ける側に向って湾曲した弧状に形成され、アウト球口25に接続されている。ここで、図10に示すように、アウト球口25は略円形の囲体と、該囲体の内部に設けられ該囲体の上側に開口部が形成されている。
【0034】
またアウト球口25の近傍にはアウト球表示部26が設けられている。アウト球表示部26はLED等の光源が内部に設置され、例えば、該アウト球口25を遊技球4個通過後、1個の遊技球を戻し処理する場合、1回通過する毎にランプが点灯し、全てのランプが点灯したときアウト球が戻し処理されたことを表示することができるように設定されている。
【0035】
本実施の形態では、3個の入賞口30が遊技領域12の上方で左右方向に並ぶ状態で配設されている。ここで、入賞口30は、それぞれ略円形の囲体と、該囲体の内部に設けられ該囲体の下側に開口部が形成されている。また、囲体の外側かつ下方には、入賞口30の下方において遊技球が通過し得る通路を間にして、その左右に落下する遊技球を入賞口に誘導する一対の誘導体31,31が設けられている。
【0036】
また、遊技領域12には、前記内側レール18より放出された遊技球が落下する経路に変化を与えるための天釘を含む遊技釘の他、入賞口として左右に一対の入賞口30,30、中心部の下方に位置する大入賞口33、さらにその下方に位置する始動入賞口32が配設されている。また、遊技領域12の最下端には、何れの入賞口にも入らず落下した遊技球を排出するためのアウト球口25が左右方向に2個並ぶ状態で設けられている。
【0037】
ここで始動入賞口32は、遊技球の入賞により次述する表示装置34での表示遊技を実行する権利を確保する入賞口である。また、始動入賞口32も他の入賞口30と同様に、略円形の囲体と、該囲体内部に設けられ該囲体の下側に開口した開口部が形成されている。さらに、始動入賞口32の下方には上方より落下して、アウト球口25には入らずに通過した遊技球を始動入賞口32に誘導する導入レール35が設けられている。
【0038】
大入賞口33は、特別遊技状態として開閉動作を行う入賞口である。なお、始動入賞口32は開閉可能であり、前記普通図柄表示装置で当たりとなった場合に通常の閉状態から開状態に一時的に変位するように設定されている。
【0039】
さらに、遊技領域12の中心部における中央には、メイン役物である表示装置34が配設されている。この表示装置34は、複数の識別情報である図柄を表示可能な第1種役物装置である。すなわち、表示装置34は、表示遊技の結果に関係する図柄(例えば数字)や、表示遊技の演出表示に関係する各種画像(例えば背景)を変動表示させるものである。前記始動入賞口32に遊技球が入賞すると、表示装置34における表示遊技の権利が獲得されて表示遊技が実行される。
【0040】
表示遊技では、複数種類の識別情報が変動表示され、最終的に停止した識別情報の組み合わせが、予め定められた特定の組み合わせ(例えば「777」とぞろ目に揃った場合等)である特定表示態様(以下「大当たり」とも言う。)に確定すれば、特別遊技状態が発生する。
【0041】
表示遊技の結果が、図柄のうち確変図柄(例えば奇数図柄「1」、「3」、「5」、「7」、「9」)の何れかで全て同一種類に揃う特定表示態様(確率変動大当たり)に確定した場合には、確率変動状態を伴う特別遊技状態が発生することになる。すなわち、確変図柄で揃った特定表示態様(確率変動大当たり)が確定すると、これに基づき発生した特別遊技状態が終了した後、次回の特別遊技状態が発生するまで、表示遊技の結果が特定表示態様に確定する大当たり確率が高確率に変化する。
【0042】
確率変動状態中には、表示装置34における表示遊技の変動時間が短縮される時間短縮状態も併せて発生するように設定しても良い。なお、表示遊技の結果が、図柄のうち非確変図柄(例えば偶数図柄「0」、「2」、「4」、「6」、「8」)の何れかで全て同一種類に揃う特定表示態様(非確率変動大当たり)に確定した場合には、確率変動状態を伴わない特別遊技状態が発生することになる。この特別遊技状態が終了した後、所定回数(例えば100回)を限度に、次回以降の表示遊技における変動時間が短縮されるように設定しても良い。
【0043】
表示遊技の実行中あるいは特別遊技状態の発生中に、前記始動入賞口32に遊技球が入賞した場合には、表示遊技を実行する権利が保留として獲得され、現在進行中の表示遊技等が終了した後、保留されていた権利が順次消化されるようになっている。前記表示遊技の保留数は、例えば最大で4個と設定されている。
【0044】
大入賞口33は、遊技球が入賞し易い開状態と、遊技球が入賞できない通常の閉状態とに変化するように構成されている。大入賞口33は、前記表示遊技の結果が特定表示態様となった場合に、特別遊技状態を形成するように開閉制御される。特別遊技状態は、大入賞口33の扉が開いて遊技球が入賞し易い開状態となり、所定時間(例えば30秒)の経過または遊技球の所定個数(例えば10個)の入賞により扉が閉鎖されて入賞し難い閉状態となる動作が、所定の回数(例えば15回)を上限に繰り返す状態である。
【0045】
また、遊技機10には、遊技全体の制御を行う制御手段が設けられている。かかる制御手段は、図示省略したがインターフェース、CPU、RAM、ROM等から構成されたマイクロコンピューターから成る。制御手段は、各種入賞口に遊技球が入賞した際に賞出信号を機内部にある計数機に出力して、各種入賞口ごとに予め割り当てられている所定数の遊技球を計数機から上受け皿14に払い出させる機能の他、表示遊技や特別遊技状態を制御する等の様々な機能を有している。
【0046】
次に、遊技機10の作用について説明する。
図1において、遊技者により遊技が開始されると、ハンドル16の回転操作により、遊技球が1個ずつ遊技盤面11上の遊技領域12に打ち出される。ここで遊技球は、遊技領域12の左端側下方より右端側上方に向けて打ち出される。
【0047】
遊技球が打ち出される側と反対側である遊技領域12の右端側にはガイド部材20が設けられており、このガイド部材20によって、遊技領域12の右端側に飛来した遊技球は、遊技領域12の中央側およびアウト球口25が配設された箇所に向けて誘導される。
【0048】
これにより、遊技領域12上にて死に領域と化していた遊技球の発射領域とは反対側の右側領域も活用して、前記ガイド部材20によって、遊技領域12の右端側に飛来した遊技球を遊技領域12の中央部、アウト球口25、入賞口30等が配設された箇所まで戻すように誘導することになる。従って、従来のアウト球を入賞口30等に入賞する可能性が高いものに変換することができる。
【0049】
遊技盤面11上における遊技領域12は、その外周に沿って設けられた外側レール17によって区画される。そこで、前記ガイド部材20を、外側レール17のうち遊技領域12の右端側上方を区画する部位に配設することにより、ガイド部材20を特別な支持手段を別途新設することなく最適な位置に配することができる。また、ガイド部材20は、所定幅で延びる板状部材によって形成する。これにより、ガイド部材20を安価に製作することができコスト低減が可能となる。
【0050】
また、前記ガイド部材20は、遊技球を受ける側に向って湾曲した弧状に形成されている。これにより、ガイド部材20まで飛んできて受け止めた遊技球をスムーズにアウト球口25および遊技領域12の中央部側へ誘導することができる。
【0051】
遊技球は遊技領域12を落下する過程で始動入賞口32等の何れかの入賞口に入賞するか、あるいは何れの入賞口にも入賞しなかった場合は最終的にアウト球口25に入り回収される。特に、遊技球が始動入賞口32に入賞すると、所定数の遊技球が賞出される他、表示装置34において表示遊技が開始される。この表示遊技の結果が特定表示態様(大当たり)に確定すると、大入賞口33が所定回数を限度に繰り返し開閉する特別遊技状態が形成される。
【0052】
また、前記ガイド部材20に連なって配置されたアウト球口25は、受け入れた遊技球をアウト球として扱うアウト処理を行うほか、その一部を再度打ち出し可能な状態とする戻し処理を行う。これにより、打ち出された遊技球はアウト球口25に入りアウト球として処理されてその一部が戻し処理されるか、遊技領域12の中央部側へ戻されて有効球として処理されるか、遊技球の行き先から目を離すことなく、遊技の興趣を増加させることができる。
【0053】
さらに、遊技盤面の各所で有効球(戻し処理される球を含む)として処理される可能性が高くなったことにより、いわゆる死に領域となっている部分を減らし、遊技領域(12)全域を広く使うことができることとなる。
【0054】
そして、アウト球口25に入る遊技球の一部を戻し処理される場合において、発射された遊技球が入る確率が高い位置にあるアウト球口25においては、その戻し処理をする割合を低くし、遊技球が入る確率が低い位置にあるアウト球口25においては、その戻し処理をする割合を高く設定することができる。これにより、遊技盤面12にバリエーションを与え、従前には確率が低い位置に遊技球を発射することも期待できるから、結果として遊技盤面全体を広く使うことができる。
【0055】
図2(a)および(b)は、本発明の第2実施の形態に係る遊技機10を示している。
本実施の形態は、前記第1実施の形態の遊技機10と基本的には同一の構成であるが、前記ガイド部材20とガイド部材20に連続するアウト球口25をより下方に位置させている。
【0056】
これにより、発射されて勢いのある遊技球のガイド部材20で受け止める位置が移動し、アウト球になるか有効球になるかの比率を変更せしめ、アウト球口25に入る遊技球の数を調整し遊技によりバリエーションを与えることができる。なお、第1実施の形態と同種の部位には同一符号を付して重複した説明を省略する。
【0057】
図3は、本発明の第3実施の形態に係る遊技機10を示している。
本実施の形態は、前記第1実施の形態の遊技機10と基本的には同一の構成であるが、ガイド部材20に連なるアウト球口25に隣接する入賞口30の下部の誘導体を可動可能としたものである。図9に示すように誘導体の入賞口側の端部を誘導体可動用のモーターに接続しモーターの稼働によって揺動可能としたものである。
【0058】
これにより、発射された遊技球が、アウト処理されるか、入賞口に入って入賞処理されるか、遊技領域の中央側に戻されて有効球として処理されるか遊技球の動きにより目を離すことができなくなり、遊技機の興趣を高めることができる。なお、第1実施の形態と同種の部位には同一符号を付して重複した説明を省略する。
【0059】
図4は、本発明の第4実施の形態に係る遊技機10を示している。
本実施の形態は、前記第3実施の形態の遊技機10と基本的には同一の構成であるが、ガイド部材20が配置されているアウト球口25とその近傍に位置する可動可能な誘導体31よりなる入賞口30の配置を異ならせたものである。これにより、アウト球になるか有効球になるかの比率に変更を生じ、アウト球に入る球の数を調整し遊技機によりバリエーションを与えることが可能となる。なお、第4実施の形態と同種の部位には同一符号を付して重複した説明を省略する。
【0060】
図5は、本発明の第5実施の形態に係る遊技機10を示している。
本実施の形態は、前記第1実施の形態の遊技機10と基本的には同一の構成であるが、各アウト球口25において、戻し処理する遊技球の割合を設定変更手段37により変更可能とするものである。図5の下部は設定変更手段による設定した例を示している。予め設定された設定値を設定変更手段により選択することができる。なお、第1実施の形態と同種の部位には同一符号を付して重複した説明を省略する。
【0061】
図6は、本発明の第6実施の形態に係る遊技機10を示している。
本実施の形態は、前記第3実施の形態の遊技機10と基本的には同一の構成であるが、導入レール35と該導入レール36の下方に配置されているアウト球口25に遊技球を導入するレールを別々に設けたものである。これにより、始動入賞口へより入賞し易くすることができる。なお、第3実施の形態と同種の部位には同一符号を付して重複した説明を省略する。
【0062】
図7は、本発明の第7実施の形態に係る遊技機10を示している。
本実施の形態は、前記第3実施の形態の遊技機10と基本的には同一の構成であるが、始動入賞口32を大入賞口33の上に配置し、開閉可能であり、前記普通図柄表示装置で当たりとなった場合に通常の閉状態から開状態に一時的に変位するように設定されてものである。また、上に開口したアウト球口25を横方向に並ぶように3つ配置している。これにより、遊技機によりバリエーションを与えることが可能となる。なお、第3実施の形態と同種の部位には同一符号を付して重複した説明を省略する。
【0063】
図8は、本発明の第8実施の形態に係る遊技機10を示している。
本実施の形態は、前記第1実施の形態の遊技機10と基本的には同一の構成であるが、下部のレールおよび導入レール35を連続して植設した釘によって形成したものである。これにより、遊技機によりバリエーションを与えることが可能となる。なお、第1実施の形態と同種の部位には同一符号を付して重複した説明を省略する。
【0064】
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。例えば、一部の入賞口やアウト球口を上から入るタイプのものによって構成したものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明に係る遊技機はパチンコ機に限らず、プログラム制御されるスマートボールゲーム機、アレンジボールゲーム機といった他の遊技機にも同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0066】
10…遊技機
11…遊技盤
12…遊技領域
13…ガラス枠
14…上受け皿
15…下受け皿
16…ハンドル
17…外側レール
18…内側レール
20…ガイド部材
25…アウト球口
26…アウト球口表示部
30…入賞口
31…誘導体
32…始動入賞口
33…大入賞口
34…表示装置
35…導入レール
36…案内釘
37…設定変更手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技盤面上に外レールで区画された遊技領域を備え、遊技球を前記遊技領域の一端側下方より他端側上方に向けて打ち出す遊技機において、
前記遊技領域の他端側に、遊技球を受け入れて賞出に関わらないアウト球とするアウト球口を配置し、
前記アウト球口に、前記外レールに沿って落下する遊技球を、該アウト球口ないし遊技領域の中央部側に導くガイド部材を配置し、
前記アウト球口は、複数個配置されており、
前記アウト球口は、受け入れた遊技球を前記アウト球として扱うアウト処理を行うととともに、一部の遊技球を再度打ち出し可能な状態とする戻し処理を行い、
前記戻し処理される球数は、アウト球数の多少に応じて変化することを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記複数あるアウト球口の配置場所がそれぞれ異なることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記遊技領域には複数の入賞口が配置されており、該入賞口への遊技球の入賞は、該入賞口下部に配置された誘導体に導かれるようにし、前記ガイド部材が配置されているアウト球口上方の入賞口の誘導体は可動可能に構成したことを特徴とする請求項1または2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記ガイド部材の配置されているアウト球口と可動可能な誘導体よりなる入賞口の配置場所を異ならせたことを特徴とする請求項1,2または3に記載の遊技機。
【請求項5】
前記アウト球口におけるアウト球の数に対して戻し処理をする球の数の比率は、
発射された遊技球が入る確率が高い位置に配置されている前記アウト球口においては低く、
発射された遊技球が入る確率が低い位置に配置されている前記アウト球口においては高く設定されていることを特徴とする請求項1,2,3または4に記載の遊技機。
【請求項6】
前記アウト球口におけるアウト球に対して戻し処理をする球の比率は、設定変更手段によって変更可能としたことを特徴とする請求項1,2,3,4または5に記載の遊技機。
【請求項7】
前記アウト球口に入らない遊技球を始動入賞口に導入する導入レールを設けたことを特徴とする請求項1,2,3,4,5または6に記載の遊技機。
【請求項8】
前記導入レールと、該導入レール下方に配置されている該アウト球口に遊技球を導入するレールを別々にしたことを特徴とする請求項1,2,3,4,5または6に記載の遊技機。
【請求項9】
始動入賞口下方にアウト球口を複数個配置したことを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6,7または8に記載の遊技機。
【請求項10】
連続して植設された釘によって前記導入レールを形成したことを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6,7,8または9に記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−52200(P2013−52200A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−202358(P2011−202358)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(509039921)
【Fターム(参考)】