遊技球検出器および遊技球計数システム
【課題】遊技球検出器における遊技球検出ユニットと計数制御部との接続が正常になされ、断線状態や短絡状態が生じていないことを常時監視して、遊技球検出器に故障や不正行為等が発生した際、直ちに検出を行ってリアルタイムで対応可能とする。
【解決手段】それぞれ金属より成る遊技球の通過のない非検出状態では閉塞状態となって所定の残留電圧値を出力し、遊技球の通過を検知している検出状態では開放状態となって所定の漏れ電流が流れる直流2線式の回路で構成された第1および第2の遊技球検出ユニットを備え、第1の遊技球検出ユニットの第1の電源線および第2の遊技球検出ユニットの第1電源線は第1の主電源線GNDに共通接続され、且つ、第1の遊技球検出ユニットの第2電源線S1(VS1)および第2の遊技球検出ユニットの第2の電源線S2(VS2)は、それぞれ負荷201,202を介して第2の主電源線Vccに接続されるように構成する。
【解決手段】それぞれ金属より成る遊技球の通過のない非検出状態では閉塞状態となって所定の残留電圧値を出力し、遊技球の通過を検知している検出状態では開放状態となって所定の漏れ電流が流れる直流2線式の回路で構成された第1および第2の遊技球検出ユニットを備え、第1の遊技球検出ユニットの第1の電源線および第2の遊技球検出ユニットの第1電源線は第1の主電源線GNDに共通接続され、且つ、第1の遊技球検出ユニットの第2電源線S1(VS1)および第2の遊技球検出ユニットの第2の電源線S2(VS2)は、それぞれ負荷201,202を介して第2の主電源線Vccに接続されるように構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技球検出器および遊技球計数システムに関し、特に、弾球遊技機等の金属より成る遊技球を計数する遊技球検出器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、弾球遊技機の遊技球を扱う遊技機や遊技球計数機では、遊技球の通過を検知する手段として、一般的に貫通孔を備えた遊技球検出器(近接スイッチ)が用いられている。
【0003】
ところで、遊技ホール(パチンコホール)の現場では、弾球遊技機や遊技球計数機等において、遊技球を不正に搾取、或いは、計数する不正行為が絶えない状況であり、不正行為が行われ難いようにすることが強く望まれている。
【0004】
その対応策として各弾球遊技機や遊技球計数機のメーカー、或いは、それらに使用する部品のメーカーとしては様々の対策を施してきている。また、一方で弾球遊技機の遊技球と同じ金属球を遊技球として回胴の遊技を行う『パロット』なる新規のジャンルの遊技機が認められるようになったが、この『パロット』のアプリケーションには、遊技球を取り込むための取り込み装置用計数センサというアプリケーションが存在する。このアプリケーションは、ゲームをするために必要となる数量の遊技球をセンサによって計数して取り込むために、遊技者が自らの手で遊技球を投入する形態になっていることから、不正行為が施されない対策が必要となる。
【0005】
また、パチンコホールに設置されている遊技球計数機(遊技球計数システム)では、いかに短時間で多くの遊技球を計数できるかが重要な性能であることから、通常、10レーン以上(例えば、16レーン、または、18レーン)の遊技球通過路が設けられ、レーンごとに遊技球検出器が装備されている構成となっている。
【0006】
このような遊技球計数機では、遊技者が直接操作して獲得遊技球数を計数させることになるため、遊技球を不正に搾取する行為の対象になる可能性が高く、遊技機以上に不正行為の対策が必要となる。
【0007】
さらに、最近の動向として、遊技球計数システムが遊技機ごとに設置される台ごと計数システムが普及してきており、従来のように獲得した多くの遊技球を島ごとに設置された遊技球計数機まで運ぶ必要がなくなる。
【0008】
図1は従来の遊技球検出器の一例の回路構成を示すブロック図であり、図2は図1の遊技球検出器における遊技球検出時の出力信号波形のタイムチャートである。
【0009】
図1に示されるように、従来、遊技球検出器1は、遊技球の通過路(貫通孔300)に巻回して配置された検出コイル11、検出コイル11が含まれる高周波発振回路(発振回路)12、高周波発振回路12の出力信号(WF1)を検波して平滑する検波平滑回路13、検波平滑回路13の出力信号を所定の基準電位と比較する比較回路14、および、出力回路15を備えている。
【0010】
ここで、遊技球は検出コイル11が巻回された検出コイル11の貫通孔300を通過するようになっており、この遊技球の通過によって高周波発振回路12の発振状態が変化して遊技球が通過したことが判別され、その出力信号(S0:遊技球通過信号)が制御部2を介して出力されるようになっている。なお、参照符号20は、遊技球検出器の出力S0と高電位電源との間に設けられた負荷を示している。
【0011】
遊技球検出器として上述したような貫通孔を備えた近接スイッチが最も多く使用されるのは、恒久的に劣化することがなく、汚れや外乱光等の影響を受けずに誤作動が生じ難いため最も信頼性の高いという理由による。
【0012】
高周波発振回路12の出力信号WF1は、遊技球が検出コイル11の貫通孔300を通過すると、検出コイル11のインダクタンスが変化して発振が停止する。この高周波発振回路12の出力信号WF1は、検波平滑回路13により直流レベルの平滑された信号WF2に変換され、その直流レベルの信号WF2が比較回路14によって高位反転電圧Vth1および低位反転電圧Vth2と比較判別され、その比較結果が出力回路15から出力信号WF3(S0)として出力されるようになっている。
【0013】
図2に示されるように、遊技球の通過がない待機時には、高周波発振回路12は発振状態となり、検波平滑処理後の信号WF2としては高電位レベルとなり、その電圧レベルに基づいた遊技球非検出状態の信号WF3が出力される。
【0014】
すなわち、遊技球の接近に伴って高周波発振回路12の発振振幅が低下し始め、検波平滑処理後の直流レベルの信号WF2が、予め回路内で設定された低位反転電圧Vth2のレベルを下回った瞬間に、出力WF3が遊技球検出状態(S0:低レベル『L』)に反転し、また、遊技球が検出コイル11の貫通孔300中央部に至ると停止状態になる。
【0015】
さらに、遊技球が通過路を進んで検出コイル11の貫通孔300を通過して行くと、高周波発振回路の発振停止状態から徐々に発振が成長し始め、遊技球が検出コイルから離反するにしたがって待機時の発振状態に回復する。この際、予め回路内に設定された高位反転電圧Vth1のレベルを上回ったタイミングで、出力WF3が遊技球非検出状態(S0:高レベル『H』)に反転する。
【0016】
ここで、検波平滑回路13の出力信号WF2は、比較回路14において2つの閾値電圧(高位反転電圧Vth1および低位反転電圧Vth2)で比較判別されるが、これは、例えば、遊技球の跳ね返りや振動等に起因して生じるチャタリングやノイズの影響を取り除いて遊技球の検出を安定して確実に行うためである。
【0017】
図3は従来の遊技球検出器の他の例を示す断面図であり、また、図4は図3の遊技球検出器における遊技球検出時の出力信号波形のタイムチャートである。
【0018】
図3に示されるように、従来、貫通孔300の入口側301の検出コイルL1を含む第1の遊技球検出ユニットと出口側302の検出コイルL2を含む第2の遊技球検出ユニットとの2系統の遊技機検出機能を内蔵した遊技球検出器が提案されている。
【0019】
図3に示す遊技球検出器は、遊技球(P:P1,P2,P3)が貫通孔300を通過することによって、出力される第1の遊技球検出ユニットの出力(第1の遊技球通過信号)S1と第2の遊技球検出ユニットの出力(第2の遊技球通過信号)S2のタイミングの変化を確認することで、1個の遊技球が正規の方向に通過したか否かを判別する。すなわち、この遊技機検出器は、連続して遊技球P1〜P3が通過する場合でも確実に遊技球の判定を、正規の方向(玉通過計数)および逆の方向(玉戻り)を認識して計数の加算および減算を行うことができるようになっている。
【0020】
ここで、例えば、2つの検出コイルL1およびL2を、遊技球Pの直径(例えば、11mm)の1/4程度の距離だけ離して配置することで、図4における第1の遊技球検出ユニットの出力S1および第2の遊技球検出ユニットの出力S2が変化するタイミングを均等な時間t1,t2,t3,t4(t1=t2=t3=t4)とするようになっている。
【0021】
そして、図4に示されるように、遊技球P(P1)が貫通孔300を正規の方向に通過した場合、第1の遊技球検出ユニットの出力S1が遊技球の非検出状態の信号出力(低レベル『L』)から検出状態の信号出力(高レベル『H』)に変化し(TP1)、所定時間(t1)経過した後、第2の遊技球検出ユニットの出力S2が遊技球の非検出状態の信号出力『L』から検出状態の信号出力『H』に変化する(TP2)。
【0022】
さらに、所定時間(t2)経過した後、出力S1が遊技球の検出状態の信号出力『H』から非検出状態の信号出力『L』に変化し(TP3)、そして、所定時間(t3)経過した後、出力S2が遊技球の検出状態の信号出力『H』から非検出状態の信号出力『L』に変化する(TP4)。なお、連続して遊技球P(P2)が貫通孔300を正規の方向に通過すると、さらに所定時間(t4)経過した後、出力S1が遊技球の非検出状態の信号出力『L』から検出状態の信号出力『H』に変化し(TP1)、同様の信号変化が繰り返されることになる。
【0023】
なお、遊技球Pが貫通孔300を逆の方向に通過した場合には、第1の遊技球検出ユニットの出力S1および第2の遊技球検出ユニットの出力S2が、上記と逆に変化することになるため、各遊技球が正規の方向か逆の方向かも含めて検出することができ、遊技球の計数の加算および減算を正しく行うことが可能になる。
【0024】
図5は図3の遊技球検出器の回路構成を示すブロック図である。
図5に示されるように、図3の遊技球検出器は、第1の遊技球検出ユニットおよび第2の遊技球検出ユニットの2つの遊技球検出ユニットを備えている。各遊技球検出ユニットは、前述した図1に示す遊技球検出器と同様の構成を備え、第1の遊技球検出ユニットは、検出コイル11a(L1),高周波発振回路12a,検波平滑回路13a,比較回路14aおよび出力回路15aを備え、また、第2の遊技球検出ユニットは、検出コイル11b(L2),高周波発振回路12b,検波平滑回路13b,比較回路14bおよび出力回路15bを備える。なお、参照符号21および22は、それぞれ第1および第2の遊技球検出ユニットの出力S1およびS2と高電位電源VSとの間に設けられた負荷を示し、また、23は各弾球遊技機や遊技球計数機のローカルに設けられたCPUを示している。
【0025】
以上述べたように、従来、遊技球検出器の貫通孔300に2つの遊技球検出ユニットを設け、遊技球Pが通過することによって得られる各遊技球検出ユニットの信号出力S1,S2が、一定時間重なるように各検出コイルL1,L2を所定間隔おいて配置し、遊技球の通過による2つの信号出力S1,S2のタイミング変化のパターンに基づいて、遊技球の通過と通過方向の検出を行って遊技球を正確に計数する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0026】
また、従来、遊技球の通過路に対して2系統の光学的な遊技球検出ユニットを設け、遊技球が通過する際に、第1の遊技球検出ユニットの検出信号が出力されている間に、第2の遊技球検出ユニットが検出信号を出力し、両方の検出信号の出力時間のタイミングズレにより遊技球が後戻りした(逆の方向に通過した)場合の誤カウントを防止するものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0027】
さらに、従来、遊技球の移動状況を正確かつ簡易に検出するために、遊技球の発射装置から遊技盤面までの通過路に対して、遊技球が通過する貫通孔に検出コイルのインダクタンス成分を用いて発振する高周波発振回路とスイッチング回路とからなる2つの検出部を設け、各検出部の出力の変化の順序により遊技球の移動方向を検出して遊技盤に供給される遊技球の総数を検出するものも提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0028】
また、従来、遊技球を用いる場合でも遊技球の取り込みに要する時間を短縮する遊技球検出器を用いたスロットマシンも提案されている(例えば、特許文献4参照)。
【0029】
さらに、最近に至っては、複数の通過路の遊技球を一体化して検出する遊技球検出器も提案されており、例えば、2つの通過路の遊技球(2組の遊技球検出器)を一体化して検出する遊技球検出器も提案されている(例えば、特許文献5参照)。
【0030】
従来、遊技球(玉)の計数通過路で玉詰まりなどを起こしてもすぐには重大事にはならない台ごと計数機として、通常はセットして下皿から排出された遊技球を受けとると共に台サンド側に戻し、玉詰まりを生じると、ホッパーユニットを回転すると共に下皿の下方に設置した玉箱で遊技球を受け取るようにしたものが提案されている(例えば、特許文献6参照)。
【0031】
また、従来、台ごとに設置される玉数計数機への不正を検知センサを設けることなく検出するために、補給信号および貸玉信号に予め設定される補正玉数を積算した積算玉数と計数信号とを比較して、計数信号の方が大きい場合には不正と判断し、他の場合には正常と判断するようにしたものも提案されている(例えば、特許文献7参照)。
【0032】
そして、従来、高周波発振回路および信号処理回路によって物体を検知し、その出力を検知出力保持回路に与え、自己診断入力信号があればこの出力を一旦保持してディレー回路での遅延時間後に発振状態を反転させ、信号処理回路の出力が同時に反転するか否かによって、近接スイッチ(遊技球検出器)の全体の異常を診断できるようにしたものも提案されている(例えば、特許文献8参照)。
【0033】
また、従来、金属体(遊技球)が検出部に近接する際、検出部が検出状態となってから検出信号が出力するまでの検出時出力遅れ時間を制御する第1の回路と、金属体が検出部から離反する際、検出部が非検出状態となってから検出信号を出力するまでの非検出時出力遅れ時間を制御する第2の回路とをそれぞれ個別に形成し、出力安定性確保、応答性および出力時間確保を実現するようにした高周波発振型近接スイッチ(遊技球検出器)も提案されている(例えば、特許文献9参照)。
【0034】
なお、従来、遊技球を検出する直流2線式スイッチ(遊技球検出ユニット)に対する不正行為を防止するものとして、開放または閉塞状態となることで直流2線式電子スイッチから出力される遊技球の有無を示す出力信号を制御回路に伝達するインターフェース回路であって、第1または第2の状態によって異なる閾値電圧値を決定する分圧回路、直流2線式電子スイッチの出力電圧値と、分圧回路の第1または第2の状態における閾値電圧値とを比較する第1の比較出力回路、並びに、第1の比較出力回路からの出力信号に応じて分圧回路を第1の状態または第2の状態に切り替える切替回路を備えたインターフェース回路が提案されている(例えば、特許文献10参照)。
【0035】
さらに、従来、上記特許文献10に関連した直流2線式電子スイッチのインターフェース回路として、開放状態時の異常を検知する開放異常検知回路、閉塞状態時の異常を検知する閉塞異常検知回路、第1の比較出力回路,開放異常検知回路および閉塞異常検知回路の出力信号を少なくとも合成して遊技球の検出の有無を示す信号を出力する第1の出力回路、並びに、開放異常検知回路,および閉塞異常検知回路からの出力信号を少なくとも合成して合成信号を出力する第2の出力回路を備え、分圧回路の第1の状態における閾値電圧値が分圧回路に流れる電流値によって決定されるものが提案されている(特許文献11参照)。なお、開放異常検知回路は、直流2線式電子スイッチの出力電圧値と、第1の状態において、直流2線式電子スイッチが開放状態のときに生じる漏れ電流の電流値より所定値だけ小さい電流値となる電圧値とを比較することにより、直流2線式電子スイッチの開放状態時の異常の有無を表す信号を出力する第2の比較出力回路を有し、かつ、閉塞異常検知回路は、直流2線式電子スイッチの出力電圧値と、直流2線式電子スイッチが閉塞状態のときに生じる残留電圧値より所定値だけ小さい電圧値とを比較することにより、直流2線式電子スイッチの閉塞状態時の異常の有無を表す信号を出力する第3の比較出力回路を有する。
【0036】
【特許文献1】特開平10−094638号公報
【特許文献2】特開平08−089644号公報
【特許文献3】特許第3232465号明細書
【特許文献4】特開2003−093592号公報
【特許文献5】意匠登録第1074357号公報
【特許文献6】特開平10−165636号公報
【特許文献7】特開平11−192370号公報
【特許文献8】特開平07−037475号公報
【特許文献9】特開2004−364226号公報
【特許文献10】特開2005−318357号公報
【特許文献11】特開2005−318358号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0037】
従来、遊技球検出器は、様々な理由により破損や故障が想定されるが、現状では制御側から遊技球検出器の破損や故障を簡単に確認する手段がない。
【0038】
すなわち、遊技球検出器は、その貫通孔を遊技球が連続的に通過するため、遊技球検出器の貫通孔に機械的ストレスがかかり続けることから、貫通孔に巻回されている検出コイルが断線し、遊技球検出器として動作不能となる。また、遊技球検出器内に液体や水が浸入し、内蔵している検出コイル部や回路部の一部で電気的に短絡が生じて遊技機検出器として動作不能となる。或いは、遊技球検出器の外部からのノーマルノイズや静電気ノイズ等によって、遊技球検出機能の回路破壊が生じて遊技球検出器として動作不能となるといったことが考えられる。
【0039】
ところで、弾球遊技機では、例えば、1台当り10個前後の遊技球検出器が搭載されており、それがパチンコホールでの遊技機の設置台数分あるため、遊技球検出器の数は膨大なものとなる。
【0040】
しかしながら、遊技球検出器の破損や故障は、例えば、遊技者本人がゲームしている中での感触として異常を感じて、パチンコホール従業員に連絡する等しなければ、異常が発覚することはない。
【0041】
また、遊技球計数機(遊技球計数装置)は、10レーン以上の遊技球通過路を設けられており、例えば、その2倍の遊技球検出ユニットが設けられ、その遊技球計数機が島ごとに設けられることになるため、仮に遊技球検出器(遊技球検出ユニット)の一部が故障していたとしても、例えば、遊技球の計数処理が少な目の結果となるだけで、遊技者もしくはパチンコホール従業員がその計数結果を確認することで異常を感じなければ、その遊技球計数機が異常であることすら確認するのが困難である。
【0042】
さらに、遊技球計数システムにおいては、仮に遊技球計数機が異常であるということが確認できたとしても、どの遊技球検出器(遊技球検出ユニット)が故障しているかは、装置そのものを解体して、遊技球検出器の動作を1つずつ確認していく外は手段がないのが現状である。
【0043】
さらに、前述したように、台ごとに遊技球の計数機を設ける遊技球計数システムに至っては、パチンコホールの弾球遊技機の全てに対して遊技球計数機が設けられることになるため、弾球遊技機と同様に、ホール従業員による人的な監視だけで、全ての遊技球計数機の異常監視を常に行い続けることは不可能である。
【0044】
そして、台ごとに遊技球の計数機を設ける遊技球計数システムの場合、遊技者ごとに遊技球計数機が設けられているため、不正遊技者が個々の遊技球計数機に対して不正に遊技球を搾取するための不正行為を行い、或いは、遊技における勝ち負けに関連して遊技者が感情的に破壊行為(叩く、蹴る、或いは、ジュースを流す等)を行う可能性もある。このような場合も、ホール従業員による人的な監視だけで対策することは困難である。
【0045】
本発明は、上述した従来の遊技球検出器が有する課題に鑑み、遊技球検出器における遊技球検出ユニットと計数制御部との接続が正常になされ、断線状態や短絡状態が生じていないことを常時監視することによって、遊技球検出器に故障や不正行為等が発生した際、直ちに検出を行ってリアルタイムで対応可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0046】
本発明の第1の形態によれば、金属より成る遊技球の通過路に巻回して配置された第1の検出コイルおよび該第1の検出コイルを含む第1の高周波発振回路を備え、該第1の高周波発振回路の発振状態によって前記遊技球の通過を判別して第1の遊技球通過信号を出力する第1の遊技球検出ユニットと、前記を備える遊技球検出器であって、前記遊技球の通過路に巻回して配置され、前記第1の検出コイルと所定の距離を隔てて設けられた第2の検出コイルおよび該第2の検出コイルを含む第2の高周波発振回路を備え、該第2の高周波発振回路の発振状態によって前記遊技球の通過を判別して第2の遊技球通過信号を出力する第2の遊技球検出ユニットと、を備える遊技球検出器であって、前記第1の遊技球検出ユニットの第1の信号出力と前記第2の遊技球検出ユニットの第2の信号出力が一定時間の重なりを持ち、前記各第1および第2の遊技球検出ユニットは、それぞれ遊技球の通過のない非検出状態では閉塞状態となって所定の残留電圧値を出力し、遊技球の通過を検知している検出状態では開放状態となって所定の漏れ電流が流れる直流2線式の回路で構成され、前記第1の遊技球検出ユニットの第1の電源線および前記第2の遊技球検出ユニットの第1電源線は第1の主電源線に共通接続され、且つ、前記第1の遊技球検出ユニットの第2電源線および前記第2の遊技球検出ユニットの第2の電源線は、それぞれ負荷を介して第2の主電源線に接続されることを特徴とする遊技球検出器が提供される。
【0047】
本発明の第2の形態によれば、金属より成る遊技球の通過路に巻回して配置された第1の検出コイルおよび該第1の検出コイルを含む第1の高周波発振回路を備え、該第1の高周波発振回路の発振状態によって前記遊技球の通過を判別して第1の遊技球通過信号を出力する第1の遊技球検出ユニットと、前記を備える遊技球検出器であって、前記遊技球の通過路に巻回して配置され、前記第1の検出コイルと所定の距離を隔てて設けられた第2の検出コイルおよび該第2の検出コイルを含む第2の高周波発振回路を備え、該第2の高周波発振回路の発振状態によって前記遊技球の通過を判別して第2の遊技球通過信号を出力する第2の遊技球検出ユニットと、を備える遊技球検出器であって、前記第1の遊技球検出ユニットの第1の信号出力と前記第2の遊技球検出ユニットの第2の信号出力が一定時間の重なりを持ち、前記各第1および第2の遊技球検出ユニットは、それぞれ遊技球の通過のない非検出状態では閉塞状態となって所定の残留電圧値を出力し、遊技球の通過を検知している検出状態では開放状態となって所定の漏れ電流が流れる直流2線式の回路で構成され、前記第1の遊技球検出ユニットの第1の電源線および前記第2の遊技球検出ユニットの第1電源線は第1の主電源線に共通接続され、且つ、前記第1の遊技球検出ユニットの第2電源線および前記第2の遊技球検出ユニットの第2の電源線は、それぞれ負荷を介して第2の主電源線に接続される遊技球検出器と、該遊技球検出器が接続され、前記第1および第2の信号出力に基づいて、前記通過路を通過する遊技球を計数する計数処理手段と、前記第1および第2の遊技球検出ユニットに電流が流れていないことを検知する電流検知手段と、該第1および第2の遊技球検出ユニットの両端に電圧が発生していないことを検知する電圧検知手段と、計数制御部により前記第1および第2の遊技球検出ユニットに電流が流れていないか、或いは、該第1および第2の遊技球検出ユニットの両端に電圧が発生していないことを定常的に監視する監視手段と、を備えることを特徴とする遊技球計数システムが提供される。
【発明の効果】
【0048】
本発明によれば、遊技球検出器における遊技球検出ユニットと計数制御部との接続が正常になされ、断線状態や短絡状態が生じていないことを常時監視することによって、遊技球検出器に故障や不正行為等が発生した際、直ちに検出を行ってリアルタイムで対応を可能にすることのできる遊技球検出器および遊技球計数システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0049】
以下、本発明に係る遊技球検出器および遊技球計数システムの実施例を、添付図面を参照して詳述する。
【実施例1】
【0050】
図6は本発明に係る遊技球検出器の第1実施例を示す回路図であり、直流2線式電子スイッチで構成した2系統の遊技球検出ユニットにより構成した遊技球検出器の回路図を示すものである。
【0051】
図6に示されるように、本第1実施例の遊技球検出器は、第1の遊技球検出ユニットおよび第2の遊技球検出ユニットの2つの遊技球検出ユニットを備えている。第1の遊技球検出ユニットは、検出コイル111,高周波発振回路121,検波平滑回路131,比較回路141,出力回路151および電源回路161を備え、また、第2の遊技球検出ユニットは、検出コイル112,高周波発振回路122,検波平滑回路132,比較回路142,出力回路152および電源回路162を備える。
【0052】
なお、第1および第2の遊技球検出ユニットは、それぞれ直流2線式電子スイッチとして構成され、各第1および第2の遊技球検出ユニットの信号出力S1およびS2は、後述する図7に示されるように、それぞれ負荷201および202を介して高電位電源Vccに接続される電源VS1およびVS2と共用される。
【0053】
すなわち、本第1実施例の遊技球検出器は、前述した図5に示す従来の2つの遊技球検出ユニットを有する遊技球検出器において、各遊技球検出ユニットの信号出力S1およびS2と各遊技球検出ユニット用の電源(電源線)VS1およびVS2とを共用化するようになっている。そのために、第1の遊技球検出ユニットは、NPN型バイポーラトランジスタ1611,ツェナーダイオード1612および抵抗1613で構成された電源回路161をさらに備え、同様に、第2の遊技球検出ユニットは、NPN型バイポーラトランジスタ1621,ツェナーダイオード1622および抵抗1623で構成された電源回路162をさらに備える。
【0054】
さらに、第1の遊技球検出ユニットの出力回路151は、トランジスタ1511,抵抗1512およびツェナーダイオード1513を備え、トランジスタ1511のコレクタからツェナーダイオード1513を介して第1の信号出力S1が取り出され、同様に、第2の遊技球検出ユニットの出力回路152は、トランジスタ1521および抵抗1522を備え、トランジスタ1521のコレクタからツェナーダイオード1523を介して第2の信号出力S2が取り出されるようになっている。
【0055】
なお、第1の遊技球検出ユニットの検出コイル111および第2の遊技球検出ユニットの検出コイル121は、遊技球(P)の通過路(貫通孔300)に所定の距離(例えば、遊技球Pの直径11mmの1/4程度の距離)だけ離して巻回され、第1および第2の信号出力S1およびS2は、前述した図4に示すような関係(t1=t2=t3=t4)で変化するようになっている。
【0056】
上記のような構成を前提として、第1および第2の遊技球検出ユニットは、それぞれ高周波発振回路121,122の発振状態を検波平滑回路131,132で直流レベルの信号に変換し、さらに、比較回路141,142で比較判別した結果を直流2線式の出力回路151,152で信号出力(S1,S2)する。ここで、この2系統の遊技球検出ユニットの低電位側電源(低電位側電源線)はGND電位として共通化されている。
【0057】
次に示す表1は、遊技球の検出状態と遊技球検出ユニット(電子スイッチ)の出力動作との関係を示す。
【0058】
【表1】
【0059】
表1において、直流2線式電子スイッチの場合、出力トランジスタ1511,1521をオン状態(閉塞状態)させる場合でも内部回路(121〜141,161、122〜142,162)を動作させておく必要があるため、一定の定電圧を残した状態で閉塞動作を行う。そのため、直流2線式電子スイッチでは、出力トランジスタがオン状態であっても電子スイッチの両端は0Vとはならない。実際の回路動作としては、図6における出力回路151,152に内蔵される残留電圧生成回路(ツェナーダイオード)1513,1523によってその電圧値が決まることになる。
【0060】
直流2線式電子スイッチにおいて、出力トランジスタ1511,1521を開放状態(オフ状態)させる場合であっても内部回路を動作させる消費電流が発生するため、その消費電流が電子スイッチの負荷を介して流れることとなる。このことから、直流2線式電子スイッチでは、出力トランジスタがオフ状態であっても電流が流れない(0mAになる)ことはない。実際の回路動作としては、出力回路151,152が開放状態となって電流が流れないため、その他の回路(図6では、発振回路121,122、検波平滑回路131,132、比較回路141,142および電源回路161,162)の消費電流が漏れ電流となる。
【0061】
表1では、検出状態→出力オフ,非検出状態→出力オンという出力モードに限定しているが、これは遊技球検出器のようにシンプルな回路構成で実現しようとする場合、開放状態の漏れ電流を最小化することが重要になるため、遊技球検出器として直流2線式の遊技球検出ユニットを使用する場合、消費電流の少ない発振停止状態となる検出状態を開放状態とすることが好ましい。また、非検出状態をオン状態にすることによって、遊技球の通過がない電源投入時に電源を投入することで出力が反転するため、動作していることが電源を投入するだけで確認することが可能となる。
【0062】
すなわち、直流2線式電子スイッチの場合、負荷(後述する図7の201,202)を介して電源Vccに接続するが、電子スイッチの両端が0V(GND)および電源電圧(Vcc)と一致することはなく、常に中間電位となるという特徴がある。
【0063】
本第1実施例(第2〜第4実施例も同様)は、上述した直流2線式電子スイッチの特性を利用するものであり、所定以上の電流が流れていること、或いは、所定以上の電圧が残っていることを監視し、遊技球検出器が正常であることを確認した上で遊技球計数制御を行うものである。想定される異常現象について次表に示すが、本発明により、これらの監視を常時行えるようにすることでセキュリティ性が高く、かつ、信頼性の高いシステムの構築が可能になる。
次に示す表1は、電子スイッチにおける異常モードと想定される原因との関係を示す。
【0064】
【表2】
【0065】
ところで、本明細書では、電子スイッチを遊技球計数システムの遊技球検出器(遊技球検出ユニット)に適用する場合に限定して説明しているが、これは、遊技球計数システムという景品(金銭)に関わる装置の異常検知であり、なんらかの意図的な不正行為や事故による事象であるということを判断するためには、通常の信号処理以上に慎重な判断が必要となるアプリケーションだからである。
【0066】
遊技球計数装置では、遊技球の通過方向を確認し、遊技球の通過検知をしているため、2系統の検出機能(遊技球検出ユニット)が一対になっている。この信頼性の高い判断を必要とするアプリケーションにおいては、2系統の信号出力S1,S2を照合して異常の有無を確認することで信頼性の高い判断が可能となる。
【0067】
上記の表2において、想定される原因に関しては、遊技球検出ユニットが2系統であった場合、2つの遊技球検出ユニットが共に同じ異常状態になる可能性が高く、これら2つの遊技球検出ユニットの信号出力S1,S2を照合しながら確認することで信頼度が高まる。
【0068】
次に、計数制御部側の構成について図7を用いて説明する。
図7は本発明の第1実施例の遊技球検出器が接続される計数制御部を示す回路図であり、2系統の遊技球検出ユニットに対する2系統のインターフェース261,262が搭載されている。
【0069】
インターフェース回路261,262としては、遊技球検出ユニットの信号出力S1,S2をレベル変換して後段に伝える信号判別回路271,272に加え、いくらかの電流が流れていることを確認する断線異常検知回路281,282および遊技球検出ユニットの両端の電圧が一定以上の残っていることを確認する短絡異常検知回路291,292を備える。さらに、計数制御部200は、インターフェース回路261,262、計数処理部203および異常信号出力部204を備えている。
【0070】
断線異常検知回路281(282)は、僅かな電流が流れていることを確実に確認するために、トランジスタ2811および抵抗2812〜2814を用いた電流検知方式で0.1mA以下の電流であっても検知する回路構成となされている。
【0071】
短絡異常検知回路291(292)は、遊技球検出ユニットの両端が短絡状態(0V)でないことを確認するため、閾値電圧をダイオード1個分の0.6V前後に設定している。
【0072】
そして、遊技球計数システムの異常検知機能として、断線異常検知回路281,282および短絡異常検知回路291,292によって、異常が検知された際には、異常信号出力部204に信号が送られ、中央処理部(ホストコンピュータ)4へ異常信号を出力すると共に、ローカルの異常表示装置(表示灯)251や異常検知時音声発生装置(スピーカ)252による報知を行うようになっている。
【0073】
図8は本発明に係る遊技球検出器の第1実施例における電源電圧と遊技球検出ユニットの出力電圧(計数制御部の入力電圧)との関係を示す図である。図8において、横軸は電源電圧(Vcc)を示し、縦軸は計数制御部の入力電圧(遊技球検出ユニットの信号出力S1(VS1),S2(VS2)の電圧)を示す。なお、図8において、参照符号AR1は入力電圧S1(S2)が遊技球検出ユニットの発振停止状態(玉あり状態)のばらつきを考慮した電圧範囲を示し、また、AR2は入力電圧S1(S2)が遊技球検出ユニットの発振状態(玉なし状態)のばらつきを考慮した電圧範囲を示している。
【0074】
図8に示されるように、例えば、入力電圧S1(S2)が計数制御部200における断線異常検知回路281(282)による断線検知電圧(閾値電圧Vth03)よりも高くなれば断線異常とし、また、入力電圧S1(S2)が計数制御部200における短絡異常検知回路291(292)による短絡検知電圧(閾値電圧Vth04)よりも低くなれば短絡異常として、所定の異常処理を行う。
【0075】
ここで、断線検知としては、わずかな電流が流れれば検知可能であり、例えば、電源電圧Vccに関わらず、[電源電圧(Vcc)−0.1V(負荷×検出電流)]程度の検出を行うようになっており、また、短絡検知としては、閾値電圧をダイオード1個で設定しているため、電源電圧Vccに関わらず0.6V前後に設定されている。
【0076】
いずれにしても特徴的なのは、電源電圧に依存せず安定的に異常検知が判別可能であるという点である。
【0077】
図9は本発明に係る遊技球検出器の第1実施例の変形例を示すブロック図である。
図9に示す遊技球検出器は、上述した2系統の直流2線式の遊技球検出ユニットに加えて、例えば、CPU制御回路230からの検出コイル短絡制御信号CS0によって検出コイル111および112の各両端を短絡する検出コイル短絡制御回路16を設けるようになっている。検出コイル短絡制御回路16は、例えば、遊技球計数機に設けられたローカルの計数制御部200のCPU230からの検出コイル短絡制御信号CS0に従って検出コイル111および112の各両端を短絡して高周波発振回路121および122の発振を同時に停止するものである。
【0078】
CPU230は、外部出力部240を介して中央処理部(ホールコンピュータ)4に接続され、ホールコンピュータ4からの制御信号に応じて検出コイル短絡制御回路16へ検出コイル短絡制御信号CS0を出力し、もし、異常が検出されれば、ローカルの表示灯251やスピーカ252による報知を行うと共に、ホールコンピュータ4へ異常信号を出力するようになっている。なお、検出コイル短絡制御信号CS0は、例えば、ホールが営業を開始する前(開店前)の電源投入時等において行うことで遊技球検出器の動作確認を行うことができる。
【0079】
これにより、遊技球検出器に故障や不正行為等が発生した際にリアルタイムで対応可能とするだけでなく、遊技球検出器の遊技球検出機能が正常に動作している否かの確認を行うことが可能になる。
【0080】
上述したように、本第1実施例の遊技球検出器は、2系統の遊技球検出ユニットの低電位電源を共通化した直流2線式の回路構成にすることで、正常状態での信号出力S1,S2(VS1,VS2)を中間電位にすることができ、さらに、定常的に信号出力S1,S2の電圧レベルを監視することで、断線や短絡の異常検知を行うことができる。
【0081】
また、断線異常検知回路281,282を電流検出の回路構成とし、わずかな電流値以下である異常検知を行うことによって、断線異常検知回路281,282が外乱ノイズ等によって誤動作して異常検知状態とならないようにすることができる。
【0082】
さらに、短絡異常検知回路291,292を短絡状態(0V)ではない程度の閾値電圧とし、わずかな電圧値以下である異常検知を行うことによって、短絡異常検知回路291,292が外乱ノイズ等によって誤動作して異常検知状態とならない回路構成を実現することが可能となる。
【0083】
さらに、2系統の負荷201,202が独立して高電位電源線(Vcc)に接続されるため、電源線からの影響(ノイズや不正行為等)による破壊で2系統の遊技球検出ユニットが両方共破壊する危険を低減することができる。なお、2系統の遊技球検出ユニットの一方のみが動作した場合には、計数制御機能として容易に異常を確認することができる。
【0084】
また、2系統の遊技球検出ユニットの信号出力S1,S2を照合しながら、異常の有無を判断することで信頼性の高い異常検知システムを実現することができる。また、遊技球計数システムとして定常的に断線異常と短絡異常を監視することによって、一定の故障や遊技球検出器に対する不正をリアルタイムで検出することができ、信頼性の高い異常検知システムを実現することができる。
【実施例2】
【0085】
図10は本発明の第2実施例の遊技球検出器が接続される計数制御部を示す回路図である。
【0086】
図10に示す本第2実施例の遊技球検出器が接続される計数制御部は、信号判別回路(インターフェース回路261(262)、高位反転電圧判別回路2711(2721)および低位反転電圧判別回路2712(2722)、断線異常検知回路281(282)、短絡異常検知回路291(292))の閾値を遊技球検出ユニットの出力電圧値に接近させて設定し、遊技球の出力信号以外の信号を受け付け難くした高セキュリティのものを示している。
【0087】
遊技球検出器としては、例えば、前述した図6に示す第1実施例と同様のものを使用し、計数制御部200,異常信号表示部(表示灯251やスピーカ252)および中央処理部4により遊技球計数システムを構成するようになっている。
【0088】
本第2実施例では、信号判別回路271(272)として、高位反転電圧判別回路2711および低位反転電圧判別回路2712が独立して設けられている。
【0089】
高位反転電圧判別回路2711の閾値電圧Vth01は、遊技球検出ユニットの漏れ電流と同等の特性を示す電流源7111および抵抗7112により設定され、コンパレータ7113により閾値電圧Vth01と遊技球検出ユニットの信号出力S1を比較判別する。ここで、抵抗7112の値を負荷抵抗201よりも若干大きい値にすることで、負荷抵抗201よりも僅かに大きい電圧降下を得るようになっている。
【0090】
低位反転電圧判別回路2712の閾値電圧Vth02は、遊技球検出ユニットの残留電圧生成回路、すなわち、図6における出力回路151に内蔵されるツェナーダイオード1513と同じ素子であるツェナーダイオード7121を使用して閾値電圧Vth02を設定するようになっている。
【0091】
すなわち、低位反転電圧判別回路2712は、ツェナーダイオード7121,ダイオード7122,抵抗7123およびコンパレータ7124を備え、遊技球検出ユニットの残留電圧を規定するツェナーダイオード1513と同じ特性のツェナーダイオード7121およびダイオード7122を使用することで、ツェナーダイオード(1513,7121)で生成される電圧に対してダイオード1個分高い電圧(遊技球検出ユニットの信号出力S1の電圧よりも若干(ダイオード1個分)高い電圧)を閾値電圧Vth02として設定するようになっている。
【0092】
また、断線異常検知回路281の閾値電圧Vth03は、遊技球検出ユニットの漏れ電流と同等の特性を示す電流源811および抵抗812により設定され、コンパレータ813により閾値電圧Vth03と遊技球検出ユニットの信号出力S1を比較判別する。ここで、抵抗812の値を負荷抵抗201よりも若干小さい値にすることで、負荷抵抗201よりも僅かに小さい電圧降下を得るようになっている。
【0093】
そして、短絡異常検知回路291の電圧Vth04は、遊技球検出ユニットの残留電圧生成回路、すなわち、図6における出力回路151に内蔵されるツェナーダイオード1513と同じ素子であるツェナーダイオード911を使用して閾値電圧Vth04を設定するようになっている。
【0094】
すなわち、短絡異常検知回路291は、ツェナーダイオード911,抵抗912〜914およびコンパレータ915を備え、遊技球検出ユニットの残留電圧を規定するツェナーダイオード1513と同じ特性のツェナーダイオード911により生成される電圧を抵抗913および914で分圧することで、遊技球検出ユニットの信号出力S1の電圧よりも僅かに低い電圧を閾値電圧Vth04として設定するようになっている。
【0095】
なお、上述した各閾値電圧Vth01〜Vth04の設定は、遊技球検出器が負荷を介して接続されている電源から電圧供給を受けて設定するため、仮に電源電圧が変動してもその変動に合わせた値に各閾値電圧が設定されるため、非常に安定した回路を実現することができる。また、インターフェース回路262に対しても、同様の設定が施されている。
【0096】
図11は本発明に係る遊技球検出器の第2実施例における遊技球検出ユニットの出力電圧と電源電圧との関係を示す図である。図11において、横軸は電源電圧(Vcc)を示し、縦軸は入力電圧(遊技球検出ユニットの信号出力S1,S2の電圧)を示し、上述した計数制御部200における各閾値電圧Vth01〜Vth04を示すものである。
【0097】
これらの閾値電圧Vth01〜Vth04を設定することにより、遊技球検出ユニットの信号出力S1,S2の変動範囲を超えると異常状態として検知するとともに、信号出力S1,S2の反転動作が規定の値以上に変化しないと信号出力として受け付けられないことになるため、高セキュリティの計数制御部200が構成される。
【0098】
また、以下の手法により、遊技球検出器自身の漏れ電流値もしくは残留電圧値を2系統の遊技球検出ユニットで異ならせておくことで、より一層不正行為の対象とすることが困難となり、セキュリティのより一層の向上を図ることができる。
【0099】
さらに、遊技球検出器に内蔵される2系統の遊技球検出ユニットの高周波発振回路におけるLC共振回路のコイルの巻数もしくはコンデンサの容量値を異ならせることで、2系統の遊技球検出ユニットにおける漏れ電流を異ならせ、計数制御部としてそれぞれの漏れ電流に応じた高位反転電圧の閾値と断線異常検知の閾値を設定することができる。
【0100】
また、遊技球検出器に内蔵されている2系統の遊技球検出ユニットの残留電圧生成回路となるツェナーダイオードのツェナー電圧を異ならせることで、2系統の遊技球検出ユニットにおける残留電圧を異ならせ、計数制御部としてそれぞれの残留電圧に応じた低位反転電圧の閾値と短絡異常検知の閾値を設定することができる。
【0101】
このように、本第2実施例によれば、計数制御部200のインターフェース回路261,262の閾値電圧を遊技球検出器の回路構成および回路特性に応じて設定することができるため、遊技球検出器の信号出力に接近させた閾値電圧を設定しても、例えば、外乱ノイズ等によって誤動作することがなく、安定した動作を行わせることができる。
【0102】
また、遊技球検出ユニットの信号出力S1,S2が設定された変動範囲から逸脱するだけで異常状態として検知され、或いは、信号出力S1,S2を受信できなくなるため、信号出力の判別回路が確実に行え、信頼性の高い計数制御システムが実現でき、併せて非常にセキュリティの高い計数制御部が実現できる。これにより、対象の遊技球検出器以外の検出器(別の機種や不正改造された遊技球検出器等)が装着された場合には、異常検知状態となるか、或いは、信号出力S1,S2の判別処理をしないことになり、不正行為の対象になり難くなる。
【0103】
さらに、2系統の遊技球検出ユニットの漏れ電流もしくは残留電圧を異ならせ、それに応じた計数制御部のインターフェース回路を実現しておくことで、より一層不正行為が実現し難くなり、セキュリティを高めることができる。
【実施例3】
【0104】
図12は本発明に係る遊技球検出器の第3実施例を示す回路図であり、2系統の遊技球検出ユニットを有する遊技球検出器であって、高周波発振回路の発振周波数、漏れ電流の値、並びに、残留電圧の値を異なるように設定し、より一層セキュリティの向上を図ったものである。
【0105】
図12と前述した図6との比較から明らかなように、本第3実施例の遊技球検出器は、前述した第1実施例の遊技球検出器において、第1の遊技球検出ユニットの出力回路151、および、第2の遊技球検出ユニットの高周波発振回路122の直流バイアス駆動方式を変形したものである。
【0106】
すなわち、前述した第1実施例では、第1の遊技球検出ユニットおよび第2の遊技球検出ユニットにおけるそれぞれの高周波発振回路121,122の発振周波数、漏れ電流値、並びに、残留電圧値を両方とも同じ値に設定していたのに対して、本第3実施例では、例えば、第1の遊技球検出ユニットの信号出力S1の周波数を600KHz程度の低い周波数で、残留電圧値が大きくて漏れ電流値が小さくなるように、且つ、第2の遊技球検出ユニットの信号出力S2の周波数を1800KHz程度の高い周波数で残留電圧値が小さくて漏れ電流値が大きくなるように、それぞれ異なる設定がなされている。
【0107】
従って、計数制御部200におけるインターフェース回路の高位反転電圧(Vth01)および低位反転電圧(Vth02)もそれぞれ異なる閾値にて判定しなければならないが、逆に判定レベルのマッチングが必要となるためシステム全体のセキュリティを向上させることが可能となる。
【0108】
まず、図12に示されるように、発振周波数が低い周波数に設定される第1の遊技球検出ユニットの高周波発振回路121は、PNP型バイポーラトランジスタ1211,1212、電流源1213、コンデンサ1214,1215、および、抵抗1216〜1218を備え、例えば、検出コイル111の巻き数が多くてリアクタンスが大きく、且つ、コンデンサ1214および1215による合成容量が大きく調整され、LCの共振周波数が低く設定される。この場合、感度調整用の抵抗1218の値は、比較的大きく設定され、必然的に、高周波発振回路121のバイアスも小さく設定される。具体的には、共振周波数600KHz程度の場合、抵抗1218を3.3kΩ、検出コイル111の駆動用バイアス電流(電流源1213を流れる電流)I0は0.4mA程度に設定される。
【0109】
なお、トランジスタ1211および1212は、定電流ミラー回路(カレントミラー回路)を構成し、2つのトランジスタのコレクタ電流値がほぼ一致するため、検出コイル111はトランジスタ1212側の電流I0と等しい電流値でバイアスされる。
【0110】
ま、図12に示されるように、発振周波数が高い周波数に設定される第2の遊技球検出ユニットの高周波発振回路122は、PNP型バイポーラトランジスタ1221,1222、電流源1223a,1223b、コンデンサ1224,1225、および、抵抗1226〜1228を備え、例えば、検出コイル112の巻き数が少なくてリアクタンスが小さく、且つ、コンデンサ1224および1225による合成容量が小さく調整され、LCの共振周波数が高く設定される。この場合、感度調整用の抵抗1218の値は、比較的小さく設定され、低い周波数の設定と同等の遊技球検出性能を確保するには、適度に大きなバイアスで検出コイル112を駆動する必要がある。具体的には、共振周波数1800KHz程度の場合、抵抗1228を0.75kΩ、検出コイル112の駆動用バイアス電流(電流源1223aを流れる電流I1と電流源1223bを流れる電流I2の和)I1+I2は1.2mA程度に設定される。
【0111】
以上において、使用する電流源1213;1223a,1223bは、電流源1213および1223aを流れる電流I0およびI1がほぼ同じ値の0.4mAで、且つ、電流源1223bを流れる電流I2が高い周波数の設定時の追加分で、0.8mA程度の値を想定している。
【0112】
このように、2つの遊技球検出ユニットの各高周波発振回路121,122で異なる発振周波数を使用する場合では、必然的に漏れ電流が異なり、低い周波数設定では漏れ電流が小さく、また、高い周波数設定では漏れ電流が大きくなる傾向がある。図12における第1の遊技球検出ユニットの信号出力S1は、トランジスタ1211および1212の制御電流がそれぞれ0.4mAで、開放動作時の後段(検波平滑回路131,比較回路141および電源回路161)の全体の電流を0.1mAと仮定すると、漏れ電流は0.4mA+0.4mA+0.1mA=0.9mA程度となり、また、第2の遊技球検出ユニットの信号出力S2では検出コイル112のバイアス電流が1.2mAに増加するため、漏れ電流は、2.5mA程度の値となる。
【0113】
一方、残留電圧についても、第1の遊技球検出ユニットの信号出力S1が待機状態の時、トランジスタ1511はオン状態で、出力端子には、ツェナーダイオード1513および3つのダイオード1514〜1516の順方向降下電圧で規定される残留電圧が発生する。ここで、ツェナーダイオード1513の電位を5Vとすると、第1の遊技球検出ユニットの信号出力S1における残留電圧値は、6.8V程度の設定となる。また、第2の遊技球検出ユニットの信号出力S2における残留電圧値は、ツェナーダイオード1523により規定され、ツェナーダイオード1523の電位を5Vとすると、そのまま5V程度の設定となる。
【0114】
図13は図12の遊技球検出器の電源電圧依存性を説明するための図であり、該遊技球検出器の印加電圧(電源電圧)と各検出ユニットの出力電圧(S1,S2)との関係を示している。なお、2つの遊技球検出ユニットの信号出力S1,S2には、同じ定数の抵抗負荷RL(201,202)が接続されていると仮定する。
【0115】
全体的に、第1の遊技球検出ユニットの信号出力S1の下方向にスライドした位置に第2の遊技球検出ユニットの信号出力S2が存在する。
【0116】
待機状態において、信号出力S1およびS2は、どちらも定電圧素子にて決定され、横軸にほぼ並行になり、信号出力S2は、ツェナーダイオードの特性に支配され、信号出力S1は、ダイオードの順方向降下電圧(3×Vd)だけその上方に位置する。
【0117】
一方、検出時において、信号出力S1およびS2は、電源電圧Vccの特性と並行になり、例えば、RL×0.9mAだけスライドした位置に出力信号S1、さらに、RL×2I2だけ下側に出力信号S2が位置する。
【0118】
図14は本発明の第3実施例の遊技球検出器が接続される計数制御部を示す回路図である。
【0119】
計数制御部200は、前述した図12に示す遊技球検出器が適用され、第1の遊技球検出ユニットの信号出力S1に対応したインターフェース回路261、第2の遊技球検出ユニットの信号出力S2に対応したインターフェース回路262、計数処理部203および異常信号出力部204を備える。
【0120】
各インターフェース回路261,262内の閾値設定部に存在する定電圧源および定電流源は、前述した図12におけるものと同じ特性を有し、それぞれの設定精度向上および適合判定幅の狭小化を追求している。なお、計数処理部203および異常信号出力部204(251,252)は図10を参照して説明した第2実施例と同様のものである。
【0121】
以下、各インターフェース回路261および262の閾値設定の具体例を示す。
1) 断線異常検知回路281は、第1の遊技球検出ユニットの出力信号S1が開放動作時出力の上限を弁別する。閾値は、V1=Vcc−Rb×I0となり、具体的には、Rbが680Ω、I0が0.4mAで、閾値はVcc−0.27mVとなる。
【0122】
2) 第1の遊技球検出ユニットの出力信号S1が開放動作時では、V2=Vcc−RL1×IL01となり、具体的には、RL1が680Ω、漏れ電流値は0.9mAであり、Vcc−0.61mVを中心にある程度ばらつきを持つ。
【0123】
3) 高位反転電圧判別回路2711は、第1の遊技球検出ユニットの信号出力S1が開放動作時出力の下限を弁別する。閾値はV3=Vcc−Ra×I0となり、具体的には、Raが2.4kΩ、I0が0.4mAで、閾値はVcc−0.96mVとなる。
【0124】
4) 断線異常検知回路282は、第2の遊技球検出ユニットの信号出力S2が開放動作時出力の上限を弁別する。閾値は、V4=Vcc−Rd×(I1+I2)となり、具体的には、Rdが1.1kΩ、I1+I2が1.2mAで、閾値はVcc−1.32mVとなる。
【0125】
5) 第1の遊技球検出ユニットの信号出力S2が開放動作時では、V5=Vcc−RL2×IL02となり、具体的には、RL2が680Ω、漏れ電流が2.5mAであり、Vcc−1.70mVを中心にある程度ばらつきを持つことになる。
【0126】
6) 高位反転電圧判別回路2721は、第2の遊技球検出ユニットの信号出力S2が開放動作時出力の下限を弁別する。閾値は、V6=Vcc−Rc×(I1+I2)となり、具体的には、Rcが1.8kΩ、I1+I2が1.2mAで、閾値はVcc−2.16mVとなる。
【0127】
7) 低位反転電圧判別回路2712は、第1の遊技球検出ユニットの信号出力S1が閉塞動作時出力の上限を弁別する。閾値は、V7=Vzd+4×Vdとなり、具体的には、Vzd(ツェナーダイオードZDのツェナー電圧)が5V、Vd(ダイオードDの順方向降下電圧)が0.6Vで、閾値は7.4Vとなる。
【0128】
8) 第1の遊技球検出ユニットの信号出力S1が閉塞動作時では、V8=Vzd+3×Vdとなり、具体的には、Vzdが5V、Vdが0.6Vで、6.8Vを中心にある程度ばらつきを持つことになる。
【0129】
9) 短絡異常検知回路291は、第1の遊技球検出ユニットの信号出力S1の閉塞動作時出力の下限を弁別する。閾値は、V9=Vzd+2×Vdとなり、具体的には、Vzdが5V、Vdが0.6Vで、閾値は6.2Vとなる。
【0130】
10) 低位反転電圧判別回路2722は、第2の遊技球検出ユニットの信号出力S2の閉塞動作時出力の上限を弁別する。閾値は、V10=Vzd+Vdとなり、具体的には、Vzdが5V、Vdが0.6Vで、閾値は5.6Vとなる。
【0131】
11) 第2の遊技球検出ユニットの信号出力S2が開放動作時は、V11=Vzdとなり、5.0Vを中心にある程度ばらつきを持つことになる。
【0132】
12) 短絡異常検知回路292は、第2の遊技球検出ユニットの信号出力S2の閉塞動作時出力の下限を弁別する。閾値は、V12=Vzd×Rf/(Re+Rf)となり、具体的には、Vzdが5V、Reが1.5kΩ、Rfが11kΩで、閾値は4.4Vとなる。
【0133】
従って、一例として、概略、V1=Vcc−0.27mV、V2=Vcc−0.61mV、V3=Vcc−0.96mV、V4=Vcc−1.32mV、V5=Vcc−1.70mV、V6=Vcc−2.16mV、V7=7.4V、V8=6.8V、V9=6.2V、V10=5.6V、V11=5.0V、V12=4.4Vとなる。
【0134】
図15は本発明に係る遊技球検出器の第3実施例の電源電圧依存性を説明するための図である。
【0135】
図15において、参照符号G1は電源電圧Vcc、G2〜G4は遊技球検出時における第1の遊技球検出ユニットの信号出力S1に関する電圧、G5〜G7は遊技球検出時における第2の遊技球検出ユニットの信号出力S2に関する電圧、G8〜G10は遊技球非検出時(待機時)における第1の遊技球検出ユニットの信号出力S1に関する電圧、G11〜G13は待機時における第2の遊技球検出ユニットの信号出力S2に関する電圧を示している。
【0136】
すなわち、参照符号G2は信号出力S1の断線異常判定電圧V1、G3は遊技球検出時における第1の遊技球検出ユニットの信号出力S1が存在する範囲V2、G4は信号出力S1の高位反転電圧V3を示し、また、参照符号G5は信号出力S2の断線異常判定電圧V4、G6は遊技球検出時における第2の遊技球検出ユニットの信号出力S2が存在する範囲V5、G7は信号出力S2の高位反転電圧V6を示す。
【0137】
また、参照符号G8は信号出力S1の低位反転電圧V7、G9は待機時における第1の遊技球検出ユニットの信号出力S1が存在する範囲V8、G10は信号出力S1の短絡異常判定電圧V9を示し、また、参照符号G11は信号出力S2の低位反転電圧V10、G11は待機時における第2の遊技球検出ユニットの信号出力S2が存在する範囲V11、G12は信号出力S2の短絡異常判定電圧V12を示す。
【0138】
このように、遊技球検出器を構成する2系統の遊技球検出ユニットの信号出力S1,S2と、対応するインターフェース回路261,262による判定領域を独立して設けて異なる出力特性を持たせることにより、信号出力S1,S2の誤接続などが発生した場合にはインターフェース回路261,262は非動作となり、異常を検出することが可能となる。また、図12および図14における電流値I0,I1,I2、並びに、ツェナーダイオードZDのツェナー電圧(Vzd)ダイオードDの順方向電圧(Vd)を同じ特性にすることにより、判定領域を性能ばらつきの極限まで狭める設定が可能となる。
【0139】
なお、図15において、印加する電源電圧Vccが低い領域において、若干重なりが認められるが、遊技球検出器(遊技球検出ユニット)の使用電源電圧の範囲により仕様を限定すれば、すなわち、重なりが存在する低電圧側を使用しないようにすればよい。
【0140】
このように、本第3実施例によれば、2つの遊技球検出ユニットを異なる周波数にすることで、検出特性の精度を向上させることができる。例えば、図12の構成を有する遊技球検出器では、2つのコイルが隣接配置されるために、相互干渉、或いは、誘導結合など、高周波発振回路独特の弊害により検出精度が低下する可能性があるが、これらの弊害は、2つの遊技球検出ユニットの周波数が一致した場合に顕著であり、隣の発振周波数の影響で遊技球通過時でも発振停止に至らない(検出しない)などの現象が発生する。そこで、2つの遊技球検出ユニットの周波数(高周波発振回路の発振周波数)を異ならせることによりこのようなトラブルを回避することができる。
【0141】
本第3実施例によれば、上述した第2実施例と比較して、2つの遊技球検出ユニットの漏れ電流、および、残留電圧を異なる値にすることで、さらにセキュリティを向上させることが可能になる。なお、第1の遊技球検出ユニットの信号出力S1と第1のインターフェース回路261の判定領域、並びに、第2の遊技球検出ユニットの信号出力S2と第2のインターフェース回路262の判定領域は、それぞれ独立してマッチングしており、遊技球通過時の出力特性を独立した判定レベルで常時異常監視することにより、例えば、遊技球検出器を別のものに取り換えるといった不正行為は事実上不可能となる。
【実施例4】
【0142】
図16は本発明に係る遊技球検出器の第4実施例を示すブロック図である。本第4実施例は、上述した遊技球検出器の断線や短絡などの事故検出機能に加えて、不正目的で故意に遊技球検出器の接続機構(コネクタ)を脱着した場合に、これを検知する機能を設けたものである。
【0143】
図16と前述した図10との比較から明らかなように、本第4実施例では、異常信号出力部204により、通常の事故検出用のOR回路2041に加えて、第1の遊技球検出ユニット側(S1側)および第2の遊技球検出ユニット側(S2側)のそれぞれの断線異常検知回路281および282の出力を、2入力AND回路2042に入力し、作動時には出力をOR回路2041とは別経路で計数制御部外に出力する機能を追加している。なお、このAND回路2042の出力信号Va2でアラーム機能を駆動させる場合と、OR回路2041駆動時の出力信号Va1でアラーム機能を駆動させる場合とで異なる出力パターンを実行するようになっている。具体的に、例えば、表示等251の表示パターンやスピーカ252からの報知音を変える等によりローカルでの報知を行い、或いは、ホストコンピュータ4に対して異常の内容が判別できる異常信号を送信する。
【0144】
図17は図16の遊技球検出器におけるコネクタ脱着信号の動作状況を説明するための図であり、2系統の遊技球検出ユニットの信号出力S1,S2と共に、AND回路2042の出力信号Va2の動作状態を示すものである。
【0145】
図17に示されるように、信号出力S1およびS2が同時に断線異常検知電圧(閾値)を上回ると、AND回路2042の出力信号Va2が作動する。このような、正常に遊技球検出を行っていた2系統の遊技球検出ユニットが、突如として同時断線出力となるケースは、寿命や作動耐久などに起因する機器故障とは考え難く、明らかに人為的事象と判断することができる。
【0146】
例えば、従来、思いのままに出力を操作できる異品種の遊技球検出器を持ち込み、正規システムの遊技球検出器と取り換えるといった不正行為が認められているが、このような場合でも、遊技球検出器を取り換えるためにコネクタが外された瞬間(コネクタ脱着時)に図17のAND回路2042の出力信号Va2が高レベル『H』に変化する。
【0147】
このように、本第4実施例は、異常信号出力部204により認識される事象のなかで、偶然性を伴う事故検出と、明らかな人為的不具合とを見分けたい場合に有効である。実際、例えば、遊技ホールで不正行為が発覚した場合、ホール従業員の身に危険が及ぶ可能性もあるため、ある程度の不具合発生状況別に出力伝達方式を変えたり、情報個別の対応策を実施することも可能になる。
【0148】
図18は2組の遊技球検出器を一体化した遊技球検出器(部品)の一例を示す斜視図であり、図19は図18の遊技球検出器を使用した遊技球計数機の一部を示す図である。
【0149】
図18に示す遊技球検出器3000は、2系統の遊技球検出ユニットを有する遊技球検出器(遊技球検出部)を2組(2レーン分)設け、それぞれ2つの検出コイルが設けられた各貫通孔3001および3002を所定距離だけシフトさせて配置したものである。
【0150】
ここで、貫通孔3001には2つの検出コイルが設けられ、また、貫通孔3002にも2つの検出コイルが設けられているが、これら4つの検出コイルを含む4つの高周波発振回路は、それぞれ異なる周波数で発振するように構成され、相互の干渉を低減するようにされている。なお、参照符号S11,S12およびS21,S22は、それぞれ遊技球検出ユニットの信号出力を示し、また、参照符号CS1およびCS2は検出コイル短絡制御信号を示している。
【0151】
図19に示されるように、図18に示す遊技球検出器3000は、例えば、遊技球計数機1000における2レーン1001の遊技球を計数するために適用される。なお、実際に、例えば、島ごとに設置される遊技球検出器は、16または18レーンであるため、図18に示す遊技球検出器3000が8個または9個設けられることになる。また、各弾球遊技機に遊技球計数機を設ける場合には、例えば、図18に示す遊技球検出器3000を2個設けて4レーンにより台ごとの遊技球を計数する。
【0152】
これにより、遊技球検出器に故障や不正行為等が発生した際にリアルタイムで対応するだけでなく、遊技球検出器の遊技球検出機能が正常に動作している否かの確認を行うことも可能になる。
【0153】
図20は遊技管理システムの全体構成を概略的に示すブロック図である。
図20に示されるように、ホールコンピュータ4は、ネットワーク8を介して各弾球遊技機550、台ユニット551、台間機552、台ごと遊技球計数機500、および、遊技球計数機600等に繋がれている。
【0154】
各弾球遊技機550(台ユニット551)には、異常表示装置(表示灯)25および異常検知時音声発生装置(スピーカ)26が設けられ、例えば、図9の遊技球検出器を搭載した台ごと遊技球計数機500における遊技球検出器510(3000)の検出コイルを短絡させて前述した動作確認を行って、計数制御部520(2)により異常が検出されたとき、もしくは、各インターフェース回路により異常が検出された場合には、表示灯25に異常の表示を行うと共に、スピーカ26からアラーム音を発生し、且つ、ホールコンピュータ4へ異常信号を出力するようになっている。なお、台ごと遊技球計数機500は、例えば、図18に示す2レーンの遊技球検出が可能な遊技球検出器3000を1つ(2レーン)または2つ(4レーン)備え、各弾球遊技機550の場所で遊技球の計数を行うことができるようになっている。
【0155】
遊技球計数機600は、例えば、複数台の弾球遊技機550がまとまった島ごと、或いは、カウンタ等の場所に設けられた遊技球の高速計数が可能なものであり、この遊技球計数機600もネットワーク8を介してホールコンピュータ4に繋がれている。遊技球計数機600における遊技球検出器610は、図18に示す2レーンの遊技球検出が可能な遊技球検出器3000を複数(例えば8つ(16レーン)または9(18レーン))備え、多量の遊技球を短時間で計数できるようになっている。
【0156】
このような高速計数が可能な遊技球計数機600に対しても、計数制御部620(2)により異常が検出されたときには、例えば、通常の動作時ではカウントされた遊技球の数を表示する表示器(例えば、数字を表示するための複数桁の7セグメント表示器)630を利用して、異常が生じた遊技球検出器を特定すると共に、その異常信号をホールコンピュータ4へ伝えるようになっている。なお、異常の表示手段等に関しては、公知の様々な技術を適用して適宜設計することが可能である。
【0157】
図21は本発明が適用される遊技ホールの全体構成を概略的に示す図であり、図22は図21の遊技ホールにおける1つの島を示す図であり、そして、図23は図22の島における1つの弾球遊技機の一例を概略的に示す図である。
【0158】
図21および図22に示されるように、遊技ホール(パチンコホール)には、複数の弾球遊技機550が島72ごとに分かれて配置され、例えば、島72ごとに1つの高速計数が可能な遊技球計数機(島ごと計数機)600が設けられ、また、図22および図23に示されるように、各弾球遊技機550に対して台ごと遊技球計数機500が設けられ、それぞれホールコンピュータ4とネットワーク(8)を介して繋がれている。なお、高速計数が可能な遊技球計数機600は、例えば、カウンタ71等の他の場所に設置してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0159】
本発明は、金属より成る遊技球を検出する遊技球検出器に適用され、例えば、島ごとに設けられる遊技球計数機や弾球遊技機ごとに設けられる台ごと遊技球計数機、或いは、遊技ホールの遊技球計数システム等に対して幅広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0160】
【図1】従来の遊技球検出器の一例の回路構成を示すブロック図である。
【図2】図1の遊技球検出器における遊技球検出時の出力信号波形のタイムチャートである。
【図3】従来の遊技球検出器の他の例を示す断面図である。
【図4】図3の遊技球検出器における遊技球検出時の出力信号波形のタイムチャートである。
【図5】図3の遊技球検出器の回路構成を示すブロック図である。
【図6】本発明に係る遊技球検出器の第1実施例を示す回路図である。
【図7】本発明の第1実施例の遊技球検出器が接続される計数制御部を示す回路図である。
【図8】本発明に係る遊技球検出器の第1実施例における遊技球検出ユニットの出力電圧と電源電圧との関係を示す図である。
【図9】本発明に係る遊技球検出器の第1実施例の変形例を示すブロック図である。
【図10】本発明の第2実施例の遊技球検出器が接続される計数制御部を示す回路図である。
【図11】本発明に係る遊技球検出器の第2実施例における遊技球検出ユニットの出力電圧と電源電圧との関係を示す図である。
【図12】本発明に係る遊技球検出器の第3実施例を示す回路図である。
【図13】図12の遊技球検出器の電源電圧依存性を説明するための図である。
【図14】本発明の第3実施例の遊技球検出器が接続される計数制御部を示す回路図である。
【図15】本発明に係る遊技球検出器の第3実施例の電源電圧依存性を説明するための図である。
【図16】本発明に係る遊技球検出器の第4実施例を示すブロック図である。
【図17】図16の遊技球検出器におけるコネクタ脱着信号の動作状況を説明するための図である。
【図18】2組の遊技球検出器を一体化した遊技球検出器(部品)の一例を示す斜視図である。
【図19】図18の遊技球検出器を使用した遊技球計数機の一部を示す図である。
【図20】遊技管理システムの全体構成を概略的に示すブロック図である。
【図21】本発明が適用される遊技ホールの全体構成を概略的に示す図である。
【図22】図21の遊技ホールにおける1つの島を示す図である。
【図23】図22の島における1つの弾球遊技機の一例を概略的に示す図である。
【符号の説明】
【0161】
1;3000 遊技球検出器
2 制御部(計数制御部:ローカル)
4 中央処理部(ホールコンピュータ)
8 ネットワーク
11;11a,11b;111,112;L1,L2 検出コイル
12;12a,12b;121,122 高周波発振回路(発振回路)
13;13a,13b;131,132 検波平滑回路
14;14a,14b;141,142 比較回路
15;15a,15b;151,152 出力回路
16 検出コイル短絡制御回路
20;21,22;201,202 負荷(抵抗)
23 CPU
71 カウンタ
72 島
203 計数処理部
204 異常信号出力部
240 外部出力部
251 異常表示装置(表示灯)
252 異常検知時音声発生装置(スピーカ)
261,262 インターフェース回路
271,272 信号判別回路
281,282 断線異常検知回路
291,292 短絡異常検知回路
300;3001,3002 貫通孔
500 台ごと遊技球計数機
550 弾球遊技機
551 台ユニット
552 台間機
600 遊技球計数機(島ごと遊技球計数機)
2711,2721 高位反転電圧判別回路
2712,2722 低位反転電圧判別回路
CS0;CS1,CS2 検出コイル短絡制御信号
VS,Vcc 電源電圧
P;P1〜P3 遊技球
S0;S1,S2;S11,S12;S21,S22 信号出力
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技球検出器および遊技球計数システムに関し、特に、弾球遊技機等の金属より成る遊技球を計数する遊技球検出器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、弾球遊技機の遊技球を扱う遊技機や遊技球計数機では、遊技球の通過を検知する手段として、一般的に貫通孔を備えた遊技球検出器(近接スイッチ)が用いられている。
【0003】
ところで、遊技ホール(パチンコホール)の現場では、弾球遊技機や遊技球計数機等において、遊技球を不正に搾取、或いは、計数する不正行為が絶えない状況であり、不正行為が行われ難いようにすることが強く望まれている。
【0004】
その対応策として各弾球遊技機や遊技球計数機のメーカー、或いは、それらに使用する部品のメーカーとしては様々の対策を施してきている。また、一方で弾球遊技機の遊技球と同じ金属球を遊技球として回胴の遊技を行う『パロット』なる新規のジャンルの遊技機が認められるようになったが、この『パロット』のアプリケーションには、遊技球を取り込むための取り込み装置用計数センサというアプリケーションが存在する。このアプリケーションは、ゲームをするために必要となる数量の遊技球をセンサによって計数して取り込むために、遊技者が自らの手で遊技球を投入する形態になっていることから、不正行為が施されない対策が必要となる。
【0005】
また、パチンコホールに設置されている遊技球計数機(遊技球計数システム)では、いかに短時間で多くの遊技球を計数できるかが重要な性能であることから、通常、10レーン以上(例えば、16レーン、または、18レーン)の遊技球通過路が設けられ、レーンごとに遊技球検出器が装備されている構成となっている。
【0006】
このような遊技球計数機では、遊技者が直接操作して獲得遊技球数を計数させることになるため、遊技球を不正に搾取する行為の対象になる可能性が高く、遊技機以上に不正行為の対策が必要となる。
【0007】
さらに、最近の動向として、遊技球計数システムが遊技機ごとに設置される台ごと計数システムが普及してきており、従来のように獲得した多くの遊技球を島ごとに設置された遊技球計数機まで運ぶ必要がなくなる。
【0008】
図1は従来の遊技球検出器の一例の回路構成を示すブロック図であり、図2は図1の遊技球検出器における遊技球検出時の出力信号波形のタイムチャートである。
【0009】
図1に示されるように、従来、遊技球検出器1は、遊技球の通過路(貫通孔300)に巻回して配置された検出コイル11、検出コイル11が含まれる高周波発振回路(発振回路)12、高周波発振回路12の出力信号(WF1)を検波して平滑する検波平滑回路13、検波平滑回路13の出力信号を所定の基準電位と比較する比較回路14、および、出力回路15を備えている。
【0010】
ここで、遊技球は検出コイル11が巻回された検出コイル11の貫通孔300を通過するようになっており、この遊技球の通過によって高周波発振回路12の発振状態が変化して遊技球が通過したことが判別され、その出力信号(S0:遊技球通過信号)が制御部2を介して出力されるようになっている。なお、参照符号20は、遊技球検出器の出力S0と高電位電源との間に設けられた負荷を示している。
【0011】
遊技球検出器として上述したような貫通孔を備えた近接スイッチが最も多く使用されるのは、恒久的に劣化することがなく、汚れや外乱光等の影響を受けずに誤作動が生じ難いため最も信頼性の高いという理由による。
【0012】
高周波発振回路12の出力信号WF1は、遊技球が検出コイル11の貫通孔300を通過すると、検出コイル11のインダクタンスが変化して発振が停止する。この高周波発振回路12の出力信号WF1は、検波平滑回路13により直流レベルの平滑された信号WF2に変換され、その直流レベルの信号WF2が比較回路14によって高位反転電圧Vth1および低位反転電圧Vth2と比較判別され、その比較結果が出力回路15から出力信号WF3(S0)として出力されるようになっている。
【0013】
図2に示されるように、遊技球の通過がない待機時には、高周波発振回路12は発振状態となり、検波平滑処理後の信号WF2としては高電位レベルとなり、その電圧レベルに基づいた遊技球非検出状態の信号WF3が出力される。
【0014】
すなわち、遊技球の接近に伴って高周波発振回路12の発振振幅が低下し始め、検波平滑処理後の直流レベルの信号WF2が、予め回路内で設定された低位反転電圧Vth2のレベルを下回った瞬間に、出力WF3が遊技球検出状態(S0:低レベル『L』)に反転し、また、遊技球が検出コイル11の貫通孔300中央部に至ると停止状態になる。
【0015】
さらに、遊技球が通過路を進んで検出コイル11の貫通孔300を通過して行くと、高周波発振回路の発振停止状態から徐々に発振が成長し始め、遊技球が検出コイルから離反するにしたがって待機時の発振状態に回復する。この際、予め回路内に設定された高位反転電圧Vth1のレベルを上回ったタイミングで、出力WF3が遊技球非検出状態(S0:高レベル『H』)に反転する。
【0016】
ここで、検波平滑回路13の出力信号WF2は、比較回路14において2つの閾値電圧(高位反転電圧Vth1および低位反転電圧Vth2)で比較判別されるが、これは、例えば、遊技球の跳ね返りや振動等に起因して生じるチャタリングやノイズの影響を取り除いて遊技球の検出を安定して確実に行うためである。
【0017】
図3は従来の遊技球検出器の他の例を示す断面図であり、また、図4は図3の遊技球検出器における遊技球検出時の出力信号波形のタイムチャートである。
【0018】
図3に示されるように、従来、貫通孔300の入口側301の検出コイルL1を含む第1の遊技球検出ユニットと出口側302の検出コイルL2を含む第2の遊技球検出ユニットとの2系統の遊技機検出機能を内蔵した遊技球検出器が提案されている。
【0019】
図3に示す遊技球検出器は、遊技球(P:P1,P2,P3)が貫通孔300を通過することによって、出力される第1の遊技球検出ユニットの出力(第1の遊技球通過信号)S1と第2の遊技球検出ユニットの出力(第2の遊技球通過信号)S2のタイミングの変化を確認することで、1個の遊技球が正規の方向に通過したか否かを判別する。すなわち、この遊技機検出器は、連続して遊技球P1〜P3が通過する場合でも確実に遊技球の判定を、正規の方向(玉通過計数)および逆の方向(玉戻り)を認識して計数の加算および減算を行うことができるようになっている。
【0020】
ここで、例えば、2つの検出コイルL1およびL2を、遊技球Pの直径(例えば、11mm)の1/4程度の距離だけ離して配置することで、図4における第1の遊技球検出ユニットの出力S1および第2の遊技球検出ユニットの出力S2が変化するタイミングを均等な時間t1,t2,t3,t4(t1=t2=t3=t4)とするようになっている。
【0021】
そして、図4に示されるように、遊技球P(P1)が貫通孔300を正規の方向に通過した場合、第1の遊技球検出ユニットの出力S1が遊技球の非検出状態の信号出力(低レベル『L』)から検出状態の信号出力(高レベル『H』)に変化し(TP1)、所定時間(t1)経過した後、第2の遊技球検出ユニットの出力S2が遊技球の非検出状態の信号出力『L』から検出状態の信号出力『H』に変化する(TP2)。
【0022】
さらに、所定時間(t2)経過した後、出力S1が遊技球の検出状態の信号出力『H』から非検出状態の信号出力『L』に変化し(TP3)、そして、所定時間(t3)経過した後、出力S2が遊技球の検出状態の信号出力『H』から非検出状態の信号出力『L』に変化する(TP4)。なお、連続して遊技球P(P2)が貫通孔300を正規の方向に通過すると、さらに所定時間(t4)経過した後、出力S1が遊技球の非検出状態の信号出力『L』から検出状態の信号出力『H』に変化し(TP1)、同様の信号変化が繰り返されることになる。
【0023】
なお、遊技球Pが貫通孔300を逆の方向に通過した場合には、第1の遊技球検出ユニットの出力S1および第2の遊技球検出ユニットの出力S2が、上記と逆に変化することになるため、各遊技球が正規の方向か逆の方向かも含めて検出することができ、遊技球の計数の加算および減算を正しく行うことが可能になる。
【0024】
図5は図3の遊技球検出器の回路構成を示すブロック図である。
図5に示されるように、図3の遊技球検出器は、第1の遊技球検出ユニットおよび第2の遊技球検出ユニットの2つの遊技球検出ユニットを備えている。各遊技球検出ユニットは、前述した図1に示す遊技球検出器と同様の構成を備え、第1の遊技球検出ユニットは、検出コイル11a(L1),高周波発振回路12a,検波平滑回路13a,比較回路14aおよび出力回路15aを備え、また、第2の遊技球検出ユニットは、検出コイル11b(L2),高周波発振回路12b,検波平滑回路13b,比較回路14bおよび出力回路15bを備える。なお、参照符号21および22は、それぞれ第1および第2の遊技球検出ユニットの出力S1およびS2と高電位電源VSとの間に設けられた負荷を示し、また、23は各弾球遊技機や遊技球計数機のローカルに設けられたCPUを示している。
【0025】
以上述べたように、従来、遊技球検出器の貫通孔300に2つの遊技球検出ユニットを設け、遊技球Pが通過することによって得られる各遊技球検出ユニットの信号出力S1,S2が、一定時間重なるように各検出コイルL1,L2を所定間隔おいて配置し、遊技球の通過による2つの信号出力S1,S2のタイミング変化のパターンに基づいて、遊技球の通過と通過方向の検出を行って遊技球を正確に計数する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0026】
また、従来、遊技球の通過路に対して2系統の光学的な遊技球検出ユニットを設け、遊技球が通過する際に、第1の遊技球検出ユニットの検出信号が出力されている間に、第2の遊技球検出ユニットが検出信号を出力し、両方の検出信号の出力時間のタイミングズレにより遊技球が後戻りした(逆の方向に通過した)場合の誤カウントを防止するものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0027】
さらに、従来、遊技球の移動状況を正確かつ簡易に検出するために、遊技球の発射装置から遊技盤面までの通過路に対して、遊技球が通過する貫通孔に検出コイルのインダクタンス成分を用いて発振する高周波発振回路とスイッチング回路とからなる2つの検出部を設け、各検出部の出力の変化の順序により遊技球の移動方向を検出して遊技盤に供給される遊技球の総数を検出するものも提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0028】
また、従来、遊技球を用いる場合でも遊技球の取り込みに要する時間を短縮する遊技球検出器を用いたスロットマシンも提案されている(例えば、特許文献4参照)。
【0029】
さらに、最近に至っては、複数の通過路の遊技球を一体化して検出する遊技球検出器も提案されており、例えば、2つの通過路の遊技球(2組の遊技球検出器)を一体化して検出する遊技球検出器も提案されている(例えば、特許文献5参照)。
【0030】
従来、遊技球(玉)の計数通過路で玉詰まりなどを起こしてもすぐには重大事にはならない台ごと計数機として、通常はセットして下皿から排出された遊技球を受けとると共に台サンド側に戻し、玉詰まりを生じると、ホッパーユニットを回転すると共に下皿の下方に設置した玉箱で遊技球を受け取るようにしたものが提案されている(例えば、特許文献6参照)。
【0031】
また、従来、台ごとに設置される玉数計数機への不正を検知センサを設けることなく検出するために、補給信号および貸玉信号に予め設定される補正玉数を積算した積算玉数と計数信号とを比較して、計数信号の方が大きい場合には不正と判断し、他の場合には正常と判断するようにしたものも提案されている(例えば、特許文献7参照)。
【0032】
そして、従来、高周波発振回路および信号処理回路によって物体を検知し、その出力を検知出力保持回路に与え、自己診断入力信号があればこの出力を一旦保持してディレー回路での遅延時間後に発振状態を反転させ、信号処理回路の出力が同時に反転するか否かによって、近接スイッチ(遊技球検出器)の全体の異常を診断できるようにしたものも提案されている(例えば、特許文献8参照)。
【0033】
また、従来、金属体(遊技球)が検出部に近接する際、検出部が検出状態となってから検出信号が出力するまでの検出時出力遅れ時間を制御する第1の回路と、金属体が検出部から離反する際、検出部が非検出状態となってから検出信号を出力するまでの非検出時出力遅れ時間を制御する第2の回路とをそれぞれ個別に形成し、出力安定性確保、応答性および出力時間確保を実現するようにした高周波発振型近接スイッチ(遊技球検出器)も提案されている(例えば、特許文献9参照)。
【0034】
なお、従来、遊技球を検出する直流2線式スイッチ(遊技球検出ユニット)に対する不正行為を防止するものとして、開放または閉塞状態となることで直流2線式電子スイッチから出力される遊技球の有無を示す出力信号を制御回路に伝達するインターフェース回路であって、第1または第2の状態によって異なる閾値電圧値を決定する分圧回路、直流2線式電子スイッチの出力電圧値と、分圧回路の第1または第2の状態における閾値電圧値とを比較する第1の比較出力回路、並びに、第1の比較出力回路からの出力信号に応じて分圧回路を第1の状態または第2の状態に切り替える切替回路を備えたインターフェース回路が提案されている(例えば、特許文献10参照)。
【0035】
さらに、従来、上記特許文献10に関連した直流2線式電子スイッチのインターフェース回路として、開放状態時の異常を検知する開放異常検知回路、閉塞状態時の異常を検知する閉塞異常検知回路、第1の比較出力回路,開放異常検知回路および閉塞異常検知回路の出力信号を少なくとも合成して遊技球の検出の有無を示す信号を出力する第1の出力回路、並びに、開放異常検知回路,および閉塞異常検知回路からの出力信号を少なくとも合成して合成信号を出力する第2の出力回路を備え、分圧回路の第1の状態における閾値電圧値が分圧回路に流れる電流値によって決定されるものが提案されている(特許文献11参照)。なお、開放異常検知回路は、直流2線式電子スイッチの出力電圧値と、第1の状態において、直流2線式電子スイッチが開放状態のときに生じる漏れ電流の電流値より所定値だけ小さい電流値となる電圧値とを比較することにより、直流2線式電子スイッチの開放状態時の異常の有無を表す信号を出力する第2の比較出力回路を有し、かつ、閉塞異常検知回路は、直流2線式電子スイッチの出力電圧値と、直流2線式電子スイッチが閉塞状態のときに生じる残留電圧値より所定値だけ小さい電圧値とを比較することにより、直流2線式電子スイッチの閉塞状態時の異常の有無を表す信号を出力する第3の比較出力回路を有する。
【0036】
【特許文献1】特開平10−094638号公報
【特許文献2】特開平08−089644号公報
【特許文献3】特許第3232465号明細書
【特許文献4】特開2003−093592号公報
【特許文献5】意匠登録第1074357号公報
【特許文献6】特開平10−165636号公報
【特許文献7】特開平11−192370号公報
【特許文献8】特開平07−037475号公報
【特許文献9】特開2004−364226号公報
【特許文献10】特開2005−318357号公報
【特許文献11】特開2005−318358号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0037】
従来、遊技球検出器は、様々な理由により破損や故障が想定されるが、現状では制御側から遊技球検出器の破損や故障を簡単に確認する手段がない。
【0038】
すなわち、遊技球検出器は、その貫通孔を遊技球が連続的に通過するため、遊技球検出器の貫通孔に機械的ストレスがかかり続けることから、貫通孔に巻回されている検出コイルが断線し、遊技球検出器として動作不能となる。また、遊技球検出器内に液体や水が浸入し、内蔵している検出コイル部や回路部の一部で電気的に短絡が生じて遊技機検出器として動作不能となる。或いは、遊技球検出器の外部からのノーマルノイズや静電気ノイズ等によって、遊技球検出機能の回路破壊が生じて遊技球検出器として動作不能となるといったことが考えられる。
【0039】
ところで、弾球遊技機では、例えば、1台当り10個前後の遊技球検出器が搭載されており、それがパチンコホールでの遊技機の設置台数分あるため、遊技球検出器の数は膨大なものとなる。
【0040】
しかしながら、遊技球検出器の破損や故障は、例えば、遊技者本人がゲームしている中での感触として異常を感じて、パチンコホール従業員に連絡する等しなければ、異常が発覚することはない。
【0041】
また、遊技球計数機(遊技球計数装置)は、10レーン以上の遊技球通過路を設けられており、例えば、その2倍の遊技球検出ユニットが設けられ、その遊技球計数機が島ごとに設けられることになるため、仮に遊技球検出器(遊技球検出ユニット)の一部が故障していたとしても、例えば、遊技球の計数処理が少な目の結果となるだけで、遊技者もしくはパチンコホール従業員がその計数結果を確認することで異常を感じなければ、その遊技球計数機が異常であることすら確認するのが困難である。
【0042】
さらに、遊技球計数システムにおいては、仮に遊技球計数機が異常であるということが確認できたとしても、どの遊技球検出器(遊技球検出ユニット)が故障しているかは、装置そのものを解体して、遊技球検出器の動作を1つずつ確認していく外は手段がないのが現状である。
【0043】
さらに、前述したように、台ごとに遊技球の計数機を設ける遊技球計数システムに至っては、パチンコホールの弾球遊技機の全てに対して遊技球計数機が設けられることになるため、弾球遊技機と同様に、ホール従業員による人的な監視だけで、全ての遊技球計数機の異常監視を常に行い続けることは不可能である。
【0044】
そして、台ごとに遊技球の計数機を設ける遊技球計数システムの場合、遊技者ごとに遊技球計数機が設けられているため、不正遊技者が個々の遊技球計数機に対して不正に遊技球を搾取するための不正行為を行い、或いは、遊技における勝ち負けに関連して遊技者が感情的に破壊行為(叩く、蹴る、或いは、ジュースを流す等)を行う可能性もある。このような場合も、ホール従業員による人的な監視だけで対策することは困難である。
【0045】
本発明は、上述した従来の遊技球検出器が有する課題に鑑み、遊技球検出器における遊技球検出ユニットと計数制御部との接続が正常になされ、断線状態や短絡状態が生じていないことを常時監視することによって、遊技球検出器に故障や不正行為等が発生した際、直ちに検出を行ってリアルタイムで対応可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0046】
本発明の第1の形態によれば、金属より成る遊技球の通過路に巻回して配置された第1の検出コイルおよび該第1の検出コイルを含む第1の高周波発振回路を備え、該第1の高周波発振回路の発振状態によって前記遊技球の通過を判別して第1の遊技球通過信号を出力する第1の遊技球検出ユニットと、前記を備える遊技球検出器であって、前記遊技球の通過路に巻回して配置され、前記第1の検出コイルと所定の距離を隔てて設けられた第2の検出コイルおよび該第2の検出コイルを含む第2の高周波発振回路を備え、該第2の高周波発振回路の発振状態によって前記遊技球の通過を判別して第2の遊技球通過信号を出力する第2の遊技球検出ユニットと、を備える遊技球検出器であって、前記第1の遊技球検出ユニットの第1の信号出力と前記第2の遊技球検出ユニットの第2の信号出力が一定時間の重なりを持ち、前記各第1および第2の遊技球検出ユニットは、それぞれ遊技球の通過のない非検出状態では閉塞状態となって所定の残留電圧値を出力し、遊技球の通過を検知している検出状態では開放状態となって所定の漏れ電流が流れる直流2線式の回路で構成され、前記第1の遊技球検出ユニットの第1の電源線および前記第2の遊技球検出ユニットの第1電源線は第1の主電源線に共通接続され、且つ、前記第1の遊技球検出ユニットの第2電源線および前記第2の遊技球検出ユニットの第2の電源線は、それぞれ負荷を介して第2の主電源線に接続されることを特徴とする遊技球検出器が提供される。
【0047】
本発明の第2の形態によれば、金属より成る遊技球の通過路に巻回して配置された第1の検出コイルおよび該第1の検出コイルを含む第1の高周波発振回路を備え、該第1の高周波発振回路の発振状態によって前記遊技球の通過を判別して第1の遊技球通過信号を出力する第1の遊技球検出ユニットと、前記を備える遊技球検出器であって、前記遊技球の通過路に巻回して配置され、前記第1の検出コイルと所定の距離を隔てて設けられた第2の検出コイルおよび該第2の検出コイルを含む第2の高周波発振回路を備え、該第2の高周波発振回路の発振状態によって前記遊技球の通過を判別して第2の遊技球通過信号を出力する第2の遊技球検出ユニットと、を備える遊技球検出器であって、前記第1の遊技球検出ユニットの第1の信号出力と前記第2の遊技球検出ユニットの第2の信号出力が一定時間の重なりを持ち、前記各第1および第2の遊技球検出ユニットは、それぞれ遊技球の通過のない非検出状態では閉塞状態となって所定の残留電圧値を出力し、遊技球の通過を検知している検出状態では開放状態となって所定の漏れ電流が流れる直流2線式の回路で構成され、前記第1の遊技球検出ユニットの第1の電源線および前記第2の遊技球検出ユニットの第1電源線は第1の主電源線に共通接続され、且つ、前記第1の遊技球検出ユニットの第2電源線および前記第2の遊技球検出ユニットの第2の電源線は、それぞれ負荷を介して第2の主電源線に接続される遊技球検出器と、該遊技球検出器が接続され、前記第1および第2の信号出力に基づいて、前記通過路を通過する遊技球を計数する計数処理手段と、前記第1および第2の遊技球検出ユニットに電流が流れていないことを検知する電流検知手段と、該第1および第2の遊技球検出ユニットの両端に電圧が発生していないことを検知する電圧検知手段と、計数制御部により前記第1および第2の遊技球検出ユニットに電流が流れていないか、或いは、該第1および第2の遊技球検出ユニットの両端に電圧が発生していないことを定常的に監視する監視手段と、を備えることを特徴とする遊技球計数システムが提供される。
【発明の効果】
【0048】
本発明によれば、遊技球検出器における遊技球検出ユニットと計数制御部との接続が正常になされ、断線状態や短絡状態が生じていないことを常時監視することによって、遊技球検出器に故障や不正行為等が発生した際、直ちに検出を行ってリアルタイムで対応を可能にすることのできる遊技球検出器および遊技球計数システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0049】
以下、本発明に係る遊技球検出器および遊技球計数システムの実施例を、添付図面を参照して詳述する。
【実施例1】
【0050】
図6は本発明に係る遊技球検出器の第1実施例を示す回路図であり、直流2線式電子スイッチで構成した2系統の遊技球検出ユニットにより構成した遊技球検出器の回路図を示すものである。
【0051】
図6に示されるように、本第1実施例の遊技球検出器は、第1の遊技球検出ユニットおよび第2の遊技球検出ユニットの2つの遊技球検出ユニットを備えている。第1の遊技球検出ユニットは、検出コイル111,高周波発振回路121,検波平滑回路131,比較回路141,出力回路151および電源回路161を備え、また、第2の遊技球検出ユニットは、検出コイル112,高周波発振回路122,検波平滑回路132,比較回路142,出力回路152および電源回路162を備える。
【0052】
なお、第1および第2の遊技球検出ユニットは、それぞれ直流2線式電子スイッチとして構成され、各第1および第2の遊技球検出ユニットの信号出力S1およびS2は、後述する図7に示されるように、それぞれ負荷201および202を介して高電位電源Vccに接続される電源VS1およびVS2と共用される。
【0053】
すなわち、本第1実施例の遊技球検出器は、前述した図5に示す従来の2つの遊技球検出ユニットを有する遊技球検出器において、各遊技球検出ユニットの信号出力S1およびS2と各遊技球検出ユニット用の電源(電源線)VS1およびVS2とを共用化するようになっている。そのために、第1の遊技球検出ユニットは、NPN型バイポーラトランジスタ1611,ツェナーダイオード1612および抵抗1613で構成された電源回路161をさらに備え、同様に、第2の遊技球検出ユニットは、NPN型バイポーラトランジスタ1621,ツェナーダイオード1622および抵抗1623で構成された電源回路162をさらに備える。
【0054】
さらに、第1の遊技球検出ユニットの出力回路151は、トランジスタ1511,抵抗1512およびツェナーダイオード1513を備え、トランジスタ1511のコレクタからツェナーダイオード1513を介して第1の信号出力S1が取り出され、同様に、第2の遊技球検出ユニットの出力回路152は、トランジスタ1521および抵抗1522を備え、トランジスタ1521のコレクタからツェナーダイオード1523を介して第2の信号出力S2が取り出されるようになっている。
【0055】
なお、第1の遊技球検出ユニットの検出コイル111および第2の遊技球検出ユニットの検出コイル121は、遊技球(P)の通過路(貫通孔300)に所定の距離(例えば、遊技球Pの直径11mmの1/4程度の距離)だけ離して巻回され、第1および第2の信号出力S1およびS2は、前述した図4に示すような関係(t1=t2=t3=t4)で変化するようになっている。
【0056】
上記のような構成を前提として、第1および第2の遊技球検出ユニットは、それぞれ高周波発振回路121,122の発振状態を検波平滑回路131,132で直流レベルの信号に変換し、さらに、比較回路141,142で比較判別した結果を直流2線式の出力回路151,152で信号出力(S1,S2)する。ここで、この2系統の遊技球検出ユニットの低電位側電源(低電位側電源線)はGND電位として共通化されている。
【0057】
次に示す表1は、遊技球の検出状態と遊技球検出ユニット(電子スイッチ)の出力動作との関係を示す。
【0058】
【表1】
【0059】
表1において、直流2線式電子スイッチの場合、出力トランジスタ1511,1521をオン状態(閉塞状態)させる場合でも内部回路(121〜141,161、122〜142,162)を動作させておく必要があるため、一定の定電圧を残した状態で閉塞動作を行う。そのため、直流2線式電子スイッチでは、出力トランジスタがオン状態であっても電子スイッチの両端は0Vとはならない。実際の回路動作としては、図6における出力回路151,152に内蔵される残留電圧生成回路(ツェナーダイオード)1513,1523によってその電圧値が決まることになる。
【0060】
直流2線式電子スイッチにおいて、出力トランジスタ1511,1521を開放状態(オフ状態)させる場合であっても内部回路を動作させる消費電流が発生するため、その消費電流が電子スイッチの負荷を介して流れることとなる。このことから、直流2線式電子スイッチでは、出力トランジスタがオフ状態であっても電流が流れない(0mAになる)ことはない。実際の回路動作としては、出力回路151,152が開放状態となって電流が流れないため、その他の回路(図6では、発振回路121,122、検波平滑回路131,132、比較回路141,142および電源回路161,162)の消費電流が漏れ電流となる。
【0061】
表1では、検出状態→出力オフ,非検出状態→出力オンという出力モードに限定しているが、これは遊技球検出器のようにシンプルな回路構成で実現しようとする場合、開放状態の漏れ電流を最小化することが重要になるため、遊技球検出器として直流2線式の遊技球検出ユニットを使用する場合、消費電流の少ない発振停止状態となる検出状態を開放状態とすることが好ましい。また、非検出状態をオン状態にすることによって、遊技球の通過がない電源投入時に電源を投入することで出力が反転するため、動作していることが電源を投入するだけで確認することが可能となる。
【0062】
すなわち、直流2線式電子スイッチの場合、負荷(後述する図7の201,202)を介して電源Vccに接続するが、電子スイッチの両端が0V(GND)および電源電圧(Vcc)と一致することはなく、常に中間電位となるという特徴がある。
【0063】
本第1実施例(第2〜第4実施例も同様)は、上述した直流2線式電子スイッチの特性を利用するものであり、所定以上の電流が流れていること、或いは、所定以上の電圧が残っていることを監視し、遊技球検出器が正常であることを確認した上で遊技球計数制御を行うものである。想定される異常現象について次表に示すが、本発明により、これらの監視を常時行えるようにすることでセキュリティ性が高く、かつ、信頼性の高いシステムの構築が可能になる。
次に示す表1は、電子スイッチにおける異常モードと想定される原因との関係を示す。
【0064】
【表2】
【0065】
ところで、本明細書では、電子スイッチを遊技球計数システムの遊技球検出器(遊技球検出ユニット)に適用する場合に限定して説明しているが、これは、遊技球計数システムという景品(金銭)に関わる装置の異常検知であり、なんらかの意図的な不正行為や事故による事象であるということを判断するためには、通常の信号処理以上に慎重な判断が必要となるアプリケーションだからである。
【0066】
遊技球計数装置では、遊技球の通過方向を確認し、遊技球の通過検知をしているため、2系統の検出機能(遊技球検出ユニット)が一対になっている。この信頼性の高い判断を必要とするアプリケーションにおいては、2系統の信号出力S1,S2を照合して異常の有無を確認することで信頼性の高い判断が可能となる。
【0067】
上記の表2において、想定される原因に関しては、遊技球検出ユニットが2系統であった場合、2つの遊技球検出ユニットが共に同じ異常状態になる可能性が高く、これら2つの遊技球検出ユニットの信号出力S1,S2を照合しながら確認することで信頼度が高まる。
【0068】
次に、計数制御部側の構成について図7を用いて説明する。
図7は本発明の第1実施例の遊技球検出器が接続される計数制御部を示す回路図であり、2系統の遊技球検出ユニットに対する2系統のインターフェース261,262が搭載されている。
【0069】
インターフェース回路261,262としては、遊技球検出ユニットの信号出力S1,S2をレベル変換して後段に伝える信号判別回路271,272に加え、いくらかの電流が流れていることを確認する断線異常検知回路281,282および遊技球検出ユニットの両端の電圧が一定以上の残っていることを確認する短絡異常検知回路291,292を備える。さらに、計数制御部200は、インターフェース回路261,262、計数処理部203および異常信号出力部204を備えている。
【0070】
断線異常検知回路281(282)は、僅かな電流が流れていることを確実に確認するために、トランジスタ2811および抵抗2812〜2814を用いた電流検知方式で0.1mA以下の電流であっても検知する回路構成となされている。
【0071】
短絡異常検知回路291(292)は、遊技球検出ユニットの両端が短絡状態(0V)でないことを確認するため、閾値電圧をダイオード1個分の0.6V前後に設定している。
【0072】
そして、遊技球計数システムの異常検知機能として、断線異常検知回路281,282および短絡異常検知回路291,292によって、異常が検知された際には、異常信号出力部204に信号が送られ、中央処理部(ホストコンピュータ)4へ異常信号を出力すると共に、ローカルの異常表示装置(表示灯)251や異常検知時音声発生装置(スピーカ)252による報知を行うようになっている。
【0073】
図8は本発明に係る遊技球検出器の第1実施例における電源電圧と遊技球検出ユニットの出力電圧(計数制御部の入力電圧)との関係を示す図である。図8において、横軸は電源電圧(Vcc)を示し、縦軸は計数制御部の入力電圧(遊技球検出ユニットの信号出力S1(VS1),S2(VS2)の電圧)を示す。なお、図8において、参照符号AR1は入力電圧S1(S2)が遊技球検出ユニットの発振停止状態(玉あり状態)のばらつきを考慮した電圧範囲を示し、また、AR2は入力電圧S1(S2)が遊技球検出ユニットの発振状態(玉なし状態)のばらつきを考慮した電圧範囲を示している。
【0074】
図8に示されるように、例えば、入力電圧S1(S2)が計数制御部200における断線異常検知回路281(282)による断線検知電圧(閾値電圧Vth03)よりも高くなれば断線異常とし、また、入力電圧S1(S2)が計数制御部200における短絡異常検知回路291(292)による短絡検知電圧(閾値電圧Vth04)よりも低くなれば短絡異常として、所定の異常処理を行う。
【0075】
ここで、断線検知としては、わずかな電流が流れれば検知可能であり、例えば、電源電圧Vccに関わらず、[電源電圧(Vcc)−0.1V(負荷×検出電流)]程度の検出を行うようになっており、また、短絡検知としては、閾値電圧をダイオード1個で設定しているため、電源電圧Vccに関わらず0.6V前後に設定されている。
【0076】
いずれにしても特徴的なのは、電源電圧に依存せず安定的に異常検知が判別可能であるという点である。
【0077】
図9は本発明に係る遊技球検出器の第1実施例の変形例を示すブロック図である。
図9に示す遊技球検出器は、上述した2系統の直流2線式の遊技球検出ユニットに加えて、例えば、CPU制御回路230からの検出コイル短絡制御信号CS0によって検出コイル111および112の各両端を短絡する検出コイル短絡制御回路16を設けるようになっている。検出コイル短絡制御回路16は、例えば、遊技球計数機に設けられたローカルの計数制御部200のCPU230からの検出コイル短絡制御信号CS0に従って検出コイル111および112の各両端を短絡して高周波発振回路121および122の発振を同時に停止するものである。
【0078】
CPU230は、外部出力部240を介して中央処理部(ホールコンピュータ)4に接続され、ホールコンピュータ4からの制御信号に応じて検出コイル短絡制御回路16へ検出コイル短絡制御信号CS0を出力し、もし、異常が検出されれば、ローカルの表示灯251やスピーカ252による報知を行うと共に、ホールコンピュータ4へ異常信号を出力するようになっている。なお、検出コイル短絡制御信号CS0は、例えば、ホールが営業を開始する前(開店前)の電源投入時等において行うことで遊技球検出器の動作確認を行うことができる。
【0079】
これにより、遊技球検出器に故障や不正行為等が発生した際にリアルタイムで対応可能とするだけでなく、遊技球検出器の遊技球検出機能が正常に動作している否かの確認を行うことが可能になる。
【0080】
上述したように、本第1実施例の遊技球検出器は、2系統の遊技球検出ユニットの低電位電源を共通化した直流2線式の回路構成にすることで、正常状態での信号出力S1,S2(VS1,VS2)を中間電位にすることができ、さらに、定常的に信号出力S1,S2の電圧レベルを監視することで、断線や短絡の異常検知を行うことができる。
【0081】
また、断線異常検知回路281,282を電流検出の回路構成とし、わずかな電流値以下である異常検知を行うことによって、断線異常検知回路281,282が外乱ノイズ等によって誤動作して異常検知状態とならないようにすることができる。
【0082】
さらに、短絡異常検知回路291,292を短絡状態(0V)ではない程度の閾値電圧とし、わずかな電圧値以下である異常検知を行うことによって、短絡異常検知回路291,292が外乱ノイズ等によって誤動作して異常検知状態とならない回路構成を実現することが可能となる。
【0083】
さらに、2系統の負荷201,202が独立して高電位電源線(Vcc)に接続されるため、電源線からの影響(ノイズや不正行為等)による破壊で2系統の遊技球検出ユニットが両方共破壊する危険を低減することができる。なお、2系統の遊技球検出ユニットの一方のみが動作した場合には、計数制御機能として容易に異常を確認することができる。
【0084】
また、2系統の遊技球検出ユニットの信号出力S1,S2を照合しながら、異常の有無を判断することで信頼性の高い異常検知システムを実現することができる。また、遊技球計数システムとして定常的に断線異常と短絡異常を監視することによって、一定の故障や遊技球検出器に対する不正をリアルタイムで検出することができ、信頼性の高い異常検知システムを実現することができる。
【実施例2】
【0085】
図10は本発明の第2実施例の遊技球検出器が接続される計数制御部を示す回路図である。
【0086】
図10に示す本第2実施例の遊技球検出器が接続される計数制御部は、信号判別回路(インターフェース回路261(262)、高位反転電圧判別回路2711(2721)および低位反転電圧判別回路2712(2722)、断線異常検知回路281(282)、短絡異常検知回路291(292))の閾値を遊技球検出ユニットの出力電圧値に接近させて設定し、遊技球の出力信号以外の信号を受け付け難くした高セキュリティのものを示している。
【0087】
遊技球検出器としては、例えば、前述した図6に示す第1実施例と同様のものを使用し、計数制御部200,異常信号表示部(表示灯251やスピーカ252)および中央処理部4により遊技球計数システムを構成するようになっている。
【0088】
本第2実施例では、信号判別回路271(272)として、高位反転電圧判別回路2711および低位反転電圧判別回路2712が独立して設けられている。
【0089】
高位反転電圧判別回路2711の閾値電圧Vth01は、遊技球検出ユニットの漏れ電流と同等の特性を示す電流源7111および抵抗7112により設定され、コンパレータ7113により閾値電圧Vth01と遊技球検出ユニットの信号出力S1を比較判別する。ここで、抵抗7112の値を負荷抵抗201よりも若干大きい値にすることで、負荷抵抗201よりも僅かに大きい電圧降下を得るようになっている。
【0090】
低位反転電圧判別回路2712の閾値電圧Vth02は、遊技球検出ユニットの残留電圧生成回路、すなわち、図6における出力回路151に内蔵されるツェナーダイオード1513と同じ素子であるツェナーダイオード7121を使用して閾値電圧Vth02を設定するようになっている。
【0091】
すなわち、低位反転電圧判別回路2712は、ツェナーダイオード7121,ダイオード7122,抵抗7123およびコンパレータ7124を備え、遊技球検出ユニットの残留電圧を規定するツェナーダイオード1513と同じ特性のツェナーダイオード7121およびダイオード7122を使用することで、ツェナーダイオード(1513,7121)で生成される電圧に対してダイオード1個分高い電圧(遊技球検出ユニットの信号出力S1の電圧よりも若干(ダイオード1個分)高い電圧)を閾値電圧Vth02として設定するようになっている。
【0092】
また、断線異常検知回路281の閾値電圧Vth03は、遊技球検出ユニットの漏れ電流と同等の特性を示す電流源811および抵抗812により設定され、コンパレータ813により閾値電圧Vth03と遊技球検出ユニットの信号出力S1を比較判別する。ここで、抵抗812の値を負荷抵抗201よりも若干小さい値にすることで、負荷抵抗201よりも僅かに小さい電圧降下を得るようになっている。
【0093】
そして、短絡異常検知回路291の電圧Vth04は、遊技球検出ユニットの残留電圧生成回路、すなわち、図6における出力回路151に内蔵されるツェナーダイオード1513と同じ素子であるツェナーダイオード911を使用して閾値電圧Vth04を設定するようになっている。
【0094】
すなわち、短絡異常検知回路291は、ツェナーダイオード911,抵抗912〜914およびコンパレータ915を備え、遊技球検出ユニットの残留電圧を規定するツェナーダイオード1513と同じ特性のツェナーダイオード911により生成される電圧を抵抗913および914で分圧することで、遊技球検出ユニットの信号出力S1の電圧よりも僅かに低い電圧を閾値電圧Vth04として設定するようになっている。
【0095】
なお、上述した各閾値電圧Vth01〜Vth04の設定は、遊技球検出器が負荷を介して接続されている電源から電圧供給を受けて設定するため、仮に電源電圧が変動してもその変動に合わせた値に各閾値電圧が設定されるため、非常に安定した回路を実現することができる。また、インターフェース回路262に対しても、同様の設定が施されている。
【0096】
図11は本発明に係る遊技球検出器の第2実施例における遊技球検出ユニットの出力電圧と電源電圧との関係を示す図である。図11において、横軸は電源電圧(Vcc)を示し、縦軸は入力電圧(遊技球検出ユニットの信号出力S1,S2の電圧)を示し、上述した計数制御部200における各閾値電圧Vth01〜Vth04を示すものである。
【0097】
これらの閾値電圧Vth01〜Vth04を設定することにより、遊技球検出ユニットの信号出力S1,S2の変動範囲を超えると異常状態として検知するとともに、信号出力S1,S2の反転動作が規定の値以上に変化しないと信号出力として受け付けられないことになるため、高セキュリティの計数制御部200が構成される。
【0098】
また、以下の手法により、遊技球検出器自身の漏れ電流値もしくは残留電圧値を2系統の遊技球検出ユニットで異ならせておくことで、より一層不正行為の対象とすることが困難となり、セキュリティのより一層の向上を図ることができる。
【0099】
さらに、遊技球検出器に内蔵される2系統の遊技球検出ユニットの高周波発振回路におけるLC共振回路のコイルの巻数もしくはコンデンサの容量値を異ならせることで、2系統の遊技球検出ユニットにおける漏れ電流を異ならせ、計数制御部としてそれぞれの漏れ電流に応じた高位反転電圧の閾値と断線異常検知の閾値を設定することができる。
【0100】
また、遊技球検出器に内蔵されている2系統の遊技球検出ユニットの残留電圧生成回路となるツェナーダイオードのツェナー電圧を異ならせることで、2系統の遊技球検出ユニットにおける残留電圧を異ならせ、計数制御部としてそれぞれの残留電圧に応じた低位反転電圧の閾値と短絡異常検知の閾値を設定することができる。
【0101】
このように、本第2実施例によれば、計数制御部200のインターフェース回路261,262の閾値電圧を遊技球検出器の回路構成および回路特性に応じて設定することができるため、遊技球検出器の信号出力に接近させた閾値電圧を設定しても、例えば、外乱ノイズ等によって誤動作することがなく、安定した動作を行わせることができる。
【0102】
また、遊技球検出ユニットの信号出力S1,S2が設定された変動範囲から逸脱するだけで異常状態として検知され、或いは、信号出力S1,S2を受信できなくなるため、信号出力の判別回路が確実に行え、信頼性の高い計数制御システムが実現でき、併せて非常にセキュリティの高い計数制御部が実現できる。これにより、対象の遊技球検出器以外の検出器(別の機種や不正改造された遊技球検出器等)が装着された場合には、異常検知状態となるか、或いは、信号出力S1,S2の判別処理をしないことになり、不正行為の対象になり難くなる。
【0103】
さらに、2系統の遊技球検出ユニットの漏れ電流もしくは残留電圧を異ならせ、それに応じた計数制御部のインターフェース回路を実現しておくことで、より一層不正行為が実現し難くなり、セキュリティを高めることができる。
【実施例3】
【0104】
図12は本発明に係る遊技球検出器の第3実施例を示す回路図であり、2系統の遊技球検出ユニットを有する遊技球検出器であって、高周波発振回路の発振周波数、漏れ電流の値、並びに、残留電圧の値を異なるように設定し、より一層セキュリティの向上を図ったものである。
【0105】
図12と前述した図6との比較から明らかなように、本第3実施例の遊技球検出器は、前述した第1実施例の遊技球検出器において、第1の遊技球検出ユニットの出力回路151、および、第2の遊技球検出ユニットの高周波発振回路122の直流バイアス駆動方式を変形したものである。
【0106】
すなわち、前述した第1実施例では、第1の遊技球検出ユニットおよび第2の遊技球検出ユニットにおけるそれぞれの高周波発振回路121,122の発振周波数、漏れ電流値、並びに、残留電圧値を両方とも同じ値に設定していたのに対して、本第3実施例では、例えば、第1の遊技球検出ユニットの信号出力S1の周波数を600KHz程度の低い周波数で、残留電圧値が大きくて漏れ電流値が小さくなるように、且つ、第2の遊技球検出ユニットの信号出力S2の周波数を1800KHz程度の高い周波数で残留電圧値が小さくて漏れ電流値が大きくなるように、それぞれ異なる設定がなされている。
【0107】
従って、計数制御部200におけるインターフェース回路の高位反転電圧(Vth01)および低位反転電圧(Vth02)もそれぞれ異なる閾値にて判定しなければならないが、逆に判定レベルのマッチングが必要となるためシステム全体のセキュリティを向上させることが可能となる。
【0108】
まず、図12に示されるように、発振周波数が低い周波数に設定される第1の遊技球検出ユニットの高周波発振回路121は、PNP型バイポーラトランジスタ1211,1212、電流源1213、コンデンサ1214,1215、および、抵抗1216〜1218を備え、例えば、検出コイル111の巻き数が多くてリアクタンスが大きく、且つ、コンデンサ1214および1215による合成容量が大きく調整され、LCの共振周波数が低く設定される。この場合、感度調整用の抵抗1218の値は、比較的大きく設定され、必然的に、高周波発振回路121のバイアスも小さく設定される。具体的には、共振周波数600KHz程度の場合、抵抗1218を3.3kΩ、検出コイル111の駆動用バイアス電流(電流源1213を流れる電流)I0は0.4mA程度に設定される。
【0109】
なお、トランジスタ1211および1212は、定電流ミラー回路(カレントミラー回路)を構成し、2つのトランジスタのコレクタ電流値がほぼ一致するため、検出コイル111はトランジスタ1212側の電流I0と等しい電流値でバイアスされる。
【0110】
ま、図12に示されるように、発振周波数が高い周波数に設定される第2の遊技球検出ユニットの高周波発振回路122は、PNP型バイポーラトランジスタ1221,1222、電流源1223a,1223b、コンデンサ1224,1225、および、抵抗1226〜1228を備え、例えば、検出コイル112の巻き数が少なくてリアクタンスが小さく、且つ、コンデンサ1224および1225による合成容量が小さく調整され、LCの共振周波数が高く設定される。この場合、感度調整用の抵抗1218の値は、比較的小さく設定され、低い周波数の設定と同等の遊技球検出性能を確保するには、適度に大きなバイアスで検出コイル112を駆動する必要がある。具体的には、共振周波数1800KHz程度の場合、抵抗1228を0.75kΩ、検出コイル112の駆動用バイアス電流(電流源1223aを流れる電流I1と電流源1223bを流れる電流I2の和)I1+I2は1.2mA程度に設定される。
【0111】
以上において、使用する電流源1213;1223a,1223bは、電流源1213および1223aを流れる電流I0およびI1がほぼ同じ値の0.4mAで、且つ、電流源1223bを流れる電流I2が高い周波数の設定時の追加分で、0.8mA程度の値を想定している。
【0112】
このように、2つの遊技球検出ユニットの各高周波発振回路121,122で異なる発振周波数を使用する場合では、必然的に漏れ電流が異なり、低い周波数設定では漏れ電流が小さく、また、高い周波数設定では漏れ電流が大きくなる傾向がある。図12における第1の遊技球検出ユニットの信号出力S1は、トランジスタ1211および1212の制御電流がそれぞれ0.4mAで、開放動作時の後段(検波平滑回路131,比較回路141および電源回路161)の全体の電流を0.1mAと仮定すると、漏れ電流は0.4mA+0.4mA+0.1mA=0.9mA程度となり、また、第2の遊技球検出ユニットの信号出力S2では検出コイル112のバイアス電流が1.2mAに増加するため、漏れ電流は、2.5mA程度の値となる。
【0113】
一方、残留電圧についても、第1の遊技球検出ユニットの信号出力S1が待機状態の時、トランジスタ1511はオン状態で、出力端子には、ツェナーダイオード1513および3つのダイオード1514〜1516の順方向降下電圧で規定される残留電圧が発生する。ここで、ツェナーダイオード1513の電位を5Vとすると、第1の遊技球検出ユニットの信号出力S1における残留電圧値は、6.8V程度の設定となる。また、第2の遊技球検出ユニットの信号出力S2における残留電圧値は、ツェナーダイオード1523により規定され、ツェナーダイオード1523の電位を5Vとすると、そのまま5V程度の設定となる。
【0114】
図13は図12の遊技球検出器の電源電圧依存性を説明するための図であり、該遊技球検出器の印加電圧(電源電圧)と各検出ユニットの出力電圧(S1,S2)との関係を示している。なお、2つの遊技球検出ユニットの信号出力S1,S2には、同じ定数の抵抗負荷RL(201,202)が接続されていると仮定する。
【0115】
全体的に、第1の遊技球検出ユニットの信号出力S1の下方向にスライドした位置に第2の遊技球検出ユニットの信号出力S2が存在する。
【0116】
待機状態において、信号出力S1およびS2は、どちらも定電圧素子にて決定され、横軸にほぼ並行になり、信号出力S2は、ツェナーダイオードの特性に支配され、信号出力S1は、ダイオードの順方向降下電圧(3×Vd)だけその上方に位置する。
【0117】
一方、検出時において、信号出力S1およびS2は、電源電圧Vccの特性と並行になり、例えば、RL×0.9mAだけスライドした位置に出力信号S1、さらに、RL×2I2だけ下側に出力信号S2が位置する。
【0118】
図14は本発明の第3実施例の遊技球検出器が接続される計数制御部を示す回路図である。
【0119】
計数制御部200は、前述した図12に示す遊技球検出器が適用され、第1の遊技球検出ユニットの信号出力S1に対応したインターフェース回路261、第2の遊技球検出ユニットの信号出力S2に対応したインターフェース回路262、計数処理部203および異常信号出力部204を備える。
【0120】
各インターフェース回路261,262内の閾値設定部に存在する定電圧源および定電流源は、前述した図12におけるものと同じ特性を有し、それぞれの設定精度向上および適合判定幅の狭小化を追求している。なお、計数処理部203および異常信号出力部204(251,252)は図10を参照して説明した第2実施例と同様のものである。
【0121】
以下、各インターフェース回路261および262の閾値設定の具体例を示す。
1) 断線異常検知回路281は、第1の遊技球検出ユニットの出力信号S1が開放動作時出力の上限を弁別する。閾値は、V1=Vcc−Rb×I0となり、具体的には、Rbが680Ω、I0が0.4mAで、閾値はVcc−0.27mVとなる。
【0122】
2) 第1の遊技球検出ユニットの出力信号S1が開放動作時では、V2=Vcc−RL1×IL01となり、具体的には、RL1が680Ω、漏れ電流値は0.9mAであり、Vcc−0.61mVを中心にある程度ばらつきを持つ。
【0123】
3) 高位反転電圧判別回路2711は、第1の遊技球検出ユニットの信号出力S1が開放動作時出力の下限を弁別する。閾値はV3=Vcc−Ra×I0となり、具体的には、Raが2.4kΩ、I0が0.4mAで、閾値はVcc−0.96mVとなる。
【0124】
4) 断線異常検知回路282は、第2の遊技球検出ユニットの信号出力S2が開放動作時出力の上限を弁別する。閾値は、V4=Vcc−Rd×(I1+I2)となり、具体的には、Rdが1.1kΩ、I1+I2が1.2mAで、閾値はVcc−1.32mVとなる。
【0125】
5) 第1の遊技球検出ユニットの信号出力S2が開放動作時では、V5=Vcc−RL2×IL02となり、具体的には、RL2が680Ω、漏れ電流が2.5mAであり、Vcc−1.70mVを中心にある程度ばらつきを持つことになる。
【0126】
6) 高位反転電圧判別回路2721は、第2の遊技球検出ユニットの信号出力S2が開放動作時出力の下限を弁別する。閾値は、V6=Vcc−Rc×(I1+I2)となり、具体的には、Rcが1.8kΩ、I1+I2が1.2mAで、閾値はVcc−2.16mVとなる。
【0127】
7) 低位反転電圧判別回路2712は、第1の遊技球検出ユニットの信号出力S1が閉塞動作時出力の上限を弁別する。閾値は、V7=Vzd+4×Vdとなり、具体的には、Vzd(ツェナーダイオードZDのツェナー電圧)が5V、Vd(ダイオードDの順方向降下電圧)が0.6Vで、閾値は7.4Vとなる。
【0128】
8) 第1の遊技球検出ユニットの信号出力S1が閉塞動作時では、V8=Vzd+3×Vdとなり、具体的には、Vzdが5V、Vdが0.6Vで、6.8Vを中心にある程度ばらつきを持つことになる。
【0129】
9) 短絡異常検知回路291は、第1の遊技球検出ユニットの信号出力S1の閉塞動作時出力の下限を弁別する。閾値は、V9=Vzd+2×Vdとなり、具体的には、Vzdが5V、Vdが0.6Vで、閾値は6.2Vとなる。
【0130】
10) 低位反転電圧判別回路2722は、第2の遊技球検出ユニットの信号出力S2の閉塞動作時出力の上限を弁別する。閾値は、V10=Vzd+Vdとなり、具体的には、Vzdが5V、Vdが0.6Vで、閾値は5.6Vとなる。
【0131】
11) 第2の遊技球検出ユニットの信号出力S2が開放動作時は、V11=Vzdとなり、5.0Vを中心にある程度ばらつきを持つことになる。
【0132】
12) 短絡異常検知回路292は、第2の遊技球検出ユニットの信号出力S2の閉塞動作時出力の下限を弁別する。閾値は、V12=Vzd×Rf/(Re+Rf)となり、具体的には、Vzdが5V、Reが1.5kΩ、Rfが11kΩで、閾値は4.4Vとなる。
【0133】
従って、一例として、概略、V1=Vcc−0.27mV、V2=Vcc−0.61mV、V3=Vcc−0.96mV、V4=Vcc−1.32mV、V5=Vcc−1.70mV、V6=Vcc−2.16mV、V7=7.4V、V8=6.8V、V9=6.2V、V10=5.6V、V11=5.0V、V12=4.4Vとなる。
【0134】
図15は本発明に係る遊技球検出器の第3実施例の電源電圧依存性を説明するための図である。
【0135】
図15において、参照符号G1は電源電圧Vcc、G2〜G4は遊技球検出時における第1の遊技球検出ユニットの信号出力S1に関する電圧、G5〜G7は遊技球検出時における第2の遊技球検出ユニットの信号出力S2に関する電圧、G8〜G10は遊技球非検出時(待機時)における第1の遊技球検出ユニットの信号出力S1に関する電圧、G11〜G13は待機時における第2の遊技球検出ユニットの信号出力S2に関する電圧を示している。
【0136】
すなわち、参照符号G2は信号出力S1の断線異常判定電圧V1、G3は遊技球検出時における第1の遊技球検出ユニットの信号出力S1が存在する範囲V2、G4は信号出力S1の高位反転電圧V3を示し、また、参照符号G5は信号出力S2の断線異常判定電圧V4、G6は遊技球検出時における第2の遊技球検出ユニットの信号出力S2が存在する範囲V5、G7は信号出力S2の高位反転電圧V6を示す。
【0137】
また、参照符号G8は信号出力S1の低位反転電圧V7、G9は待機時における第1の遊技球検出ユニットの信号出力S1が存在する範囲V8、G10は信号出力S1の短絡異常判定電圧V9を示し、また、参照符号G11は信号出力S2の低位反転電圧V10、G11は待機時における第2の遊技球検出ユニットの信号出力S2が存在する範囲V11、G12は信号出力S2の短絡異常判定電圧V12を示す。
【0138】
このように、遊技球検出器を構成する2系統の遊技球検出ユニットの信号出力S1,S2と、対応するインターフェース回路261,262による判定領域を独立して設けて異なる出力特性を持たせることにより、信号出力S1,S2の誤接続などが発生した場合にはインターフェース回路261,262は非動作となり、異常を検出することが可能となる。また、図12および図14における電流値I0,I1,I2、並びに、ツェナーダイオードZDのツェナー電圧(Vzd)ダイオードDの順方向電圧(Vd)を同じ特性にすることにより、判定領域を性能ばらつきの極限まで狭める設定が可能となる。
【0139】
なお、図15において、印加する電源電圧Vccが低い領域において、若干重なりが認められるが、遊技球検出器(遊技球検出ユニット)の使用電源電圧の範囲により仕様を限定すれば、すなわち、重なりが存在する低電圧側を使用しないようにすればよい。
【0140】
このように、本第3実施例によれば、2つの遊技球検出ユニットを異なる周波数にすることで、検出特性の精度を向上させることができる。例えば、図12の構成を有する遊技球検出器では、2つのコイルが隣接配置されるために、相互干渉、或いは、誘導結合など、高周波発振回路独特の弊害により検出精度が低下する可能性があるが、これらの弊害は、2つの遊技球検出ユニットの周波数が一致した場合に顕著であり、隣の発振周波数の影響で遊技球通過時でも発振停止に至らない(検出しない)などの現象が発生する。そこで、2つの遊技球検出ユニットの周波数(高周波発振回路の発振周波数)を異ならせることによりこのようなトラブルを回避することができる。
【0141】
本第3実施例によれば、上述した第2実施例と比較して、2つの遊技球検出ユニットの漏れ電流、および、残留電圧を異なる値にすることで、さらにセキュリティを向上させることが可能になる。なお、第1の遊技球検出ユニットの信号出力S1と第1のインターフェース回路261の判定領域、並びに、第2の遊技球検出ユニットの信号出力S2と第2のインターフェース回路262の判定領域は、それぞれ独立してマッチングしており、遊技球通過時の出力特性を独立した判定レベルで常時異常監視することにより、例えば、遊技球検出器を別のものに取り換えるといった不正行為は事実上不可能となる。
【実施例4】
【0142】
図16は本発明に係る遊技球検出器の第4実施例を示すブロック図である。本第4実施例は、上述した遊技球検出器の断線や短絡などの事故検出機能に加えて、不正目的で故意に遊技球検出器の接続機構(コネクタ)を脱着した場合に、これを検知する機能を設けたものである。
【0143】
図16と前述した図10との比較から明らかなように、本第4実施例では、異常信号出力部204により、通常の事故検出用のOR回路2041に加えて、第1の遊技球検出ユニット側(S1側)および第2の遊技球検出ユニット側(S2側)のそれぞれの断線異常検知回路281および282の出力を、2入力AND回路2042に入力し、作動時には出力をOR回路2041とは別経路で計数制御部外に出力する機能を追加している。なお、このAND回路2042の出力信号Va2でアラーム機能を駆動させる場合と、OR回路2041駆動時の出力信号Va1でアラーム機能を駆動させる場合とで異なる出力パターンを実行するようになっている。具体的に、例えば、表示等251の表示パターンやスピーカ252からの報知音を変える等によりローカルでの報知を行い、或いは、ホストコンピュータ4に対して異常の内容が判別できる異常信号を送信する。
【0144】
図17は図16の遊技球検出器におけるコネクタ脱着信号の動作状況を説明するための図であり、2系統の遊技球検出ユニットの信号出力S1,S2と共に、AND回路2042の出力信号Va2の動作状態を示すものである。
【0145】
図17に示されるように、信号出力S1およびS2が同時に断線異常検知電圧(閾値)を上回ると、AND回路2042の出力信号Va2が作動する。このような、正常に遊技球検出を行っていた2系統の遊技球検出ユニットが、突如として同時断線出力となるケースは、寿命や作動耐久などに起因する機器故障とは考え難く、明らかに人為的事象と判断することができる。
【0146】
例えば、従来、思いのままに出力を操作できる異品種の遊技球検出器を持ち込み、正規システムの遊技球検出器と取り換えるといった不正行為が認められているが、このような場合でも、遊技球検出器を取り換えるためにコネクタが外された瞬間(コネクタ脱着時)に図17のAND回路2042の出力信号Va2が高レベル『H』に変化する。
【0147】
このように、本第4実施例は、異常信号出力部204により認識される事象のなかで、偶然性を伴う事故検出と、明らかな人為的不具合とを見分けたい場合に有効である。実際、例えば、遊技ホールで不正行為が発覚した場合、ホール従業員の身に危険が及ぶ可能性もあるため、ある程度の不具合発生状況別に出力伝達方式を変えたり、情報個別の対応策を実施することも可能になる。
【0148】
図18は2組の遊技球検出器を一体化した遊技球検出器(部品)の一例を示す斜視図であり、図19は図18の遊技球検出器を使用した遊技球計数機の一部を示す図である。
【0149】
図18に示す遊技球検出器3000は、2系統の遊技球検出ユニットを有する遊技球検出器(遊技球検出部)を2組(2レーン分)設け、それぞれ2つの検出コイルが設けられた各貫通孔3001および3002を所定距離だけシフトさせて配置したものである。
【0150】
ここで、貫通孔3001には2つの検出コイルが設けられ、また、貫通孔3002にも2つの検出コイルが設けられているが、これら4つの検出コイルを含む4つの高周波発振回路は、それぞれ異なる周波数で発振するように構成され、相互の干渉を低減するようにされている。なお、参照符号S11,S12およびS21,S22は、それぞれ遊技球検出ユニットの信号出力を示し、また、参照符号CS1およびCS2は検出コイル短絡制御信号を示している。
【0151】
図19に示されるように、図18に示す遊技球検出器3000は、例えば、遊技球計数機1000における2レーン1001の遊技球を計数するために適用される。なお、実際に、例えば、島ごとに設置される遊技球検出器は、16または18レーンであるため、図18に示す遊技球検出器3000が8個または9個設けられることになる。また、各弾球遊技機に遊技球計数機を設ける場合には、例えば、図18に示す遊技球検出器3000を2個設けて4レーンにより台ごとの遊技球を計数する。
【0152】
これにより、遊技球検出器に故障や不正行為等が発生した際にリアルタイムで対応するだけでなく、遊技球検出器の遊技球検出機能が正常に動作している否かの確認を行うことも可能になる。
【0153】
図20は遊技管理システムの全体構成を概略的に示すブロック図である。
図20に示されるように、ホールコンピュータ4は、ネットワーク8を介して各弾球遊技機550、台ユニット551、台間機552、台ごと遊技球計数機500、および、遊技球計数機600等に繋がれている。
【0154】
各弾球遊技機550(台ユニット551)には、異常表示装置(表示灯)25および異常検知時音声発生装置(スピーカ)26が設けられ、例えば、図9の遊技球検出器を搭載した台ごと遊技球計数機500における遊技球検出器510(3000)の検出コイルを短絡させて前述した動作確認を行って、計数制御部520(2)により異常が検出されたとき、もしくは、各インターフェース回路により異常が検出された場合には、表示灯25に異常の表示を行うと共に、スピーカ26からアラーム音を発生し、且つ、ホールコンピュータ4へ異常信号を出力するようになっている。なお、台ごと遊技球計数機500は、例えば、図18に示す2レーンの遊技球検出が可能な遊技球検出器3000を1つ(2レーン)または2つ(4レーン)備え、各弾球遊技機550の場所で遊技球の計数を行うことができるようになっている。
【0155】
遊技球計数機600は、例えば、複数台の弾球遊技機550がまとまった島ごと、或いは、カウンタ等の場所に設けられた遊技球の高速計数が可能なものであり、この遊技球計数機600もネットワーク8を介してホールコンピュータ4に繋がれている。遊技球計数機600における遊技球検出器610は、図18に示す2レーンの遊技球検出が可能な遊技球検出器3000を複数(例えば8つ(16レーン)または9(18レーン))備え、多量の遊技球を短時間で計数できるようになっている。
【0156】
このような高速計数が可能な遊技球計数機600に対しても、計数制御部620(2)により異常が検出されたときには、例えば、通常の動作時ではカウントされた遊技球の数を表示する表示器(例えば、数字を表示するための複数桁の7セグメント表示器)630を利用して、異常が生じた遊技球検出器を特定すると共に、その異常信号をホールコンピュータ4へ伝えるようになっている。なお、異常の表示手段等に関しては、公知の様々な技術を適用して適宜設計することが可能である。
【0157】
図21は本発明が適用される遊技ホールの全体構成を概略的に示す図であり、図22は図21の遊技ホールにおける1つの島を示す図であり、そして、図23は図22の島における1つの弾球遊技機の一例を概略的に示す図である。
【0158】
図21および図22に示されるように、遊技ホール(パチンコホール)には、複数の弾球遊技機550が島72ごとに分かれて配置され、例えば、島72ごとに1つの高速計数が可能な遊技球計数機(島ごと計数機)600が設けられ、また、図22および図23に示されるように、各弾球遊技機550に対して台ごと遊技球計数機500が設けられ、それぞれホールコンピュータ4とネットワーク(8)を介して繋がれている。なお、高速計数が可能な遊技球計数機600は、例えば、カウンタ71等の他の場所に設置してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0159】
本発明は、金属より成る遊技球を検出する遊技球検出器に適用され、例えば、島ごとに設けられる遊技球計数機や弾球遊技機ごとに設けられる台ごと遊技球計数機、或いは、遊技ホールの遊技球計数システム等に対して幅広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0160】
【図1】従来の遊技球検出器の一例の回路構成を示すブロック図である。
【図2】図1の遊技球検出器における遊技球検出時の出力信号波形のタイムチャートである。
【図3】従来の遊技球検出器の他の例を示す断面図である。
【図4】図3の遊技球検出器における遊技球検出時の出力信号波形のタイムチャートである。
【図5】図3の遊技球検出器の回路構成を示すブロック図である。
【図6】本発明に係る遊技球検出器の第1実施例を示す回路図である。
【図7】本発明の第1実施例の遊技球検出器が接続される計数制御部を示す回路図である。
【図8】本発明に係る遊技球検出器の第1実施例における遊技球検出ユニットの出力電圧と電源電圧との関係を示す図である。
【図9】本発明に係る遊技球検出器の第1実施例の変形例を示すブロック図である。
【図10】本発明の第2実施例の遊技球検出器が接続される計数制御部を示す回路図である。
【図11】本発明に係る遊技球検出器の第2実施例における遊技球検出ユニットの出力電圧と電源電圧との関係を示す図である。
【図12】本発明に係る遊技球検出器の第3実施例を示す回路図である。
【図13】図12の遊技球検出器の電源電圧依存性を説明するための図である。
【図14】本発明の第3実施例の遊技球検出器が接続される計数制御部を示す回路図である。
【図15】本発明に係る遊技球検出器の第3実施例の電源電圧依存性を説明するための図である。
【図16】本発明に係る遊技球検出器の第4実施例を示すブロック図である。
【図17】図16の遊技球検出器におけるコネクタ脱着信号の動作状況を説明するための図である。
【図18】2組の遊技球検出器を一体化した遊技球検出器(部品)の一例を示す斜視図である。
【図19】図18の遊技球検出器を使用した遊技球計数機の一部を示す図である。
【図20】遊技管理システムの全体構成を概略的に示すブロック図である。
【図21】本発明が適用される遊技ホールの全体構成を概略的に示す図である。
【図22】図21の遊技ホールにおける1つの島を示す図である。
【図23】図22の島における1つの弾球遊技機の一例を概略的に示す図である。
【符号の説明】
【0161】
1;3000 遊技球検出器
2 制御部(計数制御部:ローカル)
4 中央処理部(ホールコンピュータ)
8 ネットワーク
11;11a,11b;111,112;L1,L2 検出コイル
12;12a,12b;121,122 高周波発振回路(発振回路)
13;13a,13b;131,132 検波平滑回路
14;14a,14b;141,142 比較回路
15;15a,15b;151,152 出力回路
16 検出コイル短絡制御回路
20;21,22;201,202 負荷(抵抗)
23 CPU
71 カウンタ
72 島
203 計数処理部
204 異常信号出力部
240 外部出力部
251 異常表示装置(表示灯)
252 異常検知時音声発生装置(スピーカ)
261,262 インターフェース回路
271,272 信号判別回路
281,282 断線異常検知回路
291,292 短絡異常検知回路
300;3001,3002 貫通孔
500 台ごと遊技球計数機
550 弾球遊技機
551 台ユニット
552 台間機
600 遊技球計数機(島ごと遊技球計数機)
2711,2721 高位反転電圧判別回路
2712,2722 低位反転電圧判別回路
CS0;CS1,CS2 検出コイル短絡制御信号
VS,Vcc 電源電圧
P;P1〜P3 遊技球
S0;S1,S2;S11,S12;S21,S22 信号出力
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属より成る遊技球の通過路に巻回して配置された第1の検出コイルおよび該第1の検出コイルを含む第1の高周波発振回路を備え、該第1の高周波発振回路の発振状態によって前記遊技球の通過を判別して第1の遊技球通過信号を出力する第1の遊技球検出ユニットと、
前記を備える遊技球検出器であって、前記遊技球の通過路に巻回して配置され、前記第1の検出コイルと所定の距離を隔てて設けられた第2の検出コイルおよび該第2の検出コイルを含む第2の高周波発振回路を備え、該第2の高周波発振回路の発振状態によって前記遊技球の通過を判別して第2の遊技球通過信号を出力する第2の遊技球検出ユニットと、を備える遊技球検出器であって、
前記第1の遊技球検出ユニットの第1の信号出力と前記第2の遊技球検出ユニットの第2の信号出力が一定時間の重なりを持ち、
前記各第1および第2の遊技球検出ユニットは、それぞれ遊技球の通過のない非検出状態では閉塞状態となって所定の残留電圧値を出力し、遊技球の通過を検知している検出状態では開放状態となって所定の漏れ電流が流れる直流2線式の回路で構成され、
前記第1の遊技球検出ユニットの第1の電源線および前記第2の遊技球検出ユニットの第1電源線は第1の主電源線に共通接続され、且つ、前記第1の遊技球検出ユニットの第2電源線および前記第2の遊技球検出ユニットの第2の電源線は、それぞれ負荷を介して第2の主電源線に接続されることを特徴とする遊技球検出器。
【請求項2】
請求項1に記載の遊技球検出器において、
前記各第1および第2の高周波発振回路は、LC共振回路を備え、
前記第1の高周波発振回路は、前記第2の高周波発振回路と前記LC共振回路のコイルの巻数もしくはコンデンサの容量値を異ならせることで、前記第1および第2の遊技球検出ユニットの漏れ電流を異ならせたことを特徴とする遊技球検出器。
【請求項3】
請求項1または2に記載の遊技球検出器において、
前記第1の遊技球検出ユニットは、第1のスイッチング素子と第1の残留電圧回路が直列に接続された第1の出力回路を備え、且つ、
前記第2の遊技球検出ユニットは、第2のスイッチング素子と第2の残留電圧回路が直列に接続された第2の出力回路を備え、
前記第1の残留電圧回路によって設定される第1の残留電圧値と前記第2の残留電圧回路によって設定される第2の残留電圧値を異ならせたことを特徴とする遊技球検出器。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の遊技球検出器と、
該遊技球検出器が接続され、前記第1および第2の信号出力に基づいて、前記通過路を通過する遊技球を計数する計数処理手段と、
前記第1および第2の遊技球検出ユニットに電流が流れていないことを検知する電流検知手段と、
該第1および第2の遊技球検出ユニットの両端に電圧が発生していないことを検知する電圧検知手段と、
計数制御部により前記第1および第2の遊技球検出ユニットに電流が流れていないか、或いは、該第1および第2の遊技球検出ユニットの両端に電圧が発生していないことを定常的に監視する監視手段と、を備えることを特徴とする遊技球計数システム。
【請求項5】
請求項4に記載の遊技球計数システムにおいて、前記電流検知手段は、
前記第1の遊技球検出ユニットの信号出力における電流から断線異常を検出する第1の断線異常検知回路と、前記第2の遊技球検出ユニットの信号出力における電流から断線異常を検出する第2の断線異常検知回路と、を備えることを特徴とする遊技球計数システム。
【請求項6】
請求項5に記載の遊技球計数システムにおいて、さらに、
前記第1の断線異常検知回路の出力および前記第2の断線異常検知回路の出力を受け取って、前記遊技球検出器の接続機構の脱着を検知する論理積回路を備えることを特徴とする遊技球計数システム。
【請求項7】
請求項5または6に記載の遊技球計数システムにおいて、
前記第1の断線異常検知回路と前記第2の断線異常検知回路の電流検知特性を異ならせたことを特徴とする遊技球計数システム。
【請求項8】
請求項4に記載の遊技球計数システムにおいて、前記電圧検知手段は、
前記第1の遊技球検出ユニットの両端の電圧から短絡異常を検出する第1の短絡異常検知回路と、前記第2の遊技球検出ユニットの両端の電圧から短絡異常を検出する第2の短絡異常検知回路と、を備えることを特徴とする遊技球計数システム。
【請求項9】
請求項8に記載の遊技球計数システムにおいて、
前記第1の短絡異常検知回路と前記第2の短絡異常検知回路の電圧検知特性を異ならせたことを特徴とする遊技球計数システム。
【請求項10】
請求項8または9に記載の遊技球計数システムにおいて、
前記第1および第2の短絡異常検知回路に設けられたツェナーダイオードを、前記第1および第2の遊技球検出ユニットに設けられたツェナーダイオードと同じ特性を有するものとしたことを特徴とする遊技球計数システム。
【請求項11】
請求項4〜10のいずれか1項に記載の遊技球計数システムにおいて、
前記計数制御部は、前記第1および第2の遊技球検出ユニットの出力動作を比較判別する比較回路として、高位反転を比較判別する高位反転電圧判別回路、および、低位反転を比較判別する低位反転電圧判別回路の独立した2つの回路を備え、
前記高位反転電圧判別回路の閾値は、前記第1および第2の遊技球検出ユニットの漏れ電流より所定値だけ大きい電流としたときの負荷の電圧降下によって決まる電圧値であり、
前記低位反転電圧判別回路の閾値は、前記第1および第2の遊技球検出ユニットの残留電圧より所定値だけ大きい電圧値であり、
前記高位反転電圧判別回路の閾値および前記低位反転電圧判別回路の閾値を、前記漏れ電流と同じ特性を示す電流源、または、前記残留電圧と同じ特性を示す電圧源、或いは、該電流源および該電圧源の組み合わせにより構成したことを特徴とする遊技球計数システム。
【請求項12】
請求項11に記載の遊技球計数システムにおいて、
前記高位反転電圧判別回路は、前記第1の遊技球検出ユニットの信号出力を比較判定する第1の高位反転電圧判別回路と、前記第2の遊技球検出ユニットの信号出力を比較判定する第2の高位反転電圧判別回路と、を備え、且つ、
前記低位反転電圧判別回路は、前記第1の遊技球検出ユニットの信号出力を比較判定する第1の低位反転電圧判別回路と、前記第2の遊技球検出ユニットの信号出力を比較判定する第2の低高位反転電圧判別回路と、を備えることを特徴とする遊技球計数システム。
【請求項13】
請求項12に記載の遊技球計数システムにおいて、
前記第1の高位反転電圧判別回路と前記第2の高位反転電圧判別回路の設定値を異ならせ、且つ、
前記第1の低位反転電圧判別回路と前記第2の低位反転電圧判別回路の設定値を異ならせるようにしたことを特徴とする遊技球計数システム。
【請求項14】
請求項12または13に記載の遊技球計数システムにおいて、
前記第1および第2の低位反転電圧判別回路に設けられたツェナーダイオードを、前記第1および第2の遊技球検出ユニットに設けられたツェナーダイオードと同じ特性を有するものとしたことを特徴とする遊技球計数システム。
【請求項15】
請求項11〜14のいずれか1項に記載の遊技球計数システムにおいて、
前記各高周波発振回路は、LC共振回路を含み、
前記第1および第2の遊技球検出ユニットの前記各LC共振回路のコイルの巻数もしくはコンデンサの容量値を異ならせることで、該第1および第2の遊技球検出ユニットの漏れ電流を異ならせたことを特徴とする遊技球計数システム。
【請求項16】
請求項15に記載の遊技球計数システムにおいて、
前記第1および第2の遊技球検出ユニットの出力回路には、それぞれスイッチング素子および残留電圧回路が直列に接続され、
前記各残留電圧回路によって設定される残留電圧値をそれぞれ異ならせることで、前記第1および第2の遊技球検出ユニットの残留電圧値を異ならせ、且つ、
前記計数制御部の前記比較回路の閾値を前記第1および第2の遊技球検出ユニットの出力電圧値に応じて異ならせたことを特徴とする遊技球計数システム。
【請求項17】
請求項4〜16のいずれか1項に記載の遊技球計数システムにおいて、
搭載されている前記遊技球検出器の異常の有無をアラーム出力もしくは信号出力する機能を備え、
前記遊技球の計数処理と並行して、前記計数制御部により前記第1および第2の遊技球検出ユニットに所定以上の電流が流れていないこと、もしくは、該第1および第2の遊技球検出ユニットの両端に所定以上の電圧値が発生していないことの異常がないことを監視し、
異常を検知した場合には、前記制御部から異常の報知もしくは異常信号を出力することを特徴とする遊技球計数システム。
【請求項1】
金属より成る遊技球の通過路に巻回して配置された第1の検出コイルおよび該第1の検出コイルを含む第1の高周波発振回路を備え、該第1の高周波発振回路の発振状態によって前記遊技球の通過を判別して第1の遊技球通過信号を出力する第1の遊技球検出ユニットと、
前記を備える遊技球検出器であって、前記遊技球の通過路に巻回して配置され、前記第1の検出コイルと所定の距離を隔てて設けられた第2の検出コイルおよび該第2の検出コイルを含む第2の高周波発振回路を備え、該第2の高周波発振回路の発振状態によって前記遊技球の通過を判別して第2の遊技球通過信号を出力する第2の遊技球検出ユニットと、を備える遊技球検出器であって、
前記第1の遊技球検出ユニットの第1の信号出力と前記第2の遊技球検出ユニットの第2の信号出力が一定時間の重なりを持ち、
前記各第1および第2の遊技球検出ユニットは、それぞれ遊技球の通過のない非検出状態では閉塞状態となって所定の残留電圧値を出力し、遊技球の通過を検知している検出状態では開放状態となって所定の漏れ電流が流れる直流2線式の回路で構成され、
前記第1の遊技球検出ユニットの第1の電源線および前記第2の遊技球検出ユニットの第1電源線は第1の主電源線に共通接続され、且つ、前記第1の遊技球検出ユニットの第2電源線および前記第2の遊技球検出ユニットの第2の電源線は、それぞれ負荷を介して第2の主電源線に接続されることを特徴とする遊技球検出器。
【請求項2】
請求項1に記載の遊技球検出器において、
前記各第1および第2の高周波発振回路は、LC共振回路を備え、
前記第1の高周波発振回路は、前記第2の高周波発振回路と前記LC共振回路のコイルの巻数もしくはコンデンサの容量値を異ならせることで、前記第1および第2の遊技球検出ユニットの漏れ電流を異ならせたことを特徴とする遊技球検出器。
【請求項3】
請求項1または2に記載の遊技球検出器において、
前記第1の遊技球検出ユニットは、第1のスイッチング素子と第1の残留電圧回路が直列に接続された第1の出力回路を備え、且つ、
前記第2の遊技球検出ユニットは、第2のスイッチング素子と第2の残留電圧回路が直列に接続された第2の出力回路を備え、
前記第1の残留電圧回路によって設定される第1の残留電圧値と前記第2の残留電圧回路によって設定される第2の残留電圧値を異ならせたことを特徴とする遊技球検出器。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の遊技球検出器と、
該遊技球検出器が接続され、前記第1および第2の信号出力に基づいて、前記通過路を通過する遊技球を計数する計数処理手段と、
前記第1および第2の遊技球検出ユニットに電流が流れていないことを検知する電流検知手段と、
該第1および第2の遊技球検出ユニットの両端に電圧が発生していないことを検知する電圧検知手段と、
計数制御部により前記第1および第2の遊技球検出ユニットに電流が流れていないか、或いは、該第1および第2の遊技球検出ユニットの両端に電圧が発生していないことを定常的に監視する監視手段と、を備えることを特徴とする遊技球計数システム。
【請求項5】
請求項4に記載の遊技球計数システムにおいて、前記電流検知手段は、
前記第1の遊技球検出ユニットの信号出力における電流から断線異常を検出する第1の断線異常検知回路と、前記第2の遊技球検出ユニットの信号出力における電流から断線異常を検出する第2の断線異常検知回路と、を備えることを特徴とする遊技球計数システム。
【請求項6】
請求項5に記載の遊技球計数システムにおいて、さらに、
前記第1の断線異常検知回路の出力および前記第2の断線異常検知回路の出力を受け取って、前記遊技球検出器の接続機構の脱着を検知する論理積回路を備えることを特徴とする遊技球計数システム。
【請求項7】
請求項5または6に記載の遊技球計数システムにおいて、
前記第1の断線異常検知回路と前記第2の断線異常検知回路の電流検知特性を異ならせたことを特徴とする遊技球計数システム。
【請求項8】
請求項4に記載の遊技球計数システムにおいて、前記電圧検知手段は、
前記第1の遊技球検出ユニットの両端の電圧から短絡異常を検出する第1の短絡異常検知回路と、前記第2の遊技球検出ユニットの両端の電圧から短絡異常を検出する第2の短絡異常検知回路と、を備えることを特徴とする遊技球計数システム。
【請求項9】
請求項8に記載の遊技球計数システムにおいて、
前記第1の短絡異常検知回路と前記第2の短絡異常検知回路の電圧検知特性を異ならせたことを特徴とする遊技球計数システム。
【請求項10】
請求項8または9に記載の遊技球計数システムにおいて、
前記第1および第2の短絡異常検知回路に設けられたツェナーダイオードを、前記第1および第2の遊技球検出ユニットに設けられたツェナーダイオードと同じ特性を有するものとしたことを特徴とする遊技球計数システム。
【請求項11】
請求項4〜10のいずれか1項に記載の遊技球計数システムにおいて、
前記計数制御部は、前記第1および第2の遊技球検出ユニットの出力動作を比較判別する比較回路として、高位反転を比較判別する高位反転電圧判別回路、および、低位反転を比較判別する低位反転電圧判別回路の独立した2つの回路を備え、
前記高位反転電圧判別回路の閾値は、前記第1および第2の遊技球検出ユニットの漏れ電流より所定値だけ大きい電流としたときの負荷の電圧降下によって決まる電圧値であり、
前記低位反転電圧判別回路の閾値は、前記第1および第2の遊技球検出ユニットの残留電圧より所定値だけ大きい電圧値であり、
前記高位反転電圧判別回路の閾値および前記低位反転電圧判別回路の閾値を、前記漏れ電流と同じ特性を示す電流源、または、前記残留電圧と同じ特性を示す電圧源、或いは、該電流源および該電圧源の組み合わせにより構成したことを特徴とする遊技球計数システム。
【請求項12】
請求項11に記載の遊技球計数システムにおいて、
前記高位反転電圧判別回路は、前記第1の遊技球検出ユニットの信号出力を比較判定する第1の高位反転電圧判別回路と、前記第2の遊技球検出ユニットの信号出力を比較判定する第2の高位反転電圧判別回路と、を備え、且つ、
前記低位反転電圧判別回路は、前記第1の遊技球検出ユニットの信号出力を比較判定する第1の低位反転電圧判別回路と、前記第2の遊技球検出ユニットの信号出力を比較判定する第2の低高位反転電圧判別回路と、を備えることを特徴とする遊技球計数システム。
【請求項13】
請求項12に記載の遊技球計数システムにおいて、
前記第1の高位反転電圧判別回路と前記第2の高位反転電圧判別回路の設定値を異ならせ、且つ、
前記第1の低位反転電圧判別回路と前記第2の低位反転電圧判別回路の設定値を異ならせるようにしたことを特徴とする遊技球計数システム。
【請求項14】
請求項12または13に記載の遊技球計数システムにおいて、
前記第1および第2の低位反転電圧判別回路に設けられたツェナーダイオードを、前記第1および第2の遊技球検出ユニットに設けられたツェナーダイオードと同じ特性を有するものとしたことを特徴とする遊技球計数システム。
【請求項15】
請求項11〜14のいずれか1項に記載の遊技球計数システムにおいて、
前記各高周波発振回路は、LC共振回路を含み、
前記第1および第2の遊技球検出ユニットの前記各LC共振回路のコイルの巻数もしくはコンデンサの容量値を異ならせることで、該第1および第2の遊技球検出ユニットの漏れ電流を異ならせたことを特徴とする遊技球計数システム。
【請求項16】
請求項15に記載の遊技球計数システムにおいて、
前記第1および第2の遊技球検出ユニットの出力回路には、それぞれスイッチング素子および残留電圧回路が直列に接続され、
前記各残留電圧回路によって設定される残留電圧値をそれぞれ異ならせることで、前記第1および第2の遊技球検出ユニットの残留電圧値を異ならせ、且つ、
前記計数制御部の前記比較回路の閾値を前記第1および第2の遊技球検出ユニットの出力電圧値に応じて異ならせたことを特徴とする遊技球計数システム。
【請求項17】
請求項4〜16のいずれか1項に記載の遊技球計数システムにおいて、
搭載されている前記遊技球検出器の異常の有無をアラーム出力もしくは信号出力する機能を備え、
前記遊技球の計数処理と並行して、前記計数制御部により前記第1および第2の遊技球検出ユニットに所定以上の電流が流れていないこと、もしくは、該第1および第2の遊技球検出ユニットの両端に所定以上の電圧値が発生していないことの異常がないことを監視し、
異常を検知した場合には、前記制御部から異常の報知もしくは異常信号を出力することを特徴とする遊技球計数システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
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【図4】
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【図20】
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【図22】
【図23】
【公開番号】特開2007−214797(P2007−214797A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−31402(P2006−31402)
【出願日】平成18年2月8日(2006.2.8)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年2月8日(2006.2.8)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
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