説明

遊技音響装置

【課題】低音スピーカおよび中高音スピーカを音響工学的に良好な場所に設置可能とする。
【解決手段】パネル構造体27が窓24を塞ぐように前扉4の裏面に固定され、前扉4が閉じられた可動枠3の前面に固定され、可動枠3が閉じられて固定枠2の前側に固定された場合、中高音スピーカ25が前側で低音スピーカ30が後側となるように、中高音スピーカ25および低音スピーカ30が前後方向に重ねられて配置され、中高音スピーカ25から放出された中高音は中高音放音孔部48を経由して前扉4の上部から前側に放出され低音スピーカ30から前側に放出された低音はパネル構造体27における前面パネル52と後面パネル53と間の間隙から低音放音部50を経由して前扉4の下部から前側に放出され、低音スピーカ30の後側に放出される低音が遊技機枠1の後側に放出され前扉の下部前側に放出される低音と打ち消しあうように干渉することはない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中高音スピーカが前側で低音スピーカが後側となるように、中高音スピーカおよび低音スピーカが前後方向に重ねられて配置されることによって、低音スピーカおよび中高音スピーカが音響工学的に良好な場所に設けられる遊技音響装置に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技音響装置は、遊技機枠の前扉やガラスなどにスピーカを取り付けている。しかしながら、低音スピーカおよび中高音スピーカを平面的に配置して併用し、音響効果を向上することが考えられるが、遊技機枠の前面には、遊技者に遊技内容を見せる窓、遊技の演出を光で表示するランプ、遊技者に遊技を実行させる操作部品などの多数の構成要素が混在するために、低音スピーカおよび中高音スピーカを音響工学的に良好な場所に設けられず、にわかに採用しがたいという欠点がある。
【特許文献1】特開2004−229183号公報
【特許文献2】特開平7−8601号公報
【特許文献3】特開平10−216325号公報
【特許文献4】特開2003−135804号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
発明が解決しようとする問題点は、低音スピーカおよび中高音スピーカを音響工学的に良好な場所に設けられないという点である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明に係る遊技音響装置は、遊技機枠の前扉が前後方向に貫通する窓と窓を塞ぐように前扉の裏面に設けられたパネル構造体とを備え、中高音スピーカが前扉に設けられ、低音スピーカがパネル構造体に設けられたことによって、中高音スピーカが前側で低音スピーカが後側となるように、中高音スピーカおよび低音スピーカが前後方向に重ねられて配置されたことを最も主要な特徴とする。パネル構造体は窓側の前面パネルと後側の後面パネルとを前後方向に離れて相対峙するようにフレームで支持して前面パネルと後面パネルとフレームとで囲まれた閉鎖空間をエンクロージャとして利用したバスレフダクト部を備え、フレームにはバスレフ開口部およびスピーカ設置部が設けられ、スピーカ設置部には低音スピーカから前側に放出される低音をバスレフダクト部に放出するようにかつ低音スピーカから後側に放出される低音をパネル構造体よりも後側に放出するように低音スピーカが取り付けられたり、または、パネル構造体の裏側に配置されるように遊技機枠に取り付けられる遊技盤には低音スピーカを逃げるためのスピーカ逃避部が設けられたり、または、低音スピーカを後側から被覆するスピーカ後カバーがスピーカ設置部に設けられ、スピーカ後カバーには低音スピーカ後側に放出される低音をスピーカ後カバーの内部から後側に放出する放音孔部が設けられたりしてもよい。
【発明の効果】
【0005】
本発明に係る遊技音響装置は、中高音スピーカが前側で低音スピーカが後側となるように、中高音スピーカおよび低音スピーカが前後方向に重ねられて配置されることによって、低音スピーカおよび中高音スピーカが音響工学的に良好な場所に設けられるという利点がある。パネル構造体は窓側の前面パネルと後側の後面パネルとを前後方向に離れて相対峙するようにフレームで支持して前面パネルと後面パネルとフレームとで囲まれた閉鎖空間をエンクロージャとして利用したバスレフダクト部を備え、フレームにはバスレフ開口部およびスピーカ設置部が設けられ、スピーカ設置部には低音スピーカから前側に放出される低音をバスレフダクト部に放出するようにかつ低音スピーカから後側に放出される低音をパネル構造体よりも後側に放出するように低音スピーカが取り付けられれば、低音スピーカの後側に放出される低音が前扉の前側に放出される低音と打ち消しあうように干渉する不都合はなく、前扉の前側に放出される中高音と前扉の前側に放出される低音とによる遊技の演出が遊技機枠の前側で遊技を行う遊技者に提供されるという利点がある。パネル構造体の裏側に配置されるように遊技機枠に取り付けられる遊技盤には、低音スピーカを逃げるためのスピーカ逃避部が設けられれば、低音スピーカがパネル構造体から後側に突出しても、遊技盤の前面である遊技領域と後面パネルの裏面との間における球の落下する隙間を適切に確保することができるという利点がある。低音スピーカを後側から被覆するスピーカ後カバーがスピーカ設置部に設けられれば、低音スピーカの後側に放出された音が遊技盤の前面である遊技領域と後面パネルの裏面との間における球の落下する隙間に回り込むことなく、遊技機枠の裏側に適切に導かれるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
図1乃至図6は、発明を実施するための最良の形態である。図1は、遊技機枠1に設けられた遊技音響装置を図3に示すA―A線に沿い切断した断面を示す。図2は、パチンコ遊技機の遊技機枠1および遊技盤36を分解して示す。図3は、パチンコ遊技機の正面を示す。図4は、前扉4およびパネル構造体27を分解して示す。図5は、パネル構造体27における前面パネル52、後面パネル53、フレーム54、スピーカ前カバー67を分解して示す。図6は、パネル構造体27における低音スピーカ30、後面パネル53、フレーム54、ダクトカバー77、スピーカ後カバー90を分解して示す。本明細書において、「前」、「表」、「後」、「裏」、「左」、「右」、「上」、「下」の方向は、図2の状態に遊技機枠1および遊技盤36を置いて矢印Sで示す前側から見た場合に特定される方向である。「前」および「表」は同じ方向である。「後」および「裏」は同じ方向である。
【0007】
図1を参照し、遊技音響装置の構造について説明する。遊技音響装置が設けられる遊技機枠1としてパチンコ遊技機の遊技機枠1を例として説明する。遊技機枠1の前扉4が窓24およびパネル構造体27を備え、中高音スピーカ25が前扉4に設けられ、低音スピーカ30がパネル構造体27に設けられる。パネル構造体27が窓24を塞ぐように前扉4の裏面に固定され、前扉4が閉じられた可動枠3の前面に固定され、可動枠3が閉じられて固定枠2の前側に固定された場合、中高音スピーカ25が前側で低音スピーカ30が後側となるように、中高音スピーカ25および低音スピーカ30が窓24よりも上部に位置して前後方向に重ねられて配置される。中高音スピーカ25および低音スピーカ30は、互いに離れている。前扉4には、中高音放音孔部48が中高音スピーカ25の前側に位置して設けられ、低音放音孔部50が窓24よりも下部に位置して設けられる。そして、中高音スピーカ25から放出された中高音は、中高音放音孔部48を経由して前扉4の上部から前側に放出される。低音スピーカ30から前側に放出された低音は、スピーカ設置部63から閉鎖空間D、バスレフダクト部72、バスレフ開口部55、低音放音孔部50を順に経由して前扉4の下部から前側に放出される。よって、中高音スピーカ25および低音スピーカ30が音響工学的に良好な場所に設けられるという利点がある。
【0008】
図2を参照し、パチンコ遊技機の構造について説明する。遊技機枠1は、固定枠2の前側に可動枠3を開閉可能に備え、可動枠3の前側に前扉4および皿構造体5を開閉可能に備える。固定枠2は、パチンコ遊技機を設置する遊技店の島と呼ばれる遊技機設置設備に固定される外枠とも呼ばれる。可動枠3は、遊技盤36や図外の制御装置など遊技に必要な部品を取り付ける前枠とも呼ばれる。可動枠3は、左側に位置するヒンジ6を中心とし、固定枠2の前側で前側に開かれかつ後側に閉じられるように、片開き可能であって、盤収容部7、中央開口部8、盤後側押出部9、盤前側受止部10、盤掛止操作体11、盤棚12、球発射機構13、球発射レール14、戻り球取入口15、前横樋16、機外排出樋17、施錠装置18、掛止機構19;20;21および掛止解除操作体22が設けられる。盤収容部7は、遊技盤36を可動枠3の前側から格納させるように、前側に開口した方形な箱形である。中央開口部8は、盤収容部7の背壁に、前後方向への貫通孔として形成される。
【0009】
盤後側押出部9は、遊技盤36を前側に押す板ばねのような弾性体である。盤前側受止部10は、盤後側押出部9で前側に押された遊技盤36を受け止める突起である。盤後側押出部9が後側で盤前側受止部10が前側となるように、盤後側押出部9および盤前側受止部10が盤収容部7の左側部に設けられる。盤掛止操作体11は、盤収容部7の背壁から前側に突出し、盤収容部7の背壁と平行な方向に回転可能に、盤収容部7の右側部に設けられる。盤棚12は、遊技盤36を搭載する左右方向に平坦な面として、盤収容部7の下縁部により形成される。球発射機構13、球発射レール14、戻り球取入口15、前横樋16は、盤棚12から下側に延設された前壁の前面に設けられる。機外排出樋17は、盤棚12から下側に延設された前壁の裏面に設けられる。施錠装置18、掛止機構19;20;21、掛止解除操作体22は、可動枠3の右側部に設けられる。
【0010】
前扉4および皿構造体5は、個別に、左側に位置するヒンジ23を中心とし、可動枠3の前側で前側に開かれかつ後側に閉じられるように、片開き可能である。前扉4は、パネル枠とも呼ばれ、前後方向に貫通する窓24を囲む額縁形状である。前扉4の裏面には、中高音スピーカ25、台詞用スピーカ26、パネル構造体27、掛止部材28が設けられる。中高音スピーカ25は、窓24の上部で窓24を境として左右に分かれ、前扉4の裏側から前扉4の裏面に図外の止ねじで取り付けられる。台詞用スピーカ26は、窓24の上部で中高音スピーカ25の間に位置し、前扉4の裏側から前扉4の裏面に図外の止ねじで取り付けられる。パネル構造体27は、左側に位置するヒンジ29を中心とし、前扉4の裏側で裏側に開かれかつ前側に閉じられるように、片開き可能である。パネル構造体27が閉じられて前扉4に掛止部材28で開閉不能に支持されると、パネル構造体27が窓24を裏側から塞ぐ。パネル構造体27には、低音スピーカ30が設けられる。低音スピーカ30がパネル構造体27に設けられる構造は、図5および図6で後述する。
【0011】
皿構造体5の前面には、受皿部31および発射操作機構32が設けられる。皿構造体5の裏面には、球取入口33および球供給口34が設けられる。皿構造体5が閉じられた場合、球発射機構13と球発射レール14と戻り球取入口15および前横樋16が、皿構造体5で覆い隠される。可動枠3が閉じられて固定枠2に掛止機構19で開閉不能に支持され、前扉4および皿構造体5が閉じられて可動枠3に掛止機構20;21で開閉不能に支持された状態において、遊技店の店員が図外のキープレート(鍵)を遊技機枠1の前側から施錠装置18の鍵穴に挿入し、当該キープレートを例えば右側に90度回転操作すると、固定枠2と可動枠3との掛止機構19による支持形態が解除される。この支持形態の解除後に、遊技店の店員が可動枠3を前側に引くことによって、可動枠3はヒンジ6を中心として前側に片開きされる。また、上記施錠装置18の鍵穴に挿入されたキープレートが例えば左側に90度回転操作されると、可動枠3と前扉4との掛止機構20による支持形態が解除される。この支持形態の解除後に、遊技店の店員が前扉4を前側に引くことによって、前扉4はヒンジ23を中心として前側に片開きされる。
【0012】
遊技盤36の遊技領域は、遊技盤36の前面の内ガイドレール37および外ガイドレール38で囲まれた内側の部分であって、遊技機枠1の前側から窓24およびパネル構造体27を経由して視認される。遊技領域には、入賞部品39、センター飾り40、アウト口41、発射通路42、図外の遊技釘その他遊技部品が設けられる。発射通路42は、内ガイドレール37の左側部と外ガイドレール38の左側部との間の隙間によって形成される。入賞部品39は、一般入賞部品、始動入賞部品、可変入賞部品などである。その他遊技部品とは、風車、サイドランプ、フィギャー、キャラクター、保留数表示器などである。遊技盤36の右側部には、取付部43が上下に分かれて設けられる。取付部43には、取付孔44が前後方向への貫通孔として設けられる。下部の取付部43は、遊技盤36の前面に設けられた証紙台45が閉じられると、証紙台45で覆い隠される。遊技盤36の左上隅部が除去されてスピーカ逃避部46を構成する。
【0013】
そして、前扉4が少なくとも前側に開かれた状態において、遊技盤36の左側部が可動枠3の前側から盤後側押出部9と盤前側受止部10との間に挿入され、遊技盤36の右側部が遊技店の店員によって前側から後側に押され、盤掛止操作体11が遊技盤36の裏側から取付孔44に挿入され、遊技店の店員が遊技盤36の前側に突出した盤掛止操作体11を例えば90度回転操作することによって、盤掛止操作体11が遊技盤36の前面に掛け止められ、遊技盤36の遊技領域が前側に向けられ、遊技盤36が可動枠3の内部における盤収容部7に装着される。そして、前扉4が閉じられた場合、低音スピーカ30の後部が遊技盤36の前側からスピーカ逃避部46を経由して遊技盤36の裏側に突出する。閉じられた前扉4が可動枠3に掛止機構20で開閉不能に支持されることによって、遊技盤36の遊技領域が遊技機枠1の窓24およびパネル構造体27を通して見える形態となる。その後、遊技店の店員がキープレートを施錠装置18の鍵穴から前側に抜き取る。
【0014】
図3を参照し、前扉4および皿構造体5が閉じられた遊技機枠1の正面の構造について説明する。前扉4の前面には、中高音放音孔部48、台詞放音孔部49、低音放音孔部50が設けられる。中高音放音孔部48は、窓24よりも上部で左右に分かれて設けられる。台詞放音孔部49は、中高音放音孔部48の間の中央に配置され、窓24よりも上部に設けられる。低音放音孔部50は、窓24よりも下部で左右に分かれて設けられる。そして、図外の制御装置が電力供給を受けて起動し、パチンコ球と呼ばれる球が受皿部31に入れられ、遊技者が発射操作機構32を操作し、発射操作機構32から操作量に相当する電気的な出力が制御装置に入力され、制御装置が球発射機構13を駆動すると、球発射機構13が受皿部31から球供給口34を経由して球発射レール14に供給された球を1個ずつ発射操作機構32による操作量に応じた機械的な出力で遊技盤36の遊技領域に向けて発射する。遊技領域に発射された球が入賞部品39に入賞し、図外の球検出器が入賞部品39に入賞した球を検出した入賞信号を制御装置に出力し、制御装置が入賞信号に基づき中高音スピーカ25または台詞用スピーカ26または低音スピーカ30を駆動すると、中高音が中高音スピーカ25から中高音放音孔部48を経由して前扉4の上部から前側に放出され、台詞が台詞用スピーカ26から台詞放音孔部49を経由して前扉4の上部から前側に放出され、低音が低音スピーカ30から低音放音孔部50を経由して前扉4の下部から前側に放出される。
【0015】
図4を参照し、パネル構造体27の概略構造について説明する。パネル構造体27は、低音スピーカ30、前面パネル52、後面パネル53、フレーム54、バスレフ開口部55を備える。前面パネル52は、窓24の裏側に配置されかつ窓24を塞ぐ大きさのガラス板により構成される。後面パネル53は、前面パネル52の後側に配置されかつ窓24を塞ぐ大きさのガラス板により構成される。パネル構造体27が前扉4の裏面に取り付けられた場合、バスレフ開口部55が、低音放音孔部50と繋がるように、パネル構造体27の下部に設けられる。
【0016】
図5を参照し、パネル構造体27の前側からの内部構造について説明する。前面パネル52には、張出部56が左上部に設けられる。フレーム54は、合成樹脂、アルミニウム合金またはマグネシウム合金などの軽金属により、バスレフ開口部55、フレーム基盤57、透視開口部58、前パネル収容部59、ヒンジブラケット60、ヒンジピン61、掛止受止部62、スピーカ設置部63、前カバー取付部64、前ガラス支持体65などを一体に備えた形状に形成される。フレーム基盤57は、前面パネル52および後面パネル53よりも大形な外形を有する。透視開口部58は、図4の窓24よりも大きな相似形で、前後方向への貫通孔として、フレーム基盤57に設けられる。前パネル収容部59は、透視開口部58を縁取るように囲み、フレーム基盤57の前面と透視開口部58とに開口し、フレーム基盤57の前面から内部への窪みとして、フレーム基盤57に設けられる。前パネル収容部59の外周は、前面パネル52が前パネル収容部59に取り込まれるように前面パネル52の外周と同じ大きさであるが、前面パネル52が前パネル収容部59に接着剤で接着される場合は、前パネル収容部59は、前面パネル52よりも接着剤の厚さだけ大きい。前パネル収容部59におけるフレーム基盤57の前面から内部に窪む寸法は、前面パネル52の前後方向の寸法である厚さと同じである。前面パネル52がフレーム54の前側から透視開口部58の前側を塞ぐようにフレーム54に装着されることによって、前面パネル52の周縁部が前パネル収容部59に嵌め込まれて接着剤で固定される。
【0017】
ヒンジブラケット60は、フレーム54の左側部に設けられ、フレーム54の左側部から左側に突出しかつ上下に分かれる。ヒンジピン61は、ヒンジブラケット60に個別に設けられ、ヒンジブラケット60から下方に突出する。掛止受止部62は、フレーム54の右側部に設けられ、フレーム54の右側部から右側に突出しかつ上下に分かれる。スピーカ設置部63は、フレーム基盤57の左上部に、前パネル収容部59の内外に跨り、前後方向に貫通する筒状に設けられる。前カバー取付部64は、スピーカ設置部63のフレーム基盤57よりも外側に突出する部分に設けられる。前ガラス支持体65は、前面パネル52を受け止めるものであって、透視開口部58とスピーカ設置部63との間における透視開口縁部66に、透視開口縁部66の周方向に離れて複数設けられ、透視開口縁部66から前側に突出した突起物である。
【0018】
スピーカ設置部63の前面には、スピーカ前カバー67が取り付けられる。スピーカ前カバー67は、スピーカ設置部63のフレーム基盤57よりも外側に突出する部分における貫通孔を被覆する大きさの板状である。スピーカ前カバー67には、取付孔68がねじを挿入するための前後方向への貫通孔として設けられる。そして、スピーカ前カバー67がフレーム54の前側からフレーム基盤57よりも外側に突出する部分における貫通孔を被覆するようにスピーカ設置部63に配置され、タッピングスクリューのような止ねじ69が取付孔68を経由して前カバー取付部64に締結される。これによって、スピーカ前カバー67がスピーカ設置部63のフレーム54よりも外側に突出する部分を音漏れしないように塞ぐ。
【0019】
図6を参照し、パネル構造体27の裏側からの内部構造について説明する。フレーム54には、後パネル収容部71、バスレフダクト部72が設けられる。後パネル収容部71は、透視開口部58を縁取るように囲み、フレーム基盤57の裏面と透視開口部58とに開口し、フレーム基盤57の後面から内部への窪みとして、フレーム基盤57に設けられる。後パネル収容部71の外周は、後面パネル53が後パネル収容部71に取り込まれるように後面パネル53の外周と同じ大きさであるが、後面パネル53が後パネル収容部71に接着される場合は、後パネル収容部71は、後面パネル53よりも接着剤の厚さだけ大きい。後パネル収容部71のフレーム基盤57の裏面から内部に窪む寸法は、後面パネル53の前後方向の寸法である厚さと同じである。後面パネル53がフレーム54の裏側から透視開口部58の裏側を塞ぐようにフレーム54に装着されることによって、後面パネル53の周縁部が後パネル収容部71に嵌め込まれて接着剤で固定される。
【0020】
バスレフダクト部72は、除去部73と隔壁74および導入部75によって、スピーカ設置部63、前面パネル52と後面パネル53およびフレーム54で囲まれた閉鎖空間D、バスレフ開口部55を相互に繋ぐ、空気の振動による音の矢印X1で示す伝達路を形成する。除去部73は、後パネル収容部71における左下部および右下部が取り除かれたことによって、フレーム基盤57の裏面から前側内部への窪みとして、透視開口部58の周縁部を残す形状に構成される。隔壁74は、除去部73によってフレーム基盤57に残された透視開口部58の周縁部の裏面から裏側に突出し、バスレフ開口部55を囲む突条である。導入部75は、隔壁74の上部が除去部73の透視開口部58に繋がるように取り除かれたことによって形成される。除去部73には、ダクトカバー取付部76が筒状の突起として設けられる。
【0021】
フレーム54の裏面には、ダクトカバー77が取り付けられる。ダクトカバー77は、除去部73と隔壁74および導入部75を全体的に被覆する大きさの板状である。ダクトカバー77には、後パネル収容部78および取付孔79が設けられる。後パネル収容部78は、ダクトカバー77がフレーム54に取り付けられた場合、後パネル収容部71に繋がる部分である。取付孔79は、ねじを挿入するための前後方向への貫通孔である。そして、ダクトカバー77がフレーム54の後側から除去部73と隔壁74および導入部75を被覆するようにフレーム54の裏面に配置され、タッピングスクリューのような止ねじ80が取付孔79を経由してダクトカバー取付部76に締結される。これによって、ダクトカバー77が、フレーム54に取り付けられ、除去部73と隔壁74および導入部75を全体的に音漏れしないように塞ぐ。その後、後面パネル53が後パネル収容部71;78に収容されてフレーム54に接着剤で取り付けられることによって、バスレフダクト部72はスピーカ設置部63と閉鎖空間Dおよびバスレフ開口部55を相互に繋ぐ、空気の振動による音の伝達路を形成する。
【0022】
スピーカ設置部63の内部には、スピーカ取付部81が設けられる。スピーカ設置部63の外部には、後カバー取付部82が設けられる。低音スピーカ30は、円錐形なコーン83の後部に音響変換部84を備え、コーン83の前縁部から外側にフランジ85を突出し、フランジ85に複数のねじ挿入孔86を備え、音響変換部84が音響変換部84から外側に突出した被覆電線からなる引出線87から入力された音電流を機械的な振動に変換してコーン83に伝達し、コーン83が伝達された振動を低音波として拡大して放出する。引出線87にはコネクタ88が設けられる。そして、コーン83が前側に向けられるように、低音スピーカ30がフレーム54の後側からスピーカ設置部63に配置された場合、コーン83および音響変換部84がスピーカ設置部63に接触せず、フランジ85の前面がスピーカ取付部81の裏面に接触する。そして、タッピングスクリューのような止ねじ89が低音スピーカ30の後側からねじ挿入孔86を経由してスピーカ取付部81に締結される。これによって、低音スピーカ30が、スピーカ設置部63から裏側に突出するように、スピーカ設置部63に取り付けられる。
【0023】
低音スピーカ30には、スピーカ後カバー90が被せられる。スピーカ後カバー90は、前側に開口した箱形である。スピーカ後カバー90の前側開口の周縁部には、取付部としてのねじ挿入孔91が設けられる。スピーカ後カバー90の後壁には、多数の貫通孔からなる放音孔部92が設けられる。スピーカ後カバー90が低音スピーカ30に被せられる場合、コネクタ88がスピーカ後カバー90の前側から放音孔部92を構成する1つの貫通孔に挿入されてスピーカ後カバー90の後側に引き出されることによって、引出線87がスピーカ後カバー90の後壁に貫通させられる。そして、スピーカ後カバー90が低音スピーカ30の後側から低音スピーカ30に被せられ、スピーカ後カバー90の前側開口の周縁部がスピーカ設置部63の裏面に接触され、タッピングスクリューのような止ねじ93がスピーカ後カバー90の後側からねじ挿入孔91を経由して後カバー取付部82に締結されることによって、スピーカ後カバー90がスピーカ設置部63に取り付けられる。この最良の形態は、バスレフ開口部55およびスピーカ設置部63がフレーム54に設けられているので、バスレフ開口部55およびスピーカ設置部63を図4の前面パネル52に設ける場合に比べ、前面パネル52の構造が簡単なものとなるという利点がある。
【0024】
図4に示すように、前述したように構成された遊技音響装置を備えたパネル構造体27のヒンジピン61が、前扉4の裏面に設けられた図外のヒンジ孔に上方から嵌め込まれることによって、パネル構造体27が前扉4の裏面に取り付けられる。ヒンジピン61と図外のヒンジ孔とが図2のヒンジ29を構成する。そして、図2に示すように、パネル構造体27がヒンジ29を中心として前扉4の裏側に閉じられ、掛止部材28が遊技店の店員によって操作されて掛止受止部62の裏面に掛け止められ、パネル構造体27が前扉4の裏面に開閉不能に支持されると、パネル構造体27が窓24を裏側から塞ぎ、低音スピーカ30の前側には中高音スピーカ25が離れて重ねられるように配置される。
【0025】
最良の形態によれば、図1に示すように、低音スピーカ30のコーン83から前側に放出された音は、空気の振動による音の矢印X1で示す伝達路により、スピーカ設置部63の内部における貫通孔の前側からバスレフダクト部72とバスレフ開口部55および低音放音孔部50を経由して前扉4の左右下部から前側に放出される。低音スピーカ30のコーン83から後側に放出された音は、空気の振動による音の矢印X2で示す伝達路により、スピーカ設置部63の内部における貫通孔の後側からスピーカ後カバー90の内部と放音孔部92および遊技盤36のスピーカ逃避部46を経由して遊技盤36の裏側に放出される。低音スピーカ30の前側に配置された中高音スピーカ25から前側に放出された音は、空気の振動による音の矢印X3で示す伝達路により、中高音放音孔部48を経由して前扉4の斜め下方前側に向けて放出される。
【0026】
つまり、中高音が中高音スピーカ25から中高音放音孔部48を経由して前扉4の下部前側に放出され、低音が低音スピーカ30から閉鎖空間Dをエンクロージャとして利用したバスレフダクト部72とバスレフ開口部55および低音放音孔部50を経由して前扉4の下部前側に放出される。よって、前扉4の上部前側に放出中高音と前扉4の下部前側に放出される低音とによって、音による遊技の演出が遊技機枠1の前側で遊技を行う遊技者に提供されるという利点がある。低音スピーカ30の後側に放出される低音は、遊技機枠1の後側に放出されるので、前扉4の下部前側に放出される低音と打ち消しあうように干渉する不都合はないという利点がある。遊技盤36がスピーカ逃避部46を備えているので、低音スピーカ30がパネル構造体27から後側に突出しても、遊技盤36の前面である遊技領域と後面パネル53の裏面との間における球Pの落下する隙間94を適切に確保することができるという利点がある。スピーカ後カバー90が低音スピーカ30を被覆してスピーカ設置部63に設けられ、スピーカ後カバー90には放音孔部92が設けられているので、低音スピーカ30の後側に放出された音が、隙間94に回り込むことなく、遊技機枠1の裏側に適切に導かれる。
【0027】
図1において、前扉4とパネル構造体27との境を明確に示すために、パネル構造体27の前面パネル52の前面が窓24を囲む前扉4の裏面から離れているように図示してあるが、パネル構造体27が前扉4に開閉不能に閉じられた場合、前面パネル52の前面が窓24を囲む前扉4の裏面に接触する。図6ではフレーム54の裏面からの除去部73の深さは同じ寸法のように図示して図面の明確化を優先したのに対し、図1ではフレーム54の裏面からの除去部73の深さは異なる寸法のように図示した。この図1に対する理由は、隔壁74で囲まれる部分での除去部73の深さが前パネル収容部59に対応する部分での除去部73の深さよりも深く形成されることによって、隔壁74で囲まれる部分におけるバスレフダクト部72の前後方向の寸法H1が、前パネル収容部59と後パネル収容部71との対向する前後方向の寸法H2よりも大きくなり、バスレフダクト部72の容積が低音放音孔部50から放出される低音を良好に保つように形成するためである。
【産業上の利用可能性】
【0028】
図5において、スピーカ前カバー67は、止ねじ69のような固着具を使用することなく、接着剤でスピーカ設置部63に取り付けてもよい。図6において、ダクトカバー77は、止ねじ80のような固着具を使用することなく、接着剤でフレーム54に取り付けてもよい。中高音スピーカ25および低音スピーカ30が前後方向に重ねられて配置される場所は、遊技機枠1の左上部に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】図3のA−A線断面図(最良の形態)。
【図2】パチンコ遊技機の分解斜視図(最良の形態)。
【図3】パチンコ遊技機の正面図(最良の形態)。
【図4】前扉およびパネル構造体の分解斜視図(最良の形態)。
【図5】パネル構造体の前側の分解斜視図(最良の形態)。
【図6】パネル構造体の後側の分解斜視図(最良の形態)。
【符号の説明】
【0030】
1 遊技機枠
4 前扉
24 窓
25 中高音スピーカ
27 パネル構造体
30 低音スピーカ
36 遊技盤
46 スピーカ逃避部
48 中高音放音孔部
50 低音放音孔部
52 前面パネル
53 後面パネル
54 フレーム
55 バスレフ開口部
72 バスレフダクト部
90 スピーカ後カバー
92 放音孔部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機枠の前扉が前後方向に貫通する窓と窓を塞ぐように前扉の裏面に設けられたパネル構造体とを備え、中高音スピーカが前扉に設けられ、低音スピーカがパネル構造体に設けられたことによって、中高音スピーカが前側で低音スピーカが後側となるように、中高音スピーカおよび低音スピーカが前後方向に重ねられて配置されたことを特徴とする遊技音響装置。
【請求項2】
パネル構造体は窓側の前面パネルと後側の後面パネルとを前後方向に離れて相対峙するようにフレームで支持して前面パネルと後面パネルとフレームとで囲まれた閉鎖空間をエンクロージャとして利用したバスレフダクト部を備え、フレームにはバスレフ開口部およびスピーカ設置部が設けられ、スピーカ設置部には低音スピーカから前側に放出される低音をバスレフダクト部に放出するようにかつ低音スピーカから後側に放出される低音をパネル構造体よりも後側に放出するように低音スピーカが取り付けられたことを特徴とする請求項1記載の遊技音響装置。
【請求項3】
パネル構造体の裏側に配置されるように遊技機枠に取り付けられる遊技盤には、低音スピーカを逃げるためのスピーカ逃避部が設けられたことを特徴とする請求項1記載の遊技音響装置。
【請求項4】
低音スピーカを後側から被覆するスピーカ後カバーがスピーカ設置部に設けられ、スピーカ後カバーには低音スピーカ後側に放出される低音をスピーカ後カバーの内部から後側に放出する放音孔部が設けられたことを特徴とする請求項1記載の遊技音響装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−175101(P2007−175101A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−373915(P2005−373915)
【出願日】平成17年12月27日(2005.12.27)
【出願人】(000154679)株式会社平和 (1,976)
【Fターム(参考)】