説明

運動対象輪郭トラッキング装置、心筋運動解析装置、運動対象輪郭トラッキング方法および心筋運動解析方法

【課題】スライス画像の時間シーケンスの中から運動対象の輪郭を正確に抽出することができる運動対象輪郭トラッキング装置、心筋運動解析装置、運動対象輪郭トラッキング方法および心筋運動解析方法を提供すること。
【解決手段】実施形態の運動対象輪郭トラッキング装置では、輪郭トラッキング部は、運動対象のスライス画像の時間シーケンスに対して第一時間方向及び第二時間方向で輪郭トラッキングをそれぞれ行い、各スライス画像の第一輪郭及び第二輪郭を取得する。輪郭比較部は、所定のスライス画像における第一輪郭と初期輪郭との第一相似度、及び第二輪郭と初期輪郭との第二相似度を計算する。輪郭補正部は、第一相似度と第二相似度とで大きい方に対応する方向で得られた各スライス画像の輪郭を運動対象の輪郭とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコンピュータによる画像解析分野に関し、具体的には、運動対象輪郭トラッキング装置、心筋運動解析装置、運動対象輪郭トラッキング方法および心筋運動解析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
運動対象、とりわけ変形運動の運動対象の輪郭抽出は、コンピュータによる画像解析分野における重要な研究アイテムの一つである。実際の適用において、例えば、医用分野では、コンピュータ断層撮影(Computed Tomography、CT)装置、核磁気共鳴画像診断装置(Magnetic Resonance Imaging、MRI)、超音波(Ultrasound、UL)画像診断装置等の医用画像診断装置により取得された三次元画像の時間シーケンスの中から被検体内の構造物あるいはその一部分の輪郭を抽出する技術に関するものであり、被検体内の構造物に関する各種パラメータに対する計測のために大変有用である。
【0003】
典型的な運動対象輪郭取得の方法では、各時相(phase)において、独立に運動対象の輪郭を取得している。各時相において独立に取得しているので、特定時相においては取得が正確にいかない場合がある。
【0004】
運動追跡のその他の方法に基づいて運動対象の一運動周期内の輪郭を追跡する。このような方法においては、誤差の累積が発生し、第一位相と最後の位相で得られた輪郭とで大きな差が生じる。
【0005】
また、心臓病学分野においては、通常、核磁気共鳴画像技術による心臓の三次元画像の時間シーケンス(3D+T)が用いられている。医師は心室や心内膜、心外膜の識別に関心を寄せている。識別された心室、心内膜や心外膜の輪郭は、異なる心周期での心室血容量(駆出率(Ejection Fraction、EF))、心壁運動や壁厚特性等のパラメータの計測に用いることができる。その中でも、左心室(LV)は、血液酸素を心臓ポンプから全身の各臓器組織へ送り出す役割があり、特に重要である。
【0006】
また、心筋運動を定量化するため、現在までに様々な医用運動画像処理技術が開発されてきている。これらの技術にはスペックルトラッキング(Speckle tracking)、マイオカーディアルタギング(myocardial tagging)、心筋の初期輪郭に対する登記や伝播輪郭および各種心筋分割法等が含まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第7,558,402号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、スライス画像の時間シーケンスの中から運動対象の輪郭を正確に抽出することができる運動対象輪郭トラッキング装置、心筋運動解析装置、運動対象輪郭トラッキング方法および心筋運動解析方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施の形態の運動対象輪郭トラッキング装置は、スライス画像の時間シーケンスにおいて、周期的に変形運動する運動対象の輪郭をトラッキングし、前記スライス画像の時間シーケンスはそれぞれ前記運動対象の一運動周期における複数の時刻において取得された複数のスライス画像を含む運動対象輪郭トラッキング装置において、輪郭トラッキング部と、輪郭比較部と、輪郭補正部とを備える。輪郭トラッキング部は、前記運動対象の前記スライス画像の時間シーケンスに対して第一時間方向で輪郭トラッキングを行い前記スライス画像の時間シーケンスにおける各スライス画像の第一輪郭を取得し、前記スライス画像の時間シーケンスに対して第二時間方向で輪郭トラッキングを行い前記スライス画像の時間シーケンスにおける各スライス画像の第二輪郭を取得する。輪郭比較部は、前記運動対象のスライス画像の時間シーケンスにおける所定のスライス画像における初期輪郭と前記所定のスライス画像における第一輪郭との相似度を計算して第一相似度とし、前記初期輪郭と前記所定のスライス画像における第二輪郭との相似度を計算して第二相似度とする。輪郭補正部は、前記輪郭トラッキング部において前記第一相似度と前記第二相似度とで大きい方に対応する輪郭トラッキング方向において得られた各スライス画像の輪郭を前記運動対象の相応するスライス画像における輪郭とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に基づく運動対象輪郭トラッキング方法を示すフロー図である。
【図2】図2は、本発明の前記実施形態に基づく運動対象輪郭トラッキング方法の一応用例を示す図である。
【図3】図3は、本発明の一実施形態に基づく輪郭トラッキングステップを示すフロー図である。
【図4】図4は、輪郭関心領域とトラッキング単位領域の一例を示す図である。
【図5】図5は、ユークリッド座標系と極座標系の変換関係を示す図である。
【図6】図6は、本発明の一実施形態に基づく左心室の初期輪郭の取得を示すフロー図である。
【図7】図7は、本発明の一実施形態に基づく左心室の心内膜輪郭の取得を示すフロー図である。
【図8a】図8aは、極座標系におけるスライス画像のグレイスケール画像を示す図である。
【図8b】図8bは、図8aにおけるグレイスケール画像の水平投影を示す図である。
【図9】図9は、本発明の他の実施形態に基づく左心室の初期輪郭の取得を示すフロー図である。
【図10】図10は、本発明の一実施形態に基づく左心室の心外膜輪郭の取得を示すフロー図である。
【図11a】図11aは、極座標系におけるスライス画像のエッジ画像を示す図である。
【図11b】図11bは、図11aにおけるエッジ画像の水平投影を示す図である。
【図12a】図12aは、極座標系において取得した心内膜輪郭と心外膜輪郭を示す図である。
【図12b】図12bは、図12aにおいて取得した心内膜輪郭と心外膜輪郭の原始スライス画像上への変換を示す図である。
【図13】図13は、本発明の他の実施形態に基づく運動対象輪郭トラッキング方法を示すフロー図である。
【図14】図14は、本発明の一実施形態に基づく心筋運動解析方法を示すフロー図である。
【図15】図15は、本発明の前記実施形態に基づく関連ポイントペアを示す図である。
【図16】図16は、本発明の一実施形態に基づく心筋運動ベクトルを示す図である。
【図17】図17は、本発明の一実施形態に基づく運動ベクトルの時間シーケンスに対する平滑化を示す図である。
【図18】図18は、本発明の一実施形態に基づく心筋ひずみの正投影図である。
【図19】図19は、本発明の他の一実施形態に基づく心筋運動解析方法を示すフロー図である。
【図20】図20は、本発明の一実施形態に基づく運動対象輪郭トラッキング装置を示すブロック図である。
【図21】図21は、本発明の一実施形態に基づく輪郭トラッキング部を示すブロック図である。
【図22】図22は、本発明の他の一実施形態に基づく運動対象輪郭トラッキング装置を示すブロック図である。
【図23】図23は、本発明の一実施形態に基づく初期輪郭取得部を示すブロック図である。
【図24】図24は、本発明の一実施形態に基づく心内膜輪郭取得部を示すブロック図である。
【図25】図25は、本発明の他の一実施形態に基づく初期輪郭取得部を示すブロック図である。
【図26】図26は、本発明の一実施形態に基づく心外膜輪郭取得部を示すブロック図である。
【図27】図27は、本発明の他の一実施形態に基づく運動対象輪郭トラッキング装置を示すブロック図である。
【図28】図28は、本発明の一実施形態に基づく心筋運動解析装置を示すブロック図である。
【図29】図29は、本発明の他の一実施形態に基づく心筋運動解析装置を示すブロック図である。
【図30】図30は、本発明の他の一実施形態に基づく心筋運動解析装置を示すブロック図である。
【図31】図31は、本発明の他の一実施形態に基づく心筋運動解析装置を示すブロック図である。
【図32】図32は、本発明の他の一実施形態に基づく心筋運動解析装置を示すブロック図である。
【図33】図33は、本発明の実施形態に基づく方法/装置を実現するためのコンピュータの構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本実施形態は、運動対象の輪郭トラッキング方法および装置、あるいは心筋運動解析方法および装置に関する。前記運動対象輪郭トラッキング装置は、スライス画像の時間シーケンスにおいて周期性変形運動の運動対象の輪郭をトラッキングする運等対象輪郭トラッキング装置であって、運動対照の所定のスライス画像における初期輪郭を開始輪郭とし、第一時間方向において輪郭トラッキングを行い運動対象の各スライス画像における第一輪郭を取得し、第二時間方向において輪郭トラッキングを行い運動対象の各スライス画像における第二輪郭を取得する輪郭トラッキング部と、前記所定のスライス画像における第一輪郭と初期輪郭の相似度および第二輪郭と初期輪郭の相似度を計算する輪郭比較部と、2つの相似度を比べて大きい方に対応する輪郭トラッキング方向において得られた各スライス画像における輪郭を運動対象の対応するスライス画像における輪郭とする輪郭補正部とを具備する。
【0012】
以下において、本実施形態の基本的理解のために、その一例の概要について説明する。ただし、この概要は、本実施形態のキーワードや重要な部分を確定するものではなく、本実施形態の範囲を限定するものでもない。その目的は、単に、本実施形態の概念を簡潔に説明するためのものであり、その後に論述する更に詳細な説明の序章にすぎない。
【0013】
本発明の目的は、スライス画像の時間シーケンスの中から運動対象の輪郭を正確に抽出する運動対象輪郭トラッキング方法および装置を提供することである。本発明の他の目的は、三次元画像の時間シーケンスの中から運動対象の輪郭を正確に抽出する運動対象輪郭トラッキング方法および装置を提供することである。本発明の他の目的は、医用スライス画像の時間シーケンスにおいて左心室の心筋の運動を安定的に解析する心筋運動解析方法および装置を提供することである。本発明の他の目的は、三次元医用画像の時間シーケンスにおいて左心室の心筋の運動を安定的に解析する心筋運動解析方法および装置を提供することである。
【0014】
本発明の運動対象輪郭トラッキング方法によれば、スライス画像の時間シーケンスにおいて、周期性変形運動の運動対象の輪郭をトラッキングし、前記スライス画像の時間シーケンスはそれぞれ前記運動対象の一運動周期における複数の時刻において取得された複数のスライス画像を含む運動対象輪郭トラッキング方法において、前記運動対象の該スライス画像の時間シーケンスにおける予め定められたスライス画像における初期輪郭を開始輪郭とし、第一時間方向の前記スライス画像の時間シーケンスにおいて輪郭トラッキングを行い前記運動対象の前記スライス画像の時間シーケンスにおける各スライス画像の第一輪郭を取得すると共に、前記第一時間方向の最後のスライス画像を第一スライス画像の直前スライス画像とし、前記初期輪郭を開始輪郭とし、第二時間方向の前記スライス画像の時間シーケンスにおいて輪郭トラッキングを行い前記運動対象の前記スライス画像の時間シーケンスにおける各スライス画像の第二輪郭を取得すると共に、前記第二時間方向の最後のスライス画像を第一スライス画像の直前スライス画像とし、前記運動対象の前記予め定められたスライス画像における第一輪郭と前記初期輪郭の相似度を計算して第一相似度とし、前記運動対象の前記予め定められたスライス画像における第二輪郭と前記初期輪郭の相似度を計算して第二相似度とし、前記輪郭トラッキング部において前記第一相似度と前記第二相似度とで大きい方に対応する輪郭トラッキング方向において得られた各スライス画像の輪郭を前記運動対象の相応するスライス画像における輪郭とすることを特徴とする。
【0015】
本発明の運動対象輪郭トラッキング方法によれば、三次元画像の時間シーケンスにおける、周期性変形運動の運動対象の輪郭をトラッキングするための運動対象輪郭トラッキング方法であって、前記三次元画像の時間シーケンスは、それぞれ運動対象の一運動周期における複数の時刻で取得された複数の三次元画像を含み、各三次元画像は互いに平行の複数の二次元スライス画像からなり、前記複数の三次元画像において同一位置での複数の二次元スライス画像は一スライス画像の時間シーケンスを構成する運動対象輪郭トラッキング方法において、本発明に基づく上述の運動対象輪郭トラッキング方法により、それぞれ各一スライス画像の時間シーケンスにおける、運動対象の輪郭をトラッキングし、前記運動対象の同一時刻における前記複数の二次元スライス画像の輪郭は前記運動対象の該時刻における三次元輪郭を構成することを特徴とする。
【0016】
本発明の心筋運動解析方法によれば、医用スライス画像の時間シーケンスにおいて、左心室の心筋運動を解析するための心筋運動解析方法であって、前記スライス画像の時間シーケンスは、それぞれ一心周期における複数の時刻において前記左心室の、左心室の長軸と互いに交わる一断面に基づいて得られる複数のスライス画像を含む心筋運動解析方法において、左心室の各スライス画像における心内膜輪郭と心外膜輪郭を取得し、前記スライス画像の時間シーケンスにおけるリファレンススライス画像の中の心内膜輪郭と心外膜輪郭上の輪郭点を複数の関連ポイントペアとして配置し、各関連ポイントペアは、心内膜輪郭上の一輪郭点と心外膜輪郭上の一輪郭点を含み、各関連ポイントペアにおける2つの輪郭点は左心室壁の前記リファレンススライス画像の中のリファレンス輪郭の同一法線上に位置させ、各関連ポイントペアの前記スライス画像の時間シーケンスにおけるその他のスライス画像上の位置を確定し、前記複数の関連ポイントペアの前記スライス画像の時間シーケンスにおける隣接するスライス画像の位置に基づいて、左心室の心内膜輪郭と心外膜輪郭で限定される心筋の前記隣接するスライス画像間の運動ベクトルを計算することを特徴とする。
【0017】
本発明の心筋運動解析方法によれば、三次元医用画像の時間シーケンスにおいて、左心室の心筋の運動を解析し、前記三次元医用画像の時間シーケンスは、それぞれ一心周期における複数の時刻において取得した複数の三次元画像を含み、各三次元画像は前記左心室の長軸と交わる複数の平行の二次元スライス画像から構成され、前記複数の三次元画像における同一位置の複数の二次元スライス画像は一つのスライス画像の時間シーケンスを構成する心筋運動解析方法であって、更に、本発明に基づく上述の心筋運動解析方法によりそれぞれ各医用スライス画像の時間シーケンスにおいて左心室の心筋の運動を解析し、心筋の同一時刻での前記複数の二次元スライス画像における運動は左心室の該時刻での運動を構成することを特徴とする。
【0018】
本発明の運動対象輪郭トラッキング装置によれば、スライス画像の時間シーケンスにおいて、周期性変形運動の運動対象の輪郭をトラッキングし、前記スライス画像の時間シーケンスはそれぞれ前記運動対象の一運動周期における複数の時刻において取得された複数のスライス画像を含む運動対象輪郭トラッキング装置において、前記運動対象の該スライス画像の時間シーケンスにおける予め定められたスライス画像における初期輪郭を開始輪郭とし、第一時間方向の前記スライス画像の時間シーケンスにおいて輪郭トラッキングを行い前記運動対象の前記スライス画像の時間シーケンスにおける各スライス画像の第一輪郭を取得すると共に、前記第一時間方向の最後のスライス画像を第一スライス画像の直前スライス画像とし、前記初期輪郭を開始輪郭とし、第二時間方向の前記スライス画像の時間シーケンスにおいて輪郭トラッキングを行い前記運動対象の前記スライス画像の時間シーケンスにおける各スライス画像の第二輪郭を取得すると共に、前記第二時間方向の最後のスライス画像を第一スライス画像の直前スライス画像とする輪郭トラッキング部と、前記運動対象の前記予め定められたスライス画像における第一輪郭と前記初期輪郭の相似度を計算して第一相似度とし、前記運動対象の前記予め定められたスライス画像における第二輪郭と前記初期輪郭の相似度を計算して第二相似度とする輪郭比較部と、前記輪郭トラッキング部において前記第一相似度と前記第二相似度とで大きい方に対応する輪郭トラッキング方向において得られた各スライス画像の輪郭を前記運動対象の相応するスライス画像における輪郭とする輪郭補正部とを具備することを特徴とする。
【0019】
本発明の運動対象輪郭トラッキング装置によれば、三次元画像の時間シーケンスにおける、周期性変形運動の運動対象の輪郭をトラッキングするための運動対象輪郭トラッキング装置であって、前記三次元画像の時間シーケンスは、それぞれ運動対象の一運動周期における複数の時刻で取得された複数の三次元画像を含み、各三次元画像は互いに平行の複数の二次元スライス画像からなり、前記複数の三次元画像において同一位置での複数の二次元スライス画像は一スライス画像の時間シーケンスを構成する運動対象輪郭トラッキング装置において、本発明に基づく上述の運動対象輪郭トラッキング装置によって実行され、それぞれ各一スライス画像の時間シーケンスにおける、運動対象の輪郭をトラッキングするためのトラッキング部を有し、前記運動対象の同一時刻における前記複数の二次元スライス画像の輪郭は前記運動対象の該時刻における三次元輪郭を構成することを特徴とする。
【0020】
本発明の心筋運動解析装置によれば、医用スライス画像の時間シーケンスにおいて、左心室の心筋運動を解析するための心筋運動解析装置であって、前記スライス画像の時間シーケンスは、それぞれ一心周期における複数の時刻において前記左心室の、左心室の長軸と互いに交わる一断面に基づいて得られる複数のスライス画像を含む心筋運動解析装置において、左心室の各スライス画像における心内膜輪郭と心外膜輪郭を取得する輪郭取得部と、前記スライス画像の時間シーケンスにおけるリファレンススライス画像の中の心内膜輪郭と心外膜輪郭上の輪郭点を複数の関連ポイントペアとして配置し、各関連ポイントペアは、心内膜輪郭上の一輪郭点と心外膜輪郭上の一輪郭点を含み、各関連ポイントペアにおける2つの輪郭点は左心室壁の前記リファレンススライス画像の中のリファレンス輪郭の同一法線上に位置する関連ポイントペア配置部と、各関連ポイントペアの前記スライス画像の時間シーケンスにおけるその他のスライス画像上の位置を確定する関連ポイントペアトラッキング部と、前記複数の関連ポイントペアの前記スライス画像の時間シーケンスにおける隣接するスライス画像の位置に基づいて、左心室の心内膜輪郭と心外膜輪郭で限定される心筋の前記隣接するスライス画像間の運動ベクトルを計算する運動ベクトル計算部とを具備することを特徴とする。
【0021】
本発明の心筋運動解析装置によれば、三次元医用画像の時間シーケンスにおいて、左心室の心筋の運動を解析し、前記三次元医用画像の時間シーケンスは、それぞれ一心周期における複数の時刻において取得した複数の三次元画像を含み、各三次元画像は前記左心室の長軸と交わる複数の平行の二次元スライス画像から構成され、前記複数の三次元画像における同一位置の複数の二次元スライス画像は一つのスライス画像の時間シーケンスを構成する心筋運動解析装置であって、更に、本発明に基づく上述の心筋運動解析装置により実行され、それぞれ各医用スライス画像の時間シーケンスにおいて左心室の心筋の運動を解析する解析部を有し、心筋の同一時刻での前記複数の二次元スライス画像における運動は左心室の該時刻での運動を構成することを特徴とする。
【0022】
また、本発明は、更に上述方法を実現するためのコンピュータプログラムを提供する。
【0023】
更に、本発明は、更に少なくともコンピュータ読み取り可能な媒体形式のコンピュータプログラム製品を提供し、その上、上述方法を実現するためのコンピュータプログラムコードを提供する。
【0024】
本実施形態は、以下の説明において理解を助けるため図面をリファレンスにしながら説明する。図面において、同じあるいは類似する技術特徴や各構成については、同じあるいは類似する附番や表記を用いて説明する。これらの図面は、以下の詳細な説明も含めて、本実施形態の良好な実施例や本実施形態の原理や優位性についての解説のために更に例を挙げて説明するためのものである。
【0025】
以下、図面を参照して、実施形態に係る運動対象輪郭トラッキング装置、心筋運動解析装置、運動対象輪郭トラッキング方法および心筋運動解析方法を説明する。本実施形態の一つの図面あるいは一つの実施例において説明される構成や特徴は、一つあるいは複数の他の図面あるいは実施例における構成や特徴と組み合わせることが可能である。なお、説明をわかりやすくするために、図面と説明において本実施形態と関係の無い内容や、当業者にとって既知の構成や処理に関する表示や説明については省略する。
【0026】
以下、本実施形態に係る各例について下記のような順番で説明する。
1.運動対象輪郭抽出方法。
2.三次元画像の時間シーケンスのための運動対象輪郭トラッキング方法。
3.心筋運動解析方法。
4.三次元画像の時間シーケンスのための心筋運動解析方法。
5.運動対象輪郭トラッキング装置。
6.三次元画像の時間シーケンスのための運動対象輪郭トラッキング装置。
7.心筋運動解析装置。
8.三次元医用画像の時間シーケンスのための心筋運動解析装置。
9.本発明の実施形態に基づく方法/装置を実現するためのコンピュータ構成。
【0027】
<1.運動対象輪郭抽出方法>
以下、図1乃至12bに基づいて、本発明の実施形態に基づく運動対象輪郭トラッキング方法について説明する。
【0028】
本発明の実施形態に基づく運動対象輪郭取得方法は、スライス画像の時間シーケンスにおいて周期性変形運動の運動対象の輪郭をトラッキングするために用いられる。一スライス画像の時間シーケンスは、それぞれ運動対象の一運動周期の中の複数の時刻において取得した運動対象の複数のスライス画像を含む。ここで、本発明の実施形態に係る運動対象輪郭取得方法は、各種スライス画像の時間シーケンスにおいて運動対象の輪郭をトラッキングするために用いることができる。それに限定されることは無く、前記スライス画像の時間シーケンスは、医用画像診断装置により取得された被検体のデータに基づいて生成された医用画像シーケンスであってもよい。ここで述べる医用画像診断装置は、X線診断(XR)装置、超音波診断(UL)装置、コンピュータ断層診断(CT)装置、磁気共鳴診断(MRI)装置、ポジトロン断層撮影(Positron Emission Tomography,PET)装置等を含むが、これに限定されない。
【0029】
図1は、本発明の一実施形態に基づく運動対象輪郭トラッキング方法を示すフロー図である。本実施形態において、2つの時間方向はそれぞれ運動対象の輪郭をトラッキングし、信頼度の高いトラッキング結果を用いて運動対象の輪郭とすることができ、輪郭トラッキングの正確性を向上させることができる。
【0030】
図1に示すように、ステップS110において、第一方向上でスライス画像の時間シーケンスの中で輪郭トラッキングを実行し、運動対象の各スライス画像における第一輪郭を取得する。輪郭トラッキングを実行する場合、運動対象のスライス画像の時間シーケンスの中の所定のスライス画像の中の初期輪郭を開始輪郭とし、第一時間方向上の最後のスライス画像を第一スライス画像の前スライス画像とする。ここでの第一時間方向は、逆方向の時間の流れとすることもできるし、この時間の流れと逆方向の流れでもよい。
【0031】
運動対象は周期性の変形運動を伴い、スライス画像の時間シーケンスは運動対象の一運動周期において取得されたスライス画像を含むので、第一スライス画像と最後の一スライス画像でも運動相関性を有する。つまり、運動対象の第一スライス画像と最後の一スライス画像における輪郭は相似する。したがって、第一時間方向上の最後の一スライス画像は第一スライス画像の直前のスライス画像としても、輪郭トラッキングの正確性に影響はない。
【0032】
ここでの所定のスライス画像は、スライス画像の時間シーケンスにおいて、対応する正確な初期輪郭のスライス画像を容易に取得することができる。所定のスライス画像は操作者が指定することができ、所定のスライス画像の特徴に基づいて、現有技術による方法を利用することにより、スライス画像の時間シーケンスの中から識別することができる。
【0033】
ステップS120において、第二方向上のスライス画像の時間シーケンスにおいて輪郭トラッキングを実行し、運動対象の各スライス画像における第二輪郭を取得する。同様にして、輪郭トラッキングを実行した場合、運動対象の前記所定のスライス画像における初期輪郭を開始輪郭とする。また、第二時間方向上の最後の一スライス画像を第一スライス画像の直前のスライス画像とする。ここでの第二時間方向は、第一時間方向と相反する方向であるが、後ろから前へのような時間方向とは相反する方向でも、先から後へのような時間方向であってもよい。
【0034】
同様に、運動対象は周期性の変形運動を伴い、スライス画像の時間シーケンスは運動対象の一運動周期において取得されたスライス画像を含むので、第二時間方向上の最後の一スライス画像は第一スライス画像の直前のスライス画像としても、輪郭トラッキングの正確性には影響は及ぼさない。
【0035】
ステップS130において、運動対象の所定のスライス画像における第一輪郭と初期輪郭の相似度を計算して第一相似度とし、運動対象の所定のスライス画像における第二輪郭と前記初期輪郭の相似度を計算して第二相似度とする。もちろん、第一時間方向上はまた第二時間方向上であって、輪郭トラッキングによって取得した運動対象の所定のスライス画像における輪郭は、すべて輪郭トラッキングにおける最後の一回のトラッキングで取得されたものである。そして、上述したように、第一あるいは第二時間方向上の最後の一スライス画像は第一スライス画像の直前のスライス画像としても輪郭トラッキングの正確性に影響はない。それゆえ、トラッキングにて得られた輪郭と所定のスライス画像における初期輪郭の相似度が高い場合は、対応する時間方向上で実行した輪郭トラッキングの正確性は高いと判断でき、信頼度が高い。
【0036】
ステップS140において、第一相似度と第二相似度を比較して大きい方を対応するトラッキング方向(第一時間方向あるいは第二時間方向)上得られた各スライス画像における輪郭を運動対象の対応するスライス画像の輪郭とする。
【0037】
2つの時間方向上で実行され完了した輪郭トラッキングと初期輪郭との比較により、信頼度の高いトラッキング結果を選択することができ、その結果を運動対象の輪郭とし、輪郭トラッキングの正確性を向上させることができる。
【0038】
ここで、図2は、本発明の前記実施形態に基づく運動対象輪郭トラッキング方法の一応用例を示す図である。この応用例は、MRI装置により一心周期における複数の時刻で、左心室の左心室の長軸(すなわち心臓の長軸)と交差する一断面で得られる複数のスライス画像からなるスライス画像の時間シーケンスである。このスライス画像の時間シーケンスの中には、時間の流れに沿って番号1から11までのスライス画像を含む。各スライス画像において、実線は左心室の心外膜輪郭を表し、点線は左心室の心内膜を表す。ここでは心外膜輪郭のトラッキング過程を描いただけであり、心内膜輪郭のトラッキング過程も同様に描くことができるので、ここでは省略する。
【0039】
この例示において、スライス画像6は所定のスライス画像とし、心臓の収縮位相のスライス画像である。心臓の収縮末期において、左心室エッジは明瞭であり、形状は比較的きちんとしており、左心室の輪郭を容易に確定することができる。操作者が心臓の収縮位相でのスライス画像を指定、あるいは現有のいずれかの適切な方法により、スライス画像の時間シーケンスの中から心臓の収縮位相のスライス画像を識別することができる。例示としてはこれに限定されることなく、例えば、面積に基づいてスライス画像の時間シーケンスの中から心臓の収縮位相の画像を検出したり、心電同期による照合や、外からの信号に基づいて心臓の収縮位相の画像を確定することができる。
【0040】
左心室のスライス画像6における心外膜輪郭を開始輪郭として、矢印の指し示す第一時間方向(例として、ここでは時間に沿った方向)で輪郭トラッキングを実行し、左心室のスライス画像7〜11および1〜6における第一心外膜輪郭C71〜C111およびC11〜C61を逐次得る。このトラッキング過程において、第一時間方向上の最後の一スライス画像11は第一スライス画像1の直前のスライス画像とする。
【0041】
左心室のスライス画像6における心外膜輪郭を開始輪郭とし、矢印の指し示す第二時間方向(例として、ここでは時間に沿った方向とは逆の方向)で輪郭トラッキングを実行し、左心室のスライス画像5〜1および11〜6における第二心外膜輪郭C52〜C12およびC112〜C62を逐次得る。このトラッキング過程において、第二時間方向上の最後の一スライス画像1は第一スライス画像11の直前のスライス画像とする。
【0042】
わかるように、第一時間方向上のトラッキング過程において、スライス画像9の心外膜輪郭からトラッキング間違いが出現し始め、この間違いはスライス画像6の心外膜輪郭C61まで伝播し続ける。計算により、予め定められたスライス画像であるスライス画像6における第二輪郭C62と初期輪郭C60の相似度が、第一輪郭C61と初期輪郭C60の相似度より高ければ、第二時間方向上実行した輪郭トラッキングは、第一時間方向上実行した輪郭トラッキングよりも正確であると判断できる。それゆえ、第二時間方向上得られた各心外膜輪郭は左心室の対応するスライス画像における心外膜輪郭とすることができる。
【0043】
ここで注意すべきは、本説明において記述した運動対象輪郭トラッキング方法および装置の場合、心臓画像を例にして説明したが、本発明の対象はこれに限定されず、周期性変形運動をする運動対象の画像であれば、同様に適用できる。
【0044】
演算量を減らすために、本発明の他の実施形態によれば、先に一巡の輪郭トラッキングを行う。第一巡の輪郭トラッキングの結果、トラッキングに間違いがある場合、第二巡の輪郭トラッキングを行い、第一巡の輪郭トラッキングの結果を補正する。具体的には、n個のスライス画像を含むスライス画像の時間シーケンスにおいて、運動対象の第S番目のスライス画像における初期輪郭を開始輪郭とし、それぞれ第S−1番目のスライス画像から第一番目のスライス画像および第S+1番目のスライス画像から第n番目のスライス画像の方向において輪郭トラッキングを実行し、運動対象の第S−1番目から第1番目のスライス画像における第一輪郭および運動対象の第S+1番目から第n番目のスライス画像における第一輪郭を得る。ここでSは、所定のスライス画像の番号であり、1≦S≦nである。運動対象の第1番目のスライス画像における第一輪郭と運動対象の第n番目のスライス画像の第一輪郭の相似度を計算する。運動対象の第1番目のスライス画像における第一輪郭と運動対象の第n番目のスライス画像の第一輪郭の相似度が所定の閾値より低い場合は、第一巡の輪郭トラッキングには間違いが存在し、第二巡の輪郭トラッキングを実行する。第二巡の輪郭トラッキングにおいて、運動対象の第1番目のスライス画像における第一輪郭を開始輪郭とし、第n番目のスライス画像から第S番目のスライス画像の方向において輪郭トラッキングを実行し、運動対象の第n番目から第S−1番目のスライス画像における第二輪郭と第S番目のスライス画像における第一輪郭を得る。そして、運動対象の第n番目のスライス画像における第一輪郭を開始輪郭として、第1番目のスライス画像から第S番目のスライス画像の方向において輪郭トラッキングを実行し、運動対象の第1番目から第S番目のスライス画像における第二輪郭を得る。運動対象の第S番目のスライス画像における第一輪郭と初期輪郭の相似度および運動対象の第S番目のスライス画像における第二輪郭の相似度を計算する。運動対象の第S番目のスライス画像における第一輪郭と初期輪郭の相似度が、運動対象の第S番目のスライス画像における第二輪郭と初期輪郭の相似度より大きい場合、運動対象の第S−1番目から第1番目のスライス画像における第一輪郭を用いて運動対象の第S−1番目から第1番目のスライス画像における輪郭とし、運動対象の第n番目から第S+1番目のスライス画像における第二輪郭を用いて運動対象の第n番目から第S+1番目のスライス画像における輪郭とする。
【0045】
例えば、図2におけるスライス画像の時間シーケンスに対して、スライス画像6における初期輪郭を開始輪郭として、それぞれ時間に沿った方向に相反する方向において、スライス画像5〜1における心外膜輪郭をトラッキングし、時間に沿った方向においてスライス画像7〜11における心外膜輪郭をトラッキングする。ここで、図2におけるスライス画像の時間シーケンスは左心室の一運動周期における複数のスライス画像を含むとする。スライス画像1とスライス画像11は運動周期における位置は互いに近いスライス画像である。スライス画像1における心外膜輪郭とスライス画像11の心外膜輪郭を比較する。スライス画像1における心外膜輪郭とスライス画像11における心外膜輪郭との差が小さい場合は、2つの方向におけるトラッキングはすべて正確と判断することができて、第二巡のトラッキングは不要となる。もし両者の差が大きい場合は、一方向におけるトラッキングに間違いが発生したと判断し、スライス画像1から開始して、時間に沿った方向とは相反する方向においてスライス画像11〜6における心外膜輪郭をトラッキングする。その後、上述のような相似度比較を行い、相似度の高い方のトラッキング方向における結果を選択して心外膜輪郭とする。
【0046】
ここで、本発明の他の実施形態により、相似度比較の後で、相似度が大きい方に対応する輪郭トラッキング方向において得られた輪郭に基づいて相似度の小さい方の方向において得られた輪郭を補正して、最終的な輪郭を得るようにしてもよい。現有のいずれかの適した方法により輪郭補正を行うことができる。この例に限らず、例えば、2つの輪郭トラッキング方向において得られた輪郭の平均値を計算して最終的な輪郭としてもよい。
【0047】
この他、スライス画像の時間シーケンスが一運動周期分ない場合、第1番目のスライス画像と最後のスライス画像の運動周期における近さ度合いが、スライス画像の時間シーケンスが一運動周期分ある場合と比べて小さいことが必要である。それゆえ、第一番目のスライス画像と最後のスライス画像の相似度が、スライス画像の時間シーケンスが一運動周期分ある場合と比較して低い。このような状況において、運動周期においてデータが取れなかったと推測する部分に対応するスライス画像を補間することにより、推測したスライス画像と元々のスライス画像をひっくるめて輪郭トラッキングを実行し、第一番目のスライス画像と最後のスライス画像の相似度が低いという影響を除去し、輪郭トラッキングの正確性を向上させることができる。
【0048】
現有技術による方法により、スライス画像の時間シーケンスが一運動周期分あるか否かを判断することができる。例えば、各スライス画像に付帯される時間情報と運動対象の運動周期情報とに基づいて判断することができる。運動対象の運動周期情報は外部から入力可能である。スライス画像の時間シーケンスが跨ぐ時間間隔(即ち、スライス画像の時間シーケンスにおける第一番目のスライス画像と最後のスライス画像との間の時間間隔)が運動周期より小さい場合は、スライス画像の時間シーケンスは一運動周期分に満たないと判断できる。
【0049】
現有のいずれかの適切な画像補間方法(例えば、最近傍補間法(Nearest neighbor interpolation)、双線形補間法(Bilinear interpolation)等)により、運動周期におけるデータが不足している部分に対応するひとつあるいは複数のスライス画像を推測できる。例えば、第一時間方向において輪郭トラッキングを実行した場合、第一時間方向における最後のスライス画像をオリジナルスライス画像とし、第一時間方向における第一番目のスライス画像を目標スライス画像とし、画像補間法により最後のスライス画像から第一番目のスライス画像までの間のひとつあるいは複数のスライス画像を推測する。第二時間方向において輪郭トラッキングを実行した場合、第二時間方向の最後のスライス画像をオリジナルスライス画像とし、第二時間方向における第一番目のスライス画像を目標スライス画像とし、画像補間法により最後のスライス画像から第一番目のスライス画像までの間の一つあるいは複数のスライス画像を推測する。
【0050】
推測するスライス画像の数は、運動周期におけるデータの不足している部分の長さとスライス画像の時間シーケンスにおける隣接するスライス画像間の間隔との比に基づいて確定できる。
【0051】
その後、各時間方向において、もともとのスライス画像と推測したスライス画像からなるスライス画像の時間シーケンスに対してトラッキングを実行する。
【0052】
例えば、図2に示す例によれば、スライス画像1とスライス画像11の間隔を比較することができる。その間隔が前記左心室の心周期の長さより小さい場合、画像補間法によりそれぞれ第一時間方向と第二時間方向においてスライス画像1とスライス画像11との間で補間するスライス画像を推測する。その後、2つの方向における輪郭トラッキングにおいて、もともとのスライス画像1〜11と挿入するスライス画像をひっくるめたスライス画像の時間シーケンスに対してトラッキングを実行する。
【0053】
本発明の実施形態に基づく運動輪郭トラッキング方法において、輪郭トラッキングステップは、現有のいずれかの適切な方法により実現することができ、特に限定されない。例えば、図3は、本発明の一実施形態に基づく輪郭トラッキングステップのフロー図である。
【0054】
図3の例によれば、所定のスライス画像から開始して、ステップS310においてスライス画像の時間シーケンスの中で次のスライス画像が存在する場合、ステップS320からステップS360までの輪郭トラッキングを実行する。そうでない場合は、輪郭トラッキングを終了する。
【0055】
ステップS320において、運動対象の直前のスライス画像における輪郭に対して拡張を実行し、輪郭関心領域(ROI)を得る。例えば、所定の幅まで運動対象の輪郭を拡張して輪郭ROIとすることができる。
【0056】
ステップS330において、輪郭ROIを複数の所定の大きさのトラッキング単位領域へ分割する。
【0057】
例えば、図4は、輪郭関心領域とトラッキング単位領域を示す一例である。
【0058】
ステップS340において、パターンマッチングにより前記複数のトラッキング単位領域の次のスライス画像における位置を得る。現有のいずれかの適切なパターンマッチングによりトラッキング単位領域のパターンマッチングを実行することができるが、ここでは詳細に説明しない。
【0059】
ステップS350において、前記複数のトラッキング単位領域の次のスライス画像における位置に基づいて、前記複数のトラッキング単位領域の直前のスライス画像から次のスライス画像までの運動ベクトルを計算する。例えば、トラッキング単位領域における画素の平均位置をトラッキング単位領域の位置とする、あるいは、トラッキング単位領域の中心画素の位置をトラッキング単位領域の位置とすることができる。
【0060】
ステップS360において、運動対象の直前のスライス画像における輪郭と前記複数のトラッキング単位領域の直前のスライス画像から次のスライス画像までの運動ベクトルにもとづいて運動対象の次のスライス画像における輪郭を得る。
【0061】
一実施形態として、運動対象の直前のスライス画像における輪郭上の各輪郭点の所定の範囲内の隣接するトラッキング単位領域の運動ベクトルの加算平均を計算し、その輪郭点の直前のスライス画像から次のスライス画像までの運動ベクトルとする。その後、運動対象の直前のスライス画像における輪郭上の各輪郭点の運動ベクトルに基づいて、運動対象の直前のスライス画像上の輪郭を移動し、運動対象の次のスライス画像における輪郭を得る。
【0062】
上述した実施形態においては、一運動周期分のスライス画像に対して輪郭トラッキングを実行する場合について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、所定のスライス画像を含む数枚のスライス画像に対して第一時間方向と第二時間方向とから輪郭トラッキングを実行する場合であってもよい。例えば、図2に示す一運動周期分のスライス画像のうち、時間に沿った方向においてスライス画像4〜6における輪郭をトラッキングし、時間に沿った方向に相反する方向においてスライス画像8〜6における輪郭をトラッキングする。そして、スライス画像6において上述のような相似度比較を行い、相似度の高い方のトラッキング方向における結果を選択して輪郭とする。
【0063】
本発明の実施形態に基づく運動対象輪郭トラッキング方法において、運動対象の所定のスライス画像における初期輪郭は予め先に得られているものである。各種現有の方法により運動対象の所定のスライス画像における初期輪郭は取得でき、初期輪郭を操作者が描き出してもよい。例えば、以下のような本発明の実施形態に記述したような運動対象の初期輪郭を取得する方法でよい。
【0064】
以下の実施形態において、運動対象は左心室であり、スライス画像の時間シーケンスは、それぞれ一心周期における複数の時刻における左心室の左心室の長軸と交わる一断面に基づいて得られる複数のスライス画像を含む。左心室は心内膜輪郭と心外膜輪郭を有し、以下にそれぞれ心内膜初期輪郭と心外膜初期輪郭を得る方法を説明する。
【0065】
以下の実施形態において、左心室の心内膜輪郭と心外膜輪郭は曲線であり、心内膜輪郭は乳頭筋の影響を受けやすく、心外膜輪郭は曖昧であることを考慮し、心内膜輪郭と心外膜輪郭とをスライス画像の中から更に正確に取り出すために、もともとのスライス画像を極座標系へ変換する。
【0066】
更に詳細に説明する。図5は、ユークリッド座標系と極座標系の変換関係を示す図である。この図において、ユークリッド座標系における原点は極座標系の極点に相当する。極座標系における横座標はユークリッド座標系と原点を線で結んだ横軸正方向の角度に相当し、極座標系における縦座標はユークリッド座標系における点と原点の距離を表す。ユークリッド座標系における半径が異なる複数の円は極座標系へ変換された後、異なる高さの直線を示す。また、極座標系における高さのことなる複数の直線はユークリッド座標系へ変換された後、半径の異なる複数の円を示す。
【0067】
図6は、本発明の一実施形態に基づく左心室の初期輪郭を取得するフロー図である。この実施形態において、左心室の心内膜輪郭を取得して左心室の初期輪郭とする。
【0068】
図6に示すように、ステップS610において、所定のスライス画像を極座標系へ変換する。ここで、例として、所定のスライス画像は心臓収縮位相のスライス画像である。実際の応用では、演算量を減らすために、スライス画像全体ではなく、運動領域部分のみを極座標系へ変換してもよい。
【0069】
ステップS620において、極座標系において左心室の心内膜輪郭を取得し、左心室の所定のスライス画像における初期輪郭とする。極座標系において、心内膜の輪郭は直線に近似する。ここで、極座標系において、水平方向(横軸方向)へ投影した多くの情報(例えば、輝度(通常、画素値として表される)やエッジ等)を用いることができる。以下で説明する。
【0070】
ステップS630において、極座標系にて取得した左心室の初期輪郭を原始の所定のスライス画像上に投影する。左心室において、乳頭筋の影響によって、通常の方法を用いて得られた心内膜の輪郭は小さくなる。それゆえ、左心室の心内膜輪郭を取得するにあたっての重要な点は、乳頭筋の影響を消去して、乳頭筋を含む心内膜の輪郭線で限定される範囲内で、大きくて正確な心内膜輪郭を得ることである。
【0071】
現有のいずれかの適切な方法を用いて極座標系において左心室の所定のスライス画像における心内膜輪郭を得ることができる。例として、図7は、本発明の一実施形態に基づく左心室の心内膜輪郭の取得のフロー図である。この実施形態において、スライス画像の水平投影により心内膜輪郭の極座標系における大体の位置を確定し、直線検出法によりスライス画像のエッジ画像の中から心内膜輪郭を得る。
【0072】
図7に示すように、ステップS710において、所定のスライス画像におけるエッジを検出し、所定のスライス画像のエッジ画像を得る。
【0073】
ステップS720において、極座標系において所定のスライス画像のグレイスケール画像の水平投影により左心室の所定のスライス画像における心内膜輪郭の半径を得る。例えば図2に示す左心室の原始スライス画像からわかるように、左心室の心筋のグレイスケールは、左心室の内部のグレイスケールと比べて小さい。したがって、スライス画像のグレイスケール画像の水平投影における画素値が減少している位置を心内膜輪郭の半径位置として取得することができる。
【0074】
その後、ステップS730において、局座標系において直線検出法により左心室の心内膜輪郭の半径付近に位置するエッジから左心室の心内膜輪郭を得る。
【0075】
ここで、図8aは極座標系における所定のスライス画像のグレイスケール画像を示す図である。図8bは、図8aにおけるグレイスケール画像の水平投影を示す図である。図8bにおいて、横座標はスライス画像のグレイスケール画像における行を表し、縦座標は行における画素値の和あるいは平均値を表す。異なる精度要求にともなって、一つあるいは複数の画素を単位としてスライス画像において行を分割する。図8bに示すように、画素値の和あるいは平均値が減少している行の位置を心内膜輪郭の半径Rendoの存在する位置として確定する。
【0076】
上述の実施形態において、直線検出法はハフ(Hough)変換法である。その他の方法と比べて、ハフ変換法によりエッジ画素(エッジ点ともいう)をフィッティングして最も多くのエッジ点を含む輪郭を得ることができ、乳頭筋およびノイズ等のエッジ点の影響を解消することができる。その他の方法においては、通常、半径が小さいエッジ画素も考慮されてしまうので、乳頭筋の影響を受けやすい。
【0077】
図9は、本発明の他の一実施形態に基づく左心室の初期輪郭の取得のフロー図である。この実施形態において、左心室の心外膜輪郭を取得して左心室の初期輪郭とする。
【0078】
図9に示すように、ステップS910において、所定のスライス画像を極座標系に変換する。同様にして、例として、所定のスライス画像は心臓収縮位相のスライス画像でもよい。実際の応用において、演算量を減らすために、スライス画像全体ではなく、運動領域部分のみを極座標系へ変換すればよい。ステップS920において、極座標系において左心室の心外膜輪郭を取得し、左心室の所定のスライス画像における初期輪郭とする。ステップS930において、極座標系において取得した左心室の初期輪郭を原始の所定のスライス画像へ投影する。
【0079】
現有のいずれかの適切な方法により極座標系において左心室の所定のスライス画像の心外膜輪郭を取得する。例として、図10は、本発明の一実施形態に基づく左心室の心外膜輪郭の取得のフロー図である。この実施形態において、スライス画像の水平投影により心内膜輪郭のエッジ画素および心筋の厚さを探し出して心外膜輪郭の極座標系における大体の位置を確定し、曲線フィティング法によりスライス画像のエッジ画像から心外膜輪郭を得る。
【0080】
図10に示すように、ステップS1010において、所定のスライス画像におけるエッジを検出し、所定のスライス画像のエッジ画像を得る。
【0081】
ステップS1020において、極座標系において所定のスライス画像のグレイスケール画像の水平投影により左心室の所定のスライス画像における心内膜輪郭の半径を得る。
【0082】
ステップS1030において、極座標系において所定のスライス画像のエッジ画像の水平投影と心内膜輪郭の半径により左心室の心筋の厚さを確定し、左心室の所定のスライス画像における心外膜輪郭を得る。
【0083】
ステップS1040において、極座標系において曲線フィティング法により左心室の心外膜輪郭の半径付近に位置するエッジから左心室の心外膜輪郭を得る。例えば、最小二乗法などのいずれかの適切な曲線フィティング法を用いることができる。
【0084】
図11aは極座標系における所定のスライス画像のエッジ画像を示す図である。図11bは図11aにおけるエッジ画像の水平投影を示す図である。図11bにおいて、横座標はスライス画像のエッジ画像における行を表す。縦座標は行における画素値の和あるいは平均値を表す。異なる精度要求に基づき、一つあるいは複数の画素を単位としてスライス画像において行を分割する。図11bに示すように、画素値の和あるいは平均値が減少する行の位置を心内膜輪郭の半径Rendoが存在する位置とする。エッジ画像において、心内膜輪郭と心外膜輪郭の間の心筋部分は、基本的にエッジを含まない。それゆえ、水平投影上の心内膜輪郭と心外膜輪郭の間は隙間が空いている。これにより、図11bに示すように、心内膜輪郭の半径Rendoの存在する位置の隙間を埋めるように心内膜輪郭と心外膜輪郭の間の心筋の厚みが確定され、その隙間の後方の位置が即ち心外膜輪郭の半径Repiが存在する位置となる。
【0085】
図12aは、上述の実施形態に基づく極座標系において取得した心内膜輪郭と心外膜輪郭を示す図である。図12aの上方の輪郭線は心内膜輪郭を表し、下方の輪郭線は心外膜輪郭を表す。図12bは図12aにおいて取得した心内膜輪郭と心外膜輪郭を原始スライス画像中への変換を示す図である。図12bにおける心内膜輪郭は丸く滑らかであり凸部を含まない。即ち、乳頭筋の影響は除去されたということになる。
【0086】
<2.三次元画像の時間シーケンスの運動対象輪郭トラッキング方法>
図13は、本発明の他の実施形態に基づく運動対象輪郭トラッキング方法を示すフロー図である。
【0087】
この実施形態に基づく運動対象輪郭抽出方法は、三次元画像の時間シーケンスの中で周期性変形運動を伴う運動対象の輪郭をトラッキングする。前記三次元画像の時間シーケンスは、それぞれ運動対象の一運動周期の中での複数の時刻で取得された複数の三次元画像を含む。各三次元画像は、平行な複数の二次元スライス画像から構成されている。前記複数の三次元画像における同一位置の複数の二次元スライス画像は一つのスライス画像の時間シーケンスを構成する。
【0088】
図13に示すように、この方法において、ステップS1310において、それぞれ各スライス画像の時間シーケンスにおいて運動対象の輪郭をトラッキングする。ここで、上述の<1.運動対象輪郭抽出方法>部分の中で説明した運動対象輪郭トラッキング方法を用いて各スライス画像の時間シーケンスにおける運動対象の輪郭をトラッキングする。運動対象の同一時刻での前記複数の二次元スライス画像の中の輪郭は運動対象の該時刻での三次元輪郭を構成する。
【0089】
一つの三次元画像の時間シーケンスにおいて、幾つかのスライス画像の時間シーケンスが運動対象の真実の範囲外になっている場合があり得る。これらのスライス画像の時間シーケンスの中からトラッキングした運動対象の輪郭が真実かどうかをみて、採用された場合、後に続く運動対象輪郭を利用して計算する運動対象のパラメータの正確性に影響を及ぼす。このため、本発明の一実施形態において、後に続くパラメータ計算の正確性に影響が及ばないために、輪郭トラッキングを実行する前に、このようなスライス画像の時間シーケンスを探し、それらに対して輪郭トラッキングを実行しない、あるいは直接削除する。
【0090】
MRI装置により心臓の短軸方向上取得した三次元画像の時間シーケンスに対して、左心室を運動対象とした場合、上述の運動対象の2つの端部に対応する2つのスライス画像の時間シーケンスはそれぞれ心基部(Base)部分のスライス画像の時間シーケンスと心頭部(Apex)部分のスライス画像の時間シーケンスである。
【0091】
現有のいずれかの適切な方法により、運動対象の2つの端部に対応するスライス画像の時間シーケンスを識別することができるが、ここでは具体的説明はしない。
【0092】
<3.心筋運動解析方法>
以下、本発明による実施形態における心筋運動解析方法を図14〜図18に従って説明する。本発明による実施形態における心筋運動解析方法は、医用画像の時間シーケンスで左心室の心筋の運動を解析することに用いられる。1つの画像の時間時間シーケンスは、それぞれ1つの心周期における複数の時刻に左心室の長軸と交差する断面に対して得られた複数の画像を含む。
【0093】
心筋の運動は、心内膜、心外膜輪郭点の運動と見なすことができる。各輪郭点の運動は、隣り合う輪郭点の運動に影響する。従って、心外膜輪郭点の運動は、対応する心内膜輪郭点の運動に影響し、逆の場合も同様である。本発明に係る実施形態における心筋運動解析方法では、心内膜輪郭点と心外膜輪郭点との運動関連性を利用して関連ポイントペア(point linking pair)を配置して、関連ポイントペアの運動で心筋の運動を示す。
【0094】
図14は、本発明に係る一つの実施形態における心筋運動解析方法を示すフローチャートである。図14に示すように、ステップS1410において、左心室の各画像での心内膜輪郭と心外膜輪郭を取得する。操作者により各画像における心内膜輪郭と心外膜輪郭に注釈を付けることができ、現有のいずれか適切な方法により心内膜輪郭と心外膜輪郭を取得することもできる。例として、左心室を運動対象として、以上の<1.運動対象輪郭トラッキング方法>の一部で説明した運動対象輪郭トラッキング方法を用いて左心室の心内膜輪郭と心外膜輪郭を取得することができる。
【0095】
ステップS1420において、画像の時間シーケンスにおけるリファレンス画像での心内膜輪郭と心外膜輪郭上の輪郭点を複数の関連ポイントペアに配置する。各関連ポイントペアは、心内膜輪郭上の1つの輪郭点と心外膜輪郭上の1つ輪郭点を含み、且つ各関連ポイントペアにおける2つの輪郭点が左室壁のリファレンス画像でのリファレンス輪郭の同じ法線に位置する。例として、リファレンス輪郭は、心内膜輪郭、或いは心外膜輪郭、或いは心内膜輪郭と心内膜輪郭から得られた平均輪郭であってもよい。つまり、各関連ポイントペアで限定された線分は、心臓の収縮/拡張方向に位置する。
【0096】
理解の便宜上、図15に本発明に係る前記実施形態における関連ポイントペアの例を示す。説明のため、関連ポイントペアで限定された線分をゲージ(gauge)と称する。
【0097】
ステップS1430において、各関連ポイントペアの画像の時間シーケンスにおけるリファレンス画像を除く他の画像での位置を確定する。
【0098】
ステップS1440において、複数の関連ポイントペアの画像の時間シーケンスにおける隣り合う画像での位置から左心室の、心内膜輪郭と心外膜輪郭によって限定された心筋の隣り合う画像間の運動ベクトルを計算する。
【0099】
従来技術における独立する輪郭点を用いた心筋運動解析方法に比べ、関連ポイントペアの運動で心筋の運動を表象することで、制限の増加のため、心筋の運動をさらに安定的に解析することが可能である。
【0100】
心筋の運動を全面的に解析するために、本発明に係る一つの実施形態では、心筋の隣り合う画像間での運動ベクトルを、以下の運動成分、即ち、心臓の収縮/拡張、左心室の心筋の円周方向伸縮、左心室の心筋の回転(rotation)、及び左心室の心筋のねじれ(twist)に分解させる。
【0101】
理解の便宜上、図16は、本発明に係る一つの実施形態における心筋運動成分を示す図である。関連ポイントペアの運動で心筋の運動を示す場合で、心臓の収縮/拡張の運動成分は、関連ポイントペアに限定された線分(ゲージ)の長さの変化の心臓の収縮/拡張方向での成分で示すことができる。心筋の円周方向伸縮は、2つの隣り合うゲージ間の距離変化の左心室のリファレンス輪郭の円周方向での成分で示すことができる。心筋の回転は、角度で示すゲージの移動の左心室のリファレンス輪郭の円周方向での成分で示すことができる。心筋のねじれは、角度で示す関連ポイントペアにおける2つの輪郭点の移動差の左心室のリファレンス輪郭の円周方向での成分で示すことができる。
【0102】
当業者は、上記の説明の案内のもと、様々な手段で心筋の各運動成分を計算することができる。以下に本発明に係る実施形態における運動成分の計算方法を与える。
【0103】
例として、各関連ポイントペアに限定された線分のリファレンス画像でのリファレンス輪郭の関連ポイントペアにおけるいずれかの輪郭点を経過する法線方向での投影の隣り合う画像間での差を計算することで、心臓の収縮/拡張の運動成分を計算することができる。
【0104】
例として、各関連ポイントペアに限定された線分と関連ポイントペアの隣り合う関連ポイントペアに限定された線分との距離の前記リファレンス画像でのリファレンス輪郭の関連点のペアに限定された線分を経過する接線方向での投影の隣り合う画像間での差を計算することで、左心室の心筋の円周方向伸縮の運動成分を計算することができる。例とするだけであるが制限ではなく、前記距離は、関連ポイントペアに限定された線分の中点と隣り合う関連ポイントペアに限定された線分の中点との距離、或いは関連ポイントペアにおけるいずれかの輪郭点から隣り合うポイントのペアに限定された線分までの垂線の長さであってもよい。
【0105】
例として、各関連ポイントペアに限定された線分と前記リファレンス画像でのリファレンス輪郭の関連ポイントペアに限定された線分を経過する法線方向との夾角の隣り合う画像間での差を計算することで、左心室の心筋の回転の運動成分を計算することができる。例とするだけであるが制限ではなく、前記夾角は、各関連ポイントペアに限定された線分と前記リファレンス画像でのリファレンス輪郭の関連ポイントペアにおけるいずれかの輪郭点或いは関連ポイントペアに限定された線分の中点を経過する法線方向との夾角であってもよい。
【0106】
他の例として、リファレンス輪郭の中心を極点として、画像の時間シーケンスを極座標系に変換させることができる。各関連ポイントペアに限定された線分の中点或いは各関連ポイントペアにおけるいずれかの輪郭点の極座標系での角度の隣り合う画像での変化より心筋の隣り合う画像での回転を計算することができる。
【0107】
例として、リファレンス画像でのリファレンス輪郭の各関連ポイントペアにおけるいずれかの輪郭点を経過する法線方向とリファレンス画像でのリファレンス輪郭の当該関連ポイントペアに限定された線分の中点を経過する法線方向との夾角の隣り合う画像間での差を計算することで、左心室の心筋のねじれの運動成分を計算することができる。
【0108】
他の例として、リファレンス輪郭の中心を極点として、画像の時間シーケンスを極座標系に変換させることができる。各関連ポイントペアにおけるいずれかの輪郭点の極座標系での角度と当該関連ポイントペアに限定された線分の中点の極座標系での角度との差の隣り合う画像での変化より心筋の隣り合う画像でのねじれを計算することができる。
【0109】
現有のいずれか適切な方法を用いて各関連ポイントペアの前記画像の時間シーケンスにおける他の画像での位置を確定することができると理解すべきである。例として、以下、本発明に係る実施形態における各関連ポイントペアの前記画像の時間シーケンスにおける他の画像での位置を確定する方法を説明する。
【0110】
本発明に係る上記実施形態における運動対象輪郭トラッキング方法は、運動対象輪郭を取得するとともに、運動対象の輪郭点の連続運動情報を取得する。以上の本発明に係る一つの実施形態で運動対象の現在の画像での輪郭上0の各輪郭点が予め設定された範囲にある隣り合うトラッキングユニットの運動ベクトルの加重平均を当該輪郭点の現在の画像から次の画像までの運動ベクトルとして計算することができる場合について説明した。従って、本発明に係る一つの実施形態では、1つの関連ペアにおける2つの輪郭点の現在の画像から次の画像までの運動ベクトルを用いて現在の画像での各輪郭点の次の画像での位置を確定して、さらに関連ポイントペアの次の画像での位置を確定することができる。
【0111】
具体的には、上記実施形態による運動対象輪郭トラッキング方法を用いて運動対象である左心室の現在画像での心内膜輪郭上の輪郭点の現在の画像から次の画像までの運動ベクトルを取得し、各心内膜輪郭点の現在の画像から次の画像までの運動ベクトルに基づいて当該心内膜輪郭点の次の画像での位置を取得し、上記実施形態による運動対象輪郭トラッキング方法を用いて運動対象である左心室の現在の画像での心外膜輪郭上の輪郭点の現在の画像から次の画像までの運動ベクトルを取得して、各心外膜輪郭点の現在の画像から次の画像までの運動ベクトルに基づいて当該心外膜輪郭点の次の画像での位置を取得し、及び、各心内膜輪郭点の次の画像での位置と各心外膜輪郭点の次の画像での位置に基づいて各関連ポイントペアの次の画像での位置を確定する。
【0112】
また、心臓は、運動全体である。従って、心筋の運動は、平滑であるべき。本発明の一つの実施形態では、心筋の各運動成分を平滑化させることで、心筋の各運動成分からなる運動ベクトルをより正確にして、さらに心筋の運動解析をより正確にする。
【0113】
図17は、本発明に係る一つの実施形態における運動成分の時間シーケンスを平滑化させることを示す図である。図17に示すように、それぞれ、左心室の心筋の隣り合う画像間での運動ベクトルの各運動成分からなる運動成分の時間シーケンスを平滑化させる。例とするだけであるが制限ではなく、フーリエ近似法を用いて各運動成分の時間シーケンスを平滑化させることができる。
【0114】
相応にして、左心室のリファレンス画像での心内膜輪郭と心外膜輪郭に基づいて、左心室の心筋の隣り合う画像間での平滑にされた運動成分の時間シーケンスを利用して左心室の各他の画像での新しい心内膜輪郭と心外膜輪郭を取得して、取得した心内膜輪郭と心外膜輪郭をより正確にすることができる。
【0115】
ストレイン(strain)は、物理的には、外力作用のもとでの物体相対的変形である。心筋ストレインは、心筋の心周期での変形であって、局部の心筋の収縮と拡張機能、血液供給の情況、心筋の活力などを評価することに用いられることができる。本発明に係る実施形態における心筋運動解析方法を用いて左心室の心筋の運動ベクトルを取得した上で、心筋の隣り合う画像間での運動ベクトルから左心室の心筋のストレイン及びストレイン力、ストレインレートなどのパラメータを計算することができる。従来技術には心筋の運動ベクトルから心筋のストレイン及びストレイン力、ストレインレートなどのパラメータを計算する方法は、多種である。ここでは詳しく説明しない。
【0116】
心筋のストレインを直覚的に示すために、本発明に係る一つの実施形態における心筋運動解析方法は、さらに、左心室の心筋のストレインを画像に表示させることを含む。図18は、本発明に係る一つの実施形態における心筋ストレインを示す図である。当該実施形態では、図の左上側にカラーバー(color bar)がある。カラーバーにおける異なるカラーは、異なる心筋ストレインに対応する。このような対応関係によって、画像で心筋の異なる部分のストレインが対応するカラーを心筋の相応部分に重ねて、医者に心筋のストレインを視覚的に見させることができる。また、図の右下隅に心筋の心臓収縮/拡張方向のストレイン力の1つの心周期での曲線を示す。当業者は、上記の説明の案内のもとでより多くの心筋のストレインの表示方法を考えることができる。ここでは一つ一つ列挙しない。
【0117】
<4.三次元医用画像の時間シーケンスによる心筋運動解析方法>
図19は、本発明の他の実施例に基づく心筋運動解析方法のフロー図である。
【0118】
この実施例に基づく心筋運動解析方法は、三次元医用画像の時間シーケンスにおいて左心室の心筋の運動を解析するのに用いられる。前記三次元医用画像の時間シーケンスは、それぞれ一心周期における複数の時刻において得られる複数の三次元画像である。各三次元画像は、左心室の長軸と相交わる複数の平行な二次元スライス画像から構成される。前記複数の三次元画像における同一位置の複数の二次元スライス画像は一つのスライス画像の時間シーケンスを構成する。
【0119】
図19に示すように、この方法において、ステップS1910において、それぞれ各一医学スライス画像の時間シーケンスにおいて左心室の心筋の運動を解析する。ここで、上記の<3.心筋運動解析方法>部分にて説明した心筋運動解析方法により各一医学スライス画像の時間シーケンスにおいて左心室の心筋の運動を解析する。心筋は、同一時間の前記複数の二次元スライス画像における運動は、左心室の該時刻における運動を構成する。
【0120】
ここで、現有のいずれかの適切な方法により、三次元医学画像の時間シーケンスにおいて心基(Base)部分のスライス画像の時間シーケンスと心尖(Apex)部分のスライス画像の時間シーケンスを識別する。心基スライス画像の時間シーケンスと心尖部分のスライス画像の時間シーケンスのみに範囲を限定したスライス画像の時間シーケンスに対して心筋運動解析を実行する。
【0121】
<5.運動対象輪郭トラッキング装置>
以下、本発明に係る実施形態における運動対象輪郭トラッキング装置を図20〜26に従って説明する。前記運動対象輪郭トラッキング装置は、画像の時間シーケンスで周期的に変形運動をする運動対象の輪郭をトラッキングすることに用いられる。1つの画像の時間シーケンスにはそれぞれ運動対象の1つの運動周期における複数の時点に運動対象に対して取得された複数の画像が含まれる。本発明に係る実施形態における運動対象輪郭抽出方法は、各種のタイプの画像の時間シーケンスで運動対象輪郭をトラッキングすることに用いられると理解すべきである。例とするだけであるが制限ではなく、前記画像の時間シーケンスは、医用画像診断装置より得られた被検体のデータから形成された医用画像シーケンスであってもよい。ここで述べた医用画像診断装置は、X線イメージング診断装置、超音波(UL)診断装置、コンピュータ断層撮影(CT)装置、磁気共振イメージング(MRI)装置、ポジトロン断層撮影(Positron Emission Tomography、PET)装置などを含むが、これに限定されない。
【0122】
図20は、本発明に係る一つの実施形態における運動対象輪郭トラッキング装置を示すブロック図である。図20に示すように、運動対象輪郭トラッキング装置2000は、輪郭トラッキング部2010と、輪郭比較部2020と、輪郭補正部2030とを備える。輪郭トラッキング部2010は、運動対象の画像の時間シーケンスにおける予め設定された画像での初期輪郭を初めの輪郭として、第一時間方向に前記画像の時間シーケンスで輪郭トラッキングを行って、運動対象の各画像での第一輪郭を取得して、第一時間方向の最後の画像を第一画像の前の画像として、及び、初期輪郭を開始(初め)の輪郭として、第二時間方向に前記画像の時間シーケンスで輪郭トラッキングを行って、運動対象の各画像での第二輪郭を取得して、第二時間方向の最後の画像を第一画像の前の画像とするように配置される。輪郭比較部2020は、運動対象の予め設定された画像での第一輪郭と初期輪郭との相似度を第一相似度として計算し、及び、運動対象の予め設定された画像での第二輪郭と初期輪郭との相似度を第二相似度として計算するように配置される。輪郭補正部2030は、輪郭トラッキング部2010が第一相似度と第二相似度のうちの大きい方が対応する輪郭トラッキング方向に取得した各画像での輪郭を運動対象の相応画像での輪郭とするように配置される。
【0123】
運算量を減らすために、本発明に係る他の実施形態では、輪郭トラッキング部2010は、先に第一巡の輪郭トラッキングを行う、即ち、第一巡の輪郭トラッキングで運動対象の各画像での輪郭を取得することができる。輪郭比較部2020が第一ラウンドの輪郭トラッキングの結果によって、第一巡のトラッキングでミスが存在する可能性があると判定した場合、輪郭トラッキング部2010は、第二巡の輪郭トラッキングを行うことができる。輪郭補正部2030は、第二巡のラッキングの結果で第一巡のトラッキングの結果を補正する。具体的な実現形態は、以上の本発明に係る実施形態における運動対象輪郭トラッキング方法に対する説明を参照することができるが、ここでは繰り返し説明はしない。
【0124】
本発明に係る実施形態における運動輪郭トラッキング装置では、輪郭トラッキング部2010は、従来のいずれの適当な方法より実現できるが、制限されない。例として、図21は、本発明に係る一つの実施形態に係る輪郭トラッキング部を示すブロック図である。図21に示すように、輪郭トラッキング2100は、関心領域生成部2110、トラッキング単位領域分割部2120、マッチング部2130、運動ベクトル計算部2140と次の輪郭確定部2150を含む。関心領域生成部2110は、前記運動対象の現在の画像での輪郭を拡張させて、輪郭関心領域を取得するように配置される。トラッキング単位領域分割部2120は、前記輪郭関心領域を複数の予め設定されたサイズのトラッキングユニットに区分するように配置される。マッチング部2130は、パターンマッチングにより前記トラッキングユニットの次の画像での位置を取得するように配置される。運動ベクトル計算部2140は、前記複数のトラッキング単位領域の次の画像での位置から前記複数のトラッキング単位領域の現在の画像から次の画像までの運動ベクトルを計算するように配置される。次の輪郭確定部2150は、前記運動対象の現在の画像での輪郭と前記複数のトラッキングの現在の画像から次の画像までの運動ベクトルに基づいて、前記運動対象の次の画像での輪郭を取得するように配置される。
【0125】
運動ベクトル計算部2140は、いずれの適当な方法を用いてトラッキング単位領域の運動ベクトルを計算することができる、具体的な実施形態として、運動ベクトル計算部2140は、運動対象の現在の画像での輪郭上の各輪郭点の予め設定された範囲での隣り合うトラッキング単位領域の運動ベクトルの加重平均を当該輪郭点の現在の画像から次の画像までの運動ベクトルとして計算するように配置される。相応して、次の輪郭確定部2150は、運動対象の現在の画像での輪郭上の各輪郭点の運動ベクトルに基づいて運動対象の現在の画像での輪郭を移動して、運動対象の次の画像での輪郭を取得するように配置されることができる。
【0126】
本発明に係る実施形態における運動対象輪郭トラッキング装置では、運動対象の予め設定された画像での初期輪郭は、予め得たものであってもよい、運動対象輪郭トラッキング装置によって得られたものであってもよい。図22は、本発明に係る他の実施形態における運動対象輪郭トラッキング装置を示すブロック図である。当該実施形態では、運動対象輪郭トラッキング装置2200は、運動対象の予め設定された画像での初期輪郭を取得するための初期輪郭取得部2240を備える。
【0127】
当該実施形態では、運動対象は、左心室であって、画像の時間シーケンスがそれぞれ1つの心周期における複数の時点に左心室のその長軸と交差する1つの断面に対して得られた複数の画像を含む。左心室は、心内膜輪郭と内外膜の輪郭を有す。従って、初期輪郭取得部2240は、心内膜の初期輪郭、或いは心外膜の初期輪郭を取得するように配置されることができる。
【0128】
図23は、本発明に係る一つの実施形態における初期輪郭取得部を示す図である。図23に示すように、初期輪郭取得部2300は、座標変換部2310と心内膜輪郭取得部2320を含む。座標変換部2310は、予め設定された画像を極座標系に変換させるように配置される。心内膜輪郭取得部2320は、極座標系で左心室の心内膜輪郭を取得するように配置される。座標変換部2310は、さらに、心内膜輪郭取得部2320が極座標系で取得した心内膜輪郭を元の予め設定された画像にマッピングするように配置される。
【0129】
心内膜輪郭取得部2320は、現有のいずれの適当な方法を利用して極座標系で左心室の予め設定された画像での心内膜プロファイルを取得することができる。例として、図24は、本発明に係る一つの実施形態における心内膜輪郭取得部を示すブロック図である。当該実施形態では、画像の水平投影を利用して心内膜プロファイルの極座標系でのほぼ位置を確定して、直線検出法より画像のエッジ画像から心内膜プロファイルを取得する。図24に示すように、心内膜輪郭取得部2400は、エッジ検出部2410、輪郭ポインティング部2420と輪郭近似部2430を含む。エッジ検出部2410は、予め設定された画像におけるエッジを検出することに用いられる。輪郭定位部2420は、極座標系で予め設定された画像のグレイスケール画像の水平投影を利用して左心室の心内膜輪郭の半径を取得することに用いられる。輪郭フィティング部2430は、極座標系で直線検出法を利用して心内膜輪郭の半径の近くに位置するエッジから心内膜輪郭を取得する。例とするだけであるが制限ではなく、前記直線検出法は、ハフ(Hough)変換法である。
【0130】
図25は、本発明に係る他の実施形態における初期輪郭取得部を示すブロックである。図25に示すように、初期輪郭取得部2500は、座標変換部2510と心外膜輪郭取得部2520を含む。座標変換部2510は、予め設定された画像を極座標系に変換させるように配置される。心外膜輪郭取得部2520は、極座標系で左心室の心外膜輪郭を取得するように配置される。座標変換部2510は、さらに、心外膜輪郭取得部2520が極座標で取得した心外膜輪郭を元の予め設定された画像にマッピングするように配置される。
【0131】
心外膜輪郭取得部2520は、従来のいずれの適当な方法を利用して極座標系で左心室の予め設定された画像での心外膜輪郭を取得することができる。例として、図26は、本発明に係る一つの実施形態における心外膜輪郭取得部を示すブロック図である。図26に示すように、心外膜輪郭取得部2600は、エッジ検出部2610、輪郭定位部2620と輪郭フィティング部2630を含む。エッジ検出部2610は、予め設定された画像におけるエッジを検出するように配置される。輪郭定位部2620は、極座標系で予め設定された画像のグレイスケール画像の水平投影を利用して左心室の心内膜輪郭の半径を取得し、及び極座標系で予め設定された画像のエッジ画像の水平投影と心内膜輪郭の半径を利用して左心室の予め設定された画像での心外膜輪郭の半径を取得するように配置される。輪郭近似部2630は、極座標系で曲線近似法を利用して左心室の心外膜輪郭の半径の近くに位置するエッジから左心室の心外膜輪郭を取得するように配置される。例とするだけであるが制限されなく、前記曲線近似法は、最小二乗法である。
【0132】
本発明に係る他の実施形態では、運動対象輪郭トラッキング装置は、画像の時間シーケンスの亘る時間間隔が運動対象の運動周期より小さいかを判定するように配置される補間判定部(図示しない)と、画像の時間シーケンスの亘る時間間隔が運動対象の周期より小さい場合、画像の時間シーケンスに画像補間法より予測された補償画像を補間するように配置される補間実行部(図示しない)とをさらに備えることができる。
【0133】
運動対象輪郭トラッキング装置における各部についてのより詳細な操作は、<1.運動対象輪郭トラッキング方法>の一部での本発明に係る実施形態における運動対象輪郭トラッキング方法に対する説明を参照することができ、ここでは繰り返しない。
【0134】
本発明に係る実施形態における運動対象輪郭トラッキング装置では、2つの時間方向にそれぞれ運動対象輪郭をトラッキングし、信用できる度の高いトラッキング結果を運動対象輪郭として用いて、輪郭トラッキングの正確性を向上する。また、運動対象が左心室である場合、予め設定された画像を極座標系に変換させることで、左心室の心内膜輪郭と心外膜輪郭を比較的正確に取得することができる。
【0135】
<6.3次元の画像時間シーケンスのための運動対象輪郭トラッキング装置>
図27は、本発明に係る他の実施形態における運動対象輪郭トラッキング装置を示すブロック図である。
【0136】
当該実施形態による運動対象輪郭抽出装置は、3次元の画像の時間シーケンスで周期的に変形運動をする運動対象の輪郭をトラッキングすることに用いられる。前記3次元の画像の時間シーケンスは、それぞれ運動対象の1つの運動周期における複数の時点に取得した複数の3次元の画像を含む。各3次元の画像は、平行する複数の2次元の画像から構成される。前記複数の3次元の画像で同じ位置にある複数の2次元の画像は、1つの画像の時間シーケンスを構成する。
【0137】
図27に示すように。運動対象輪郭トラッキング装置2700は、トラッキング部2710を備える。トラッキング部2710は、それぞれ各画像の時間シーケンスで運動対象の輪郭をトラッキングするように配置される。ここで、トラッキング部2710は、以上の<5.運動対象輪郭トラッキング装置>の一部で説明した運動対象輪郭トラッキング装置で実現されることができる。運動対象の同じ時点の前記複数の2次元の画像での輪郭は、運動対象の当該時点での3次元の輪郭を構成する。
【0138】
また、運動対象輪郭トラッキング装置2700は、3次元の画像の時間シーケンスにおける画像をトラッキング部2710に一つ一つ入力するように制御する制御部(図示しない)をさらに備えることができる。
【0139】
その他、運動対象輪郭トラッキング装置2700は、3次元の画像の時間シーケンスから運動対象の2つの端部に対応する画像の時間シーケンスを識別する極限位置識別装置(図示しない)をさらに含むがことができる。
【0140】
<7.心筋運動解析装置>
以下、本発明に係る実施形態における心筋運動解析装置を図28〜31に従って説明する。前記心筋運動解析装置は、医用画像の時間シーケンスで左心室の心筋の運動を解析することに用いられる。1つの画像の時間シーケンスは、それぞれ1つの心周期における複数の時点に左心室のその長軸と交差する1つの断面に対して得られた複数の画像を含む。本発明に係る実施形態における心筋運動解析装置では、心内膜輪郭点と心外膜輪郭点との運動関連性を利用して関連ポイントペアを配置して、関連ポイントペアの運動で心筋の運動を示す。
【0141】
図28は、本発明に係る一つの実施形態における心筋運動解析装置を示すブロック図である。図28に示すように、心筋運動解析装置2800は、輪郭取得部2810と、関連ポイントペア配置部2820と、関連ポイントペアトラッキング部2830と運動ベクトル計算部2840とを備える。
【0142】
当該実施形態では、輪郭取得部2810は、左心室の各画像での心内膜輪郭と心外膜輪郭を取得するように配置される。関連ポイントペア配置部2820は、画像の時間シーケンスにおけるリファレンス画像での心内膜輪郭と心外膜輪郭上の輪郭点を複数の関連ポイントペアに配置して、各関連ポイントペアに心内膜輪郭上の輪郭点と心外膜輪郭上の輪郭点を含み、且つ各関連ポイントペアにおける2つの輪郭点が左心室壁の前記リファレンス画像でのリファレンス輪郭の同じ法線に位置するように配置される。関連ポイントトラッキング部2830は、各関連ポイントペアの画像の時間シーケンスにおける他の画像での位置を確定するように配置される。運動ベクトル計算部2840は、前記複数の関連ポイントペアの画像の時間シーケンスにおける隣り合う画像での位置から左心室の心内膜輪郭と心外膜輪郭によって限定された心筋の前記隣り合う画像間での運動ベクトルを計算するように配置される。
【0143】
例として、リファレンス輪郭は、心内膜輪郭、或いは心外膜輪郭、或いは心内膜輪郭と心外膜輪郭から得られた平均輪郭であってもよい。
【0144】
本発明の他の実施形態では、運動ベクトル計算部2840は、さらに、左心室の心筋の隣り合う画像間での運動ベクトルの以下の複数の運動成分、即ち心臓収縮/拡張、左心室の心筋の円周方向伸縮、左心室の心筋の回転、及び左心室の心筋のねじれを計算するように配置される。具体的には、運動ベクトル計算部2840は、<3.心筋運動解析方法>の一部で説明した運動成分計算方法を用いてそれぞれ上記運動成分を計算することができる。
【0145】
輪郭取得部2810は、操作者から各画像における心内膜輪郭と心外膜輪郭に注釈を付けることを受けるができ、現有の技術におけるいずれの適当方法より心内膜輪郭と心外膜輪郭を取得することもできる。例として、輪郭取得部2810は、本発明に係る実施形態における運動対象輪郭トラッキング装置で実施されて、左心室を運動対象として、それぞれ左心室の心内膜輪郭と心外膜輪郭を取得することもできる。
【0146】
本発明に係る上記実施形態における運動対象輪郭トラッキング装置は、運動対象の輪郭を取得するとともに、運動対象の輪郭点の連続運動情報を取得する。本発明に係る他の実施形態で、本発明に係る実施形態における運動対象輪郭トラッキング装置で輪郭取得部2810を実施する場合で、関連ポイントペアトラッキング部2830は、さらに、運動対象輪郭トラッキング装置における運動ベクトル計算部2140が計算した運動対象である左心室の現在画像での心内膜輪郭上の輪郭点の現在の画像から次の画像までの運動ベクトルに基づいて各心内膜輪郭点の次の画像での位置を取得し、運動対象輪郭トラッキング装置における運動ベクトル計算部2140が計算した運動対象である左心室の現在の画像での心外膜輪郭上の輪郭点の現在の画像から次の画像までの運動ベクトルに基づいて各心外膜輪郭点の次の画像での位置を取得し、各心内膜輪郭点の次の画像での位置と各心外膜輪郭点の次の画像での位置に基づいて各関連ポイントペアの次の画像での位置を確定するように配置される。
【0147】
当然、関連ポイントペアトラッキング2830は、直接に本発明に係る実施形態における運動対象輪郭トラッキング装置で実施されて、心内膜輪郭点と心外膜輪郭点の運動ベクトルに基づいてそれぞれ心内膜輪郭点と心外膜輪郭点の次の画像での位置を計算して、各関連ポイントペアの次の画像での位置を確定することもできる。
【0148】
本発明に係る一つの実施形態では、心筋の各運動成分を平滑化させることで、心筋の各運動成分からなる運動ベクトルをより正確にして、心筋運動解析をさらに正確にすることができる。図29は、本発明に係る他の実施形態における心筋運動解析装置を示すブロック図である。図29に示すように、心筋運動解析装置2900は、輪郭取得部2190と、関連ポイントペア配置部2920と、関連ポイントペアトラッキング部2930と、運動ベクトル計算部2940と、平滑部2950とを備える。輪郭取得部2910、関連ポイントペア配置部2920、関連ポイントペアトラッキング部2930と運動ベクトル計算部2940の構成及び機能は、図28に示す輪郭取得部2810、関連ポイントペア配置部2820、関連ポイントペアトラッキング部2830及び運動ベクトル計算部2840と同じである。平滑部2950は、それぞれ左心室の心筋の隣り合う画像間での運動ベクトルの各運動成分からなる運動成分の時間シーケンスを平滑化させるように配置される。
【0149】
図30は、本発明に係る他の実施形態における心筋運動解析装置を示すブロック図である。当該実施形態では、心筋運動解析装置3000は、図29に示す輪郭取得部2910、関連ポイントペア配置部2920、関連ポイントペアトラッキング部2930、運動ベクトル計算部2940及び平滑部2950の構成及び機能と同じの輪郭取得部3010と、関連ポイントペア配置部3020と、関連ポイントペアトラッキング部3030と、運動ベクトル計算部3040と、平滑部3050とを備える。また、心筋運動解析装置3000は、輪郭最適化部3060をさらに備える。輪郭最適化部3060は、左心室のリファレンス画像での心内膜輪郭と心外膜輪郭に基づいて、左心室の心筋の隣り合う画像間での平滑化された運動成分の時間シーケンスを利用して左心室の前記画像の時間シーケンスにおける各他の画像での新しい心内膜輪郭と心外膜輪郭を取得して、取得した輪郭をより正確にするように配置される。
【0150】
図31は、本発明に係る他の実施形態における心筋運動解析装置を示すブロック図である。当該実施形態では、心筋運動解析装置3100は、図28に示す心筋運動装置と同じの輪郭取得部3110、関連ポイントペア配置部3120、関連ポイントペアトラッキング部3130と運動ベクトル計算部3140に加えて、パラメーター計算部3170と表示部3180とを備える。パラメーター計算部3170は、左心室の心筋の隣り合う画像間での運動ベクトルから左心室の心筋のストレインを計算するように配置される。表示部3180は、左心室の心筋のストレインを相応の元の画像に表示させるように配置される。
【0151】
また、優先的に、心筋運動解析装置3100は、平滑部3150と/或いは輪郭最適化部3160をさらに備えることができる。平滑部3150の構成及び機能は、図29に示す平滑部2950と同じである。
【0152】
心筋運動解析装置における各部についてのより多くの詳細な操作は、以上の<3.心筋運動解析方法>の一部での本発明に係る実施形態における心筋運動解析方法に対する説明を参照することができるが、ここでは繰り返し説明はしない。
【0153】
本発明に係る実施形態における心筋運動解析装置は、関連ポイントペアの運動で心筋の運動を表象して、制限の増加のため、心筋の運動をより安定的に解析することができる。また、心筋の運動ベクトルを心臓収縮/拡張、円周方向伸縮、回転とねじれなどの運動成分に分解させることで、全面的に心筋の運動を解析することが可能である。また、心筋の各運動成分を平滑化させることで、心筋の各運動成分からなる運動ベクトルをより正確にして、心筋の運動解析をさらに正確する。平滑化された運動ベクトルに基づいて、新たに心内膜輪郭と心外膜輪郭を取得して、取得した輪郭をより正確にする。
【0154】
<8.3次元の医用画像の時間シーケンスのための心筋運動解析装置>
図32は、本発明に係る他の実施形態における心筋運動解析装置を示すブロック図である。
【0155】
当該実施形態による心筋運動解析装置は、3次元の医用画像の時間シーケンスで左心室の心筋の運動を解析することに用いられる。3次元の医用画像の時間シーケンスは、それぞれ1つの心周期における複数の時点に得られた複数の3次元の画像を含む。各3次元の画像は、左心室の長軸と交差する複数の平行の2次元の画像から構成される。前記複数の3次元の画像で同じ位置にある複数の2次元の画像は、1つの画像の時間シーケンスを構成する。
【0156】
図32に示すように、心筋運動解析装置3200は、解析部3210を備える。解析部3210は、それぞれ各医用画像の時間シーケンスで左心室の心筋運動を解析するように配置される。ここで、解析部3210は、<7.心筋運動解析装置>の一部で説明した心筋運動解析装置で実施されることができる。心筋の同じ時点にある複数の2次元の画像での運動は、左心室の当該時点での運動を構成する。
【0157】
ここで、心筋運動解析装置3200は、更に、制御部(図示せず)を含むことができ、三次元医用画像の時間シーケンスにおけるスライス画像の時間シーケンスを逐次解析部3210へ入力する。
【0158】
また、心筋運動解析装置3200は、3次元の医用画像の時間シーケンスにおける画像の時間シーケンスを解析部3210に一つ一つ入力するように制御部(図示しない)をさらに備えることができる。
【0159】
<9.本発明に係る実施形態の方法/装置を実施することが可能なコンピュータ構成>
一例として、上述の運動対象輪郭トラッキング方法と心筋運動解析方法の各ステップおよび上述運動対象輪郭トラッキング装置と心筋運動解析装置の各構成モジュールおよび/あるいは構成単体は、医用画像診断装置(例えば、X線診断装置、超音波診断装置、CT装置、磁気共鳴診断装置、PET装置等)のソフトウエア、ファームウエア、ハードウエアあるいはそれらの組み合わせとして、また、該医用画像診断装置の中の一部分として実施することができる。一例として、上述方法の各ステップおよび上述装置の各構成モジュールおよび/あるいは構成単体は、医用画像診断装置のソフトウエア、ファームウエア、ハードウエアあるいはそれらの組み合わせとして、また、該医療画像診断装置の中の一部分として実施することができる。一例として、既存の医用画像診断装置において、本実施形態の上述方法および/または装置に基づいて実施することができ、しかも、既存の医用画像診断装置の各構成部分に対してある程度改良をするだけで即実施可能となる。その他の例として、上述方法の各ステップおよび上述装置の各構成および/または部分は、前記医用画像診断装置とは独立した装置として実施してもよい。上述装置の各構成や部分は、ソフトウエア、ファームウエア、ハードウエアあるいはそれらの組み合わせた方式により構成することができるが、使用する具体的手段や方式は当業者の周知のものであり、ここでは特に述べることはしない。
【0160】
一例として、上述方法の各ステップおよび上述装置の各構成および/または部分はソフトウエア、ファームウエア、ハードウエアあるいはそれらの組み合わせとして実施しても良い。ソフトウエアあるいはファームウエアを介して実現した場合、上述方法のソフトウエアプログラムを実施するため、メモリ媒体からあるいはネットワークを介して専用のハードウエア構造のコンピュータ(例えば、図33に示す汎用コンピュータ3300)へダウンロードして構成することができ、該コンピュータに各種プログラムがダウンロードされた状態で、各種機能等を実施することができる。
【0161】
図33において、演算処理部(即ち、CPU)3301は、読み出し専用メモリ(ROM)3302の中に記憶されているプログラム、あるいは、記憶部3308から読み書き兼用メモリ(RAM)3303へ書き込まれたプログラムに基づいて、各種処理を実施する。RAM3303では、必要に応じて、CPU3301が各種処理等を実施するときに必要なデータも記憶しておく。CPU3301、ROM3302およびRAM3303は、綜合ライン3304を経由してそれぞれ接続されている。入力/出力インターフェース3305も、綜合ライン3304につながっている。
【0162】
下記の各部は、入力/出力インターフェース3305に接続されている:入力部3306(キーボード、マウス等を含む)、出力部3307(モニタ、例えば、ブラウン管(CRT)、液晶モニタ(LCD)等や、スピーカ等を含む)、メモリ部3308(キーボードを含む)、通信部3309(ネットワークインターフェースカード、例えば、LANカード、モデム等)。通信部3309は、ネットワーク(例えば、インターネット)を介して通信処理を実施する。必要に応じて、駆動器3310も入力/出力インターフェース3305に接続可能である。取り外し可能な媒体3311は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、MO、半導体メモリ等であって、必要に応じて駆動器3310に装着され、必要に応じてコンピュータプログラムを読み出して、メモリ部3308へダウンロードされる。
【0163】
ソフトウエアを介して上述システム処理を実施する場合、ネットワーク(例えば、インターネットあるいは記憶媒体(例えば、取り外し可能な媒体3311))からプログラムをダウンロードしても良い。
【0164】
当業者においては、このような記憶媒体は図33に示すようなプログラムを記憶した記憶媒体は、装置とは離れたところからユーザにプログラムを提供する取り外し可能な媒体3311に限らない。取り外し可能な媒体3311の例としては、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、光ディスク(CD−ROMやDVDを含む)、磁気光ディスク(MiniDisc(MD、登録商標)を含む)らを含む。また、記憶媒体はROM3302であっても良く、記憶部3308に含まれるハードディスク等、その中にプログラムが記憶され、それらを含む装置からユーザへプログラムが送られる形態でも良い。
【0165】
本実施形態では、更に、メモリとして、機器読み取り可能なコマンドコードを記憶しているプログラム製品でも応用でき、前記コマンドコードが機器を介して読み取られると、本実施形態の実施例における方法が実施される。
【0166】
上述機器読み取り可能なコマンドコードを記憶しているプログラム製品を受け入れるための記憶媒体も本実施形態に適用できる。その記憶媒体は、ハードディスク、光ディスク、磁気光ディスク、メモリカード、メモリスティックには限定されない。
【0167】
上記の本実施形態の具体的実施例においては、一つの実施方式に示す特徴について、同様の方法を一つあるいは複数のほかの実施方法方の中で適用したり、その他の実施方法と組み合わせたり、あるいはその他の実施方法における特徴に替えるといったことも可能である。
【0168】
さらに、“包含する/含む”といった用語を使用したときは、特徴・構成・ステップあるいは構造の存在を指し示す。ただし、その他の特徴・構成・ステップあるいは構造の存在や付加の排除を意味するものではない。
【0169】
上記実施例においては、数字構成の図番記号を用いて各ステップや構成を表記している。ただし、これらの図番記号は単なる説明や画図の都合への考慮によるものであって、その順序やいかなるほかの限定を表すものではない、と当業者は理解すべきである。
【0170】
このほか、本実施形態の方法は、詳細な説明の欄において説明された時間順序に沿って実施されるものに限らず、その他の時間順序に沿って、同時に、あるいは独立して実施されても良い。それゆえ、本願の詳細な説明において説明された方法の実施順序は、本実施形態の技術範囲に対する構成を制限するものではない。
【0171】
上記では、既に、本実施形態の具体的実施例の説明をもって、本実施形態の説明を行っているものの、上述のすべての実施例はすべて単なる例示に過ぎず、限定するものではない。当業者は、特許請求の主旨や範囲において、本実施形態の各種手直し・改良あるいは同等物の設計を行うことが可能である。これらの手直し・改良あるいは同等物は、本実施形態の保護範囲内に含まれるものである。
【符号の説明】
【0172】
2000 運動対象輪郭トラッキング装置
2010 輪郭トラッキング部
2020 輪郭比較部
2030 輪郭補正部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スライス画像の時間シーケンスにおいて、周期的に変形運動する運動対象の輪郭をトラッキングし、前記スライス画像の時間シーケンスはそれぞれ前記運動対象の一運動周期における複数の時刻において取得された複数のスライス画像を含む運動対象輪郭トラッキング装置において、
前記運動対象の前記スライス画像の時間シーケンスに対して第一時間方向で輪郭トラッキングを行い前記スライス画像の時間シーケンスにおける各スライス画像の第一輪郭を取得し、前記スライス画像の時間シーケンスに対して第二時間方向で輪郭トラッキングを行い前記スライス画像の時間シーケンスにおける各スライス画像の第二輪郭を取得する輪郭トラッキング部と、
前記運動対象のスライス画像の時間シーケンスにおける所定のスライス画像における初期輪郭と前記所定のスライス画像における第一輪郭との相似度を計算して第一相似度とし、前記初期輪郭と前記所定のスライス画像における第二輪郭との相似度を計算して第二相似度とする輪郭比較部と、
前記輪郭トラッキング部において前記第一相似度と前記第二相似度とで大きい方に対応する輪郭トラッキング方向において得られた各スライス画像の輪郭を前記運動対象の相応するスライス画像における輪郭とする輪郭補正部と、
を備えたことを特徴とする運動対象輪郭トラッキング装置。
【請求項2】
前記輪郭トラッキング部は、
前記運動対象の任意のスライス画像を直前スライス画像とし、前記直前スライス画像における輪郭に対して拡大を行い、輪郭関心領域を得る関心領域生成部と、
前記輪郭関心領域を複数の所定の大きさのトラッキング単位領域に分割するトラッキング単位領域分割部と、
パターンマッチングにより前記複数のトラッキング単位領域の次のスライス画像上の位置を得るマッチング部と、
前記複数のトラッキング単位領域の次のスライス画像上の位置に基づいて前記複数のトラッキング単位領域の直前スライス画像から次のスライス画像までの運動ベクトルを計算する運動ベクトル計算部と、
前記運動対象の直前スライス画像における輪郭と前記複数のトラッキング単位領域の直前スライス画像から次のスライス画像までの運動ベクトルに基づいて前記運動対象の次のスライス画像における輪郭を得る次輪郭確定部とを備えたことを特徴とする請求項1に記載の運動対象輪郭トラッキング装置。
【請求項3】
前記運動ベクトル計算部は、前記運動対象の直前スライス画像の輪郭上での各輪郭点の所定の範囲内の隣接するトラッキング単位領域の運動ベクトルの加算平均を計算し、それを該輪郭点の直前スライス画像から次のスライス画像までの運動ベクトルとし、
前記次輪郭確定部は、前記運動対象の直前スライス画像の輪郭上での各輪郭点の運動ベクトルに基づいて前記運動対象の直前スライス画像の輪郭を移動し、前記運動対象の次のスライス画像における輪郭を得ることを特徴とする請求項2に記載の運動対象輪郭トラッキング装置。
【請求項4】
前記運動対象は左心室であり、前記スライス画像の時間シーケンスは、それぞれ一心周期における複数の時刻で前記左心室の左心室長軸に互いに交わる一断面に基づいて得られる複数のスライス画像を含み、
前記装置は、前記初期輪郭を取得するための初期輪郭取得部を備え、
前記初期輪郭取得部は、
前記所定のスライス画像を極座標系へ変換し、前記極座標系で取得された前記左心室の心内膜輪郭を初期輪郭として前記所定のスライス画像へ投影する座標変換部と、
前記極座標系において前記左心室の心内膜輪郭を取得する心内膜輪郭取得部とを備えることを特徴とする請求項1に記載の運動対象輪郭トラッキング装置。
【請求項5】
前記心内膜輪郭取得部は、
前記所定のスライス画像におけるエッジを検出するエッジ検出部と、
前記極座標系において前記所定のスライス画像のグレイスケール画像の水平投影に基づいて前記左心室の前記所定のスライス画像における心内膜輪郭の半径を取得する輪郭定位部と、
前記極座標系において直線検出法に基づいて前記左心室の心内膜輪郭の半径付近に位置するエッジから前記左心室の心内膜輪郭を取得する輪郭フィティング部とを備えることを特徴とする請求項4に記載の運動対象輪郭トラッキング装置。
【請求項6】
前記運動対象は左心室であり、前記スライス画像の時間シーケンスは、それぞれ一心周期における複数の時刻で前記左心室の左心室長軸に互いに交わる一断面に基づいて得られる複数のスライス画像を含み、
前記装置は、前記初期輪郭を取得するための初期輪郭取得部を備え、
前記初期輪郭取得部は、
前記所定のスライス画像を極座標系へ変換し、前記極座標系で取得された前記左心室の心外膜輪郭を初期輪郭として前記所定のスライス画像へ投影する座標変換部と、
前記極座標系において前記左心室の心外膜輪郭を取得する心外膜輪郭取得部とを備えることを特徴とする請求項1に記載の運動対象輪郭トラッキング装置。
【請求項7】
前記心外膜輪郭取得部は、
前記所定のスライス画像におけるエッジを検出するエッジ検出部と、
前記極座標系において前記所定のスライス画像のグレイスケール画像の水平投影に基づいて前記左心室の前記所定のスライス画像における心内膜輪郭の半径、および前記極座標系において前記所定のスライス画像のエッジ画像の水平投影と前記左心室の心内膜輪郭の半径に基づいて前記左心室の前記所定のスライス画像における心外膜輪郭の半径を取得する輪郭定位部と、
前記極座標系において曲線フィティング法に基づいて前記左心室の心外膜輪郭の半径付近に位置するエッジから前記左心室の心外膜輪郭を取得する輪郭フィティング部とを備えることを特徴とする請求項6に記載の運動対象輪郭トラッキング装置。
【請求項8】
前記スライス画像の時間シーケンスの跨ぐ時間間隔が前記運動対象の運動周期より小さいか否かを判断する補間判断部と、
前記スライス画像の時間シーケンスの跨ぐ時間間隔が前記運動対象の運動周期よりも小さい場合、前記スライス画像の時間シーケンスにおいて画像補間方法を用いて推測された補償スライス画像を挿入する補間実行部とを備えることを特徴とする請求項1に記載の運動対象輪郭トラッキング装置。
【請求項9】
前記スライス画像の時間シーケンスは、医用画像診断装置により取得されたデータに基づいて生成された医用画像シーケンスであることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の運動対象輪郭トラッキング装置。
【請求項10】
三次元画像の時間シーケンスにおける、周期的に変形運動する運動対象の輪郭をトラッキングするための運動対象輪郭トラッキング装置であって、前記三次元画像の時間シーケンスは、それぞれ運動対象の一運動周期における複数の時刻で取得された複数の三次元画像を含み、各三次元画像は互いに平行の複数の二次元スライス画像からなり、前記複数の三次元画像において同一位置での複数の二次元スライス画像は一スライス画像の時間シーケンスを構成する運動対象輪郭トラッキング装置において、
請求項1乃至9のいずれか一項に記載の運動対象輪郭トラッキング装置によって実行され、それぞれ各一スライス画像の時間シーケンスにおける、運動対象の輪郭をトラッキングするためのトラッキング部を有し、
前記運動対象の同一時刻における前記複数の二次元スライス画像の輪郭は前記運動対象の該時刻における三次元輪郭を構成することを特徴とする運動対象輪郭トラッキング装置。
【請求項11】
医用スライス画像の時間シーケンスにおいて、左心室の心筋運動を解析するための心筋運動解析装置であって、前記スライス画像の時間シーケンスは、それぞれ一心周期における複数の時刻において前記左心室の、左心室の長軸と互いに交わる一断面に基づいて得られる複数のスライス画像を含む心筋運動解析装置において、
左心室の各スライス画像における心内膜輪郭と心外膜輪郭を取得する輪郭取得部と、
前記スライス画像の時間シーケンスにおけるリファレンススライス画像の中の心内膜輪郭と心外膜輪郭上の輪郭点を複数の関連ポイントペアとして配置し、各関連ポイントペアは、心内膜輪郭上の一輪郭点と心外膜輪郭上の一輪郭点を含み、各関連ポイントペアにおける2つの輪郭点は左心室壁の前記リファレンススライス画像の中のリファレンス輪郭の同一法線上に位置する関連ポイントペア配置部と、
各関連ポイントペアの前記スライス画像の時間シーケンスにおけるその他のスライス画像上の位置を確定する関連ポイントペアトラッキング部と、
前記複数の関連ポイントペアの前記スライス画像の時間シーケンスにおける隣接するスライス画像の位置に基づいて、左心室の心内膜輪郭と心外膜輪郭で限定される心筋の前記隣接するスライス画像間の運動ベクトルを計算する運動ベクトル計算部とを備えることを特徴とする心筋運動解析装置。
【請求項12】
前記運動ベクトル計算部は、
左心室の心筋の隣接するスライス画像間の運動ベクトルのうち少なくとも心臓収縮/拡張、左心室の心筋の周方向収縮、左心室の心筋の回転、左心室の心筋のねじれのいずれかを計算することを特徴とする請求項11に記載の心筋運動解析装置。
【請求項13】
前記運動ベクトル計算部は、
各関連ポイントペアで限定される線分の前記リファレンススライス画像における前記リファレンス輪郭の前記関連ポイントペアの中の任意の輪郭点を通過する法線方向上へ投影の隣接スライス画像の間の差を計算し、計算心臓収縮/拡張の運動ベクトルとすることを特徴とする請求項12に記載の心筋運動解析装置。
【請求項14】
前記運動ベクトル計算部は、
各関連ポイントペアで限定される線分および前記関連ポイントペアの隣接する関連ポイントペアで限定される線分との間の距離の前記リファレンススライス画像における前記リファレンス輪郭の前記関連ポイントペアで限定される線分の接線方向上へ投影の隣接スライス画像間の差を計算し、左心室の心筋の周方向伸縮の運動ベクトルとすることを特徴とする請求項12に記載の心筋運動解析装置。
【請求項15】
前記運動ベクトル計算部は、
各関連ポイントペアで限定される線分と、前記リファレンススライス画像における前記リファレンス輪郭の前記関連ポイントペアで限定される線分を通る法線方向の挟角の隣接するスライス画像間の差を計算し、左心室の心筋の回転の運動ベクトルとすることを特徴とする請求項12に記載の心筋運動解析装置。
【請求項16】
前記運動ベクトル計算部は、
前記リファレンススライス画像における前記リファレンス輪郭の各関連ポイントペアの中の任意の輪郭点を通る法線方向と、前記リファレンススライス画像における前記リファレンス輪郭の該関連ポイントペアで限定される線分の中点を通る法線方向との挟角の隣接するスライス画像間の差を計算し、左心室の心筋のねじれの運動ベクトルとすることを特徴とする請求項12に記載の心筋運動解析装置。
【請求項17】
左心室の前記リファレンススライス画像におけるリファレンス輪郭は、心内膜輪郭、心外膜輪郭、心内膜輪郭と心外膜輪郭から得られる平均輪郭のいずれかであることを特徴とする請求項11乃至16のいずれか一項に記載の心筋運動解析装置。
【請求項18】
前記輪郭取得部は、請求項3の運動対象輪郭トラッキング装置により実行され、前記関連ポイントペアトラッキング部は、
運動対象の左心室の直前のスライス画像における心内膜輪郭上の輪郭点の直前スライス画像から次のスライス画像までの運動ベクトルに基づいて各心内膜輪郭点の次のスライス画像における位置を取得し、
運動対象の左心室の直前のスライス画像における心外膜輪郭上の輪郭点の直前スライス画像から次のスライス画像までの運動ベクトルに基づいて各心外膜輪郭点の次のスライス画像における位置を取得し、
各心内膜輪郭点の次のスライス画像における位置と各心外膜輪郭点の次のスライス画像における位置に基づいて各関連ポイントペアの次のスライス画像における位置を確定することを特徴とする請求項11に記載の心筋運動解析装置。
【請求項19】
それぞれ左心室の心筋の隣接するスライス画像間の運動ベクトルの各一運動ベクトルが構成する運動ベクトルの時間シーケンスを平滑化する平滑部を備えることを特徴とする請求項12に記載の心筋運動解析装置。
【請求項20】
左心室の前記リファレンススライス画像における心内膜輪郭と心外膜輪郭に基づいて、左心室の心筋の隣接するスライス画像間の平滑化を経た運動ベクトルの時間シーケンスにより左心室の前記画像スライスの時間シーケンスにおける各その他のスライス画像の中の新たな心内膜輪郭と心外膜輪郭を取得する輪郭最適化部を備えることを特徴とする請求項19に記載の心筋運動解析装置。
【請求項21】
左心室の心筋の隣接するスライス画像間の運動ベクトルに基づいて左心室の心筋のひずみを計算するパラメータ計算部と、
左心室の心筋のひずみを現在の相応する原始スライス画像上へ表す表現部とを備えることを特徴とする請求項11に記載の心筋運動解析装置。
【請求項22】
前記輪郭取得部は、請求項1乃至9のいずれか一項の運動対象輪郭トラッキング装置により実行され、更に、
前記スライス画像の時間シーケンスにおいて運動対象の左心室の心内膜輪郭をトラッキングして左心室の各スライス画像における心内膜輪郭を取得し、
前記スライス画像の時間シーケンスにおいて運動対象の左心室の心外膜輪郭をトラッキングして左心室の各スライス画像における心外膜輪郭を取得することを特徴とする請求項11に記載の心筋運動解析装置。
【請求項23】
三次元医用画像の時間シーケンスにおいて、左心室の心筋の運動を解析し、前記三次元医用画像の時間シーケンスは、それぞれ一心周期における複数の時刻において取得した複数の三次元画像を含み、各三次元画像は前記左心室の長軸と交わる複数の平行の二次元スライス画像から構成され、前記複数の三次元画像における同一位置の複数の二次元スライス画像は一つのスライス画像の時間シーケンスを構成する心筋運動解析装置であって、更に、
請求項11乃至22のいずれか一項の心筋運動解析装置により実行され、それぞれ各医用スライス画像の時間シーケンスにおいて左心室の心筋の運動を解析する解析部を有し、
心筋の同一時刻での前記複数の二次元スライス画像における運動は左心室の該時刻での運動を構成することを特徴とする心筋運動解析装置。
【請求項24】
スライス画像の時間シーケンスにおいて、周期性変形運動の運動対象の輪郭をトラッキングし、前記スライス画像の時間シーケンスはそれぞれ前記運動対象の一運動周期における複数の時刻において取得された複数のスライス画像を含む運動対象輪郭トラッキング方法において、
前記運動対象の前記スライス画像の時間シーケンスに対して第一時間方向で輪郭トラッキングを行い前記スライス画像の時間シーケンスにおける各スライス画像の第一輪郭を取得し、前記スライス画像の時間シーケンスに対して第二時間方向で輪郭トラッキングを行い前記運動対象の前記スライス画像の時間シーケンスにおける各スライス画像の第二輪郭を取得し、
前記運動対象のスライス画像の時間シーケンスにおける所定のスライス画像における初期輪郭と前記所定のスライス画像における第一輪郭との相似度を計算して第一相似度とし、前記初期輪郭と前記所定のスライス画像における第二輪郭との相似度を計算して第二相似度とし、
前記第一相似度と前記第二相似度とで大きい方に対応する輪郭トラッキング方向において得られた各スライス画像の輪郭を前記運動対象の相応するスライス画像における輪郭とすることを特徴とする運動対象輪郭トラッキング方法。
【請求項25】
医用スライス画像の時間シーケンスにおいて、左心室の心筋運動を解析するための心筋運動解析方法であって、前記スライス画像の時間シーケンスは、それぞれ一心周期における複数の時刻において前記左心室の、左心室の長軸と互いに交わる一断面に基づいて得られる複数のスライス画像を含む心筋運動解析方法において、
左心室の各スライス画像における心内膜輪郭と心外膜輪郭を取得し、
前記スライス画像の時間シーケンスにおけるリファレンススライス画像の中の心内膜輪郭と心外膜輪郭上の輪郭点を複数の関連ポイントペアとして配置し、各関連ポイントペアは、心内膜輪郭上の一輪郭点と心外膜輪郭上の一輪郭点を含み、各関連ポイントペアにおける2つの輪郭点は左心室壁の前記リファレンススライス画像の中のリファレンス輪郭の同一法線上に位置させ、
各関連ポイントペアの前記スライス画像の時間シーケンスにおけるその他のスライス画像上の位置を確定し、
前記複数の関連ポイントペアの前記スライス画像の時間シーケンスにおける隣接するスライス画像の位置に基づいて、左心室の心内膜輪郭と心外膜輪郭で限定される心筋の前記隣接するスライス画像間の運動ベクトルを計算することを特徴とする心筋運動解析方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8a】
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【図8b】
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【図9】
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【図10】
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【図11a】
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【図11b】
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【図12a】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図12b】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2013−22462(P2013−22462A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−159852(P2012−159852)
【出願日】平成24年7月18日(2012.7.18)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】