運転支援装置および方法
【課題】単調な運転状態であっても乗員の集中度を高揚させることができる運転支援装置および方法を提供する。
【解決手段】乗員の運転状態を検出する運転状態検出手段101と、前記運転状態検出手段により検出された運転状態に関する運転負荷の大きさを判定する運転負荷判定手段102と、前記乗員に提示する第1の情報を記憶または生成する情報記憶生成手段103と、前記運転負荷の大きさに応じて、前記情報記憶生成手段から前記乗員に提示される前記第1の情報を、前記乗員の思考解釈負荷が異なる第2の情報に変換する情報変換手段104と、を備える。
【解決手段】乗員の運転状態を検出する運転状態検出手段101と、前記運転状態検出手段により検出された運転状態に関する運転負荷の大きさを判定する運転負荷判定手段102と、前記乗員に提示する第1の情報を記憶または生成する情報記憶生成手段103と、前記運転負荷の大きさに応じて、前記情報記憶生成手段から前記乗員に提示される前記第1の情報を、前記乗員の思考解釈負荷が異なる第2の情報に変換する情報変換手段104と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両などの運転支援装置および方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
運転手などの乗員に対して音声案内を発する車両用音声案内装置として、特許文献1に開示された技術が知られている。これは、乗員のあせり、散漫、意識低下などの精神状態に応じた表現内容の音声案内を作成し、精神状態が通常の場合は標準的な表現で音声案内を実施するが、乗員があせっている場合は体言止めやゆっくりとした表現に変更し、乗員が散漫または意識低下している場合は乗員の注意を喚起する音声案内を実施するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−288532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、運転者の精神状態が一定となる単調な運転タスクが続くと、同じ表現内容の音声案内を重ねて提供するだけでは、漫然とした運転行動を防止することが困難である。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、単調な運転状態であっても乗員の集中度を高揚させることができる運転支援装置および方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、乗員の運転負荷の大きさに応じて、乗員に提示される第1の情報を、乗員の思考解釈負荷が異なる第2の情報に変換して提示することによって上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、乗員の運転負荷の大きさに応じて思考解釈負荷が異なる情報を提示するので、単調な運転状態であっても乗員の集中度を高揚させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】発明の一実施の形態に係る運転支援装置を示すブロック図である。
【図2】検証実験の走行コースを示す平面図である。
【図3】検証実験の結果(車速の分散)を示すグラフである。
【図4】検証実験の結果(平均車速)を示すグラフである。
【図5】発明の第1実施形態に係る運転支援装置の制御手順を示すフローチャートである。
【図6】発明の第1実施形態に係る運転支援装置の作用を説明する図である。
【図7】発明の第1実施形態に係る運転支援装置の作用を説明する図である。
【図8】発明の第1実施形態に係る運転支援装置の作用を説明する図である。
【図9】発明の第1実施形態に係る運転支援装置の作用を説明する図である。
【図10】発明の第1実施形態に係る運転支援装置の作用を説明する図である。
【図11】発明の第1実施形態に係る運転支援装置の作用を説明する図である。
【図12】発明の第1実施形態に係る運転支援装置の作用を説明する図である。
【図13】発明の第1実施形態に係る運転支援装置の作用を説明する図である。
【図14】発明の第1実施形態に係る運転支援装置の作用を説明する図である。
【図15】発明の第2実施形態に係る運転支援装置の制御手順を示すフローチャートである。
【図16】発明の第2実施形態に係る運転支援装置の作用を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0010】
《第1実施形態》
図1は発明の一実施の形態に係る運転支援装置を示すブロック図である。
【0011】
本例の運転支援措置10は、運転状態検出装置101、運転負荷判定装置102、情報装置103、情報変換装置104および情報出力装置105を備える。
【0012】
運転状態検出装置101は、車両の速度センサ、ナビゲーション装置(地図情報、GPS情報、VICS情報、CAN情報等を有する)、車両コントロールユニットからの各種の信号Sに基づいて、走行時間、走行距離、車両速度、アクセル開度、ステアリング角、ブレーキ踏力、走行場所、運転者が操作している車両機器など、運転者の現在の運転状態を検出する。
【0013】
運転負荷判定装置102は、上記運転状態検出装置101で検出された運転者の運転状態を予め経験的または実験的に得られた閾値に基づいて判断する。
【0014】
たとえば、運転状態検出装置101にて検出された車両速度が中速または高速で、走行時間が長く、アクセル開度やステアリング角の変化率が小さい場合には、相対的に運転状態が安定している状態であるため運転負荷が小さいと判定する。これに対し、運転状態検出装置101にて検出された車両速度が中速または高速で、走行時間が短く、アクセル開度やステアリング角の変化率が大きい場合には、相対的に運転状態が不安定であるため運転負荷が大きいと判定する。
【0015】
情報装置103は、出力が必要な第1のシンボル情報を記憶し、更に運転者の運転状態によっては、出力する第1のシンボル情報を動的に作成する。この第1のシンボル情報には、音声情報などのように聴覚により認識される情報や、文字情報や図形情報のように視覚により認識される情報が含まれる。また、第1のシンボル情報には、たとえば「500m先を右方向です」といったナビゲーション装置から出力される経路指示情報や、たとえば「燃料の残りは20リットルです」といった車両制御装置から出力される車両情報が含まれる。
【0016】
情報変換装置104は、上記運転負荷判定装置102によって判定された結果に応じて、運転者に対して出力する第1のシンボル情報を第2のシンボル情報に変換するか又は変換しないで第1のシンボル情報とする。
【0017】
情報出力装置105は、上記情報変換装置104にて変換された第2のシンボル情報または無変換のままの第1のシンボル情報を運転者へ出力する。
【0018】
特に本例の情報変換装置104では、運転負荷判定装置102により運転負荷が所定の閾値より小さいと判定された場合は、出力すべき第1のシンボル情報を、運転者の思考解釈負荷が大きい第2のシンボル情報に変換して運転者に提示する。これに対して、運転負荷が所定の閾値より大きいと判定された場合は、出力すべき第1のシンボル情報を変換しないでそのまま運転者に提示する。
【0019】
すなわち、運転負荷が大きい場合には、運転者は運転タスクに集中するので集中度が高くなるが、カーブが少なく空いた高速道路を一定速度で長時間運転する場合などでは、運転負荷が小さいので運転者の集中度が低くなる。このような場合に運転者に対し、その情報を理解するために必要とされる思考過程の負荷が大きい情報を提示することで、運転者の集中度を高め、前方不注意などに繋がるのを防止する。
【0020】
第1のシンボル情報を変換して得られる第2のシンボル情報は、第1のシンボル情報に比べて、思考解釈負荷、すなわち運転者が解釈するための思考の負荷が大きい情報をいう。具体的な実施の形態は後述するが、第1のシンボル情報より慣用されていないために慣用されている第1のシンボル情報から頭の中で換算する必要があるものである。
【0021】
たとえば、ナビゲーション装置による「500m先を右方向です」という提示情報は、メートルという単位のスケールが目的地への経路案内を提示する際に慣用されているスケールであるから、第1のシンボル情報に該当する。この「500m」という第1の情報に対し、「50000cm先を右方向です」といった経路案内は慣用されていない単位のスケールであるから、運転者は即座にその距離をイメージすることができず、頭の中でイメージし易いメートルへ換算する。この換算思考が付加されたことにより第2のシンボル情報は第1のシンボル情報に比べて思考解釈負荷が高いといえる。
【0022】
こうした本例の発想は下記の知見による。
【0023】
すなわち、単調な運転タスクが連続した場合に運転が散漫になることがあり、前方不注意等につながる可能性がある。これは高速道路を運転している場合のように刺激が少ない環境下において発生することが予測される。
【0024】
そこで、本発明者らは、運転者に対し適切な刺激を与えることにより漫然運転を防止することを検討した。これを実現する手段として、本例では運転中のドライバーに音声等によるシンボル情報を刺激として提示することで、運転行動に対する集中の度合い乃至注意の度合いを向上させ得ることを検証した。
【0025】
[検証実験]
図2に示すように、予め進路を設定したコースを用意し、被験者に走行速度10km/hを超えない程度で運転させた。同時に、音声によるシンボル情報(質問情報)を提示し、当該シンボル情報の指示に対し口頭で回答させた。このシンボル情報は、簡単な足し算、単語の記憶を促す内容の2種類とした。走行回数は3回/人(ただし被験者Bのみ2回)で、被験者は運転経験のある男性5名A〜Eとした。
【0026】
そして、図2の走行シーンにおいて、狭路走行時(同図の丸印で囲まれた領域)における車速情報等を収集し、音声によるシンボル情報の有無の条件に付いて、車速の分散および平均車速を求め、比較した。
【0027】
[実験結果]
図2に試行回毎の車速の分散値を示す。同図の横軸は被験者、縦軸は走行時の車速の分散である。左側の色が薄い棒グラフはシンボル情報の刺激を与えた場合の結果を示し、右側の色が濃い棒グラフはシンボル情報の刺激を与えなかった場合の結果を示す。
【0028】
この実験の結果、シンボル情報、すなわち音声情報が与えられた場合は、被験者によって分散が大きく低下する現象がみられた。車速の分散が小さい場合は、運転者は運転行動に集中している可能性が高いと推察される。このことから、音声等のシンボル情報を使用者に提示することで、運転に対する集中度を高揚させ得ることが期待できる。
【0029】
一方、シンボル情報を提示することにより、運転者の運転負荷が過剰に高くなる可能性がある。運転負荷が高くなった場合に、運転行動において車速を落とすことで運転負荷を低減するなどの対策を運転者が無意識のうちに行なうことが予測される。そこで、運転者の運転負荷の程度を知るため、シンボル情報を提示した場合と、シンボル情報を提示しない場合の平均車速を比較した。
【0030】
図3に試行回毎の平均車速を示す。同図の横軸は被験者、縦軸は走行時の平均車速 [km/h]である。左側の色の薄い棒グラフはシンボル情報の刺激を与えた場合の結果を示し、右側の色の濃い棒グラフはシンボル情報の刺激を与えなかった場合の結果を示す。
【0031】
上述した図2の被験者Aの試行回(1)では分散が5程度低下したのに対し、図3の被験者Aの試行回(1)では平均車速が2km/h程度低下した。この結果から、被験者Aによる試行回(1)の運転操作においては、シンボル情報の刺激を与えることで運転者の集中度は高まったものの、運転負荷も過大であったことが推察される。
【0032】
一方、図2の被験者Aの試行回(3)では分散が15以上程度低下したのに対し、図4の被験者Aの試行回(3)では、平均車速は1km/h程度の低下に留まった。この結果は、先の結果と比較して、分散が大きく低下したことから集中度が向上したことを示唆するとともに、平均車速の低下は試行回(1)の場合に比べて小さいため、運転者にとって運転負荷は上がっていないことも示唆している。なお、試行回(1)と試行回(3)の結果の違いは、そのとき提示された刺激タスクおよび慣れの違い等が少なからず影響するのが原因のひとつであるとも考えられる。
【0033】
したがって、運転者にシンボル情報を用いて、過剰でない適切な運転負荷を与えることで、集中度を高める得ることが検証された。
【0034】
なお、本例の運転状態検出装置が本発明の運転状態検出手段に相当し、本例の運転負荷判定装置が本発明の運転負荷判定手段に相当し、本例の情報装置が本発明の情報記憶生成手段に相当し、本例の情報変換装置が本例の情報変換手段に相当し、本例の情報出力装置が本発明の出力手段に相当する。
【0035】
次に制御内容を説明する。
【0036】
図5は本実施形態の制御手順を示すフローチャートである。
【0037】
ステップS51では、ナビゲーション装置や車両制御装置を介してまたは直接、地図情報、各種センサ情報、GPS情報、VICS情報、文字情報等の車両情報を取得する。
【0038】
ステップS52では、ステップS51で取得した車両情報に基づいて、走行時間、走行距離、車速、アクセル開度、ステアリング角、ブレーキ踏力等の運転状態を抽出する。
【0039】
ステップS53では、抽出した運転状態に関する車両情報から、運転状態のパラメータ、例えば平均値、分散値等を計算する。
【0040】
ステップS54では、ステップS53にて計算した運転状態のパラメータと、予め設定された閾値とを比較することによって運転者の運転負荷を判定し、運転負荷が大きいと判定された場合はステップS55へ進み、運転負荷が小さいと判定された場合はステップS56へ進む。
【0041】
ステップS55では出力すべき第1のシンボル情報を変換することなくそのまま情報出力装置105から運転者へ提示する。
【0042】
これに対し、ステップS54にて運転負荷が小さいと判定された場合は、ステップS56にて出力すべき第1のシンボル情報が情報装置103に記憶されている場合はその第1のシンボル情報を情報変換装置104へ取得し、第1のシンボル情報が情報装置に103に記憶されていない場合は当該情報装置103にて第1のシンボル情報を生成したうえで情報変換装置104へ出力する。
【0043】
続くステップS57にて、情報変換装置104は第1のシンボル情報に含まれる単位情報、たとえば第1のシンボル情報が「500m先を右方向です」である場合は単位情報である「500m」に付いているタグを抽出し、次のステップS58にて、ステップS57で抽出した単位情報のタグを変換し、これを第1のシンボル情報の該当タグ部分と置き換えて、第2のシンボル情報とする。例えば第1のシンボル情報に含まれる「500m」を「50000cm」または「0.5km」とする。
【0044】
次のステップ59では、ステップS58で変換された第2のシンボル情報を、情報出力装置105を介して運転者に提示したのち、ステップS51へ戻り以上の処理を繰り返す。第2のシンボル情報を受けた運転者は、「500m」へのスケール単位変換を無意識のうちに行うので、脳動作が活性して運転者の集中度を高めることができる。
【0045】
なお、図5のステップS51〜S59の処理は所定の時間間隔で実行されるので、何分か前のステップS54では運転負荷が小さいと判定されたので運転者に対し第2のシンボル情報を提示している場合でも、現在のステップS54にて運転負荷が大きいと判定された場合はステップS55へ進むので、それまでの第2のシンボル情報から第1のシンボル情報へ切り換えられて運転者に提示される。
【0046】
以上のように、本実施形態の運転支援装置によれば、地図データベースやセンシング情報、外部受信情報(例えば、GPSやVICS情報、文字情報など)を用いて、運転者の運転状態を分析した情報の平均値や分散などの推定結果に基づいて、運転者に作用する運転負荷を判定し、運転負荷が大きい場合は第1のシンボル情報を提示し、運転負荷が大きい場合は運転者に対し第1のシンボル情報より大きい運転負荷が働く第2のシンボル情報を提示するので、これらシンボル情報から与えられる刺激により運転者の運転に対する集中度合いを高揚させることができる。
【0047】
すなわち、運転負荷が大きい場合はさらなる運転負荷は作用しない一方で、運転負荷が小さい場合は運転負荷を大きくするので、運転に対する集中度が高くなって前方不注意などに繋がる運転状態を回避することができる。
【0048】
なお、上述した実施形態の第1シンボル情報および第2シンボル情報は、ナビゲーションの経路誘導、情報提示、様々なレコメンド等の音声情報のほか、こうした情報をディスプレイに表示する文字情報や図形情報とすることもできる。
【0049】
また、上述した実施形態の第1のシンボル情報から第2のシンボル情報への変換として、図6に示すように第1のシンボル情報「500m先を右方向です」を第2のシンボル情報である「50000cm先を右方向です」または「0.5km先を右方向です」という例で説明したが、500mを日本では慣用されないインチ、ヤード、マイルまたは尺といった単位を用いてもよい。
【0050】
また、以下のような例を用いてもよい。
【0051】
たとえば、図7に示すように所要時間について、第1のシンボル情報「目的地までおよそ1時間20分です」を第2のシンボル情報である「目的地までおよそ80分です」または「目的地までおよそ1.3時間です」、図8に示すように燃料残量について、第1のシンボル情報「燃料の残りは20リットルです」を第2のシンボル情報である「燃料の残りは20000ミリ・リットルです」または「燃料の残りは0.02キロリットルです」、または図示は省略するが燃料残量を、燃費を勘案した走行可能距離である「燃料の残りはおよそ200km走行分です」としてもよい。あるいは「20リットル」を慣用されていないガロン、cc、升としてもよい。
【0052】
また、図9に示すように走行速度について、第1のシンボル情報「ただいまの速度は60km/hです」を第2のシンボル情報である「ただいまの速度は60000m/hです」または「ただいまの速度は1km/分です」、図10に示すように燃費について、第1のシンボル情報「ただいまの燃費は10km/リットル」を第2のシンボル情報である「ただいまの燃費は10000m/リットル」または「ただいまの燃費は10m/ミリリットル」とすることもできる。
【0053】
また、第1のシンボル情報「500m先を右方向です」を、表現単位を変換した第2のシンボル情報である「徒歩で6分ほど先を右方向です」、「50mプール5往復先を右方向です」、「東京タワー1.5個分先を右方向です」、「電車25車両ほど先を右方向です」、「大型バス50台分先を右方向です」、「陸上トラック1周と100m先を右方向です」としてもよい。
【0054】
また、第1のシンボル情報である「目的地までおよそ1時間20分です」を、「目的地まで飛行機で東京−青森間ほどです」、「目的地までこの曲16回分です」、「目的地まで小田急新宿から急行で新松田ほどです」、「目的地まで徒歩で6.4kmほどです」としてもよい。
【0055】
また、第1のシンボル情報である「燃料の残りは20リットルです」を、「燃料の残りは2リットルペットボトル10本分です」、「燃料の残りは牛乳パック20本分です」としてもよい。
【0056】
さらに、第1のシンボル情報をカウントダウンまたはカウントアップ方式で表現してもよい。たとえば、図11に示すように、第1のシンボル情報である「500m先を右方向です」を「信号3個目を右方向です」または「30秒後先を右方向です」、図12に示すように、第1のシンボル情報である「目的地まで90kmです」を「目的地まで5%近づきました」または「出発地から90%走行しました」、
図13に示すように、第1のシンボル情報「目的地には12時ごろ到着の予定です」を第2のシンボル情報である「目的地にはおよそ1時間10分後に到着の予定です」または「目的地には70分後に到着の予定です」、図14に示すように、第1シンボル情報である「10km先渋滞です」を第2のシンボル情報である「3店舗目の○○屋の先渋滞です」または「あと600数えたら渋滞です」とすることもできる。
【0057】
このようにカウントダウンまたはカウントアップ方式に変換すると、第2のシンボル情報を受けた運転者は、「3個目」「2個目」「次の交差点を・・・」または「1個目」「2個目」「3個目を・・・」などと、頭の中で無意識のうちにカウントするので、運転者の集中度を高めることができる。
【0058】
《第2実施形態》
図5は、発明の第2実施形態に係る運転支援装置の制御手順を示すフローチャートである。本例の運転支援装置10のハードウェア構成は図1に示す第1実施形態と同じであるためその説明を含めてここに援用する。
【0059】
本例では、図15のステップS151〜S155までの処理は図5に示すステップS51〜S55と同じであり、ステップS156以降の処理が異なる。
【0060】
すなわち、ステップS154にて運転者の運転負荷が小さいと判定された場合はステップS156へ進み、第1のシンボル情報を取得するが、次のステップS157では、情報変換装置104は第1のシンボル情報に含まれる言語情報、たとえば第1のシンボル情報が「300m先を右方向です」である場合は言語情報である「300m先を右方向です」に付いているタグを抽出し、次のステップS158にて、ステップS157で抽出した言語情報のタグを翻訳変換し、これを第1のシンボル情報の該当タグ部分と置き換えて、第2のシンボル情報とする。例えば図16に示すように、第1のシンボル情報全体の「300m先を右方向です」を「It’s the 300m ahead right direction.」または第1のシンボル情報の「300m先渋滞です」を「It’s 300m ahead traffic jam.」とする。
【0061】
次のステップ159では、ステップS158で変換された第2のシンボル情報を、情報出力装置105を介して運転者に提示したのち、ステップS151へ戻り以上の処理を繰り返す。第2のシンボル情報を受けた運転者は、提示された他言語を日本語に無意識のうちに変換するので、脳動作が活性して運転者の集中度を高めることができる。
【0062】
以上のように、本実施形態の運転支援装置によれば、地図データベースやセンシング情報、外部受信情報(例えば、GPSやVICS情報、文字情報など)を用いて、運転者の運転状態を分析した情報の平均値や分散などの推定結果に基づいて、運転者に作用する運転負荷を判定し、運転負荷が大きい場合は第1のシンボル情報を提示し、運転負荷が大きい場合は運転者に対し第1のシンボル情報より大きい運転負荷が働く第2のシンボル情報を提示するので、これらシンボル情報から与えられる刺激により運転者の運転に対する集中度合いを高揚させることができる。
【0063】
すなわち、運転負荷が大きい場合はさらなる運転負荷は作用しない一方で、運転負荷が小さい場合は運転負荷を大きくするので、運転に対する集中度が高くなって前方不注意などに繋がる運転状態を回避することができる。
【符号の説明】
【0064】
10…運転支援装置
101…運転状態検出装置(運転状態検出手段)
102…運転負荷判定装置(運転負荷判定手段)
103…情報装置(情報記憶生成手段)
104…情報変換装置(情報変換手段)
105…情報出力装置(出力手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両などの運転支援装置および方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
運転手などの乗員に対して音声案内を発する車両用音声案内装置として、特許文献1に開示された技術が知られている。これは、乗員のあせり、散漫、意識低下などの精神状態に応じた表現内容の音声案内を作成し、精神状態が通常の場合は標準的な表現で音声案内を実施するが、乗員があせっている場合は体言止めやゆっくりとした表現に変更し、乗員が散漫または意識低下している場合は乗員の注意を喚起する音声案内を実施するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−288532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、運転者の精神状態が一定となる単調な運転タスクが続くと、同じ表現内容の音声案内を重ねて提供するだけでは、漫然とした運転行動を防止することが困難である。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、単調な運転状態であっても乗員の集中度を高揚させることができる運転支援装置および方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、乗員の運転負荷の大きさに応じて、乗員に提示される第1の情報を、乗員の思考解釈負荷が異なる第2の情報に変換して提示することによって上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、乗員の運転負荷の大きさに応じて思考解釈負荷が異なる情報を提示するので、単調な運転状態であっても乗員の集中度を高揚させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】発明の一実施の形態に係る運転支援装置を示すブロック図である。
【図2】検証実験の走行コースを示す平面図である。
【図3】検証実験の結果(車速の分散)を示すグラフである。
【図4】検証実験の結果(平均車速)を示すグラフである。
【図5】発明の第1実施形態に係る運転支援装置の制御手順を示すフローチャートである。
【図6】発明の第1実施形態に係る運転支援装置の作用を説明する図である。
【図7】発明の第1実施形態に係る運転支援装置の作用を説明する図である。
【図8】発明の第1実施形態に係る運転支援装置の作用を説明する図である。
【図9】発明の第1実施形態に係る運転支援装置の作用を説明する図である。
【図10】発明の第1実施形態に係る運転支援装置の作用を説明する図である。
【図11】発明の第1実施形態に係る運転支援装置の作用を説明する図である。
【図12】発明の第1実施形態に係る運転支援装置の作用を説明する図である。
【図13】発明の第1実施形態に係る運転支援装置の作用を説明する図である。
【図14】発明の第1実施形態に係る運転支援装置の作用を説明する図である。
【図15】発明の第2実施形態に係る運転支援装置の制御手順を示すフローチャートである。
【図16】発明の第2実施形態に係る運転支援装置の作用を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0010】
《第1実施形態》
図1は発明の一実施の形態に係る運転支援装置を示すブロック図である。
【0011】
本例の運転支援措置10は、運転状態検出装置101、運転負荷判定装置102、情報装置103、情報変換装置104および情報出力装置105を備える。
【0012】
運転状態検出装置101は、車両の速度センサ、ナビゲーション装置(地図情報、GPS情報、VICS情報、CAN情報等を有する)、車両コントロールユニットからの各種の信号Sに基づいて、走行時間、走行距離、車両速度、アクセル開度、ステアリング角、ブレーキ踏力、走行場所、運転者が操作している車両機器など、運転者の現在の運転状態を検出する。
【0013】
運転負荷判定装置102は、上記運転状態検出装置101で検出された運転者の運転状態を予め経験的または実験的に得られた閾値に基づいて判断する。
【0014】
たとえば、運転状態検出装置101にて検出された車両速度が中速または高速で、走行時間が長く、アクセル開度やステアリング角の変化率が小さい場合には、相対的に運転状態が安定している状態であるため運転負荷が小さいと判定する。これに対し、運転状態検出装置101にて検出された車両速度が中速または高速で、走行時間が短く、アクセル開度やステアリング角の変化率が大きい場合には、相対的に運転状態が不安定であるため運転負荷が大きいと判定する。
【0015】
情報装置103は、出力が必要な第1のシンボル情報を記憶し、更に運転者の運転状態によっては、出力する第1のシンボル情報を動的に作成する。この第1のシンボル情報には、音声情報などのように聴覚により認識される情報や、文字情報や図形情報のように視覚により認識される情報が含まれる。また、第1のシンボル情報には、たとえば「500m先を右方向です」といったナビゲーション装置から出力される経路指示情報や、たとえば「燃料の残りは20リットルです」といった車両制御装置から出力される車両情報が含まれる。
【0016】
情報変換装置104は、上記運転負荷判定装置102によって判定された結果に応じて、運転者に対して出力する第1のシンボル情報を第2のシンボル情報に変換するか又は変換しないで第1のシンボル情報とする。
【0017】
情報出力装置105は、上記情報変換装置104にて変換された第2のシンボル情報または無変換のままの第1のシンボル情報を運転者へ出力する。
【0018】
特に本例の情報変換装置104では、運転負荷判定装置102により運転負荷が所定の閾値より小さいと判定された場合は、出力すべき第1のシンボル情報を、運転者の思考解釈負荷が大きい第2のシンボル情報に変換して運転者に提示する。これに対して、運転負荷が所定の閾値より大きいと判定された場合は、出力すべき第1のシンボル情報を変換しないでそのまま運転者に提示する。
【0019】
すなわち、運転負荷が大きい場合には、運転者は運転タスクに集中するので集中度が高くなるが、カーブが少なく空いた高速道路を一定速度で長時間運転する場合などでは、運転負荷が小さいので運転者の集中度が低くなる。このような場合に運転者に対し、その情報を理解するために必要とされる思考過程の負荷が大きい情報を提示することで、運転者の集中度を高め、前方不注意などに繋がるのを防止する。
【0020】
第1のシンボル情報を変換して得られる第2のシンボル情報は、第1のシンボル情報に比べて、思考解釈負荷、すなわち運転者が解釈するための思考の負荷が大きい情報をいう。具体的な実施の形態は後述するが、第1のシンボル情報より慣用されていないために慣用されている第1のシンボル情報から頭の中で換算する必要があるものである。
【0021】
たとえば、ナビゲーション装置による「500m先を右方向です」という提示情報は、メートルという単位のスケールが目的地への経路案内を提示する際に慣用されているスケールであるから、第1のシンボル情報に該当する。この「500m」という第1の情報に対し、「50000cm先を右方向です」といった経路案内は慣用されていない単位のスケールであるから、運転者は即座にその距離をイメージすることができず、頭の中でイメージし易いメートルへ換算する。この換算思考が付加されたことにより第2のシンボル情報は第1のシンボル情報に比べて思考解釈負荷が高いといえる。
【0022】
こうした本例の発想は下記の知見による。
【0023】
すなわち、単調な運転タスクが連続した場合に運転が散漫になることがあり、前方不注意等につながる可能性がある。これは高速道路を運転している場合のように刺激が少ない環境下において発生することが予測される。
【0024】
そこで、本発明者らは、運転者に対し適切な刺激を与えることにより漫然運転を防止することを検討した。これを実現する手段として、本例では運転中のドライバーに音声等によるシンボル情報を刺激として提示することで、運転行動に対する集中の度合い乃至注意の度合いを向上させ得ることを検証した。
【0025】
[検証実験]
図2に示すように、予め進路を設定したコースを用意し、被験者に走行速度10km/hを超えない程度で運転させた。同時に、音声によるシンボル情報(質問情報)を提示し、当該シンボル情報の指示に対し口頭で回答させた。このシンボル情報は、簡単な足し算、単語の記憶を促す内容の2種類とした。走行回数は3回/人(ただし被験者Bのみ2回)で、被験者は運転経験のある男性5名A〜Eとした。
【0026】
そして、図2の走行シーンにおいて、狭路走行時(同図の丸印で囲まれた領域)における車速情報等を収集し、音声によるシンボル情報の有無の条件に付いて、車速の分散および平均車速を求め、比較した。
【0027】
[実験結果]
図2に試行回毎の車速の分散値を示す。同図の横軸は被験者、縦軸は走行時の車速の分散である。左側の色が薄い棒グラフはシンボル情報の刺激を与えた場合の結果を示し、右側の色が濃い棒グラフはシンボル情報の刺激を与えなかった場合の結果を示す。
【0028】
この実験の結果、シンボル情報、すなわち音声情報が与えられた場合は、被験者によって分散が大きく低下する現象がみられた。車速の分散が小さい場合は、運転者は運転行動に集中している可能性が高いと推察される。このことから、音声等のシンボル情報を使用者に提示することで、運転に対する集中度を高揚させ得ることが期待できる。
【0029】
一方、シンボル情報を提示することにより、運転者の運転負荷が過剰に高くなる可能性がある。運転負荷が高くなった場合に、運転行動において車速を落とすことで運転負荷を低減するなどの対策を運転者が無意識のうちに行なうことが予測される。そこで、運転者の運転負荷の程度を知るため、シンボル情報を提示した場合と、シンボル情報を提示しない場合の平均車速を比較した。
【0030】
図3に試行回毎の平均車速を示す。同図の横軸は被験者、縦軸は走行時の平均車速 [km/h]である。左側の色の薄い棒グラフはシンボル情報の刺激を与えた場合の結果を示し、右側の色の濃い棒グラフはシンボル情報の刺激を与えなかった場合の結果を示す。
【0031】
上述した図2の被験者Aの試行回(1)では分散が5程度低下したのに対し、図3の被験者Aの試行回(1)では平均車速が2km/h程度低下した。この結果から、被験者Aによる試行回(1)の運転操作においては、シンボル情報の刺激を与えることで運転者の集中度は高まったものの、運転負荷も過大であったことが推察される。
【0032】
一方、図2の被験者Aの試行回(3)では分散が15以上程度低下したのに対し、図4の被験者Aの試行回(3)では、平均車速は1km/h程度の低下に留まった。この結果は、先の結果と比較して、分散が大きく低下したことから集中度が向上したことを示唆するとともに、平均車速の低下は試行回(1)の場合に比べて小さいため、運転者にとって運転負荷は上がっていないことも示唆している。なお、試行回(1)と試行回(3)の結果の違いは、そのとき提示された刺激タスクおよび慣れの違い等が少なからず影響するのが原因のひとつであるとも考えられる。
【0033】
したがって、運転者にシンボル情報を用いて、過剰でない適切な運転負荷を与えることで、集中度を高める得ることが検証された。
【0034】
なお、本例の運転状態検出装置が本発明の運転状態検出手段に相当し、本例の運転負荷判定装置が本発明の運転負荷判定手段に相当し、本例の情報装置が本発明の情報記憶生成手段に相当し、本例の情報変換装置が本例の情報変換手段に相当し、本例の情報出力装置が本発明の出力手段に相当する。
【0035】
次に制御内容を説明する。
【0036】
図5は本実施形態の制御手順を示すフローチャートである。
【0037】
ステップS51では、ナビゲーション装置や車両制御装置を介してまたは直接、地図情報、各種センサ情報、GPS情報、VICS情報、文字情報等の車両情報を取得する。
【0038】
ステップS52では、ステップS51で取得した車両情報に基づいて、走行時間、走行距離、車速、アクセル開度、ステアリング角、ブレーキ踏力等の運転状態を抽出する。
【0039】
ステップS53では、抽出した運転状態に関する車両情報から、運転状態のパラメータ、例えば平均値、分散値等を計算する。
【0040】
ステップS54では、ステップS53にて計算した運転状態のパラメータと、予め設定された閾値とを比較することによって運転者の運転負荷を判定し、運転負荷が大きいと判定された場合はステップS55へ進み、運転負荷が小さいと判定された場合はステップS56へ進む。
【0041】
ステップS55では出力すべき第1のシンボル情報を変換することなくそのまま情報出力装置105から運転者へ提示する。
【0042】
これに対し、ステップS54にて運転負荷が小さいと判定された場合は、ステップS56にて出力すべき第1のシンボル情報が情報装置103に記憶されている場合はその第1のシンボル情報を情報変換装置104へ取得し、第1のシンボル情報が情報装置に103に記憶されていない場合は当該情報装置103にて第1のシンボル情報を生成したうえで情報変換装置104へ出力する。
【0043】
続くステップS57にて、情報変換装置104は第1のシンボル情報に含まれる単位情報、たとえば第1のシンボル情報が「500m先を右方向です」である場合は単位情報である「500m」に付いているタグを抽出し、次のステップS58にて、ステップS57で抽出した単位情報のタグを変換し、これを第1のシンボル情報の該当タグ部分と置き換えて、第2のシンボル情報とする。例えば第1のシンボル情報に含まれる「500m」を「50000cm」または「0.5km」とする。
【0044】
次のステップ59では、ステップS58で変換された第2のシンボル情報を、情報出力装置105を介して運転者に提示したのち、ステップS51へ戻り以上の処理を繰り返す。第2のシンボル情報を受けた運転者は、「500m」へのスケール単位変換を無意識のうちに行うので、脳動作が活性して運転者の集中度を高めることができる。
【0045】
なお、図5のステップS51〜S59の処理は所定の時間間隔で実行されるので、何分か前のステップS54では運転負荷が小さいと判定されたので運転者に対し第2のシンボル情報を提示している場合でも、現在のステップS54にて運転負荷が大きいと判定された場合はステップS55へ進むので、それまでの第2のシンボル情報から第1のシンボル情報へ切り換えられて運転者に提示される。
【0046】
以上のように、本実施形態の運転支援装置によれば、地図データベースやセンシング情報、外部受信情報(例えば、GPSやVICS情報、文字情報など)を用いて、運転者の運転状態を分析した情報の平均値や分散などの推定結果に基づいて、運転者に作用する運転負荷を判定し、運転負荷が大きい場合は第1のシンボル情報を提示し、運転負荷が大きい場合は運転者に対し第1のシンボル情報より大きい運転負荷が働く第2のシンボル情報を提示するので、これらシンボル情報から与えられる刺激により運転者の運転に対する集中度合いを高揚させることができる。
【0047】
すなわち、運転負荷が大きい場合はさらなる運転負荷は作用しない一方で、運転負荷が小さい場合は運転負荷を大きくするので、運転に対する集中度が高くなって前方不注意などに繋がる運転状態を回避することができる。
【0048】
なお、上述した実施形態の第1シンボル情報および第2シンボル情報は、ナビゲーションの経路誘導、情報提示、様々なレコメンド等の音声情報のほか、こうした情報をディスプレイに表示する文字情報や図形情報とすることもできる。
【0049】
また、上述した実施形態の第1のシンボル情報から第2のシンボル情報への変換として、図6に示すように第1のシンボル情報「500m先を右方向です」を第2のシンボル情報である「50000cm先を右方向です」または「0.5km先を右方向です」という例で説明したが、500mを日本では慣用されないインチ、ヤード、マイルまたは尺といった単位を用いてもよい。
【0050】
また、以下のような例を用いてもよい。
【0051】
たとえば、図7に示すように所要時間について、第1のシンボル情報「目的地までおよそ1時間20分です」を第2のシンボル情報である「目的地までおよそ80分です」または「目的地までおよそ1.3時間です」、図8に示すように燃料残量について、第1のシンボル情報「燃料の残りは20リットルです」を第2のシンボル情報である「燃料の残りは20000ミリ・リットルです」または「燃料の残りは0.02キロリットルです」、または図示は省略するが燃料残量を、燃費を勘案した走行可能距離である「燃料の残りはおよそ200km走行分です」としてもよい。あるいは「20リットル」を慣用されていないガロン、cc、升としてもよい。
【0052】
また、図9に示すように走行速度について、第1のシンボル情報「ただいまの速度は60km/hです」を第2のシンボル情報である「ただいまの速度は60000m/hです」または「ただいまの速度は1km/分です」、図10に示すように燃費について、第1のシンボル情報「ただいまの燃費は10km/リットル」を第2のシンボル情報である「ただいまの燃費は10000m/リットル」または「ただいまの燃費は10m/ミリリットル」とすることもできる。
【0053】
また、第1のシンボル情報「500m先を右方向です」を、表現単位を変換した第2のシンボル情報である「徒歩で6分ほど先を右方向です」、「50mプール5往復先を右方向です」、「東京タワー1.5個分先を右方向です」、「電車25車両ほど先を右方向です」、「大型バス50台分先を右方向です」、「陸上トラック1周と100m先を右方向です」としてもよい。
【0054】
また、第1のシンボル情報である「目的地までおよそ1時間20分です」を、「目的地まで飛行機で東京−青森間ほどです」、「目的地までこの曲16回分です」、「目的地まで小田急新宿から急行で新松田ほどです」、「目的地まで徒歩で6.4kmほどです」としてもよい。
【0055】
また、第1のシンボル情報である「燃料の残りは20リットルです」を、「燃料の残りは2リットルペットボトル10本分です」、「燃料の残りは牛乳パック20本分です」としてもよい。
【0056】
さらに、第1のシンボル情報をカウントダウンまたはカウントアップ方式で表現してもよい。たとえば、図11に示すように、第1のシンボル情報である「500m先を右方向です」を「信号3個目を右方向です」または「30秒後先を右方向です」、図12に示すように、第1のシンボル情報である「目的地まで90kmです」を「目的地まで5%近づきました」または「出発地から90%走行しました」、
図13に示すように、第1のシンボル情報「目的地には12時ごろ到着の予定です」を第2のシンボル情報である「目的地にはおよそ1時間10分後に到着の予定です」または「目的地には70分後に到着の予定です」、図14に示すように、第1シンボル情報である「10km先渋滞です」を第2のシンボル情報である「3店舗目の○○屋の先渋滞です」または「あと600数えたら渋滞です」とすることもできる。
【0057】
このようにカウントダウンまたはカウントアップ方式に変換すると、第2のシンボル情報を受けた運転者は、「3個目」「2個目」「次の交差点を・・・」または「1個目」「2個目」「3個目を・・・」などと、頭の中で無意識のうちにカウントするので、運転者の集中度を高めることができる。
【0058】
《第2実施形態》
図5は、発明の第2実施形態に係る運転支援装置の制御手順を示すフローチャートである。本例の運転支援装置10のハードウェア構成は図1に示す第1実施形態と同じであるためその説明を含めてここに援用する。
【0059】
本例では、図15のステップS151〜S155までの処理は図5に示すステップS51〜S55と同じであり、ステップS156以降の処理が異なる。
【0060】
すなわち、ステップS154にて運転者の運転負荷が小さいと判定された場合はステップS156へ進み、第1のシンボル情報を取得するが、次のステップS157では、情報変換装置104は第1のシンボル情報に含まれる言語情報、たとえば第1のシンボル情報が「300m先を右方向です」である場合は言語情報である「300m先を右方向です」に付いているタグを抽出し、次のステップS158にて、ステップS157で抽出した言語情報のタグを翻訳変換し、これを第1のシンボル情報の該当タグ部分と置き換えて、第2のシンボル情報とする。例えば図16に示すように、第1のシンボル情報全体の「300m先を右方向です」を「It’s the 300m ahead right direction.」または第1のシンボル情報の「300m先渋滞です」を「It’s 300m ahead traffic jam.」とする。
【0061】
次のステップ159では、ステップS158で変換された第2のシンボル情報を、情報出力装置105を介して運転者に提示したのち、ステップS151へ戻り以上の処理を繰り返す。第2のシンボル情報を受けた運転者は、提示された他言語を日本語に無意識のうちに変換するので、脳動作が活性して運転者の集中度を高めることができる。
【0062】
以上のように、本実施形態の運転支援装置によれば、地図データベースやセンシング情報、外部受信情報(例えば、GPSやVICS情報、文字情報など)を用いて、運転者の運転状態を分析した情報の平均値や分散などの推定結果に基づいて、運転者に作用する運転負荷を判定し、運転負荷が大きい場合は第1のシンボル情報を提示し、運転負荷が大きい場合は運転者に対し第1のシンボル情報より大きい運転負荷が働く第2のシンボル情報を提示するので、これらシンボル情報から与えられる刺激により運転者の運転に対する集中度合いを高揚させることができる。
【0063】
すなわち、運転負荷が大きい場合はさらなる運転負荷は作用しない一方で、運転負荷が小さい場合は運転負荷を大きくするので、運転に対する集中度が高くなって前方不注意などに繋がる運転状態を回避することができる。
【符号の説明】
【0064】
10…運転支援装置
101…運転状態検出装置(運転状態検出手段)
102…運転負荷判定装置(運転負荷判定手段)
103…情報装置(情報記憶生成手段)
104…情報変換装置(情報変換手段)
105…情報出力装置(出力手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗員の運転状態を検出する運転状態検出手段と、
前記運転状態検出手段により検出された運転状態に関する運転負荷の大きさを判定する運転負荷判定手段と、
前記乗員に提示する第1の情報を記憶または生成する情報記憶生成手段と、
前記運転負荷の大きさに応じて、前記情報記憶生成手段から前記乗員に提示される前記第1の情報を、前記乗員の思考解釈負荷が異なる第2の情報に変換する情報変換手段と、を備える運転支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載の運転支援装置において、
前記情報変換手段は、前記運転負荷が所定の閾値より小さい場合は第1の情報を前記第2の情報に変換し、前記運転負荷が前記所定の閾値より大きい場合は前記第1の情報を前記第2の情報に変換しない運転支援装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の運転支援装置において、
前記情報変換手段は、前記第1の情報に含まれる単位情報を異なるスケールの単位情報に変換して前記第2の情報とする運転支援装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の運転支援装置において、
前記情報変換手段は、前記第1の情報に含まれる単位情報を当該単位情報に相当する異なる単位情報に変換して前記第2の情報とする運転支援装置。
【請求項5】
請求項1または2に記載の運転支援装置において、
前記情報変換手段は、前記第1の情報に含まれる単位情報を当該単位情報に相当するカウントダウンまたはカウントアップによる単位情報に変換して前記第2の情報とする運転支援装置。
【請求項6】
請求項1または2に記載の運転支援装置において、
前記情報変換手段は、前記第1の情報を当該第1の情報に相当する異なる言語に変換して前記第2の情報とする運転支援装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の運転支援装置において、
前記第1の情報および前記第2の情報が音声情報を含み、
前記音声情報を出力する出力手段を備える運転支援装置。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の運転支援装置において、
前記第1の情報および第2の情報が文字情報を含み、
前記文字情報を出力する出力手段を備える運転支援装置。
【請求項9】
乗員の運転状態に基づいて推定される運転負荷が所定の閾値より小さい場合は、前記運転負荷が前記所定の閾値より大きい場合に前記乗員に提示される第1の情報の内容に相当する内容の第2情報であって、前記第1の情報より前記乗員の思考解釈負荷が大きい第2の情報を提示することを特徴とする運転支援方法。
【請求項1】
乗員の運転状態を検出する運転状態検出手段と、
前記運転状態検出手段により検出された運転状態に関する運転負荷の大きさを判定する運転負荷判定手段と、
前記乗員に提示する第1の情報を記憶または生成する情報記憶生成手段と、
前記運転負荷の大きさに応じて、前記情報記憶生成手段から前記乗員に提示される前記第1の情報を、前記乗員の思考解釈負荷が異なる第2の情報に変換する情報変換手段と、を備える運転支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載の運転支援装置において、
前記情報変換手段は、前記運転負荷が所定の閾値より小さい場合は第1の情報を前記第2の情報に変換し、前記運転負荷が前記所定の閾値より大きい場合は前記第1の情報を前記第2の情報に変換しない運転支援装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の運転支援装置において、
前記情報変換手段は、前記第1の情報に含まれる単位情報を異なるスケールの単位情報に変換して前記第2の情報とする運転支援装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の運転支援装置において、
前記情報変換手段は、前記第1の情報に含まれる単位情報を当該単位情報に相当する異なる単位情報に変換して前記第2の情報とする運転支援装置。
【請求項5】
請求項1または2に記載の運転支援装置において、
前記情報変換手段は、前記第1の情報に含まれる単位情報を当該単位情報に相当するカウントダウンまたはカウントアップによる単位情報に変換して前記第2の情報とする運転支援装置。
【請求項6】
請求項1または2に記載の運転支援装置において、
前記情報変換手段は、前記第1の情報を当該第1の情報に相当する異なる言語に変換して前記第2の情報とする運転支援装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の運転支援装置において、
前記第1の情報および前記第2の情報が音声情報を含み、
前記音声情報を出力する出力手段を備える運転支援装置。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の運転支援装置において、
前記第1の情報および第2の情報が文字情報を含み、
前記文字情報を出力する出力手段を備える運転支援装置。
【請求項9】
乗員の運転状態に基づいて推定される運転負荷が所定の閾値より小さい場合は、前記運転負荷が前記所定の閾値より大きい場合に前記乗員に提示される第1の情報の内容に相当する内容の第2情報であって、前記第1の情報より前記乗員の思考解釈負荷が大きい第2の情報を提示することを特徴とする運転支援方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2010−203887(P2010−203887A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−49048(P2009−49048)
【出願日】平成21年3月3日(2009.3.3)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月3日(2009.3.3)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
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