過給機
【課題】内部を流通する作動ガスの外部への漏洩を抑えるとともに、可変容量装置を安定して作動させることができ、安定した出力を維持することができる過給機を提供する。
【解決手段】過給機1は、一端39A側及び他端39B側を有し、ベアリングハウジング17とタービンハウジング21との間に一端39A側が配置されてノズル支持リング33を他端39B側で支持する支持部材39と、支持部材の一端39A側をベアリングハウジング17又はタービンハウジング21に押圧する波リング41と、を備え、タービンハウジング21とノズル支持リング33とが、ガス流路25を拡開させる方向に摺動可能に接触している。
【解決手段】過給機1は、一端39A側及び他端39B側を有し、ベアリングハウジング17とタービンハウジング21との間に一端39A側が配置されてノズル支持リング33を他端39B側で支持する支持部材39と、支持部材の一端39A側をベアリングハウジング17又はタービンハウジング21に押圧する波リング41と、を備え、タービンハウジング21とノズル支持リング33とが、ガス流路25を拡開させる方向に摺動可能に接触している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、過給機に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の排ガスと環境の問題が世界的にクローズアップされているなか、乗用車クラスの小型ディーゼルエンジン市場をはじめとして、エミッション規制への対応と低燃費化、性能向上のため過給機の使用が必須となりつつあり、低速から高速域まで広い範囲での性能向上を図ることができる可変容量型過給機が注目されている。
【0003】
従来の可変容量型過給機100について、図12を参照しつつ説明する。
可変容量型過給機100は、タービンインペラ115とタービンハウジング121との間に形成されるガス流路125内で可変するノズルベーン(ノズル翼)129と、タービンハウジング121のガス流路125の一部を形成するタービンハウジング121の突出部121Aの内壁面121aに沿って設けられて、表面133aにノズルベーン129を回転可能に支持するノズル支持リング(取付部)133と、を有する可変容量装置127を備えている。
【0004】
ノズル支持リング133は、支持部材139の他端139B側と接続されて、支持部材139を介してハウジング103に支持されている。
支持部材139は、図12に示すように、薄い板状の素材によって環状に形成されて外周端となる一端139A側と内周端となる他端139B側とを有し、支持部材139の一端139A側は、回転中心軸線CL1と直交するようにベアリングハウジング117とタービンハウジング121との間に挟持されて固定されている。
【0005】
この可変容量型過給機100内のスクロール通路123、ガス流路125を通って、自動車のエンジンから出てきた排ガスは、タービンインペラ115に供給されてタービンインペラ115が回転し、回転軸部材9を介してコンプレッサインペラ13を回転し、空気を圧縮するようになっている。
【0006】
タービンインペラ115を回転駆動した後のガスは、タービンハウジング121の中心部(上記ベアリングハウジング117とは反対側に位置している中心部)に形成されたガス出口(不図示)から排出されるようになっている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2006−125588号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の可変容量型過給機100では、支持部材139の一端139A側では、ハウジング103の半径方向及び軸方向への変形及び移動が規制されている。そのため、ノズル支持リング133が熱膨張した際、支持部材139が一端139Aを中心としてベアリングハウジング117とタービンハウジング121とに対して位置ずれしてしまい、ノズルベーン129が回動しない又は回動しづらくなる(ノズル支持リング133がノズルベーン129に対して傾いて当接したり抉れたりする)場合があるという問題がある。
【0008】
また、支持部材139の位置ずれにともない、隙間S1が増大して作動ガスが隙間S1から外部に漏れてしまい、所定の流量をタービンインペラ115に供給することができないという問題がある。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みて成されたものであり、内部を流通する作動ガスの外部への漏洩を抑えるとともに、可変容量装置を安定して作動させることができ、安定した出力を維持することができる過給機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る過給機では、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
本発明は、タービンインペラとタービンハウジングとの間に形成されるガス流路内で可変するノズル翼と、前記ガス流路の一部を形成する前記タービンハウジングの内壁面に沿って設けられて、表面に前記ノズル翼を回転可能に支持する取付部と、を有する可変容量装置を備えた過給機であって、一端側及び他端側を有し、ベアリングハウジングと前記タービンハウジングとの間に前記一端側が配置されて前記取付部を前記他端側で支持する支持部と、該支持部の前記一端側を前記ベアリングハウジング又は前記タービンハウジングに押圧する付勢部と、を備え、前記タービンハウジングと前記取付部とが、前記ガス流路を拡開させる方向に摺動可能に接触していることを特徴とする。
【0011】
この発明は、ベアリングハウジング及びタービンハウジングに対して、支持部の一端側が付勢部を介して押圧されているので、付勢部が弾性変形することで、支持部の一端側は、ベアリングハウジング及びタービンハウジングに対して相対移動が可能となる。そのため、ベアリングハウジング及びタービンハウジングに対して支持部材が熱膨張変形しても、付勢部の付勢力とのバランスによってこれを好適に吸収することができる。
このとき、タービンハウジングと取付部とが、前記ガス流路を拡開させる方向に摺動可能に接触しているので、タービンハウジングに対して取付部が相対的に変形又は変位しようとしても、タービンハウジングに対して取付部が離間するのを抑え、かつ、十分なガス流路を確保することができる。
【0012】
また、本発明に係る過給機は、前記内壁面に隣接して前記取付部と対向する第一対向面が、前記タービンハウジングに設けられ、前記表面に隣接して前記タービンハウジングと対向する第二対向面が、前記取付部に設けられ、前記第一対向面に接する第一接平面及び前記第二対向面に接する第二接平面が、前記内壁面に対して前記ガス流路の上流側に鋭角となる方向に交差していることを特徴とする。
【0013】
この発明は、タービンハウジングと取付部とが互いに熱膨張して変形する際、タービンハウジングの内壁面よりも取付部をガス流路内に相対的に突出させることなく、ガス流路を相対的に広げる方向に取付部を移動させることができる。そのため、ガス流路内における作動ガスの流れをスムーズな状態に維持することができる。
【0014】
また、本発明に係る過給機は、前記第一対向面と前記第二対向面とが、線接触していることを特徴とする。
【0015】
この発明は、タービンハウジングと取付部とが熱膨張した際、第一対向面及び第二対向面間における摺動抵抗をより好適に抑えることができる。
【0016】
また、本発明に係る過給機は、前記付勢部が弾性体であることを特徴とする。
【0017】
この発明は、付勢部が弾性変形することによって、支持部の移動又は変形を好適に吸収することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、内部を流通する作動ガスの外部への漏洩を抑えるとともに、可変容量装置を安定して作動させることができ、安定した出力を維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明に係る過給機の実施形態について、図1から図6を参照して説明する。
可変容量型過給機1は、ハウジング3を備え、このハウジング3の一端部側には遠心式コンプレッサ5が設けられ、他端部側には遠心式タービン7が設けられている。
【0020】
タービン7とコンプレッサ5との間には、ハウジング3に対して回転自在に、回転軸部材9がたとえば流体軸受11を介して設けられている。回転軸部材9の一端部には、コンプレッサ5を構成しているコンプレッサインペラ13が一体的に固定されており、回転軸部材9の他端部には、タービン7を構成しているタービンインペラ15が一体的に固定されている。
【0021】
ハウジング3は、回転軸部材9を支持するベアリングハウジング17と、コンプレッサインペラ13を囲んでコンプレッサインペラ13側でベアリングハウジング17に一体的に設けられたコンプレッサハウジング19と、タービンインペラ15を囲んでタービンインペラ15側のベアリングハウジング17に一体に設けられたタービンハウジング21と、を備えている。
【0022】
タービンハウジング21には、一端にガス入口(図示せず)を供えたスクロール通路23が設けられており、このスクロール通路23の内周部のタービンインペラ15との間には、環状のガス流路125が形成されている。タービンハウジング21には、ガス流路25を形成するタービンハウジング21の内壁面21aに沿って突出した突出部21Aが設けられている。
【0023】
環状のガス流路25におけるタービンインペラ15の先端部側(コンプレッサ5とは反対側)には、マルチベーンノズル方式の可変容量装置27が設けられている。
このマルチベーンノズル方式の可変容量装置27は、図2(図1のII−II断面図)に示すように、上記環状のガス流路25の円周上に配置された複数のノズルベーン29によって構成されたベーンノズル31と、回転軸部材9の回転中心軸線CL1と平行な中心軸線を回動中心にして各ノズルベーン29を回動可能に支持する環状のノズル支持リング33と、を備えている。
【0024】
このノズルベーン29は、ノズル支持リング33から所定の間隔をあけてタービンインペラ15とタービンハウジング21との間に設けられた環状のシュラウド35にも回動可能に支持されている。そして、ガス流路125は、ノズル支持リング33とシュラウド35との間に形成されている。
【0025】
ノズルベーン29は、スライドジョイント方式などの方式で構成されたベーンノズル駆動機構37を介して、たとえば、図2に実線で示す姿勢から破線で示す姿勢の間で回動するようになっている。
なお、図2に実線で示す姿勢に各ノズルベーン29があるときには、ベーンノズル31におけるガス流路の幅W1が最も狭くなっており、図2に破線で示す姿勢に各ノズルベーン29があるときには、ベーンノズル31におけるガス流路の幅W3が最も広くなっている。すなわち、各ノズルベーン29のそれぞれを同一方向に回動することで、ベーンノズル31の流路の大きさを変え、タービン107(タービンインペラ15)に供給されるガスの流速を変える。
【0026】
ノズル支持リング33は、所定のシート厚さを備えてリング状に形成されており、表面33aは、突出部21Aの内壁面21aとともにガス流路125を形成している。また、ノズル支持リング33は、スクロール通路23の内径よりも僅かに大きな外径、かつタービンインペラ15の外径よりも僅かに大きな内径を備えている。
さらに、ノズル支持リング33は、中心軸線が回転軸部材9の回転中心軸線CL1と一致するように、タービンインペラ15の背面側(コンプレッサ5側)でタービンインペラ15の近傍に設置されている。
【0027】
可変容量型過給機1は、図1から図3に示すように、タービンインペラ15とタービンハウジング21との間に形成されるガス流路25内で可変するノズルベーン(ノズル翼)29と、タービンハウジング21のガス流路25の一部を形成するタービンハウジング21の突出部21Aの内壁面21aに沿って設けられて、表面33aにノズルベーン29を回転可能に支持するノズル支持リング(取付部)33と、を有する可変容量装置27を備えている。
【0028】
タービンハウジング21の突出部21Aの内壁面21aと、ノズル支持リング33の表面33aとが略同一平面上となるように、タービンハウジング21に対するノズル支持リング33が位置決めされている。ノズル支持リング33の表面33aも、ガス流路25の一部を形成している。
【0029】
タービンハウジング21の突出部21Aの内壁面21aに隣接して第一対向面21bがタービンハウジング21に設けられ、ノズル支持リング33の表面33aに隣接して第二対向面33bがノズル支持リング33の外周端面に設けられている。
【0030】
第一対向面21b及び第二対向面33bは、第一対向面21bに接する第一接平面P1及び第二対向面33bに接する第二接平面P2が、内壁面21aに対してガス流路25の上流側に鋭角に交差するようにして形成されている。
すなわち、第一接平面P1及び第二接平面P2と内壁面21aとが交差する角度をθ1としたとき、0<θ1<90度に交差した状態で、第一対向面21b及び第二対向面33bが、ガス流路25を拡開させる方向に摺動可能に面接触している。
なお、この傾斜は、例えば、図4に示すように、θ2>θ1でも90度以下であれば構わない。
【0031】
支持部材(支持部)39の一端39A側は、回転中心軸線CL1と直交するようにベアリングハウジング17とタービンハウジング21との間に配置されている。なお、ベアリングハウジング17とタービンハウジング21とは、一端39Aの近傍において、回転中心軸線CL1の方向に当接して固定されている(図3、図11参照)。
また、一端39Aは、タービンハウジング21やベアリングハウジング17に対して結合(固定)はされておらず、軸方向や径方向において(後述する波ワッシャ41の弾性力や摩擦力に抗して)移動可能に設けられている。図示の例では、一端39Aはタービンハウジング21の内側面に沿って接触している。
なお、一端39Aは、径方向においてはタービンハウジング21に接触させないようにしても良い。すなわち、図3に示すように、一端39Aとタービンハウジング21の内面との間に隙間が形成された状態にしても良い。このようにすると、ノズル支持リング33や支持部材39が後述するように径方向において熱膨張した際に、一端39Aが径方向に移動(膨張)しやすくなる。これにより、ノズル支持リング33や支持部材39の変形(傾きや捩れ)を防止できる。
【0032】
そして、ベアリングハウジング17とタービンハウジング21との間には、支持部材39の一端39Aとともに、支持部材39の一端39Aをベアリングハウジング17又はタービンハウジング21に押圧する波ワッシャ(付勢部)41が配されている。図示の例では、波ワッシャ41は、一端39Aとベアリングハウジング17との間に備えられている。また、ベアリングハウジング17に対して結合(固定)はされておらず、一端39Aとベアリングハウジング17の間に挟まれることにより保持されている。
この波ワッシャ41は、耐熱性を備え金属等で構成されており、図5に示すように、平ワッシャ状の部材に周方向で波状の凹凸が繰り返されるようにして形成されている。この凹凸は、波ワッシャ41が挟み込まれる方向に対して凹凸になるよう形成されている。
なお、波ワッシャ41の幅、凹凸の数や大きさは、適宜、変更可能である。例えば、波ワッシャ41は幅2mm程度、凹凸の数が2つ程度であってもよい。また、一端39Aと波ワッシャ41は、結合(固定)はさせずに、径方向において互いにスライド可能な状態としても良い。このようにすると、ノズル支持リング33や支持部材39が後述するように径方向において熱膨張した際に、一端39Aが径方向に移動(膨張)しやすくなる。従って、ノズル支持リング33や支持部材39の変形(傾きや捩れ)を効果的に抑制できる。
【0033】
次に、本実施形態に係る可変容量型過給機1の作用について説明する。
可変容量型過給機1の稼動時には、エンジンからの排ガスが、スクロール通路23、ガス流路25を通って、タービンインペラ15に供給され、タービンインペラ15が回転している。
このとき、タービンハウジング21及びノズル支持リング33とも加熱されて熱膨張する。
【0034】
ここで、ガス流路25に対して第一対向面21bと第二対向面33bとが、何れも角度θにて傾斜した状態で面接触している。そのため、両者が接触した状態で、ノズル支持リング33が、図6に示すように、タービンハウジング21に対してガス流路25の流路幅を広げる方向に相対的に変形及び移動しようとする。
【0035】
このノズル支持リング33の半径方向及び軸方向の変形及び移動にともない、支持部材39が押圧されて一端39Aに負荷が集中する。このとき、支持部材39の一端39Aが、波ワッシャ41によって押圧されているので、波ワッシャ41の弾性変形によって負荷が緩和され、支持部材39の変形が規制される。
【0036】
こうして、第一対向面21bと第二対向面33bとが過度に接触、又は離間することなく、突出部21Aとノズル支持リング33との接触状態が維持され、ガス流路25と外部との遮断状態が維持される。
【0037】
この可変容量型過給機1によれば、ベアリングハウジング17及びタービンハウジング21に対して、支持部材39の一端39A側が波ワッシャ41を介して押圧されているので、ベアリングハウジング17及びタービンハウジング21に対して、支持部材39の一端39A側は相対移動が可能となる。そのため、ベアリングハウジング17及びタービンハウジング21に対して支持部材39が熱膨張変形しても、波ワッシャ41の付勢力とのバランスによってこれを好適に吸収することができる。
【0038】
このとき、タービンハウジング21とノズル支持リング33とが摺動可能に接触しているので、タービンハウジング21に対してノズル支持リング33が相対的に変形又は変位しようとしても、タービンハウジング21に対してノズル支持リング33が離間するのを抑え、かつ、十分なガス流路25を確保することができる。したがって、内部を流通する作動ガスの外部への漏洩を抑えるとともに、可変容量装置27を安定して作動させることができ、安定した出力を維持することができる。
【0039】
特に、第一対向面21bの第一接平面P1及び第二対向面33bの第二接平面P2が、内壁面21aに対してガス流路の上流側にθ1で交差している。そのため、タービンハウジング21とノズル支持リング33とが互いに熱膨張して変形する際、ノズル支持リング33をタービンハウジング21の内壁面21aよりもガス流路25内に相対的に突出するのを規制して、ガス流路25を相対的に広げる方向に移動させることができる。そのため、ガス流路25内における作動ガスの流れをスムーズな状態に維持することができる。
【0040】
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0041】
例えば、図7に示すように、突出部51Aの第一対向面51b及びノズル支持リング53の第二対向面53bが、互いに対向する側に凸の曲面に形成され、又は、図8に示すように、突出部55Aの第一対向面55bのみが第二対向面33bに対向する側に凸の曲面に形成されていてもよい。
また、第二対向面のみが第一対向面側に凸の曲面に形成されていてもよい。この場合、第一対向面及び第二対向を線接触させることができ、しかも線接触位置を変化させながら両者の接触状態を好適に維持させることができる。
したがって、シール性を維持しつつ摺動抵抗をより減らすことができる。
【0042】
さらに、図9及び図10に示すように、突出部59A及びノズル支持リング61が歯車状に形成され、第一対向面59b及び第二対向面61bが対向した状態で凹凸嵌合されていてもよい。
【0043】
また、支持部材39と付勢部である波ワッシャ41とが別部材とされているが、これに限らず、図11に示すように、支持部材63の一端63Aが、回転中心軸線CL1に直交する方向L2に対して鋭角となる角度θ3で折り曲げられた状態でタービンハウジング21とベアリングハウジング17との間に配置されているとしてもよい。
この場合、支持部材63の一端63Aとタービンハウジング21及びベアリングハウジング17との間に、支持部材63の一端63Aの変形代Sが形成されている。そのため、熱膨張の際には、変形代S間で支持部材63の一端63Aが弾性変形して熱膨張を吸収することができる。
【0044】
また、付勢部とは波ワッシャには限定されず、付勢が可能なもの(弾性体など)であれば適用可能であるが、波ワッシャは耐熱性、製作容易性などが優れており、好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の一実施形態に係る可変容量型過給機を示す概略構成図である。
【図2】可変容量装置を示す図(図1のII−II断面)である。
【図3】タービンハウジングと可変容量装置の連結部近傍を示す図(図1のIII拡大)である。
【図4】タービンハウジングと可変容量装置の連結部の他の例を示す図である。
【図5】波ワッシャの斜視図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る可変容量型過給機が熱変形する状態を示す説明図である。
【図7】タービンハウジングと可変容量装置の連結部の他の例を示す図である。
【図8】タービンハウジングと可変容量装置の連結部の他の例を示す図である。
【図9】タービンハウジングと可変容量装置の連結部の他の例を示す図である。
【図10】タービンハウジングと可変容量装置の連結部の他の例を示す図(図9のIV矢視)である。
【図11】支持部の他の例を示す図である。
【図12】従来の可変容量型過給機の要部を示す図である。
【符号の説明】
【0046】
1…可変容量型過給機(過給機)、 15…タービンインペラ、 17…ベアリングハウジング、 21…タービンハウジング、 21A,51A,53A,55A,59A…突出部、 21a…内壁面、 21b,51b,55b,59b…第一対向面、 25…ガス流路、 27…可変容量装置、 29…ノズルベーン(ノズル翼)、 33,53,61…ノズル支持リング(取付部)、 33a…表面、 33b,53b,61b…第二対向面、 39,63…支持部材、 39A…一端、 39B…他端、 41…波ワッシャ(付勢部)、 P1…第一接平面、 P2…第二接平面
【技術分野】
【0001】
本発明は、過給機に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の排ガスと環境の問題が世界的にクローズアップされているなか、乗用車クラスの小型ディーゼルエンジン市場をはじめとして、エミッション規制への対応と低燃費化、性能向上のため過給機の使用が必須となりつつあり、低速から高速域まで広い範囲での性能向上を図ることができる可変容量型過給機が注目されている。
【0003】
従来の可変容量型過給機100について、図12を参照しつつ説明する。
可変容量型過給機100は、タービンインペラ115とタービンハウジング121との間に形成されるガス流路125内で可変するノズルベーン(ノズル翼)129と、タービンハウジング121のガス流路125の一部を形成するタービンハウジング121の突出部121Aの内壁面121aに沿って設けられて、表面133aにノズルベーン129を回転可能に支持するノズル支持リング(取付部)133と、を有する可変容量装置127を備えている。
【0004】
ノズル支持リング133は、支持部材139の他端139B側と接続されて、支持部材139を介してハウジング103に支持されている。
支持部材139は、図12に示すように、薄い板状の素材によって環状に形成されて外周端となる一端139A側と内周端となる他端139B側とを有し、支持部材139の一端139A側は、回転中心軸線CL1と直交するようにベアリングハウジング117とタービンハウジング121との間に挟持されて固定されている。
【0005】
この可変容量型過給機100内のスクロール通路123、ガス流路125を通って、自動車のエンジンから出てきた排ガスは、タービンインペラ115に供給されてタービンインペラ115が回転し、回転軸部材9を介してコンプレッサインペラ13を回転し、空気を圧縮するようになっている。
【0006】
タービンインペラ115を回転駆動した後のガスは、タービンハウジング121の中心部(上記ベアリングハウジング117とは反対側に位置している中心部)に形成されたガス出口(不図示)から排出されるようになっている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2006−125588号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の可変容量型過給機100では、支持部材139の一端139A側では、ハウジング103の半径方向及び軸方向への変形及び移動が規制されている。そのため、ノズル支持リング133が熱膨張した際、支持部材139が一端139Aを中心としてベアリングハウジング117とタービンハウジング121とに対して位置ずれしてしまい、ノズルベーン129が回動しない又は回動しづらくなる(ノズル支持リング133がノズルベーン129に対して傾いて当接したり抉れたりする)場合があるという問題がある。
【0008】
また、支持部材139の位置ずれにともない、隙間S1が増大して作動ガスが隙間S1から外部に漏れてしまい、所定の流量をタービンインペラ115に供給することができないという問題がある。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みて成されたものであり、内部を流通する作動ガスの外部への漏洩を抑えるとともに、可変容量装置を安定して作動させることができ、安定した出力を維持することができる過給機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る過給機では、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
本発明は、タービンインペラとタービンハウジングとの間に形成されるガス流路内で可変するノズル翼と、前記ガス流路の一部を形成する前記タービンハウジングの内壁面に沿って設けられて、表面に前記ノズル翼を回転可能に支持する取付部と、を有する可変容量装置を備えた過給機であって、一端側及び他端側を有し、ベアリングハウジングと前記タービンハウジングとの間に前記一端側が配置されて前記取付部を前記他端側で支持する支持部と、該支持部の前記一端側を前記ベアリングハウジング又は前記タービンハウジングに押圧する付勢部と、を備え、前記タービンハウジングと前記取付部とが、前記ガス流路を拡開させる方向に摺動可能に接触していることを特徴とする。
【0011】
この発明は、ベアリングハウジング及びタービンハウジングに対して、支持部の一端側が付勢部を介して押圧されているので、付勢部が弾性変形することで、支持部の一端側は、ベアリングハウジング及びタービンハウジングに対して相対移動が可能となる。そのため、ベアリングハウジング及びタービンハウジングに対して支持部材が熱膨張変形しても、付勢部の付勢力とのバランスによってこれを好適に吸収することができる。
このとき、タービンハウジングと取付部とが、前記ガス流路を拡開させる方向に摺動可能に接触しているので、タービンハウジングに対して取付部が相対的に変形又は変位しようとしても、タービンハウジングに対して取付部が離間するのを抑え、かつ、十分なガス流路を確保することができる。
【0012】
また、本発明に係る過給機は、前記内壁面に隣接して前記取付部と対向する第一対向面が、前記タービンハウジングに設けられ、前記表面に隣接して前記タービンハウジングと対向する第二対向面が、前記取付部に設けられ、前記第一対向面に接する第一接平面及び前記第二対向面に接する第二接平面が、前記内壁面に対して前記ガス流路の上流側に鋭角となる方向に交差していることを特徴とする。
【0013】
この発明は、タービンハウジングと取付部とが互いに熱膨張して変形する際、タービンハウジングの内壁面よりも取付部をガス流路内に相対的に突出させることなく、ガス流路を相対的に広げる方向に取付部を移動させることができる。そのため、ガス流路内における作動ガスの流れをスムーズな状態に維持することができる。
【0014】
また、本発明に係る過給機は、前記第一対向面と前記第二対向面とが、線接触していることを特徴とする。
【0015】
この発明は、タービンハウジングと取付部とが熱膨張した際、第一対向面及び第二対向面間における摺動抵抗をより好適に抑えることができる。
【0016】
また、本発明に係る過給機は、前記付勢部が弾性体であることを特徴とする。
【0017】
この発明は、付勢部が弾性変形することによって、支持部の移動又は変形を好適に吸収することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、内部を流通する作動ガスの外部への漏洩を抑えるとともに、可変容量装置を安定して作動させることができ、安定した出力を維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明に係る過給機の実施形態について、図1から図6を参照して説明する。
可変容量型過給機1は、ハウジング3を備え、このハウジング3の一端部側には遠心式コンプレッサ5が設けられ、他端部側には遠心式タービン7が設けられている。
【0020】
タービン7とコンプレッサ5との間には、ハウジング3に対して回転自在に、回転軸部材9がたとえば流体軸受11を介して設けられている。回転軸部材9の一端部には、コンプレッサ5を構成しているコンプレッサインペラ13が一体的に固定されており、回転軸部材9の他端部には、タービン7を構成しているタービンインペラ15が一体的に固定されている。
【0021】
ハウジング3は、回転軸部材9を支持するベアリングハウジング17と、コンプレッサインペラ13を囲んでコンプレッサインペラ13側でベアリングハウジング17に一体的に設けられたコンプレッサハウジング19と、タービンインペラ15を囲んでタービンインペラ15側のベアリングハウジング17に一体に設けられたタービンハウジング21と、を備えている。
【0022】
タービンハウジング21には、一端にガス入口(図示せず)を供えたスクロール通路23が設けられており、このスクロール通路23の内周部のタービンインペラ15との間には、環状のガス流路125が形成されている。タービンハウジング21には、ガス流路25を形成するタービンハウジング21の内壁面21aに沿って突出した突出部21Aが設けられている。
【0023】
環状のガス流路25におけるタービンインペラ15の先端部側(コンプレッサ5とは反対側)には、マルチベーンノズル方式の可変容量装置27が設けられている。
このマルチベーンノズル方式の可変容量装置27は、図2(図1のII−II断面図)に示すように、上記環状のガス流路25の円周上に配置された複数のノズルベーン29によって構成されたベーンノズル31と、回転軸部材9の回転中心軸線CL1と平行な中心軸線を回動中心にして各ノズルベーン29を回動可能に支持する環状のノズル支持リング33と、を備えている。
【0024】
このノズルベーン29は、ノズル支持リング33から所定の間隔をあけてタービンインペラ15とタービンハウジング21との間に設けられた環状のシュラウド35にも回動可能に支持されている。そして、ガス流路125は、ノズル支持リング33とシュラウド35との間に形成されている。
【0025】
ノズルベーン29は、スライドジョイント方式などの方式で構成されたベーンノズル駆動機構37を介して、たとえば、図2に実線で示す姿勢から破線で示す姿勢の間で回動するようになっている。
なお、図2に実線で示す姿勢に各ノズルベーン29があるときには、ベーンノズル31におけるガス流路の幅W1が最も狭くなっており、図2に破線で示す姿勢に各ノズルベーン29があるときには、ベーンノズル31におけるガス流路の幅W3が最も広くなっている。すなわち、各ノズルベーン29のそれぞれを同一方向に回動することで、ベーンノズル31の流路の大きさを変え、タービン107(タービンインペラ15)に供給されるガスの流速を変える。
【0026】
ノズル支持リング33は、所定のシート厚さを備えてリング状に形成されており、表面33aは、突出部21Aの内壁面21aとともにガス流路125を形成している。また、ノズル支持リング33は、スクロール通路23の内径よりも僅かに大きな外径、かつタービンインペラ15の外径よりも僅かに大きな内径を備えている。
さらに、ノズル支持リング33は、中心軸線が回転軸部材9の回転中心軸線CL1と一致するように、タービンインペラ15の背面側(コンプレッサ5側)でタービンインペラ15の近傍に設置されている。
【0027】
可変容量型過給機1は、図1から図3に示すように、タービンインペラ15とタービンハウジング21との間に形成されるガス流路25内で可変するノズルベーン(ノズル翼)29と、タービンハウジング21のガス流路25の一部を形成するタービンハウジング21の突出部21Aの内壁面21aに沿って設けられて、表面33aにノズルベーン29を回転可能に支持するノズル支持リング(取付部)33と、を有する可変容量装置27を備えている。
【0028】
タービンハウジング21の突出部21Aの内壁面21aと、ノズル支持リング33の表面33aとが略同一平面上となるように、タービンハウジング21に対するノズル支持リング33が位置決めされている。ノズル支持リング33の表面33aも、ガス流路25の一部を形成している。
【0029】
タービンハウジング21の突出部21Aの内壁面21aに隣接して第一対向面21bがタービンハウジング21に設けられ、ノズル支持リング33の表面33aに隣接して第二対向面33bがノズル支持リング33の外周端面に設けられている。
【0030】
第一対向面21b及び第二対向面33bは、第一対向面21bに接する第一接平面P1及び第二対向面33bに接する第二接平面P2が、内壁面21aに対してガス流路25の上流側に鋭角に交差するようにして形成されている。
すなわち、第一接平面P1及び第二接平面P2と内壁面21aとが交差する角度をθ1としたとき、0<θ1<90度に交差した状態で、第一対向面21b及び第二対向面33bが、ガス流路25を拡開させる方向に摺動可能に面接触している。
なお、この傾斜は、例えば、図4に示すように、θ2>θ1でも90度以下であれば構わない。
【0031】
支持部材(支持部)39の一端39A側は、回転中心軸線CL1と直交するようにベアリングハウジング17とタービンハウジング21との間に配置されている。なお、ベアリングハウジング17とタービンハウジング21とは、一端39Aの近傍において、回転中心軸線CL1の方向に当接して固定されている(図3、図11参照)。
また、一端39Aは、タービンハウジング21やベアリングハウジング17に対して結合(固定)はされておらず、軸方向や径方向において(後述する波ワッシャ41の弾性力や摩擦力に抗して)移動可能に設けられている。図示の例では、一端39Aはタービンハウジング21の内側面に沿って接触している。
なお、一端39Aは、径方向においてはタービンハウジング21に接触させないようにしても良い。すなわち、図3に示すように、一端39Aとタービンハウジング21の内面との間に隙間が形成された状態にしても良い。このようにすると、ノズル支持リング33や支持部材39が後述するように径方向において熱膨張した際に、一端39Aが径方向に移動(膨張)しやすくなる。これにより、ノズル支持リング33や支持部材39の変形(傾きや捩れ)を防止できる。
【0032】
そして、ベアリングハウジング17とタービンハウジング21との間には、支持部材39の一端39Aとともに、支持部材39の一端39Aをベアリングハウジング17又はタービンハウジング21に押圧する波ワッシャ(付勢部)41が配されている。図示の例では、波ワッシャ41は、一端39Aとベアリングハウジング17との間に備えられている。また、ベアリングハウジング17に対して結合(固定)はされておらず、一端39Aとベアリングハウジング17の間に挟まれることにより保持されている。
この波ワッシャ41は、耐熱性を備え金属等で構成されており、図5に示すように、平ワッシャ状の部材に周方向で波状の凹凸が繰り返されるようにして形成されている。この凹凸は、波ワッシャ41が挟み込まれる方向に対して凹凸になるよう形成されている。
なお、波ワッシャ41の幅、凹凸の数や大きさは、適宜、変更可能である。例えば、波ワッシャ41は幅2mm程度、凹凸の数が2つ程度であってもよい。また、一端39Aと波ワッシャ41は、結合(固定)はさせずに、径方向において互いにスライド可能な状態としても良い。このようにすると、ノズル支持リング33や支持部材39が後述するように径方向において熱膨張した際に、一端39Aが径方向に移動(膨張)しやすくなる。従って、ノズル支持リング33や支持部材39の変形(傾きや捩れ)を効果的に抑制できる。
【0033】
次に、本実施形態に係る可変容量型過給機1の作用について説明する。
可変容量型過給機1の稼動時には、エンジンからの排ガスが、スクロール通路23、ガス流路25を通って、タービンインペラ15に供給され、タービンインペラ15が回転している。
このとき、タービンハウジング21及びノズル支持リング33とも加熱されて熱膨張する。
【0034】
ここで、ガス流路25に対して第一対向面21bと第二対向面33bとが、何れも角度θにて傾斜した状態で面接触している。そのため、両者が接触した状態で、ノズル支持リング33が、図6に示すように、タービンハウジング21に対してガス流路25の流路幅を広げる方向に相対的に変形及び移動しようとする。
【0035】
このノズル支持リング33の半径方向及び軸方向の変形及び移動にともない、支持部材39が押圧されて一端39Aに負荷が集中する。このとき、支持部材39の一端39Aが、波ワッシャ41によって押圧されているので、波ワッシャ41の弾性変形によって負荷が緩和され、支持部材39の変形が規制される。
【0036】
こうして、第一対向面21bと第二対向面33bとが過度に接触、又は離間することなく、突出部21Aとノズル支持リング33との接触状態が維持され、ガス流路25と外部との遮断状態が維持される。
【0037】
この可変容量型過給機1によれば、ベアリングハウジング17及びタービンハウジング21に対して、支持部材39の一端39A側が波ワッシャ41を介して押圧されているので、ベアリングハウジング17及びタービンハウジング21に対して、支持部材39の一端39A側は相対移動が可能となる。そのため、ベアリングハウジング17及びタービンハウジング21に対して支持部材39が熱膨張変形しても、波ワッシャ41の付勢力とのバランスによってこれを好適に吸収することができる。
【0038】
このとき、タービンハウジング21とノズル支持リング33とが摺動可能に接触しているので、タービンハウジング21に対してノズル支持リング33が相対的に変形又は変位しようとしても、タービンハウジング21に対してノズル支持リング33が離間するのを抑え、かつ、十分なガス流路25を確保することができる。したがって、内部を流通する作動ガスの外部への漏洩を抑えるとともに、可変容量装置27を安定して作動させることができ、安定した出力を維持することができる。
【0039】
特に、第一対向面21bの第一接平面P1及び第二対向面33bの第二接平面P2が、内壁面21aに対してガス流路の上流側にθ1で交差している。そのため、タービンハウジング21とノズル支持リング33とが互いに熱膨張して変形する際、ノズル支持リング33をタービンハウジング21の内壁面21aよりもガス流路25内に相対的に突出するのを規制して、ガス流路25を相対的に広げる方向に移動させることができる。そのため、ガス流路25内における作動ガスの流れをスムーズな状態に維持することができる。
【0040】
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0041】
例えば、図7に示すように、突出部51Aの第一対向面51b及びノズル支持リング53の第二対向面53bが、互いに対向する側に凸の曲面に形成され、又は、図8に示すように、突出部55Aの第一対向面55bのみが第二対向面33bに対向する側に凸の曲面に形成されていてもよい。
また、第二対向面のみが第一対向面側に凸の曲面に形成されていてもよい。この場合、第一対向面及び第二対向を線接触させることができ、しかも線接触位置を変化させながら両者の接触状態を好適に維持させることができる。
したがって、シール性を維持しつつ摺動抵抗をより減らすことができる。
【0042】
さらに、図9及び図10に示すように、突出部59A及びノズル支持リング61が歯車状に形成され、第一対向面59b及び第二対向面61bが対向した状態で凹凸嵌合されていてもよい。
【0043】
また、支持部材39と付勢部である波ワッシャ41とが別部材とされているが、これに限らず、図11に示すように、支持部材63の一端63Aが、回転中心軸線CL1に直交する方向L2に対して鋭角となる角度θ3で折り曲げられた状態でタービンハウジング21とベアリングハウジング17との間に配置されているとしてもよい。
この場合、支持部材63の一端63Aとタービンハウジング21及びベアリングハウジング17との間に、支持部材63の一端63Aの変形代Sが形成されている。そのため、熱膨張の際には、変形代S間で支持部材63の一端63Aが弾性変形して熱膨張を吸収することができる。
【0044】
また、付勢部とは波ワッシャには限定されず、付勢が可能なもの(弾性体など)であれば適用可能であるが、波ワッシャは耐熱性、製作容易性などが優れており、好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の一実施形態に係る可変容量型過給機を示す概略構成図である。
【図2】可変容量装置を示す図(図1のII−II断面)である。
【図3】タービンハウジングと可変容量装置の連結部近傍を示す図(図1のIII拡大)である。
【図4】タービンハウジングと可変容量装置の連結部の他の例を示す図である。
【図5】波ワッシャの斜視図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る可変容量型過給機が熱変形する状態を示す説明図である。
【図7】タービンハウジングと可変容量装置の連結部の他の例を示す図である。
【図8】タービンハウジングと可変容量装置の連結部の他の例を示す図である。
【図9】タービンハウジングと可変容量装置の連結部の他の例を示す図である。
【図10】タービンハウジングと可変容量装置の連結部の他の例を示す図(図9のIV矢視)である。
【図11】支持部の他の例を示す図である。
【図12】従来の可変容量型過給機の要部を示す図である。
【符号の説明】
【0046】
1…可変容量型過給機(過給機)、 15…タービンインペラ、 17…ベアリングハウジング、 21…タービンハウジング、 21A,51A,53A,55A,59A…突出部、 21a…内壁面、 21b,51b,55b,59b…第一対向面、 25…ガス流路、 27…可変容量装置、 29…ノズルベーン(ノズル翼)、 33,53,61…ノズル支持リング(取付部)、 33a…表面、 33b,53b,61b…第二対向面、 39,63…支持部材、 39A…一端、 39B…他端、 41…波ワッシャ(付勢部)、 P1…第一接平面、 P2…第二接平面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービンインペラとタービンハウジングとの間に形成されるガス流路内で可変するノズル翼と、前記ガス流路の一部を形成する前記タービンハウジングの内壁面に沿って設けられて、表面に前記ノズル翼を回転可能に支持する取付部と、を有する可変容量装置を備えた過給機であって、
一端側及び他端側を有し、ベアリングハウジングと前記タービンハウジングとの間に前記一端側が配置されて前記取付部を前記他端側で支持する支持部と、
該支持部の前記一端側を前記ベアリングハウジング又は前記タービンハウジングに押圧する付勢部と、
を備え、
前記タービンハウジングと前記取付部とが、前記ガス流路を拡開させる方向に摺動可能に接触していることを特徴とする過給機。
【請求項2】
前記内壁面に隣接して前記取付部と対向する第一対向面が、前記タービンハウジングに設けられ、
前記表面に隣接して前記タービンハウジングと対向する第二対向面が、前記取付部に設けられ、
前記第一対向面に接する第一接平面及び前記第二対向面に接する第二接平面が、前記内壁面に対して前記ガス流路の上流側に鋭角となる方向に交差していることを特徴とする請求項1に記載の過給機。
【請求項3】
前記第一対向面と前記第二対向面とが、線接触していることを特徴とする請求項2に記載の過給機。
【請求項4】
前記付勢部が弾性体であることを特徴とする請求項1から3のうちいずれか一項の過給機。
【請求項1】
タービンインペラとタービンハウジングとの間に形成されるガス流路内で可変するノズル翼と、前記ガス流路の一部を形成する前記タービンハウジングの内壁面に沿って設けられて、表面に前記ノズル翼を回転可能に支持する取付部と、を有する可変容量装置を備えた過給機であって、
一端側及び他端側を有し、ベアリングハウジングと前記タービンハウジングとの間に前記一端側が配置されて前記取付部を前記他端側で支持する支持部と、
該支持部の前記一端側を前記ベアリングハウジング又は前記タービンハウジングに押圧する付勢部と、
を備え、
前記タービンハウジングと前記取付部とが、前記ガス流路を拡開させる方向に摺動可能に接触していることを特徴とする過給機。
【請求項2】
前記内壁面に隣接して前記取付部と対向する第一対向面が、前記タービンハウジングに設けられ、
前記表面に隣接して前記タービンハウジングと対向する第二対向面が、前記取付部に設けられ、
前記第一対向面に接する第一接平面及び前記第二対向面に接する第二接平面が、前記内壁面に対して前記ガス流路の上流側に鋭角となる方向に交差していることを特徴とする請求項1に記載の過給機。
【請求項3】
前記第一対向面と前記第二対向面とが、線接触していることを特徴とする請求項2に記載の過給機。
【請求項4】
前記付勢部が弾性体であることを特徴とする請求項1から3のうちいずれか一項の過給機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−243374(P2009−243374A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−91270(P2008−91270)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]