説明

過電流および短絡に対する保護における電力サージフィルタリング

バッテリパックは、1つ以上の電池セルと、電流をブロックするトランジスタと、バッテリ管理システムとを含み得る。開示された実装は、バッテリ管理システムの不安定な動作を引き起こす電池セルから引き出される過電流を取り扱う。過電流は、電池セルからの電圧の望ましくない低下を引き起こすことなく取り扱われる。たとえ過電流により、バッテリ管理システム供給電圧が、特定の間、最低動作電圧レベルよりも下に落ちたとしても、開示された実装は、過電流を取り扱い得る。開示された実装は、電池セルから引き出される電流が、電池セルに損傷を引き起こすほど充分に長い時間、充分に高い場合、電流フローをブロックし、電池セルの安全な動作を保証するように構成され得る、電流をブロックするトランジスタを使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実装は概して、電気回路に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの現代の可搬型デバイス(例えば、ラップトップコンピュータ、携帯電話機、デジタルカメラ、ビデオカメラ、メディアプレーヤ、携帯情報端末(PDA)、ゲーム機など)は、バッテリパックを含む。バッテリパックは通常、電池セル管理および保護を提供するための、かつ残りの充電を測定するための2つ以上の集積回路(IC)チップ(例えば、マイクロコントローラ、アナログフロントエンドなど)に連結された1つ以上の電池セルを含む。
【0003】
多くのバッテリパックは通常、リチウムイオン(Li−ion)電池セルを使用し、その電池セルは、本質的に円筒または角柱内に詰められた揮発性の化学反応である。電気的エネルギーは各セル内に格納され、電池セルがその仕様外の条件にさらされる場合、セルは過熱し、発火または爆発し得る。バッテリパックは通常、フェイルセーフ回路網を含み、その回路網は、安全でない状態(例えば、充電または放電の過電流、短絡など)を検出し、電池セルおよび/またはデバイスに対する損傷を防止し、消費者を爆発するバッテリおよび他の危険なイベントから保護するための是正措置を取る。
【0004】
バッテリパックが、デバイスに接続されている場合、または該デバイスが、高い電力消費(例えば、モータ)を伴う機能を有効化する場合、高電流が、ある時間バッテリパックから引き出され得る。これらのイベントは、正常なバッテリ動作の一部であり、バッテリパックおよびデバイスが、安定した動作を維持することができるように管理されるべきである。理想的には、バッテリパックが、電池セルを長時間(すなわち、正常な高電流イベントよりも長い間)維持される高電流から保護するように機能するべきである。なぜならば、そのような電流は潜在的にユーザにとって危険であり、電池セルに損傷を与えるからである。そのような異常な高電流イベントは、高電流フローを止めることによって防止され得る。しかしながら、電流フローを止めることは、バッテリパックの出力電圧が、ゼロかまたはゼロ近くまで下がることを引き起こし得、その結果バッテリシステムの不安定な動作が生じ得る。従って、正常な動作から生じる高電流と、潜在的に危険かつ/または損傷を与える高電流とを見分けることが重要である。
【0005】
従来のバッテリパックは、正常な動作から生じる高電流と、潜在的に危険かつ/または損傷を与える高電流とを区別しない。高電流は大抵、たとえ正常な動作から生じたとしても、潜在的に危険かつ/または損傷を与えるとして取り扱われる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
(概要)
従来のバッテリ保護の解決に関する不備は、過電流および短絡回路状態における電力サージフィルタリングに関する本開示の実装によって克服される。
【0007】
一部の実装において、バッテリシステムは、電池セルと、該電池セルに連結されたバッテリ保護回路と、バッテリ保護イベントが生じたかどうかを決定するために、該バッテリ保護回路に連結されたプロセッサとを含む。該バッテリシステムは、該電池セルおよび該プロセッサに連結された電圧調整器回路も含む。該電圧調整器回路は、該プロセッサに電力を提供するように構成可能である。エネルギー格納デバイスは、該電圧調整器に連結され、該バッテリ保護イベントの間、該プロセッサに電力を提供するように構成可能である。スイッチは、該エネルギー格納デバイスと該電池セルとの間に連結され、該バッテリ保護イベントの間、該電池セルから該エネルギー格納デバイスを選択可能に切り離すように構成可能である。
【0008】
一部の実装において、バッテリシステムに対する集積回路は、電池セルに連結されるように適合されたバッテリ保護回路を含む。プロセッサは、バッテリ保護イベントが生じたかどうかを決定するために、該バッテリ保護回路に連結される。電圧調整器回路は、該プロセッサに連結され、該プロセッサに電力を提供するように構成可能である。エネルギー格納デバイスは、該電圧調整器に連結され、該バッテリ保護イベントの間、該プロセッサに電力を提供するように構成可能である。スイッチは、該エネルギー格納デバイスと該電池セルとの間に連結され、該バッテリ保護イベントの間、該電池セルから該エネルギー格納デバイスを切り離すように構成可能である。
【0009】
一部の実装において、バッテリ保護の方法は、バッテリシステムにおいて、電圧調整器からプロセッサへ電力を提供することであって、該電圧調整器は、電池セルに連結され、該電池セルから受取った電圧を調整し、該バッテリシステムに電力を提供する、ことと、バッテリ保護イベントを示す信号を受信することと、該バッテリ保護イベントの間、該電圧調整器を該電池セルから選択的に切り離すことと、該電池セルに連結されたエネルギー格納デバイスから外プロセッサに電力を提供することとを含む。
【0010】
一部の実装において、バッテリシステムのための集積回路は、電池セルに連結されるように適合されたバッテリ保護回路を含む。プロセッサは、バッテリ保護イベントが生じたかどうかを決定するために、該バッテリ保護回路に連結され、該バッテリ保護回路から信号を受信するように構成可能である。電圧調整器回路は、該プロセッサに連結され、バッテリ保護イベント以外の間、該プロセッサに電力を提供するように構成可能である。エネルギー格納デバイスは、該電圧調整器に連結され、該バッテリ保護イベントの間、電力を該プロセッサに提供するように構成可能である。
【0011】
一部の実装において、バッテリ保護の方法は、バッテリ保護イベントを示す信号を受信することと、プロセッサに割り込み信号を提供することと、該割り込み信号に応答して、該プロセッサを低電力消費モードに変更することとを包含する。
【0012】
以下に記述された様々な特徴のうちの1つ以上を有するシステム、方法、およびデバイスに向けられた他の実装が開示される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(詳細な説明)
(バッテリシステム)
図1Aは、アプリケーション50に対する例示的なバッテリパック100のブロック図である。バッテリパック100は、デバイス102またはチャージャ104に連結され得る。チャージャ104に連結される場合に、バッテリパック100の端子(すなわち、正極および負極および通信端子)は、媒体106によってチャージャ104の対応する端子(すなわち正極および負極および通信端子)に連結され、バッテリパック100と関連づけられた電池セルの充電を可能にする。媒体106は、ワイヤ、リード、ピン、または電気的接続の任意の他の手段であり得る。充電は、より詳細に下で論じられる。
【0014】
同様に、デバイス102に連結される場合に、バッテリパック100の端子(すなわち、正極および負極および通信端子)は、導電性の媒体108によってデバイス102の対応する端子(すなわち、正極および負極および通信端子)に連結され、デバイス102の動作を可能にする。媒体108は、ワイヤ、リード、ピンの形態、または電気的接続の他の手段であり得る。一部の実装において、バッテリパック100は、通信ポートCにおいてデバイス102およびチャージャ104に随意に連結される。通信ポートは、デバイス102とチャージャ104とバッテリパック100との間で情報(例えば、指令および制御)の伝達を可能にする。交換され得る情報の一例は、バッテリ充電レベル(例えば、容量)を含む。
【0015】
図1Bは、バッテリパック100のより詳細な概略図である。一部の実装において、バッテリパック100は、1つ以上の電池セル120、ディスクリートトランジスタ110、112、電流感知抵抗器114、およびバッテリ管理システム130を含む。バッテリ管理システム130は、1つ以上の集積回路(すなわち、チップまたはチップセット)を含み得る。ディスクリートトランジスタ110、112、および/または電流感知抵抗器114は、同じパッケージ(たとえば、集積回路)内に、かつ/または同じシリコン内に実装され得る。
【0016】
一部の実装において、ディスクリートトランジスタ110、112は、電池セル120を外部のバッテリパック端子(外部のバッテリパック正極端子150および負極端子140)から切り離すために用いられる。示される実装において、ディスクリートトランジスタ110、112は、電界効果トランジスタ(FET)デバイスとして示される。他のトランジスタ技術が用いられ得るけれども、FETは、製法(process)、性能(例えば、オン抵抗)、コスト、サイズなどに関して利点をもたらす。示される実装において、ディスクリートトランジスタ110、112はそれぞれ、充電トランジスタおよび放電トランジスタとも称される。充電トランジスタ110は、電池セル120の安全な充電を可能にするために用いられる。放電トランジスタ112は、電池セル120の安全な放電を可能にするために用いられる。充電トランジスタ110および放電トランジスタ112は、直列に連結されて示される。
【0017】
示される実装において、充電トランジスタ110および放電トランジスタ112は、ハイサイド(high−side)構成で連結される(すなわち、直列トランジスタは、
電池セルのローサイド(low−side)ではなく、電池セルの高電位側(high side)に連結される)。ハイサイド構成において、充電トランジスタ110の一つの端子(例えば、NFETデバイスのソース端子)が、電池セル120−1の正極端子に連結される。放電トランジスタ112の1つの端子(例えば、NFETデバイスのソース端子)が、外部のバッテリパック正極端子150に連結される。充電トランジスタ110および放電トランジスタ112のそれぞれの第2の端子は、互いに連結される(例えば、NFETデバイスを使用する場合、ドレイン−ドレインノードを形成する)。充電トランジスタ110および放電トランジスタ112のゲート端子は、それぞれ入力OCおよび入力ODにおいてバッテリ管理システム130に連結される。同様に、トランジスタ110、112間のノードは、チップ供給電圧入力(本明細書においてVfetとも称される)において、バッテリ管理システム入力130に連結される。チップ供給電圧入力は、バッテリ管理システム130に電力を提供する。
【0018】
示される実装において、トランジスタ110、112は、両方向における電池セル120とデバイス102またはチャージャ104との間の電流フローをブロックするために使用される。トランジスタ110、112がFETである場合、それらは各々、寄生ダイオード(それぞれ110−1と112−1とにラベル付けられる)を含む。従って単一のFETでは、両方向の電流フローを無効にすることができない。2つのFETが直列(ソース−ソースまたはドレイン−ドレインのいずれか)で用いられる場合に、電池セル120内への電流フロー、そして電池セル120からの電流フローは有効とされ、かつ無効とされ得る。例えば、2つのトランジスタが用いられる場合に、トランジスタは選択的に制御され得(例えば、制御電圧をそれらのゲート端子に印加することによって)、電流フローは、所与の時間において一方向のみ可能となる(例えば、充電は可能であるけれども、放電は、電池セルが十分に充電されるまで可能ではない)。
【0019】
電池セル120は、再充電可能な電池であり、リチウムイオン(Li−ion)またはリチウムポリマー(「Li−polymer」)の形態であり得る。その他のバッテリ技術のタイプが可能である。複数の電池セルが提供される場合には、その電池セル120は直列に連結され得る。示される複数のセル実装において、電池セル120−1の最上部の正極端子は、バッテリ管理システム130(例えば、バッテリ電圧レベルの検出を可能にするため)と、ディスクリートトランジスタの1つ(すなわち、充電トランジスタ110)とに連結される。直列の最底部の電池セル120−2の負極端子は、バッテリ管理システム130(例えば、バッテリ電圧レベルの検出を可能にするため)と、電流感知抵抗器114の1つの端子とに連結される。電流感知抵抗器114の第2の端子は、ローカル接地(バッテリのローカル接地)と、バッテリ管理システム130(電流感知抵抗器114を介する電流フローの測定を可能にするため)と、バッテリパック100の外部の負極端子140とに連結される。電池セル120−1の負極端子および電地セル120−2の正極端子は共に連結される。一実装において、電池セル120−1、120−2間の中央点は、バッテリ管理システム130に連結される。
【0020】
図1Bは、ドレイン−ドレイン接続された2つのNFETデバイスを示すが、他のデバイスおよび構成が可能である。例えば、PFETデバイスが、適切な構成、例えばソース−ソースで使用され得る。
【0021】
(バッテリ管理システム)
図2は、バッテリパック100において用いられる、例示的なバッテリ管理システム130のブロック図を示す。バッテリ管理システム130は、概してプロセッサ202(例えば、RISCアーキテクチャに基づく、低電力、CMOS8ビットマイクロコントローラ)、バッテリ保護回路204、バッテリ保護回路/プロセッサインターフェース230、電流フローコントローラ206、電力スーパーバイザ210、充電検出器212、クロック発生器214、ポート216、メモリ218、電圧基準220およびウォッチドッグタイマ222を含む。プロセッサ202、ポート216、バッテリ保護回路204および電圧基準220は、それぞれデータバス224に連結される。
【0022】
バッテリ管理システム130の実用的な実装は、その他の構成要素およびサブシステムを含み得、それらは、明瞭にする目的のために図2から削除されている。例えば、バッテリ管理システム130は、バッテリ監視のための回路網(例えば、アナログデジタル変換器)、セルの電圧を平衡させるためのセルバランシング(cell balancing)回路網(例えば、セルバランシングFET)、雑音抑制回路網、起動タイマ、その他を含み得る。
【0023】
メモリ218は、命令によってプログラムされ得、その命令は、プロセッサ202によって実行され得、様々なタスク、例えば、セルバランシング、バッテリ保護、およびバッテリの残りを決定するための電流測定を実行する。
【0024】
一部の実装において、電流フローコントローラ206は、いくつかの出力(OC、OD)を有し、それらの出力は、外部トランジスタデバイス(例えば、トランジスタ110、112)に連結される。それらの外部デバイスは、電池セルと、デバイスまたはチャージャとの間の電流フローを制御するために、電流フローコントローラ206によって構成され得る。電流フローコントローラ206は、様々な回路およびロジック(例えば、演算増幅器、制御および状態レジスタ、トランジスタ、コンデンサ、ダイオード、インバータ、ゲートなど)を含み、出力OCおよびODにおいて電圧を発生させる。
【0025】
一部の実装において、OC出力は、高電圧出力であり、充電FET110のゲートに連結される。OC出力は、充電FET110を有効または無効にして、充電イベントの間の電流フローを制御する。OD出力は、高電圧出力であり、放電FET112のゲートに連結される。OD出力は、完全または部分的に放電FET112を有効または無効にして、放電イベントの間の電流フローを制御する。図1Bは、バッテリ管理システム130からの制御電圧に応答して電流フローを制御するための、FETデバイスの例示的な構成を示す。
【0026】
(バッテリ保護回路)
電流フローコントローラ206は、バッテリ保護回路204に連結される(例えば、インターフェース205を介して)。バッテリ保護回路204は、バッテリ保護イベントと関連するバッテリセル電圧および充電/放電電流を監視および検出するための回路網(例えば、差動増幅器)を含み、動作(例えば、充電および/または放電FETを無効にすること)を始動して、バッテリパック100を損傷から保護する。バッテリ保護イベントの例は、放電の間の大きな電圧低下、放電の間の短絡ならびに充電および放電の間の過電流、を含むが、これらに限定されない。
【0027】
一部の実装において、電流感知抵抗器(R)は、バッテリ保護回路204のPPI入力とNNI入力とにまたがって連結され得る。このPPIは、電流感知抵抗器114からのフィルタリングされていない正極の入力であり、NNIは、電流感知抵抗器114からのフィルタリングされていない負極の入力である。図1Bに記載されるように、電流感知抵抗器114は、バッテリ管理システム130に連結され得る。
【0028】
バッテリ保護回路/プロセッサインターフェース230は、バッテリ保護回路204とプロセッサ202との間にプログラム可能なインターフェースを提供する。
【0029】
(高電流状態の検出)
電流感知抵抗器114を通る高電流は、電流感知抵抗器114をまたいで電圧降下を引き起こし、この電圧降下は、バッテリ保護回路204によって検出される。一部の実装において、バッテリ保護回路204の差動演算増幅器は、適切なゲインで電圧を増幅する。差動演算増幅器からの出力は、アナログ比較器を使用して、基準信号(例えば、正確なプログラム可能なオンチップ電圧基準によって生み出された)と比較される。測定された電流のプログラム可能なサンプル数N(例えば、N=1)が、特定の限界より上である場合、早期警告割り込みフラグがプロセッサ202の中でセットされる。これは、プロセッサ202に、潜在的に危険な状況が進行しているという表示を与え、プロセッサ202は、適切な行動を取り得る。
【0030】
(放電過電流警告および保護)
放電電流のプログラム可能なサンプルの数Nが、所定の過電流保護反応時間よりも長い時間、所定の放電過電流限界よりも上である場合、バッテリ管理システム130は、放電過電流保護手段を差動させる。一部の実装において、放電過電流保護手段が作動する場合、外部の放電トランジスタ112は無効とされ、電流フローを止める。一部の実装において、ユーザはチャージャをバッテリパック100に接続し、放電トランジスタ112を再び有効とし得る。他の実装において、電流保護タイマが、例えば、バッテリ保護回路204の中で開始され得る。電流保護タイマは、放電トランジスタ112が、放電トランジスタ112が有効とされることに先立ち、最小の時間(例えば少なくとも1秒)無効とされることを保証する。プロセッサ202によって実行されるメモリ218(例えば、EEPROM、RAM、Flash ROMなど)のアプリケーションソフトウエアは、電流保護タイマが時間切れとなった後、正常な動作を再び有効とするために使用され得る。例えば、アプリケーションソフトウエアは、電流フローコントローラ206における制御および状態レジスタの制御ビットを有効とし、出力OCおよびODが変化するようにする。一部の実装において、バッテリの負荷がまだ大きすぎるにもかかわらず、放電トランジスタ112が再び有効とされる場合、放電過電流保護手段が再び作動し得る。一部の実装において、感知抵抗器114は、バッテリ保護回路204によって、放電過電流をチェックされる。放電過電流が検出された場合、放電トランジスタ112は、チャージャが検出された場合のみ、有効とされる。
【0031】
(充電過電流警告および保護)
充電電流のプログラム可能なサンプル数Nが、所定の過電流反応時間よりも長い時間、所定の充電過電流検出レベルよりも上である場合、バッテリ管理システム130は、充電過電流保護手段を差動させる。一部の実装において、充電過電流保護手段が作動する場合、外部の充電トランジスタ110は無効とされ、電流保護タイマが、例えば、バッテリ保護回路204において開始される。タイマは、トランジスタ110が、所定の時間(例えば、少なくとも1秒)無効とされることを保証する。プロセッサ202によって実行されるメモリ218のアプリケーションソフトウエアは、電流フローコントローラ206の制御および状態レジスタにおける正しい制御ビットを提供し、正常な動作を再び有効とし得る。充電トランジスタ110が再び有効とされ、かつチャージャが高すぎる電流を供給し続ける場合、充電過電流保護が再び作動し得る。
【0032】
(短絡警告および保護)
一部の実装において、高電流検出の第2のレベルが提供され、例えば短絡イベントにおいて生じるような大きな放電電流に対して速やかに応答することを可能にする。応答時間は、Mマイクロ秒(例えば、100マイクロ秒)よりも短い短絡サンプリング間隔によって決定される。放電電流のプログラム可能なサンプル数N(例えば、N4=1)が、所定の短絡反応時間よりも長い時間、所定の短絡検出限界の上にある場合、バッテリ管理システム130が、短絡保護手段を作動させる。一部の実装において、短絡保護が作動する場合、放電トランジスタ112は、放電過電流保護と同じ態様で無効とされ得る。
【0033】
一部のアプリケーションは、通常100〜500マイクロ秒の応答時間を必要とする。しかしながら、デバイス102が、バッテリパック100から大きな電流を引き出す場合、一部のアプリケーションは、バッテリバック100に接続されたデバイス102に対して、より安定した動作状態を可能にするためには、通常5ミリ秒のより長い反応時間を必要とする。
【0034】
一部の実装において、バッテリ保護手段の作動は、バッテリ保護回路102によって、プロセッサ202に対して割り込みが出されるようにし得る。例えば、バッテリ保護回路204は、データバス224上のプロセッサ202に対して、バッテリ保護割り込みを出し得る。バッテリ保護割り込みは、プロセッサ202によって無効とされ得、その結果プロセッサ202は、バッテリ保護割り込みに対して応答しない。プロセッサ202がバッテリ保護割り込みを受信する場合、プロセッサ202は、様々な動作、例えば、低電力消費モードに変化すること、または電流フローコントローラ206に制御指令を出し、トランジスタ110、112を介して電流フローを制御することなどを実行し得る。
【0035】
一旦、潜在的な短絡侵害が検出されると、短絡早期警告割り込みフラグが設定される。短絡割り込みが有効とされる場合、割り込みがプロセッサ202によって受信され得る。割り込みを受信した後、プロセッサ202は、短絡保護手段が実行されるか、または危険要素を生成しているソースが除去されるまでの時間、電力消費を最小とし得る。電力を最小とする効率的な方法は、安全な動作条件が樹立され得るまで、プロセッサ202をスリープモードにすることであり得る。電流が安全なレベルに戻ったとき、プロセッサ202は、スリープモードから目覚め得る。外部のエネルギー格納デバイスが、バッテリ管理システム130に連結され得(例えば、図3のエネルギー格納デバイス308)、外部のエネルギー格納デバイスは適切な大きさとされ、短絡保護の間、バッテリ管理システム130に電力を供給し得る。
【0036】
バッテリ保護イベントに対する監視、検出および応答に関して上に記述された実装は例示的であり、他の実装が可能である。例えば、プロセッサ202によって実行される専用のハードウエアおよび/またはソフトウエアによって実装される過充電または過放電保護など、他のバッテリ保護スキームが可能である。
【0037】
(電力スーパーバイザ)
電力スーパーバイザ210は、バッテリ管理システム130に対する様々な低電力モードを管理することによって、システム電力消費を低減することを補佐し、低電力モードは、「スリープモード」とも称される。一部の実装において、電力スーパーバイザ210は、4つのスリープモードを管理し、ユーザが、所望に応じてバッテリ管理システム130の電力消費を適合させることを可能にする。アイドルモードにおいて、プロセッサ202は停止されるが、すべての周辺機能は動作し続ける。電力節約モードにおいて、高速発振器は止められ、バッテリ保護回路204および低速発振器、ならびに電流測定回路(例えば、アナログデジタル変換器など)およびリアルタイムクロックを維持するための非同期タイマだけが稼働するように保たれる。電力ダウンモードにおいて、クロック発生器214は停止させられる。バッテリ保護回路204、ウォッチドッグタイマ222、または外部の割り込みが、バッテリ管理システム130を目覚めさせ得る。電力オフモードにおいて、プロセッサ202は、電圧調整器208にプロセッサ202への電力を止めるように命令し、電圧調整器208およびチャージャ検出回路212だけを動作可能に保つ。電池セルが充電されることなく長期間保管される場合、電力オフモードは、電力消費を最小とし、電池セルが損傷を受けないことを保証する。
【0038】
一部の実装において、チャージャが検出されたとき、バッテリパック100は、電力オフスリープモードから目覚め、電力オンリセットを実行し、正常な動作を開始する。
【0039】
電力スーパーバイザ210は、供給電圧(VCC)に連結される。一部の実装においては、供給電圧は、電圧調整器208によって提供される調整された電圧(VReg)である。電力スーパーバイザ210は、RESET入力も有し得る。例えば、所定の最小パルス長さよりも長い間、この入力に低いレベルの入力があった場合、クロック発生器214が稼働していない場合でも、バッテリ管理システム130はリセットされる。
【0040】
電力スーパーバイザ210は、ウォッチドッグタイマ222、充電検出器212、および電圧調整器208にも連結される。ウォッチドッグタイマ222は、電力スーパーバイザ210が電力ダウンモードで動作しているとき、電力スーパーバイザ210への目覚まし信号を提供する。チャージャ検出器212が入力(BATT)に連結され、チャージャが接続されたときを検出し、電力スーパーバイザ210にそのようなイベントを知らせ、その結果電力スーパーバイザ210は、充電のための適切なモードを開始し得る。電圧調整器208は、電力スーパーバイザ210に、調整された電圧VRegを提供する。
【0041】
(組み合わせリニア/ステップアップ電圧調整器)
図3は、図2に示されるバッテリ管理システム130において使用される例示的な組み合わせリニア/ステップアップ電圧調整器300のブロック図である。電圧調整器300は、入力電圧Vfetを受信し、バッテリ管理システム130およびバッテリ管理システム130に連結された外部回路による使用のため、調整された出力電圧VREGを提供する。Vfetは、バッテリ管理システム130に対して入力された電力であり、トランジスタ110、112を介して、電池セル120または外部チャージャ104のいずれかによって提供される。今日の半導体は通常、約2〜5ボルトの範囲の電源で稼働するので、例えば約8.4ボルトまでを供給する電池セルは、バッテリ管理システム130に直接供給することができない。電圧調整器300は、電池セル電圧を調整し、オンチップ論理、低電圧I/Oラインおよびアナログ回路(例えば、約3.3ボルト)に対して適切なレベルにまで下げる。
【0042】
電圧調整器300は、ステップアップ電圧調整器304およびリニア電圧調整器306を含む。一部の実装において、ステップアップ電圧調整器304とリニア電圧調整器306とのうちの1つだけが、一時期に有効とされ得る。コントローラ302は、ライン318、320で有効化信号を、電圧調整器306および304にそれぞれ提供する。図6に関して記述されるように、有効化信号318、320は、電圧調整器306、304のうちのどれが有効とされるか、無効とされるかを決定する。
【0043】
図6に関して記述されるように、一部の実装において、短絡が生じるとき、電圧調整器300は、入力電圧(Vfet)が特定の閾値レベルよりも下に低下したことを検出する。電圧レベルがあまりにも大きく低下する場合、電圧調整器300は、調整された電圧を提供することを止める。電圧調整器300の出力が、エネルギー格納デバイス308(例えば大きな蓄積コンデンサ)に連結され、エネルギー格納デバイス308は、正常な動作の間、電圧リプルを除去し、大きな電流スパイクを供給するために使用される。しかしながら、短絡イベントの間、エネルギー格納デバイス308における残りの電力は電圧調整器300に代わって、バッテリ管理システム130に電力を供給するために使用され得る(たとえば、電圧調整器300がもはや、調整された電圧を提供していない場合)。エネルギー格納デバイス308が、バッテリ管理システム130に供給する間(例えば、短絡イベントの間)、エネルギー格納デバイス308は、バッテリシステムに対する電流供給要求を満たすような大きさ(例えば1〜10μF)とされ得る。エネルギー格納デバイス308が、何らかの理由で、必要とされる電流を供給することができない場合、バッテリ管理システム130が、それ自体をリセットし、安全かつ動作可能な抑制が満たされることを保証するように構成され得る。
【0044】
(リニア電圧調整器)
図4は、図3に示される組み合わせ電圧調整器300において使用される例示的なリニア電圧調整器306のブロック図である。一部の実装において、リニア電圧調整器306は、誤差増幅器402、スイッチ404(M1)、405(M3)、406(M4)および408(M2)、抵抗ネットワーク410および蓄積コンデンサ412を含む。誤差増幅器402の非反転入力は、ライン312で安定した電圧基準(例えば、電圧基準220)を受信する。誤差増幅器402(例えば、差動増幅器)は、安定した電圧基準を抵抗ネットワーク410によって提供されたフィードバック電圧Vfbと比較し、誤差電圧を出力する。一部の実装において、抵抗ネットワーク410は、抵抗器R1およびR2を含む分圧器であり、この分圧器は、スイッチ406(M4)の出力において電圧の何割かを取り、それを誤差増幅器402の反転入力に供給する。
【0045】
誤差増幅器402の出力は、スイッチ404(M1)(例えば、PFET)に入力され、スイッチ404は、スイッチ405(M3)および408(M2)から構成された電流ミラー構成に連結される。電流ミラー構成のスイッチ408(M2)を通る電流は、スイッチ405(M3)においてミラーされる。スイッチ406(M4)の入力は、出力スイッチ405(M3)に連結される。有効化信号318は、例えば、モード選択論理(図6)によって提供され、リニア調整器306(例えば、有効/無効スイッチ406(M4))の出力を有効/無効にする。スイッチ406(M4)の出力は、蓄積コンデンサ412および負荷(RLOAD)に連結される。
【0046】
図6に関して記述されるように、図4に示される構成で、電圧調整器300は、供給電圧Vin(Vfet)が、所定の閾値電圧レベルより下に降下したことを検出することによって短絡を検出し得る。閾値電圧レベルは、単一のセルおよび複数のセルの動作に対して異なり得る。短絡が検出されるとき、外部トランジスタ110、112は、電圧調整器300を入力電圧Vin(Vfet)から切り離すために無効とされ得る。一部の実装において、外部トランジスタ110、112は、時間遅延(例えば、短い、または長い遅延)の後、無効とされ得る。時間遅延は、デバイス102(例えば、カメラとカムコーダとでは異なる)に基づいてプログラムされ得る。短絡状態において、電池セル120は、低い電位に引き下げられ得、従って、短絡状態は、図3に示されるエネルギー格納デバイス308を含む、利用可能なすべての電源から電力を求める。理想的には、スイッチ405(M3)は、エネルギー格納デバイス308が、低電位Vin(Vfet)入力を通ってドレインすることを妨げる。しかしながら、スイッチ405(M3)が、従来のPFETで実装される場合、電流は、PFETデバイスに固有である寄生ダイオードを介して、エネルギー格納デバイス308からドレインし得る。この電流漏れを防ぐために、スイッチ406(M4)は、別のPFETデバイスで実装され得、スイッチ405(M3)と逆に連結され得、その結果スイッチ406(M4)に固有の寄生ダイオードとスイッチ405(M3)に固有の寄生ダイオードとは、導電方向が反対である。例えば、スイッチ405(M3)および406(M4)はそれぞれの寄生ダイオードが互いから離れる向きに指向するソース−ソースに接続され得る。一部の実装において、スイッチ406(M4)は、図3に示されるコントローラ302によって提供される信号ライン318によって、短絡状態の間に、無効とされ得る。
【0047】
他の実装において、スイッチ405(M3)は、異なるプロセス技術を使用して作成され、寄生ダイオードの望ましくない電流ドレイン特性を低減し得る。あるいは、リニア調整器306を無効にすることを保証するためには、スイッチ405(M3)のバルクは、スイッチ406(M4)を必要としないようにするために切り替えられ得る。
【0048】
(ステップアップ電圧調整器)
図5は、図3に示される組み合わせ電圧調整器300において使用される例示的なステップアップ電圧調整器回路304のブロック図である。ステップアップ電圧調整器回路304は、誤差増幅器502、スイッチ504(M1)、506(M2)および508(M3)、充電ポンプ510、抵抗ネットワーク512ならびに蓄積コンデンサ514を含む。ステップアップ電圧調整器回路304は、電圧入力よりも高い電圧出力を提供し得るという点で、リニア電圧調整器306とは異なる。図3に示されるように、このステップアップ電圧能力は、充電ポンプ510、およびステップアップ電圧調整器304に連結された「フライ」コンデンサ310(例えば、220nF)によって提供される。
【0049】
誤差増幅器502(例えば差動増幅器)の非反転入力は、安定した基準電圧(例えば、図2に示される電圧基準220)に連結される。誤差増幅器502の反転入力は、抵抗ネットワーク512に連結され、抵抗ネットワーク512は、充電ポンプ510の出力の何割かを提供する。一部の実装において、抵抗ネットワーク512は、抵抗器R1およびR2から構成された分圧器である。充電ポンプ510の出力(VReg)は、出力電圧を平滑にするための蓄積コンデンサ514に連結される。誤差増幅器502は、その非反転および反転入力の比較に基づいて、誤差電圧を提供する。誤差電圧は、スイッチ504(M1)の入力に提供され、スイッチ504(M1)は、スイッチ506(M2)および508(M3)から構成された電流−ミラー構成に連結される。電流−ミラー構成は、入力電圧Vcpを充電ポンプ510に提供し、入力電圧Vcpは、所望の電圧にステップアップされ、調整された電圧VRegを提供するために蓄積コンデンサ514に入力される。
【0050】
リニア電圧調整器306とは対照的に、スイッチ508(M3)における寄生ダイオード効果は、ライン322のクロック信号を止めるだけで対処され得る。充電ポンプ510が止められる場合であって、入力電圧Vin(VREF)がバッテリ保護イベントの間、低下した場合、電流は、充電ポンプ510を介して、エネルギー格納デバイス(例えば、蓄積コンデンサ514)からドレインされることはあり得ない。
【0051】
(モード選択論理)
図6は、図3に示される電圧調整器300のコントローラ302において使用される例示的なモード選択論理600のブロック図である。一部の実装において、電圧調整器300は、4つのモード:リニア調整モード、組み合わせモード(すなわち、リニアとステップアップとの両方)、ステップアップ調整モード、および短絡保護モードで、動作し得る。複数のセル電池を適用する一部の実装においては、リニア電圧調整モードが選択される(すなわち、VREGを提供するために、リニア電圧調整器306だけが使用される)。単一セル電池を適用する一部の実装においては、組み合わせモードが選択される(すなわち、リニア電圧調整器306とステップアップ電圧調整器304との両方が、一度に1つの電圧を調整する)。他の調整モードが可能である。
【0052】
(複数のセル電池の適用)
複数のセル電池の一適用において、Vfetが、比較器602の短絡検出レベルより上である場合(例えば、約3.2〜3.3ボルト(立下がり/立上がり))、リニア電圧調整器306は有効とされ、バッテリ管理システム130は、リニアモードで動作する。さらに詳細には、比較器602の出力は高、インバータ604の出力は低、かつインバータ606の出力は高、それによってリニア電圧調整器306を有効にする。インバータ606の出力は、図3に示されるライン318に適用されたリニア_有効化信号である。この信号が高の場合、リニア電圧調整器400が有効とされる。
【0053】
fetが、比較器602の短絡検出レベルより下に下がる場合、短絡保護イベントが生じている。図3に関して記述されるように、短絡保護イベントの間、リニア電圧調整器306は、Vfetから切り離され、電圧調整器300の出力に連結されたエネルギー格納デバイス308が、バッテリ管理システム130に電力を提供する。さらに詳細には、比較器602の出力が低になり、インバータ604の出力が高になり、かつインバータ606の出力が低になり、リニア電圧調整器306を無効にする。
【0054】
この複数のセルの適用に対して、Linear_Only_Mode信号が、短絡回路保護モードの間、ステップアップ電圧調整器304を有効にすることを妨げることに留意されたい。さらに詳細には、リニアモードだけが使用されるこの複数のセルの適用において、Linear_Only_Mode信号324は高、インバータ610の出力は低、ANDゲート612の出力を低となるように強制し、ステップアップ電圧調整器304を無効にする。ANDゲート612の出力は、図3に示されるセット_アップ_有効化信号320であることに留意されたい。
【0055】
(単一のセル電池の適用)
既に述べられたように、単一のセル電池の適用において、Vfetが、比較器602の短絡検出レベルより上である場合、リニア電圧調整器306が有効とされる。Vfetが、比較器602に対する短絡検出レベルよりも下に下がるが、比較器608に対する短絡検出レベルの上に留まる場合(例えば、約1.7〜1.8ボルト(立下り/立上がり))、リニア電圧調整器306は無効とされ、ステップアップ電圧調整器304が有効とされる。さらに詳細には、比較器608の出力が高、インバータ604の出力が高、かつインバータ610の出力が高である。図3に示されるように、ANDゲート612への3つすべての入力が高であるので、ライン320のセット_アップ_有効化信号は高であり、この結果ステップアップ電圧調整器304が有効とされる。リニア電圧調整器306は無効とされる。なぜならば、インバータ606の出力が低である(すなわち、リニア_有効化信号318が低)からであることに留意されたい。
【0056】
fetが、この単一のセル電池の適用に対する短絡検出レベルより下に下がり続ける場合、リニア電圧調整器306は無効とされたままであり、ステップアップ電圧調整器304も無効とされる。リニア電圧調節器306とステップアップ電圧調整器304との両方の無効化は、電圧調整器300が、チップ202に調整された電圧を供給することを効果的に止める。電圧調整器300がもはや、バッテリ管理システム130に調整された電圧を供給していないとき、電圧調整器300の出力に連結されたエネルギー格納デバイス308が、バッテリ管理システム130に電力を供給し得る。
【0057】
(バッテリ保護プロセス)
図7は、例示的なバッテリ保護プロセス700の流れ図である。プロセス700のステップは、何らかの特定の順序で生じる必要はなく、ステップのうちの少なくとも幾つかは、同時に生じ得る。
【0058】
プロセス700は、バッテリ保護イベント(702)に対するバッテリ電圧および充電/放電電流を監視することから始まる。図2に関して記述されたように、これは、バッテリ保護回路204および電流感知抵抗器Rを使用して達成され得る。プロセス700は、バッテリ保護イベント(704)を検出し、これに応答して、電池セルが電圧調整器(706)から切り離されるようにする。バッテリ保護イベントの例は、放電の間の大きな電圧低下、放電の間の短絡ならびに充電および放電の間の過電流、を含むが、これらに限定されない。バッテリ検出ステップ(704)は、バッテリ保護イベントの予備的な表示を提供することに留意されたい。
【0059】
短絡状態の間、複数の電池セルの適用における各電池セルは、1ボルトの低さまで低下し得る。バッテリシステムが、単一のセルの適用を支持しなくてはならない場合、そのような電圧は低すぎる。図4〜図6に関して記述されるように、これらの保護イベントに対して、電圧調整器は、それ自体を電池セルから切り離し、エネルギー格納デバイスが入力電圧ラインを通って電圧をドレインすることを妨げ得る。一部の実装において、バッテリ保護が達成される場合、バッテリ保護回路は、バッテリ保護割り込みをプロセッサ(例えば、プロセッサ202)に送信し、動作(708)の低電力モードを有効にし得る。所定の時間(712)(例えば、5ミリ秒)の後、バッテリ保護イベントがなおも活性である場合、電池セルは、デバイスまたはチャージャから切り離され、プロセッサは、バッテリ保護イベント(718)について通知される。所定の時間(712)が過ぎる前に、
バッテリ保護イベントがもはや有効ではないか、または除去される場合、プロセッサは、通知を受け、正常な動作が再開される(71)。
【0060】
上述の実装は単なる例示であり、多くの変更が、本発明の真の精神および範囲から逸脱することなくなされ得ることは、当業者によって理解される。従って、この発明の真の精神および範囲内にあるすべてのそのような変更および修正を網羅することが添付された請求項によって意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1A】図1Aは、例示的なバッテリパックのブロック図である。
【図1B】図1Bは、図1Aのバッテリパックのより詳細な概略図である。
【図2】図2は、例示的なバッテリチップのブロック図である。
【図3】図3は、図2に示されたバッテリチップにおいて使用されるリニアおよびステップアップ電圧調整器の例示的な組み合わせのブロック図である。
【図4】図4は、図3に示される組み合わせ電圧調整器において使用される例示的なリニア電圧調整器のブロック図である。
【図5】図5は、図3に示される組み合わせ電圧調整器において使用される例示的なセットアップ電圧調整器のブロック図である。
【図6】図6は、図3に示される電圧調整器において使用される例示的なモード選択論理のブロック図である。
【図7】図7は、例示的なバッテリ保護プロセスの流れ図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリシステムであって、
電池セルと、
該電池セルに連結されたバッテリ保護回路と、
バッテリ保護イベントが生じたかどうかを決定するために、該バッテリ保護回路に連結されたプロセッサと、
該電池セルおよび該プロセッサに連結された電圧調整器回路であって、該電圧調整器回路は、該プロセッサに電力を提供するように構成可能である、電圧調整器回路と、
該電圧調整器に連結されたエネルギー格納デバイスであって、該バッテリ保護イベントの間、該プロセッサに電力を提供するように構成可能である、エネルギー格納デバイスと、
該エネルギー格納デバイスと該電池セルとの間に連結されたスイッチであって、該スイッチは、該バッテリ保護イベントの間、該電池セルから該エネルギー格納デバイスを選択的に切り離すように構成可能である、スイッチと
を備えている、バッテリシステム。
【請求項2】
前記バッテリ保護イネントは、放電の間の短絡と充電および放電の間の過電流とを含む複数のバッテリ保護イベントのうちの1つである、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記エネルギー格納デバイスは、コンデンサである、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記スイッチは、前記電圧調整器に含まれる、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記スイッチは、電界効果トランジスタ(FET)である、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
バッテリシステムに対する集積回路であって、
電池セルに連結されるように適合されたバッテリ保護回路と、
バッテリ保護イベントが生じたかどうかを決定するために、該バッテリ保護回路に連結されたプロセッサと、
該プロセッサに連結され、該プロセッサに電力を提供するように構成可能である電圧調整器回路と、
該電圧調整器に連結されたエネルギー格納デバイスであって、該バッテリ保護イベントの間、該プロセッサに電力を提供するように構成可能である、エネルギー格納デバイスと、
該エネルギー格納デバイスと該電池セルとの間に連結されたスイッチであって、該スイッチは、該バッテリ保護イベントの間、該電池セルから該エネルギー格納デバイスを切り離すように構成可能である、スイッチと
を備えている、集積回路。
【請求項7】
前記バッテリ保護イベントは、放電の間の短絡と、充電および放電の間の過電流と、電池セル電圧の突然の低下とを含む複数のバッテリ保護イベントのうちの1つである、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記エネルギー格納デバイスは、コンデンサである、請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
前記スイッチは、前記電圧調整器含まれる、請求項6に記載のシステム。
【請求項10】
バッテリ保護の方法であって、
バッテリシステムにおいて、電圧調整器からプロセッサへ電力を提供することであって、該電圧調整器は、電池セルに連結され、該電池セルから受取った電圧を調整し、該バッテリシステムに電力を提供する、ことと、
バッテリ保護イベントを示す信号を受信することと、
該バッテリ保護イベントの間、
該電圧調整器を該電池セルから選択的に切り離すことと、
該電池セルに連結されたエネルギー格納デバイスから該プロセッサに電力を提供することと
を包含する、方法。
【請求項11】
前記バッテリ保護イベントの間、前記エネルギー格納デバイスを前記電池セルから切り離すことをさらに包含する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記プロセッサに割り込みを出すことと、
該割り込みに応答して、該プロセッサの電力モードを変更することと
をさらに包含する、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記電力モードを変更することは、低電力消費モードに変えることを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記電力モードを変更することは、該電力モードを、アイドルと電力節約と電力ダウンと電力オフとを含む複数の電力モードから1つの電力モードに変更することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
バッテリシステムのための集積回路であって、
電池セルに連結されるように適合されたバッテリ保護回路と、
バッテリ保護イベントが生じたかどうかを決定するために、該バッテリ保護回路に連結され、該バッテリ保護回路から信号を受信するように構成可能であるプロセッサと、
該プロセッサに連結され、バッテリ保護イベント以外の間、該プロセッサに電力を提供するように構成可能である電圧調整器回路と、
該電圧調整器に連結され、該バッテリ保護イベントの間、電力を該プロセッサに提供するように構成可能である、エネルギー格納デバイスと
を備えている、集積回路。
【請求項16】
前記バッテリ保護回路は、バッテリ保護イベントの検出の際、前記プロセッサに割り込みを出し、該プロセッサは、該割り込み信号に応答して低電力消費モードに変わる、請求項15に記載の集積回路。
【請求項17】
前記エネルギー格納デバイスと前記バッテリセルとの間で連結されたスイッチであって、該スイッチは、前記バッテリ保護イベントの間、前記電池セルから該エネルギー格納デバイスを切り離すように構成可能である、スイッチをさらに備えている、請求項15に記載の集積回路。
【請求項18】
前記バッテリ保護イベントは、放電の間の短絡と、充電および放電の間の過電流とを含む複数のバッテリ保護イベントのうちの1つである、請求項15に記載の集積回路。
【請求項19】
バッテリ保護の方法であって、
バッテリ保護イベントを示す信号を受信することと、
プロセッサに割り込み信号を提供することと、
該割り込み信号に応答して、該プロセッサを低電力消費モードに変更することと
を包含する、方法。
【請求項20】
電圧調整器から前記プロセッサに電力を提供することであって、該電圧調整器は、電池セルに連結され、該電池セルから受取った電圧を調整してバッテリ管理システムに電力を提供し、該電圧調整器は、前記バッテリ保護イベントの間、エネルギー格納デバイスを該プロセッサに切り替えるように構成可能であるスイッチを含む、ことをさらに包含する、請求項19に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2009−529850(P2009−529850A)
【公表日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−558540(P2008−558540)
【出願日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際出願番号】PCT/US2007/063619
【国際公開番号】WO2007/106719
【国際公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【出願人】(591225523)アトメル・コーポレイション (57)
【氏名又は名称原語表記】ATMEL CORPORATION
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】