説明

道路交通規制標識表示装置用固定装置

【課題】道路交通規制標識表示装置を積載物とし、その積み卸しが容易であり、車両の横煽りを容易に開くことができ、積載した道路交通規制標識表示装置に傷が付いてしまうことを防止し得る道路交通規制標識表示装置用固定装置を提供する。
【解決手段】この道路交通規制標識表示装置用固定装置90は、車両幅方向両側に且つ荷台8の横煽り48と道路交通規制標識表示装置1の側面との間の位置に配設されるようになっており、道路交通規制標識表示装置1の四隅の位置を決めるとともに荷台8上での水平方向への移動を拘束する4つの位置決め部材91と、荷台8側と道路交通規制標識表示装置1とを相互に繋ぐターンバックル95,96とを有して構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路工事現場において、道路交通規制標識を表示すると共に、走行車両の突入事故から作業員を保護する車両搭載用の道路交通規制標識表示装置に係り、特に、その道路交通規制標識表示装置を車両に固定するための道路交通規制標識表示装置用固定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
道路工事作業区域や工事規制に伴う車線規制場所では、走行車両に対して車線変更を促すため、道路交通規制標識表示装置を道路上に設置し、もしくは道路交通規制標識表示装置をトラック等の車両に搭載して道路上に配置する等の手段がとられている。
この種の道路交通規制標識表示装置は、道路上を走行する車両のドライバーが遠方から早期に認識できるように大きく、道路上からできるだけ高い位置に目立つように設置する必要がある。
【0003】
そこで、この種の道路交通規制標識表示装置は、例えば特許文献1に示されるように、その幅が車両の荷台の内幅よりも僅かに狭い程度の大きさとされ、さらに、表示部を多段に構成し、その表示部上部は昇降可能になっている。また、この種の道路交通規制標識表示装置は、回転灯、LED表示板、白い反射板等を装備している。
【特許文献1】特許第3750804号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、この種の道路交通規制標識表示装置を、例えば荷台に穴加工を施して、ボルト・ナットによって車両のシャーシフレームに固定した場合、道路運送車両法上、道路交通規制標識表示装置が積載物として扱われずに架装物として扱われる。そのため、車両として構造等変更検査を行う必要が生じることになる。
すなわち、この種の道路交通規制標識表示装置は、回転灯、LED表示板、白い反射板等を装備しているので、回転灯やLED表示板が点滅灯とみなされ、道路交通法上、車両に装備することが禁止されており、同様に、内照灯、白い反射板も後方に向けた白の灯火とみなされ、車両に装備することが禁止されているからである。
【0005】
ここで、これらの点滅灯や白の灯火は、8ナンバー登録した道路維持作業車であれば、車両に装備することが認可される。しかし、8ナンバー登録した道路維持作業車は、公団などの特定の業者について認められるものなので、不特定の人にレンタルする用途においては用いることができない。したがって、この種の道路交通規制標識表示装置をレンタルする用途において車両に装備するには、それが架装物に該当せず、積載物である必要がある。
【0006】
一方、上述のように、この種の道路交通規制標識表示装置は、道路上を走行する車両のドライバーが遠方から早期に認識できるように大きく、目立つように設置するために、幅が車両の荷台の内幅よりも僅かに狭い程度の大きさとされる。更に、車両は法規によって、車高が3.8m以内に納まるようにしなければ走行させることができない。そのため、この種の道路交通規制標識表示装置は、車両に搭載した場合に、その積載状態において、道路交通規制標識表示装置をコンパクトに格納できるようにするとともに、道路交通規制標識表示装置自体の積み卸しも容易とすることが望ましい。そのため、車両の荷台に固定する際の固定方法が制限されていた。
【0007】
つまり、例えば道路交通規制標識表示装置を横煽りの外側から荷締め機で縛る固定方法だと、荷締め機で横煽りを車両の内側に押さえつけてしまうため、横煽りを容易に開くことができない。また、例えば道路交通規制標識表示装置と横煽りとの間にフックを設け、このフックに荷締め機で縛る固定方法だと、走行時の振動によって荷締め機が道路交通規制標識表示装置に当ってしまい、道路交通規制標識表示装置に傷が付いてしまう。
そこで、本発明は、このような問題点に着目してなされたものであって、道路交通規制標識表示装置を積載物として固定するとともに、その積み卸しが容易であり、車両の横煽りを容易に開くことができ、積載した道路交通規制標識表示装置に傷が付いてしまうことを防止し得る道路交通規制標識表示装置用固定装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、多段に構成された表示部と、この表示部を多段に昇降させる伸縮装置と、を備える道路交通規制標識表示装置に用いられ、当該道路交通規制標識表示装置を、これを搭載する車両の荷台に作業者が手で着脱可能に固定するための固定装置であって、当該固定装置は、車両幅方向両側に且つ荷台の横煽りと前記道路交通規制標識表示装置の側面との間の位置に配設されるようになっており、車両の荷台に固定されて前記道路交通規制標識表示装置の四隅の位置を決めるとともに荷台上での水平方向への移動を拘束する4つの位置決め部材と、車両の荷台に連結される前側シャックルおよび後側シャックルと、前記道路交通規制標識表示装置の筐体の上部且つ車両幅方向両側にそれぞれ装着される一対のブラケットと、前記一対のブラケットそれぞれと前記前側シャックルとを相互に繋ぐ前側ターンバックルと、前記一対のブラケットそれぞれと前記後側シャックルとを相互に繋ぐ後側ターンバックルと、を備えて構成されていることを特徴としている。
【0009】
本発明に係る道路交通規制標識表示装置用固定装置によれば、当該固定装置は、車両幅方向両側に且つ荷台の横煽りと前記道路交通規制標識表示装置の側面との間の位置に配設されるようになっているので、道路交通規制標識表示装置を荷台上に固定した状態においても横煽りを開閉することができる。
そして、この固定装置によれば、4つの位置決め部材を有し、この4つの位置決め部材は、車両の荷台に固定されて前記道路交通規制標識表示装置の四隅の位置を決めるとともに荷台上での水平方向への移動を拘束するので、この4つの位置決め部材を基準にして道路交通規制標識表示装置を荷台上に載置するだけで所定の位置への位置決めをしつつ、荷台上での水平方向への移動を拘束することができる。したがって、道路交通規制標識表示装置を所定の積載位置に容易に載置できるため、その積み卸しの作業性が良い。
【0010】
さらに、この固定装置によれば、車両の荷台に連結される前側シャックルおよび後側シャックルを有し、前記道路交通規制標識表示装置の筐体の上部且つ車両幅方向両側に一対のブラケットが装着され、これら一対のブラケットそれぞれと前記前側シャックルとを前側ターンバックルで相互に繋ぐともに、前記一対のブラケットそれぞれと前記後側シャックルとを後側ターンバックルで相互に繋ぐようになっているので、荷台上での上下方向への移動についても拘束することができる。そして、この上下方向への移動の拘束およびその解除は、前側ターンバックルおよび後側ターンバックルで行なえるため、特段の工具を要することなく、作業者が手で簡単に操作することができる。したがって、道路交通規制標識表示装置を積載物としつつ、道路交通規制標識表示装置自体の積み卸しも容易である。そして、上下方向への移動の拘束をする前側および後側ターンバックルは、走行時の振動によっても、荷締め機で縛る方法に比べて振れが少ないため、積載した道路交通規制標識表示装置に傷が付いてしまうことも防止される。
【0011】
ここで、本発明に係る車両搭載用の道路交通規制標識表示装置用固定装置において、前記4つの位置決め部材、前側シャックルおよび後側シャックルは、前記道路交通規制標識表示装置を車両の荷台後部に搭載するように配設されていることは好ましい。このような構成であれば、道路交通規制標識表示装置を搭載した状態でも、横煽りを開閉して、荷台の前部のスペースで荷物の積載作業を容易に行うことができる。そのため、荷台の前方部分のスペースを有効に活用する上で好適である。
【発明の効果】
【0012】
上述のように、本発明に係る道路交通規制標識表示装置用固定装置によれば、道路交通規制標識表示装置を積載物として固定するとともに、その積み卸しが容易であり、車両の横煽りを容易に開くことができ、積載した道路交通規制標識表示装置に傷が付いてしまうことを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態について、図面を適宜参照しつつ説明する。
まず、本発明の固定装置によって車両に積載物として搭載される、本発明の実施の一形態である道路交通規制標識表示装置について図1〜図9を適宜参照しつつ説明する。なお、図1は本発明の実施の一形態である道路交通規制標識表示装置を車両に搭載した状態の側面図、図2はその平面図、図3はその正面図である。また、図4は、図1に示す道路交通規制標識表示装置の設置状態(全伸長)の側面図であり、図5は図4でのA−A断面図、図6は、図1に示す道路交通規制標識表示装置の設置状態(全伸長)の正面図である。
【0014】
図1および図2に示すように、この道路交通規制標識表示装置1は、道路交通規制標識等を表示するための表示部6を有し、この表示部6は、図3に示すように、車両7に対して車両後方(車両の走行方向と逆方向)に向けて設置される。
この道路交通規制標識表示装置1は、図2に示すように、平面視が矩形状のフレーム2を有し、このフレーム2が荷台8上に載置されるようになっている。このフレーム2の上部には、図1に示すように、車両前方側に、ソーラパネル装置60を支持する筐体2Bが立設されている。さらに、このフレーム2上には、その正面側に、回動用シリンダ3によって前後回動可能な車両突入防止装置4が設けられている。
【0015】
車両用突入防止装置4は、図1ないし図3に示すように、フレーム2の左右二カ所に設けられ、円筒形の緩衝体であるクッションドラム41を取付けた取付部材42が、前後回動可能にピン43で軸支されている。フレーム2と取付部材42との間には、上下のリンク44、45を介して回動シリンダ3が取付けられている。これら上下のリンク44、45は、その一端が回動用シリンダ3のロッド先端部にピンで連結されている。また、上のリンク44の他端は取付部材42にピンで連結され、下のリンク45の他端はフレーム2にピンで連結されている。なお、取付部材42には車両7の後煽り49と連結され、回動時に後煽り49を連動させる連結具50が設けられている。この連結具50は、取付部材42に一端を取り付けたスプリング51と、スプリング51の他端に取り付けられ後煽り49の上端部を挟持する挟持部52とで構成されている。
【0016】
さらに、図1に示すように、この車両突入防止装置4の背部には、上記表示部6が伸縮装置5によって昇降可能に設けられている。
この伸縮装置5は、互いに摺動自在に嵌装された基端筒14、中間筒16および先端筒19を有してなり、基端筒14が上記フレーム2に固定立設されている。そして、この伸縮装置5には、図5に示すように、公知の三段シリンダ装置80(特許第3126657号参照)が内蔵されており、この三段シリンダ装置80は、そのシリンダチューブ81が先端筒19に連結され、中間ロッド82が中間筒16に連結され、先端ロッド83が基端筒14に連結されており、伸縮装置5は、この三段シリンダ装置80によって上下に多段(複数の段階)に伸縮可能になっている。
【0017】
表示部6は、図1に示すように、下から順に、下部表示部11、中部表示部12、および上部表示部13の三段に構成されている。これら三段の表示部のうち下部表示部11は、フレーム2の筐体2Bの車両後方側の側面に固定立設されている。そして、中部表示部12は、その上端部が上記伸縮装置5の中間筒16の先端部に中部ブラケット15を介して連結されており、その下端部には下部表示部11の表面に沿って転動するローラ17が設けられている。さらに、上部表示部13は、伸縮装置5の先端筒19の先端部に上部ブラケット18を介して連結されており、その下端部には中部表示部12の表面に沿って転動するローラ20が設けられている。
【0018】
上部表示部13は、その正面に3つの表示部を有し、図6に示すように、最も上部には、内照式の表示灯によって工事名を示す上部内照式表示灯13cが設けられている。また、この上部内照式表示灯13cの下には、文字標識を表示するフルカラーのLED標示板13bが配置されており、このLED標示板13bには、必要に応じて任意のメッセージを文字で表示することができる。さらに、このLED標示板13bの下方には、内照式表示灯である下部内照式表示灯13aが設けられ、必要に応じて任意の道路交通規制標識表示等を表示することができる。なお、この下部内照式表示灯13aの下部には、中部表示部12を照らすための照明灯13dが設けられている。
【0019】
また、この道路交通規制標識表示装置1は、上記表示部6の背部に、保安灯35aおよび矢印標識35bを表示する保安灯ユニット35を更に有している。
保安灯ユニット35は、図5に示すように、先端筒19の左右に、保安灯ユニット35を昇降可能に支持するための一対の支柱29が上下方向にスライド移動可能に設けられており、さらに、先端筒19の中央には、先端筒19に沿ってテレシリンダ29Bが上下方向に沿って配設され、このテレシリンダ29Bのロッド側が保安灯ユニット35の下端に連結され、チューブ側が先端筒19に連結されている。これにより、この保安灯ユニット35は、伸縮装置5の先端筒19に配設されたテレシリンダ29Bで一対の支柱29のスライド移動とともに昇降されて、上昇位置において、上部表示部13よりも高い最上段となるように表示部6と合わせて四段に構成されている。
【0020】
さらに、上記フレーム2上には、図1に示すように、装置全体を制御する制御部54と、伸縮装置5、テレシリンダ29Bおよび回動用シリンダ3の動力源を有する不図示の駆動ユニットが設けられている。この駆動ユニット内には、電動直流モータ、油圧ポンプ、電磁弁、およびタンクを備えており、電動直流モータは車両電源で駆動されて油圧ポンプを作動させ、電磁弁で上記伸縮装置5、テレシリンダ29Bおよび回動用シリンダ3に供給する圧油の方向制御を行うようになっている。なお、この車両搭載用の道路交通規制標識表示装置1は、設置格納作動を遠隔操作可能とするための不図示の受信機を備えており、この受信機は、設置格納作動を遠隔操作するための不図示の送信機から送られる操作信号を受信して上記電磁弁等に必要な制御信号を送るようになっている。
【0021】
また、この道路交通規制標識表示装置1は、フレーム2上に立設された筐体2Bの上部に、折りたたみ式のソーラパネル装置60が装備されている。以下、このソーラパネル装置60について、図1、図2および、図7〜図9を適宜参照しつつ詳しく説明する。なお、図7および図8は、図1に示す道路交通規制標識表示装置のソーラパネル装置の設置状態を説明するための側面図であり、図9は、ソーラパネル装置の設置状態の平面図である。
【0022】
図1に示すように、このソーラパネル装置60は、車両前後方向に沿って展開および折りたたみ可能な複数のソーラパネル62を有して構成されている。このソーラパネル装置60は、バッテリボックス68内の大容量のバッテリを充電可能に接続されており、このバッテリボックス68から、上述した保安灯ユニット35や、表示部6のうちの上部表示部13などで用いられている高輝度LEDランプに必要な電源を供給するようになっている。
【0023】
本実施形態の例では、複数のソーラパネル62は、4枚のソーラパネルを、ヒンジを介して略蛇腹状に相互に連結して構成されている。また、複数のソーラパネル62の車両幅方向での両側には、断面が「略コ字状」をなす左右一対の案内レール64が設けられている。これら左右の各案内レール64は、「略コ字状」の開口部分を内側に向けて対向配置されている。
【0024】
各ソーラパネルには、図1に示すように、その車両幅方向での両側に且つ上下方向中央の位置に、ローラ63が各ソーラパネル62の車両幅方向での両側に張り出してそれぞれ設けられている。そして、これらローラ63は、上記左右の各案内レール64の開口部分から「略コ字状」のレール内に転動可能に嵌合しており、これにより、各案内レール64に沿って車両前後方向に転動自在になっている。
【0025】
また、上記左右一対の案内レール64は、図1に示すように、ソーラパネル62を案内するレールを、前方レール部64aと中央レール部64bと基部レール部64cとから三段に構成している。各レール部64a〜c相互は、互いにヒンジ64hを介して連結されており、レール64a〜c相互を展開した状態にあっては、隣接するレール相互が直線状に連続したレールを構成する。
【0026】
そして、これら左右の各案内レール64は、図2に示すように、複数のソーラパネル62に対して、車両の幅方向両側をそれぞれ支えており、各案内レール64それぞれは、展開する設置時には、個別に車両前後方向に移動させて組み立てることが可能である(図8参照)。また、これら左右の各案内レール64は、筐体2B側に格納した状態において(図1参照)、それぞれの案内レール64先端の前方レール部64aと筐体2Bとを相互を作業者が手で着脱可能に繋ぐ蝶ボルト67を有しており、この蝶ボルト67によって、図1に示す格納位置での固定が可能になっている。
【0027】
さらに、図1および図2に示すように、車両7の鳥居9の上部左右には、左右の各案内レール64を支えるための一対の案内レール支柱66がその軸方向を上下にしてそれぞれ設けられている。この一対の案内レール支柱66は、車両7の鳥居9に対して、上下二箇所の蝶ボルト66tによって手で着脱可能に固定される角パイプからなるアウタボックス66sと、そのアウタボックス66sにスライド移動可能に上側から内嵌する角パイプからなるインナボックス66nとを有して構成されている。
【0028】
このソーラパネル装置60を設置する際には、図1に示す格納状態から、まず、前方レール部64aと筐体2Bとを相互に繋ぐ蝶ボルト67を手で外して、図7に示すように、案内レール64を筐体2Bから外し、各案内レール64を個別に車両前後方向前方に向けて展開しつつ手で移動させ、次いで、案内レール64の各レール部64a〜c相互を順に伸ばしつつ、先端の前方レール部64aの先端部分を、鳥居9上部の案内レール支柱66のインナボックス66nの上端部上に載置する。インナボックス66nの上端部の上に前方レール部64aの先端部分を載置したら、インナボックス66nを案内レール64とともに案内レール64が略水平になる位置まで上方に持ち上げ、案内レール64が直線状に連続したレールを構成する。なお、この状態となる高さに合わせてアウタボックス66sにストッパが設けてあり、インナボックス66nがアウタボックス66sに固定され、案内レール64が略水平になった位置が保持される。
【0029】
次いで、複数のソーラパネル62を、図8に示すように、略蛇腹状に連結して構成されている4枚のソーラパネルを案内レール64に沿って車両前後方向に展開していく。
そして、図9に示すように、複数のソーラパネル62を案内レール64に沿ってほぼ直線状になる位置まで完全に展開し、4枚のソーラパネル相互を略水平にした位置で開き止め装置(不図示)で固定することによってソーラパネル装置60を展開し使用可能な状態に設置することができる。また、格納する際には、上記手順とは逆の手順によって格納する。なお、この道路交通規制標識表示装置1のソーラパネル装置60は、夜間に住宅街等で工事を行う場合であっても、ソーラパネル装置60の発電量、およびバッテリボックス68内の大容量バッテリの蓄電容量は、終夜点灯するに十分な発電量および容量をもつものをそれぞれ搭載している。
ここで、上述した車両搭載用の道路交通規制標識表示装置1は、これを搭載する車両の荷台8上の後部に作業者が手で着脱可能に固定するための固定装置によって、積載物として着脱可能に搭載されている。
【0030】
以下、この固定装置について、図10〜図12を適宜参照しつつ詳しく説明する。なお、図10〜図12は、図1に示す道路交通規制標識表示装置を、これを搭載する車両の荷台に作業者が手で着脱可能に固定するための固定装置の説明図であり、図10はその側面図、図11はその平面図、図12はその正面図である。
この固定装置90は、図10に示すように、4つの位置決め部材91、前側および後側シャックル93、94、一対のブラケット98、並びに、前側および後側ターンバックル95、96を有して構成されている。
詳しくは、4つの位置決め部材91は、図11に示すように、車両前後方向に沿って配設される左右拘束部91aを有している。この左右拘束部91aは、断面が略「L」字状の山形鋼を用いて形成されており、その一方の辺が車両7の荷台2に、ボルト・ナットによって直に固定されており、他方の辺が道路交通規制標識表示装置1の車両幅方向の位置を所定の位置に拘束するように立設して固定される。
【0031】
また、この左右拘束部91aの車両前後方向の端部には、板部材からなる前後拘束部91bが立設されている。この前後拘束部91bは、4つの左右拘束部91aのうち、前側の左右拘束部91aについては、その前端部に溶接され、また、後側の左右拘束部91aについては、その後端部に溶接されており、これら前後拘束部91bによって、道路交通規制標識表示装置1の車両前後方向の位置を所定の位置に拘束するようになっている。これにより、4つの位置決め部材91は、荷台2上に載置される道路交通規制標識表示装置1の四隅の位置を所定の位置に決めるとともに、荷台2上での水平方向への移動を拘束するように配置されている。
【0032】
さらに、車両7の荷台2には、図10〜12に示すように、上記4つの位置決め部材91のそれぞれに対応して、各位置決め部材91よりも車両前方側の位置に、丸環フック92を介して前側シャックル93および後側シャックル94が連結されている。また、道路交通規制標識表示装置1の筐体2Bの上部且つ車両幅方向両側それぞれには、一対のブラケット98が溶接によって固定されており、これら一対のブラケット98それぞれと前側シャックル93とは、前側ターンバックル95によって相互に繋がれ、一対のブラケット98それぞれと後側シャックル94とは、後側ターンバックル96によって相互に繋がれるようになっている。
【0033】
そして、この固定装置90は、図11に示すように、平面視において、車両7の幅方向両側に且つ荷台2の横煽り48と道路交通規制標識表示装置1の側面との間の位置に配設されるようになっており、上記フレーム2は、車両7の荷台8上に、作業者が手で着脱可能な上記のターンバックル95,96によって連結固定される。これにより、この道路交通規制標識表示装置1は、車両7への積み卸しに際し、ターンバックル95,96の固定および取り外しを作業者が手で行うことができる。そのため、車両7への積み卸しが容易である。
【0034】
次に、上述の道路交通規制標識表示装置1およびその固定装置90の作用および効果について説明する。
この車両搭載用の道路交通規制標識表示装置1を使用する場合には、クレーン等を使用して、図1ないし3に示すように、車両7の荷台8上に当該道路交通規制標識表示装置1を搭載する。そして、上述の固定装置90によって固定する。
このとき、この固定装置90によれば、4つの位置決め部材91を有し、この4つの位置決め部材91は、車両7の荷台8に固定されて道路交通規制標識表示装置1の四隅の位置を決めるとともに荷台8上での水平方向への移動を拘束するので、この4つの位置決め部材91を基準にして道路交通規制標識表示装置1を荷台8上に載置するだけで所定の位置への位置決めをしつつ、荷台8上での水平方向への移動を拘束することができる。したがって、道路交通規制標識表示装置1を所定の積載位置に容易に載置できるため、その積み卸しの作業性が良い。
【0035】
そして、この固定装置90によれば、車両7の荷台8に連結される前側シャックル93および後側シャックル94を有し、道路交通規制標識表示装置1の筐体2Bの上部且つ車両幅方向両側に一対のブラケット98が装着され、これら一対のブラケット98それぞれと前側シャックル93とを前側ターンバックル95で相互に繋ぐともに、一対のブラケット98それぞれと後側シャックル94とを後側ターンバックル96で相互に繋ぐようになっているので、荷台8上での上下方向への移動についても拘束することができる。
【0036】
そして、この上下方向への移動の拘束およびその解除は、前側ターンバックル95および後側ターンバックル96で行なえるため、特段の工具を要することなく、作業者が手で簡単に操作することができる。したがって、道路交通規制標識表示装置1を積載物としつつ、道路交通規制標識表示装置自体の積み卸しも容易である。そして、上下方向への移動の拘束をする前側および後側ターンバックル95,96は、走行時の振動によっても、荷締め機で縛る方法に比べて振れが少ないため、積載した道路交通規制標識表示装置1に傷が付いてしまうことも防止される。
【0037】
そして、車両7に搭載後、この道路交通規制標識表示装置1を現場で使用する際には、車両7を所定位置まで走行させて停車させた後、上述したようにソーラパネル装置60を展開しこれを使用可能な状態に設置する。次いで、図4に示すように車両7の後方の地上付近にクッションドラム41を設置する。これにより、後方からの走行車両の突入に対する安全が確保される。
【0038】
次いで、表示部6、保安灯ユニット35を上昇させて車両後方から視認可能な状態に出現させて、図4に示す完全な設置状態とする。このとき、この道路交通規制標識表示装置1によれば、表示部6を下部表示部11と中部表示部12と上部表示部13を備えて構成し、これを伸縮装置5を構成する三段シリンダ装置80で昇降させ、さらに、伸縮装置5の先端筒19に配設されたテレシリンダ29Bで保安灯ユニット35を別個に昇降させ、この保安灯ユニット35が最上段となるように合わせて四段に構成しているので、格納時にはコンパクトな構成にするとともに、走行時の風力抵抗を可能な限り抑えることができる。また、設置時には表示部の地上高を高くすることができる。
【0039】
さらに、上記ソーラパネル装置60は、車両前後方向に沿って展開および折りたたみ可能な複数のソーラパネル62を有して構成されているので、このソーラパネル装置60についても、コンパクトに格納でき、また、走行時の風力抵抗を可能な限り抑えることができる。そして、電源用の発電機を使用した場合と比較して、近隣に対して、騒音、排ガス等の影響を与えてしまうことがない。
また、道路交通規制標識表示装置1を使用しない場合には、上述の固定装置90によって、フレーム2の固定を手で解除して車両7の荷台8から取り外すことが容易にできる。これにより、車両7は道路交通規制標識表示装置1を取り外すことにより、荷台8に荷を積載して通常の運搬作業に使用することができる。
【0040】
さらに、道路交通規制標識表示装置1は、固定装置90の4つの位置決め部材によって、車両7の荷台8の後部の所定の位置に搭載され、固定装置90によって、車両7の荷台8上の後部に積載物として着脱可能に搭載されているので、車両7の荷台8の横煽り48を自由に開閉できるようになり、また、道路交通規制標識表示装置1を搭載した状態でも、荷台8の前部のスペースには荷物の積載作業を容易に行うことができる。
【0041】
以上説明したように、この道路交通規制標識表示装置1の固定装置90によれば、道路交通規制標識表示装置を積載物として固定するとともに、その積み卸しが容易であり、車両の横煽りを容易に開くことができ、積載した道路交通規制標識表示装置に傷が付いてしまうことを防止することができる。
なお、本発明に係る道路交通規制標識表示装置用固定装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しなければ種々の変形が可能である。
【0042】
例えば、上記実施形態では、道路交通規制標識表示装置1は、固定装置90の4つの位置決め部材によって、車両7の荷台8の後部の所定の位置に搭載される例で説明したが、これに限定されず、車両の荷台に着脱可能に搭載されるならば、荷台上の任意の位置に固定するように構成してもよい。しかし、道路交通規制標識表示装置1を搭載した状態でも、荷台8の前部に荷物の積載スペースを確保する上では、車両7の荷台8の後部の所定の位置に搭載されるようにした位置決め部材を有することは好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の一実施形態である車両搭載用の道路交通規制標識表示装置の格納状態の側面図である。
【図2】図1に示す道路交通規制標識表示装置の平面図である。
【図3】図1に示す道路交通規制標識表示装置の正面図である。
【図4】図1に示す道路交通規制標識表示装置の設置状態(全伸長)の側面図である。
【図5】図4でのA−A断面図である。
【図6】図1に示す道路交通規制標識表示装置の設置状態(全伸長)の正面図である。
【図7】図1に示す道路交通規制標識表示装置のソーラパネル装置の設置状態を説明するための側面図である。
【図8】図1に示す道路交通規制標識表示装置のソーラパネル装置の設置状態を説明するための側面図である。
【図9】ソーラパネル装置の設置状態の平面図である。
【図10】本発明の一実施形態である固定装置の側面図である。
【図11】図10に示す固定装置の平面図である。
【図12】図10に示す固定装置の正面図である。
【符号の説明】
【0044】
1 道路交通規制標識表示装置
2 フレーム
3 回動用シリンダ
4 車両突入防止装置
5 伸縮装置
6 表示部
7 車両
8 荷台
9 鳥居
11 下部表示部
12 中部表示部
13 上部表示部
14 基端筒
15 中部ブラケット
16 中間筒
18 上部ブラケット
19 先端筒
29 支柱
31 シャーシフレーム
35 保安灯ユニット
41 クッションドラム
42 取付部材
48 横煽り
49 後煽り
50 連結具
54 駆動ユニット
60 ソーラパネル装置
62 ソーラパネル
63 ローラ
64 案内レール
66 案内レール支柱
67 蝶ボルト
68 バッテリボックス
80 三段シリンダ装置
90 固定装置
91 位置決め部材
92 丸環フック
93 前側シャックル
94 後側シャックル
95 前側ターンバックル
96 後側ターンバックル
98 ブラケット
99 緩み止めワイヤ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多段に構成された表示部と、この表示部を多段に昇降させる伸縮装置と、を備える道路交通規制標識表示装置に用いられ、当該道路交通規制標識表示装置を、これを搭載する車両の荷台に作業者が手で着脱可能に固定するための固定装置であって、
当該固定装置は、車両幅方向両側に且つ荷台の横煽りと前記道路交通規制標識表示装置の側面との間の位置に配設されるようになっており、
車両の荷台に固定されて前記道路交通規制標識表示装置の四隅の位置を決めるとともに荷台上での水平方向への移動を拘束する4つの位置決め部材と、車両の荷台に連結される前側シャックルおよび後側シャックルと、前記道路交通規制標識表示装置の筐体の上部且つ車両幅方向両側にそれぞれ装着される一対のブラケットと、前記一対のブラケットそれぞれと前記前側シャックルとを相互に繋ぐ前側ターンバックルと、前記一対のブラケットそれぞれと前記後側シャックルとを相互に繋ぐ後側ターンバックルと、を備えて構成されていることを特徴とする道路交通規制標識表示装置用固定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−133126(P2009−133126A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−310558(P2007−310558)
【出願日】平成19年11月30日(2007.11.30)
【出願人】(506002823)古河ユニック株式会社 (54)
【Fターム(参考)】