道路用標示体
【課題】柱部分とビーム部分との着脱を容易に実施でき、部品を交換できる道路用標示体を提供する。
【解決手段】ポールの間にビームを架設させ、各ポールはビーム端部を挿入可能なジョイントをそれぞれ備え、各ジョイントに柱側係合部をそれぞれ形成し、ビームの両側の端部には前記柱側係合部と係脱可能なビーム側係合部をそれぞれ形成させ、ビームの一方向への回転によって前記各柱側係合部と前記各ビーム側係合部とがそれぞれ係合するように設ける。
前記ビームを前記の方向またはその逆方向へ回転させることで、それぞれ係合、脱離させることができ、ビームとこれを架設させた各ポールとを容易に着脱させることができ、ビームを交換できる。
【解決手段】ポールの間にビームを架設させ、各ポールはビーム端部を挿入可能なジョイントをそれぞれ備え、各ジョイントに柱側係合部をそれぞれ形成し、ビームの両側の端部には前記柱側係合部と係脱可能なビーム側係合部をそれぞれ形成させ、ビームの一方向への回転によって前記各柱側係合部と前記各ビーム側係合部とがそれぞれ係合するように設ける。
前記ビームを前記の方向またはその逆方向へ回転させることで、それぞれ係合、脱離させることができ、ビームとこれを架設させた各ポールとを容易に着脱させることができ、ビームを交換できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の進入や歩行者の横断防止の機能を備えた道路用標示体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
公園や公共施設,その他人々が往来する商業施設の入口や駐車場などにおいて車両の進入を阻止,誘導するため、あるいは歩道沿いに設置して歩道への車両の乗り入れや駐停車を防ぐ目的で設置される道路用標示体については、種々の発明が開示されている。
【0003】
例えば特許文献1には、立設用の脚部2aを下端に備えた柱用の芯材2と、その芯材2を被覆する弾性緩衝体3とを備えた柵柱であって、前記芯材2の高さhを設定柵柱高さHよりも小に構成し、前記弾性緩衝体3に、前記芯材2を被覆する被覆部3aの上端から棚柱上端にまで達する延長部3bを一体に具備させ、前記被覆部3aとの連設部を視点とする前記延長部3bの弾性に抗した揺動変位が許容される状態に前記弾性緩衝体3を芯材2に取り付けてある棚柱が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平03−018216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の中の図5において、前記の弾性緩衝体3をコの字形状に形成させて、それぞれの端部に設けた脚部2aで立設させている実施形態が開示されているが、このような棚柱は柱を構成する部位とビームを構成する部位とが一体的に形成されてコの字形状を構成しているので、部分的な破損などが生じた場合に棚柱全部を交換しなければならないという問題点があった。
【0006】
そこで本発明は、柱部分とビーム部分との着脱を容易に実施でき、部品を交換できる道路用標示体を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は以下のような構成としている。
すなわち本発明に係る道路用標示体は、車両の接触によって弾性的に曲がる可撓性を有するポールを備えた柱状の標識部が少なくとも2個並設され、該柱状の標識部のポールの間にはビーム状の標識部が着脱自在に架設されており、
前記各ポールは前記ビーム状の標識部のビーム端部を挿入可能なジョイントをそれぞれ備え、
該各ジョイントには柱側係合部がそれぞれ形成され、
前記ビーム状の標識部の両側のビーム端部には前記柱側係合部と係脱可能なビーム側係合部がそれぞれ形成されるとともに、
前記ビーム状の標識部の一方向への回転によって前記各柱側係合部と前記各ビーム側係合部とがそれぞれ係合するようになされたことを特徴としている。
【0008】
本発明に係る道路用標示体によれば、各ポールにビーム状の標識部のビーム端部を挿入可能なジョイントをそれぞれ設け、この各ジョイントに柱側係合部をそれぞれ形成し、前記ビーム状の標識部の両側のビーム端部に前記柱側係合部と係脱可能なビーム側係合部がそれぞれ形成されるとともに、
前記ビーム状の標識部の一方向への回転によって前記各柱側係合部と前記各ビーム側係合部とがそれぞれ係合するようにするので、前記ビーム状の標識部を前記の方向またはその逆方向へ回転させることで、それぞれ係合、脱離させることができ、ビーム状の標識部とこれを架設させた各柱状の標識部とを容易に着脱させることができ、ビーム状の標識部を交換できる。
また、前記柱状の標識部が弾性的に曲がる可撓性を有するポールを備えているので、前記ビーム状の標識部の着脱の際に、これを架設させている各柱状の標識部の各ポールをそれぞれ反対方向へ撓ませて引き離しその間隔を大きくすることが容易にでき、ビーム状の標識部の着脱をより容易に実施できる。
【0009】
また、前記ビーム端部の外周側面に径方向外側へ突出する突部を形成した前記ビーム側係合部を構成し、
前記ジョイントに前記ビーム端部の外周側面を支持する支持面を設け、この支持面に前記突部を端側から挿入させる第一凹部と、この第一凹部から周方向に伸びて前記突部が進入可能な第二凹部とを形成した前記柱側係合部を構成するとともに、
前記並設させた柱状の標識部の各ジョイントの第二凹部をそれぞれ第一凹部から同一の周方向に伸ばして形成させ、前記ビーム状の標識部の一方向への回転によって前記各突部が前記各第二凹部へそれぞれ進入するようにすれば、前記道路用標示体に車両などが接触して前記ビーム状の標識部を架設させた各柱状の標識部を引き離すような力が働いても、前記第二凹部へ進入した前記突部が第二凹部の側縁に当接され、前記ビーム状の標識部と前記各柱状の標識部との固定が外れないので、好ましい。
【0010】
また、前記ジョイントに前記ビーム端部の外周側面を支持する支持面を設け、この支持面に径方向内側へ突出する突部を形成した前記柱側係合部を構成し、
前記ビーム端部の外周側面に前記ジョイントの突部が端側から挿入される第一凹部と、この第一凹部から周方向に伸びて前記突部が進入可能な第二凹部とをそれぞれ形成した前記ビーム側係合部を構成するとともに、
前記ビーム状の標識部の両側のビーム端部の各第二凹部をそれぞれ第一凹部から同一の周方向に伸ばして形成させ、前記ビーム状の標識部の一方向への回転によって前記各突部が前記各第二凹部へそれぞれ進入するようにすれば、前記道路用標示体に車両などが接触して前記ビーム状の標識部を架設させた各柱状の標識部を引き離すような力が働いても、前記第二凹部へ進入した前記突部が第二凹部の側縁に当接され、前記ビーム状の標識部と前記各柱状の標識部との固定が外れないので、好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の道路用標示体によれば、柱状の標識部とビーム状の標識部との着脱を容易に実施でき、部品を交換できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る道路用標示体の実施の一形態を示す(イ)は平面図であり、(ロ)は正面図であり、(ハ)は側面図である。
【図2】図1の道路用標示体を構成する各部材に分解した状態を示す正面図である。
【図3】図1の道路用標示体の柱状の標識部付近の断面図である。
【図4】図3のA−A矢視図である。
【図5】図3のB−B矢視図である。
【図6】図1の道路用標示体の柱状の標識部にビーム状の標識部を取り付ける状況を示す断面図であり、(イ)は取付前の状況を示し、(ロ)は第一凹部へ突部を挿入させた状況を示し、(ハ)は第二凹部へ突部を進入させた状況を示す図である。
【図7】図1の道路用標示体の並設された柱状の標識部の柱側係合部の形状を示す断面図である。
【図8】本発明に係る道路用標示体の実施の他の一形態を示す分解図である。
【図9】図8のA−A矢視図である。
【図10】図8のB−B矢視図である。
【図11】図8の道路用標示体の柱状の標識部にビーム状の標識部を取り付ける状況を示す断面図であり、(イ)は取付前の状況を示し、(ロ)は第一凹部へ突部を挿入させた状況を示し、(ハ)は第二凹部へ突部を進入させた状況を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施の形態を図面に基づき具体的に説明する。
まず最初に、図1および図2によって、本発明に係る道路用標示体の全体的な構成について説明する。
図面において、1は道路用標示体の柱部分を構成する柱状の標識部である。
柱状の標識部1は、ベース2の上方にポール11を突設させて構成されている。
本実施形態の柱状の標識部1は、ポール11をベース2の上方から着脱自在に立設できるように構成させている。
【0014】
本実施形態のベース2はその下面を路面に当接させて設置固定されるが、路面に設置固定させる方法として、ベース2の下面に接着剤を塗布して路面へ接着固定させる方法を用いることができる。また、ベース2の設置固定方法はこれに限るものではなく、ベース部2の底面から雄ねじ部分を下方に突出させてアンカーボルトを取り付け、路面に埋設固定させたアンカーナットに螺結させて固定させてもよいし、他の固定方法を用いてもよい。
このようなベース2は、例えば射出成型により形成され、その材質としては合成樹脂、例えば、HDPE、ABS、ASA、PP、PS、PC、PET、硬質PVCなどの硬質な合成樹脂を使用することができ、本実施形態ではASA樹脂(アクリロニトリルスチレンアクリレート)を用いて形成させているが、熱可塑性ポリウレタンや軟質ポリオレフィン、エラストマーなどの軟質な合成樹脂を用いてもよい。
【0015】
5は道路用標示体のビーム状の標識部である。ビーム状の標識部5は中空の円筒形状に形成されたビーム51から構成されており、その端であるビーム端部52をポール11の上端に取り付けられたジョイント4に取り付けられて柱状の標識部1に固定される。ビーム状の標識部5は、その両方のビーム端部52をそれぞれ並設して設置された2体の柱状の標識部1に固定されて架け渡され、各柱状の標識部1の間を人が通過することを防止している。
本実施形態の道路用標示体は、上記のようにビーム状の標識部5を架け渡した2体1組の柱状の標識部1を、車の通過を防止したい場所に単体で設置させて車止めとして利用してもよい。また走行車線と対向車線との間に本実施形態の道路用標示体を複数組並設させて車線を分離するとともに、設置した道路を歩行者が横断することを防止するように用いることもできる。この場合、並設された異なる組の柱状の標識部1間の隙間を、人が通過不能な大きさに設置させて、この間を歩行者が横断することを防止する。
ビーム状の標識部5の外側面には、光の再帰反射性を備えた反射シートが巻回されて全周に亘って貼り付けられた反射部53が設けられており、これによって正面からの視認性を向上させるとともに、トラックのように車高の高い車両の運転手によって斜め上方から視認される場合でも、視認性を高いものとすることができる。
ビーム状の標識部5は、車両などが接触する等して変形した後に元の状態に復元するように熱可塑性ポリウレタン樹脂で形成しているが、これに限らず、軟質ポリオレフィン、エラストマー、などを好適に用いることができる。
【0016】
図3は図1の道路用標示体の柱状の標識部1の断面図である。
柱状の標識部1のポール11は円筒形の中空柱状体に形成されており、その上端を塞ぐようにジョイント4が融着によって固定され、ポール11の下端に補強用部材12が固定されている。
【0017】
ポール11は補強用部材12が固定された下端部分をベース2の上面に設けた円形のくぼみ21に挿入させて、着脱可能に固定できるように構成されている。具体的には、ベース2に設けられた前記のくぼみ21にポール11の下端部分が挿入された後、ベース2の外側面からポール11の下端部分に向けて固定ねじN1の雄ねじを挿入させて、ポール11を貫通させて補強用部材12に螺入させ、ベース2とポール11とを固定させている。上記のように固定させることで、前記の固定ねじN1を取り外せば、ポール11とベース2との固定を解除でき、ポール11とベース2とを着脱自在に固定できる。本実施形態では補強用部材12が螺入された固定ねじN1の雄ねじ部分と強固に結合できるように、補強用部材12を硬質の樹脂材料で形成させている。また、補強用部材12を硬質の樹脂材料で形成させることで、ポール11の下端部分の変形が抑制され、道路用標示体が外力を受けてもポール11とベース2との固定が容易に外れなくなる。
ポール11とベース2との固定方法は上記の方法に限るものではなく、ポール11の下端とベース2のくぼみ21とにそれぞれ係合可能な係合部と係止部とを設け、これらの係合によって着脱可能に固定させてもよいし、ポール11とベース2とは別に形成させた固定部材をポール11とベース2とに架け渡して取り付けることでこれらを固定させてもよいし、他の方法を用いて固定させても良い。
【0018】
柱状の標識部1は、車両などに踏み倒された後に元の状態に復元する可撓性を有するように、ポール11を熱可塑性ポリウレタン樹脂で形成しているが、これに限らず、軟質ポリオレフィン、エラストマー、などを好適に用いることができる。
ポール11の外側面には、光の再帰反射性を備えた反射シートが巻回されて全周に亘って貼り付けられた反射部13が設けられており、正面や側方からの視認性を高いものとすることができる。
【0019】
ジョイント4は、円筒形をアールを付けて90度の角度に曲げたようなエルボ状のL字型に形成されており、その両端において、下方向を向いた端部に下方結合部41を、水平方向を向いた端部に水平結合部をそれぞれ形成されている。
下方結合部41は、下方に向いたジョイント4の外周面が縮径して突出するように形成されており、円筒形のポール11の中空部分に上方から挿入可能に形成されている。下方結合部41の外周面はポール11の内周面に当接するように形成され、下方結合部41とポール11とは融着によって強固に固着されている。
ジョイント4は、車両などが接触する等して変形しても元の状態に復元するように弾性を有する材料で形成するのが好ましく、本実施形態では熱可塑性ポリウレタン樹脂で形成しているが、これに限らず、軟質ポリオレフィン、エラストマー、などを好適に用いることができ、他の材料を用いてもよい。
【0020】
本実施形態のジョイント4の水平方向を向いた端部には、柱側固定部材44が固定されている。
柱側固定部材44は円筒形状に形成されており、ジョイント4の水平方向を向いた端部に収納されて取り付けられている。
具体的には、柱側固定部材44の外周側面は、ジョイント4の外周面を形成する円筒形状の壁部43の内周側面に対応する径の大きさに形成され、柱側固定部材44をジョイント4の内側に挿入させて、接着させて両者を強固に固定させている。
【0021】
本実施形態のビーム状の標識部5を構成するビーム5の両側のビーム端部52には、ビーム側固定部材54がそれぞれ固定されている。
ビーム側固定部材54は円筒形状に形成されており、ビーム51のビーム端部52に収納されて取り付けられている。
具体的には、ビーム側固定部材54の外周側面は、ビーム端部52の内周側面に対応する径の大きさに形成され、ビーム側固定部材54をビーム端部52の内側に挿入させた後、固定ねじN2の雄ねじ部分をビーム端部52の外周側面から挿入させて、ビーム側固定部材54を貫通させて螺入させ、ビーム側固定部材54をビーム端部52に固定させている。
図5は図3のB−B矢視図である。
本実施形態では、2本の固定ねじがそれぞれ180゜間隔となるように配置させて、ビーム端部52の外周側面から中央に向けて螺入させている。
本実施形態では、螺入させた固定ねじの頭部がビーム端部52の外周側面から外方へ突出するように固定ねじを固定させており、この固定ねじの頭部は後述するジョイント4との固定においてビーム側係合部57を構成する突部55となされる。
【0022】
図4は図3のA−A矢視図である。
ジョイント4の柱側固定部材44の内周側面は、ビーム状の標識部5のビーム端部52の外周側面に対応した径の大きさに形成され、差し込まれるビーム端部52の外周側面を支持可能な支持面44aとして機能する。
支持面44aには、柱側固定部材44のジョイント4の外側の端から奥の方向へ水平に伸びる第一凹部45aが形成されている。この第一凹部45aには、前記ビーム状の標識部5の突部55が端側から挿入され係合するので、突部55の個数、配置態様に合わせて形成されており、本実施形態では180゜間隔で合計2箇所に形成されている。
【0023】
柱側固定部材44に二箇所形成された各第一凹部45aの奥側には、そこから周方向に伸びる第二凹部45bがそれぞれ形成され、柱側係合部47が構成されている。この第二凹部45bはいずれも第一凹部23から同一の周方向に伸びて形成されており、ビーム状の標識部5を回転させることで、各第一凹部に挿入させた突部55をそれぞれ第二凹部45bへ進入させるようになされている。
また、図7は図1の道路用標示体の並設された柱状の標識部1の柱側係合部47の形状を示す断面図である。
これに示すように、並設させた各柱状の標識部1の第二凹部45bは、それぞれ同一の周方向に伸びて形成されており、ビーム状の標識部5を回転させることで、各第一凹部に挿入させたビーム状の標識部5の両側の突部55をそれぞれ第二凹部45bへ進入させるようになされている。
第一凹部45a及び第二凹部45bの幅と凹みの大きさは、それぞれ突部55の幅と突出の大きさよりも大きく形成させて、突部55が収納可能に形成させている。
【0024】
図6は図1の道路用標示体の柱状の標識部にビーム状の標識部を取り付ける状況を示す断面図であり、(イ)は取付前の状況を示し、(ロ)は第一凹部へ突部を挿入させた状況を示し、(ハ)は第二凹部へ突部を進入させた状況を示す図である。
前記のように、第一凹部45aと第二凹部45bとを形成することにより、図6(ロ)に示すように突部55を第一凹部45aに挿入させてビーム端部52を柱側固定部材44に挿入した後、ビーム51を回転させることで、図6(ハ)に示すように突部55が第二凹部へ進入して、ビーム端部52と柱側固定部材44とが係合される。
最後に、ジョイント4の壁部43の外側から固定ねじN3の雄ねじを挿入させて、柱側固定部材44及びビーム端部52をそれぞれ貫通させてビーム側固定部材54に螺入させ、ビーム51の回転を防止させて、ビーム状の標識部5を柱状の標識部1に固定させる。
上記のように突部55と第二凹部45bとを係合させるので、道路用標示体に車両などが接触して前記ビーム状の標識部5を架設させた各柱状の標識部1を引き離すような力が働いても、前記第二凹部45bへ進入した前記突部55が第二凹部45bの側縁に当接され、前記ビーム状の標識部5と前記各柱状の標識部1との固定が外れないようになされる。
また、前記固定ねじN3をジョイント4から螺脱させれば、ビーム51を上記と逆方向へ回転させて突部55と第二凹部との係合を解除し、第一凹部44aから突部55を抜脱させて、ビーム状の標識部5を容易に柱状の標識部1から取り外すことができる。
【0025】
図8は本発明に係る道路用標示体の実施の他の一形態を示す分解図であり、図9は図8のA−A矢視図であり、図10は図8のB−B矢視図である。
本実施形態の道路用標示体は、柱側固定部材44とビーム側固定部材54との形状が図2に示す実施形態と異なる事項であり、本実施形態においては、柱側固定部材44に突部46を形成し、ビーム側固定部材54に第一凹部46aおよび第二凹部46bをそれぞれに形成させている。
【0026】
本実施形態において、柱側固定部材44は円筒形状に形成されており、前記の実施形態と同様にジョイント4の内側に挿入させて、接着させて両者を強固に固定させている。
柱側固定部材44の内周側面は、ビーム状の標識部5の外周側面を支持する支持面44aとして機能するとともに、柱側係合部47を構成する突部46が径方向内側へ突出するように形成されている。
本実施形態の柱側固定部材44は射出成型にて形成されており、この際に突部46を一体的に2箇所形成させ、それぞれ180゜間隔となるように配置されている。
【0027】
また本実施形態において、ビーム側固定部材54は円筒形状に形成されている。ビーム側固定部材54の一方の端部はその外周側面が縮径して突出するように形成されており、これをビーム51の端から挿入させて、接着させて固定されており、ビーム側固定部材54がビーム端部52を構成するようになされている。
またビーム側固定部材54の外周側面には、端部から長手方向内側へ伸びる第一凹部56aが形成されており、この第一凹部56aはビーム側固定部材に180゜間隔に配置されて2箇所形成されている。
そして、前記各第一凹部の奧側には、そこから周方向に伸びる第二凹部56bがそれぞれ形成され、ビーム側係合部57が構成されている。
【0028】
本実施形態の各第二凹部56bは、前記の実施形態と同様に、それぞれ同一の周方向に伸びて形成されており、ビーム状の標識部5を回転させることで、各第一凹部56aに挿入させた柱側固定部材44の各突部46をそれぞれ各第二凹部56bへ進入させるようになされている。
又、図8に示すように、ビーム状の標識部5の両側のビーム端部52に形成させた各第二凹部56bは、それぞれ同一の周方向に伸びて形成されており、ビーム状の標識部5を回転させることで、各第一凹部56aに挿入させた各柱状の標識部1の各突部46をそれぞれ第二凹部56bへ進入させるようになされている。
第一凹部56a及び第二凹部56bの幅と凹みの大きさは、それぞれ突部46の幅と突出の大きさよりも大きく形成させて、突部46が収納可能に形成させている。
【0029】
図11は図8の道路用標示体の柱状の標識部1にビーム状の標識部5を取り付ける状況を示す断面図であり、(イ)は取付前の状況を示し、(ロ)は第一凹部56aへ突部46を挿入させた状況を示し、(ハ)は第二凹部56bへ突部46を進入させた状況を示す図である。
前記のように、第一凹部56aと第二凹部56bとを形成することにより、図11(ロ)に示すように突部46を第一凹部56aに挿入させてビーム端部52を柱側固定部材44に挿入した後、ビーム51を回転させることで、図11(ハ)に示すように突部46が第二凹部56bへ進入して、ビーム端部52と柱側固定部材44とが係合される。
最後に、ジョイント4の壁部43の外側から固定ねじN3の雄ねじを挿入させて、柱側固定部材44を貫通させて、ビーム側固定部材54に螺入させ、ビーム51の回転を防止させて、ビーム状の標識部5を柱状の標識部1に固定させる。
また、前記固定ねじN3をジョイント4から螺脱させれば、ビーム51を上記と逆方向へ回転させて、ビーム状の標識部5を容易に柱状の標識部1から取り外すことができる。
【0030】
前記までの実施形態において、柱側固定部材44及びビーム側固定部材54は、硬質の合成樹脂を好適に用いて形成させることができ、本実施形態ではASA樹脂を用いて形成しているが、これに限るものではなく、HDPE、ABS、PP、PS、PC、PET、硬質PVCなどを使用することもでき、アルミニウムなどの金属を用いてもよい。また、熱可塑性ポリウレタンや軟質ポリオレフィン、エラストマーなどの軟質な合成樹脂を用いても形成できるが、これらの部材を硬質の材料で形成させることで、車両などが接触してこれらに外力が働いても容易に変形せず、これらの係合が外れにくいものとなる。
【符号の説明】
【0031】
1 柱状の標識部
11 ポール
12 補強用部材
13 反射部
2 ベース
4 ジョイント
41 下方結合部
43 壁部
44 柱側固定部材
45a 第一凹部
45b 第二凹部
46 突部
47 柱側係合部
5 ビーム状の標識部
51 ビーム
52 ビーム端部
53 反射部
54 ビーム側固定部材
55 突部
56a 第一凹部
56b 第二凹部
57 ビーム側係合部
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の進入や歩行者の横断防止の機能を備えた道路用標示体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
公園や公共施設,その他人々が往来する商業施設の入口や駐車場などにおいて車両の進入を阻止,誘導するため、あるいは歩道沿いに設置して歩道への車両の乗り入れや駐停車を防ぐ目的で設置される道路用標示体については、種々の発明が開示されている。
【0003】
例えば特許文献1には、立設用の脚部2aを下端に備えた柱用の芯材2と、その芯材2を被覆する弾性緩衝体3とを備えた柵柱であって、前記芯材2の高さhを設定柵柱高さHよりも小に構成し、前記弾性緩衝体3に、前記芯材2を被覆する被覆部3aの上端から棚柱上端にまで達する延長部3bを一体に具備させ、前記被覆部3aとの連設部を視点とする前記延長部3bの弾性に抗した揺動変位が許容される状態に前記弾性緩衝体3を芯材2に取り付けてある棚柱が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平03−018216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の中の図5において、前記の弾性緩衝体3をコの字形状に形成させて、それぞれの端部に設けた脚部2aで立設させている実施形態が開示されているが、このような棚柱は柱を構成する部位とビームを構成する部位とが一体的に形成されてコの字形状を構成しているので、部分的な破損などが生じた場合に棚柱全部を交換しなければならないという問題点があった。
【0006】
そこで本発明は、柱部分とビーム部分との着脱を容易に実施でき、部品を交換できる道路用標示体を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は以下のような構成としている。
すなわち本発明に係る道路用標示体は、車両の接触によって弾性的に曲がる可撓性を有するポールを備えた柱状の標識部が少なくとも2個並設され、該柱状の標識部のポールの間にはビーム状の標識部が着脱自在に架設されており、
前記各ポールは前記ビーム状の標識部のビーム端部を挿入可能なジョイントをそれぞれ備え、
該各ジョイントには柱側係合部がそれぞれ形成され、
前記ビーム状の標識部の両側のビーム端部には前記柱側係合部と係脱可能なビーム側係合部がそれぞれ形成されるとともに、
前記ビーム状の標識部の一方向への回転によって前記各柱側係合部と前記各ビーム側係合部とがそれぞれ係合するようになされたことを特徴としている。
【0008】
本発明に係る道路用標示体によれば、各ポールにビーム状の標識部のビーム端部を挿入可能なジョイントをそれぞれ設け、この各ジョイントに柱側係合部をそれぞれ形成し、前記ビーム状の標識部の両側のビーム端部に前記柱側係合部と係脱可能なビーム側係合部がそれぞれ形成されるとともに、
前記ビーム状の標識部の一方向への回転によって前記各柱側係合部と前記各ビーム側係合部とがそれぞれ係合するようにするので、前記ビーム状の標識部を前記の方向またはその逆方向へ回転させることで、それぞれ係合、脱離させることができ、ビーム状の標識部とこれを架設させた各柱状の標識部とを容易に着脱させることができ、ビーム状の標識部を交換できる。
また、前記柱状の標識部が弾性的に曲がる可撓性を有するポールを備えているので、前記ビーム状の標識部の着脱の際に、これを架設させている各柱状の標識部の各ポールをそれぞれ反対方向へ撓ませて引き離しその間隔を大きくすることが容易にでき、ビーム状の標識部の着脱をより容易に実施できる。
【0009】
また、前記ビーム端部の外周側面に径方向外側へ突出する突部を形成した前記ビーム側係合部を構成し、
前記ジョイントに前記ビーム端部の外周側面を支持する支持面を設け、この支持面に前記突部を端側から挿入させる第一凹部と、この第一凹部から周方向に伸びて前記突部が進入可能な第二凹部とを形成した前記柱側係合部を構成するとともに、
前記並設させた柱状の標識部の各ジョイントの第二凹部をそれぞれ第一凹部から同一の周方向に伸ばして形成させ、前記ビーム状の標識部の一方向への回転によって前記各突部が前記各第二凹部へそれぞれ進入するようにすれば、前記道路用標示体に車両などが接触して前記ビーム状の標識部を架設させた各柱状の標識部を引き離すような力が働いても、前記第二凹部へ進入した前記突部が第二凹部の側縁に当接され、前記ビーム状の標識部と前記各柱状の標識部との固定が外れないので、好ましい。
【0010】
また、前記ジョイントに前記ビーム端部の外周側面を支持する支持面を設け、この支持面に径方向内側へ突出する突部を形成した前記柱側係合部を構成し、
前記ビーム端部の外周側面に前記ジョイントの突部が端側から挿入される第一凹部と、この第一凹部から周方向に伸びて前記突部が進入可能な第二凹部とをそれぞれ形成した前記ビーム側係合部を構成するとともに、
前記ビーム状の標識部の両側のビーム端部の各第二凹部をそれぞれ第一凹部から同一の周方向に伸ばして形成させ、前記ビーム状の標識部の一方向への回転によって前記各突部が前記各第二凹部へそれぞれ進入するようにすれば、前記道路用標示体に車両などが接触して前記ビーム状の標識部を架設させた各柱状の標識部を引き離すような力が働いても、前記第二凹部へ進入した前記突部が第二凹部の側縁に当接され、前記ビーム状の標識部と前記各柱状の標識部との固定が外れないので、好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の道路用標示体によれば、柱状の標識部とビーム状の標識部との着脱を容易に実施でき、部品を交換できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る道路用標示体の実施の一形態を示す(イ)は平面図であり、(ロ)は正面図であり、(ハ)は側面図である。
【図2】図1の道路用標示体を構成する各部材に分解した状態を示す正面図である。
【図3】図1の道路用標示体の柱状の標識部付近の断面図である。
【図4】図3のA−A矢視図である。
【図5】図3のB−B矢視図である。
【図6】図1の道路用標示体の柱状の標識部にビーム状の標識部を取り付ける状況を示す断面図であり、(イ)は取付前の状況を示し、(ロ)は第一凹部へ突部を挿入させた状況を示し、(ハ)は第二凹部へ突部を進入させた状況を示す図である。
【図7】図1の道路用標示体の並設された柱状の標識部の柱側係合部の形状を示す断面図である。
【図8】本発明に係る道路用標示体の実施の他の一形態を示す分解図である。
【図9】図8のA−A矢視図である。
【図10】図8のB−B矢視図である。
【図11】図8の道路用標示体の柱状の標識部にビーム状の標識部を取り付ける状況を示す断面図であり、(イ)は取付前の状況を示し、(ロ)は第一凹部へ突部を挿入させた状況を示し、(ハ)は第二凹部へ突部を進入させた状況を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施の形態を図面に基づき具体的に説明する。
まず最初に、図1および図2によって、本発明に係る道路用標示体の全体的な構成について説明する。
図面において、1は道路用標示体の柱部分を構成する柱状の標識部である。
柱状の標識部1は、ベース2の上方にポール11を突設させて構成されている。
本実施形態の柱状の標識部1は、ポール11をベース2の上方から着脱自在に立設できるように構成させている。
【0014】
本実施形態のベース2はその下面を路面に当接させて設置固定されるが、路面に設置固定させる方法として、ベース2の下面に接着剤を塗布して路面へ接着固定させる方法を用いることができる。また、ベース2の設置固定方法はこれに限るものではなく、ベース部2の底面から雄ねじ部分を下方に突出させてアンカーボルトを取り付け、路面に埋設固定させたアンカーナットに螺結させて固定させてもよいし、他の固定方法を用いてもよい。
このようなベース2は、例えば射出成型により形成され、その材質としては合成樹脂、例えば、HDPE、ABS、ASA、PP、PS、PC、PET、硬質PVCなどの硬質な合成樹脂を使用することができ、本実施形態ではASA樹脂(アクリロニトリルスチレンアクリレート)を用いて形成させているが、熱可塑性ポリウレタンや軟質ポリオレフィン、エラストマーなどの軟質な合成樹脂を用いてもよい。
【0015】
5は道路用標示体のビーム状の標識部である。ビーム状の標識部5は中空の円筒形状に形成されたビーム51から構成されており、その端であるビーム端部52をポール11の上端に取り付けられたジョイント4に取り付けられて柱状の標識部1に固定される。ビーム状の標識部5は、その両方のビーム端部52をそれぞれ並設して設置された2体の柱状の標識部1に固定されて架け渡され、各柱状の標識部1の間を人が通過することを防止している。
本実施形態の道路用標示体は、上記のようにビーム状の標識部5を架け渡した2体1組の柱状の標識部1を、車の通過を防止したい場所に単体で設置させて車止めとして利用してもよい。また走行車線と対向車線との間に本実施形態の道路用標示体を複数組並設させて車線を分離するとともに、設置した道路を歩行者が横断することを防止するように用いることもできる。この場合、並設された異なる組の柱状の標識部1間の隙間を、人が通過不能な大きさに設置させて、この間を歩行者が横断することを防止する。
ビーム状の標識部5の外側面には、光の再帰反射性を備えた反射シートが巻回されて全周に亘って貼り付けられた反射部53が設けられており、これによって正面からの視認性を向上させるとともに、トラックのように車高の高い車両の運転手によって斜め上方から視認される場合でも、視認性を高いものとすることができる。
ビーム状の標識部5は、車両などが接触する等して変形した後に元の状態に復元するように熱可塑性ポリウレタン樹脂で形成しているが、これに限らず、軟質ポリオレフィン、エラストマー、などを好適に用いることができる。
【0016】
図3は図1の道路用標示体の柱状の標識部1の断面図である。
柱状の標識部1のポール11は円筒形の中空柱状体に形成されており、その上端を塞ぐようにジョイント4が融着によって固定され、ポール11の下端に補強用部材12が固定されている。
【0017】
ポール11は補強用部材12が固定された下端部分をベース2の上面に設けた円形のくぼみ21に挿入させて、着脱可能に固定できるように構成されている。具体的には、ベース2に設けられた前記のくぼみ21にポール11の下端部分が挿入された後、ベース2の外側面からポール11の下端部分に向けて固定ねじN1の雄ねじを挿入させて、ポール11を貫通させて補強用部材12に螺入させ、ベース2とポール11とを固定させている。上記のように固定させることで、前記の固定ねじN1を取り外せば、ポール11とベース2との固定を解除でき、ポール11とベース2とを着脱自在に固定できる。本実施形態では補強用部材12が螺入された固定ねじN1の雄ねじ部分と強固に結合できるように、補強用部材12を硬質の樹脂材料で形成させている。また、補強用部材12を硬質の樹脂材料で形成させることで、ポール11の下端部分の変形が抑制され、道路用標示体が外力を受けてもポール11とベース2との固定が容易に外れなくなる。
ポール11とベース2との固定方法は上記の方法に限るものではなく、ポール11の下端とベース2のくぼみ21とにそれぞれ係合可能な係合部と係止部とを設け、これらの係合によって着脱可能に固定させてもよいし、ポール11とベース2とは別に形成させた固定部材をポール11とベース2とに架け渡して取り付けることでこれらを固定させてもよいし、他の方法を用いて固定させても良い。
【0018】
柱状の標識部1は、車両などに踏み倒された後に元の状態に復元する可撓性を有するように、ポール11を熱可塑性ポリウレタン樹脂で形成しているが、これに限らず、軟質ポリオレフィン、エラストマー、などを好適に用いることができる。
ポール11の外側面には、光の再帰反射性を備えた反射シートが巻回されて全周に亘って貼り付けられた反射部13が設けられており、正面や側方からの視認性を高いものとすることができる。
【0019】
ジョイント4は、円筒形をアールを付けて90度の角度に曲げたようなエルボ状のL字型に形成されており、その両端において、下方向を向いた端部に下方結合部41を、水平方向を向いた端部に水平結合部をそれぞれ形成されている。
下方結合部41は、下方に向いたジョイント4の外周面が縮径して突出するように形成されており、円筒形のポール11の中空部分に上方から挿入可能に形成されている。下方結合部41の外周面はポール11の内周面に当接するように形成され、下方結合部41とポール11とは融着によって強固に固着されている。
ジョイント4は、車両などが接触する等して変形しても元の状態に復元するように弾性を有する材料で形成するのが好ましく、本実施形態では熱可塑性ポリウレタン樹脂で形成しているが、これに限らず、軟質ポリオレフィン、エラストマー、などを好適に用いることができ、他の材料を用いてもよい。
【0020】
本実施形態のジョイント4の水平方向を向いた端部には、柱側固定部材44が固定されている。
柱側固定部材44は円筒形状に形成されており、ジョイント4の水平方向を向いた端部に収納されて取り付けられている。
具体的には、柱側固定部材44の外周側面は、ジョイント4の外周面を形成する円筒形状の壁部43の内周側面に対応する径の大きさに形成され、柱側固定部材44をジョイント4の内側に挿入させて、接着させて両者を強固に固定させている。
【0021】
本実施形態のビーム状の標識部5を構成するビーム5の両側のビーム端部52には、ビーム側固定部材54がそれぞれ固定されている。
ビーム側固定部材54は円筒形状に形成されており、ビーム51のビーム端部52に収納されて取り付けられている。
具体的には、ビーム側固定部材54の外周側面は、ビーム端部52の内周側面に対応する径の大きさに形成され、ビーム側固定部材54をビーム端部52の内側に挿入させた後、固定ねじN2の雄ねじ部分をビーム端部52の外周側面から挿入させて、ビーム側固定部材54を貫通させて螺入させ、ビーム側固定部材54をビーム端部52に固定させている。
図5は図3のB−B矢視図である。
本実施形態では、2本の固定ねじがそれぞれ180゜間隔となるように配置させて、ビーム端部52の外周側面から中央に向けて螺入させている。
本実施形態では、螺入させた固定ねじの頭部がビーム端部52の外周側面から外方へ突出するように固定ねじを固定させており、この固定ねじの頭部は後述するジョイント4との固定においてビーム側係合部57を構成する突部55となされる。
【0022】
図4は図3のA−A矢視図である。
ジョイント4の柱側固定部材44の内周側面は、ビーム状の標識部5のビーム端部52の外周側面に対応した径の大きさに形成され、差し込まれるビーム端部52の外周側面を支持可能な支持面44aとして機能する。
支持面44aには、柱側固定部材44のジョイント4の外側の端から奥の方向へ水平に伸びる第一凹部45aが形成されている。この第一凹部45aには、前記ビーム状の標識部5の突部55が端側から挿入され係合するので、突部55の個数、配置態様に合わせて形成されており、本実施形態では180゜間隔で合計2箇所に形成されている。
【0023】
柱側固定部材44に二箇所形成された各第一凹部45aの奥側には、そこから周方向に伸びる第二凹部45bがそれぞれ形成され、柱側係合部47が構成されている。この第二凹部45bはいずれも第一凹部23から同一の周方向に伸びて形成されており、ビーム状の標識部5を回転させることで、各第一凹部に挿入させた突部55をそれぞれ第二凹部45bへ進入させるようになされている。
また、図7は図1の道路用標示体の並設された柱状の標識部1の柱側係合部47の形状を示す断面図である。
これに示すように、並設させた各柱状の標識部1の第二凹部45bは、それぞれ同一の周方向に伸びて形成されており、ビーム状の標識部5を回転させることで、各第一凹部に挿入させたビーム状の標識部5の両側の突部55をそれぞれ第二凹部45bへ進入させるようになされている。
第一凹部45a及び第二凹部45bの幅と凹みの大きさは、それぞれ突部55の幅と突出の大きさよりも大きく形成させて、突部55が収納可能に形成させている。
【0024】
図6は図1の道路用標示体の柱状の標識部にビーム状の標識部を取り付ける状況を示す断面図であり、(イ)は取付前の状況を示し、(ロ)は第一凹部へ突部を挿入させた状況を示し、(ハ)は第二凹部へ突部を進入させた状況を示す図である。
前記のように、第一凹部45aと第二凹部45bとを形成することにより、図6(ロ)に示すように突部55を第一凹部45aに挿入させてビーム端部52を柱側固定部材44に挿入した後、ビーム51を回転させることで、図6(ハ)に示すように突部55が第二凹部へ進入して、ビーム端部52と柱側固定部材44とが係合される。
最後に、ジョイント4の壁部43の外側から固定ねじN3の雄ねじを挿入させて、柱側固定部材44及びビーム端部52をそれぞれ貫通させてビーム側固定部材54に螺入させ、ビーム51の回転を防止させて、ビーム状の標識部5を柱状の標識部1に固定させる。
上記のように突部55と第二凹部45bとを係合させるので、道路用標示体に車両などが接触して前記ビーム状の標識部5を架設させた各柱状の標識部1を引き離すような力が働いても、前記第二凹部45bへ進入した前記突部55が第二凹部45bの側縁に当接され、前記ビーム状の標識部5と前記各柱状の標識部1との固定が外れないようになされる。
また、前記固定ねじN3をジョイント4から螺脱させれば、ビーム51を上記と逆方向へ回転させて突部55と第二凹部との係合を解除し、第一凹部44aから突部55を抜脱させて、ビーム状の標識部5を容易に柱状の標識部1から取り外すことができる。
【0025】
図8は本発明に係る道路用標示体の実施の他の一形態を示す分解図であり、図9は図8のA−A矢視図であり、図10は図8のB−B矢視図である。
本実施形態の道路用標示体は、柱側固定部材44とビーム側固定部材54との形状が図2に示す実施形態と異なる事項であり、本実施形態においては、柱側固定部材44に突部46を形成し、ビーム側固定部材54に第一凹部46aおよび第二凹部46bをそれぞれに形成させている。
【0026】
本実施形態において、柱側固定部材44は円筒形状に形成されており、前記の実施形態と同様にジョイント4の内側に挿入させて、接着させて両者を強固に固定させている。
柱側固定部材44の内周側面は、ビーム状の標識部5の外周側面を支持する支持面44aとして機能するとともに、柱側係合部47を構成する突部46が径方向内側へ突出するように形成されている。
本実施形態の柱側固定部材44は射出成型にて形成されており、この際に突部46を一体的に2箇所形成させ、それぞれ180゜間隔となるように配置されている。
【0027】
また本実施形態において、ビーム側固定部材54は円筒形状に形成されている。ビーム側固定部材54の一方の端部はその外周側面が縮径して突出するように形成されており、これをビーム51の端から挿入させて、接着させて固定されており、ビーム側固定部材54がビーム端部52を構成するようになされている。
またビーム側固定部材54の外周側面には、端部から長手方向内側へ伸びる第一凹部56aが形成されており、この第一凹部56aはビーム側固定部材に180゜間隔に配置されて2箇所形成されている。
そして、前記各第一凹部の奧側には、そこから周方向に伸びる第二凹部56bがそれぞれ形成され、ビーム側係合部57が構成されている。
【0028】
本実施形態の各第二凹部56bは、前記の実施形態と同様に、それぞれ同一の周方向に伸びて形成されており、ビーム状の標識部5を回転させることで、各第一凹部56aに挿入させた柱側固定部材44の各突部46をそれぞれ各第二凹部56bへ進入させるようになされている。
又、図8に示すように、ビーム状の標識部5の両側のビーム端部52に形成させた各第二凹部56bは、それぞれ同一の周方向に伸びて形成されており、ビーム状の標識部5を回転させることで、各第一凹部56aに挿入させた各柱状の標識部1の各突部46をそれぞれ第二凹部56bへ進入させるようになされている。
第一凹部56a及び第二凹部56bの幅と凹みの大きさは、それぞれ突部46の幅と突出の大きさよりも大きく形成させて、突部46が収納可能に形成させている。
【0029】
図11は図8の道路用標示体の柱状の標識部1にビーム状の標識部5を取り付ける状況を示す断面図であり、(イ)は取付前の状況を示し、(ロ)は第一凹部56aへ突部46を挿入させた状況を示し、(ハ)は第二凹部56bへ突部46を進入させた状況を示す図である。
前記のように、第一凹部56aと第二凹部56bとを形成することにより、図11(ロ)に示すように突部46を第一凹部56aに挿入させてビーム端部52を柱側固定部材44に挿入した後、ビーム51を回転させることで、図11(ハ)に示すように突部46が第二凹部56bへ進入して、ビーム端部52と柱側固定部材44とが係合される。
最後に、ジョイント4の壁部43の外側から固定ねじN3の雄ねじを挿入させて、柱側固定部材44を貫通させて、ビーム側固定部材54に螺入させ、ビーム51の回転を防止させて、ビーム状の標識部5を柱状の標識部1に固定させる。
また、前記固定ねじN3をジョイント4から螺脱させれば、ビーム51を上記と逆方向へ回転させて、ビーム状の標識部5を容易に柱状の標識部1から取り外すことができる。
【0030】
前記までの実施形態において、柱側固定部材44及びビーム側固定部材54は、硬質の合成樹脂を好適に用いて形成させることができ、本実施形態ではASA樹脂を用いて形成しているが、これに限るものではなく、HDPE、ABS、PP、PS、PC、PET、硬質PVCなどを使用することもでき、アルミニウムなどの金属を用いてもよい。また、熱可塑性ポリウレタンや軟質ポリオレフィン、エラストマーなどの軟質な合成樹脂を用いても形成できるが、これらの部材を硬質の材料で形成させることで、車両などが接触してこれらに外力が働いても容易に変形せず、これらの係合が外れにくいものとなる。
【符号の説明】
【0031】
1 柱状の標識部
11 ポール
12 補強用部材
13 反射部
2 ベース
4 ジョイント
41 下方結合部
43 壁部
44 柱側固定部材
45a 第一凹部
45b 第二凹部
46 突部
47 柱側係合部
5 ビーム状の標識部
51 ビーム
52 ビーム端部
53 反射部
54 ビーム側固定部材
55 突部
56a 第一凹部
56b 第二凹部
57 ビーム側係合部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の接触によって弾性的に曲がる可撓性を有するポールを備えた柱状の標識部が少なくとも2個並設され、該柱状の標識部のポールの間にはビーム状の標識部が着脱自在に架設されており、
前記各ポールは前記ビーム状の標識部のビーム端部を挿入可能なジョイントをそれぞれ備え、
該各ジョイントには柱側係合部がそれぞれ形成され、
前記ビーム状の標識部の両側のビーム端部には前記柱側係合部と係脱可能なビーム側係合部がそれぞれ形成されるとともに、
前記ビーム状の標識部の一方向への回転によって前記各柱側係合部と前記各ビーム側係合部とがそれぞれ係合するようになされたことを特徴とする道路用標示体。
【請求項2】
前記ビーム端部の外周側面には径方向外側へ突出する突部が形成されて前記ビーム側係合部を構成し、
前記ジョイントは前記ビーム端部の外周側面を支持する支持面を備え、該支持面には前記突部が端側から挿入される第一凹部と該第一凹部から周方向に伸びて前記突部が進入可能な第二凹部とが形成されて前記柱側係合部を構成するとともに、
前記並設された柱状の標識部の各ジョイントの第二凹部がそれぞれ第一凹部から同一の周方向に伸びて形成され、前記ビーム状の標識部の一方向への回転によって前記各突部が前記各第二凹部へそれぞれ進入するようになされたことを特徴とする請求項1に記載の道路用標示体。
【請求項3】
前記ジョイントは前記ビーム端部の外周側面を支持する支持面を備え、該支持面には径方向内側へ突出する突部が形成されて前記柱側係合部を構成し、
前記ビーム端部の外周側面には前記ジョイントの突部が端側から挿入される第一凹部と、該第一凹部から周方向に伸びて前記突部が進入可能な第二凹部とがそれぞれ形成されて前記ビーム側係合部を構成するとともに、
前記ビーム状の標識部の両側のビーム端部の各第二凹部がそれぞれ第一凹部から同一の周方向に伸びて形成され、前記ビーム状の標識部の一方向への回転によって前記各突部が前記各第二凹部へそれぞれ進入するようになされたことを特徴とする請求項1に記載の道路用標示体。
【請求項1】
車両の接触によって弾性的に曲がる可撓性を有するポールを備えた柱状の標識部が少なくとも2個並設され、該柱状の標識部のポールの間にはビーム状の標識部が着脱自在に架設されており、
前記各ポールは前記ビーム状の標識部のビーム端部を挿入可能なジョイントをそれぞれ備え、
該各ジョイントには柱側係合部がそれぞれ形成され、
前記ビーム状の標識部の両側のビーム端部には前記柱側係合部と係脱可能なビーム側係合部がそれぞれ形成されるとともに、
前記ビーム状の標識部の一方向への回転によって前記各柱側係合部と前記各ビーム側係合部とがそれぞれ係合するようになされたことを特徴とする道路用標示体。
【請求項2】
前記ビーム端部の外周側面には径方向外側へ突出する突部が形成されて前記ビーム側係合部を構成し、
前記ジョイントは前記ビーム端部の外周側面を支持する支持面を備え、該支持面には前記突部が端側から挿入される第一凹部と該第一凹部から周方向に伸びて前記突部が進入可能な第二凹部とが形成されて前記柱側係合部を構成するとともに、
前記並設された柱状の標識部の各ジョイントの第二凹部がそれぞれ第一凹部から同一の周方向に伸びて形成され、前記ビーム状の標識部の一方向への回転によって前記各突部が前記各第二凹部へそれぞれ進入するようになされたことを特徴とする請求項1に記載の道路用標示体。
【請求項3】
前記ジョイントは前記ビーム端部の外周側面を支持する支持面を備え、該支持面には径方向内側へ突出する突部が形成されて前記柱側係合部を構成し、
前記ビーム端部の外周側面には前記ジョイントの突部が端側から挿入される第一凹部と、該第一凹部から周方向に伸びて前記突部が進入可能な第二凹部とがそれぞれ形成されて前記ビーム側係合部を構成するとともに、
前記ビーム状の標識部の両側のビーム端部の各第二凹部がそれぞれ第一凹部から同一の周方向に伸びて形成され、前記ビーム状の標識部の一方向への回転によって前記各突部が前記各第二凹部へそれぞれ進入するようになされたことを特徴とする請求項1に記載の道路用標示体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−106192(P2011−106192A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−263567(P2009−263567)
【出願日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(000002462)積水樹脂株式会社 (781)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(000002462)積水樹脂株式会社 (781)
【Fターム(参考)】
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