説明

遠隔監視システムおよび遠隔監視方法

【課題】 重要な異常の通知を容易に確認することを可能にする遠隔監視システムおよび遠隔監視方法を提供する。
【解決手段】 給湯装置110、120に発生する異常に対して異常の程度を表すレベルがそれぞれ設定され、給湯装置110、120に異常が発生すると、この異常のレベルを含む警報信号を生成する監視装置12と、給湯装置110、120の異常のレベルに応じて軽微な故障か重要な故障かがあらかじめ設定され、監視装置12からの警報信号が表す異常のレベルから、この異常を軽微な故障か重要な故障かに判別する遠隔監視装置22とを備える。さらに、遠隔監視装置22は、判別結果が重要な故障である場合に、重要な故障の発生を携帯電話機に通知し、判別結果が軽微な故障である場合に、軽微な故障を表す警報信号を連続して受け取ったときに、携帯電話機に対する軽微な故障の発生の通知を止める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、各種設備を遠隔で監視する遠隔監視システムおよび遠隔監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発電設備のような大規模な設備から集合住宅の給湯装置のような小規模な施設に至るまで、遠隔監視システムにより設備を監視する場合がある。こうした遠隔監視システムによれば、監視対象である設備から遠隔の所で設備の運転状態のモニターを行って、設備の異常や異常予兆を監視する。また、遠隔監視システムによれば、異常が発生した場合、異常の程度に応じてあらかじめ準備された異常時対応の処理手順により、例えば大きな程度の異常であれば、この異常に対応する処理手順により、設備の複数の運転担当部署に異常の発生を通知し、小さな程度の異常であれば、この異常に対応する処理手順により、設備の特定の運転担当部署にだけ異常の発生を通知する(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2005−135430
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、先に述べた遠隔監視システムには次の課題がある。このシステムによれば、設備に異常が発生すると、異常の程度に応じてあらかじめ用意した処理手順により、異常を知らせる情報を設備の運転担当部署などに通知する。つまり、設備の運転担当部署には、異常が発生すると、この異常を知らせる情報が直ちに送られる。この結果、例えば軽微な異常が頻繁に発生したときに、重要な異常が発生すると、頻発する軽微な異常に注意が主に集まり、重要な異常を見落とす可能性がある。
【0004】
この発明の目的は、前記の課題を解決し、重要な異常の通知を容易に確認することを可能にする遠隔監視システムおよび遠隔監視方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記の課題を解決するために、請求項1の発明は、設備の異常を監視して携帯端末に故障を通知する遠隔監視システムにおいて、前記設備に発生する各異常に対して異常の程度を表すレベルがそれぞれ設定され、前記設備に異常が発生すると、この異常のレベルを含む警報信号を生成する生成手段と、前記設備の異常のレベルに応じて軽微な故障か重要な故障かがあらかじめ設定され、前記生成手段から警報信号を受け取ると、この警報信号が表す異常のレベルから、この異常を軽微な故障か重要な故障かに判別する判別手段と、前記判別手段の判別結果が重要な故障である場合に、重要な故障の発生を前記携帯端末に通知し、前記判別結果が軽微な故障である場合に、この軽微な故障を表す警報信号を前記判別手段から連続して受け取ったときに、前記携帯端末に対する軽微な故障の発生を通知しない通知手段とを備えることを特徴とする遠隔監視システムである。
【0006】
請求項1の発明は、設備の異常を監視して携帯端末に故障を通知する遠隔監視システムである。生成手段には設備に発生する各異常に対して異常の程度を表すレベルがそれぞれ設定され、判別手段には設備の異常のレベルに応じて軽微な故障か重要な故障かがあらかじめ設定されている。こうした状態のときに、設備に異常が発生すると、生成手段はこの異常のレベルを含む警報信号を生成する。判別手段は、生成手段から警報信号を受け取ると、この警報信号が表す異常のレベルから、この異常を軽微な故障か重要な故障かに判別する。通知手段は、判別手段の判別結果が重要な故障である場合に、重要な故障の発生を携帯端末に通知する。また、通知手段は、判別手段の判別結果が軽微な故障である場合に、この軽微な故障を表す警報信号を判別手段から連続して受け取ったときに、携帯端末に対する軽微な故障の発生を通知しない。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の遠隔監視システムにおいて、前記通知手段は、所定時間の間に前記判別手段から軽微な故障を表す警報信号を連続して受け取ったときに、連続して警報信号を受け取ったと判断することを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載の遠隔監視システムにおいて、前記通知手段は、軽微な故障を表す警報信号を前記判別手段から所定時間の間に所定数以下受け取ったときに、軽微な故障の発生を前記携帯端末に通知することを特徴とする。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の遠隔監視システムにおいて、前記通知手段は、軽微な故障を表す警報信号を前記判別手段から連続して受け取ってから一定時間の経過後に、軽微な故障の発生を前記携帯端末に通知することを特徴とする。
【0010】
請求項5の発明は、設備の異常を監視して携帯端末に故障を通知する遠隔監視方法において、前記設備に発生する各異常に対して異常の程度を表すレベルをそれぞれ設定して、前記設備に異常が発生すると、この異常のレベルを含む警報信号を生成し、前記設備の異常のレベルに応じて軽微な故障か重要な故障かをあらかじめ設定して、前記警報信号が表す異常のレベルから、この異常を軽微な故障か重要な故障かに判別し、判別結果が重要な故障である場合に、重要な故障の発生を前記携帯端末に通知し、前記判別結果が軽微な故障である場合に、この軽微な故障を表す警報信号を連続して受け取ったときに、前記携帯端末に対する軽微な故障の発生を通知しないことを特徴とする遠隔監視方法である。
【発明の効果】
【0011】
請求項1および請求項5の発明によれば、軽微な故障が連続して発生した場合には携帯端末に故障の発生が通知されないので、軽微な故障が頻繁に発生したときに、重要な故障が発生すると、この重要な故障だけを通知することができ、重要な故障の見落としを防ぐことができる。
【0012】
請求項2の発明によれば、所定時間の間に同じ警報信号を受け取ったときに、連続して警報信号を受け取ったと判断するので、所定時間を変更することにより、短時間に多数発生する警報信号から散発的に発生する警報信号までを監視の範囲とすることができる。
【0013】
請求項3の発明によれば、所定時間の間に軽微な故障を表す警報信号を所定数以下受け取ったときに、つまり、軽微な故障を表す警報信号の発生が少ないときには、軽微な故障の発生を通知することができる。
【0014】
請求項4の発明によれば、連続して警報信号を受け取った後から一定時間の経過後に、軽微な故障の発生を通知するので、軽微な故障が連続して発生し終わった後、または、軽微な故障が連続して発生している途中で、この軽微な故障の発生を知らせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に、この発明の実施の形態について、図面を用いて詳しく説明する。この実施の形態では、遠隔監視の対象として、大規模な集合住宅向けセントラル給湯システムを例としている。
【0016】
(実施の形態1)
この実施の形態による遠隔監視システムは、図1に示すように、セントラル給湯システムの給湯装置110、120を遠隔の監視センタで監視するものである。遠隔監視システムは、集合住宅側装置として遠隔監視ユニット11と監視装置12と通信装置13とを備え、監視センタ側装置として通信装置21と遠隔監視装置22と携帯電話機311〜31nとを備えている。この実施の形態では、集合住宅側装置の遠隔監視ユニット11と監視装置12と通信装置13とはLAN(ローカルエリアネットワーク)10Aにより接続され、同じく、監視センタ側装置の通信装置21と遠隔監視装置22とはLAN20Aにより接続されている。また、集合住宅側装置の通信装置13と監視センタ側装置の通信装置21とは通信網200を利用したインターネットによりデータ通信が可能であり、携帯電話機311〜31nは通信網200の基地局201を経由して通信装置21と電子メールの送受信が可能である。
【0017】
集合住宅側装置の給湯装置110は、所定温度の温水を集合住宅の各住戸に供給するものであり、加熱部111と制御部112と供給部113とを備えている。加熱部111は、閉路内に貯湯槽(図示を省略)と、電力で作動するヒートポンプユニット(図示を省略)とを備え、貯湯槽とヒートポンプユニットとの間で冷水または温水を循環させることにより、冷水または温水を所定温度まで加熱し、貯湯槽内に所定温度の温水を貯める。ヒートポンプユニットのヒートポンプ(図示を省略)は、大気中の熱を冷媒に取り込み、この冷媒を圧縮機(図示を省略)で圧縮して高温にし、ヒートポンプユニットの熱交換器により冷水または温水を加熱する。供給部113は、貯湯槽に冷水を供給するための給水装置と、貯湯槽の上部から押し出される温水を集合住宅の各住戸に供給するための温水用配管とを備えている。
【0018】
この実施の形態では、加熱部111の貯湯槽、ヒートポンプの圧縮機等には温度センサが設けられ、圧縮機には吐出、吸入等の圧力を検出する圧力センサが設けられている。また、供給部113の給水装置の一部を構成するポンプの動力源であるモータ等には過電流継電器が設けられ、温水の温度を検出する温度センサが温水用配管に設けられている。
【0019】
給湯装置110の制御部112は、加熱部111のヒートポンプユニットの運転を制御すると共に、供給部113の給水装置からの冷水の供給を制御するために、温度センサの温度を取得する。つまり、制御部112はヒートポンプのコントローラである。また、制御部112は、加熱部111や供給部113に設けられた各センサにより検出された温度や圧力、過電流継電器のオン・オフ等の情報を受け取ると、あらかじめ制御部112に設定されている識別情報と共にこれらの情報(以下、「検出情報」という)を遠隔監視ユニット11に送る。この実施の形態では、図2に示すように、検出情報として次の10個の検出項目を含む場合を例としている。
【0020】
遠隔監視ユニットの通信状態
給湯装置の制御部の通信状態
圧縮機吐出温度の状態
圧縮機吐出圧力の状態
圧縮機吸入圧力の状態
圧縮機の動作状態
貯湯槽温度の状態
給水ポンプの動作状態
混合ポンプの動作状態
給湯循環ポンプの動作状態
なお、遠隔監視ユニット11の通信状態は、遠隔監視ユニット11がLAN10Aを経由して監視装置12、通信装置13と通信する状態であり、給湯装置110の制御部112の通信状態は、遠隔監視ユニット11が制御部112と通信する状態である。
【0021】
給湯装置120は加熱部121と制御部122と供給部123とを備える。加熱部121と供給部123とは給湯装置110の加熱部111と供給部113と同じであるので、これらの説明を省略する。制御部122は、給湯装置110の制御部112と同様に、加熱部121のヒートポンプユニットの運転を制御すると共に、供給部123の給水装置からの冷水の供給を制御するために、温度センサの温度を取得する。また、制御部122は、加熱部121や供給部123に設けられた各センサにより検出された温度や圧力、過電流継電器のオン・オフ等の情報を受け取ると、あらかじめ制御部122に設定されている識別情報と共に受け取った情報を検出情報として遠隔監視ユニット11に送る。
【0022】
遠隔監視ユニット11は、給湯装置110、120から検出情報を受け取ると、LAN10Aを経由して、これらの検出情報を監視装置12と通信装置13とに送る。なお、遠隔監視ユニット11は、集合住宅の各住戸の給湯メータ(図示を省略)の給湯量を受け取り、この給湯量を給湯量情報として監視装置12と通信装置13とに送る機能を持つ。
【0023】
監視装置12は、給湯装置110、120を監視するものであり、給湯装置110および給湯装置120の検出情報や給湯量情報を遠隔監視ユニット11から受け取ると、これらの情報を基にして給湯装置110と給湯装置120との現在の様子や各住戸の湯の使用量をモニター表示する。また、監視装置12は、給湯装置110および給湯装置120の検出情報に対して監視処理をして異常を判別する。つまり、監視装置12は、給湯装置110および給湯装置120からの検出項目に対して、正常か異常かの基準である設定値をあらかじめ保持している。遠隔監視装置22は、遠隔監視ユニット11から受け取った給湯装置110の検出情報および給湯装置120の検出情報に含まれる各項目と設定値とを比較し、図3に示すように、
遠隔監視ユニットの通信異常
給湯装置の制御部の通信異常
圧縮機吐出温度の異常
圧縮機吐出圧力の異常
圧縮機吸入圧力の異常
圧縮機の故障
貯湯槽温度の異常
給水ポンプの過電流
混合ポンプの過電流
給湯循環ポンプの過電流
が発生しているかどうかを判断する。さらに、監視装置12は、図4に示す変換情報を用いて、各監視項目に発生した異常のレベルを判断する。図4は、異常のレベルの一例であって、
遠隔監視ユニットの通信異常 …レベル1
給湯装置の制御部の通信異常 …レベル1
圧縮機吐出温度の異常 …レベル1
圧縮機吐出圧力の異常 …レベル2
圧縮機吸入圧力の異常 …レベル3
圧縮機の故障 …レベル1
貯湯槽温度の異常 …レベル1
給水ポンプの過電流 …レベル1
混合ポンプの過電流 …レベル5
給湯循環ポンプの過電流 …レベル4
としている。レベルは「1」が最も軽い異常であり、「5」が最も重い異常である。監視装置12は、異常を検出すると、異常が発生した給湯装置の識別情報と、異常の内容を表す異常情報と、異常のレベルを表すレベル情報とから警報信号を生成し、この警報信号を通信装置13に送る。
【0024】
通信装置13は、通信網200を経由して監視センタ側装置の通信装置21と高いセキュリティによるデータ伝送を行う。つまり、通信装置13は、遠隔監視ユニット11から検出情報を受け取ると、高セキュリティによるデータ伝送により、この情報を監視センタ側装置の通信装置21に送信する。また、通信装置13は、監視装置12から警報信号を受け取ると、高セキュリティによるデータ伝送により警報信号を監視センタ側装置の通信装置21に送信する。
【0025】
監視センタ側装置の携帯電話機311〜31nは集合住宅側装置の給湯装置110および給湯装置120を含む装置の保守点検をするサービスマン等に所持されている。この実施の形態では、サービスマンに対する故障発生時の連絡体制があらかじめ決められていて、異常の発生を知らせる電子メールは携帯電話機311〜31nの中の特定の携帯電話機に発信される。また、電子メールを受信するのは携帯電話機に限らず、サービスマンが携帯可能なパーソナルコンピュータやPDA(Personal Digital Assistants)などが利用可能である。
【0026】
監視センタ側装置の通信装置21は、高セキュリティによるデータ伝送により、遠隔監視ユニット11からの検出情報や各住戸の給湯量情報を受け取ると、これらの情報を遠隔監視装置22に送り、また、監視装置12から警報信号を受け取ると、この警報信号を遠隔監視装置22に送る。
【0027】
遠隔監視装置22は集合住宅側装置の給湯装置110、120の遠隔監視をするものであり、例えばサーバコンピュータが遠隔監視装置22に該当する。遠隔監視装置22は、給湯装置110および給湯装置120の検出情報や各住戸の給湯量情報を通信装置21から受け取ると、監視装置12と同様に、これらの情報を基にして給湯装置110と給湯装置120との現在の様子をモニター表示し、また、例えば定期的に各状態を印刷して出力する。また、遠隔監視装置22は、通信装置21から警報信号を受け取ると、この警報信号を携帯電話機311〜31nに送信するために、図5に示す通報処理を行う。遠隔監視装置22は、通信装置21から警報信号を受け取ると(ステップS1)、警報信号に含まれるレベル情報が表す異常のレベルを基にして、故障が軽微かどうかを判別する(ステップS2)。ステップS2では、図6に示す判定テーブルを用いて軽微な故障か重要な故障かを遠隔監視装置22が判別する。判定テーブルはあらかじめ遠隔監視装置22に設定されたものであり、入力装置(図示を省略)により判定テーブルの設定変更が可能である。
【0028】
遠隔監視装置22は、ステップS2で故障が軽微と判断すると、ステップS1と同一の警報信号がT1分以内に発生したかどうかを判断する(ステップS3)。所定時間であるT1分はあらかじめ遠隔監視装置22に設定された時間であり、入力装置により時間の設定変更が可能である。また、ステップS3では2つ以上の警報信号が発生したかどうかを判別しているが、あらかじめ遠隔監視装置22に設定された所定数を判別の基準としてもよい。さらに、ステップS3では、警報信号を受け取った時点から遡りながらT1分以内で同一の警報信号の有無を判断する。
【0029】
遠隔監視装置22は、ステップS3で同一の警報信号を通信装置21から受け取ったと判断すると、同一の警報信号が発生した後からT2時間が経過したかどうか、例えば同一の警報信号の中で最初の警報信号の発生からT2時間が経過したかどうかを判断する(ステップS4)。所定時間であるT2時間はあらかじめ遠隔監視装置22に設定された時間であり、入力装置により時間の設定変更が可能である。
【0030】
遠隔監視装置22は、ステップS4でT2時間が経過していないと判断すると、携帯電話機311〜31nの中の特定の携帯電話機に対して、警報を知らせる電子メールを発信しない(ステップS5)。
【0031】
一方、遠隔監視装置22は、ステップS2で故障が重要と判断した場合、ステップS3で同一の警報信号がT1分以内に発生しなかったと判断した場合、または、ステップS4でT2時間が経過したと判断した場合、ステップS1で受け取った警報信号の識別情報を基にして検索した、異常が発生した集合住宅の住所や名称と、警報信号の異常情報を基にして得た異常の内容とを含む電子メールを、携帯電話機311〜31nの中の特定の携帯電話機に発信する(ステップS6)。
【0032】
次に、この実施の形態による遠隔監視システムを用いた遠隔監視方法について説明する。集合住宅側装置の例えば給湯装置110の制御部112と遠隔監視ユニット11との通信の瞬間的な断が連続して発生すると、制御部112は、この状態を示す検出情報の発生毎に、遠隔監視ユニット11を経由して監視装置12に各検出情報を送る。監視装置12は、例えば一定時間以上の通信の断を設定値としてあらかじめ保持し、遠隔監視ユニット11から検出情報を受け取ると、この検出情報を基にして設定値以上の時間の通信の断を異常と判断する。監視装置12は、遠隔監視ユニットの通信異常を検出した後、変換情報を用いてこの異常がレベル1であると判断する。こうして、監視装置12は、レベル1の異常を検出すると、異常が発生した給湯装置110の識別情報と、異常の内容を表す異常情報と、異常のレベル1を表すレベル情報とから警報信号を生成し、各警報信号を通信装置13に送る。通信装置13は、通信網200を経由して、監視センタの通信装置21に各警報信号を送信する。
【0033】
監視センタの遠隔監視装置22は、通信装置21を経由して警報信号を受け取ると、通報処理を行う。そして、警報信号がT1分の間に連続して発生すると、遠隔監視装置22は、各警報信号の発生した時点では遠隔監視ユニット11の通信異常を知らせる警報の電子メールを所定の携帯電話機に発信しない。こうした状態のときに、遠隔監視装置22は、重要な異常を示す警報信号を集合住宅側装置から受け取ると、通報処理により、この警報信号の発生した時点で、異常を知らせる電子メールつまり警報の電子メールを特定の携帯電話機に発信する。
【0034】
この後、T2時間が経過すると、遠隔監視装置22は、通報処理により、遠隔監視ユニット11の通信異常を知らせる電子メールを特定の携帯電話機に発信する。
【0035】
こうして、この実施の形態により、集合住宅側装置に軽微な異常が連続して発生しても、異常が発生した時点では、異常を知らせる電子メールを特定の携帯電話機に発信しない。このとき、重要な異常が発生すると、直ちにこの異常を携帯電話機に発信するので、この重要な異常の見落としを防止することができる。また、この実施の形態により、T2時間の経過後に軽微な異常を知らせる電子メールを特定の携帯電話機に発信するので、軽微な異常が連続して発生し終わった後で、この軽微な異常の発生を特定の携帯電話機に通報することができる。
【0036】
なお、この実施の形態では、同一の警報信号が発生した場合、最初の警報信号が発生してからT2時間の経過後に軽微な異常を知らせる電子メールを特定の携帯電話機に発信するが、軽微な異常が続く場合に途中の時点で(例えば、T2時間ごとに)軽微な異常を知らせる電子メールを特定の携帯電話機に発信するようにしてもよい。
【0037】
(実施の形態2)
実施の形態2では、軽微な故障の有無を問い合わせる問合せ信号を遠隔監視装置22が受け取ったときに、軽微な異常を知らせる電子メールを特定の携帯電話機に発信する。つまり、携帯電話機311〜31nの中で特定の携帯電話機を持つサービスマンがこの携帯電話機を操作して問合せ信号を送信する。監視センタの通信装置21は、通信網200を経由して携帯電話機から問合せ信号を受信すると、この問合せ信号を遠隔監視装置22に送る。
【0038】
遠隔監視装置22は、問合せ信号を受け取ると、図7に示す通報処理を行う。なお、図7では先に説明した図5と同一の処理にはそれと同じ参照符号を付けてその説明を省略する。遠隔監視装置22は、ステップS3で同一の警報信号を通信装置21から受け取ったと判断した後、通信装置21から問合せ信号を受け取ると(ステップS4A)、ステップS6の処理により、問合せ信号を送信した携帯電話機に対して、軽微な故障の発生を知らせる電子メールを発信する。また、ステップS4Aで問合せ信号を受け取らなければ、ステップS5の処理により、軽微な故障の発生を知らせる電子メールを発信しない。
【0039】
こうして、この実施の形態により、集合住宅側装置に軽微な異常が連続して発生しても、異常が発生した時点では、異常を知らせる電子メールを携帯電話機に発信しない。このとき、重要な異常が発生すると、直ちにこの異常を携帯電話機に発信するので、この重要な異常の見落としを防止することができる。また、軽微な異常の発生の有無を携帯電話機から問い合わせたときだけ、連続して発生した軽微な異常を知らせるので、軽微な故障が発生しているかどうかをサービスマンの必要に応じて通知することができる。
【0040】
以上、この発明の各実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成は各実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、各実施の形態では遠隔監視対象が集合住宅向けセントラル給湯システムであったが、特にこれに限定されることはなく、この発明は分散電源、蓄熱空調設備、蓄熱給湯設備等に適用可能である。また、各実施の形態では、給湯装置の制御部が加熱部などの状態を監視して検出情報を生成したが、遠隔監視ユニットが監視と検出情報の生成を行ってもよい。さらに、各実施の形態では、監視処理を監視装置12が行い、通報処理を遠隔監視装置22が行ったが、監視処理と通報処理とを遠隔監視装置22が行うようにしてもよい。このときには、遠隔監視装置22が生成した警報信号を監視装置12が受け取って異常を表示する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】この発明の実施の形態1による遠隔監視システムを示す構成図である。
【図2】検出項目の一例を示す図である。
【図3】異常の一例を示す図である。
【図4】異常のレベルの一例を示す図である。
【図5】通報処理を示すフローチャートである。
【図6】判定テーブルの一例を示す図である。
【図7】この発明の実施の形態2による通報処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0042】
11 遠隔監視ユニット
12 監視装置(生成手段)
13、21 通信装置
22 遠隔監視装置(判別手段、通知手段)
311〜31n 携帯電話機
110、120 給湯装置
111、121 加熱部
112、122 制御部
113、123 供給部
200 通信網

【特許請求の範囲】
【請求項1】
設備の異常を監視して携帯端末に故障を通知する遠隔監視システムにおいて、
前記設備に発生する各異常に対して異常の程度を表すレベルがそれぞれ設定され、前記設備に異常が発生すると、この異常のレベルを含む警報信号を生成する生成手段と、
前記設備の異常のレベルに応じて軽微な故障か重要な故障かがあらかじめ設定され、前記生成手段から警報信号を受け取ると、この警報信号が表す異常のレベルから、この異常を軽微な故障か重要な故障かに判別する判別手段と、
前記判別手段の判別結果が重要な故障である場合に、重要な故障の発生を前記携帯端末に通知し、前記判別結果が軽微な故障である場合に、この軽微な故障を表す警報信号を前記判別手段から連続して受け取ったときに、前記携帯端末に対する軽微な故障の発生を通知しない通知手段と、
を備えることを特徴とする遠隔監視システム。
【請求項2】
前記通知手段は、所定時間の間に前記判別手段から軽微な故障を表す警報信号を連続して受け取ったときに、連続して警報信号を受け取ったと判断することを特徴とする請求項1に記載の遠隔監視システム。
【請求項3】
前記通知手段は、軽微な故障を表す警報信号を前記判別手段から所定時間の間に所定数以下受け取ったときに、軽微な故障の発生を前記携帯端末に通知することを特徴とする請求項1または2に記載の遠隔監視システム。
【請求項4】
前記通知手段は、軽微な故障を表す警報信号を前記判別手段から連続して受け取ってから一定時間の経過後に、軽微な故障の発生を前記携帯端末に通知することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の遠隔監視システム。
【請求項5】
設備の異常を監視して携帯端末に故障を通知する遠隔監視方法において、
前記設備に発生する各異常に対して異常の程度を表すレベルをそれぞれ設定して、前記設備に異常が発生すると、この異常のレベルを含む警報信号を生成し、
前記設備の異常のレベルに応じて軽微な故障か重要な故障かをあらかじめ設定して、前記警報信号が表す異常のレベルから、この異常を軽微な故障か重要な故障かに判別し、
判別結果が重要な故障である場合に、重要な故障の発生を前記携帯端末に通知し、前記判別結果が軽微な故障である場合に、この軽微な故障を表す警報信号を連続して受け取ったときに、前記携帯端末に対する軽微な故障の発生を通知しない、
ことを特徴とする遠隔監視方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−27201(P2008−27201A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−199257(P2006−199257)
【出願日】平成18年7月21日(2006.7.21)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】