説明

適応等化器および適応等化方法

【課題】低コストで処理遅延の短い適応等化器を得る。
【解決手段】適応等化器100において、第1のサンプリング周波数は第2のサンプリング数より高い値に設定する。第1および第2の入力信号は、第1および第2のA/D変換部101,102によって第1のサンプリング周波数でA/D変換され、第1および第2のSRC部103によって第2のサンプリング周波数にサンプリング変換される。適応化学習処理部107が第2のサンプリング周波数で適応フィルタ係数列の学習同定を行い、係数変換処理部109が適応フィルタ係数列を第1のサンプリング周波数用に変換する。フィルタ処理部110がこの適応フィルタ係数列を用いて、第1のサンプリング周波数で第1の入力信号をフィルタリングして出力信号を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、未知システムの学習同定に用いる適応等化器(適応フィルタ)および適応等化方法、ならびにこの適応等化器を利用した能動騒音制御装置およびエコーキャンセラ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
適応等化器は、未知システムの学習同定およびノイズ除去等、幅広く用いられている技術である。この適応等化器を能動騒音制御装置として使用した例が、例えば非特許文献1に開示されている。このような能動騒音制御装置では、検出した騒音を打消す制御音を速やかに生成する必要があり、処理遅延はできるだけ短いことが望ましい。
【0003】
ところが、適応等化器として一般に用いられているデジタル信号処理プロセッサ(DSP)では、アナログ−デジタル(A/D)変換、デジタル−アナログ(D/A)変換、および演算処理において一定の処理遅延が生じてしまった。この処理遅延を短縮する方法として、A/D変換におけるデジタル信号のサンプリング周波数を、本来必要なサンプリング周波数の数倍に上げる方法がある。例えば、能動騒音制御を行う帯域が10〜3.4kHzであり、本来必要なサンプリング周波数が8kHzであったとしても、8倍の64kHzのサンプリング周波数で処理することにより、処理遅延は単純計算で1/8に短縮することができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】辻井重男他、ディジタル信号処理シリーズ10「適応信号処理」、昭晃堂、1995年(56〜59頁、図3.10)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の適応等化器は以上のように構成されているので、短い処理遅延を実現しようとしてサンプリング周波数を上げると、信号処理に要する演算規模も増大してしまう。上記の例では、先ず一定時間に入力されるデータ量が8倍となる他、8kHzの場合と同等の適応フィルタを実現する場合にはフィルタ係数も8倍となるので、演算規模は64倍になる。これにより、DSPに求められる演算能力およびメモリ量が増大し、コスト面で不利となる。このように、従来の適応等化器には、短い処理遅延を実現しようとした場合に演算規模が顕著に増大するという課題があった。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、低コストで処理遅延の短い適応等化器を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る適応等化器は、第1のサンプリング周波数でサンプリングされた第1の入力信号を、第2のサンプリング周波数にサンプリング変換して第1の学習信号を生成する第1のサンプリング周波数変換部と、第1のサンプリング周波数でサンプリングされた第2の入力信号を、第2のサンプリング周波数にサンプリング変換して第2の学習信号を生成する第2のサンプリング周波数変換部と、第1および第2の学習信号に基づき、適応フィルタ係数列の適応化学習同定を行う適応化学習処理部と、適応化学習処理部で適応化された適応フィルタ係数列を、第1のサンプリング周波数に対応するように変換する係数変換処理部と、第1の入力信号を係数変換処理部で変換された適応フィルタ係数列でフィルタリングして、出力信号を生成するフィルタ処理部とを備えるようにしたものである。
【0008】
この発明に係る適応等化方法は、第1のサンプリング周波数でサンプリングされた第1の入力信号を、当該第1のサンプリング周波数より高い値の第2のサンプリング周波数にサンプリング変換して第1の学習信号を生成する第1のサンプリング周波数変換ステップと、第1のサンプリング周波数でサンプリングされた第2の入力信号を、第2のサンプリング周波数にサンプリング変換して第2の学習信号を生成する第2のサンプリング周波数変換ステップと、第1のサンプリング周波数変換ステップで生成された第1の学習信号と、第2のサンプリング周波数変換ステップで生成された第2の学習信号に基づき、適応フィルタ係数列の適応化学習同定を行う適応化学習処理ステップと、適応化学習処理ステップで適応化された適応フィルタ係数列を、第1のサンプリング周波数に対応するように変換する係数変換処理ステップと、第1の入力信号を係数変換処理ステップで変換された適応フィルタ係数列でフィルタリングして、出力信号を生成するフィルタ処理ステップとを備えるようにしたものである。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、第2のサンプリング周波数にサンプリング変換した第1および第2の学習信号に基づいて適応フィルタ係数列の適応化学習同定を行って第1のサンプリング周波数に対応するように変換して、第1のサンプリング周波数でサンプリングされた第1の入力信号をフィルタリングするようにしたので、低速で適応化学習処理を行う一方、高速でフィルタ処理を行うことができ、低コストで処理遅延の短い適応等化器および適応等化方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明の実施の形態1に係る適応等化器の構成を示すブロック図である。
【図2】実施の形態1に係る適応等化器と未知システムとの接続を示すブロック図である。
【図3】図1に示す係数変換処理部の内部構成を示すブロック図である。
【図4】図3に示す補間部で生成された補間後フィルタのフィルタ特性を示すグラフである。
【図5】実施の形態1に係る適応等化器の処理タイミングを示すタイミングチャートである。
【図6】実施の形態1に係る適応等化器の第1のサンプリング周波数および第2のサンプリング周波数の設定方法を示す説明図である。
【図7】この発明の実施の形態2に係る適応等化器と未知システムとの接続を示すブロック図である。
【図8】実施の形態2に係る適応等化器の構成を示すブロック図である。
【図9】この発明の実施の形態3に係る適応等化器の処理タイミングを示すタイミングチャートである。
【図10】この発明の実施の形態4に係る能動騒音制御装置の構成を示すブロック図である。
【図11】この発明の実施の形態5に係るエコーキャンセラ装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係る適応等化器100の構成を示すブロック図である。図2は、図1に示す適応等化器100と、学習同定対象である未知システム900との接続を示すブロック図である。適応等化器100は、未知システム900に入力される入力信号x(t)および未知システム900から出力される出力信号y(t)をそれぞれ入力とし、これら2つの信号x(t),y(t)に基づいて未知システム900を学習同定し、未知システム900の出力信号y(t)を模擬した出力信号z(t)を出力する。
【0012】
図1に示すように、本実施の形態の適応等化器100は、未知システム900の入力信号x(t)を第1の入力信号x(t)として受け付けて処理する第1のA/D変換部101、第1のサンプリング周波数変換(SRC)部103および第1のバッファ105、未知システム900の出力信号y(t)を第2の入力信号y(t)として受け付けて処理する第2のA/D変換部102、第2のSRC部104および第2のバッファ106、入力信号x(t)をフィルタ処理して未知システム900の出力信号y(t)を模擬した出力信号z(t)を生成するための適応化学習処理部107、減算部108、係数変換処理部109、フィルタ処理部110およびD/A変換部111を備える。なお、第2の入力信号y(t)は、一般に教師信号とも呼ばれている。
【0013】
次に、実施の形態1に係る適応等化器100の動作を説明する。
第1のA/D変換部101は、第1の入力信号x(t)を受け付けて第1のサンプリング周波数fs1でサンプリングしてA/D変換し、第1のデジタル入力信号x(n)を生成する。ここで、tはアナログ時間、nはデジタル時間(サンプル番号)を表す。第1のSRC部103は、第1のA/D変換部101で生成された第1のデジタル入力信号x(n)を第2のサンプリング周波数fs2の信号に変換し、第1の学習信号x’(n)とする。ここで、第1のサンプリング周波数fs1は第2のサンプリング周波数fs2よりも高く、fs1>fs2であるものとする。
【0014】
これと同様に、第2のA/D変換部102は、第2の入力信号y(t)を受け付けて第1のサンプリング周波数fs1でサンプリングしてA/D変換し、第2のデジタル入力信号y(n)を生成する。第2のSRC部104は、第2のA/D変換部102で生成された第2のデジタル入力信号y(n)を第2のサンプリング周波数fs2の信号に変換し、第2の学習信号y’(n)とする。
【0015】
第1のバッファ105が第1の学習信号x’(n)を、第2のバッファ106が第2の学習信号y’(n)をそれぞれ蓄積する。
【0016】
適応化学習処理部107は、第1のバッファ105および第2のバッファ106に所定の長さNの信号データが蓄積される毎に、蓄積された第1の学習信号x’(n)および第2の学習信号y’(n)を用いて適応化学習を行う。具体的には、適応化学習処理部107が、第1の学習信号x’(n)を所定の次数Mの第1のフィルタHM(z)でフィルタリングして推定信号d(n)を生成し、減算部108へ出力する。この第1のフィルタHM(z)は第2のサンプリング周波数fs2用のフィルタであり、下式(1)で示すZ変換で表されたデジタルフィルタである。
【数1】

【0017】
減算部108は、第2のバッファ106に蓄積されている長さNの第2の学習信号y’(n)を取得し、この第2の学習信号y’(n)から適応化学習処理部107でフィルタリングされた推定信号d(n)を減算して残差信号e(n)を生成する。この残差信号e(n)は、再び適応化学習処理部107へフィードバックされ、適応化学習処理部107がこの残差信号e(n)が0に収束するように第1のフィルタHM(z)を更新する。このとき、適応化学習処理部107はLMS(Least Mean Square)等の一般的なアルゴリズムを用いてフィルタ係数を更新すればよい。
【0018】
第1のバッファ105および第2のバッファ106に蓄積する信号データの長さNは、用途に応じて任意に設定できる。一般に、DSP上では、少量のデータを逐一処理するよりも、パイプライン処理のような高速な演算方法により大量のデータを一括して処理する方が効率的であることが知られている。よって、本実施の形態でも、長さNは一定以上の長さを持つ方が演算効率の点で有利である。ただし、長さNが大きくなるほど残差信号収束の早さは低下するので、演算効率性よりも収束性能が求められる場合には長さNを小さく設定してもよく、例えば1と設定してもよい。
【0019】
係数変換処理部109は、適応化学習処理部107で更新された第1のフィルタHM(z)を、第2のサンプリング周波数fs2用から第1のサンプリング周波数fs1用に変換して、第2のフィルタFL(z)とする。添字Lは変換後のフィルタ次数である。
【0020】
図3は、係数変換処理部109の内部構成を示すブロック図である。図3に示すように係数変換処理部109は補間部109a、周波数特性補正部109bおよび群遅延補正部109cから構成される。先ず、補間部109aが、第1のフィルタHM(z)に対し、各々のフィルタ係数間に、第1のサンプリング周波数fs1と第2のサンプリング周波数fs2の比に応じた数の0(補間値)を挿入して、補間後フィルタH’L(z)とする。具体的には、fs1=a・fs2としたときに、(a−1)個の0が挿入される。例えばa=2のときL=2Mとなり、第1のフィルタHM(z)のフィルタ係数列太字HMが下式(2)であるのに対して、補間後フィルタH’L(z)のフィルタ係数列太字H’Lは下式(3)となる。なお、電子出願の関係上、強調文字のアルファベット文字を太字アルファベットと表記する。
【数2】

【0021】
図4は、補間後フィルタH’L(z)の第1のサンプリング周波数fs1におけるフィルタ特性を示すグラフであり、縦軸が振幅応答、横軸が周波数fである。図中、第1のフィルタHM(z)の特性を実線1で示し、補間後フィルタH’L(z)の特性を破線2a,2bで示す。補間後フィルタH’L(z)は、図4に示すように第2のサンプリング周波数fs2のナイキスト周波数fs2/2以下の帯域では第1のフィルタHM(z)と同じ特性(実線1および破線2a)を示すが、これよりも周波数fの高い帯域では周波数fs2/2以下の特性の折り返し(破線2b)が生じる。
【0022】
このため、周波数特性補正部109bが、補間後フィルタH’L(z)に対して、折り返しを除去するための周波数特性の補正を行って、周波数特性補正後フィルタH”L(z)とする。具体的には、周波数特性補正部109bが補間後フィルタH’L(z)に、所定の高域カットオフ特性を持つ周波数特性補正フィルタB(z)の係数列を畳み込む。この周波数特性補正フィルタB(z)には、整数値の群遅延を持つ奇数次線形位相FIR(Finite Impulse Response)ローパスフィルタが好適である。
【0023】
周波数特性補正部109bによって折り返しを除去された周波数特性補正後フィルタH”L(z)には、周波数特性補正フィルタB(z)の群遅延が付加されている。このため、群遅延補正部109cが下式(4)を用いて周波数特性補正後フィルタH”L(z)に付加された群遅延を除去し、第2のフィルタFL(z)にしてフィルタ処理部110へ出力する。
【数3】

【0024】
ここで、Tは周波数特性補正フィルタB(z)の群遅延である。周波数特性補正後フィルタH”L(z)のフィルタ係数列太字H”Lが例えば下式(5)であるとすると、第2のフィルタFL(z)のフィルタ係数列太字FLは下式(6)となる。
【数4】

【0025】
フィルタ処理部110は、第1のA/D変換部101で第1のサンプリング周波数fs1で変換された第1のデジタル入力信号x(n)が1サンプル入力される毎に、第1のサンプリング周波数fs1の第2のフィルタFL(z)を用いてフィルタリング処理を行い、デジタル出力信号z(n)を1サンプル出力する。
【0026】
D/A変換部111は、デジタル出力信号z(n)をD/A変換し、出力信号z(t)を生成する。適応化学習処理部107で適応化学習が十分に行われ、第2のフィルタFL(z)が未知システム900を学習同定できていれば、出力信号z(t)は未知システム900の出力信号y(t)と等しくなる。
【0027】
図5は、適応等化器100の第1,2のバッファ105,106への信号データ蓄積処理、適応化学習処理部107および係数変換処理部109の処理、ならびにフィルタ処理部110のフィルタ処理のタイミングを示すタイミングチャートである。図中、TNは、長さNの第1の学習信号x’(n)を第1のバッファ105へ蓄積するために要する時間である。長さNの第2の学習信号y’(n)を第2のバッファ106へ蓄積するために要する時間もTNである。TADPは、長さNの信号データに基づく、適応化学習処理部107の適応化学習処理と係数変換処理部109の係数変換処理に要する時間である。TFは、フィルタ処理部110のフィルタ処理に要する時間である。Tfs1は、第1のサンプリング周波数fs1でのサンプリング周期であり、フィルタ処理はこれより短い時間で処理が完了するため、TF<Tfs1となっている。
【0028】
図5に示すように、フィルタ処理は時間間隔Tfs1毎、即ち第1のサンプリング周波数fs1のサンプリング周期毎に実行される。フィルタ処理と並行して、第1,2のバッファ105,106それぞれへの学習信号の蓄積が単位時間TNをかけて行われ、蓄積の完了をトリガとして適応化学習処理および係数変換処理が実行される。なお、このバックグラウンドでは、再び次の学習信号の蓄積が始まっている。適応化学習処理および係数変換処理は処理時間TADPをかけて実行され、これらの処理が完了すると、フィルタ処理に用いる第2のフィルタFL(z)のフィルタ係数が更新される。このように、学習信号の蓄積、適応化学習処理および係数変換処理、ならびにフィルタ処理は、それぞれが異なるタイミングと処理時間で、並列して実行される。
【0029】
図6は、適応等化器100の第1のサンプリング周波数fs1および第2のサンプリング周波数fs2の設定方法を示す説明図である。第1のサンプリング周波数fs1は、適応等化器100の処理遅延が学習同定対象の未知システム900の遅延よりも十分短くなるように、高めに設定する。この一方で、第2のサンプリング周波数fs2は、そのナイキスト周波数fs2/2が学習同定対象の周波数帯域を含む限りにおいて最小の値に設定する。このように設定すれば、第1のA/D変換部101、フィルタ処理部110およびD/A変換部111は、第1のサンプリング周波数fs1のサンプリング周期で高速に動作するため、処理遅延が短くなる。一方で、適応化学習処理部107は、十分低く抑えられた第2のサンプリング周波数fs2でサンプリングされた信号を扱うため、第1のサンプリング周波数fs1でサンプリングされた信号を扱うよりもデータの規模が小さくなり、演算処理プロセッサの負荷を最小限に抑えることができる。
【0030】
以上のように、実施の形態1によれば、適応等化器100が、第1および第2の入力信号をそれぞれ第1のサンプリング周波数fs1でA/D変換して第1および第2のデジタル入力信号を生成する第1および第2のA/D変換部101,102と、第1および第2のデジタル入力信号をそれぞれ第2のサンプリング周波数fs2にサンプリング変換して第1および第2の学習信号を生成する第1および第2のSRC部103,104と、第1および第2の学習信号を蓄積する第1および第2のバッファ105,106と、残差信号を生成する減算部108と、第1のバッファ105から読み出した第1の学習信号と減算部108が第2の学習信号を基に生成した残差信号に基づいて適応フィルタ係数列の適応化学習同定を行う適応化学習処理部107と、適応化学習処理部107で適応化された適応フィルタ係数列を第1のサンプリング周波数fs1に対応するように変換する係数変換処理部109と、第1の入力信号を適応化フィルタ係数列でフィルタリングして出力信号を生成するフィルタ処理部110と、出力信号をD/A変換してデジタル出力信号を生成するD/A変換部111とを備えるように構成し、第1のサンプリング周波数fs1を第2のサンプリング周波数fs2より高い値に設定するようにした。このため、フィルタ処理部110は十分高く設定された第1のサンプリング周波数fs1によって高速にフィルタ処理を行い、一方、適応化学習処理部107は十分低く設定された第2のサンプリング周波数fs2によって低規模の演算で適応化学習処理を行うことができる。この結果、処理遅延の短い適応等化器を低コストで実現できる。
【0031】
実施の形態2.
図7は、実施の形態2に係る適応等化器200と学習同定対象である未知システム900との接続を示すブロック図である。図7において、適応等化器200には、未知システム900への入力信号x(t)および残差信号e(t)が入力される。ここで、残差信号e(t)は、適応等化器200の外部において、減算部901が、未知システム900の出力信号y(t)と適応等化器200の出力信号z(t)との差分として生成するものである。
【0032】
図7に示すように、未知システム900と適応等化器200のそれぞれの出力信号の差である残差信号が適応等化器200の外部から得られる場合には、未知システム900への入力信号と、残差信号とを適応等化器200への入力信号とすることにより、より学習同定の精度が高くなる場合がある。本実施の形態2では、これを実現する適応等化器200を説明する。
【0033】
図8は、この発明の実施の形態2に係る適応等化器200の構成を示すブロック図であり、図1と同一または相当の部分については同一の符号を付す。適応等化器200が上記実施の形態1の適応等化器100と異なる点は、第2の入力信号が外部で生成された残差信号e(t)である点、および残差信号e(t)を算出するための減算部108に相当する構成要素が省かれている点である。
【0034】
次に、実施の形態2に係る適応等化器200の動作のうち、上記実施の形態1の適応等化器100と異なる部分について、図8を用いて説明する。
先ず、第2のA/D変換部102は、第2の入力信号として入力された残差信号e(t)を、第1のサンプリング周波数fs1でサンプリングしてA/D変換し、第2のデジタル入力信号e(n)を生成する。第2のSRC部104は、第2のA/D変換部102で生成された第2のデジタル入力信号e(n)を第2のサンプリング周波数fs2の信号に変換し、第2の学習信号e’(n)とする。第2の学習信号e’(n)は第2のバッファ106に蓄積され、適応化学習処理部107が蓄積された第2の学習信号e’(n)を直接用いて第1のフィルタHM(z)のフィルタ係数の更新を行う。
【0035】
以上のように、実施の形態2によれば、適応等化器200が、学習同定対象である未知システム900に入力される信号を第1の入力信号として用い、未知システム900から出力された信号と適応等化器が生成した出力信号との差である残差信号を第2の入力信号として用いるように構成した。このため、残差信号が外部から入力される適応等化器200において、この残差信号を用いることにより、高い学習同定精度を実現できる。また、適応等化器200の内部で残差信号を生成する処理を省略できるため、装置規模をより簡素化できる。
【0036】
実施の形態3.
上記実施の形態1では、第1,2のバッファ105,106に所定の長さNの信号データが蓄積される毎の時間間隔TNで適応化学習処理を行う構成としたが、演算処理プロセッサの能力の限界によって適応化学習処理および係数変換処理の所要時間TADPが時間間隔TNを上回る場合が考えられる。この場合には、より長い時間間隔で適応化学習処理を行うように構成してもよい。本実施の形態3では、これを実現する適応等化器を図1を援用して説明する。
【0037】
図9は、実施の形態3に係る適応等化器における第1,2のバッファ105,106への信号データ蓄積処理、適応化学習処理部107および係数変換処理部109の処理、ならびにフィルタ処理部110のフィルタ処理のタイミングを示すタイミングチャートである。図9において図5と同一または相当の部分については同一の符号を付し説明を省略する。
【0038】
図9において、適応化学習処理および係数変換処理に要する時間TADPは、第1,2のバッファ105,106へ長さNの信号データを蓄積するために要する時間TNより長い。このため、第1,2のバッファ105,106に長さNの信号データが蓄積される毎に適応化学習処理および係数変換処理を行うのではなく、適応化学習処理および係数変換処理が完了する毎に第1,2のバッファ105,106から信号データを読み出して、次の処理を行うようにする。このようにすることで、学習信号の蓄積よりも適応化学習処理および係数変換処理に時間を要する場合でも、適応等化器の動作を破綻せずに全うすることができる。
【0039】
ここで、適応化学習処理部107は、前回の適応化学習処理を実行している間に第1,2のバッファ105,106にそれぞれ蓄積された学習信号データの中から、適切な長さNの区間を抽出して、次の適応化学習処理に用いる。適応化学習処理部107は、適切な区間の選択に、例えば有為な信号とノイズの割合であるSN比を基準としてもよいし、より最新の信号データであることを基準としてもよいし、これ以外であっても目的に応じた別の判断基準を用いてもよい。
【0040】
以上のように、実施の形態3によれば、フィルタ処理部110は、第1の入力信号が1サンプル入力される間隔TF毎にフィルタ処理を行って1サンプルの出力信号を生成し、適応化学習処理部107は、自身の適応化学習処理および係数変換処理部109の係数変換処理の所要時間TADP毎に、第1のバッファ105および第2のバッファ106に蓄積された学習信号を読み出すように構成したので、演算処理プロセッサに対する処理負荷を軽減することができる。
【0041】
なお、上述した説明では、上記実施の形態1で示した構成に対して上記実施の形態3を適用する場合を示したが、上記実施の形態2で示した構成に対して適用することも可能であり、この場合でも上記同様の効果が得られる。
【0042】
実施の形態4.
本実施の形態4では、能動騒音制御において好適な適応等化器の使用方法を説明する。図10は、この発明の実施の形態4に係る能動騒音制御装置の構成を示すブロック図である。図10に示す能動騒音制御装置は適応等化器400を備え、この適応等化器400は、上記実施の形態2に係る適応等化器200に学習信号フィルタ部401を追加した構成である。そのため、図10において図8と同一または相当の部分については同一の符号を付し説明を省略する。
【0043】
能動騒音制御装置は、騒音源902の近くに設置されて騒音を騒音信号x(t)として集音する参照マイク402と、適応等化器400の出力信号z(t)を制御音として出力するスピーカ403と、騒音と制御音の合成波を残差信号e(t)として集音するエラーマイク404とを備える。適応等化器400の第1のA/D変換部101は、騒音源902が出力する騒音信号x(t)を第1の出力信号x(t)として受け付ける。また、第2のA/D変換部102は、エラーマイク404が出力する残差信号e(t)を第2の出力信号e(t)として受け付ける。
【0044】
学習信号フィルタ部401は、第1のSRC部103が出力した第1の学習信号x’(n)に対して、スピーカ403からエラーマイク404までの音波の伝達関数C(z)のフィルタを用いて、下式(7)のフィルタ処理を行う。ただし、下式(8)で表す伝達関数C(z)は、予め測定等によって求められ、既知となっているものとする。
【数5】

【0045】
以上の騒音制御装置において、適応等化器400が残差信号e(t)が0に収束するように、即ち騒音が抑制されるように学習同定を行うことで、適応等化器400を用いた騒音制御装置としての機能を実現することができる。
【0046】
ただし、騒音に対する制御音は、騒音が参照マイク402からエラーマイク404に到達するタイミングに合わせて出力する必要がある。即ち、適応等化器400において、第1の入力信号x(t)が入力されてから、これに対する出力信号z(t)が出力されるまでの処理時間が、騒音の到達時間以内に制限される。
この到達時間は、参照マイク402とエラーマイク404の距離が接近するほど短くなる。このため、適応等化器400における第1のサンプリング周波数fs1は、第1の入力信号x(t)が入力されてから出力信号z(t)が出力されるまでの過程の処理、即ち第1のA/D変換部101、フィルタ処理部110、およびD/A変換部111の処理が、騒音の到達時間に間に合うように、十分高く設定する。一方、第2のサンプリング周波数fs2は、制御対象の騒音の帯域を含む範囲でなるべく低く設定することで、演算処理プロセッサに対する余分な負荷を抑えることができる。
【0047】
以上のように、実施の形態4によれば、適応等化器400を能動騒音制御装置に用いるように構成した。このため、適応等化器400を適用した能動騒音制御装置において、適応等化器400の処理遅延を短くする必要がある場合でも、演算規模の増大を抑制し、演算処理プロセッサへの負担を抑えることができる。
【0048】
実施の形態5.
本実施の形態5では、エコーキャンセラにおいて好適な適応等化器の使用方法を説明する。図11は、この発明の実施の形態5に係るエコーキャンセラ装置の構成を示すブロック図である。図11に示すエコーキャンセラ装置は適応等化器500を備え、この適応等化器500には上記実施の形態1に係る適応等化器100を用いることができる。
【0049】
エコーキャンセラ装置は、受話音声信号x(t)を受話音声として出力するスピーカ501と、この受話音声を送話音声信号y(t)として集音するマイク502と、後述する減算部503とを備える。受話音声信号x(t)は、スピーカ501から受話音声として出力されると同時に、適応等化器500へ第1の入力信号x(t)として入力される。これと同時にマイク502で集音された送話音声信号y(t)が、第2の入力信号y(t)として適応等化器500に入力される。
【0050】
適応等化器500は、スピーカ501からマイク502までのエコーの伝達関数の学習同定を行い、第1の入力信号x(t)に対する出力信号z(t)を受話音声信号x(t)に対する推定エコー信号z(t)として用いる。そのため、減算部503が送話音声信号y(t)から推定エコー信号z(t)を引き去れば、送話音声信号のエコーが消去される。
【0051】
ここで、適応等化器500の第1のサンプリング周波数fs1は、エコーキャンセラ装置が扱う通話音声帯域を含むように設定する。一方、第2のサンプリング周波数fs2は、第1のサンプリング周波数fs1より低い値に設定する。一般に、エコーキャンセラ装置における適応等化器の学習同定精度は、周波数が高くなるほど低下し、高域音のエコーに対して十分な消去効果が望めない場合が多い。従って、第2のサンプリング周波数fs2は、必要なエコー消去効果が得られる所定の周波数帯域を含む範囲において低く設定することにより、演算処理プロセッサに対する負荷を抑えることができる。一方で、適応等化器500が推定エコー信号z(t)を低遅延で出力できるため、エコーキャンセラ処理に要する遅延は低く抑えることができる。
【0052】
以上のように、実施の形態5によれば、適応等化器500をエコーキャンセラ装置に用いるように構成した。このため、適応等化器500を適用したエコーキャンセラ装置において、適応等化器500によるエコーの消去効果が望めない高域に対しては、第1の学習信号のサンプリング周波数fs2を低く抑えることによって演算処理プロセッサへの負荷を低く抑えることができる。これと同時に、推定エコー信号を第1のサンプリング周波数fs1によって低遅延で出力することにより、エコーキャンセラ処理に要する処理遅延を低く抑えることができる。
【符号の説明】
【0053】
1 第1のフィルタHM(z)の特性、2a,2b 補間後フィルタH’L(z)の特性、100,200,400,500 適応等化器、101 第1のA/D変換部、102 第2のA/D変換部、103 第1のSRC部、104 第2のSRC部、105 第1のバッファ、106 第2のバッファ、107 適応化学習処理部、108 減算部、109 係数変換処理部、109a 補間部、109b 周波数特性補正部、109c 群遅延補正部、110 フィルタ処理部、111 D/A変換部、401 学習信号フィルタ部、402 参照マイク、403 スピーカ、404 エラーマイク、501 スピーカ、502 マイク、503 減算部、900 未知システム、901 減算部、902 騒音源。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のサンプリング周波数でサンプリングされた第1の入力信号を、第2のサンプリング周波数にサンプリング変換して第1の学習信号を生成する第1のサンプリング周波数変換部と、
前記第1のサンプリング周波数でサンプリングされた第2の入力信号を、前記第2のサンプリング周波数にサンプリング変換して第2の学習信号を生成する第2のサンプリング周波数変換部と、
前記第1および前記第2の学習信号に基づき、適応フィルタ係数列の適応化学習同定を行う適応化学習処理部と、
前記適応化学習処理部で適応化された適応フィルタ係数列を、前記第1のサンプリング周波数に対応するように変換する係数変換処理部と、
前記第1の入力信号を、前記係数変換処理部で変換された適応フィルタ係数列でフィルタリングして、出力信号を生成するフィルタ処理部とを備える適応等化器。
【請求項2】
第1の入力信号は、学習同定対象である未知システムに入力される信号であり、
第2の入力信号は、前記未知システムから出力された信号であることを特徴とする請求項1記載の適応等化器。
【請求項3】
第1の入力信号は、学習同定対象である未知システムに入力される信号であり、
第2の入力信号は、前記未知システムから出力された信号と、適応等化器が生成した出力信号との差である残差信号であることを特徴とする請求項1記載の適応等化器。
【請求項4】
第1のサンプリング周波数は、第2のサンプリング周波数よりも高いことを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載の適応等化器。
【請求項5】
第1のサンプリング周波数は、学習同定対象の遅延に比べ、適応等化器が出力信号の生成に要する処理遅延の方が短くなるように、高い値に設定されることを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載の適応等化器。
【請求項6】
第2のサンプリング周波数は、学習同定対象の周波数帯域を含む範囲において低い値に設定されることを特徴とする請求項1から請求項5のうちのいずれか1項記載の適応等化器。
【請求項7】
係数変換処理部は、
適応化学習処理部で適応化された適応フィルタ係数列に、第1のサンプリング周波数と第2のサンプリング周波数との比に応じた数の補間値を挿入する補間部と、
前記補間部で補間された適応フィルタ係数列に生じた周波数特性上の折り返しを、周波数特性補正フィルタによって除去する周波数特性補正部とを備えることを特徴とする請求項1から請求項6のうちのいずれか1項記載の適応等化器。
【請求項8】
周波数特性補正フィルタは、線形位相FIRローパスフィルタであることを特徴とする請求項7記載の適応等化器。
【請求項9】
周波数特性補正フィルタは、奇数次であり、整数値の群遅延を有することを特徴とする請求項7または請求項8記載の適応等化器。
【請求項10】
係数変換処理部は、周波数特性補正部の周波数特性補正フィルタによって折り返しを除去したときに付加された適応フィルタ係数列の群遅延を除去する群遅延補正部を備えることを特徴とする請求項9記載の適応等化器。
【請求項11】
第1のサンプリング周波数変換部で生成された第1の学習信号を蓄積する第1のバッファと、
第2のサンプリング周波数変換部で生成された第2の学習信号を蓄積する第2のバッファとを備えることを特徴とする請求項1から請求項10のうちのいずれか1項記載の適応等化器。
【請求項12】
フィルタ処理部は、第1のサンプリング周波数でサンプリングされた第1の入力信号が1サンプル入力される毎にフィルタリングして1サンプルの出力信号を生成し、
適応化学習処理部および係数変換処理部は、第1および第2のバッファに所定長の第1および第2の学習信号が蓄積される毎に、当該所定長の第1および第2の学習信号を読み出して処理を行うことを特徴とする請求項11記載の適応等化器。
【請求項13】
フィルタ処理部は、第1のサンプリング周波数でサンプリングされた第1の入力信号が1サンプル入力される毎にフィルタリングして1サンプルの出力信号を生成し、
適応化学習処理部および係数変換処理部は、1回の処理が終わる毎に第1および第2のバッファに蓄積された第1および第2の学習信号を読み出して次の回の処理を行うことを特徴とする請求項11記載の適応等化器。
【請求項14】
第1の入力信号を第1のサンプリング周波数でアナログ−デジタル変換する第1のA/D変換部と、
第2の入力信号を前記第1のサンプリング周波数でアナログ−デジタル変換する第2のA/D変換部とを備えることを特徴とする請求項1から請求項13のうちのいずれか1項記載の適応等化器。
【請求項15】
フィルタ処理部で生成された出力信号を、デジタル−アナログ変換するD/A変換部を備えることを特徴とする請求項1から請求項14のうちのいずれか1項記載の適応等化器。
【請求項16】
能動騒音制御装置に用いられることを特徴とする請求項1、または請求項3から請求項15のうちのいずれか1項記載の適応等化器であって、
前記適応等化器は、
騒音を集音する参照マイクが出力した騒音信号を、第1の入力信号として用いると共に、前記騒音を制御する位置で、前記騒音と、前記適応等化器の出力信号をスピーカから出力した制御音との合成音を集音するエラーマイクが出力した残差信号を第2の入力信号として用い、
第1のサンプリング周波数は、前記スピーカから前記エラーマイクまでの騒音の到達時間に比べ、前記適応等化器が前記出力信号を生成するまでの処理時間の方が短くなるように、高い値に設定されると共に、第2のサンプリング周波数は、前記騒音の周波数帯域を含む範囲において低い値に設定され、
第1のサンプリング周波数変換部で生成された第1の学習信号を、予め測定された前記スピーカから前記エラーマイクまでの音波の伝達関数に基づくフィルタによってフィルタリングする学習信号フィルタ部を備えることを特徴とする適応等化器。
【請求項17】
エコーキャンセラ装置に用いられて、適応等化器の出力信号を推定エコー信号として送話音声信号から引去ることによってエコーを消去することを特徴とする請求項1、請求項2、または請求項4から請求項15のうちのいずれか1項記載の適応等化器であって、
前記適応等化器は、
受話音声信号を第1の入力信号として用いると共に、前記推定エコー信号を引去る前の送話音声信号を第2の入力信号として用い、
第1のサンプリング周波数は、前記受話音声信号の通話音声帯域に合わせて設定されると共に、第2のサンプリング周波数は、前記エコーの消去効果に応じた所定の周波数帯域を含む範囲において、前記第1のサンプリング周波数より低い値に設定されることを特徴とする適応等化器。
【請求項18】
第1のサンプリング周波数でサンプリングされた第1の入力信号を、当該第1のサンプリング周波数より高い値の第2のサンプリング周波数にサンプリング変換して、第1の学習信号を生成する第1のサンプリング周波数変換ステップと、
前記第1のサンプリング周波数でサンプリングされた第2の入力信号を、前記第2のサンプリング周波数にサンプリング変換して第2の学習信号を生成する第2のサンプリング周波数変換ステップと、
前記第1のサンプリング周波数変換ステップで生成された第1の学習信号と、前記第2のサンプリング周波数変換ステップで生成された第2の学習信号に基づき、適応フィルタ係数列の適応化学習同定を行う適応化学習処理ステップと、
前記適応化学習処理ステップで適応化された適応フィルタ係数列を、前記第1のサンプリング周波数に対応するように変換する係数変換処理ステップと、
前記第1の入力信号を、前記係数変換処理ステップで変換された適応フィルタ係数列でフィルタリングして、出力信号を生成するフィルタ処理ステップとを備える適応等化方法。
【請求項19】
第1のサンプリング周波数は、学習同定対象の遅延に比べ、適応等化方法による出力信号の生成に要する処理遅延の方が短くなるように、高い値に設定されることを特徴とする請求項18記載の適応等化方法。
【請求項20】
第2のサンプリング周波数は、学習同定対象の周波数帯域を含む範囲において低い値に設定されることを特徴とする請求項18または請求項19記載の適応等化方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−245629(P2010−245629A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−89337(P2009−89337)
【出願日】平成21年4月1日(2009.4.1)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】