説明

遷移金属錯体の製造方法と前記方法により製造された遷移金属錯体および前記遷移金属錯体を含む触媒組成物

【課題】
【解決手段】本発明は、アミド基が導入されたモノシクロペンタジエニル配位子が配位された新しい遷移金属錯体とその合成方法およびそれを用いたオレフィン重合に関する。本発明に係る遷移金属錯体の製造方法は、保護基を含む化合物を用いて窒素原子の副反応を遮断するステップを含むため、より簡単で且つ高収率で遷移金属錯体を製造することができる。また、本発明に係る遷移金属錯体は、フェニレンブリッジに環状で連結されたアミド基によって金属サイトの周囲が堅固な五角形リング構造で非常に安定に維持され、それにより、構造的に単量体の接近が非常に容易である。前記遷移金属錯体を含む触媒組成物をエチレンと立体障害の大きい単量体間の共重合に適用する場合、高分子量でありながらも線形低密度であるポリオレフィンの他に、高分子量でありながらも密度が0.910g/cc未満である超低密度ポリオレフィン共重合体の製造が可能である。また、反応性も非常に高い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は遷移金属錯体の製造方法と前記方法により製造された遷移金属錯体および前記遷移金属錯体を含む触媒組成物に関する。
【0002】
本出願は2007年1月10日に韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10−2007−003071号の出願日の利益を主張し、その内容の全ては本明細書に含まれる。
【背景技術】
【0003】
Dow社が1990年代初期に[Me2Si(Me45)NtBu]TiCl2(Constrained−Geometry Catalyst:以下、CGCという)を発表しており(米国特許登録第5,064,802号(特許文献1))、エチレンとα−オレフィンの共重合反応において、前記CGCが従来から知られていたメタロセン触媒に比べて優れている側面は、以下のように大きく2つに要約することができる:(1)高い重合温度においても高活性度を示しつつ高分子量の重合体を生成し、(2)1−ヘキセンおよび1−オクテンのような立体障害の大きいα−オレフィンの共重合性も非常に優れているという点である。この他にも、重合反応時、CGCの色々な特性が次第に明らかになることにつれ、その誘導体を合成して重合触媒として用いようとする努力が学界および産業界で活発に行われた。
【0004】
この中の一つのアプローチ法として、シリコンブリッジの代わりに他の様々なブリッジおよび窒素置換体が導入された金属錯体の合成とその重合が試みられた。最近まで知られた代表的な金属錯体を列挙すれば下記化合物(1)〜(4)のようである(Chem.Rev.2003,103,2831(非特許文献1))。
【0005】
【化1】

【0006】
前記化合物(1)〜(4)は、CGC構造のシリコンブリッジの代わりに、リン(1)、エチレンまたはプロピレン(2)、メチリデン(3)、およびメチレン(4)のブリッジが各々導入されているが、エチレン重合またはα−オレフィンとの共重合を適用する時にCGCに比べて活性度または共重合性能などの側面で向上した結果を得ることができなかった。
【0007】
また、他のアプローチ法として、前記CGCのアミド配位子の代わりにオキシド配位子からなる化合物が多く合成され、これを用いた重合も一部試みられた。その例を整理すれば次のようである。
【0008】
【化2】

【0009】
化合物(5)はT.J.Marksなどによって報告された内容であって、Cp(シクロペンタジエン)誘導体とオキシド配位子がオルト−フェニレン基によって架橋されているのが特徴である(Organometallics 1997,16,5958(非特許文献2))。同一の架橋を有している化合物およびそれを用いた重合がMuなどによっても報告された(Organometallics 2004,23,540(非特許文献3))。また、インデニル配位子とオキシド配位子が同一のオルト−フェニレン基によって架橋されているのがRothwellなどによって発表された(Chem.Commun.2003,1034(非特許文献4))。化合物(6)はWhitbyなどが報告した内容であって、炭素3つによってシクロペンタジエニル配位子とオキシド配位子が架橋されているのが特徴であり(Organometallics 1999,18,348(非特許文献5))、このような触媒がシンジオタクチック(syndiotactic)ポリスチレン重合に活性を示すと報告された。また、類似する化合物がHessenなどによっても報告された(Organometallics 1998,17,1652(非特許文献6))。化合物(7)はRauなどが報告したものであって、高温および高圧(210℃、150MPa)においてエチレン重合およびエチレン/1−ヘキセンの共重合に活性を示すのが特徴である(J.Organomet.Chem.2000,608,71(非特許文献7))。また、その後、これと類似する構造の触媒合成(8)およびそれを用いた高温、高圧重合が住友(Sumitomo)社によって特許出願された(米国特許登録第6,548,686号(特許文献2))。
【0010】
しかし、前記試みのうち、実際に商業工場に適用されている触媒はわずかである。よって、より向上した重合性能を示す触媒が要望され、また、このような触媒を簡単に製造する方法も要望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第5,064,802号明細書
【特許文献2】米国特許第6,548,686号明細書
【非特許文献】
【0012】
【特許文献1】Chem.Rev.、2003年,第103巻,p.2831
【特許文献2】Organometallics、1997年,第16巻,p.5958
【特許文献3】Organometallics、2004年,第23巻,p.540
【特許文献4】Chem.Commun.、2003年,p.1034
【特許文献5】Organometallics、1999年,第18巻,p.348
【特許文献6】Organometallics、1998年,第17巻,p.1652
【特許文献7】J.Organomet.Chem.、2000年,第608巻,p.71
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明が達成しようとする第1の技術的課題は新しい遷移金属錯体の製造方法を提供することである。
【0014】
本発明が達成しようとする第2の技術的課題は前記方法により製造された遷移金属錯体を提供することである。
【0015】
本発明が達成しようとする第3の技術的課題は前記遷移金属錯体を含む触媒組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、前記第1の技術的課題を達成するために、
a)下記化学式1で示されるアミン系化合物とアルキルリチウムを反応させた後、保護基(−R0 )を含む化合物を添加して下記化学式2で示される化合物を製造するステップと;
b)前記化学式2で示される化合物とアルキルリチウムを反応させた後、下記化学式3で示されるケトン系化合物を添加して下記化学式4で示されるアミン系化合物を製造するステップと;
c)前記化学式4で示される化合物とn−ブチルリチウムを反応させて下記化学式5で示されるジリチウム化合物を製造するステップ;および
d)前記化学式5で示される化合物とMCl4(M=Ti、Zr、Hf)および有機リチウム化合物を反応させて下記化学式6で示される遷移金属錯体を製造するステップ;を含む遷移金属錯体の製造方法を提供する:
【0017】
【化3】

【0018】
前記式において、
0は保護基であり;
1、R2、R3およびR4は、各々独立に、水素原子;シリルラジカル;炭素数1〜20のアルキルラジカルもしくは炭素数5〜20のアリールラジカル;炭素数2〜20のアルケニルラジカル、炭素数6〜20のアルキルアリールラジカル、または炭素数6〜20のアリールアルキルラジカル;または炭素数1〜20のヒドロカルビルで置換された14族金属のメタロイドラジカルであり;前記R1、R2、R3またはR4のうちの2以上が互いに連結され、炭素数5〜20の脂肪族環または炭素数5〜20の芳香族環を形成してもよく;前記R1、R2、R3およびR4のうちの2以上が炭素数1〜20のアルキルラジカルまたは炭素数5〜20のアリールラジカルを含む炭素数1〜20のアルキリジンラジカルによって互いに連結されて環を形成してもよく;
5、R6、R7およびR8は、各々独立に、水素原子;ハロゲンラジカル;炭素数1〜20のアルキルラジカルまたは炭素数5〜20のアリールラジカルであり;前記R5、R6、R7またはR8のうちの2以上が互いに連結され、炭素数5〜20の脂肪族環または炭素数5〜20の芳香族環を形成してもよく;
9は水素原子;炭素数1〜20の分枝状、直鎖状または環状のアルキルラジカル;または炭素数5〜20のアリールラジカルであり;前記R9はR8と互いに連結され、Nを含む置換もしくは非置換の炭素数5〜20の脂肪族環または炭素数5〜20の芳香族環を形成してもよく;
Mは4族遷移金属であり;
1およびQ2は、各々独立に、ハロゲンラジカル;炭素数1〜20のアルキルアミドラジカル、または炭素数5〜20のアリールアミドラジカル;炭素数1〜20のアルキルラジカル、炭素数2〜20のアルケニルラジカル、炭素数5〜20のアリールラジカル、炭素数6〜20のアルキルアリールラジカルまたは炭素数6〜20のアリールアルキルラジカル;または炭素数1〜20のアルキリデンラジカルである。
【0019】
本発明の一実現例によれば、前記遷移金属錯体の製造方法において、前記保護基を含む化合物は、トリメチルシリルクロライド、ベンジルクロライド、t−ブトキシカルボニルクロライド、ベンジルオキシカルボニルクロライドおよび二酸化炭素などが好ましい。
【0020】
本発明の他の実現例によれば、前記遷移金属錯体の製造方法において、前記保護基を含む化合物が二酸化炭素である場合、前記化学式2で示される化合物が下記化学式2aで示されるリチウムカルバメート化合物であることが好ましい:
【0021】
【化4】

【0022】
前記式において、
5、R6、R7、R8、R9およびR10は前記で定義した通りである。
【0023】
本発明のまた他の実現例によれば、前記遷移金属錯体の製造方法において、前記化学式6の遷移金属錯体は下記化学式7、化学式8または化学式9で示されることが好ましい:
【0024】
【化5】

【0025】
前記式において、
11、R12、R13およびR14は、各々独立に、水素原子;炭素数1〜20のアルキルラジカルまたは炭素数5〜20のアリールラジカル;炭素数2〜20のアルケニルラジカル、炭素数6〜20のアルキルアリールラジカル、または炭素数6〜20のアリールアルキルラジカル;または炭素数1〜20のヒドロカルビルで置換された14族金属のメタロイドラジカルであり;前記R11、R12、R13およびR14のうちの2以上が互いに連結され、炭素数5〜20の脂肪族環または炭素数5〜20の芳香族環を形成してもよく;
15、R16、R17、R18、R19およびR20は、各々独立に、水素原子;ハロゲンラジカル;炭素数1〜20のアルキルラジカルまたは炭素数5〜20のアリールラジカルであり;前記R15、R16、R17、R18、R19およびR20のうちの2以上が互いに連結され、炭素数5〜20の脂肪族環または炭素数5〜20の芳香族環を形成してもよく;
21は水素原子;炭素数1〜20の分枝状、直鎖状または環状のアルキルラジカル;または炭素数5〜20のアリールラジカルであり;
Mは4族遷移金属であり;
3およびQ4は、各々独立に、ハロゲンラジカル;炭素数1〜20のアルキルアミドラジカルまたは炭素数5〜20のアリールアミドラジカル;または炭素数1〜20のアルキルラジカルである。
【0026】
本発明のまた他の実現例によれば、前記遷移金属錯体の製造方法において、前記化学式6の遷移金属錯体は下記構造のうちのいずれか一つで示されることが好ましい。
【0027】
【化6】

【0028】
本発明は、前記第2の技術的課題を達成するために、
下記化学式6の遷移金属錯体を提供する:
【0029】
【化7】

【0030】
前記式において、
1、R2、R3およびR4は、各々独立に、水素原子;シリルラジカル;炭素数1〜20のアルキルラジカルまたは炭素数5〜20のアリールラジカル;炭素数2〜20のアルケニルラジカル、炭素数6〜20のアルキルアリールラジカル、または炭素数6〜20のアリールアルキルラジカル;または炭素数1〜20のヒドロカルビルで置換された14族金属のメタロイドラジカルであり;前記R1、R2、R3およびR4のうちの2以上が互いに連結され、炭素数5〜20の脂肪族環または炭素数5〜20の芳香族環を形成してもよく;前記R1、R2、R3およびR4のうちの2以上が炭素数1〜20のアルキルラジカルまたは炭素数5〜20のアリールラジカルを含む炭素数1〜20のアルキリジンラジカルによって互いに連結されて環を形成してもよく;
5、R6、R7およびR8は、各々独立に、水素原子;ハロゲンラジカル;炭素数1〜20のアルキルラジカルまたは炭素数5〜20のアリールラジカルであり;前記R5、R6、R7およびR8のうちの2以上が互いに連結され、炭素数5〜20の脂肪族環または炭素数5〜20の芳香族環を形成してもよく;
9は水素原子;炭素数1〜20の分枝状、直鎖状または環状のアルキルラジカル;または炭素数5〜20のアリールラジカルであり;前記R9はR8と互いに連結され、Nを含む置換もしくは非置換の炭素数5〜20の脂肪族環または炭素数5〜20の芳香族環を形成してもよく;
Mは4族遷移金属であり;
1およびQ2は、各々独立に、ハロゲンラジカル;炭素数1〜20のアルキルアミドラジカル、または炭素数5〜20のアリールアミドラジカル;炭素数1〜20のアルキルラジカル、炭素数2〜20のアルケニルラジカル、炭素数5〜20のアリールラジカル、炭素数6〜20のアルキルアリールラジカルまたは炭素数6〜20のアリールアルキルラジカル;または炭素数1〜20のアルキリデンラジカルである。
【0031】
本発明の一実現例によれば、前記化学式6の遷移金属錯体は下記化学式7、化学式8または化学式9で示されることが好ましい:
【0032】
【化8】

【0033】
前記式において、
11、R12、R13およびR14は、各々独立に、水素原子;シリルラジカル;炭素数1〜20のアルキルラジカルまたは炭素数5〜20のアリールラジカル;炭素数2〜20のアルケニルラジカル、炭素数6〜20のアルキルアリールラジカル、または炭素数6〜20のアリールアルキルラジカル;または炭素数1〜20のヒドロカルビルで置換された14族金属のメタロイドラジカルであり;前記R11、R12、R13およびR14のうちの2以上が互いに連結され、炭素数5〜20の脂肪族環または炭素数5〜20の芳香族環を形成してもよく;
15、R16、R17、R18、R19およびR20は、各々独立に、水素原子;ハロゲンラジカル;炭素数1〜20のアルキルラジカルまたは炭素数5〜20のアリールラジカルであり;前記R15、R16、R17、R18、R19およびR20のうちの2以上が互いに連結され、炭素数5〜20の脂肪族環または炭素数5〜20の芳香族環を形成してもよく;
21は水素原子;炭素数1〜20の分枝状、直鎖状または環状のアルキルラジカル;または炭素数5〜20のアリールラジカルであり;
3およびQ4は、各々独立に、ハロゲンラジカル;炭素数1〜20のアルキルアミドラジカルまたは炭素数5〜20のアリールアミドラジカル;または炭素数1〜20のアルキルラジカルであり;
Mは4族遷移金属である。
【0034】
本発明の他の実現例によれば、前記化学式6の遷移金属錯体は下記構造のうちのいずれか一つで示されることが好ましい;
【0035】
【化9】

【0036】
また、本発明は、前記第2の技術的課題を達成するために、
下記化学式4のアミン系化合物を提供する:
【0037】
【化10】

【0038】
前記式において、
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8およびR9は前記で定義した通りである。
【0039】
本発明は、前記第3の技術的課題を達成するために、
下記化学式6で示される遷移金属錯体;および
下記化学式10、化学式11および化学式12で示される化合物からなる群から選択された1以上の助触媒化合物;
を含むことを特徴とする触媒組成物を提供する:
【0040】
【化11】

【0041】
前記式において、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、Q1およびQ2は前記で定義した通りである。
【0042】
<化学式10>
−[Al(R22)−O]a
前記式において、R22は、各々独立に、ハロゲンラジカル;炭素数1〜20のヒドロカルビルラジカル;またはハロゲンで置換された炭素数1〜20のヒドロカルビルラジカルであり;aは2以上の整数であり;
<化学式11>
D(R223
前記式において、Dはアルミニウムまたはボロンであり;R22は各々独立に前記で定義した通りであり;
<化学式12>
[L−H]+[Z(A)4-または[L]+[Z(A)4-
前記式において、Lは中性または陽イオン性ルイス酸であり;Hは水素原子であり;Zは13族元素であり;Aは各々独立に1以上の水素原子が置換基で置換された炭素数6〜20のアリールラジカルまたは炭素数1〜20のアルキルラジカルであり;前記置換基はハロゲン、炭素数1〜20のヒドロカルビル、炭素数1〜20のアルコキシ、または炭素数6〜20のアリールオキシラジカルである。
【0043】
本発明の一実現例によれば、前記触媒組成物において、前記化学式6の遷移金属錯体は下記化学式7、化学式8または化学式9で示されることが好ましい:
【0044】
【化12】

【0045】
前記式において、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、Q3およびQ4は前記で定義した通りである。
【0046】
本発明の他の実現例によれば、前記触媒組成物において、前記化学式6の遷移金属錯体は下記構造のうちのいずれか一つで示されることが好ましい:
【0047】
【化13】

【0048】
本発明のまた他の実現例によれば、前記触媒組成物において、前記化学式6の遷移金属錯体に対して前記化学式10または化学式11で示される化合物のモル比は1:2〜1:5000であり、前記化学式6の遷移金属錯体に対して前記化学式12で示される化合物のモル比は1:1〜1:25であることが好ましい。
【0049】
本発明に係る遷移金属錯体の製造方法は、ボロン酸などを用いる従来の遷移金属錯体の製造方法とは異なり、保護基を含む化合物を用いて窒素原子の副反応を遮断するステップを含むため、より簡単で且つ高収率で遷移金属錯体を製造することができる。
【発明の効果】
【0050】
本発明に係る遷移金属錯体の製造方法は、保護基を含む化合物を用いて窒素原子の副反応を遮断するステップを含むため、より簡単で且つ高収率で遷移金属錯体を製造することができる。
【0051】
また、本発明に係る遷移金属錯体は、フェニレンブリッジに環状で連結されたアミド基によって金属サイトの周囲が堅固な五角形リング構造で非常に安定に維持され、それにより、構造的に単量体の接近が非常に容易である。
【0052】
前記遷移金属錯体を含む触媒組成物をエチレンと立体障害の大きい単量体間の共重合に適用する場合、高分子量でありながらも線形低密度であるポリオレフィンの他に、高分子量でありながらも密度が0.910g/cc未満である超低密度ポリオレフィン共重合体の製造が可能である。また、反応性も非常に高い。
【発明を実施するための形態】
【0053】
以下では本発明をより具体的に説明する。
【0054】
本発明は、前記第1の技術的課題を達成するために、
a)下記化学式1で示されるアミン系化合物とリチウムを反応させた後、保護基(−R0 )を含む化合物を添加して下記化学式2で示される化合物を製造するステップと;
b)前記化学式2で示される化合物とリチウムを反応させた後、下記化学式3で示されるケトン系化合物を添加して下記化学式4で示されるアミン系化合物を製造するステップと;
c)前記化学式4で示される化合物とn−ブチルリチウムを反応させて下記化学式5で示されるジリチウム化合物を製造するステップ;および
d)前記化学式5で示される化合物とMCl4(M=Ti、Zr、Hf)および有機リチウム化合物を反応させて下記化学式6で示される遷移金属錯体を製造するステップ;を含む遷移金属錯体の製造方法を提供する:
【0055】
【化14】

【0056】
前記式において、
0、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、M、Q1およびQ2は前記で定義した通りである。
【0057】
前記遷移金属錯体の製造方法においては、前記化学式1で示されるアミン化合物に窒素原子の保護基を導入した後、シクロペンタジエニル基を導入する反応を進行させ、その後、前記窒素原子に導入された保護基を除去して遷移金属錯体を製造する。
【0058】
前記保護基を含む化合物は、トリメチルシリルクロライド、ベンジルクロライド、t−ブトキシカルボニルクロライド、ベンジルオキシカルボニルクロライドおよび二酸化炭素などが好ましい。
【0059】
よって、前記保護基はトリメチルシリル基、ベンジル基、t−ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基および−C(=O)O-などが好ましい。
【0060】
特に、前記保護基を含む化合物が二酸化炭素である場合、前記化学式2で示される化合物は下記化学式2aで示されるリチウムカルバメート化合物である。
【0061】
【化15】

【0062】
前記式において、
5、R6、R7、R8、R9およびR10は前記で定義した通りである。
【0063】
前記リチウムカルバメート化合物においては温度の調節により二酸化炭素を容易に除去することができる。よって、前記化学式1で示される遷移金属錯体を製造する時に二酸化炭素を導入する製造方法は、反応物内に存在する窒素原子による副反応がなく、遷移金属錯体を高収率で製造できる簡単で且つ効率の良い方法である。
【0064】
前記遷移金属錯体の製造方法において、前記化学式6の遷移金属錯体は下記化学式7、化学式8または化学式9で示されることが好ましい:
【0065】
【化16】

【0066】
前記式において、
11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、M、Q3およびQ4は前記で定義した通りである。
【0067】
また、前記遷移金属錯体の製造方法において、前記化学式6の遷移金属錯体は下記構造のうちのいずれか一つで示されることがより好ましい;
【0068】
【化17】

【0069】
前記具体的な化合物を製造する方法の一実現例は下記反応式1〜反応式2で表すことができる。
【0070】
【化18】

【0071】
前記反応式1において、R16およびR20は水素またはメチルなどが好ましく、Cp’はテトラメチルシクロペンタノン、インデノン、またはフルオレノンなどが好ましく、Cp’’はテトラメチルシクロペンタジエニル、インデニル、またはフルオレニルなどが好ましく、nは0または1である。
【0072】
【化19】

【0073】
前記反応式2において、R3はエチルまたはイソプロピルなどが好ましく、Cp’はテトラメチルシクロペンタノン、インデノン、またはフルオレノンなどが好ましく、Cp’’はテトラメチルシクロペンタジエニル、インデニル、またはフルオレニルなどが好ましい。
【0074】
前記反応式に対するより具体的な内容は実施例に記載されている。
【0075】
本発明は、前記第2の技術的課題を達成するために、
下記化学式6の遷移金属錯体を提供する:
【0076】
【化20】

【0077】
前記式において、
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、M、Q1およびQ2は前記で定義した通りである。
【0078】
前記化学式6の遷移金属錯体は、フェニレンブリッジに環状で連結されているアミド基が導入されたシクロペンタジエニル配位子によって金属サイトが連結されており、構造的にCp−M−N角度は狭く、モノマーが接近するQ1−M−Q2角度は広く維持する特徴を有する。また、シリコンブリッジによって連結されたCGC構造とは異なり、前記化学式6で示される化合物構造においては、環状の結合によってCp、フェニレンブリッジ、窒素および金属サイトが順に連結され、より安定で堅固な5角形のリング構造をなす。したがって、このような化合物をメチルアルミノキサンまたはB(C653のような助触媒と反応させて活性化した後にオレフィン重合に適用する時、高い重合温度においても高活性、高分子量および高共重合性などの特徴を有するポリオレフィンを生成することができる。特に、触媒の構造的な特徴上、密度0.910〜0.930g/cc程度の線形低密度ポリエチレンだけでなく、多量のα−オレフィンを導入することができるために密度0.910g/cc未満の超低密度ポリオレフィン共重合体も製造することができる。また、シクロペンタジエニル・リングおよびキノリン系リングに様々な置換体を導入することができ、これは、窮極的に金属周囲の電子的、立体的環境を容易に制御することにより、生成されるポリオレフィンの構造および物性などを調節することができる。前記本発明の化合物はオレフィン単量体の重合用触媒を製造するのに用いることが好ましいが、それに限定されず、その他の前記遷移金属錯体が用いられ得るあらゆる分野に適用可能である。
【0079】
具体的には、前記化学式6の遷移金属錯体において、金属周囲の電子的、立体的環境の制御のためにより好ましい化合物としては下記化学式7、化学式8または化学式9で示される化合物である:
【0080】
【化21】

【0081】
前記式において、
具体的には、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、M、Q3およびQ4は前記で定義した通りである。
【0082】
また、前記化学式6の遷移金属錯体としてより好ましい化合物は下記構造のうちのいずれか一つで示される化合物である。
【0083】
【化22】

【0084】
また、本発明は、前記第2の技術的課題を達成するために、
下記化学式4のアミン系化合物を提供する:
【0085】
【化23】

【0086】
前記式において、
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8およびR9は前記で定義した通りである。
【0087】
前記化学式4のアミン系化合物は本発明の遷移金属錯体の製造時に得られる中間体であるが、前記化合物は他の用途としても使用可能である。
【0088】
本発明は、前記第3の技術的課題を達成するために、
下記化学式6で示される遷移金属錯体;および
下記化学式10、化学式11および化学式12で示される化合物からなる群から選択された1以上の助触媒化合物;を含むことを特徴とする触媒組成物を提供する:
【0089】
【化24】

【0090】
前記式において、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、Q1およびQ2は前記で定義した通りである。
【0091】
<化学式10>
−[Al(R22)−O]a
前記式において、R22は、各々独立に、ハロゲンラジカル;炭素数1〜20のヒドロカルビルラジカル;またはハロゲンで置換された炭素数1〜20のヒドロカルビルラジカルであり;aは2以上の整数であり;
<化学式11>
D(R223
前記式において、Dはアルミニウムまたはボロンであり;R22は各々独立に前記で定義した通りであり;
<化学式12>
[L−H]+[Z(A)4-または[L]+[Z(A)4-
前記式において、Lは中性または陽イオン性ルイス酸であり;Hは水素原子であり;Zは13族元素であり;Aは各々独立に1以上の水素原子が置換基で置換された炭素数6〜20のアリールラジカルまたは炭素数1〜20のアルキルラジカルであり;前記置換基はハロゲン、炭素数1〜20のヒドロカルビル、炭素数1〜20のアルコキシ、または炭素数6〜20のアリールオキシラジカルである。
【0092】
前記本発明の触媒組成物は様々なオレフィン重合に用いることができる。
【0093】
前記触媒組成物において、前記化学式6の遷移金属錯体は、下記化学式7、化学式8または化学式9で示される化合物であることが好ましい:
【0094】
【化25】

【0095】
前記式において、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、Q3およびQ4は前記で定義した通りである。
【0096】
より具体的には、前記触媒組成物において、前記化学式6の遷移金属錯体は下記構造のうちのいずれか一つで示されることが好ましい:
【0097】
【化26】

【0098】
また、本発明は、前記触媒組成物を製造する方法として、
第1に、前記化学式6で示される遷移金属錯体と前記化学式10または化学式11で示される化合物を接触させて混合物を得るステップ;および前記混合物に前記化学式12で示される化合物を添加するステップを含む製造方法を提供する。
【0099】
また、第2に、前記化学式6で示される遷移金属錯体と前記化学式12で示される化合物を接触させて触媒組成物を製造する方法を提供する。
【0100】
前記触媒組成物の製造方法のうちの第1方法の場合、前記化学式6の遷移金属錯体に対して前記化学式10または化学式11で示される化合物のモル比は各々1:2〜1:5,000が好ましく、より好ましくは1:10〜1:1,000であり、最も好ましくは1:20〜1:500である。
【0101】
一方、前記化学式6の遷移金属錯体に対して前記化学式12で示される化合物のモル比は1:1〜1:25が好ましく、より好ましくは1:1〜1:10であり、最も好ましくは1:1〜1:5である。
【0102】
前記化学式6の遷移金属錯体に対する前記化学式10または化学式11で示される化合物のモル比が1:2未満である場合には、アルキル化剤の量が極めて小さいために金属化合物のアルキル化が完全に行われない問題があり、1:5,000を超過する場合には、金属化合物のアルキル化は行われるが、残っていた過量のアルキル化剤と前記化学式12の活性化剤間の副反応により、アルキル化した金属化合物の活性化が完全に行われない問題がある。また、前記遷移金属錯体に対する前記化学式12で示される化合物のモル比が1:1未満である場合には、活性化剤の量が相対的に少ないために金属化合物の活性化が完全に行われず、生成される触媒組成物の活性度が落ちる問題があり、1:25を超過する場合には、金属化合物の活性化は完全に行われるが、過量の活性化剤が残り、触媒組成物の単価が経済的ではなく、生成される高分子の純度が落ちる問題がある。
【0103】
前記触媒組成物の製造方法のうちの第2方法の場合、前記化学式6の遷移金属錯体に対して化学式12で示される化合物のモル比は1:10〜1:10,000が好ましく、より好ましくは1:100〜1:5,000であり、最も好ましくは1:500〜1:2,000である。前記モル比が1:10未満である場合には、活性化剤の量が相対的に少ないために金属化合物の活性化が完全に行われず、生成される触媒組成物の活性度が落ちる問題があり、1:10,000を超過する場合には、金属化合物の活性化は完全に行われるが、過量の活性化剤が残り、触媒組成物の単価が経済的ではなく、生成される高分子の純度が落ちる問題がある。
【0104】
前記活性化組成物の製造時、反応溶媒としてペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどのような炭化水素系溶媒、またはベンゼン、トルエンなどのような芳香族系溶媒を用いることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではなく、当該技術分野において使用できるあらゆる溶媒を用いることができる。
【0105】
また、前記化学式6の遷移金属錯体と助触媒はシリカやアルミナに担持された形態で利用することもできる。
【0106】
前記化学式10で示される化合物はアルキルアルミノキサンであれば特に限定されず、好ましい例としてはメチルアルミノキサン、エチルアルミノキサン、イソブチルアルミノキサン、ブチルアルミノキサンなどが挙げられ、特に好ましい化合物はメチルアルミノキサンである。
【0107】
前記化学式11で示される化合物は特に限定されず、好ましい例としてはトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、ジメチルクロロアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ−s−ブチルアルミニウム、トリシクロペンチルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリイソペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、エチルジメチルアルミニウム、メチルジエチルアルミニウム、トリフェニルアルミニウム、トリ−p−トリルアルミニウム、ジメチルアルミニウムメトキシド、ジメチルアルミニウムエトキシド、トリメチルボロン、トリエチルボロン、トリイソブチルボロン、トリプロピルボロン、トリブチルボロンなどが含まれ、特に好ましい化合物はトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムのうちから選択される。
【0108】
前記化学式12で示される化合物の例としてはトリエチルアンモニウムテトラフェニルボロン、トリブチルアンモニウムテトラフェニルボロン、トリメチルアンモニウムテトラフェニルボロン、トリプロピルアンモニウムテトラフェニルボロン、トリメチルアンモニウムテトラ(p−トリル)ボロン、トリメチルアンモニウムテトラ(o,p−ジメチルフェニル)ボロン、トリブチルアンモニウムテトラ(p−トリフルオロメチルフェニル)ボロン、トリメチルアンモニウムテトラ(p−トリフルオロメチルフェニル)ボロン、トリブチルアンモニウムテトラペンタフルオロフェニルボロン、N,N−ジエチルアニリニウムテトラフェニルボロン、N,N−ジエチルアニリニウムテトラフェニルボロン、N,N−ジエチルアニリニウムテトラペンタフルオロフェニルボロン、ジエチルアンモニウムテトラペンタフルオロフェニルボロン、トリフェニルホスホニウムテトラフェニルボロン、トリメチルホスホニウムテトラフェニルボロン、トリエチルアンモニウムテトラフェニルアルミニウム、トリブチルアンモニウムテトラフェニルアルミニウム、トリメチルアンモニウムテトラフェニルアルミニウム、トリプロピルアンモニウムテトラフェニルアルミニウム、トリメチルアンモニウムテトラ(p−トリル)アルミニウム、トリプロピルアンモニウムテトラ(p−トリル)アルミニウム、トリエチルアンモニウムテトラ(o,p−ジメチルフェニル)アルミニウム、トリブチルアンモニウムテトラ(p−トリフルオロメチルフェニル)アルミニウム、トリメチルアンモニウムテトラ(p−トリフルオロメチルフェニル)アルミニウム、トリブチルアンモニウムテトラペンタフルオロフェニルアルミニウム、N,N−ジエチルアニリニウムテトラフェニルアルミニウム、N,N−ジエチルアニリニウムテトラフェニルアルミニウム、N,N−ジエチルアニリニウムテトラペンタフルオロフェニルアルミニウム、ジエチルアンモニウムテトラペンタテトラフェニルアルミニウム、トリフェニルホスホニウムテトラフェニルアルミニウム、トリメチルホスホニウムテトラフェニルアルミニウム、トリエチルアンモニウムテトラフェニルアルミニウム、トリブチルアンモニウムテトラフェニルアルミニウム、トリメチルアンモニウムテトラフェニルボロン、トリプロピルアンモニウムテトラフェニルボロン、トリメチルアンモニウムテトラ(p−トリル)ボロン、トリプロピルアンモニウムテトラ(p−トリル)ボロン、トリエチルアンモニウムテトラ(o,p−ジメチルフェニル)ボロン、トリメチルアンモニウムテトラ(o,p−ジメチルフェニル)ボロン、トリブチルアンモニウムテトラ(p−トリフルオロメチルフェニル)ボロン、トリメチルアンモニウムテトラ(p−トリフルオロメチルフェニル)ボロン、トリブチルアンモニウムテトラペンタフルオロフェニルボロン、N,N−ジエチルアニリニウムテトラフェニルボロン、N,N−ジエチルアニリニウムテトラフェニルボロン、N,N−ジエチルアニリニウムテトラペンタフルオロフェニルボロン、ジエチルアンモニウムテトラペンタフルオロフェニルボロン、トリフェニルホスホニウムテトラフェニルボロン、トリフェニルカルボニウムテトラ(p−トリフルオロメチルフェニル)ボロン、トリフェニルカルボニウムテトラペンタフルオロフェニルボロンなどが挙げられる。
【0109】
前記化学式6の遷移金属錯体;および化学式10〜化学式12で示される化合物から選択される一つ以上の化合物を含む触媒組成物を一つ以上のオレフィン単量体と接触させてポリオレフィンホモ重合体または共重合体を製造することができる。
【0110】
前記活性化触媒組成物を用いた最も好ましい製造工程は溶液工程であり、また、このような組成物をシリカのような無機担体と共に用いるとスラリーまたは気相工程にも適用することができる。
【0111】
製造工程において、前記活性化触媒組成物は、オレフィン重合工程に好適な炭素数5〜12の脂肪族環炭化水素溶媒、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、ノナン、デカン、およびこれらの異性体と、トルエン、ベンゼンのような芳香族炭化水素溶媒、ジクロロメタン、クロロベンゼンのような塩素原子で置換された炭化水素溶媒などに溶解するか薄めて注入することができる。ここに用いられる溶媒は少量のアルキルアルミニウムを処理することによって触媒毒として作用する少量の水または空気などを除去して用いることが好ましく、助触媒をさらに用いて実施することもできる。
【0112】
前記金属化合物と助触媒を用いて重合可能なオレフィン系単量体の例としてはエチレン、α−オレフィン、環状オレフィンなどが挙げられ、二重結合を2つ以上有しているジエン−オレフィン系単量体またはトリエン−オレフィン系単量体なども重合可能である。前記単量体の具体的な例としてはエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−エイコセン、ノルボルネン、ノルボルナジエン、エチリデンノルボルネン、フェニルノルボルネン、ビニルノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1,4−ブタジエン、1,5−ペンタジエン、1,6−ヘキサジエン、スチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、3−クロロメチルスチレンなどが挙げられ、これらの単量体を2種以上混合して共重合することもできる。
【0113】
特に、本発明の製造方法において、前記触媒組成物は、90℃以上の高い反応温度においても、エチレンと1−オクテンのような立体障害の大きい単量体の共重合反応において、高い分子量を有しつつも高分子密度0.910g/cc未満の超低密度共重合体の製造が可能であるという特徴を有する。
【0114】
本発明の明細書において、「Nを含む置換もしくは非置換の炭素数5〜20の脂肪族環または炭素数5〜20の芳香族環」に用いられる置換基は、水素原子;シリルラジカル;炭素数1〜20のアルキルラジカルまたは炭素数5〜20のアリールラジカルが好ましい。
【0115】
また、本発明の明細書において、前記「シリルラジカル」はトリメチルシリルまたはトリエチルシリルが好ましい。
【実施例】
【0116】
以下、下記実施例に基づいて本発明をより具体的に説明する。但し、これらの実施例は本発明の理解を助けるためのものであって、本発明の範囲がこれらによって限定されることはない。
【0117】
[配位子および遷移金属錯体の合成]
有機試薬および溶媒はアルドリッチ(Aldrich)社とメルク(Merck)社から購入し、標準方法により精製して用いた。合成の全ステップにおいて、空気と水分の接触を遮断して実験の再現性を高めた。化合物の構造を立証するために、400MHz核磁気共鳴器(NMR)およびX線分光器を利用してスペクトルと図式を各々得た。
【0118】
[実施例1]
8−(2,3,4,5−テトラメチル−1,3−シクロペンタジエニル)−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン(化合物3a)(8−(2,3,4,5−Tetramethyl−1,3−cyclopentadienyl)−1,2,3,4−tetrahydroquinoline)の製造
1,2,3,4−テトラヒドロキノリン(13.08g、98.24mmol)とジエチルエーテル(150mL)をシュレンクフラスコに入れた。ドライアイスとアセトンで作った−78℃低温槽に前記シュレンクフラスコを入れて30分間攪拌した。次に、n−BuLi(n−ブチルリチウム、39.3mL、2.5M、98.24mmol)を窒素雰囲気下で注射器を用いて投入し、淡い黄色のスラリーが形成された。次に、フラスコを2時間攪拌した後、生成されたブタンガスを除去し、フラスコの温度を常温に上げた。フラスコを再び−78℃低温槽に入れて温度を下げた後にCO2ガスを投入した。二酸化炭素ガスを投入することにより、スラリーがなくなりつつ透明な溶液となった。フラスコをバブラー(bubbler)に連結して二酸化炭素ガスを除去しながら温度を常温に上げた。その後、真空下で余分のCO2ガスと溶媒を除去した。ドライボックスにフラスコを移した後、ペンタンを加えて激しく攪拌した後に濾過して、白色固体化合物のリチウムカルバメート(化合物2a)を得た。前記白色固体化合物はジエチルエーテルが配位結合されている。この時の収率は100%である。
【0119】
1H NMR(C6D6,C5D5N):δ1.90(t,J=7.2 Hz,6H,ether),1.50(br s,2H,quin−CH2),2.34(br s,2H,quin−CH2),3.25(q,J=7.2 Hz,4H,ether),3.87(br,s,2H,quin−CH2),6.76(br d,J=5.6 Hz,1H,quin−CH)ppm.13C NMR(C6D6):δ24.24,28.54,45.37,65.95,121.17,125.34,125.57,142.04,163.09(C=O)ppm。
【0120】
前記で製造されたリチウムカルバメート化合物(化合物2a)(8.47g、42.60mmol)をシュレンクフラスコに入れた。次に、テトラヒドロフラン(4.6g、63.9mmol)とジエチルエーテル45mLを順に入れた。アセトンと少量のドライアイスで作った−20℃低温槽に前記シュレンクフラスコを入れて30分間攪拌した後、tert−BuLi(25.1mL、1.7M、42.60mmol)を入れた。この時、反応混合物の色が赤色に変わった。−20℃を維持し続けながら6時間攪拌した。テトラヒドロフランに溶けているCeCl3・2LiCl溶液(129mL、0.33M、42.60mmol)とテトラメチルシクロペンタノン(5.89g、42.60mmol)を注射器の中で混ぜた後、窒素雰囲気下でフラスコに投入した。フラスコの温度を常温に徐々に上げ、1時間後に恒温槽を除去し、温度を常温に維持した。次に、前記フラスコに水(15mL)を添加した後、エチルアセテートを入れて濾過して濾液を得た。この濾液を分別漏斗に移した後、塩酸(2N、80mL)を入れて12分間振った。次に、飽和した炭酸水素ナトリウム水溶液(160mL)を入れて中和した後に有機層を抽出した。この有機層に無水硫酸マグネシウムを入れて水分を除去し濾過した後、その濾液を取り、溶媒を除去した。得られた濾液をヘキサンとエチルアセテート(v/v、10:1)溶媒を用いてカラムクロマトグラフィー方法により精製して黄色のオイルを得た。収率は40%であった。
【0121】
1H NMR(C6D6):δ1.00(br d,3H,Cp−CH3),1.63−1.73(m,2H,quin−CH2),1.80(s,3H,Cp−CH3),1.81(s,3H,Cp−CH3),1.85(s,3H,Cp−CH3),2.64(t,J=6.0 Hz,2H,quin−CH2),2.84−2.90(br,2H,quin−CH2),3.06(br s,1H,Cp−H),3.76(br s,1H,N−H),6.77(t,J=7.2 Hz,1H,quin−CH),6.92(d,J=2.4 Hz,1H,quin−CH),6.94(d,J=2.4 Hz,1H,quin−CH)ppm。
【0122】
[実施例2]
[(1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−8−イル)テトラメチルシクロペンタジエニル−eta5,kapa−N]チタニウムジメチル(化合物5a)([(1,2,3,4−Tetrahydroquinolin−8−yl)tetramethylcyclopentadienyl−eta5,kapa−N]titanium dimethyl)の製造
ドライボックスの中において、前記実施例1で製造された化合物3a(8.07g、32.0mmol)とジエチルエーテル140mLを丸底フラスコに入れた後、−30℃に温度を下げ、n−BuLi(17.7g、2.5M、64.0mmol)を攪拌しながら徐々に入れた。温度を常温に上げながら6時間反応させた。その次、ジエチルエーテルで何回も洗浄して濾過し、固体を得た。真空をかけ、残っていた溶媒を除去し、黄色固体のジリチウム化合物(化合物4a)(9.83g)を得た。収率は95%であった。
【0123】
1H NMR(C6D6,C5D5N):δ2.38(br s,2H,quin−CH2),2.53(br s,12H,Cp−CH3),3.48(br s,2H,quin−CH2),4.19(br s,2H,quin−CH2),6.77(t,J=6.8 Hz,2H,quin−CH),7.28(br s,1H,quin−CH),7.75(br s,1H,quin−CH)ppm。
【0124】
ドライボックスの中において、TiCl4・DME(4.41g,15.76mmol)とジエチルエーテル(150mL)を丸底フラスコに入れ、−30℃で攪拌しながらMeLi(21.7mL、31.52mmol、1.4M)を徐々に入れた。15分間攪拌した後、前記で製造された[(1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−8−イル)テトラメチルシクロペンタジエニル−eta5,kapa−N]ジリチウム化合物(化合物4a)([(1,2,3,4−Tetrahydroquinolin−8−yl)tetramethylcyclopentadienyl−eta5,kapa−N]dilithium)(5.30g、15.76mmol)をフラスコに入れた。温度を常温に上げながら3時間攪拌した。反応が終わった後、真空をかけて溶媒を除去し、ペンタンに溶かした後に濾過して濾液を取った。真空をかけてペンタンを除去し、濃い茶色の化合物(3.70g)を得た。収率は71.3%であった。
【0125】
1H NMR(C6D6):δ0.59(s,6H,Ti−CH3),1.66(s,6H,Cp−CH3),1.69(br t,J=6.4 Hz,2H,quin−CH2),2.05(s,6H,Cp−CH3),2.47(t,J=6.0 Hz,2H,quin−CH2),4.53(m,2H,quin−CH2),6.84(t,J=7.2 Hz,1H,quin−CH),6.93(d,J=7.6 Hz,quin−CH),7.01(d,J=6.8 Hz,quin−CH)ppm.13C NMR(C6D6):δ12.12,23.08,27.30,48.84,51.01,119.70,119.96,120.95,126.99,128.73,131.67,136.21ppm。
【0126】
[実施例3]
5−インデニル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン(化合物3b)(5−Indenyl−1,2,3,4−tetrahydroquinoline)の製造
テトラメチルシクロペンタノンの代わりにインデノンを用いたことを除いては、実施例1の製造方法と同じ方法により製造し、カラムクロマトグラフィーでヘキサン:エチルアセテート(v/v、20:1)溶媒を用いて精製して黄色のオイルを得た。収率は49%であった。
【0127】
1H NMR(C6D6):δ1.58−1.64(m,2H,quin−CH2),2.63(t,J=6.8 Hz,2H,quin−CH2),2.72−2.77(m,2H,quin−CH2),3.17(d,J=2.4 Hz,2H,indenyl−CH2),3.85(br s,1H,N−H),6.35(t,J=2.0 Hz,1H,indenyl−CH),6.76(t,J=7.6 Hz,1H,quin−CH),6.98(d,J=7.2 Hz,1H,quin−CH),7.17(td,J=1.6,7.2 Hz,1H,quin−CH),7.20(td,J=1.6,7.2 Hz,2H,indenyl−CH),7.34(d,J=7.2 Hz,1H,indenyl−CH),7.45(dd,J=1.2,6.8 Hz,1H,indenyl−CH)ppm.13C NMR(C6D6):δ12.12,23.08,27.30,48.84,51.01,119.70,119.96,120.95,126.99,128.73,131.67,136.21ppm。
【0128】
[実施例4]
[(1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−8−イル)インデニル−eta5,kapa−N]チタニウムジメチル(化合物5b)([(1,2,3,4−Tetrahydroquinolin−8−yl)indenyl−eta5,kapa−N]titanium dimethyl)の製造
8−(2,3,4,5−テトラメチル−1,3−シクロペンタジエニル)−1,2,3,4−テトラヒドロキノリンの代わりに5−インデニル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリンを用い、実施例2の製造方法と同様にジリチウム化合物(化合物4b)を製造した。収率は95%であった。
【0129】
1H NMR(C6D6):δ2.02(t,J=4.8 Hz,2H,quin−CH2),3.15(t,J=5.6 Hz,2H,quin−CH2),3.94(br s,2H,quin−CH2),6.31(t,J=7.2 Hz,1H,indenyl−CH),6.76−6.83(m,2H,quin−CH),6.99(t,J=7.2,2.0 Hz,2H,quin−CH),7.48(d,J=7.2 Hz,2H,indenyl−CH),8.02(t,J=8.0 Hz,2H,indenyl−CH)ppm.
前記で製造されたリチウム塩化合物(化合物4b)を用いて前記実施例2と同じ方法によりチタニウム化合物(化合物5b)を製造した。収率は47%であった。
【0130】
1H NMR(C6D6):δ−0.01(s,3H,Ti−CH3),0.85(s,3H,Ti−CH3),1.56−1.68(m,2H,quin−CH2),2.43(t,J=6.4 Hz,2H,quin−CH2),6.30(d,J=3.6 Hz,1H,indenyl−CH),6.61(d,J=3.6 Hz,1H,indenyl−CH),6.70(ddd,J=0.8,6.8,8.4 Hz,1H,indenyl−CH),6.85(t,J=7.6 Hz,1H,quin−CH),6.95(tt,J=0.8,6.8 Hz,1H,quin−CH),7.01(tdd,J=0.8,6.8,8.4 Hz,2H,indenyl−CH),7.13−7.17(m,1H,quin−CH),7.48(d,J=8.4 Hz,1H,indenyl−CH)ppm.13C NMR(C6D6):δ22.83,27.16,49.35,55.12,58.75,103.36,119.63,120.30,123.18,125.26,125.60,127.18,127.36,127.83,129.13,129.56,135.10,161.74ppm。
【0131】
[実施例5]
5−フルオレニル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン(3c)(5−Fluorenyl−1,2,3,4−tetrahydroquinoline)の製造
テトラメチルシクロペンタノンの代わりにフルオレノンを用いたことを除いては、実施例1の製造方法と同様であり、カラムクロマトグラフィーでヘキサン:エチルアセテート(v/v、20:1)溶媒を用いて精製し、再びジエチルエーテルで再結晶して黄色の固体化合物を得た。収率は56%であった。
【0132】
1H NMR(C6D6):δ1.20(t,J=7.6 Hz,2H,quin−CH2),1.71(s,1H,xx),2.29(s,2H,quin−CH2),2.38(t,J=6.0 Hz,2H,quin−CH2),2.64(s,1H,quin−CH2),2.72(s,2H,quin−CH2),2.30(s,1H,N−H),3.82(s,0.5H,N−H),4.81(s,1H,quin−CH),6.42(d,J=7.2 Hz,2H,quin−CH),6.81(t,J=7.2 Hz,1H,quin−CH),6.94(dd,J=1.2,7.2 Hz,1H,quin−CH),7.10(d,J=7.6 Hz,2H,fluorenyl−CH),7.23(t,J=7.2 Hz,2H,fluorenyl−CH),7.32(d,J=7.6 Hz,2H,fluorenyl−CH),7.42(d,J=6.8 Hz,1H,quin−CH),7.67(d,J=7.2 Hz,2H,fluorenyl−CH)ppm。
【0133】
[実施例6]
[(1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−8−イル)フルオレニル−eta5,kapa−N]チタニウムジメチル(化合物5c)([(1,2,3,4−Tetrahydroquinolin−8−yl)fluorenyl−eta5,kapa−N]titanium dimethyl)の製造
8−(2,3,4,5−テトラメチル−1,3−シクロペンタジエニル)−1,2,3,4−テトラヒドロキノリンの代わりに5−フルオレニル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリンを用いたことを除いては、実施例2の製造方法と同様にジリチウム化合物(化合物4c)を製造した。収率は94%であった。
【0134】
1H NMR(C6D6):δ2.17(s,2H,quin−CH2),3.29−2.26(m,2H,quin−CH2),4.11(br s,2H,quin−CH2),6.31(t,J=7.2 Hz,1H,quin−CH),6.91(t,J=7.6 Hz,2H,fluorenyl−CH),6.99(d,J=7.2 Hz,1H,quin−CH),7.12(t,J=6.8 Hz,2H,fluorenyl−CH),7.58(dd,J=1.2,7.6 Hz,1H,quin−CH),8.15(d,J=8.0 Hz,2H,fluorenyl−CH),8.57(d,J=8.0 Hz,2H,fluorenyl−CH)ppm。
【0135】
前記で製造されたリチウム塩化合物(化合物4c)を用いて前記実施例2と同じ方法によりチタニウム化合物を製造した。収率は47%であった。
【0136】
1H NMR(C6D6):δ0.14(s,6H,Ti−CH3),1.56−1.68(m,2H,quin−CH2),2.48(t,J=6.4 Hz,2H,quin−CH2),4.18−4.30(m,2H,quin−CH2),6.88−6.96(m,3H,CH),7.04(d,J=7.6 Hz,1H,quin−CH),7.10(ddd,J=1.2,6.8,8.4 Hz,2H,fluorenyl−CH),7.17(dd,J=0.8,8.4 Hz,2H,fluorenyl−CH),7.28(d,J=7.2 Hz,1H,quin−CH),7.94(dd,J=0.8,8.4 Hz,2H,fluorenyl−CH)ppm.13C NMR(C6D6):δ14.54,22.76,27.26,48.58,59.65,111.21,118.69,118.98,120.17,123.34,123.67,126.16,126.42,127.75,129.29,129.41,137.28,160.63ppm。
【0137】
[実施例7]
7−(2,3,4,5−テトラメチル−1,3−シクロペンタジエニル)インドリン(化合物3d)(7−(2,3,4,5−Tetramethyl−1,3−cyclopentadienyl)indoline)の製造
1,2,3,4−テトラヒドロキノリンの代わりにインドリンを用いたことを除いては、実施例1の製造方法と同じ方法により製造し、ヘキサン:エチルアセテート(v/v、20:1)溶媒を用いてカラムクロマトグラフィーで黄色のオイルを得た。収率は15%であった。
【0138】
1H NMR(C6D6):δ0.99(d,J=7.6 Hz,1H,Cp−CH),1.82(s,3H,Cp−CH3),1.87(s,6H,Cp−CH3),2.68−2.88(m,2H,ind−CH2),2.91−2.99(m,1H,Cp−CH),3.07−3.16(m,3H,ind−CH2 N−H),6.83(t,J=7.4 Hz,1H,ind−CH),6.97(d,J=7.6 Hz,1H,ind−CH),7.19(d,J=6.8 Hz,1H,ind−CH)ppm。
【0139】
[実施例8]
[(インドリン−7−イル)テトラメチルシクロペンタジエニル−eta5,kapa−N]チタニウムジメチル(化合物5d)([(Indolin−7−yl)tetramethylcyclopentadienyl−eta5,kapa−N]titanium dimethyl)の製造
8−(2,3,4,5−テトラメチル−1,3−シクロペンタジエニル)−1,2,3,4−テトラヒドロキノリンの代わりに7−(2,3,4,5−テトラメチル−1,3−シクロペンタジエニル)インドリンを用いたことを除いては、実施例2の製造方法と同様にチタニウム化合物を製造した。収率は71%であった。
【0140】
1H NMR(C6D6):δ0.69(s,6H,Ti−CH3),1.71(s,6H,Cp−CH3),2.04(s,6H,Cp−CH3),2.73(t,J=8.0 Hz,2H,ind−CH2),4.67(t,J=8.0 Hz,2H,ind−CH2),6.82(t,J=7.2 Hz,1H,ind−CH),7.00(t,J=7.2 Hz,2H,ind−CH)ppm.13C NMR(C6D6):δ12.06,12.15,32.24,54.98,56.37,120.57,120.64,121.54,124.02,126.52,126.81,136.75ppm。
【0141】
[実施例9]
2−メチル−8−(2,3,4,5−テトラメチル−1,3−シクロペンタジエニル)−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン(化合物3e)(2−Methyl−8−(2,3,4,5−tetramethyl−1,3−cyclopentadienyl)−1,2,3,4−tetrahydroquinoline)の製造
1,2,3,4−テトラヒドロキノリンの代わりに2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン(5.02g、34.1mmol)を用いたことを除いては、前記実施例1の製造方法と同じ方法により製造し、収率は51%であった。
【0142】
1H NMR(CDCl3):δ6.89(d,J=7.2Hz,1H,CH),δ6.74(d,J=7.2Hz,1H,CH),δ6.57(t,J=7.4Hz,1H,CH),δ3.76(br s,1H,NH),δ3.45(br s,1H,Cp−CH),δ3.32(m,1H,quinoline−CH),δ3.09−2.70(m,2H,quinoline−CH2),δ1.91(s,3H,Cp−CH3),δ1.87(s,3H,Cp−CH3),δ1.77(s,3H,Cp−CH3),δ1.67−1.50(m,2H,quinoline−CH2),δ1.17(d,J=6.4Hz,3H,quinoline−CH3),δ0.93(d,J=7.6Hz,3H,Cp−CH3)ppm。
【0143】
[実施例10]
[(2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−8−イル)テトラメチルシクロペンタ−ジエニル−eta5,kapa−N]チタニウム(lV)ジメチル(化合物5e)([(2−Methyl−1,2,3,4−tetrahydroquinolin−8−yl)tetramethylcyclopenta−dienyl−eta5,kapa−N]titanium dimethyl)の製造
8−(2,3,4,5−テトラメチル−1,3−シクロペンタジエニル)−1,2,3,4−テトラヒドロキノリンの代わりに2−メチル−8−(2,3,4,5−テトラメチル−1,3−シクロペンタジエニル)−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン(4.66g、17.4mmol)を用いたことを除いては、前記実施例2と同じ方法により、1.17当量のジエチルエーテルが配位された淡い黄色の固体のジリチウム塩化合物(化合物4e)を得た(4.92g、77%)。
【0144】
1H NMR(Pyridine−d8):δ7.37(br s,1H,CH),δ7.05(d,J=6Hz,1H,CH),δ6.40(t,J=6.8Hz,1H,CH),δ3.93(br s,1H,CH),δ3.27(m,1H,CH),δ3.06(m,1H,CH),δ2.28−2.07(m,12H,Cp−CH3),δ1.99(m,1H,CH),δ1.78(m,1H,CH),δ1.18(d,J=5.6Hz,quinoline−CH3)ppm。
【0145】
前記で製造されたジリチウム塩化合物(化合物4e)(1.00g、2.73mmol)を用いて前記実施例2と同じ方法によりチタニウム化合物を製造した(0.56g、60%)。
【0146】
1H NMR(CDCl3):δ6.95(d,J=8Hz,1H,CH),δ6.91(d,J=8Hz,1H,CH),δ6.73(t,J=8Hz,1H,CH),δ5.57(m,1H,CH),δ2.83(m,1H,CH)、δ2.55(m,1H,CH),δ2.24(s,3H,Cp−CH3),δ2.20(s,3H,Cp−CH3),δ1.94−1.89(m,1H,CH),δ1.83−1.75(m,1H,CH),δ1.70(s,3H,Cp−CH3),δ1.60(s,3H,Cp−CH3),δ1.22(d,J=6.8Hz,3H,quinoline−CH3),δ0.26(d,J=6.8Hz,6H,TiMe2−CH3)ppm。
【0147】
[実施例11]
6−メチル−8−(2,3,4,5−テトラメチル−1,3−シクロペンタジエニル)−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン(化合物3f)(6−Methyl−8−(2,3,4,5−tetramethyl−1,3−cyclopentadienyl)−1,2,3,4−tetrahydroquinoline)の製造
1,2,3,4−テトラヒドロキノリンの代わりに6−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン(5.21g、35.4mmol)を用いたことを除いては、前記実施例1の製造方法と同じ方法により製造し、収率は34%であった。
【0148】
1H NMR(CDCl3):δ6.70(s,1H,CH),δ6.54(s,1H,CH),δ3.71(br s,1H,NH),δ3.25−3.05(m,3H,Cp−CH,quinoline−CH2),δ2.76(t,J=6.4Hz,2H,quinoline−CH2),δ2.19(s,3H,CH3),δ1.93−1.86(m,2H,quinoline−CH2),δ1.88(s,3H,Cp−CH3),δ1.84(s,3H,Cp−CH3),δ1.74(s,3H,Cp−CH3),δ0.94(br d,J=6.8Hz,3H,Cp−CH3)ppm。
【0149】
[実施例12]
[(6−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−8−イル)テトラメチルシクロペンタ−ジエニル−eta5,kapa−N]チタニウムジメチル(化合物5f)[(6−Methyl−1,2,3,4−tetrahydroquinolin−8−yl)tetramethylcyclopenta−dienyl−eta5,kapa−N]titanium dimethylの製造
8−(2,3,4,5−テトラメチル−1,3−シクロペンタジエニル)−1,2,3,4−テトラヒドロキノリンの代わりに6−メチル−8−(2,3,4,5−テトラメチル−1,3−シクロペンタジエニル)−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン(3.23g、12.1mmol)を用いたことを除いては、前記実施例2と同じ方法により、1.15当量のジエチルエーテルが配位された淡い黄色の固体のジリチウム塩化合物(化合物4f)を得た(2.56g、58%)。
【0150】
1H NMR(Pyridine−d8):δ7.02(br s,1H,CH),δ6.81(s,1H,CH),δ3.94(m,2H,CH2),δ3.19(m,2H,CH2),δ2.52−2.10(m,17H,CH2,quinoline−CH3,Cp−CH3)ppm。
【0151】
前記で製造されたジリチウム塩化合物(化合物4f)(1.50g、4.12mmol)を用いて前記実施例2と同じ方法によりチタニウム化合物を製造した(0.817g、58%)。
1H NMR(C6D6):δ6.87(s,1H,CH),δ6.72(s,1H,CH),δ4.57(m,2H,CH2),δ2.45(t,J=6.2Hz,2H,CH2),δ2.24(s,3H,quinoline−CH3),δ2.05(s,6H,Cp−CH3),δ1.72−1.66(m,2H,CH2),δ1.69(s,6H,Cp−CH3),δ0.57(s,6H,TiMe2−CH3)ppm。
【0152】
[実施例13]
2−メチル−7−(2,3,4,5−テトラメチル−1,3−シクロペンタジエニル)インドリン(化合物3g)(2−Methyl−7−(2,3,4,5−tetramethyl−1,3−cyclopentadienyl)indoline)の製造
1,2,3,4−テトラヒドロキノリンの代わりに2−メチルインドリン(6.23g、46.8mmol)を用いたことを除いては、前記実施例1と同じ方法により製造した。収率は19%であった。
【0153】
1H NMR(CDCl3):δ6.97(d,J=7.2Hz,1H,CH),δ6.78(d,J=8Hz,1H,CH),δ6.67(t,J=7.4Hz,1H,CH),δ3.94(m,1H,quinoline−CH),δ3.51(br s,1H,NH),δ3.24−3.08(m,2H,quinoline−CH2,Cp−CH),δ2.65(m,1H,quinoline−CH2),δ1.89(s,3H,Cp−CH3),δ1.84(s,3H,Cp−CH3),δ1.82(s,3H,Cp−CH3),δ1.13(d,J=6Hz,3H,quinoline−CH3),δ0.93(3H,Cp−CH3)ppm。
【0154】
[実施例14]
[(2−メチルインドリン−7−イル)テトラメチルシクロペンタジエニル−eta5,kapa−N]チタニウムジメチル(化合物5g)([(2−Methylindolin−7−yl)tetramethylcyclopentadienyl−eta5,kapa−N]titanium dimethyl)の製造
8−(2,3,4,5−テトラメチル−1,3−シクロペンタジエニル)−1,2,3,4−テトラヒドロキノリンの代わりに2−メチル−7−(2,3,4,5−テトラメチル−1,3−シクロペンタジエニル)−インドリン(2.25g、8.88mmol)を用いたことを除いては、前記実施例2と同じ方法により、0.58当量のジエチルエーテルが配位されたジリチウム塩化合物(化合物4g)を得た(1.37g、50%)。
【0155】
1H NMR(Pyridine−d8):δ7.22(br s,1H,CH),δ7.18(d,J=6Hz,1H,CH),δ6.32(t,1H,CH),δ4.61(br s,1H,CH),δ3.54(m,1H,CH),δ3.00(m,1H,CH),δ2.35−2.12(m,13H,CH,Cp−CH3),δ1.39(d,indoline−CH3)ppm。
【0156】
前記で製造されたジリチウム塩化合物(化合物4g)(1.37g、4.44mmol)を用いて前記実施例2と同じ方法によりチタニウム化合物を製造した。
【0157】
1H NMR(C6D6):δ7.01−6.96(m,2H,CH),δ6.82(t,J=7.4Hz,1H,CH),δ4.96(m,1H,CH),δ2.88(m,1H,CH),δ2.40(m,1H,CH),δ2.02(s,3H,Cp−CH3),δ2.01(s,3H,Cp−CH3),δ1.70(s,3H,Cp−CH3),δ1.69(s,3H,Cp−CH3),δ1.65(d,J=6.4Hz,3H,indoline−CH3),δ0.71(d,J=10Hz,6H,TiMe2−CH3)ppm。
【0158】
[実施例15]
N,N’−1−(2,3,4,5−テトラメチル−1,3−シクロペンタジエニル)フェニルエチルアミン(化合物3h)(N,N’−1−(2,3,4,5−Tetramethyl−1,3−cyclopentadienyl)phenylethylamine)の製造
1,2,3,4−テトラヒドロキノリンの代わりに2−メチルインドリン(6.23g、46.8mmol)を用いたことを除いては、前記実施例1と同じ方法により製造した。カラムクロマトグラフィーに用いられた溶媒はヘキサン:エチルアセテート(v/v、20:1)であり、黄色のオイルを得た。収率は45%であった。
【0159】
1H NMR(C6D6):δ0.88(t,J=6.4 Hz,3H,Et−CH3),0.99(d,J=7.7 Hz,3H,Cp−CH3),1.77(s,3H,Cp−CH3),1.79(s,3H,Cp−CH3),1.83(s,3H,Cp−CH3),2.79−2.94(m,2H,Et−CH2),3.05(br m,1H,Cp−CH),3.74(br m,1H,N−H),6.66(d,J=8.0 Hz,1H,Ph−H),6.84(t,J=7.2 Hz,1H,Ph−H),7.07(dd,J=1.2 7.2 Hz,1H,Ph−H),7.25(t,J=7.2 Hz,1H,Ph−H)ppm。
【0160】
[実施例16]
[フェニレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(エチルアミド)]チタニウムジメチル(化合物5h)([Phenylene(tetramethylcyclopentadienyl)(ethylamido)]titanium dimethyl)の製造
8−(2,3,4,5−テトラメチル−1,3−シクロペンタジエニル)−1,2,3,4−テトラヒドロキノリンの代わりにN,N’−1−(2,3,4,5−テトラメチル−1,3−シクロペンタジエニル)フェニルエチルアミンを用いたことを除いては、前記実施例2と同じ方法により、0.58当量のジエチルエーテルが配位されたジリチウム塩化合物(化合物4h)を得た。収率は82%であった。
【0161】
1H NMR(C6D6,C5D5N):δ1.25(br s,3H,Et−CH3),2.03(br s,6H,Cp−CH3),2.18(br s,6H,Cp−CH3),3.43(br s,2H,Et−CH2),6.40(br s,1H,Ph−H),6.65(br s,1H,Ph−H),7.27(br s,1H,Ph−H),7.53(br s,1H,Ph−H)ppm.13C NMR(C6D6,C5D5N):δ11.63,12.16,18.90,45.15,104.50,105.82,106.41,131.28,163.39ppm。
【0162】
前記で製造されたジリチウム塩化合物(化合物4h)を用いて前記実施例2と同じ方法によりチタニウム化合物を製造した。収率は66%であった。
【0163】
1H NMR(C6D6):δ0.56(s,6H,Ti−CH3),1.20(t,J=7.2 Hz,3H,Et−CH3),1.58(s,6H,Cp−CH3),2.03(s,6H,Cp−CH3),4.48(q,J=7.2 Hz,2H,Et−CH2),6.27(d,J=8.0 Hz,1H,Ph−H),6.88(t,J=7.2 Hz,1H,Ph−H),7.12(d,J=7.2 Hz,1H,Ph−H),7.20(t,J=7.2 Hz,1H,Ph−H)ppm.13C NMR(C6D6):δ12.03,12.09,14.14,41.29,50.89,108.60,119.82,121.12,128.70,129.27,136.08,163.40ppm。
【0164】
[実施例17]
N,N’−1−(2,3,4,5−テトラメチル−1,3−シクロペンタジエニル)フェニル−iso−プロピルアミン(化合物3i)(N,N’−1−(2,3,4,5−Tetramethyl−1,3−cyclopentadienyl)phenyl−iso−propylamine)の製造
1,2,3,4−テトラヒドロキノリンの代わりに2−メチルインドリン(6.23g、46.8mmol)を用いたことを除いては、前記実施例1と同じ方法により製造した。カラムクロマトグラフィーに用いられた溶媒はヘキサン:トルエン(v/v,2:1)であり、黄色のオイルを得た。収率は16%であった。
【0165】
1H NMR(C6D6):δ0.91(d,J=6.0 Hz,2H,Cp−CH3),0.94−1.05(m,6H,iPr−CH3),1.76(s,3H,Cp−CH3),1.80(s,3H,Cp−CH3),1.82(s,3H,Cp−CH3),3.02(br m,1H,Cp−CH),3.37−3.50(m,1H,iPr−CH),3.74(br s,1H,N−H),6.66(d,J=8.0 Hz,1H,Ph−CH),6.81(t,J=7.2 Hz,1H,Ph−CH),7.06(dd,J=1.6 7.2 Hz,1H,Ph−CH),7.23(t,J=7.2 Hz,1H,Ph−CH)ppm。
【0166】
[実施例18]
[フェニレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(iso−プロピルアミド)]チタニウムジメチル(化合物5i)([Phenylene(tetramethylcyclopentadienyl)(iso−propylamido)]titanium dimethyl)の製造
8−(2,3,4,5−テトラメチル−1,3−シクロペンタジエニル)−1,2,3,4−テトラヒドロキノリンの代わりにN,N’−1−(2,3,4,5−テトラメチル−1,3−シクロペンタジエニル)フェニル−iso−プロピルアミンを用いたことを除いては、前記実施例2と同じ方法によりジリチウム塩化合物(化合物4i)を製造した。収率は87%であった。
【0167】
1H NMR(C6D6,C5D5N):δ1.21(br s,6H,iPr−CH3),1.89(br s,6H,Cp−CH3),2.14(br s,6H,Cp−CH3),3.84(br s,1H,iPr−CH),6.34(br s,1H,Ph−CH),6.68(br s,1H,Ph−CH),7.21−7.57(br m,2H,Ph−CH)ppm.13C NMR(C6D6,C5D5N):δ11.49,12.11,26.06,47.54,103.81,106.55,108.42,131.60,162.49ppm。
【0168】
前記で製造されたジリチウム塩化合物(化合物4i)を用いて前記実施例2と同じ方法によりチタニウム化合物を製造した。収率は77%であった。
【0169】
[比較例1]
ジメチルシリル(t−ブチルアミド)(テトラメチルシクロペンタジエニル)チタニウムジクロライド(化合物33)の製造
ジメチルシリル(t−ブチルアミド)(テトラメチルシクロペンタジエニル)チタニウムジクロライド遷移金属錯体を米国のBoulder Scientific社から入手してそのまま用いた。
【0170】
[エチレン共重合]
[実施例19]
高圧力エチレンと1−ブテンの共重合
2Lオートクレーブ反応器にヘキサン(1.0L)溶媒と適正量の1−ブテンコモノマーを満たした。反応器を重合温度150℃に加熱し、エチレンを約35barで飽和させた。適正量のトリイソブチルアルミニウム化合物で処理されたチタニウム遷移金属錯体(1.0μmol、Al/Ti=25)(化合物5a)とジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート助触媒溶液(B/Ti=5)を触媒注入シリンダーに満たした後、反応器中に注入した。重合反応は、10分間反応器内の圧力を34bar〜35barに維持するためにエチレンを注入し続けながら進行した。反応熱は反応器内部の冷却コイルを通して除去し、重合温度を可能な限り一定に維持した。重合反応後、高分子溶液は反応器の下部に排出され、過量のエタノールを加えて冷却させた。得られた高分子は真空オーブンで12時間以上乾燥された。実験結果は表1に示す。
【0171】
[実施例20]〜[実施例28]
高圧力エチレンと1−ブテンの共重合
前記実施例2で製造された遷移金属錯体5aの代わりに前記実施例で製造された遷移金属錯体(化合物5b、5c、5d、5e、5f、5g、5h、5i)を用いたことを除いては、前記実施例19と同じ方法により共重合を行った。但し、実施例28の場合には重合温度が120℃であった。実験結果は下記表1に示す。
【0172】
[比較例2]〜[比較例3]
高圧力エチレンと1−ブテンの共重合
前記実施例2で製造された化合物5aの代わりに前記比較例1で入手した遷移金属錯体(化合物33)を用いたことを除いては、前記実施例19と同じ方法により共重合を行った。但し、比較例3の場合には重合温度が120℃であった。実験結果は下記表1に示す。
【0173】
[物性評価(重さ、活性度、溶融指数、融点、密度)]
高分子の溶融指数(Melt Index、MI)はASTM D−1238(条件E、190℃、2.16Kg荷重)で測定した。高分子の融点(Tm)はTA社で製造した示差走査熱量計(DSC:Differential Scanning Calorimeter 2920)を利用して得た。すなわち、温度を200℃に上げた後に5分間その温度を維持し、次に30℃に下げ、再び温度を上げて、DSC曲線の頂点を融点として測定した。この時、温度の上昇と下降の速度は10℃/minであり、融点は2番目の温度が上昇する間に得られた。
【0174】
また、高分子の密度(Density)は酸化防止剤(1,000ppm)を処理したサンプルを180℃プレス成形(Press Mold)により厚さ3mm、半径2cmのシートを製作し、10℃/minで冷却し、メツラー(Mettler)秤で測定した。
【0175】
前記実施例19〜28および比較例2および3で得られた共重合体の各種物性を測定して下記表1に示す。
【0176】
【表1】

【0177】
前記表1に示すように、本発明の実施例の遷移金属錯体は、1−ブテンとエチレンの共重合においては、比較例の遷移金属錯体に比べて、多くの場合、相対的に高い分子量と低い密度を有する共重合体を提供した。
【0178】
したがって、本発明に係る遷移金属錯体は、1−ブテンのような立体障害の大きいオレフィンモノマーに対する反応性が相対的に優れていることが分かる。
【0179】
特に、実施例19、23および24に用いられた遷移金属錯体(化合物5a、5eおよび5f)は、比較例に用いられた遷移金属錯体(化合物33)に比べて同等乃至向上した触媒活性を示した。また、120℃の重合においても、実施例19、23および24に用いられた遷移金属錯体(化合物5a、5eおよび5f)は、比較例に用いられた遷移金属錯体(化合物33)に比べて、より高い触媒活性を示し、得られる共重合体の分子量がより高く、密度もより低かった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)下記化学式1で示されるアミン系化合物とアルキルリチウムを反応させた後、保護基(−R0 )を含む化合物を添加して下記化学式2で示される化合物を製造するステップと;
b)前記化学式2で示される化合物とアルキルリチウムを反応させた後、下記化学式3で示されるケトン系化合物を添加して下記化学式4で示されるアミン系化合物を製造するステップと;
c)前記化学式4で示される化合物とn−ブチルリチウムを反応させて下記化学式5で示されるジリチウム化合物を製造するステップ;および
d)前記化学式5で示される化合物とMCl4(M=Ti、Zr、Hf)および有機リチウム化合物を反応させて下記化学式6で示される遷移金属錯体を製造するステップ;を含む遷移金属錯体の製造方法:
【化27】

前記式において、
0は保護基であり;
1、R2、R3およびR4は、各々独立に、水素原子;シリルラジカル;炭素数1〜20のアルキルラジカルもしくは炭素数5〜20のアリールラジカル;炭素数2〜20のアルケニルラジカル、炭素数6〜20のアルキルアリールラジカル、もしくは炭素数6〜20のアリールアルキルラジカル;または炭素数1〜20のヒドロカルビルで置換された14族金属のメタロイドラジカルであり;前記R1、R2、R3またはR4のうちの2以上が互いに連結され、炭素数5〜20の脂肪族環または炭素数5〜20の芳香族環を形成してもよく;前記R1、R2、R3またはR4のうちの2以上が炭素数1〜20のアルキルラジカルまたは炭素数5〜20のアリールラジカルを含む炭素数1〜20のアルキリジンラジカルによって互いに連結されて環を形成してもよく;
5、R6、R7およびR8は、各々独立に、水素原子;ハロゲンラジカル;炭素数1〜20のアルキルラジカルまたは炭素数5〜20のアリールラジカルであり;前記R5、R6、R7またはR8のうちの2以上が互いに連結され、炭素数5〜20の脂肪族環または炭素数5〜20の芳香族環を形成してもよく;
9は水素原子;炭素数1〜20の分枝状もしくは直鎖状のアルキルラジカル;または炭素数5〜20のアリールラジカルであり;
Mは4族遷移金属であり;
1およびQ2は、各々独立に、ハロゲンラジカル;炭素数1〜20のアルキルアミドラジカル、もしくは炭素数5〜20のアリールアミドラジカル;炭素数1〜20のアルキルラジカル、炭素数2〜20のアルケニルラジカル、炭素数5〜20のアリールラジカル、炭素数6〜20のアルキルアリールラジカルもしくは炭素数6〜20のアリールアルキルラジカル;または炭素数1〜20のアルキリデンラジカルである。
【請求項2】
前記保護基を含む化合物は、トリメチルシリルクロライド、ベンジルクロライド、t−ブトキシカルボニルクロライド、ベンジルオキシカルボニルクロライドおよび二酸化炭素からなる群から選択された一つの化合物であることを特徴とする、請求項1に記載の遷移金属錯体の製造方法。
【請求項3】
前記保護基を含む化合物が二酸化炭素である場合、前記化学式2で示される化合物が下記化学式2aで示されるリチウムカルバメート化合物であることを特徴とする、請求項1に記載の遷移金属錯体の製造方法:
【化28】

前記式において、
5、R6、R7、R8、R9およびR10は前記請求項1で定義した通りである。
【請求項4】
前記化学式6の遷移金属錯体は下記化学式9で示されることを特徴とする、請求項1に記載の遷移金属錯体の製造方法:
【化29】

前記式において、
11、R12、R13およびR14は、各々独立に、水素原子;炭素数1〜20のアルキルラジカルもしくは炭素数5〜20のアリールラジカル;炭素数2〜20のアルケニルラジカル、炭素数6〜20のアルキルアリールラジカル、もしくは炭素数6〜20のアリールアルキルラジカル;または炭素数1〜20のヒドロカルビルで置換された14族金属のメタロイドラジカルであり;前記R11、R12、R13またはR14のうちの2以上が互いに連結され、炭素数5〜20の脂肪族環または炭素数5〜20の芳香族環を形成してもよく;
15、R16、R17およびR18は、各々独立に、水素原子;ハロゲンラジカル;炭素数1〜20のアルキルラジカルまたは炭素数5〜20のアリールラジカルであり;前記R15、R16、R17、およびR18のうちの2以上が互いに連結され、炭素数5〜20の脂肪族環または炭素数5〜20の芳香族環を形成してもよく;
21は水素原子;炭素数1〜20の分枝状、直鎖状もしくは環状のアルキルラジカル;または炭素数5〜20のアリールラジカルであり;
Mは4族遷移金属であり;
3およびQ4は、各々独立に、ハロゲンラジカル;炭素数1〜20のアルキルアミドラジカルもしくは炭素数5〜20のアリールアミドラジカル;または炭素数1〜20のアルキルラジカルである。
【請求項5】
前記化学式6の遷移金属錯体 は下記構造のうちのいずれか一つで示されることを特徴とする、請求項1に記載の遷移金属錯体の製造方法;
【化30】

【請求項6】
下記化学式6で示される遷移金属錯体:
【化31】

前記式において、
1、R2、R3およびR4は、各々独立に、水素原子;シリルラジカル;炭素数1〜20のアルキルラジカルもしくは炭素数5〜20のアリールラジカル;炭素数2〜20のアルケニルラジカル、炭素数6〜20のアルキルアリールラジカル、もしくは炭素数6〜20のアリールアルキルラジカル;または炭素数1〜20のヒドロカルビルで置換された14族金属のメタロイドラジカルであり;前記R1、R2、R3またはR4のうちの2以上が互いに連結され、炭素数5〜20の脂肪族環または炭素数5〜20の芳香族環を形成してもよく;前記R1、R2、R3またはR4のうちの2以上が炭素数1〜20のアルキルラジカルまたは炭素数5〜20のアリールラジカルを含む炭素数1〜20のアルキリジンラジカルによって互いに連結されて環を形成してもよく;
5、R6、R7およびR8は、各々独立に、水素原子;ハロゲンラジカル;炭素数1〜20のアルキルラジカルまたは炭素数5〜20のアリールラジカルであり;前記R5、R6、R7またはR8のうちの2以上が互いに連結され、炭素数5〜20の脂肪族環または炭素数5〜20の芳香族環を形成してもよく;
9は水素原子;炭素数1〜20の分枝状もしくは直鎖状のアルキルラジカル;または炭素数5〜20のアリールラジカルであり;
Mは4族遷移金属であり;
1およびQ2は、各々独立に、ハロゲンラジカル;炭素数1〜20のアルキルアミドラジカル、もしくは炭素数5〜20のアリールアミドラジカル;炭素数1〜20のアルキルラジカル、炭素数2〜20のアルケニルラジカル、炭素数5〜20のアリールラジカル、炭素数6〜20のアルキルアリールラジカルもしくは炭素数6〜20のアリールアルキルラジカル;または炭素数1〜20のアルキリデンラジカルである。
【請求項7】
前記遷移金属錯体は下記化学式9で示されることを特徴とする、請求項6に記載の遷移金属錯体:
【化32】

前記式において、
11、R12、R13およびR14は、各々独立に、水素原子;シリルラジカル;炭素数1〜20のアルキルラジカルもしくは炭素数5〜20のアリールラジカル;炭素数2〜20のアルケニルラジカル、炭素数6〜20のアルキルアリールラジカル、もしくは炭素数6〜20のアリールアルキルラジカル;または炭素数1〜20のヒドロカルビルで置換された14族金属のメタロイドラジカルであり;前記R11、R12、R13またはR14のうちの2以上が互いに連結され、炭素数5〜20の脂肪族環または炭素数5〜20の芳香族環を形成してもよく;
15、R16、R17およびR18は、各々独立に、水素原子;ハロゲンラジカル;炭素数1〜20のアルキルラジカルまたは炭素数5〜20のアリールラジカルであり;前記R15、R16、R17およびR18のうちの2以上が互いに連結され、炭素数5〜20の脂肪族環または炭素数5〜20の芳香族環を形成してもよく;
21は水素原子;炭素数1〜20の分枝状、直鎖状もしくは環状のアルキルラジカル;または炭素数5〜20のアリールラジカルであり;
Mは4族遷移金属であり;
3およびQ4は、各々独立に、ハロゲンラジカル;炭素数1〜20のアルキルアミドラジカルもしくは炭素数5〜20のアリールアミドラジカル;または炭素数1〜20のアルキルラジカルである。
【請求項8】
前記遷移金属錯体は下記構造のうちのいずれか一つで示されることを特徴とする、請求項6に記載の遷移金属錯体;
【化33】

【請求項9】
下記化学式4で示されるアミン系化合物:
【化34】

前記式において、
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8およびR9は前記請求項1で定義した通りである。
【請求項10】
下記化学式6で示される遷移金属錯体;および
下記化学式10、化学式11および化学式12で示される化合物からなる群から選択された1以上の助触媒化合物;
を含むことを特徴とする触媒組成物:
【化35】

前記式において、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、Q1およびQ2は前記請求項1で定義した通りである。
<化学式10>
−[Al(R22)−O]a
前記式において、R22は、各々独立に、ハロゲンラジカル;炭素数1〜20のヒドロカルビルラジカル;またはハロゲンで置換された炭素数1〜20のヒドロカルビルラジカルであり;aは2以上の整数であり;
<化学式11>
D(R223
前記式において、Dはアルミニウムまたはホウ素であり;R22は各々独立に前記で定義した通りであり;
<化学式12>
[L−H]+[Z(A)4-または[L]+[Z(A)4-
前記式において、Lは中性または陽イオン性ルイス酸であり;Hは水素原子であり;Zは13族元素であり;Aは各々独立に1以上の水素原子が置換された炭素数6〜20のアリールラジカルまたは炭素数1〜20のアルキルラジカルであり;前記置換基はハロゲン、炭素数1〜20のヒドロカルビルラジカル、炭素数1〜20のアルコキシラジカル、または炭素数6〜20のアリールオキシラジカルである。
【請求項11】
前記化学式6の遷移金属錯体は下記化学式9で示されることを特徴とする、請求項10に記載の触媒組成物:
【化36】

前記式において、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R21、Q3およびQ4は前記請求項7で定義した通りである。
【請求項12】
前記化学式6の遷移金属錯体は下記構造のうちのいずれか一つで示されることを特徴とする、請求項10に記載の触媒組成物;
【化37】

【請求項13】
前記化学式6の遷移金属錯体対前記化学式10または化学式11で示される化合物のモル比は1:2〜1:5000であり、前記化学式6の遷移金属錯体対前記化学式12で示される化合物のモル比は1:1〜1:25であることを特徴とする、請求項10に記載の触媒組成物。

【公表番号】特表2010−514836(P2010−514836A)
【公表日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−544786(P2009−544786)
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【国際出願番号】PCT/KR2007/006940
【国際公開番号】WO2008/084931
【国際公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【出願人】(500239823)エルジー・ケム・リミテッド (1,221)
【Fターム(参考)】