説明

選択可能なデュアルポジション型マグネトロン

特にバリア材料のターゲットのエッジをウェーハ(18)上にスパッタし、またこのターゲットの中心に再堆積された材料を洗浄するためのスパッタリングターゲット(16)の背後で中心軸(60)の周りに回転させられるデュアルポジション型マグネトロン(50)。ターゲット洗浄時には、ウェーハバイアスは減らされる。一実施形態ではアーク型マグネトロン(130)は、回転シャフト(62)に固定されたブラケット(82)の端部上で旋回する旋回アーム(90)上に支持される。スプリング(96)は、マグネトロンがターゲット中心に向けて押しやられ、ターゲット中心の上に重なるように旋回アームをバイアスする。増加した回転速度における遠心力は、スプリングのバイアスに打ち勝って、ターゲットエッジに整列した長いマグネトロン寸法を持って外側位置にマグネトロンをシフトさせる。機械的留め具(100、102)は、いずれの方向にも過剰な動きを防止する。他の機構は、直線状スライド(180)とアクチュエータ(208)とを含む。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は一般的に、材料のスパッタリングに関する。特に本発明は、スパッタリングを向上させるための磁界を創成するマグネトロンに関する。
【背景技術】
【0002】
代替として物理気相堆積(PVD)と呼ばれるスパッタリングは、集積回路の製造における金属および関連材料の層を堆積する最も普及している方法である。スパッタリングは元来、ウェーハ上に一般的に平面の材料層を堆積するために使用され、また特にアルミニウムの電気的相互接続ラインを堆積するために使用された。しかしながら、近年において、誘電体層に形成される、また誘電体層を貫通して形成される高いアスペクト比のビアおよび同様の垂直に向いた構造物における垂直相互接続に使用される材料の堆積が重視され、課題となってきている。バルク銅が電気化学めっき(ECP)によって容易に堆積できるので、銅メタライゼーションによって更に重要性が変化している。しかしながら、銅が酸化物誘電体と銅シード層内に移動するのを防止し、プレート電極を与え、銅ECP層の成長を開始させるために、ECPに先立って種々の薄いライナー層、例えばTa、TaNといったバリア層が必要とされる。
【0003】
高いアスペクト比の孔の壁への薄い均一な層のスパッタ堆積を可能にする手法が開発されてきた。大きな商業的成功を達成した、このような一つの手法は、スパッタされる原子の大部分がイオン化されて狭い孔の内部深く静電的に引き寄せられる自己イオン化プラズマ(SIP)スパッタリングである。これは、スパッタされるイオンの一部がスパッタリング・ターゲットに引き戻されて更に多くの原子またはイオンをスパッタし、それによってアルゴン作動ガスの必要量を減らし、より低圧でのスパッタリングを可能にするので、自己イオン化プラズマと呼ばれる。SIPの極端な手段は、スパッタされるイオンがスパッタリングプラズマを維持するのに十分であり、それ故にアルゴンが除去できる持続性自己スパッタリング(SSS)である。
【0004】
SSSまたはSIPスパッタリングのための幾つかの修正を有する従来のPVDチャンバ10は、図1に横断面で模式的に図示されている。この図は、カリフォルニア州サンタクララのアプライドマテリアルズ社から入手可能なEndura PVD Reactorに基づいている。チャンバ10は、少なくともウェーハクランプ22によってヒータペデスタル電極20上に保持されたウェーハ18上にスパッタ堆積される材料、通常は金属で構成される前面を有するスパッタリング・ターゲット16までセラミック絶縁体14を介してシールされた真空チャンバ本体12を含む。ウェーハクランプ22の代替としてペデスタル20内にカバーリングまたは静電チャックが組み込まれてもよく、またはウェーハが適所に保持されることなくペデスタル20上に置かれてもよい。ターゲット材料は、アルミニウム、銅、アルミニウム、チタン、タンタル、コバルト、ニッケル、モリブデン、合金元素の10%未満を含有するこれらの金属の合金、またはDCスパッタリングに適した他の金属および合金であってもよい。これに対してRFスパッタリングは、誘電体ターゲットから材料をスパッタするために使用されてもよい。チャンバ本体12内に保持された接地シールド24は、スパッタされる材料からチャンバ壁12を保護し、接地陽極を提供する。選択可能で制御可能なDC電源26は、シールド24に関して約−600VDCにターゲット14を負にバイアスする。従来、ペデスタル20およびそれ故にウェーハ18は、電気的に浮いた状態になっているが、大抵のタイプのSIPスパッタリングではRF電源28は、AC容量結合回路30を介して、またはペデスタル電極20がプラズマの存在時にDC自己バイアス電圧を発生させることを可能にする更に複雑な整合・分離回路を介してペデスタル18に結合される。負のDC自己バイアスは、高密度プラズマ内に創成された正に帯電したスパッタイオンを高性能集積回路に特徴的な高アスペクト比孔内に奥深く引き込む。ペデスタル20は、電気的にフロート状態になっているときでも、あるDC自己バイアスを発生させる。
【0005】
第1のガス源34は、マスフローコントローラ36を介してチャンバ本体12にスパッタリング作動ガス、典型的にはアルゴンを供給する。例えば窒化チタンまたは窒化タンタルの反応性金属窒化物スパッタリングでは、窒素は別のガス源38からそれ自体のマスフローコントローラ40を介して供給される。酸素は、代替としてAlといった酸化物を作り出すために供給される。これらのガスは、チャンバ本体12内の種々の位置から入れられてもよい。例えば、チャンバ本体12の底部近くに設置された一つ以上の入口パイプは、シールド24の背後にガスを供給する。ガスは、シールド24の底部のアパーチャを、またはカバーリング22とシールド24とペデスタル20との間に形成されたギャップ42を通り抜ける。広いポンピングポート46を介してチャンバ本体12に接続された真空ポンピングシステム44は、チャンバ本体12の内部を低い圧力に維持する。基本圧力は約10−7トール以下に保持され得るが、アルゴン作動ガスの従来の圧力は典型的には、約1〜100ミリトールに維持される。しかしながら、自己イオン化スパッタリングに関しては、この圧力は幾分低く、例えば最低0.1ミリトールであってもよい。特に銅の持続性自己スパッタリングに関しては、いったんプラズマが点火されるとアルゴンの供給は停止でき、チャンバ圧力は極めて低くされてもよい。コンピュータベースのコントローラ48は、DC電源26とマスフローコントローラ36、40とを含む反応器を制御する。
【0006】
アルゴンがチャンバ内に入れられると、ターゲット16とシールド24との間のDC電圧は、アルゴンを点火してプラズマにし、そして正に帯電したアルゴンイオンは、負にバイアスされたターゲット16に引き寄せられる。これらのイオンは、十分なエネルギーでターゲットに衝突し、ターゲット16からターゲット粒子がスパッタされるようにする。ターゲット粒子の一部はウェーハ18に衝突し、それによってウェーは上に堆積され、それによってターゲット材料の膜を形成する。金属窒化物の反応性スパッタリングにおいて、窒素は、チャンバ本体12内に追加的に入れられ、スパッタされた金属原子と反応してウェーハ18上に金属窒化物を形成する。
【0007】
効率的なスパッタリングを与えるために、ターゲット16の背後にマグネトロン50が位置決めされる。これは、チャンバ内で磁石52、54の付近に磁界を作り出すために磁気ヨーク56によって結合された互いに反対の磁石52、54を含む。SIPスパッタリングでは通常、マグネトロン50は、小型で入れ子状になっており、より大きな磁気強度の反対の外側磁石54によって取り囲まれた一つ以上の内側磁石52によって不平衡になっている。この磁界は、電子をトラップし、そして電荷中和のためにイオン密度も増加してマグネトロン50に隣接してチャンバ内に高密度プラズマ領域58を形成する。ウェーハ18への均一なスパッタリングを達成するためにマグネトロン50は通例、モータ64によって駆動されるシャフト62によってターゲット16の中心60の周りに回転させられる。典型的な回転速度は、50〜100rpmである。従来のマグネトロンではシャフト62は、マグネトロン50がターゲット中心60の周りに一定の軌道を掃引するように磁石52、54に関して固定され、ターゲット中心60と一致する。
【0008】
米国特許第6,306,265号におけるFuは、SSSとSIPとに有用なマグネトロンの幾つかの設計を開示している。これらの応用のためにマグネトロンは、強い磁界を作り出すべきであり、また小さな面積を有するべきである。マグネトロンを回転させることは、それでもなお均一なスパッタ堆積と、所望であれば十分なターゲット侵食とを与えることができる。マグネトロンは、外側磁石54に関連する反対極性の連続した外極によって取り囲まれた一つ以上の内側磁石52に関連する内極を含むべきである。内極と外極は、外極によって作り出される全磁束が内極によって作り出される全磁束よりも少なくとも1.5倍だけ実質的に大きいという意味で不平衡になっている。それによって外極54からの磁界ラインは、ウェーハ16に向かってチャンバ内に深く延びる。DC電源26によってターゲット16に供給される電力は、200mmウェーハに関しては約20kWほどの高さであるべきである。しかしながら、300mmウェーハのための電源の拡張は、ある幾つかの困難を呈する。それにもかかわらず高い電力と小さなマグネトロン面積との組合せは、マグネトロン50の下に極めて高い電力密度を、またそれ故にRF誘導コイルによって与えられるような補助的プラズマ源電力の使用なしで適度に高密度のプラズマエリア58を作り出す。マグネトロン50の形とサイズは、本発明の幾つかの態様に関連している。
【0009】
ターゲットに送達された多量の電力を中和するためにターゲット16の裏側は、裏側冷却剤チャンバ66にシールされてもよい。冷却されてイオン除去された水68または他の冷却液は、ターゲットを冷やすために冷却剤チャンバ66内を循環させられる。マグネトロン50は通常、冷却水68に浸漬され、ターゲット回転シャフト62は回転シール70を通って裏側チャンバ66に貫通している。
【0010】
このようなSIPチャンバ10は、例えばタンタルターゲットからTaN/Taのバリア層をスパッタすることと銅ターゲットから薄い銅シード層をスパッタすることとの両方のために使用できる。特にバリア層に関しては、最小の側壁カバレッジ要件とビア底部のシンダウン(薄化)/パンチスルー(打ち抜き)プロセスとのためには、この構造による連続した対称な堆積が極めて重要である。バリアスパッタリングは、ターゲット中心における効果的なスパッタリングを殆ど、あるいは全く用いずにターゲットの周辺領域またはエッジに集中する比較的小さなマグネトロンのために最適化されることが見出された。ターゲット周辺領域から侵食された材料は、対称なステップカバレッジを達成するために好ましい入射角を所有する。更に、この小さなマグネトロンは、比較的低いDC電源によって高電力密度、それ故に高いイオン化分を作り出す。しかしながら、ターゲットの周辺におけるターゲット侵食は、正味としては侵食されないターゲット中心エリアの周りに再堆積を作り出す。この再堆積は、スパッタリングまたは洗浄プロセス時に除去される必要がある。洗浄プロセスは、下記に説明される。CuおよびAl堆積の場合の均一なターゲット侵食と高い平均スパッタリング速度は、各ウェーハ上の薄いバリアまたはシードのためにスパッタされる少量の材料に関する主要な考慮事項ではない。
【0011】
ターゲット16の全半径に亘っては広がらないマグネトロンによるSIPスパッタリングに関して、回転するマグネトロン50は、ターゲット16の全エリアを走査せず、またスパッタされる材料は走査されないエリアに再堆積する傾向がある。再堆積した銅は比較的よく銅ターゲットと結合するので、銅の再堆積は発生するが、一般的に重要な問題であるとは考えられない。しかしながら、バリアの再堆積は、重要な問題を提示する。バリアスパッタリングの一部は、ウェーハ上にTaNまたはTiNといった金属窒化物層を堆積するための反応性スパッタリングと呼ばれるプロセスにおいて窒素雰囲気中で発生する。窒化物はまた、金属ターゲット上に再堆積し、多くのウェーハサイクルに亘って厚く成長する。このような再堆積した材料は、薄く剥がれ落ち易く、またそれ故に粒子源を呈する。その結果、好ましくは臨界厚さを超える再堆積バリアの成長を防止することによって再堆積バリア材料が薄く剥がれ落ちるのを防止することが必要であると、しばしば考えられている。
【0012】
米国特許第6,228,236号のRosensteinらは、再堆積材料に関する解を提示している。マグネトロン駆動シャフト62の回転方向に依存してマグネトロンに二つの半径方向位置を取らせるために遠心力が制御されるように、マグネトロン50を偏心アームに取り付けられる。Rosensteinらは、回転駆動シャフト62とマグネトロン50との間に半径方向移動機構74を効果的に介在させる。主として、ターゲットの作動エリアの外側のターゲット周辺への再堆積を取り扱っている。Rosensteinらの設計は、マグネトロンの半径方向の小さな移動を与えており、回転周囲に対するマグネトロンの方位は二つの位置の間で実質的に変化せずに留まっている。また、この切替えは、少なくとも部分的に流体力学に依存している。Rosensteinの設計は、ターゲット中心の洗浄を可能にするように修正できるが、これはマグネトロン回転の反転に頼ることができる。その代わりに、マグネトロンの回転方向を反転する必要を避け、それによって多数の半径方向回転直径間の移行を迅速化するマグネトロン設計を提供することが望まれている。このような設計は、望ましくは、高いスループットを得るためにウェーハ堆積のための時間分を最大にするように洗浄モード位置を達成するために必要な時間を最小にできる。
【0013】
種々のタイプのプラネタリマグネトロンが提案されており、例えば両特許とも本出願と同一出願人による、Hongらによって2002年5月21日に出願され、現在は米国特許第6,841,050号として発行されている米国特許出願第10/152,494号と、Millerらによって2003年4月17日に出願され、現在は米国特許第6,852,202号として発行されている米国特許出願第10/418,710号とを参照されたい。開示されているプラネタリ機構は、二つの回転アームによって作り出されるプラネタリ経路におけるターゲット表面の実質的にすべてに亘って小さなマグネトロンを走査することができる。単一ではあるが渦巻き型の経路におけるプラネタリ走査は再堆積を避けるために使用できるが、それにもかかわらずしばしば、主要なスパッタリングをターゲットの比較的狭い半径方向範囲に限定することが望まれている。
【発明の概要】
【0014】
本発明の一態様においてツーステップスパッタプロセスは、外側円形経路を動く小さなマグネトロンでターゲットの外側エッジを走査しながら基板上にバリア金属をスパッタ堆積する一つ以上のステップと、ターゲットの中心に向かってマグネトロンを動かして内側円形経路を動くマグネトロンでターゲットの少なくとも中心を走査することによってターゲットを洗浄する別のステップと、を含む。この洗浄は、堆積されたすべての基板のために実行でき、あるいは数枚の基板ごとに、またはターゲット電力の数百キロワットアワーごとに実行されてもよい。
【0015】
ある機構は、ターゲット半径部に関してマグネトロンの有効中心を動かして、回転シャフトが異なる複数のターゲット半径部においてターゲット中心の周りにマグネトロンを回転させることを可能にする。
【0016】
デュアルポジション型マグネトロンのための一つの1方向多段速度遠心機構は、機械的駆動シャフトによってスパッタターゲットの中心軸の周りに回転したブラケット上で旋回する旋回アーム上にマグネトロンを支持する。スプリングまたはその他のバイアス手段は、中心軸に関して一半径方向にマグネトロンをバイアスする。駆動シャフトの回転速度に依存する遠心力は、このバイアス力に打ち勝つために十分高く設定され得る。それによって回転速度の選択は、中心軸から異なる半径部においてマグネトロンを回転させる。好ましくはブラケットと旋回プレートとの間に接続された引っ張りスプリングは、マグネトロンに作用する遠心力がマグネトロンを外向きに押しやるときにマグネトロンを中心軸に向かってバイアスする。
【0017】
いずれの方向にも過度の旋回を防止するために機械的留め具が使用でき、それによって回転半径部に対して的確な制御を与える。これらの留め具(stops)は、弾性緩衝体または緩衝器といった衝撃吸収性であるべきである。
【0018】
ブラケットと旋回アームとの間の旋回機構は、このデュアルポジション型マグネトロンがターゲットの背後の冷却水バス内で動作することを可能にするために少なくとも一つの動的シールを含む二つの水密軸受けを含んでもよい。
【0019】
遠心性デュアルポジション機構は、代替として回転ブラケットに半径方向に延びるスロットが形成された直線状のスライダーに実現できる。マグネトロンの支持体は、このスロットに嵌め込まれて、スロット内で半径方向にスライドできる。遠心力がマグネトロンを中心から離すように押しやるときに、マグネトロンを回転中心の方にバイアスするために一つ以上のスプリングが使用されてもよい。支持体とスロットのどちらかの端部との係合は、明確な機械的停止を与える。
【0020】
遠心力によるかアクチュエータによるかいずれにせよ、マグネトロンの旋回運動は、有利には短い寸法と長い寸法とを有する細長いマグネトロンに加えられる。ターゲットのエッジスパッタリングのためにマグネトロンは、回転中心から半径部に垂直な長い寸法を持ってターゲットエッジ近くに設置される。中心洗浄のためには、マグネトロンは回転中心から半径部に小さな角度だけ、例えば60゜未満だけ傾斜したその長い寸法を持ってターゲット中心に、より近く設置される。
【0021】
マグネトロンが支持される回転プレートの少なくとも部分的に半径方向にマグネトロンを選択的に動かすために外部から制御されるアクチュエータが使用されてもよい。例えばプレート上に設置された、回転シャフトを通して供給される流体によって駆動される液体式または空気圧式アクチュエータは、プレート上に設置されたスプリングといった受動的バイアス手段とは反対に作用するが、このアクチュエータとバイアス手段は、互いに反対の半径方向にマグネトロンを押しやる。マグネトロンの動きは、プレート上で直線的であってもよく、またはプレートの回転軸からずれたプレート上の旋回軸の周りの旋回であってもよい。
【好ましい実施形態の詳細な説明】
【0022】
本発明の一つの一般的態様は、特に耐熱性のバリア材料から構成され、典型的には少なくとも部分的に反応性スパッタ堆積に使用されるスパッタターゲットの一つの環状領域からスパッタする第1のステップと、スパッタターゲットの少なくとも残り部分からスパッタする第2のステップとを交互に行うことを含むツーステッププロセスを備える。両ステップは、これらのステップ間で回転マグネトロンの半径方向位置をシフトさせることによって同じマグネトロンを使用できる。第2のステップは、再堆積した材料のターゲットを洗浄する際に特に有効である。有利なことに、両ステップにおいてマグネトロンは、ターゲット中心の周りに同じ方向に回転させられる。
【0023】
高アスペクト比の孔にバリアをスパッタ堆積するために第1のステップは、有利にはターゲットの中心軸の周りにマグネトロンを回転させることによりターゲットの周辺エッジ付近で比較的小さな不平衡マグネトロンを走査することによって実行される。それからマグネトロンは、ターゲット中心に近い領域を走査するためにターゲットの中心軸に向かって動かされ、またマグネトロンは同じ方位方向に、しかし、異なる半径部で走査される。ターゲット中心付近に設置されたマグネトロンによって、より均一な洗浄を行うためにマグネトロンはターゲット中心の周りに回転させられる。マグネトロンの回転をその半径方向移動中に継続することは典型的ではあるが、エッジスパッタリングと中心洗浄の両方は典型的には、1秒よりはるかに長時間を必要とするので、マグネトロンはその二つの位置の各々において何10回も回転させられる。
【0024】
マグネトロンを動かす機構は、多くの異なる形を取ることができる。
【0025】
本発明の一態様は、単一回転方向の回転速度に依存する二つの回転半径部間で切替え可能である、図2の正射投影図に図示されるデュアルポジション型遠心旋回マグネトロンアセンブリ80を含む。このマグネトロンアセンブリ80は、反応器の中心回転軸60の周りに回転する回転駆動シャフト62に固定されたブラケット82を含む。ブラケット82の一つのアームの端部は、旋回プレート84が旋回軸88の周りに旋回することを可能にする旋回機構86を介して旋回プレート84をこのアーム端部の下に回転可能に支持する。旋回プレート84は、マグネトロン50のヨークを形成する強磁性材料から構成されるバックプレート90を支持する。構造上の目的からバックプレート90は、旋回プレート84と一緒に旋回軸88の周りを旋回するので、旋回プレート84の一部と考えることができる。回転軸60と旋回機構86との間でブラケット82に一つのブシュ92が取り付けられ、またバックプレート90上のマウント95に別のブシュ94が固定される。引っ張りスプリング96の二つの端部は、これら二つのブシュ92、94に取り付けられる。第1のナイロン留め具100は、ブラケット82の一方側で旋回プレート84にねじ止めされ、第2のナイロン留め具102はブラケット82の他方側でバックプレート90にねじ止めされる。各留め具100、102は、ねじのための貫通孔と、ブラケット82に対する突然の接触のインパクトと衝撃を緩和するためにその外側に嵌め込まれた管状の柔らかな弾力性のナイロン鞘と、を有する金属ノブを含む。スプリング96は、第2の留め具102を有するバックプレート90の側部をブラケット82に向かってバイアスし、それ故にマグネトロンを回転軸60に向かってバイアスする。しかしながら、内側方向への旋回は、ブラケット82に接触して係合する第2の留め具102によって限定される。これに対して駆動シャフト62の回転は、重いマグネトロンとその関連要素に大きな遠心力を働かせて、回転軸60から半径方向外向きに離れるように第2の留め具102を有するバックプレート90の側部をブラケット82から離れるように押しやる。しかしながら、外向き方向への旋回は、ブラケット82に接触して係合する第1の留め具100によって限定される。回転速度は、内向きのスプリングのバイアスが勝つか、外向きの遠心力が勝つかを決定する。
【0026】
二つの運動はある意味では同等であるが、回転駆動シャフト62が回転する一方、旋回プレート84は旋回するという特徴的な用語が使用される。しかしながら、これら二つの運動間のより有効な区別は、マグネトロン50はプロセス中に多数回の360゜回転の間中に回転軸60から一定ではあるが選択された半径部で回転するのに対して、旋回プレート84は一つの半径方向位置から別の半径方向位置に変わる際に約90゜未満に亘って旋回するということである。機械的バイアスという用語は、ある物体をバイアス力の方向に動くように押しやるために物体に印加される所定の限定された力を意味すると理解されるが、実際の動きは典型的にはこの動きに対抗する対抗力に依存することができる。
【0027】
釣合い重り104は、ブラケット82の他方のアームに固定され、回転中の振動を減らすためにマグネトロン50およびその関連要素と同じ慣性モーメントを有するように設計される。しかしながら、マグネトロン50の慣性モーメントはその半径方向位置に依存するので、釣合い重りが回転軸60に関して同じ半径方向の動きを受けるならば、釣合い力は改善される。回転する磁石106が磁気センサー108の下を通過の有無にしたがってマグネトロン106の現在の半径方向位置をコントローラ48が決定することを可能にするために、バックプレート90には磁石といった位置フラグ106が固定され、また回転するマグネトロン50の上の屋根には図1に図示する磁気ホールセンサーといった位置センサー108が設置される。
【0028】
本発明の、この実施形態では回転駆動シャフト60の回転速度を変えることは、遠心力がスプリングバイアス力に打ち勝ってマグネトロン50を第1の半径方向外側位置に置くようにするか、スプリングバイアス力が優位になってマグネトロン50を第2の半径方向内側位置に置くようにするか、いずれかを引き起こす。図2に図示するマグネトロン位置は、遠心力がより大きいOUT位置である。OUT位置は図3の平面図に模式的に図示されており、ここでは旋回プレート84は強調されているが単純化されている。回転駆動シャフト62は十分に高い速度fOUTで一つの回転方向に回転するので、マグネトロン50に対する遠心力は、スプリングの張力より大きくなり、旋回プレート84とそれに取り付けられたマグネトロン50とをブラケット82から図示の外側位置に旋回軸88の周りを外向きに旋回させる。これに反して図4の平面図に模式的に図示するIN位置では回転駆動シャフト62は、同じ回転方向に、しかしスプリング張力が遠心力より大きくなる十分に低い速度fINで回転するので、スプリング96は旋回プレート84とこれに取り付けられたマグネトロン50とを引っ張ってブラケット82に向かって旋回軸88の周りを内向きに図示の内側位置まで旋回させる。マグネトロン位置とは無関係に駆動シャフト62は、マグネトロン50を中心回転軸62の周りに回転させ続けるが、中心軸62からのマグネトロン50の半径方向変位は、内側位置におけるよりも外側位置において大きくなる。それによってマグネトロン50は、異なる半径方向位置に在るときにターゲットの異なる領域を走査する。
【0029】
マグネトロン運動の動力学を、図5のグラフを参照しながら説明する。ライン110、111、112は、回転シャフト回転速度50rpm、68rpm、85rpmという三つの値に関して旋回プレート84とブラケット82との間の旋回角度の関数として、主として重いマグネトロン50によって働かされる遠心力によって旋回プレート84に働かされる、旋回軸88の周りのトルクをプロットしている。この機構の図示の構成では常に外向き方向になる旋回トルクは、回転速度と共に増加し、また旋回プレート84がマグネトロン50を回転軸62から外向きに動かすにつれて旋回角度と共に増加する。点線113は、旋回角度の関数としてスプリング96の張力によって働かされる旋回軸88の周りのトルクをプロットしている。スプリングトルクは、常に内向き方向になっている。正味のトルクは、遠心力トルクとスプリングトルクとの差であって、この差の符号は、旋回プレート82が内向きに、また外向きに旋回するかどうかを決定する。遠心力トルクとスプリングトルクの両方が、スプリング長さとマグネトロン半径部を変化させることによるバイアス力と遠心力との変化のためばかりでなく、ブラケットの長軸に関するトルクアームの幾何学形状変化によっても旋回角度によって影響されることは注目される。より低いfINでの回転に関してマグネトロンがはるばる内側留め具までトルクを与えられ、より高いfOUTでの回転に関してマグネトロンがはるばる外側留め具までトルクを与えられるように、二つの留め具の間で旋回角度のすべての値に関してスプリングトルク113を完全にブラケットするように、このグラフの50rpmと68rpmといった二つの回転速度fINとfOUTが選択されれば、双安定動作が可能である。
【0030】
しかしながら、この動力学は、現実的に摩擦性であって如何なる運動も常に妨げる、相対的に回転している旋回プレート84とブラケット82との間の回転シールによって働かされるトルクによって複雑にされる。シールトルクは、相対的動きがないときに最大であって、いったん運動が始まると減少する。マグネトロンは第1の留め具100に接してfOUT=68rpmで回転しているブラケット82によって安定な外側位置1にあると仮定すると、回転速度はシールトルクに打ち勝つ更なる回転減少だけ、遠心力トルクがスプリングトルクに等しくなる平衡点より低く下げられる必要がある。それからマグネトロンは一時的に、外側位置にあるがfIN=50rpmで回転している位置2に在る。その後、マグネトロンは、第2の留め具102に接触して50rpmで回転しているブラケットによって内側位置に在る安定な内側位置3に素早く内向きに動く。シールトルクが超えられる離脱点より50rpmが低ければ、マグネトロンはその回転速度が50rpmに達する前に位置3に向かって動き始める。同様に安定な位置3から外向きに動くことが望まれるときには回転速度は、遠心力トルクとスプリングトルクとの差がシールトルクを超え、それによってマグネトロンが68rpmで内側位置において回転している位置4にマグネトロンを一時的に置くために、十分に上げられなくてはならない。それからマグネトロンは、安定な外側位置1に素早く外向きに動く。
【0031】
これら二つに位置間の移動は、回転速度がちょうど動き始めるために必要とされるより多く増加または減少させられるならば、スピードアップされてもよい。例えば、外側位置から内側位置に動くとき回転速度は、不平衡トルクを著しく増加させるために68rpmから50rpmより著しく低く減速されてもよい。マグネトロンが内側位置に到着したとき回転速度は50rpmに減速されてもよい。同様に内側位置から外側位置に動くとき回転速度は、動きを開始して完了させるために50rpmから68rpmより著しく高く増加でき、その後68rpmに、恐らくは更に低く減速されてもよい。
【0032】
マグネトロンの動きは、回転速度が変更されるとき、および冷却水の渦巻き運動が一般的に回転するブラケット82とマグネトロン50に続いて定常状態に達する前に、重要になる流体力学上の効果とは無関係に図2、3、4を参照しながら説明された。図3、4に表示された回転方向は、粘性のある冷却水を介してマグネトロン50を引き寄せるように作用する。回転速度を増加させる際の追加の流体力学上の力は、外側位置に向かう移動をスピードアップするように作用する。これに反して回転方向が図示と反対であれば、これは流体を介して、マグネトロン50を押しやる。回転速度が減少すると流体力学上の力は、中心位置に向かってマグネトロン50をより素早く押し付ける。
【0033】
旋回機構は、幾つかの要件を考慮して設計されなくてはならない。これは、冷却水に浸漬される。これは、特にマグネトロンがターゲットの裏側に極めて接近して回転する必要があるので、最小の垂れ下がりと振動とで重いマグネトロンを回転可能に支持しなくてはならない。旋回機構は、回転速度における必要な差を減らすために最小のシールトルクおよびその他の摩擦効果を賦課すべきである。図6の断面図に図示する旋回機構86は、満足な性能を与える。少なくとも一つのねじが、旋回軸88に整列するようにスピンドル114を旋回プレート84に固定している。管状のスペーサ117によって分離された1対のシール・潤滑された軸受け115、116のインナーレースは、スピンドル110にねじ止めされたフランジ118によってスピンドル114に捕捉されている。軸受け115、116のインナーレースは、ねじによってブラケット82に固定されたキャップ122によって上部軸受け115のアウターレースの軸方向端部に押し付けられた環状プレロードスプリング120によってブラケット82上に捕捉される。軸受け115、116を入れた空洞は、ブラケット82とキャップ122との間の静止Oリングシール124と、スピンドル114の下部外周とブラケット82の内側に延びるリップ128との間の動的シール126とによって、水性環境に対してその二つの端部でシールされている。摩擦性のシールトルクを減らすために、動的シール126の直径は最小にすべきである。
【0034】
ナイロン留め具100、102は、重いマグネトロンと、NdFeBといった強い磁性材料の脆性を考慮すると不十分な衝撃抵抗を与える可能性がある。したがって他の部材上の留め具により滑らかに係合するようにブラケット上、または旋回プレートおよびバックプレート上のいずれかに取り付けられてもよい、自動車で使用されるものと類似のスプリング加重された緩衝器でナイロン留め具を置き換えることが望ましい可能性がある。
【0035】
不平衡のアーク型マグネトロン130の第1の好ましい実施形態は、一般的に図1、2の底からの図7の正射投影図に図示されている。円筒軸に沿った第1の磁気極性の20個の円筒形永久磁石132は、磁気ヨークならびに旋回プレート84に固定された支持体として役立つバックプレート90上で閉じた外側帯状に配置される。同じ設計であるが反対の第2の磁気極性を与えるように反転された10個の磁石134は、外側帯の内側にアーク型に配置される。こうして外側磁性帯は、前に引用したFu特許で論じられたようにマグネトロンが不平衡であるように内側磁性アークの磁気強度より2倍大きい磁気強度を有する。しかしながら、ターゲットの外側周辺部のイオン化スパッタリングを更に強調し、更なる磁気の側部閉じ込めを与えるために、不平衡は、中心に近い反対のアーク型側部上よりもターゲットエッジに近いアーク型側部上で大きい可能性がある。外側磁石132は、帯状磁極片136によってカバーされ、内側磁石134はアーク型磁極片138によってカバーされる。帯状磁極片136の滑らかな凸状側部140は、マグネトロン130が外側位置に在ってターゲット周縁に近いこの位置で回転するとき、ターゲットの外側周辺部に一般的に整列する。同様の滑らかな凸状側部は、バックプレート90に存在する。これに対して小さな凹状側部は、帯状磁極片136の他方側部に設置されている。この凹状側部は、滑らかに形作られてもよく、または尖端を形成してもよい。極片136、138は、一般的にターゲットの内面に平行な磁界の領域を画成し、ターゲットの前面に隣接したプラズマループを形成するほぼ一定のギャップをこれらの極片間に有するように配置される。バックプレート90と極片136、138との間に固定された非磁性のセパレータプレート142は、磁石132、134がうまく嵌合し、それによってそれらを整列させるアパーチャを含む。マグネトロン130の動作中心は、アーク型内極片138内に在る磁石132、134の重心によって近似される。
【0036】
マグネトロン130は満足な結果を与えているが、マグネトロンが半径方向に動くとき慣性モーメントに大きな変化があるように重心が半径方向外向きにシフトされれば、二つのマグネトロン位置間の変化の動力学は改善される。外向きに変位した重心を有するマグネトロン150の第2の実施形態は、図8の分解底部正射投影図に図示される。例えば、非磁性ステンレス鋼の非磁性整列・重量ブロック152は、図7のセパレータプレート142に代わるものである。ブロック152のドエルピンは、このブロックをバックプレート90および極片136、138に整列させる。ねじ154は、バックプレート90とブロック152とを貫通し、極片136、138にねじ込まれてマグネトロンを共に保持する。
【0037】
ブロック152は、帯状の極片136の外側凸状部140に延びる、すなわちマグネトロン150が外側位置に在るときに半径方向外向きに延びる重量部156を含む。重量部156は、磁石の長さと実質的に等しい厚さを有しており、また図示しない内側磁石すべてと外側磁石の図示しない半径方向外側半分とのために形成された軸方向貫通アパーチャ158を除いて、実質的に連続している。ブロック152はまた、削減された厚さを持ち、残り10個の外側磁石132のためのアパーチャを有するセミカラー部160を含む。
【0038】
アーク型マグネトロン150は、図7のマグネトロン130より、滑らかな凸状エッジ140に近い重心を有し、また組み立て易い数少ない部品による単純な設計を有する。重量部156のための、約2kgの追加された重量は、二つの安定な位置間の移動を容易にする。しかしながら、この追加された重量は、二つの異なる半径方向位置において可動片持ち梁構造体の上に回転可能に支持されなくてはならないので、垂れ下がりと振動とが図8の軽量設計より大きな問題を呈する。更にこの追加重量は、停止時の衝撃を増加させる。
【0039】
アーク型マグネトロン130または150は、他方向より一方向に実質的に長い、二つの極片136、138間のギャップの外周によって画成される全体形状を有する。この形状は、ツーステップ・スパッタ堆積・洗浄プロセスのために有利である。図9の底面図に図示するようにスパッタ堆積時には、実線で図示するアーク型のマグネトロン130は、ターゲット16の周囲に沿って整列したそのより長い寸法を有するターゲット16の有効エッジ170に近く、回転軸60からマグネトロンの中心に延びる半径部に垂直に設置され、またそのより短い寸法は、一般的にこのターゲット半径部に沿って整列させられる。特にスパッタ堆積における外極136の外側部分は概ね、ターゲット16の有効エッジ170の上に重なる。二つの極136、138間のギャップ172は一般的に、ターゲットエッジ170付近から半径方向内向きに延びるプラズマループに隣接したターゲット16の環状領域のスパッタリングを作り出すスパッタチャンバ内にプラズマループを画成する。エッジスパッタリングの一実施形態ではプラズマは、ターゲット半径部の外側半分に延びる環状帯をたどって走査し、内側半分内のターゲットのどの部分も走査されない。
【0040】
スパッタ堆積中にRF源28は、バリア材料で等角に被覆された高アスペクト比孔内に奥深くスパッタされるイオンを加速するためにウェーハ18に強くバイアスをかける。マグネトロン130は、比較的小さいが、マグネトロンギャップ172を含むターゲット中心60の周りの環状帯において比較的均一なスパッタ侵食を作り出すためにターゲット中心60の周りに回転する。その小さなサイズは、この環状帯における平均スパッタ速度が比較的小さくなるようにする。しかしながら、銅およびその他のメタライゼーションのために孔の大半を残すために薄くする必要がある高アスペクト比孔におけるバリア層のためには低い堆積が歓迎される。
【0041】
洗浄段階の初めに、回転速度は減速され、マグネトロン130はターゲット中心60により近い、点線によって図示された位置まで旋回点88の周りを回る。この位置でマグネトロン130の長い寸法は、ターゲット周囲よりもターゲット16の半径部により近く整列させられ、こうしてターゲット16のより長い半径部が洗浄されることを可能にする。図示のように、長い寸法は、回転軸60からマグネトロン中心に半径部から約45゜傾いているが、傾斜角は、好ましくは0゜と60゜との間の角度である。また有利なことに、洗浄位置におけるマグネトロンギャップ172は、ターゲット中心60からギャップ172まで延びており、堆積位置においてプラズマループを画成する。その結果、堆積ステップにおいてスパッタされる領域の半径方向内側のターゲットの全ては洗浄ステップでスパッタされる。洗浄ステップ中にウェーハバイアスは、ウェーハペデスタルにおけるエネルギーに満ちたイオンフラックスを最小にするためにゼロにまで減らされてもよい。
【0042】
図2に図示する引っ張りスプリング96以外のタイプのバイアス手段が使用できる。圧縮スプリングは、ブラケット82の別の側部にこれを動かすことによって代替とされてもよい。例えば一方が旋回軸付近に固定され、他方が旋回プレート84またはバックプレート90に固定されたリーフスプリングまたはスパイラルスプリングが使用できる。一方の部材に軸を固定されたスプリング巻付けホイールは、その他端が他方の部材に固定されたケーブルで巻かれてもよい。本明細書で説明されたバイアス手段は、能動的バイアスも可能ではあるが、すべて受動的である。
【0043】
図10の平面図に図示する遠心性マグネトロンの別の実施形態では直線状スライダー機構180は、ターゲット中心軸60の周りにブラケット82に固定されてこれと共に回転するブラケット82を含む。スロット182内で半径方向にスライドできる長円形の支持角柱184をぴったり収容して整列させるために半径方向に延びるスロット182がブラケット82に形成される。支持角柱184は、ブラケット82の下でマグネトロン50を支持するが、2本の支持ビーム186は低摩擦界面を介してブラケット82の上面上で支持角柱184をスライド可能に支持する。スロット182の反対のブラケット82の端部には、固定されているか、マグネトロン50の動きに対応して半径方向に動き得る、図示されない釣合い重りが取り付けられてもよい。二つのスプリング188、190は、ブラケット82に固定された第1のクロスアーム192と支持角柱184に固定された第2のクロスアーム194とにそれぞれの端部が接続され、それによってターゲット中心60に向かってマグネトロン50をバイアスしている。しかしながら、十分に高い回転速度では、回転するマグネトロン50に働かされる遠心力は、バイアス力に打ち勝つに十分であって、スロット162の外側端部196に係合する支持角柱の外側端部によってマグネトロンを図示の外側位置に在るようにする。しかし、十分に低い回転速度で、はバイアス力は、遠心力に打ち勝って、スロット182の内側端部198によって止められる支持角柱184の内側端部によってマグネトロンをその内側位置に移動させる。
【0044】
外側位置がバイアス手段と低い回転速度とによって選ばれ、内側位置が高い回転速度における増加した遠心力によって選ばれる遠心力駆動のマグネトロンを設計することは可能である。
【0045】
留め具は、的確な双安定動作を与える。しかしながら、中間的留め具の使用なしで二つより多い半径方向位置においてマグネトロンが回転できるように、バイアス手段に対して遠心力をより精細にバランスさせることは可能である。
【0046】
本発明には他の位置調整機構が適用できる。例えば米国特許第6,692,617号におけるFuらは、図11の模式的断面図に図示する能動的に制御される調整機構200を開示している。支持プレート202は、マグネトロン50を支持するために、ターゲット軸60に沿って延びる回転駆動シャフト62の端部に固定される。回転する支持プレート202上にマグネトロン50を支持する支持角柱204は、半径方向に支持ポスト204をガイドする支持プレート202における半径方向スロット206内でスライドする。支持角柱204に接続されたアクチュエータアームを有する空気圧式または油圧式アクチュエータ208は、支持プレート202上で支持され、回転シャフト62に形成された流体ライン210を介して動力供給され、図示されない回転継手を介して流体動力源に接続される。支持角柱204と支持プレート202との間に接続されたスプリング210または他のバイアス手段は、アクチュエータ208によって支持ポスト204に印加される力とは反対に使用されてもよい。しかしながら、別個のバイアス手段は、アクチュエータ208が遠心力と反対に作用するならば、なくすことができる。如何なる場合にもアクチュエータ208を介した流体力の印加は、一方の位置がエッジのスパッタリングを選択し、他方の位置がターゲット16の中心を選択する少なくとも二つの半径位置にマグネトロンが置かれてもよいように、回転するブラケット82の半径方向にマグネトロン50を動かすことができる。この能動的に制御される調整機構200は、回転速度とは無関係にマグネトロン50の半径方向の調整を可能にする。この調整機構200が二つより多い位置を有するならば、マグネトロン50の半径方向位置は、より精細に制御されてもよい。
【0047】
一つのアクチュエータ式の設計は、ほぼ同じ幾何学形状を有するが双安定モードの必要性を持たない図2の旋回するアーク型マグネトロンを含む。その代わり、回転半径部を制御するために回転速度の変化に頼るよりむしろ、例えば留め具100の最上部上と、旋回軸88の反対側のブラケット82の側部上とのそれぞれのピボット間に接続されていて、図11を参照しながら前に説明されたように回転シャフト62の流体ライン210を介して空気圧または油圧の力を選択的に供給される外部から制御されるアクチュエータ。スプリング96は、もはや必要とされない可能性がある。しかしながら、アクチュエータが延長時にだけ力を働かせるならば、スプリングは、例えば上記のピボット間に接続されることによって反対方向にバックプレート90をバイアスしてもよい。しかしながら、移動方向に沿った遠心力は必要とされるバイアスを与えることができる。
【0048】
他の調整機構、例えば1本は回転を制御し1本は半径方向の調整を行う2本の同軸シャフトが可能である。方向の反転は運用スループットに影響するが、スパッタ堆積とターゲット洗浄とを交互に行うために、Rosensteinの双方向遠心性マグネトロンも使用できる。
【0049】
1方向デュアルポジション型マグネトロンの迅速な移動速度は、スループットに大きく影響せずにウェーハごとにターゲットを洗浄するためにこのマグネトロンが使用されることを可能にする。洗浄は、処理された製造ウェーハが反応器から取り外された後、また新しい製造ウェーハが反応器に挿入される前に実行されてもよい。これに対してウェーハごとの洗浄は、既にバリアにおいてスパッタリング材料の単に極めて短いスパッタ時間を必要とする。その結果、洗浄は製造ウェーハが反応器内に在るときにイン・シトゥーで実行できる。特に、例えばTaN/Taの2層バリア層に関してスパッタリングは、低い回転速度のためにターゲット中心付近に位置決めされるマグネトロンによって窒素の存在においてTaNの反応性スパッタリングの短い、例えば2または3秒の期間で始まってもよい。この短い初期内側スパッタリングは、多くのプロセスサイクル後にTaNがターゲット中心に累積するのを防止するために十分であるはずである。この後、増加した回転速度は、TaNのスパッタリングが継続してときにマグネトロンをターゲット周辺部のより近くに動かしてもよい。最終のTaスパッタリングは、ターゲット周辺のより近くに位置決めされるマグネトロンによって実行されてもよい。
【0050】
本発明はスパッタ堆積ステップとターゲット洗浄ステップとの間でマグネトロン位置を変えることに関して説明されてきたが、マグネトロンは他の目的、例えばプラズマを点火するため、またはウェーハのスッパタエッチングに切り替えるために動かされてもよい。Gungらは、その全体が参照として本明細書に組み入れられている、2004年5月26日に出願された仮出願第60/574,905号と、2004年9月23日に出願された、「VARIABLE QUADRUPLE ELECTROMAGNET ARRAY IN PLASMA PROCESSING(プラズマ処理における可変四重電磁石アレイ)」と題する米国特許出願第10/950,349号とにおいて、差動的に制御可能な四重電磁石アレイを含む異なる動作モードのために構成可能なスパッタ反応器を説明している。本発明はまた有利なことに、2004年3月24日に出願された仮出願第60/555,992号においてSubramaniらによって開示されているように、ターゲットとマグネトロンとの間の間隔を変えるための機構によって実施される。Hongらは、その全体が参照として本明細書に組み入れられている、2004年9月16日に出願された、「MECHANISM FOR VARYING THE SPACING BETWEEN SPUTTER MAGNETRON AND TARGET(スパッタマグネトロンとターゲットとの間の間隔を変えるための機構)」と題する米国特許出願第10/942,273号において、より一般的な機構およびプロセスと開示している。
【0051】
本発明は、耐熱性のバリア金属、特にタンタルおよびその窒化物をスパッタするという点から説明されてきたが、本発明は他のバリア金属、例えばチタンおよびタングステンに、また珪化に使用される金属、例えばコバルト、ニッケルおよびモリブデンにも適用できる。本発明はまた、メタライゼーション金属およびそれらのシード層に、特に再堆積の薄片剥離を受けるアルミニウムに適用可能であり、またマルチステッププロセスで異なるスパッタリング特性が望まれることがある銅にも適用可能である。デュアルポジション型マグネトロンによって与えられる柔軟性は、金属または絶縁体のRFスパッタリングを含む他のタイプの材料のスパッタリングに使用されてもよい。
【0052】
こうして本発明は、既存の反応器設計に容易に組み込まれてもよいマグネトロン走査機構のかなり小さな変更によって、スパッタリングとターゲット洗浄の更なる制御、またスパッタリング特性を制御可能に変えるという更なる制御を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】自己イオン化プラズマ(SIP)スパッタ反応器の模式的断面図である。
【図2】本発明の遠心性デュアルポジション型マグネトロンの一実施形態の模式図である。
【図3】その外側位置にある図2のデュアルポジション型マグネトロンの模式的平面図である。
【図4】その内側位置にある図2のデュアルポジション型マグネトロンの模式的平面図である。
【図5】デュアルポジション型マグネトロンの動きの動力学を説明する際に有用なグラフである。
【図6】デュアルポジション型マグネトロンにおいて有用な旋回機構の一実施形態の断面図である。
【図7】本発明で使用可能なマグネトロンの第1の実施形態の正射投影図である。
【図8】本マグネトロンの第2の実施形態の正射投影図である。
【図9】旋回するアーク式デュアルポジション型マグネトロンの二つの位置を図示する模式的平面図である。
【図10】本発明のデュアルポジション型マグネトロンのための遠心性スライダーの模式的平面図である。
【図11】マグネトロンの半径方向位置を動かすためのアクチュエータを含む機構の模式的断面図である。
【符号の説明】
【0054】
10…通常の物理気相堆積(PVD)チャンバ、12…真空チャンバ本体、14…セラミック絶縁体、16…ターゲット、18…ウェーハ、20…ペデスタル電極、22…ウェーハクランプ、24…シールド、26…DC電源、30…AC容量結合回路、34…第1のガス源、36…マスフローコントローラ、38…ガス源、40…マスフローコントローラ、42ギャップ、44…真空ポンピングシステム、46…ポンピングポート、48…コントローラ、50…マグネトロン、52…内側磁石、54…外側磁石、56…磁気ヨーク、58…高密度プラズマ領域、60…ターゲット中心、62…ターゲット回転シャフト、64…モータ、66…裏側冷却剤チャンバ、68…冷却水、70…回転シール、74…半径方向移動機構、80…デュアルポジション型遠心旋回マグネトロンアセンブリ、82…ブラケット、84…旋回プレート、86…旋回機構、88…旋回軸、90…バックプレート、92…ブシュ、94…ブシュ、96…引っ張りスプリング、100…第1のナイロン留め具、102…第2のナイロン留め具、104…釣合い重り、106…位置フラグ(回転磁石)、108…磁気センサー、110、111、112…ライン、113…点線、114…スピンドル、115…軸受け、116…軸受け、117…管状スペーサ、118…フランジ、120…管状プレロードスプリング、122…キャップ、124…Oリング、126…動的シール、128…内向きに延びるリップ、130…アーク型マグネトロン、132…円筒形永久磁石、134…磁石、136…帯状磁極片、138…アーク型磁極片、140…凸側部142…非磁性セパレータプレート、150…マグネトロン、152…非磁性整列・重量ブロック、154…ねじ、156…重量部、170…有効エッジ、172…ギャップ、180…直線状スライダー機構、182…スロット、184…長円形支持角柱、186…支持ビーム、188、190…スプリング、192…第1のクロスアーム、194…第2のクロスアーム、196…外側端部、198…内側端部、200…能動的に制御される調整機構、202…支持プレート、204…支持角柱、206…半径方向スロット、208…空気圧式または油圧式アクチュエータ、210…流体ライン、210…スプリング。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸の周りに配置されたプラズマスパッタ反応器であって、ターゲットの材料でスパッタ被覆されるべき基板を支持するペデスタルに相対する前記ターゲットを有するプラズマスパッタ反応器の中でスパッタする方法であって、
前記基板の孔の中に材料をスパッタ堆積するために前記中心軸の周りに第1の半径部において入れ子型不平衡マグネトロンを回転させる第1のステップと、
前記第1のステップで堆積された前記ターゲットから材料を洗浄するために前記中心軸の周りに前記第1の半径部より小さい第2の半径部において前記マグネトロンを回転させる第2のステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記第2の半径部に設置された前記マグネトロンのプラズマループが前記中心軸を通り抜ける、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ターゲットが耐熱性バリア材料を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のステップが、前記第2のステップ時には前記チャンバ内に流し込まされない窒素を前記チャンバに流し込む工程を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のステップ時に、前記ペデスタルが、第1のレベルのRF電力でバイアスされ、前記第2のステップ時に、前記ペデスタルが、仮に前記第1のレベルより実質的に低い第2のレベルのRF電力であったとしても、バイアスされる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記マグネトロンが前記第1、第2のステップ時に前記中心軸の周りに同じ方向に回転させられる、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
マルチポジション型マグネトロンであって、
回転軸に沿って延びる回転シャフトと、
前記回転シャフトに固定されたプレートと、
前記回転軸回転シャフトから変位させられて前記回転シャフトの回転角とは独立に旋回する旋回軸の周りに前記プレート上で旋回可能なアームと、
前記プレートに固定されたマグネトロンであって、前記マグネトロンの中心が前記旋回軸からずれ、それによって前記アームの旋回に依存して前記回転シャフトが前記中心を前記回転軸から複数の半径部のうちの選択された一つの半径部において前記回転軸の周りに単一の方向に回転させるマグネトロン、
を備える、マルチポジション型マグネトロン。
【請求項8】
前記マグネトロンが非円形的に対称性であって、長い寸法と短い寸法とを有し、
前記中心が第1の半径部において回転するとき前記長い寸法が前記回転軸から前記中心に延びるラインに垂直に延びており、そして
前記中心が前記第1の半径部より小さい第2の半径部において回転するとき前記長い寸法が前記回転軸から前記中心に延びるラインから60゜を超えないで傾けられる、請求項7に記載のマグネトロン。
【請求項9】
前記マグネトロンが、入れ子式になっており、また第1の磁気極性の内極と、前記第1の磁気極性と反対の第2の磁気極性の外極であって、前記内極を取り囲み、環状ギャップによって内極から分離された外極と、を含み、
前記中心が前記第1の半径部において回転するとき前記環状ギャップが、前記回転軸から分離された環状帯を走査し、更に、
前記中心が前記第2の半径部において回転するとき前記環状ギャップが、前記回転軸を含み、少なくとも前記環状帯まで半径方向外向きに延びる円形領域を走査する、請求項8に記載のマグネトロン。
【請求項10】
前記旋回軸の周りの前記アームの前記旋回を制御するために前記プレートと前記アームとの間に接続された外部的に制御されるアクチュエータを更に備える、請求項7に記載のマグネトロン。
【請求項11】
前記回転シャフトが前記アクチュエータに接続された流体ラインを含む、請求項10に記載のマグネトロン。
【請求項12】
プラズマスパッタ反応器のためのマルチポジション型マグネトロンであって、
中心軸に沿って延びる回転駆動シャフトに固定可能で、これと共に回転可能なブラケットと、
前記ブラケットに固定され、旋回アームを旋回軸の周りに旋回可能に支持する旋回機構と、
前記旋回軸から離れて前記旋回アーム上に支持されたマグネトロンと、
前記回転駆動シャフトの回転によって前記マグネトロンに加えられる遠心力とは反対に作用する、前記ブラケットと前記旋回アームとを結合するバイアス手段と、
を備えるマルチポジション型マグネトロン。
【請求項13】
前記バイアス手段がスプリングを備える、請求項12に記載のマグネトロン。
【請求項14】
前記スプリングが前記ブラケットに固定された一端と前記旋回プレートに固定された他端とを有する引っ張りスプリングである、請求項13に記載のマグネトロン。
【請求項15】
前記旋回軸の周りの、それぞれ反対方向への、前記ブラケットに関する前記旋回プレートの更なる旋回を防止する第1、第2の停止手段を更に備える、請求項12に記載のマグネトロン。
【請求項16】
前記回転シャフトの第1の回転速度で、前記マグネトロンが前記中心軸から第1の半径部に設置され、前記回転シャフトの前記第1の回転速度より遅い第2の回転速度で、前記マグネトロンが前記中心軸から前記第1の半径部より小さい第2の半径部に設置される、請求項12〜15のいずれかに記載のマグネトロン。
【請求項17】
前記マグネトロンが、前記中心軸に沿って第1の磁気極性を有する第1の極と、前記第1の極を取り囲み、前記第1の磁気極性とは反対の第2の磁気極性を有する、前記第1の極より強い磁気強度の第2の極と、を有する不平衡マグネトロンである、請求項12〜15のいずれかに記載のマグネトロン。
【請求項18】
前記マグネトロンが前記第1の半径部に設置されるとき、前記中心軸が前記第2の極の周辺の外側を通り、前記マグネトロンが前記第2の半径部に設置されるとき、前記中心軸が前記第2の極の周辺の内側を通る、請求項12〜15のいずれかに記載のマグネトロン。
【請求項19】
プラズマスパッタ反応器のためのマルチポジション型マグネトロンであって、
中心軸に沿って延びる回転駆動シャフトに固定可能で、これと共に回転可能なブラケットと、
マグネトロンと、
前記ブラケット上で前記マグネトロンを支持し、また前記中心軸の周りの前記マグネトロンの半径方向の動きを可能にする支持機構と、
前記回転駆動シャフトの回転によって前記マグネトロンに加えられる遠心力とは反対に作用する、前記ブラケットと前記支持機構とを結合するバイアス手段と、
を備える、マルチポジション型マグネトロン。
【請求項20】
前記バイアス手段が少なくとも一つのスプリングを備える、請求項19に記載のマグネトロン。
【請求項21】
前記支持機構が前記ブラケット上で旋回可能に支持されて前記マグネトロンを支持する旋回アームを備えており、前記少なくとも一つのスプリングが前記ブラケットと前記旋回アームとの間に結合される、請求項20に記載のマグネトロン。
【請求項22】
前記支持機構が前記ブラケットに形成されたスロットに嵌合してこのスロットに沿ってスライドする支持部材を備えており、更に、前記少なくとも一つのスプリングが前記ブラケットと前記支持部材との間に結合される、請求項20のマグネトロン。
【請求項23】
プラズマスパッタ反応器内で中心軸を有するターゲットを走査するためのデュアルポジション型マグネトロンであって、
前記中心軸の周りに回転可能な回転シャフトに取付け可能なブラケットと、
前記ブラケット上に固定され、旋回プレートを旋回軸の周りに旋回可能に支持する旋回機構と、
前記旋回軸から離れて前記旋回プレートに固定されたマグネトロンと、
前記ブラケットと前記旋回プレートとを結合し、前記回転駆動シャフトの回転によって前記マグネトロンに加えられる遠心力とは反対に前記中心軸の方に前記マグネトロンを押しやるスプリングと、
を備えるデュアルポジション型マグネトロン。
【請求項24】
前記旋回軸の周りの第1の旋回方向への前記ブラケットに関する前記旋回プレートの更なる旋回を防止する第1の機械的留め具(stop)と、
前記第1の旋回方向とは反対の第2の旋回方向への前記ブラケットに関する前記旋回プレートの更なる旋回を防止する第2の機械的留め具と、
を更に備える、請求項23に記載のマグネトロン。
【請求項25】
前記第1、第2の機械的留め具が前記旋回プレートに固定されており、前記旋回軸の周りの前記旋回プレートの所定の旋回時に前記ブラケットに係合する、請求項24に記載のマグネトロン。
【請求項26】
前記旋回機構が前記マグネトロンを取り囲む水に対してシールされた軸受けを含む、請求項23〜25のいずれかに記載のマグネトロン。
【請求項27】
マグネトロンスパッタ反応器であって、
中心軸の周りに配置された真空チャンバと、
前記真空チャンバの一端をシールするスパッタターゲットと、
前記ターゲットの前側の反対側において基板を支持するためのペデスタルと、
前記中心軸に沿って延び、この軸の周りに回転可能な回転駆動シャフトと、
前記回転駆動シャフトに固定され、これと共に回転可能なブラケットと、
旋回プレートと、
前記ブラケットに固定され、前記旋回プレートを前記中心軸から変位させられた旋回軸の周りに旋回可能に支持する旋回機構と、
前記ターゲットの裏側に隣接する前記旋回プレート上で支持されたマグネトロンと、
前記ブラケットと前記旋回プレートとを結合し、前記マグネトロンを前記旋回軸の周りに旋回するように前記中心軸に向けてバイアスするスプリングと、
を備えるマグネトロンスパッタ反応器。
【請求項28】
前記回転駆動シャフトの回転が前記マグネトロンを前記中心軸から離れるように押しやる、請求項27に記載の反応器。
【請求項29】
前記旋回軸の周りのそれぞれ反対の旋回方向への前記ブラケットに関する前記旋回プレートの更なる旋回を防止する第1、第2の機械的留め具を更に備える、請求項27に記載の反応器。
【請求項30】
前記反応器が前記ターゲットを冷やす冷却液のための液体エンクロージャを更に備え、前記ブラケット、旋回機構、マグネトロンおよびスプリングが前記液体エンクロージャ内に設置される、請求項27に記載の反応器。
【請求項31】
回転駆動シャフトに接続されたブラケット上で旋回可能に支持され、中心軸に向かってバイアスされたマグネトロンを支持する回転駆動シャフトを備えるマグネトロンスパッタ反応器を動作させる方法であって、
前記マグネトロンが前記中心軸の周りに第1の半径部において回転する第1の位置に前記マグネトロンを移動させるために、前記中心軸の周りに第1の回転速度で、第1の方向に前記回転駆動シャフトを回転させる第1のステップと、
前記マグネトロンが前記中心軸の周りに前記第1の半径部とは異なる第2の半径部において回転する前記第1の位置から離れた第2の位置に前記マグネトロンを移動させるために、前記第1の回転速度とは異なる第2の回転速度で、前記第1の方向に前記回転駆動シャフトを回転させる第2のステップと、
を備える方法。
【請求項32】
前記第1の回転速度が前記第2の回転速度より大きく、また前記第1の半径部が前記第2の半径部より大きい、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記第1の回転ステップから前記第2の回転ステップに切り替わる際に、前記第2の回転速度より遅い第3の速度で、前記回転駆動シャフトを回転させる第1の移行ステップを更に備える、請求項31および32のいずれかに記載の方法。
【請求項34】
前記マグネトロンが前記中心軸に向かって機械的に受動的にバイアスされる、請求項31〜33のいずれかに記載の方法。
【請求項35】
前記回転駆動シャフトの回転によって作り出される遠心力が前記マグネトロンを前記中心軸から離れるように押しやる、請求項31〜34のいずれかに記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2007−530787(P2007−530787A)
【公表日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−505006(P2007−505006)
【出願日】平成17年3月15日(2005.3.15)
【国際出願番号】PCT/US2005/008513
【国際公開番号】WO2005/100630
【国際公開日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【出願人】(390040660)アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド (1,346)
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【Fターム(参考)】