説明

選択的HM74Aアゴニストとしてのキサンチン誘導体

本発明は、キサンチン誘導体である化合物、前記誘導体の製造方法、活性化合物を含む医薬製剤、および治療、例えば、HM74A受容体の不十分な活性化が疾患に寄与し、該受容体の活性化が有益である疾患の治療における該化合物の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キサンチン誘導体である化合物、前記誘導体の製造方法、これらの化合物を含む医薬製剤、治療、例えば、HM74A受容体の不十分な活性化が疾患に寄与する、または受容体の活性化が有益である疾患の治療における該化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
異脂肪血症は、異状リポタンパク質プロファイルを有する固体を記述するのに用いられる一般的用語である。臨床的に、異脂肪血症を有するため、心臓血管病のリスクのある患者の治療に使用される主な類の化合物は、スタチン、フィブラート、胆汁酸結合樹脂およびニコチン酸である。ニコチン酸(ニアシン、Bビタミン)は、様々な形態の異脂肪血症の患者において40年間にわたって臨床的に使用されてきた。ニコチン酸の作用の一次形態は、血漿中非エステル化脂肪酸(NEFA)の低下をもたらし、それによって肝臓脂肪代謝を変化させて、LDLおよびVLDL(低および超低密度リポタンパク質)の出力を低減するホルモン感受性トリグリセリドリパーゼ(HSL)の阻害による。VLDLレベルの低下は、コレステロールエステル転移タンパク質(CETP)活性を低下させて、観察された心臓血管に関する利点の原因になり得るHDL(高密度リポタンパク質)レベルの増加をもたらすと考えられる。したがって、ニコチン酸は、リポタンパク質プロファイルにおける非常に望ましい変化をもたらす。すなわち、VLDLおよびLDLのレベルを低下させながら、HDLを増加させる。ニコチン酸は、いくつかの試験において、疾病を改変する利点を有し、アテローム硬化病変の進行を低減し、その退化を高め、心臓血管事象の数を減少させることも証明された。
【0003】
ニコチン酸治療によるHSLの観察された阻害は、アデニリルシクラーゼのG−タンパク質媒介阻害によって引き起こされる細胞環状アデノシン一リン酸(cAMP)の減少によって媒介される。最近、Gタンパク質結合受容体HM74およびHM74Aが、ニコチン酸に対する受容体として特定された(PCT特許出願WO02/84298;Wiseら、J Biol Chem、2003、278(11)、9869〜9874頁)。ヒトHM74AのDNA配列をGenbank;受入番号AY148884に見いだすことができる。2つのさらなる文献(Tunaruら、Nature Medicine、2003、9(3)、352〜255頁およびSogaら、Biochem、Biophys Res Commun.、2003、303(1)364〜369頁)がこの発見を裏づけているが、用語がわずかに異なっている。Tunaruの文献では、本発明者らがヒトHM74AとしているものがヒトHM74とされ、Sogaの文献では、HM74bがHM74Aと同一である。HM74Aおよび/またはHM74を発現するようにトランスフェクトされた細胞は、ニコチン酸に接触すると、GG−タンパク質媒介応答を誘発する能力を得る。HM74A(m−PUMA−G)ニコチン酸の相同体が欠如したマウスは、血漿中NEFAレベルを低下させることができない。
【0004】
従来技術において、一定のキサンチン誘導体が合成され、開示された。例えば、EP0389282には、脳血管障害の潜在的な媒介物質としてキサンチン誘導体が開示されている。一連のキサントン誘導体が、Jacobsonら、J.Med.Chem.,1993、36、2639〜2644頁により、アデノシン受容体アンタゴニストとして特定された。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、この度、ニコチン酸受容体HM74Aの選択的アゴニストであり、この受容体の不十分な活性化が疾患に寄与し、該受容体の活性化が有益である疾患の治療、予防および抑制に潜在的有益性を有する一群のキサンチン誘導体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、キサンチン誘導体、ならびに治療、例えば、HM74A受容体の不十分な活性化が疾患に寄与する、または受容体の活性化が有益である疾患の治療におけるこれらの誘導体の使用に関する。例えば、糖尿病性異脂肪血症および混合異脂肪血症などの異脂肪血症または高リポタンパク血症、心不全、高コレステロール血症、アテローム硬化症、動脈硬化症および高トリグリセリド血症を含む心臓血管病を含む脂肪代謝の疾患の治療においてである。そのように、該化合物は、冠状動脈疾患、血栓症、狭心症、慢性腎不全、末梢血管疾患および卒中、ならびにII型真性糖尿病、I型糖尿病、インスリン抵抗性、高脂血症、拒食症、肥満に関連する心臓血管適応症の治療にも有利であり得る。該化合物を以下に詳細に記載される炎症性疾患または状態の治療にも使用できる。
【0007】
本明細書に記載されている中間体、製剤、治療法および製法は、本発明のさらなる実施形態を形成する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の一態様によれば、式(I)の化合物、およびその医薬上許容される誘導体から選択される少なくとも1つの化学物質を提供する。
【0009】
【化1】

(I)
(式中、Rは、−(CH−シクロアルケニル、−(CH−アリールおよび−(CH−ヘテロアリールから選択される基を表し;
qが1または2から選択される整数である場合は、R環は、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、ハロゲン、−NH、−(CH−(O)−(CH−N(R)C(O)OR、−(CH−N(R)C(O)R、−(CH−(O)−(CH−C(O)NR、−(CH−N(R)C(O)N(R)R、−(CH−C(O)N((CHOH)R、−(CH−N(R)−S(O)、−CH−S(O)N(R)R、−OCF、−OCH(F)、−OCHF、RCN、CNおよび−SOから独立に選択される1つまたは複数の基で置換されていてもよく、
qが0である場合は、R環は、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、ハロゲン、−NH、−(CH−(O)−(CH−N(R)C(O)OR、−(CH−N(R)C(O)R、−(CH−(O)−(CH−C(O)NR、−(CH−N(R)C(O)N(R)R、−(CH−C(O)N((CHOH)R、−(CH−N(R)−S(O)、−CH−S(O)N(R)R、−C1〜6ハロアルキル、−OCF、−OCH(F)、−OCHF、−C(O)OR、−OR、−RCN、CN、−SO;−(CHヘテロアリール、−(CHヘテロシクリル、−(CHシクロアルキル、−(CHシクロアルケニルおよび−(CHアリールから独立に選択される1つまたは複数の基で置換されていてもよく;
は、水素、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールから選択される基を表し、その各々が、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、C1〜6ハロアルキル、ハロゲン、−CN、−OR、−(CHCOR、−CO、−OCOR、−(CHNR、−(NH)CONR、−OCONRおよび−NHC(O)ORの1つまたは複数で所望により置換されていてもよく;
は、ハロゲンおよびCNから選択される基を表し;
は、水素、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、−(CHシクロアルキル、−(CHシクロアルケニル、−(CHヘテロシクリル、−(CHアリールおよび−(CHヘテロアリールから選択される基を表し;
およびRは、水素およびC1〜4アルキルから独立に選択され、
は、H、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、−(CHシクロアルキル、−(CHシクロアルケニル、−(CHヘテロシクリル、−(CHアリールおよび−(CHヘテロアリールから選択される基を表し;
は、C1〜4アルキルから選択される基を表し;
mは、1、2、3、4および5から選択される整数を表し;
nは、1、2、3、4および5から選択される整数を表し;
tは、1および2から選択される整数を表し;
pは、0および1から選択される整数を表し;
qは、0、1および2から選択される整数を表す)。
【0010】
該化合物は、HM74A受容体の不十分な活性化が疾患に寄与する、または該受容体の活性化が有益である疾患の治療に有用であると考えられる。例えば、糖尿病性異脂肪血症および混合異脂肪血症などの異脂肪血症または高リポタンパク血症、心不全、高コレステロール血症、アテローム硬化症、動脈硬化症および高トリグリセリド血症を含む心臓血管病を含む脂肪代謝の疾患の治療においてである。そのように、該化合物は、冠状動脈疾患、血栓症、狭心症、慢性腎不全、末梢血管疾患および卒中、ならびにII型真性糖尿病、I型糖尿病、インスリン抵抗性、高脂血症、拒食症、肥満に関連する心臓血管適応症の治療にも有利であり得る。そのように、本発明の化合物をHM74Aのアゴニストまたは部分アゴニストとして使用できる。該化合物を以下に詳細に記載される炎症性疾患または状態の治療にも使用できる。
【0011】
一実施形態において、Rは、所望により置換された−(CH−アリールまたは所望により置換された−(CH−ヘテロアリールを表す。さらなる実施形態において、Rは、−(CH−アリール、例えば−(CH−フェニル、または−(CH−ヘテロアリール、例えば−(CH−イミダゾリルを表し、さらなる実施形態において、ハロゲン、例えばFまたはClで置換されている。さらなる実施形態において、Rは、所望により置換された−(CH−アリールを表す。さらなる実施形態において、Rは、−(CH−アリールを表し、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、ハロゲン、−NH、−OCF、−OCH(F)、−OCHF、−RCN、CNおよび−SOから選択される基で置換されていてもよい。一実施形態において、Rは、さらに置換されていない−(CH−アリールを表す。
【0012】
別の実施形態において、Rは、−(CH−アリール(式中、qは0である)を表し、さらなる実施形態において、−OR、例えば−OHまたはOCH、ハロゲン、例えばFまたはCl、−OCF、C1〜6ハロアルキル、例えば−CFから選択される基で置換されている。さらなる実施形態において、Rは、−(CHアリール、例えば−(CHフェニル、および−(CHヘテロアリール、例えば−(CHイミダゾリルを表す。さらなる実施形態において、Rは、−(CH−アリール(式中、qは0である)を表し、−OR、例えば−OHまたはOCHから選択される基で置換されていてもよい。さらなる実施形態において、Rは、さらに置換されていない−(CH−アリール(式中、qは0である)を表す。
【0013】
別の実施形態において、Rは、−(CHアリール、例えば−(CHフェニル、および−(CHヘテロアリール、例えば−(CHイミダゾリルを表し、qは、1または2である。さらなる実施形態において、Rは、−(CH−アリール(式中、qは1または2である)を表し、さらなる実施形態において、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、ハロゲン、−NH、−OCF、−OCH(F)、−OCHF、−RCN、CNおよび−SOから選択される基で置換されている。さらなる実施形態において、Rは、−(CH−アリール(式中、qは1または2である)を表し、ハロゲン、例えばFまたはCl、−OCFで置換されている。一実施形態において、Rは、さらに置換されていない−(CH−アリール(式中、qは1または2である)を表す。
【0014】
一実施形態において、Rは、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、C1〜6ハロアルキル、ハロゲン、−CN、−OR、−(CHCOR、−C(O)OR、−OCOR、−(CHNRおよび−(NH)CONRの1つまたは複数で所望により置換されていてもよいC1〜10アルキルを表す。さらなる実施形態において、Rは、シクロアルキル、C1〜6ハロアルキル、ハロゲン、−CN、OR、−(CHCOR、−C(O)OR、−OCOR、−(CHNRおよび−(NH)CONRの1つまたは複数で所望により置換されていてもよいC1〜10アルキルを表す。さらなる実施形態において、Rは、さらに置換されていないC1〜10アルキルを表す。さらなる実施形態において、Rは、C3〜6アルキル、例えばブチルまたはペンチル、例えばn−ブチルまたはn−ペンチルから選択される。
【0015】
一実施形態において、Rは、ハロゲンを表す。さらなる実施形態において、Rは、塩素および臭素から選択される。さらなる実施形態において、Rは、塩素を表す。
【0016】
一実施形態において、Rは、水素またはメチルを表す。さらなる実施形態において、Rは、水素を表す。
【0017】
本発明の一態様によれば、式(Ia)の化合物、およびその医薬上許容される誘導体から選択される少なくとも1つの化学物質を提供する。
【0018】
【化2】

(Ia)
(式中、Rは、−(CH−シクロアルケニル、−(CH−アリールおよび−(CH−ヘテロアリールから選択される基を表し;
qが1または2から選択される整数である場合は、R環は、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、ハロゲン、−NH、−(CH−(O)−(CH−N(R)C(O)OR、−(CH−N(R)C(O)R、−(CH−(O)−(CH−C(O)NR、−(CH−N(R)C(O)N(R)R、−(CH−C(O)N((CHOH)R、−(CH−N(R)−S(O)、−CH−S(O)N(R)R、−C1〜6ハロアルキル、−OCF、−OCH(F)、−OCHF、−C(O)OR、−OR、−(RCNおよび−SOから独立に選択される1つまたは複数の基で置換されていてもよく;
qが0である場合は、R環は、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、ハロゲン、−NH、−(CH−(O)−(CH−N(R)C(O)OR、−(CH−N(R)C(O)R、−(CH−(O)−(CH−C(O)NR、−(CH−N(R)C(O)N(R)R、−(CH−C(O)N((CHOH)R、−(CH−N(R)−S(O)、−CH−S(O)N(R)R、−C1〜6ハロアルキル、−OCF、−OCH(F)、−OCHF、−C(O)OR、−OR、−(RCN、−SO;−(CHヘテロアリール、−(CHヘテロシクリル、−(CHシクロアルキル、−(CHシクロアルケニルおよび−(CHアリールから独立に選択される1つまたは複数の基で置換されていてもよく;
は、水素、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールから選択される基を表し、その各々が、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、C1〜6ハロアルキル、ハロゲン、−CN、−OR、−(CHCOR、−CO、−OCOR、−(CHNR、−(NH)CONR、−OCONRおよび−NHC(O)ORの1つまたは複数で所望により置換されていてもよく;
は、ハロゲンおよびCNから選択される基を表し;
は、H、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、−(CHシクロアルキル、−(CHシクロアルケニル、−(CHヘテロシクリル、−(CHアリールおよび−(CHヘテロアリールから選択される基を表し;
およびRは、水素およびC1〜4アルキルから独立に選択され;
は、H、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、−(CHシクロアルキル、−(CHシクロアルケニル、−(CHヘテロシクリル、−(CHアリールおよび−(CHヘテロアリールから選択される基を表し;
は、C1〜4アルキルから選択される基を表し;
mは、1、2、3、4および5から選択される整数を表し;
nは、0、1、2、3、4および5から選択される整数を表し;
tは、1および2から選択される整数を表し;
pは、0および1から選択される整数を表し;
qは、0、1および2から選択される整数を表す)。
【0019】
一実施形態において、式(Ia)について、Rは、所望により置換された−(CH−アリールまたは所望により置換された−(CH−ヘテロアリールを表す。さらなる実施形態において、Rは、−(CHアリール、例えば−(CHフェニル、または−(CHヘテロアリール、例えば−(CHイミダゾリル(qは、1および2から選択される)を表し、さらなる実施形態において、−OR、例えば−OHまたはOCH、ハロゲン、例えばFまたはCl、−OCFおよびC1〜6ハロアルキル、例えば−CFから選択される基で置換されている。
【0020】
一実施形態において、式(I)または(Ia)の化合物は、1H−プリン−2,6−ジオン、8−ブロモ−1−[(4−クロロフェニル)メチル]−3,7−ジヒドロ−3−(2−メチルフェニル)以外の化合物である。立体異性体に関して、式(I)の化合物は、1個または複数個の非対称炭素原子を有していてもよく、ラセミ体、ラセミ混合物および個々の鏡像異性体またはジアステレオ異性体として存在していてもよい。すべての当該異性体形態が、それらの混合物を含めて本発明に含まれる。
【0021】
式(I)または(Ia)の化合物が、アルケニルまたはアルケニレン基を含む場合は、シス(E)およびトランス(Z)異性体が存在していてもよい。本発明は、本発明の化合物の個々の立体異性体、および適宜それらの混合物とともに個々の互変異性体形態を含む。
【0022】
ジアステレオ異性体またはシスおよびトランス異性体の分離は、従来の技術、例えば薬剤の立体異性体の混合物の分別結晶、クロマトグラフィーまたはHPLCによって達成することができ、対応する光学的に純粋の中間体から調製してもよく、または好適なキラル支持体を使用した対応するラセミ体のHPLCなどの分割によって、または対応するラセミ体と好適な光学的に活性な酸または塩基との反応によって形成されるジアステレオ異性体塩の分別結晶によって適宜調製することもできる。
【0023】
また、式(I)または(Ia)の結晶形態のいくつかは、本発明に含まれる多形体として存在していてもよい。ある形態が、別の形態に比べて、利点を有していてもよく、例えば、ある形態が、別の形態に比べて、安定性が向上していてもよい。
【0024】
本発明は、特定の実施形態の組合せを含み、上記特定の置換基のすべての組合せを包括することを理解すべきである。
【0025】
本明細書および添付の請求項全体を通じて、「含む(comprise)」および「含む(include)」という用語、ならびに「含む(comprises)」、「含んでいる(comprising)」、「含む(includes)」および「含んでいる(including)」などの変形は、包括的に解釈されるべきである。すなわち、これらの用語は、文脈が許す限り、具体的に記載されていない他の要素または整数の可能な包括を示唆することを意図する。
【0026】
本明細書で用いられているように、「アルキル」(基または基の一部として用いられる場合)という用語は、他に指定がなければ、特定数の炭素原子を含む直鎖状または分枝状炭化水素鎖を意味する。例えば、C〜C10アルキルは、少なくとも3個、多くとも10個の炭素原子を含む直鎖状または分枝状炭化水素鎖を意味する。本明細書で用いられているアルキルの例としては、メチル(Me)、エチル(Et)、n−プロピルおよびi−プロピルが挙げられるが、それらに限定されない。
【0027】
本明細書で用いられている「アルケニル」という用語は、1つまたは複数の二重結合を含む特定数の炭素原子を含む直鎖状または分枝状炭化水素鎖を指す。
【0028】
本明細書で用いられている「アルキニル」という用語は、1つまたは複数の三重結合を含む特定数の炭素原子を含む直鎖状または分枝状炭化水素鎖を指す。
【0029】
本明細書で用いられている「シクロアルキル」という用語は、3個から8個の炭素原子の飽和単環式炭化水素環を指す。当該基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルまたはシクロオクチル等が挙げられる。
【0030】
本明細書で用いられている「アリール」という用語は、少なくとも1つの環が芳香族であるC6〜9単環式または二環式炭化水素環を指す。当該基の例としては、フェニルなどが挙げられる。
【0031】
本明細書で用いられている「ヘテロアリール」という用語は、酸素、窒素および硫黄から選択される1個から4個のヘテロ原子を含む5〜6員単環式芳香族または縮合8〜10員二環式芳香族環を指す。当該単環式芳香族環の例としては、チエニル、フリル、フラザニル、ピロリル、トリアゾリル、テトラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、オキサジアゾリル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、チアジアゾリル、ピラニル、ピラゾリル、ピリミジル、ピリダジニル、ピラジニル、ピリジル、トリアジニルおよびテトラジニル等が挙げられる。当該縮合芳香族環の例としては、キノリニル、イソキノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、プテリジニル、シノリニル、フタラジニル、ナフトリジニル、インドリル、イソインドリル、アザインドリル、インドリジニル、インダゾリル、プリニル、ピロロピリジニル、フロピリジニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾキサゾリル、ベンゾイソキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾキサゾアゾリルおよびベンゾチアジアゾリル等が挙げられる。
【0032】
本明細書で用いられている「シクロアルケニル」という用語は、1つまたは複数の炭素−炭素二重結合を含む3個から8個の炭素原子の不飽和非芳香族単環式炭化水素環を指す。当該基の例としては、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニルおよびシクロオクテニル等が挙げられる。
【0033】
本明細書で用いられている「ヘテロシクリル」という用語は、酸素、窒素または硫黄から選択される1個から4個のヘテロ原子を含む、飽和または部分的に不飽和であってもよい4〜7員単環式環または縮合8〜12員二環式環を指す。1つまたは複数のオキソ置換基が炭素原子環に存在していてもよい。当該単環式環の例としては、ピロリジニル、アゼチジニル、ピラゾリジニル、オキサゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、チアゾリジニル、ヒダントイニル、バレロラクタミル、オキシラニル、オキセタニル、ジオキソラニル、ジオキサニル、オキサチオラニル、オキサチアニル、ジチアニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロピリジニル、テトラヒドロピリミジニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロチオピラニル、ジアゼパニルおよびアゼパニル等が挙げられる。当該二環式環の例としては、インドリニル、イソインドリニル、ベンゾピラニル、キヌシジニル、2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンザゼピンおよびテトラヒドロイソキノリニル等が挙げられる。
【0034】
本明細書で用いられている「ハロゲン」または「ハロ」という用語は、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素を指す。
【0035】
本明細書で用いられている「C1〜6ハロアルキル」という用語は、少なくとも1個の水素原子がハロゲンで置換された、本明細書に定義されているC1〜6アルキル基を指す。当該基の例としては、フルオロエチル、トリフルオロメチルまたはトリフルオロエチル等が挙げられる。
【0036】
本明細書で用いられているように、基が、別の基で「置換」されている、または「1つまたは複数の置換基」を有しているといわれる場合は、当該置換の特定位置が指定されていなければ、該基における任意の位置に置換が存在していてもよいと理解されるべきである。
【0037】
本明細書で用いられている「医薬上許容される誘導体」という用語は、本発明の化合物の任意の医薬上許容される誘導体、例えば、ヒトなどの哺乳類に投与すると、当該化合物またはその活性代謝物質を(直接または間接的に)与えることが可能な塩、溶媒和物またはエステルを指す。当該誘導体は、不必要な実験をしなくても、かつ参照により本明細書に組み込まれているBurger’s Medicinal Chemistry And Drug Discovery、第5版、第1巻:Principles And Practiceの教示を参照すれば当業者に明らかである。
【0038】
本明細書で用いられているように、患者に投与される医薬製剤に含むことができる成分(活性成分、希釈剤、賦形剤または担体)に関連して用いられる「医薬上許容される」という用語は、その成分が、医薬製剤に存在するあらゆる他の成分と相溶性を有し、その受給者に対して有害でないという意味で許容し得ることを指す。
【0039】
本明細書で用いられているように、「溶媒和物」という用語は、溶質(本発明では、式(I)もしくは(Ia)またはその医薬上許容される誘導体)および溶媒によって形成された可変的な化学量論比の複合体を指す。本発明の目的に応じた当該溶媒は、溶質の生物活性に緩衝し得ない。使用される溶媒は、医薬上許容される溶媒であってもよい。好適な医薬上許容される溶媒としては、水、エタノールおよび酢酸が挙げられる。使用できる溶媒の例は、水であり、その場合、溶媒和物は、対象となる溶質の水和物と称することができる。
【0040】
医薬用途では、上記の「塩または溶媒和物」は、医薬上許容される塩または溶媒和物であることが理解されるであろう。しかし、他の塩または溶媒和物も、例えば、式(I)または(Ia)の化合物の調製、あるいはその医薬上許容される塩または溶媒和物の調製に使用できる。
【0041】
医薬上許容される塩としては、Berge、Bighley and Monkhouse、J.Pharm.Sci.、1977、66、1〜19頁に記載されているものが挙げられる。好適な医薬上許容される塩としては、アルカリ金属水酸化物などのアルカリ金属塩基の添加により形成されたアルカリ金属塩が挙げられる。好適なアルカリ金属塩の例としては、ナトリウム塩およびカリウム塩が挙げられる。他の好適な医薬上許容される塩としては、カルシウム塩およびマグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩;またはエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、トリエチルミン、コリンおよびメグルミンなどの有機塩基との塩;またはアルギン、リシンおよびヒスチジンなどのアミノ酸との塩が挙げられる。
【0042】
エステルは、それ自体が活性である、かつ/またはヒトの体内におけるインビボ条件下で加水分解可能であり得る。好適な医薬上許容されるインビボ加水分解性エステル基としては、ヒトの体内で容易に分解して、親酸またはその塩を残すものが挙げられる。対応するアルコールとの反応を含む当該技術分野で良く知られている方法によって、エステルをカルボン酸(−C(O)OH)基で形成することができる。例えば、エステルは、C1〜6アルキルエステル、例えばメチルエステルおよびエチルエステル等であってもよい。
【0043】
本明細書で用いられているように、「本発明の化合物」という用語は、式Iによる化合物、およびその医薬上許容される誘導体を意味する。「本発明の化合物」という用語は、以上に定義されている本発明の化合物のいずれか1つを意味する。
【0044】
本明細書で用いられているように、「少なくとも1つの化学物質」という用語は、式Iの化合物およびその医薬上許容される誘導体からなる群から選択される少なくとも1つの化学物質を意味する。
【0045】
式(I)または(Ia)の化合物は、糖尿病性異脂肪血症および混合異脂肪血症などの異脂肪血症または高リポタンパク血症、心不全、高コレステロール血症、アテローム硬化症、動脈硬化症および高トリグリセリド血症を含む心臓血管病、II型真性糖尿病、I型糖尿病、インスリン抵抗性、高脂血症、拒食症、肥満を含む脂肪代謝の多くの疾患の症状の治療および改善において潜在的な有益性を有する。そのように、該化合物は、冠状動脈疾患、血栓症、狭心症、慢性腎不全、末梢血管疾患および卒中の治療薬としても有用であり得る。
【0046】
HM74およびHM74A受容体は、炎症に関与することが報告された(WO02084298)。炎症は、外傷に対する一群の血管、細胞および神経応答を表す。炎症を単球、好中球および顆粒球などの炎症細胞の組織への移動と特徴づけることができる。これは、通常、内皮バリア機能の低下および浮腫の組織化に関連する。疾患に関する炎症は、典型的には、慢性炎症と称する。当該慢性炎症は、疾患症状を通じて顕在化し得る。したがって、抗炎症治療の目的は、この慢性炎症を低減し、治癒および組織修復の生理的過程の進行を可能にする。
【0047】
それに対して本発明の化合物が有用性を実証できる炎症性疾患または状態としては、関節の疾患または状態、例えば関節炎(例えば、リウマチ様関節炎、骨関節炎、人工関節障害)、または胃腸管の疾患または状態(例えば、潰瘍性大腸炎、クローン病および他の炎症性腸および胃腸疾患、感染に起因する胃炎および粘膜炎症、非ステロイド性抗炎症薬によって誘発される腸疾患)、肺の疾患または状態(例えば、成人呼吸促迫症候群、喘息、嚢胞性繊維症または閉塞性肺疾患)、心臓の疾患または状態(例えば心筋炎)、神経組織の疾患または状態(例えば多発性硬化症)、膵臓の疾患または状態(例えば、真性糖尿病およびその併発症に関連する炎症)、腎臓の疾患または状態(例えば腎炎)、皮膚の疾患または状態(例えば、皮膚炎、乾癬、湿疹、じんま疹、火傷)、眼の疾患または状態(例えば緑内障)、ならびに移植臓器の疾患または状態(例えば拒絶)および多臓器疾患(例えば、全身性紅斑性狼瘡、敗血症)およびウィルスまたは細菌感染の炎症性続発症、およびアテローム性動脈硬化症と関連する炎症状態ならびに例えば脳疾患または虚血性心臓疾患における低酸素または虚血性障害(再潅流を伴う、または伴わない)が挙げられる。
【0048】
一実施形態において、本発明の化合物は、炎症、糖尿病、ならびにアテローム硬化症、動脈硬化症、高トリグリセリド血症および混合異脂肪血症を含む心臓血管疾患または状態の治療および予防に有用である。
【0049】
ニコチン酸は、恐らく高レベル(1日当たりグラム単位の量)で投与されるため、大きな副作用プロファイルを有する。最も一般的な副作用は、激しい皮膚潮紅である。本発明の一定の実施形態において、該化合物は、ニコチン酸と比較して、弱い副作用を示し得る。HM74Aは、ニコチン酸に対する高親和性受容体であることが確認されたのに対して、HM74は、より低親和性受容体である。本発明の化合物は、HM74よりHM74Aに対する親和性が強いため、選択的HM74アゴニストまたは部分アゴニストとして使用できる。
【0050】
例えば、以下のインビトロ全細胞アッセイを用いて、式(I)または(Ia)の化合物がHM74Aを活性化する潜在能力を実証することができる。
【0051】
インビトロ試験
トランジェントトランスフェクションでは、10%ウシ胎児血清および2mMグルタミンを含むDMEMにHEK293T細胞(SV40大形T抗原を安定的に発現するHEK293細胞)を維持した。細胞を90mmの培養皿に接種し、トランスフェクション(18〜24時間)前に60〜80%コンフルエンスの状態まで成長させた。ヒトHM74A(Genbank(商標)受入番号AY148884)を哺乳類発現ベクター(pcDNA3;インビトロゲン)にサブクローン化し、リポフェクタミン試薬を使用してトランスフェクトした。トランスフェクションでは、9μgのDNAを0.6mlのOpti−MEM(Life Technologies Inc.)中30μlリポフェクタミンと混合し、室温で30分間温置してから、1.6mlのOpti−MEMを添加した。細胞をリポフェクタミン/DNA混合物に5時間接触させ、次いでDMEM中6mlの20%(v/v)ウシ胎児血清を添加した。トランスフェクションの48時間後に細胞を収穫した。50ngml−1で16時間にわたる媒地への補充によって百日咳毒素処理を行った。すべてのトランジェントトランスフェクション試験には、GVOGタンパク質Go1αとともに共トランスフェクションを行うことが含まれていた。
【0052】
安定細胞系を生成するために、上記方法を用いて、6つのウェル皿に接種され、30%コンフルエンスの状態まで成長したCHO−K1細胞をトランスフェクトした。10%ウシ胎児血清および2mMグルタミンを含むDMEM F−12HAM媒地にこれらの細胞を維持した。トランスフェクション48時間後、抗生物質耐性細胞を選択するために、培地に400μg/mlゲネチジン(G418、Gibco)を補充した。HM74Aを安定的に発現するクローンCHO−K1細胞系を[35S]−GTPγS結合測定によって確認した後、ニコチン酸を添加した。
【0053】
P2膜の調製−収穫後、−80℃に凍結された細胞ペーストから血漿膜含有P2微粒子断片を調製した。すべての手順を4℃で実施した。細胞ペレットを1mlの10mM Tris−HClおよび0.1mMのEDTA(pH7.5)(緩衝液A)に、Ultra Turraxで20分間均質化することによって再懸濁させた後、25ゲージ針に(5回)通した。細胞可溶化物をマイクロ遠心機にて10分間1000gで延伸して、核をペレット化し、未破壊細胞およびP2微粒子断片を16000gのマイクロ遠心で30分間にわたって回収した。P2微粒子断片を緩衝液Aに再懸濁し、必要になるまで−80℃で保管した。
【0054】
先述の方法に基づいて、384ウェル形式で室温にて[35S]−GTPγS結合アッセイを実施した(Wieland,T.およびJakobs,K.H.(1994) Methods Enzymol.237、3〜13頁)。手短に述べると、標準および試験化合物の希釈物を調製し、384ウェルプレートに10μlの容量で添加した。膜(HM74AまたはHM74)を、サポニン(60μg/ml)、Leadseeker WGAビーズ(Amersham;250μg/ウェル)および10μM GDPが補充されたアッセイ緩衝液(20mM HEPES、100mM NaCl、10mM、MgCl、pH7.4)で希釈して、各ウェルに添加された20μl容量が5μgの膜を含むようにした。[35S]−GTPγS(1170Ci/mmol、Amersham)をアッセイ緩衝液で(1:1500に)希釈し、20μlを各ウェルに添加した。放射性リガンドの添加後に、プレートをシールし、パルス旋回し、室温で4時間温置した。温置時間の終了時に、プレートをLeadseeker機(VIEWLUX PLUS;Perkin−Elmer)で読み取って、特異的結合のレベルを測定した。
【0055】
最終アッセイ容量を10μlまで減少させることによって、これらのアッセイを精密化した。この10μlアッセイについては、改訂プロトコルを用いた。これには、384ウェルプレートの1ウェル当たりわずか100nlの標準または試験化合物、1.5μgの膜および100μgのLeadseeker WGAビーズの使用が含まれていた。低容量プロトコルについては、膜、ビーズおよび[35S]−GTPγSを混合し、次いでこの混合物の10μlを各ウェルに分配した。温置およびプレートの読取りは、10μlアッセイも50μlアッセイも同じであった。
【0056】
例示されたすべての化合物を上述の[35S]−GTPγS結合アッセイ(すなわち10μlアッセイおよび50μlアッセイ)の一方または両方で試験した。
【0057】
XC50ソフトウェアパッケージを使用する4パラメータ算術方程式(いずれか1つの曲線から削除された最大2点)を用いて実施される曲線当てはめによってデータを解析した。特異的結合をpEC50、およびニコチン酸結合の最大応答と比較した効率(%)で表す。
【0058】
インビボ試験
試験に先立って少なくとも12時間絶食させた雄のシュパグ−ドーレイラット(200〜250g)においてHM74Aアゴニストの試験を行うことができる。化合物を1または3mg/kg(5ml/kg)で静脈内投与するか、または1〜30mg/kgの範囲の投与量(10ml/kg)で、経口胃管栄養法により投与する。血液サンプル(0.3ml尾静脈採血)を投与前に、かつ投与後3回にわたって(投与後15分から6時間の範囲の時間に)採取することができる。各血液サンプルをヘパリン管(Becton Dickinson Microtainer、PST LH)に移し、(10000gで5分間)遠心分離して、血漿サンプルを生成する。商業的に入手可能なキット(Randox)を使用して、非エステル化脂肪酸(NEFA)のレベルについて血漿サンプルをアッセイする。投与前のレベルに対する血漿NEFAレベルの阻害率をHM74Aアゴニスト活性の代わりとして用いる。
【0059】
HM74A化合物がニコチン酸に関連するフラッシング応答を示すかどうかを判断するために、それらを意識のあるモルモットに投与することができる。実験前に雄のダンキンハートレイモルモット(300〜600g;n=10〜20毎グループ)を少なくとも12時間、24時間を超えない時間にわたって絶食させる。覚醒麻酔(追加的なO2(1L/分)を伴うイソフラン3.5%)下での心臓穿刺によって各動物から試験前血液サンプル(0.5ml)を採取する。各動物の左耳を赤外線温度プローブに配置することによって、耳温度測定を行う。投与5分前から投与30分後までの1分間隔で測定を行う。次いで、投与2時間後まで15分間隔で温度測定を行う。動物は、経口栄養胃管法によって試験化合物が与えられる(5ml/kg)。終末麻酔下での心臓穿刺によって血液サンプル(0.5ml)を採取する。血液サンプルを個々の動物から採取して、投与から0.5、1、2、3および4時間後のデータを提供する。血液サンプルを血液ローラに5分間配置し、次いで試験終了まで氷上で保管する。(12000gで5分間にわたる)遠心分離後、血漿を新しいチューブに移し、NEFA濃度についてのアッセイを行うまで−20℃で保管する。
【0060】
式(I)または(Ia)による化合物を合成し(以下の合成例を参照)、上述の[35S]−GTPγS結合アッセイで試験した。
【0061】
すべての代表的な化合物は、それらが試験された上述の[35S]−GTPγS結合アッセイにおいて、4.3(+/−0.3ログ単位)以上のpEC50および(ニコチン酸アミドに対して)30%以上の効果を有する。
【0062】
一般的精製および分析方法
LC/MS:方法
3ml/分の流速で、0%B(0〜0.7分)、0→100%B(0.7〜4.2分)、100%B(4.2〜4.6分)、100→0%B(4.6〜4.8分)の溶離勾配を使用して、水中0.1%HCOHおよび0.01M酢酸アンモニウム(溶媒A)ならびに95%MeCNおよび5%水(0.5%HCOHを含む)(溶媒B)で溶離するSupelcosil(商標)ABZ+PLUSカラム(Supelco)(3μm、3.3cm×4.6mm ID)で分析HPLCを実施した。ダイオードアレイUV検出を215から330nmの範囲で行った。電気スプレー正電離[MHおよびM(NH分子イオンを与えるES+ve]モードまたは電気スプレー負電離[(M−H)分子イオンを与えるES−ve]モードを用いて、ウォータZQ質量分析計で質量スペクトル(MS)を記録した。主な同位体の親イオンのみを引用した。
【0063】
テトラメチルシランを標準物質として使用するBruker DPX 400MHz分光高度計を使用して、H NMRスペクトルを記録した。
【0064】
Biotage(商標)クロマトグラフィーは、KPSil(シリカ)が予め充填されたカートリッジを使用する、Biotage ABが販売するフラッシュ40iまたはフラッシュ150i精製システムを使用して実施される精製を指す。
【0065】
Companion(商標)システムは、Teledyne isco Combiflash Companion(商標)精製システムを指す。これは、UV閾値による自動化断片収集を開始させる機能を有する一体型可変波長UV検出を備えた勾配制御精製システムである。
【0066】
質量誘導オートプレプ(MDAP)は、溶媒A:水中0.1%HCOHおよび溶媒B:95%MeCN、5%水(0.5%HCOHを含む)の好適な勾配を有するSupelcosil(商標)ABZ+5μmカラム(10cm×内径20mm)またはSupelcosil(商標)ABZ+10μmカラム(15cm×内径30mm)を使用する高速液体クロマトグラフィーによって材料を精製する方法を指す。(Micromass MassLynxソフトウェアを使用して)対象の質量を検出するMicroMass ZQ 質量分析計によってウォータ2767インジェクト/コレクタを始動させた。
【0067】
分取HPLC(オートプレプHPLCまたはオートプレプ)は、水中0.1%HCOHおよびMeCN(0.5%HCOHを含む)の好適な勾配を有するSupelcosil(商標)ABZ+5μmカラム(10cm×内径21.2mm)による高速液体クロマトグラフィーによって材料を精製する方法を指す。
【0068】
SPE(固相抽出)は、精製に使用される、吸収剤が予め充填されたポリエチレンカートリッジの使用を指す。これらのカートリッジに含まれる吸収剤を指定することになる。用いられる例を以下に詳述する。
C18 SPEは、(Varian Inc.が販売する)40μMのC18機能化シリカ吸収剤が予め充填されたカートリッジの使用を指す。予めMeCNで調整され、水中5%MeCNで平衡化されたカートリッジに化合物を典型的にはDMSO/MeOH(50:50)で充填した。生成物を水中0.1%HCOHおよびMeCN(0.5%HCOH)の好適な勾配で溶離した。
アミノプロピルSPEまたはカラムは、(Varian Inc.が販売する)40μm〜120μmアミノプロピル機能化シリカが予め充填されたカートリッジの使用を指す。MeOHで予め調整されたカートリッジに粗製物を典型的にはDCM/MeOH混合物で充填する。中性成分をMeOHおよび/またはDCM(3または4カラム容量)で溶離し、酸性成分を、ある割合のAcOH(2〜20%)を含む溶離剤で通常溶離した。
【0069】
Oasis(商標)カートリッジ/Oasis(商標)SPE’sは、Waters Corporationによって製造されたポリマー吸収剤が充填されたSPEカートリッジを指す。これらを、典型的には、サンプルが充填される前に3カラム容量のMeOHで調整し、水で平衡化する。塩および無機物を水で溶離し、生成物を典型的にはMeOHまたはMeCNで溶離する。
【0070】
GreenHouse(商標)は、RDT Ltd(英国)から入手可能な24反応平行合成機プラットフォームを指す。
【0071】
以上に示されるように、式(I)または(Ia)の化合物を、異脂肪血症および高リポタンパク血症の管理において、例えばHM74Aの活性化体としてヒトまたは獣医用医薬に使用できる。
【0072】
したがって、本発明の別の実施形態として、例えば、糖尿病性異脂肪血症および混合異脂肪血症などの異脂肪血症または高リポタンパク血症、心不全、高コレステロール血症、アテローム硬化症、動脈硬化症および高トリグリセリド血症を含む心臓血管病、II型真性糖尿病、I型糖尿病、インスリン抵抗性、高脂血症、拒食症、肥満を含む脂肪代謝の障害の治療におけるヒトまたは獣医用医薬に使用される式(I)もしくは(Ia)の少なくとも1つの化合物またはその医薬上許容される誘導体が提供される。そのように、該化合物は、また、冠状動脈疾患、血栓症、狭心症、慢性腎不全、末梢血管疾患および卒中の治療における使用に向けて提供される。
【0073】
本発明のさらなる実施形態として、糖尿病性異脂肪血症および混合異脂肪血症などの異脂肪血症または高リポタンパク血症、心不全、高コレステロール血症、アテローム硬化症、動脈硬化症および高トリグリセリド血症を含む心臓血管病、II型真性糖尿病、I型糖尿病、インスリン抵抗性、高脂血症、拒食症、肥満を含む脂肪代謝の障害の治療のための医薬品の製造に使用される式(I)もしくは(Ia)の少なくとも1つの化合物またはその医薬上許容される誘導体が提供される。そのように、該化合物は、また、冠状動脈疾患、血栓症、狭心症、慢性腎不全、末梢血管疾患および卒中の治療における使用に向けて提供される。
【0074】
本明細書において治療を指す用語は、症状の予防、再発防止および抑制ならびに確立された状態の治療まで拡大されることが理解されるであろう。
【0075】
本発明の一実施形態において、異脂肪血症および高リポタンパク血症を含む脂肪代謝の障害の治療に使用される式(I)もしくは(Ia)の少なくとも1つの化合物またはその医薬上許容可能な誘導体が提供される。例えば、糖尿病性異脂肪血症、混合異脂肪血症、心不全、高コレステロール血症、II型真性糖尿病、I型糖尿病、インスリン抵抗性、高脂血症、拒食症、肥満、冠状動脈疾患、血栓症、狭心症、慢性腎不全、卒中、ならびにアテローム硬化症、動脈硬化症および高トリグリセリド血症を含む心臓血管病の治療における式(I)もしくは(Ia)の少なくとも1つの化合物またはその医薬上許容される誘導体の使用が提供される。
【0076】
本発明の本実施形態は、特定の実施形態の任意の組合せを含み、式(I)または(Ia)の化合物について上述されている特定の置換基のあらゆる組合せを包括することを理解すべきである。
【0077】
また、本発明は、関節の疾患または状態、例えば関節炎(例えば、リウマチ様関節炎、骨関節炎、人工関節障害)、または胃腸管の疾患または状態(例えば、潰瘍性大腸炎、クローン病および他の炎症性腸および胃腸疾患、感染に起因する胃炎および粘膜炎症、非ステロイド性抗炎症役によって誘発される腸疾患)、肺の疾患または状態(例えば、成人呼吸促迫症候群、喘息、嚢胞性繊維症または閉塞性肺疾患)、心臓の疾患または状態(例えば心筋炎)、神経組織の疾患または状態(例えば多発性硬化症)、膵臓の疾患または状態(例えば、真性糖尿病およびその併発症に関連する炎症)、腎臓の疾患または状態(例えば腎炎)、皮膚の疾患または状態(例えば、皮膚炎、乾癬、湿疹、じんま疹、火傷)、眼の疾患または状態(例えば緑内障)、ならびに移植臓器の疾患または状態(例えば拒絶)および多臓器疾患(例えば、全身性紅斑性狼瘡、敗血症)およびウィルスまたは細菌感染の炎症性続発症、およびアテローム動脈硬化症と関連する炎症状態ならびに例えば脳疾患または虚血性心臓疾患における低酸素または虚血性障害(再潅流を伴う、または伴わない)の治療のための医薬品の製造における式(I)もしくは(Ia)の少なくとも1つの化合物またはその医薬上許容される誘導体の使用を提供する。
【0078】
さらなる実施形態または代替的な実施形態において、HM74A受容体の不十分な活性化が疾患に寄与する、または受容体の活性化が有益である状態のヒトまたは動物対象の治療方法であって、前記ヒトまたは動物対象に対して、式(I)もしくは(Ia)の少なくとも1つの化合物またはその医薬上許容される誘導体を投与することを含む方法が提供される。
【0079】
ここでも、本発明の本実施形態は、特定の実施形態の任意の組合せを含み、式(I)または(Ia)の化合物について上述されている特定の置換基のあらゆる組合せを包括することを理解すべきである。
【0080】
一実施形態において、本発明は、糖尿病性異脂肪血症および混合異脂肪血症などの異脂肪血症または高リポタンパク血症、心不全、高コレステロール血症、アテローム硬化症、動脈硬化症および高トリグリセリド血症を含む心臓血管病、II型真性糖尿病、I型糖尿病、インスリン抵抗性、高脂血症、拒食症、肥満を含む脂肪代謝の障害の治療方法であって、前記ヒトまたは動物対象に対して、式(I)もしくは(Ia)の少なくとも1つの化合物またはその医薬上許容される誘導体を投与することを含む方法を提供する。そのように、これらの化合物は、冠状動脈疾患、血栓症、狭心症、慢性腎不全、末梢血管疾患および卒中の治療方法に有用であり、それらの方法は、前記ヒトまたは動物対象に対して、式(I)もしくは(Ia)の少なくとも1つの化合物またはその医薬上許容される誘導体を投与することを含む。
【0081】
所望の生物的効果を達成するのに必要とされる式(I)もしくは(Ia)の化合物またはその医薬上許容される誘導体の量は、勿論、いくつかの要因、例えば投与形態および受給者の厳密な臨床的状態に依存することになる。概して、日投与量は、例えば、0.1mg〜1g/kg、典型的には0.1〜100mg/kgである。静脈内投与量は、例えば、1分間当たり0.1μgから1mgの注入として便利に投与できる0.01mgから0.1g/kg、典型的には0.01mgから10mg/kgの範囲であってもよい。この目的に好適な注入流体は、例えば、1ミリリットル当たり0.01μgから0.1mgを含んでいてもよい。単位投与量は、例えば、本発明の化合物の0.01μgから1gを含んでいてもよい。したがって、注射用アンプルは、例えば、0.01μgから0.1gを含んでいてもよく、錠剤またはカプセル剤などの経口投与可能な単位投与製剤は、例えば、0.1mgから1g、例えば5mgから50mgを含んでいてもよい。
【0082】
式(I)もしくは(Ia)の化合物またはその医薬上許容される誘導体は、HM74A受容体の不十分な活性化が疾患に寄与する、または該受容体の活性化が有益である疾患の治療における化合物自体として採用されてもよく、この例は、本発明の化合物が、医薬製剤の形態で許容し得る担体とともに提供される場合である。該担体は、勿論、製剤の他の成分と相溶性を有し、受給者に対して有害であってはならないという意味において許容し得るものでなければならない。該担体は、固体もしくは液体またはその両方であってもよく、本発明の化合物の0.05から95重量%を含んでいてもよい単位投与製剤、例えば錠剤として本発明の化合物と処方され得る。
【0083】
該製剤としては、経口投与、直腸投与、局部投与、頬側投与(例えば舌下投与)および非経口投与(例えば、皮下投与、筋肉内投与、皮内投与または静脈内投与)に好適な製剤が挙げられる。
【0084】
本発明によれば、当該医薬組成物の調製方法であって、成分を混合することを含む方法も提供される。
【0085】
経口投与に好適な製剤を、式(I)もしくは(Ia)の化合物またはその医薬上許容される誘導体の所定量をそれぞれ含むカプセル剤、カシェ剤、菓子錠剤または錠剤などの個別単位で;粉剤または顆粒剤として;水性または非水性液の溶液または懸濁液として;あるいは水中油型または油中水型エマルジョンとして提供することができる。概して、該製剤は、式(I)もしくは(Ia)の化合物またはその医薬上許容される誘導体を液体もしくは微細の固体担体またはその両方と均一かつ密に混合し、次いで必要であれば生成物を成形することによって調製される。例えば、式(I)もしくは(Ia)の化合物またはその医薬上許容される誘導体の粉末または顆粒を所望により1つまたは複数の補助成分とともに圧縮または成形することによって錠剤を調製することができる。結着剤、潤滑剤、不活性希釈剤および/または界面活性剤/分散剤と所望により混合された粉末または顆粒などの自由流動形態の化合物を好適な装置で圧縮することによって圧縮錠剤を調製することができる。不活性液体希釈剤で加湿された粉末化化合物を好適な装置で成形することによって成形錠剤を製造することができる。
【0086】
経口投与用錠剤およびカプセル剤は、結着剤、例えば、シロップ、アカシア、ゼラチン、ソルビトール、トラガカント、デンプンの粘液またはポリビニルピロリドン;充填剤、例えば、乳糖、微結晶セルロース、糖、トウモロコシデンプン、リン酸カルシウムまたはソルビトール;潤滑剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、タルク、ポリエチレングリコールまたはシリカ;崩壊剤、例えば、ジャガイモデンプン、クロスカルメロースナトリウムまたはナトリウムデンプングリコレート;あるいはリン酸ラウリルナトリウム等の湿潤剤などの便利な賦形剤を含んでいてもよい。当該技術分野で良く知られている方法に従って、錠剤にコーティングすることができる。経口用液体調製物は、例えば、水性もしくは油性懸濁剤、液剤、エマルジョン、シロップ剤またはエリキシル剤の形態であってもよく、あるいは使用前に水もしくは他の媒体で構成するための乾燥製品として提供されてもよい。当該液体製剤は、懸濁剤、例えば、ソルビトールシロップ、メチルセルロース、グルコース/糖シロップ、ゼラチン、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ステアリン酸アルミニウムゲルまたは水素化可食脂;乳化剤、例えば、レシチン、ソルビタンモノオリエートまたはアカシア;(可食油を含んでいてもよい)非水性媒体、例えば、扁桃油、分留ヤシ油、油性エステル、プロピレングリコールまたはエチルアルコール;あるいは防腐剤、例えば、p−ヒドロキシ安息香酸メチルもしくはプロピルまたはソルビン酸などの便利な添加剤を含んでいてもよい。該調製物は、緩衝塩、香料、着色剤および/または甘味料(例えばマンニトール)を適宜含んでいてもよい。
【0087】
頬側(舌下)投与に好適な製剤としては、香料基剤、通常はショ糖およびアカシアまたはトラガカントに本発明の化合物を含む菓子錠剤、ならびにゼラチンおよびグリセリンまたはショ糖およびアカシアなどの不活性基剤に本発明の化合物を含む香錠が挙げられる。
【0088】
非経口投与に好適な本発明の製剤は、便利には、式(I)もしくは(Ia)の化合物またはその医薬上許容される誘導体の無菌水性調製物を含み、該製剤は、意図する受給者の血液と等張性を有し得る。これらの調製物を静脈内投与することが可能であるが、皮下、筋肉内または皮内注射によって投与を行うこともできる。式(I)もしくは(Ia)の化合物またはその医薬上許容される誘導体を水と混合し、得られた溶液を無菌かつ血液と等張性を有するようにすることによって当該調製物を便利に調製することができる。本発明による注射可能組成物は、一般には、式(I)もしくは(Ia)の化合物またはその医薬上許容される誘導体の0.1から5%w/wを含む。
【0089】
したがって、式(I)もしくは(Ia)の化合物またはその医薬上許容される誘導体を含む非経口投与に好適な本発明の製剤をボーラス注射または連続注入による非経口投与に向けて処方することができ、例えば、アンプル、バイアル、小容量注入物または予め充填されたシリンジとしての単位剤形、あるいは防腐剤が添加された多投与容器で提供することができる。該組成物は、水性または非水性媒体中の溶液、懸濁液またはエマルジョンの形態をとることができ、抗酸化剤、緩衝剤、抗微生物剤および/または毒性調節剤を含んでいてもよい。経口投与に好適な製剤の例としては、無菌食塩水中10%DMSOおよび90%炭酸水素ナトリウムに式(I)もしくは(Ia)の化合物またはその医薬上許容される誘導体を含む製剤が挙げられる。静脈内投与に好適な製剤としては、無菌水中5%または10%DMSOおよび95%または90%炭酸水素ナトリウムに式(I)もしくは(Ia)の化合物またはその医薬上許容される誘導体を含む製剤が挙げられる。あるいは、治療活性剤は、使用前に好適な媒体、例えば発熱性物質のない無菌水で構成するための粉末形態であってもよい。無菌粉末を個々の無菌容器に無菌充填する、あるいは無菌溶液を各容器に無菌充填し、凍結乾燥することによって乾燥固体物を調製することができる。
【0090】
直腸投与に好適な製剤を単位投与座剤として調製することができる。式(I)もしくは(Ia)の化合物またはその医薬上許容される誘導体を1つまたは複数の従来の固体担体、例えば、ココアバターまたはグリセリドと混合し、次いで得られた混合物を成形することによってこれらの製剤を調製することができる。
【0091】
皮膚への局部投与に好適な製剤は、軟膏剤、クリーム剤、ローション剤、糊剤、ゲル剤、スプレー剤、エアロゾル剤または油剤の形態をとることができる。使用できる担体としては、ワセリン、ラノリン、ポリエチレングリコール、アルコール、およびそれらの2つ以上の組合せが挙げられる。式(I)もしくは(Ia)の化合物またはその医薬上許容される誘導体は、一般には、化合物の0.1から15%w/w、例えば0.5から2%の濃度で存在する。
【0092】
本明細書で用いられている局部投与は、吹送および吸入による投与を含む。局部投与用の様々な種類の調製物の例としては、吸入器または吹送器に使用される軟膏剤、クリーム剤、ローション剤、粉剤、膣坐剤、スプレー剤、エアロゾル剤、カプセル剤またはカートリッジ剤、あるいは滴剤(例えば眼滴または鼻滴)が挙げられる。
【0093】
軟膏剤およびクリーム剤を、例えば好適な増粘剤および/またはゲル化剤および/または溶媒が添加された水性または油性基剤で処方することができる。したがって、当該基剤としては、水および/または液体パラフィンなどの油、または落花生油もしくはヒマシ油などの植物油、またはポリエチレングリコールなどの溶媒を挙げることができる。使用できる増粘剤としては、ソフトパラフィン、ステアリン酸アルミニウム、セトステアリールアルコール、ポリエチレングリコール、微結晶蝋および蜜蝋が挙げられる。
【0094】
ローション剤は、水性または油性基剤で処方することができ、概して、1つまたは複数の乳化剤、安定化剤、分散剤、懸濁剤または増粘剤をも含む。
【0095】
外部塗布用粉剤を任意の好適な粉末基剤、例えばタルク、乳糖またはデンプンを利用して処方することができる。1つまたは複数の分散剤、可溶化剤または懸濁剤をも含む水性または非水性基剤で滴剤を処方することができる。
【0096】
好適な推進剤、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロフルオロメタン、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、二酸化炭素または他の好適な気体を使用して、スプレー剤組成物を、例えば、水性液剤もしくは懸濁剤、または加圧パックから送達されるエアロゾル剤として処方することができる。
【0097】
吸入器または吹送器に使用される例えばゼラチンのカプセル剤またはカートリッジ剤を、本発明の化合物と、乳糖またはデンプンなどの好適な粉末基剤との粉末混合物を含むように処方することができる。
【0098】
本発明による医薬組成物を他の治療薬との組合せ、例えば、他の異脂肪血症薬類(例えば、スタチン、フィブレート、胆汁酸結合樹脂またはニコチン酸)と併用することもできる。
【0099】
本発明の化合物を1つまたは複数の他の治療活性剤、例えば他の異脂肪血症薬類、例えば、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリール−補酵素A還元酵素阻害薬(スタチン)もしくはフィブレートまたは胆汁酸結合樹脂もしくはニコチン酸と併用することができる。したがって、本発明は、さらなる実施形態において、HM74A受容体の不十分な活性化が疾患に寄与する、または該受容体の活性化が有益である疾患の治療における当該組合せの使用、ならびに糖尿病性異脂肪血症および混合異脂肪血症などの異脂肪血症または高リポタンパク血症、心不全、高コレステロール血症、アテローム硬化症、動脈硬化症および高トリグリセリド血症を含む心臓血管病、II型真性糖尿病、I型糖尿病、インスリン抵抗性、高脂血症、拒食症、肥満を含む脂肪代謝の障害の組合せ治療のための医薬品の製造における式(I)もしくは(Ia)の少なくとも1つの化合物またはその医薬上許容される誘導体の使用を提供する。
【0100】
本発明の化合物が他の治療活性剤と併用する場合は、任意の便利な経路によって本発明の化合物を一緒にまたは個別に、順次または同時に投与することができる。
【0101】
上記の組合せを医薬製剤の形態で使用するために便利に提供することができるため、以上に定められた組合せを最適に医薬上許容される担体または賦形剤とともに含む医薬製剤は、本発明のさらなる実施形態を含む。当該組合せの個々の構成要素を個別の医薬製剤または組み合わせた医薬製剤で一緒にまたは個別に、順次または同時に投与することができる。
【0102】
同一の製剤に組み合わされる場合は、2つの構成要素が安定しており、互いに、かつ製剤の他の構成要素と相溶性を有していなければならず、投与に向けて処方できることが理解されるであろう。個別に処方される場合は、便利には、当該技術分野で当該化合物について知られている方法で、任意の便利な製剤で提供することができる。
【0103】
同じ疾患に対して活性を有する第2の治療薬と組み合わせる場合は、各構成要素の投与量は、該化合物が単独で使用される場合に投与量と異なっていてもよい。適切な投与量は、当業者に容易に理解されるであろう。
【0104】
したがって、本発明は、さらなる実施形態において、式(I)もしくは(Ia)の少なくとも1つの化合物またはその医薬上許容される誘導体を別の治療活性剤とともに含む組合せを提供する。
【0105】
上記の組合せを医薬製剤の形態で使用するために便利に提供することができるため、以上に定められた組合せを医薬上許容される担体とともに含む医薬製剤は、本発明のさらなる実施形態を表す。
【0106】
以下に記載され、本発明のさらなる実施形態を構成する手法によって、本発明の化合物およびその医薬上許容される誘導体を調製することができる。
【0107】
一実施形態において、本発明は、適切な出発材料、例えば、式(II):
【0108】
【化3】

(式中、PG=保護基である)の化合物から式(I)または(Ia)の化合物を調製するための方法であって、
(i)N7保護キサンチンのN1におけるアルキル化、
(ii)N7保護キサンチンのN3におけるアルキル化、
(iii)C8におけるハロゲン化、および
(iv)N7の脱保護を、
脱保護をアルキル化の後に行うことを条件として、任意の順序で含む方法を提供する。
【0109】
方法1:
R1がシクロアルケニル、ヘテロアリールおよびアリールから選択される基を組み込む式(I)または(Ia)の化合物を調製するための本発明による方法。
【0110】
【化4】


i)臭化アリルによるグアニンのアルキル化
ii)硝酸ナトリウムによるジアゾ化、次いで加水分解によりキサンチンを形成
iii)塩素化
iv)N3におけるアルキル化(好適な塩基の例としては、NaCO、CsCO、KCOが挙げられる)
v)N1におけるアルキル化(好適な塩基の例としては、NaCO、CsCO、KCOが挙げられる)
vi)アリル基のパラジウム触媒除去
Lは、脱離基、例えばハロゲンを表す。
【0111】
方法2:
R1がピラゾール、イミダゾールおよびテトラゾール類似体から選択される基を組み込み、qが1または2である式(I)または(Ia)の化合物を調製するための本発明による方法。
【0112】
【化5】


Lは、脱離基、例えばハロゲンを表し、dは、(q−1)を表し、Rは、水素または随意の置換基を表す。
【0113】
方法3:
R1がオキサジアゾールから選択される基を組み込み、qが1または2である式(I)または(Ia)の化合物を調製するための本発明による方法。
【0114】
【化6】


Lは、脱離基、例えばハロゲンを表し、dは、(q−1)を表し、Rは、アルキル基を表し、R’は、水素または随意の置換基を表す。
【0115】
方法4:
R1がオキサジアゾールから選択される基を組み込み、qが1または2である式(I)または(Ia)の化合物を調製するための本発明による方法。
【0116】
【化7】


Lが脱離基、例えばハロゲンを表し、dが(m−1)を表し、Rがアルキル基を表し、R’が水素または随意の置換基を表す。
【0117】
方法5:
がCNである式(I)または(Ia)の化合物を調製するための本発明による方法は、方法1の工程(i)および(ii)の後に以下の工程を含む。
【0118】
【化8】

iii)N3におけるアルキル化
iv)N1におけるアルキル化
v)LiHMDSによるリチオ化およびDMFクエンチを用いたC8におけるアルデヒドの形成
vi)アルデヒドのニトリルへの変換
vii)アリル基のパラジウム触媒除去
Lは、脱離基を表す。
【0119】
方法6:
がClまたはBrである式(I)または(Ia)の化合物を調製するための本発明による方法は、方法5の工程(i)から(iv)の後に以下の工程を含む。
【0120】
【化9】


i)NCSまたはNBSを使用するC8におけるハロゲン化
ii)アリル基のパラジウム触媒除去
【0121】
方法7:
がCNである式(I)または(Ia)の化合物を調製するための本発明による方法は、方法5の工程(i)から(iv)の後に以下の工程を含む。
【0122】
【化10】


v)エステルの形成
vi)メチルエステルの加水分解
vii)酸のアミドへの変換
viii)アミドのニトリルへの変換
ix)アルキル基のパラジウム触媒除去
【0123】
方法8:
がClである式(I)または(Ia)の化合物を調製するための本発明による方法は、以下の工程を含む。
【0124】
【化11】

i)N3におけるアルキル化
ii)N1におけるアルキル化
iii)脱ベンジル化
iii)C8における塩素化
Lは、脱離基を表す。
【0125】
方法9:
がRと異なり、RがClである式(I)または(Ia)の化合物を調製するための本発明による方法は、方法1(方法1によるRは、特にSEMまたはMEMである)の工程(i)から(v)の後に以下の工程を含む。
【0126】
【化12】

vi)MEMまたはSEM保護基の開裂
vii)N3のアルキル化に続くアリル基のパラジウム触媒除去
Lは、脱離基を表す。
【0127】
方法10:
がCl、BrまたはIである式(I)または(Ia)の化合物を調製するための本発明による方法は、方法8の工程(i)から(iv)の後に以下の方法を含む。
【0128】
【化13】

v)アリル基のパラジウム触媒除去
vi)NCS、NBSまたはNISを使用するC8におけるハロゲン化
【0129】
方法11:
式(I)または(Ia)の化合物を調製するための本発明による方法は、以下の工程を含む。
【0130】
【化14】


i)ピリミジンジオン形成
ii)N1におけるアルキル化
iii)ニトロ化
iv)Naまたは類似の還元剤を使用する還元
v)キサンチン形成
vi)NCSを使用するC8におけるハロゲン化
Lは、脱離基を表す。
【0131】
方法12:
式(I)または(Ia)の化合物を調製するための本発明による方法:
【0132】
【化15】

Lは、脱離基を表す。
【0133】
要望または必要に応じて、上記合成方法のいずれかにおける最終段階として、得られた式(I)または(Ia)の化合物を医薬上許容される塩形態に変換すること、またはその逆の変換を行うこと、またはある塩形態を医薬上許容される別の塩形態に変換することが可能である。
【0134】
略語
AcOH 酢酸
atm 大気
br ブロード(NMR)
CDI カルボニルジイミダゾール
d ダブレット
DBAD ジ−t−ブチルアゾジカルボキシレート
DCM ジクロロメタン
DIPEA ジイソプロピルエチルアミン
DMSO ジメチルスルホキシド
DMF N,N−ジメチルホルミアミド
EtOAc 酢酸エチル
EtOH エタノール
h 時間
IPA イソプロピルアルコール
m マルチプレット(NMR)
MDAP 質量誘導オートプレプ
MeCN アセトニトリル
MeOH メタノール
min 分
NCS N−クロロスクシンイミド
NBS N−ブロモスクシンイミド
NIS N−ヨードスクシンイミド
q カルテット(NMR)
rt 室温
RT 滞留時間
s シングレット(NMR)
SPE 固相抽出カートリッジ
t トリプレット(NMR)
TFA トリフルオロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
DMEN ダルベッコー修飾イーグル培地
HEPES 4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−1−エタンスルホン酸
LiHMDS リチウムヘキサメチルジシリルアミド
△ 熱
SEM 2−(トリメチルシリル)エトキシメチル
MEM 2−メトキシエトキシメチル
【0135】
以下の非限定的な実施例は、本発明を例示するものである。
【0136】
合成実施例
実施例1:8−クロロ−3−ペンチル−1−フェニル−3,7−ジヒドロ−1H−プリン−2,6−ジオン
a)8−クロロ−3−ペンチル−1−フェニル−3,7−ジヒドロ−1H−プリン−2,6−ジオン
【0137】
【化16】

3−ペンチル−1−フェニル−3,7−ジヒドロ−1H−プリン−2,6−ジオン(51mg、0.17mmol)をDMF(3ml)溶液をNCS(25mg、0.19mmol)で処理し、40℃で18時間加熱した。その溶液を2MのHCl(水溶液)とEtOAcとの間に分配させた。有機層を分離し、塩水で洗浄し、(MgSOで)乾燥させ、濃縮した。残渣をMeOHに溶解させ、NH−プロピルカラム(2g)に通した。生成物を2%AcOH/MeOHで溶離させ、白色固体(38mg)として表題の化合物を得た。
LCMS:m/z333[MH]、RT3.2分
H NMR(DMSO−d)δ:0.86(t,3H,J=7Hz)、1.30(m,4H)、1.67(m,2H)、3.92(t,2H,J=7Hz)、7.26(m,2H)、7.45(m,3H)、14.58(br s,1H)。
【0138】
b)3−ペンチル−1−フェニル−3,7−ジヒドロ−1H−プリン−2,6−ジオン
【0139】
【化17】

7−{[4−(メチルオキシ)フェニル]メチル}−3−ペンチル−1−フェニル−3,7−ジヒドロ−1H−プリン−2,6−ジオン(85mg)のEtOH(10ml)およびAcOH(0.25ml)溶液を10%Pd/C(50mg)と水素の雰囲気下で18時間反応させた。混合物をCelite(登録商標)で濾過し、濾液を濃縮した。Pd(OH)(100mg)を添加し、反応を繰り返した。白色固体(53mg)として表題の化合物を得た。
LCMS:m/z299[MH]、RT2.7分
【0140】
c)7−{[4−(メチルオキシ)フェニル]メチル}−3−ペンチル−1−フェニル−3,7−ジヒドロ−1H−プリン−2,6−ジオン
【0141】
【化18】

7−{[4−(メチルオキシ)フェニル]メチル}−1−フェニル−3,7−ジヒドロ−1H−プリン−2,6−ジオンのDMF(4ml)溶液をNaCO(32mg、0.30mmol)および1−ヨードペンタン(43μl、0.33mmol)で処理し、次いでN下で3日間撹拌させた。その混合物を2MのHCl(水溶液)とEtOAcとの間に分配させた。有機層を分離し、塩水で洗浄し、(MgSOで)乾燥させ、濃縮した。残渣をEtOAc/シクロヘキサン混合物で溶離するSPE(5g)によって精製して、オフホワイトの固体(89mg)として表題の化合物を得た。
LCMS:m/z419[MH]、RT3.5分
【0142】
実施例2:8−クロロ−1−(2−ヒドロキシフェニル)−3−ペンチル−3,7−ジヒドロ−1H−プリン−2,6−ジオン
a)8−クロロ−1−(2−ヒドロキシフェニル)−3−ペンチル−3,7−ジヒドロ−1H−プリン−2,6−ジオン
【0143】
【化19】

1−(2−ヒドロキシフェニル)−3−ペンチル−3,7−ジヒドロ−1H−プリン−2,6−ジオン(130mg、0.41mmol)のDMF(4ml)溶液をNCS(61mg、0.45mmol)で処理し、室温で20時間撹拌した。その溶液を2MのHCl(水溶液)とEtOAcとの間に分配させた。有機層を分離し、塩水で洗浄し、(MgSOで)乾燥させ、濃縮した。MDAPで精製して、白色固体(45mg)として表題の化合物を得た。
LCMS:m/z349[MH]、RT2.9分
H NMR(DMSO−d)δ:0.86(t,3H,J=7Hz)、1.30(m,4H)、1.67(m,2H)、3.92(t,2H,J=7Hz)、6.85(m,1H)、6.91(m,1H)、7.09(m,1H)、7.22(m,1H)、9.56(s,1H)、14.54(br s,1H)。
【0144】
b)1−(2−ヒドロキシフェニル)−3−フェニル−3,7−ジヒドロ−1H−プリン−2,6−ジオン
【0145】
【化20】

7−{[4−(メチルオキシ)フェニル]メチル}−3−ペンチル−1−{2−[(フェニルメチル)オキシ]フェニル}−3,7−ジヒドロ−1H−プリン−2,6−ジオン(240mg)をEtOH(20ml)に溶解させ、水素の雰囲気下でPd(OH)と反応させた。その混合物をCelite(登録商標)で濾過し、濾液を濃縮して、灰色の固体(137mg)を得た。
H NMR(DMSO−d)δ:0.86(t,3H,J=7Hz)、1.30(m,4H)、1.69(m,2H)、3.98(t,2H,J=7Hz)、6.85(m,1H)、6.91(m,1H)、7.08(m,1H)、7.22(m,1H)、8.06(s,1H)、9.55(s,1H)、13.63(br s,1H)。
【0146】
c)7−{[4−(メチルオキシ)フェニル]メチル}−3−ペンチル−1−{2−[(フェニルメチル)オキシ]フェニル}−3,7−ジヒドロ−1H−プリン−2,6−ジオン
【0147】
【化21】

7−{[4−(メチルオキシ)フェニル]メチル}−1−{2−[(フェニルメチル)オキシ]フェニル}−3,7−ジヒドロ−1H−プリン−2,6−ジオン(250mg、0.55mmol)のDMF(6ml)溶液を1−ヨードペンタン(86μL、0.66mmol)およびNaで処理した。その混合物をN下にて室温で24時間撹拌した。さらに、1−ヨードペンタン(29μL)を添加し、18時間放置した。その混合物を2MのHCl(水溶液)とEtOAcとの間に分配させた。有機層を分離し、塩水で洗浄し、(MgSOで)乾燥させ、濃縮した。残渣をEtOAc/シクロヘキサン混合物で溶離するCompanionによって精製して、白色固体(240mg)として表題の化合物を得た。
LCMS:m/z525[MH]、RT3.6分
【0148】
d)7−{[4−(メチルオキシ)フェニル]メチル}−1−{2−[(フェニルメチル)オキシ]フェニル}−3,7−ジヒドロ−1H−プリン−2,6−ジオン
【0149】
【化22】

エチル4−アミノ−1−{[4−(メチルオキシ)フェニル]メチル}−1H−イミダゾール−5−カルボキシレート(1.0g、3.6mmol)およびフェニル{2−[(フェニルメチル)オキシ]フェニル}カルバマート(1.4g、4.4mmol)のジグリム(15ml)溶液を、KOt−Bu(1.6g、14.5mmol)のジグリム(10ml)溶液を30分間にわたって一滴ずつ添加することにより、N下にて80℃で処理した。その混合物をさらに2時間反応させ、次いで室温まで冷却させた。その混合物を2MのHCl(水溶液)とEtOAcとの間に分配させた。有機層を分離し、塩水で洗浄し、(MgSOで)乾燥させ、濃縮した。残渣をEtOAc/シクロヘキサン混合物で溶離するCompanionによって精製して、褐色固体を得た。EtOを添加し、ベージュ色の固体(653mg)として表題の化合物を回収した。
LCMS:m/z455[MH]、RT3.1分
【0150】
e)フェニル{2−[(フェニルメチル)オキシ]フェニル}カルバマート
【0151】
【化23】

2−ベンジルオキシアニリン(2g、10.0mmol)のTHF(20ml)溶液を、フェニルクロロホルメート(1.26ml、10.0mmol)を一滴ずつ添加することによって処理し、室温で10分間撹拌した。その混合物を2MのHCl(水溶液)とEtOAcとの間に分配させた。有機層を分離し、塩水で洗浄し、(MgSOで)乾燥させ、濃縮して、赤/褐色の固体(2.89g)として表題の化合物を得た。
LCMS:m/z320[MH]、RT3.6分
【0152】
実施例3:3−ブチル−8−クロロ−1−(フェニルメチル)−3,7−ジヒドロ−1H−プリン−2,6−ジオン
a)3−ブチル−8−クロロ−1−(フェニルメチル)−3,7−ジヒドロ−1H−プリン−2,6−ジオン
【0153】
【化24】

3−ブチル−1−(フェニルメチル)−3,7−ジヒドロ−1H−プリン−2,6−ジオン(100mg、0.336mmol)およびN−クロロスクシンイミド(45mg、0.336mmol)をMeCN(5ml)に懸濁させ、マイクロ波照射下にて120℃で10分間加熱した。その反応混合物を減圧下で濃縮し、HPLCを用いて表題の化合物を単離した。m/z333[MH
H NMR(CDCl)δ:0.96(t,3H,J=7Hz)、1.41(m,2H)、1.75(m,2H)、4.10(t,2H,J=7.5Hz)、5.26(s,2H)、7.30(m,3H)、7.52(m,2H)、13.00(br s,1H)。
【0154】
b)3−ブチル−1−(フェニルメチル)−3,7−ジヒドロ−1H−プリン−2,6−ジオン
【0155】
【化25】

3−ブチル−1,7−ビス(フェニルメチル)−3,7−ジヒドロ−1H−プリン−2,6−ジオン(0.556g、1.43mmol)を酢酸(35ml)に溶解させた。炭素上Pd(OH)(0.339g)を添加し、その混合物を水素下(50psi)で終夜振盪した。触媒を濾過によって除去し、酢酸で洗浄した。新たに触媒を添加し、その混合物を水素下(50psi)で終夜振盪した。触媒を濾過によって除去し、濾液を減圧下で濃縮して、表題の化合物を得た。m/z299[MH
【0156】
c)3−ブチル−1,7−ビス(フェニルメチル)−3,7−ジヒドロ−1H−プリン−2,6−ジオン
【0157】
【化26】

3−ブチル−7−(フェニルメチル)−3,7−ジヒドロ−1H−プリン−2,6−ジオン(0.50g、1.68mmol)および炭酸カリウム(0.347g、2.5mmol)をDMFに懸濁させ、臭化ベンジル(0.233ml、1.96mmol)を添加した。反応混合物を室温で終夜撹拌した。その反応混合物を濃縮して乾燥状態としてから酢酸エチルに懸濁させ、水で洗浄した後に、塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、表題の化合物を得た。m/z389[MH
【0158】
d)3−ブチル−7−(フェニルメチル)−3,7−ジヒドロ−1H−プリン−2,6−ジオン
【0159】
【化27】

7−ベンジル−3,7−ジヒドロ−1H−プリン−2,6−ジオン(5.0g、21mmol)および炭酸カルシウム(3.34g、24mmol)の懸濁物をDMF(125ml)中で40℃にて30分間撹拌してから、ヨウ化ブチル(2.55ml、23mmol)を添加した。その混合物を40℃で撹拌した。50%酢酸水溶液(60ml)を添加し、その溶液を減圧下で濃縮した。粗製材料をヘキサンで滴定してから、ジクロロメタン中1%メタノールで溶離するフラッシュクロマトグラフィーを用いて精製して、生成物(3.55g、56%)を得た。m/z299[MH
【0160】
実施例4:3−ブチル−8−クロロ−1−(2−フェニルエチル)−3,7−ジヒドロ−1H−プリン−2,6−ジオン
(2−ブロモエチル)ベンゼンを使用して、3−ブチル−8−クロロ−1−(2−フェニルエチル)−3,7−ジヒドロ−1H−プリン−2,6−ジオンを3−ブチル−8−クロロ−1−(フェニルメチル)−3,7−ジヒドロ−1H−プリン−2,6−ジオンと同様に調製した。
【0161】
【化28】

m/z347.4[MH
H NMR(CDCl)δ:0.97(t,3H,J=7.5Hz)、1.41(m,2H)、1.75(m,2H)、2.99(t,2H,J=8Hz)、4.11(t,2H,J=7.5Hz)、4.30(t,2H,J=8Hz)、7.31,(m,5H)、12.85(br s,1H)。
【0162】
本明細書に引用されている特許および特許出願を含むが、それらに限定されないすべての出版物は、それぞれ個々の出版物が、完全に記載されているように参照により本明細書に組み込まれていることが具体的かつ個々に示されているように参照により本明細書に組み込まれている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

(I)
[式中、
は、−(CH−シクロアルケニル、−(CH−アリールおよび−(CH−ヘテロアリールから選択される基を表し;
qが1または2から選択される整数である場合は、R環は、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、ハロゲン、−NH、−(CH−(O)−(CH−N(R)C(O)OR、−(CH−N(R)C(O)R、−(CH−(O)−(CH−C(O)NR、−(CH−N(R)C(O)N(R)R、−(CH−C(O)N((CHOH)R、−(CH−N(R)−S(O)、−CH−S(O)N(R)R、−OCF、−OCH(F)、−OCHF、RCN、CNまたは−SOから独立して選択される1つまたは複数の基で置換されていてもよく;
qが0である場合は、R環は、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、ハロゲン、−NH、−(CH−(O)−(CH−N(R)C(O)OR、−(CH−N(R)C(O)R、−(CH−(O)−(CH−C(O)NR、−(CH−N(R)C(O)N(R)R、−(CH−C(O)N((CHOH)R、−(CH−N(R)−S(O)、−CH−S(O)N(R)R、−C1〜6ハロアルキル、−OCF、−OCH(F)、−OCHF、−C(O)OR、−OR、−RCN、CN、−SO、−(CHヘテロアリール、−(CHヘテロシクリル、−(CHシクロアルキル、−(CHシクロアルケニルおよび−(CHアリールから独立して選択される1つまたは複数の基で置換されていてもよく;
は、水素、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールから選択される基を表し、その各々が、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、C1〜6ハロアルキル、ハロゲン、−CN、−OR、−(CHCOR、−CO、−OCOR、−(CHNR、−(NH)CONR、−OCONRまたは−NHC(O)ORの1つまたは複数で置換されていてもよく;
は、ハロゲンまたはCNから選択される基を表し;
は、水素、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、−(CHシクロアルキル、−(CHシクロアルケニル、−(CHヘテロシクリル、−(CHアリールまたは−(CHヘテロアリールから選択される基を表し;
およびRは、水素またはC1〜4アルキルから独立して選択され;
は、H、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、−(CHシクロアルキル、−(CHシクロアルケニル、−(CHヘテロシクリル、−(CHアリールまたは−(CHヘテロアリールから選択される基を表し;
は、C1〜4アルキルから選択される基を表し;
mは、1、2、3、4または5から選択される整数を表し;
nは、1、2、3、4または5から選択される整数を表し;
tは、1または2から選択される整数を表し;
pは、0または1から選択される整数を表し;
qは、0、1または2から選択される整数を意味する]
で示される化合物、あるいはその医薬上許容される誘導体から選択される少なくとも1つの化学物質。
【請求項2】
が−(CH−アリールから選択される、請求項1記載の少なくとも1つの化学物質。
【請求項3】
がC3〜6アルキルから選択される、請求項1または2記載の少なくとも1つの化学物質。
【請求項4】
がハロゲンである、上記した請求項のいずれかに記載の少なくとも1つの化学物質。
【請求項5】
が塩素である、上記した請求項のいずれかに記載の少なくとも1つの化学物質。
【請求項6】
ヒト用または獣医用の医薬にて用いるための上記した請求項のいずれかに記載の少なくとも1つの化学物質。
【請求項7】
異脂肪血症および高リポタンパク血症を含む脂質代謝の障害および/または炎症性疾患または症状の治療にて有用な、請求項1ないし5のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化学物質。
【請求項8】
糖尿病性異脂肪血症、混合異脂肪血症、心不全、高コレステロール血症、アテローム硬化症、動脈硬化症および高トリグリセリド血症を含む心臓血管病、II型真性糖尿病、I型糖尿病、インスリン抵抗性、高脂血症、拒食症、肥満、冠状動脈疾患、血栓症、狭心症、慢性腎不全、末梢血管疾患または卒中の治療にて有用な、請求項1ないし5のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化学物質。
【請求項9】
糖尿病性異脂肪血症、混合異脂肪血症、心不全、高コレステロール血症、アテローム硬化症、動脈硬化症および高トリグリセリド血症を含む心臓血管病、II型真性糖尿病、I型糖尿病、インスリン抵抗性、高脂血症、拒食症、肥満、冠状動脈疾患、血栓症、狭心症、慢性腎不全または卒中の治療用医薬の製造にて有用な、請求項1ないし5のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化学物質。
【請求項10】
HM74A受容体の不十分な活性化が寄与する疾患、または受容体の活性化が有益であろう疾患を患っているヒトまたは動物の対象を治療するための方法であって、該ヒトまたは動物の対象に有効量の請求項1ないし5のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化学物質を投与することを含む、方法。
【請求項11】
ヒトまたは動物の対象が、異脂肪血症または高リポタンパク血症を含む脂質代謝の障害あるいは炎症性疾患または症状を患っている、請求項10記載の方法。
【請求項12】
請求項1ないし5のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化学物質、および医薬上許容される希釈剤、賦形剤または担体を含む、医薬組成物。
【請求項13】
別個のまたは併用される医薬処方を一緒または別々に、連続的または同時に投与する組み合わせであって、請求項1ないし5のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化学物質と、もう一つ別の治療活性剤とを含む、組み合わせ。
【請求項14】
(i)請求項1ないし5のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化学物質;
(ii)スタチン、フィブラート、胆汁酸結合樹脂またはニコチン酸より選択される1つまたは複数の活性成分;および
(iii)1つまたは複数の医薬上許容される希釈剤、賦形剤または担体
を含む、医薬処方。

【公表番号】特表2009−504593(P2009−504593A)
【公表日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−525476(P2008−525476)
【出願日】平成18年8月8日(2006.8.8)
【国際出願番号】PCT/EP2006/007876
【国際公開番号】WO2007/017265
【国際公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【出願人】(591002957)スミスクライン・ビーチャム・コーポレイション (341)
【氏名又は名称原語表記】SMITHKLINE BEECHAM CORPORATION
【Fターム(参考)】