説明

選択透過分離を用いるキシレンプロセス

精製生成物回収操作と一体化された選択透過性分離により、C8芳香族の流体混合物から精製生成物を製造するプロセスが開示される。本発明の選択透過性分離は、富メタキシレン流をC8芳香族流体混合物から分離するために高分子選択透過性膜デバイスを用いる1以上のデバイスを含み、有利にはパラキシレンを含む残りの芳香族化合物類を含む流体を製造する。本発明のプロセスは、エチルベンゼン並びに3種のキシレン異性体群をも含む液体混合物から非常に純粋なメタキシレン及びパラキシレン副産物の回収に、特に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、精製生成物回収操作と一体化された選択透過性膜分離によるC8芳香族の流体混合物からの精製生成物の製造プロセスに関する。特に、本発明の一体化プロセスは、たとえば固体床選択収着、分留及び/又は分別晶析による精製生成物の回収と結合した高分子選択透過性膜を用いる1以上の装置による分離を含む。本発明のプロセスは、選択透過性膜装置を用いて、メタキシレンが豊富な流(富メタキシレン流)をC8芳香族の流体混合物から分離し、こうして残りの芳香族化合物類を含む流体を製造するが、この流体は有利にはパラキシレンを含み得る。本発明のプロセスは、エチルベンゼン並びに3種のキシレン異性体群をも含む液体混合物から非常に純粋なメタキシレン及びパラキシレン生成物を回収する際に特に有用である。
【背景技術】
【0002】
C8芳香族は、共に非常に近い沸点を有するので分離が非常に困難であるエチルベンゼン及び3種のキシレンの異性体類(ジメチルベンゼン類)として存在する。パラキシレンに対する需要は高いままであるが、一方、メタキシレンに対する需要は着実に増加している。メタキシレンは、殺虫剤、イソフタル酸又はアルキド樹脂の製造に使用される。パラキシレンは、テレフタル酸の製造に使用され、続いてテレフタル酸はポリエステルなどの種々の合成繊維の製造に用いられる。オルソキシレンは、可塑剤用材料として用いられ得る。ベンゼンジカルボン酸及びトリカルボン酸は、ポリエステル類、ポリアミド類及び繊維及び膜の製造を含む広範な産業用途を有する。これらの製品の商業的製造のために、必要な高純度ベンゼンジカルボン酸類源及びベンゼントリカルボン酸類源は、メチル部位のカルボン酸部位への接触酸化、有利には液相媒体中での接触酸化によって、対応する置換芳香族化合物から得ることができる。
【0003】
ベンゼンカルボン酸の調製のために気相酸化の代わりに液相を利用する可能性は、米国特許第2,245,528号明細書において、飽和低級脂肪酸の液相中、脂肪酸の液相を維持するために高められた温度及び圧力で、可変原子価金属、特にコバルトにより提供される触媒の開示により最初に示された。コバルト及びマンガンと臭素源との組み合わせは、商業用途のために好ましくなってきている。例えば、米国特許第2,833,816号明細書参照。これらの酸化プロセスに対して適切な高純度を有するベンゼンジカルボン酸及びトリカルボン酸を得る際に重要な要素は、高純度の酸化供給原料を使用することである。
【0004】
実質的なメタキシレン源は、一般に、エチルベンゼン、オルソキシレン、メタキシレン及びパラキシレンの混合物である。したがって、所望の異性体は、このような混合物から分離されなければならない。分離技術分野において周知のように、ある種の結晶アルミノシリケート類は、所望の異性体をそれらの混合物から分離するために用いられ得る。例えば、ゼオライトX及びYは、パラキシレンを選択的に吸着するために用いられている。米国特許第3,903,187号明細書、米国特許第4,313,015号明細書、米国特許第5,171,922号明細書、米国特許第5,495,061号明細書及び米国特許第5,177,295号明細書参照。同様に、米国特許第4,899,017号明細書は、C8芳香族混合物をパラキシレン選択性のゼオライト系吸着剤と接触させ、次いでこの吸着剤を非水性脱着剤と接触させて、吸着剤からパラキシレンを回収することを開示する。米国特許第4,899,017号明細書において述べられているパラキシレン選択性ゼオライト系吸着剤は、ZSM-5、ZSM-11及びβ型ゼオライトである。米国特許第4,940,830号明細書は、ナトリウムYゼオライト又はニッケル又は銅などの周期表IB族又はVIII族元素とイオン交換されたナトリウムYゼオライトを用いる、他のキシレン異性体群及びエチルベンゼンからのパラキシレンの排除的(rejective)分離を開示する。
【0005】
メタキシレンへの関心の高まりは益々多くなっており、メタキシレンの分離に関する特許に示されている。例えば、米国特許第5,382,747号明細書は、液相中の他のキシレン群を含むC8芳香族炭化水素類の混合物からメタキシレンを分離するために、ナトリウム又はナトリウム及びリチウム交換型Yゼオライトを用いてメタキシレンを吸着することを開示する。米国特許第4,368,347号明細書は、カリウムで予め交換されたゼオライトYを用いるメタキシレンの排除的(rejective)分離を開示する。米国特許第4,326,092号明細書及び4,306,107号明細書は、メタキシレン、エチルベンゼン及び他のキシレン異性体群を含む供給混合物からの高い回収率で高純度メタキシレンの分離のために模擬移動吸着床向流系を用いるプロセスを開示する。
【0006】
より最近では、米国特許第6,137,024号明細書には、C8芳香族炭化水素類の混合物からメタキシレンを分離する際に有効なものとして、特定の吸着剤、β型ゼオライトが記載されている。β型ゼオライトは、他のキシレン異性体群と比較してメタキシレンを優先的に排除するから、β型ゼオライトは他のキシレン異性体群からメタキシレンを分離するために適切である。したがって、β型ゼオライトと接触しているキシレン異性体群の混合物中のメタキシレンは、流体流と共に運ばれ、一方、他の異性体はβ型ゼオライトに保持されて、分離されたメタキシレンの回収が可能となる。β型ゼオライトは、C9芳香族炭化水素類(米国特許第4,554,398号明細書)及びC10芳香族炭化水素類(米国特許第4,743,708号明細書)の異性体を分離するためにも用いられている。β型ゼオライトはまた、エチルベンゼン及び1以上の異性体キシレン群を含む流からエチルベンゼンを選択的に吸着するために用いられており(米国特許第4,584,424)号明細書、パラキシレン及び他のC8芳香族炭化水素を含む流からパラキシレンを選択的に吸着するために用いられている(米国特許第4,899,617号明細書)。
【0007】
分留の代替として、C8芳香族からのパラキシレンの分離のための種々の商業的プロセスが開発されている。このようなプロセスは、エチルベンゼン、オルソキシレン、メタキシレン及びパラキシレンの間の凝固点のいずれかの差異(分別晶析)及び/又はC8芳香族類の混合物からパラキシレンを選択的に吸着するゼオライト材料の特性に基づくプロセスを利用する。吸着されたパラキシレンは、ゼオライトから脱着された後に回収される。
【0008】
これらのプロセスのいずれも、入手可能なC8芳香族の混合物からパラキシレンを高収率で回収することができる。しかし、これらは、大量の結果物である結晶化プロセスからの濾液又は吸着プロセスからのラフィネートを再処理することを含む。これらの流は、パラキシレンが枯渇しており、エチルベンゼン、オルソキシレン及びメタキシレンを比較的高い比率で含む。さらに、これらの流は、典型的には、結晶化又は吸着プロセスの下流でさらなる処理に供される。
【0009】
結晶化方法は、エチルベンゼン並びに3種のキシレン異性体群を含む芳香族出発物質からパラキシレンを分離するために、商業的プロセスにおいて用いられている。使用は、個々のキシレンの異性体類の融点が顕著に異なるという事実に基づく。オルソキシレンは-25.2℃の凝固点を有し、メタキシレンは-47.9℃の凝固点を有し、パラキシレンは13.3℃の凝固点を有する。しかし、慣用の結晶化方法は、多大の費用をかけてのみ99.8wt%の純度を有するパラキシレンを製造するために使用することができるに過ぎない。
【0010】
C8芳香族の混合物からパラキシレンを回収するための結晶化プロセスは、供給流、例えば改質プロセス及び/又はキシレン異性化プロセスからの異性体群の平衡混合物を冷却することを必要とする。パラキシレンの融点は他のC8芳香族類の融点よりもとても高いので、パラキシレン結晶は供給溶液の冷凍後に晶析装置内で容易に形成される。精製装置芳香族流の供給混合物は、典型的には約22〜約23wt%のパラキシレンを含む。溶液から多量のパラキシレンを晶析させるために、溶液を共融温度(すなわち、第2成分が共晶析してパラキシレン結晶を汚染し始める温度)の直上まで冷却しなければならない。共融温度は、パラキシレン結晶が混合物(殆ど、メタキシレン、オルソキシレン及びエチルベンゼン)から取り除かれた後の残りの母液の組成によって決定される。絶対的な確実性を持って知られているわけではないが、残りの母液中のエチルベンゼンの相対的組成が高くなるほど共融温度は低下すると考えられる。共融温度が低下するにつれ、出口流中のパラキシレン濃度もまた低下し、パラキシレン回収が増加する。パラキシレン:メタキシレン:オルソキシレン:エチルベンゼンの相対比率が約2:4:2:1であるキシレン群の混合物とすると、共融温度の約3℃〜6℃の範囲内の温度でパラキシレン回収率は約70%に制限される。
【0011】
典型的には、結晶化プロセス又は吸着プロセスからのパラキシレンが枯渇しているがエチルベンゼン、オルソキシレン及びメタキシレンが比較的高い割合である排出流は、パラキシレン枯渇流中のパラキシレンの割合を増加させるために用いられる異性体化プロセスで処理される。パラキシレン枯渇流は、適切な温度及び圧力下で、異性化触媒と接触させられてもよく、いくらかのオルソキシレン及びメタキシレンをパラキシレンへ転化させる。いくらかのエチルベンゼンを転化して、エチルベンゼンが高濃度になることを防止することもまた通常望ましい。水素脱アルキル化を介してエチルベンゼンをベンゼン及びエタンに転化することができ、及び/又はキシレン類の平衡混合物へのC8異性体化が可能な公知の触媒を選択する。
【0012】
したがって、パラキシレン製造プロセスは、異性体化と分別晶析化及び/又は吸着分離との組み合わせを含んでいた。このような組み合わせの欠点は、触媒性能における改良にもかかわらず、異性体化技術はキシレン異性体群の平衡混合物又は近平衡混合物を製造することができるだけであること、及び典型的にはエチルベンゼンをベンゼン及び/又はキシレンの異性体類に転化するためにも比較的効率が悪いということである。その結果として、所望によりオルソキシレン及び/又はメタキシレンの追加の回収を伴うか又は伴わずにC8芳香族流のパラキシレンへの転化を最大にすることを確実にするために、これらのプロセスを戻す排出流の大きなリサイクルが必要になる。したがって、特に、大型リサイクル及び/又は低いエチルベンゼン転化率に関連する問題を解決する改良されたプロセス及びC8芳香族混合物からのパラキシレン製造用の化学プラントに対する必要性がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、本発明の目的は、上述の問題の1以上を解決することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
非常に純粋な芳香族異性体を回収するための新規なアプローチは、芳香族出発物質、例えば、エチルベンゼン並びに3種のキシレン異性体群を含む液体混合物からの純メタキシレン生成物を処理する際に知見された。新規なアプローチは、エチルベンゼン並びに3種のキシレン異性体群をも含む芳香族化合物類の液体混合物から少なくとも99.5wt%、有利には99.8wt%の純度を有するメタキシレンを回収するプロセスを有利に提供する。
【0015】
有利なことに、本発明のプロセスは、さらに、エチルベンゼン並びに3種のキシレン異性体群を含む場合でさえ芳香族化合物類の液体混合物から少なくとも99.5wt%、有利には99.8wt%の純度を有するパラキシレンを同時に回収する。
【0016】
詳細は後述するが、本発明は、液相吸着クロマトグラフィー又は模擬移動床吸着(SMBA)及び分別晶析分離装置などの一体化された選択透過性膜分離装置及び選択収着方法により、流体混合物から精製生成物を回収するプロセスを提供する。本発明の一体化された装置は、精製生成物の回収に高分子膜を用いる1以上のデバイスに接続されているSMBAユニット及び分別晶析ユニットを具備する。
【0017】
パラキシレン、メタキシレン、オルソキシレン及びエチルベンゼンを含むC8芳香族混合物から高純度メタキシレンを製造する費用効果的方法に対する必要性がある。
[発明の概要]
広い側面において、本発明は、選択透過性分離と精製生成物回収操作、例えば、固体床選択収着、分留及び/又は分別晶析との一体化により、C8芳香族の流体混合物から精製生成物を製造するプロセスに関する。本発明の選択透過性分離は、富メタキシレン流をC8芳香族の流体混合物から分離して、有利にはパラキシレンを含む残りの芳香族化合物類を含有する流体を製造するために高分子選択透過性膜デバイスを用いる1以上のデバイスからなる。本発明のプロセスは、エチルベンゼン並びに3種のキシレン異性体群をも含む液体混合物からの非常に純粋なメタキシレン生成物及びパラキシレン生成物の回収に特に有用である。
【0018】
本発明は、流体供給原料、例えば種々のタイプの有機物質、特に石油由来の化合物の流体混合物の処理を意図する。一般に、流体供給原料は、より選択透過性である成分とあまり透過性でない成分とを含む液体混合物である。
【0019】
本発明のプロセスは、改質反応、接触分解反応、水素処理反応、パラ選択性トルエン不均化、C6〜C10芳香族アルキル交換反応及び/又はベンゼン及び/又はトルエンのメチル化反応からの1種以上の生成物を含む混合物の処理プロセスに特に有用である。一般に、メタキシレンは、C8芳香族の製造用の現行のプロセスにおける総生成物流の約1/2を構成する。
【0020】
1側面において、本発明は、他のC8芳香族化合物類との混合物中メタキシレンを回収するプロセスを提供する。本プロセスは、メタキシレン及び1種以上の他の芳香族化合物を含有する流体混合物からの少なくとも1のC8芳香族化合物の選択透過により誘導される流である第1流体流及び第2流出流において、第2流出流と比較してメタキシレンの含有量が豊富な第1流体流を選択透過性膜装置(以後、「膜デバイス」ともいう)から抜き出す工程と;選択透過性膜装置から抜き出された第1流体流の全部又は一部をメタキシレン回収操作に分配して、そこから第1流よりもメタキシレンの含有量が豊富な精製生成物及びメタキシレンが枯渇している排出流を抽出する工程と、を含む。適切な流体混合物は、メタキシレン及び少なくとも1の他のキシレンの異性体、エチルベンゼン又はこれらの混合物、典型的にはキシレン異性体群の平衡混合物を含む。
【0021】
所望の精製生成物が8個の炭素原子を有する芳香族化合物である場合、膜デバイスは、適切な駆動力差でキシレン異性体類の少なくとも1種又はエチルベンゼンに対して少なくとも0.1Barrerの透過性を有利に示す複数の選択透過性膜を利用する。有利には、膜デバイスは、少なくとも1の高分子材料を含む選択透過性膜を利用する。
【0022】
メタキシレン回収操作は、液相において効果的であること、例えば模擬移動吸着床向流系を含むメタキシレン回収操作であることを更に特徴とする。
本発明の一側面において、メタキシレン回収操作は、交換可能なカチオンサイトにナトリウムを含有するY型ゼオライト(アルミナに対するシリカのモル比が約4.5〜約5.0であってもよい)を含む吸着剤と第1流体流を吸着条件で接触させ、第1流体流の残りの成分を実質的に排除するまでメタキシレンを選択的に吸着させ、こうして排出流を形成し、その後、高純度メタキシレンを回収することを含む。メタキシレン回収操作は、一般に、吸着されたメタキシレンを含む吸着剤を、有利にはトルエン又はパラ−ジエチルベンゼンを含む脱着剤で処理して、メタキシレンを流体抽出流として取り除く工程を含む。Y型ゼオライトによる適切な吸着条件は、約20℃〜約250℃の範囲内にある温度及び略大気圧〜約500psigの範囲内にある圧力を含む。
【0023】
排出流がエチルベンゼンを含む場合、本発明のプロセスは、排出流の少なくとも一部を接触転化プロセスに通過させて、キシレン類の平衡混合物を含む流を製造する工程をさらに含むものでもよい。本発明のプロセスは、排出流の少なくとも一部を接触キシレン異性化プロセスに通過させて、キシレン類の平衡混合物を含む流を製造する工程をさらに含むものでよい。接触転化プロセスは、有利には、キシレン類の平衡混合物を含む異性体(isomerate)を製造するに充分な温度、圧力及び時間の条件下で、適切な異性化触媒と接触させることを含む。有用な異性化触媒の1分類は、元素周期表VIB族及びVIIIA族の遷移元素からなる群より選択される金属を含む少なくとも1の成分を組み込んでなる酸性無機酸化物担体を含む。典型的には、異性化触媒は、モリブデン、ニッケル、パラジウム及び白金からなる群より選択される金属を含む少なくとも1種の成分を含む。有利には、流体混合物は、異性体(isomerate)の少なくとも一部を含む。さらに、異性体(isomerate)の少なくとも一部を、改質、水素処理、トルエン不均化、C6〜C10芳香族アルキル交換反応及び/又はベンゼン及び/又はトルエンのメチル化反応の適切な生成物と混合して、流体混合物を形成してもよい。
【0024】
本発明の別の側面において、メタキシレン回収操作は、メタキシレンに優先してパラキシレン及びオルソキシレンの吸着を効果的に行う能力を示す吸着条件で、第1流体流を吸着剤と接触させ、その後、高純度メタキシレンを回収することを含む。例えば、吸着剤は、メタキシレンに優先してパラキシレン及びオルソキシレンの吸着を効果的に行うために水素形態で利用されるBEA結晶構造を示すアルミノシリケートである。有利には、吸着剤は、メタキシレンに優先してパラキシレン及びオルソキシレンの吸着を効果的に行うために用いられる水素形態のβ型ゼオライトである。その後、メタキシレン回収操作は、さらに、脱着剤をβ型ゼオライトと接触させて、吸着されているパラキシレン及びオルソキシレンを流体抽出物として取り除く工程、キシレン群を脱着剤から分離する工程、及び有利には、分離されたキシレン群の全部又は一部をパラキシレン回収操作に分配して、精製パラキシレン副産物及び排出流を抽出する工程を含む。適切な脱着剤は、トルエン、ベンゼン及びこれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0025】
本発明の特に有用な側面において、第1流体流は、メタキシレンに優先して水素形態のβ型ゼオライトに吸着されているエチルベンゼンをさらに含み、その後、脱着剤をβ型ゼオライトと接触させて、吸着されているパラキシレン、オルソキシレン及びエチルベンゼンを脱着させる。有利には、本プロセスは、排出流の少なくとも一部をエチルベンゼン接触転化プロセスに通過させて、排出流よりもパラキシレン含有量が豊富な流を製造することをさらに含む。
【0026】
また別の側面において、本発明は、メタキシレン及びパラキシレンを高純度副産物として他のC8芳香族化合物類を含む流体混合物から回収するプロセスを提供する。本プロセスは、キシレン平衡混合物及び1種以上の芳香族化合物を含む流体混合物から少なくとも1のC8芳香族化合物の選択透過により誘導される流である第1流体流と第2流出流において、第2流出流と比較してメタキシレン含有量が豊富な第1流体流を選択透過性膜装置から抜き出す工程;膜デバイスから抜き出された第1流体流の全部又は一部をメタキシレン回収収操作に分配して、第1流体流よりもメタキシレンの含有量が豊富な精製生成物と、メタキシレンが枯渇している排出流とを抽出する工程;及び膜デバイスから抜き出された第2流出流の全部又は一部をパラキシレン濃縮ユニットに分配して、第1流体流よりもパラキシレンの含有量が豊富な精製生成物と、排出流とを抽出する工程を含む。
【0027】
メタキシレン回収操作は、有利には、パラキシレン濃縮ユニットからの排出流の全部又は一部をメタキシレン回収操作に分配して、メタキシレンの含有量が豊富な精製生成物を抽出する工程をさらに含む。
【0028】
精製パラキシレンもまた所望の生成物であり、排出流がエチルベンゼン及び少なくともパラキシレンが枯渇しているキシレン群の混合物を含む場合、本発明のプロセスは、有利には、排出流の少なくとも一部を接触転化に通過させて、排出流よりもパラキシレン含有量が豊富な流を製造することをさらに含む。典型的には、接触転化プロセスは、キシレン類の平衡混合物を含む異性体(isomerate)を製造するに充分な温度、圧力及び時間の条件下で、適切な異性化触媒と接触させることを含む。異性化触媒は、有利には、ゼオライト系成分と、周期表VIB族及び/又はVIIIA族から選択される少なくとも1の金属成分が組み込まれている酸性無機酸化物担体とを含む。異性体(isomerate)の少なくとも一部は、改質、水素処理、トルエン不均化、C6〜C10芳香族アルキル交換反応及び/又はベンゼン及び/又はトルエンのメチル化反応の適切な生成物と混合され、流体混合物を形成する。
【0029】
本発明の一側面において、膜デバイスは、(i)高分子材料及び(ii)そこに組み込まれた少なくとも1の天然及び/又は合成結晶アルミノシリケートを含む複数の顆粒を含む選択透過性膜を利用する。有利には、選択透過性膜は、高分子材料及びMFI結晶構造を示すアルミノシリケートの顆粒を含む。
【0030】
本発明の別の側面において、膜デバイスは、(i)高分子材料及び(ii)組み込まれている少なくとも1のシクロデキストリンを含む別個の成分複数を含む選択透過性膜を利用する。有利には、選択透過性膜は、高分子材料及び/又はβ−シクロデキストリン又はγ−シクロデキストリンを含む。
【0031】
置換芳香族化合物類の精製に特に有用な膜デバイスは、ポリアミド類、ポリイミド類、ポリ(アミド)イミド類、ポリアラミド類、ポリアリレート類、ポリトリアゾール類、ポリピロロン(polypyrrolone)、ポリウレタン及びこれらのコポリマーからなる群より選択される少なくとも1の高分子材料を含む選択透過性膜を利用する。有利には、膜デバイスは、ポリアミド類、ポリイミド類及びポリ(アミド)イミド類からなる群より選択される少なくとも1の高分子材料を含む選択透過性膜を利用する。
【0032】
本発明によるプロセスは、選択透過性分離を分別晶析及び/又は選択収着による精製生成物の回収と一体化させる。本発明による芳香族化合物類の流体混合物から精製キシレンを回収するプロセスにおいて、回収操作は、選択収着精製を含む。有利には、選択収着精製は、少なくとも1の天然及び/又は合成結晶アルミノシリケート、Y型ゼオライト及び/又はX型ゼオライトを利用する。
【0033】
本発明によるプロセスのまた別の側面において、精製パラキシレン回収操作は、分別晶析工程を含む。有利には、このようなパラキシレン回収操作は、選択収着ユニットをさらに含む。
【0034】
特に有用な側面において、本発明は、芳香族化合物類の流体混合物からパラキシレンを回収するプロセスを提供する。メタキシレン及びパラキシレンを高純度副産物として他のC8芳香族化合物類との流体混合物から回収するプロセスは、(a)キシレンの平衡混合物及び1種以上の他の芳香族化合物を含む流体混合物から少なくとも1のC8芳香族化合物の選択透過により誘導される流である第1流体流及び第2流出流において、第2流出流よりもメタキシレン含有量が豊富な第1流体流を選択透過性膜装置から抜き出す工程;(b)膜デバイスから抜き出された第1流体流の全部又は一部をメタキシレン回収操作に分配して、第1流体流よりもメタキシレン含有量が豊富な精製生成物と、メタキシレンが枯渇している排出流とを抽出する工程;及び(c)膜デバイスから抜き出された第2流出流の全部又は一部をパラキシレン回収操作に分配して、第1流体流よりもパラキシレン含有量が豊富な精製生成物と、排出流とを抽出する工程を含む。
【0035】
本発明は、有機化合物、特に分留単独などの慣用の手段によっては分離が困難な化合物を伴う分離に対して、特に有用である。典型的には、これらは、例えば同じ炭素数の置換芳香族化合物類に化学的に関連する有機化合物を含む。
【0036】
本発明の別の実施形態及び対象は、供給混合物、吸着剤、脱着剤、及び操作条件についての詳細を網羅する。これらのすべては、本発明のこれらの面のそれぞれの以下の議論に開示される。
【0037】
本発明をより完全に理解するために、添付図面に詳細に記載され、下記に例として記載される実施形態を参照されたい。
【好ましい実施形態】
【0038】
以下、本発明の側面を図示する概略フローダイアグラムである添付図面を参照しながら、選択透過性分離と精製生成物回収操作との一体化により非常に純粋なメタキシレン及びパラキシレン副産物を液体混合物から回収する本発明を詳細に説明する。
【0039】
本発明の選択透過性分離は、富メタキシレン流をC8芳香族の流体混合物から分離して、残りの芳香族化合物類、有利にはパラキシレンを含む流体を製造するために、高分子選択透過性膜装置を用いる1以上のデバイスを含む。本発明のプロセスは、エチルベンゼン並びに3種のキシレン異性体群を含む場合でさえ液体混合物から非常に純粋なメタキシレン副産物及びパラキシレン副産物を回収するために特に有用である。
[一般的記載]
適切な駆動力差で、透過性及び所望の分離に適切な他の特性を示す任意の高分子膜を用いることができる。例えば、本発明による分離用の膜デバイスは、適切な駆動力差で、キシレンの異性体類の少なくとも1又はエチルベンゼンに対して少なくとも0.1Barrerの透過性を示す複数の選択透過性膜を利用することができる。適切な膜は、均質膜、複合膜又は非対称膜の形態を採ってもよく、例えばゲル層、固体層又は液体層を組み込んでいてもよい。
【0040】
本発明によるC8芳香族類の分離に有用な膜は高分子膜システムを含む。このような膜システムにおいて、分子は膜を透過する。高分子膜を横断する透過中、膜マトリックス内での拡散性及び溶解度の差ゆえに異なる分子は分離される。分子形状がマトリックスを通しての各種の移送速度に影響するばかりでなく、透過分子及びポリマー自身の化学的性質も影響する。
【0041】
高分子膜の進展は、高分子膜を芳香族化合物類の分離の魅力的な候補にする。なぜなら、高分子膜は、汚染され易い金属錯体に依らずに分離を達成するからである。例えば、芳香族化合物類の混合物の分離に用いることができる数種の高分子材料は、最近の米国特許出願公開2003/0140789 A1公報(開示内容は全体として本願明細書に援用する)に記載されている。膜材料又は多孔性担体のいずれかとして有用な適切なポリマーとしては、置換もしくは未置換ポリマー、例えば、ポリスルホン類、ポリカーボネート類、アリールポリアミド類及びアリールポリイミド類を含むポリアミド類及びポリイミド類、ポリエーテル類、ポリエーテルイミド類、ポリエーテルケトン類、ポリエーテルスルホン類、ポリ(フェニレンオキシド)及びポリ(キシレンオキシド)などのポリ(アリレンオキシド類)、ポリ(エステルアミド−ジイソシアネート)、ポリウレタン類、ポリエチレンテレフタレート、ポリ(アルキルメタアクリレート類)、ポリ(アクリレート類)及びポリ(フェニレンテレフタレート)などのポリエステル類(ポリアリレート類を含む)、ポリピロロン(polypyrrolone)類、ポリサルファイド類、ポリアリル(polyallyl)類、ポリ(ベンゾベンズイミダゾール)、ポリヒドラジド類、ポリオキサジアゾール類、ポリトリアゾール類、ポリ(ベンズイミダゾール)、ポリカルボジイミド類及びポリホスファジン類、及びパラスルホフェニルメタアリルエーテル類のアクリロニトリル−ビニルブロミド−ナトリウム塩のターポリマー類などの上述の繰り返し単位を含むブロック共重合体類を含む共重合体類、及び上述の任意のものを含むグラフト類及びブレンドからなる群の一員を挙げることができる。置換ポリマーを提供する典型的な置換基としては、フッ素、塩素及び臭素などのハロゲン類;ヒドロキシ基; 低級アルキル基;低級アルコキシ基;単環アリール;低級アクリル基などを挙げることができる。本発明の中空繊維膜に有用なポリマーとしては、6FDAの類似体を用いて作製したポリイミド類、ポリエーテルイミド類及びポリスルホン類を含むポリイミド類、ポリエーテルイミド類、ポリエーテルスルホン類及びポリスルホン類を挙げることができる。特に有用なものは、6FDAを用いて作製したポリイミド類又はポリエーテルイミド類を含むポリイミド類である。
【0042】
有利には、中空繊維高分子膜は、有効な外皮層及び多孔性担体を含む複合材料である。多孔性担体物質は、膜と同一又は異種のポリマーであってよい。一般に、多孔性担体は、高価ではない多孔性高分子である。複合中空繊維高分子膜において、多孔性担体層は内層又は外層のいずれでもよい。典型的には、多孔性担体層は、本実施形態における内層であり、「外皮」層は中空繊維の外側にある。
【0043】
複合膜材料は、同時係属中の米国特許出願09/834,857及び09/834,808(全体を本願明細書に援用する)に記載されている。複合膜を議論する1つの特許は、たとえば米国特許第4,925,459号(全体を本願明細書に援用する)である。
【0044】
本発明の実施に有益な中空繊維膜の高い透過性及び選択性は、高分子材料の分子量の制御に少なくとも部分的に依存する。分子量の制御は、脆弱すぎず有効な外皮層を発現する中空繊維膜を形成するために必要である。一般に、本発明のプロセスにとって、平均ポリマー分子量は、約20,000〜約200,000の間であり、典型的には約40,000〜約160,000の間であり、所望の分離によっては最良の結果のために約60,000〜約120,000の間である。強い強度を有し脆弱ではない材料を達成するために、ポリマーの分子量は、ポリマーのもつれた分子よりも上、おそらく十分上であると考えられる。
【0045】
本発明のプロセスに特に適切であるのは、(i)高分子材料及び(ii)高分子材料に組み込まれている少なくとも1のシクロデキストリンを含む別個の成分複数及び(iii)高分子材料に組み込まれている少なくとも1の天然及び/又は合成結晶アルミノシリケートを含む別個の成分複数を含み、所望の分離のための膜性能を増強する選択透過性膜の1分類である。結晶アルミノシリケートの構造は、IUPACゼオライト命名委員会(IUPAC Commission on Zeolite Nomenclature)によって規定された規則に従ってIZA構造委員会(IZA Structure Commission)により付与された構造タイプコードにより最もよく識別される。各特異な骨格トポロジーは、3文字からなる構造タイプコードによって指定される。有利には、アルミノシリケートは、下記タイプにより識別される結晶構造を示す。AEL、AFO、AHT、BEA、CGF、DAC、EPI、EUO、FER、HEU、LAU、MEL、MFI、MFS、MTT、NES、PAR、SFF、STF、STI、TER及びTON。
【0046】
特に有用なゼオライトの例としては、限定されるものはないが、ZSM-5、ZSM-11、ZSM-22、ZSM-23、ZSM-35、ZSM-48、ZSM-57、SUZ-4、SSZ-23、SSZ-25、SSZ-28、SSZ-32、SSZ-36、NU-87及びシリカライトを挙げることができる。ZSM-5は、例えば米国特許再発行 Re. 29,948号明細書(オリジナルは米国特許第3,702,886号)に記載されている。ZSM-11は、米国特許第3,709,979号明細書に記載されている。ZSM-22は、米国特許第4,556,477号明細書に記載されている。ZSM-23は、米国特許第4,076,842号明細書に記載されている。ZSM-35は、米国特許第4,016,245号明細書に記載されている。ZSM-48は、米国特許第4,585,747号明細書に記載されている。SUZ-4は、欧州特許出願第353,915号明細書に記載されている。SSZ-23は、米国特許第4,859,422号明細書に記載されている。SSZ-25は、米国特許第4,827,667号明細書及び5,202,014号明細書に記載されている。SSZ-28は、米国特許第5,200,377号明細書に記載されている。SSZ-32は、米国特許第5,053,373号明細書に記載されている。SSZ-36は、米国特許出願第60/034,252号明細書に記載されている。
【0047】
選択透過性膜の別の適切な分類は、(i)高分子材料及び(ii)高分子材料に組み込まれている少なくとも1の天然及び/又は合成シリカライトを含む別個の成分複数を含む。シリカライトは、開発されGrossらに特許された(第4,061,724号参照)疎水性結晶シリカ系モレキュラーシーブである。シリカライトの詳細な議論は、論文"Silicalite, A New Hydrophobic Crystalline Silica Molecular Sieve" ; Nature, Vol. 271, Feb. 9, 1978(本願明細書に援用する)に見ることができる。これらの特許及び特許出願のすべての全体的な内容を本願明細書に援用する。有利には、選択透過性膜は、高分子材料及びβ−シクロデキストリン又はγ−シクロデキストリンを含む別個の成分複数を含む。
【0048】
結晶構造のカチオン修飾は、膜の分離特性に影響を与えるために用いることができる。このようなカチオン修飾は、構造内のナトリウムイオンもしくはカリウムイオンがバリウム、カルシウム、セリウム又は他の選択された交換可能なイオンなどの他のイオンと交換されるイオン交換を含む。これは、膜の吸着特性を調節するために行うことができ、選択性を増加させる。
【0049】
本発明に有用な顆粒の平均サイズは、一般に0.5ミクロン未満であり、最良の結果のためには0.2ミクロン未満である。より小さなサイズは、顆粒とポリマーとの間の結合を促進する。典型的には、サイズは合成によって制御される。膜形成に先立ち、顆粒の外表面とポリマーとの間の結合を改良するように顆粒を処理してもよい。例えば、所定時間(数分〜数時間)シラン化合物を含むエタノール/水混合物中にシーブを混合し、次いで処理済みシーブを回収し、エタノールで洗浄して、過剰のシランを除去する。
【0050】
選択透過性膜のまた別の適切な分類は、(i)高分子材料及び(ii)高分子材料に組み込まれているボロシリケート、シリコ−アルミノホスフェート、アルミノホスフェート及び他のゼオライト様モレキュラーシーブを含む別個の成分複数を含む。これらのゼオライト様モレキュラーシーブは、上述のアルミノシリケートゼオライトと同様の構造を有していてもよい。
【0051】
分離実施形態用膜の有用な分類は、微小多孔性担体を含み、微小多孔性担体の上には選択透過性層が超薄コーティングとして堆積している複合膜タイプである。別の有用な分類は、非対称膜の薄くて稠密な外皮が選択透過性層である非対称膜である。複合膜及び非対称膜のいずれも当該分野で公知である。膜が本発明で用いられる形態は重要ではない。膜は、例えば、平坦なシート又はディスク、被覆中空繊維、螺旋巻きモジュールその他適宜の簡便な形態で用いることができる。
【0052】
膜デバイスの適切なタイプは、中空微細繊維タイプ、キャピラリー繊維タイプ、螺旋巻きタイプ、プレート−フレームタイプ及び管状タイプを含む。特定の膜分離に最も適切な膜モジュールタイプの選択は、多数の因子のバランスを取らなければならない。決定に至る主要なモジュール設計パラメータは、膜材料の特定のタイプ、高圧運転に対する適性、透過サイド圧力降下、濃度局在汚染制御、任意の掃引流の透過性、及び最後に大事なことだが製造コストに対する制限である。
【0053】
中空繊維膜モジュールは、2種の基本的な幾何学形状で用いられる。1つのタイプは、水素分離システム及び逆浸透システムに用いられているシェル−サイド供給設計である。このようなモジュールにおいて、ループ又は繊維の閉鎖束は、圧力容器に格納されている。システムは、シェルサイドから加圧され、透過液は繊維壁に浸透し、繊維開放端部を通して流出する。この設計は、容易に作ることができ、非常に大きな膜面積を経済的システムに内蔵させる。繊維壁は、かなりの静水圧を支持しなければならないので、繊維は、通常、小径及び肉厚壁、例えば100μm〜200μmの外径を有し、典型的には外径のおよそ半分の内径を有する。
【0054】
中空繊維モジュールの第2タイプは、ボアサイド供給タイプである。このタイプのユニットの繊維は両端部が開放されており、供給流体は繊維のボア(穴)を通して循環される。繊維内部の圧力降下を最小にするために、直径は通常、シェルサイド供給システムに用いられる微細繊維の直径よりも大きく、一般に溶液スピニングにより製造される。これらのいわゆるキャピラリー繊維は、限外濾過、パーベーパレーション及びいくつかの低圧〜中圧のガス用途に用いられる。
【0055】
濃度局在は、ボアサイド供給モジュールにおいて良好に制御される。供給溶液は、膜の活性表面を直接通過し、よどんだデッドスペースは作られない。これは、顕著な濃度局在問題を生じさせる繊維間のフローチャネリング及びよどんだ領域を避けることが困難なシェルサイド供給モジュールの場合とは大きく異なる。供給溶液中の任意の懸濁粒子状物は、これらのよどんだ領域に容易にトラップされ、不可逆的な膜汚染をもたらす。供給フローを方向付けるバッフルが試されているが、広範囲には用いられていない。濃度局在を最小化するより一般的な方法は、供給フローを中空繊維の方向に直交するように方向付けることである。これは、繊維表面を横断する比較的良好なフロー分布を伴う交流(クロスフロー)モジュールを作る。いくつかの膜モジュールは直列に連結されてもよく、非常に早い供給溶液速度を用いることができる。この基本設計の多数の変形例は、例えば、米国特許第3,536,611号明細書(Fillipら)、5,169,530号明細書(Stickerら)、5,352,361号明細書(Parsedら)及び5,470,469(Beckman)(これらは本願明細書に援用する)に記載されている。中空繊維モジュール単独での最大の利点は、非常に大きな膜面積を単独のモジュールに充填する能力である。
【0056】
大量のキシレン群源は、ある種のバージンオイル、改質石油ナフサ及びコークス炉軽質オイル、及びガス油及びLCCO(軽質キャットサイクルオイルlight cat cycle oil)などの水素分解重質芳香族類を含む。典型的な石油由来の供給原料から除去される場合、パラキシレンが他のC8芳香族類、すなわちメタキシレン、オルソキシレン及びエチルベンゼンを有する混合物中に見出される。一般に、本発明のプロセスは、キシレン異性体群、エチルベンゼン及びパラフィン類を含む蒸留留分から非常に純粋なキシレンの異性体を回収する。
【0057】
多数のC8芳香族源がプロセスに供給されてもよいが、ナフサ改質装置及び芳香族類回収ユニットからの典型的なC8留分において、混合物は約15%エチルベンゼン、22%パラキシレン、50%メタキシレン及び22%オルソキシレン及び可変量の不飽和、直鎖及び環式炭化水素類を含む。
【0058】
例えば、C8芳香族混合物からパラキシレン生成物を製造する1つの方法は、最初にC8混合物をキシレン塔に通過させて重質、例えばC8+炭化水素類を取り除くことである。3種のキシレンの異性体群は、パラ:メタ:オルソについて約1:2:1の平衡比を有し、源によっては、エチルベンゼンがC8芳香族類混合物の約1〜約20 wt%を構成し、約80〜99%だけがキシレン群であってもよい。主としてパラキシレン、メタキシレン及びエチルベンゼンを含むキシレン塔からのオーバーヘッド流は、選択透過性膜装置を通過して、メタキシレンの含有量が豊富になった第1流体流を得て、第1流体流はその後回収される。
【0059】
本発明による特に有用な精製メタキシレン回収方法は、固体吸着剤を用いる選択収着を含む。適切な精製メタキシレン回収ユニットは、例えば米国特許第4,306,107号明細書(Donald B. Broughton)、4,326,092号明細書(Richard W. Neuzil)、5,382,747号明細書(Santi Kulprathipanja)、6,137,024号明細書(Herman A. Zinnen and Charles P. McGonegal)(全体として本願明細書に援用する)に記載されている態様で運転する。
【0060】
上記に簡単に説明したように、本発明の一実施形態の精製メタキシレン回収において、キシレン異性体群及びエチルベンゼンを含む供給混合物からメタキシレンを分離するプロセスは、吸着条件にて、エチルベンゼンを有するか又は含まずに、キシレン異性体群を含む混合物を適切なY型ゼオライトを含む吸着剤と接触させ、こうしてメタキシレン異性体を選択的に吸着させ、混合物の残りの成分を実質的に排除して、その後、高純度メタキシレンを回収することを含む。
【0061】
本発明の一実施形態において、精製メタキシレン回収は、模擬移動吸着床向流システムによりなされる。適切な運転は、(i)吸着剤塔を通る純流体フローを単一方向に維持する工程、ここで塔はその中で生じる分離作用機能を有し、塔の終端ゾーンと直列連通している3以上のゾーンを含み、(ii)吸着ゾーンを塔内に維持する工程、ここで吸着ゾーンはゾーンの上流境界にある流入流とゾーンの下流境界にあるラフィネート流出流との間に位置づけられている吸着剤により画定される、(iii)精製ゾーンを吸着ゾーンからすぐ上流に維持する工程、精製ゾーンは精製ゾーンの上流境界にある抽出流出流と精製ゾーンの下流境界にある供給流入流との間に位置づけられている吸着剤によって画定される、(iv)脱着ゾーンを精製ゾーンからすぐ上流に維持する工程、脱着ゾーンはゾーンの上流境界にある脱着剤流入流とゾーンの下流境界にある抽出流出流との間に位置づけられている吸着剤によって画定される、(v)吸着ゾーン内で吸着剤により混合物の残りの成分を実質的に排除するメタキシレンの選択吸着に有効な吸着条件で供給混合物を吸着ゾーン内に通過させ、残りの成分を含むラフィネート流出流を吸着ゾーンから抜き出す工程、(vi)脱着ゾーン内でメタキシレンを吸着剤から置換するために有効な脱着条件で、供給混合物とは実質的に異なる平均沸点を有する脱着剤を脱着ゾーンに通過させる工程、(vii)残りの成分を含む抽出流出流を脱着ゾーンから抜き出す工程、及び(h)吸着ゾーン内の流体フローに対して下流方向に吸着剤の塔を通して、供給流入流、ラフィネート流出流、脱着剤流入流及び抽出流出流を周期的に前進させ、吸着剤を通してゾーンをシフトさせ、抽出流出流及びラフィネート流出流を作る工程を含む。
【0062】
本発明の別の実施形態において、精製メタキシレン回収は、少なくともメタキシレン及びオルソキシレンを含み、パラキシレンを含むか又は含まない混合物からメタキシレンを分離する分離プロセスにおいて、吸着剤としてβ型ゼオライトを使用することを含む。混合物は、さらにエチルベンゼン、C9アルキル芳香族炭化水素類及び/又はC10アルキル芳香族炭化水素類を含んでいてもよい。β型ゼオライトはメタキシレンに比べてパラキシレン、オルソキシレン及びエチルベンゼンを優先的に吸着するので、メタキシレンは優先的に排除される。混合物がβ型ゼオライトと接触する際、メタキシレンは流体流によって運ばれ、混合物から回収される。オルソキシレン、パラキシレン及び存在する場合にはエチルベンゼンがβ型ゼオライトによって吸着され、吸着剤を貫通する流通が阻害されるので、メタキシレンから分離される。精製メタキシレンは運転の所望の生成物として回収される。場合によっては、吸着された炭化水素類は、脱着剤流体を用いてβ型ゼオライトから脱着され、連続使用のためにゼオライトを再生してもよい。有価値副産物、すなわちパラキシレンは、脱着剤から回収されることが有利である。脱着剤は、選択的に吸着されている化合物を吸着剤から除くことができる任意の流体でよい。適切な脱着剤としては、トルエン、ベンゼン又はトルエン及びベンゼンの混合物を挙げることができる。
【0063】
β型ゼオライトは、構造が国際ゼオライト学会の構造委員会(Structure Commission of the International Zeolite Association)により、W. M., Olson, D. and Baerlocher, Ch. "Atlas of Zeolite Structure Types", 4th revised edition; Elsiver: New York, 1996, p. 62-3においてBEAコードとして識別されている周知のゼオライトである。β型ゼオライトの形態は、ある範囲のアルミナに対するシリカの比率を有する。β型ゼオライトについての適切なアルミナに対するシリカの比率としては、約10〜約200を挙げることができる。適切な結合物質を用いることにより、β型ゼオライトを球形、円筒状及び不規則顆粒などの種々の形状に形成することができる。本発明のためには、結合したゼオライトβの粒径は、約420ミクロン〜約840ミクロンの範囲でよい。
【0064】
メタキシレンの回収操作は、バッチプロセス又は連続プロセスとしてよい。適切な操作モードは、固定床、揺動床(swing bed)、移動床及び模擬移動床を含む。選択される特定のモードは、用途に依存するが、一般に模擬移動床が好ましいモードである。模擬移動床モードは、例えば米国特許第4,940,830号明細書(Hermann A. Zinnen and Richard L. Fergin)(本願明細書に援用する)に記載されている。この特許は模擬移動床モードに関するより詳細を提供するが、少なくとも1の他のキシレン異性体からパラキシレンを分離することに関し、例えばパラキシレンよりもメタキシレンを優先的に吸着するために、吸着剤はナトリウム交換Y型ゼオライト又はニッケル又は銅などのIB族又はVIII族元素でさらに交換されたナトリウム交換Y型ゼオライトである。有利には、本発明によるプロセスは、模擬移動床向流パラキシレン回収システム及び比較的高いパラキシレン含有量の供給混合物から高純度パラキシレンを回収するためのパラ−ジエチルベンゼン脱着剤を用いる。
【0065】
β型ゼオライトを用いるメタキシレンの精製は、気相条件下で行われてもよい。典型的には、気相操作上、気相を維持するために要求される圧力、一般に約69 kPag(10 psig)〜約345 kPag(50 psig)の範囲にある圧力と共に、約120℃〜約300℃の範囲にある温度が適切である。
【0066】
本発明による特に有用な精製パラキシレン回収方法は分別晶析を含む。適切な分別晶析ユニットは、例えば米国特許第3,177,265号明細書(Gerard C. Lammers)、3,462,509号明細書(Thorpe Dresser, Stanley Ohiswager and Robert Edlson)、3,720,647号明細書(Horst Gelbe and Karl Schmid)、3,723,558号明細書(Friedrich Kramer)、5,004,860号明細書(John S. Hansen and William A. Warnius)、5,498,822号明細書(William D. Eccli and Alexander D. S. Fremuth)、5,866,740号明細書(Paul Mikitenko and Gerard Paul Hotier)、6,111,161号明細書(Stuart MacPherson and Paul Mikitenko)、6,147,272号明細書(Paul Mikitenko and Stuart R. MacPherson)、6,194,609号明細書(Keneth J. Abrams, Thomas M. Bartos and Debra J. Streich)(すべて本願に援用する)に記載されている態様で運転する。
【0067】
分別晶析は、ほとんどのキシレン混合物について、パラキシレンの融点が他のキシレン異性体群よりも高温で、最初に晶析するという事実を利用する。例えば、パラキシレンは13.3℃で晶析し、メタキシレンは-47.9℃で晶析し、オルソキシレンは-25.2℃で晶析する。3種のキシレン異性体群の物理系において、パラキシレン/メタキシレン及びパラキシレン/オルソキシレンの重要な2個の2成分共晶がある。パラキシレンは混合物から晶析するので、残りの混合物(母液)組成は、混合物の初期組成に依存して、これらの共晶2成分の一方に近づく。本発明に従う実施において、パラキシレンは晶析し、結晶の混合物で結晶本体を汚染することを避けるために、2成分は一方に近づくが到達はしない。これは、晶析によるパラキシレン回収に対する共晶制限を表す。晶析ユニットは、母液を産出する。母液は、異性体化ユニットに再循環させることが有益である。異性化ユニットにおいて、追加のパラキシレン源を提供するために、母液の組成を初期C8芳香族供給原料の適切な濃度にまで回復させる。
【0068】
2ステージ晶析装置において、平衡C8芳香族供給物は約-35℃〜約-40℃まで冷却され、第2ステージ濾液と混合され、次いで多数の直列晶析装置内で晶析する。各晶析装置は供給物をさらに冷却し、最も冷たい晶析装置は典型的には約-62℃〜約-68℃で運転する。スラリー固体及び液体、すなわち母液は遠心力により分離される。第1ステージにおいて、固体は、わずかに約8〜約12 wt%のパラキシレンを含む液体で充填されている空隙を有する湿潤ケーキになる。この低パラキシレン液体は、固液分離手段の乾燥効率により約5〜約20 %だけ、結晶を汚染し、パラキシレン濃度が所要の99.5+ %純度に達することを阻害する。残りの液体は、排出濾液として排出される。この湿潤ケーキを完全に又は部分的に溶解し、再結晶化又は洗浄して汚染物を取り除き、所要の高いパラキシレン純度を達成する。
【0069】
第2ステージは、溶液からの第2ステージ再循環濾液から第1ステージ生成物及び濾液パラキシレンを再結晶化する。得られる結晶及び母液のスラリーを遠心分離する。湿潤パラキシレン結晶ケーキは洗浄工程に進み、残りの液体は再循環された濾液である。再循環濾液の制御された量は、晶析装置内でのスラリー固体負荷量を制御するために、第1ステージ生成物を希釈するために用いられる。典型的な遠心力は、35〜45 wt%以下の固体を含むスラリー混合物を分離する。第2ステージ晶析装置は、約-18℃〜約5℃以下の温度範囲で運転するので、第1ステージよりももっと少量の流を必要としてこれを処理し、よって所要冷凍量はもっと少ない。
【0070】
第2ステージケーキ空隙は、既にパラキシレンが豊富な液体、典型的には約60〜約75 wt%パラキシレンを含む液体で満たされ、よって結晶を生成物パラキシレンで洗浄することで99.8%パラキシレンオーダーの供給物純度を達成することができる。
【0071】
適切なC8芳香族流の組成は、その源に依存して変動するであろうが、オルソキシレン及びパラキシレン異性体含有量の総量は約45%未満であろう。しかし、一体化された選択透過性分離及び精製生成物回収操作単独では、C8芳香族供給原料を完全に利用することはないであろう。これらの状況下で、本発明の一側面において、異性体化などの化学転化は有用である。有用なパラキシレン異性体のC8芳香族供給原料が枯渇した後、枯渇した流は異性体化ユニットに送られるのが有利である。異性体化ユニットにおいて、平衡キシレン異性体比が確立され、こうして望ましくない異性体群から所望の異性体群を製造する。
【0072】
C8芳香族の混合物からパラキシレンを製造するための一般に有用なプロセスが2種ある。各プロセスは、エチルベンゼンの一部をベンゼン又は他の生成物に転化するための1以上の触媒及びキシレン群の異性体化用触媒を含有する触媒区域を含む。さらに、プロセスは、C8芳香族の沸点よりも高温及び低温で沸騰する成分を除去するための蒸留塔、及び最後に、一般に99.8 wt%を超える純度であるパラキシレン生成物の精製及び回収用区域を含む。
【0073】
本発明により精製パラキシレンを製造するための特に有用な化学転化方法は、キシレン群の接触異性体化を含む。適切な異性体化ユニットは、例えば米国特許第3,856,871号明細書(Werner O. Haag and David H. Olson)、第4,101,597号明細書(Lloyd L. Breckenridge)、第4,218,573号及び第4,236,996号明細書(Samuel A. Tabak and Roger A. Morrison)、第4,224,141号明細書(Roger A Morrison and Samuel A. Tabak)、第4,638,105号明細書(Clarence D. Chang and Joseph N Miale)、及び第4,899,011号明細書(Yung F Chu, Charles T. Kresge and Rene B. LaPiere)(これらを本願明細書に援用する)に記載された態様で運転する。
【0074】
本発明の一実施形態による混合キシレン群及び不純物の流から高純度パラキシレン生成物の抽出は、混合キシレン群及び不純物の供給物を分別晶析ユニット中の少なくとも1の晶析装置内で冷却して、液体−結晶スラリーからパラキシレンを晶析させる工程と、分離手段、例えば遠心力でオルソキシレン及びメタキシレン及び不純物を含む液体成分を固体結晶パラキシレンから分離して高純度パラキシレンを得る工程とを含む。有利には、入力された仕事及び/又は環境からの熱ゆえに溶融したパラキシレンを含む排出流の少なくとも一部(キシレン群及び不純物)を異性体化ユニットに供給して、ここでキシレン群を触媒床上で反応させ、蒸留ステージにおいてパラキシレン及び混合キシレン群を不純物から分離させ、得られる混合キシレン群を膜デバイスに戻し、次に分別晶析ユニットに戻す。
【0075】
本発明の特に有利な側面において、分配用膜デバイスから晶析ユニットへの流れ中でのパラキシレン濃度は、共融温度が本発明の晶析装置の運転における因子とならないほど十分に高い。なぜなら、共融温度までの冷却は、高いパラキシレン回収率を得るために必要ではないからである。有益には、晶析装置供給物中パラキシレン濃度が高く、母液中パラキシレン濃度が高いので、少なくとも99.5 wt%のパラキシレン純度が単一温度ステージで達成され得る。
【0076】
本発明のこの側面において、単一温度ステージ晶析装置は、パラキシレン生成物だけを用いる洗浄を使用することができる。トルエンなどの他のタイプの洗浄は99.8%純度パラキシレンを製造するために必要ではない。よって、本発明のパラキシレン生成物は、さらなる処理を必要としない。
【0077】
富パラキシレン流からパラキシレンを回収するために本発明が単一ステージ結晶化を含む場合、分別晶析ユニットの操作は、単一温度結晶化ステージにおいて約-30℃〜約10℃の範囲にある温度にて富パラキシレン流を接触させる工程と;パラキシレン結晶を含むスラリーを単一温度結晶化ステージから抜き出す工程と;分離手段、例えば遠心分離手段、フィルター及び/又はヒドロサイクロンで結晶ケーキを形成する工程と;ケーキをパラキシレンで洗浄する工程とを含む。有利には、分離手段からの排出流の一部は単一温度結晶化ステージに戻される。洗浄されたケーキは溶融されて精製パラキシレン生成物を形成する。
【0078】
本発明によるパラキシレン回収の特に有用な方法の別の分類は、液相吸着クロマトグラフィー又は模擬移動床吸着(SMBA)などの選択収着方法を含み、例えば、米国特許第2,985,589号明細書(Donald B Broughton and Clarence G. Gerhold)、第3,732,325号明細書(Joe M. Pharis, Donald B Broughton and Robert F.Zabransky)、第3,706,812号明細書(Armand J. deRosset and Richard W. Neuzil)、第3,626,020号明細書及び第3,696,107号明細書(Richard W. Neusil)、第3,729,523号明細書(Philip Grandio, Jr. and Paul T. Allen)、第4,381,419号明細書(Roger Wylie)、第4,402,832号明細書(Clarence G. Gerhold)、第4,886,929号明細書(Richard W. Neuzil and George J. Antos)及び第5,329,060号明細書(John D. Swift)(これらを本願明細書に援用する)に記載されている。
【0079】
選択収着操作は、以下の特徴を有する。高純度及び高回収率を得るために、吸着塔は一般に複数の床に分割される。生成物回収は、C8芳香族群を溶媒、一般にトルエン又はパラジエチルベンゼンで脱着することにより得られる。典型的には所望の生成物から分留により分離される脱着剤溶媒は、精製生成物回収区域に内部的に戻される。
【0080】
有利には、選択収着操作は、本発明によりメタキシレン及びオルソキシレン吸着に選択的であるか、またはパラキシレン吸着に選択的である吸着剤を用いて行われる。収着剤がメタキシレン及びオルソキシレンの吸着に選択的である場合、メタキシレン及びオルソキシレンが豊富でパラキシレンが枯渇している抽出物は異性体化ゾーンに排出され、富パラキシレンラフィネートは、パラキシレン回収のために晶析ゾーンに送られる。收着剤がパラキシレン吸着に選択的である場合、メタキシレン及びオルソキシレンが豊富でパラキシレンが枯渇しているラフィネートは異性体化ゾーンに排出され、富パラキシレン抽出物はパラキシレン回収のために晶析ゾーンに送られる。有益には、最低パラキシレン濃度を包含する排出流の少なくとも一部は異性体化工程で処理される。
【0081】
典型的には、本発明のプロセスで用いられる收着剤は、天然及び合成アルミノシリケートのいずれを含むものでもよいモレキュラーシーブである。吸着剤として使用するために本発明に包含される結晶アルミノシリケートは、アルミナ及びシリカ四面体がオープン(開)三次元結晶網内で互いに密に結合しているアルミノシリケートケージ(檻)構造を含む。このゼオライトの部分的又は全体的脱水の前に、水分子により占有されている四面体の間の空隙と酸素原子の共有により、四面体は架橋される。脱水の結果、結晶は分子寸法を有するチャネルと織り交ぜられる。よって、結晶アルミノシリケートは、モレキュラーシーブと呼ばれることが多い。
【0082】
本発明のプロセスにおいて吸着剤として使用される結晶アルミノシリケートは、比較的良好に画定された孔構造を保有する。アルミノシリケートの正確なタイプは一般に特定のシリカ−アルミナ比によって称される。ファジャサイト(Faujasite)は一般的にX型及びY型アルミノシリケートに密接に関連するものとして示され、シリカ−アルミナ比を変化させることにより規定される。X型は米国特許第2,882,244号明細書に、Y型は米国特許第3,130,007号明細書(いずれも本願に援用する)に記載されている。
【0083】
本明細書で予定されている吸着剤は、Y型ゼオライトのナトリウム型ばかりでなく、ナトリウムカチオンを他の個別のカチオンで部分的に又は完全に置換することによりそのようなゼオライトから得られる結晶物質も含む。同様に、X型ゼオライトもまたイオン交換し、本発明のプロセスで吸着剤として用いることが予定されている。
【0084】
本発明によれば、パラキシレン枯渇流は、異性体化ゾーン内で、平衡キシレン混合物を含む異性体(isomerate)を製造するに十分な異性体化条件にて、異性化触媒と接触することが有益である。有用な異性化触媒は、当業者に公知の適切な異性化触媒でよい。このような触媒は、典型的には、少なくとも1の金属成分を組み込んでいる酸性無機酸化物担体を含むであろう。
【0085】
異性化触媒の形成に無機酸化物バインダを利用する場合、バインダは典型的には約25 m2/g〜約500 m2/gの表面積を有し、組成が均一で、本発明の異性化プロセスにおいて利用される条件に対して比較的耐火性の多孔性吸着性高表面積担体である。適切なバインダの例としては、アルミナ、シリカ、シリカ−アルミナ、アタパルガスクレイ(attapulgus clay)、珪藻土、フラー土(Fuller's earth)、カオリン(kaolin)、珪藻土(kieselguhr)及びこれらの任意の混合物を挙げることができる。一般に、バインダはアルミナ形態、例えばβ型アルミナ、θ型アルミナ及び最も頻繁にはγ型アルミナとして知られている結晶アルミナである。
【0086】
特に有用なバインダは、約0.3 g/cc〜約0.8 g/ccの見かけ嵩密度及び平均孔径が約20〜約300 Åであり、細孔容積が約0.1 cc/g〜約1 cc/gであるような表面積特性を有する。
本発明の一側面において、異性化触媒の金属成分は、有利には周期表VIB族、特にモリブデン及びタングステンからなる群から選択される。異性化触媒のVIIIA族金属成分は、酸化物、硫化物又は元素状金属又はこれらの任意の組み合わせとして最終触媒内に存在していてもよい。異性化触媒のVIB族金属成分は、一般に最終触媒の約0.1〜約10 wt%、最良の結果のためには約2〜約5 wt%を構成する。
【0087】
本発明の別の側面において、異性化触媒の金属成分は有利には、VIIIA族金属、特にコバルト、パラジウム、ロジウム、ルテニウム及びイリジウム、特にニッケル及び白金からなる群より選択される。異性化触媒のVIIIA族金属成分は、酸化物、硫化物又は元素状金属又はこれらの任意の組み合わせとして最終触媒内に存在していてもよい。異性化触媒のVIIIA族金属成分は、一般に、最終触媒の約0.01〜約2 wt%、最良の結果のためには約0.05〜約1.0 wt%を構成する。
【0088】
本発明による異性体化操作において、触媒は固定床システム、移動床システム、流動床システムに配置されてもよいし、バッチタイプ操作に配置されてもよい。触媒摩耗損失の危険性及び操作性の利点の観点から、一般に、固定床システム内で用いられる。このシステムにおいて、水素ガス及びパラキシレン枯渇流は適切な加熱手段によって所望の反応温度まで予備加熱され、次いで触媒の固定床を含む異性体化ゾーンに通過する。異性体化転化ゾーンは、各ゾーンへの入口において所望の異性体化温度が維持されるように適切な手段を反応器の間に有する1以上の別個の反応器でよい。反応体は、上向き流、下向き流又は放射状流形態で触媒と接触してもよい。さらに、触媒と接触する際に、反応体は液相中、気相中又は気相/液相中にあってもよい。
【0089】
適切な異性体化条件は、約0℃〜約600℃の範囲にある温度を含むが、典型的には約250℃〜約500℃の範囲であり、圧力は約1〜100気圧の範囲にあるが、典型的には約2〜約30気圧の範囲にあり、水素と炭化水素とのモル比は約0.5:1〜約15:1であり、液体時間当たり空間速度は約0.5 hr-1〜約30 hr-1を挙げることができる。
【好ましい実施形態の記載】
【0090】
図1は、少なくとも1の高分子材料を含む選択透過性膜を用いて、供給混合物の少なくとも1の化合物、例えばメタキシレンが非透過流と比較して豊富になっている透過流を提供する本発明の一体化プロセス及び装置の好ましい一側面を示す概略流図である。
【0091】
第1供給物流、例えばC8芳香族化合物類の混合物は、源112から一体化装置11の交換器120まで導管114、ポンプ116及びマニフォールド118を通して供給される。適切なプロセス条件での流出流は、交換器120から抜き出され、導管122を通して膜デバイス130に分配される。膜デバイスは、典型的には、異なる組成を有する透過混合物及び非透過混合物を供給物から誘導する複数の選択透過性高分子膜を含む。
【0092】
透過流は、非透過流よりも少なくともパラキシレンが豊富であり、膜デバイス130から導管134、交換器136、導管138を通して及びポンプ162により、導管164を通して一体化精製パラキシレン回収区域160内に送られる。透過流が少なくともパラキシレン豊富である場合、パラキシレンの回収は分別晶析及び/又は選択収着を利用する。精製パラキシレン生成物はパラキシレン回収区域160に導管166を通して抜き出される。パラキシレン生成物が枯渇している流は、パラキシレン回収区域から導管168を通して抜き出される。有利には、パラキシレン及び/又はメタキシレン生成物が枯渇している流の全部又は一部もまた化学転化区域150に送られる。
【0093】
透過流に対して少なくともパラキシレンが枯渇している非透過流は、膜デバイス130から導管132を通して抜き出され、精製生成物回収区域140に送られる。例えば第1供給物流がC8芳香族化合物類の混合物を含み、非透過流が少なくともメタキシレンに富む場合、回収操作は有利には選択収着を利用する。精製メタキシレン生成物はメタキシレン回収区域140から導管146を通して抜き出される。メタキシレン及びパラキシレン生成物の両者が枯渇している流は、メタキシレン回収区域から導管148を通して抜き出される。オルソキシレン及び/又はエチルベンゼンとの混合でパラキシレンを含む流は、場合によっては、メタキシレン回収区域から導管142を通して抜き出され、一体化パラキシレン精製生成物回収区域160に送られる。
【0094】
有利には、メタキシレン及び/又はパラキシレン生成物が枯渇している流の全部又は一部もまた、化学転化区域150に、例えば導管148aを通して送られる。流の少なくとも一部の化学転化は、一般に、異性体化反応を含み、こうして平衡混合物を確立する。水素などの別の反応体は区域150に導管152を通して供給されてもよく、過剰の反応体及び/又は副産物は区域150から導管154を通して抜き出される。転化生成物の少なくとも一部を含む流、例えば約8個の炭素原子を有する芳香族炭化水素類の平衡混合物は、区域150から導管156を通して抜き出される。転化生成物の流が1以上の所望の化合物に富む場合、導管156を通して抜き出される流は、有利には導管156、導管156a及びマニフォールド118を通して膜デバイス130内に送られる。
【0095】
化学転化区域からの富パラキシレン流は、典型的には、他のC8芳香族化合物類との平衡混合物中約22 %のパラキシレンを含む。しかし、晶析中の共晶組成物の形成故に、選択透過性分離デバイスなしでは、99.8 %純度のパラキシレン生成物の22 %組成物からの回収率は約65 %に制限される。アスペンコンピュータプログラム(Aspen computer program)を用いて、図1に示す本発明の一実施形態をシミュレートした。10のパラキシレン選択性を示す選択透過性膜を用いる膜デバイスは、有益に、結晶化供給物のパラキシレン濃度を50%に高める。結晶化供給物の量は約2/3だけ減少し、貧パラキシレン排出流は約20 %だけ減少した。よって、本発明による選択透過性膜を用いるパラキシレンプロセスは、精製パラキシレンの收率を経済的に顕著に上昇させる。
【0096】
図2は、非透過性物質含有流のパラキシレン含有量を豊富にする少なくとも1の高分子材料を含む選択透過性膜を用いる本発明の一体化プロセス及び装置12の好ましい側面を示す概略流れ図である。
【0097】
第1供給物流、例えばC8芳香族化合物類の混合物は、源212から導管214、ポンプ216及びマニフォールド218を通して交換器220に供給される。適切なプロセス条件での流出流は、交換器220から導管222を通して抜き出され、膜デバイス230に分配される。膜デバイス230は、典型的には複数の選択透過性高分子膜を含み、異なる組成を有する透過物質及び非透過物質の混合物が供給物から誘導される。
【0098】
透過流に比べて少なくともパラキシレンが豊富な非透過流は、膜デバイス230から導管232を通して抜き出され、一体化精製パラキシレン生成物回収区域260に送られる。非透過流が少なくともパラキシレンに富む場合、回収操作は有利には分別晶析及び/又は選択収着を利用する。精製パラキシレン生成物は回収区域260から導管266を通して抜き出される。パラキシレン生成物が枯渇している流は、パラキシレン回収区域から導管268を通して抜き出される。有利には、パラキシレン及び/又はメタキシレン生成物が枯渇している流の全部又は一部は化学転化区域250に送られる。
【0099】
非透過流よりも少なくともパラキシレンが枯渇している透過流は、膜デバイス230から導管234を通して抜き出され、ポンプ241によって交換器236及び導管238を通して、また導管244を通して一体化メタキシレン回収区域240に送られる。有利には、第1供給物流がC8芳香族化合物類の混合物を含み、透過流が少なくともメタキシレンに富む場合、回収操作は有利には選択収着を利用する。精製メタキシレン生成物はメタキシレン回収区域240から導管246を通して抜き出される。メタキシレン及びパラキシレン生成物の両者が枯渇している流は、メタキシレン回収区域から導管248を通して抜き出される。場合によっては、オルソキシレン及び/又はエチルベンゼンとの混合物中パラキシレンを含む流れは、メタキシレン回収区域240から導管242を通して抜き出され、一体化パラキシレン精製生成物回収区域260に送られてもよい。
【0100】
有利には、メタキシレン及び/又はパラキシレン生成物が枯渇している流れの全部又は一部もまた化学転化区域250に、例えば導管248aを通して送られる。流の少なくとも一部の化学転化は、一般に、異性体化反応を含み、こうして平衡混合物を確立する。水素などの別の反応体は区域250に導管252を通して供給されてもよく、過剰の反応体及び/又は副産物は区域250から導管254を通して抜き出される。転化生成物の少なくとも一部を含む流、例えば約8個の炭素原子を有する芳香族炭化水素類の平衡混合物は、区域250から導管256を通して抜き出される。転化生成物流が1以上の所望の化合物を豊富に含む場合、導管256を通して抜き出された流は、有利には導管256、導管256a及びマニフォールド218を通して膜デバイス230に送られる。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】図1は、パラキシレン含有量が豊富な透過流とメタキシレン含有量が豊富な非透過流とを提供する少なくとも1の高分子材料を含む選択透過性膜を用いて、選択透過が行われる本発明の実施形態を示す略図である。
【図2】図2は、メタキシレン含有量が豊富な透過流とパラキシレン含有量が豊富な非透過流とを提供する少なくとも1の高分子材料を含む選択透過性膜を用いて、選択透過が行われる本発明の実施形態を示す略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
他のC8芳香族化合物類との混合物中のメタキシレンを回収する方法であって、
(1-A)メタキシレン及び1種以上の他の芳香族化合物を含む流体混合物からの少なくとも1のC8芳香族化合物の選択透過により誘導された流である第1流体流及び第2流出流において、第2流出流よりもメタキシレン含有量が豊富な第1流体流を選択透過膜装置から抜き出す工程;
(1-B)選択透過膜装置から抜き出された第1流体流の全部又は一部をメタキシレン回収操作に分配して、第1流体流よりもメタキシレン含有量が豊富な精製生成物及びメタキシレンが枯渇している排出流を抽出する工程
を含む方法。
【請求項2】
前記流体混合物は、メタキシレン及び少なくとも1の他のキシレンの異性体、エチルベンゼン又はこれらの混合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記選択透過性膜装置は、少なくとも1の高分子材料を含む選択透過性膜を利用する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記選択透過性膜装置は、適切な駆動力差の下で少なくとも1のキシレンの異性体類又はエチルベンゼンに対して少なくとも0.1Barrerの透過性を示す複数の選択透過性膜を利用する請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記メタキシレン回収操作は、模擬移動吸着床向流系を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記メタキシレン回収操作は、交換可能なカチオンサイトにナトリウムを含有するY型ゼオライトを含む吸着剤と第1流体流とを吸着条件で接触させる工程と、第1流体流の残りの成分を実質的に排除するまでメタキシレンを選択的に吸着剤に吸着させ、こうして排出流を形成する工程と、その後、高純度メタキシレンを回収する工程とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記メタキシレン回収操作は、吸着されたメタキシレンを含む吸着剤をトルエン含有脱着剤で処理して、流体抽出流としてメタキシレンを吸着剤から除く工程を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記メタキシレン回収操作は、さらに、前記吸着条件が約20℃〜約250℃の範囲内の温度及び約大気圧〜約500psigの範囲内の圧力を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
排出流の少なくとも一部をエチルベンゼン接触転化プロセスに通過させて、キシレン類の平衡混合物を含む流を産出する工程をさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
排出流の少なくとも一部を接触キシレン異性化プロセスに通過させて、キシレン類の平衡混合物を含む流を産出する工程をさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記接触転化プロセスは、キシレン類の平衡混合物を含む異性体(isomerate)を製造するに充分な温度、圧力及び時間の条件下で、適切な異性化触媒と接触させることを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記異性化触媒は、元素周期表6b族及び8族の遷移元素からなる群から選択される金属を含む少なくとも1の成分を組み入れた酸性無機酸化物担体を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記流体混合物は、異性体(isomerate)の少なくとも一部を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記メタキシレン回収操作は、メタキシレンよりもパラキシレン及びオルソキシレンを効果的に吸着する能力を示す吸着剤と第1流体流とを吸着条件で接触させ、その後、高純度メタキシレンを回収する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記吸着剤は、メタキシレンよりもパラキシレン及びオルソキシレンを効果的に吸着する水素形態で利用されるBEA結晶構造を示すアルミノシリケートである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記メタキシレン回収操作は、
脱着剤を水素形態β型ゼオライトと接触させて、吸着されたパラキシレン及びオルソキシレンを吸着剤から流体抽出物として除く工程と、
キシレン群を脱着剤から分離する工程と、
分離されたキシレン群の全部又は一部をパラキシレン回収操作に分配して精製パラキシレン副産物及び排出流を抽出する工程と、
をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記脱着剤は、トルエン、ベンゼン及びこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
第1流体流は、水素形態β型ゼオライトによりメタキシレンよりも吸着されるエチルベンゼンをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
脱着剤を水素形態β型ゼオライトに接触させて、吸着されたパラキシレン、オルソキシレン及びエチルベンゼンを脱着する工程をさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記脱着剤は、トルエン、ベンゼン及びこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
排出流の少なくとも一部を接触エチルベンゼン転化プロセス及び/又はキシレン異性化プロセスに通過させて、排出流よりもパラキシレン含有量が豊富な流を産出する工程をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項22】
前記流体混合物は、改質生成物、水素処理生成物、トルエン不均化生成物、C6〜C10芳香族アルキル交換反応生成物及び/又はベンゼン及び/又はトルエンのメチル化生成物の1種以上を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記選択透過性膜装置は、(i)高分子材料及び(ii)組み入れられた少なくとも1のシクロデキストリンを含む複数の別個の成分を含む選択透過性膜を利用する、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記選択透過性膜装置は、(i)高分子材料及び(ii)組み入れられた少なくとも1の10環又は中孔径結晶アルミノシリケートを含む複数の別個の成分を含む選択透過性膜を利用する、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記選択透過性膜装置は、(i)高分子材料及び(ii)組み入れられたMFI結晶構造を示す少なくとも1のアルミノシリケートを含む複数の別個成分を含む選択透過性膜を利用する、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記選択透過性膜装置は、ポリアミド類、ポリイミド類、ポリ(アミド)イミド類、ポリアラミド類、ポリアリレート類、ポリトリアゾール類、ポリピロロン(polypyrrolone)、ポリウレタン及びこれらのコポリマーからなる群より選択される少なくとも1の高分子材料を含む選択透過性膜を利用する、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記選択透過性膜装置は、ポリアミド類、ポリイミド類及びポリ(アミド)イミド類からなる群より選択される少なくとも1の高分子材料を含む選択透過性膜を利用する、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
他のC8芳香族化合物類との流体混合物からメタキシレン及びパラキシレンを高純度副産物として回収する方法であって、
(28-A)キシレン及び1種以上の他の芳香族化合物の平衡混合物を含む流体混合物から少なくとも1のC8芳香族化合物の選択透過により誘導された流である第1流体流及び第2流出流において、第2流出流よりもメタキシレンの含有量が豊富な第1流体流を選択透過性膜装置から抜き出す工程;
(28-B)前記選択透過性膜装置から抜き出された第1流体流の全部又は一部をメタキシレン回収操作に分配して、第1流体流よりもメタキシレン含有量が豊富な精製生成物及びメタキシレンが枯渇している排出流を抽出する工程;及び
(28-B)前記選択透過性膜装置から抜き出された第2流出流の全部又は一部をパラキシレン回収操作に分配して、第1流体流よりもパラキシレン含有量が豊富な精製生成物及び排出流を抽出する工程
を含む方法。
【請求項29】
前記メタキシレン回収操作は、パラキシレン回収ユニットから排出流の全部又は一部をメタキシレン回収操作に分配して、メタキシレン含有量が豊富な精製生成物を抽出する工程をさらに含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
パラキシレン回収は、選択収着工程を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記選択収着工程は、少なくとも1の天然及び/又は合成結晶アルミノシリケートを利用する、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記選択収着工程はY型ゼオライトを利用する、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
選択収着工程は、X型ゼオライトを利用する、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
前記選択収着工程は、MFI結晶構造を示すアルミノシリケートを利用する、請求項30に記載の方法。
【請求項35】
前記パラキシレン回収は、分別晶析工程を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項36】
前記パラキシレン回収は、パラキシレンと8個の炭素原子を含む他の芳香族化合物類との流体混合物からの少なくともパラキシレンの選択収着をさらに含む、請求項35に記載方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−522125(P2007−522125A)
【公表日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−551033(P2006−551033)
【出願日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【国際出願番号】PCT/US2004/022514
【国際公開番号】WO2005/075389
【国際公開日】平成17年8月18日(2005.8.18)
【出願人】(503259381)ビーピー・コーポレーション・ノース・アメリカ・インコーポレーテッド (84)
【Fターム(参考)】