説明

還元排ガスの返送と、改質器のための燃焼ガスとして用いられる排ガス部分の炭素除去とを伴う、改質ガスに基づく還元方法

本発明は、高温還元ガスと接触させることによって、金属酸化物(3)を金属化材料に還元するための方法に関する。当該還元ガスは、少なくとも部分的に、二酸化炭素(CO)および/または水蒸気(HO)を含むガスと気体状炭化水素との混合物の触媒改質によって生成される。改質の際に行われる吸熱改質プロセスのための熱を供給するバーナー(8a、8b、8c)のための燃焼ガスは、少なくとも部分的に、金属酸化物(3)の金属化材料への還元の際に発生する炉頂ガスの部分量から得られる。当該炉頂ガスの部分量に関しては、燃焼ガスの成分として使用される前に、まず脱塵、次にCO変換反応が行われる。CO変換反応の際に得られる変換ガスに関しては、冷却後、COの除去が行われる。さらに、本発明は、当該方法を実施するための装置に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高温還元ガスと接触させることによって、金属酸化物を金属化材料に還元するための方法に関する。当該還元ガスは、少なくとも部分的に、二酸化炭素(CO)および/または水蒸気(HO)を含むガスと気体状炭化水素との混合物の触媒改質によって生成される。改質の際に行われる吸熱改質プロセスのための熱を供給するバーナーのための燃焼ガスは、少なくとも部分的に、金属酸化物の金属化材料への還元の際に発生する炉頂ガスの部分量から得られる。当該炉頂ガスの部分量に関しては、燃焼ガスの成分として使用される前に、まず脱塵が、次にCO変換反応が行われる。CO変換反応の際に得られる変換ガスに関しては、冷却後、COの除去が行われる。さらに、本発明は、当該方法を実施するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高温還元ガスと接触させることによって、金属酸化物を金属化材料に還元するための方法であって、当該還元ガスが、天然ガスと還元ユニットから取り出された炉頂ガスとの混合物の触媒改質によって生成され、改質の際に行われる吸熱改質プロセスのための熱を供給するバーナーのための燃焼ガスが、金属酸化物の金属化材料への還元の際に発生する炉頂ガスの部分量および天然ガスから得られる方法は、例えば特許文献1の図1に記載されている。環境関係の法規がますます厳しくなっているので、プロセス中に発生する排ガスから濃縮COフローを生成するためにCOを分離し、このようにして処理された排ガスを環境中に放出する前に、COフローを隔離することが望ましい。特許文献1に示されたような方法においては、改質器のための燃焼ガスは、酸素源としての空気と共に燃焼させられるので大量の窒素を含有している。それに対応して、燃焼排ガスからCOを除去するための後続の設備は、大きな寸法で設計しなければならない。加えて、燃焼排ガスからのCOの除去にとっては、概ね化学的吸収方法のみが考慮の対象となる。当該化学的吸収方法は、設備が大きいこと、および、例えば蒸気を通じて供給されるエネルギーを多く消費することを特徴とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2006/135984号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、燃焼排ガス中のCOを、より小さな設備で、したがってより低い消費で、かつ、他のCO除去方法を可能にする方法と、当該方法を実施するための装置とを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本課題は、高温還元ガスと接触させることによって、金属酸化物を金属化材料に還元するための方法であって、当該還元ガスは、少なくとも部分的に、二酸化炭素(CO)および/または水蒸気(HO)を含むガスと気体状炭化水素との混合物の触媒改質によって生成され、改質の際に行われる吸熱改質プロセスのための熱は、少なくとも部分的に、燃焼ガスの燃焼によって供給され、このとき発生する燃焼排ガスは排出され、当該燃焼ガスは、少なくとも部分的に、金属酸化物の金属化材料への還元の際に発生する炉頂ガスの部分量から得られる方法において、燃焼ガスが得られる炉頂ガスの部分量に関しては、まず脱塵が、次にCO変換反応が行われ、CO変換反応の際に得られる変換ガスに関しては、冷却後、COの除去が行われ、このとき生じる低CO変換ガスは、少なくとも燃焼ガスの成分として用いられることを特徴とする方法によって解決される。
【0006】
好ましくは、金属酸化物は酸化鉄である。さらに、Richardson-Jeffesダイアグラムに基づいて、ニッケル、銅、鉛、コバルトなどを還元することもできる。
【0007】
還元ガスは、少なくとも部分的に、二酸化炭素(CO)および/または水蒸気(HO)を含むガスと気体状炭化水素との混合物の触媒改質によって生成される。当該改質は、少なくとも部分的に、気体状炭化水素の、HOおよびCOによる、水素(H)および一酸化炭素(CO)への変換を通じて行われる。改質に必要な物質HOおよび/もしくはCOは、改質のための混合物に、それぞれ個別に、もしくは共に加えられるか、ならびに/または二酸化炭素COおよび/もしくは水蒸気HOを含むガス中に存在するHOおよび/もしくはCOが用いられる。好ましくは、当該混合物には、少なくともHOが水蒸気として加えられる。
【0008】
気体状炭化水素は、例えば天然ガス、メタン、プロパン、石炭ガス化からの合成ガス、またはコークス炉ガスなどであると理解される。気体状炭化水素という概念は、例えば純粋なプロパンなどのように、ただ1つの化合物が存在するという可能性と、例えばプロパンおよびメタンの混合物などのように、複数の化合物の混合物が存在するという可能性とを含んでいる。
【0009】
二酸化炭素COおよび/または水蒸気HOを含むガスは、例えば、本発明に係る金属酸化物の還元方法からの炉頂ガスである。このとき、炉頂ガスは、金属酸化物の金属化材料への還元が行われる還元ユニットから排出されるガスであると理解される。場合に応じて、当該ガスは改質の前に、例えば共に搬送された粉塵および/または水の分離によって洗浄される。
二酸化炭素COおよび/または水蒸気HOを含むガスは、例えば溶融還元法などの、金属酸化物のその他の還元方法からの送出ガス、または、例えばルルギ固定床ガス化炉もしくはシーメンス噴流床ガス化炉などの、石炭ガス化法からの合成ガスでもあり得る。好ましくは、当該ガスは、本発明に係る金属酸化物の還元方法からの炉頂ガスである。
【0010】
直接還元法からの炉頂ガスの一般的な組成を表1に示す。
【0011】
【表1】

【0012】
二酸化炭素COおよび/または水蒸気HOを含むガス中における、二酸化炭素COの量の下限は0Vol%、好ましくは5Vol%、より好ましくは15Vol%であり、上限は25Vol%、好ましくは30Vol%、より好ましくは40Vol%である。
【0013】
二酸化炭素COおよび/または水蒸気HOを含むガス中における、水蒸気HOの量の下限は0Vol%、好ましくは10Vol%であり、上限は20Vol%、好ましくは55Vol%である。
【0014】
触媒改質によって、還元成分として主にHとCOとを含む還元ガスが得られる。このような改質は吸熱反応であることが知られている。それゆえ、改質器には、例えば改質器に配設されているバーナーにおいて、燃焼ガスを酸素と燃焼させることによって、熱が供給される。当該酸素は、例えば空気の供給、その他の酸素を含むガス混合物の供給、または技術的に純粋な酸素の供給によって供給される。
【0015】
方法全体の効率を高めるために、燃焼ガスは少なくとも部分的に、金属酸化物の金属化材料への還元に際して発生する炉頂ガスの部分量から得られる。当該炉頂ガスは、COやHなどの、まだ燃焼可能な成分を有しており、当該成分は、改質器のバーナー内で、改質に必要な熱を生成するために用いられる。
【0016】
本発明によると、燃焼ガスが得られる炉頂ガスの部分量に関して、COシフト反応または水性ガスシフト反応とも呼ばれるCO変換反応が行われる。この知られている反応は、炉頂ガスに占めるCOの割合を低下させると同時に、Hの割合を増大させるために用いられる。同時に、COが生成される。
【0017】
【数1】

【0018】
本発明によると、CO変換反応の後、燃焼ガスとして利用される前に、CO除去設備において、含有されているCOおよびHOの冷却および除去が行われる。このとき、COはすでに燃焼前に効果的に分離される。対応して、燃焼排ガスからのCOの除去に必要な労力は削減され得る。
これらの措置によって、改質器のバーナーに、可燃成分として主に水素Hを含有する燃焼ガスが供給される。これは、燃焼によってバーナー内に生成されるCOがより少なくなるという利点を有する。なぜなら、燃焼の際にCOを生成するCO成分の燃焼ガスに占める割合が少ないからである。
【0019】
CO変換反応は、好ましくは高温変換法または粗ガス変換法に基づいて行われる。どちらの方法も、処理されるガスフロー内に存在する硫化水素(HS)に対して、高すぎる感受性を有さないからである。
CO変換反応は発熱性だが、等温に行っても良く、その場合、例えば蒸気の生成に用いられ得る。CO変換反応炉を動作させるために、CO変換法に応じて、入口温度が160℃〜450℃、高温CO変換法の場合は好ましくは300℃〜450℃に保たれる。CO変換反応の前に炉頂ガスを湿式洗浄する場合には、それに伴って湿式洗浄後に温度が低下するので、前記温度までの加熱を行わなければならない。炉頂ガスをCO変換反応の前に乾式脱塵する場合には、炉頂ガスの温度が、後続のCO変換反応に同様に用いられ得る。
【0020】
本発明によると、CO変換反応に引き続いて冷却が行われ、CO変換反応の際に得られる変換ガスのガスフローから、COとHOとが分離される。変換ガスのガスフローが含有する窒素の量は、燃焼排ガスとは反対にわずかであり、それに対応してCOは、燃焼排ガス中に存在するときよりも濃縮されて存在し、COの除去は燃焼の前に行われるので、COの除去が行われるガスの体積は、燃焼排ガスからCOを除去する場合よりも小さい。それに対応して、当該除去に要する労力はより少ない。
【0021】
COは燃焼ガスの発熱量には何ら寄与しない。それゆえ、燃焼ガス内の、金属酸化物の還元後にすでにCOを含有している炉頂ガスを利用するための従来の方法においては、燃焼ガスの発熱量を、改質器内で必要な火炎温度に達するために必要な程度まで増大させるためには、天然ガスなどの気体状炭化水素を添加することがしばしば必要である。本発明においては、COは燃焼から遠ざけられており、それに伴って、燃焼ガスの発熱量は増大しているので、一般的に、気体状炭化水素の添加は省略される。自明のことながら、気体状炭化水素を必要に応じて添加しても良い。
【0022】
このような添加は、燃焼ガスを生成するための低CO変換ガスに気体状炭化水素を添加することで行われる。燃焼ガスとして利用される前に、当該低CO変換ガスに何も添加されない場合、当該低CO変換ガスが燃焼ガスである。低CO変換ガスに気体状炭化水素などが添加される場合、当該低CO変換ガスは燃焼ガスの一成分である。
【0023】
本発明のさらなる利点は、燃焼排ガスが、場合に応じて行われる水の分離の後、特にシールガスとして利用可能である点にある。シールガスと呼ばれるのは、プロセスガスが流出しないように密閉するための、および、材料上に不活性雰囲気を供給するための、可燃性ではない不活性ガスである。いわゆるシールガスは、例えば原料を装入する際、および、還元シャフトの吐出、または高温コンベヤにおいて用いられる。本発明に係る方法において、場合に応じて行われる燃焼排ガスからの水の分離の後に得られるガスは、主要成分として窒素を含有しており、COをほとんど含有していない。それとは対照的に、特許文献1の図1に示された方法において発生する燃焼排ガスは、18Vol%〜20Vol%のCOを含有しており、当該燃焼排ガスは、例えば還元シャフトのシャフト吐出において、または高温コンベヤにおいて、高温DRI(直接還元鉄)などの還元方法の生成物と接触した場合、再酸化およびその結果として生成物の劣化をもたらし得る。このような危険は、本発明によって発生する燃焼排ガスをシールガスとして利用する場合には生じない。
【0024】
発生する変換ガスの温度は高いので、本発明に係る方法においては、COの除去に必要な温度、好ましくは30℃〜60℃に達するためには、変換ガスをCOの除去の前に冷却することが必要である。好ましくは、変換反応に際してもたらされるが変換は行われない水蒸気も、凝縮によって変換ガスから取り除かれる。
【0025】
さらに必要とされるのは、燃焼ガスが得られる炉頂ガスの部分量を、CO変換反応の前に脱塵し、堆積に起因する整備費用を低く抑えるとともに、設備の構成要素の破損を少なく抑えること、高い利用可能性を保証すること、および、環境中に放出されるガスの、粉塵の含有量に関する環境法規を遵守すること、である。脱塵は湿式でも乾式でも良い。乾式脱塵の利点は、熱容量を、CO変換反応の実施に必要な温度のために利用できることにある。炉頂ガスが還元ユニットから流出するときの温度は、一般的には250℃〜500℃の範囲にある。後続のステップのために温度を最適化するためには、冷却、加熱、または水の蒸発などによって、温度を調整することが必要である。有利には、熱容量は、CO変換反応の実施に必要とされる蒸気を生成するために利用される。また、CO変換反応の実施に必要とされる蒸気を、本発明に係る方法のその他の段階で得ることも有利である。
【0026】
湿式脱塵の場合、CO変換反応に必要なガスフロー温度を保証するためには、CO変換反応を実施する前に、必要に応じて、炉頂ガスフローの加熱を行わなければならない。
【0027】
脱塵については、炉頂ガス全体を脱塵し、その後、燃焼ガスを得るために部分量を取り分けても良いし、または、燃焼ガスを得るために部分量を取り分けた後に脱塵を行っても良い。
【0028】
COの除去に際して発生するCOは、例えば圧縮、凝縮、および/または隔離され、それによって、環境雰囲気に放出される当該方法のCO排出量は減少する。
【0029】
本発明のさらなる対象は、
金属酸化物を金属化材料に還元するための還元ユニットと、
二酸化炭素(CO)および/または水蒸気(HO)を含むガスと気体状炭化水素との混合物の触媒改質を実施するための改質器であって、前記改質器には、混合物を供給するための混合物供給管が設けられているとともに、前記改質器には、燃焼ガスの燃焼によって熱を供給するための、酸素供給管に接続されたバーナーが設けられている改質器と、
燃焼排ガスを前記改質器から排出するための排出管と、
高温還元ガスを前記改質器から前記還元ユニットに供給するための還元ガス供給管と、
炉頂ガスを前記還元ユニットから吐出すための吐出管と、を有する本発明に係る方法を実施するための装置であって、
前記バーナーは、前記吐出管から分岐する接続管を介して、前記吐出管と接続されており、
少なくとも、還元ユニットと吐出管から分岐する接続管との間の前記吐出管内、または、前記接続管内には、脱塵装置が存在している装置において、
場合によっては存在する脱塵装置とバーナーとの間の接続管には、吐出管から見て連続して、CO変換反応炉、ガス冷却装置、およびCO除去装置が存在していることを特徴とする装置である。
【0030】
気体状炭化水素は、一般的には、天然ガス、メタン、プロパンである。
【0031】
一実施形態によると、気体状炭化水素のための炭化水素供給管は、接続管に合流している。それによって、必要に応じて、気体状炭化水素の添加が行われ、燃焼ガスの所望される発熱量が維持される。
【0032】
このとき、気体状炭化水素のための炭化水素供給管は、吐出管から見て、CO除去装置の下流で、接続管に合流している。
【0033】
一実施形態によると、脱塵装置は、サイクロン、高温ガスフィルタ、バッグフィルタなどの乾式脱塵装置である。
【0034】
その他の一実施形態によると、脱塵装置は湿式脱塵装置である。
【0035】
1つより多くの脱塵装置を用いても良い。これらの脱塵装置は、例えば還元ユニットと吐出管から分岐する接続管との間の吐出管、および、接続管に配置しても良い。このとき、一実施形態によると、例えば1つの湿式脱塵装置が、還元ユニットと吐出管から分岐する接続管との間の吐出管に配置され、1つの乾式脱塵装置が接続管に配置されている。
【0036】
このとき、好ましくは、湿式脱塵装置とCO変換反応炉との間で、ガス加熱装置が接続管内に存在している。
【0037】
以下に、本発明を複数の概略図を用いて、より詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】湿式脱塵装置を1つ備えた本発明に係る装置を示す図である。
【図2】湿式脱塵装置と乾式脱塵装置とを組み合わせた本発明に係る装置を示す図である。
【図3】純粋な乾式脱塵装置と炉頂ガスの冷却装置とを有する本発明に係る装置を示す図である。
【図4】図2に対応する方法であって、二酸化炭素(CO)および/または水蒸気(HO)を含むガスが、図2とは異なる源から発生する方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1においては、還元ユニット1、ここでは固定床還元シャフトに酸化物添加装置2を通じて、金属酸化物3、この場合は酸化鉄が、ペレットまたは塊鉱などとして加えられる。吐出管5を通じて、還元ユニット内で金属酸化物を金属化材料に還元する際、還元ガスから発生する炉頂ガスが、還元ユニットから吐出される。吐出管5内にはコンプレッサ17a、17bが存在しており、それによって、設備内で生じる圧力の低下が解決される。炉頂ガスと気体状炭化水素との混合物を触媒改質するための改質器4内には、混合物供給管6を通じて、炉頂ガスと気体状炭化水素、この場合は天然ガスとの混合物が供給される。このとき、天然ガスは天然ガス供給管7を通じて供給される。改質器4には、改質に必要な熱を、燃焼ガスの燃焼によって供給するためのバーナー8a、8b、8cが設けられている。改質器4内に生成された高温還元ガスは、還元ガス供給管9を通じて、還元ユニット1に供給される。改質器内での燃焼ガスの燃焼に際して発生する燃焼排ガスを排出するための排出管10を通じて、燃焼排ガスが改質器から排出される。このとき、燃焼排ガスは改質器4から流出する。排出管10は、燃焼排ガスを冷却し、燃焼排ガスから水を除去するための装置11を含んでいる。同一の装置において、冷却と水の除去とが行われる。排出管10は煙突につながっており、煙突を通じて燃焼排ガスは環境中に放出される。
【0040】
装置11、または炉頂ガスもしくはCO変換後の変換ガスからのさらなるプロセス廃熱によって、CO変換に利用できる蒸気も生成可能である。バーナー8a、8b、8cには、吐出管5から分岐した接続管12によって表される、燃焼ガスを供給するための装置が設けられている。接続管12を通じて、バーナー8a、8b、8cに燃焼ガスが供給される。酸素を供給するための酸素供給管13を通じて、この場合は空気の供給によって、バーナー8a、8b、8cに、燃焼ガスの燃焼に必要な酸素が供給される。空気は、送風機14によって酸素供給管内に供給される。
【0041】
排出管10内には、酸素供給管13に誘導された空気を加熱するための装置、この場合は、酸素供給管13内の空気と排出管10内の燃焼排ガスとの間における間接的な熱交換のための復熱装置15が存在する。
さらに、排出管10内には、混合物供給管6内の炉頂ガスおよび気体状炭化水素の混合物を加熱するための装置、この場合は、混合物供給管6内の炉頂ガスおよび気体状炭化水素の混合物と、排出管10内の燃焼排ガスとの間における間接的な熱交換のための復熱装置16が存在する。
吐出管5内には、還元ユニット1と接続管12の分岐点との間に、脱塵装置18、この場合は湿式脱塵装置が存在する。
接続管12内には、吐出管5からの分岐点から見て連続して、ガス加熱装置19、この場合は間接的熱交換のための復熱装置、CO変換反応炉20、ガス冷却装置21、およびCO除去装置22が存在する。
このとき、吐出管5からの分岐点から見て、CO変換反応炉20の上流において、蒸気供給管23は接続管12に合流している。CO変換反応炉20からの生成された蒸気の排出は、当該CO変換反応炉から出発する点線矢印によって示されている。ガス冷却装置21からの凝縮物の排出は、当該ガス冷却装置から出発する矢印によって示されている。CO除去装置22からの高COガスフローの排出は、当該CO除去装置から出発する点線矢印によって示されている。高COガスフローは、例えば隔離され得る。
【0042】
吐出管から見て、CO除去装置22の下流において、気体状炭化水素のための炭化水素供給管24は、接続管12に合流している。
【0043】
還元ユニット1において還元された金属酸化物3は、矢印が示すように、還元ユニット1から取り出される。還元の際に発生する炉頂ガスは、吐出管5を通じて、還元ユニットから排出される。脱塵装置5における脱塵の後、接続管12内の炉頂ガスの部分量は、バーナー8a、8b、8cに誘導される。当該炉頂ガスは、まずガス加熱装置19内で、CO変換反応炉20の機能に必要な温度まで加熱され、蒸気供給管23を通じて蒸気が供給された後、当該炉頂ガスについて、CO変換反応炉20内でCO変換反応が行われる。このとき得られる変換ガスと呼ばれる生成物は、ガス冷却装置21内で冷却され、当該生成物から、共に搬送されてきた蒸気が凝縮によって取り除かれた後、CO除去装置22内でCOが取り除かれる。当該ステップにおける低CO生成物は、低CO変換ガスと呼ばれ、炭化水素供給管24を通じて気体状炭化水素を添加した後、バーナー8a、8b、8c内で燃焼ガスとして用いられる。燃焼に必要な酸素は、酸素供給管13を通じて、送風機14によって圧縮された空気の形態で供給される。改質器4内では、炉頂ガスと気体状炭化水素との混合物の改質によって、高温の還元ガスが生成され、還元ガス供給管9を通じて、還元ユニットに供給される。
【0044】
図2は図1に類似した装置を示している。図1の装置との差異は、脱塵装置18とガス加熱装置19とが存在しないという点にある。その代わりに、吐出管5内には、還元ユニット1から見て、接続管12の分岐点の下流において、湿式脱塵装置として構成された脱塵装置25が存在しており、接続管12内には、接続管12の吐出管5からの分岐点とCO変換反応炉20との間に、乾式脱塵装置として構成された脱塵装置26が存在している。脱塵装置26内では温度低下が生じないので、CO変換反応炉に必要な温度を保証するためのガス加熱装置19は不要である。見易さを考えて、図2において図1に対して付加された装置部材のみに参照符号を付している。
【0045】
図3は図1に類似した装置を示している。図1の装置との差異は、脱塵装置18とガス加熱装置19とが存在しないという点にある。その代わりに、吐出管5内には、還元ユニット1から見て、接続管12の分岐点の上流において、乾式脱塵装置として構成された脱塵装置27が存在しており、吐出管5内には、還元ユニット1から見て、接続管12の分岐点の下流において、炉頂ガスを冷却するための装置が存在している。当該装置は、復熱器として構成された冷却要素28と、冷却水29によって動作するガス冷却器30とを有している。脱塵装置27内では温度低下が生じないので、CO変換反応炉に必要な温度を保証するためのガス加熱装置19は不要である。見易さを考えて、図3において図1に対して付加された装置部材のみに参照符号を付している。
【0046】
図4は図2に類似した装置を示しているが、二酸化炭素(CO)および/または水蒸気(HO)を含むガスとして、炉頂ガスではなく、40Vol%までの二酸化炭素と55Vol%までの水蒸気とを用いた石炭ガス化法からの合成ガスが用いられる点が異なっている。この図示されていない石炭ガス化法からの合成ガスは、混合物供給管6に合流する合成ガス供給管31を通じて、混合物供給管6に導入される。このとき、混合物供給管6内で生成される合成ガスと天然ガスとの混合物は、改質器4内で改質される。見易さを考えて、図4において図2に対して付加された装置部材ならびに天然ガス供給管7のみに参照符号を付している。
【符号の説明】
【0047】
1 還元ユニット
2 酸化物添加装置
3 金属酸化物
4 改質器
5 吐出管
6 混合物供給管
7 天然ガス供給管
8a、8b、8c バーナー
9 還元ガス供給管
10 排出管
11 冷却/HO除去装置
12 接続管
13 酸素供給管
14 コンプレッサ
15 復熱装置
16 復熱装置
17a、17b コンプレッサ
18 脱塵装置
19 ガス加熱装置
20 CO変換反応炉
21 ガス冷却装置
22 CO除去装置
23 蒸気供給管
24 天然ガス供給管
25 脱塵装置
26 脱塵装置
27 脱塵装置
28 冷却要素
29 冷却水
30 ガス冷却器
31 合成ガス供給管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高温還元ガスと接触させることによって、金属酸化物を金属化材料に還元するための方法であって、前記還元ガスは、少なくとも部分的に、二酸化炭素(CO)および/または水蒸気(HO)を含むガスと気体状炭化水素との混合物の触媒改質によって生成され、前記改質の際に行われる吸熱改質プロセスのための熱は、少なくとも部分的に、燃焼ガスの燃焼によって供給され、このとき発生する燃焼排ガスは排出され、前記燃焼ガスは、少なくとも部分的に、金属酸化物の金属化材料への還元の際に発生する炉頂ガスの部分量から得られる方法において、
前記燃焼ガスが得られる炉頂ガスの部分量に関しては、まず脱塵が、次にCO変換反応が行われ、前記CO変換反応の際に得られる変換ガスに関しては、冷却後、COの除去が行われ、このとき生じる低CO変換ガスは、少なくとも前記燃焼ガスの成分として用いられることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記二酸化炭素(CO)および/または水蒸気(HO)を含むガスは、金属酸化物の還元方法からの炉頂ガスであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記二酸化炭素(CO)および/または水蒸気(HO)を含むガスは、溶融還元法からの送出ガス、または、石炭ガス化法からの合成ガスであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記低CO変換ガスには、燃焼ガスを得るために、気体状炭化水素が添加されることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記脱塵は乾式に行われることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記脱塵は湿式に行われることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
金属酸化物(3)を金属化材料に還元するための還元ユニット(1)と、
二酸化炭素(CO)および/または水蒸気(HO)を含むガスと気体状炭化水素との混合物の触媒改質を実施するための改質器(4)であって、前記改質器(4)には、混合物を供給するための混合物供給管(6)が設けられているとともに、前記改質器には、燃焼ガスの燃焼によって熱を供給するための、酸素供給管(13)に接続されたバーナー(8a、8b、8c)が設けられている改質器と、
燃焼排ガスを前記改質器(4)から排出するための排出管(10)と、
高温還元ガスを前記改質器(4)から前記還元ユニット(1)に供給するための還元ガス供給管(9)と、
炉頂ガスを前記還元ユニット(1)から吐出すための吐出管(5)とを有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法を実施するための装置であって、
前記バーナー(8a、8b、8c)は、前記吐出管(5)から分岐する接続管(12)を介して、前記吐出管(5)と接続されており、
少なくとも、還元ユニット(1)と前記吐出管から分岐する前記接続管(12)との間の前記吐出管(5)内、または、前記接続管(12)内には、脱塵装置(18)が存在している装置において、
場合によっては存在する前記脱塵装置(18)と前記バーナー(8a、8b、8c)との間の前記接続管(12)には、前記吐出管(5)から見て連続して、CO変換反応炉(20)、ガス冷却装置(21)、およびCO除去装置(22)が存在していることを特徴とする装置。
【請求項8】
気体状炭化水素のための炭化水素供給管(24)は、前記接続管(12)に合流していることを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
気体状炭化水素のための前記炭化水素供給管(24)は、前記吐出管(5)から見て、前記CO除去装置(22)の下流において、前記接続管(12)に合流していることを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記脱塵装置(18)は、乾式脱塵装置であることを特徴とする請求項7から9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記脱塵装置(18)は、湿式脱塵装置であることを特徴とする請求項7から9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記湿式脱塵装置と前記CO変換反応炉(20)との間では、前記接続管内にガス加熱装置(19)が存在していることを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記還元ユニット(1)は流動床カスケードであることを特徴とする請求項7から12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記還元ユニット(1)は固定床還元シャフトであることを特徴とする請求項7から12のいずれか一項に記載の装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2013−501137(P2013−501137A)
【公表日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−522087(P2012−522087)
【出願日】平成22年7月14日(2010.7.14)
【国際出願番号】PCT/EP2010/060130
【国際公開番号】WO2011/012448
【国際公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(595031362)シーメンス・ファオアーイー・メタルズ・テクノロジーズ・ゲーエムベーハー (23)
【Fターム(参考)】