説明

部分グリセリドとペンタエリスリトールエステルに基づくワックス混合物

本発明は、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトールの少なくとも1つのエステルまたは前記エステルの混合物を成分(a)として、および少なくとも1つの部分グリセリドを成分(b)として含み、(a)対(b)の比が1:3〜3:1である、無水ワックス混合物に関する。本発明はまた、場合により、10より大きいHLB値を有するアニオン性または非イオン性乳化剤の群から選択される少なくとも1つの乳化剤(c)に加えて、本発明のワックス混合物を含有する自己乳化型基剤に関する。本発明はさらに、化粧品工業における前記ワックス混合物または自己乳化型基剤の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部分グリセリドと、ペンタエリスリトールまたはペンタエリスリトールのオリゴマーのエステルとのワックス混合物、および前記ワックス混合物に基づく自己乳化型混合物に関する。本発明はまた、前記自己乳化型混合物に基づく組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ワックスベースの製剤は、当業者には長く知られており、特に、例えば坐薬、スティック形またはクリームおよびローション状の様々な化粧品組成物のような化粧品および医薬製剤や、コート紙および織物等に使用される。数多くのワックス様物質およびそのような物質の混合物が、この目的のために当業者に使用可能である。これらの中には、例えば、最終製剤の感覚プロフィールに決定的な影響を及ぼすグリセリドおよび脂肪アルコールが含まれる。すなわち、グリセリドは皮膚にしばしば油を塗ったような/脂っぽい感覚を残す。脂肪アルコールは、白色残留物の形成を来たし、これは、使用者にとって大きな難点となる。加えて、脂肪アルコールはしばしば保存中に粘度の著しい上昇を来たす。
【0003】
ワックスおよびワックスの組合せはまた、特に、化粧品製剤の稠度および粘度に好都合な影響を与えるために使用される。化粧品エマルション、特に水中油型(o/w)エマルションの粘度は、一般にいわゆる親水性ワックスで調整される。これらは、30℃より高い融点を有し、水と相互作用(水素架橋結合による水和物形成)することができ、それ故いわゆるラメラ相の形成を通してo/wエマルションにおける粘度の増強に大きく寄与する遊離OH基を分子内に含む物質、または複数の物質の混合物である。粘度は相の安定性に影響を及ぼすだけでなく、重要な感覚パラメータ、特にクッション性、分布状態およびピーキングにも明らかなプラス作用を及ぼす。化粧品化学者は、感覚的印象および粘度に関してエマルションを相互に的確に適合させるために、そのようなワックスを利用している。ラメラ相の不利な点は、老化に対して耐久性がないので、時間の経過と共に粘度が低下または上昇することがあり、最終的に感覚的印象が影響を受けることがある点である。安定な粘度を得るという問題に対する解決法は、ドイツ特許第DE 31 31 006 A1号に開示されており、部分グリセリド、脂肪アルコール、ワックスエステルおよびトリグリセリドのバランスを綿密に整えたワックス配合剤を使用しているが、この解決策は、該公報に述べられているように、あらかじめ定められた量比がわずかでも変化すると必ず失敗してしまう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、使用する乳化剤の構造および使用する皮膚軟化剤の極性に関わりなく、広範囲の混合比でo/wエマルションの持続的に安定な粘度を保証する既知の親水性ワックスの組合せを提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
今、驚くべきことに、この問題が部分グリセリドと組み合わせたペンタエリスリトールまたはそのオリゴマーのエステルに基づく特定ワックス混合物によって解決できることが見出された。
【0006】
従って、本発明は、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトールの少なくとも1つのエステルまたはこれらのエステルの混合物を成分(a)として、および少なくとも1つの部分グリセリドを成分(b)として含み、(a)対(b)の重量比が1:3〜3:1である無水ワックス混合物に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明に関する無水ワックス混合物は、2wt%未満の水、好ましくは1wt%未満の水、より好ましくは0.5wt%未満の水、最も好ましくは0.1wt%未満の水を含むワックス混合物である。ワックス混合物は通常、使用する原料から取り込まれる水の残留物だけを含む。
【0008】
意外にも、本発明によるワックス混合物を含むo/wエマルションは、数週間にわたって「安定な」粘度を有するだけでなく、エマルションの粘度自体も、同じ量の単一ワックス成分を用いて得られる粘度より有意に高いことが認められた。加えて、本発明によるワックス混合物に基づくエマルション中の粘度の増強は、使用する油の極性とは無関係であり、それ故使用する乳化剤の構造とも無関係である。本発明によるワックス混合物は、化粧品化学者が、感覚特性が時間との相関関係による粘度変化によって不都合な影響を受ける危険性を伴わずに、感覚的印象と粘度との間の的確なバランスを達成することを可能にする。
【0009】
成分(a)
本発明によれば、好ましいワックス混合物は、成分(a)が、低くとも30℃の融点を有する、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトールのC6-22脂肪酸エステルまたはこれらのエステルの混合物から成る群から選択されることを特徴とする。
【0010】
前記エステルは、単一種の脂肪酸アシル基または様々な脂肪酸アシル基の混合物を含み得る;脂肪酸は、分岐または非分岐および/または飽和または不飽和のいずれでもよい。飽和非分岐脂肪酸を多量に含む脂肪酸/脂肪酸混合物、特に植物性原料源から生じるものが、エステル化のために好ましく使用される。本発明によれば、C14-24脂肪酸、特にC14-20脂肪酸が好ましい。これらは、例えばミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、メリシン酸、エルカ酸、エレオステアリン酸、および例えば12−ヒドロキシステアリン酸などの置換脂肪酸を含む。
【0011】
ワックス混合物の別の好ましい実施形態は、成分(a)が、百分率含量で(i)5〜35wt%のモノエステル、(ii)20〜50wt%のジエステルおよび(iii)25〜50wt%のトリエステル、および場合によりテトラエステルを含有するペンタエリスリトールのエステルの群から選択されることを特徴とする。(a)10〜25wt%のモノエステル、(b)25〜40wt%のジエステルおよび(c)30〜45wt%のトリエステル、および場合によりテトラエステルを含有することが好ましく、(a)12〜19wt%のモノエステル、(b)25〜35wt%のジエステル、(c)30〜40wt%のトリエステル、および(d)6〜11wt%のテトラエステルを含有することが特に最も好ましい。ワックス混合物の特に最も好ましい実施形態には、0.3wt%未満のC17脂肪アシル基をエステル成分(a)として含む、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールまたはトリペンタエリスリトールのエステルが含まれる。
【0012】
ワックス混合物の別の好ましい実施形態は、エステル成分(a)が、40〜50wt%のC16脂肪酸および45〜55wt%のC18脂肪酸を含む脂肪酸混合物とのエステル化によって得られることを特徴とする。脂肪酸混合物の残部は、比較的短鎖(≦C14)と比較的長鎖(>C18)の脂肪酸で構成される。C16/C18脂肪酸の重量比が約0.7〜0.9であるペンタエリスリトールおよびジペンタエリスリトールのエステルは、感覚特性の見地から卓越している。本発明によれば、特に適するエステルは、42〜48wt%のC16脂肪酸および50〜56wt%のC18脂肪酸を含む脂肪酸混合物(残分≦C14脂肪酸および>C18脂肪酸)とペンタエリスリトールとの反応によって得られるペンタエリスリトールのエステルであり、以下のエステル分布:(a)12〜19wt%のモノエステル、(b)25〜35wt%のジエステル、(c)30〜40wt%のトリエステル、および(d)6〜11wt%のテトラエステル、を有する。通常は、ペンタエリスリトール1モル当り1.8〜2.2モル、好ましくは1.9〜2.1モルの脂肪酸混合物をエステル化のために使用する。
【0013】
C16/C18脂肪酸のペンタエリスリトールエステルは、例えば、ペンタエリスリトール1モル当り1.8〜2.2モル、好ましくは1.9〜2.1モルの、40〜50wt%のC16脂肪酸と45〜55wt%のC18脂肪酸とを含む脂肪酸混合物またはこれに相当する脂肪酸分布を有する原料混合物を使用して、以下の工程によって生産することができる:(a)エステル化を、溶媒の不存在下に不活性ガス雰囲気中で、180℃〜250℃の温度で実施し、(b)形成される水を留去して、(c)得られた反応混合物を、<1の酸価および145〜158のOH価を有するまで真空中で攪拌し、(d)未反応ペンタエリスリトールを濾取し、(e)場合により過酸化水素による後処理を実施する。酸価およびOH価をモニタし、調整する方法は当業者には周知であるので、ここで詳細に論じる必要はない。
【0014】
成分(b)
ワックス混合物の好ましい実施形態は、部分グリセリド(b)が、C12-24脂肪酸とグリセロールまたはオリゴグリセロールとのエステル化生成物、またはこれらのエステル化生成物の混合物から成る群から選択されることを特徴とする。本発明に関するオリゴグリセロールは、2〜12個のグリセロール単位を含むグリセロールのオリゴマーである。
【0015】
エステル化に適する脂肪酸は、例えばミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、メリシン酸、エルカ酸、エレオステアリン酸、および例えば12−ヒドロキシステアリン酸などの置換脂肪酸を含むが、このリストは純粋に例示の非限定的なものである。本発明の好ましい実施形態は、非分岐飽和脂肪酸を高い百分率含量で含有する脂肪酸/脂肪酸混合物を使用することを特徴とする。
【0016】
部分グリセリド(b)は、好ましくは30〜65wt%のモノグリセリド含量および25〜45wt%のジグリセリド含量を有するグリセロールのパルミチン酸および/またはステアリン酸エステルである。少なくとも30wt%のモノグリセリド含量により、粘度の増強が特に有効に保証され、最終化粧品製剤において、持続的安定性が顕著に改善される。加えて、モノグリセリドが上限の65wt%に達するまでは、晶出の危険性はかなり小さい。
【0017】
部分グリセリド(b)は、好ましくは1:3〜3:1の重量比のパルミチン酸およびステアリン酸の脂肪酸混合物とグリセロールとの反応によって得られる。
【0018】
本発明に従って好適に使用できる部分グリセリドには、例えばCognis Deutschland GmbH & Co. KGによって市販されているCutina(登録商標)MD(モノグリセリド含量30〜45wt%/ジグリセリド含量35〜45wt%)、Cutina(登録商標)GMS(モノグリセリド含量40〜55wt%/ジグリセリド含量30〜45wt%)およびMonomuls 60-35(モノグリセリド含量55〜65wt%/ジグリセリド含量25〜45wt%)が含まれる。
【0019】
混合エステルおよびモノ、ジおよびトリグリセリドの混合物は、結晶化する傾向が比較的低く、それ故本発明による組成物の性能を改善するので、本発明の目的に特に適する。加えて、それらは広範囲の極性の油とかなり良好な適合性を示す。
【0020】
化粧品または医薬組成物の処方において、本発明によるワックス混合物は通常、油性成分、水および乳化剤と共に加工される。実用性の観点から、必要量の乳化剤を既に含有する本発明によるワックス混合物に基づく自己乳化型基剤を提供することは特に有益である。
【0021】
自己乳化型基剤
従って、本発明は、請求項1〜7のいずれかに記載のワックス混合物、およびそれに加えて、10より大きいHLB値を有するアニオン性または非イオン性乳化剤の群から選択される少なくとも1つの乳化剤(c)を含む自己乳化型基剤に関する。本発明に関して、「乳化剤」と「界面活性剤」という用語の間に相違はない。
【0022】
乳化剤(c)
上述したように、乳化剤の構造は特に重要ではない。市販されている乳化剤のHLB値の詳細なリストは当業者に公知であり、例えばFiedler, Lexikon der Hilfsstoffe fuer Pharmazie, Kosmetik und angrenzende Gebiete, Vol. 9, 1971, 265270頁; Kirk-Othmer(3rd Edition)Vol. 8, 909-918頁、およびJanistyn(3rd Edition), Vol. 1, 470頁; およびVol. 3, 68-78頁に見出すことができる。そこに列挙されている10より大きいHLB値を有するアニオン性および非イオン性乳化剤は、本開示の一部をなすことが意図されている。乳化剤は、活性物質としてまたは水溶液の形態で使用し得る。本発明に従って使用し得るアニオン性乳化剤/界面活性剤の例は、石けん、アルキルベンゼンスルホネート、アルカンスルホネート、オレフィンスルホネート、アルキルエーテルスルホネート、グリセロールエーテルスルホネート、α−メチルエステルスルホネート、スルホ脂肪酸、アルキルスルフェート、脂肪アルコールエーテルスルフェート、グリセロールエーテルスルフェート、脂肪酸エーテルスルフェート、ヒドロキシ混合エーテルスルフェート、モノグリセリド(エーテル)スルフェート、脂肪酸アミド(エーテル)スルフェート、モノおよびジアルキルスルホスクシネート、モノおよびジアルキルスルホスクシンアマート、スルホトリグリセリド、アミド石けん、エーテルカルボン酸およびその塩、脂肪酸イセチオネート、脂肪酸サルコシネート、脂肪酸タウリド、例えばアシルラクチレート、アシルタータレート、アシルグルタメートおよびアシルアスパルテートなどのN−アシルアミノ酸、アルキルオリゴグルコシドスルフェート、タンパク質脂肪酸縮合物(特にコムギベースの植物性生成物)およびアルキルホスフェートおよびアルキルエーテルホスフェートである。アニオン性界面活性剤がポリグリコールエーテル鎖を含む場合、それらは通常の同族体分布を有し得るが、狭い範囲の同族体分布を有することが好ましい。
【0023】
>10のHLB値を有する特に適切な非イオン性乳化剤/界面活性剤の群は、
(1)直鎖および分岐C8-40脂肪アルコール、直鎖および分岐C12-40脂肪酸、およびアルキル基内に8〜15個の炭素原子を有するアルキルフェノールへのエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドの付加生成物;
(2)グリセロールへのエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドの付加生成物のC12/18脂肪酸モノおよびジエステル;
(3)飽和および不飽和C6-22脂肪酸とそのエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシド付加生成物のグリセロールモノおよびジエステル、およびソルビタンモノおよびジエステル;
(4)アルキル鎖内に8〜22個の炭素原子を有するアルキルモノおよびオリゴグリコシド、およびそのエトキシル化類似体;
(5)ヒマシ油および/または硬化ヒマシ油へのエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドの付加生成物
から選択される対応化合物を含む。
【0024】
少なくとも10のHLB値を有する非イオン性乳化剤/界面活性剤の個々の例(Kirk-Othmer参照)は、POE(5)モノオレイン酸ソルビタン(POE=ポリオキシエチレン)、POE(40)ヘキサオレイン酸ソルビトール、PEG400ジラウレート、POE(5)ノニルフェノール(エーテル)、POE(20)トリステアリン酸ソルビタン、POP/POE縮合物、POE(6)ノニルフェノール(エーテル)、POE(20)ラノリン(エーテルおよびエステル)、POE(20)トリオレイン酸ソルビタン、POE(8)ステアリン酸(モノエステル)、POE(50)ヘキサオレイン酸ソルビトール、POE(6)トリデシルアルコール(エーテル)、PEG400モノステアレート、POE(8)ノニルフェノール(エーテル)、POE(10)ステアリルアルコール(エーテル)、POE(8)トリデシルアルコール(エーテル)、POE(8)ラウリン酸(モノエステル)、POE(10)セチルアルコール(エーテル)、アセチル化POE(10)ラノリン、POE(20)モノステアリン酸グリセロール、PEG400モノラウレート、POE(16)ラノリンアルコール(エーテル)、POE(4)モノラウリン酸ソルビタン、POE(10)ノニルフェノール(エーテル)、POE(15)長油性脂肪酸(エステル)、POE(10)オクチルフェノール(エーテル)、PEG600モノステアレート、第三級アミン:POE脂肪族アミン;POE(24)コレステロール、POE(14)ノニルフェノール(エーテル)、POE(12)ラウリルアルコール、POE(20)モノステアリン酸ソルビタン、モノラウリン酸スクロース、POE(20)モノオレイン酸ソルビタン、アセチル化POE(9)ラノリン、POE(20)ステアリルアルコール、POE(20)オレイルアルコール(エーテル)、PEG1000モノオレエート、POE(20)獣脂アミン、POE(20)モノパルミチン酸ソルビタン、POE(20)セチルアルコール(エーテル)、POE(25)モノステアリン酸プロピレングリコール、POE(20)ノニルフェノール(エーテル)、PEG(1000)モノラウレート、POE(20)モノラウリン酸ソルビタン、POE(23)ラウリルアルコール(エーテル)、POE(40)ステアリン酸(モノエステル)、POE(50)ラノリン(エーテルおよびエステル)、POE(25)ダイズステロール、POE(30)ノニルフェノール(エーテル)、PEG4000ジステアレート、POE(50)ステアリン酸(モノエステル)、POE(70)ジノニルフェノール(エーテル)、POE(20)ヒマシ油(エーテル、エステル)、N−セチル−N−エチル−モルホリニウムエチルスルフェート等である。
【0025】
自己乳化型基剤は、乳化剤と稠度を与えるワックスとの比が既に正確にバランスがとれているので、粘度安定なo/wエマルションを特に容易に生産することを可能にする。
【0026】
本発明によれば、
(a)20〜60wt%の、請求項2〜5のいずれかに記載のペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールおよび/またはトリペンタエリスリトールの少なくとも1つのエステル、
(b)20〜60wt%の、請求項6〜8のいずれかに記載の少なくとも1つの部分グリセリドおよび
(c)5〜30wt%、好ましくは10〜30wt%の、10より高いHLB値を有するアニオン性または非イオン性乳化剤の群から選択される少なくとも1つの付加的な乳化剤
を含み、自己乳化型混合物が20wt%未満の水を含む自己乳化型基剤を使用することが、特に好都合である。
【0027】
重量百分率は、自己乳化型組成物中の作用物質の量に基づく。15wt%未満の含水量が好ましく、10wt%未満の含水量が特に好ましい。
【0028】
自己乳化型基剤の好ましい実施形態は、アニオン性乳化剤が、C12-24アシルグルタメートのアルカリ金属塩から、C12-24脂肪酸のアルカリ金属塩およびトリエタノールアミン塩から、およびC12-24脂肪アルコールスルフェート/C12-24脂肪アルコールエーテルスルフェートまたはC12-24脂肪アルコールホスフェート/C12-24脂肪アルコールエーテルホスフェートのアルカリ金属塩から選択されることを特徴とする。C16-24アシルグルタメートのアルカリ金属塩、C16-24脂肪酸のアルカリ金属塩およびトリエタノールアミン塩、およびC16-24脂肪アルコール(エーテル)スルフェートまたはC16-24脂肪アルコール(エーテル)ホスフェートのアルカリ金属塩が特に好ましい。C16-18アシルグルタメートのアルカリ金属塩、C16-18脂肪酸のアルカリ金属塩およびトリエタノールアミン塩、およびC16-18脂肪アルコール(エーテル)スルフェートまたはC16-18脂肪アルコール(エーテル)ホスフェートのアルカリ金属塩が特に最も好ましい。本発明によれば、ステアロイルグルタメート一ナトリウム、ステアロイルグルタメート二ナトリウムまたはトリエタノールアミン、ステアリン酸カリウムまたはナトリウムが特に最も好ましい。好ましいアシルグルタメートは、例えば味の素からAmisoft(登録商標)の製品名で市販されている。Amisoft(登録商標)HS-21 P(ステアロイルグルタメート二ナトリウム)およびAmisoft(登録商標)HS-11 P(ステアロイルグルタメートナトリウム)が好ましく使用される。
【0029】
本発明の目的に特に適する石けんは、パルミチン酸とステアリン酸を1:3〜3:1の重量比で含む。
【0030】
自己乳化型基剤の別の好ましい実施形態は、10より高いHLB値を有する非イオン性乳化剤が、C12-24脂肪アルコールエトキシレートおよび/またはC12-24アルキルオリゴグルコシドから成る群から選択されることを特徴とする。
【0031】
本発明による使用に適するC12-24脂肪アルコールエトキシレートには、例えばCognis Deutschland GmbH & Co. KGによりEumulgin(登録商標)B1、Eumulgin(登録商標)B2およびEumulgin(登録商標)B3の製品名で市販されているセテアレス(Ceteareth)−12、セテアレス−20、セテアレス−30が含まれる。
【0032】
本発明に従って好ましく使用されるC12-24アルキル(アルケニル)オリゴグリコシドは、式(I):
R1O-[G]p (I)
[式中、R1は、C12-24アルキル(アルケニル)基であり、Gは5または6個の炭素原子を含む糖単位であり、pは1〜10の数である]
に対応する既知の非イオン性界面活性剤である。それらは、合成有機化学の適切な方法によって入手し得る。この点に関して豊富に入手可能な文献の代表として、EP-A1-0 301 298およびWO90/03977を引用する。
【0033】
アルキル(アルケニル)オリゴグリコシドは、5または6個の炭素原子を含むアルドースまたはケトース、好ましくはグルコースから誘導し得る。従って、好ましいアルキル(アルケニル)オリゴグリコシドは、アルキル(アルケニル)オリゴグルコシドである。一般式(I)における指数pは、オリゴマー化度(DP)、すなわちモノおよびオリゴグリコシドの分布を示し、1〜10の数である。特定の化合物中のpは常に整数でなければならず、特に、1〜6の値をとり得るが、ある種のアルキル(アルケニル)オリゴグリコシドについてのp値は、一般に端数の、分析によって決定される測定値である。1.1〜3.0の平均オリゴマー化度pを有するアルキル(アルケニル)オリゴグリコシドが好ましく使用される。1.7未満、とりわけ1.2〜1.4のオリゴマー化度を有するアルキル(アルケニル)オリゴグリコシドが応用の観点から好ましい。置換基R1が、第一級、好ましくは非分岐C12-24、好ましくはC16-24、とりわけC16-18アルコールから誘導されるアルキルオリゴグルコシドが、本発明に従って好ましく使用される。また、アルコールの工業用混合物も使用し得る。特に好ましいアルキルオリゴグルコシドは、Plantacare(登録商標)1200、Plantacare(登録商標)2000、Plantacare(登録商標)810およびPlantacare(登録商標)818、Tego Care(登録商標)CG 90、Emulgade(登録商標)PL 68/50、Montanov(登録商標)14、Montanov(登録商標)202、Montanov(登録商標)68、Montanov(登録商標)82、Montanov(登録商標)LおよびMontanov(登録商標)S、Oramix(登録商標)BG 14、Oramix(登録商標)CG 110、Oramix(登録商標)NS 10の名称で市販されている。
【0034】
商業上の応用
本発明によるワックス混合物および自己乳化型基剤は、化粧品および医薬組成物の生産のために使用される。
【0035】
従って、本発明はまた、本発明による1〜20wt%のワックス混合物、または本発明による1〜20wt%の自己乳化型基剤を含有する化粧品または医薬製剤に関する。使用する濃度は、いずれの場合も2〜10wt%である。本発明はまた、エマルション、特に水中油型エマルションにおいて粘度を増強するための、請求項1〜7のいずれかに記載のワックス混合物の使用、およびエマルション、特に水中油型エマルションにおいて粘度を増強するための、請求項8〜11のいずれかに記載の自己乳化型混合物の使用に関する。本発明はまた、化粧品エマルションまたは医薬エマルションにおける稠度因子としての、請求項1〜7のいずれかに記載のワックス混合物、または請求項8〜11のいずれかに記載の自己乳化型混合物の使用に関する。使用する濃度によって、ローションまたはクリームが形成され、それらは1μm〜20μm、好ましくは5μm〜10μmの平均粒径を有することを特徴とする。このようなエマルションの粘度は、2,000mPa〜500,000mPa、好ましくは10,000mPa〜200,000mPaの範囲内である。粘度は、10r.p.m.のスピンドル5または6(ローションに関しては60,000mPaまで)またはヘリパスを備えたスピンドルHT(クリームに関しては>60,000mPa)を使用して、23℃でブルックフィールドRVFによって測定したものである。
【0036】
油成分
本発明による製剤は、水相および助剤と添加物とを含有し得る油相を含む。水相の百分率含量は、通常、組成物全体の20〜90wt%の範囲内であり、油相の百分率含量は、通常、組成物全体の1〜70wt%の範囲内である。油相は、油成分または油成分の混合物で構成され得る。油成分は、組成物全体の1〜25wt%、好ましくは1〜20wt%、とりわけ5〜15wt%の量で存在する。
【0037】
適切な油成分は、例えば以下に挙げる化合物群である:6〜18個、好ましくは8〜10個の炭素原子を含む脂肪アルコールに基づくゲルベアルコール、直鎖または分岐状、飽和または不飽和C6-22脂肪アルコール、とりわけ2−エチルヘキサノールと直鎖または分岐状、飽和または不飽和C6-22脂肪酸のエステル。以下が例として挙げられる:ラウリン酸ヘキシル、イソステアリン酸ミリスチル、オレイン酸ミリスチル、イソステアリン酸セチル、オレイン酸セチル、イソステアリン酸ステアリル、オレイン酸ステアリル、ミリスチン酸イソステアリル、パルミチン酸イソステアリル、ステアリン酸イソステアリル、イソステアリン酸イソステアリル、オレイン酸イソステアリル、ミリスチン酸オレイル、イソステアリン酸オレイル、オレイン酸オレイル、エルカ酸オレイル、イソステアリン酸エルシル、オレイン酸エルシル、ココカプリル酸エステル/カプリン酸エステル。他の適切なエステルは、例えば直鎖または分岐状、飽和または不飽和C6-22脂肪アルコールとC18-38アルキルヒドロキシカルボン酸のエステル、多価アルコール(例えばプロピレングリコール、二量体ジオールまたは三量体ジオール)および/またはゲルベアルコールと直鎖および/または分岐状、飽和または不飽和脂肪酸のエステル、トリグリセリドまたはトリグリセリド混合物、液状モノ、ジおよびトリグリセリド混合物、芳香族カルボン酸、とりわけ安息香酸とC6-22脂肪アルコールおよび/またはゲルベアルコールのエステル、1〜22個の炭素原子を含む直鎖または分岐状、飽和または不飽和アルコールまたは2〜10個の炭素原子および2〜6個のヒドロキシル基を含むポリオールとC2-12ジカルボン酸のエステル、植物油、分岐第一級アルコール、置換シクロヘキサン、直鎖ジアルキルカーボネート(例えばCetiol(登録商標)CC)、6〜18個、好ましくは8〜10個の炭素原子を含む脂肪アルコールに基づくゲルベカーボネート、直鎖および/または分岐状C6-22アルコールと安息香酸のエステル(例えばFinsolv(登録商標)TN)、例えばジ−n−オクチルエーテル(Cetiol(登録商標)OE)またはポリオールとエポキシ化脂肪酸エステルの開環生成物などの、アルキル基当り6〜22個の炭素原子を含む直鎖または分岐状、対称または非対称ジアルキルエーテル、パラフィンまたは鉱物油などの炭化水素、オリゴまたはポリ−α−オレフィンである。本発明によれば、ジアルキルエーテル、ジアルキルカーボネート、トリグリセリド混合物およびC8-24脂肪酸とC8-24脂肪アルコールのエステルまたはこれらの物質の混合物が、油成分としての使用に特に適する。ジアルキルカーボネートおよびジアルキルエーテルは、対称または非対称、分岐または非分岐、飽和または不飽和であり得、先行技術から既知の反応によって生産し得る。適切なシリコーン化合物は、例えばジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、環状シリコーン(シクロメチコン)、および室温で液状および樹脂様であり得るアミノ、脂肪酸、アルコール、ポリエーテル、エポキシ、フッ素、グリコシドおよび/またはアルキル変性シリコーン化合物である。他の適切なシリコーン化合物は、200〜300ジメチルシロキサン単位の平均鎖長を有するジメチコンの混合物および水素化シリケートである。
【0038】
本発明によれば、他の適切な油成分は、特に、好ましくは8〜40個の炭素原子の鎖長を有する炭化水素である。これらは、分岐または非分岐、飽和または不飽和であり得る。これらの中で、分岐飽和C8-40アルカンが好ましい。純物質および混合物の両方が使用し得る。混合物は通常、種々の異性体化合物の混合物である。C10-30、好ましくはC12-20、とりわけC16-20アルカンを含む組成物が特に好適であり、これらのうちで、アルカンの総量に対して少なくとも10wt%の分岐アルカンを含むアルカン混合物が特に好ましい。アルカンは、好ましくは分岐飽和アルカンである。1wt%を超える5,8−ジエチルドデカンおよび/または1wt%を超えるジデセンを含むアルカンの混合物が特に好適である。
【0039】
他の選択的助剤および添加物
意図する用途に応じて、化粧品製剤は多くの他の助剤および添加物、例えば以下に例として列挙する増粘剤、過脂化剤、安定剤、ポリマー、レシチン、リン脂質、生体物質、紫外線防御因子、抗酸化剤、体臭防止剤、塗膜形成要素、膨張剤、昆虫駆除薬、ヒドロトロープ、可溶化剤、防腐剤、香油、染料等を含み得る。個々の添加物の使用量は、意図する用途によって決定される。
【0040】
適切な増粘剤は、例えば、Aserosil(登録商標)タイプ(親水性シリカ)、多糖類、特にキサンタンガム、グアーガム、寒天、アルギン酸塩およびチロース、カルボキシメチルセルロース、およびヒドロキシエチルおよびヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、および、例えばBentone(登録商標)GelVS-5PC(Rheox)などのベントナイトである。
【0041】
本発明に関する紫外線防御因子は、例えば、室温で液状または結晶性であり、紫外線を吸収して、より長波放射、例えば熱の形態で吸収したエネルギーを放出することができる有機物質(光フィルター)である。UV−Bフィルターは油溶性または水溶性であり得る。典型的なUV−Aフィルターは、特に、ベンゾイルメタンの誘導体である。UV−AおよびUV−Bフィルターはまた、言うまでもなく、混合物の形態、例えばベンゾイルメタンの誘導体、例えば4−tertブチル−4'−メトキシジベンゾイルメタン(Parsol(登録商標)1789)および2−シアノ−3,3−フェニル桂皮酸−2−エチルヘキシルエステル(Octocrylene)、および桂皮酸のエステル、好ましくは4−メトキシ桂皮酸−2−エチルヘキシルエステルおよび/または4−メトキシ桂皮酸プロピルエステルおよび/または4−メトキシ桂皮酸イソアミルエステルの組合せの形態でも使用し得る。これらのような組合せは、しばしば、例えば2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸およびそのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アルキルアンモニウム塩、アルカノールアンモニウム塩およびグルクアンモニウム(glucammnonium)塩などの水溶性フィルターと配合される。
【0042】
上記可溶性物質に加えて、不溶性遮光色素、すなわち微分散金属酸化物または金属塩も、この目的のために使用し得る。適切な金属酸化物の例は、特に、酸化亜鉛および二酸化チタンである。上述した主太陽光線防御因子の2つの群に加えて、抗酸化剤型の副太陽光線防御因子も使用し得る。抗酸化剤型の副太陽光線防御因子は、紫外線が皮膚に浸透したときに開始される光化学反応鎖を遮断する。
【0043】
本発明に関して、生体物質は、例えば、トコフェロール、酢酸トコフェロール、パルミチン酸トコフェロール、アスコルビン酸、(デオキシ)リボ核酸およびその断片化生成物、β−グルカン、レチノール、ビサボロール、アラントイン、フィタントリオール、パンテノール、α−ヒドロキシ酸(AHA酸)、アミノ酸、セラミド、擬セラミド、精油、植物抽出物、例えばアンズ抽出物、バンバラマメ抽出物、およびビタミン複合体である。
【0044】
体臭防止成分は、体臭を打ち消したり、隠したり、除去したりする。体臭は、不快な臭いのする分解生成物の形成を来たすアポクリン発汗への皮膚細菌の作用を通して形成される。従って、好適な体臭防止成分は、特に、微生物抑制剤、酵素阻害剤、臭い吸収剤または臭いマスキング剤(odor masker)である。
【0045】
好適な昆虫駆除薬は、例えばN,N−ジエチル−m−トルアミド、ペンタン−1,2−ジオールまたはMerck KGaAによりInsect Repellent(登録商標)3535として市販されている3−(N−n−ブチル−N−アセチルアミノ)−プロピオン酸エチルエステル、およびブチルアセチルアミノプロピオネートである。
【0046】
好適なセルフタンニング剤はジヒドロキシアセトンである。メラニンの形成を防ぎ、脱色剤中に使用される好適なチロシン阻害剤は、例えば、アルブチン、フェルラ酸、コウジ酸、クマル酸およびアスコルビン酸(ビタミンC)である。
【0047】
好適な防腐剤は、例えば、フェノキシエタノール、ホルムアルデヒド溶液、パラベン、ペンタンジオールまたはソルビン酸、およびSurfacine(登録商標)の名称の下で既知の銀錯体、およびKosmetikverordnungの付属書6、パートAおよびBに列挙されているその他の化合物群である。
【0048】
好適な香油は、天然および合成香料の混合物である。天然香料は、花、茎および葉、果実、果実の皮、根、木、薬草および草、針状葉および枝、樹脂およびバルサムの抽出物を含む。動物原料、例えばジャコウネコおよびビーバー、および合成香料化合物、例えばエステル、エーテル、アルデヒド、ケトン、アルコールおよび炭化水素タイプの合成香料化合物も、好適である。
【0049】
好適な染料は、化粧品用として好適であり、承認されているすべての物質である。例えば、コチニールレッドA(C.I. 16255)、パテントブルーV(C.I. 42051)、インジゴチン(C.I. 73015)、クロロフィリン(C.I. 75810)、キノリンイエロー(C.I. 47005)、二酸化チタン(C.I. 77891)、インダンスレンブルーRS(C.I. 69800)およびマダーレーキ(C.I. 58000)が含まれる。これらの染料は通常、混合物全体の0.001〜0.1wt%の濃度で使用される。
【0050】
以下の実施例は、本発明によるワックス混合物に基づくエマルションを説明し、単一ワックス、および本発明による混合比によらないワックス混合物に基づくエマルションとの比較により、粘度の増強および粘度プロフィールを示す。
【実施例】
【0051】
高温法(hot method)によって調製を実施した(200g実験室バッチ)。このために、油相を80℃に加熱した。同じく80℃に加熱した水相を、攪拌しながらゆっくりと油相に添加した。エマルションを持続攪拌しながら40℃に冷却した。必要に応じて、40℃でクエン酸または水酸化ナトリウムによってpH値をpH7に調整し、30℃まで冷却を続けた。45〜65℃の冷却相において、エマルションを適切な回転子/固定子系(例えばIKA Ultra Turrax T 50)で2分間均一化した。このようにして調製したエマルションの粘度(ブルックフィールドRVF、スピンドル5、10 r.p.m.、23℃)を4、8および12週間(W)後に測定し、以下の表において比較する。粘度測定は室温で実施した。
【0052】
以下の表に示す量は、組成物全体における市販物質のwt%である。実施例番号の前に「C」がついているものは、比較例である。本発明によるワックス混合物だけが観測期間を通じて適切な粘度安定性または相安定性を示すことが明らかに認められる。
【0053】
試験シリーズ1
使用するワックス:イオン性乳化剤の比の関数による粘度の増強の判定。
乳化剤:ステアロイルグルタメートナトリウム(一ナトリウム塩)−アニオン性;
皮膚軟化剤:ココカプリル酸エステル/カプリン酸エステル−中等度の極性
【表1】

1) ペンタエリスリトール1モルと、42〜48wt%のC16脂肪酸および50〜56wt%のC18脂肪酸の脂肪酸混合物(残分:≦C14脂肪酸および>C18脂肪酸)約2モルとの反応によって得られるペンタエリスリトールのエステルは、以下のエステル分布:(a)12〜19wt%のモノエステル、(b)25〜35wt%のジエステル、(c)30〜40wt%のトリエステルおよび(d)6〜11wt%のテトラエステルを有し、0.3wt%未満のC17脂肪酸アシル基を含む。
【0054】
試験シリーズ2
使用するワックス:イオン性乳化剤の比の関数による粘度の増強の判定。
乳化剤:セテアリル硫酸ナトリウム−アニオン性;
皮膚軟化剤:ココカプリル酸エステル/カプリン酸エステル−中等度の極性
【表2】

【0055】
試験シリーズ3
使用するワックス:イオン性乳化剤の比の関数による粘度の増強の判定。
乳化剤:ステアリン酸ナトリウム−アニオン性;
皮膚軟化剤:ココカプリル酸エステル/カプリン酸エステル−中等度の極性
【表3】

【0056】
試験シリーズ4
使用する皮膚軟化剤:イオン性乳化剤の極性の関数による、Cutina(登録商標)GMSとジステアリン酸ペンタエリトリチル1)との1:1ワックス混合物における粘度の増強の判定。
乳化剤:ステアロイルグルタメートナトリウム−アニオン性;
皮膚軟化剤:ジカプリリルエーテル−弱い極性;ダイズ油−強い極性
【表4】

【0057】
試験シリーズ5
使用するワックス:非イオン性乳化剤の比の関数による粘度の増強の判定。
乳化剤:セテアレス−20−非イオン性;
皮膚軟化剤:ココカプリル酸エステル/カプリン酸エステル−中等度の極性
【表5】

【0058】
試験シリーズ6
使用するワックス:非イオン性乳化剤の比の関数による粘度の増強の判定。
乳化剤:ラウリルグルコシド−非イオン性;
皮膚軟化剤:ココカプリル酸エステル/カプリン酸エステル−中等度の極性
【表6】

【0059】
試験シリーズ7
使用する皮膚軟化剤:非イオン性乳化剤の極性の関数による、Cutina(登録商標)GMSとジステアリン酸ペンタエリトリチル1)との1:1ワックス混合物における粘度の増強の判定。
乳化剤:セテアレス−20−非イオン性;
皮膚軟化剤:ジカプリリルエーテル−弱い極性;ダイズ油−強い極性
【表7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトールの少なくとも1つのエステルまたはこれらのエステルの混合物を成分(a)として、および少なくとも1つの部分グリセリドを成分(b)として含み、(a)対(b)の重量比が1:3〜3:1である、無水ワックス混合物。
【請求項2】
成分(a)が、低くとも30℃の融点を有する、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトールのC6-22脂肪酸エステルまたはこれらのエステルの混合物から成る群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載のワックス混合物。
【請求項3】
成分(a)が、百分率含量で(i)5〜35wt%のモノエステル、(ii)20〜50wt%のジエステルおよび(iii)25〜50wt%のトリエステル、および場合によりテトラエステルを含有するペンタエリスリトールのエステルの群から選択されることを特徴とする、請求項1または2に記載のワックス混合物。
【請求項4】
エステル成分(a)が、40〜50wt%のC16脂肪酸と45〜55wt%のC18脂肪酸とを含む脂肪酸混合物とのエステル化によって得られることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載いずれかに記載のワックス混合物。
【請求項5】
部分グリセリド(b)が、C12-24脂肪酸とグリセロールまたはオリゴグリセロールとのエステル化生成物、またはこれらのエステル化生成物の混合物から成る群から選択されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のワックス混合物。
【請求項6】
部分グリセリド(b)が、30〜65wt%のモノグリセリド含量および25〜45wt%のジグリセリド含量を有するグリセロールのパルミチン酸および/またはステアリン酸エステルであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のワックス混合物。
【請求項7】
部分グリセリド(b)が、1:3〜3:1の重量比のパルミチン酸とステアリン酸との脂肪酸混合物と、グリセロールとの反応によって得られることを特徴とする、請求項7に記載のワックス混合物。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の混合物、およびそれに加えて、少なくとも10のHLB値を有するアニオン性または非イオン性乳化剤の群から選択される少なくとも1つの乳化剤(c)を含む自己乳化型基剤。
【請求項9】
(a)20〜60wt%の、請求項2〜5のいずれかに記載のペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールおよび/またはトリペンタエリスリトールの少なくとも1つのエステル、
(b)20〜60wt%の、請求項6〜8のいずれかに記載の少なくとも1つの部分グリセリドおよび
(c)10〜30wt%の、10より高いHLB値を有するアニオン性または非イオン性乳化剤の群から選択される少なくとも1つの付加的な乳化剤
を含み、自己乳化型混合物が20wt%未満の水を含む、請求項8に記載の自己乳化型基剤。
【請求項10】
アニオン性乳化剤が、C12-24アシルグルタメートのアルカリ金属塩、C12-24脂肪酸のアルカリ金属塩およびトリエタノールアミン塩、およびC12-24脂肪アルコール(エーテル)スルフェートまたはC12-24脂肪アルコール(エーテル)ホスフェートのアルカリ金属塩から選択されることを特徴とする、請求項8または9に記載の自己乳化型基剤。
【請求項11】
少なくとも10のHLB値を有する非イオン性乳化剤が、C12-24脂肪アルコールエトキシレートおよび/またはC12-24アルキル(アルケニル)オリゴグリコシドから成る群から選択されることを特徴とする、請求項9〜11のいずれかに記載の自己乳化型基剤。
【請求項12】
1〜20wt%の請求項1〜7のいずれかに記載のワックス混合物および1〜20wt%の請求項8〜11のいずれかに記載の自己乳化型基剤を含有する化粧品または医薬製剤。
【請求項13】
エマルション、特に水中油型エマルションにおいて粘度を増強するための、請求項1〜7のいずれかに記載のワックス混合物の使用。
【請求項14】
エマルション、特に水中油型エマルションにおいて粘度を増強するための、請求項8〜11のいずれかに記載の自己乳化型混合物の使用。
【請求項15】
化粧品エマルションまたは医薬エマルションにおける稠度因子としての、請求項1〜7のいずれかに記載のワックス混合物または請求項8〜11のいずれかに記載の自己乳化型混合物の使用。

【公表番号】特表2007−531777(P2007−531777A)
【公表日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−506691(P2007−506691)
【出願日】平成17年3月26日(2005.3.26)
【国際出願番号】PCT/EP2005/003233
【国際公開番号】WO2005/097056
【国際公開日】平成17年10月20日(2005.10.20)
【出願人】(505066718)コグニス・アイピー・マネージメント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (191)
【氏名又は名称原語表記】Cognis IP Management GmbH
【Fターム(参考)】