部品供給トレー
【課題】部品実装装置に電子部品を供給するために使用される部品供給トレーにおいて、簡単安価な構造により、部品供給に使用する直前まではトレー上の部品を確実に固定しておくことができ、使用時にはトレー上の部品を支障なく容易に取り出せるようにする。
【解決手段】トレー本体である部品供給プレート8の上面には部品仕切り板9が取り付けられ、仕切り板で仕切られたスペースに電子部品7が収納される。プレート8の上面、すなわちトレー6の底面に、電子部品7を固定するための粘着力が可変な熱剥離シート10が貼り付けられている。このシート10は加熱により粘着力が低下する。トレー6を部品実装装置への部品7の供給に使用する直前までは、シート10を加熱せず、その粘着力を高く維持しておく。トレー6を部品供給に使用する時は、シート10を加熱してその粘着力を低下させる。
【解決手段】トレー本体である部品供給プレート8の上面には部品仕切り板9が取り付けられ、仕切り板で仕切られたスペースに電子部品7が収納される。プレート8の上面、すなわちトレー6の底面に、電子部品7を固定するための粘着力が可変な熱剥離シート10が貼り付けられている。このシート10は加熱により粘着力が低下する。トレー6を部品実装装置への部品7の供給に使用する直前までは、シート10を加熱せず、その粘着力を高く維持しておく。トレー6を部品供給に使用する時は、シート10を加熱してその粘着力を低下させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品を回路基板に搭載する部品実装装置に電子部品を供給するために使用される部品供給トレーに関する。
【背景技術】
【0002】
上記の部品供給トレー(以下、単にトレーともいう)では、部品仕切り板で仕切られた部品収納スペースに電子部品が収納され、部品実装装置に部品を供給するときには、トレーを部品実装装置まで運搬し、部品実装装置の吸着ノズルより部品を吸着してトレーから取り出している。このトレーを部品実装装置まで運搬する間、トレー上の各部品収納スペース内で部品が動いてしまわないように、各部品を位置決めして固定する必要がある。そうしないと、特に外力に弱いリードを有する電子部品では外力によりリードが変形してしまうなどの問題が生じる。
【0003】
このため、例えば、部品の角部(四隅の角部など)のみで位置決めが行われ、部品の他の部分はすべて宙に浮くようにしたトレーの構造であって、トレーを積み重ねたとき、上側のトレーの底面が下側のトレー上の部品の上面の少なくとも一部を押えて部品を固定するようにした構造が下記の特許文献1により提案されている。
【特許文献1】特開平11−330779号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のトレーの構造では、部品をトレーにセットする際の位置決めを容易にするため、また、部品実装装置で回路基板に搭載する部品をトレーから取り出すときの取り出し易さを確保するために、トレーの各部品の受け部の寸法を部品の外形寸法よりも大きくしてガタを持たせる必要がある。また、トレーを積み重ねたとき、上側のトレーの底面が下側のトレー上の部品の上面の少なくとも一部を押えて部品を固定するため、トレーを積み重ねた状態でなければ部品を固定できない。
【0005】
このような構造では、特にトレーを積み重ねていない状態で運搬する際に、トレー内で部品が上記ガタの範囲内で動いてしまい、運搬中に部品に衝撃が加わり、特に内部で微細配線がなされている部品では配線が断線するなどの故障の原因となる場合があった。また、運搬中に少しの振動で部品がトレーから落下し、損傷してしまうことがある。
【0006】
さらに、部品実装装置において、トレー上の部品を搭載ヘッドの吸着ノズルで吸着するときに、各部品がトレー内で動いてしまっており、予め決められた部品位置からずれ、しかもその位置ずれにばらつきがある。このため、正確に部品の中心を吸着することができず、吸着をミスしてしまう場合もある。また、吸着した部品の姿勢の認識精度が悪くなるという問題があった。
【0007】
本発明の課題は、このような問題を解決し、部品供給トレーにおいて、簡単安価な構造により、トレーに電子部品を搭載してからトレーを部品実装装置への電子部品の供給に使用する直前まではトレー上の電子部品を確実に固定しておくことができ、供給に使用する時にはトレー上の電子部品を支障なく容易に取り出せるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するための本発明は、
部品実装装置に電子部品を供給するための部品供給トレーであって、
電子部品を固定するために粘着力が可変な粘着シートがトレー底部に貼付され、電子部品をトレーから取り出すときには、該粘着シートの粘着力が低下されることを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、
部品実装装置に電子部品を供給するための部品供給トレーであって、
電子部品を固定するために粘着力が可変な粘着剤がトレー底部に塗布され、電子部品をトレーから取り出すときには、該粘着剤の粘着力が低下されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明のトレーの構造によれば、トレーに電子部品を搭載してからトレーを部品実装装置への電子部品の供給に使用するまでは、粘着シートないし粘着剤の高い粘着力によりトレー上に電子部品を確実に固定しておくことができる。また、トレーを電子部品の供給に使用する時には、粘着力を低下させることにより、トレー上の電子部品を支障なく容易に取り出すことができる。そして、本発明のトレーの構造は簡単で安価に実施できるという優れた効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【実施例1】
【0012】
図1は、本発明の実施例1の部品供給トレーを用いる部品実装装置(チップマウンタ)の要部の構成を示している。
【0013】
図1において、1は搭載ヘッドであり、それぞれ回路基板16に搭載する不図示の電子部品を吸着して保持する複数の吸着ノズル1aを備え、更に、詳しく図示していないが、吸着ノズル1aをZ軸方向(上下方向)に移動させる機構と、θ軸(ノズル軸)を中心に回転させる機構を備えている。搭載ヘッド1はX軸方向に移動できるようにX軸ガントリ2に取り付けられている。X軸ガントリ2はY軸方向に移動できるようにY軸ガントリ3に取り付けられている。また、部品実装装置には、吸着ノズル1aに吸着された電子部品の姿勢を認識する2次元カメラを使用した認識装置4が固定されている。また、詳しく図示していないが、テープに保持された小型の電子部品を供給する電子部品供給装置5が部品実装装置の前面側に設けられている。
【0014】
LSIなどの大型の電子部品は、これを収容した部品供給トレー(以下、トレーと略す)6から供給される。図7に示すように、それぞれ電子部品を収容した複数のトレー6が部品実装装置17と別体の部品供給ラック14内に収容され、ラック14の移動によって部品実装装置17の所まで運搬される。そしてラック14内のトレー6が自動的に或いは手動で矢印で示すように移動されて、順次ラック14から取り出され、図1に示す部品実装装置の背面側の所定のセット位置にセットされる。トレー6のセット位置の下方近傍には、セットされたトレー6を加熱するためのヒーター11が設けられている。
【0015】
以上の構成において、不図示のX軸モータとY軸モータの駆動により、搭載ヘッド1がX軸ガントリ2に沿ってX軸方向に移動すると共に、X軸ガントリ2と共にY軸方向に移動する。また、不図示のZ軸モータとθ軸モータの駆動により、搭載ヘッド1の各吸着ノズル1aが昇降すると共に、ノズル軸を中心に回転する。
【0016】
電子部品の搭載時には、まず搭載ヘッド1が電子部品供給装置5の部品供給位置上またはトレー6上に移動された後、各吸着ノズル1aが下降して供給装置5上またはトレー6上の電子部品を吸着し、上昇する。そして各ノズル1aが認識装置4上に移動するように搭載ヘッド1が移動され、各ノズル1aに吸着された電子部品の姿勢が認識される。その後、各ノズル1aが回路基板16上で各ノズル1aに吸着された部品を実装する位置上に移動するように搭載ヘッド1が移動され、各ノズル1aが下降して電子部品が回路基板16に接触する位置で吸着を解除することにより、電子部品が実装位置に搭載される。このような動作の繰り返しにより、回路基板16上に各種の電子部品が順次搭載される。この動作に伴ってトレー6上の電子部品がなくなったら、そのトレー6がセット位置から取り除かれた後、ラック14から電子部品を満載した次の1枚のトレー6が取り出されて部品実装装置内のトレーセット位置にセットされ、部品供給に使用される。
【0017】
図2および図3はトレー6の構造を示している。トレー6は、熱剥離シート10を貼り付けた部品供給プレート8の上面に格子状の部品仕切り板9が取り付けられ、仕切り板で仕切られたスペースに電子部品が収納される構造となっている。
【0018】
部品供給プレート8は、その上面に電子部品7を載せるトレー本体であり、これに部品仕切り板9を取り付けてトレー6とした状態では、部品供給プレート8の上面がトレー6の底面となる。
【0019】
部品仕切り板9は、トレー6上に収容する複数の電子部品7のそれぞれの収容スペースを仕切るものであり、部品供給プレート8と別体であって、プレート8の上面に熱剥離シート10を介して固定される。
【0020】
熱剥離シート10は、両面が粘着性の粘着シートであり、熱(赤外線)を加えることにより、両面の粘着力が低下する。すなわち、加熱によって、粘着力が高い状態から低い状態へと変化する。なお、1回の加熱によって粘着力を一度低下させたら、粘着力を回復させることはできない。詳しく図示していないが、熱剥離シート10は、ポリエステル樹脂などからなるシート基材の両面に熱剥離粘着剤の層が形成されたものとなっており、部品供給プレート8の上面に貼り付けられる。なお、部品供給プレート8に貼り付けられる前の単体の状態では、両面の熱剥離粘着剤層のそれぞれの表面に保護用のセパレータのフィルムが貼り付けられており、それを剥がしてプレート8に貼り付けられる。熱剥離シート10の熱剥離粘着剤は、例えば90℃程度の温度で粘着力が低下し、殆どなくなる。90℃程度の温度ならば、トレー6上の電子部品7に対する影響は全く問題ない。このような熱剥離シート10として、例えば日東電工株式会社製のリバアルファ(商標名)などを用いることができる。
【0021】
このような熱剥離シート10を部品供給プレート8の上面に貼り付けた後、熱剥離シート10の上面の熱剥離粘着剤層に部品仕切り板9を貼り付けて固定してトレー6が構成される。なお、部品仕切り板9は、熱剥離シート10を部品供給プレート8へ貼り付ける作業を容易にするために、トレー本体である部品供給プレート8と別体とされ、熱剥離シート10を介して部品供給プレート8に着脱可能に取り付けられるようになっている。
【0022】
最初に熱剥離シート10を部品供給プレート8に貼り付けてから電子部品7を搭載したトレー6を部品実装装置のトレーセット位置にセットして電子部品の供給に使用する直前までは、トレー6の熱剥離シート10を加熱せず、その粘着力を高く維持する。すなわち、トレー6への電子部品7の搭載と、電子部品7を搭載したトレー6の部品実装装置までの運搬は熱剥離シート10の粘着力が高い状態でなされる。
【0023】
トレー6に電子部品7を搭載するときには、各部品7をトレー6上で部品仕切り板9により仕切られた各部品収容スペース内で所定位置に位置決めした後、トレー6の底面上の熱剥離シート10に対して軽く押し付け、部品7のボディ下面を熱剥離シート10に貼り付けて固定する。このようにして部品7を搭載したトレー6を図7で説明したように、部品供給ラック14に格納し、ラック14を移動させて部品実装装置17の所まで運搬する。
【0024】
その後、先述したように、ラック14からトレー6が順次1つずつ取り出され、部品実装装置17内で図1に示されたトレーセット位置にセットされ、部品供給に使用される。ここでトレー6のセットに応じて不図示の機械的ないし光学的なスイッチがオンとなってヒーター11の電源が投入され、ヒーター11が予め決められた時間のトレー6の加熱、すなわちトレー6の熱剥離シート10の加熱を開始する。加熱の設定温度は、熱剥離シート10の粘着力が低下する熱剥離温度より少し高い温度で例えば95℃とし、この設定温度を所定時間、例えば5分間保持した後、ヒーター11の電源を切る。この加熱により、トレー6の熱剥離シート10は図4の拡大断面図で示す高い粘着力の状態から、図5に符号10′で示す粘着力が殆どなくなった状態になる。この状態になってから、図1の回路基板16への電子部品の搭載動作が先述したように行われる。その搭載動作において、図6の拡大図に示すように、トレー6の熱剥離シート10′上の電子部品7を吸着ノズル1aで吸着して取り出すが、熱剥離シート10′は粘着力が殆どなくなっているので、取り出しを支障なく容易に行うことができる。
【0025】
以上のような本実施例によれば、トレー6上の電子部品7は、トレー6に搭載されてから、トレー6が部品実装装置にセットされて部品供給に使用される直前まで、熱剥離シート10の高い粘着力で確実に固定されている。したがって、トレーの部品実装装置までの運搬中に振動などでトレー上の電子部品が移動することが全くなく、従来例のようにガタによる衝撃で部品内部の配線が断線するなどの故障や部品の落下などの問題の発生がなくなる。また、トレー上に部品を固定した状態のままトレーを運搬することができるので、トレーの運搬に関わる取り扱いが楽になる。また、トレー上に部品を位置決めして搭載してから部品実装装置でトレー上の部品を吸着ノズルで吸着するまで、トレー上の部品の位置が変わらない。したがって、部品の吸着時に正確に部品の中心を吸着することができ、吸着ミスが少なくなり、部品認識精度も向上し、ひいては部品の基板上への搭載精度も向上する。しかも本実施例のトレーの構造は簡単であり安価に実施できる。
【0026】
なお、本実施例では、部品実装装置内のトレーセット位置でヒーター11によりトレー6の熱剥離シート10を加熱するものとしたが、ヒーター11を部品供給ラック14に設け、1つのトレー6をラック14から取り出して部品実装装置17にセットする前に、そのトレー6をラック14内で加熱するようにしてもよい。また、トレー6の熱剥離シート10をヒーター11で下方から加熱するものとしたが、上方からの赤外線照射により加熱してもよい。
【0027】
また、熱剥離シート10は、両面に熱剥離粘着剤層が形成されたものとしたが、電子部品7を固定する側の上面に熱剥離粘着剤層が形成され、部品供給プレート8に貼り付けられる下面に通常の粘着剤、すなわち加熱により粘着力が低下しない粘着剤の層が形成されたものとしてもよい。ただし、トレー6を再使用することを考慮すると、両面に熱剥離粘着剤層を形成した方が使用後に熱剥離シート10をトレー6から剥ぎ取る手間がかからない点で有利である。
【実施例2】
【0028】
図8〜図10は、実施例2のトレー13の構造を説明するもので、トレー13において部品仕切り板9により仕切られた複数の部品収容スペースの内で1つの部品収容スペースの部分だけ示してある。部品仕切り板9は、トレー13の本体すなわち底部と別体で本体に着脱可能に取り付けられるものとしてもよいし、トレー本体と一体に設けられるものとしてもよい。
【0029】
トレー13は、電子部品として、四辺の側面にリード12aが突設されたQFP(quad flat package:四辺形平面パッケージ)12を収容するものとされている。このため、トレー13の各部品収容スペースの底部には、形状と寸法がQFP12のボディと略同じ(一回り小さくても良い)の平坦な凸部13aが形成され、その周囲は凹部13bとなっている。凸部13aの上面の全面に熱剥離シート10が貼り付けられている。QFP12は、ボディの位置を凸部13aに合わせて、ボディ下面を熱剥離シート10に貼り付けることにより、図8及び図10に示すように、部品収容スペース内に固定される。この時、図10に示すように、QFP12のリード12aは、トレー13の凹部13b上に浮いており、トレー13に接触しないようになっている。
【0030】
このようなトレー13は、実施例1のトレー6と全く同様に使用し、部品実装装置内のトレーのセット位置にセットしたときに加熱し、図9に符号10′で示すように熱剥離シートを粘着力が殆どない状態とし、吸着ノズルによるQFP12の取り出しを支障なく容易に行なえるようにする。
【0031】
以上のような本実施例のトレー13によれば、実施例1のトレー6と同様の効果が得られる。更に、QFP12をトレー13に搭載して固定するときに、リード12aをトレー13に接触させずに固定できるので、リード12aに外力が加わることがなく、その外力によるリード12aの変形などの問題を防止することができる。
【実施例3】
【0032】
図11は実施例3のトレー6を示している。トレー6は実施例1のトレー6と共通の部品供給プレート8と部品仕切り板9からなる。本実施例では部品仕切り板9は部品供給プレート8に着脱可能に取り付けられている。また、トレー6の部品仕切り板9で仕切られた部品収容スペースのそれぞれの底面(部品供給プレート8の上面)には熱剥離粘着剤18が塗布されている。熱剥離粘着剤18は実施例1に用いた熱剥離シート10のシート基材の両面に塗布されたものと同じものを用い、仕切り板で仕切られた各部品収納スペースにディスペンサ15を用いて塗布される。
【0033】
図11では図示していない電子部品をトレー6の各部品収容スペースに搭載し、電子部品のボディの下面を熱剥離粘着剤18に貼り付けて電子部品を固定する。そして本実施例のトレー6も実施例1のトレー6と同様に使用し、部品実装装置内のトレーのセット位置にセットしたときに加熱し、熱剥離粘着剤18の粘着力が殆どない状態として、吸着ノズルによる電子部品の取り出しを支障なく容易に行なえるようにする。本実施例のトレー6も実施例1のトレー6と同様の効果が得られる。
【0034】
なお、実施例2のトレー13において凸部13aのそれぞれの上面に熱剥離シート10を貼り付ける代わりに、本実施例のように熱剥離粘着剤を塗布するものとしてもよい。
【0035】
また、実施例1,2のトレーにおいて、熱剥離シート10の代わりに、紫外線を照射することにより粘着力が低下する粘着シートである紫外線剥離シートを用いてもよい。この場合、部品を搭載したトレーを部品実装装置にセットした時に紫外線を照射して紫外線剥離シートの粘着力を低下させる。紫外線剥離シートとしては、例えば古河電気工業(株)製のUVテープ(商品名)や、リンテック(株)製のAdwill(商標名)DシリーズUV硬化型ダイシングテープなどを用いることができる。これらの紫外線剥離シートは、シート基材の表面に紫外線照射により粘着力が低下する紫外線剥離粘着剤を塗布したものである。
【0036】
また、実施例3のトレー6において、熱剥離粘着剤14の代わりに紫外線剥離粘着剤を塗布した構造としてもよい。さらに、実施例1〜3のトレーにおいて、熱剥離シートないし熱剥離粘着剤の代わりに、加熱と紫外線照射以外の手段で粘着力を変化させる(低下させる)ことができるものを用いることも考えられる。
【0037】
なお、本発明に係る部品供給トレーに収容する電子部品の種類は、実施例2のQFPに限定されないことは勿論であり、SOP(small outline package)やSOJ(small outline j-leaded package)などの他のリード部品でもよく、BGA(ball grid array)やCSP(chip size package)などのボール状の端子を持ったボール部品でもよい。また、コンデンサや抵抗などのチップ部品でもよく、ベアチップやフィリップチップなどのウエハ状のチップでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施例1の部品供給トレーを用いる部品実装装置の要部の構成を示す斜視図である。
【図2】実施例1の部品供給トレーの構造を示す斜視図である。
【図3】同トレーの本体から部品仕切り板を取り外した状態を示す斜視図である。
【図4】同トレーの縦断側面図である。
【図5】同トレーを加熱している状態を示す縦断側面図である。
【図6】同トレーから電子部品を吸着して取り出す様子を示す側面図である。
【図7】部品供給ラックからトレーが取り出されて部品実装装置にセットされる様子を示す説明図である。
【図8】実施例2のトレーの1つの部品収容部分を示す斜視図である。
【図9】同トレーの1つの部品収容部分から部品のQFPを取り出す様子を示す斜視図である。
【図10】同トレーの1つの部品収容部分の縦断側面図である。
【図11】実施例3のトレーの構造を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0039】
1 搭載ヘッド
2 X軸ガントリ
3 Y軸ガントリ
4 認識装置
5 電子部品供給装置
6,13 部品供給トレー
7 電子部品
8 部品供給プレート
9 部品仕切り板
10,10′ 熱剥離シート
11 ヒーター
12 QFP
14 部品供給ラック
15 ディスペンサ
16 回路基板
17 部品実装装置
18 熱剥離粘着剤
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品を回路基板に搭載する部品実装装置に電子部品を供給するために使用される部品供給トレーに関する。
【背景技術】
【0002】
上記の部品供給トレー(以下、単にトレーともいう)では、部品仕切り板で仕切られた部品収納スペースに電子部品が収納され、部品実装装置に部品を供給するときには、トレーを部品実装装置まで運搬し、部品実装装置の吸着ノズルより部品を吸着してトレーから取り出している。このトレーを部品実装装置まで運搬する間、トレー上の各部品収納スペース内で部品が動いてしまわないように、各部品を位置決めして固定する必要がある。そうしないと、特に外力に弱いリードを有する電子部品では外力によりリードが変形してしまうなどの問題が生じる。
【0003】
このため、例えば、部品の角部(四隅の角部など)のみで位置決めが行われ、部品の他の部分はすべて宙に浮くようにしたトレーの構造であって、トレーを積み重ねたとき、上側のトレーの底面が下側のトレー上の部品の上面の少なくとも一部を押えて部品を固定するようにした構造が下記の特許文献1により提案されている。
【特許文献1】特開平11−330779号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のトレーの構造では、部品をトレーにセットする際の位置決めを容易にするため、また、部品実装装置で回路基板に搭載する部品をトレーから取り出すときの取り出し易さを確保するために、トレーの各部品の受け部の寸法を部品の外形寸法よりも大きくしてガタを持たせる必要がある。また、トレーを積み重ねたとき、上側のトレーの底面が下側のトレー上の部品の上面の少なくとも一部を押えて部品を固定するため、トレーを積み重ねた状態でなければ部品を固定できない。
【0005】
このような構造では、特にトレーを積み重ねていない状態で運搬する際に、トレー内で部品が上記ガタの範囲内で動いてしまい、運搬中に部品に衝撃が加わり、特に内部で微細配線がなされている部品では配線が断線するなどの故障の原因となる場合があった。また、運搬中に少しの振動で部品がトレーから落下し、損傷してしまうことがある。
【0006】
さらに、部品実装装置において、トレー上の部品を搭載ヘッドの吸着ノズルで吸着するときに、各部品がトレー内で動いてしまっており、予め決められた部品位置からずれ、しかもその位置ずれにばらつきがある。このため、正確に部品の中心を吸着することができず、吸着をミスしてしまう場合もある。また、吸着した部品の姿勢の認識精度が悪くなるという問題があった。
【0007】
本発明の課題は、このような問題を解決し、部品供給トレーにおいて、簡単安価な構造により、トレーに電子部品を搭載してからトレーを部品実装装置への電子部品の供給に使用する直前まではトレー上の電子部品を確実に固定しておくことができ、供給に使用する時にはトレー上の電子部品を支障なく容易に取り出せるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するための本発明は、
部品実装装置に電子部品を供給するための部品供給トレーであって、
電子部品を固定するために粘着力が可変な粘着シートがトレー底部に貼付され、電子部品をトレーから取り出すときには、該粘着シートの粘着力が低下されることを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、
部品実装装置に電子部品を供給するための部品供給トレーであって、
電子部品を固定するために粘着力が可変な粘着剤がトレー底部に塗布され、電子部品をトレーから取り出すときには、該粘着剤の粘着力が低下されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明のトレーの構造によれば、トレーに電子部品を搭載してからトレーを部品実装装置への電子部品の供給に使用するまでは、粘着シートないし粘着剤の高い粘着力によりトレー上に電子部品を確実に固定しておくことができる。また、トレーを電子部品の供給に使用する時には、粘着力を低下させることにより、トレー上の電子部品を支障なく容易に取り出すことができる。そして、本発明のトレーの構造は簡単で安価に実施できるという優れた効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【実施例1】
【0012】
図1は、本発明の実施例1の部品供給トレーを用いる部品実装装置(チップマウンタ)の要部の構成を示している。
【0013】
図1において、1は搭載ヘッドであり、それぞれ回路基板16に搭載する不図示の電子部品を吸着して保持する複数の吸着ノズル1aを備え、更に、詳しく図示していないが、吸着ノズル1aをZ軸方向(上下方向)に移動させる機構と、θ軸(ノズル軸)を中心に回転させる機構を備えている。搭載ヘッド1はX軸方向に移動できるようにX軸ガントリ2に取り付けられている。X軸ガントリ2はY軸方向に移動できるようにY軸ガントリ3に取り付けられている。また、部品実装装置には、吸着ノズル1aに吸着された電子部品の姿勢を認識する2次元カメラを使用した認識装置4が固定されている。また、詳しく図示していないが、テープに保持された小型の電子部品を供給する電子部品供給装置5が部品実装装置の前面側に設けられている。
【0014】
LSIなどの大型の電子部品は、これを収容した部品供給トレー(以下、トレーと略す)6から供給される。図7に示すように、それぞれ電子部品を収容した複数のトレー6が部品実装装置17と別体の部品供給ラック14内に収容され、ラック14の移動によって部品実装装置17の所まで運搬される。そしてラック14内のトレー6が自動的に或いは手動で矢印で示すように移動されて、順次ラック14から取り出され、図1に示す部品実装装置の背面側の所定のセット位置にセットされる。トレー6のセット位置の下方近傍には、セットされたトレー6を加熱するためのヒーター11が設けられている。
【0015】
以上の構成において、不図示のX軸モータとY軸モータの駆動により、搭載ヘッド1がX軸ガントリ2に沿ってX軸方向に移動すると共に、X軸ガントリ2と共にY軸方向に移動する。また、不図示のZ軸モータとθ軸モータの駆動により、搭載ヘッド1の各吸着ノズル1aが昇降すると共に、ノズル軸を中心に回転する。
【0016】
電子部品の搭載時には、まず搭載ヘッド1が電子部品供給装置5の部品供給位置上またはトレー6上に移動された後、各吸着ノズル1aが下降して供給装置5上またはトレー6上の電子部品を吸着し、上昇する。そして各ノズル1aが認識装置4上に移動するように搭載ヘッド1が移動され、各ノズル1aに吸着された電子部品の姿勢が認識される。その後、各ノズル1aが回路基板16上で各ノズル1aに吸着された部品を実装する位置上に移動するように搭載ヘッド1が移動され、各ノズル1aが下降して電子部品が回路基板16に接触する位置で吸着を解除することにより、電子部品が実装位置に搭載される。このような動作の繰り返しにより、回路基板16上に各種の電子部品が順次搭載される。この動作に伴ってトレー6上の電子部品がなくなったら、そのトレー6がセット位置から取り除かれた後、ラック14から電子部品を満載した次の1枚のトレー6が取り出されて部品実装装置内のトレーセット位置にセットされ、部品供給に使用される。
【0017】
図2および図3はトレー6の構造を示している。トレー6は、熱剥離シート10を貼り付けた部品供給プレート8の上面に格子状の部品仕切り板9が取り付けられ、仕切り板で仕切られたスペースに電子部品が収納される構造となっている。
【0018】
部品供給プレート8は、その上面に電子部品7を載せるトレー本体であり、これに部品仕切り板9を取り付けてトレー6とした状態では、部品供給プレート8の上面がトレー6の底面となる。
【0019】
部品仕切り板9は、トレー6上に収容する複数の電子部品7のそれぞれの収容スペースを仕切るものであり、部品供給プレート8と別体であって、プレート8の上面に熱剥離シート10を介して固定される。
【0020】
熱剥離シート10は、両面が粘着性の粘着シートであり、熱(赤外線)を加えることにより、両面の粘着力が低下する。すなわち、加熱によって、粘着力が高い状態から低い状態へと変化する。なお、1回の加熱によって粘着力を一度低下させたら、粘着力を回復させることはできない。詳しく図示していないが、熱剥離シート10は、ポリエステル樹脂などからなるシート基材の両面に熱剥離粘着剤の層が形成されたものとなっており、部品供給プレート8の上面に貼り付けられる。なお、部品供給プレート8に貼り付けられる前の単体の状態では、両面の熱剥離粘着剤層のそれぞれの表面に保護用のセパレータのフィルムが貼り付けられており、それを剥がしてプレート8に貼り付けられる。熱剥離シート10の熱剥離粘着剤は、例えば90℃程度の温度で粘着力が低下し、殆どなくなる。90℃程度の温度ならば、トレー6上の電子部品7に対する影響は全く問題ない。このような熱剥離シート10として、例えば日東電工株式会社製のリバアルファ(商標名)などを用いることができる。
【0021】
このような熱剥離シート10を部品供給プレート8の上面に貼り付けた後、熱剥離シート10の上面の熱剥離粘着剤層に部品仕切り板9を貼り付けて固定してトレー6が構成される。なお、部品仕切り板9は、熱剥離シート10を部品供給プレート8へ貼り付ける作業を容易にするために、トレー本体である部品供給プレート8と別体とされ、熱剥離シート10を介して部品供給プレート8に着脱可能に取り付けられるようになっている。
【0022】
最初に熱剥離シート10を部品供給プレート8に貼り付けてから電子部品7を搭載したトレー6を部品実装装置のトレーセット位置にセットして電子部品の供給に使用する直前までは、トレー6の熱剥離シート10を加熱せず、その粘着力を高く維持する。すなわち、トレー6への電子部品7の搭載と、電子部品7を搭載したトレー6の部品実装装置までの運搬は熱剥離シート10の粘着力が高い状態でなされる。
【0023】
トレー6に電子部品7を搭載するときには、各部品7をトレー6上で部品仕切り板9により仕切られた各部品収容スペース内で所定位置に位置決めした後、トレー6の底面上の熱剥離シート10に対して軽く押し付け、部品7のボディ下面を熱剥離シート10に貼り付けて固定する。このようにして部品7を搭載したトレー6を図7で説明したように、部品供給ラック14に格納し、ラック14を移動させて部品実装装置17の所まで運搬する。
【0024】
その後、先述したように、ラック14からトレー6が順次1つずつ取り出され、部品実装装置17内で図1に示されたトレーセット位置にセットされ、部品供給に使用される。ここでトレー6のセットに応じて不図示の機械的ないし光学的なスイッチがオンとなってヒーター11の電源が投入され、ヒーター11が予め決められた時間のトレー6の加熱、すなわちトレー6の熱剥離シート10の加熱を開始する。加熱の設定温度は、熱剥離シート10の粘着力が低下する熱剥離温度より少し高い温度で例えば95℃とし、この設定温度を所定時間、例えば5分間保持した後、ヒーター11の電源を切る。この加熱により、トレー6の熱剥離シート10は図4の拡大断面図で示す高い粘着力の状態から、図5に符号10′で示す粘着力が殆どなくなった状態になる。この状態になってから、図1の回路基板16への電子部品の搭載動作が先述したように行われる。その搭載動作において、図6の拡大図に示すように、トレー6の熱剥離シート10′上の電子部品7を吸着ノズル1aで吸着して取り出すが、熱剥離シート10′は粘着力が殆どなくなっているので、取り出しを支障なく容易に行うことができる。
【0025】
以上のような本実施例によれば、トレー6上の電子部品7は、トレー6に搭載されてから、トレー6が部品実装装置にセットされて部品供給に使用される直前まで、熱剥離シート10の高い粘着力で確実に固定されている。したがって、トレーの部品実装装置までの運搬中に振動などでトレー上の電子部品が移動することが全くなく、従来例のようにガタによる衝撃で部品内部の配線が断線するなどの故障や部品の落下などの問題の発生がなくなる。また、トレー上に部品を固定した状態のままトレーを運搬することができるので、トレーの運搬に関わる取り扱いが楽になる。また、トレー上に部品を位置決めして搭載してから部品実装装置でトレー上の部品を吸着ノズルで吸着するまで、トレー上の部品の位置が変わらない。したがって、部品の吸着時に正確に部品の中心を吸着することができ、吸着ミスが少なくなり、部品認識精度も向上し、ひいては部品の基板上への搭載精度も向上する。しかも本実施例のトレーの構造は簡単であり安価に実施できる。
【0026】
なお、本実施例では、部品実装装置内のトレーセット位置でヒーター11によりトレー6の熱剥離シート10を加熱するものとしたが、ヒーター11を部品供給ラック14に設け、1つのトレー6をラック14から取り出して部品実装装置17にセットする前に、そのトレー6をラック14内で加熱するようにしてもよい。また、トレー6の熱剥離シート10をヒーター11で下方から加熱するものとしたが、上方からの赤外線照射により加熱してもよい。
【0027】
また、熱剥離シート10は、両面に熱剥離粘着剤層が形成されたものとしたが、電子部品7を固定する側の上面に熱剥離粘着剤層が形成され、部品供給プレート8に貼り付けられる下面に通常の粘着剤、すなわち加熱により粘着力が低下しない粘着剤の層が形成されたものとしてもよい。ただし、トレー6を再使用することを考慮すると、両面に熱剥離粘着剤層を形成した方が使用後に熱剥離シート10をトレー6から剥ぎ取る手間がかからない点で有利である。
【実施例2】
【0028】
図8〜図10は、実施例2のトレー13の構造を説明するもので、トレー13において部品仕切り板9により仕切られた複数の部品収容スペースの内で1つの部品収容スペースの部分だけ示してある。部品仕切り板9は、トレー13の本体すなわち底部と別体で本体に着脱可能に取り付けられるものとしてもよいし、トレー本体と一体に設けられるものとしてもよい。
【0029】
トレー13は、電子部品として、四辺の側面にリード12aが突設されたQFP(quad flat package:四辺形平面パッケージ)12を収容するものとされている。このため、トレー13の各部品収容スペースの底部には、形状と寸法がQFP12のボディと略同じ(一回り小さくても良い)の平坦な凸部13aが形成され、その周囲は凹部13bとなっている。凸部13aの上面の全面に熱剥離シート10が貼り付けられている。QFP12は、ボディの位置を凸部13aに合わせて、ボディ下面を熱剥離シート10に貼り付けることにより、図8及び図10に示すように、部品収容スペース内に固定される。この時、図10に示すように、QFP12のリード12aは、トレー13の凹部13b上に浮いており、トレー13に接触しないようになっている。
【0030】
このようなトレー13は、実施例1のトレー6と全く同様に使用し、部品実装装置内のトレーのセット位置にセットしたときに加熱し、図9に符号10′で示すように熱剥離シートを粘着力が殆どない状態とし、吸着ノズルによるQFP12の取り出しを支障なく容易に行なえるようにする。
【0031】
以上のような本実施例のトレー13によれば、実施例1のトレー6と同様の効果が得られる。更に、QFP12をトレー13に搭載して固定するときに、リード12aをトレー13に接触させずに固定できるので、リード12aに外力が加わることがなく、その外力によるリード12aの変形などの問題を防止することができる。
【実施例3】
【0032】
図11は実施例3のトレー6を示している。トレー6は実施例1のトレー6と共通の部品供給プレート8と部品仕切り板9からなる。本実施例では部品仕切り板9は部品供給プレート8に着脱可能に取り付けられている。また、トレー6の部品仕切り板9で仕切られた部品収容スペースのそれぞれの底面(部品供給プレート8の上面)には熱剥離粘着剤18が塗布されている。熱剥離粘着剤18は実施例1に用いた熱剥離シート10のシート基材の両面に塗布されたものと同じものを用い、仕切り板で仕切られた各部品収納スペースにディスペンサ15を用いて塗布される。
【0033】
図11では図示していない電子部品をトレー6の各部品収容スペースに搭載し、電子部品のボディの下面を熱剥離粘着剤18に貼り付けて電子部品を固定する。そして本実施例のトレー6も実施例1のトレー6と同様に使用し、部品実装装置内のトレーのセット位置にセットしたときに加熱し、熱剥離粘着剤18の粘着力が殆どない状態として、吸着ノズルによる電子部品の取り出しを支障なく容易に行なえるようにする。本実施例のトレー6も実施例1のトレー6と同様の効果が得られる。
【0034】
なお、実施例2のトレー13において凸部13aのそれぞれの上面に熱剥離シート10を貼り付ける代わりに、本実施例のように熱剥離粘着剤を塗布するものとしてもよい。
【0035】
また、実施例1,2のトレーにおいて、熱剥離シート10の代わりに、紫外線を照射することにより粘着力が低下する粘着シートである紫外線剥離シートを用いてもよい。この場合、部品を搭載したトレーを部品実装装置にセットした時に紫外線を照射して紫外線剥離シートの粘着力を低下させる。紫外線剥離シートとしては、例えば古河電気工業(株)製のUVテープ(商品名)や、リンテック(株)製のAdwill(商標名)DシリーズUV硬化型ダイシングテープなどを用いることができる。これらの紫外線剥離シートは、シート基材の表面に紫外線照射により粘着力が低下する紫外線剥離粘着剤を塗布したものである。
【0036】
また、実施例3のトレー6において、熱剥離粘着剤14の代わりに紫外線剥離粘着剤を塗布した構造としてもよい。さらに、実施例1〜3のトレーにおいて、熱剥離シートないし熱剥離粘着剤の代わりに、加熱と紫外線照射以外の手段で粘着力を変化させる(低下させる)ことができるものを用いることも考えられる。
【0037】
なお、本発明に係る部品供給トレーに収容する電子部品の種類は、実施例2のQFPに限定されないことは勿論であり、SOP(small outline package)やSOJ(small outline j-leaded package)などの他のリード部品でもよく、BGA(ball grid array)やCSP(chip size package)などのボール状の端子を持ったボール部品でもよい。また、コンデンサや抵抗などのチップ部品でもよく、ベアチップやフィリップチップなどのウエハ状のチップでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施例1の部品供給トレーを用いる部品実装装置の要部の構成を示す斜視図である。
【図2】実施例1の部品供給トレーの構造を示す斜視図である。
【図3】同トレーの本体から部品仕切り板を取り外した状態を示す斜視図である。
【図4】同トレーの縦断側面図である。
【図5】同トレーを加熱している状態を示す縦断側面図である。
【図6】同トレーから電子部品を吸着して取り出す様子を示す側面図である。
【図7】部品供給ラックからトレーが取り出されて部品実装装置にセットされる様子を示す説明図である。
【図8】実施例2のトレーの1つの部品収容部分を示す斜視図である。
【図9】同トレーの1つの部品収容部分から部品のQFPを取り出す様子を示す斜視図である。
【図10】同トレーの1つの部品収容部分の縦断側面図である。
【図11】実施例3のトレーの構造を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0039】
1 搭載ヘッド
2 X軸ガントリ
3 Y軸ガントリ
4 認識装置
5 電子部品供給装置
6,13 部品供給トレー
7 電子部品
8 部品供給プレート
9 部品仕切り板
10,10′ 熱剥離シート
11 ヒーター
12 QFP
14 部品供給ラック
15 ディスペンサ
16 回路基板
17 部品実装装置
18 熱剥離粘着剤
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品実装装置に電子部品を供給するための部品供給トレーであって、
電子部品を固定するために粘着力が可変な粘着シートがトレー底部に貼付され、電子部品をトレーから取り出すときには、該粘着シートの粘着力が低下されることを特徴とする部品供給トレー。
【請求項2】
部品実装装置に電子部品を供給するための部品供給トレーであって、
電子部品を固定するために粘着力が可変な粘着剤がトレー底部に塗布され、電子部品をトレーから取り出すときには、該粘着剤の粘着力が低下されることを特徴とする部品供給トレー。
【請求項3】
部品を仕切って収納する仕切り板が前記粘着シート上に着脱可能に取り付けられることを特徴とする請求項1に記載の部品供給トレー。
【請求項4】
部品を仕切って収納する仕切り板がトレー底部に着脱可能に取り付けられ、仕切り板で仕切られたトレー底部に粘着剤が塗布されることを特徴とする請求項2に記載の部品供給トレー。
【請求項1】
部品実装装置に電子部品を供給するための部品供給トレーであって、
電子部品を固定するために粘着力が可変な粘着シートがトレー底部に貼付され、電子部品をトレーから取り出すときには、該粘着シートの粘着力が低下されることを特徴とする部品供給トレー。
【請求項2】
部品実装装置に電子部品を供給するための部品供給トレーであって、
電子部品を固定するために粘着力が可変な粘着剤がトレー底部に塗布され、電子部品をトレーから取り出すときには、該粘着剤の粘着力が低下されることを特徴とする部品供給トレー。
【請求項3】
部品を仕切って収納する仕切り板が前記粘着シート上に着脱可能に取り付けられることを特徴とする請求項1に記載の部品供給トレー。
【請求項4】
部品を仕切って収納する仕切り板がトレー底部に着脱可能に取り付けられ、仕切り板で仕切られたトレー底部に粘着剤が塗布されることを特徴とする請求項2に記載の部品供給トレー。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−273335(P2006−273335A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−90425(P2005−90425)
【出願日】平成17年3月28日(2005.3.28)
【出願人】(000003399)JUKI株式会社 (1,557)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月28日(2005.3.28)
【出願人】(000003399)JUKI株式会社 (1,557)
【Fターム(参考)】
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