説明

部品実装システム、部品実装方法、基板貼付状態検出装置、動作条件データ作成装置、基板貼付装置、部品搭載装置および検査装置

【課題】治具に基板を貼付して部品の実装を行う場合にも、実装不良が発生するのを抑制することが可能な部品実装システムを提供する。
【解決手段】この部品実装システム1は、基板貼付装置200と、治具3に対するFPC2の貼付状態を検出し、貼付状態に基づいて動作条件データを作成するとともに、FPC2上にマスク350を介して半田を印刷する半田印刷機300と、部品搭載装置400と、管理コンピュータ700とを備えている。管理コンピュータ700は、動作条件データに基づいて、治具3にFPC2を貼付する際の貼付位置を補正するフィードバック制御、および、FPC2に部品を搭載する際の搭載位置を補正する制御を基板貼付装置200または部品搭載装置400に対して行うように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、部品実装システム、部品実装方法、基板貼付状態検出装置、動作条件データ作成装置、基板貼付装置、部品搭載装置および検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、部品搭載装置を備えた部品実装システムが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1の部品実装システムは、印刷前の基板を検査する基板検査装置と、所定のパターンの開口を有するマスクを介して基板に半田を印刷する印刷装置と、印刷後の基板を検査する印刷基板検査装置と、半田を印刷した後の基板に部品を搭載する部品搭載装置と、部品を搭載した基板に熱処理を行うリフロー装置とを備えている。基板検査装置においては、基板が撮像されるとともに、その撮像画像に基づいて、基板に対する電極パターンの位置ずれ傾向が検出される。その後、印刷装置において、基板検査装置において検出された位置ずれ傾向に基づいて、基板とマスクとの位置合わせを行う際の基板の位置が補正される。これにより、基板に対して電極パターンの位置がずれている場合にも、電極パターンとマスクの開口との位置がずれるのを抑制することが可能であるので、印刷不良が生じるのを抑制することが可能である。また、印刷工程の後、印刷基板検査装置において基板が撮像されるととともに、基板に印刷された半田の位置が認識される。そして、部品搭載装置においては、印刷基板検査装置において認識された半田の位置に合うように部品を搭載する位置が補正される。
【0004】
その一方、従来、比較的小さな基板に部品を実装する場合には、複数の基板を治具に貼付した状態で印刷工程、部品の搭載工程、リフロー工程などを行う場合がある。この場合、治具に貼付される複数の基板のそれぞれの位置は予め設定されているとともに、マスクの開口のパターンは、予め設定された基板の位置および基板上の電極パターンに合わせて形成されている。印刷を行う際には、治具を動かすことによりマスクの開口と複数の基板のそれぞれの電極パターンとの位置合わせが行われる。この場合、基板が治具に対して予め設定された所定の位置に貼付されている場合には、印刷する際に、治具を動かすことによりマスクと複数の基板(の電極パターン)との位置合わせを容易に行うことが可能である。ここで、上記特許文献1の部品搭載位置の補正を上記治具に基板を貼付して印刷を行う構成に適用することが考えられる。この場合には、治具に貼付された基板に対して、半田が印刷された位置に部品を搭載するように部品搭載位置が補正される構成となる。
【0005】
【特許文献1】特許第03685035号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、実際に基板を治具に貼付する場合、基板を治具に対して予め設定された所定の位置に正確に貼付することは困難であり、治具に対して基板の位置がずれることも少なくない。このように、治具に対する基板の位置がずれている場合には、基板に対する電極パターンの位置ずれ傾向に基づいて治具を動かして補正を行っても、マスクと基板との位置が合わないので、基板の印刷位置からずれた位置に半田が印刷されてしまい、その結果、基板上の電極パターンと印刷された半田の位置とがずれるので、半田が印刷された位置に部品を搭載するように部品搭載位置を補正して部品を搭載したとしても、部品と基板とが接続されず、その結果、実装不良が生じるという問題点がある。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、治具に基板を貼付して部品の実装を行う場合にも、実装不良が発生するのを抑制することが可能な部品実装システム、部品実装方法、基板貼付状態検出装置、印刷条件データ作成装置、基板貼付装置、部品搭載装置および検査装置を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0008】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面による部品実装システムは、治具に複数の基板を貼付する基板貼付部と、治具に対する複数の基板のそれぞれの貼付位置を含む貼付状態を検出する貼付状態検出部と、治具に対する複数の基板のそれぞれの貼付位置を含む貼付状態に基づいて、動作条件データを作成する動作条件データ作成部と、基板上にマスクを介して半田を印刷する印刷部と、半田が印刷された基板に部品を搭載する部品搭載装置と、制御部とを備え、制御部は、動作条件データ作成部により作成された動作条件データに基づいて、治具に基板を貼付する際の貼付位置を補正するフィードバック制御、または、基板に部品を搭載する際の搭載位置を補正する制御の少なくとも一方を基板貼付部または部品搭載装置に対して行うように構成されている。
【0009】
この第1の局面による部品実装システムでは、上記のように、治具に対する複数の基板のそれぞれの貼付位置を含む貼付状態に基づいて動作条件データを作成することによって、複数の基板のそれぞれが予め設定された位置からずれて治具に貼付されている場合にも、治具に対する複数の基板のそれぞれの位置ずれに対応するように基板貼付装置および部品搭載装置の動作条件データを作成することができる。この動作条件データに基づいて、治具に基板を貼付する際の貼付位置を補正するフィードバック制御を行うようにすれば、基板の貼付位置が設定位置からずれている場合にも、次に基板を治具に貼付する際に、設定位置に貼付するように基板貼付装置を制御することができる。これにより、治具に対する基板の位置ずれが生じるのが抑制されるので、部品の実装不良が生じるのを抑制することができる。また、動作条件データに基づいて、基板に部品を搭載する際の搭載位置を補正するようにすれば、治具に対して複数の基板のそれぞれが設定位置からずれて貼付されている場合にも、その位置ずれに合わせて部品の搭載位置を補正することができるので、部品の搭載位置がずれるのを抑制することができる。これによっても、部品の実装不良が生じるのを抑制することができる。
【0010】
上記第1の局面による部品実装システムにおいて、好ましくは、動作条件データ作成部は、貼付状態検出部により検出された貼付状態に基づいて、印刷部において印刷を行う際のマスクに対する治具の位置を補正する動作条件データを作成するように構成されており、部品搭載装置は、動作条件データに基づいて、基板に対する部品の搭載位置を補正するように構成されている。このように構成すれば、治具に対する基板の貼付状態に基づいて、印刷を行う際のマスクに対する治具の位置の補正と、部品の搭載位置の補正とが行われるので、治具に対して基板がずれて貼付されている場合にも、半田が印刷された場所に確実に部品を搭載することができる。
【0011】
上記第1の局面による部品実装システムにおいて、好ましくは、貼付状態検出部は、基板の治具に対する反り状態を検出する反り検出部を含み、動作条件データ作成部は、反り状態にも基づいて動作条件データを作成するように構成されている。このように構成すれば、実装不良の原因となる基板の反りに対応して実装処理を行うことができるので、基板の反りに起因して実装不良が生じるのを抑制することができる。
【0012】
上記第1の局面による部品実装システムにおいて、好ましくは、動作条件データ作成部は、貼付状態検出部により検出された貼付状態に基づいて、複数の基板のうち、部品の実装を中止すべき基板があるか否かを判定するとともに、実装を中止すべき基板があった場合に、部品の実装を中止すべき基板を特定する動作条件データを作成するように構成されており、部品搭載装置は、動作条件データに基づいて、特定された基板については部品の搭載対象から除外するように構成されている。このように構成すれば、部品の実装を中止すべきと判定された基板については部品の搭載が行われないので、余計な部品の消費を抑制することができる。
【0013】
上記第1の局面による部品実装システムにおいて、好ましくは、部品搭載装置より下流側に設けられたリフロー装置と、半田の印刷後でかつ部品搭載前の印刷基板を検査する印刷基板検査部、部品搭載後でかつリフロー前の実装基板を検査する実装基板検査部、またはリフロー後のリフロー基板を検査するリフロー基板検査部の内少なくとも1つとをさらに備え、制御部は、動作条件データ作成部により作成された動作条件データに基づいて、印刷基板検査部、実装基板検査部またはリフロー基板検査部において基板を検査する際の検査位置を補正するように構成されている。このように構成すれば、治具に対して基板の位置がずれている場合にも、その基板のずれを考慮した検査位置を印刷基板検査部、実装基板検査部またはリフロー基板検査部により検査することができる。これにより、治具に対する基板の位置がずれている場合にも、検査するべき位置と実際に検査した場所とがずれてしまうのを抑制することができるので、より正確な検査を行うことができる。
【0014】
この場合、好ましくは、動作条件データ作成部は、貼付状態検出部により検出された貼付状態に基づいて、複数の基板のうち、部品の実装を中止すべき基板があるか否かを判定するとともに、実装を中止すべき基板があった場合に、部品の実装を中止すべき基板を特定することにより動作条件データを作成するように構成されており、印刷基板検査部、実装基板検査部またはリフロー基板検査部のうち少なくともいずれか1つは、動作条件データに基づいて、特定された基板については検査対象から除外するように構成されている。このように構成すれば、部品の実装を中止すべきと判定された基板については、印刷基板検査部、実装基板検査部またはリフロー基板検査部による検査が行われないので、部品実装システムの生産効率を向上させることができる。
【0015】
上記第1の局面による部品実装システムにおいて、好ましくは、貼付状態検出部は、印刷前の治具および基板を撮像する撮像部を含み、治具は、複数の第1位置基準マークを有しており、基板は、基板上の電極パターンにおける部分パターンおよび電極パターンとは独立のマークの内少なくともいずれかにより構成されている複数の第2位置基準マークを有しており、貼付状態検出部は、撮像部により撮像された第1位置基準マークおよび第2位置基準マークの位置に基づいて、基板の治具に対する貼付位置を検出するように構成されている。このように構成すれば、治具に対する複数の基板のそれぞれの位置を容易に検出することができる。
【0016】
この発明の第2の局面による部品実装方法は、治具に複数の基板を貼付する工程と、治具に対する複数の基板のそれぞれの貼付位置を含む貼付状態を検出する工程と、治具に対する複数の基板のそれぞれの貼付位置を含む貼付状態に基づいて動作条件データを作成する工程と、基板上に半田を印刷する工程と、半田を印刷した後の基板に部品を搭載する工程とを備え、治具に基板を貼付する工程および基板に部品を搭載する工程の少なくともいずれかは、動作条件データに基づいて治具に基板を貼付する際の貼付位置を補正するフィードバック制御を行う工程、または、動作条件データに基づいて基板に部品を搭載する際の搭載位置を補正する制御を行う工程を含む。
【0017】
この第2の局面による部品実装方法では、上記のように、治具に対する複数の基板のそれぞれの貼付位置を含む貼付状態に基づいて動作条件データを作成することによって、複数の基板のそれぞれが予め設定された位置からずれて治具に貼付されている場合にも、治具に対する複数の基板のそれぞれの位置ずれに対応するように治具に基板を貼付する工程および基板に部品を搭載する工程の動作条件データを作成することができる。この動作条件データに基づいて、治具に基板を貼付する際の貼付位置を補正するフィードバック制御を行うようにすれば、基板の貼付位置が設定位置からずれている場合にも、次に基板を治具に貼付する際に、設定位置に貼付するように制御することができる。これにより、治具に対する基板の位置ずれが生じるのが抑制されるので、部品の実装不良が生じるのを抑制することができる。また、動作条件データに基づいて、基板に部品を搭載する際の搭載位置を補正するようにすれば、治具に対して複数の基板のそれぞれが設定位置からずれて貼付されている場合にも、その位置ずれに合わせて部品の搭載位置を補正することができるので、部品の搭載位置がずれるのを抑制することができる。これによっても、部品の実装不良が生じるのを抑制することができる。
【0018】
この発明の第3の局面による基板貼付状態検出装置は、治具および治具に貼付された複数の基板のそれぞれを撮像する撮像部と、制御部とを備え、制御部は、撮像部により撮像された治具および基板の撮像画像に基づいて、治具に対する前記複数の基板のそれぞれの貼付位置を含み、基板貼付部および部品搭載装置の少なくともいずれかの動作を補正するための動作条件データを作成するための貼付状態データを取得するように構成されている。
【0019】
この第3の局面による基板貼付状態検出装置では、上記のように、治具に対する複数の基板のそれぞれの貼付位置を含み、基板貼付部および部品搭載装置の少なくともいずれかの動作を補正するための動作条件データを作成するための貼付状態データを取得することによって、複数の基板のそれぞれが予め設定された位置からずれて治具に貼付されている場合にも、治具に対する複数の基板のそれぞれの位置ずれに対応するように基板貼付部および部品搭載装置の動作条件データを作成することができる。この動作条件データに基づいて、治具に基板を貼付する際の貼付位置を補正するフィードバック制御を行うようにすれば、基板の貼付位置が設定位置からずれている場合にも、次に基板を治具に貼付する際に、設定位置に貼付するように基板貼付部を制御することができる。これにより、治具に対する基板の位置ずれが生じるのが抑制されるので、部品の実装不良が生じるのを抑制することができる。また、動作条件データに基づいて、基板に部品を搭載する際の搭載位置を補正するようにすれば、治具に対して複数の基板のそれぞれが設定位置からずれて貼付されている場合にも、その位置ずれに合わせて部品の搭載位置を補正することができるので、部品の搭載位置がずれるのを抑制することができる。これによっても、部品の実装不良が生じるのを抑制することができる。
【0020】
この発明の第4の局面による動作条件データ作成装置は、治具に対する複数の基板のそれぞれの貼付位置を含む貼付状態に基づいて、基板貼付部および部品搭載装置の少なくともいずれかの動作を補正するための動作条件データを作成する。
【0021】
この第4の局面による動作条件データ作成装置では、上記のように、治具に対する複数の基板のそれぞれの貼付位置を含む貼付状態に基づいて、基板貼付部および部品搭載装置の少なくともいずれかの動作を補正するための動作条件データを作成することによって、複数の基板のそれぞれが予め設定された位置からずれて治具に貼付されている場合にも、治具に対する複数の基板のそれぞれの位置ずれに対応するように基板貼付部および部品搭載装置を制御することができる。この動作条件データに基づいて、治具に基板を貼付する際の貼付位置を補正するフィードバック制御を行うようにすれば、基板の貼付位置が設定位置からずれている場合にも、次に基板を治具に貼付する際に、設定位置に貼付するように基板貼付部を制御することができる。これにより、治具に対する基板の位置ずれが生じるのが抑制されるので、部品の実装不良が生じるのを抑制することができる。また、動作条件データに基づいて、基板に部品を搭載する際の搭載位置を補正するようにすれば、治具に対して複数の基板のそれぞれが設定位置からずれて貼付されている場合にも、その位置ずれに合わせて部品の搭載位置を補正することができるので、部品の搭載位置がずれるのを抑制することができる。これによっても、部品の実装不良が生じるのを抑制することができる。
【0022】
この発明の第5の局面による基板貼付装置は、治具に複数の基板を貼付する基板貼付機構部と、制御部とを備え、制御部は、治具に対する複数の基板のそれぞれの貼付位置を含む貼付状態に基づいて作成された動作条件データに基づいて、治具に基板を貼付する際の貼付位置を補正するように基板貼付機構部に対してフィードバック制御するように構成されている。
【0023】
この第5の局面による基板貼付装置では、上記のように、治具に対する複数の基板のそれぞれの貼付位置を含む貼付状態に基づいて作成された動作条件データに基づいて、治具に基板を貼付する際の貼付位置を補正することによって、治具に基板を貼付する際の貼付位置を補正するフィードバック制御を行うことができる。これにより、基板の貼付位置が設定位置からずれている場合にも、次に基板を治具に貼付する際に、設定位置に貼付するように基板貼付装置を制御することができる。これにより、治具に対する基板の位置ずれが生じるのが抑制されるので、部品の実装不良が生じるのを抑制することができる。
【0024】
この発明の第6の局面による部品搭載装置は、治具に貼付された複数の基板のそれぞれに部品を搭載する部品搭載機構部と、制御部とを備え、制御部は、治具に対する複数の基板のそれぞれの貼付位置を含む貼付状態に基づいて作成された動作条件データに基づいて、基板に部品を搭載する際の搭載位置を補正するように品搭載機構部を制御するように構成されている。
【0025】
この第6の局面による部品搭載装置では、上記のように、治具に対する複数の基板のそれぞれの貼付位置を含む貼付状態に基づいて作成された動作条件データに基づいて、基板に部品を搭載する際の搭載位置を補正することによって、治具に対して複数の基板のそれぞれが設定位置からずれて貼付されている場合にも、その位置ずれに合わせて部品の搭載位置を補正することができるので、部品の搭載位置がずれるのを抑制することができる。これにより、部品の実装不良が生じるのを抑制することができる。
【0026】
この発明の第7の局面による検査装置は、治具に貼付された複数の基板に対して、印刷後でかつ部品搭載前の印刷基板の検査、部品搭載後でかつリフロー前の実装基板の検査、またはリフロー後のリフロー基板の検査の内いずれかの検査を実施する検査機構部と、制御部とを備え、制御部は、治具に対する複数の基板のそれぞれの貼付位置を含む貼付状態に基づいて作成された動作条件データに基づいて、基板を検査する際の検査位置を補正するように検査機構部を制御するように構成されている。
【0027】
この第7の局面による検査装置では、上記のように、治具に対する複数の基板のそれぞれの貼付位置を含む貼付状態に基づいて作成された動作条件データに基づいて、基板を検査する際の検査位置を補正することによって、治具に対して複数の基板のそれぞれが設定位置からずれて貼付されている場合にも、その位置ずれに合わせて部品の検査位置を補正することができるので、部品の検査位置がずれるのを抑制することができる。これにより、部品の実装不良が生じるのを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0029】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態による部品実装システムの全体構成を示すシステム図である。図2は、搬送用の治具に実装対象の基板が貼付された状態を示す平面図である。まず、図1および図2を参照して、本発明の第1実施形態による部品実装システムの構造について説明する。
【0030】
図1に示すように、本発明の第1実施形態による部品実装システム1は、サイズの小さいフレキシブルプリント配線基板2(以下、FPC2)(図2参照)に部品(図示せず)を実装するシステムであり、治具供給装置100、基板貼付装置200、半田印刷機300、部品搭載装置(表面実装機)400、リフロー炉500および検出装置600がX方向に直線上に接続された構成を有している。FPC2が搬送用の治具3に貼付された状態でコンベアを介して矢印X1方向に搬送されながら、各装置(治具供給装置100、基板貼付装置200、半田印刷機300、部品搭載装置400、リフロー炉500および検出装置600)においてFPC2に対してそれぞれの工程が施されることにより、部品が実装されたFPC2が生産される。具体的には、治具供給装置100は、FPC2の保持・搬送用の治具3を供給し、基板貼付装置200は、複数のFPC2を治具3に貼付するように構成されている。また、半田印刷機300は、治具3に貼付された複数のFPC2の電極パターン上にペースト状の半田を印刷し、部品搭載装置400は、半田が印刷された各FPC2上に部品を搭載するように構成されている。リフロー炉500は、部品搭載後の複数のFPC2に対して治具3に貼付された状態で加熱処理を行うことにより、FPC2の電極と部品の端子とを半田付けするように構成されている。検査装置600は、半田付け後のFPC2を画像認識するとともに、その撮像画像に基づいて実装状態の検査を行うように構成されている。
【0031】
各装置(治具供給装置100、基板貼付装置200、半田印刷機300、部品搭載装置400、リフロー炉500および検査装置600)は、それぞれが制御装置を有する自立型の装置であり、各装置の動作は、各装置の制御装置により個別に制御されるように構成されている。また、部品実装システム1は、各装置と接続される管理コンピュータ700を有している。管理コンピュータ700には、部品実装システム1の生産に関する情報が記憶されている。部品実装システム1は、管理コンピュータ700と各装置とが互いに情報を随時送受信しながら部品が実装されたFPC2の生産を行うように構成されている。
【0032】
また、図2に示すように、治具3は矩形状の板状部材であり、表面にシリコンラバーなどの粘着物質層が設けられている。治具3の対角線上の2つの角部には、それぞれ位置基準マーク3aが形成されている。また、FPC2も矩形状に形成されており、4つの角部にそれぞれ位置基準マーク2aが形成されている。なお、位置基準マーク2aおよび位置基準マーク3aは、それぞれ、本発明の「第2位置基準マーク」および「第1位置基準マーク」の一例である。
【0033】
次に、基板貼付装置200、半田印刷機300、部品搭載装置400および検査装置600の構造の説明を行う。なお、治具供給装置100およびリフロー炉500の構造の詳細な説明は省略する。
【0034】
(基板貼付装置)
図3は、図1に示した部品実装システムに組み込まれた基板貼付装置を示す平面図である。次に、図3を参照して、基板貼付装置200の構造を説明する。
【0035】
図3に示すように、基板貼付装置200は、基台201上に、コンベア202がX方向に延びるように設けられている。コンベア202は、治具供給装置100のコンベア(図示せず)と接続されており、上流側(矢印X2方向側)から治具3が搬入される。コンベア202の側方には、FPC供給部203が設けられている。FPC供給部203には複数のFPC2がマトリックス状に並べて収納されたパレット250が載置されている。後述するヘッドユニット204によりこのパレット250からFPC2が取り出されて治具3に供給される。また、パレット250の対角線上の2つの角部には、位置基準マーク250aが形成されている。
【0036】
また、基台201の上方には、FPC2を搬送する機能を有するヘッドユニット204が設けられている。ヘッドユニット204は、パレット250から治具3までFPC2を搬送可能なように、XY方向に移動するように構成されている。具体的には、基台201上には、コンベア202の両側にX方向に延びるように一対の固定レール205が設けられているとともに、ヘッドユニット204を支持する支持部材206が基台201に対してX方向に移動可能に固定レール205に装着されている。また、基台201上には、固定レール205に沿ってX方向に延びるように、サーボモータ207により回転されるボールネジ軸208が設けられている。支持部材206はナット部209を有しており、ナット部209はボールネジ軸208に螺合されている。これにより、支持部材206は、サーボモータ207の回転駆動によりX方向に移動するように構成されている。また、支持部材206には、Y方向に延びるガイドレール(図示せず)が設けられているとともに、ヘッドユニット204は支持部材206に対してY方向に移動可能にガイドレールに装着されている。支持部材206には、ガイドレールに沿ってY方向に延びるようにサーボモータ210により回転されるボールネジ軸211が設けられている。ヘッドユニット204はナット部204aを有しており、ナット部204aはボールネジ軸211に螺合されている。これにより、ヘッドユニット204はサーボモータ210の回転駆動により支持部材206に対してY方向に移動するように構成されている。上記の構成により、サーボモータ207およびサーボモータ210が回転駆動されることによって、ヘッドユニット204はXY方向に移動することが可能である。
【0037】
ヘッドユニット204には、上下方向(図3の紙面垂直方向)に延びる軸状のヘッド204bが取り付けられている。ヘッド204bは、ヘッドユニット204に対して上下方向およびR方向(ヘッド204bの軸周りの回転方向)の移動が可能に構成されている。ヘッド204bは、図示しない負圧発生機構により先端部に負圧を発生させることにより、パレット250上のFPC2を吸着することが可能である。また、ヘッドユニット204には、コンベア202上の治具3、パレット250およびパレット250上のFPC2を撮像可能な撮像部204cが取り付けられている。
【0038】
また、基板貼付装置200は、所定のプログラムに基づいて論理演算を実行するCPUと、プログラムなどを予め記憶しているROMと、装置動作中に種々のデータを一時的に記憶するRAMなどから構成された制御装置212とを備えている。制御装置212は、管理コンピュータ700から供給される生産プログラムなどに基づいて、サーボモータ207、サーボモータ210、撮像部204c、および、ヘッド204bの負圧発生機構などを制御するように構成されている。
【0039】
(半田印刷機)
図4は、図1に示した部品実装システムに組み込まれた半田印刷機を示す側面図である。次に、図4を参照して、半田印刷機300の構成を説明する。
【0040】
図4に示すように、半田印刷機300の基台301上には、印刷ステージ302が設けられている。印刷ステージ302のX方向(図4の紙面垂直方向)の両側には、X方向に延びる搬入用コンベアおよび搬出用コンベア(図示せず)が設けられている。基板貼付装置200によりFPC2が貼付された治具3は、搬入用コンベアにより半田印刷機300に搬入されて印刷ステージ302に載置されるように構成されている。印刷ステージ302において印刷が行われた後の治具3は、搬出用コンベアにより半田印刷機300から搬出されるように構成されている。
【0041】
印刷ステージ302は、治具3を固定する支持ユニット303と、支持ユニット303をX方向、Y方向、Z方向およびR方向(回転方向)に移動可能に支持する4軸ユニット304とを含んでいる。支持ユニット303は、搬入用コンベアにより搬入された治具3の下面を下方から支持する複数の支持ピン303aと、治具3の縁をクランプするクランプ機構303bとを有している。4軸ユニット304は、基台301上に固定される固定テーブル304aと、固定テーブル304aに対してY方向に移動可能に支持されるY軸テーブル304bと、Y軸テーブル304bに対してX方向に移動可能に支持されるX軸テーブル304cと、X軸テーブル304cに対して回転移動可能に支持されるR軸テーブル304dと、R軸テーブル304dに対してZ方向に移動可能に支持される昇降テーブル304eとを有している。Y軸テーブル304b、X軸テーブル304c、R軸テーブル304dおよび昇降テーブル304eは、それぞれ、図示しないサーボモータにより駆動される。支持ユニット303は、昇降テーブル304eにより支持されている。
【0042】
印刷ステージ302の上方には所定のパターンの開口を有するマスク350が固定されている。また、マスク350の上方には、半田ペーストをマスク350上に供給する半田供給部(図示せず)と、マスク350の開口を介して半田ペーストをFPC2上に印刷するためのスキージユニット305とを有する印刷用ヘッド306が設けられている。印刷用ヘッド306は、Y方向に往復移動可能に構成されている。すなわち、マスク350の両側にY方向に延びる一対の固定レール307が設けられており、印刷用ヘッド306を支持する支持部材308は、固定レール307に沿ってY方向に移動可能に固定レール307に装着されている。また、固定レール307の近傍には、Y方向に延びるボールネジ軸(図示せず)およびボールネジ軸を回転させるサーボモータ(図示せず)が設けられており、支持部材308に設けられたナット部(図示せず)がボールネジ軸に螺合している。これにより、サーボモータが駆動されることにより、支持部材308に支持された印刷用ヘッド306はY方向に往復移動される。
【0043】
また、スキージユニット305は、スキージ305aと、スキージ305aを往路印刷用の角度と復路印刷用の角度とに回動させるための回動機構部305bと、回動機構部305bを上下移動させる昇降機構部305cとを含んでいる。昇降機構部305cは、印刷時にスキージ305aを背面に治具3上のFPC2が当接するマスク350に対して所定の印圧荷重で押圧させることが可能である。また、印刷方向を変える際には、昇降機構部305cによりスキージ305aを上昇させた状態で、回動機構部305bによりスキージ305aの角度が変更される。
【0044】
また、第1実施形態では、印刷ステージ302とマスク350との間には撮像ユニット309が設けられている。撮像ユニット309は、XY方向に移動可能に構成されているとともに、治具3および治具3上のFPC2を撮像するための基板認識用カメラ309aと、マスク350を撮像するためのマスク認識用カメラ309bとを含んでいる。なお、基板認識用カメラ309aは、本発明の「撮像部」の一例である。基板認識用カメラ309aにより、治具3に形成された位置基準マーク3a(図2参照)と、FPC2に形成された位置基準マーク2aとを撮像することが可能である。マスク認識用カメラ309bにより、マスク350に形成された位置基準マーク(図示せず)を撮像することが可能である。また、撮像ユニット309には、FPC2の反りを検出する反り検出部310が取り付けられている。反り検出部310は、FPC2にレーザ光を照射する発光部と、FPC2により反射されたレーザ光を検出する検出部とを有している。
【0045】
また、半田印刷機300は、所定のプログラムに基づいて論理演算を実行するCPU、プログラムなどを予め記憶しているROM、装置動作中に種々のデータを一時的に記憶するRAMなどから構成された制御装置311を備えている。制御装置311は、管理コンピュータ700から供給される生産プログラムなどに基づいて、印刷ステージ302、印刷用ヘッド306、撮像ユニット309、および、反り検出部310などを制御するように構成されている。
【0046】
また、第1実施形態では、制御装置311は、撮像ユニット309の撮像画像および反り検出部310の検出結果に基づいて、治具3に対するFPC2の貼付状態を検出することが可能である。すなわち、制御装置311は、基板認識用カメラ309aにより撮像された治具3の位置基準マーク3aおよびFPC2の位置基準マーク2aの撮像画像に基づいて、治具3に対するFPC2の位置ずれを検出することが可能である。また、制御装置311は、反り検出部310の発光部から照射されたレーザがFPC2に反射して検出部に検出されるまでの時間に基づいて、FPC2のレーザを照射した部分(FPC2の中央部分および周縁部分)の高さ位置を検出して、FPC2の反り状態を検出することが可能である。治具3に対するFPC2の位置ずれの検出については、後に詳細に説明する。
【0047】
また、制御装置311は、治具に対するFPC2の位置ずれおよび反り状態を含む貼付状態に基づいて、基板貼付装置200、半田印刷機300、部品搭載装置400および検査装置600のそれぞれの動作を制御するための動作条件データを作成することが可能である。具体的には、制御装置311は、基板貼付装置200の治具3に対するFPC2の貼付位置を補正するための貼付位置補正データを作成する貼付位置補正データ作成手段として機能するとともに、半田印刷機300の動作を補正するための印刷条件補正データを作成する印刷条件補正データ作成手段として機能する。また、制御装置311は、部品搭載装置400の部品の搭載位置を補正するための部品搭載位置補正データを作成する部品搭載位置補正データ作成手段として機能するとともに、検査装置600の検査位置を補正する検査位置補正データを作成するための検査位置補正データ作成手段として機能する。さらに制御装置311は、部品の実装を中止するFPC2を特定するための実装中止基板データを作成する実装中止基板データ作成手段としても機能する。なお、貼付位置補正データ、部品搭載位置補正データ、検査位置補正データおよび実装中止基板データは、本発明の「動作条件データ」の一例である。第1実施形態による部品実装システム1では、これらの動作条件データが半田印刷機300から管理コンピュータ700を介して各装置(基板貼付装置200、部品搭載装置400および検査装置600)に送信されることにより、基板貼付装置200をフィードバック制御するとともに、部品搭載装置400および検査装置600をフィードフォワード制御している。なお、半田印刷機300は、本発明の「貼付状態検出部」、「動作条件データ作成装置」、「動作条件データ作成部」、「基板貼付状態検出装置」および「印刷部」の一例である。
【0048】
(部品搭載装置)
図5は、図1に示した部品実装システムに組み込まれた部品搭載装置(表面実装機)を示す平面図である。次に、図5を参照して、部品搭載装置(表面実装機)400の構造を説明する。
【0049】
図5に示すように、部品搭載装置400は、半田が印刷されたFPC2に部品4を搭載(実装)する装置である。部品搭載装置400は、X方向に延びる一対の搬送コンベア410と、基台401の上方をXY方向に移動可能なヘッドユニット420とを備えている。一対の搬送コンベア410の両側には、部品4を供給するための複数のテープフィーダ450が配置されている。ヘッドユニット420は、テープフィーダ450の部品取出部450aから部品4を取得するとともに、搬送コンベア410上の治具3に貼付されているFPC2に部品4を搭載する機能を有する。搬送コンベア410は基台401上に設置され、ヘッドユニット420は、基台401上方を移動可能に、基台401上に配置されている。
【0050】
一対の搬送コンベア410は、治具3を矢印X1方向に搬送するとともに、所定の搭載作業位置で治具3を停止させ、保持させることが可能なように構成されている。
【0051】
テープフィーダ450は、複数の部品4を所定の間隔を隔てて保持したテープが巻き回されたリール(図示せず)を保持している。このテープフィーダ450は、リールを回転させることにより部品4を保持するテープを送り出すことによって、テープフィーダ450の先端の部品取出部450aに部品4を順次供給するように構成されている。なお、部品4は、IC、トランジスタ、コンデンサなどの小型の電子部品である。
【0052】
また、ヘッドユニット420は、X方向に延びるヘッドユニット支持部430に沿ってX方向に移動可能に構成されている。具体的には、ヘッドユニット支持部430は、ボールネジ軸431と、ボールネジ軸431を回転させるサーボモータ432と、X方向のガイドレール(図示せず)とを有しているとともに、ヘッドユニット420は、ボールネジ軸431が螺合されるボールナット(図示せず)を有している。ヘッドユニット420は、サーボモータ432によりボールネジ軸431が回転されることにより、ヘッドユニット支持部430に対してX方向に移動するように構成されている。また、ヘッドユニット支持部430は、基台401上に一対の搬送コンベア410を跨ぐように設けられたY方向に延びる一対の固定レール部440に沿ってY方向に移動可能に構成されている。具体的には、一方の固定レール部440は、ヘッドユニット支持部430の両端部をY方向に移動可能に支持するガイドレール441と、Y方向に延びるボールネジ軸442と、ボールネジ軸442を回転させるサーボモータ443とを有し、他方の固定レール部440は、ヘッドユニット支持部430の両端部をY方向に移動可能に支持するガイドレール441を有しているとともに、ヘッドユニット支持部430には、ボールネジ軸442が螺合されるボールナット(図示せず)が設けられている。ヘッドユニット支持部430は、サーボモータ443によりボールネジ軸442が回転されることによって、ガイドレール441に沿ってY方向に移動するように構成されている。このような構成により、ヘッドユニット420は、基台401上方をXY方向に移動することが可能なように構成されている。
【0053】
また、ヘッドユニット420には、X方向に列状に配置された複数の吸着ノズル421が下方に突出するように設けられている。また、各々の吸着ノズル421は、負圧発生機(図示せず)によってその先端に負圧状態を発生させることが可能に構成されている。吸着ノズル421は、この負圧によって、テープフィーダ450から部品取出部450aに供給される部品4を、先端に吸着および保持することが可能である。また、ヘッドユニット420には、搭載作業位置の治具3を撮像する撮像部422が取り付けられている。
【0054】
また、各々の吸着ノズル421は、図示しない機構(サーボモータなど)によって、ヘッドユニット420に対して上下方向(Z方向)に移動可能に構成されている。部品搭載装置400は、吸着ノズル421が上昇位置に位置した状態で装着位置への部品4の搬送および必要に応じ下記するように吸着ノズル421の回転などを行うとともに、吸着ノズル421が下降位置に位置した状態で部品4のテープフィーダ450からの吸着およびFPC2への搭載を行うように構成されている。吸着ノズル421は、吸着ノズル421自体がその軸を中心として回転可能に構成されている。これにより、部品搭載装置400では、部品4を搬送する途中に吸着ノズル421を回転させることにより、吸着ノズル421の先端に保持された部品4の姿勢(水平面内の装着方向)を調整することが可能である。基台401上には吸着ノズル421への部品4の吸着状態を下方から撮像する吸着部品撮像カメラ460が搭載されている。撮像され検出される部品4の吸着状態に基づき、生産プログラムによる装着位置あるいはさらに部品4の装着方向の補正が実施される。
【0055】
また、部品搭載装置400は、所定のプログラムに基づいて論理演算を実行するCPU、プログラムなどを予め記憶しているROM、装置動作中に種々のデータを一時的に記憶するRAMなどから構成された制御装置460を備えている。制御装置460は、管理コンピュータ700から供給される生産プログラムなどに基づいて、サーボモータ432、サーボモータ443、吸着ノズル421を駆動するサーボモータ(図示せず)、吸着ノズル421の負圧発生機構および撮像部422などを制御するように構成されている。
【0056】
(検査装置)
図6は、図1に示した部品実装システムに組み込まれた検査装置を示す平面図である。次に、図6を参照して、検査装置600の構造を説明する。
【0057】
図6に示すように、検査装置600の基台601上には、検査対象である部品実装後の治具3を搬入するための上流側コンベア602と、検査後の治具3を搬出するための下流側コンベア603と、上流側コンベア602と下流側コンベア603との間に設けられた検査用コンベア604とを有している。検査用コンベア604は、Y方向に移動可能に構成されている。すなわち、基台601上には、Y方向に延びる一対のレール605が設けられており、検査用コンベア604を支持するテーブル606は、レール605上を移動するようにレール605に装着されている。基台601にはY方向に延びるボールネジ軸607と、ボールネジ軸607を回転させるサーボモータ608とが設けられており、テーブル606に設けられたナット部(図示せず)がボールネジ軸607と螺合している。これにより、サーボモータ608が回転駆動されることにより、テーブル606に支持された検査用コンベア604がY方向に移動するように構成されている。なお、テーブル606には治具3の位置決め機構(図示せず)が設けられており、検査が行われる際には、治具3は検査用コンベア604の検査作業位置に位置決め機構により固定されるように構成されている。
【0058】
また、基台601上には、X方向の両端部に設けられた一対の脚柱部609と、一対の脚柱部609に支持される支持台610とが固定的に設置されている。テーブル606および検査用コンベア604は、Y方向に移動する際、支持台610の下方を通過することにより支持台610と干渉することなく移動することが可能である。支持台610には、治具3およびFPC2を撮像するための撮像装置611が支持台610に対してX方向に移動可能に取り付けられている。すなわち、支持台610上には、X方向に延びる一対のレール612が設けられており、撮像装置611を支持する支持部材613は、レール612上をX方向に移動するようにレール612に装着されている。支持台610にはX方向に延びるボールネジ軸614と、ボールネジ軸614を回転させるサーボモータ615とが設けられており、支持部材613に設けられたナット部(図示せず)がボールネジ軸614と螺合している。これにより、サーボモータ615が回転駆動されることにより、支持部材613に支持された撮像装置611がX方向に移動するように構成されている。
【0059】
検査装置600では、サーボモータ608およびサーボモータ615が回転駆動されることにより撮像装置611が治具3に対して相対的にXY方向に移動されるとともに、撮像装置611により治具3およびFPC2の部品が実装された部分の画像が順次撮像され、その撮像画像に基づいて実装部分の検査が行われる。
【0060】
また、検査装置600は、所定のプログラムに基づいて論理演算を実行するCPU、プログラムなどを予め記憶しているROM、装置動作中に種々のデータを一時的に記憶するRAMなどから構成された制御装置616を備えている。制御装置616は、管理コンピュータ700から供給される生産プログラムなどに基づいて、サーボモータ608、サーボモータ615および撮像装置611などを制御するように構成されている。
【0061】
図7〜図9は、本発明の第1実施形態による部品実装システムの治具に対するFPCの位置ずれを検出する原理を説明するための図である。次に、図2、図4および図7〜図9を参照して、本発明の第1実施形態による部品実装システムの治具3に対するFPC2の位置ずれを検出する原理を説明する。なお、この説明では、FPC2に4つの位置基準マーク2aが設けられている場合について説明する。
【0062】
基板貼付装置200によって貼付されたFPC2は、必ずしも図2に示したように治具3上の予め設定された位置に貼付されるわけではなく、図7に示すように、治具3に対するFPC2の位置がずれて貼付される場合がある。この位置ずれは、FPC2全体の位置がずれている場合やFPC2が回転方向にずれている場合が含まれる。マスク350(図4参照)の開口パターンは、治具3に対してFPC2が予め設定された位置に貼付されている場合の電極パターンと合うように形成されているので、FPC2の位置ずれは半田の印刷不良の要因となる。また、第1実施形態で用いられるFPC2は、リジッド型の基板(プリント配線基板)と異なり柔軟性を有するので、FPC2自体に伸びが生じる場合がある。FPC2に伸びが生じた場合にはFPC2上の電極の位置も異なってくるので、FPC2の伸びも半田の印刷不良の要因となる。したがって、FPC2の場合にはリジッド型の基板を治具に貼付する場合と異なり、FPC2の位置ずれに加えてFPC2の伸びを考慮する必要がある。第1実施形態では、治具3に設けられた2つの位置基準マーク3aと、FPC2の4隅に設けられた4つの位置基準マーク2aとに基づいて治具3に対するFPC2の位置ずれ(全体的なずれ、角度ずれ)、およびFPC2の伸びを算出している。
【0063】
具体的には、まず、FPC2の撮像画像のうち、FPC2の中心近傍に位置する2つの電極を予め決めておき、その2つの電極のそれぞれの中心を結ぶ線分の中心を原点とする。これは、FPC2に伸びが生じた場合でも、FPC2の中心近傍の電極のFPC2の伸びに起因する位置ずれは小さいためである。そして、治具3の辺と平行にX軸およびY軸をとる。FPC2の全体的な位置ずれは、位置ずれがない場合のFPC2の原点が撮像画像において位置するはずの点と、実際に撮像画像に撮像されたFPC2の原点との差となる。
【0064】
次に、FPC2の伸び(X方向あるいはY方向、さらには両方向の伸び)および角度ずれを算出する。位置ずれがない場合のFPC2の原点と、実際に撮像画像に撮像されたFPC2の原点とを同じ点とすると、図8に示すように、伸びおよび角度ずれがない場合の基板P1の位置基準マークが点A(x、y)、基板P1に伸び(X伸び:δ、Y伸び:δ)を考慮した場合の基板P2の位置基準マークが点B(x、y)、基板P1に角度ずれθを考慮した場合の基板P3の位置基準マークが点C(x、y)、基板P1に伸びおよび角度ずれを考慮した場合の基板P4の位置基準マークが点D(x、y)となる。そして、FPC2が角度θだけずれることにより点Bから点Dに移動するのであるから、FPC2の角度ずれは、点Bおよび点D間のX方向のずれ(x−x)と、点Bおよび点D間のY方向のずれ(y−y)として近似することができる。
【0065】
ここで、図9に示すように、原点Oと点Bとの距離は、以下の式(1)のように表すことができる。
【0066】
【数1】

したがって、点Bと点Dとの距離は、以下の式(2)のように表すことができる。
【0067】
【数2】

また、点(x、y)を点Eとすると、点B−点D−点Eからなる角度は、以下の式(3)のように表される。
【0068】
【数3】

したがって、式(2)および式(3)により、FPC2が角度θだけずれることによる位置基準マーク2aのずれ(X方向のずれ(x−x)およびY方向のずれ(y−y))は、以下の式(4)のように表すことができる。
【0069】
【数4】

したがって、FPC2の位置基準マーク2aの全体的な位置ずれおよび伸びの合計を(X、Y)とすると、位置基準マーク2aの位置ずれは、以下の式(5)のように表される。
【0070】
【数5】

上記式(5)の値は、治具3に貼付された複数のFPC2のそれぞれの位置ずれの方向および伸びの量などが異なるので、各位置基準マーク2a毎に異なる値となる。
【0071】
次に、基板同時印刷補正について説明する。基板同時印刷補正とは、半田印刷機300において印刷を行う際に、位置ずれの方向および量がそれぞれ異なる複数のFPC2の全てに印刷不良が生じないように治具3のマスク350に対する位置を補正することをいう。すなわち、治具3に対するFPC2の位置ずれはFPC2によって異なるところ、複数のFPC2は同じ治具3に貼付されているので、その位置ずれをFPC2毎に個別に補正することはできない。したがって、複数のFPC2の位置ずれを治具3を動かすことにより一括して調整する必要がある。ここで、マスク350の開口に対するFPC2の電極の位置のずれには所定の許容範囲があり、その許容範囲内のずれであれば印刷不良とはならない。したがって、全てのFPC2の位置ずれが許容範囲内となるように治具3のマスク350に対する位置を補正することにより、治具3上の全てのFPC2に対して半田の印刷を行うことが可能である。
【0072】
個々の位置基準マーク2aの位置ずれは、上記式(5)のように表されるので、治具3上の複数のFPC2の全ての位置基準マーク2aの位置ずれの平均は、以下の式(6)のように表される。
【0073】
【数6】

したがって、式(6)の値だけ治具3の位置を補正することにより、位置基準マーク2aの位置ずれが全体として最も小さくなる。ここで、式(6)の値だけ治具3の位置を補正した後の各位置基準マーク2aの位置ずれの全てが許容範囲内である場合には、治具3上のFPC2の全てに印刷不良を生じることなく半田の印刷を行うことが可能であるので、この値を基板同時印刷補正の補正値(マスク350と治具3との位置合わせを行う際の補正値)とする。
【0074】
また、式(6)の値だけ治具3の位置を補正した後の各位置基準マーク2aの位置ずれの全てが許容範囲内に入らない場合には、最も位置ずれの大きい位置基準マーク2aを含むFPC2の4つの位置基準マーク2aのデータを除外して、基板同時印刷補正の計算を再度行う。この算出値だけ治具3の位置を補正した後の各位置基準マーク2aの位置ずれの全てが許容範囲内である場合には、この値を基板同時印刷補正の補正値とする。この場合、除外したFPC2では、マスク350の開口とそのFPC2の電極パターンとが許容範囲外に位置ずれした状態で印刷されるので、印刷不良となる。また、1枚のFPC2のデータを除外しても基板同時印刷補正の補正値が決まらない場合には、2番目に位置ずれの大きい位置基準マーク2aを含むFPC2の4つの位置基準マーク2aのデータを除外して、基板同時印刷補正の計算が再度行われる。このようにして、補正値が決まるまで位置ずれの大きい順に1枚分ずつデータを除外しながら計算が行われる。このように補正値を決定することにより、治具3上の複数のFPC2に対して、基板同時印刷補正を行わない場合と比較して印刷不良となるFPC2の数が出来るだけ少なくなるようにマスク350に対する治具3の位置を補正して印刷を行うことが可能である。
【0075】
図10は、本発明の第1実施形態による部品実装システムの管理コンピュータの制御フローを説明するためのフローチャートである。次に、図10を参照して、本発明の第1実施形態による部品実装システム1の管理コンピュータの制御フローを説明する。
【0076】
まず、管理コンピュータ700は、ステップS1において、各装置(治具供給装置100、基板貼付装置200、半田印刷機300、部品搭載装置400、リフロー炉500および検査装置600)に生産プログラムおよびFPC2の生産数データを配信する。たとえば、生産プログラムには、生産するFPC2に関するデータ、治具3へのFPC2の貼付位置(2つの位置基準マーク3aに対する位置)データ、FPC2に実装する部品種データ、FPC2の複数の位置基準マーク2aに対する各部品の搭載位置および搭載方向データ、各撮像部204c、撮像部422、基板認識用カメラ309a,マスク認識用カメラ309b、撮像装置611における検査のための撮像位置データ、部品認識カメラ490による撮像時におけるヘッドユニット420の位置データ等の各種データが含まれ、さらに、生産プログラムには、実装するための各装置の制御プログラムなどが含まれる。
【0077】
次に、ステップS2において、管理コンピュータ700は、各装置の運転状態に対応した工程を行うように各装置に指示を行う。
【0078】
そして、ステップS3において、管理コンピュータ700は、治具3に対するFPC2の貼付状態データ、貼付状態データに基づく生産プログラムの補正データ(動作条件データ:貼付位置補正データ、部品搭載位置補正データ、検査位置補正データ、実装中止基板データ)を印刷前検査機能を有する半田印刷機300から受信するとともに、その生産プログラムの補正データを各装置に送信する。具体的には、管理コンピュータ700は、治具3に貼付された複数のFPC2のそれぞれの貼付状態に基づいて決定された貼付位置補正データを基板貼付装置200に送信(フィードバック)する。また、管理コンピュータ700は、貼付状態に基づいて決定された部品搭載位置補正データおよび部品搭載対象から除外するFPC2を特定する実装中止基板データを部品搭載装置400に送信(フィードフォワード)する。
【0079】
また、管理コンピュータ700は、貼付状態に基づいて決定された検査位置補正データおよび検査対象から除外するFPC2を特定する実装中止基板データを検査装置600に送信(フィードフォワード)する。
【0080】
次に、ステップS4において、管理コンピュータ700は、各装置の運転状況情報を各装置から受信するとともに、その運転状態情報に基づいて、上記ステップS2における各装置への指示内容を決定する。たとえば、一部の装置が停止状態にある場合には、その装置よりも上流側の装置も工程終了後停止させ、工程終了後の治具3の搬出動作、上流側の装置の工程終了後の治具3の搬入動作から始まる工程を停止する。下流側の装置は工程途中の治具3がある場合は工程動作を継続させるとともに、工程途中の治具3がない場合は工程動作を停止させる。すなわち、また、システムにおいて重大な異常が生じている場合には、システム全体の動作を停止させる。
【0081】
なお、一部の装置の停止状態とは、たとえば、印刷機における半田補充操作、スクリーン清掃動作、クリーニングペーパー交換、実装機におけるテープフィーダの交換の内、装置停止を必要とする交換、その他トラブル等に対応した装置の自動停止状態や、オペレータの手動停止ボタン押圧による手動停止状態等がある。
【0082】
次に、ステップS5において、管理コンピュータ700により、ステップS2において管理コンピュータ700が各装置に指示した工程が終了したことを示す終了信号を各装置から受信したか否かが判断される。全ての終了信号を受信するまでは、ステップS4の処理およびステップS5の判断が繰り返される。全ての終了信号を受信した場合には、ステップS6において、管理コンピュータ700により、所定数のFPC2を生産したか否かが判断される。所定数のFPC2を生産していない場合には、ステップS2〜ステップS6の処理が繰り返される。所定数のFPC2が生産された場合には、管理コンピュータ700によるシステム制御動作が終了する。
【0083】
図11は、本発明の第1実施形態による部品実装システムに組み入れられる治具供給装置の制御装置(図示せず)の制御動作を説明するためのフローチャートである。次に、図11を参照して、本発明の第1実施形態による部品実装システム1に組み入れられる治具供給装置100の制御装置(図示せず)による動作制御を説明する。
【0084】
治具供給装置100の制御装置では、まず、ステップS11において、管理コンピュータ700がステップS1(図10参照)において送信したFPC2の所望の生産数データを受信したか否かが判断される。FPC2の生産数データを受信しない場合には、この判断が繰り返される。FPC2の生産数データを受信した場合には、ステップS12において、これまでに供給した治具3の数がステップS11において受信したFPC2の生産数から算出される治具3の生産数(FPC2の生産数データに、後述するように印刷前基板検査機能を有する半田印刷装置300から管理コンピュータ700を介して与えられる、部品搭載中止されたFPC2の数を加えたものを、治具3の1枚あたり貼付け可能なFPC2の数で除して、割り切れる場合は「商」の数、割り切れない場合は「商」に1を加えた数)より少ないか否かが判断される。既に供給した治具3の数が生産数以上である場合には、必要な治具3を供給したので、治具供給装置100の動作制御は終了する。
【0085】
ステップS12において、供給した治具3の数が生産数より少ない場合には、ステップS13において、管理コンピュータ700から停止信号を受信したか否かが判断される。停止信号を受信した場合には、治具供給装置100の動作制御は終了する。停止信号を受信しない場合には、ステップS14において、管理コンピュータ700から供給開始信号を受信したか否かが判断される。供給開始信号を受信しない場合には、ステップS13およびステップS14の処理が繰り返される。供給開始信号を受信した場合には、ステップS15において、治具3の供給を行う。この後、生産数以上の治具3を供給するか、停止信号を受信するまでステップS12〜ステップS15の処理が繰り返される。
【0086】
図12は、本発明の第1実施形態による部品実装システムに組み入れられる基板貼付装置の貼付動作を説明するためのフローチャートである。次に、図3および図12を参照して、本発明の第1実施形態による部品実装システム1に組み入れられる基板貼付装置200の制御装置212の貼付動作制御について説明する。
【0087】
基板貼付装置200では、まず、ステップS21において、制御装置212により、管理コンピュータ700から生産プログラムおよびFPC2の生産数データを受信したか否かが判断される。生産プログラムおよびFPC2の生産数データを受信しない場合には、この判断が繰り返される。生産プログラムおよびFPC2の生産数データを受信した場合には、ステップS22において、制御装置212により、これまでにFPC2を貼付を完了した治具3の数が生産数(=ステップS12と同様、FPC2の生産数データと部品搭載中止データに基づき算出される、所望の生産数のFPC2の実装に必要とされる治具3の数)よりも少ないか否かが判断される。貼付を完了した治具3の数が生産数以上である場合には、FPC2を貼付した治具3を必要な数だけ供給したと判断して、基板貼付装置200の動作制御を終了する。
【0088】
ステップS22において、貼付を完了した治具3の数が生産数より少ない場合には、ステップS23において、制御装置212により、管理コンピュータ700から停止信号を受信したか否かが判断される。停止信号を受信した場合には、基板貼付装置200の動作制御は終了する。停止信号を受信しない場合には、ステップS24において、制御装置212により、管理コンピュータ700から貼付開始信号を受信したか否かが判断される。貼付開始信号を受信しない場合には、ステップS13およびステップS14の処理が繰り返される。貼付開始信号を受信した場合には、ステップS25において、基板貼付装置200に治具供給装置100から治具3を搬入するとともに、FPC2が貼付された治具3を基板貼付装置200から搬出するように制御する。この搬入と搬出とはタイミングを合わせて行われる。搬入された治具3は、コンベア202上の貼付作業位置で停止される。
【0089】
次に、ステップS26において、制御装置212は、生産プログラム補正データ(貼付位置補正データ)がある場合には、貼付位置補正データを管理コンピュータ700から受信して取り込む。そして、ステップS27において、貼付作業位置の治具3の2つの位置基準マーク2aが撮像部204cにより撮像される。これにより、貼付作業位置の治具が予め設定された貼付作業位置からずれている場合にも、その治具3の位置ずれが検出される。そして、ステップS28において、制御装置212により、ステップS27において検出した治具3の位置ずれに基づいて、FPC2を貼付する際のヘッドユニット204の位置を補正するように制御データの変換を行う。
【0090】
次に、ステップS29において、パレット250の2つの位置基準マーク250aが撮像部204cにより撮像される。これにより、パレット250が予め設定された位置からずれている場合にも、そのパレット250の位置ずれが検出される。そして、ステップS30において、ステップS29において検出したパレット250の位置ずれに基づいて、FPC2をパレット250から吸引する際のヘッドユニット204の位置を補正するように制御データの変換を行う。
【0091】
そして、ステップS31において、ヘッドユニット204により、パレット250上の所定座標にあるFPC2が吸引される。その後、ステップS32において、貼付作業位置に位置する治具3の所定の位置にFPC2を貼付する。この時、第1実施形態では、基板貼付位置補正データに基づいて、FPC2を貼付する際のヘッドユニット204の位置が補正されるので、以前に貼付したFPC2の貼付位置が予め設定された位置からずれていた場合にも、FPC2が正しい位置に貼付されるように貼付位置が補正される。
【0092】
そして、ステップS33において、制御装置212により、治具3に貼付したFPC2の枚数が所定の枚数(=貼付け可能枚数。図6、図7に図示するように本実施形態においては16枚。但し、FPC2の生産数データの数に部品搭載中止データの数を加えたものを、この所定の枚数(16枚)で除して割り切れない場合、「商」に1を加えた治具3の生産数データの、最後の生産数番目の治具3に対しては、「余り」の枚数)よりも少ないか否かが判断される。貼付したFPC2の枚数が所定の枚数よりも少ない場合には、貼付したFPC2の枚数が所定の枚数となるまで、ステップS29〜ステップS33の処理が繰り返される。貼付したFPC2の枚数が所定の枚数となった場合には、ステップS34において、FPC2の貼付が終了したことを示す終了信号を管理コンピュータ700に送信する。この後、生産数以上の治具に対してFPC2の貼付を終了するか、停止信号を受信するまでステップS22〜ステップS34の処理が繰り返される。このようにして、基板貼付装置200の貼付動作制御が行われる。
【0093】
図13および図14は、本発明の第1実施形態による部品実装システムに組み入れられる半田印刷機の印刷動作を説明するためのフローチャートである。次に、図4、図13および図14を参照して、本発明の第1実施形態による部品実装システム1に組み入れられる半田印刷機300の制御装置311の印刷動作制御について説明する。
【0094】
半田印刷機300では、まず、ステップS41において、制御装置311により、管理コンピュータ700から生産プログラムおよびFPC2の生産数データを受信したか否かが判断される。生産プログラムおよびFPC2の生産数データを受信しない場合には、この判断が繰り返される。生産プログラムおよびFPC2の生産数データを受信した場合には、ステップS42において、制御装置311により、これまでに印刷を完了した治具3の数が生産数(=ステップS12と同様、FPC2の生産数データと部品搭載中止データに基づき算出される所望の生産数のFPC2の実装に必要とされる治具3の数)よりも少ないか否かが判断される。印刷を完了した治具3の数が生産数以上である場合には、必要な数のFPC2に対して半田の印刷を行ったと判断して、半田印刷機300の印刷動作制御を終了する。
【0095】
ステップS42において、制御装置311により、印刷を完了した治具3の数が生産数より少ない場合には、ステップS43において、制御装置311により、管理コンピュータ700から停止信号を受信したか否かが判断される。停止信号を受信した場合には、半田印刷機300の動作制御は終了する。停止信号を受信しない場合には、ステップS44において、制御装置311により、管理コンピュータ700から印刷開始信号を受信したか否かが判断される。印刷開始信号を受信しない場合には、ステップS43およびステップS44の処理が繰り返される。印刷開始信号を受信した場合には、ステップS45において、半田印刷機300に基板貼付装置200からFPC2が貼付された治具3を搬入するとともに、印刷後のFPC2が貼付された治具3を半田印刷機300から搬出するように制御する。この搬入と搬出とはタイミングを合わせて行われる。搬入された印刷前のFPC2が貼付された治具3は、印刷ステージ302上の印刷作業位置で停止される。
【0096】
次に、ステップS46において、撮像ユニット309の基板認識用カメラ309aにより治具3の2つの位置基準マーク3aと、治具3に貼付されたFPC2の4つの位置基準マーク2aとが順次撮像される。また、反り検出部310によりFPC2にレーザを照射してその反射レーザを検出することにより、それぞれのFPC2の中央部および周辺部の高さ位置が検出される。そして、ステップS47において、撮像した治具3およびFPC2の撮像画像と、反り検出部310の検出結果とに基づいて、FPC2の位置ずれおよびFPC2の反り状態を含む基板貼付状態データがそれぞれのFPC2毎に作成される。
【0097】
次に、ステップS48において、制御装置311により、それぞれのFPC2の予め設定された貼付位置からの位置ずれが許容範囲内であるか否かが判断される。位置ずれが許容範囲内である場合には、ステップS60に進む。位置ずれが許容範囲内でない場合には、ステップS49において、制御装置311により基板貼付状態データに基づいて貼付位置補正データが作成されるとともに、ステップS50において、貼付位置補正データが管理コンピュータ700に送信される。
【0098】
次に、ステップS51において、同時印刷補正処理が行われる。すなわち、FPC2の位置ずれデータに基づいて、治具3のマスク350に対する位置を補正した後に治具3上の全てのFPC2の位置ずれが所定の許容範囲内となるような補正を行うことが可能か否かが判断される。ステップS52において、同時印刷補正が可能な場合には、ステップS53に進む。同時印刷補正が可能でない場合には、ステップS56において、最も位置ずれの大きいFPC2のデータを除外するとともに、その除外したFPC2について部品搭載を中止するという部品搭載中止データ、およびその除外したFPC2について検査を中止するという検査中止データを作成する。そして、ステップS57において、部品搭載中止データを管理コンピュータ700に送信するとともに、ステップS58において、検査中止データを管理コンピュータ700に送信する。その後、ステップS51において、位置ずれの最も大きいFPC2の位置ずれデータを除外して同時印刷補正処理が行われるとともに、ステップS52において、同時印刷補正が可能か否かが判断される。この後、同時印刷補正が可能になるまで、ステップS51、ステップS52およびステップS57〜ステップS59の処理が繰り返される。
【0099】
また、同時印刷補正が可能である場合には、ステップS53において、同時印刷補正処理において算出した値に基づいて、印刷工程補正データが作成される。すなわち、印刷を行う際にマスク350と治具3との位置合わせを行う際の治具3の位置の補正データが作成される。また、FPC2の反り状態に基づいて、印刷後にマスク350から治具3およびFPC2を離間させる際の離間速度を制御するためのデータが作成される。
【0100】
次に、ステップS54において、半田印刷機300の制御装置311により印刷後工程補正データが作成される。すなわち、同時印刷補正が可能な複数のFPC2に対し、それぞれのFPC2の位置ずれデータと印刷工程補正データの2つのデータに基づいて、制御装置311は、各FPC2のそれぞれにおける部品の搭載位置が補正されるような部品搭載位置補正データを作成するまた、同様に、同時印刷補正が可能な複数のFPC2に対し、それぞれのFPC2の位置ずれデータと印刷工程補正データの2つのデータに基づいて、各FPC2のそれぞれにおける検査位置が補正されるような検査位置補正データを作成する。
【0101】
そして、ステップS55において、部品搭載位置補正データが管理コンピュータ700に送信されるとともに、ステップS56において、検査位置補正データが管理コンピュータ700に送信される。
【0102】
次に、ステップS60において、撮像ユニット309のマスク認識用カメラ309bによりマスク350の位置基準マーク(図示せず)が撮像される。この撮像画像に基づいて、マスク350の位置ずれが検出される。そして、ステップS61において、ステップS53において印刷工程補正データが作成されている場合には、印刷工程補正データを取り込んで生産プログラムを補正する。
【0103】
なお、ステップS60は治具3上の貼付けされたFPC2への同時印刷の度に実施しなくても、所定数の同時印刷毎に実施しても良い。
【0104】
次に、ステップS62において、生産プログラムおよび印刷工程補正データと、マスク350の位置ずれデータとに基づいて印刷ステージ302が駆動されることにより、マスク350に対する治具3の位置が合わされる。その後、治具3が上昇されてマスク350の下面に当接される。そして、マスク350の下面に治具3が当接した状態で、スキージ305aが下降されて所定の印圧荷重でマスク350が押圧される。そのままスキージ305aが移動されることにより、マスク350上の半田ペーストがマスク350の開口を介して治具3上のそれぞれのFPC2上に印刷される。印刷終了後にスキージ305aは上昇される。
【0105】
この後、ステップS63において、治具3が下降されることによりマスク350と治具3とが離間される。この時、FPC2が完全にマスク350から離間するまでは遅い速度で治具3が下降され、FPC2が完全にマスク350から離間した後は速い速度で治具3が下降される。この際、反りが生じているFPC2がある場合には、反ったFPC2が完全にマスク350から離間するまで通常よりも長い距離を、通常よりも遅い速度で治具3が下降するように印刷ステージ302が制御される。この後、ステップS64において、制御装置311により、印刷終了信号が管理コンピュータ700に送信される。この後、生産数以上の治具に対して半田の印刷を終了するか、停止信号を受信するまでステップS42〜ステップS64の処理が繰り返される。このようにして、半田印刷機300の印刷動作が行われる。
【0106】
図15は、本発明の第1実施形態による部品実装システムに組み入れられる部品搭載装置の部品搭載動作を説明するためのフローチャートである。次に、図5および図15を参照して、本発明の第1実施形態による部品実装システム1に組み入れられる部品搭載装置400の制御装置460の部品搭載動作制御について説明する。
【0107】
部品搭載装置400では、まず、ステップS71において、制御装置460により、管理コンピュータ700から生産プログラムおよびFPC2の生産数データを受信したか否かが判断される。生産プログラムおよびFPC2の生産数データを受信しない場合には、この判断が繰り返される。生産プログラムおよびFPC2の生産数データを受信した場合には、ステップS72において、制御装置460により、これまでに部品の搭載を完了した治具3の数が生産数(=ステップS12と同様、FPC2の生産数データと部品搭載中止データに基づき算出される所望の生産数のFPC2の実装に必要とされる治具3の数)よりも少ないか否かが判断される。貼付を完了した治具3の数が生産数以上である場合には、部品搭載装置400の動作制御を終了する。
【0108】
ステップS72において、部品の実装を完了した治具3の数が生産数より少ない場合には、ステップS73において、制御装置460により、管理コンピュータ700から停止信号を受信したか否かが判断される。停止信号を受信した場合には、部品搭載装置400の動作は終了する。停止信号を受信しない場合には、ステップS74において、制御装置460により、管理コンピュータ700から部品搭載開始信号を受信したか否かが判断される。部品搭載開始信号を受信しない場合には、ステップS73およびステップS74の処理が繰り返される。部品搭載開始信号を受信した場合には、ステップS75において、部品搭載装置400に半田印刷機300から治具3を搬入するとともに、部品搭載後の治具3を部品搭載装置400から搬出する。この搬入と搬出とはタイミングを合わせて行われる。搬入された治具3は、搬送コンベア410上の部品搭載作業位置で停止される。
【0109】
次に、ステップS76において、ステップS55において部品搭載位置補正データが作成されている場合には、部品搭載位置補正データを取り込んで生産プログラムを補正する。そして、ステップS77において、部品搭載中止データが作成されている場合には、部品搭載中止データを取り込んで生産プログラムを補正する。
【0110】
その後、ステップS78において、撮像部422により治具3の位置基準マーク3aが撮像される。この撮像画像に基づいて、予め設定された部品搭載作業位置に対する実際の治具3の位置ずれが検出される。そして、制御装置460により、ステップS79において検出した治具3の位置ずれ、および部品認識カメラ490による撮像結果により検出される部品吸着位置ずれに基づいて、部品を搭載する際のヘッドユニット420の位置を補正するように制御データの変換を行う。
【0111】
その後、ステップS80において、ヘッドユニット420の吸着ノズル421によりテープフィーダ450の先端の部品取出部450aから部品4を吸着するとともに、所定の座標に部品を搭載する。そして、制御装置460により、搭載部品数が所定数よりも少ないか否かが判断される。搭載部品数が所定数よりも少ない場合には、ステップS80に戻る。また、搭載部品数が所定数(治具3に貼り付けられたFPC2の内、搭載中止となっていない全てのFPC2上に、搭載の必要な部品の数。治具3に貼り付けられたFPC2の枚数および搭載中止となっているFPC2の枚数により異なった値となる。)以上の場合には、ステップS82において、部品搭載終了信号を管理コンピュータ700に送信する。その後、生産数以上の治具3に対して部品の搭載を終了するか、停止信号を受信するまでステップS72〜ステップS82の処理が繰り返される。このようにして、部品搭載装置400の部品搭載動作が行われる。
【0112】
図16は、本発明の第1実施形態による部品実装システムに組み入れられる検査装置の検査動作を説明するためのフローチャートである。次に、図6、図14および図16を参照して、本発明の第1実施形態による部品実装システム1に組み入れられる検査装置600の制御装置616の検査動作制御について説明する。
【0113】
検査装置600では、まず、ステップS91において、制御装置616により、管理コンピュータ700から生産プログラムおよびFPC2の生産数データを受信したか否かが判断される。生産プログラムおよびFPC2の生産数データを受信しない場合には、この判断が繰り返される。生産プログラムおよびFPC2の生産数データを受信した場合には、ステップS92において、制御装置616により、これまでに検査を完了した治具3の数が生産数(=ステップS12と同様、FPC2の生産数データと部品搭載中止データに基づき算出される所望の生産数のFPC2の実装に必要とされる治具3の数)よりも少ないか否かが判断される。検査を完了した治具3の数が生産数以上である場合には、検査装置600の動作は終了する。
【0114】
ステップS92において、検査を完了した治具3の数が生産数より少ない場合には、ステップS93において、制御装置616により、管理コンピュータ700から停止信号を受信したか否かが判断される。停止信号を受信した場合には、検査装置600の動作は終了する。停止信号を受信しない場合には、ステップS94において、検査装置600により、管理コンピュータ700から検査開始信号を受信したか否かが判断される。検査開始信号を受信しない場合には、ステップS93およびステップS94の処理が繰り返される。検査開始信号を受信した場合には、ステップS95において、検査装置600にリフロー炉500から治具3を搬入するとともに、検査後の治具3を検査装置600から搬出するように制御する。この搬入と搬出とはタイミングを合わせて行われる。搬入された治具3は、検査用コンベア604上の検査作業位置で停止される。
【0115】
次に、ステップS96において、図14のステップS56において検査位置補正データが作成されている場合には、検査位置補正データを取り込んで生産プログラムを補正する。そして、ステップS97において、図14のステップS59において検査中止データが作成されている場合には、検査中止データを取り込んで生産プログラムを補正する。
【0116】
その後、ステップS98において、撮像装置611により治具3の位置基準マーク3aが撮像される。この撮像画像に基づいて、予め設定された検査作業位置に対する実際の治具3の位置ずれが検出される。そして、制御装置616により、ステップS98において検出した治具3の位置ずれに基づいて、検査のためにFPC2を撮像する際の撮像装置611の位置(検査位置補正データに基づき補正された位置)をさらに補正するように制御データの変換を行う。
【0117】
その後、ステップS100において、撮像装置611をX方向に移動し、かつ、検査用コンベア604をY方向に移動しながら、検査対象部位(実装された部品の周辺)毎にFPC2の撮像を行う。そして、ステップS101において、検査対象部位の撮像画像に基づいて、基準画像と撮像画像とを比較することにより部品の実装状態を検査するとともに、検査結果データが作成される。また、検査結果は、管理コンピュータ700に送信される。その後、ステップS102において、検査終了信号を管理コンピュータ700に送信する。その後、生産数以上の治具に対して検査を終了するか、停止信号を受信するまでステップS92〜ステップS102の処理が繰り返される。このようにして、検査装置600の検査動作が行われる。
【0118】
第1実施形態では、上記のように、治具3に対する複数のFPC2のそれぞれの貼付位置を含む貼付状態に基づいて動作条件データを作成することによって、複数のFPC2のそれぞれが予め設定された位置からずれて治具3に貼付されている場合にも、治具3に対する複数のFPC2のそれぞれの位置ずれに対応するように基板貼付装置200および部品搭載装置400の動作条件データを作成することができる。この動作条件データに基づいて、治具3にFPC2を貼付する際の貼付位置を補正するフィードバック制御を行うようにすれば、FPC2の貼付位置が設定位置からずれている場合にも、次にFPC2を治具3に貼付する際に、設定位置に貼付するように基板貼付装置200を制御することができる。これにより、治具3に対するFPC2の位置ずれが生じるのが抑制されるので、部品の実装不良が生じるのを抑制することができる。また、動作条件データに基づいて、FPC2に部品を搭載する際の搭載位置を補正するようにすれば、治具3に対して複数のFPC2のそれぞれが設定位置からずれて貼付されている場合にも、その位置ずれに合わせて部品の搭載位置を補正することができるので、部品の搭載位置がずれるのを抑制することができる。これによっても、部品の実装不良が生じるのを抑制することができる。
【0119】
また、第1実施形態では、上記のように、貼付状態に基づいて、半田印刷機300において印刷を行う際のマスク350に対する治具3の位置を補正する印刷条件データを作成するとともに、FPC2に対する部品の搭載位置を補正するための部品搭載位置補正データを作成することによって、治具3に対するFPC2の貼付状態に基づいて、印刷を行う際のマスク350に対する治具3の位置の補正と、部品の搭載位置の補正とが行われるので、治具3に対してFPC2がずれて貼付されている場合にも、半田が印刷された場所に確実に部品を搭載することができる。
【0120】
また、第1実施形態では、上記のように、FPC2の治具3に対する反り状態にも基づいて動作条件データを作成することによって、実装不良の原因となるFPC2の反りに対応して実装処理を行うことができるので、FPC2の反りに起因して実装不良が生じるのを抑制することができる。すなわち、動作条件データとして、印刷後にマスク350から治具3が離間するまでの印刷ステージ302の下降速度を、FPC2の反りに対応して反りが大きいほど遅くするよう下降量補正データを作成することで、半田印刷装置300においてFPC2上に正しく半田を印刷し、その結果部品搭載装置400において、実装不良が生じるのを抑制することができる。さらに、動作条件データとして、部品4を吸着した吸着ノズル421のFPC2への装着のための下降量について、反り状態に基づいてそれぞれの装着位置に対応した下降量補正データを作成する場合には、部品搭載装置400において、下降量補正データに基づいて吸着ノズル421を下降させて部品4を反りのあるFPC2上の装着位置に搭載することができる。これにより確実に部品4の装着が可能となる。
【0121】
また、第1実施形態では、上記のように、貼付状態に基づいて、部品の実装を中止すべきFPC2を特定する動作条件データ(実装中止データ)に基づいて、特定されたFPC2については部品の搭載対象から除外することによって、部品の実装を中止すべきと判定されたFPC2については部品の搭載が行われないので、余計な部品の消費を抑制することができる。
【0122】
また、第1実施形態では、上記のように、動作条件データに基づいて、検査装置600においてFPC2を検査する際の検査位置を補正することによって、治具3に対してFPC2の位置がずれている場合にも、そのFPC2のずれを考慮した検査位置を検査装置600により検査することができる。これにより、治具3に対するFPC2の位置がずれている場合にも、検査するべき位置と実際に検査した場所とがずれてしまうのを抑制することができるので、より正確な検査を行うことができる。
【0123】
また、第1実施形態では、上記のように、治具3に対するFPC2の貼付状態に基づいて、複数のFPC2のうち、部品の実装を中止すべきFPC2があるか否かを判定するとともに、実装を中止すべきFPC2があった場合に、部品の実装を中止すべきFPC2を特定する動作条件データを作成することによって、特定されたFPC2については、下流側の装置において実装工程を中止するように制御することができる。たとえば、リフロー後のFPC2を検査する検査装置600においては、動作条件データに基づいて、特定されたFPC2については検査対象から除外することによって、部品の実装を中止すべきと判定されたFPC2については、検査装置600による検査が行われないので、部品実装システムの生産効率を向上させることができる。
【0124】
また、第1実施形態では、上記のように、治具3の位置基準マーク3aおよびFPC2の位置基準マーク2aの位置に基づいて、複数のFPC2のそれぞれの治具3に対する貼付位置を検出することによって、治具3に対する複数のFPC2のそれぞれの位置を容易に検出することができる。
【0125】
(第2実施形態)
図17は、本発明の第2実施形態による部品実装システムの全体構成を示すシステム図である。この第2実施形態では、上記第1実施形態と異なり、治具3に対するFPC2の貼付状態を検出する貼付状態検出装置800を設けた例を説明する。まず、図4および図17を参照して、本発明の第2実施形態による部品実装システム1aの構造を説明する。
【0126】
図17に示すように、第2実施形態による部品実装システム1aは、基板貼付装置200の下流側に治具3に対するFPC2の貼付状態を検出する貼付状態検出装置800が接続されており、貼付状態検出装置800の下流側に半田印刷機300aが接続されている。なお、貼付状態検出装置800は、本発明の「基板貼付状態検出装置」、「印刷条件データ作成装置」、「貼付状態検出部」および「印刷条件データ作成部」の一例である。
【0127】
貼付状態検出装置800は、治具を搬送するコンベアと、コンベアの所定の位置で停止された治具に対してXY方向に移動する貼付状態検出ユニットとを備えている。貼付状態検出ユニットは、図4に示した半田印刷機300の撮像ユニット309の基板認識用カメラ309aおよび反り検出部310と同様の構成を有している。また、半田印刷機300aは、半田印刷機300から反り検出部310を除いた構成を有している。その他の構造は、上記第1実施形態の部品実装システム1と同様の構成である。
【0128】
次に、図13を参照して、本発明の第2実施形態による部品実装システム1に組み入れられる貼付状態検出装置800の貼付状態検出動作を説明する。
【0129】
貼付状態検出装置800では、図13のステップS41〜ステップS59と同様の処理が行われる。すなわち、貼付状態検出ユニットにより、治具3の位置基準マーク3aおよび各FPC2の位置基準マーク2aの撮像が行われるとともに、FPC2の反り状態が検出される。そして、撮像画像に基づいて、治具3に対するFPC2の位置ずれが算出されるとともに、同時印刷補正処理が行われる。また、FPC2の貼付状態に基づいて、基板貼付装置200の基板貼付位置補正データ、半田印刷機300aの印刷工程補正データ、部品搭載装置400の部品搭載位置補正データ、検査装置600の検査位置補正データおよび印刷後工程中止データ(部品搭載中止データおよび検査中止データ)が作成される。これらのデータは管理コンピュータ700に送信される。
【0130】
また、半田印刷機300aは、管理コンピュータ700から印刷工程補正データを受信するとともに、印刷工程補正データに基づいて印刷工程が行われる。
【0131】
第2実施形態の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0132】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0133】
たとえば、上記第1実施形態および第2実施形態では、本発明を、伸びを生じる可能性のあるFPC2を治具に貼付して部品の実装を行う場合に適用した例を示したが、本発明はこれに限らず、伸びがほとんど生じないリジッド型の基板を治具に貼付して部品の実装を行う場合に適用してもよい。この場合、基板の位置基準マークはフレキシブル基板(FPC)と異なり、2つだけでもよい。また、リジッド型の基板の場合には、反りを検出しなくてもよい。
【0134】
また、上記第1実施形態および第2実施形態では、FPC2に位置基準マーク2aを設けた例を示したが、本発明はこれに限らず、FPC2上の電極などを位置基準マークの代わりに用いて位置ずれを検出してもよい。
【0135】
また、上記第1実施形態では、半田印刷機において貼付状態の検出を行った例を示したが、本発明はこれに限らず、基板貼付装置において貼付状態の検出を行ってもよい。また、各装置の生産プログラムの補正データ(動作条件データ)を作成するのは、貼付状態を検出する装置と同じ装置でなくてもよい。たとえば、貼付状態データを管理コンピュータ700に送信し、管理コンピュータ700において各装置の生産プログラムの補正データ(動作条件データ)を作成してもよい。
【0136】
また、上記第1実施形態および第2実施形態では、FPCの位置ずれを検出する際に、FPCの角度ずれをXY方向のずれに変換して同時印刷補正処理の計算を行った例を示したが、本発明はこれに限らず、FPCの角度ずれをXY方向のずれに変換せずに同時印刷補正処理の計算を行ってもよい。これにより、より正確な補正を行うことができる。
【0137】
また、上記第1実施形態および第2実施形態では、リフロー炉500の下流に部品実装後のFPCを検査する検査装置600を設けた例を示したが、本発明はこれに限らず、半田印刷機300(300a)と部品搭載装置400との間に印刷後のFPCを撮像して検査する印刷検査装置を設けてもよいし、部品搭載装置400とリフロー炉500との間に部品搭載後のFPCを撮像して検査する部品搭載状態検査装置を設けてもよい。印刷検査装置および部品搭載状態検査装置は、検査装置600と同様の構成を有する。この場合、印刷検査装置および部品搭載状態検査装置は、検査装置600と同様に、検査中止データに基づいて所定のFPCについては検査対象から除外するように制御してもよい。なお、上記した印刷検査装置および部品搭載状態検査装置は、それぞれ、本発明の「印刷基板検査部」および「実装基板検査部」の一例である。なおさらに、印刷検査装置は、独立の装置として実装システム1に組み込むのではなく、半田印刷装置300あるいは部品搭載装置400に兼用させても良い。半田印刷装置300においては、基板認識用カメラ309aを使用し印刷後にFPC2を検査したり、部品搭載装置400においては基板認識用カメラ422を使用して部品搭載前にFPC2を検査するようにする。同様、部品搭載状態検査装置として部品搭載装置400に兼用させ、基板認識用カメラ422を使用して部品搭載後にFPC2を検査するようにしても良い。
【0138】
また、上記第1実施形態および第2実施形態では、管理コンピュータ700により各装置を統括制御する例を示したが、本発明はこれに限らず、管理コンピュータを設けなくてもよい。
【0139】
また、上記第1実施形態および第2実施形態では、同時印刷補正が出来ない場合に、位置ずれの最も大きいFPCを実装対象から除外したが、本発明はこれに限らず、FPCの反りが所定の規定値よりも大きい場合に、そのFPCを実装対象から除外するように制御してもよい。
【0140】
また、上記第1実施形態および第2実施形態では、同時印刷補正が出来ない場合に、位置ずれの最も大きいFPCを実装対象から除外したが、本発明はこれに限らず、印刷前のFPCの撮像画像に基づいて、FPC上にゴミ、チリ、電極パターン不良の有無を検出するとともに、ゴミ、チリ、電極パターン不良が許容限界を超えた場合に、実装対象から除外してもよい。
【0141】
また、上記第1実施形態および第2実施形態では、実装対象から除外するFPCが存在する場合にも、そのFPCを検査工程までそのまま治具に貼付しておく例を示したが、本発明はこれに限らず、実装対象から除外するFPCが存在する場合には、警告音または表示部における警告表示などにより使用者に通知し、そのFPCを使用者に除去させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0142】
【図1】本発明の第1実施形態による部品実装システムを示すシステム図である。
【図2】搬送用の治具にFPCが貼付された状態を示す平面図である。
【図3】図1に示した第1実施形態による部品実装システムに組み込まれる基板貼付装置を示す平面図である。
【図4】図1に示した第1実施形態による部品実装システムに組み込まれる半田印刷機を示す側面図である。
【図5】図1に示した第1実施形態による部品実装システムに組み込まれる部品搭載装置を示す平面図である。
【図6】図1に示した第1実施形態による部品実装システムに組み込まれる検査装置を示す平面図である。
【図7】治具に対するFPCの位置ずれを説明するための平面図である。
【図8】治具に対するFPCの位置ずれの算出方法を説明するための図である。
【図9】治具に対するFPCの位置ずれの算出方法を説明するための図である。
【図10】図1に示した第1実施形態による部品実装システムの動作を説明するためのフローチャートである。
【図11】図1に示した第1実施形態による部品実装システムに組み込まれる治具供給装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図12】図1に示した第1実施形態による部品実装システムに組み込まれる基板貼付装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図13】図1に示した第1実施形態による部品実装システムに組み込まれる半田印刷機の動作を説明するためのフローチャートである。
【図14】図1に示した第1実施形態による部品実装システムに組み込まれる半田印刷機の動作を説明するためのフローチャートである。
【図15】図1に示した第1実施形態による部品実装システムに組み込まれる部品搭載装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図16】図1に示した第1実施形態による部品実装システムに組み込まれる検査装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図17】本発明の第2実施形態による部品実装システムを示すシステム図である。
【符号の説明】
【0143】
1 部品実装システム
1a 部品実装システム
2 FPC(基板)
2a 位置基準マーク(第2位置基準マーク)
3 治具
3a 位置基準マーク(第1位置基準マーク)
200 基板貼付装置(基板貼付部)
300 半田印刷機(貼付状態検出部、印刷条件データ作成部、印刷部、基板貼付状態検出装置、印刷条件データ作成装置)
300a 半田印刷機(印刷部)
309 撮像ユニット(撮像部)
309a 基板認識用カメラ(撮像部)
310 反り検出部
350 マスク
400 部品搭載装置
500 リフロー炉(リフロー装置)
600 検査装置(リフロー基板検査部)
700 管理コンピュータ(制御部)
800 貼付状態検出装置(貼付状態検出部、印刷条件データ作成部、基板貼付状態検出装置、印刷条件データ作成装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
治具に複数の基板を貼付する基板貼付部と、
前記治具に対する前記複数の基板のそれぞれの貼付位置を含む貼付状態を検出する貼付状態検出部と、
前記治具に対する前記複数の基板のそれぞれの貼付位置を含む貼付状態に基づいて、動作条件データを作成する動作条件データ作成部と、
前記基板上にマスクを介して半田を印刷する印刷部と、
半田が印刷された前記基板に部品を搭載する部品搭載装置と、
制御部とを備え、
前記制御部は、前記動作条件データ作成部により作成された動作条件データに基づいて、治具に基板を貼付する際の貼付位置を補正するフィードバック制御、または、前記基板に部品を搭載する際の搭載位置を補正する制御の少なくとも一方を前記基板貼付部または前記部品搭載装置に対して行うように構成されている、部品実装システム。
【請求項2】
前記動作条件データ作成部は、前記貼付状態検出部により検出された貼付状態に基づいて、前記印刷部において印刷を行う際の前記マスクに対する前記治具の位置を補正する前記動作条件データを作成するように構成されており、
前記部品搭載装置は、前記動作条件データに基づいて、前記基板に対する部品の搭載位置を補正するように構成されている、請求項1に記載の部品実装システム。
【請求項3】
前記貼付状態検出部は、前記基板の前記治具に対する反り状態を検出する反り検出部を含み、
前記動作条件データ作成部は、前記反り状態にも基づいて前記動作条件データを作成するように構成されている、請求項1または2に記載の部品実装システム。
【請求項4】
前記動作条件データ作成部は、前記貼付状態検出部により検出された貼付状態に基づいて、前記複数の基板のうち、部品の実装を中止すべき基板があるか否かを判定するとともに、前記実装を中止すべき基板があった場合に、部品の実装を中止すべき基板を特定する前記動作条件データを作成するように構成されており、
前記部品搭載装置は、前記動作条件データに基づいて、前記特定された基板については部品の搭載対象から除外するように構成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の部品実装システム。
【請求項5】
前記部品搭載装置より下流側に設けられたリフロー装置と、
半田の印刷後でかつ部品搭載前の印刷基板を検査する印刷基板検査部、部品搭載後でかつリフロー前の実装基板を検査する実装基板検査部、またはリフロー後のリフロー基板を検査するリフロー基板検査部の内少なくとも1つとをさらに備え、
前記制御部は、前記動作条件データ作成部により作成された動作条件データに基づいて、前記印刷基板検査部、前記実装基板検査部または前記リフロー基板検査部において前記基板を検査する際の検査位置を補正するように構成されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の部品実装システム。
【請求項6】
前記動作条件データ作成部は、前記貼付状態検出部により検出された貼付状態に基づいて、前記複数の基板のうち、部品の実装を中止すべき基板があるか否かを判定するとともに、前記実装を中止すべき基板があった場合に、部品の実装を中止すべき基板を特定することにより動作条件データを作成するように構成されており、
前記印刷基板検査部、前記実装基板検査部または前記リフロー基板検査部のうち少なくともいずれか1つは、前記動作条件データに基づいて、前記特定された基板については検査対象から除外するように構成されている、請求項5に記載の部品実装システム。
【請求項7】
前記貼付状態検出部は、印刷前の前記治具および前記基板を撮像する撮像部を含み、
前記治具は、複数の第1位置基準マークを有しており、
前記基板は、基板上の電極パターンにおける部分パターンおよび前記電極パターンとは独立のマークの内少なくともいずれかにより構成されている複数の第2位置基準マークを有しており、
前記貼付状態検出部は、前記撮像部により撮像された前記第1位置基準マークおよび前記第2位置基準マークの位置に基づいて、前記基板の前記治具に対する貼付位置を検出するように構成されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の部品実装システム。
【請求項8】
治具に複数の基板を貼付する工程と、
前記治具に対する前記複数の基板のそれぞれの貼付位置を含む貼付状態を検出する工程と、
前記治具に対する複数の前記基板のそれぞれの貼付位置を含む貼付状態に基づいて動作条件データを作成する工程と、
前記基板上に半田を印刷する工程と、
半田を印刷した後の前記基板に前記部品を搭載する工程とを備え、
前記治具に基板を貼付する工程および前記基板に部品を搭載する工程の少なくともいずれかは、前記動作条件データに基づいて治具に基板を貼付する際の貼付位置を補正するフィードバック制御を行う工程、または、前記動作条件データに基づいて前記基板に部品を搭載する際の搭載位置を補正する制御を行う工程を含む、部品実装方法。
【請求項9】
治具および前記治具に貼付された複数の基板のそれぞれを撮像する撮像部と、
制御部とを備え、
前記制御部は、前記撮像部により撮像された前記治具および前記基板の撮像画像に基づいて、前記治具に対する前記複数の基板のそれぞれの貼付位置を含み、前記基板貼付部および前記部品搭載装置の少なくともいずれかの動作を補正するための動作条件データを作成するための貼付状態データを取得するように構成されている、基板貼付状態検出装置。
【請求項10】
治具に対する複数の基板のそれぞれの貼付位置を含む貼付状態に基づいて、前記基板貼付部および前記部品搭載装置の少なくともいずれかの動作を補正するための動作条件データを作成する、動作条件データ作成装置。
【請求項11】
治具に複数の基板を貼付する基板貼付機構部と、
制御部とを備え、
前記制御部は、前記治具に対する複数の前記基板のそれぞれの貼付位置を含む貼付状態に基づいて作成された動作条件データに基づいて、治具に基板を貼付する際の貼付位置を補正するように前記基板貼付機構部に対してフィードバック制御するように構成されている、基板貼付装置。
【請求項12】
治具に貼付された複数の基板のそれぞれに部品を搭載する部品搭載機構部と、
制御部とを備え、
前記制御部は、前記治具に対する複数の前記基板のそれぞれの貼付位置を含む貼付状態に基づいて作成された動作条件データに基づいて、前記基板に部品を搭載する際の搭載位置を補正するように前記部品搭載機構部を制御するように構成されている、部品搭載装置。
【請求項13】
治具に貼付された複数の基板に対して、印刷後でかつ部品搭載前の印刷基板の検査、部品搭載後でかつリフロー前の実装基板の検査、またはリフロー後のリフロー基板の検査の内いずれかの検査を実施する検査機構部と、
制御部とを備え、
前記制御部は、前記治具に対する複数の前記基板のそれぞれの貼付位置を含む貼付状態に基づいて作成された動作条件データに基づいて、前記基板を検査する際の検査位置を補正するように前記検査機構部を制御するように構成されている、検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−56143(P2010−56143A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−216834(P2008−216834)
【出願日】平成20年8月26日(2008.8.26)
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)
【Fターム(参考)】