説明

部品実装機、部品検出装置、及び部品実装方法

【課題】部品の有無検出を高速化した部品実装機を提供することを目的とする。
【解決手段】部品実装機100は、ノズル510と、前記基板上で第1の方向に直線的に延びる光を、基板の表面に対して斜め上方向から照射する光源520と、基板を撮像して第1及び第2の画像を取得する撮像部530と、基板の実装位置における部品の有無を検出する部品検出部541とを備える。部品検出部541は、第1の画像から第1の方向に直交する方向に延びる第1の領域に対応する画素データを選択的に取得し、当該第1の領域における光の位置を検出する実装前処理と、第2の画像から、第1の領域に含まれ、且つ第1の領域における光の検出位置から部品の厚さに応じた距離だけずれた位置を含む第2の領域に対応する画素データを選択的に取得し、当該第2の領域に光が含まれていることによって実装位置に部品が存在すると判断する有無検出処理とを実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品等の部品を基板に実装する部品実装機に関し、特に、基板上における部品の有無や位置を検出することができる部品実装機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、基板上における部品の有無や位置を検出することのできる部品実装機が知られている(例えば、特許文献1、2、3参照)。図18及び図19を参照して、基板上における部品の有無検出の一例を説明する。
【0003】
まず、図18に示されるように、基板10に実装された部品11に向けて、斜め上方向からスリット光12を照射する。ここで、部品11の高さh(カタログ値、部品データ情報等)、及びスリット光12の入射角αは、予め部品実装機の記憶部に保持されている。
【0004】
次に、図19に示されるように、基板10の上方から部品11を含む領域(「撮像領域」という)を撮像する。このとき、スリット光12は、基板10の上面に照射される第1の部分12aと、部品11の上面に照射される第2の部分12bとで左右方向にずれて見える。そこで、この第1及び第2の部分12a、12bのずれ量Lと、スリット光12の基板10への入射角αとによって、部品11の実際の高さを算出する。算出された高さが予め保持されている(カタログ値等の)高さhと一致すれば、所望の部品が適切に実装されていると判断することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2610295号公報
【特許文献2】特許第2712336号公報
【特許文献3】特許第4237421号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記方法によれば、撮像領域全域の画像処理及び画像解析が必要となる。具体的には、部品実装機に搭載される一般的なカメラは、500×500画素程度であるので、25万画素の画像処理及び画像解析が必要となる。しかしながら、近年、部品実装の高速化が求められており、これに伴って、部品の有無検出についてもさらなる高速化が要求される。
【0007】
そこで、本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、部品の有無検出を高速化した部品実装機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一形態に係る部品実装機は、基板に部品を実装して実装基板を製造する。具体的には、前記部品を前記基板上の予め定められた実装位置に実装するノズルと、前記基板上で第1の方向に直線的に延びる光を、前記部品が実装位置に実装された際に当該部品の上面に当るように、前記基板の表面に対して斜め上方向から照射する光源と、前記基板の前記実装位置を含む領域を撮像する撮像部と、前記部品の実装前に前記撮像部で撮像された第1の画像、及び前記部品の実装後に前記撮像部で撮像された第2の画像を解析して、前記基板の前記実装位置における前記部品の有無を検出し、当該検出結果を出力する部品検出部とを備える。そして、前記部品検出部は、前記第1の画像のうち、前記実装位置を含み、且つ前記第1の方向に直交する方向に延びる前記第1の画像より小さい第1の領域に対応する画素データを、前記撮像部から選択的に取得し、当該第1の領域における前記光の位置を検出する実装前処理と、前記第2の画像のうち、前記第1の領域に含まれ、且つ前記第1の領域における前記光の検出位置から前記部品の厚さに応じた距離だけずれた位置を含む第2の領域に対応する画素データを、前記撮像部から選択的に取得し、当該第2の領域に前記光が含まれていることによって前記実装位置に前記部品が存在すると判断する有無検出処理とを実行する。
【0009】
上記構成によれば、撮像部で撮像された第1及び第2の画像のうちから必要な領域のみを選択的に取り出して、部品の有無を検出することができる。その結果、撮像部から部品検出部へのデータ転送時間、及び部品検出部における画像処理や画像解析に要する時間を大幅に短縮することができる。つまり、部品の有無検出を高速で行うことが可能となる。
【0010】
具体的には、前記部品の厚さをh、前記光の前記基板への入射角をαとすると、前記部品検出部は、前記光の検出位置から前記光源に近付く方向にh×tanαだけずれた位置を含み、且つ前記第1の方向に直交する方向の長さが前記第1の領域より短い前記第2の領域の画素データを、前記撮像部から選択的に取得してもよい。
【0011】
さらに、該部品実装機は、前記実装前処理において検出された前記光の位置に応じて前記基板と前記ノズルとの距離を算出し、当該算出結果に基づいて前記部品を前記基板に実装する際の前記ノズルの位置を制御するノズル制御部を備えてもよい。これにより、基板の撓みやうねりに起因する誤差を吸収して、部品を正確に実装することができる。
【0012】
また、前記部品検出部は、前記第2の領域を含み、且つ前記第1の方向に延びる第3の領域の画像データを前記撮像部から選択的に取得し、前記第3の領域に含まれる前記光の一方側端部及び他方側端部の位置を特定することによって、前記部品の前記第1の方向の位置を検出する位置検出処理を実行してもよい。これにより、部品の第1の方向の位置を高速に検出することができる。
【0013】
さらに、前記光源は、前記第1の方向に直交する第2の方向に直線的に延びる第2の光を照射する。そして、前記部品検出部は、さらに、前記第2の光に対して前記実装前処理及び前記位置検出処理を実行することにより、前記部品の前記第2の方向の位置を検出してもよい。これにより、基板上の部品の位置を高速且つ正確に検出することができる。
【0014】
本発明の一形態に係る部品検出装置は、基板上の実装位置に実装された部品を検出する。具体的には、前記基板上で第1の方向に直線的に延びる光を、前記部品が実装位置に実装された際に当該部品の上面に当るように、前記基板の表面に対して斜め上方向から照射する光源と、前記基板の前記実装位置を含む領域を撮像する撮像部と、前記部品の実装前に前記撮像部で撮像された第1の画像、及び前記部品の実装後に前記撮像部で撮像された第2の画像を解析して、前記基板の前記実装位置における前記部品の有無を検出し、当該検出結果を出力する部品検出部とを備える。そして、前記部品検出部は、前記第1の画像のうち、前記実装位置を含み、且つ前記第1の方向に直交する方向に延びる前記第1の画像より小さい第1の領域に対応する画素データを、前記撮像部から選択的に取得し、当該第1の領域における前記光の位置を検出する実装前処理と、前記第2の画像のうち、前記第1の領域に含まれ、且つ前記第1の領域における前記光の検出位置から前記部品の厚さに応じた距離だけずれた位置を含む第2の領域に対応する画素データを、前記撮像部から選択的に取得し、当該第2の領域に前記光が含まれていることによって前記実装位置に前記部品が存在すると判断する有無検出処理とを実行する。
【0015】
本発明の一形態に係る部品実装方法は、部品実装機で基板に部品を実装して実装基板を製造する方法である。具体的には、前記基板上で第1の方向に直線的に延びる光を、前記部品が実装位置に実装された際に当該部品の上面に当るように、前記基板の表面に対して斜め上方向から照射するステップと、前記部品の実装前に前記実装位置を含む第1の画像を撮像するステップと、前記第1の画像のうち、前記実装位置を含み、且つ前記第1の方向に直交する方向に延びる前記第1の画像より小さい第1の領域に対応する画素データを選択的に取得し、当該第1の領域における前記光の位置を検出するステップと、前記部品を、前記基板の前記実装位置に実装するステップと、前記部品の実装後に前記実装位置を含む第2の画像を撮像するステップと、前記第2の画像のうち、前記第1の領域に含まれ、且つ前記第1の領域における前記光の検出位置から前記部品の厚さに応じた距離だけずれた位置を含む第2の領域に対応する画素データを選択的に取得し、当該第2の領域に前記光が含まれていることによって前記実装位置に前記部品が存在すると判断するステップと、前記実装位置に前記部品が存在するか否かの判断結果を出力するステップとを含む。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、部品の有無検出に必要な画像データのみを選択的に取得することにより、撮像部から部品検出部へのデータ転送時間、及び部品検出部における画像処理や画像解析に要する時間を大幅に短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態における部品実装システムの外観図である。
【図2】部品実装機の内部の主要な機械的構成を示す構成図である。
【図3】ヘッドと部品カセットとの位置関係を示す模式図である。
【図4】部品を収めた部品テープ及びリールの例を示す図である。
【図5】本実施の形態における部品実装機の機能ブロック図である。
【図6】NCデータの一例を示す図である。
【図7】部品ライブラリの一例を示す図である。
【図8】実装条件データの一例を示す図である。
【図9】ヘッド周辺の模式図である。
【図10】部品検出装置を含む部品実装機の主要な機能ブロックを示す図である。
【図11】部品実装機の部品有無検出処理を示すフローチャートである。
【図12】基板に部品を実装する前に撮像された第1の画像の例を示す図である。
【図13】基板に部品を実装した後に撮像された第2の画像の例を示す図である。
【図14】部品実装機の部品位置検出処理を示すフローチャートである。
【図15】基板に部品を実装した後に撮像された第2の画像の一例である。
【図16】基板に部品を実装した後に撮像された第2の画像の他の例である。
【図17】基板に部品を実装した後に撮像された第2の画像の他の例である。
【図18】従来の部品有無検出処理を説明するための部品実装機の部分正面図である。
【図19】従来の部品有無検出処理を説明するための部品実装機の部分平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態における部品実装システムについて図面を参照しながら説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施の形態における部品実装システムの外観図である。
本実施の形態における部品実装システム1000は、部品実装機100と、部品実装機100を制御する制御装置200とを備えている。なお、以降の説明において、水平面上で、且つ基板20の搬送方向を「X軸方向」(下流側を正とする)、水平面上で、且つX軸に垂直な方向を「Y軸方向」、X軸及びY軸に垂直な方向を「Z軸方向」(鉛直上向きを正とする)と定義する。また、後述の「第1の方向」をY軸と平行な方向、「第2の方向」をX軸と平行な方向と定義する。ただし、「第1の方向」がX軸と平行な方向、「第2の方向」がY軸と平行な方向であってもよい。
【0020】
部品実装機100は、上流から基板(回路基板)20を受け取り、その基板20に対して部品を実装し、その部品が実装された基板20を下流側に送り出す。なお、部品実装機100によって部品が実装された基板20を、以下、実装基板という。
【0021】
具体的には、部品実装機100は、複数種の部品を供給する2つの部品供給部115a、115bと、基板20を部品実装機100の内部に搬入する搬入口130とを備える。部品実装機100は、搬入口130から搬入された基板20を、所定位置で停止させる。そして、部品実装機100は、部品供給部115a、115bから供給される部品を順次取り出し、所定位置で停止している基板20に対して、取り出した部品を実装する。
【0022】
また、部品実装機100は、部品供給部115a、115bから供給された部品、当該部品を実装する前の基板20、及び基板20に実装された後の部品の状態等を、撮像装置等を用いて認識する。
【0023】
制御装置200は、部品実装機100による部品の実装条件などを決定して、その実装条件に沿って実装が行われるように部品実装機100を制御する。
【0024】
図2は、部品実装機100の内部の主要な機械的構成を示す構成図である。
部品実装機100は、基板20に対して部品を実装する2つの実装ユニット110a、110bと、基板20を搬送するための一対の基板搬送レール122a、122bと、一対のYビーム(図2の図示Y軸方向に延びるビーム)140とを備えている。2つの実装ユニット110a、110bは、協調して基板搬送レール122a、122b上にある基板20に対して部品を実装する。
【0025】
実装ユニット110a及び実装ユニット110bは、それぞれ同様の構成を有している。つまり、実装ユニット110aは、部品供給部115a、部品認識カメラ116a、ヘッド112a、及びXビーム(図2の図示X方向に延びるビーム)121aを備えている。同様に、実装ユニット110bは、部品供給部115b、部品認識カメラ116b、ヘッド112b、及びXビーム(図2の図示X方向に延びるビーム)121bを備えている。
【0026】
ここで、実装ユニット110aの詳細な構成について説明する。なお、実装ユニット110bの詳細な構成については、実装ユニット110aと同様であるため省略する。
【0027】
部品供給部115aは、部品テープを収納する複数の部品カセット(フィーダ)114の配列からなる。また、部品供給部115aの各部品カセット114は、基板20の搬送方向(X軸方向)に沿って配列している。なお、部品テープとは、例えば、同一部品種の複数の部品がテープ(キャリアテープ)上に並べられたものであり、リール等に巻かれた状態で供給される。また、部品テープに並べられる部品は、例えばチップ部品であって、具体的には0402チップ部品や1005チップ部品などである。
【0028】
ヘッド112aは、例えばマルチ装着ヘッドと呼ばれるヘッドであって、複数の吸着ノズル(以下、単にノズルという)を備えることができる。例えば、部品供給部115aから10個の部品を吸着して基板20に装着することができる。このようなヘッド112aは、軸状に構成されたXビーム121aに対してスライド自在に取り付けられている。ヘッド112aは、例えば、モータなどの駆動により、Xビーム121aに沿って移動する。また、ヘッド112aには、部品を実装する前の基板20の状態、及び基板20に実装された後の部品の状態等を検出する部品検出装置(図2では図示省略)が設けられている。部品検出装置の詳細は、後述する。
【0029】
Xビーム121aは、基板20の搬送方向(図2の図示X軸方向)と垂直な方向(図2の図示Y軸方向)に沿って互いに平行に配置された一対のYビーム140上に、Y軸方向にスライド自在に取り付けられている。したがって、Xビーム121aは、例えばモータなどの駆動により、一対のYビーム140上をY軸方向に沿って移動する。すなわち、ヘッド112aは、Yビーム140およびXビーム121aによってX軸方向およびY軸方向に移動する。
【0030】
基板搬送レール122a、122bは、それぞれX軸方向に対して平行となるように配置されている。ここで、基板搬送レール122aは、部品供給部115a側に寄せて固定されている。一方、基板搬送レール122bは、搬送される基板20のサイズ(幅)に応じてY軸方向に移動する。部品実装機100の搬入口130から挿入された基板20は、一対の基板搬送レール122a、122b上に沿って搬送されてストッパーなどにより所定位置で停止される。
【0031】
部品認識カメラ116aは、ヘッド112aに吸着された部品を撮影し、その部品の形状や吸着状態を2次元又は3次元的に検査するために用いられる。また、部品認識カメラ116aは、部品供給部115aにおけるX軸方向に沿った中央付近に配置されている。
【0032】
このように構成された部品実装機100において、ヘッド112aは、部品供給部115aから供給される部品を吸着して基板20に移動し、吸着している部品をその基板20の各実装点に装着し、部品供給部115aに移動するという一連の動作を繰り返し実行する。ヘッド112bも同様に、部品供給部115bから供給される部品を吸着して基板20に移動し、吸着している部品をその基板20の各実装点に装着し、部品供給部115aに移動するという一連の動作を繰り返し実行する。
【0033】
このように実行される一連の動作、または1回あたりの一連の動作でヘッドに吸着される部品群を、以下、タスクという。また、実装点(「実装位置」ともいう。以下同じ。)とは、基板20上の部品が実装されるべき位置である。
【0034】
ヘッド112aによる1つのタスクの例を具体的に説明する。まず、ヘッド112aは、X軸方向およびY軸方向に移動しながら、部品供給部115aの各部品カセット114から供給される1タスク分の部品を吸着する。その後、ヘッド112aは、部品認識カメラ116a上を一定速度で移動することにより、吸着している部品を部品認識カメラ116aに撮像させ、突入ポイントに到達する。そして、ヘッド112aは、その突入ポイントから所定のタイミングで移動を開始して基板20の実装領域上に入る。
【0035】
なお、実装領域とは、基板20の実装点が存在する領域であって、基板20の一部の領域や全ての領域であってもよい。実装領域上に入ったヘッド112aは、X軸方向およびY軸方向に移動しながら、吸着している部品をそれぞれ各実装点に装着する。1タスク分の全ての部品の装着が完了すると、ヘッド112aは、基板20の実装領域上から出て部品供給部115aに移動する。
【0036】
一方、ヘッド112bも上述のヘッド112aの動作と同様の動作を行うが、ヘッド112a、112bは、それぞれが干渉することがないように、つまり、それぞれが同時に基板20の実装領域上に入ることがないように、互いに協調して動作する。
【0037】
図3は、ヘッド112aと部品カセット114との位置関係を示す模式図である。
上述のように、ヘッド112aには、例えば最大10個のノズルnzをX軸方向に配列させて取り付けることが可能である。10個のノズルnzが取り付けられたヘッド112aは、最大10個の部品カセット114のそれぞれから部品を同時に(1回の上下動作で)吸着することができる。同様に、ヘッド112bも例えば最大10個のノズルnzを取り付けることができる。なお、本発明では、ヘッド112a,112bに取り付けられるノズルnzの数は10個以外でもよく、X軸方向に沿うノズルnzの列を、Y軸方向に複数列取り付けてもよい。
【0038】
図4は、部品を収めた部品テープ及びリールの例を示す図である。
チップ形電子部品などの部品は、図4に示すキャリアテープ424に保持されている。キャリアテープ424には、一定間隔で連続的に形成された複数の収納凹部424aが設けられている。部品は、この収納凹部424aに収納されている。さらに、キャリアテープ424の上面(部品を取り出す側)には、カバーテープ425が貼付けられている。カバーテープ425が貼り付けられたキャリアテープ424は、リール426に所定の数量分だけ巻回されたテーピング形態でユーザに供給される。このようなキャリアテープ424およびカバーテープ425によって部品テープが構成される。なお、部品テープの構成は、図4に示す構成以外の他の構成であってもよい。
【0039】
本実施の形態における部品実装機100では、上述のようにヘッド112a,112bがそれぞれ同時に基板20の実装領域上に入ることがないように互いに強調して動作する。その結果、この部品実装機100は、いわゆる交互打ちと非交互打ちとを実行する。交互打ちとは、ヘッド112aによる1タスク分の部品の装着と、ヘッド112bによる1タスク分の部品の装着とが交互に行われる動作である。一方、非交互打ちとは、ヘッド112aまたはヘッド112bによる1タスク分の部品の装着が連続して繰り返し行われる動作である。
【0040】
図5は、本実施の形態における部品実装機100の制御系の機能構成を示すブロック図である。
【0041】
本実施の形態における部品実装機100は、入力部151、表示部152、ヘッド制御部153、制御部154、通信部155、および格納部156を備えている。
【0042】
入力部151は、例えばキーボードやマウスなどで構成されており、オペレータからの操作を受け付けて、その操作結果をヘッド制御部153や制御部154などに通知する。
【0043】
表示部152は、例えば液晶ディスプレイなどで構成されており、ヘッド制御部153などの動作状態を表示したり、格納部156などに格納されているデータを表示したりする。
【0044】
制御部154は、入力部151に受け付けられた操作や、通信部155で受信されたデータに応じて、部品認識カメラ116a、116b、表示部152、及びヘッド制御部153などを制御する。また、制御部154は、基板20を搬送するためのモータなどを制御して、基板20を適切な位置に搬送する。
【0045】
通信部155は、制御装置200と通信する。例えば、通信部155は、基板20の各実装点に関する情報などを示すNCデータ156aと、各部品に関する情報を示す部品ライブラリ156bと、部品カセット114の配列や部品の実装順序などの実装条件を示す実装条件データ156cとを制御装置200から取得して、それらを格納部156に格納する。
【0046】
格納部156は、通信部155により取得されたNCデータ156a、部品ライブラリ156b、及び実装条件データ156c等を格納している。
【0047】
図6は、NCデータ156aの一例を示す図である。
NCデータ156aは、基板20において装着の対象となる全ての部品の実装点に関する情報を示す。1つの実装点piは、部品種ci、X座標xi、Y座標yi、制御データφi、および実装角度θiからなる。ここで、部品種は、部品ライブラリ156bにおける部品名に相当する(図7参照)。X座標およびY座標は実装点の座標である。制御データφiは、その部品の装着に関する制約情報、例えば、使用可能なノズルnzのタイプや、ヘッド112a,112bの最高移動加速度等を示す。実装角度θiは、部品種ciの部品を吸着したノズルnzが回転すべき角度を示す。
【0048】
図7は、部品ライブラリ156bの一例を示す図である。
部品ライブラリ156bは、部品実装機100が扱うことができる全ての部品種のそれぞれについての固有の情報を集めたライブラリである。この部品ライブラリ156bは、図7に示すように、部品種(部品名)ごとの部品サイズ(幅、奥行き、厚さ等)、その部品種におけるタクト、および制約情報などからなる。
【0049】
なお、この部品ライブラリ156bの示すタクトは、一定条件下において部品を基板20に装着するのに要する部品種固有の時間である。制約情報は、例えば、使用可能なノズルnzのタイプ(SXや、SAなど)、部品認識カメラ116a、116bによる認識方式(反射など)、及びヘッド112a、112bの最高加速度比などである。また、図7には、参考として、各部品種の部品の外観も併せて示されている。部品ライブラリ156bには、その他に、部品の色や形状などの情報が含まれていてもよい。
【0050】
図8は、実装条件データ156cの一例を示す図である。
実装条件データ156cは、部品供給部115a、115bにおける部品カセット114の配列(部品配列)、及びヘッド112a、112bのそれぞれのタスクごとの実装順序などを示す。例えば、実装条件データ156cは、部品配列として、部品供給部115aのX軸方向の一方からA1番目に部品種c1があり、A2番目に部品種c2があることを示す。同様に、部品供給部115bのX軸方向の一方からB1番目に部品種c1があり、B2番目に部品種c2があることを示す。
【0051】
また、実装条件データ156cは、ヘッド112aの実装順序として、部品種c1〜c4の部品を含むタスク番号Ta1のタスクが実行され、次に、部品種c9〜c12の部品を含むタスク番号Ta2のタスクが実行され、さらにその後、部品種c17〜c20の部品を含むタスク番号Ta3のタスクが実行されることを示す。同様に、実装条件データ156cは、ヘッド112bの実装順序として、部品種c5〜c8の部品を含むタスク番号Tb1のタスクが実行され、次に、部品種c13〜c16の部品を含むタスク番号Tb2のタスクが実行され、さらにその後、部品種c21〜c24の部品を含むタスク番号Tb3のタスクが実行されることを示す。なお、実装条件データ156cは、タスクに含まれる部品ごとに、その部品の実装点も示している。
【0052】
ヘッド制御部153は、格納部156に格納されているデータに基づいてモータなどを制御することにより、ヘッド112a、112bを移動させたり、そのヘッド112a、112bに部品を吸着させたり、部品を基板上の実装点に装着させたりする。例えば、ヘッド制御部153は、上述の実装条件データ156cを読み出し、ヘッド112a、112bが実装すべきタスクをタスク番号に従って特定するとともに、そのタスクの部品が供給される場所を部品配列に基づいて特定する。そして、ヘッド制御部153は、特定した場所にヘッド112a、112bを移動させ、それらのヘッド112a、112bに部品を吸着させて、その部品に対応する実装点に装着させる。
【0053】
また、ヘッド制御部153は、ヘッド112aを他方のヘッド112bの動きに応じて制御する。同様に、ヘッド112bを他方のヘッド112aの動きに応じて制御する。つまり、ヘッド制御部153は、制御対象となるヘッド(以下、対象ヘッドという)を、他方のヘッド(以下、相手ヘッドという)の動きに応じて制御する。
【0054】
ヘッド制御部153は、相手ヘッドが基板20の実装領域上にあるときに、対象ヘッドが突入ポイントに到達すると、対象ヘッドを突入ポイントに待機させておく。そして、相手ヘッドが実装領域上から出ると、対象ヘッドを実装領域上に突入させる。また、ヘッド制御部153は、相手ヘッドが基板20の実装領域上にないときに、対象ヘッドが突入ポイントに到達すると、基本的に、その対象ヘッドを突入ポイントで待機させることなく実装領域上に突入させる。
【0055】
但し、本実施の形態におけるヘッド制御部153は、対象ヘッドが突入ポイントに到達したタイミングでその対象ヘッドを実装領域上に突入させることによって、非交互打ちが実行されそうな場合には、その非交互打ちを避けて強制的に交互打ちを実行させるべきか否かを判別する。非交互打ちを避けるべきと判別すると、ヘッド制御部153は、相手ヘッドが実装領域上になくても、相手ヘッドが実装領域上に入って1タスク分の部品を装着してその実装領域上から出るまで、対象ヘッドを突入ポイントに待機させておく。その結果、強制的な交互打ちが実現される。
【0056】
なお、交互打ちとは、上述のように、ヘッド112aによる1タスク分の部品の装着と、ヘッド112bによる1タスク分の部品の装着とが交互に行われる動作であって、例えば、「ヘッド112a→ヘッド112b→ヘッド112a→ヘッド112b→・・・」の順で装着が行われる動作である。また、非交互打ちとは、上述のように、ヘッド112aまたはヘッド112bによる1タスク分の部品の装着が連続して繰り返し行われる動作であって、例えば、「ヘッド112a→ヘッド112b→ヘッド112b→ヘッド112a→・・・」の順で装着が行われる動作である。
【0057】
次に、図9及び図10を参照して、部品実装機100に搭載される部品検出装置について詳しく説明する。なお、図9は、ヘッド112aの先端部分の模式図である。図10は、部品検出装置を含む部品実装機100の主要な機能ブロックを示す図である。
【0058】
まず、図9を参照して、ヘッド112aの先端には、ノズル510と、光源520と、撮像部530とが一体的に取り付けられている。なお、図9では、単純化のためにノズル510を1個だけ搭載したヘッド112aの例を示すが、図3に示されるように、複数のノズルnzが搭載されていてもよい。また、ヘッド112bも同様の構成であるので、説明は省略する。
【0059】
ノズル510は、部品カセット114から取得した部品511を先端に吸着し、基板500の予め定められた実装位置(「基板500上における部品511が実装される領域」を指す。以下同じ。)512に実装する。
【0060】
光源520は、基板500上で一方方向(図9の図示Y軸方向)に直線的に延びるスリット光521を、基板500の表面に対して斜め方向(図9の図示XZ平面上)から照射する。より具体的には、スリット光521は、部品511が実装位置512に実装された際に、当該部品511の上面に当るような位置に照射される。なお、スリット光521は、図12に示されるように一方方向に直線的に延びる光であれば、具体的な実現方法は特に限定されない。例えば、文字通りスリットを用いて拡散光を収束させてもよいし、レーザ光を一方向に高速で走査してもよいし、複数のレーザ光(レーザアレイ)を一方向に並べて照射してもよい。
【0061】
撮像部530は、部品511の実装位置512を含む領域(「撮像領域」という)を撮像するカメラである。より具体的には、撮像領域は、実装位置512とスリット光521とを含む基板500上の領域である。なお、撮像部530の典型例は、500×500画素程度の解像度を有するCCDカメラである。
【0062】
図10は、部品検出装置を含む部品実装機100の主要な機能ブロックを示す図である。部品検出装置(部品検出ユニット)は、図10に示されるように、光源520、撮像部530、及び部品検出部541によって構成される。
【0063】
制御部540は、部品検出部541及びノズル制御部542を備える。この制御部540は、記憶部550から各種情報を取得し、ノズル510、光源520、及び撮像部530を制御する。なお、制御部540は、例えば、図5に示されるヘッド制御部153又は制御部154に対応する。また、記憶部550は、例えば、図5に示される格納部156に対応する。
【0064】
部品検出部541は、部品511の厚さhや実装位置512を記憶部550から取得し、光源520及び撮像部530の位置を制御する。また、撮像部530で撮像された画像を解析して、基板500とノズル510との距離、及び基板500上における部品511の有無等を検出する。ノズル制御部542は、部品511の厚さhや実装位置512を記憶部550から取得し、部品511を実装位置512に適切に実装できるようにノズル510の位置を制御する。また、部品検出部541で検出された基板500とノズル510との距離を用いて、ノズル510の位置を補正する。詳細は動作は後述する。
【0065】
(部品有無検出処理)
次に、図11〜図13を参照して、上記構成の部品実装機100の動作の一例である部品有無検出処理を説明する。なお、図11は、部品実装機100の動作を示すフローチャートである。図12は、基板500に部品511を実装する前に撮像部530で撮像された第1の画像560の例を示す図である。図13は、基板500に部品511を実装した後に撮像部530で撮像された第2(a)の画像570の例を示す図である。なお、「第1の画像」は、部品511を実装する前の基板500を撮像部530で撮像した画像を指す。「第2(a)の画像」は、部品511を実装した後の基板500を撮像部530で撮像した画像であって、特に、部品有無検出処理を説明するための画像を指す。
【0066】
まず、部品実装機100は、部品511を実装位置512に実装する前に実装前処理を実行する(S11)。
【0067】
まず、部品検出部541は、ノズル510によって部品511が基板500に実装される直前、つまり、ノズル510が実装位置512の直上に到達したとき(図9の状態)に、光源520にスリット光521を照射させる。また、部品検出部541は、撮像部530に第1の画像560を撮像させる。図12に示される第1の画像560を見れば明らかなように、スリット光521は、第1の方向(図12の図示Y軸方向)に直線的に延びる光である。また、スリット光521は、部品511の実装位置512に重なるような位置に照射されている。
【0068】
次に、部品検出部541は、第1の画像560のうちの第1の領域561に対応する画素データを、撮像部530から選択的に取得する。この第1の領域561は、実装位置512を含み、且つ第1の方向に直交する方向(図12の図示X軸方向)に延びる細長い領域である。図12に示される第1の領域561は、短手方向(図12の図示Y軸方向)が1〜数画素であり、長手方向(図12の図示X軸方向)が第1の画像560の第1の方向に直交する方向全域である。つまり、第1の領域561は、第1の画像560の一部であり、常に第1の画像560全体より小さい領域である。
【0069】
そして、部品検出部541は、撮像部530から取得した第1の領域561の画素データを解析して、スリット光521の位置を検出する。具体的な検出方法は特に限定されないが、例えば、第1の領域561の画素データを図12の図示X軸の正(又は負)の方向に向かって順に走査し、他の部分と比較して輝度値が極めて高い画素(「高輝度画素」という)をスリット光521の位置と判断すればよい。
【0070】
次に、部品実装機100は、基板500上に部品511を実装する(S12)。ノズル制御部542は、記憶部550から取得したNCデータ156aに基づいて、部品511が基板500に接触するようにノズル510を降下させて、部品511を基板500に装着する。
【0071】
ここで、基板500は、完全に平坦ではなく、僅かに撓みやうねりを生じている。すなわち、実装位置512において基板500が上方に膨らんでいれば、部品511を基板500に強く押し付けることになり、部品511の破損の原因となる。一方、実装位置512において基板500が下方に凹んでいれば、部品511を基板500に装着する際に位置ずれを生じる可能性がある。
【0072】
そこで、ノズル制御部542は、部品検出部541による実装前処理で検出されたスリット光521の位置に応じて、基板500とノズル510との実際の距離を算出してもよい。この算出結果は、部品511を基板500に実装する際のノズル510の位置を補正するのに利用することができる。
【0073】
次に、部品実装機100は、部品511を基板500に実装した後に、部品511が基板500上に存在するか否かを判断する有無検出処理を実行する(S13)。
【0074】
まず、部品検出部541は、光源520にスリット光521を照射させる。スリット光521の照射位置は、実装前処理(S11)と同じ位置である。但し、実装前処理からスリット光521を照射し続けている場合は、この処理を省略することができる。また、部品検出部541は、撮像部530に第2(a)の画像570を撮像させる。図13に示される第2(a)の画像570を見れば明らかなように、スリット光521は、基板500に照射される第1の部分521aと、部品511の上面に照射される第2の部分521bとに分かれている。この第1及び第2の部分521a、521bは、第1の方向に直交する方向(図13の図示X軸方向)に距離wだけずれている。
【0075】
次に、部品検出部541は、第2(a)の画像570のうちの第2の領域572に対応する画素データを、撮像部530から選択的に取得する。この第2の領域572は、第1の画像560の第1の領域561に対応する領域571の一部であって、且つスリット光521の第2の部分521bを含む領域である。
【0076】
第2の領域572の決定方法を説明する。まず、部品検出部541は、部品511の厚みhを記憶部550から取得し、スリット光521の基板500への入射角αを光源520から取得する。そして、実装前処理におけるスリット光521の検出位置から光源520に近付く方向(図13の図示X軸の正の方向)に、h×tanα(=w)だけずれた位置を特定する。ここで特定される位置は、スリット光521の第2の部分521bが存在する位置である。
【0077】
但し、誤差を考慮して、特定された位置を中心として、第1の方向に直交する方向(図13の図示X軸方向)に連続する所定数の画素の集合を第2の領域572とするのが望ましい。ここで「所定数」とは、例えば、50〜200画素、より好ましくは80〜150画素、典型的には100画素である。つまり、図13に示される第2の領域572は、短手方向(図13の図示Y軸方向)が1〜数画素であり、長手方向(図13の図示X軸方向)が100画素前後の領域である。つまり、第2の領域572は、図12に示される第1の領域561に対応する領域571の一部であり、常に第1の領域561全体より小さい領域である。
【0078】
そして、部品検出部541は、撮像部530から取得した第2の領域572の画素データを解析して、スリット光521の第2の部分521bの位置を検出する。具体的な検出方法は実装前処理と同様であるので、説明は省略する。
【0079】
部品検出部541は、第2の領域572にスリット光521の第2の部分521bが含まれている場合に、部品511が基板500の適切な位置(すなわち、実装位置512)に存在すると判断する。一方、第2の領域572にスリット光521の第2の部分521bが含まれていない場合に、部品511が実装位置512に存在しないと判断する。なお、図13における実装位置512(破線枠)は、部品511より僅かに大きく図示しているが、実際には、部品511及び実装位置512の大きさは同一である(図15〜図17についても同様)。
【0080】
そして、部品検出部541は、当該検出結果(判断結果)を出力する(S14)。「出力」の具体例は特に限定されないが、例えば、部品511が実装位置512に存在しない場合に、部品実装機100の表示部152や制御装置200にエラーを表示させてもよいし、当該基板500を不良基板としてライン上から除去する処理を実行してもよい。
【0081】
上記の方法によれば、部品511が基板500の実装位置512に適切に実装されたか否かを判断することができる。さらに、部品検出部541は、第1及び第2(a)の画像560、570の画素データの一部のみを選択的に取得するので、撮像部530から部品検出部541へのデータ転送時間、及び部品検出部541における画像処理や画像解析に要する時間を大幅に短縮することができる。つまり、部品511の有無検出を高速で行うことが可能となる。
【0082】
(部品位置検出処理)
次に、図14〜図17を参照して、上記構成の部品実装機100の動作の他の例である部品位置検出処理を説明する。なお、図14は、部品実装機100の動作を示すフローチャートである。図15〜図17は、基板500に部品511を実装した後に撮像部530で撮像された第2(b)の画像580、第2(c)の画像590、第2(d)の画像600の例を示す図である。なお、図11に示した部品有無検出処理と共通する処理には同一の参照番号を付し、詳しい説明を省略する。なお、「第2(b)の画像」、「第2(c)の画像」、及び「第2(d)の画像」は、いずれも部品511を実装した後の基板500を撮像した画像であって、特に、「第2(b)の画像」は1方向(第1の方向)の部品位置検出処理を説明するための画像、「第2(c)の画像」は2方向(第1及び第2の方向)の部品位置検出処理を説明するための画像、「第2(d)の画像」は部品511の回転検出処理を説明するための画像である。
【0083】
まず、部品実装機100は、実装前処理(S11)と、部品511を基板500の実装位置512に実装する処理(S12)とを実行する。これらの処理は、部品有無検出処理と共通するので、説明は省略する。
【0084】
次に、部品実装機100は、部品511を基板500に実装した後に、部品511の位置が適切か否かを判断する位置検出処理を実行する(S23)。
【0085】
まず、部品検出部541は、光源520にスリット光521を照射させる。スリット光521の照射位置は、実装前処理(S11)と同じ位置である。但し、実装前処理からスリット光521を照射し続けている場合は、この処理を省略することができる。また、部品検出部541は、撮像部530に第2(b)の画像580を撮像させる。図15に示される第2(b)の画像580を見れば明らかなように、スリット光521は、基板500に照射される第1の部分521aと、部品511の上面に照射される第2の部分521bとに分かれている。この第1及び第2の部分521a、521bは、第1の方向に直交する方向(図15の図示X軸方向)に距離wだけずれている。
【0086】
次に、部品検出部541は、第2(b)の画像580のうちの第3の領域583に対応する画素データを、撮像部530から選択的に取得する。この第3の領域583は、第2(a)の画像570の第2の領域572に対応する領域582を含み、且つ第1の方向(すなわち、スリット光521と平行)に延びる細長い領域である。
【0087】
第3の領域583の決定方法を説明する。まず、第1の画像560の第1の領域561に対応する領域581から、第2(a)の画像570の第2の領域572に対応する領域582を特定する方法は、図11の有無検出処理(S13)で説明した通りである。そして、第2の領域572に対応する領域582を第1の方向に延長した領域を第3の領域583とする。つまり、図15に示される第3の領域583は、短手方向(図15の図示X軸方向)が100画素前後であり、長手方向(図15の図示Y軸方向)が第2(b)の画像580の第1の方向全域である。
【0088】
次に、部品検出部541は、撮像部530から取得した第3の領域583の画素データを解析して、スリット光521の第2の部分521bの一方側端部P及び他方側端部Qの位置を特定する。具体的な特定方法は特に限定されないが、例えば、スリット光521の位置検出と同様に、第3の領域583内の高輝度画素を探索することによって部品511上のスリット光521を検出すればよい。具体的には、第3の領域583を図15の図示Y軸の負の方向に向かって順に走査し、最初に発見した高輝度画素を一方側端部P、最後に発見した高輝度画素を他方側端部Qとすればよい。
【0089】
一方側端部Pは、部品511の上辺の位置を示す。一方、他方側端部Qは、部品511の下辺の位置を示す。すなわち、部品検出部541は、一方側端部P及び他方側端部Qの位置を特定することにより、部品511の第1の方向(図15の図示Y軸方向)の位置を検出することができる。
【0090】
部品検出部541は、部品511の一方側端部P及び他方側端部Qの位置が実装位置512の外縁部に一致していれば、部品511が適切な位置に実装されたと判断する。一方、一方側端部P及び他方側端部Qの位置が実装位置512の外縁部に一致していなければ、部品511が適切な位置に実装されていない判断する。さらに、一方側端部P及び他方側端部Qを検出できない場合(すなわち、第3の領域583にスリット光521の第2の部分521bが含まれていない場合)も、部品511が適切な位置に実装されていない判断する。そして、部品検出部541は、当該検出結果(判断結果)を出力する(S14)。「出力」の具体例は、有無検出処理と同様に特に限定されない。
【0091】
上記の方法によれば、撮像部530から部品検出部541へのデータ転送時間、及び部品検出部541における画像処理や画像解析に要する時間を大幅に短縮することができる。つまり、部品511の第1の方向の位置検出を高速で行うことが可能となる。
【0092】
図16は、上記の部品位置検出処理の応用例である。すなわち、上述のスリット光521(第1のスリット光)に加えて、基板500に対してスリット光522(第2のスリット光)を斜め上方から照射する。このスリット光522は、基板500上で第1の方向に直交する第2の方向(図16の図示X軸方向)に直線的に延びる光であって、基板500に照射される第1の部分522aと、部品511の上面に照射される第2の部分522bとを含む。
【0093】
そして、当該スリット光522に対しても、第1の方向の処理動作を第2の方向に置き換えて上述の実装前処理(S11)及び位置検出処理(S23)を実行することにより、部品511の第2の方向の位置をも検出することができる。なお、スリット光522に対する各処理は、既に説明した各処理と共通するので、説明は省略する。
【0094】
(回転検出処理)
さらに図16を拡張して、図17に示されるように、第1の方向に1本のスリット光521(第1のスリット光)を照射し、第1の方向に直交する第2の方向に2本のスリット光522、523(第2及び第3のスリット光)を照射してもよい。これにより、部品511の第1の方向の位置及び第2の方向の位置に加えて、回転の有無をも検出することができる。なお、図17におけるスリット光523は、第1の部分523aが部品511から外れた位置に照射されているが、第2の部分523bが部品511の上面に照射されているので、上記の各処理に影響はない。
【0095】
なお、スリット光の本数は、上記の例に限定されるものではなく、さらに多数のスリット光を照射してもよい。多数のスリット光を用いることにより、より高精度の位置検出が可能となる反面、画像処理・画像解析に要する時間は増大するので、検出制度と処理時間とのバランスを考慮して適切な本数を選択するのが望ましい。
【0096】
本発明は、上記に示す方法であるとしてもよい。また、これらの方法をコンピュータにより実現するコンピュータプログラムであってもよいし、コンピュータプログラムからなるデジタル信号であってもよい。
【0097】
また、本発明は、コンピュータプログラムまたはデジタル信号をコンピュータ読み取り可能な記録媒体、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD−ROM、MO、DVD、DVD−ROM、DVD−RAM、BD(Blu−ray Disc)、半導体メモリなどに記録したものであってもよい。また、これらの記録媒体に記録されているデジタル信号であってもよい。
【0098】
また、本発明は、コンピュータプログラムまたはデジタル信号を、電気通信回線、無線または有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク、データ放送等を経由して伝送してもよい。
【0099】
また、本発明は、マイクロプロセッサとメモリを備えたコンピュータシステムであって、メモリは、上記コンピュータプログラムを記憶しており、マイクロプロセッサは、コンピュータプログラムにしたがって動作するものであってもよい。
【0100】
また、プログラムまたはデジタル信号を記録媒体に記録して移送することにより、またはプログラムまたはデジタル信号をネットワーク等を経由して移送することにより、独立した他のコンピュータシステムにより実施してもよい。
【0101】
上記実施の形態及び上記変形例をそれぞれ組み合わせてもよい。
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明は、基板に部品を実装する部品実装機に有利に利用される。
【符号の説明】
【0103】
10,20,500 基板
11,511 部品
12,521,522,523 スリット光
12a,521a,522a,523a 第1の部分
12b,521b,522b,523b 第2の部分
100 部品実装機
110a,110b 実装ユニット
112a,112b ヘッド
114 部品カセット
115a,115b 部品供給部
116a,116b 部品認識カメラ
121a,121b Xビーム
122a,122b 基板搬送レール
130 搬入口
140 Yビーム
151 入力部
152 表示部
153 ヘッド制御部
154,540 制御部
155 通信部
156 格納部
156a NCデータ
156b 部品ライブラリ
156c 実装条件データ
200 制御装置
424 キャリアテープ
424a 収納凹部
425 カバーテープ
426 リール
510 ノズル
512 実装位置
520 光源
530 撮像部
541 部品検出部
542 ノズル制御部
560 第1の画像
561 第1の領域
570 第2(a)の画像
580 第2(b)の画像
590 第2(c)の画像
600 第2(d)の画像
571,581,582 領域
572 第2の領域
583 第3の領域
1000 部品実装システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に部品を実装して実装基板を製造する部品実装機であって、
前記部品を前記基板上の予め定められた実装位置に実装するノズルと、
前記基板上で第1の方向に直線的に延びる光を、前記部品が実装位置に実装された際に当該部品の上面に当るように、前記基板の表面に対して斜め上方向から照射する光源と、
前記基板の前記実装位置を含む領域を撮像する撮像部と、
前記部品の実装前に前記撮像部で撮像された第1の画像、及び前記部品の実装後に前記撮像部で撮像された第2の画像を解析して、前記基板の前記実装位置における前記部品の有無を検出し、当該検出結果を出力する部品検出部とを備え、
前記部品検出部は、
前記第1の画像のうち、前記実装位置を含み、且つ前記第1の方向に直交する方向に延びる前記第1の画像より小さい第1の領域に対応する画素データを、前記撮像部から選択的に取得し、当該第1の領域における前記光の位置を検出する実装前処理と、
前記第2の画像のうち、前記第1の領域に含まれ、且つ前記第1の領域における前記光の検出位置から前記部品の厚さに応じた距離だけずれた位置を含む第2の領域に対応する画素データを、前記撮像部から選択的に取得し、当該第2の領域に前記光が含まれていることによって前記実装位置に前記部品が存在すると判断する有無検出処理とを実行する
部品実装機。
【請求項2】
前記部品の厚さをh、前記光の前記基板への入射角をαとすると、
前記部品検出部は、前記光の検出位置から前記光源に近付く方向にh×tanαだけずれた位置を含み、且つ前記第1の方向に直交する方向の長さが前記第1の領域より短い前記第2の領域の画素データを、前記撮像部から選択的に取得する
請求項1に記載の部品実装機。
【請求項3】
該部品実装機は、さらに、前記実装前処理において検出された前記光の位置に応じて前記基板と前記ノズルとの距離を算出し、当該算出結果に基づいて前記部品を前記基板に実装する際の前記ノズルの位置を制御するノズル制御部を備える
請求項1又は2に記載の部品実装機。
【請求項4】
前記部品検出部は、前記第2の領域を含み、且つ前記第1の方向に延びる第3の領域の画像データを前記撮像部から選択的に取得し、前記第3の領域に含まれる前記光の一方側端部及び他方側端部の位置を特定することによって、前記部品の前記第1の方向の位置を検出する位置検出処理を実行する
請求項1〜3のいずれか1項に記載の部品実装機。
【請求項5】
前記光源は、さらに、前記第1の方向に直交する第2の方向に直線的に延びる第2の光を照射し、
前記部品検出部は、さらに、前記第2の光に対して前記実装前処理及び前記位置検出処理を実行することにより、前記部品の前記第2の方向の位置を検出する
請求項4に記載の部品実装機。
【請求項6】
基板上の実装位置に実装された部品を検出する部品検出装置であって、
前記基板上で第1の方向に直線的に延びる光を、前記部品が実装位置に実装された際に当該部品の上面に当るように、前記基板の表面に対して斜め上方向から照射する光源と、
前記基板の前記実装位置を含む領域を撮像する撮像部と、
前記部品の実装前に前記撮像部で撮像された第1の画像、及び前記部品の実装後に前記撮像部で撮像された第2の画像を解析して、前記基板の前記実装位置における前記部品の有無を検出し、当該検出結果を出力する部品検出部とを備え、
前記部品検出部は、
前記第1の画像のうち、前記実装位置を含み、且つ前記第1の方向に直交する方向に延びる前記第1の画像より小さい第1の領域に対応する画素データを、前記撮像部から選択的に取得し、当該第1の領域における前記光の位置を検出する実装前処理と、
前記第2の画像のうち、前記第1の領域に含まれ、且つ前記第1の領域における前記光の検出位置から前記部品の厚さに応じた距離だけずれた位置を含む第2の領域に対応する画素データを、前記撮像部から選択的に取得し、当該第2の領域に前記光が含まれていることによって前記実装位置に前記部品が存在すると判断する有無検出処理とを実行する
部品検出装置。
【請求項7】
部品実装機で基板に部品を実装して実装基板を製造する部品実装方法であって、
前記基板上で第1の方向に直線的に延びる光を、前記部品が実装位置に実装された際に当該部品の上面に当るように、前記基板の表面に対して斜め上方向から照射するステップと、
前記部品の実装前に前記実装位置を含む第1の画像を撮像するステップと、
前記第1の画像のうち、前記実装位置を含み、且つ前記第1の方向に直交する方向に延びる前記第1の画像より小さい第1の領域に対応する画素データを選択的に取得し、当該第1の領域における前記光の位置を検出するステップと、
前記部品を、前記基板の前記実装位置に実装するステップと、
前記部品の実装後に前記実装位置を含む第2の画像を撮像するステップと、
前記第2の画像のうち、前記第1の領域に含まれ、且つ前記第1の領域における前記光の検出位置から前記部品の厚さに応じた距離だけずれた位置を含む第2の領域に対応する画素データを選択的に取得し、当該第2の領域に前記光が含まれていることによって前記実装位置に前記部品が存在すると判断するステップと、
前記実装位置に前記部品が存在するか否かの判断結果を出力するステップとを含む
部品実装方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2011−151273(P2011−151273A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−12539(P2010−12539)
【出願日】平成22年1月22日(2010.1.22)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】