説明

部品搬送装置

【課題】トレイに載置された電子部品の載置状態の検出を、迅速かつ適切に行うことのできる部品搬送装置を提供する。
【解決手段】トレイ検査装置は、トレイ18に載置されたICチップの載置状態を検査する。トレイ検査装置は、トレイ18を待機させる待機位置P1及びトレイ18との間でICチップの給排を行う作業位置P2の間でトレイ18を往復移動させるトレイ搬送装置C1〜C6と、トレイ搬送装置C1〜C6によるトレイ18の搬送路に設けられるとともに、トレイ18の幅に対応する検出範囲を有してICチップの載置状態を非接触にて検出するラインセンサー46と、ラインセンサー46による検出情報に基づいてICチップの載置状態の適否を判定するトレイ状態判定部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IC等の電子部品を検査装置へ搬送し、検査後のICを回収する部品搬送装置に関するものである。このような装置はICハンドラーとも呼ばれる。更に詳細には、多くの電子部品を効率良く搬送する為に、電子部品を一旦トレイに並べて載置し、当該トレイを搬送する機構を有する部品搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記部品搬送装置としては、トレイに載せられて装置外部から供給される検査前の電子部品の電気的特性を検査ユニットにより検査するとともに、検査済みの電子部品を検査ユニットによる検査結果の良否の別に各対応するトレイに配置しつつ、それらトレイと共々装置外部に排出するものが知られている。すなわち、このような部品搬送装置には電子部品がトレイにより供給される一方、同トレイにより電子部品が部品搬送装置から排出される。なおこのとき、電子部品の供給を終えたトレイは電子部品の排出に転用されることが一般的である。このため、例えば電子部品の供給が途中で中断されるなどして検査前の電子部品が残されたままのトレイが電子部品の排出に、特に良品として判定された電子部品の排出に転用されるような場合、トレイに残された検査前の電子部品が上記良品として判定された電子部品に混入されるようになることも避けられない。
【0003】
そこで従来、このような混入の有無も含めて、トレイに載置された電子部品の有無等を検出するようにした技術が各種提案されている。例えば、特許文献1に記載の装置では、電子部品を把持する把持部を電子部品の載置されたトレイに下降させて電子部品に接触させることにより、その際の接触状態(高さ等)からトレイに載置された電子部品の有無などを検出するようにしている。また、例えば特許文献2に記載の装置では、電子部品を把持する把持部とトレイの電子部品との間の距離を距離センサーにより計測することで、トレイに載置された電子部品の有無などを検出するようにしている。さらに、特許文献3や特許文献4に記載の装置では、把持部に設けられた撮像装置によりトレイを撮像することによって、トレイに載置された電子部品の有無などを検出するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−4702号公報
【特許文献2】特開2003−198193号公報
【特許文献3】特開2009−145153号公報
【特許文献4】特許第3971216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述したように、一般にICハンドラーと呼ばれる部品搬送装置に、上記特許文献1〜4に記載の技術を用いることで、トレイに載置された電子部品の有無などを検出することができるようにはなる。しかしながら、特許文献1〜4に記載の装置はいずれも、こうした電子部品やトレイの状態の検出に把持部を用いるようにしているため、電子部品の有無などの載置状態を検出している間は同把持部による電子部品の搬送ができないという問題がある。また、これらの装置では、電子部品の状態を、複数ある電子部品個々に検出するようにしているため、トレイ全体の状態が検出されるまでに多くの時間を要するのみならず、トレイに載置される電子部品の数の増加に伴い、検出に要する時間も、その数に比例して長くなり、作業効率を劣化させる傾向にある。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、トレイに載置された電子部品の載置状態の検出を、迅速かつ適切に行うことのできる部品搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の部品搬送装置は、平板状の部材を載置可能であり当該部材を搬送する搬送部材と、前記搬送部材を移動させる駆動機構部と、前記搬送部材が搬送される搬送路と、前記搬送路の情報に配置される非接触検出器と、を備え、前記非接触検出器は前記搬送部材の搬送方向と交差する方向に複数の検出素子が配置されていることを要旨とする。
上記構成によれば、トレイのような平板状の部材を搬送する時に、平板状の部材の表面を非接触で検査することができるようになり、検査を行う為に、平板状の部材を止める必要がなくなる。
【0007】
更に、本発明の部品搬送装置は、前記非接触検出器は、検出対象の画像を取得する光学系ラインセンサーであることを要旨とする。
上記構成によれば、小型のラインセンサーを検出装置として採用することから、本願発明の部品搬送装置全体を小型化することができる。
【0008】
更に、本発明の部品搬送装置は、前記平板状の部材に載置される部品を把持する部品把持ロボットを更に備え、前記非接触検出器は当該部品の載置状態を検出することを要旨とする。
上記構成によれば、トレイのような平板状の部材に載置された部品が正しい位置に載置されているか否かを検出してから、当該部品を把持することができるようになり、部品搬送装置の信頼性が高まる。
【0009】
更に、本発明の部品搬送装置は、前記搬送路は、直線状に設けられており、前記駆動機構は前記搬送部材を往復移動させることを要旨とする。
上記構成によれば、往復移動できる構造の為に、部品を所定の位置に供給し、回収するという動作ができる。また、搬送路が直線状なので、当該搬送路を複数並列に配置することで、大量の部品を搬送することができる。
【0010】
更に、本発明の部品搬送装置は、前記搬送部材は、無端状のベルトであり、前記駆動機構部は、前記ベルトが掛けられるプーリー及び前記プーリーを回転させるモーターを備えることを要旨とする。
上記構成によれば、モーターを一定速度で回転させることで、ベルトに載置された平板状の部材を一定速度で移動させることができる。
【0011】
更に、本発明の部品搬送装置は、前記搬送路の上方には、前記平板状の部材を保持することができる保持具と、前記搬送路の下方には、前記平板状の部材を昇降させることができる昇降装置と、を更に備え、前記保持具には、移動可能な突出部が設けられ、前記突起部が移動することで、前記平板状の部材と係合または係合解除することを要旨とする。
上記構成によれば、保持具と昇降装置との動作によって、平板状の部材を重ねる段積みが可能になり、電子部品が最適位置に載置されていないような場合、段積みを禁止するといった対応が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明にかかる部品搬送装置を具体化した一実施形態についてその全体構造を示す平面図。
【図2】同実施形態にてトレイに載置された電子部品の状態を検出する検出装置の設けられたトレイ搬送装置の全体構造を斜視にて示す斜視図。
【図3】同実施形態の検出装置の正面構造を示す正面図。
【図4】同実施形態の部品搬送装置の電気的構成を示すブロック図。
【図5】同実施形態においてトレイに載置された電子部品の状態の検出態様について模式的に示す模式図。
【図6】同実施形態にて電子部品のないトレイの状態を示すモデル情報の一例を示す図であって、(a)は、モデルとされるトレイの表面の状態を示す平面図、(b)は、(a)に示すトレイから作成されるモデル情報を模式的に示す模式図。
【図7】同実施形態にて電子部品のあるトレイの状態を示すモデル情報の一例を示す図であって、(a)は、モデルとされるトレイの表面の状態を示す平面図、(b)は、(a)に示すトレイから作成されるモデル情報を模式的に示す模式図。
【図8】同実施形態にてトレイの電子部品の載置状態が検出される態様の一例を示す図であって、(a)は、検出されるトレイに載置された電子部品の状態を示す平面図、(b)は、検出されたデータを模式的に示す模式図。
【図9】同実施形態のトレイ保持装置にトレイが保持されていない状態を示す模式図。
【図10】同実施形態のトレイ保持装置にトレイが1枚保持された状態を示す模式図。
【図11】同実施形態でトレイ画像を撮影した画像写真であり、ICが載置されていない状態を示す画像写真。
【図12】同実施形態でトレイ画像を撮影した画像写真であり、ICが載置されている状態を示す画像写真。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明にかかる部品搬送装置の具体化された一実施形態について図面に従って説明する。図1は部品搬送装置の全体の平面構造についてそれを示す図である。
【0014】
部品搬送装置10は、ベース11、安全カバー12、高温チャンバ13、供給ロボット14、回収ロボット15、第1シャトル16、第2シャトル17、複数のトレイ搬送装置C1〜C6を備えている。
【0015】
ベース11は、その上面に前記各要素を搭載している。安全カバー12は、ベース11の大きな領域を囲っていて、この内部には、供給ロボット14、回収ロボット15、第1シャトル16及び第2シャトル17が収容されている。
【0016】
複数のトレイ搬送装置C1〜C6は、その一端部側が、安全カバー12の外側に位置し、他端部が安全カバー12の内側に位置するように、ベース11に設けられている。各トレイ搬送装置C1〜C6は、電子部品などのICチップTを複数収容した搬送用トレイとしてのトレイ18を、安全カバー12の外側の待機位置P1から安全カバー12の内側の作業位置P2へ搬送したり、反対に、トレイ18を、安全カバー12の内側の作業位置P2から安全カバー12の外側の待機位置P1へ搬送したりする。これによりトレイ18は、トレイ搬送装置C1〜C6により搬送される搬送路を待機位置P1と作業位置P2との間で往復移動されるようになっている。なお待機位置P1は、検査前のICチップTの載置されたトレイ18が部品搬送装置10の外部から供給されたり、検査済みICチップTを載置したトレイ18を部品搬送装置10の外部に排出させたりする位置である。また作業位置P2は、トレイ18に載置された検査前のICチップTを供給ロボット14に供給したり、回収ロボット15に回収された検査済みのICチップTをトレイ18に載置させたりする位置である。
【0017】
なお、ICチップTとしては、その種類に特別の制限はなく、シリコンチップや樹脂モジュールされたものなどが扱えるようになっている。また、ICチップTのサイズにも特別な制限はなく、近年の小型化に伴う、例えば一辺が2mmのチップや、厚みが0.3(mm)のチップでも、それより大きい又は厚い形状のチップでも、反対にそれより小さいまたは薄い形状のチップでもよい。例えば、小型、薄型のICチップとしてWLCSP(Wafer Level Chip Size Package)などがあげられる。このように小型化されたチップは、トレイ18などに単位面積あたりに配置される数が増えたり、チップそのものの剛性が低下して所定外の力に対する耐久性が低くなったりすることなどから、それらの把持や搬送などには高い精度が要求されるようにもなる。そのため、ICチップTを取り扱う上でICチップTのトレイ18の載置状態の確認を行うことが望ましい。
【0018】
トレイ18は、静電気対策のために静電気(電荷)が拡散するような抵抗値による静電気拡散性を有する樹脂材料などから形成されるとともに、図2に示すように、その表面(部品載置面)にはICチップTを保持するための複数のポケットPKが形成されている。各ポケットPKはそこに載置されたICチップTをそのポケット内に所定の向きで保持するものであって、トレイ18が移動されても、そこに載置されたICチップTがトレイ18に対して移動しないように保持される。これにより複数のICチップTは、トレイ18に載置された状態で部品搬送装置10の外部から供給されたり、トレイ18に載置されて部品搬送装置10の外部に排出されたりするようになっている。なお、上述したように小型化されたICチップTは、質量が小さいため振動や風圧で向きが変ったり、ポケットPKから飛び出してしまったりするおそれも高くなるとともに、小型化によりトレイ18に載置される数量が増えることからも、ICチップTを取り扱う上でトレイ18の載置状態の確認を行うことが望ましい。
【0019】
また、トレイ18は、複数まとめての搬送などができるように、その表面に他のトレイ18の表面に対して反対側の面である裏面を当接させて積層させることができるようになっている。これにより、複数のトレイ18を積層(段積み)させることができる。なお、本実施形態では、トレイ18の大きさを示す場合、トレイ18のY方向(搬送方向に双方向)を「長さ」、X方向(搬送方向直交する方向)を「幅」、Z方向(表面に直交する方向)を「高さ(厚み)」と示す。
【0020】
供給ロボット14は、X軸フレームFX、第1のY軸フレームFY1及び供給側ロボットハンドユニット20により構成されている。回収ロボット15は、前記X軸フレームFX、第2のY軸フレームFY2及び回収側ロボットハンドユニット21により構成されている。X軸フレームFXは、X方向に配置されている。第1のY軸フレームFY1及び第2のY軸フレームFY2は、Y方向に沿って互いに平行となるように配置され、前記X軸フレームFXに対して、X方向に移動可能に支持されている。そして、第1のY軸フレームFY1はX軸フレームFXに沿ってX方向に往復移動するとともに、第2のY軸フレームFY2もX軸フレームFXに沿ってX方向に往復移動する。
【0021】
第1のY軸フレームFY1の下側には、供給側ロボットハンドユニット20がY方向に移動可能に支持されているとともに、供給側ロボットハンドユニット20は第1のY軸フレームFY1に沿ってY方向に往復移動する。
【0022】
これにより、供給側ロボットハンドユニット20は、例えば、トレイ18上に移動されてから把持装置を下降させてトレイ搬送装置C1のトレイ18に収容されている検査前のICチップTを吸着把持するとともにその後同把持装置を上昇させる。また、ICチップTを吸着把持しつつ第1シャトル16上に移動してから把持装置を下降させるとともにICチップTを離脱させることにより把持していたICチップTを第1シャトル16に供給させる。
【0023】
第2のY軸フレームFY2の下側には、回収側ロボットハンドユニット21がY方向に移動可能に支持されているとともに、回収側ロボットハンドユニット21は第2のY軸フレームFY2に沿ってY方向に往復移動される。
【0024】
これにより、回収側ロボットハンドユニット21は、例えば、第1シャトル16の検査済みのICチップTの上方に移動されてから把持装置を下降させて第1シャトル16に収容されている同ICチップTを吸着把持するとともにその後同把持装置が上昇する。また、ICチップTを吸着把持しつつトレイ搬送装置C6のトレイ18上に移動してから同把持装置を下降させるとともにICチップTを離脱することにより把持していたICチップTをトレイ搬送装置C6のトレイ18に載置する。
【0025】
ベース11の上面であって、供給ロボット14と回収ロボット15との間には、第1のレール24A及び第2のレール24BがそれぞれX方向に平行して配設されている。第1のレール24Aには、第1シャトル16がX方向に往復動可能に備えられている。また、第2のレール24Bには、第2シャトル17がX方向に往復動可能に備えられている。
【0026】
第1シャトル16は、X方向に長い略板状のベース部材16Aを備えていて、その底面の図示しないレール受けによって第1のレール24Aに摺接されている。そして、第1シャトル16に設けた図示しないモーターによって、第1のレール24Aに沿って往復動される。ベース部材16Aの上面の両端には、それぞれチェンジキット16B,16Cがネジなどで交換可能に固着されている。また、第2シャトル17は、X方向に長い略板状のベース部材17Aを備えていて、その底面の図示しないレール受けによって第2のレール24Bに摺接されている。そして、第2シャトル17に設けた図示しないモーターによって、第2のレール24Bに沿って往復動される。ベース部材17Aの上面の両端には、それぞれチェンジキット17B,17Cがネジなどで交換可能に固着されている。
【0027】
各チェンジキット16B,17Bにはそれぞれ検査前の検査対象のICチップTが収容されるポケットPSが複数設けられており、各チェンジキット16C,17Cにはそれぞれ検査済みの検査対象のICチップTが収容されるポケットPSが複数設けられており、それらの各ポケットPSにICチップTが保持されるようになっている。これにより、各チェンジキット16B,17Bの各ポケットPSには供給ロボット14の供給側ロボットハンドユニット20からICチップTが搬送され、各チェンジキット16C,17CのポケットPSからはICチップTが回収ロボット15の回収側ロボットハンドユニット21により搬出される。
【0028】
ベース11の上面であって、第1及び第2シャトル16,17との間には検査部23が設けられている。検査部23には、検査対象のICチップTが配置される配置位置としての検査用ソケット24が複数設けられている。すなわち検査用ソケット24には、上記各シャトル16,17の各ポケットPSに収容された各ICチップTがそれぞれ配置される。
【0029】
高温チャンバ13内側には、第1及び第2シャトル16,17及び検査用ソケット24の上方を跨ぐように、Y方向に配設された図示しないレールが備えられている。
レールの下部には、Y方向に往復移動可能に検査用ヘッド22が支持されているとともに、レールに備えられたY軸モーター(図示略)によって、Y方向に往復動させられる。すなわち、検査用ヘッド22は、レールに沿って移動して各シャトル16,17と検査用ソケット24との間でICチップTを相互に搬送するようになっている。
【0030】
詳述すると、検査用ヘッド22は、各シャトル16,17のチェンジキット16B,17Bにより供給されたICチップTを取得し、ICチップTを検査用ソケット24の直上位置に配置する。そして、検査用ヘッド22は、ICチップTを下方に移動させ、ICチップTの各接続端子を上方から検査用ソケット24の接触端子と当接させてスプリングピンを下方に押し下げることによって、該検査用ソケット24に装着させる。さらに、検査用ソケット24に装着されたICチップTの電気的検査が終了すると、検査用ヘッド22は、各検査用ソケット24に装着されたICチップTを抜き取って、対応するチェンジキット16C,17Cの直上位置に配置する。そして検査用ヘッド22は、対応するチェンジキット16C,17Cの直上位置にてICチップTを下方に移動させ、同対応するチェンジキット16C,17Cの所定のポケットPSに収容させるようになっている。
【0031】
次に、トレイ搬送装置C1〜C6の構造の詳細について図2及び図3にしたがって説明する。図2は、ICチップの有無などの状態を検出するための検出装置の設けられたトレイ搬送装置の全体の斜視構造についてそれを示す図である。図3は、図2に示す検出装置の正面構造についてそれを示す図である。なお、トレイ搬送装置C1〜C6は、いずれも同様の構成を有するものであることから、ここではトレイ搬送装置C6についてその詳細な説明を行う一方、その他のトレイ搬送装置C1〜C5について、説明の便宜上、その詳細な説明を割愛する。
【0032】
図2に示すように、トレイ搬送装置C6は、ベース11の上面に沿うとともにY方向に沿い配置される搬送機構30を備えている。搬送機構30は、トレイ18が搬送される一対のレール30A,30Bを備えているとともに、2つのレール30A,30Bは、それらレール30A,30Bが相互に対向する側を内側とすると、内側からX方向に見て対称な構造を有している。レール30A(30B)は、待機位置P1側の内側の端部にプーリー31Aが、作業位置P2側の内側の端部にプーリー31B(図5参照)がそれぞれ設けられているとともに、それらプーリー31A,31Bの間に一本の無端状のベルト32が掛け渡されている。これにより、ベルト32はプーリー31A,31Bの間を搬送機構30の内側に沿って、すなわちY方向に沿って周回移動するようになる。また、レール30A(30B)の内側には、ベルト32の内周面に当接するガイド30Gが突出されている。ガイド30Gは、上側(Z方向に向く側)のベルト32の内周面に当接することで、上側(Z方向に向く側)のベルト32に加わる下方(Z方向に逆向きの方向)への力がベルト32を下方へ撓ませることを防ぐ。これにより、上側のベルト32の外周は、ベルト32の周回移動に伴って、そこに印加される下方への力により下方へ撓むことなくY方向へ往復移動することが可能となっている。
【0033】
また、一対のプーリー31Aはシャフト31Sにより連結されていることからそれぞれの回転が同期するようになっている。これにより、各レール30A,30Bの内側にそれぞれ設けられた各ベルト32は、それぞれの掛け渡されている各プーリー31Aの同期回転に従って各レール30A,30Bに沿う周回運動が同期するようになる。なお本実施形態では、レール30Aのベルト32の外側とレール30Bのベルト32の外側との間の間隔を、それらベルト32の外周面上にトレイ18を跨らせて載置させることが可能な幅、すなわちトレイ18の幅にしている。これにより搬送機構30は、2つのベルト32の同期した周回運動に伴って、2つのベルト32に跨るように載置されたトレイ18をY方向に往復移動させることができるようになっている。
【0034】
搬送機構30の下側には各プーリー31Aを回転駆動させるトレイ搬送モーターMCVが設けられているとともに、このトレイ搬送モーターMCVは前記シャフト31Sに駆動連結されている。これにより、トレイ搬送モーターMCVが駆動制御されて正逆回転することに伴うシャフト31Sの正逆回転に従って各プーリー31Aが同期して正逆回転する。また、各プーリー31Aの同期回転に従って、各プーリー31Aに掛け渡されている各ベルト32が同期してY方向に周回移動される。これにより、トレイ搬送装置C6は、各ベルト32上に跨るように配置されたトレイ18を待機位置P1と作業位置P2との間で往復移動させることが可能になっている。すなわち、各プーリー31A、シャフト31S、およびトレイ搬送モーターMCVがベルト32の駆動機構部となっている。
【0035】
搬送機構30の作業位置P2側の端部、すなわち各レール30A,30Bの作業位置P2側の端部には、それぞれにストッパー33が設けられている。ストッパー33は、トレイ搬送装置C6により移動されたトレイ18を作業位置P2の所定の位置に停止させるためのものであり、これにより、トレイ搬送装置C6にて搬送されたトレイ18が搬送機構30の作業位置P2の所定の位置に停止されるようになる(図2参照)。また、ストッパー33の手前(待機位置P1寄り)には先端位置センサー40が設けられている。先端位置センサー40は、光センサーであって対向する先端位置センサー40と対をなし一方の発光部が出射する光を受光する他方の受光部へ光が、それらの間に配置された検出対象により遮断されたか否かにより検出対象の有無を検出するようになっている。ここでは先端位置センサー40は検出対象としてのトレイ18が作業位置P2に到達したことを検出するものであって、この検出された情報により、作業位置P2にトレイ18が有るか否かが判定されたり、トレイ搬送モーターMCVがトレイ18を作業位置P2に好適に停止させるために駆動制御されたりする。
【0036】
作業位置P2に配置されたトレイ18よりも待機位置P1側には、トレイ18をストッパー33に押し付けるための位置決めシリンダー37が設けられている。位置決めシリンダー37は、作業位置P2に配置されたトレイ18をストッパー33に押し付けてその位置を固定させるもであって、そのシリンダーに対して進退するピストンを後退された位置であるトレイ18の搬送路外の位置と、進出された位置である作業位置P2に配置されたトレイ18の待機位置P1側の端部に当接する位置とに移動させる。すなわち、作業位置P2に配置されたトレイ18は、その待機位置P1側の端部が位置決めシリンダー37のピストンに押圧されてその作業位置P2側の端部がストッパー33に押し付けられることによりその位置が固定される。
【0037】
一方、搬送機構30の待機位置P1側の端部、すなわち各レール30A,30Bの待機位置P1側の端部には、それぞれ支持部材34に支持されるとともに所定の高さ(Z方向の長さ)を有するストッパー35がその一側をベルト32の上方に張り出すように設けられている。これにより、トレイ搬送装置C6にて搬送されたトレイ18がストッパー35の前記一側に当接して搬送機構30の待機位置P1に停止されるようになる(図2参照)。
【0038】
また、ストッパー35のY方向側手前(作業位置P2寄り)には減速位置センサー41が設けられている。減速位置センサー41は、光センサーであって対向する減速位置センサー41と対をなし一方の発光部が出射する光を受光する他方の受光部へ光が、それらの間に配置された検出対象により遮断されたか否かにより検出対象の有無を検出するようになっている。ここでは減速位置センサー41は、検出対象としてのトレイ18が当該位置に到達したことを検出するものであって、この検出結果に基づいて、トレイ搬送モーターMCVがトレイ18を待機位置P1に好適に停止させるために駆動制御されたりする。具体的には、作業位置P2から待機位置P1に予め設定された所定の搬送速度でトレイ18が搬送されるとき、減速位置センサー41が搬送されてきたトレイ18を検出したタイミングでトレイ搬送モーターMCVが減速停止制御されて、同トレイ18の待機位置P1側の先端がストッパー35に当接する位置にて停止される。また、減速位置センサー41による検出結果に基づいて、待機位置P1にトレイ18が有るか否かが判定されたりもする。
【0039】
搬送機構30の待機位置P1には、4つのトレイ保持具36を備えるトレイ保持装置が設けられている。トレイ保持装置は、積層されたトレイ18を搬送機構30の待機位置P1の上方に保持するための装置である。4つのトレイ保持具36は各レール30A,30Bにそれぞれ2つずつ配置されているとともに、各レール30A,30Bに設けられた2つのトレイ保持具36はその間隔がトレイ18のY方向の長さよりも短い間隔に設定されている。トレイ保持装置の4つのトレイ保持具36は、いずれも同様の構成を有している。トレイ保持具36は、搬送機構30の内側に向く側面に突出部36aが設けられている。突出部36aは、搬送機構30の内側に向けて進退可能になっており、進出された突出部36aはその先端でトレイ18の一部と係合し、トレイ18を保持することができるようになっているとともに、後退された突出部36aは、トレイ18の一部との係合が解除され、トレイ18に接しないようになっている。このように、突起部36aがトレイ18と係合または係合解除することにより、内側に向けて進出した4つの突出部36aにトレイ18の4箇所を適時支持させることで、搬送機構30の待機位置P1の上方に一枚もしくは複数の積層されたトレイ18からなる保持トレイ体を支持することができるようになっている。
【0040】
また、搬送機構30の待機位置P1には、Z方向に上下動可能なトレイ昇降装置TLが、各レール30A,30Bの間に設けられている。トレイ昇降装置TLは、トレイ昇降モーターMTL(図4参照)によって駆動されることにより、ベルト32の上面よりも低い位置とトレイ保持装置の突出部36aよりも高い位置との間を上下移動することが可能になっている。このことにより、トレイ昇降装置TLは、トレイ保持装置との協働によりトレイ保持装置に保持されている保持トレイ体から最下層のトレイ18を待機位置P1に取り出したり、待機位置P1のトレイ18をトレイ保持装置に保持されている保持トレイ体の最下層に積層(段積)させたりする。なおトレイ搬送装置C6によるY方向へのトレイ18の搬送中には、トレイ昇降装置TLは、ベルト32の上面よりも低い位置に退避するようになっていることから、トレイ搬送装置C6によってY方向に移動されるトレイ18に干渉しない。
【0041】
トレイ保持装置からトレイ18を取り出す場合、トレイ昇降装置TLは、トレイ保持装置が保持トレイ体を支持している位置よりも少し高い位置まで上昇することで同トレイ保持装置に代って保持トレイ体を支持する。これにより、保持トレイ体が離れて無負荷となったトレイ保持装置の突出部36aが退避する。そして、トレイ昇降装置TLを、トレイ保持装置が前記保持トレイ体を保持していた高さよりも一枚分のトレイ18のZ方向の厚みに対応する高さだけ低い高さまで下降させる。それから、トレイ保持装置の突出部36aが進出して元に戻ることで保持トレイ体を同保持トレイ体の最下層から2層目のトレイ18、すなわち下から2枚目のトレイ18を介してトレイ保持装置に支持させる。そして、トレイ昇降装置TLをさらに下降させることで保持トレイ体にあった最下層のトレイ18を前記保持トレイ体から分離させるとともに、トレイ昇降装置TLをベルト32より低い位置まで下降させることにより、最下層にあったトレイ18がベルト32上に載置される。これによって、一枚のトレイ18が待機位置P1に取り出される。
【0042】
逆に、トレイ保持装置にトレイ18を積層させる場合、トレイ18が待機位置P1に配置されるとベルト32よりも低い位置にあるトレイ昇降装置TLが上昇して、待機位置P1にある同トレイ18がトレイ保持装置に保持される保持トレイ体の最下層に当接する位置まで移動される。そして、同トレイ18が保持トレイ体の最下層に当接されて、もしくは、保持トレイ体がない場合はそのまま、さらに上昇されるとともにトレイ保持装置の突出部36aが後退する。それからトレイ昇降装置TLが一枚分のトレイ18のZ方向の厚みに対応する高さだけ上昇することに応じて突出部36aが進出して元に戻るとともに、トレイ昇降装置TLが下降することによって同トレイ18を新たな最下層とする保持トレイ体がトレイ保持装置に支持される。
【0043】
搬送機構30の待機位置P1にあって最も作業位置P2側、すなわち各レール30A,30Bの待機位置P1にあって最も作業位置P2側には、それぞれにガイド基部38Aが設けられている。各ガイド基部38Aには、トレイ保持装置に保持された保持トレイ体をガイドするガイド部材38がそれぞれ設けられている。ガイド部材38は、保持トレイ体の作業位置P2側の2つの角をZ方向(上方向)にガイドするようになっている。ガイド部材38は、各ガイド基部38Aに取り付けられることでトレイ18の搬送路よりも高い位置に設けられている。ガイド部材38は、トレイ18の搬送路と平行な側面と、トレイ18の搬送路に直交する側面を有するとともに、トレイ18の搬送路に平行な側面がガイド基部38Aに支持されることによってトレイ18の搬送路に直交する側面が同搬送路に張り出されるように設けられている。これにより、トレイ保持装置に保持された保持トレイ体の作業位置P2側の2つの角がそれぞれガイド部材38にガイドされるようになる。保持トレイ体がガイド部材38にガイドされて保持トレイ体の揺れが抑制されることなどによって、トレイ昇降装置TLを用いての保持トレイ体へのトレイ18の追加や保持トレイ体からのトレイ18の取出しが安定的に行なわれるようになる。
【0044】
また、ガイド部材38の上部には、上限センサー39が設けられている。上限センサー39は、光センサーであって対向する上限センサー39と対をなし一方の発光部が出射する光を受光する他方の受光部へ光が、それらの間に配置された検出対象により遮断されたか否かにより検出対象の有無を検出するようになっている。ここでは上限センサー39は、検出対象としての保持トレイ体の高さが当該高さに到達したことを検出するものであって、その検出結果に基づいて、保持トレイ体をトレイ搬送装置C6から排出させるための要求を出力させたり、当該保持トレイ体にさらにトレイ18を積層させることを中止させたりする処理に用いられる。
【0045】
ガイド基部38Aには、トレイ保持装置にトレイが保持されていることを検出する保持トレイ検出センサー42が設けられている。保持トレイ検出センサー42は、光センサーであって対向する保持トレイ検出センサー42と対をなし一方の発光部が出射する光を受光する他方の受光部へ光が、それらの間に配置された検出対象により遮断されたか否かにより検出対象の有無を検出するようになっている。保持トレイ検出センサー42は、ガイド基部38Aにあって、トレイ保持具36の突出部36aに載置された検出対象としてのトレイ18を、トレイ18が一枚であれ、検出することのできる高さに設けられている。これにより、トレイ保持装置における保持トレイ体の有無が判定できるようになっている。
【0046】
搬送機構30の待機位置P1と作業位置P2との間、すなわち各レール30A,30Bの待機位置P1と作業位置P2との間には、図3に示すように、各レール30A,30Bの上部(Z方向側)にZ方向への所定の高さを有するセンサー基部45がそれぞれに設けられている。これら2つのセンサー基部45は、トレイ18の搬送路を跨ぐように設けられるラインセンサー46を支持している。ラインセンサー46は、搬送路を通過するトレイ18のトレイ状態、すなわちそのポケットPKに載置されたICチップTの載置状態(有無や位置など)を検出するためのものであり、トレイ18の搬送路に対して水平に配置されている。ラインセンサー46は、トレイ18の搬送路の方向(逆Z方向)、すなわち下方にトレイ18の幅に対応する検出光L1を照射するとともに、当該照射された検出光L1が検出対象により反射された光である反射光L2を検出することで、検出対象の対向面(トレイ18の表面)を非接触で検出する。ラインセンサー46はスキャナーなどに用いられている公知の光学系センサーであって、例えば、横方向(Y方向)には1インチ(2.54センチメートル)当たり300ドット(DPI)の解像度を有するように複数の検出素子が一列に配置されているとともに、各ドットは反射光L2の強度に応じての明暗を白黒の色彩で256階調にて検出する分解能を有している。これにより、ラインセンサー46は、トレイ18の幅に対応するX方向の所定の区間を一括検出していわゆるライン画像を取得する。また検出対象、すなわちトレイ18がY方向に移動すれば、トレイ18を移動方向(Y方向)に走査することができるようになる。このことにより、待機位置P1と作業位置P2との間でトレイ搬送装置C6を往復移動されるトレイ18の表面の状態が移動方向に走査されてライン画像の集合からなる一枚のトレイ18の表面画像が取得できるようになる。
【0047】
またラインセンサー46は、その検出光L1の出射強度や反射光L2の検出感度等の特性により検出対象に対する適切な検出距離が予め定められている。そこで、ラインセンサー46が配置される高さは、搬送路を通過するトレイ18の表面との距離DLが適切な検出距離となるような高さ、例えばトレイ18の表面との距離DLが10ミリメートルになる高さ等に設定されている。なお、搬送されるトレイ18は、Z方向(上下方向)に振動するものではないことから、ラインセンサー46を、搬送路を通過するトレイ18の表面との距離DLが2〜3ミリメートルの検出距離となるように配置することも可能である。
【0048】
次に、部品搬送装置10がトレイ18の表面の状態を検出するための電気的構成について図4を参照して説明する。
部品搬送装置10には、制御装置50が備えられている。制御装置50は、中央演算処理装置(CPU)、記憶装置(不揮発性メモリーROM、揮発性メモリーRAMなど)を有するマイクロコンピューターを中心に構成されており、メモリーに格納されている各種データ及びプログラムに基づいて、ICチップTなどのデバイスを搬送する処理などのため各種制御を実行する。本実施形態では、制御装置50にて、トレイ搬送装置C1〜C6によるトレイ18の搬送制御や、ラインセンサー46により検出されたライン画像(表面画像)に基づいてトレイ18のトレイ状態、すなわちICチップTの載置状態(有無や位置など)の適否を判定するトレイ状態判定処理などが行われる。また、不揮発性メモリーROMには、トレイ18の搬送制御やトレイ状態判定処理などに必要な各種のパラメーターなどが予め保存されている。
【0049】
また本実施形態では、トレイ18の搬送制御には、トレイ18を移動開始した際の加速制御や、トレイ18を待機位置P1や作業位置P2に停止させるための減速停止制御が含まれる。また、所定のメモリーには、ICチップTの載置されていないトレイ18の表面画像のモデル情報や、ICチップTが載置されているトレイ18の表面画像のモデル情報などが予め記憶されている。さらに、供給ロボット14の供給側ロボットハンドユニット20の把持装置によるトレイ18からICチップTの把持(取得)に必要とされる情報や、回収ロボット15の回収側ロボットハンドユニット21の把持装置によるトレイ18へのICチップTの配置(載置)に必要とされる情報などが供給ロボット14や回収ロボット15に提供される。
【0050】
制御装置50は、先端位置センサー40と電気的に接続されている。先端位置センサー40は、作業位置P2に搬送されたトレイ18を検出すると、そのトレイ18を検出したことを示す信号である検出信号を制御装置50に出力する。制御装置50は、トレイ18が検出されたことを示す検出信号を受けてトレイ18が作業位置P2に到達したことを判断したりするとともに、トレイ18を作業位置P2に好適に停止させるための減速停止制御を行ったりする。
【0051】
制御装置50は、減速位置センサー41と電気的に接続されている。減速位置センサー41は、待機位置P1に搬送されたトレイ18を検出すると、そのトレイ18を検出したことを示す信号である検出信号を制御装置50に出力する。制御装置50は、トレイ18が検出されたことを示す検出信号を受けてトレイ18が待機位置P1に到達したことを判断したりするとともに、トレイ18を待機位置P1に好適に停止させるための減速停止制御を行ったりする。
【0052】
制御装置50は、保持トレイ検出センサー42と電気的に接続されている。保持トレイ検出センサー42は、トレイ保持装置に保持トレイ体(トレイ18)を検出すると、そのトレイ18を検出したことを示す信号である検出信号を制御装置50に出力する。例えば保持トレイ検出センサー42は、図2に示すように、トレイ保持装置に保持トレイ体がない場合、保持トレイ体(トレイ18)を検出しないことを示す検出信号を出力する一方、図10に示すように、トレイ保持装置に保持トレイ体がある場合、保持トレイ体(トレイ18)を検出したことを示す検出信号を出力する。制御装置50は、保持トレイ体があることを示す検出信号を受けてトレイ保持装置に保持トレイ体があることを判断するとともに、トレイ保持装置からのトレイ18の取り出し制御や、トレイ保持装置へのトレイ18を積層させるトレイ積層制御を行う。
【0053】
制御装置50は、ラインセンサー46と電気的に接続されている。ラインセンサー46は、ラインセンサー46の下方を通過するトレイ18表面のライン画像を横方向(X方向)に一括検出する。またライン画像の検出を所定の時間間隔で実行させることで、搬送されるトレイ18の進行方向(Y方向)に時分割されたトレイ18表面のライン画像が検出されて制御装置50に出力される。なお、所定の時間間隔を、トレイ18の搬送速度に応じて設定することで適切に時分割されたトレイ18の表面画像を取得することができるようになる。また、ラインセンサー46がトレイ18を検出したことによりトレイ18の表面のライン画像の検出を開始して、ラインセンサー46がトレイ18を検出しなくなることによりトレイ18表面のライン画像の検出を終了するようにすることができる。制御装置50は、トレイ18表面のライン画像の画像データを受けて一時的に内部のデータバッファーに記憶させるとともに、当該画像データをラインセンサーデータ処理部51に伝達するようになっている。
【0054】
制御装置50は、トレイ搬送装置駆動回路MCVDに電気的に接続されている。トレイ搬送装置駆動回路MCVDは、制御装置50から受けた駆動信号に応答してトレイ搬送モーターMCVを駆動制御するようになっている。すなわちトレイ搬送装置駆動回路MCVDは、制御装置50の加速制御に基づく駆動信号に応答してトレイ搬送モーターMCVを所定の搬送速度まで加速させるとともに、同所定の搬送速度に維持させる。一方、制御装置50の減速停止制御に基づく駆動信号に応答して所定の搬送速度から減速を開始するとともに、所定の時間で停止するようになっている。これにより、トレイ18がトレイ搬送装置C1〜C6の搬送路を所定の搬送速度で搬送されるとともに、待機位置P1や作業位置P2に好適に減速停止されるようになっている。
【0055】
例えば、トレイ18を作業位置P2から待機位置P1に搬送する場合、図2に示すように、制御装置50は、作業位置P2に配置されていたトレイ18を、同トレイ18がラインセンサー46の下方を通る前に所定の搬送速度になるようにトレイ搬送モーターMCVを加速制御する。そして、図5に示すように、制御装置50は、減速位置センサー41によりトレイ18が検出されるとトレイ18の減速停止制御を開始してその後、図9に示すように、トレイ18が待機位置P1に配置されるようにする。このとき、トレイ18がラインセンサー46の下方を過ぎてから同トレイ18が減速されるように減速位置センサー41が配置されているので、ラインセンサー46は一定速度のトレイ18のライン画像を検出することができるようになっている。これにより、トレイ18は、ラインセンサー46の下方を所定の搬送速度にて通過するようになることにより、ラインセンサー46のライン画像がトレイ18の表面を等距離で走査するように検出されて、ライン画像を時間に従って並べるだけで実際のトレイ18の表面への簡単に対応付けることができるようになる。
【0056】
また例えば、逆にトレイ18を待機位置P1から作業位置P2に搬送する場合、図9に示すように、制御装置50は、待機位置P1に配置されているトレイ18を、同トレイ18がラインセンサー46の下方を通る前に所定の搬送速度になるようにトレイ搬送モーターMCVを加速制御する。これにより、トレイ18は、ラインセンサー46の下方を所定の搬送速度にて通過するようになる。そして、制御装置50は、所定の条件によりトレイ18の減速停止制御を開始してその後、図2に示すように、先端位置センサー40の検出されたタイミングに基づいてトレイ18を作業位置P2に停止させるようにする。このとき、トレイ18がラインセンサー46の下方を過ぎてから同トレイ18が減速されるように減速停止制御を開始する条件が設定されているので、この場合も、ラインセンサー46は一定速度のトレイ18のライン画像を検出することができるようになっている。
【0057】
制御装置50は、トレイ昇降装置駆動回路TLDに電気的に接続されている。トレイ昇降装置駆動回路TLDは、制御装置50から受けた駆動信号に応答して、同駆動信号に基づく駆動量を演算し、演算された駆動量に基づいてトレイ昇降モーターMTLを駆動制御するようになっている。また制御装置50には、トレイ昇降モーターMTLのエンコーダーによって検出されたトレイ昇降モーターMTLの回転速度が入力される。これにより制御装置50は、トレイ昇降装置TLのZ方向の位置(高さ)を把握する。そして、その把握したZ方向の位置(高さ)と、トレイ18をトレイ保持装置から取り出したり、トレイ18をトレイ保持装置に積層させたりする際の各目標位置とのZ方向のずれを求めて、トレイ昇降モーターMTLを駆動制御してトレイ昇降装置TLを目標位置に移動させるようになっている。
【0058】
制御装置50は、位置決めシリンダー駆動回路37Dに電気的に接続されている。位置決めシリンダー駆動回路37Dは、制御装置50から受けた制御信号に応答して位置決めシリンダー37を駆動制御するようになっている。すなわち制御装置50により駆動制御される位置決めシリンダー37は、制御装置50の制御信号に基づいてピストンの進出と後退とが切換えられる。これにより、位置決めシリンダー37は、トレイ18をストッパー33に押し付けたり、トレイ18から離脱したりするようになる。
【0059】
制御装置50は、トレイ保持装置駆動回路36Dに電気的に接続されている。トレイ保持装置駆動回路36Dは、制御装置50から受けた制御信号に応答して各トレイ保持具36の突出部36aを駆動制御するようになっている。すなわち制御装置50により駆動制御される各トレイ保持具36は、制御装置50の制御信号に基づいて突出部36aの進出と後退とが切換えられる。これにより、各トレイ保持具36は、進出された突出部36aにより保持トレイ体を支持したり、突出部36aの後退により保持トレイ体を支持しなくなったりするようになる。
【0060】
制御装置50には、ラインセンサー46により検出されたライン画像をデータ処理して、トレイ18の表面画像を作成するラインセンサーデータ処理部51が設けられている。ラインセンサーデータ処理部51は、トレイ18の表面のライン画像が検出開始されてから検出終了するまでに時分割されたライン画像を逐次取得してトレイ18の表面に対応する表面画像を例えばマップデータとして作成するとともに、当該作成したマップデータを制御装置50の所定のメモリーなどに記憶させる。
【0061】
制御装置50には、判定装置としてのトレイ状態判定部52が設けられている。トレイ状態判定部52は、制御装置50の所定のメモリーなどに予め記憶されているモデル情報を選択して、当該選択したモデル情報とラインセンサーデータ処理部51の作成したマップデータとを比較して、それらの相違点を抽出する。そして抽出された相違点に基づいて、モデル情報に一致しているが否かを判定する。なお、モデル情報は、ラインセンサーデータ処理部51が上述したようにトレイ18の表面画像を生成する場合と同様の条件にて生成された情報であり、ラインセンサーデータ処理部51により生成されたマップデータとの対比(マッチング)による相違点の抽出が容易に行えるものである。なお、マッチングの方法としては、公知の各種のマッチング方法を用いることができ、それらマッチング方法に応じての比較結果として比較されたデータの一致・不一致を取得することができる。
【0062】
ここでモデル情報について詳しく説明する。例えば、図6(a)に示すように、ICチップTの載置されていないトレイ18の表面に基づく表面画像からは、図6(b)に示すような、モデル情報D1が生成される。なお、幅方向に並ぶデータがラインセンサー46により一括検出されたトレイ18の表面の一つのライン画像に基づき取得されたデータであり、進行方向に並ぶデータが所定の時間間隔毎に取得された複数のライン画像の並び、すなわちトレイ18の搬送速度に基づいて時分割された(走査された)同トレイ18の表面のライン画像のデータである。すなわち、トレイ18の表面は所定のデータ値「a」として検出されるとともに、トレイ18のポケットPKは所定のデータ値「b」として検出されて、データ値「b」の範囲Dbがトレイ18のポケットPKに対応している。このことから、このモデル情報D1と、作業位置P2にてICチップTを供給した後、待機位置P1に戻るとき検出されたトレイ18の表面画像のマップデータとを比較して相違点を抽出する、すなわちマップデータに含まれている不適切なデータ値を抽出することができる。例えば、ICチップTが残留していた場合、データ値が「a」や「b」であるはずの場所のデータ値がそれらとは異なる所定のデータ値「c」として抽出される。なお、所定のデータ値「a」「b」「c」は、ラインセンサー46により検出された例えば256階調の明暗に対応する8ビットデータの任意値を便宜的に示したものである。
【0063】
また例えば、図7(a)に示すように、ICチップTの載置されているトレイ18の表面に基づく表面画像からは、図7(b)に示すような、モデル情報D2が生成される。なお、図6(b)と同様に、幅方向に並ぶデータは一つのライン画像に基づき取得されたデータであり、進行方向に並ぶデータは複数のライン画像の並び、すなわち時分割された(走査された)トレイ18の表面のライン画像のデータである。すなわち、トレイ18の表面はデータ値「a」として検出されるとともに、トレイ18のポケットPKに載置されたICチップTはデータ値「c」として検出されて、データ値「c」の範囲Dcがトレイ18のポケットPKに載置されたICチップTに対応する。このことから、このモデル情報D2と、作業位置P2にてICチップTが載置された後のトレイ18が待機位置P1に戻るとき検出されたトレイ18の表面画像のマップデータとを比較して相違点を抽出する、すなわちマップデータに含まれている不適切なデータ値を抽出することができる。例えば、ICチップTが載置されていない場合、データ値が「a」や「c」であるはずの場所のデータ値がそれらとは異なる「b」として抽出される。
【0064】
次に、検出されたトレイ18の表面画像に基づくトレイ状態の適否判定の例について図8に基づいて説明する。なお、トレイ搬送装置C6の作業位置P2にあるトレイ18には良品のICチップTが回収されるものとする。
【0065】
トレイ搬送装置C6のトレイ18には、図8(a)に示すように、一部のICチップTがポケットPKからずれた位置に載置されているものとする。このことにより、トレイ搬送装置C6において作業位置P2にてICチップTが載置された後のトレイ18が待機位置P1に戻るとき、図8(b)に示すような、トレイ18の表面画像のマップデータD3が作成される。このとき、トレイ状態判定部52は、制御装置50の制御情報などから「トレイ18にはICチップTが載置されている」という条件に基づいて、モデル情報として、トレイ18にICチップTが載置されているモデル情報D2を選択する。そして、このモデル情報D2とトレイ18の表面画像のマップデータD3とを比較して相違点を抽出する。これにより、ICチップTがあるべき位置の一部にICチップTのデータ値「c」ではないデータ値「b」があること(範囲Db)、及び、トレイ18の表面であるべき位置の一部にトレイ18の表面のデータ値「a」ではないデータ値「c」があること(範囲Dc)などが抽出される。この抽出結果に基づいて、トレイ状態判定部52は、モデル情報D2とマップデータD3とは不一致であるものと判断して、トレイ18のトレイ状態は、不適切な状態にあると判定する。
【0066】
ところで、ICチップTが載置された後のトレイ18が待機位置P1に配置されると、同トレイ18はトレイ昇降装置TLとトレイ保持装置との協働により、トレイ保持装置の保持トレイ体に積層(段積み)される。しかしながら、不適切なトレイ状態のトレイ18を積層すると、例えば、上述のように、ICチップTがポケットPKからはみ出したまま積層すると、積層されたトレイ18に挟まれたICチップTが損傷されてしまうおそれがある。そこで、制御装置50は、保持トレイ検出センサー42が保持トレイ体を検出した場合、図10に示すように、待機位置P1に配置されたトレイ18の積層を禁止するためにトレイ積層制御を抑止して、トレイ昇降装置TLとトレイ保持装置を動作させないようにしている。
【0067】
また一方、トレイ搬送装置C1の作業位置P2にあるトレイ18から検査前のICチップTが供給ロボット14に供給されるものとする。このとき、トレイ搬送装置C1において作業位置P2にてICチップTを供給した後の空のトレイ18が待機位置P1に戻る際、トレイ状態判定部52は、制御装置50の制御情報などから「トレイ18にはICチップTが未載置である」という条件に基づいて、モデル情報として、トレイ18にICチップTが未載置であるモデル情報D1を選択する。そして、このモデル情報D1とトレイ18の表面画像のマップデータとを比較して相違点を抽出する。これにより、ポケットPKがあるべき位置の一部にポケットPKのデータ値「b」ではないデータ値があったり、トレイ18の表面であるべき位置の一部にトレイ18の表面のデータ値「a」ではないデータ値があったりするとそれらデータ値が抽出される。このように所定外のデータ値が検出されると、トレイ状態判定部52は、モデル情報D1とマップデータとは不一致であるものと判断して、トレイ18のトレイ状態は、不適切な状態にあると判定する。
【0068】
ところで、検査前のICチップTを供給した後のトレイ18が待機位置P1に配置されると、一般的に、同トレイ18はICチップTの回収用に転用される。しかしながら、不適切なトレイ状態にあるトレイ18を回収用に転用すると、例えば、供給が中断されたことなどによりICチップTが残されているようなトレイ18の場合、特にこれが良品のICチップTの回収用に転用されるようになると良品のICチップTに検査前(未検査)のICチップTが混入することが防止できなくなる。そこで、制御装置50は、トレイ状態が不適切な状態にあると判定されたトレイ18を回収用に転用させないように、例えば、トレイ18を他のトレイ搬送装置C2〜C6に移動させるトレイ移載装置が当該トレイ18を回収用のトレイ搬送装置に移載させることを禁止するようにしている。
【0069】
次に、本願発明の部品搬送装置に用いるラインセンサー46で取得した画像の写真を図11及び図12に示す。図11は、ICチップTが全く載置されていないトレイ18を撮影した写真である。トレイ18のポケットPKには穴が開いており、写真で白く見える部分は、その穴である。
図12は、所定のポケットPKにICチップTが載置されたトレイ18を撮影した写真である。ICチップTが載置された部分では、図11で白く見えるポケットPKの穴がICチップTで塞がれていることが画像データから確認できる。
【0070】
以上説明したように、本実施形態のトレイ検査装置を有する部品搬送装置10によれば、以下に列記するような効果が得られるようになる。
【0071】
(1)ラインセンサー46によるトレイ18の検査は、トレイ18の搬送時によって行われるので、従来に比べて検査に要する時間の短縮化が図られるようになる。
【0072】
(2)検出装置としての設置が簡単なラインセンサー46を用いるようにしたことから、保守性が向上するとともにコストダウンも図られるようになる。
【0073】
(3)トレイ18の幅に対応する検出範囲を有するラインセンサー46を設けることで、トレイ18の搬送に伴いその搬送方向(進行方向)に検出面としてのトレイ18の表面が走査されるようになることから、走査のためにラインセンサー46を駆動させる駆動装置が不要とされる。また移動しないラインセンサー46は、その他の機構に干渉するおそれもない。
【0074】
(4)従来のカメラを用いる検査では、カメラ本体の高さ、光学レンズ等の高さ、焦点距離、さらには、障害物のない広い視野の確保、構造によってはカメラの移動装置が必要であった。それと比較して、本実施形態では、高さの低いラインセンサー46を検出装置として採用することにより、同ラインセンサー46の配置位置を低くできるので、これを備えるトレイ搬送装置C1〜C6、ひいては部品搬送装置10としてもその小型化やコストダウンが図られるようになる。
【0075】
(5)ラインセンサー46による検出時間間隔を一定とすることでラインセンサー46により検出されるライン画像がトレイ18の表面に対して等間隔に取得されるようにした。これにより、ライン画像の集合からなるトレイ18の表面画像は速度変化によって生じるトレイ18の位置に対するデータ分布のむらが生じないため、これに対する補正を行う必要がない。また、ライン画像の分布にトレイ18の位置に対するむらが生じないことなどからトレイ状態の判定精度も一定に維持される。
【0076】
(6)トレイ状態の判定が、選択されたモデル情報と検出された表面画像(ライン画像)とのマッチング(比較)により行われるので、画像認識処理などに比較して処理が簡単であるとともに迅速に行える。例えば、検出されたトレイ18の表面画像と、ICチップTが載置されていないトレイ18のモデル情報との比較によりトレイ18へのICチップTの残留を判定することができる。また、検出されたトレイ18の表面画像と、ICチップTが載置されているトレイ18のモデル情報との比較によりICチップTの有無を含めてトレイ18にICチップTが適正に載置されているか否かを判定することができる。
【0077】
(7)トレイ状態が不正である場合には積層制御を抑制して、トレイ18のポケットPKからはみ出しているようなICチップTが積層されたトレイ18(保持トレイ体)の間に挟まれて損傷されるようなおそれを防止した。これにより、例えば良品のICチップTが載置されているトレイ18のポケットPKから電子部品がはみ出しているような場合、そのトレイ18の積層を禁止することで載置されているICチップTが積層により損傷されることを防止して、損傷されたICチップTが良品のICチップTに混入してしまうようなことがなくなるようになる。
【0078】
(8)部品搬送装置10として検査前のICチップTの同装置への供給後の空のトレイ18を検査して残留されたICチップTの無いことが確認されたトレイ18を回収用に転用するようにする。これにより、回収用のトレイ18に残留している検査前のICチップTが検査済みのICチップT、特に良品判定されたICチップTに混入することを防ぐようにできる。
【0079】
(9)ICチップTの載置されたトレイ18を検査して、ICチップTが正しく載置されていない場合を判定することで、その場合にはトレイの積層を禁止することにより、その後の工程で行われる積層制御を抑制してトレイ18の積層によるICチップTの損傷を防ぐことができるようになる。
【0080】
なお、上記実施形態は、例えば以下のような態様にて実施することもできる。
【0081】
・上記実施形態では、上限センサー39、先端位置センサー40、減速位置センサー41及び保持トレイ検出センサー42は、それぞれが光センサーである場合について例示した。しかしこれに限らず、これらのセンサーはそれぞれがトレイを検出することができるものであればよく、近接センサーなどのその他のセンサーであってもよい。
【0082】
・上記実施形態では、ラインセンサー46は、1インチ(2.54センチメートル)当たり300ドット(DPI)の解像度と、各ドットの当たり256階調の分解能を有する場合について例示した。しかしこれに限らず、ラインセンサーは、トレイ18の表面状態を好適に検出することができるのであれば、解像度が300DPIより低くてもまた高くてもよいし、分解能が256階調より低くてもまたは高くてもよい。また、白黒の色調を検出するものであっても、カラーの色調を検出するものであってもよい。これにより、ラインセンサーの性能を自由に選択できるようになり、トレイ検査装置としてもトレイに載置されたICチップTの検出精度などの性能に基づいての設計自由度を高くすることができる。
【0083】
・上記実施形態では、ラインセンサー46がセンサー基部45により支持される場合について例示したが、これに限らず、ラインセンサーがトレイの搬送路上の所定の高さに配置されるのであれば、ラインセンサーは部品搬送装置のベース上に支持されて搬送路上に配置されるなど、どのように搬送路上に配置されてもよい。これにより、ラインセンサーの配置の自由度が高められるようになるとともに、既存のトレイ搬送装置への設置も容易になる。
【0084】
・上記実施形態では、トレイ18を所定の搬送速度でラインセンサー46の下方を通過させる場合について例示したが、これに限らず、ラインセンサーの下方を通過するトレイの速度が変動してもよい。この場合、トレイの表面画像をトレイの速度変動に基づいて補正することでマッチング等に適したマップデータが得られるようになる。
【0085】
・上記実施形態では、一つのラインセンサー46でトレイの幅を一括して検出する場合について例示したがこれに限らず、複数のラインセンサーでトレイの幅を一括して検出してもよい。これにより、トレイの幅に係わらず、このようなトレイ検査装置を設けることができるようにもなる。
【0086】
・上記実施形態では、検出装置としてラインセンサー46を用いる場合について例示したが、これに限らず、検出装置は、トレイの幅を一括して検出することができるのであれば他のセンサー、例えば距離センサーなどでもよい。これにより、トレイ検査装置の設計自由度が向上される。
【0087】
・すなわちこのことから、ICチップTの有無を含めたトレイ状態を判定することのできるデータを取得することができるのであれば、取得されるデータが距離データや材料の特性を示すようなデータでもよい。
【0088】
・上記実施形態では、トレイ搬送装置C6の作業位置P2にあるトレイ18には良品のICチップTが回収される場合について例示した。しかしこれに限らず、トレイ搬送装置の作業位置にあるトレイには、不良品が回収されてもよい。このようにトレイ検査装置は、良品、不良品、未検査などの別を問わずトレイ状態を検査することができる。
【0089】
・上記実施形態では、トレイ状態の判定を、良品判定されたICチップTを載置したトレイ18や、検査前のICチップTを供給した後の空のトレイ18に対して行う場合について例示した。しかし、トレイの状態を判定する場合はこれに限られず、トレイの状態は、検査前のICチップを載置したトレイや、不良品判定されたICチップを載置したトレイなどに判定されてもよい。
【0090】
例えば、検査前のICチップTを載置したトレイのトレイ状態を判定するようにすれば、供給ロボット14によるICチップTの把持作業を好適に行わせることができるようにもなる。すなわち、供給ロボット14の把持装置に、トレイ状態に基づいて認識されたICチップTの載置されているトレイ18のポケットPKだけからICチップTを取得させることができるようになる。これにより把持装置によるICチップTの取得動作が効率化されるようになる。
【0091】
また、トレイ状態に基づいて認識されるICチップTの載置されたトレイ18のポケットPKにおいてICチップTが取得できなかったとき、供給ロボット14の把持装置に取得条件としての取得する高さを変更(例えば0.1mm下げる)させるなどして取得をリトライさせることができるようになる。これにより取得可能性を向上させることができるようにもなる。このとき、所定回数のリトライによっても、ICチップTが傾斜しているなどして、ICチップTが取得できないときには、取得動作を一時的に停止するようにしてもよい。
【0092】
・上記実施形態では、トレイ18の表面画像に対応するモデル情報を用いる場合について例示した。しかしこれに限らず、モデル情報は、例えば各ポケットとその周辺近傍部分などのトレイの一部分からなる部分モデル情報であってもよい。この場合、部分モデル情報と、取得されたトレイの表面画像のうちから前記部分モデル情報に対応する部分とをマッチング(対比)させるようにしてトレイの状態を判定することができる。
【0093】
・上記実施形態では、ICチップTが載置されているトレイ18や、ICチップTが載置されていないトレイ18についてのトレイ状態を判定する場合について例示した。しかしこれに限らず、一部のポケットにICチップが載置されているようなトレイの状態を判定するようにしてもよい。この場合、各ポケットの状態が、ポケットにICチップが載置されている部分のモデル情報(例えば上述した部分モデル情報など)か、ポケットにICチップが載置されていない部分のモデル情報かのいずれか一方に一致すれば適正な状態であり、いずれにも一致しない場合には不適切な状態と判定するようにもできる。
【0094】
・上記実施形態では、トレイ搬送装置C1〜C6にトレイ検査装置が設けられる場合について例示したが、トレイ検査装置は、任意の一つ以上のトレイ搬送装置に設けられるようにしてもよい。これにより、トレイ搬送装置の設計自由度が高められる。
【0095】
・上記実施形態では、トレイへの電子部品の載置状態に基づいてトレイ状態の適否を判定する場合について例示した。しかしこれに限らず、トレイ状態の判定は、例えばICチップが満載されているか否かを知る場合には、ICチップTの数を数えて判定するようにしてもよい。
【0096】
・上記実施形態では、ラインセンサー46は、搬送路を通過するトレイ18のトレイ状態として、そのポケットPKに載置されたICチップTの載置状態などを検出する場合について例示した。しかしこれに限らず、ラインセンサーは、搬送路を通過するトレイの表面の状態を、そのポケットPKに載置されたICチップの載置状態を含め検出するようにしてもよい。これにより、ラインセンサーの検出対象をトレイの表面とすることもできるようになり、トレイ状態の検出の自由度が向上するようになる。
【符号の説明】
【0097】
10…部品搬送装置、11…ベース、12…安全カバー、13…高温チャンバ、14…供給ロボット、15…回収ロボット、16…第1シャトル、16A…ベース部材、16B…チェンジキット、16C…チェンジキット、17…第2シャトル、17A…ベース部材、17B…チェンジキット、17C…チェンジキット、18…トレイ、20…供給側ロボットハンドユニット、21…回収側ロボットハンドユニット、22…検査ユニットを構成する検査用ヘッド、23…検査ユニットを構成する検査部、24…検査用ソケット、24A…第1のレール、24B…第2のレール、30…搬送機構、30A…レール、30B…レール、30G…ガイド、31A,31B…プーリー、31S…シャフト、32…ベルト、33…ストッパー、34…支持部材、35…ストッパー、36…トレイ保持具、36a…突出部、36D…トレイ保持装置駆動回路、37…位置決めシリンダー、37D…位置決めシリンダー駆動回路、38…ガイド部材、38A…ガイド基部、39…上限センサー、40…先端位置センサー、41…減速位置センサー、42…保持トレイ検出センサー、45…センサー基部、46…検出装置としてのラインセンサー、50…制御装置、51…ラインセンサーデータ処理部、52…判定装置としてのトレイ状態判定部、C1〜C6…トレイ搬送装置、D1,D2…モデル情報、D3…マップデータ、FX…X軸フレーム、FY1…第1のY軸フレーム、FY2…第2のY軸フレーム、L1…検出光、L2…反射光、MCV…トレイ搬送モーター、MCVD…トレイ搬送装置駆動回路、MTL…トレイ昇降モーター、P1…待機位置、P2…作業位置、PK,PS…ポケット、T…ICチップ、TL…積層装置としてのトレイ昇降装置、TLD…トレイ昇降装置駆動回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状の部材を載置可能であり当該部材を搬送する搬送部材と、
前記搬送部材を移動させる駆動機構部と、
前記搬送部材が搬送される搬送路と、
前記搬送路の情報に配置される非接触検出器と、を備え、
前記非接触検出器は前記搬送部材の搬送方向と交差する方向に複数の検出素子が配置されていることを特徴とする部品搬送装置。
【請求項2】
前記非接触検出器は、検出対象の画像を取得する光学系ラインセンサーであることを特徴とする請求項1に記載の部品搬送装置。
【請求項3】
前記平板状の部材に載置される部品を把持する部品把持ロボットを更に備え、
前記非接触検出器は当該部品の載置状態を検出することを特徴とする請求項1または2に記載の部品搬送装置。
【請求項4】
前記搬送路は、直線状に設けられており、前記駆動機構は前記搬送部材を往復移動させることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の部品搬送装置。
【請求項5】
前記搬送部材は、無端状のベルトであり、
前記駆動機構部は、前記ベルトが掛けられるプーリー及び前記プーリーを回転させるモーターを備えることを特徴とする請求項4に記載の部品搬送装置。
【請求項6】
前記搬送路の上方には、前記平板状の部材を保持することができる保持具と、
前記搬送路の下方には、前記平板状の部材を昇降させることができる昇降装置と、を更に備え、
前記保持具には、移動可能な突出部が設けられ、前記突起部が移動することで、前記平板状の部材と係合または係合解除することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の部品搬送装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2013−24722(P2013−24722A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−159632(P2011−159632)
【出願日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】