説明

部品検査装置の検査用ライブラリデータの管理方法

【課題】検査データ作成用のライブラリの名称の管理及び部品の設計基準等の違いによる種類別の検査データの管理が容易な部品検査装置の検査用ライブラリデータの管理方法を提供する。
【解決手段】検査対象部品の検査データを作成するための検査用ライブラリデータを該部品の種類別に複数作成し、且つ検査データと該検査データを作成した検査用ライブラリデータを一つのグループとして対応付け、検査データを検査用ライブラリデータの種類ごとにグループ分けして管理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上の回路部品等の良否をその撮影画像から検査する部品検査装置の検査用ライブラリデータの管理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プリント基板に回路部品を実装した後、あるいは半田付けを行った後にその回路部品や半田付けの良否を検査する場合、部品実装後のプリント基板をカメラで撮影し、その撮影画像から実装部品の良否を判定することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような部品実装後のプリント基板の良否を外観から検査する外観検査装置では、被検査部品に対して部品の種類ごとに検査の内容を規定した検査用ライブラリを作成し、このライブラリを被検査部品に対応付けして検査を行うことが一般的となっている。
【0004】
図4は上記のような従来の外観検査装置におけるデータ構造を示す図である。部品ごとに名称(部品名)を表わすコードが設定されていて、その中で同一形状の部品に対しては同一のライブラリが選択されて、各部品の検査が行われるようになっている。
【0005】
図5は他のデータ構造を示す図である。同一形状の部品であっても、例えば色などによって種類が相違する場合があるが、このような場合は検査用ライブラリを新規に作成して対応させている。しかし、従来のデータ構造では部品の色の違いを検査データからのみ判断することができないので、新規ライブラリを追加しても容易に検査データの変更ができなかった。
【0006】
図6は上記のような従来の外観検査装置における検査用ライブラリの管理方法を示す図である。プリント基板に電子部品を搭載した後、あるいは半田付け後の外観の良否を判定する外観検査装置では、検査データを特定の保存場所に保存しておき、この検査データを作成するためのライブラリは該検査データとは特に関連付けをせずにシステムが管理する別の保存場所に保存するのが一般的である。
【0007】
また、ライブラリも階層管理のできるものもあるが、その目的は部品の種類を分類することだけにとどまっている。このため、設計基準の違うプリント基板の検査データを作成しようとする場合には、同一部品でありながらライブラリの名称の違う別のライブラリを作成しなければならず、しかもどの名称のライブラリがどの設計基準に対応しているのかを別の手段で関連付けておかなければならない。更に、作成された検査データもどの設計基準で作成されたのかが容易にはわからないため、検査データの管理も多大な労力を必要とする。
【特許文献1】実開昭60−88670号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記のような従来の部品検査装置にあっては、検査データ中に部品名と検査用ライブラリを直接関連付ける情報しかないため、同一形状であっても種類の異なる部品に対しては新たなライブラリを用いる必要があるが、その際検査データを手作業で修正するか、あるいは検査データを作成し直さなければならなかった。
【0009】
すなわち、同一形状の部品であっても表面の色などに違いがあるので、一般的に同一形状の部品に対して検査用ライブラリは一種類ではなく、例えば角形積層のセラミックコンデンサの場合は、部品の色が白,茶,緑等に電気特性の違いによって異なっている。このため、図5に示すように部品の色に応じて同一形状ではあるが良否判定方法の相違する検査用ライブラリを複数種新規に作成しているが、このように検査精度の向上のために同一形状で色の違う部品の検査用ライブラリを新しく作成した場合は、対象となる部品の検査データを作成変更したライブラリに替えなければならない。このとき、従来では上記のように部品名を直接ライブラリに関連付ける情報しかないので、変更された部品リストから手作業で各部品ごとに検査データを修正するか、CADデータ等から再度検査データを作成し直すしかなかった。
【0010】
そして、従来の検査用ライブラリの管理方法にあっては、上述のように検査データ作成用のライブラリの名称の管理及び設計基準等の違いによる検査データの管理が容易でないという問題点があった。
【0011】
本発明は、上記のような問題点に着目してなされたもので、検査データ作成用のライブラリの名称の管理及び部品の設計基準等の違いによる種類別の検査データの管理が容易な部品検査装置の検査用ライブラリデータの管理方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る部品検査装置の検査用ライブラリデータの管理方法は、基板上の検査対象部品の撮影画像を取り込んで該部品の良否を判定する部品検査装置の検査用ライブラリデータの管理方法において、前記検査対象部品の検査データを作成するための検査用ライブラリデータを該部品の種類別に複数作成し、且つ検査データと該検査データを作成した検査用ライブラリデータを一つのグループとして対応付け、検査データを検査用ライブラリデータの種類ごとにグループ分けして管理するようにしたものである。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明によれば、検査データをライブラリの種類ごとにグループ分けして管理するようにしたため、検査データ作成用のライブラリの名称の管理及び部品の設計基準等の違いによる種類別の検査データの管理が容易になるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下本発明の実施例について、図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0015】
図1は本発明の一実施例を示す図であり、ビデオカメラ等により基板上の回路部品など検査対象部品を撮影し、その画像を記憶装置に取り込んで該部品の良否を自動的に検査する外観検査装置におけるデータ構造を示している。
【0016】
本実施例の装置の検査データ中には、図1に示すように、検査対象部品の名称を表わす部品名コードと検査用のライブラリを関連付けるための部品別コードとしてマクロコードが設定されている。このマクロコードには、検査対象部品の形状などの情報の他に、(白),(黒)などの部品の色別情報など部品種別を表わす情報が含まれていて、このマクロコードを介して検査用のライブラリを選択するようになっている。このため、最初はすべての部品で同一のライブラリを使用していた場合でも容易に(白),(黒)別のライブラリに分けて管理することが可能である。
【0017】
図2は上述の外観検査装置用のデータ構造の詳細を示す図である。同図に示すように、システム領域には本検査装置の制御プログラムやシステム設定ファイルなどが格納されている。また、ユーザー領域では検査データをA,B,……とグループ分けをしており、そのグループごとにライブラリファイルを持つようにしている。
【0018】
このように、本実施例では部品名とライブラリの関連付けを直接行わず、部品種別を表わすマクロコードを介して関連付けを行っているので、同一形状の部品で異なるマクロコードにより同一の検査用ライブラリを使用するのではなく、同一形状で異なるマクロコードによりそれぞれ部品種類に応じた異なる検査用ライブラリを割り付けるときに、マクロコードをインデックスとして、自動的に検査用ライブラリの再割り付けを行うことができる。
【0019】
したがって、前述のように外観検査装置では検査精度を向上させるためにライブラリの修正や追加などは頻繁に行われるが、この作業を従来に比べて大幅に短縮することができる。
【0020】
なお、本発明は回路部品の実装基板の外観検査装置だけでなく、クリーム半田の印刷後の検査装置等にも適用することができる。
【0021】
図3は本発明の他の実施例を示す図であり、上述の外観検査装置における検査用ライブラリのデータ構造を示している。
【0022】
本実施例では、検査対象部品の検査データを作成するためのライブラリを該部品の種類別に複数作成し、且つ検査データと該検査データを作成したライブラリを一つのグループとして関連付けし、検査データをライブラリの種類ごとにグループ分けして管理するようにしている。
【0023】
すなわち、ライブラリを設計基準の違い等により複数作成するようにし、且つ検査データと該検査データを作成したライブラリを一つのグループとして管理を行う。このとき、例えばグループA用のライブラリとグループB用のライブラリでは、同じ名称のものであっても内容は相違する。
【0024】
このようにして、ライブラリを複数保存できるようにすることにより、設計基準が変わっても同一部品は同一名称のライブラリを使用できるので、ライブラリ名称の管理が簡単になる。更に、グループとしてライブラリと検査データを同一場所に保管あるいは関連付けることにより、設計基準の違いによる検査データの管理も容易になる。
【0025】
一例をあげると、複数の事業所からプリント基板の電子部品の搭載の業務を受注し、その外観検査を行う場合などは、各事業所ごとにプリント基板の設計基準が異なるため、ライブラリも異なったものを用意しなければならないが、このような場合に本管理方法が有用である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施例を示すデータ構造図
【図2】図1のデータ構造の詳細を示す説明図
【図3】本発明の他の実施例を示すデータ構造図
【図4】従来例のデータ構造を示す図
【図5】他の従来例のデータ構造を示す図
【図6】他の従来例のデータ構造を示す図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上の検査対象部品の撮影画像を取り込んで該部品の良否を判定する部品検査装置の検査用ライブラリデータの管理方法において、前記検査対象部品の検査データを作成するための検査用ライブラリデータを該部品の種類別に複数作成し、且つ検査データと該検査データを作成した検査用ライブラリデータを一つのグループとして対応付け、検査データを検査用ライブラリデータの種類ごとにグループ分けして管理することを特徴とする部品検査装置の検査用ライブラリデータの管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−330003(P2006−330003A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−233883(P2006−233883)
【出願日】平成18年8月30日(2006.8.30)
【分割の表示】特願平8−310842の分割
【原出願日】平成8年11月21日(1996.11.21)
【出願人】(595039014)株式会社サキコーポレーション (31)
【Fターム(参考)】