説明

部品移載装置および部品移載装置における吸着位置調整方法

【課題】取出ヘッドによるウエハ部品吸着の位置精度を高くすることが可能な部品移載装置および部品移載装置における吸着位置調整方法を提供する。
【解決手段】この部品移載装置100は、ベアチップ11cを保持可能なウエハ保持テーブル5と、ウエハ保持テーブル5に保持されたベアチップ11cを下方から突上げる突上げ部6と、ベアチップ11cまたは調整用チップ11cを吸着するウエハヘッド7a〜7dと、基板認識カメラ41b(42b)と、制御部12とを備える。そして、制御部12は、吸着位置調整時にウエハヘッド7a〜7dに吸着された状態の調整用チップ11cを基板認識カメラ41b(42b)により撮像して、その撮像結果に基づいて、ウエハヘッド7a〜7dによるベアチップ11aの吸着位置を調整するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、部品移載装置および部品移載装置における吸着位置調整方法に関し、特に、ウエハ部品を吸着する取出ヘッドを備えた部品移載装置および部品移載装置における吸着位置調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ウエハ部品を吸着する取出ヘッドを備えた部品移載装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、ウエハ部品を保持可能な部品供給テーブル(ウエハ保持テーブル)と、ウエハ部品を吸着する取出ノズル(取出ヘッド)と、取出ノズルに吸着された状態のウエハ部品を撮像するプリアライメントカメラと、取出ノズルの駆動を制御する制御装置(制御部)とを備えた実装装置(部品移載装置)が開示されている。この実装装置では、取出ノズルの中心とウエハ部品の中心とがずれた状態で取出ノズルによりウエハ部品を吸着した場合に、取出ノズルからウエハ部品を受け渡す際にウエハ部品の位置をプリアラインメントカメラで撮像してウエハ部品の受け渡し位置を補正している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−103923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1では、取出ノズルからウエハ部品を受け渡す際にウエハ部品の位置をプリアラインメントカメラで撮像してウエハ部品の受け渡し位置を補正しているので、取出ヘッドによるウエハ部品の吸着位置を精度よく調整していないと考えられる。このため、取出ノズル(取出ヘッド)の中心とウエハ部品の中心とがずれた状態で取出ノズルによりウエハ部品を吸着する場合がある。その結果、取出ノズルによるウエハ部品吸着の位置精度が低いという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、取出ヘッドによるウエハ部品吸着の位置精度を高くすることが可能な部品移載装置および部品移載装置における吸着位置調整方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の第1の局面による部品移載装置は、ウエハ部品を保持可能なウエハ保持テーブルと、ウエハ保持テーブルに保持されたウエハ部品を下方から突上げる突上げ部と、突上げ部により突上げられたウエハ部品または突上げ部に載置された調整用チップを吸着する取出ヘッドと、取出ヘッドに吸着された状態のウエハ部品または調整用チップを撮像する撮像部と、取出ヘッドの駆動を制御する制御部とを備え、制御部は、吸着位置調整時に取出ヘッドに吸着された状態のウエハ部品または調整用チップを撮像部により撮像して、その撮像結果に基づいて、取出ヘッドによるウエハ部品の吸着位置を調整するように構成されている。
【0008】
この第1の局面による部品移載装置では、上記のように、吸着位置調整時に取出ヘッドに吸着された状態のウエハ部品または調整用チップを撮像部により撮像して、その撮像結果に基づいて、取出ヘッドによるウエハ部品の吸着位置を調整するように制御部を構成することによって、取出ヘッドに吸着された状態のウエハ部品または調整用チップの位置ずれを撮像部の撮像により認識することができるので、取出ヘッドによるウエハ部品の吸着位置を精度よく調整することができる。これにより、取出ヘッドによるウエハ部品吸着の位置精度を高くすることができる。また、微小のウエハ部品を取出ヘッドに吸着させる場合においても、取出ヘッドによるウエハ部品の吸着位置を精度よく調整することができるので、吸着ミスを抑制することができる。また、基板生産時に用いられるのと同形状のウエハ部品を用いて吸着位置調整を行った場合、取出ヘッドによる基板生産時のウエハ部品の吸着位置をより精度よく調整することができる。
【0009】
上記第1の局面による部品移載装置において、好ましくは、撮像部として、ウエハ部品が実装される基板を撮像する基板認識カメラを用いる。このように構成すれば、基板を撮像する基板認識カメラを、吸着位置調整時の取出ヘッドに吸着された状態のウエハ部品または調整用チップを撮像する撮像部として流用することができるので、別途専用の撮像部を設けることなく、取出ヘッドによるウエハ部品吸着の位置精度を高くすることができる。
【0010】
上記第1の局面による部品移載装置において、好ましくは、取出ヘッドは、複数設けられており、制御部は、複数の取出ヘッドのそれぞれについて、取出ヘッドに吸着された状態のウエハ部品または調整用チップを撮像部により撮像して、その撮像結果に基づいて、取出ヘッドによるウエハ部品の吸着位置を調整するように構成されている。このように構成すれば、複数の取出ヘッドを備える構成においても、それぞれの取出ヘッドによるウエハ部品吸着の位置精度を高くすることができる。また、基板生産時に、取出ヘッドから実装用ヘッドにウエハ部品を受け渡す場合に、それぞれの取出ヘッドによるウエハ部品吸着の位置精度を高くすることができるので、複数の取出ヘッドから複数の実装用ヘッドに容易にウエハ部品を同時に受け渡すことができる。
【0011】
上記第1の局面による部品移載装置において、好ましくは、制御部は、取出ヘッドに吸着された状態のウエハ部品または調整用チップを撮像部により複数回撮像した撮像結果の平均に基づいて、取出ヘッドによるウエハ部品の吸着位置を調整するように構成されている。このように構成すれば、取出ヘッドによる吸着位置調整の精度をより高めることができる。
【0012】
上記第1の局面による部品移載装置において、好ましくは、取出ヘッドによるウエハ部品の吸着位置の調整結果を記憶する記憶部をさらに備え、制御部は、基板生産時に、記憶部に記憶された調整結果に基づいて、取出ヘッドにウエハ部品を吸着させる制御を行うように構成されている。このように構成すれば、基板生産時に、取出ヘッドにウエハ部品を吸着させるごとに調整を行うことなく、記憶部に記憶された調整結果に基づいて取出ヘッドによりウエハ部品を位置精度高く吸着することができる。
【0013】
上記第1の局面による部品移載装置において、好ましくは、突上げ部により突上げられたウエハ部品または突上げ部に載置された調整用チップを撮像する部品認識カメラをさらに備え、制御部は、部品認識カメラにより撮像した突上げ部により突上げられたウエハ部品または突上げ部に載置された調整用チップの撮像結果に基づいて、取出ヘッドによりウエハ部品または調整用チップを吸着させて、取出ヘッドに吸着された状態のウエハ部品または調整用チップを撮像部により撮像して、その撮像結果に基づいて、取出ヘッドによるウエハ部品の吸着位置を調整するように構成されている。このように構成すれば、部品認識カメラにより、ウエハ部品または調整用チップの位置を容易に認識することができるので、吸着位置調整時に取出ヘッドによりウエハ部品または調整用チップを容易に吸着することができる。
【0014】
上記第1の局面による部品移載装置において、好ましくは、取出ヘッドには、基板生産時にウエハ部品を吸着するために用いられるノズルが装着されており、制御部は、基板生産時に取出ヘッドに装着されるノズルを用いて吸着された状態のウエハ部品または調整用チップを撮像部により撮像して、その撮像結果に基づいて、取出ヘッドによるウエハ部品の吸着位置を調整するように構成されている。このように構成すれば、実際の基板生産時に用いられるノズルを用いて吸着位置を調整することができるので、ウエハ部品の吸着位置をより精度よく調整することができる。
【0015】
この発明の第2の局面による部品移載装置における吸着位置調整方法は、突上げ部により突上げられたウエハ部品または突上げ部に載置された調整用チップを取出ヘッドに吸着する工程と、取出ヘッドに吸着された状態のウエハ部品または調整用チップを撮像部により撮像して、その撮像結果に基づいて、取出ヘッドによるウエハ部品の吸着位置を調整する工程とを備える。
【0016】
この第2の局面による部品移載装置における吸着位置調整方法では、上記のように、取出ヘッドに吸着された状態のウエハ部品または調整用チップを撮像部により撮像して、その撮像結果に基づいて、取出ヘッドによるウエハ部品の吸着位置を調整するように構成することによって、取出ヘッドに吸着された状態のウエハ部品または調整用チップの位置ずれを撮像部の撮像により認識することができるので、取出ヘッドによるウエハ部品の吸着位置を精度よく調整することができる。これにより、取出ヘッドによるウエハ部品吸着の位置精度を高くすることができる。また、微小のウエハ部品を取出ヘッドに吸着させる場合においても、取出ヘッドによるウエハ部品の吸着位置を精度よく調整することができるので、吸着ミスを抑制することができる。また、基板生産時に用いられるのと同形状のウエハ部品を用いて吸着位置調整を行った場合、取出ヘッドによる基板生産時のウエハ部品の吸着位置をより精度よく調整することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、上記のように、取出ヘッドによるウエハ部品吸着の位置精度を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態による部品移載装置の全体構成を示す平面図である。
【図2】本発明の一実施形態による部品移載装置の主な構成要素を示す斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態による部品移載装置のウエハ部品の受け渡し状態を示す側面図である。
【図4】本発明の一実施形態による部品移載装置のウエハ部品の受け渡し状態を示す正面図である。
【図5】本発明の一実施形態による部品移載装置の制御系を示すブロック図である。
【図6】本発明の一実施形態による部品移載装置の制御部による吸着位置調整を説明するためのフローチャートである。
【図7】本発明の一実施形態による部品移載装置の吸着位置調整を説明するための斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
まず、図1〜図5を参照して、本発明の一実施形態による部品移載装置100の構造について説明する。
【0021】
部品移載装置100は、ダイシングされたウエハ11からベアチップ11aを取り出してプリント基板20上に実装(装着)するとともに、テープフィーダ31により供給されるチップ部品などをプリント基板20上に実装することが可能ないわゆる複合型の部品移載装置である。なお、ベアチップ11aは、本発明の「ウエハ部品」の一例であり、プリント基板20は、本発明の「基板」の一例である。
【0022】
この部品移載装置100は、図1に示すように、基台1と、コンベア2と、2つのチップ部品供給部3と、実装部4と、ウエハ保持テーブル5と、突上げ部6(図2参照)と、取出部7と、部品認識カメラ8と、制御部12(図5参照)とを含んでいる。
【0023】
コンベア2は、所定の実装作業位置にプリント基板20を搬入および搬出するように構成されている。また、コンベア2は、プリント基板20を搬送するX方向に延びるコンベア本体と、このコンベア本体上でプリント基板20を持ち上げて位置決めする図示しない位置決め機構とを含んでいる。また、コンベア2は、X2方向側からX1方向側に向かってプリント基板20をほぼ水平姿勢でX方向に搬送し、所定の実装作業位置にプリント基板20を位置決め固定する。本実施形態では、コンベア2による搬送経路上であってX方向に所定間隔だけ離間する位置(図1のプリント基板20の位置)がそれぞれ実装作業位置とされる。
【0024】
2つのチップ部品供給部3は、それぞれ、部品移載装置100の手前側(Y1方向側)の両端に設けられている。チップ部品供給部3は、トランジスタ、抵抗、コンデンサなどのチップ部品を供給するために設けられている。チップ部品供給部3には、テープフィーダ31がX方向に沿って並んで配置されている。各テープフィーダ31は、チップ部品を所定間隔で保持したテープが巻回されるリールと、リールを保持する保持部材と、リールからテープを引出しながら部品供給位置にチップ部品を送り出す部品送り機構とを含んでいる。
【0025】
テープフィーダ31は、チップ部品供給部3に取り付けられた状態で、部品移載装置100と連動してチップ部品の送り出し動作を行うように構成されている。すなわち、部品移載装置100の実装部4により部品供給位置においてチップ部品をピックアップさせるとともに、このピックアップに伴い次のチップ部品を部品供給位置に繰り出すように構成されている。なお、チップ部品供給部3には、テープフィーダ31の代わりに、半導体パッケージ等の大型のパッケージ部品を載置したトレイ(図示せず)を設置することも可能である。この場合には、実装部4により当該トレイ上から直接パッケージ部品がピックアップされる。
【0026】
実装部4は、ベアチップ11aまたはチップ部品をプリント基板20上に実装するように構成されている。また、実装部4は、コンベア2の上方(Z2方向)位置においてそれぞれ水平方向(XY方向)に移動することが可能な2つのヘッドユニット(第1ヘッドユニット41および第2ヘッドユニット42)と、これらを個別に駆動する駆動手段とを含んでいる。
【0027】
第1ヘッドユニット41は、基台1上のうち主に上流側(X2方向側)の領域を可動領域としてこの領域内でのみ移動可能に構成されている。他方、第2ヘッドユニット42は、基台1上のうち主に下流側(X1方向側)の領域を可動領域としてこの領域内でのみ移動可能に構成されている。第1ヘッドユニット41(第2ヘッドユニット42)は、図2に示すように、X方向に沿って配置された2つの部品実装用ヘッド41a(2つの部品実装用ヘッド42a)と、1つの基板認識カメラ41b(1つの基板認識カメラ42b)とを有している。なお、基板認識カメラ41bおよび42bは、本発明の「撮像部」の一例である。
【0028】
また、第1ヘッドユニット41(第2ヘッドユニット42)は、テープフィーダ31によって供給されるチップ部品をこれら部品実装用ヘッド41a(42a)により吸着してプリント基板20上に実装するように構成されている。また、第1ヘッドユニット41(第2ヘッドユニット42)は、取出部7によりウエハ11から取り出されるベアチップ11aを部品実装用ヘッド41a(42a)により吸着してプリント基板20上に実装するように構成されている。これにより、トランジスタ、コンデンサなどのチップ部品とベアチップ11aとの双方がプリント基板20上に実装される。部品実装用ヘッド41a(42a)は、負圧発生機(図示せず)により先端部に発生された負圧によって、テープフィーダ31から供給されるチップ部品または取出部7から供給されるベアチップ11aを吸着して保持することが可能に構成されている。
【0029】
基板認識カメラ41b(42b)は、たとえばCCDやCMOSなどの撮像素子を備えるカメラである。また、第1ヘッドユニット41(第2ヘッドユニット42)は、プリント基板20への部品の実装に先立って基板認識カメラ41b(42b)によりプリント基板20に付されたフィデューシャルマーク(図示せず)を認識することにより、プリント基板20の位置ずれが認識され、実装時に位置ずれ補正がされる。
【0030】
ここで、本実施形態では、基板認識カメラ41b(42b)は、吸着位置調整時に、取出部7により吸着された調整用チップ11c(図7参照)を撮像するように構成されている。また、基板認識カメラ41b(42b)は、部品実装時に、プリント基板20に付されたフィデューシャルマーク(図示せず)を撮像するように構成されている。
【0031】
第1ヘッドユニット41(第2ヘッドユニット42)は、支持部材43(44)と、固定レール(図示せず)と、移動機構(図示せず)とを含んでいる。支持部材43(44)は、第1ヘッドユニット41(第2ヘッドユニット42)をX方向に移動可能に支持している。固定レールは、支持部材43(44)をY方向に移動可能に支持している。移動機構は、支持部材43(44)に対して第1ヘッドユニット41(第2ヘッドユニット42)をX方向に移動させるためのリニアモータ(図示せず)と、支持部材43(44)を固定レールに沿ってY方向に移動させるためのリニアモータ(図示せず)とを有している。
【0032】
また、基台1上であって第1ヘッドユニット41および第2ヘッドユニット42のそれぞれの可動領域内には、部品認識用の固定カメラ9が設置されている。また、固定カメラ9は、第1ヘッドユニット41の部品実装用ヘッド41aおよび第2ヘッドユニット42の部品実装用ヘッド42aにより吸着されている部品を下側(Z1方向側)から撮像して、その画像信号を制御部12に出力するように構成されている。
【0033】
また、図1に示すように、部品移載装置100の手前側(Y1方向側)の中央部には、ウエハ11が収納されるウエハ収納部10を着脱可能に固定することが可能である。ここで、ウエハ収納部10は、図2に示すように、ダイシングされた複数枚のウエハ11を収容するように構成されている。ウエハ収納部10は、ウエハ11が保持された略円環状のホルダ11bを上下複数段に収容するラックと、このラックを昇降駆動する駆動手段とを含んでいる。ウエハ収納部10は、ラックの昇降によって、所望のウエハ11をウエハ保持テーブル5に対して出し入れ可能な所定の出し入れ高さ位置に配置させるように構成されている。
【0034】
ウエハ収納部10に収容されている各ウエハ11は、それぞれベアチップ11aがフェイスアップ状態(回路形成面(プリント基板20に対する実装面)が上向きの状態)となるようにフィルム状のウエハシート上に貼り着けられており、このウエハシートを介してホルダ11bにより保持されている。
【0035】
ウエハ保持テーブル5は、ウエハ収納部10から引き出されたウエハ11を支持するように構成されている。また、ウエハ保持テーブル5は、ウエハ11の出し入れ機構(図示せず)を含んでいる。出し入れ機構は、ウエハ保持テーブル5に対して前後(Y方向)に移動可能に構成され、先端にホルダ把持機構を備えたアームである。出し入れ機構は、ウエハ保持テーブル5がウエハ受取位置に配置された状態で、出し入れ高さ位置に配置されたラック内のウエハ11(ホルダ11b)をウエハ収納部10からウエハ保持テーブル5上に引き出すとともに、ウエハ保持テーブル5上のウエハ11(ホルダ11b)をラック内に収容する(戻す)ことが可能に構成されている。
【0036】
また、ウエハ保持テーブル5は、中央部に円形状の開口部を有しており、ウエハ11を保持するホルダ5bの開口部とウエハ保持テーブル5の開口部とが重なるようにホルダ5bを保持可能に構成されている。これにより、ウエハ保持テーブル5にウエハ11(ホルダ11b)が保持された状態で、ウエハ保持テーブル5の下方(Z1方向)から突上げ部6によりベアチップ11aを突上げることが可能である。
【0037】
また、ウエハ保持テーブル5は、部品取出作業位置とウエハ受取位置との間で、基台1上をY方向に移動可能に構成されている。具体的には、ウエハ保持テーブル5は、基台1上にY方向に延びるように設けられた一対の固定レール51(図1参照)に移動可能に支持されており、所定の駆動手段によって固定レール51に沿って移動される。駆動手段は、図1に示すように、固定レール51と平行に延びかつウエハ保持テーブル5のナット部分に螺合挿入されるボールねじ軸52と、ボールねじ軸52を回転駆動するための駆動モータ53とを含んでいる。また、ウエハ保持テーブル5は、コンベア2の下方位置を通って、所定の部品取出作業位置とウエハ収納部10近傍のウエハ受取位置との間を移動する。
【0038】
突上げ部6は、部品取出作業位置に配置されたウエハ保持テーブル5上のウエハ11のうち、取り出し対象となるベアチップ11aをその下側から突上げることにより、当該ベアチップ11aをウエハシートから剥離させながら持ち上げるように構成されている。
【0039】
また、突上げ部6は、図2に示すように、突上げヘッド61と、固定レール62と、駆動手段(図示せず)とを含んでいる。突上げヘッド61は、それぞれ突上げピン(図示せず)を内蔵する一対の小径の突上げロッド(第1突上げロッド61aおよび第2突上げロッド61b)を有している。また、突上げヘッド61(第1突上げロッド61aおよび第2突上げロッド61b)は、負圧発生機(図示せず)により先端部に発生された負圧によって、ウエハ11のベアチップ11aまたは調整用チップ11cを吸着することが可能に構成されている。これにより、突上げ時にベアチップ11aまたは調整用チップ11cの位置がずれてしまうのを抑制することが可能である。
【0040】
固定レール62は、基台1上に固定されている。また、固定レール62は、突上げヘッド61をX方向に移動可能に支持している。駆動手段は、突上げヘッド61を固定レール62に沿って移動させるように構成されている。具体的には、駆動手段は、X方向に延びかつ突上げヘッド61に螺合挿入されるボールねじ軸(図示せず)と、これを回転駆動するための突上げヘッド駆動モータ63(図5参照)とを有している。突上げヘッド61をX方向に移動可能に構成することにより、Y方向にのみ移動可能なウエハ保持テーブル5上に支持されているウエハ11に対し、突上げヘッド61が任意のベアチップ11aを突上げることが可能となっている。
【0041】
突上げヘッド61の第1突上げロッド61aおよび第2突上げロッド61bは、上下方向(Z方向)に延び、それぞれ図示しないアクチュエータ(エアシリンダ等)により個別に昇降駆動される。つまり、ウエハ保持テーブル5の開口部の内側にこれら第1突上げロッド61aまたは第2突上げロッド61bが配置された状態で、第1突上げロッド61aまたは第2突上げロッド61bがウエハシートの下側のほぼ接触する位置まで上昇駆動される。その後、第1突上げロッド61aまたは第2突上げロッド61bが所望のベアチップ11aのXY方向位置に位置付けられた後、第1突上げロッド61aまたは第2突上げロッド61bから突上げピンが駆動モータ(図示せず)により上昇駆動されることによりベアチップ11aを突上げる。なお、第1突上げロッド61aおよび第2突上げロッド61bは、突上げ対象の部品の大きさなどに応じて突上げピンの太さなどを変更することが可能である。たとえば、異なる突上げピンを第1突上げロッド61aおよび第2突上げロッド61bに装着させておくことにより、部品の大きさなどにより第1突上げロッド61aまたは第2突上げロッド61bを使いわけて使用することが可能である。
【0042】
第1突上げロッド61aおよび第2突上げロッド61bは、2段階の高さ位置に昇降駆動可能である。すなわち、ウエハ保持テーブル5を部品取出作業位置とウエハ収納部10近傍のウエハ受取位置との間で移動させる際に、ウエハ保持テーブル5との干渉を避けるための最下位置と、ウエハ保持テーブル5が部品取出作業位置に位置する状態で、ホルダ11bの開口部内側においてウエハ11の下面近傍に位置する突上げ待機位置との間で昇降駆動可能である。突上げピンは、待機位置にある第1突上げロッド61aまたは第2突上げロッド61bに内蔵される位置とウエハ保持テーブル5の上面よりも上方(Z2方向)に位置する部品突上げ位置との間で昇降駆動可能である。
【0043】
取出部7は、突上げ部6により突上げられたベアチップ11aを吸着して第1ヘッドユニット41および第2ヘッドユニット42に受け渡すように構成されている。また、取出部7は、所定の駆動手段により部品取出作業位置の上方(Z2方向)位置において水平方向(XY方向)に移動される。また、取出部7は、図2に示すように、4つのウエハヘッド7a〜7dと、フレーム部材7eと、2つのブラケット部材7fと、4つのノズル7gと、2つの駆動モータ7hと、駆動モータ7i(図5参照)とを含んでいる。なお、ウエハヘッド7a〜7dは、本発明の「取出ヘッド」の一例である。
【0044】
ウエハヘッド7a〜7dは、ドラム型のヘッドである。具体的には、ウエハヘッド7a〜7dは、X軸回りに回転が可能で、かつ上下方向(Z方向)への移動(昇降)が可能に構成されている。また、ウエハヘッド7a〜7dは、負圧発生機(図示せず)により先端部に発生された負圧によって、ベアチップ11aまたは調整用チップ11cを吸着することが可能に構成されている。また、ウエハヘッド7a〜7dは、所定の受け渡し位置において、部品実装用ヘッド41a(42a)にベアチップ11aを受け渡すように構成されている。また、ウエハヘッド7aおよび7bは、右側(X2方向側)のブラケット部材7fにX軸回りに回転可能に支持されている。また、ウエハヘッド7cおよび7dは、左側(X1方向側)のブラケット部材7fにX軸回りに回転可能に支持されている。また、ウエハヘッド7a〜7dの先端には、それぞれ、部品吸着用のノズル7gが装着されている。ブラケット部材7fは、フレーム部材7eにそれぞれ昇降可能に支持されている。
【0045】
また、ウエハヘッド7aおよび7bと、ウエハヘッド7cおよび7dとは、互いに隣接して対向するように配置されている。また、ウエハヘッド7a(7c)およびウエハヘッド7b(7d)は、互いに反対側に配置されている。つまり、ウエハヘッド7a(7c)およびウエハヘッド7b(7d)は、一方が真下(Z1方向)に向くときに他方が真上(Z2方向)を向くように配置されている。また、ウエハヘッド7a(7c)およびウエハヘッド7b(7d)は、ブラケット部材7fの外側にそれぞれ設けられた駆動モータ7hの回転駆動により、上下(Z方向)の位置が入れ替わる。
【0046】
また、ウエハヘッド7a〜7dは、駆動モータ7i(図5参照)の駆動により、ブラケット部材7fがフレーム部材7eに対して昇降することにより、昇降するように構成されている。また、図4に示すように、ウエハヘッド7aおよび7bと、ウエハヘッド7cおよび7dとの間隔D1(X方向の間隔)は、第1ヘッドユニット41の部品実装用ヘッド41a(第2ヘッドユニット42の部品実装用ヘッド42a)同士の間隔D2と等しい大きさである。これにより、ウエハヘッド7aまたは7bと、ウエハヘッド7cまたは7dとから第1ヘッドユニット41の2つの部品実装用ヘッド41aまたは第2ヘッドユニット42の2つの部品実装用ヘッド42aに対して、同時に2つのベアチップ11aを受渡すことが可能である。
【0047】
取出部7の駆動手段は、図1に示すように、一対の固定レール71と、フレーム部材72と、一対のボールねじ軸73と、一対のフレーム駆動モータ74とを含んでいる。一対の固定レール71は、基台1上に固定されている。また、一対の固定レール71は、X方向に所定間隔を隔てて互いに平行にY方向に延びるように配置されている。フレーム部材72は、両端をそれぞれ固定レール71上に移動可能に支持されてX方向に延びるように配置されている。一対のボールねじ軸73は、固定レール71に近接する位置にY方向に延びるように配置されている。また、一対のボールねじ軸73は、フレーム部材72の両端のナット部材(図示せず)にそれぞれ螺合挿入されるように構成されている。一対のフレーム駆動モータ74は、ボールねじ軸73を回転駆動するように構成されている。これにより、一対のフレーム駆動モータ74の作動によりフレーム部材72を固定レール71に沿って移動させ、このフレーム部材72の移動に伴い取出部7および部品認識カメラ8を一体的にY方向に移動させる。
【0048】
フレーム部材72には、手前側(Y1方向側)に固定されてX方向に延びる第1レール(図示せず)と、後側(Y2方向側)に固定されてX方向に延びる第2レール(図示せず)とが設けられている。第1レールは、取出部7をX方向に移動可能に支持している。第2レールは、部品認識カメラ8をX方向に移動可能に支持している。また、フレーム部材72には、X方向に延びて取出部7のナット部材(図示せず)に螺合挿入されるボールねじ軸(図示せず)と、このボールねじ軸を回転駆動する駆動モータ75(図1参照)とが設けられている。また、フレーム部材72には、X方向に延びて部品認識カメラ8のナット部材(図示せず)に螺合挿入されるボールねじ軸(図示せず)と、このボールねじ軸を回転駆動する駆動モータ76(図1参照)とが設けられている。これにより、駆動モータ75の作動によりフレーム部材72の手前側(Y1方向側)の位置で取出部7がX方向に移動可能である。また、駆動モータ76の作動によりフレーム部材72の後側(Y2方向側)の位置で部品認識カメラ8がX方向に移動可能である。その結果、取出部7および部品認識カメラ8が部品取出作業位置の上方(Z2方向)位置において水平方向(XY方向)に移動可能となっている。
【0049】
取出部7のXY方向における可動領域と第1ヘッドユニット41および第2ヘッドユニット42のXY方向における可動領域とは平面視において一部重複している。これにより、取出部7から第1ヘッドユニット41および第2ヘッドユニット42へのベアチップ11aの受渡しが可能となっている。なお、図3に示すように、取出部7、部品認識カメラ8および取出部7の駆動手段は、第1ヘッドユニット41(第2ヘッドユニット42)およびこれの駆動手段よりも下方に位置している。これにより、取出部7などの可動領域と第1ヘッドユニット41および第2ヘッドユニット42の各可動領域とは平面視において一部重複するが、取出部7と第1ヘッドユニット41および第2ヘッドユニット42とが互いに干渉することはない。
【0050】
部品認識カメラ8は、たとえばCCDやCMOSなどの撮像素子を備えるカメラである。また、部品認識カメラ8は、ウエハ11からのベアチップ11aの取り出しに先立ち、取り出し対象となるベアチップ11aを撮像し、その画像信号を制御部12に出力するように構成されている。また、部品認識カメラ8は、吸着位置調整時に、突上げ部6の第1突上げロッド61a(第2突上げロッド61b)に載置された調整用チップ11c(図7参照)を撮像し、その画像信号を制御部12に出力するように構成されている。
【0051】
制御部12には、図5に示すように、駆動モータ53、突上げヘッド駆動モータ63、フレーム駆動モータ74、駆動モータ75、駆動モータ76、駆動モータ7h、駆動モータ7i、部品認識カメラ8、固定カメラ9および基板認識カメラ41b(42b)がそれぞれ電気的に接続されている。これにより、制御部12により部品移載装置100の各部の動作が統括的に制御される。また、制御部12には、入力装置(図示せず)が電気的に接続されており、ユーザによる各種情報がこの入力装置の操作に基づき入力されるように構成されている。また、制御部12は、各駆動モータに内蔵されるエンコーダ(図示せず)等の位置検出手段からの出力信号が入力されるように構成されている。
【0052】
制御部12は、軸制御部12aと、画像処理部12bと、I/O処理部12cと、通信制御部12dと、記憶部12eと、主演算部12fとを含んでいる。軸制御部12aは、各駆動モータの駆動や各制御弁の駆動ソレノイドを制御するように構成されている。画像処理部12bは、各カメラ(部品認識カメラ8、固定カメラ9、基板認識カメラ41bおよび基板認識カメラ42b)からの画像信号に所定の処理を施すように構成されている。I/O処理部12cは、センサ(図示せず)からの信号の入力および各種制御信号の出力等を制御するように構成されている。通信制御部12dは、外部装置との通信を制御するように構成されている。記憶部12eは、実装プログラムなどの各種プログラムや各種データを記憶するように構成されている。また、記憶部12eは、取出部7(ウエハヘッド7a〜7d)によるベアチップ11aの吸着位置調整の結果を記憶するように構成されている。主演算部12fは、制御部12を統括的に制御するとともに、各種の演算処理を実行するように構成されている。
【0053】
また、制御部12は、各駆動モータなどを予め定められたプログラムに基づいて制御することにより、コンベア2、ウエハ保持テーブル5、突上げ部6、取出部7、第1ヘッドユニット41および第2ヘッドユニット42を制御するように構成されている。これにより、取出部7(ウエハヘッド7a〜7d)によるベアチップ11aの吸着位置調整が行われる。また、ウエハ収納部10に対するウエハ11の出し入れ、ウエハ11からのベアチップ11aの取り出しおよび第1ヘッドユニット41および第2ヘッドユニット42による部品の実装などの一連の動作(部品実装動作)が行われる。また、制御部12は、記憶部12eに記憶された吸着位置調整の結果に基づいて、取出部7(ウエハヘッド7a〜7d)によりベアチップ11aを吸着させるように構成されている。
【0054】
次に、図6および図7を参照して、部品移載装置100の制御部12による吸着位置調整の制御について説明する。なお、吸着位置調整は、取出部7(ウエハヘッド7a〜7d)がベアチップ11aの中心を吸着するように予め吸着位置を調整するために行われる。また、吸着位置調整は、部品移載装置100の製造時、設置時および設置後のメンテナンス時などに行われる。また、吸着位置調整は、基板生産が開始される前に予め行われる。
【0055】
なお、吸着位置調整に先立って、制御部12は、基板認識カメラ41b(42b)と部品実装用ヘッド41a(42a)との相対位置の調整を完了している。また、制御部12は、部品を受け渡す位置でのウエハヘッド7a〜7dと部品実装用ヘッド41a(42a)との相対位置の調整を完了している。また、本実施形態では、吸着位置調整を基板生産時にベアチップ11aを吸着するために用いられるノズル7gをウエハヘッド7a〜7dに装着して行う。
【0056】
ユーザによる吸着位置調整開始の操作が行われると、ステップS1において、制御部12は、突上げヘッド61を載置基準位置に移動させる。具体的には、制御部12は、突上げヘッド駆動モータ63を駆動させることにより、固定レール62に対して突上げヘッド61をX方向に移動させる。なお、載置基準位置は、突上げヘッド61がX方向に移動する際の中心位置に設定されている。ステップS2において、制御部12は、突上げヘッド61(突上げロッド61a)を上昇させる。また、制御部12は、突上げヘッド61(突上げロッド61a)の先端に負圧を発生させる。ステップS3において、制御部12は、突上げヘッド61(突上げロッド61a)に調整用チップ11cがユーザにより載置されたか否かを判断する。制御部12は、調整用チップ11cが載置されるまで、ステップS3を繰り返す。
【0057】
調整用チップ11cが載置(図7参照)されたら、ステップS4において、制御部12は、ウエハヘッド7aの吸着位置調整を行うために、Head=1と設定し、1回目の撮像(測定)を行うために、N=1と設定する。すなわち、Headは、4つのウエハヘッドの番号を意味し、Nは、各ウエハヘッドの測定回数を意味する。なお、ウエハヘッド7a〜7dには、それぞれ、Head=1〜4の番号が設定されている。ステップS5において、制御部12は、部品認識カメラ8を載置基準位置に移動させる。具体的には、制御部12は、フレーム駆動モータ74を駆動させることにより、フレーム部材72を移動させて部品認識カメラ8をY方向に移動させる。また、制御部12は、駆動モータ76を駆動させることにより、フレーム部材72に対して部品認識カメラ8をX方向に移動させる。次に、ステップS6において、制御部12は、部品認識カメラ8で突上げヘッド61(突上げロッド61a)に載置された調整用チップ11cを撮像して、撮像結果に基づいて、調整用チップ11cの載置基準位置からのX方向のずれrdXおよびY方向のずれrdYを取得する。
【0058】
ステップS7において、制御部12は、ウエハヘッド7aを、載置基準位置から取得したrdX、rdYおよびヘッドオフセット基準位置の分を考慮したチップ基準位置に移動させる。具体的には、制御部12は、フレーム駆動モータ74を駆動させることにより、フレーム部材72を移動させてウエハヘッド7aをY方向に移動させる。また、制御部12は、駆動モータ75を駆動させることにより、フレーム部材72に対してウエハヘッド7aをX方向に移動させる。ここで、ヘッドオフセット基準位置は、ウエハヘッド7aに対して設定されており、他の3つのウエハヘッド7b〜7dのヘッドオフセット位置の基準となる位置である。また、ヘッドオフセット基準位置の初期値は、X=0、Y=0、Z=0に設定されている。また、ウエハヘッド7b〜7dには、ヘッドオフセット基準位置を基準としてそれぞれに対応するヘッドオフセット位置(X、YおよびZ)が初期値として設定されている。
【0059】
ステップS8において、制御部12は、ウエハヘッド7aを先端が下(Z1方向)向きになるように回転させる。具体的には、制御部12は、駆動モータ7hを駆動させることにより、ブラケット部材7fに対してウエハヘッド7aを回転させる。ステップS9において、制御部12は、ウエハヘッド7aを吸着位置に下降させる。具体的には、制御部12は、駆動モータ7iを駆動させることにより、フレーム部材7eに対してブラケット部材7fを下降させることにより、ウエハヘッド7aを下降させる。この際、制御部12は、ヘッドオフセット基準位置および調整用チップ11cの厚み(Z方向の長さ)を加味して、ウエハヘッド7aを下降させる。
【0060】
ステップS10において、制御部12は、ウエハヘッド7a(ノズル7g)の先端に負圧を発生させる。これにより、ウエハヘッド7a(ノズル7g)に調整用チップ11cが吸着される。ステップS11において、制御部12は、突上げヘッド61(突上げロッド61a)の先端の負圧を停止させる。ステップS12において、制御部12は、駆動モータ7iを駆動させることにより、ウエハヘッド7aを上昇させる。
【0061】
ステップS13において、制御部12は、フレーム駆動モータ74および駆動モータ75を駆動させることにより、ウエハヘッド7aを受け渡し位置に移動させる。なお、受け渡し位置は、ウエハヘッド7aが部品実装用ヘッド41a(42a)にベアチップ11aを受け渡す位置である。ステップS14において、制御部12は、フレーム駆動モータ74および駆動モータ76を駆動させることにより、基板認識カメラ41bを受け渡し位置に移動させる。
【0062】
ステップS15において、制御部12は、駆動モータ7hを駆動させることにより、ウエハヘッド7aを回転させるとともに、駆動モータ7iを駆動させることにより、ウエハヘッド7aを受け渡し位置に昇降移動させる。この際、制御部12は、ヘッドオフセット基準位置および調整用チップ11cの厚み(Z方向の長さ)を加味して、ウエハヘッド7aを回転および昇降移動させる。
【0063】
ここで、本実施形態では、ステップS16において、制御部12は、基板認識カメラ41bでウエハヘッド7aに吸着された調整用チップ11cを撮像して、撮像結果に基づいて、ウエハヘッド7aの中心と、調整用チップ11cの中心とのX方向のずれdXおよびY方向のずれdYを取得する。
【0064】
ステップS17において、制御部12は、駆動モータ7iを駆動させることにより、ウエハヘッド7aを下降させる。ステップS18において、制御部12は、ヘッドオフセット基準位置を加味して、フレーム駆動モータ74および駆動モータ75を駆動させることにより、ウエハヘッド7aを載置基準位置に移動させる。ステップS19において、制御部12は、ヘッドオフセット基準位置を加味して、駆動モータ7hを駆動させることにより、ウエハヘッド7aを回転させる。
【0065】
ステップS20において、制御部12は、ヘッドオフセット基準位置および調整用チップ11cの厚み(Z方向の長さ)を加味して、駆動モータ7iを駆動させることにより、ウエハヘッド7aを吸着位置に下降させる。ステップS21において、制御部12は、突上げヘッド61(突上げロッド61a)の先端に負圧を発生させる。これにより、図7に示すように、突上げヘッド61(突上げロッド61a)に調整用チップ11cが吸着される。また、制御部12は、負圧発生の指令を出した後、負圧の発生のタイムラグを考慮して250msec待つ。その後、ステップS22において、制御部12は、ウエハヘッド7a(ノズル7g)の先端の負圧を停止させる。また、制御部12は、負圧停止の指令を出した後、負圧の停止のタイムラグを考慮して250msec待つ。
【0066】
その後、ステップS23において、制御部12は、駆動モータ7iを駆動させることにより、ウエハヘッド7aを上昇させる。これにより、1つのウエハヘッドに対して吸着位置調整のための1回目の撮像(測定)が完了する。
【0067】
ステップS24において、制御部12は、2回目の撮像(測定)を行うために、N=N+1と設定する。ステップS25において、制御部12は、Nが指定回数より多いか否かを判断する。つまり、制御部12は、1つのウエハヘッドに対して指定回数の撮像(測定)を行ったか否かを判断する。具体的には、1つのウエハヘッドに対して、たとえば5回の撮像(測定)を行う場合、制御部12は、Nが5より大きいか否かを判断する。そして、Nが5以下であれば、ステップS5に戻る。Nが6以上であれば、ステップS26に進む。
【0068】
また、本実施形態では、ステップS26において、制御部12は、基板認識カメラ41bにより撮像した調整用チップ11cの撮像結果に基づいて取得したdXおよびdYの指定回数(たとえば、5回)分の平均値dXaveおよびdYaveを演算する。そして、制御部12は、ヘッドオフセット基準位置のXおよびYを初期値からX=X+dXaveおよびY=Y−dYaveにそれぞれ更新(設定)して、記憶部12eに吸着位置調整の結果として保存する。これにより、1つのウエハヘッドに対して吸着位置調整が完了する。なお、ウエハヘッド7aをX軸回りに回転させた場合、調整用チップ11cの吸着時と撮像時とでは、ウエハヘッド7aのX方向の向きはそのままで入れ替わらず、Y方向の向きは前後が入れ替わる。このため、制御部12は、XにdXaveを加算し、YからdYaveを減算して、ヘッドオフセット基準位置を設定する。
【0069】
ステップS27において、制御部12は、次のウエハヘッドの吸着位置調整を行うために、Head=Head+1と設定する。ステップS28において、制御部12は、Headが最終ヘッドの番号より大きいか否かを判断する。つまり、制御部12は、4つのウエハヘッドに対して吸着位置調整が完了したか否かを判断する。具体的には、制御部12は、Headが4より大きいか否かを判断する。そして、Nが4以下であれば、ステップS5に戻る。Nが5以上であれば、ステップS29に進む。なお、制御部12は、ウエハヘッド7aに対してはヘッドオフセット基準位置を用いて吸着位置調整を行い、ウエハヘッド7b〜7dに対してはヘッドオフセット基準位置からの相対的なずれを表すヘッドオフセット位置を用いて吸着位置調整を行う。
【0070】
ステップS29において、制御部12は、突上げヘッド61(突上げロッド61a)の先端の負圧を停止させる。ステップS30において、制御部12は、突上げヘッド61(突上げロッド61a)を下降させる。その後、吸着位置調整の制御を終了する。
【0071】
本実施形態では、上記のように、吸着位置調整時にウエハヘッド7a〜7dに吸着された状態の調整用チップ11cを基板認識カメラ41bにより撮像して、その撮像結果に基づいて、ウエハヘッド7a〜7dによるベアチップ11aの吸着位置を調整するように制御部12を構成することによって、ウエハヘッド7a〜7dに吸着された状態の調整用チップ11cの位置ずれを基板認識カメラ41bの撮像により認識することができるので、ウエハヘッド7a〜7dによるベアチップ11aの吸着位置を精度よく調整することができる。これにより、ウエハヘッド7a〜7dによるベアチップ11a吸着の位置精度を高くすることができる。また、微小のベアチップ11aをウエハヘッド7a〜7dに吸着させる場合においても、ウエハヘッド7a〜7dによるベアチップ11aの吸着位置を精度よく調整することができるので、吸着ミスを抑制することができる。
【0072】
また、本実施形態では、上記のように、ウエハヘッド7a〜7dに吸着された状態の調整用チップ11cを、ベアチップ11aが実装されるプリント基板20を撮像する基板認識カメラ41bを用いて撮像することによって、プリント基板20を撮像する基板認識カメラ41bを、吸着位置調整時のウエハヘッド7a〜7dに吸着された状態の調整用チップ11cを撮像するカメラとして流用することができるので、別途専用のカメラを設けることなく、ウエハヘッド7a〜7dによるベアチップ11a吸着の位置精度を高くすることができる。
【0073】
また、本実施形態では、上記のように、制御部12を、4つのウエハヘッド7a〜7dのそれぞれについて、ウエハヘッド7a〜7dに吸着された状態の調整用チップ11cを基板認識カメラ41bにより撮像して、その撮像結果に基づいて、ウエハヘッド7a〜7dによるベアチップ11aの吸着位置を調整するように構成することによって、4つのウエハヘッド7a〜7dを備える構成において、それぞれのウエハヘッド7a〜7dによるベアチップ11a吸着の位置精度を高くすることができる。また、基板生産時に、ウエハヘッド7a〜7dから部品実装用ヘッド41a(41b)にベアチップ11aを受け渡す場合に、それぞれのウエハヘッド7a〜7dによるベアチップ11a吸着の位置精度を高くすることができるので、たとえば、2つのウエハヘッド7aおよび7cから2つの部品実装用ヘッド41aに容易にベアチップ11aを同時に受け渡すことができる。
【0074】
また、本実施形態では、上記のように、制御部12を、ウエハヘッド7a〜7dに吸着された状態の調整用チップ11cを基板認識カメラ41bにより複数回(たとえば、5回)撮像した撮像結果の平均に基づいて、ウエハヘッド7a〜7dによるベアチップ11aの吸着位置を調整するように構成することによって、ウエハヘッド7a〜7dによる吸着位置調整の精度をより高めることができる。
【0075】
また、本実施形態では、上記のように、制御部12を、基板生産時に、記憶部12eに記憶された調整結果に基づいて、ウエハヘッド7a〜7dにベアチップ11aを吸着させる制御を行うように構成することによって、基板生産時に、ウエハヘッド7a〜7dにベアチップ11aを吸着させるごとに調整を行うことなく、記憶部12eに記憶された調整結果に基づいてウエハヘッド7a〜7dによりベアチップ11aを位置精度高く吸着することができる。
【0076】
また、本実施形態では、上記のように、制御部12を、部品認識カメラ8により撮像した突上げヘッド61(突上げロッド61a)に載置された調整用チップ11cの撮像結果に基づいて、ウエハヘッド7a〜7dにより調整用チップ11cを吸着させて、ウエハヘッド7a〜7dに吸着された状態の調整用チップ11cを基板認識カメラ41bにより撮像して、その撮像結果に基づいて、ウエハヘッド7a〜7dによるベアチップ11aの吸着位置を調整するように構成することによって、部品認識カメラ8により、調整用チップ11cの位置を容易に認識することができるので、吸着位置調整時にウエハヘッド7a〜7dにより調整用チップ11cを容易に吸着することができる。
【0077】
また、本実施形態では、上記のように、制御部12を、基板生産時にウエハヘッド7a〜7dに装着されるノズル7gを用いて吸着された調整用チップ11cを基板認識カメラ41bにより撮像して、その撮像結果に基づいて、ウエハヘッド7a〜7dによるベアチップ11aの吸着位置を調整するように構成することによって、実際の基板生産時に用いられるノズル7gを用いて吸着位置を調整することができるので、ベアチップ11aの吸着位置をより精度よく調整することができる。
【0078】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0079】
たとえば、上記実施形態では、吸着位置調整を行う際に、突上げ部に載置された調整用チップを用いて行う例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、突上げ部に突上げられた基板生産時のウエハ部品を用いて吸着位置調整を行ってもよい。これにより、取出ヘッドによる基板生産時のウエハ部品の吸着位置をより精度よく調整することができる。
【0080】
また、上記実施形態では、吸着位置調整を行う際に、撮像部として基板認識カメラ41bを用いる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、撮像部として基板認識カメラ42bを用いてもよいし、既存の別のカメラを撮像部として流用してもよい。また、吸着位置調整用の専用のカメラを設けてもよい。
【0081】
また、上記実施形態では、吸着位置調整を行う際に、突上げロッド61aに調整用チップを載置する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、突上げロッド61bに調整用チップを載置してもよい。また、複数の突上げロッドを用いて吸着位置調整を行ってもよい。
【0082】
また、上記実施形態では、ウエハヘッド(取出ヘッド)がベアチップ(ウエハ部品)を取出して、第1ヘッドユニットおよび第2ヘッドユニットに受け渡し、第1ヘッドユニットおよび第2ヘッドユニットがプリント基板(基板)にベアチップを実装する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、取出ヘッドがウエハ部品を取出して、そのまま基板に実装してもよい。また、取出ヘッドがウエハ部品を取出して、別の装置に受け渡し、別の装置により基板にウエハ部品が実装されてもよい。
【0083】
また、上記実施形態では、部品移載装置に、4つの取出ヘッドとしてのウエハヘッドを設ける構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、部品移載装置に1つの取出ヘッドを設けてもよいし、4つ以外の複数の取出ヘッドを設けてもよい。
【0084】
また、上記実施形態では、説明の便宜上、制御部の処理動作を処理フローに沿って順番に処理を行うフロー駆動型のフローチャートを用いて説明したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部の処理動作を、イベント単位で処理を実行するイベント駆動型(イベントドリブン型)の処理により行ってもよい。この場合、完全なイベント駆動型で行ってもよいし、イベント駆動およびフロー駆動を組み合わせて行ってもよい。
【符号の説明】
【0085】
5 ウエハ保持テーブル
6 突上げ部
7a〜7d ウエハヘッド(取出ヘッド)
7g ノズル
8 部品認識カメラ
11a ベアチップ(ウエハ部品)
11c 調整用チップ
12 制御部
12e 記憶部
20 プリント基板(基板)
41b、42b 基板認識カメラ(撮像部)
100 部品移載装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエハ部品を保持可能なウエハ保持テーブルと、
前記ウエハ保持テーブルに保持された前記ウエハ部品を下方から突上げる突上げ部と、
前記突上げ部により突上げられた前記ウエハ部品または前記突上げ部に載置された調整用チップを吸着する取出ヘッドと、
前記取出ヘッドに吸着された状態の前記ウエハ部品または前記調整用チップを撮像する撮像部と、
前記取出ヘッドの駆動を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、吸着位置調整時に、前記取出ヘッドに吸着された状態の前記ウエハ部品または前記調整用チップを前記撮像部により撮像して、その撮像結果に基づいて、前記取出ヘッドによる前記ウエハ部品の吸着位置を調整するように構成されている、部品移載装置。
【請求項2】
前記撮像部として、前記ウエハ部品が実装される基板を撮像する基板認識カメラを用いる、請求項1に記載の部品移載装置。
【請求項3】
前記取出ヘッドは、複数設けられており、
前記制御部は、複数の前記取出ヘッドのそれぞれについて、前記取出ヘッドに吸着された状態の前記ウエハ部品または前記調整用チップを前記撮像部により撮像して、その撮像結果に基づいて、前記取出ヘッドによる前記ウエハ部品の吸着位置を調整するように構成されている、請求項1または2に記載の部品移載装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記取出ヘッドに吸着された状態の前記ウエハ部品または前記調整用チップを前記撮像部により複数回撮像した撮像結果の平均に基づいて、前記取出ヘッドによる前記ウエハ部品の吸着位置を調整するように構成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の部品移載装置。
【請求項5】
前記取出ヘッドによる前記ウエハ部品の吸着位置の調整結果を記憶する記憶部をさらに備え、
前記制御部は、基板生産時に、前記記憶部に記憶された前記調整結果に基づいて、前記取出ヘッドに前記ウエハ部品を吸着させる制御を行うように構成されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の部品移載装置。
【請求項6】
前記突上げ部により突上げられた前記ウエハ部品または前記突上げ部に載置された前記調整用チップを撮像する部品認識カメラをさらに備え、
前記制御部は、前記部品認識カメラにより撮像した前記突上げ部により突上げられた前記ウエハ部品または前記突上げ部に載置された前記調整用チップの撮像結果に基づいて、前記取出ヘッドにより前記ウエハ部品または前記調整用チップを吸着させて、前記取出ヘッドに吸着された状態の前記ウエハ部品または前記調整用チップを前記撮像部により撮像して、その撮像結果に基づいて、前記取出ヘッドによる前記ウエハ部品の吸着位置を調整するように構成されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の部品移載装置。
【請求項7】
前記取出ヘッドには、基板生産時に前記ウエハ部品を吸着するために用いられるノズルが装着されており、
前記制御部は、基板生産時に前記取出ヘッドに装着される前記ノズルを用いて吸着された状態の前記ウエハ部品または前記調整用チップを前記撮像部により撮像して、その撮像結果に基づいて、前記取出ヘッドによる前記ウエハ部品の吸着位置を調整するように構成されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の部品移載装置。
【請求項8】
突上げ部により突上げられたウエハ部品または前記突上げ部に載置された調整用チップを取出ヘッドに吸着する工程と、
前記取出ヘッドに吸着された状態の前記ウエハ部品または前記調整用チップを撮像部により撮像して、その撮像結果に基づいて、前記取出ヘッドによる前記ウエハ部品の吸着位置を調整する工程とを備える、部品移載装置における吸着位置調整方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−105959(P2013−105959A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−250001(P2011−250001)
【出願日】平成23年11月15日(2011.11.15)
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)
【Fターム(参考)】