部品装着ライン
【課題】平行する2つの基板搬送装置を夫々有し複数台直列に配置されたモジュールタイプの部品装着装置を使用して生産効率の最適化を図ることができる部品装着ラインを提供する。
【解決手段】平行する2つの基板搬送装置を夫々有し複数台直列に配置されたモジュールタイプの部品装着装置において、一対の基板搬送装置は、互いに異なった2種類の基板を各部品装着装置の部品装着位置に位置決めし搬入出するものであり、2種類の基板のうち一方の基板に部品を装着する一方側サイクルタイムと、2種類の基板のうち他方の基板に部品を装着する他方側サイクルタイムとを部品装着装置ごとに演算して合算サイクルタイムとする合算サイクルタイム演算部と、合算サイクルタイムが均等化されるように一対の基板に装着する部品を部品装着装置ごとに分配する部品均等分配部と、を備えていること。
【解決手段】平行する2つの基板搬送装置を夫々有し複数台直列に配置されたモジュールタイプの部品装着装置において、一対の基板搬送装置は、互いに異なった2種類の基板を各部品装着装置の部品装着位置に位置決めし搬入出するものであり、2種類の基板のうち一方の基板に部品を装着する一方側サイクルタイムと、2種類の基板のうち他方の基板に部品を装着する他方側サイクルタイムとを部品装着装置ごとに演算して合算サイクルタイムとする合算サイクルタイム演算部と、合算サイクルタイムが均等化されるように一対の基板に装着する部品を部品装着装置ごとに分配する部品均等分配部と、を備えていること。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平行に延在する二つの基板搬送部を備えた部品装着装置が複数台直列に配置され、複数台の部品装着装置の一部には装着速度の異なる装着ヘッドが備えられている部品装着ラインに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、多数の部品が装着される基板を生産する設備として、半田印刷機、部品装着装置、リフロー炉、検査装置などがあり、これらを基板搬送装置で連結して基板生産ラインを構築することが一般的である。さらに、モジュール化された複数台の部品装着装置を直列に配置して部品装着ラインを構成することも多い。また、部品を装着する部品装着装置には、互いに平行に設けられた二つの基板搬送部を備え、二つの同じ種類又は異なった種類の基板を二つの基板搬送装置に同時に装着位置に位置決め可能にして、順次部品を装着させるものがあり、一方の搬送部に位置決めした基板への実装中に他方の搬送部への基板の搬送を行なうことで生産効率を向上させる。しかし、二つの基板搬送部へ搬入する基板への装着部品点数が著しく異なる場合、一方の基板への装着が終了するまでに他方への基板搬入が終えられなくなり生産効率が向上されない。
【0003】
特許文献1には、複数台並設されたモジュールタイプの部品装着装置で構成され、各モジュールの部品装着装置には基板を夫々搬送する第1搬送部と第1搬送部に平行に設けられた第2搬送部とが設けられたものが記載されている。そして、各モジュールの部品装着装置の第1搬送部が連結されて第1搬送レーンが構成され、各モジュールの部品装着装置の第2搬送部が連結されて第2搬送レーンが構成されていることが記載されている。そして、ラインの先頭に設けられ両搬送レーンに基板を搬入する基板搬入部と、第2搬送レーンの途中に設けられ基板を第2搬送レーンに搬入する中間基板搬入部と、中間基板搬入部の上流側に隣接して設けられ第2搬送レーンの基板を第1搬送レーンに変更して搬送する搬送レーン変更部とを有したデュアルコンベヤラインにおいて、第1基板の装着部品点数と第2基板の装着部品点数との比率に応じて、中間基板搬入部及び前記搬送レーン変更部の位置を変更することが記載されている。そして、二つの搬送レーンにおいて部品の装着に使われる搬送レーンごとの作業時間の合計時間(仕事量)を均等化することで、生産効率を向上させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−124031号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1のように、二つの搬送レーンを使用した複数種の基板の生産については、二つの搬送レーンにおいて部品の装着に使われる搬送レーンごとの作業時間の合計時間(仕事量)を均等化することで、生産効率の向上を図ることができる。
【0006】
しかし、基板へ装着できる部品は、部品装着装置毎に限定されており、そのような装置の条件を考慮すると、装着部品(仕事量)を各部品装着装置へ正確に均等に割り当てることは難しい。結果、特定の部品装着装置による部品装着時間が長くなってしまう。
【0007】
例えば、電子部品を基板に装着する装着ヘッドには、複数本の吸着ノズルを有し部品を装着する速度の速い高速ヘッドや1本の吸着ノズルのみを有し装着速度の遅い汎用ヘッドがある。装着する速度が速い高速ヘッドを多く使うことで、装着時間の短縮が図れるが、速度の速い高速ヘッドは使用可能な部品が寸法によって限定されるため、複数種の部品を基板に装着する場合に、単に速度の速い高速ヘッドに置換えるだけでは、速度の速い高速ヘッドが使用できない部品が、速度の遅い残りの汎用ヘッドに多く集中し、当該汎用ヘッドを備えた部品装着装置の作業時間が著しく長くなり、これが部品装着ラインのサイクルタイムになってしまう。
【0008】
そのような場合、他の部品装着装置は、当該長いサイクルタイムの部品装着装置の作業が終わるまで待たねばならないため、当該長いサイクルタイムが、ラインに直列された複数台の各部品装着装置を通じてのサイクルタイム(部品装着ラインのサイクルタイム)となってしまう。そのため、このような長い作業時間を要する一部の部品装着装置のサイクルタイムの短縮が図れる部品装着ラインにしなければ生産効率が上がらないという問題があった。
【0009】
本発明は係る従来の問題点に鑑みてなされたものであり、平行する2つの基板搬送部を夫々有し複数台直列に配置されたモジュールタイプの部品装着装置を使用して生産効率の最適化を図ることができる部品装着ラインを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するために、請求項1に係る発明の構成上の特徴は、平行に一対設けられ基板を部品装着位置に搬入出する基板搬送装置と、複数の部品を収容する部品収容装置を複数個着脱可能にセットする部品供給装置と、前記部品供給装置の前記部品収容装置から前記部品を採取して位置決めされた前記基板に装着する装着ヘッドおよび前記装着ヘッドを駆動するヘッド駆動機構を有する部品移載装置とを備える部品装着装置が複数台直列に配置された部品装着ラインであって、前記一対の基板搬送装置は、互いに異なった2種類の基板を前記各部品装着装置の部品装着位置に位置決めし搬入出可能とされており、前記2種類の基板のうち一方の基板に部品を装着する一方側サイクルタイムと、前記2種類の基板のうち他方の基板に部品を装着する他方側サイクルタイムとを部品装着装置ごとに演算して合算サイクルタイムとする合算サイクルタイム演算部と、前記合算サイクルタイムが部品装着装置間で均等化されるように前記一対の基板に装着する部品を前記部品装着装置ごとに分配する部品均等分配部と、を備えていることである。
【0011】
請求項2に係る発明の構成上の特徴は、請求項1において、前記複数台の各部品装着装置の各部品移載装置は、装着可能な部品種が多く装着能率が低い汎用ヘッド、および装着可能な部品種が少なく装着能率が高い高速ヘッドを含む複数種類の装着ヘッドを選択的に取付可能であり、前記合算サイクルタイムが、前記複数台の部品装着装置の各々を通じて短縮するよう前記装着ヘッドの種類を置換える装着ヘッド種置換部をさらに備えることである。
【0012】
請求項3に係る発明の構成上の特徴は、請求項2において、前記装着ヘッド種置換部は、前記各部品装着装置の部品移載装置の装着ヘッドの種類をすべて前記汎用ヘッドに仮置きし、ついで、前記合算サイクルタイムのうちの最大値を減少させるよう前記基板搬送装置の上流側の部品装着装置から順番に前記汎用ヘッドから前記高速ヘッドへと装着ヘッドの種類を置換えることである。
【0013】
請求項4に係る発明の構成上の特徴は、請求項3において、前記合算サイクルタイム演算部は、高速ヘッドに置換えられた各部品装着装置で前記2種類の基板に部品を装着する各高速ヘッド側合算サイクルタイムと、前記高速ヘッドに置き換えられずに汎用ヘッドのままの各部品装着装置で前記2種類の基板に部品を装着する各汎用ヘッド側合算サイクルタイムとを演算し、前記装着ヘッド種置換部は、前記合算サイクルタイム演算部において演算された前記高速ヘッド側合算サイクルタイムと前記汎用ヘッド側合算サイクルタイムとを比較し、前記汎用ヘッド側合算サイクルタイムの最大値が前記高速ヘッド側合算サイクルタイムの最大値を越える直前に、前記高速ヘッドへの置換えを停止させることである。
【0014】
請求項5に係る発明の構成上の特徴は、請求項1乃至4のいずれか1項において、前記各部品装着装置の部品供給装置における複数の部品収容装置の部品種の配列順序は前記2種類の基板の組合せごとに変更可能であり、前記2種類の基板の組合せごとに前記部品種の配列順序を決定する部品種配列決定部をさらに有していることである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る発明によると、部品装着位置に位置決めされ搬送される2種類の基板について、一方の基板に部品を装着する一方側サイクルタイムと他方の基板に部品を装着する他方側サイクルタイムとを部品装着装置ごとに合算することで、1台の部品装着装置において2種類の基板に部品を装着させるのに必要とされる合算サイクルタイムを算出する。そして、部品装着装置ごとに分配する部品(例えば部品種や部品数)を均等に分配することで合算サイクルタイムを均等化する。例えば、一方側サイクルタイムが長いときには他方側サイクルタイムを短くすることにより、合算されたサイクルタイムでの均等化を図ることができ、従来のように1つの搬送部だけで必要とするサイクルタイムの均等化を図るよりも容易にサイクルタイムの均等化を図ることができる。このような合算サイクルタイムの均等化により、生産ラインのラインサイクルタイムの短縮に障害となる一部の部品装着装置における突出した合算サイクルタイムをなくすことで、部品装着ライン全体の生産効率を向上させることができる。
【0016】
請求項2に係る発明によると、各部品装着装置の各部品移載装置は、装着可能な部品種が多く装着能率の低い汎用ヘッドと装着可能な部品種が少なく装着能率が高い高速ヘッドとが選択的に取付可能であるので、装着ヘッド種置換部により汎用ヘッドを高速ヘッドに置換えることで、各部品装着装置の合算サイクルタイムの短縮を図ることで、部品装着ライン全体の生産効率を向上させることができる。また、基板毎に装着される部品の種類、点数は異なるので、最も効率よく生産できる装着ヘッド構成は基板毎に異なる。よって、装着ヘッド選択可能な部品装着装置が並んだ生産ラインにおいては、各々の搬送装置に搬送された基板に対して個別に装着ヘッドを選択すると、一方が効率よく分配できたとしても他方は効率悪くなってしまう。本請求項に係る発明によると、2つの基板の合算サイクルタイムが短縮される装着ヘッドを選ぶので、全体として最適なヘッドを選択できる。
【0017】
請求項3に係る発明によると、部品装着ラインの生産効率は、2種類の基板を1組として複数の基板を連続して生産する場合に他の部品装着装置に待ち時間を生じさせる部品装着装置、即ち合算サイクルタイムが最大値となっている部品装着装置に制約される。一方、高速ヘッドが使用できる小形の部品は、大形の部品よりも先に基板に装着しなければ装着できない場合がある。そのため、この合算サイクルタイムの最大値を減少させるため、上流側の部品装着装置から順番に高速ヘッドに汎用ヘッドから置換えることで、部品装着ラインの生産効率を向上させることができる。
【0018】
請求項4に係る発明によると、装着速度の遅い汎用ヘッドを装着速度の速い高速ヘッドに可能な限り置換えることで生産効率が向上する。しかし、高速ヘッドが使用できない部品が、速度の遅い残りの汎用ヘッドに数多く集中すると汎用ヘッドにおける合算サイクルタイムの値が大きくなり、部品装着ラインの生産効率が悪くなる。
【0019】
そのため、装着ヘッド種置換部は、置換え後の高速ヘッドの合算サイクルタイムの最大値と置換えられずに残っている汎用ヘッドの合算サイクルタイムの最大値とを比較し、汎用ヘッドにおける合算サイクルタイムの値が大きくなった場合が、高速ヘッドが使用できない部品が、汎用ヘッドに数多く集中した場合であるとして検出する。
【0020】
そして、汎用ヘッドの合算サイクルタイムの最大値が、高速ヘッドの合算サイクルタイムの最大値を越える直前の状態まで汎用ヘッドから高速ヘッドに交換することで、高速ヘッドに置換えることによる装着能率の向上を図るとともに、高速ヘッドで使用できない部品が汎用ヘッドに数多く集中することによる生産効率の低下を防止することで、部品装着ラインの合算サイクルタイムを効率的に短縮することができる。
【0021】
請求項5に係る発明によると、部品種配列決定部により、例えば、2種類の基板の組み合わせごとに、装着させる部品種を部品収容装置における位置をまとめたり、多く使用される部品種ほど部品認識用カメラによる部品撮像位置の近くに配置したりすることで、部品収容装置で吸着された部品が基板に装着されるまでの移動距離を短縮し、部品装着ラインの合算サイクルタイムをさらに短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本実施形態に係る複数のモジュールの電子部品装着装置を備えた部品装着ラインの概略を示す平面図。
【図2】高速ヘッドを示す斜視図。
【図3】中速ヘッドを示す斜視図。
【図4】汎用ヘッドを示す斜視図。
【図5】各種類の装着ヘッドが吸着できる部品の種類を示す図。
【図6】制御装置の構成を示すブロック図。
【図7】第1の実施形態における装着ヘッドの最適化の手順を示すフローチャート。
【図8】装着ヘッドをすべて汎用ヘッドに仮置きし、合算サイクルタイムを各モジュールの電子部品装着装置ごとに算出した値を示す表。
【図9】モジュール7まで高速ヘッドに置換した場合の合算サイクルタイムを、各モジュールの電子部品装着装置ごとに算出した値を示す表。
【図10】モジュール8まで高速ヘッドに置換した場合の合算サイクルタイムを、各モジュールの電子部品装着装置ごとに算出した値を示す表。
【図11】第2の実施形態における装着ヘッドの最適化の手順を示すフローチャート。
【図12】中速ヘッドをモジュール8,9,10に置換した場合の合算サイクルタイムを、各モジュールの電子部品装着装置ごとに算出した値を示す表。
【図13】中速ヘッドをモジュール8,9,10,11に置換した場合の合算サイクルタイムを、各モジュールの電子部品装着装置ごとに算出した値を示す表。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0023】
本発明に係る複数のモジュールの電子部品装着装置を直列に並べた部品装着ラインの第1の実施形態を図面に基づいて以下に説明する。
部品装着ライン2は、部品装着装置としての電子部品装着装置4を有し、複数台(合計12台)直列に配置されている。
【0024】
電子部品装着装置4は、図1に示すように、基板6を搬入位置に搬入して所定の部品装着位置Aに位置決めする基板搬送装置8と、部品供給装置10と、基板6の搬送方向であるX方向及びX方向に水平に直交するY方向に移動可能に支持された移動台12に設けられた装着ヘッド14を有する部品移載装置16及びマーク認識用カメラ18と、基板搬送装置8と部品供給装置10との間に固定された部品認識用カメラ20と、部品移載装置16による装着を制御する制御装置22とを備えている。
【0025】
基板搬送装置8は、第1搬送部8aと第2搬送部8bとから構成されるいわゆるデュアルコンベヤタイプで、各コンベヤは、X方向に延在するガイドレール24に沿って並設されて基板4を位置決めされた位置まで搬入する平行に設けられたコンベアベルト(図略)と、搬入された基板4を夫々支持する支持フレーム(図略)と、支持された基板4を実装される位置(所定の部品装着位置A)まで上昇させる昇降装置(図略)と、実装される位置(部品装着位置A)において基板4をクランプするクランプ装置(図略)とを夫々備えている。
【0026】
部品供給装置10は、前記基板搬送装置8の側部(図1において手前側)に複数のカセット式フィーダ(部品収納装置)26を並設して構成したものである。カセット式フィーダ26は、いずれも図略のスロットに離脱可能に取り付けたケース部と、ケース部の後部に設けた供給リールと、ケース部の先端に設けた部品取出部を備えている。供給リールには部品としての電子部品(図略)が所定ピッチで封入された細長いテープ(図略)が巻回保持され、このテープがスプロケット(図略)により所定ピッチで引き出され、電子部品が封入状態を解除されて部品取出部に順次送り込まれる。カセット式フィーダ26にはコード(識別符号)が貼着され、このコードと電子部品のID・部品番号・封入数・部品重量等との対応データが、制御装置22にライン全体を管理するホストコンピュータ28から伝送された装着プログラムデータに予め記録されている。
【0027】
基板搬送装置8の上方にはX方向移動ビーム30が設けられ、該X方向移動ビーム30はY方向に延在するとともに、前記基板搬送装置8に沿ってX方向に延在するX方向レール(図略)に沿って移動可能に設けられる。X方向移動ビーム30には、図1に示すように、移動台12がX方向移動ビーム30の側面に設けられたY方向レール(図略)にスライダ(図略)を介して移動可能に設けられている。該移動台12には装着ヘッド14を備えた部品移載装置16とマーク認識用カメラ18とが移動台12とともに移動可能に保持されている。X方向移動ビーム30はいずれも図略のボールねじ機構を介してサーボモータにより駆動され、移動台12は、図略のY方向移動用ボールねじ機構を介して図略のサーボモータにより駆動される。これらのサーボモータはその駆動を制御装置22によって制御されている。
【0028】
マーク認識用カメラ18の光軸はX方向及びY方向に直角なZ方向に平行になっている。マーク認識用カメラ18により撮像された撮像画像は、図略のA/D変換機を備えた図略の画像認識装置に入力される。画像認識装置は、撮像された画像を取込んで、基板6の表面に付された参照マーク(図略)からの情報を読み取る。そして、制御装置22に備えられた演算装置(図略)により参照マークの位置ずれを演算する。次にマーク認識用カメラ18が移動されるときには、この位置ずれを補正して移動する。
【0029】
部品移載装置16は、前記移動台12と、移動台12によりX方向及びY方向と直角なZ方向に昇降可能に支持されるヘッド駆動機構としての装着ヘッド昇降装置29(図4参照)と、装着ヘッド昇降装置29に支持された装着ヘッド14とを備えている。装着ヘッド14は、装着ヘッド昇降装置29に対して選択的に取付可能とされ、図略の装着ヘッド取外し装着機或いはオペレータにより置換えられるようになっている。置換えられる装着ヘッド14は、高速ヘッド32、中速ヘッド34、汎用ヘッド36の3種類がある。なお、装着ヘッド14は3種類に限定されず、高速ヘッドと汎用ヘッドとの2種類の場合や4種類以上の場合でも本発明を実施できる。
【0030】
高速ヘッド(H12)32は、装着可能な部品種が少なく装着能率が高いヘッドである。高速ヘッド32は、図2に示すように、ヘッド本体38の下側にホルダ保持体40を昇降可能かつ回転可能に保持している。ホルダ保持体40は複数個例えば12本のノズルホルダ42を下向きに有し、各ノズルホルダ42はそれぞれ吸着ノズル44を下向きに着脱可能に保持している。ヘッド本体38の背面側には係止部38aが設けられ、係止部38aは移動台12に設けられた装着ヘッド昇降装置29に着脱可能に係止される。高速ヘッド32のノズルホルダ42及び吸着ノズル44は小形であり、かつ互いに隣接する吸着ノズル44間の距離も制約されるため、装着できる部品がチップ抵抗やチップコンデンサなどの小形部品46に限定される。一方で、1回の装着サイクルにより最大12個の部品46を装着でき、装着能率が高い。
【0031】
汎用ヘッド(H01)36は、装着可能な部品種が多く装着能率が低い装着ヘッド14である。汎用ヘッド36は、図4に示すように、ヘッド本体48の下側に唯1個のノズルホルダ50を昇降可能に、かつ回転可能に保持し、ノズルホルダ50は吸着ノズル52を下向きに着脱可能に保持している。ヘッド本体48の背面側には係止部48aが設けられ、係止部48aは移動台12に設けられた装着ヘッド昇降装置29に着脱可能に係止される。汎用ヘッド36のノズルホルダ50及び吸着ノズル52は大形であるので、大形部品54や特殊形状の部品を装着できて汎用性に優れ、一方で、1部品ごとに1回の装着サイクルが必要となり、装着能率は低い。
【0032】
中速ヘッド(H04)34は、高速ヘッド32と汎用ヘッド36との中間的な特性を有する装着ヘッド14である。中速ヘッド34は、図3に示すように、ヘッド本体56の下にホルダ保持体58を昇降可能かつ回転可能に有し、ホルダ保持体58には4本のノズルホルダ60が下向きに設けられている。ヘッド本体56の背面側には係止部56aが設けられ、係止部56aは移動台12に設けられた装着ヘッド昇降装置29に着脱可能に係止される。各ノズルホルダ60は、汎用ヘッド36の大形のノズルホルダ59と高速ヘッド32の小形のノズルホルダ42の中間の中形の大きさで形成され、各ノズルホルダ60は中形の吸着ヘッド62を下向きに着脱可能に保持している。吸着ノズル62は中形であり、かつ互いに隣接する吸着ノズル60間の距離も高速ヘッド32よりは長いため、あまり大形の部品は吸着できないが、高速ヘッド32では吸着できない中形の部品を吸着することができる。あまり小形の部品は吸着できない。1回の装着サイクルにより最大4個の部品を装着でき、装着能率は高速ヘッド32と汎用ヘッド36との中間である。
【0033】
各装着ヘッド32,34,36は、ヘッド本体38,48,56の内部にいずれも図略のノズル駆動部及び空気圧制御部を有している。ノズル駆動部は、吸着ノズル44,52,62の昇降及び回動を行なう部位であり、サーボモータを駆動源としている。空気圧制御部は、部品を吸着する際の負圧の発生及び制御を行なう部位であり、エアポンプや弁類などで構成されている。
【0034】
図5は、3種類の各装着ヘッド32,34,36が装着できる部品の概略の大きさを整理して示した図である。図中の横軸は部品の大きさL、縦軸は装着ヘッドの種類を示している。図示されるように、高速ヘッド32は最小の大きさがL1からL3までの小形部品46のみを装着できる。また、中速ヘッド34は、装着できる部品の最小の大きさL2が高速ヘッド32の最小の大きさL1よりも大きく、装着できる部品の最大の大きさL4が高速ヘッド32の最大の大きさL3よりも大きい(L1<L2<L3<L4)さらに、汎用ヘッド36は装着できる部品の最小の大きさL1が中速ヘッド34のL2よりも小さく、装着できる部品の最大の大きさL5が中速ヘッド34の最大の大きさL4よりも大きい(L4<L5)。
【0035】
制御装置22は、図6に示すように、プログラムやデータ等を記憶する記憶部64、プログラムや各種データに基づいて演算する演算部66、演算されたデータに基づいて装着ヘッド14や基板搬送装置8やマーク認識用カメラ18、部品認識用カメラ20などの動作を制御する制御部68とを備えている。
【0036】
演算部66は、合算サイクルタイム演算部70、部品均等分配部72、装着ヘッド種置換部74及び部品種配列決定部76を有している。部品均等分配部72は、各部品装着装置4間で、装着される電子部品L1〜L5の部品種および部品数が均等になるように決定し、その決定結果を記憶部64に記憶させる。
【0037】
合算サイクルタイム演算部70は、部品装着装置4ごとに第1搬送部8aの所定位置で装着される1枚の基板6の装着時間(一方側サイクルタイム)と第2搬送部8bの所定位置で装着される1枚の基板6の装着時間(他方側サイクルタイム)とを合算し、合算したサイクルタイムを合算サイクルタイムとして記憶部64に記憶させる。第1搬送部8aのサイクルタイムおよび第2搬送部8bのサイクルタイムは、装着ヘッド14の部品供給装置10から部品認識用カメラ20を経由した基板6における装着位置までの移動時間及び各装着される部品の装着に必要な装着時間、装着される部品間の移動時間等より演算する。
【0038】
装着ヘッド種置換部74は、各部品装着装置4に設けられた汎用ヘッド36を高速ヘッド32に置換するように例えば前記装着ヘッド取外し装着機に指令するとともに、合算サイクルタイム演算部で演算された汎用ヘッド側合算サイクルタイムと高速ヘッド側合算サイクルタイム70とを比較した結果に基づいて前記置換の可否を判断する。部品種配列決定部76は、含まれる部品種の使用状況に基づいて部品収納装置(カセット式フィーダ)26の位置を生産効率が向上するよう決定する。
【0039】
部品種配列決定部76は、第1搬送部8a、第2搬送部8bに搬送される2種類の基板6の組合せごとに、例えば装着させる同じ部品種のカセット式フィーダ26の部品供給装置10における位置をまとめる。また、多く使用される部品種のカセット式フィーダ26を部品認識用カメラ20による部品撮像位置の近くに配置する。このようにして、装着される電子部品L1〜L5の移動距離を短縮し、合算サイクルタイムの短縮化を図る。また、制御装置22はネットワーク78を介してホストコンピュータ28に接続されている。
【0040】
上記のように構成された電子部品装着装置4を使用して装着ヘッド14を最適化するように置換する手順について、図7のフローチャート等に基づいて以下に説明する。
まず、制御装置22は、装着ヘッド14の最適化をスタートさせる(ステップ100、以下「S100」と略記する。)。
【0041】
モジュールに分けられた全電子部品装着装置4の装着ヘッド14を、すべて汎用ヘッド36に仮置きする(S101)。これにより、装着能率は低いが、すべての部品が装着できる装着ヘッド14を各電子部品装着装置4に取り付けた状態とする。
【0042】
次に、例えばメイン基板とサブ基板とから1組となる複数組の基板に、それぞれL1、L2、L3、L4およびL5を装着して複数組の基板を12のモジュールの電子部品装着装置4で生産する場合には、制御装置22は、部品均等分配部72により、装着する電子部品L1〜L5の種類と数量を、電子部品装着装置4ごとに均等になるように配分する(S102)。例えば電子部品L1をモジュール1の電子部品装着装置4からモジュール12の電子部品装着装置4にできるだけ均等に順に配分し、電子部品L1が足りなくて配分できなかったところから続けて電子部品L2を配分する。同様にして電子部品L3から電子部品L5までを、モジュール1の電子部品装着装置4からモジュール12の電子部品装着装置4までにできるだけ均等に配分する。この場合、異なった電子部品装着装置4における第1搬送部8aで装着される部品同士或いは第2搬送部8bで装着される部品同士が不均等であってもよく、第1搬送部8aと第2搬送部8bとを合わせた電子部品装着装置4ごとに装着する電子部品の種類と数量とを均等に配分する。この場合に、例えば第1搬送部8aのサイクルタイムが長いときには第2搬送部8bのサイクルタイムを短くすることにより、次工程で求められる合算されたサイクルタイムでの均等化を図ることができ、従来のように1つの搬送部だけでサイクルタイムの均等化を図るよりも容易にサイクルタイムの均等化を図ることができる。このように、第1搬送部8aおよび第2搬送部8bを備えた電子部品装着装置4ごとに、装着する電子部品の種類と数量とを均等に配分することで、前記合算サイクルタイムが、各電子部品装着装置4の間で均等になるようにし、合算サイクルタイムが長い一部の電子部品装着装置4によって部品装着ライン全体のサイクルタイムが長くなることを防止し、全電子部品装着装置4を通じたサイクルタイムを短縮することを図る。
【0043】
次に、制御装置22は、演算部66により、ステップ102で配分された1枚の基板に部品を装着するのに必要な装着時間である第1搬送部8aにおけるサイクルタイムと第2搬送部8bにおけるサイクルタイムを電子部品装着装置4ごとに計算を開始する(S103)。
【0044】
次に、制御装置22は、合算サイクルタイム演算部70により、図8に示すように、第1搬送部8aのサイクルタイムと第2搬送部8bのサイクルタイムとを電子部品装着装置4ごとに合算する(S104)。
【0045】
次に、制御装置22は、合算したサイクルタイムの中で、数値の最も大きいもの(最大値)を、すべての電子部品装着装置4を通してのサイクルタイム(部品装着ライン2のサイクルタイム)とする(S105)。複数の基板6が連続して生産される場合には、合算したサイクルタイムが最大値である電子部品装着装置4の基板6に対する装着作業が終わるまで、同じ部品装着ライン2上に有る他の電子部品装着装置4は各自の装着作業が終わっても待つことになるため、結果として合算サイクルタイムの最大値が部品装着ライン2のサイクルタイムとなる。例えば、図8に示すように、第4番目のモジュールの電子部品装着装置4の合算サイクルタイム(38.73秒)が部品装着ライン2のサイクルタイムとなる。
【0046】
次に、制御装置22は、部品装着ライン2のサイクルタイムの最大値が短縮されたかを判断する(S106)。そして、部品装着ライン2のサイクルタイムの最大値が、短縮されたと判断した場合には、ステップ107に移行する。なお、初回の場合は、装着される部品種および部品数が均等化されることで部品装着ライン2のサイクルタイムが短縮されているので、ステップ107に移行する。
【0047】
制御装置22は、部品装着ライン2のサイクルタイムが短縮されている場合には、装着ヘッドが改善されたものとして、その場合のヘッド構成及び部品種の配分をベスト値として保存して記憶部64に記憶する(S107)。
【0048】
ステップ106において、部品装着ライン2のサイクルタイムが短縮されていないと判定された場合、及びステップ107においてベスト値が保存された場合、ステップ108に移行する。
【0049】
初回の場合には、比較する高速ヘッド32のサイクルタイムが演算されないので、ステップ109に移行する。
【0050】
次に、ステップ108において、制御装置22は、高速ヘッド32のサイクルタイムの最大値が、汎用ヘッド36のサイクルタイムの最大値よりも大きいか否かを判定する(S108)。例えば、図9において、高速ヘッド32に置換したモジュール1の電子部品装着装置4における合算サイクルタイムの最大値21.60秒と、汎用ヘッド36を備えたモジュール9の電子部品装着装置4の合算サイクルタイムに最大値17.64秒とを比較することで、高速ヘッド32の合算サイクルタイムの最大値が汎用ヘッド36の合算サイクルタイムの最大値よりも大きいと判定する。続いて、ステップ109に移行する。
【0051】
ステップ109において、制御装置2は、部品装着ライン2の先頭から(上流側から)順に汎用ヘッド36を高速ヘッド32に置換できる電子部品装着装置4のモジュールがあるか否かを判定する(S109)。装着が予定される部品が、置換される高速ヘッド32で装着可能であるか否かによって、汎用ヘッド36から高速ヘッド32への置換の可否を判定する。例えば、装着される部品がL4、L5だった場合には、高速ヘッド32で吸着ができないため、高速ヘッド32への置換ができないと判定される。
【0052】
ステップ109において、高速ヘッド32に置換できる電子部品装着装置4のモジュールが有ると判定された場合、ステップ110へ移行する。
【0053】
次に、制御装置22は、装着ヘッド種置換部74により、置換可能と判定された電子部品装着装置4の汎用ヘッド36をモジュール1の電子部品装着装置4から順に(上流側から)高速ヘッド32に置換する(S110)。
【0054】
次に、汎用ヘッド36から高速ヘッド32に置換された装着ヘッド14の新たな組み合わせにおいて、制御装置22は、部品均等分配部72により、装着する電子部品の種類(L1〜L5)と各数量を、電子部品装着装置4ごとに均等になるように配分することで最適化を実施する(S102)。そして、制御装置22は、合算サイクルタイム演算部70により、新たに均等に配分された電子部品L1〜L5での各モジュールの電子部品装着装置4ごとの合算サイクルタイムを算出する(S103)。以下同様にフローの手順を繰り返す(S102〜S110)。
【0055】
次に、図10に示すように、モジュール8まで高速ヘッド32に置換した場合について考える(S103〜S105)。
【0056】
そして、合算サイクルタイムの最大値23.47秒は、前回の合算サイクルタイムの最大値21.60秒より大きく、制御装置22は、部品装着ライン2のサイクルタイムは短縮されていないと判定する(S106)。
【0057】
次に、制御装置22は、ステップ107を経て、高速ヘッド32の合算サイクルタイム(18.14秒)が、汎用ヘッド36の合算サイクルタイム(23.47)より小さいと判定する(S108)。
【0058】
このように、汎用ヘッド36の合算サイクルタイムの最大値が、高速ヘッド32の合算サイクルタイムの最大値よりも大きいと判定された場合、置換されずに残っている汎用ヘッド36に、汎用ヘッド36でなければ装着できない大形の部品が集中し、汎用ヘッドを備えた電子部品装着装置4の作業時間が著しく長くなった状態である。そのため、ステップ111へ移行し、ステップ107で保存されていた図9に示されるベスト値は更新されず、処理を終了する(S111)。
【0059】
なお、ステップ108において高速ヘッド32の合算サイクルタイムが、汎用ヘッド36の合算サイクルタイムより大きいと判定された場合において、ステップ109において、高速ヘッドに置換できる電子部品装着装置4のモジュールがないと判定された場合、装着が予定される部品が、置換される高速ヘッド32では装着できない大形の部品(例えばL4,L5)或いは特殊形状の部品であるので、ステップ111に移行し、ステップ107で保存されてベスト値によるヘッド構成及び部品種の配分を更新しないで処理を終了する(S111)。
【実施例2】
【0060】
次に、本発明に係る複数のモジュールの電子部品装着装置を直列に並べた部品装着ラインの第2の実施形態について以下に説明する。使用される装置の構成については第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。
本実施形態は、第1の実施形態のフロー手順に連続して行なわれ、ステップ111の後工程として実施することができる。また、本実施形態における中速ヘッド34は、汎用ヘッド36に対しては、請求項3及び請求項4における高速ヘッドに相当するものである。
【0061】
制御装置22は、第1実施形態では置換されずに残った汎用ヘッド36を備えた電子部品装着装置4のモジュールにおいて、中速ヘッド34に置換が可能な電子部品装着装置4があるか否かを判定する(S201)。
【0062】
中速ヘッド34に置換可能な汎用ヘッド36を有するモジュールの電子部品装着装置4が有る場合、制御装置22は、上流側より汎用ヘッド32から中速ヘッド34に置換する(S202)。本実施形態においては、モジュール8の電子部品装着装置4から順に置換する。モジュール10の電子部品実装装置2が汎用ヘッド36から中速ヘッド34に置換された。汎用ヘッド36は、移動台12の図略の被係止部より取り外され、中速ヘッド34は、中速ヘッド34のヘッド本体56の背面に設けられた係止部56aを移動台12の図略の被係止部に係合させることで係止される。この作業は、図示しない装着ヘッド取外し装着機によって行なっても良く、オペレータによる手作業でおこなってもよい。この操作によって、部品装着ライン2には上流側から順に、高速ヘッドが取り付けられたモジュール1からモジュール7までの電子部品装着装置4、中速ヘッドが取り付けられたモジュール8の電子部品装着装置4及び汎用ヘッドが取り付けられたモジュール9からモジュール12の電子部品装着装置4が部品装着ライン2に並ぶ。
【0063】
そして次に、第1実施形態と同様に、電子部品L1〜L5の種類と数量とをモジュール1からモジュール12の電子部品装着装置4ごとに均等になるように配分する(S203)。これによって、装着作業量が各電子部品装着装置4の間で均等になるようにする。この場合、本実施形態においては、高速ヘッド32が設けられたモジュール1〜モジュール7の各電子部品装着装置4が装着する電子部品も、配分に入れることで、高速ヘッド32が設けられた電子部品装着装置4に配分される電子部品の数を減らしサイクルタイムを短縮化することを図る。
【0064】
次に、制御装置22は、一方側サイクルタイム(第1搬送部8aのサイクルタイム)と他方側サイクルタイム(第2搬送部8bのサイクルタイム)とを電子部品装着装置4ごとに計算を開始する(S204)。
【0065】
次に、制御装置22は、第1搬送部のサイクルタイムと第2搬送部のサイクルタイムとを電子部品装着装置4ごとに合算する(S205)。
【0066】
次に、制御装置22は、合算したサイクルタイムの中で、数値の最も大きいもの(最大値)を、すべての電子部品装着装置4を通してのサイクルタイム(部品装着ライン2のサイクルタイム)とする(S206)。
【0067】
次に、制御装置22は、部品装着ライン2のサイクルタイムの最大値が短縮されたかを判断する(S207)。部品装着ライン2のサイクルタイムの最大値が短縮されたと判定された場合は、ステップ208に移行する。
【0068】
制御装置22は、部品装着ライン2のサイクルタイムが短縮されている場合には、装着ヘッドが改善されたものとして、その場合のヘッド構成及び部品種の配分をベスト値として保存して記憶部64に記憶する(S208)。
【0069】
ステップ207において、部品装着ライン2のサイクルタイムが短縮されていないと判定された場合、及びステップ208においてベスト値が保存された場合、ステップ209に移行する。
【0070】
次に、制御装置22は、中速ヘッド34のサイクルタイムの最大値が、汎用ヘッド36のサイクルタイムの最大値よりも大きいか否かを判定する(S209)。
【0071】
制御装置22は、中速ヘッド34のサイクルタイムの最大値が、汎用ヘッド36のサイクルタイムの最大値よりも大きいと判定した場合には、ステップ201へ移行して、同様のフロー手順を繰り返す(S201〜S209)。
【0072】
そして、モジュール8からモジュール10の電子部品装着装置4を、汎用ヘッド36から中速ヘッド34に順に置換する(S202)。
【0073】
次に制御装置22は、装着する電子部品L1〜L5の種類と数量を、電子部品装着装置4ごとに均等になるように配分する(S203)。これによって、装着作業量が各電子部品装着装置4の間で均等になるようにする。
【0074】
次に、制御装置22は、第1搬送部8aのサイクルタイムと第2搬送部8bのサイクルタイムとを電子部品装着装置4ごとに計算を開始する(S204)。
【0075】
次に、制御装置22は、第1搬送部のサイクルタイムと第2搬送部のサイクルタイムとを電子部品装着装置4ごとに合算する(S205)。
【0076】
次に、制御装置22は、合算したサイクルタイムの中で、数値の最も大きいもの(最大値)を、すべての電子部品装着装置4を通してのサイクルタイム(部品装着ライン2のサイクルタイム)とする(S206)。例えば、図12に示すように、合算サイクルタイムの最大値が、19.21秒と求められた。
【0077】
次に、制御装置22は、部品装着ライン2のサイクルタイムの最大値が短縮されたかを判断する(S206)。モジュール10を中速ヘッド34に置換する前の合算サイクルタイムの最大値(図略)と比較して、部品装着ライン2のサイクルタイムの最大値が短縮されたと判断して、ステップ208に移行する。
【0078】
制御装置22は、部品装着ライン2のサイクルタイムが短縮されている場合には、装着ヘッドが改善されたものとして、その場合のヘッド構成及び部品種の配分をベスト値として保存して記憶する(S208)。
【0079】
次に、制御装置22は、中速ヘッド34のサイクルタイムの最大値が、汎用ヘッド36のサイクルタイムの最大値よりも大きいか否かを判定する(S209)。
【0080】
例えば、図12に示すように、制御装置22は、中速ヘッド34のサイクルタイムの最大値(18.07秒)が、汎用ヘッド36のサイクルタイムの最大値(14.71秒)よりも大きいと判定し、ステップ201へ移行する。
【0081】
制御装置2は、上流側(先頭)から変更可能な汎用ヘッド36のモジュールの電子部品装着装置4が有るか否かを判定する(S201)。本実施形態では変更可能な汎用ヘッド36のモジュールの電子部品装着装置4が有ると判定してステップ202へ移行する。
【0082】
次に、変更可能なモジュールの電子部品装着装置4の汎用ヘッド36を中速ヘッド34に置換する(S202)。
【0083】
次に、ステップ203に移行して、同様に、電子部品L1〜L5の種類と数量とをモジュール1からモジュール12の電子部品装着装置4ごとに均等になるように配分する(S203)。
【0084】
同様にサイクルタイムの計算をスタートさせ(S204)、各モジュールの電子部品装着装置4ごとの合算サイクルタイムを算出する(S205)。そして、合算サイクルタイムの最大値を部品装着ライン2のサイクルタイムとする(S206)。この場合、図13に示すように、モジュール12におけるサイクルタイム29.33秒が部品装着ライン2のサイクルタイムとなる。
【0085】
そして、ステップ207に移行し、制御装置22は、部品装着ライン2のサイクルタイムが短縮されたかを判断する。この場合、部品装着ライン2のサイクルタイムは、図12に示すように、モジュール11を中速ヘッド34に置換する前の部品装着ライン2のサイクルタイム19.21秒より大きくなっており、制御装置22は短縮されていないと判定してステップ209へ移行する。
【0086】
ステップ209において、制御装置22は、中速ヘッド34のサイクルタイムの最大値が、汎用ヘッド36のサイクルタイムの最大値よりも大きいか否かを判定する。この場合中速ヘッド34のサイクルタイムの最大値(16.29秒)は、汎用ヘッド36のサイクルタイムの最大値(29.33秒)よりも小さいと判定される。この場合も、置換されずに残っている汎用ヘッド36に、汎用ヘッド36でなければ装着できない大形の部品が集中し、汎用ヘッド36を備えた電子部品装着装置4の作業時間が著しく長くなった状態である。そのため、ステップ210へ移行し、ステップ208で保存されてベスト値(図12に示す値)によるヘッド構成及び部品種の配分を更新しないで処理を終了する。
【0087】
上記のように構成された複数のモジュールを直列に並べた電子部品装着装置4によると、部品装着位置Aに位置決めされ搬送される2種類の基板6について、一方の基板6に部品L1〜L5を装着する第1搬送部8aのサイクルタイムと他方の基板6に部品L1〜L5を装着する第2搬送部8bのサイクルタイムとを部品装着装置4ごとに合算することで、1台の電子部品装着装置4において2種類の基板6に部品L1〜L5を装着させるのに必要とされる合算サイクルタイムを算出する。そして、電子部品装着装置4ごとに分配する電子部品L1〜L5の部品種及び部品数を均等に分配することで合算サイクルタイムを均等化する。この場合に、例えば、第1搬送部8aのサイクルタイムが長いときには第2搬送部8bのサイクルタイムを短くすることにより、合算されたサイクルタイムでの均等化を図ることができ、従来のように1つの搬送部だけでサイクルタイムの均等化を図るよりも容易にサイクルタイムの均等化を図ることができる。このような合算サイクルタイムの均等化により、部品装着ライン2のサイクルタイムの短縮に障害となる一部の電子部品装着装置4の突出した合算サイクルタイムをなくすことで、部品装着ライン全体の生産効率を向上させることができる。
【0088】
また、各電子部品装着装置4の各部品移載装置16は、装着可能な部品種が多く装着能率の低い汎用ヘッド36と装着可能な部品種が少なく装着能率が高い高速ヘッド32(或いは中速ヘッド34)とが選択的に取付可能であるので、装着ヘッド種置換部74により汎用ヘッド36を高速ヘッド32に置換えることで、各電子部品装着装置4を通じての合算サイクルタイムを短縮することができる。また、基板6毎に装着される部品の種類、点数は異なるので、最も効率よく生産できる装着ヘッド構成は基板6毎に異なる。よって、装着ヘッド選択可能な部品装着装置が並んだ生産ラインにおいては、各々の搬送装置に搬送された基板6に対して個別に装着ヘッドを選択すると、一方が効率よく分配できたとしても他方は効率悪くなってしまう。本実施形態に係る発明によると、2つの基板6の合算サイクルタイムが短縮される装着ヘッド(高速ヘッド32或いは中速ヘッド34)を選ぶので、全体として最適なヘッドを選択できる。
【0089】
また、部品装着ライン2の生産効率は、2種類の基板6を1組として複数の基板6を連続して生産する場合に他の電子部品装着装置4に待ち時間を生じさせる電子部品装着装置4、即ち合算サイクルタイムが最大値となっている電子部品装着装置4に制約される。一方、高速ヘッド32が使用できる小形の部品L1,L2,L3は、大形の部品L4,L5よりも先に基板に装着しなければ装着できない場合がある(或いは中速ヘッド34が使用できる小形の部品L3,L4はより大形の部品L5よりも先に基板に装着しなければ装着できない場合がある)。そのため、この合算サイクルタイムの最大値を減少させるため、上流側の電子部品装着装置4から順番に汎用ヘッド36から高速ヘッド32(或いは中速ヘッド34)に置換えることで、部品装着ライン2の生産効率を向上させることができる。
【0090】
また、装着速度の遅い汎用ヘッド36を装着速度の速い高速ヘッド32(或いは中速ヘッド34)に可能な限り置換えることで生産効率が向上する。しかし、高速ヘッド32(或いは中速ヘッド34)が使用できない大形の部品L4,L5(中速ヘッド34では大形の部品L5)や特殊形状の部品が、速度の遅い残りの汎用ヘッド36に数多く集中すると汎用ヘッド36における合算サイクルタイムの値が大きくなり、部品装着ライン2の生産効率が悪くなる。
【0091】
そのため、装着ヘッド種置換部74は、置換え後の高速ヘッド32(或いは中速ヘッド34)の合算サイクルタイムの最大値と置換えられずに残っている汎用ヘッド36の合算サイクルタイムの最大値とを比較し、汎用ヘッド36における合算サイクルタイムの値が大きくなった場合が、高速ヘッド32(或いは中速ヘッド34)が使用できない部品が、汎用ヘッド36に数多く集中した場合であるとして検出する。
【0092】
そして、汎用ヘッド36の合算サイクルタイムの最大値が、高速ヘッド32(或いは中速ヘッド34)の合算サイクルタイムの最大値を越える直前の状態まで汎用ヘッド36から高速ヘッド32(或いは中速ヘッド34)に交換することで、高速ヘッド32(或いは中速ヘッド34)に置換えることによる装着能率の向上を図るとともに、高速ヘッド32(或いは中速ヘッド34)で使用できない部品が汎用ヘッド36に数多く集中することによる生産効率の低下を防止することで、部品装着ライン2の合算サイクルタイムを効率的に短縮化することができる。
【0093】
また、部品種配列決定部76により、例えば、2種類の基板6の組み合わせごとに、装着させる部品種を部品収容装置(カセット式フィーダ)26における位置をまとめたり、多く使用される部品種ほど部品撮像位置の近くに配置したりすることで、さらに部品装着ライン2の合算サイクルタイムを短縮することができる。
【0094】
なお、上記実施形態において、各電子部品装着装置4において、装着ヘッド14は1つのものとしたが、これに限定されず、例えば、同じ基板の装着に使用されるものであれば、装着ヘッドが2つのものでもよい。
【0095】
また、2種類の基板の組合せを、メイン基板とサブ基板との組合せとしたが、これに限定されず、例えば表側を装着する基板とその同じ基板種の基板であって裏側を装着する基板との組合せでもよいし、他の特に関連しない2種類の基板種の組合せであっても良い。
【0096】
また、高速ヘッド、中速ヘッドおよび汎用ヘッドの3種の装着ヘッドによるものとしたが、これに限定されず、例えば超高速ヘッド、高速ヘッド、中速ヘッド、汎用ヘッドなどの4種類或いはこれ以上の種類の装着ヘッドによるものでもよい。
【0097】
また、装着に使用される電子部品をL1〜L5までの5種類の部品としたが、これに限定されず、例えば6種類以上でもよく、4種類以下のものでもよい。
【0098】
また、汎用ヘッドは小形の電子部品L1から大形の電子部品L5までのすべての吸着に使用できるものとしたが、これに限定されず、例えば、一番小形のL1は吸着できず、L2〜L5までの吸着に使用できるものでもよい。この場合、小形の電子部品L1を吸着する高速ヘッドを上流側の幾つかのモジュールの電子部品装着装置に配置し、それ以外のすべてのモジュールの電子部品装着装置について、汎用ヘッドを仮置きさせるところから始めるものでもよい。
【0099】
斯様に、上記した実施の形態で述べた具体的構成は、本発明の一例を示したものにすぎず、本発明はそのような具体的構成に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の態様を採り得るものである。
【符号の説明】
【0100】
2…部品装着ライン、4…電子部品装着装置、6…基板、8…基板搬送装置、10…部品供給装置、14…装着ヘッド、16…部品移載装置、22…制御装置、32…高速ヘッド、34…中速ヘッド、36…汎用ヘッド、70…合算サイクルタイム演算部、72…部品均等分配部、74…装着ヘッド種置換部、76…部品種配列決定部、A…部品装着位置。
【技術分野】
【0001】
本発明は、平行に延在する二つの基板搬送部を備えた部品装着装置が複数台直列に配置され、複数台の部品装着装置の一部には装着速度の異なる装着ヘッドが備えられている部品装着ラインに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、多数の部品が装着される基板を生産する設備として、半田印刷機、部品装着装置、リフロー炉、検査装置などがあり、これらを基板搬送装置で連結して基板生産ラインを構築することが一般的である。さらに、モジュール化された複数台の部品装着装置を直列に配置して部品装着ラインを構成することも多い。また、部品を装着する部品装着装置には、互いに平行に設けられた二つの基板搬送部を備え、二つの同じ種類又は異なった種類の基板を二つの基板搬送装置に同時に装着位置に位置決め可能にして、順次部品を装着させるものがあり、一方の搬送部に位置決めした基板への実装中に他方の搬送部への基板の搬送を行なうことで生産効率を向上させる。しかし、二つの基板搬送部へ搬入する基板への装着部品点数が著しく異なる場合、一方の基板への装着が終了するまでに他方への基板搬入が終えられなくなり生産効率が向上されない。
【0003】
特許文献1には、複数台並設されたモジュールタイプの部品装着装置で構成され、各モジュールの部品装着装置には基板を夫々搬送する第1搬送部と第1搬送部に平行に設けられた第2搬送部とが設けられたものが記載されている。そして、各モジュールの部品装着装置の第1搬送部が連結されて第1搬送レーンが構成され、各モジュールの部品装着装置の第2搬送部が連結されて第2搬送レーンが構成されていることが記載されている。そして、ラインの先頭に設けられ両搬送レーンに基板を搬入する基板搬入部と、第2搬送レーンの途中に設けられ基板を第2搬送レーンに搬入する中間基板搬入部と、中間基板搬入部の上流側に隣接して設けられ第2搬送レーンの基板を第1搬送レーンに変更して搬送する搬送レーン変更部とを有したデュアルコンベヤラインにおいて、第1基板の装着部品点数と第2基板の装着部品点数との比率に応じて、中間基板搬入部及び前記搬送レーン変更部の位置を変更することが記載されている。そして、二つの搬送レーンにおいて部品の装着に使われる搬送レーンごとの作業時間の合計時間(仕事量)を均等化することで、生産効率を向上させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−124031号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1のように、二つの搬送レーンを使用した複数種の基板の生産については、二つの搬送レーンにおいて部品の装着に使われる搬送レーンごとの作業時間の合計時間(仕事量)を均等化することで、生産効率の向上を図ることができる。
【0006】
しかし、基板へ装着できる部品は、部品装着装置毎に限定されており、そのような装置の条件を考慮すると、装着部品(仕事量)を各部品装着装置へ正確に均等に割り当てることは難しい。結果、特定の部品装着装置による部品装着時間が長くなってしまう。
【0007】
例えば、電子部品を基板に装着する装着ヘッドには、複数本の吸着ノズルを有し部品を装着する速度の速い高速ヘッドや1本の吸着ノズルのみを有し装着速度の遅い汎用ヘッドがある。装着する速度が速い高速ヘッドを多く使うことで、装着時間の短縮が図れるが、速度の速い高速ヘッドは使用可能な部品が寸法によって限定されるため、複数種の部品を基板に装着する場合に、単に速度の速い高速ヘッドに置換えるだけでは、速度の速い高速ヘッドが使用できない部品が、速度の遅い残りの汎用ヘッドに多く集中し、当該汎用ヘッドを備えた部品装着装置の作業時間が著しく長くなり、これが部品装着ラインのサイクルタイムになってしまう。
【0008】
そのような場合、他の部品装着装置は、当該長いサイクルタイムの部品装着装置の作業が終わるまで待たねばならないため、当該長いサイクルタイムが、ラインに直列された複数台の各部品装着装置を通じてのサイクルタイム(部品装着ラインのサイクルタイム)となってしまう。そのため、このような長い作業時間を要する一部の部品装着装置のサイクルタイムの短縮が図れる部品装着ラインにしなければ生産効率が上がらないという問題があった。
【0009】
本発明は係る従来の問題点に鑑みてなされたものであり、平行する2つの基板搬送部を夫々有し複数台直列に配置されたモジュールタイプの部品装着装置を使用して生産効率の最適化を図ることができる部品装着ラインを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するために、請求項1に係る発明の構成上の特徴は、平行に一対設けられ基板を部品装着位置に搬入出する基板搬送装置と、複数の部品を収容する部品収容装置を複数個着脱可能にセットする部品供給装置と、前記部品供給装置の前記部品収容装置から前記部品を採取して位置決めされた前記基板に装着する装着ヘッドおよび前記装着ヘッドを駆動するヘッド駆動機構を有する部品移載装置とを備える部品装着装置が複数台直列に配置された部品装着ラインであって、前記一対の基板搬送装置は、互いに異なった2種類の基板を前記各部品装着装置の部品装着位置に位置決めし搬入出可能とされており、前記2種類の基板のうち一方の基板に部品を装着する一方側サイクルタイムと、前記2種類の基板のうち他方の基板に部品を装着する他方側サイクルタイムとを部品装着装置ごとに演算して合算サイクルタイムとする合算サイクルタイム演算部と、前記合算サイクルタイムが部品装着装置間で均等化されるように前記一対の基板に装着する部品を前記部品装着装置ごとに分配する部品均等分配部と、を備えていることである。
【0011】
請求項2に係る発明の構成上の特徴は、請求項1において、前記複数台の各部品装着装置の各部品移載装置は、装着可能な部品種が多く装着能率が低い汎用ヘッド、および装着可能な部品種が少なく装着能率が高い高速ヘッドを含む複数種類の装着ヘッドを選択的に取付可能であり、前記合算サイクルタイムが、前記複数台の部品装着装置の各々を通じて短縮するよう前記装着ヘッドの種類を置換える装着ヘッド種置換部をさらに備えることである。
【0012】
請求項3に係る発明の構成上の特徴は、請求項2において、前記装着ヘッド種置換部は、前記各部品装着装置の部品移載装置の装着ヘッドの種類をすべて前記汎用ヘッドに仮置きし、ついで、前記合算サイクルタイムのうちの最大値を減少させるよう前記基板搬送装置の上流側の部品装着装置から順番に前記汎用ヘッドから前記高速ヘッドへと装着ヘッドの種類を置換えることである。
【0013】
請求項4に係る発明の構成上の特徴は、請求項3において、前記合算サイクルタイム演算部は、高速ヘッドに置換えられた各部品装着装置で前記2種類の基板に部品を装着する各高速ヘッド側合算サイクルタイムと、前記高速ヘッドに置き換えられずに汎用ヘッドのままの各部品装着装置で前記2種類の基板に部品を装着する各汎用ヘッド側合算サイクルタイムとを演算し、前記装着ヘッド種置換部は、前記合算サイクルタイム演算部において演算された前記高速ヘッド側合算サイクルタイムと前記汎用ヘッド側合算サイクルタイムとを比較し、前記汎用ヘッド側合算サイクルタイムの最大値が前記高速ヘッド側合算サイクルタイムの最大値を越える直前に、前記高速ヘッドへの置換えを停止させることである。
【0014】
請求項5に係る発明の構成上の特徴は、請求項1乃至4のいずれか1項において、前記各部品装着装置の部品供給装置における複数の部品収容装置の部品種の配列順序は前記2種類の基板の組合せごとに変更可能であり、前記2種類の基板の組合せごとに前記部品種の配列順序を決定する部品種配列決定部をさらに有していることである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る発明によると、部品装着位置に位置決めされ搬送される2種類の基板について、一方の基板に部品を装着する一方側サイクルタイムと他方の基板に部品を装着する他方側サイクルタイムとを部品装着装置ごとに合算することで、1台の部品装着装置において2種類の基板に部品を装着させるのに必要とされる合算サイクルタイムを算出する。そして、部品装着装置ごとに分配する部品(例えば部品種や部品数)を均等に分配することで合算サイクルタイムを均等化する。例えば、一方側サイクルタイムが長いときには他方側サイクルタイムを短くすることにより、合算されたサイクルタイムでの均等化を図ることができ、従来のように1つの搬送部だけで必要とするサイクルタイムの均等化を図るよりも容易にサイクルタイムの均等化を図ることができる。このような合算サイクルタイムの均等化により、生産ラインのラインサイクルタイムの短縮に障害となる一部の部品装着装置における突出した合算サイクルタイムをなくすことで、部品装着ライン全体の生産効率を向上させることができる。
【0016】
請求項2に係る発明によると、各部品装着装置の各部品移載装置は、装着可能な部品種が多く装着能率の低い汎用ヘッドと装着可能な部品種が少なく装着能率が高い高速ヘッドとが選択的に取付可能であるので、装着ヘッド種置換部により汎用ヘッドを高速ヘッドに置換えることで、各部品装着装置の合算サイクルタイムの短縮を図ることで、部品装着ライン全体の生産効率を向上させることができる。また、基板毎に装着される部品の種類、点数は異なるので、最も効率よく生産できる装着ヘッド構成は基板毎に異なる。よって、装着ヘッド選択可能な部品装着装置が並んだ生産ラインにおいては、各々の搬送装置に搬送された基板に対して個別に装着ヘッドを選択すると、一方が効率よく分配できたとしても他方は効率悪くなってしまう。本請求項に係る発明によると、2つの基板の合算サイクルタイムが短縮される装着ヘッドを選ぶので、全体として最適なヘッドを選択できる。
【0017】
請求項3に係る発明によると、部品装着ラインの生産効率は、2種類の基板を1組として複数の基板を連続して生産する場合に他の部品装着装置に待ち時間を生じさせる部品装着装置、即ち合算サイクルタイムが最大値となっている部品装着装置に制約される。一方、高速ヘッドが使用できる小形の部品は、大形の部品よりも先に基板に装着しなければ装着できない場合がある。そのため、この合算サイクルタイムの最大値を減少させるため、上流側の部品装着装置から順番に高速ヘッドに汎用ヘッドから置換えることで、部品装着ラインの生産効率を向上させることができる。
【0018】
請求項4に係る発明によると、装着速度の遅い汎用ヘッドを装着速度の速い高速ヘッドに可能な限り置換えることで生産効率が向上する。しかし、高速ヘッドが使用できない部品が、速度の遅い残りの汎用ヘッドに数多く集中すると汎用ヘッドにおける合算サイクルタイムの値が大きくなり、部品装着ラインの生産効率が悪くなる。
【0019】
そのため、装着ヘッド種置換部は、置換え後の高速ヘッドの合算サイクルタイムの最大値と置換えられずに残っている汎用ヘッドの合算サイクルタイムの最大値とを比較し、汎用ヘッドにおける合算サイクルタイムの値が大きくなった場合が、高速ヘッドが使用できない部品が、汎用ヘッドに数多く集中した場合であるとして検出する。
【0020】
そして、汎用ヘッドの合算サイクルタイムの最大値が、高速ヘッドの合算サイクルタイムの最大値を越える直前の状態まで汎用ヘッドから高速ヘッドに交換することで、高速ヘッドに置換えることによる装着能率の向上を図るとともに、高速ヘッドで使用できない部品が汎用ヘッドに数多く集中することによる生産効率の低下を防止することで、部品装着ラインの合算サイクルタイムを効率的に短縮することができる。
【0021】
請求項5に係る発明によると、部品種配列決定部により、例えば、2種類の基板の組み合わせごとに、装着させる部品種を部品収容装置における位置をまとめたり、多く使用される部品種ほど部品認識用カメラによる部品撮像位置の近くに配置したりすることで、部品収容装置で吸着された部品が基板に装着されるまでの移動距離を短縮し、部品装着ラインの合算サイクルタイムをさらに短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本実施形態に係る複数のモジュールの電子部品装着装置を備えた部品装着ラインの概略を示す平面図。
【図2】高速ヘッドを示す斜視図。
【図3】中速ヘッドを示す斜視図。
【図4】汎用ヘッドを示す斜視図。
【図5】各種類の装着ヘッドが吸着できる部品の種類を示す図。
【図6】制御装置の構成を示すブロック図。
【図7】第1の実施形態における装着ヘッドの最適化の手順を示すフローチャート。
【図8】装着ヘッドをすべて汎用ヘッドに仮置きし、合算サイクルタイムを各モジュールの電子部品装着装置ごとに算出した値を示す表。
【図9】モジュール7まで高速ヘッドに置換した場合の合算サイクルタイムを、各モジュールの電子部品装着装置ごとに算出した値を示す表。
【図10】モジュール8まで高速ヘッドに置換した場合の合算サイクルタイムを、各モジュールの電子部品装着装置ごとに算出した値を示す表。
【図11】第2の実施形態における装着ヘッドの最適化の手順を示すフローチャート。
【図12】中速ヘッドをモジュール8,9,10に置換した場合の合算サイクルタイムを、各モジュールの電子部品装着装置ごとに算出した値を示す表。
【図13】中速ヘッドをモジュール8,9,10,11に置換した場合の合算サイクルタイムを、各モジュールの電子部品装着装置ごとに算出した値を示す表。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0023】
本発明に係る複数のモジュールの電子部品装着装置を直列に並べた部品装着ラインの第1の実施形態を図面に基づいて以下に説明する。
部品装着ライン2は、部品装着装置としての電子部品装着装置4を有し、複数台(合計12台)直列に配置されている。
【0024】
電子部品装着装置4は、図1に示すように、基板6を搬入位置に搬入して所定の部品装着位置Aに位置決めする基板搬送装置8と、部品供給装置10と、基板6の搬送方向であるX方向及びX方向に水平に直交するY方向に移動可能に支持された移動台12に設けられた装着ヘッド14を有する部品移載装置16及びマーク認識用カメラ18と、基板搬送装置8と部品供給装置10との間に固定された部品認識用カメラ20と、部品移載装置16による装着を制御する制御装置22とを備えている。
【0025】
基板搬送装置8は、第1搬送部8aと第2搬送部8bとから構成されるいわゆるデュアルコンベヤタイプで、各コンベヤは、X方向に延在するガイドレール24に沿って並設されて基板4を位置決めされた位置まで搬入する平行に設けられたコンベアベルト(図略)と、搬入された基板4を夫々支持する支持フレーム(図略)と、支持された基板4を実装される位置(所定の部品装着位置A)まで上昇させる昇降装置(図略)と、実装される位置(部品装着位置A)において基板4をクランプするクランプ装置(図略)とを夫々備えている。
【0026】
部品供給装置10は、前記基板搬送装置8の側部(図1において手前側)に複数のカセット式フィーダ(部品収納装置)26を並設して構成したものである。カセット式フィーダ26は、いずれも図略のスロットに離脱可能に取り付けたケース部と、ケース部の後部に設けた供給リールと、ケース部の先端に設けた部品取出部を備えている。供給リールには部品としての電子部品(図略)が所定ピッチで封入された細長いテープ(図略)が巻回保持され、このテープがスプロケット(図略)により所定ピッチで引き出され、電子部品が封入状態を解除されて部品取出部に順次送り込まれる。カセット式フィーダ26にはコード(識別符号)が貼着され、このコードと電子部品のID・部品番号・封入数・部品重量等との対応データが、制御装置22にライン全体を管理するホストコンピュータ28から伝送された装着プログラムデータに予め記録されている。
【0027】
基板搬送装置8の上方にはX方向移動ビーム30が設けられ、該X方向移動ビーム30はY方向に延在するとともに、前記基板搬送装置8に沿ってX方向に延在するX方向レール(図略)に沿って移動可能に設けられる。X方向移動ビーム30には、図1に示すように、移動台12がX方向移動ビーム30の側面に設けられたY方向レール(図略)にスライダ(図略)を介して移動可能に設けられている。該移動台12には装着ヘッド14を備えた部品移載装置16とマーク認識用カメラ18とが移動台12とともに移動可能に保持されている。X方向移動ビーム30はいずれも図略のボールねじ機構を介してサーボモータにより駆動され、移動台12は、図略のY方向移動用ボールねじ機構を介して図略のサーボモータにより駆動される。これらのサーボモータはその駆動を制御装置22によって制御されている。
【0028】
マーク認識用カメラ18の光軸はX方向及びY方向に直角なZ方向に平行になっている。マーク認識用カメラ18により撮像された撮像画像は、図略のA/D変換機を備えた図略の画像認識装置に入力される。画像認識装置は、撮像された画像を取込んで、基板6の表面に付された参照マーク(図略)からの情報を読み取る。そして、制御装置22に備えられた演算装置(図略)により参照マークの位置ずれを演算する。次にマーク認識用カメラ18が移動されるときには、この位置ずれを補正して移動する。
【0029】
部品移載装置16は、前記移動台12と、移動台12によりX方向及びY方向と直角なZ方向に昇降可能に支持されるヘッド駆動機構としての装着ヘッド昇降装置29(図4参照)と、装着ヘッド昇降装置29に支持された装着ヘッド14とを備えている。装着ヘッド14は、装着ヘッド昇降装置29に対して選択的に取付可能とされ、図略の装着ヘッド取外し装着機或いはオペレータにより置換えられるようになっている。置換えられる装着ヘッド14は、高速ヘッド32、中速ヘッド34、汎用ヘッド36の3種類がある。なお、装着ヘッド14は3種類に限定されず、高速ヘッドと汎用ヘッドとの2種類の場合や4種類以上の場合でも本発明を実施できる。
【0030】
高速ヘッド(H12)32は、装着可能な部品種が少なく装着能率が高いヘッドである。高速ヘッド32は、図2に示すように、ヘッド本体38の下側にホルダ保持体40を昇降可能かつ回転可能に保持している。ホルダ保持体40は複数個例えば12本のノズルホルダ42を下向きに有し、各ノズルホルダ42はそれぞれ吸着ノズル44を下向きに着脱可能に保持している。ヘッド本体38の背面側には係止部38aが設けられ、係止部38aは移動台12に設けられた装着ヘッド昇降装置29に着脱可能に係止される。高速ヘッド32のノズルホルダ42及び吸着ノズル44は小形であり、かつ互いに隣接する吸着ノズル44間の距離も制約されるため、装着できる部品がチップ抵抗やチップコンデンサなどの小形部品46に限定される。一方で、1回の装着サイクルにより最大12個の部品46を装着でき、装着能率が高い。
【0031】
汎用ヘッド(H01)36は、装着可能な部品種が多く装着能率が低い装着ヘッド14である。汎用ヘッド36は、図4に示すように、ヘッド本体48の下側に唯1個のノズルホルダ50を昇降可能に、かつ回転可能に保持し、ノズルホルダ50は吸着ノズル52を下向きに着脱可能に保持している。ヘッド本体48の背面側には係止部48aが設けられ、係止部48aは移動台12に設けられた装着ヘッド昇降装置29に着脱可能に係止される。汎用ヘッド36のノズルホルダ50及び吸着ノズル52は大形であるので、大形部品54や特殊形状の部品を装着できて汎用性に優れ、一方で、1部品ごとに1回の装着サイクルが必要となり、装着能率は低い。
【0032】
中速ヘッド(H04)34は、高速ヘッド32と汎用ヘッド36との中間的な特性を有する装着ヘッド14である。中速ヘッド34は、図3に示すように、ヘッド本体56の下にホルダ保持体58を昇降可能かつ回転可能に有し、ホルダ保持体58には4本のノズルホルダ60が下向きに設けられている。ヘッド本体56の背面側には係止部56aが設けられ、係止部56aは移動台12に設けられた装着ヘッド昇降装置29に着脱可能に係止される。各ノズルホルダ60は、汎用ヘッド36の大形のノズルホルダ59と高速ヘッド32の小形のノズルホルダ42の中間の中形の大きさで形成され、各ノズルホルダ60は中形の吸着ヘッド62を下向きに着脱可能に保持している。吸着ノズル62は中形であり、かつ互いに隣接する吸着ノズル60間の距離も高速ヘッド32よりは長いため、あまり大形の部品は吸着できないが、高速ヘッド32では吸着できない中形の部品を吸着することができる。あまり小形の部品は吸着できない。1回の装着サイクルにより最大4個の部品を装着でき、装着能率は高速ヘッド32と汎用ヘッド36との中間である。
【0033】
各装着ヘッド32,34,36は、ヘッド本体38,48,56の内部にいずれも図略のノズル駆動部及び空気圧制御部を有している。ノズル駆動部は、吸着ノズル44,52,62の昇降及び回動を行なう部位であり、サーボモータを駆動源としている。空気圧制御部は、部品を吸着する際の負圧の発生及び制御を行なう部位であり、エアポンプや弁類などで構成されている。
【0034】
図5は、3種類の各装着ヘッド32,34,36が装着できる部品の概略の大きさを整理して示した図である。図中の横軸は部品の大きさL、縦軸は装着ヘッドの種類を示している。図示されるように、高速ヘッド32は最小の大きさがL1からL3までの小形部品46のみを装着できる。また、中速ヘッド34は、装着できる部品の最小の大きさL2が高速ヘッド32の最小の大きさL1よりも大きく、装着できる部品の最大の大きさL4が高速ヘッド32の最大の大きさL3よりも大きい(L1<L2<L3<L4)さらに、汎用ヘッド36は装着できる部品の最小の大きさL1が中速ヘッド34のL2よりも小さく、装着できる部品の最大の大きさL5が中速ヘッド34の最大の大きさL4よりも大きい(L4<L5)。
【0035】
制御装置22は、図6に示すように、プログラムやデータ等を記憶する記憶部64、プログラムや各種データに基づいて演算する演算部66、演算されたデータに基づいて装着ヘッド14や基板搬送装置8やマーク認識用カメラ18、部品認識用カメラ20などの動作を制御する制御部68とを備えている。
【0036】
演算部66は、合算サイクルタイム演算部70、部品均等分配部72、装着ヘッド種置換部74及び部品種配列決定部76を有している。部品均等分配部72は、各部品装着装置4間で、装着される電子部品L1〜L5の部品種および部品数が均等になるように決定し、その決定結果を記憶部64に記憶させる。
【0037】
合算サイクルタイム演算部70は、部品装着装置4ごとに第1搬送部8aの所定位置で装着される1枚の基板6の装着時間(一方側サイクルタイム)と第2搬送部8bの所定位置で装着される1枚の基板6の装着時間(他方側サイクルタイム)とを合算し、合算したサイクルタイムを合算サイクルタイムとして記憶部64に記憶させる。第1搬送部8aのサイクルタイムおよび第2搬送部8bのサイクルタイムは、装着ヘッド14の部品供給装置10から部品認識用カメラ20を経由した基板6における装着位置までの移動時間及び各装着される部品の装着に必要な装着時間、装着される部品間の移動時間等より演算する。
【0038】
装着ヘッド種置換部74は、各部品装着装置4に設けられた汎用ヘッド36を高速ヘッド32に置換するように例えば前記装着ヘッド取外し装着機に指令するとともに、合算サイクルタイム演算部で演算された汎用ヘッド側合算サイクルタイムと高速ヘッド側合算サイクルタイム70とを比較した結果に基づいて前記置換の可否を判断する。部品種配列決定部76は、含まれる部品種の使用状況に基づいて部品収納装置(カセット式フィーダ)26の位置を生産効率が向上するよう決定する。
【0039】
部品種配列決定部76は、第1搬送部8a、第2搬送部8bに搬送される2種類の基板6の組合せごとに、例えば装着させる同じ部品種のカセット式フィーダ26の部品供給装置10における位置をまとめる。また、多く使用される部品種のカセット式フィーダ26を部品認識用カメラ20による部品撮像位置の近くに配置する。このようにして、装着される電子部品L1〜L5の移動距離を短縮し、合算サイクルタイムの短縮化を図る。また、制御装置22はネットワーク78を介してホストコンピュータ28に接続されている。
【0040】
上記のように構成された電子部品装着装置4を使用して装着ヘッド14を最適化するように置換する手順について、図7のフローチャート等に基づいて以下に説明する。
まず、制御装置22は、装着ヘッド14の最適化をスタートさせる(ステップ100、以下「S100」と略記する。)。
【0041】
モジュールに分けられた全電子部品装着装置4の装着ヘッド14を、すべて汎用ヘッド36に仮置きする(S101)。これにより、装着能率は低いが、すべての部品が装着できる装着ヘッド14を各電子部品装着装置4に取り付けた状態とする。
【0042】
次に、例えばメイン基板とサブ基板とから1組となる複数組の基板に、それぞれL1、L2、L3、L4およびL5を装着して複数組の基板を12のモジュールの電子部品装着装置4で生産する場合には、制御装置22は、部品均等分配部72により、装着する電子部品L1〜L5の種類と数量を、電子部品装着装置4ごとに均等になるように配分する(S102)。例えば電子部品L1をモジュール1の電子部品装着装置4からモジュール12の電子部品装着装置4にできるだけ均等に順に配分し、電子部品L1が足りなくて配分できなかったところから続けて電子部品L2を配分する。同様にして電子部品L3から電子部品L5までを、モジュール1の電子部品装着装置4からモジュール12の電子部品装着装置4までにできるだけ均等に配分する。この場合、異なった電子部品装着装置4における第1搬送部8aで装着される部品同士或いは第2搬送部8bで装着される部品同士が不均等であってもよく、第1搬送部8aと第2搬送部8bとを合わせた電子部品装着装置4ごとに装着する電子部品の種類と数量とを均等に配分する。この場合に、例えば第1搬送部8aのサイクルタイムが長いときには第2搬送部8bのサイクルタイムを短くすることにより、次工程で求められる合算されたサイクルタイムでの均等化を図ることができ、従来のように1つの搬送部だけでサイクルタイムの均等化を図るよりも容易にサイクルタイムの均等化を図ることができる。このように、第1搬送部8aおよび第2搬送部8bを備えた電子部品装着装置4ごとに、装着する電子部品の種類と数量とを均等に配分することで、前記合算サイクルタイムが、各電子部品装着装置4の間で均等になるようにし、合算サイクルタイムが長い一部の電子部品装着装置4によって部品装着ライン全体のサイクルタイムが長くなることを防止し、全電子部品装着装置4を通じたサイクルタイムを短縮することを図る。
【0043】
次に、制御装置22は、演算部66により、ステップ102で配分された1枚の基板に部品を装着するのに必要な装着時間である第1搬送部8aにおけるサイクルタイムと第2搬送部8bにおけるサイクルタイムを電子部品装着装置4ごとに計算を開始する(S103)。
【0044】
次に、制御装置22は、合算サイクルタイム演算部70により、図8に示すように、第1搬送部8aのサイクルタイムと第2搬送部8bのサイクルタイムとを電子部品装着装置4ごとに合算する(S104)。
【0045】
次に、制御装置22は、合算したサイクルタイムの中で、数値の最も大きいもの(最大値)を、すべての電子部品装着装置4を通してのサイクルタイム(部品装着ライン2のサイクルタイム)とする(S105)。複数の基板6が連続して生産される場合には、合算したサイクルタイムが最大値である電子部品装着装置4の基板6に対する装着作業が終わるまで、同じ部品装着ライン2上に有る他の電子部品装着装置4は各自の装着作業が終わっても待つことになるため、結果として合算サイクルタイムの最大値が部品装着ライン2のサイクルタイムとなる。例えば、図8に示すように、第4番目のモジュールの電子部品装着装置4の合算サイクルタイム(38.73秒)が部品装着ライン2のサイクルタイムとなる。
【0046】
次に、制御装置22は、部品装着ライン2のサイクルタイムの最大値が短縮されたかを判断する(S106)。そして、部品装着ライン2のサイクルタイムの最大値が、短縮されたと判断した場合には、ステップ107に移行する。なお、初回の場合は、装着される部品種および部品数が均等化されることで部品装着ライン2のサイクルタイムが短縮されているので、ステップ107に移行する。
【0047】
制御装置22は、部品装着ライン2のサイクルタイムが短縮されている場合には、装着ヘッドが改善されたものとして、その場合のヘッド構成及び部品種の配分をベスト値として保存して記憶部64に記憶する(S107)。
【0048】
ステップ106において、部品装着ライン2のサイクルタイムが短縮されていないと判定された場合、及びステップ107においてベスト値が保存された場合、ステップ108に移行する。
【0049】
初回の場合には、比較する高速ヘッド32のサイクルタイムが演算されないので、ステップ109に移行する。
【0050】
次に、ステップ108において、制御装置22は、高速ヘッド32のサイクルタイムの最大値が、汎用ヘッド36のサイクルタイムの最大値よりも大きいか否かを判定する(S108)。例えば、図9において、高速ヘッド32に置換したモジュール1の電子部品装着装置4における合算サイクルタイムの最大値21.60秒と、汎用ヘッド36を備えたモジュール9の電子部品装着装置4の合算サイクルタイムに最大値17.64秒とを比較することで、高速ヘッド32の合算サイクルタイムの最大値が汎用ヘッド36の合算サイクルタイムの最大値よりも大きいと判定する。続いて、ステップ109に移行する。
【0051】
ステップ109において、制御装置2は、部品装着ライン2の先頭から(上流側から)順に汎用ヘッド36を高速ヘッド32に置換できる電子部品装着装置4のモジュールがあるか否かを判定する(S109)。装着が予定される部品が、置換される高速ヘッド32で装着可能であるか否かによって、汎用ヘッド36から高速ヘッド32への置換の可否を判定する。例えば、装着される部品がL4、L5だった場合には、高速ヘッド32で吸着ができないため、高速ヘッド32への置換ができないと判定される。
【0052】
ステップ109において、高速ヘッド32に置換できる電子部品装着装置4のモジュールが有ると判定された場合、ステップ110へ移行する。
【0053】
次に、制御装置22は、装着ヘッド種置換部74により、置換可能と判定された電子部品装着装置4の汎用ヘッド36をモジュール1の電子部品装着装置4から順に(上流側から)高速ヘッド32に置換する(S110)。
【0054】
次に、汎用ヘッド36から高速ヘッド32に置換された装着ヘッド14の新たな組み合わせにおいて、制御装置22は、部品均等分配部72により、装着する電子部品の種類(L1〜L5)と各数量を、電子部品装着装置4ごとに均等になるように配分することで最適化を実施する(S102)。そして、制御装置22は、合算サイクルタイム演算部70により、新たに均等に配分された電子部品L1〜L5での各モジュールの電子部品装着装置4ごとの合算サイクルタイムを算出する(S103)。以下同様にフローの手順を繰り返す(S102〜S110)。
【0055】
次に、図10に示すように、モジュール8まで高速ヘッド32に置換した場合について考える(S103〜S105)。
【0056】
そして、合算サイクルタイムの最大値23.47秒は、前回の合算サイクルタイムの最大値21.60秒より大きく、制御装置22は、部品装着ライン2のサイクルタイムは短縮されていないと判定する(S106)。
【0057】
次に、制御装置22は、ステップ107を経て、高速ヘッド32の合算サイクルタイム(18.14秒)が、汎用ヘッド36の合算サイクルタイム(23.47)より小さいと判定する(S108)。
【0058】
このように、汎用ヘッド36の合算サイクルタイムの最大値が、高速ヘッド32の合算サイクルタイムの最大値よりも大きいと判定された場合、置換されずに残っている汎用ヘッド36に、汎用ヘッド36でなければ装着できない大形の部品が集中し、汎用ヘッドを備えた電子部品装着装置4の作業時間が著しく長くなった状態である。そのため、ステップ111へ移行し、ステップ107で保存されていた図9に示されるベスト値は更新されず、処理を終了する(S111)。
【0059】
なお、ステップ108において高速ヘッド32の合算サイクルタイムが、汎用ヘッド36の合算サイクルタイムより大きいと判定された場合において、ステップ109において、高速ヘッドに置換できる電子部品装着装置4のモジュールがないと判定された場合、装着が予定される部品が、置換される高速ヘッド32では装着できない大形の部品(例えばL4,L5)或いは特殊形状の部品であるので、ステップ111に移行し、ステップ107で保存されてベスト値によるヘッド構成及び部品種の配分を更新しないで処理を終了する(S111)。
【実施例2】
【0060】
次に、本発明に係る複数のモジュールの電子部品装着装置を直列に並べた部品装着ラインの第2の実施形態について以下に説明する。使用される装置の構成については第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。
本実施形態は、第1の実施形態のフロー手順に連続して行なわれ、ステップ111の後工程として実施することができる。また、本実施形態における中速ヘッド34は、汎用ヘッド36に対しては、請求項3及び請求項4における高速ヘッドに相当するものである。
【0061】
制御装置22は、第1実施形態では置換されずに残った汎用ヘッド36を備えた電子部品装着装置4のモジュールにおいて、中速ヘッド34に置換が可能な電子部品装着装置4があるか否かを判定する(S201)。
【0062】
中速ヘッド34に置換可能な汎用ヘッド36を有するモジュールの電子部品装着装置4が有る場合、制御装置22は、上流側より汎用ヘッド32から中速ヘッド34に置換する(S202)。本実施形態においては、モジュール8の電子部品装着装置4から順に置換する。モジュール10の電子部品実装装置2が汎用ヘッド36から中速ヘッド34に置換された。汎用ヘッド36は、移動台12の図略の被係止部より取り外され、中速ヘッド34は、中速ヘッド34のヘッド本体56の背面に設けられた係止部56aを移動台12の図略の被係止部に係合させることで係止される。この作業は、図示しない装着ヘッド取外し装着機によって行なっても良く、オペレータによる手作業でおこなってもよい。この操作によって、部品装着ライン2には上流側から順に、高速ヘッドが取り付けられたモジュール1からモジュール7までの電子部品装着装置4、中速ヘッドが取り付けられたモジュール8の電子部品装着装置4及び汎用ヘッドが取り付けられたモジュール9からモジュール12の電子部品装着装置4が部品装着ライン2に並ぶ。
【0063】
そして次に、第1実施形態と同様に、電子部品L1〜L5の種類と数量とをモジュール1からモジュール12の電子部品装着装置4ごとに均等になるように配分する(S203)。これによって、装着作業量が各電子部品装着装置4の間で均等になるようにする。この場合、本実施形態においては、高速ヘッド32が設けられたモジュール1〜モジュール7の各電子部品装着装置4が装着する電子部品も、配分に入れることで、高速ヘッド32が設けられた電子部品装着装置4に配分される電子部品の数を減らしサイクルタイムを短縮化することを図る。
【0064】
次に、制御装置22は、一方側サイクルタイム(第1搬送部8aのサイクルタイム)と他方側サイクルタイム(第2搬送部8bのサイクルタイム)とを電子部品装着装置4ごとに計算を開始する(S204)。
【0065】
次に、制御装置22は、第1搬送部のサイクルタイムと第2搬送部のサイクルタイムとを電子部品装着装置4ごとに合算する(S205)。
【0066】
次に、制御装置22は、合算したサイクルタイムの中で、数値の最も大きいもの(最大値)を、すべての電子部品装着装置4を通してのサイクルタイム(部品装着ライン2のサイクルタイム)とする(S206)。
【0067】
次に、制御装置22は、部品装着ライン2のサイクルタイムの最大値が短縮されたかを判断する(S207)。部品装着ライン2のサイクルタイムの最大値が短縮されたと判定された場合は、ステップ208に移行する。
【0068】
制御装置22は、部品装着ライン2のサイクルタイムが短縮されている場合には、装着ヘッドが改善されたものとして、その場合のヘッド構成及び部品種の配分をベスト値として保存して記憶部64に記憶する(S208)。
【0069】
ステップ207において、部品装着ライン2のサイクルタイムが短縮されていないと判定された場合、及びステップ208においてベスト値が保存された場合、ステップ209に移行する。
【0070】
次に、制御装置22は、中速ヘッド34のサイクルタイムの最大値が、汎用ヘッド36のサイクルタイムの最大値よりも大きいか否かを判定する(S209)。
【0071】
制御装置22は、中速ヘッド34のサイクルタイムの最大値が、汎用ヘッド36のサイクルタイムの最大値よりも大きいと判定した場合には、ステップ201へ移行して、同様のフロー手順を繰り返す(S201〜S209)。
【0072】
そして、モジュール8からモジュール10の電子部品装着装置4を、汎用ヘッド36から中速ヘッド34に順に置換する(S202)。
【0073】
次に制御装置22は、装着する電子部品L1〜L5の種類と数量を、電子部品装着装置4ごとに均等になるように配分する(S203)。これによって、装着作業量が各電子部品装着装置4の間で均等になるようにする。
【0074】
次に、制御装置22は、第1搬送部8aのサイクルタイムと第2搬送部8bのサイクルタイムとを電子部品装着装置4ごとに計算を開始する(S204)。
【0075】
次に、制御装置22は、第1搬送部のサイクルタイムと第2搬送部のサイクルタイムとを電子部品装着装置4ごとに合算する(S205)。
【0076】
次に、制御装置22は、合算したサイクルタイムの中で、数値の最も大きいもの(最大値)を、すべての電子部品装着装置4を通してのサイクルタイム(部品装着ライン2のサイクルタイム)とする(S206)。例えば、図12に示すように、合算サイクルタイムの最大値が、19.21秒と求められた。
【0077】
次に、制御装置22は、部品装着ライン2のサイクルタイムの最大値が短縮されたかを判断する(S206)。モジュール10を中速ヘッド34に置換する前の合算サイクルタイムの最大値(図略)と比較して、部品装着ライン2のサイクルタイムの最大値が短縮されたと判断して、ステップ208に移行する。
【0078】
制御装置22は、部品装着ライン2のサイクルタイムが短縮されている場合には、装着ヘッドが改善されたものとして、その場合のヘッド構成及び部品種の配分をベスト値として保存して記憶する(S208)。
【0079】
次に、制御装置22は、中速ヘッド34のサイクルタイムの最大値が、汎用ヘッド36のサイクルタイムの最大値よりも大きいか否かを判定する(S209)。
【0080】
例えば、図12に示すように、制御装置22は、中速ヘッド34のサイクルタイムの最大値(18.07秒)が、汎用ヘッド36のサイクルタイムの最大値(14.71秒)よりも大きいと判定し、ステップ201へ移行する。
【0081】
制御装置2は、上流側(先頭)から変更可能な汎用ヘッド36のモジュールの電子部品装着装置4が有るか否かを判定する(S201)。本実施形態では変更可能な汎用ヘッド36のモジュールの電子部品装着装置4が有ると判定してステップ202へ移行する。
【0082】
次に、変更可能なモジュールの電子部品装着装置4の汎用ヘッド36を中速ヘッド34に置換する(S202)。
【0083】
次に、ステップ203に移行して、同様に、電子部品L1〜L5の種類と数量とをモジュール1からモジュール12の電子部品装着装置4ごとに均等になるように配分する(S203)。
【0084】
同様にサイクルタイムの計算をスタートさせ(S204)、各モジュールの電子部品装着装置4ごとの合算サイクルタイムを算出する(S205)。そして、合算サイクルタイムの最大値を部品装着ライン2のサイクルタイムとする(S206)。この場合、図13に示すように、モジュール12におけるサイクルタイム29.33秒が部品装着ライン2のサイクルタイムとなる。
【0085】
そして、ステップ207に移行し、制御装置22は、部品装着ライン2のサイクルタイムが短縮されたかを判断する。この場合、部品装着ライン2のサイクルタイムは、図12に示すように、モジュール11を中速ヘッド34に置換する前の部品装着ライン2のサイクルタイム19.21秒より大きくなっており、制御装置22は短縮されていないと判定してステップ209へ移行する。
【0086】
ステップ209において、制御装置22は、中速ヘッド34のサイクルタイムの最大値が、汎用ヘッド36のサイクルタイムの最大値よりも大きいか否かを判定する。この場合中速ヘッド34のサイクルタイムの最大値(16.29秒)は、汎用ヘッド36のサイクルタイムの最大値(29.33秒)よりも小さいと判定される。この場合も、置換されずに残っている汎用ヘッド36に、汎用ヘッド36でなければ装着できない大形の部品が集中し、汎用ヘッド36を備えた電子部品装着装置4の作業時間が著しく長くなった状態である。そのため、ステップ210へ移行し、ステップ208で保存されてベスト値(図12に示す値)によるヘッド構成及び部品種の配分を更新しないで処理を終了する。
【0087】
上記のように構成された複数のモジュールを直列に並べた電子部品装着装置4によると、部品装着位置Aに位置決めされ搬送される2種類の基板6について、一方の基板6に部品L1〜L5を装着する第1搬送部8aのサイクルタイムと他方の基板6に部品L1〜L5を装着する第2搬送部8bのサイクルタイムとを部品装着装置4ごとに合算することで、1台の電子部品装着装置4において2種類の基板6に部品L1〜L5を装着させるのに必要とされる合算サイクルタイムを算出する。そして、電子部品装着装置4ごとに分配する電子部品L1〜L5の部品種及び部品数を均等に分配することで合算サイクルタイムを均等化する。この場合に、例えば、第1搬送部8aのサイクルタイムが長いときには第2搬送部8bのサイクルタイムを短くすることにより、合算されたサイクルタイムでの均等化を図ることができ、従来のように1つの搬送部だけでサイクルタイムの均等化を図るよりも容易にサイクルタイムの均等化を図ることができる。このような合算サイクルタイムの均等化により、部品装着ライン2のサイクルタイムの短縮に障害となる一部の電子部品装着装置4の突出した合算サイクルタイムをなくすことで、部品装着ライン全体の生産効率を向上させることができる。
【0088】
また、各電子部品装着装置4の各部品移載装置16は、装着可能な部品種が多く装着能率の低い汎用ヘッド36と装着可能な部品種が少なく装着能率が高い高速ヘッド32(或いは中速ヘッド34)とが選択的に取付可能であるので、装着ヘッド種置換部74により汎用ヘッド36を高速ヘッド32に置換えることで、各電子部品装着装置4を通じての合算サイクルタイムを短縮することができる。また、基板6毎に装着される部品の種類、点数は異なるので、最も効率よく生産できる装着ヘッド構成は基板6毎に異なる。よって、装着ヘッド選択可能な部品装着装置が並んだ生産ラインにおいては、各々の搬送装置に搬送された基板6に対して個別に装着ヘッドを選択すると、一方が効率よく分配できたとしても他方は効率悪くなってしまう。本実施形態に係る発明によると、2つの基板6の合算サイクルタイムが短縮される装着ヘッド(高速ヘッド32或いは中速ヘッド34)を選ぶので、全体として最適なヘッドを選択できる。
【0089】
また、部品装着ライン2の生産効率は、2種類の基板6を1組として複数の基板6を連続して生産する場合に他の電子部品装着装置4に待ち時間を生じさせる電子部品装着装置4、即ち合算サイクルタイムが最大値となっている電子部品装着装置4に制約される。一方、高速ヘッド32が使用できる小形の部品L1,L2,L3は、大形の部品L4,L5よりも先に基板に装着しなければ装着できない場合がある(或いは中速ヘッド34が使用できる小形の部品L3,L4はより大形の部品L5よりも先に基板に装着しなければ装着できない場合がある)。そのため、この合算サイクルタイムの最大値を減少させるため、上流側の電子部品装着装置4から順番に汎用ヘッド36から高速ヘッド32(或いは中速ヘッド34)に置換えることで、部品装着ライン2の生産効率を向上させることができる。
【0090】
また、装着速度の遅い汎用ヘッド36を装着速度の速い高速ヘッド32(或いは中速ヘッド34)に可能な限り置換えることで生産効率が向上する。しかし、高速ヘッド32(或いは中速ヘッド34)が使用できない大形の部品L4,L5(中速ヘッド34では大形の部品L5)や特殊形状の部品が、速度の遅い残りの汎用ヘッド36に数多く集中すると汎用ヘッド36における合算サイクルタイムの値が大きくなり、部品装着ライン2の生産効率が悪くなる。
【0091】
そのため、装着ヘッド種置換部74は、置換え後の高速ヘッド32(或いは中速ヘッド34)の合算サイクルタイムの最大値と置換えられずに残っている汎用ヘッド36の合算サイクルタイムの最大値とを比較し、汎用ヘッド36における合算サイクルタイムの値が大きくなった場合が、高速ヘッド32(或いは中速ヘッド34)が使用できない部品が、汎用ヘッド36に数多く集中した場合であるとして検出する。
【0092】
そして、汎用ヘッド36の合算サイクルタイムの最大値が、高速ヘッド32(或いは中速ヘッド34)の合算サイクルタイムの最大値を越える直前の状態まで汎用ヘッド36から高速ヘッド32(或いは中速ヘッド34)に交換することで、高速ヘッド32(或いは中速ヘッド34)に置換えることによる装着能率の向上を図るとともに、高速ヘッド32(或いは中速ヘッド34)で使用できない部品が汎用ヘッド36に数多く集中することによる生産効率の低下を防止することで、部品装着ライン2の合算サイクルタイムを効率的に短縮化することができる。
【0093】
また、部品種配列決定部76により、例えば、2種類の基板6の組み合わせごとに、装着させる部品種を部品収容装置(カセット式フィーダ)26における位置をまとめたり、多く使用される部品種ほど部品撮像位置の近くに配置したりすることで、さらに部品装着ライン2の合算サイクルタイムを短縮することができる。
【0094】
なお、上記実施形態において、各電子部品装着装置4において、装着ヘッド14は1つのものとしたが、これに限定されず、例えば、同じ基板の装着に使用されるものであれば、装着ヘッドが2つのものでもよい。
【0095】
また、2種類の基板の組合せを、メイン基板とサブ基板との組合せとしたが、これに限定されず、例えば表側を装着する基板とその同じ基板種の基板であって裏側を装着する基板との組合せでもよいし、他の特に関連しない2種類の基板種の組合せであっても良い。
【0096】
また、高速ヘッド、中速ヘッドおよび汎用ヘッドの3種の装着ヘッドによるものとしたが、これに限定されず、例えば超高速ヘッド、高速ヘッド、中速ヘッド、汎用ヘッドなどの4種類或いはこれ以上の種類の装着ヘッドによるものでもよい。
【0097】
また、装着に使用される電子部品をL1〜L5までの5種類の部品としたが、これに限定されず、例えば6種類以上でもよく、4種類以下のものでもよい。
【0098】
また、汎用ヘッドは小形の電子部品L1から大形の電子部品L5までのすべての吸着に使用できるものとしたが、これに限定されず、例えば、一番小形のL1は吸着できず、L2〜L5までの吸着に使用できるものでもよい。この場合、小形の電子部品L1を吸着する高速ヘッドを上流側の幾つかのモジュールの電子部品装着装置に配置し、それ以外のすべてのモジュールの電子部品装着装置について、汎用ヘッドを仮置きさせるところから始めるものでもよい。
【0099】
斯様に、上記した実施の形態で述べた具体的構成は、本発明の一例を示したものにすぎず、本発明はそのような具体的構成に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の態様を採り得るものである。
【符号の説明】
【0100】
2…部品装着ライン、4…電子部品装着装置、6…基板、8…基板搬送装置、10…部品供給装置、14…装着ヘッド、16…部品移載装置、22…制御装置、32…高速ヘッド、34…中速ヘッド、36…汎用ヘッド、70…合算サイクルタイム演算部、72…部品均等分配部、74…装着ヘッド種置換部、76…部品種配列決定部、A…部品装着位置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平行に一対設けられ基板を部品装着位置に搬入出する基板搬送装置と、複数の部品を収容する部品収容装置を複数個着脱可能にセットする部品供給装置と、前記部品供給装置の前記部品収容装置から前記部品を採取して位置決めされた前記基板に装着する装着ヘッドおよび前記装着ヘッドを駆動するヘッド駆動機構を有する部品移載装置とを備える部品装着装置が複数台直列に配置された部品装着ラインであって、
前記一対の基板搬送装置は、互いに異なった2種類の基板を前記各部品装着装置の部品装着位置に位置決めし搬入出可能とされており、
前記2種類の基板のうち一方の基板に部品を装着する一方側サイクルタイムと、前記2種類の基板のうち他方の基板に部品を装着する他方側サイクルタイムとを部品装着装置ごとに演算して合算サイクルタイムとする合算サイクルタイム演算部と、
前記合算サイクルタイムが部品装着装置間で均等化されるように前記一対の基板に装着する部品を前記部品装着装置ごとに分配する部品均等分配部と、
を備えていることを特徴とする部品装着ライン。
【請求項2】
請求項1において、前記複数台の各部品装着装置の各部品移載装置は、装着可能な部品種が多く装着能率が低い汎用ヘッド、および装着可能な部品種が少なく装着能率が高い高速ヘッドを含む複数種類の装着ヘッドを選択的に取付可能であり、
前記合算サイクルタイムが、前記複数台の部品装着装置の各々を通じて短縮するよう前記装着ヘッドの種類を置換える装着ヘッド種置換部をさらに備えることを特徴とする部品装着ライン。
【請求項3】
請求項2において、前記装着ヘッド種置換部は、前記各部品装着装置の部品移載装置の装着ヘッドの種類をすべて前記汎用ヘッドに仮置きし、ついで、前記合算サイクルタイムのうちの最大値を減少させるよう前記基板搬送装置の上流側の部品装着装置から順番に前記汎用ヘッドから前記高速ヘッドへと装着ヘッドの種類を置換えることを特徴とする部品装着ライン。
【請求項4】
請求項3において、前記合算サイクルタイム演算部は、高速ヘッドに置換えられた各部品装着装置で前記2種類の基板に部品を装着する各高速ヘッド側合算サイクルタイムと、前記高速ヘッドに置き換えられずに汎用ヘッドのままの各部品装着装置で前記2種類の基板に部品を装着する各汎用ヘッド側合算サイクルタイムとを演算し、
前記装着ヘッド種置換部は、前記合算サイクルタイム演算部において演算された前記高速ヘッド側合算サイクルタイムと前記汎用ヘッド側合算サイクルタイムとを比較し、前記汎用ヘッド側合算サイクルタイムの最大値が前記高速ヘッド側合算サイクルタイムの最大値を越える直前に、前記高速ヘッドへの置換えを停止させる
ことを特徴とする部品装着ライン。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項において、前記各部品装着装置の部品供給装置における複数の部品収容装置の部品種の配列順序は前記2種類の基板の組合せごとに変更可能であり、
前記2種類の基板の組合せごとに前記部品種の配列順序を決定する部品種配列決定部をさらに有していることを特徴とする部品装着ライン。
【請求項1】
平行に一対設けられ基板を部品装着位置に搬入出する基板搬送装置と、複数の部品を収容する部品収容装置を複数個着脱可能にセットする部品供給装置と、前記部品供給装置の前記部品収容装置から前記部品を採取して位置決めされた前記基板に装着する装着ヘッドおよび前記装着ヘッドを駆動するヘッド駆動機構を有する部品移載装置とを備える部品装着装置が複数台直列に配置された部品装着ラインであって、
前記一対の基板搬送装置は、互いに異なった2種類の基板を前記各部品装着装置の部品装着位置に位置決めし搬入出可能とされており、
前記2種類の基板のうち一方の基板に部品を装着する一方側サイクルタイムと、前記2種類の基板のうち他方の基板に部品を装着する他方側サイクルタイムとを部品装着装置ごとに演算して合算サイクルタイムとする合算サイクルタイム演算部と、
前記合算サイクルタイムが部品装着装置間で均等化されるように前記一対の基板に装着する部品を前記部品装着装置ごとに分配する部品均等分配部と、
を備えていることを特徴とする部品装着ライン。
【請求項2】
請求項1において、前記複数台の各部品装着装置の各部品移載装置は、装着可能な部品種が多く装着能率が低い汎用ヘッド、および装着可能な部品種が少なく装着能率が高い高速ヘッドを含む複数種類の装着ヘッドを選択的に取付可能であり、
前記合算サイクルタイムが、前記複数台の部品装着装置の各々を通じて短縮するよう前記装着ヘッドの種類を置換える装着ヘッド種置換部をさらに備えることを特徴とする部品装着ライン。
【請求項3】
請求項2において、前記装着ヘッド種置換部は、前記各部品装着装置の部品移載装置の装着ヘッドの種類をすべて前記汎用ヘッドに仮置きし、ついで、前記合算サイクルタイムのうちの最大値を減少させるよう前記基板搬送装置の上流側の部品装着装置から順番に前記汎用ヘッドから前記高速ヘッドへと装着ヘッドの種類を置換えることを特徴とする部品装着ライン。
【請求項4】
請求項3において、前記合算サイクルタイム演算部は、高速ヘッドに置換えられた各部品装着装置で前記2種類の基板に部品を装着する各高速ヘッド側合算サイクルタイムと、前記高速ヘッドに置き換えられずに汎用ヘッドのままの各部品装着装置で前記2種類の基板に部品を装着する各汎用ヘッド側合算サイクルタイムとを演算し、
前記装着ヘッド種置換部は、前記合算サイクルタイム演算部において演算された前記高速ヘッド側合算サイクルタイムと前記汎用ヘッド側合算サイクルタイムとを比較し、前記汎用ヘッド側合算サイクルタイムの最大値が前記高速ヘッド側合算サイクルタイムの最大値を越える直前に、前記高速ヘッドへの置換えを停止させる
ことを特徴とする部品装着ライン。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項において、前記各部品装着装置の部品供給装置における複数の部品収容装置の部品種の配列順序は前記2種類の基板の組合せごとに変更可能であり、
前記2種類の基板の組合せごとに前記部品種の配列順序を決定する部品種配列決定部をさらに有していることを特徴とする部品装着ライン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−110371(P2013−110371A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−256664(P2011−256664)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000237271)富士機械製造株式会社 (775)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000237271)富士機械製造株式会社 (775)
【Fターム(参考)】
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