説明

配管の接合構造及び海水淡水化装置

【課題】内部に塩水が通る配管であっても、耐圧性を有すると共に、その接合部等に隙間腐食をはじめとする腐食が発生することを抑止することができる配管の接合構造を提供する。
【解決手段】内部に塩水が通る配管1の端部に形成されたフランジ2同士を、環状のガスケット3を介して接合した配管の接合構造であって、配管1のうち少なくとも一方の配管1が、少なくとも内面及びフランジ2面が樹脂4で被覆されたライニング管1aであると共に、ガスケット3は、断面U字形で開口部が内周側を向いた圧縮弾性を有するゴム製の環状本体3aと、環状本体3aの外周側に固着された肉厚が薄い板状の補強外輪部3bとから構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管の内部に海水やその濃縮水などの塩水が流れる海水淡水化装置、或いは発電所復水器等における配管の接合部の構造と、その配管の接合部を有する海水淡水化装置、特に、内部に海水やその濃縮水などの塩水が流れる配管の端部に形成されたフランジ同士を、環状のガスケットを介して突き合わせて接合してなる配管の接合構造及び海水淡水化装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から配管の内部に海水やその濃縮水などの塩水が流れる海水淡水化装置、或いは発電所復水器等の配管にあっては、内部に真水等の流体が流れる配管と比べて、Clイオンの影響で配管内に腐食が発生すること、特にノズルを含む配管の接合部に隙間腐食が発生することが頻繁にあり、その腐食の拡大による漏水が大きな問題となっていた。
【0003】
その対策として、配管の材料として、SUS304、SUS316、SUS316L、SUS317、SUS317L等の耐食性と十分な強度を兼ね備えたステンレス鋼が用いられることが多く、また、接合される配管の一方がノズルの場合は、腐食の発生を防止するために錆びることがない硬質塩化樹脂がノズルの材料として用いられることもごく一部であった。
【0004】
配管の材料として耐食性を有するステンレス鋼を採用した場合は、配管の腐食抑止に一定の効果はあるものの、配管の内部に高濃度の塩水を流せば配管の内部に腐食が発生することがあり、特に配管の接合部における隙間腐食の発生は顕著であった。また、配管の材料として硬質塩化樹脂を採用した場合は、錆による腐食の発生の懸念はなくなるものの、樹脂配管は金属配管との接合が不十分であるため、変形、破損等による漏水の発生が懸念される。また、樹脂配管は、耐圧性が不十分であるため、耐圧性が要求される逆浸透膜を用いた海水淡水化装置には用いることができない。
【0005】
以上の対策として、配管の端部にフランジを形成し、接合される配管の端部のフランジ同士を、ガスケットや乾式や湿式のシーリング材を介して接合することや、配管を内面が樹脂で被覆されたライニング管とすることがあった。
【0006】
接合される配管の端部のフランジ同士を、ガスケットやシーリング材を介して接合する場合の一例として、特許文献1や特許文献2に記載のうず巻き形ガスケットと呼ばれるガスケットや、特許文献3記載のシーリング材を介して接合する技術が提案されている。
【0007】
しかしながら、特許文献1や特許文献2に記載のうず巻き形ガスケットの本体は、断面がV字形の薄い金属製フィラー材と、フッ素樹脂や黒鉛、雲母等でなる薄いフープ材を、積層して形成されており、このうず巻き形ガスケットを採用した実際の現場では、錆の堆積によって、薄いフープ材が切れることがあり、その結果、隙間腐食が拡大して漏水が発生するという問題が実際に発生している。また、特許文献3に記載のシーリング材は、ゴム質基材や高分子物質をもとに形成されているだけで、その強度は十分ではなく、同様に錆の堆積による隙間腐食の拡大や振動の発生により、漏水が発生することが懸念され、その漏水の発生を確実に防止することはできない。
【0008】
また、内面等が樹脂で被覆されたライニング管の一例として、例えば、特許文献4記載の被覆管が提案されており、その特許文献4には、管の内面を樹脂で密着被覆する方法も記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2006−125608号公報
【特許文献2】特開2007−127178号公報
【特許文献3】特開平9−13008号公報
【特許文献4】特開平7−180793号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記従来の問題を解決せんとしてなされたもので、内部に塩水が通り塩水の圧力がかかる配管であっても、塩水の圧力に対して耐圧性を有すると共に、その接合部等に隙間腐食をはじめとする腐食が発生することを抑止することができ、配管の接合部等から漏水が発生することがなく、海水淡水化装置、発電所復水器等の配管の内部に塩水が流れる装置を長期間に亘り安定して使用することができる配管の接合構造、及びその配管の接合部を有する海水淡水化装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1記載の発明は、内部に塩水が通る配管の端部に形成されたフランジ同士を、環状のガスケットを介して突き合わせて接合してなる配管の接合構造であって、接合される前記配管のうち少なくとも一方の配管が、少なくともその内面及びフランジ面が樹脂で被覆されたライニング管であると共に、前記ガスケットは、断面U字形でその開口部が内周側を向いた圧縮弾性を有するゴム製の環状本体と、その環状本体の外周側に固着された、前記環状本体より肉厚が薄い板状の補強外輪部とから構成されていることを特徴とする配管の接合構造である。
【0012】
請求項2記載の発明は、前記ガスケットの補強外輪部は、耐食性を有するステンレス鋼で形成されていることを特徴とする請求項1記載の配管の接合構造である。
【0013】
請求項3記載の発明は、前記配管は、海水淡水化装置の供給水或いは濃縮水が通る部位を構成する配管であることを特徴とする請求項1または2記載の配管の接合構造である。
【0014】
請求項4記載の発明は、逆浸透膜モジュールを用いた海水淡水化装置であって、請求項1乃至3のいずれかに記載の配管の接合構造を有することを特徴とする海水淡水化装置である。
【発明の効果】
【0015】
本発明の請求項1記載の配管の接合構造によると、配管のうち少なくとも一方の配管が、その内面及びフランジ面が樹脂で被覆されたライニング管であると共に、接合部からの漏水を防止するガスケットが、圧縮弾性を有する肉厚が厚いゴム製の環状本体と補強外輪部で構成されているため、内部に塩水が通り塩水の圧力がかかる配管であっても、塩水の圧力に対して耐圧性を有すると共に、その接合部等に隙間腐食をはじめとする腐食が発生することを抑止することができ、その結果、配管の接合部等からの漏水が発生することがなく、海水淡水化装置、発電所復水器等の配管の内部に塩水が流れる装置を長期間に亘り安定して使用することができる。
【0016】
本発明の請求項2記載の配管の接合構造によると、ガスケットの補強外輪部が、耐食性を有するステンレス鋼で形成されているので、配管の接合部に、補強外輪部の錆の発生を原因とする隙間腐食が発生することはない。
【0017】
本発明の請求項3記載の配管の接合構造によると、高濃度の塩分を含む海水やその濃縮水が通る配管であっても、その腐食を原因とする漏水が発生することを防止することができる。
【0018】
本発明の請求項4記載の海水淡水化装置によると、配管の接合部等に隙間腐食をはじめとする腐食が発生することを抑止することができ、その結果、配管の接合部等からの漏水が発生することを抑止することができ、長期間に亘り安定して使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態の配管の接合構造を示す縦断面図である。
【図2】同実施形態の配管の接合構造に用いられるガスケットを示す平面図である。
【図3】図2に示すガスケットのA−A線断面図である。
【図4】本発明の配管の接合構造が適用される海水淡水化装置を示す正面図である。
【図5】本発明の配管の接合構造が適用される海水淡水化装置を示す背面図である。
【図6】本発明の配管の接合構造が適用される海水淡水化装置を示す平面図である。
【図7】海水淡水化装置における逆浸透膜モジュールの取り付け状態を示す平面図である。
【図8】海水淡水化装置における逆浸透膜モジュールの取り付け状態を示す正面図である。
【図9】海水淡水化装置における逆浸透膜モジュールの取り付け状態を示す背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて更に詳細に説明する。
【0021】
図1は本発明の一実施形態の配管の接合構造を、図2および図3は同実施形態の配管の接合構造に用いられるガスケットを夫々示す。また、図4〜図6は本発明の配管の接合構造が適用される一例の海水淡水化装置を示し、図7〜図9は海水淡水化装置の逆浸透膜モジュールの取り付け状態を示す。
【0022】
図1に示すように本発明の配管の接合構造は、例えば、図4〜図6に示すような海水淡水化装置の内部に塩水が通る配管1,1の端部に形成されたフランジ2,2同士を、環状のガスケット3を介して突き合わせてボルト接合等で接合して構成される。尚、この図1に示す配管1の接合部は、例えば、図4の点線の○で囲んだAの位置である。また、配管1は、SUS304、SUS316、SUS316L、SUS317、SUS317L等の耐食性と十分な強度を兼ね備えたステンレス鋼等で形成されている。
【0023】
図1に示す左右の配管1,1の端部は同一形状であり、その配管1の内面はナイロン、フッ素樹脂、ポリエチレン等の熱可塑性を有する樹脂4で被覆されている。このように、配管1の内面を樹脂4で被覆してライニング管1aとするには、ナイロン、フッ素樹脂、ポリエチレン等の熱可塑性を有する樹脂チューブをその長さ方向に引き伸ばした状態で配管1内に挿通し、樹脂チューブの両端部を配管1の外表面に沿って折り返して、その樹脂チューブの両端部を接着剤等で固着し、引き伸ばしを緩めるという方法等で作製することが可能である。このような方法でライニング管1aを作製すれば、樹脂チューブは確実に配管1の内面に密着し、配管1の内面を樹脂4で容易に被覆することができる。尚、配管1は内面に加えて外面も樹脂4で被覆されていても良い。
【0024】
また、接合される左右の配管1,1のうち、内面が樹脂4で被覆されたライニング管1aであるのは、図1に示すように、両方の配管1,1であることが水密性を確保して配管1の腐食の発生を減らすことができる意味で好ましいが、一方の配管1がライニング管1aであれば作用効果を奏することができるので、少なくとも一方の配管1がライニング管1aであれば良い。また、配管1の内面のほかフランジ2も樹脂4で被覆されており、配管1,1の接合部に隙間腐食が発生することを更に確実に抑止している。
【0025】
尚、本明細書において説明する配管1とは、単なる管状の配管1のことだけを意味するのではなく、管状のノズル1bを含めて配管1として説明する。例えば、図7の点線の○で囲んだBの位置における配管1を構成するノズル1bに、単なる管状の通常の配管1を接合する場合、腐食を発生する可能性がより高いノズル1bの側のみを、内面が樹脂4で被覆されたライニング管1aとしても良い。また、ノズル1bの先端部は、配管1の接合部となるため、他の部位より腐食が発生する可能性が高くなる。従って、そのノズル1bの先端部のみをYUS270(20Cr−18Ni−6Mo−0.2Ni)等のスーパーオーステナイトステンレス鋼で形成しておけば、より確実に腐食の発生を抑止することができる。尚、図4〜図6に示す図面では、ノズル1bと通常の配管1の接合部のフランジ2は、図面の大きさに比べ微細な部位であるためその図示を略しているが、図7〜図9に示すようにフランジ2は存在する。
【0026】
環状のガスケット3は、図2および図3に示すように、断面U字形で、その開口部が内周側(中心側)を向いた圧縮弾性を有するEPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)等のゴム製の肉厚が厚い環状本体3aと、その環状本体の外周側に固着された、環状本体3aより肉厚が薄い板状の補強外輪部3bとから構成されている。尚、補強外輪部3bは、配管1と同一の材質、例えば、SUS304、SUS316、SUS316L、SUS317、SUS317L等の耐食性と十分な強度を兼ね備えたステンレス鋼等で形成されていることが好ましい。
【0027】
このガスケット3が、内部に塩水が通る配管1,1の端部に形成されたフランジ2,2同士で挟み込まれるようにして、図1に示す左右の配管1,1は接合されるが、ガスケット3はフランジ2,2同士で挟み込まれるため、圧縮弾性を有するゴム製の肉厚が厚い環状本体3aは、その両側のフランジ2,2で圧縮され密封作用(水密作用)を発現する。一方、補強外輪部3bもフランジ2同士で挟み込まれるため、二次的な密封作用を発現するが、環状本体3aが押し潰されることを防止するという主としてガスケット3の補強の役割をなす。断面U字形の環状本体3aは、その両側の外表面が両側のフランジ2に押圧されることにより密封作用を発現するが、配管1内を流れる塩水が、配管1の接合部である両側のフランジ2,2の間に流れ込もうとすると、その水圧で断面U字形の環状本体3aの開口部が拡開して、その両側の外表面が両側のフランジ2に更に強固な力で圧接し、両側のフランジ2,2の間に塩水が流れ込むことを確実に阻止する。
【0028】
図1に示すように、配管1の端部にはフランジ2が形成されている。図1に示す実施形態では、フランジ2は、配管1と同じ材質でなり、配管1の端部に溶接した管状で断面が略L字状の部材で形成されており、そのフランジ2の外周側には接合孔2aが穿設されている。図1に示す左右の配管1,1は、フランジ2の接合孔2aより内周側の対向する端面でガスケット3を挟み込んだ状態で、接合孔2aにボルト(図示せず)を通して螺合することで接合される。
【0029】
以上説明したように、配管1,1のフランジ2,2同士はガスケット3を挟み込んだ状態で接合されるため、配管1の内部に通る塩水が、ガスケット3によって配管1の接合部に入り込むことを阻止され、塩水がその接合部で滞留することで隙間腐食を発生するという現象が発生することを確実に抑止することができる。
【0030】
本発明の配管の接合構造は、例えば、図4〜図6に示す海水淡水化装置の、内部に塩水が通る配管1,1の夫々の端部に形成されたフランジ2,2同士を、環状のガスケット3を介して突き合わせてボルト接合等で接合することで構成されるが、次に、本発明の配管の接合構造が適用される海水淡水化装置の全体構成を、図4〜図6に基づいて詳細に説明する。尚、以下の説明では海水淡水化装置の構成について説明するが、本発明は、海水淡水化装置のほか、塩水を配管内に通す発電所復水器等の他の塩水を配管内に通す装置にも適用できることは勿論である。
【0031】
海水淡水化装置は、中空糸型、スパイラル型等の逆浸透膜(RO)モジュール5により海水を淡水化する装置であって、略面対称になった左右二体のユニットから構成されている。また、逆浸透膜モジュール5は、一つの海水淡水化装置の中に数十本単位で数多く設けられている。海水淡水化装置は、この逆浸透膜モジュール5と、高圧RO供給水ヘッダ管6、高圧RO透過水ヘッダ管7、高圧RO濃縮水ヘッダ管8、高圧RO供給水マニホルド管9、高圧RO透過水マニホルド管10、高圧RO濃縮水マニホルド管11等の配管1を組み立てて構成されている。
【0032】
海水淡水化装置の正面側には、左右一対の高圧RO供給水ヘッダ管6,6と左右一対の高圧RO透過水ヘッダ管7,7が夫々左右に、例えば10m以上の間隔を隔てて垂直に立設しており、また、その背面側には、左右一対の高圧RO透過水ヘッダ管7,7と左右一対の高圧RO濃縮水ヘッダ管8,8が夫々左右に、例えば10m以上の間隔を隔てて垂直に立設している。一本の高圧RO供給水ヘッダ管6と、二本の高圧RO透過水ヘッダ管7,7、および一本の高圧RO濃縮水ヘッダ管8は略直線状に並び、正面側から見るとこれらの配管1は重なり合うため、これら配管1の中で最も正面側に配置された最も大径の高圧RO供給水ヘッダ管6しか確認することができない。
【0033】
海水淡水化装置の正面側の左右の高圧RO供給水ヘッダ管6,6の間には、上下に間隔を開けて水平に設けられた複数本(本実施形態では四本)の高圧RO供給水マニホルド管9,9…が架設されるようにして設けられている。また、海水淡水化装置の正面側、背面側ともに左右の高圧RO透過水ヘッダ管7,7の間には、正面側、背面側ともに、上下に間隔を開けて水平に設けられた複数本(本実施形態では三本)の高圧RO透過水マニホルド管10,10…が架設されるようにして設けられている。更には、海水淡水化装置の背面側の左右の高圧RO濃縮水ヘッダ管8,8の間には、上下に間隔を開けて水平に設けられた複数本(本実施形態では六本)の高圧RO濃縮水マニホルド管11,11…が架設されるようにして設けられている。
【0034】
これら一直線状に並んだ、高圧RO供給水マニホルド管9,9、高圧RO透過水マニホルド管10,10、および高圧RO濃縮水マニホルド管11,11は、夫々5m以上で、その総延長は10m以上と長尺であり、片持ちでの支持では安定しないため、左右二体のユニットの一直線状に並んだ配管1,1(各マニホルド管)は接合されている。これら高圧RO供給水マニホルド管9と高圧RO濃縮水マニホルド管11の中には、海水やその濃縮水等の塩水が通るので、その接合部には本発明の配管の接合構造が適用される。
【0035】
また、高圧RO供給水ヘッダ管6と高圧RO供給水マニホルド管9の接合部、高圧RO濃縮水ヘッダ管8と高圧RO濃縮水マニホルド管11の接合部にも、内部に海水やその濃縮水等の塩水が通るので、本発明の配管の接合構造が適用される。
【0036】
また、図7〜図9に示すように、逆浸透膜モジュール5には、供給水(海水)が供給される一本のノズル1b、濃縮水(非透過水)が排水される一本のノズル1b、透過水が排水される二本のノズル1bが夫々設けられており、これらのノズル1bが、高圧RO供給水マニホルド管9、高圧RO透過水マニホルド管10、および高圧RO濃縮水マニホルド管11に夫々小径の配管1を介して接合されて連通している。高圧RO供給水マニホルド管9と高圧RO濃縮水マニホルド管11の中には、海水やその濃縮水等の塩水が通るので、その接合部にも本発明の配管の接合構造が適用される。
【0037】
次に、以上説明した海水淡水化装置を用いて海水を淡水化する方法について説明する。
【0038】
図4に示すように、海域から海水を取水し、MF膜ろ過装置等のろ過装置(図示せず)にて懸濁物質を除去した後、高圧ポンプ12により供給水配管13を介して高圧RO供給水ヘッダ管6に供給された海水は、分岐した複数本の高圧RO供給水マニホルド管9の中に入り、高圧RO供給水マニホルド管9から小径の配管1を通って逆浸透膜モジュール5の中に供給される。その供給された海水は、逆浸透膜モジュール5で逆浸透膜(分離膜)により塩分が除去された透過水と塩分を含む濃縮水に分離される。淡水化された透過水は透過水用のノズル1bから高圧RO透過水マニホルド管10に流入し、更に、高圧RO透過水マニホルド管10から高圧RO透過水ヘッダ管7へ達し、その高圧RO透過水ヘッダ管7から取り出された透過水は、飲料水等の用途に適宜利用される。一方、塩分を多く含んだ濃縮水は濃縮水用のノズル1bから高圧RO濃縮水マニホルド管11に流入し、高圧RO濃縮水マニホルド管11から高圧RO濃縮水ヘッダ管8へ達し、図5に示すように、高圧RO濃縮水ヘッダ管8から濃縮水配管14を通り、排水或いは再利用される。
【符号の説明】
【0039】
1…配管
1a…ライニング管
1b…ノズル
2…フランジ
2a…接合孔
3…ガスケット
3a…環状本体
3b…補強外輪部
4…樹脂
5…逆浸透膜モジュール
6…高圧RO供給水ヘッダ管
7…高圧RO透過水ヘッダ管
8…高圧RO濃縮水ヘッダ管
9…高圧RO供給水マニホルド管
10…高圧RO透過水マニホルド管
11…高圧RO濃縮水マニホルド管
12…高圧ポンプ
13…供給水配管
14…濃縮水配管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に塩水が通る配管の端部に形成されたフランジ同士を、環状のガスケットを介して突き合わせて接合してなる配管の接合構造であって、
接合される前記配管のうち少なくとも一方の配管が、少なくともその内面及びフランジ面が樹脂で被覆されたライニング管であると共に、
前記ガスケットは、断面U字形でその開口部が内周側を向いた圧縮弾性を有するゴム製の環状本体と、その環状本体の外周側に固着された、前記環状本体より肉厚が薄い板状の補強外輪部とから構成されていることを特徴とする配管の接合構造。
【請求項2】
前記ガスケットの補強外輪部は、耐食性を有するステンレス鋼で形成されていることを特徴とする請求項1記載の配管の接合構造。
【請求項3】
前記配管は、海水淡水化装置の供給水或いは濃縮水が通る部位を構成する配管であることを特徴とする請求項1または2記載の配管の接合構造。
【請求項4】
逆浸透膜モジュールを用いた海水淡水化装置であって、請求項1乃至3のいずれかに記載の配管の接合構造を有することを特徴とする海水淡水化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−33173(P2011−33173A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−182623(P2009−182623)
【出願日】平成21年8月5日(2009.8.5)
【出願人】(000192590)株式会社神鋼環境ソリューション (534)
【Fターム(参考)】