説明

配管ライニング装置および配管ライニング方法

【課題】比較的簡単な操作で室内側で立本管から横引本管に塗装を行うことができ、塗装作業が短時間で迅速に済み、塗装能率の改善により作業性が向上する配管ライニング装置および配管ライニング方法を提供する。
【解決手段】立本管3内の塗装により立本管3と横引本管4との境界部に形成された塗装膜部を切除するため、遠隔操作によりカッターを立本管3内に挿入して塗装膜部に接触させる。塗装膜部の切除後、遠隔操作により施工具17を立本管3内に挿入して境界部から横引本管4の内壁部4aに塗料層を形成する。この際、施工具17の操作により、塗料を含浸させた環状の布部材21を反転させながら内壁部4aに押付けて付着させる。塗装膜部を遠隔操作によるカッターで切除するので、横引本管4内の塗装を室内側で立本管3を通して横引本管4に行う際の障害がなくなり、コスト的に有利でかつ塗装作業性が向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排水管や埋設管などの補修あるいは維持管理などのため、配管の内壁部に塗装を施す配管ライニング装置および配管ライニング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建物内あるいは屋外に配置された埋設管や排水管などの配管内には、食物の残滓、油脂、使用済みの洗剤、毛髪、砂礫、土砂など多種類の異物が大量に付着堆積し、錆瘤とともにスケール(水垢)を形成している。配管の機能や衛生を保つために、配管内に付着堆積するスケールを完全に除去する必要があり、清掃装置を用いて定期的に配管の清掃を行っている。配管の清掃後には、耐久性などの観点から塗装用ピグをライニング装置として用いて配管の内壁部に塗装をライニングとして施すようにしている(例えば特許文献1参照)。この塗装用ピグは、螺旋状の溝が彫り込まれた円柱体からなり、配管内に供給された負圧により気流を受け、自転および公転を伴う複雑な偏心回転運動を行う。塗装用ピグの偏心回転運動により塗料を配管の内面に押付けて塗料層を形成するようにしている。
また、別の管内面のライニング装置では、コンプレッサーからの圧縮空気をエアホースを介して受ける塗料注入管が設けられた配管を備えている(例えば特許文献2参照)。この配管は、径内通路を遮断するフィルム状の遮断手段が設けられた管継手によりライニング管に着脱自在に接続されている。ライニング作業時、コンプレッサーからの圧縮空気により押圧された塗料が遮断手段を破る。これにより、配管内に充満していた塊状の塗料がプラグ流となって管継手からライニング管に供給されてライニング管の内面が塗装されるようになっている。
【特許文献1】特開2003−284989号公報
【特許文献2】特開平10−174923号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1の塗装用ピグでは、配管の塗装時に溝の縁がスクレーバのように機能し、余剰の塗料を掻き取ったり、塗料不足の部分に再配分して均一な塗装を実現させるように意図している。しかしながら、集合住宅(マンション)などの建物では、部屋を仕切る防火壁に本管から枝分かれした分岐管が埋設されているので、塗装用ピグで室内側の配管から分岐管の内壁部に塗料層を形成することは難しいものがある。また、一般に分岐管は配管に連接状態に設けられていることから、特許文献2のライニング装置では、塗料注入管を設けた配管を管継手で分岐管に接続すること自体が不可能である。この種のライニング装置を用いても、集合住宅の室内側で配管を通して分岐管の内壁部に塗料層を形成することが全くできないものである。
このため、分岐管に塗料層を形成するには、本管から分岐管に塗装ロボットを連続的に導入して分岐管に塗装を施すことが行われるが、分岐管の管径寸法が200mm以下になると、分岐管が狭すぎて塗装ロボットを導入することができない事情がある。
この場合には、やむなく防火壁の一部を解体して分岐管の一部を露出させるとともに切断し、室外側から分岐管に塗装を施さざるを得ず大がかりな工事になるのが一般的である。この結果、防火壁の解体や分岐管の切断をはじめ、その解体や切断後の補修に労力や時間がかかり、コストが上昇するとともに塗装能率が悪く、その作業性が大幅に低下する虞がある。
【0004】
本発明は上記の事情を考慮してなされ、その目的は比較的簡単な操作で室内側の配管から分岐管に塗装を施すことができ、塗装作業が短時間で迅速に済み、良好な塗装能率により作業性が向上してコストの削減に寄与する配管ライニング装置および配管ライニング方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(請求項1および請求項8について)
配管から枝分かれした分岐管に配管内から塗装を施す際、配管内の塗装により配管と分岐管との境界部に形成された塗装膜部を切除するため、遠隔操作によりカッターを配管内に挿入して塗装膜部に接触させる。塗装膜部の切除後、遠隔操作により施工具を配管内に挿入して境界部から分岐管の内壁部に塗料層を形成する。この際、施工具により、塗料を含浸させた環状の布部材を表裏反転させながら分岐管の内壁部に押付けて付着させる。
配管と分岐管との境界部に形成された塗装膜部を遠隔操作によるカッターで切除するので、分岐管内の塗装を配管、例えば立本管を通して分岐管に行う上の障害がなくなる。このため、施工具を室内側から配管内に挿入し、境界部から分岐管内に環状の布部材を表裏反転させながら内壁部に押付けて塗装を施すことができる。この結果、比較的簡単な操作で配管、例えば立本管から分岐管に塗装を行うことができ、塗装作業が短時間で迅速に済み、塗装能率の改善により作業性が向上してコストの削減に寄与する。
【0006】
(請求項2および請求項9について)
カッターは、軸部材から配管に略平行に挿入される。駆動モータは、軸部材に装着されて刃部を駆動する。制御モータは、軸部材に装着されて軸部材を回転調節することにより刃部を塗装膜部に位置合わせする。バルーン部材は、軸部材に膨縮可能に設けられて空気圧の調整により、刃部を境界部に存する塗装膜部に対して進退変位可能にさせる。
この場合、カッターは、軸部材、駆動モータ、制御モータおよびバルーン部材といった比較的簡素な構成で、刃部を塗装膜部に位置合わせすることができてコスト的に有利である。
【0007】
(請求項3および請求項10について)
施工具は、配管に挿入する可撓性の筒胴部を有する。延出管部は、筒胴部の外側部に一体的に形成されて空気圧により伸縮可能となるように連結されている。この延出管部は、外周部に挿入させた布部材とともに筒胴部内に表裏反転されて収納される。塗装時には、空気圧により延出管部を筒胴部内から外部に伸張させて、延出管部とともに布部材を反転させながら分岐管の内壁部に押付けて付着させる。
この場合、施工具は、筒胴部および伸縮可能な延出管部といった比較的簡素な構成で済みコスト的に有利となる。
【0008】
(請求項4および請求項11について)
布部材の基端部には、筒胴部の外側部を接触状態に覆う環状のフランジ部が一体に設けられている。このため、布部材の反転終了後、配管と分岐管との境界部にフランジ部を付着させて良好な仕上げで塗装することができる。
【0009】
(請求項5および請求項12について)
フランジ部の外周縁部には、形状保持のため円形の弾性ワイヤーが埋設されているので、フランジ部が布製であっても、フランジ部が所期の形状を保ちへたれずに筒胴部の外側部に接触する。
【0010】
(請求項6および請求項13について)
弾性ワイヤーは、同心的に配置した円形の外輪部と中心部の小輪部とからなり、外輪部と小輪部との間に放射状のスポークを連結状態に設けている。このため、布部材のフランジ部が補強されて、容易にへたれることがなくなり、分岐管への塗装を良好な仕上げで迅速に行うことができる。
【0011】
(請求項7および請求項14について)
延出管部の端末部には、挿通孔を形成した栓部が連結固定されている。挿通孔に通されてストッパにより抜止めされた制御ワイヤの引き操作により塗装後の延出管部を回収する。塗装時に乾燥用の熱風を筒胴部内に供給し、熱風が制御ワイヤと挿通孔との間の隙間を介して逃げる過程で、熱風を布部材に均等に吹き付ける。
塗装時に熱風を筒胴部内に供給して熱風を布部材に均等に吹き付けているので、配管内に付着形成させた布部材の塗料を短時間で乾燥できる利点が得られる。制御ワイヤは延出管部に連結されているため、熱風の吹き付け後は、制御ワイヤを引き込むことにより、延出管部を再反転させながら回収できて合理的である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
分岐管としての横引本管の塗装時、室内側から空気圧により延出管部を筒胴部内から外部に伸張させ、延出管部とともに布部材を反転させながら横引本管の内壁部に押付けて付着させて立本管から横引本管に効率的に塗装を施す。
【実施例1】
【0013】
本発明の実施例1を図1ないし図9に基づいて説明する。
集合住宅などの建物Hの排水管の配管例を示す図1において、建物Hは、通気管1、汚水立本管2および立本管3を配管として備えている。通気管1、汚水立本管2および立本管3は、分岐管としての横引本管4から外部枡5に連通している。清掃時、通気管1、汚水立本管2、立本管3などの配管および横引本管4から流れ落ちた塵埃やスケールなどの付着物は、配管に空気や粉砕水などの流体を流動させることにより、外部枡5から万能配管更生車(VacLマシン)6により回収される。この場合、万能配管更生車6に代わって、コンプレッサーなどの圧搾空気供給装置(図示せず)を用いて流体を配管内に流動させてもよい。
【0014】
配管の清掃後には、耐久性や衛生などの観点から、例えば反転式のライニング装置(図示せず)を用いて立本管3の内壁部3aに塗装を施して所定厚みの塗料層Rを形成する。この時、図2に示すように立本管3の塗装により立本管3と横引本管4との境界部に略長円形の塗装膜部8が形成される。このため、横引本管4に塗装を施すには、後述するカッター9により塗装膜部8を切除する必要がある。
【0015】
このカッター9は、図3に示すように立本管3に略平行に挿入される軸部材10と、軸部材10に装着されて刃部11を駆動する駆動モータ12とを備え、後述する施工具17とともに配管ライニング装置を構成する。軸部材10は、自身を軸回りに回転調節することにより、刃部11を塗装膜部8に位置合わせする制御モータ13を有する。軸部材10の左右には、膨縮可能に設けられて空気圧の調整により、刃部11を境界部に対して進退変位可能にさせるバルーン部材14、15を取付けている。カッター9は、図示しない小型カメラの監視のもとで吊りロープWなどにより上下に遠隔操作可能になっている。なお、カッター9の刃部11は、ダイヤモンドカッターにより形成しているが、ジェット噴射式の超高圧ウォーターカッター、回転式糸鋸やドリル式カッターなどを用いてもよい。
【0016】
カッター9により塗装膜部8を切除した後、横引本管4の内壁部4aに塗装を施すため、図4および図5に示す施工具17を用いる。施工具17は、図4に示すように送気管20に連結されて立本管3に挿入される可撓性の筒胴部18と、筒胴部18の外側部に一体的に形成されて空気圧により伸縮可能となるように略直角方向に連結されたゴム製の延出管部19を備えている。延出管部19の外周部には、塗料を含浸させた環状の布部材21をタフネスクロスとして挿入により表裏反転可能に装着している。
【0017】
塗装前の布部材21は、図4に二点鎖線で示すように延出管部19とともに筒胴部18内に表裏反転されて収納されている。布部材21の基端部には、図5に示すように塗装膜部8の切除により形成された開口部8aに対応する環状のフランジ部21aが一体に設けられ、筒胴部18の外側部を接触状態に覆っている。施工具17は、小型カメラの監視のもとで吊りロープNなどにより上下方向に遠隔操作可能になっている。なお、フランジ部21aの外周縁部には、形状保持のため円形の弾性ワイヤー22が縫合などにより埋設されており、フランジ部21aをへたれさせずに筒胴部18の外側部に接触状態に保持している。
【0018】
上記構成において、立本管3の内壁部3aに塗料層Rを形成して熱風や湯水などの乾燥手段を用いて乾燥養生させた後、本発明の配管ライニング方法によりカッター9を用いて横引本管4の内壁部4aに塗装を施す。すなわち、図3に示すように遠隔操作によりカッ
ター9を室内側から立本管3内に略平行に挿入し、カッター9の位置調整を行って刃部11を塗装膜部8に接触させるように配置する。
【0019】
この時、駆動モータ12により刃部11を回転駆動するとともに、制御モータ13により軸部材10を左右方向に回転調節して刃部11を塗装膜部8に位置合わせする。バルーン部材14、15に対して交互に空気を給排することにより、バルーン部材14、15が膨縮により交互に進退変位し、刃部11を前後に移動させて塗装膜部8を切除する。つまり、吊りロープWなどによる上下移動調整およびバルーン部材14、15による前後移動調整を行って、塗装膜部8を刃部11により除去して略長円形の開口部8aを露呈させる。
【0020】
塗装膜部8が除去された後、カッター9を立本管3から取出し、本発明の配管ライニング方法に基づいて横引本管4の内壁部4aに塗装を施すべく施工具17を用いる。すなわち、図5に示すように施工具17の延出管部19を布部材21とともに筒胴部18内に表裏反転して収納しておいて、筒胴部18を室内側から立本管3に挿入する。吊りロープNなどの調節により布部材21のフランジ部21aを開口部8aに位置合わせする。
【0021】
この状態で、図6に示すように送気管20を介して筒胴部18に空気を圧送する。これにより、筒胴部18が膨張により立本管3の塗料層Rに弾接して施工具17を位置保持するとともに、フランジ部21aを開口部8aの外周縁部に接触させる。これに伴い、延出管部19が空気圧を受けて布部材21とともに反転しながら筒胴部18から外部に伸張し、開口部8aを介して横引本管4内に進出する。延出管部19内の空気圧が所定圧に達すると、図7に示すように延出管部19が布部材21を横引本管4の内壁部4aに十分な膨張圧で押付けて塗料層として付着させる。
【0022】
横引本管4の内壁部4aに布部材21を塗料層として付着させた後、筒胴部18から空気圧を抜くと、図8に示すように筒胴部18が元の大きさに収縮して塗料層Rに対する弾接を解除する。これに伴い、延出管部19の内部が負圧となるように吸引され、延出管部19が布部材21を内壁部4aに付着させたまま単独で表裏反転しながら筒胴部18内に収納される。その後、施工具17を立本管3内から外部に引出すと、図9に示すようにフランジ部21aが立本管3と横引本管4との境界部を覆って、内壁部4aが布部材21により良好に塗装された横引本管4を得ることができる。
【0023】
このように、立本管3と横引本管4との境界部に形成された塗装膜部8を遠隔操作によるカッター9で切除するので、横引本管4内の塗装を室内側で立本管3を通して横引本管4に行う上の障害がなくなる。このため、施工具17を室内側から立本管3内に挿入し、境界部から横引本管4内に環状の布部材21を反転させながら内壁部4aに押付けて塗装を施すことができる。この結果、比較的簡単な操作で室内側で立本管3から横引本管4に塗装を行うことができ、塗装作業が短時間で迅速に済み、塗装能率の改善により作業性が向上してコストの削減に寄与する。しかも、カッター9および施工具17が簡素な構成で痩身化されているので、横引本管4の管径寸法が65mmから200mmといった小さな場合でも、横引本管4への塗装が可能となり塗装の適用範囲が大幅に広くなる。
【実施例2】
【0024】
図10は本発明の実施例2を示す。実施例2が実施例1と異なるところは、フランジ部21aを補強すべく弾性ワイヤー22を二重輪状に構成したことである。すなわち、弾性ワイヤー22は、図10の(イ)、(ロ)に示すように同心的に配置した円形の外輪部22aと中心部の小輪部22bとからなり、外輪部22aと小輪部22bとの間には、放射状のスポーク22cを連結状態に設けている。
【実施例3】
【0025】
図11は本発明の実施例3を示す。実施例3が実施例1と異なるところは、図11の(イ)に示すように、延出管部19の端末部19aに、挿通孔23aを形成した栓部23を連結固定したことである。
制御ワイヤ24の末端部24aは、図11の(イ)、(ロ)に示すように、栓部23の挿通孔23aに挿通されて抜止め用のストッパ25を固定している。
【0026】
塗装時、図11の(ハ)に示すハロゲンランプ26により空気が加熱されて生じた熱風を筒胴部18に供給すると、熱風がフランジ部21aを介して制御ワイヤ24と挿通孔23aとの間の僅かな隙間から逃げる過程で、熱風を布部材21に均等に吹き付ける。
このため、配管内に付着形成させた布部材21の塗料を短時間で乾燥できる利点が得られる。制御ワイヤ24は延出管部19に連結されているため、熱風の吹き付け後は、制御ワイヤ24を引き出すことにより、延出管部19を再反転させながら筒胴部18内に回収できて合理的である。この場合、乾燥用の熱風は、延出管部19および布部材21を反転させる際に筒胴部18に供給する空気と同一のものを利用する。
なお、空気への加熱源は、比較的寿命の長いハロゲンランプ26を用いたが、ハロゲンランプ26に限らず、電気抵抗線など種々のものが用いられ、要は供給空気を加熱できるものであればよい。
【0027】
(変形例)
立本管3の内壁部3aに塗装を施して所定厚みの塗料層Rを形成する際、反転式のライニング装置を用いたが、内壁部3aに塗装できれば、反転式のライニング装置に限らない。筒胴部18の延出管部19は、筒胴部18に対して必ずしも直角である必要はなく、横引本管4の傾斜程度に応じた所望の角度に形成することができる。横引本管4の内壁部4aに対しては、立本管3に対する施工具17の挿入操作を複数回繰り返すことにより、横引本管4に対して下塗り、中塗り、上塗りおよび仕上げ塗りなどに分けて段階的な重ね塗りを行うようにしてもよい。分岐管としての横引本管4は、排水管や埋設管をはじめ、空調ダクトや排気ダクト(工業ダクト、厨房ダクト)などを含み、管内に塗装を施す必要があるものであればよい。その他、本発明の具体的な実施にあたっては、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
立本管と横引本管との境界部に形成された塗装膜部を遠隔操作によるカッターで切除するので、横引本管内の塗装を室内側で立本管を通して横引本管に行う際の障害がなくなる。施工具を室内側から立本管内に挿入し、横引本管内に布部材を反転させながら内壁部に押付けて塗装を施すことができ、塗装能率の改善により作業性が向上してコストの削減に寄与する。カッターおよび施工具が簡素な構成で痩身化されており、横引本管の管径寸法が65mmから200mmといった小さい場合でも、横引本管への塗装が可能となり塗装の適用範囲が大幅に広くなり、集合住宅をはじめとする各種の建造物の配管補修業界に大きく寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】集合住宅などの建物の排水管の配管例を示す概略図である(実施例1)。
【図2】立本管および横引本管を示す拡大縦断面図である(実施例1)。
【図3】カッターを立本管に挿入した状態を示す立本管および横引本管の拡大縦断面図である(実施例1)。
【図4】施工具を示す正面図である(実施例1)。
【図5】施工具を立本管に挿入した状態を示す立本管および横引本管の拡大縦断面図である(実施例1)。
【図6】横引本管に対する施工具の使用開始時の状態を示す立本管および横引本管の拡大縦断面図である(実施例1)。
【図7】横引本管に対する施工具の使用中の状態を示す立本管および横引本管の拡大縦断面図である(実施例1)。
【図8】横引本管に対する施工具の使用後の状態を示す立本管および横引本管の拡大縦断面図である(実施例1)。
【図9】塗装完了後の立本管および横引本管を示す拡大縦断面図である(実施例1)。
【図10】(イ)は布部材の斜視図、(ロ)は弾性ワイヤーの正面図である(実施例2)。
【図11】(イ)は横引本管に対する施工具の使用開始時の状態を示す立本管および横引本管の拡大縦断面図、(ロ)は要部の拡大断面図、(ハ)はハロゲンランプの斜視図である(実施例3)。
【符号の説明】
【0030】
1 通気管(配管)
2 汚水立本管(配管)
3 立本管(配管)
3a 内壁部
4 横引本管(分岐管)
4a 内壁部
8 塗装膜部
9 カッター
10 軸部材
11 刃部
12 駆動モータ
13 制御モータ
14、15 バルーン部材
17 施工具
18 筒胴部
19 延出管部
19a 端末部
21 布部材
21a フランジ部
22 弾性ワイヤー
22a 外輪部
22b 小輪部
22c スポーク
23 栓部
23a 挿通孔
24 制御ワイヤ
25 ストッパ
R 塗料層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管から枝分かれした分岐管に前記配管内から塗装を施す配管ライニング装置において、
前記配管内の塗装により前記配管と前記分岐管との境界部に形成された塗装膜部を切除するため、遠隔操作により前記配管内に挿入して前記塗装膜部に接触させるカッターと、 前記塗装膜部の切除後、遠隔操作により前記配管内に挿入して前記境界部から前記分岐管の内壁部に塗料層を形成する施工具とを備え、
前記施工具により、塗料を含浸させた環状の布部材を表裏反転させながら前記分岐管の前記内壁部に押付けて付着させることを特徴とする配管ライニング装置。
【請求項2】
前記カッターは、
前記配管に略平行に挿入される軸部材と、
この軸部材に装着されて刃部を駆動する駆動モータと、
前記軸部材に装着されて前記軸部材を回転調節することにより前記刃部を前記塗装膜部に位置合わせする制御モータと、
前記軸部材に膨縮可能に設けられて空気圧の調整により、前記刃部を前記境界部に存する前記塗装膜部に対して進退変位可能にさせるバルーン部材とを備えたことを特徴とする請求項1に記載の配管ライニング装置。
【請求項3】
前記施工具は、
前記配管に挿入される可撓性の筒胴部と、
この筒胴部の外側部に一体的に形成されて空気圧により伸縮可能となるように連結され、外周部に前記布部材を挿入させて前記布部材とともに前記筒胴部内に表裏反転されて収納された延出管部とを備え、
塗装時、空気圧により前記延出管部を前記筒胴部内から外部に伸張させて、前記延出管部とともに前記布部材を反転させながら前記分岐管の前記内壁部に押付けて付着させることを特徴とする請求項1に記載の配管ライニング装置。
【請求項4】
前記布部材の基端部には、前記筒胴部の外側部を接触状態に覆う環状のフランジ部が一体に設けられていることを特徴とする請求項3に記載の配管ライニング装置。
【請求項5】
前記フランジ部の外周縁部には、形状保持のため円形の弾性ワイヤーが埋設されていることを特徴とする請求項4に記載の配管ライニング装置。
【請求項6】
前記弾性ワイヤーは、同心的に配置した円形の外輪部と中心部の小輪部とからなり、前記外輪部と前記小輪部との間に放射状のスポークを連結状態に設けていることを特徴とする請求項5に記載の配管ライニング装置。
【請求項7】
前記延出管部の端末部には、挿通孔を形成した栓部が連結固定されており、前記挿通孔に通されてストッパにより抜止めされた制御ワイヤの引き操作により、塗装後の前記延出管部を回収するとともに、塗装時に乾燥用の熱風を前記筒胴部内に供給して前記制御ワイヤと前記挿通孔との間の隙間を介して逃がす過程で、前記熱風を前記布部材に均等に吹き付けることを特徴とする請求項3に記載の配管ライニング装置。
【請求項8】
配管から枝分かれした分岐管に前記配管内から塗装を施す配管ライニング方法において、
前記配管内の塗装により前記配管と前記分岐管との境界部に形成された塗装膜部を切除するため、遠隔操作によりカッターを前記配管内に挿入して前記塗装膜部に接触させる工程と、
前記塗装膜部の切除後、遠隔操作により施工具を前記配管内に挿入して前記境界部から前記分岐管の内壁部に塗料層を形成する工程とを備え、
前記施工具により、塗料を含浸させた環状の布部材を表裏反転させながら前記分岐管の前記内壁部に押付けて付着させることを特徴とする配管ライニング方法。
【請求項9】
前記カッターの操作時には、
軸部材を前記配管に略平行に挿入する工程と、
前記軸部材に装着した駆動モータにより刃部を駆動する工程と、
前記軸部材に装着された制御モータにより、前記軸部材を回転調節して前記刃部を前記塗装膜部に位置合わせする工程と、
前記軸部材に膨縮可能に設けられたバルーン部材に対する空気圧の調整により、前記刃部を前記境界部に存する前記塗装膜部に対して進退変位可能にさせる工程とを備えたことを特徴とする請求項8に記載の配管ライニング方法。
【請求項10】
前記施工具の操作時には、
可撓性の筒胴部を前記配管に挿入する工程と、
前記筒胴部の外側部に一体的に形成されて空気圧により伸縮可能となるように連結され、外周部に前記布部材を挿入させた延出管部を前記布部材とともに前記筒胴部内に表裏反転して収納する工程とを備え、
塗装時、空気圧により前記延出管部を前記筒胴部内から外部に伸張させて、前記延出管部とともに前記布部材を反転させながら前記分岐管の前記内壁部に押付けて付着させることを特徴とする請求項8に記載の配管ライニング方法。
【請求項11】
前記布部材の基端部には、前記筒胴部の外側部を接触状態に覆う環状のフランジ部が一体に設けられていることを特徴とする請求項10に記載の配管ライニング方法。
【請求項12】
前記フランジ部の外周縁部には、形状保持のため円形の弾性ワイヤーが埋設されていることを特徴とする請求項11に記載の配管ライニング方法。
【請求項13】
前記弾性ワイヤーは、同心的に配置した円形の外輪部と中心部の小輪部とからなり、前記外輪部と前記小輪部との間に放射状のスポークを連結状態に設けていることを特徴とする請求項12に記載の配管ライニング方法。
【請求項14】
前記延出管部の端末部には、挿通孔を形成した栓部が連結固定されており、前記挿通孔に通されてストッパにより抜止めされた制御ワイヤの引き操作により塗装後の前記延出管部を回収する工程と、塗装時に乾燥用の熱風を前記筒胴部内に供給して前記制御ワイヤと前記挿通孔との間の隙間を介して逃がす過程で、前記熱風を前記布部材に均等に吹き付ける工程とを有することを特徴とする請求項10に記載の配管ライニング方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2006−26632(P2006−26632A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−78764(P2005−78764)
【出願日】平成17年3月18日(2005.3.18)
【出願人】(592036519)株式会社ピーシージー・テクニカ (11)
【出願人】(501219002)TEXAS株式会社 (13)
【Fターム(参考)】