説明

配線基板、接続基板、製造装置および製造方法

【課題】 半田ブリッジの発生を低減させる配線基板、接続基板、製造装置および製造方法を提供する。
【解決手段】 実施形態の配線基板は、貫通孔2が接続端子部7に形成されている配線基板であって、前記接続端子部7は、絶縁層4上に導線5が露出した状態で設けられており、前記貫通孔2は、隣接する前記導線5間をまたがないように前記導線5に沿って形成されていることを特徴としている。また、接続基板の製造装置20は、バックアッププレート21と、前記バックアッププレート21に載置された第2配線基板9の接続端子部13に、第1配線基板3の接続端子部7を半田8を介して圧着させるヒータツール22と、を含む接続基板の製造装置20であって、前記ヒータツール20は、前記圧着時に、前記半田8の余剰分を毛細管現象により取り除くことが可能なスリットSが形成されていることを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板の接続に係り、配線基板、接続基板、製造装置および製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、各種の電子機器において、小型、軽量化が進められている。これに伴い、フレキシブル配線基板と他の配線基板の接続においても、コネクタを用いて接続していたものから、直接半田付けするような構造に変えられつつある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1記載の接続基板101は、図6に示すように、接続端子102が絶縁層103上に、複数の導線104が設けられている第1配線基板105と、半田106を介してその対向面に、絶縁層108上の複数の導線109と位置合わせしてスルーホールHが形成された接続端子107を有する第2配線基板110が設けられており、ヒータツール111を第1配線基板105の絶縁層103に圧着し、余剰の半田106をスルーホールH内へと流れ込ませる構造であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−86913号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の接続基板101では、スルーホールHが設けられている第2配線基板110が十分に加熱されない場合や、スルーホールHの内部が酸化している場合、溶融した半田106が十分に濡れず、余剰となった半田106がスルーホールH内へと流れ込まないことがある。その結果、余剰の半田106が接続部分からはみ出すように流れ出て、隣接する導線104,109の間を接続する(半田ブリッジを生ずる)おそれがある。
【0006】
そこで本発明では、半田ブリッジの発生を低減させる配線基板、接続基板、製造装置および製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の配線基板は、貫通孔が接続端子部に形成されている配線基板であって、前記接続端子部は、絶縁層上に導線が露出した状態で設けられており、前記貫通孔は、隣接する前記導線間をまたがないように前記導線に沿って形成されていることを特徴としている。
【0008】
本発明の接続基板の製造装置は、バックアッププレートと、前記バックアッププレートに載置された第2配線基板の接続端子部に、第1配線基板の接続端子部を半田を介して圧着させるヒータツールと、を含む接続基板の製造装置であって、前記ヒータツールは、前記圧着時に、前記半田の余剰分を毛細管現象により取り除くことが可能なスリットが形成されていることを特徴としている。
【0009】
また、本発明の接続基板の製造方法は、貫通孔が接続端子部に形成されている第1配線基板であって、前記接続端子部は、絶縁層上に複数の導線が積層されており、前記貫通孔は、隣り合う前記導線を横切ることなく前記導線に沿って形成されている第1配線基板を、バックアッププレートに載置された第2配線基板の接続端子を半田を介して圧着させる接続基板の製造方法であって、前記第1配線基板の前記貫通孔内に前記半田を充填する工程と、前記貫通孔内の前記半田を加熱して溶融させる工程と、前記バックアッププレート上の前記第2配線基板の接続面と前記第1配線基板の接続面とをヒータツールにより圧着させる工程とを含むことを特徴としている。
【0010】
そして、本発明の接続基板は、請求項3又は請求項4に記載の接続基板の製造方法により接続されたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、半田ブリッジの発生を低減させる配線基板、接続基板、製造装置および製造方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係る第1配線基板の上面図。
【図2】図1のA−A線に沿う第1配線基板の断面図。
【図3】本発明の実施形態に係る接続基板の断面図。
【図4】本発明の実施形態に係る接続基板の製造装置の概略図。
【図5】本発明の実施形態に係る接続基板の製造方法を示す工程断面図。
【図6】従来の配線基板を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態に係る半田ブリッジの発生を低減させる配線基板、接続基板、製造装置および製造方法を、図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
まず、本発明の実施形態に係る配線基板について、図1、図2を参照して説明する。
【0015】
本実施形態における配線基板は、第1配線基板3であり、第1配線基板3の接続端子部7には、貫通孔2が設けられている。
【0016】
第1配線基板3は、接続端子部7を除いて絶縁層4上に、導線5、ソルダーレジスト6の順に積層したものであり、本実施形態ではフレキシブル配線基板を用いているが、これに限られない。
【0017】
絶縁層4は、例えばポリイミドを含む耐熱性の樹脂から形成されている。また、導線5は複数設けられており、例えば銅箔などの導電性物質により形成されている。
【0018】
接続端子部7は、絶縁層4上に設けられた導線5が露出して設けられており、導線5が設けられている方向に沿って、複数の貫通孔2が形成された部分である。また、導線5は複数設けられており、導線5が露出している面を接続面B1とする。
【0019】
貫通孔2は、直径が導線5の幅より少し大きく、隣接する導線5間をまたがない程度の大きさに形成されており、例えばドリルやレーザ等を用いて形成される。なお、本発明の実施形態の貫通孔2の直径は、導線5の幅より少し大きく形成されているが、隣接する導線5をまたがない程度の大きさであればどの様な大きさでも構わない。
【0020】
また、貫通孔2は、半田ブリッジの発生を防ぐために、隣り合う導線5に形成された複数の貫通孔2と一定の間隔をおいて設けられている。
【0021】
次に、本発明の実施形態に係る接続基板1について、図3を参照して説明する。
【0022】
図3に示すように、本実施形態における接続基板1は、貫通孔2が設けられた第1配線基板3と第2配線基板9が半田8を介して設けられている構造である。
【0023】
第2配線基板9は、絶縁層10上に、導線11、ソルダーレジスト12の順に積層したものであり、本実施形態ではプリント配線基板を用いているが、これに限られない。
【0024】
導線11は、例えば銅箔などの導電性物質により形成され、第1配線基板3の導線5と位置合わせして設けられている。また、ソルダーレジスト12は、接続端子部13の接続面B2を除いて設けられている。
【0025】
接続端子部13は、絶縁層10上に設けられた導線11が露出した状態であり、また、導線11は複数設けられている。そして、導線11が露出している面を接続面B2とする。
【0026】
次に、接続基板の製造装置を図4を参照して説明する。
【0027】
図4に示すように、接続基板の製造装置20は、バックアッププレート21と、ヒータツール22を備えている。
【0028】
バックアッププレート21は、第1配線基板3と第2配線基板9の接続面B1,B2を圧着して接続する際に、第2配線基板9を支持する役割をはたしている。
【0029】
ヒータツール22は、第1配線基板3の接続面B1の裏面上からバックアッププレート21側に向けて圧着し、複数の貫通孔2から余剰の半田8を毛細管現象により取り除くためのスリットSが設けられている。
【0030】
ヒータツール22のスリットSの形状は、導線5が設けられている方向に対して垂直になるように設けられているが、例えば平行方向や、斜め方向、また格子状でもよく、余剰の半田8を取り除くことができればどのような形状のスリットSでもよい。
【0031】
また、ヒータツール22のスリットSの深さは、過剰に半田8を取り除くことがないように、適切な深さに調整して設けられており、ヒータツール22のスリットSに入り込んだ半田8は、ブローして吹き飛ばし、再度使用することができる。
【0032】
次に、接続基板の製造方法を図5を参照して説明する。
【0033】
まず、図5(a)に示すように、受け冶具23と第1配線基板3の接続面B1が接するように載置し、貫通孔2内に半田8を充填させていく。
【0034】
受け冶具23は、第1配線基板3の接続端子部7の貫通孔2が設けられている位置に位置合わせして隙間24が形成されたものであり、半田8を貫通孔2内に充填する際に接続端子部7を支持している。
【0035】
半田8は、例えばソルダーペースト印刷を行って貫通孔2内に充填させていく。具体的には、絶縁層4上にペースト状の半田8を設け、スキージ25を移動させて貫通孔2内に半田8を充填させていく。
【0036】
この時、半田8の供給量は、貫通孔2内に充填可能な量より多めに供給し、第1配線基板3の接続面B1から少しはみ出す程度に設けておく。
【0037】
次に、図5(b)に示すように、半田8を設けた第1配線基板3を加熱装置26に入れて加熱し、半田8を溶融させる。これにより、溶融した半田8は、接続面B1の導線5に濡れ広がる。
【0038】
そして、図5(c)に示すように、バックアッププレート21上に、第2配線基板9を設置し、第1配線基板3の接続面B1と、第2配線基板9の接続面B2とを位置合わせし、接続面B1の裏面上からバックアッププレート21側に向けてヒータツール22により圧着する。
【0039】
この時、余剰の半田8がヒータツール22のスリット内に入り込み、取り除かれるため、半田ブリッジを防ぎながら圧着を行うことができる。
【0040】
以上、本実施形態によれば、導線5が設けられている方向に沿って、貫通孔2が一定間隔をあけて複数形成された第1配線基板3を用意し、貫通孔2内に半田8を供給し、配線基板の製造装置20のスリットSが設けられたヒータツール22を用いて、余剰の半田8を除きながら第1配線基板3と第2配線基板9を圧着することが可能となる。これにより、半田ブリッジの発生を防ぎながら接続を行うことができる。
【0041】
更に、貫通孔2が設けられた第1配線基板3を用いることにより、半田8を設ける際に、マスクを用いることなく半田8を供給することが可能であるため、より半田8を設ける事が容易になり、効率よく接続基板1を製造することができる。
【符号の説明】
【0042】
1,101…接続基板
2…貫通孔
3,105…第1配線基板
4,10,103,108…絶縁層
5,11,104,109…導線
6,12…ソルダーレジスト
7,13,102,107…接続端子部
8,106…半田
9,110…第2配線基板
20…製造装置
21…バックアッププレート
22,111…ヒータツール
23…受け冶具
24…隙間
25…スキージ
26…加熱装置
B1,B2…接続面
S…スリット
H…スルーホール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通孔が接続端子部に形成されている配線基板であって、
前記接続端子部は、絶縁層上に導線が露出した状態で設けられており、
前記貫通孔は、隣接する前記導線間をまたがないように前記導線に沿って形成されていることを特徴とする配線基板。
【請求項2】
バックアッププレートと、
前記バックアッププレートに載置された第2配線基板の接続端子部に、第1配線基板の接続端子部を半田を介して圧着させるヒータツールと、
を含む接続基板の製造装置であって、
前記ヒータツールは、前記圧着時に、前記半田の余剰分を毛細管現象により取り除くことが可能なスリットが形成されていることを特徴とする接続基板の製造装置。
【請求項3】
貫通孔が接続端子部に形成されている第1配線基板であって、前記接続端子部は、絶縁層上に複数の導線が積層されており、前記貫通孔は、隣り合う前記導線を横切ることなく前記導線に沿って形成されている第1配線基板を、バックアッププレートに載置された第2配線基板の接続端子を半田を介して圧着させる接続基板の製造方法であって、
前記第1配線基板の前記貫通孔内に前記半田を充填する工程と、
前記貫通孔内の前記半田を加熱して溶融させる工程と、
前記バックアッププレート上の前記第2配線基板の接続面と前記第1配線基板の接続面とをヒータツールにより圧着させる工程と、
を含むことを特徴とする接続基板の製造方法。
【請求項4】
前記ヒータツールにより、前記半田の余剰分を取り除く工程をさらに有することを特徴とする接続基板の製造方法。
【請求項5】
請求項3又は請求項4に記載の接続基板の製造方法により接続されたことを特徴とする接続基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−249471(P2011−249471A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−119567(P2010−119567)
【出願日】平成22年5月25日(2010.5.25)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】