説明

配線基板の製造方法および電子機器

【課題】可撓性基板上に電子素子を搭載する際に、可撓性基板上の配線と、電子素子との導通を確保することができる配線基板の製造方法、および当該配線基板を備えた電子機器を提供する。
【解決手段】配線基板の製造方法は、可撓性基板11の一方の面上に配線13を形成する工程と、突起部31を備える支持基板30上に、可撓性基板11の一方の面の裏面を支持基板30に向け、かつ、突起部31と配線13の一部が重なるように、可撓性基板11を搭載する工程と、可撓性基板11の配線13の一部を含む領域上に、導電接着剤14を介して、電子素子15を押圧する工程と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板の製造方法および電子機器に関し、特に、可撓性をもつ配線基板の製造方法、および当該配線基板を備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自由に折り曲げられる電子機器が注目されている。例えば、フレキシブルディスプレイは、持ち運びの軽さ、衝撃の吸収性、手になじむ柔軟性などユビキタス社会の一役を担う電子機器となりうる。
【0003】
フレキシブルディスプレイの製造方法として、他の基板に予め薄膜トランジスタ(TFT)等の電子素子を形成しておき、当該電子素子を可撓性基板上に転写する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1では、ポリシリコンTFTを可撓性基板上に転写して、画素トランジスタを作製する技術が開示されている。ポリシリコンTFTは、通常、異方性導電ペースト(ACP)等の接着剤を用いて、可撓性基板上への固定および電気的接続がなされる。
【0004】
異方性導電接着剤は、接着剤(バインダ)中に導電性粒子を分散させたものである。ある一定時間熱と圧力を加えて(熱圧着加工)、バインダを押し広げ、2つの電極間に導電性粒子を少なくとも1個以上挟みこむことで、圧着部における厚み方向に対しては、導電性、一方、面方向に対しては絶縁性という電気的異方性を示すこととなる。2つの電極が形成された領域と、その他の領域との間で段差が存在している場合、電極間の領域へ圧力が集中するため、確実かつ効率的に導電接続がなされる。
【特許文献1】特開2003−297974号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
可撓性基板側に突起状の電極(バンプ)を形成しない場合、電子素子との接続部と、非接続部との間の段差が少なくなる。このため、接続部に圧力が集中せず、電子素子の導通が確保できないという不具合があった。可撓性基板側にバンプを形成することは可能だが、この場合にはめっきが必要になるので、プラスチック製等の可撓性基板がめっき液でダメージを受けてしまい、可撓性基板上に作製する回路の特性に影響を与えるおそれがある。
【0006】
また、可撓性基板は、プラスチックなどの樹脂からなるため、熱圧着加工の際に、導電性粒子が基板内に陥入してしまい、導電性粒子がうまく潰れず、電子素子の導通が確保できないという不具合があった。
【0007】
本発明の目的は、可撓性基板上に電子素子を搭載する際に、可撓性基板上の配線と、電子素子との導通を確保することができる配線基板の製造方法、および当該配線基板を備えた電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る配線基板の製造方法は、一方の面に導電膜が形成された可撓性基板の他方の面と、突起部が形成された支持基板とを、前記突起部と前記導電膜の一部が重なるように貼り合わせる貼り合せ工程と、前記可撓性基板の前記導電膜の一部を含む領域上に、導電性接着剤を介して、電子素子を押圧する押圧工程と、を有する。
【0009】
これによれば、突起部を備える支持基板に可撓性基板を貼り合わせると、可撓性基板の他方の面が突起部に押圧されることから、可撓性基板の導電膜の一部を含む領域が盛り上がった形状となる。この状態で、当該導電膜の一部を含む領域上に導電性接着剤を介して電子素子を押圧すると、導電膜の一部を含む領域と電子素子との間に力が集中し、電気的導通および機械的接着が得られるレベルまで導電性接着剤を押圧することができる。なお、導電性接着剤は、可撓性基板側に形成しても、電子素子側に形成してもよい。
【0010】
または、本発明に係る配線基板の製造方法は、突起部が形成された支持基板に可撓性基板を貼り合わせる貼り合せ工程と、前記可撓性基板上に、一部が前記突起部上に位置するように導電膜を形成する導電膜形成工程と、前記可撓性基板の前記配線の一部を含む領域上に、導電性接着剤を介して、電子素子を押圧する押圧工程と、を有する。
【0011】
これによれば、突起部を備える支持基板に可撓性基板を貼り合わせると、可撓性基板は突起部の位置において盛り上がった形状となる。一部が突起部上に位置するように導電膜を形成した後、当該導電膜の一部を含む領域上に導電性接着剤を介して電子素子を押圧すると、導電膜の一部を含む領域と電子素子との間に力が集中し、電気的導通および機械的接着が得られるレベルまで導電性接着剤を押圧することができる。なお、導電性接着剤は、可撓性基板側に形成しても、電子素子側に形成してもよい。
【0012】
前記電子素子を押圧する工程において、突起状の端子を有する電子素子を押圧して、前記導電膜の一部と、前記端子とを導電性接着剤を介して接合させることが好ましい。これにより、電子素子側においても、端子とその周囲の領域との間に段差を設けることができ、端子の領域に圧力を集中させることができる。
【0013】
前記導電接着剤が、接着剤と、前記接着剤中に分散された導電性粒子とを含むことが好ましい。これにより、電子素子と導電膜の一部との間において導電性接着剤が押圧されると、接着剤が押し広げられ、両者の間に導電性粒子が挟み込まれて、導電性粒子による電気的接続、接着剤による機械的接合が得られる。
【0014】
前記貼り合せ工程において、前記可撓性基板の前記一方の面のうち、前記突起部と重なった部分が、前記突起部と重なっていない部分と比べ、隆起していることが好ましい。さらに、前記貼り合せ工程において、前記可撓性基板の前記一方の面のうち、前記突起部と重なった部分が、前記突起部と重なっていない部分と比べ、5μm以上隆起していることが好ましい。また、前記導電膜が配線であることが好ましい。
【0015】
本発明に係る電子機器は、上述した配線基板の製造方法により製造された配線基板を備える。これにより、信頼性のある電子機器が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る配線基板の断面図である。
配線基板10は、可撓性基板(フレキシブル基板)11と、可撓性基板11上に形成された配線13と、可撓性基板11上に固定(実装)され、かつ、配線13と電気的に接続された電子素子15とを有する。
【0017】
可撓性基板11は、可撓性を有していればよく材料に限定はないが、例えば樹脂または金属からなる。樹脂としては、シクロオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ウレタン樹脂、アクリレート樹脂等が挙げられるが、特に限定はない。可撓性基板11の厚さは、可撓性を確保できる限りにおいて限定はないが、例えば100μmである。
【0018】
配線13は、可撓性基板11の一方の面上に形成されている。なお、配線13は、可撓性基板11の他方の面上にも形成されていてもよい。配線13は、導電性材料、例えば、Au、Ta、Cu、Ti、Ni、Agなどの単層膜または多層膜により形成されている。配線13の厚さは、例えば100nm以下である。図示はしないが、配線13は、電子素子15との接続部13aにおいて幅広な形状(パッド形状)に形成されている。配線13のうち、薄膜トランジスタ16と異方性導電接着剤14を介して電気的に接続される領域を接続部13aとする。
【0019】
電子素子15は、配線13の一部(接続部13a)と電気的に接続し、かつ、可撓性基板11に接合されている。電子素子15に特に限定はなく、トランジスタやダイオード等の能動素子、抵抗やコンデンサ等の受動素子、その他、コネクタ、端子等の補助素子であってもよい。また、電子素子15は、半導体レーザや、発光ダイオードであってもよい。電子素子15は、半導体素子以外の素子であってもよい。
【0020】
本実施形態では、電子素子15は、薄膜トランジスタ16を含み、表面に突起状の端子17が形成されている例を示す。端子17は、薄膜トランジスタ16に電気的に接続されている。電子素子15の端子17が、配線13の一部と接続されている。
【0021】
可撓性基板11と、電子素子15との間には、電子素子15の電気的接続および機械的接合を得るために、導電性接着剤、例えば異方性導電接着剤14が設けられている。
【0022】
図2は、電子素子15と可撓性基板11間の領域の拡大断面図である。
異方性導電接着剤14は、主に導電性粒子14aと接着剤(バインダ)14bから構成されており、前者は対向する電極同士を電気的に導通させるもの、後者は、接続部を機械的に固定するための役割を担う。ただし、接着機能と導電性を兼ね備えるものであれば、上記構成以外の導電性接着剤を用いてもよい。
【0023】
導電性粒子14aには、電気的導通だけでなく、隣接する電極間に接触しない形状および適度な分散率が要求される。導電性粒子14aは、金属核(ニッケル(Ni)単体や金メッキ処理をおこなったNi)と樹脂核(スチレン、アクリルおよび酸化チタン等)に金メッキ処理したもの、さらには、これら粒子の上に熱や圧力で破壊、溶融する絶縁皮膜を有したもの等様々な種類がある。形状は、球形に近いものが選択され、使用される製品に合わせて、数μmから数十μmまでの粒径の材料が用いられている。また、バインダ14bには、合成ゴム、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等が用いられる。
【0024】
接続原理は、ある一定時間、熱と圧力を加えること(熱圧着加工)で、バインダを押し広げ、対向電極間(本例では端子17と配線13間)に導電性粒子を少なくとも1個以上挟みこむことで、圧着部における厚み方向に対しては導電性、一方、面方向に対しては絶縁性という電気的異方性が得られる。
【0025】
以上のように、可撓性基板11上に電子素子15が実装されて、配線基板10が構成されている。なお、図1では、可撓性基板11上に1つの電子素子15のみが実装されている例を示しているが、他の電子素子が実装されていてもよい。
【0026】
図3〜図7を参照して、本実施形態に係る配線基板の製造方法について説明する。
図3(a)に示すように、可撓性基板11上に配線13を形成する。配線13は、例えば可撓性基板11上に金属膜を成膜し、金属膜をパターニングすることにより形成される。図示はしないが、配線13は、接続部13aにおいて幅広なパッド形状となるようにパターニングされる。金属膜の材料については、上述した通りである。または、配線13は、例えば導電性材料を含む溶液を塗布し、塗布膜に対して加熱等の処理を行なった後、塗布膜をパターニングすることにより形成してもよい。さらに、配線13は、印刷法を用いて形成することもできる。印刷法では、導電性材料を含む溶液の液滴を用いて所望のパターンを描画できるため、パターニングが不要となる。
【0027】
一方、図3(b)に示すように、突起部31が形成された支持基板30を用意する。支持基板30は、可撓性基板11よりも剛性を有する材料、例えばガラス基板からなる。突起部31は、支持基板30上であって、接続部13aに対応する位置に形成する。突起部31は、後述する電子素子15の実装時の押圧により潰れない程度の剛性を確保できる材料であれば特に限定はなく、フェノール樹脂、シクロオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ウレタン樹脂、アクリレート樹脂等の有機物であっても、SiO2、SiNなどの無機物であってもよい。また、突起部31として、感光性樹脂を用いてもよい。
【0028】
例えば、可撓性基板11上に感光性樹脂を成膜し、露光および現像により感光性樹脂をパターニングし、加熱することにより、断面が半球状の突起部31を形成する。感光性材料以外の材料を使用する場合には、可撓性基板11上に非感光性の材料膜を成膜し、レジスト塗布、露光、現像およびエッチングにより材料膜をパターニングし、加熱することにより、断面が半球状の突起部31を形成する。
【0029】
次に、図3(c)に示すように、突起部31を備える支持基板30上に、可撓性基板11の裏面を支持基板30に向けて、可撓性基板11を貼り付ける。このとき、可撓性基板11の接続部13aに対して突起部31が重なるように、支持基板30と可撓性基板11をアライメントする。支持基板30に可撓性基板11を貼り付けることにより、電子素子の転写工程(実装工程)におけるアライメントが容易となり、かつ、加圧時にかかる荷重が分散する。また、接続部13aの裏側を突起部31が突き上げることから、図示はしないが、接続部13aの領域は、非接続部の領域よりも盛り上がった状態となる。
【0030】
なお、突起部31を備える支持基板30上に、可撓性基板11を貼り付けた後に、可撓性基板11上に配線13を形成してよい。この場合には、配線13の一部が突起部31上に位置するように、配線13を形成すればよい。これによっても、配線13の接続部13aの領域が、非接続部の領域よりも盛り上がった形状が得られる。
【0031】
次に、図3(d)に示すように、可撓性基板11の接続部13aを含む領域、すなわち電子素子15の配置領域に異方性導電接着剤14を形成する。例えば、異方性導電接着剤14をスクリーン印刷などで形成する。なお、異方性導電接着剤14をスクリーン印刷以外、例えばディスペンス技術を用いて形成してもよい。また、異方性導電接着剤14はペースト状である必要はなく、フィルム状のものを貼り付けてもよい。
【0032】
一方で、別の基板上に、例えば薄膜トランジスタを備える電子素子を形成する。以下に、薄膜トランジスタ(TFT)としてポリシリコンTFTの製造プロセスの一例について説明する。
【0033】
図4(a)に示すように、石英やガラス等からなる基板40上に、SiH4を用いたプラズマCVDや、Si26を用いたLPCVD法により、アモルファスシリコンからなる剥離層41を形成する。続いて、剥離層41上に酸化シリコンからなる下地層42を形成した後、下地層42上にアモルファスシリコン層43aを形成する。
【0034】
次に、図4(b)に示すように、アモルファスシリコン層43aにレーザを照射することにより、アモルファスシリコンを結晶化させてポリシリコン層43を形成する。続いて、ポリシリコン層43をパターニングした後、ポリシリコン層43上に例えば酸化シリコンからなるゲート絶縁膜44を形成する。
【0035】
次に、図4(c)に示すように、ゲート絶縁膜44上に金属膜を成膜し、当該金属膜をパターニングすることによりゲート電極45を形成する。続いて、ゲート絶縁膜44およびゲート電極45上に、例えば酸化シリコンからなる層間絶縁膜46を形成する。
【0036】
次に、図4(d)に示すように、層間絶縁膜46およびゲート絶縁膜44にポリシリコン層43に達する2つのコンタクトホールを形成する。続いて、当該コンタクトホール内を埋め込む金属膜を層間絶縁膜46上に形成し、当該金属膜をパターニングすることにより、ソース電極47およびドレイン電極48を形成する。
【0037】
以上により、基板40上に剥離層41を介してポリシリコンTFTからなる薄膜トランジスタ16が形成される。
【0038】
図5(a)に示すように、上記の薄膜トランジスタ16の形成プロセスにより、基板40上に剥離層41を介して複数の電子素子15が形成される。電子素子15は、通常、複数の薄膜トランジスタ16を備えており、複数の薄膜トランジスタ16により所望の機能を実現する回路が形成されている。電子素子15の上面には、薄膜トランジスタ16に接続する突起状の端子17が形成される。本実施形態では、一例として、フレキシブルディスプレイ用の周辺回路を構成するCPU、メモリー、ドライバなどの機能をそれぞれもつ電子素子15を作製する。
【0039】
図5(b)に示すように、可撓性基板11に対して実装対象となる電子素子15をアライメントし、可撓性基板11上に電子素子15を備える基板40を熱圧着する。アライメント工程では、実装すべき電子素子15の端子17と、配線13の接続部13aとを一致させる。熱圧着工程では、基板40に圧力をかけながら、異方性導電接着剤14にエネルギー(例えば熱)を供給して硬化させる。これにより、異方性導電接着剤14を介して電子素子15と可撓性基板11の電気的接続および機械的接合がなされる。
【0040】
図5(c)は、熱圧着時における基板40および支持基板30間の領域の拡大断面図である。
図5(c)に示すように、支持基板30と基板40間に圧力がかかっている状態では、可撓性基板11の裏面が突起部31に押圧され、突起部31に対応する表面位置、すなわち配線13の接続部13aが周囲に比べて盛り上がった形状となることから、電子素子15の端子17と、配線13の接続部13aとの間に力が集中する。この結果、接続部13aにおいて電気的導通が得られるレベルまで導電性粒子14aを押圧することができ、導電性粒子14aと配線13との間に良好な金属接合が得られる。
【0041】
ここで、突起部31の寸法は、接続部13aのみを盛り上げるように最適化することが好ましい。接続部13aにおける導電性粒子14aを効率良く押圧するためである。また、従来、基板側に形成されるバンプの高さは5μm程度である。したがって、バンプの代わりに、接続部13aを5μm以上の高さだけ隆起するように、突起部31の寸法を最適化することが好ましい。
【0042】
次に、図6(a)に示すように、実装すべき電子素子15と基板40との間の剥離層41にエネルギーを供給する。例えば、剥離層41にエキシマレーザを照射する。これにより、剥離層41がアブレーションし、僅かな力で電子素子15が剥がれやすい状態となる。なお、剥離層41のアブレーションに必要なエネルギーが供給できれば、エキシマレーザ以外のレーザを用いてもよい。
【0043】
次に、図6(b)に示すように、実装すべき電子素子15から基板40を剥がすことにより、本実施形態に係る配線基板10が製造される。
【0044】
本実施形態では、フレキシブルディスプレイ用の配線基板10を製造するため、図6(c)に示すように、可撓性基板11上に、さらに有機薄膜トランジスタを用いてアクティブマトリクス回路18を形成する。アクティブマトリクス回路18は、複数の有機薄膜トランジスタを備えており、複数の有機薄膜トランジスタにより所望の機能を実現する回路が形成されている。なお、アクティブマトリクス回路18は、有機薄膜トランジスタ以外の能動素子または受動素子を用いて所望の機能を実現するように構成されていてもよい。
以下に、有機薄膜トランジスタの製造プロセスの一例について説明する。なお、図7では、フレキシブル基板11の裏面にある支持基板30を省略している。
【0045】
図7(a)に示すように、可撓性基板11上に、ソース電極21aおよびドレイン電極22aを形成する。例えば、ソース電極21aおよびドレイン電極22aは、配線13と同時に形成する。あるいは、ソース電極21aおよびドレイン電極22aは、例えば導電性材料を含む溶液を塗布し、塗布膜に対して加熱等の処理を行なった後、塗布膜をパターニングすることでも形成できる。また、ソース電極21aおよびドレイン電極22aは、印刷法を用いて形成することもできる。印刷法では、導電性材料を含む溶液の液滴を用いて所望のパターンを描画できるため、パターニングが不要となる。導電性材料としては、Pd、Pt、Au、W、Ta、Mo、Al、Cr、Ti、Cu、Agもしくはこれらを含む合金等の金属材料を用いても、インジウムティンオキサイド(ITO)等の金属酸化物材料等を用いてもよい。
【0046】
次に、図7(b)に示すように、ソース電極21aおよびドレイン電極22a、並びにその間における可撓性基板11上に、有機半導体層23を形成する。有機半導体層23は、例えば、有機半導体材料またはその前駆体を含む溶液を塗布(供給)した後、必要に応じてこの塗布膜に対して加熱等の処理を施し、パターニングすることにより形成することができる。また、有機半導体層23は印刷法を用いて形成することもできる。有機半導体材料としては、ペンタセン、ヘキサセン、フタロシアニン等の低分子の有機半導体材料を用いても、ポリチオフェン、ポリ(p−フェニレンビニレン)のような高分子の有機半導体材料(共役系高分子材料)を用いてもよい。
【0047】
次に、図7(c)に示すように、少なくとも有機半導体層23を覆うように、ゲート絶縁層24を形成する。ゲート絶縁層24は、絶縁材料またはその前駆体を含む溶液を塗布塗布(供給)した後、必要に応じてこの塗膜に対して加熱等の処理を施すことにより形成することができる。また、ゲート絶縁層24は印刷法を用いて形成することもできる。ゲート絶縁層24は、SiO2等の無機絶縁材料であっても、ポリスチレン、ポリイミド、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)のような有機絶縁材料を用いてもよい。
【0048】
次に、図7(d)に示すように、ゲート絶縁層24上に、ゲート電極25aを形成する。ゲート電極25aは、例えば導電性材料を含む溶液を塗布し、塗布膜に対して加熱等の処理を行なった後、塗布膜をパターニングすることにより形成できる。また、ゲート電極25aは、印刷法を用いて形成することもできる。導電性材料としては、Pd、Pt、Au、W、Ta、Mo、Al、Cr、Ti、Cu、Agもしくはこれらを含む合金等の金属材料を用いても、インジウムティンオキサイド(ITO)等の金属酸化物材料等を用いてもよい。
【0049】
以上により、可撓性基板11上に有機薄膜トランジスタ20が形成される。この有機薄膜トランジスタ20の形成プロセスにより、アクティブマトリクス回路18が形成される。
【0050】
図8(a)は、アクティブマトリクス回路18における1つの画素を示す図である。上述した有機薄膜トランジスタ20をマトリックス状に形成するプロセスにおいて、さらに、当該有機薄膜トランジスタ20のドレイン電極22aに接続する画素電極22がマトリックス状に形成され、有機薄膜トランジスタ20のソース電極21aに接続するデータ線21が垂直方向に形成され、有機薄膜トランジスタ20のゲート電極25aに接続するゲート線25が水平方向に形成されることにより、アクティブマトリクス回路18が形成される。例えば、画素電極22およびデータ線21は、有機薄膜トランジスタ20のソース電極21aおよびドレイン電極22aと同時に形成される。また、ゲート線25は、ゲート電極25aと同時に形成される。
【0051】
次に、図8(b)に示すように、アクティブマトリクス回路18の上層に例えばマイクロカプセル27を分散させたフィルムを形成する。マイクロカプセル27内には、それぞれ特性の異なる複数種の電気泳動粒子、例えば、電荷および色の異なる2種の電気泳動粒子を含む電気泳動分散液が封入されている。続いて、マイクロカプセルを含むフィルム上に、対向電極28を形成する。例えば、ITO等の透明電極材料からなるシートをラミネートする。なお、対向電極28を含む対向基板を配線基板に貼り付けてもよい。この場合には、可撓性を有する対向基板を使用する。
【0052】
以上のようにして、電気泳動表示デバイス用の配線基板が製造される。なお、本発明に係る配線基板は、有機ELデバイス用、液晶デバイス用等にも使用することができ、表示方式に限定はない。また、本実施形態に係る配線基板は、ディスプレイ以外にも適用可能である。
【0053】
電気泳動表示デバイスでは、ゲート線25に選択信号(選択電圧)が供給されると、この選択信号が供給されたゲート線25に接続する有機薄膜トランジスタ20がオン状態となる。これにより、当該有機薄膜トランジスタ20に接続されているデータ線21と画素電極22とは実質的に導通する。このとき、データ線21に所望のデータ(電圧)を供給した状態であれば、このデータ(電圧)は画素電極22に供給される。このとき、画素電極22と対向電極28との間に電界が生じ、この電界の方向、強さ等に応じて、マイクロカプセル27中の電気泳動粒子はいずれかの電極22または28に向かって電気泳動する。
【0054】
一方、この状態から、ゲート線25への選択信号の供給を停止すると、有機薄膜トランジスタ20はオフとなり、かかる有機薄膜トランジスタ20に接続されているデータ線21と画素電極22とは非導通状態となる。したがって、ゲート線25への選択信号の供給および停止、あるいは、データ線21へのデータの供給および停止を適宜組み合わせて行なうことにより、電気泳動表示装置の表示画素には所望の画像を表示させることができる。
【0055】
図9は、本発明の電子機器の例として、フレキシブルディスプレイの概略構成を示す図である。図9では、非接触に画像情報が配信されるタイプのフレキシブルディスプレイの例を示すが、これに限定されるものではない。
【0056】
フレキシブルディスプレイ100は、可撓性基板11上に形成された画素部101と、垂直ドライバ102と、水平ドライバ103と、CPU104と、RAM105、RF回路106と、アンテナ107とを有する。各部101〜107は、可撓性基板11上に形成された配線13に接続されている。
【0057】
画素部101は、図8に示したアクティブマトリクス回路18、マイクロカプセル27、対向電極28により構成される。
【0058】
垂直ドライバ102は、画素部101のゲート線25に接続されており、CPU104からの信号に基づいて、画素部101の画素を選択するための選択信号を出力する。垂直ドライバ102は、ゲート線25の数だけ出力可能なシフトレジスタを備える。
【0059】
水平ドライバ103は、画素部101のデータ線21に接続されており、画素部101の画素によって表示すべきデータに対応するデータ信号を出力する。水平ドライバ103は、データ線21の数だけ出力可能なシフトレジスタを備える。
【0060】
CPU104は、中央処理装置であり、所望のソフトウェアプログラムを実行することにより、装置全体の表示動作を制御する。RAM105は、CPU104の一時的な作業領域として使用される。
【0061】
RF回路106は、アンテナ107に信号を出力する送信回路と、アンテナ107からの信号を受信する受信回路とを有する。アンテナ107は、可撓性基板11の周囲にループ状に設けられている。
【0062】
太陽電池108は、光エネルギーを表示動作に必要な電力に変換する。当該電力は、CPU104等に供給される。太陽電池108は、例えば、pn接合型、または色素増感型の構造をもつ。pn接合型の場合には、例えばポリシリコンなどのシリコン系材料を用いて、太陽電池が形成される。色素増感型の場合には、有機材料を用いて、可撓性基板11に直接太陽電池が形成される。
【0063】
図9に示すフレキシブルディスプレイでは、アンテナ107により外部からの電波を受信すると、当該電波に載せられている画像情報がRF回路により取り出され、CPU104により当該画像信号が選択信号とデータ信号とに分けられて、それぞれ垂直ドライバ102と水平ドライバ103に振り分けて出力される。
【0064】
上記の本実施形態に係るフレキシブルプレイでは、図1に示した電子素子15を実装することにより、画素部101の周辺回路、例えば、垂直ドライバ102、水平ドライバ103、CPU104、RAM105、RF回路106が形成される。また、画素部101は、可撓性基板11上に直接形成される。太陽電池108については、太陽電池の機能をもつ電子素子15を可撓性基板11に実装することにより形成しても、可撓性基板11上に直接形成してもよい。
【0065】
以上説明したように、本実施形態に係る配線基板の製造方法によれば、突起部31を備える支持基板30上に可撓性基板11を搭載することにより、配線13の接続部13aを周囲に比べて盛り上げることができ、導電性粒子14aに必要な圧力を加えることができる。また、可撓性基板11の裏面から突起部31で押し付けているため、可撓性基板11の剛性が低くても、接続部13aにおいて必要な金属接合が得られる程度にまで導電性粒子14aを押圧することができる。
【0066】
このように、可撓性基板11側に突起電極(バンプ)を設けなくても、端子17との間に導電性粒子14aを挟んで導通を得ることができることから、可撓性基板11にバンプ形成のためのめっき処理を施す必要がなくなる。この結果、プラスチック製等の可撓性基板にめっきによるダメージを与えずに済み、可撓性基板上に作製するアクティブマトリクス回路18の特性への影響をなくすことができる。
【0067】
また、上記配線基板を備えることにより、信頼性を向上させたディスプレイを実現することができる。ポリシリコンTFTを含む電子素子15を用いて周辺回路を形成することにより、有機TFTを用いる場合に比べて、駆動能力を向上させたディスプレイを実現することができる。
【0068】
さらに、可撓性基板11上にスイッチング素子として有機TFTを備える画素部101を形成することにより、画素部101を塗布法や印刷法により形成することができ、材料やエネルギーの消費を抑制することができる。このため、環境への負荷も少なく、安価に製造することができる。また、画素部101はディスプレイ全体の駆動能力には影響が少ないため、ディスプレイの駆動能力を落とすことなく、上述した製造上のメリットが得られる。
【0069】
ただし、本発明の電子機器は、上述した可撓性を有する配線基板を備えていればよく、電子ペーパ以外の表示装置例えば、液晶表示装置、有機EL表示装置等に適用することもできる。また、本発明の電子機器は、表示装置以外にも適用可能であり、例えば、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、電子新聞、ワードプロセッサパーソナルコンピュータ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等を挙げることができる。
【0070】
本発明は、上記の実施形態の説明に限定されない。
本発明は、配線以外の導電膜と、電子素子との接続にも適用可能である。
その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】第1実施形態に係る配線基板の断面図である。
【図2】電子素子と可撓性基板の間の領域における拡大断面図である。
【図3】第1実施形態に係る配線基板の製造における工程断面図である。
【図4】第1実施形態に係る配線基板の製造における工程断面図である。
【図5】第1実施形態に係る配線基板の製造における工程断面図である。
【図6】第1実施形態に係る配線基板の製造における工程断面図である。
【図7】第1実施形態に係る配線基板の製造における工程断面図である。
【図8】第1実施形態に係る配線基板の製造における工程断面図である。
【図9】電子機器の例として、フレキシブルディスプレイの概略構成を示す図である。
【符号の説明】
【0072】
10…配線基板、11…可撓性基板、13…配線、13a…接続部、14…異方性導電接着剤、14a…導電性粒子、14b…バインダ、15…電子素子、16…薄膜トランジスタ、17…端子、18…アクティブマトリクス回路、20…有機薄膜トランジスタ、21a…ソース電極、21…データ線、22a…ドレイン電極、22…画素電極、23…有機半導体層、24…ゲート絶縁層、25a…ゲート電極、25…ゲート線、27…マイクロカプセル、28…対向電極、30…支持基板、31…突起部、40…基板、41…剥離層、42…下地層、43a…アモルファスシリコン層、43…ポリシリコン層、44…ゲート絶縁膜、45…ゲート電極、46…層間絶縁膜、47…ソース電極、48…ドレイン電極、100…フレキシブルディスプレイ、101…画素部、102…垂直ドライバ、103…水平ドライバ、104…CPU、105…RAM、106…RF回路、107…アンテナ、108…太陽電池

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の面に導電膜が形成された可撓性基板の他方の面と、突起部が形成された支持基板とを、前記突起部と前記導電膜の一部が重なるように貼り合わせる貼り合せ工程と、
前記可撓性基板の前記導電膜の一部を含む領域上に、導電性接着剤を介して、電子素子を押圧する押圧工程と、
を有する配線基板の製造方法。
【請求項2】
突起部が形成された支持基板に可撓性基板を貼り合わせる貼り合せ工程と、
前記可撓性基板上に、一部が前記突起部上に位置するように導電膜を形成する導電膜形成工程と、
前記可撓性基板の前記導電膜の一部を含む領域上に、導電性接着剤を介して、電子素子を押圧する押圧工程と、
を有する配線基板の製造方法。
【請求項3】
前記電子素子を押圧する工程において、突起状の端子を有する前記電子素子を押圧して、前記導電膜の一部と、前記端子とを導電性接着剤を介して接合させる、
請求項1または2に記載の配線基板の製造方法。
【請求項4】
前記導電性接着剤が、接着剤と、前記接着剤中に分散された導電性粒子と、を含む、
請求項1〜3のいずれかに記載の配線基板の製造方法。
【請求項5】
前記貼り合せ工程において、前記可撓性基板の前記一方の面のうち、前記突起部と重なった部分が、前記突起部と重なっていない部分と比べ、隆起している、
請求項1〜4のいずれかに記載の配線基板の製造方法。
【請求項6】
前記貼り合せ工程において、前記可撓性基板の前記一方の面のうち、前記突起部と重なった部分が、前記突起部と重なっていない部分と比べ、5μm以上隆起している、
請求項1〜4のいずれかに記載の配線基板の製造方法。
【請求項7】
前記導電膜が配線である、請求項1〜6のいずれかに記載の配線基板の製造方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の配線基板の製造方法により製造された配線基板を備える、
電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−118056(P2008−118056A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−302026(P2006−302026)
【出願日】平成18年11月7日(2006.11.7)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】