説明

配線基板及び配線基板の製造方法

【課題】耐落下衝撃性の低下を抑制しつつも、パッド表面の酸化等を抑制することのできる配線基板及び配線基板の製造方法を提供する。
【解決手段】配線基板は、配線層21と絶縁層20が積層され、配線層21に接続され且つ最外層の第1絶縁層20の第1主面20Aから露出されるパッドP1が形成されている。このパッドP1は、第1絶縁層20の第1主面20Aから露出されるAu層(第1金属層11)と、第1金属層11に積層されたPd層(第2金属層12)と、第2金属層12と配線層21との間に形成されたCu層(第3金属層13)とからなる3層構造を有している。また、第1金属層11の第1主面11Aは、凹凸の極めて少ない平滑面に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板及び配線基板の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体パッケージ等に用いられる配線基板として、配線パターンを高密度化するため、コア基板の上下両面にビルドアップ配線層と絶縁層とを積層したビルドアップ配線基板が知られている。
【0003】
ところで、近年では、搭載される半導体チップの高密度化が進み、ビルドアップ配線基板に対し、更なる配線パターンの高密度化や、配線基板の薄型化が要求されている。しかしながら、ビルドアップ配線基板では、配線層と絶縁層の部分はビルドアップ法で積層しているため薄く形成することができるものの、コア基板の部分は配線基板に剛性を持たせるために相応の厚さを必要とするため、配線基板全体としての薄型化に限界があった。そこで、配線基板の更なる薄型化を図るべく、コア基板(支持部材)を除去した配線基板、いわゆるコアレス基板が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
コアレス基板の基本的なプロセスは、まず支持体としての仮基板を用意し、この仮基板上にパッドを形成し、次いで所要の層数のビルドアップ配線層と絶縁層とを積層した後、最終的に仮基板を除去するものである。このようなコアレス基板では、従来のビルドアップ配線基板と異なり、コア基板が存在しないため、配線基板の薄型化を実現することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−323613号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記支持体上に形成されるパッドは、その層構成として、一般に複数の金属層が積層された構造を有している。その典型的な層構成として、金(Au)層とニッケル(Ni)層からなる2層構造や、Au層とPd層とNi層とからなる3層構造のものが知られている。このような構造のパッドでは、ワイヤボンディング性には優れているものの、鉛(Pb)フリーのはんだと接続した場合に、Niが錫(Sn)及びCuと三元合金を形成し、耐落下衝撃性が低下するという問題がある。
【0007】
一方、その他の典型的な層構成として、OSP(Organic Solderbility Preservative)処理により形成された水溶性プリフラックスによる被膜(OSP膜)とCu層とからなる2層構造のものが知られている。このような構造のパッドでは、Niが存在しないため耐落下衝撃性の低下という問題は発生しないものの、OSP膜が酸化・変色されやすいという問題がある。
【0008】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、耐落下衝撃性の低下を抑制しつつも、パッド表面の酸化等を抑制することのできる配線基板及び配線基板の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一観点によれば、配線層と絶縁層が積層され、前記配線層に接続され且つ最外層の絶縁層の表面から露出されるパッドが形成された配線基板であって、前記パッドは、前記最外層の絶縁層の表面から露出される第1金属層と、前記第1金属層と前記配線層との間に形成された第2金属層とからなり、前記第1金属層は、金又は銀から選択される金属、もしくは金及び銀の少なくとも一種を含む合金からなり、前記第2金属層は、パラジウム又はパラジウム合金からなる。
【0010】
この構成によれば、パッドにニッケル(Ni)が含まれない層構成としたため、パッドに鉛フリーはんだ等を形成した場合にも、耐落下衝撃性の低下などの問題が発生しない。また、パッドの最表層に、安定性の高いAu等からなる第1金属層が形成されるため、パッド表面の酸化や変色を好適に抑制することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一観点によれば、耐落下衝撃性の低下を抑制しつつも、パッド表面の酸化等を抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1実施形態の配線基板を示す概略断面図。
【図2】第1実施形態の配線基板のパッド周辺を拡大した拡大断面図。
【図3】第1実施形態の半導体装置を示す概略断面図。
【図4】(a)〜(d)は、第1実施形態の配線基板の製造過程における状態を示す概略断面図。
【図5】(a)、(c)、(d)は、第1実施形態の配線基板の製造過程における状態を示す概略断面図、(b)及び(e)は各々、(a)及び(d)の要部を拡大した拡大断面図。
【図6】(a)〜(e)は、第1実施形態の配線基板の製造過程における状態を示す概略断面図。
【図7】(a)〜(c)は、第1実施形態の半導体装置の製造過程における状態を示す概略断面図。
【図8】表面粗さとエッチング耐性との関係を示すグラフ。
【図9】(a)、(b)は、ピンホールを説明するための説明図。
【図10】第2実施形態の配線基板を示す概略断面図。
【図11】第2実施形態の配線基板のパッド周辺を拡大した拡大断面図。
【図12】第2実施形態の半導体装置を示す概略断面図。
【図13】(a)〜(d)及び(f)は、第2実施形態の配線基板の製造過程における状態を示す概略断面図、(e)は、(d)の要部を拡大した拡大断面図。
【図14】(a)及び(c)〜(e)は、第2実施形態の配線基板の製造過程における状態を示す概略断面図、(b)は、(a)の要部を拡大した拡大断面図。
【図15】(a)〜(d)は、第2実施形態の配線基板及び半導体装置の製造過程における状態を示す概略断面図。
【図16】(a)〜(e)及び(g)は、変形例の配線基板の製造過程における状態を示す概略断面図、(f)は、(e)の要部を拡大した拡大断面図。
【図17】(a)〜(f)は、変形例の配線基板及び半導体装置の製造過程における状態を示す概略断面図。
【図18】(a)、(b)は、変形例の半導体装置を示す概略断面図。
【図19】(a)、(b)は、変形例の半導体装置を示す概略断面図。
【図20】変形例の配線基板を示す概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して各実施形態を説明する。尚、添付図面は、構造の概略を説明するためのものであり、実際の大きさを表していない。また、断面図では、各部材の断面構造を分かりやすくするために、絶縁層のハッチングを省略している。
【0014】
(第1実施形態)
以下、第1実施形態を図1〜図9に従って説明する。
(配線基板)
まず、配線基板1の構造について説明する。
【0015】
図1に示すように、配線基板1は、複数の第1〜第4配線層10,21,31,41が第1〜第3絶縁層20,30,40を介在させて積層され、各絶縁層20,30,40に形成されたビアホールVH1,VH2,VH3に充填されたビア21a,31a,41aを介して層間接続された構造を有している。このように、本実施形態の配線基板1は、一般的なビルドアップ法を用いて作製される配線基板(支持基材としてのコア基板の両面又は片面に所要数のビルドアップ層を順次形成して積層したもの)とは異なり、支持基材を含まない「コアレス基板」の形態を有している。
【0016】
なお、第2〜第4配線層21,31,41(ビア21a,31a,41aを含む)の材料としては、例えば銅や銅合金などの金属を用いることができる。また、第1〜第3絶縁層20,30,40の材料としては、例えばエポキシ系樹脂やポリイミド系樹脂などの絶縁性樹脂を用いることができる。
【0017】
配線基板1の一方の面側(図1の例では上側)の最外層の第1絶縁層20の第1主面20A(図1の例では上面)には、パッドP1を露出させる凹部20Xが形成されている。図2に示すように、この凹部20Xの側壁の一部には、平面視においてパッドP1の第1主面11Aの一部を覆うように、凹部20Xの中心に向かって突出する突出部20Bが形成されている。また、突出部20Bは、断面視において湾曲状に突出するように形成されている。この突出部20Bの表面及び第1絶縁層20の第1主面20Aは粗面化されており、微細な凹凸形状が形成されている。これら粗面化された第1絶縁層20の表面の粗度は、例えば表面粗さRa値で0.5〜2μmとなるように設定されている。ここで、表面粗さRa値とは、表面粗さを表わす数値の一種であり、算術平均粗さと呼ばれるものであって、具体的には測定領域内で変化する高さの絶対値を平均ラインである表面から測定して算術平均したものである。
【0018】
パッドP1は、上記第1絶縁層20の凹部20Xから露出されている第1金属層11と、その第1金属層11に積層されている第2金属層12と、その第2金属層12と上記ビア21aとの間に形成されている第3金属層13とからなる3層構造を有している。なお、パッドP1の平面形状は図示を省略するが、例えば円形である。
【0019】
第1金属層11は、半導体素子(チップ)等の電極端子(バンプ等)がはんだ14を介して接合されるため、コンタクト性(はんだ付け性)の良好な材料によって形成されている。さらに、第1金属層11の材料としては、比較的酸化され難い安定金属であることが好ましい。この第1金属層11の材料としては、例えば金(Au)や銀(Ag)などの金属又はこれらの金属を少なくとも一種以上含む合金を用いることができ、本実施形態ではAuを用いている。第1絶縁層20から露出されている第1金属層11の第1主面11Aは、凹凸が極めて少ない平滑面である。具体的には、第1金属層11の第1主面11Aの粗度は、表面粗さRa値で0.21μm未満となるように設定されている。より具体的には、第1金属層11の第1主面11Aの粗度は、エッチング耐性の点から、表面粗さRa値で0μm以上0.21μm未満の範囲が好ましく、0.1μm以上0.21μm未満の範囲がより好ましい。なお、このような第1金属層11の第1主面11Aは、光沢又は半光沢である。
【0020】
また、第1金属層11の側面は、第1絶縁層20に覆われている。この第1金属層11の厚さは、できる限り薄膜化しつつも、その下層の第3金属層13に対する良好な被覆性を得るためには、0.02〜0.5μmの範囲が好ましく、0.02〜0.1μmの範囲がより好ましい。
【0021】
第2金属層12は、第1金属層11と第3金属層13の間に介在することで、第3金属層13やビア21aに含まれる金属(ここでは、銅(Cu))が第1金属層11に拡散するのを防止する役割を果たす。このような機能を実現するための材料としては、例えばパラジウム(Pd)又はパラジウム合金(但し、ニッケル(Ni)を含まない合金)を用いることができ、本実施形態ではPdを用いている。この第2金属層12の側面は、第1絶縁層20に覆われている。この第2金属層12の厚さは、できる限り薄膜化しつつも、その下層の第3金属層13に対する良好な被覆性を得るためには、0.03〜0.5μmの範囲が好ましく、0.03〜0.1μmの範囲がより好ましい。
【0022】
第3金属層13は、上記第2金属層12と接続される面とは反対側の第1主面13Aにビア21aが直接接続されるため、良好な導電性を有する材料によって形成されている。さらに、第3金属層13の第1主面13Aの一部及び側面13Bが第1絶縁層20によって覆われているため、この第3金属層13の材料としては、第1絶縁層20(樹脂)との密着性が良好な材料であることが好ましい。この第3金属層13の材料としては、例えばCuや銅合金などの金属を用いることができる。また、第3金属層13の第1主面13A及び側面13Bは粗面化されており、微細な凹凸形状が形成されている。これにより、第3金属層13と第1絶縁層20との密着性を、第3金属層13の第1主面13Aが平滑面である場合よりも増大させることができる。さらに、このような第1絶縁層20との密着性の点から、第3金属層13の厚さは、10〜20μmの範囲が好ましい。このような厚さに設定することにより、第3金属層13において、第1絶縁層20と接する表面積が大きくなるため、第1絶縁層20に対して良好な密着性を得ることができる。
【0023】
このような構造を有するパッドP1には、配線基板1に搭載される半導体素子(チップ)等の電極端子がはんだ14等を介してフリップチップ接続されるようになっている。すなわち、本実施形態では、パッドP1が形成されている上側の面がチップ搭載面となっている。
【0024】
図1に示すように、上記第2配線層21は、上記パッドP1の第3金属層13と接続されているビア21aと、そのビア21aに接続されている配線パターン21bとを有している。第3配線層31は、配線パターン21bと接続されているビア31aと、そのビア31aに接続されている配線パターン31bとを有している。第4配線層41は、配線パターン31bと接続されているビア41aと、そのビア41aに接続されている配線パターン41bとを有している。これら第2〜第4配線層21,31,41のビア21a,31a,41aはそれぞれ、図1において下側(配線パターン41b側)から上側(パッドP1側)になるにつれて径が小さくなるテーパ状に形成されている。具体的には、ビア21a,31a,41aはそれぞれ、パッドP1側の端面が配線パターン41b側の端面よりも小径となる円錐台形状に形成されている。
【0025】
上記パッドP1が形成されている面と反対側(図1の例では下側)の最外層の第3絶縁層40には、ソルダレジスト層42が積層されている。ソルダレジスト層42の材料としては、例えばエポキシ系樹脂などの絶縁性樹脂を用いることができる。このソルダレジスト層42には、上記配線パターン41bの一部を外部接続用パッドP2として露出させるための開口部42Xが形成されている。このソルダレジスト層42から露出する外部接続用パッドP2には、配線基板1をマザーボード等に実装する際に使用されるはんだボールやリードピン等の外部接続端子が接合されるようになっている。すなわち、本実施形態では、外部接続用パッドP2が形成されている下側の面が外部接続端子接合面となっている。なお、外部接続用パッドP2の平面形状は図示を省略するが、例えば円形である。
【0026】
(半導体装置)
次に、上記配線基板1を用いた半導体装置2の構造を説明する。
図3に示すように、半導体装置2は、配線基板1と、その配線基板1にフリップチップ接合される半導体素子50と、アンダーフィル樹脂52とを有している。配線基板1のパッドP1には、はんだ14が形成されている。このはんだ14としては、例えば共晶はんだや鉛(Pb)フリーはんだ(Sn−Ag系、Sn−Cu系、Sn−Ag−Cu系など)を用いることができる。
【0027】
半導体素子50は、その回路形成面(図3の例では、下面)に、複数のバンプ51が形成されている。この半導体素子50は、バンプ51及びはんだ14を介して、配線基板1のパッドP1と電気的に接続されている。
【0028】
アンダーフィル樹脂52は、配線基板1と半導体素子50との隙間を充填するように設けられている。このアンダーフィル樹脂52は、バンプ51とパッドP1との接続部分の接続強度を向上させると共に、パッドP1の腐食やエレクトロマイグレーションの発生を抑制し、パッドP1の信頼性の低下を防ぐための樹脂である。このアンダーフィル樹脂52の材料としては、例えばエポキシ系樹脂などの絶縁性樹脂を用いることができる。
【0029】
(配線基板の製造方法)
次に、上記配線基板1の製造方法を説明する。
まず、配線基板1を製造するためには、図4(a)に示すように、支持体60を用意する。この支持体60としては、例えば金属板や金属箔を用いることができ、本実施形態では、例えば銅箔を用いる。この支持体60の厚さは、例えば35〜100μmである。
【0030】
次に、図4(b)に示すように、支持体60の第1主面60A(図中の上面)に対して粗化処理を施す(粗化工程)。この粗化処理は、支持体60の第1主面60Aの粗度が、表面粗さRa値で0.5〜2μmとなるように行われる。この処理により、支持体60の第1主面60Aに微細な凹凸が形成され、その第1主面60Aが粗面化される。なお、この粗化処理は、例えばエッチング、酸化、めっき、ブラスト等によって行うことができる。
【0031】
続いて、図4(c)に示すように、支持体60の第1主面60Aに、開口部61Xを有するレジスト層61を形成する(レジスト形成工程)。開口部61Xは、上記パッドP1(図1参照)の形成領域に対応する部分の支持体60の第1主面60Aを露出するように形成される。このとき、支持体60の第1主面60Aが粗面化されているため、その第1主面60Aとレジスト層61との間で良好な密着性を得ることができる。
【0032】
レジスト層61の材料としては、感光性のドライフィルム又は液状のフォトレジスト(ノボラック系樹脂やエポキシ系樹脂等の液状レジスト)等を用いることができる。例えば感光性のドライフィルムを用いる場合には、支持体60の第1主面60Aにドライフィルムを熱圧着によりラミネートし、そのドライフィルムを露光・現像によりパターニングして、パッドP1の形成領域に対応する所定パターンの開口部61Xを持つレジスト層61を形成する。なお、液状のフォトレジストを用いる場合にも、同様の工程を経て、レジスト層61を形成することができる。
【0033】
次に、図4(d)に示すように、上記レジスト層61をめっきマスクとして、支持体60の第1主面60Aに、支持体60をめっき給電層に利用する電解めっきを施す。具体的には、レジスト層61の開口部61Xから露出された支持体60の第1主面60Aに電解めっき(ここでは、電解銅めっき)を施すことにより、表面62Aが平滑化された平滑面めっき層62を形成する(平滑化工程)。これにより、後工程においてパッドP1が形成される面が凹凸の極めて少ない平滑面となる。ここで、このめっき層62の表面62Aの粗度としては、表面粗さRa値で0.21μm未満が好ましく、0μm以上0.21μm未満の範囲がより好ましく、0.1μm以上0.21μm未満の範囲が最も好ましい。換言すると、上述したような粗度(平滑面)となるように、電解めっきで使用されるめっき液の組成、電流密度や当該めっき層62の厚み等が予め調整されている。上記電解銅めっきでは、めっき液として、例えば硫酸銅、硫酸及び塩素の無機成分に、添加剤として、例えばレベラー、ポリマー及びブライトナーといった有機成分を添加したものを用いることができる。
【0034】
また、めっき層62の厚みは、図1に示した凹部20Xの上端(第1絶縁層20の第1主面20A)から第1金属層11の第1主面11Aまでの距離L1に相当し、例えば10〜20μmであり、図4(d)に示す開口部61Xの深さよりも薄い厚みに形成される。なお、このめっき層62の材料としては、後工程で支持体60を除去する際に支持体60と共に除去可能な材料であることが好ましく、例えば銅などの金属を用いることができる。
【0035】
次に、図5(a)に示すように、上記レジスト層61をめっきマスクとして、めっき層62の表面62Aに電解めっきを施し、めっき層62の表面62Aに第1金属層11と第2金属層12と第3金属層13とを順に積層する。具体的には、まず、図5(b)に示すように、めっき層62の表面62Aに、Auフラッシュめっきを施して厚さ0.02〜0.5μm(好適には0.02〜0.1μm)のAu層(第1金属層11)を形成する。このとき、支持体60の第1主面60Aが粗面化され該第1主面60Aとレジスト層61との密着性が良く、さらにその第1主面60Aに形成されためっき層62の表面62Aにめっき処理が施されるため、その処理に使用されるめっき液等が支持体60とレジスト層61との間(破線枠参照)に染み込むことが抑制される。続いて、第1金属層11上に、Pdフラッシュめっきを施して厚さ0.03〜0.5μm(好適には0.03〜0.1μm)のPd層(第2金属層12)を形成する。そして、第2金属層12上に、Cuめっきを施して厚さ5〜25μm(好適には10〜20μm)のCu層(第3金属層13)を形成する。このような第1〜第3金属層11〜13によってパッドP1が形成される。このとき、めっき層62の表面62Aに接する第1金属層11の第1主面11Aは、めっき層62の表面62Aに沿った形状に形成される、すなわち表面62Aの平滑面が第1金属層11の第1主面11Aに転写される。このため、第1金属層11の第1主面11Aは、凹凸が極めて少ない平滑面となる。具体的には、第1金属層11の第1主面11Aの粗度は、表面粗さRa値で0.21μm未満となる。
【0036】
続いて、図5(c)に示すように、めっきレジストとして用いたレジスト層61を除去する。例えばレジスト層61の材料としてドライフィルムを用いた場合には、水酸化ナトリウムやモノエタノールアミン系などのアルカリ性の薬液を用いてレジスト層61を除去することができる。一方、レジスト層61の材料としてノボラック系樹脂やエポキシ系樹脂等の液状レジストを用いた場合には、アセトンやアルコール等を用いてレジスト層61を除去することができる。
【0037】
次に、図5(d)に示すように、第3金属層13の第1主面13Aに対して粗化処理を施す(粗化工程)。この粗化処理は、第3金属層13の第1主面13Aの粗度が、表面粗さRaで0.5〜2μmとなるように行われる。このような粗化処理によって、第3金属層13の第1主面13A及び側面13Bに微細な凹凸が形成されて、それら第1主面13A及び側面13Bが粗面化される。この処理は、図6(a)に示す後工程において、第3金属層13に対して第1絶縁層20を密着させやすくするために行われる。粗化処理としては、例えば等方性エッチング(例えばウェットエッチング)などを用いることができる。なお、この粗化処理では、第3金属層13と同様に銅からなる支持体60の第1主面60Aも粗化される。
【0038】
さらに、等方性エッチングでは、エッチングがマスク(第1及び第2金属層11,12)に対して垂直方向だけではなく水平方向にも進行するため、図5(e)に示すように、第3金属層13と同様に銅からなる上記めっき層62の側壁62Bもエッチングされる(サイドエッチング、アンダーカット)。これにより、めっき層62の側壁62Bが内側に向かって湾曲状に凹むように一部除去されるとともに、その側壁62Bの表面に微細な凹凸が形成されて粗面化される。換言すると、上層の第1及び第2金属層11,12の端部が下層のめっき層62から外側にはみ出した構造、いわゆるオーバーハング構造が形成される。このように、本粗化処理は、第3金属層13の第1主面13A及び側面13B、支持体60の第1主面60A及びめっき層62の側壁62Bをエッチングするように行われる。
【0039】
なお、この粗化処理では、Auからなる第1金属層11とPdからなる第2金属層12の表面が粗化されないように、これら第1及び第2金属層11,12に対して第3金属層13及びめっき層62が選択的にエッチングされるようにエッチング液等の条件が設定されている。このため、第1金属層11及び第2金属層12は当該粗化処理の影響を受けず、これら金属層11,12の表面は粗面化されない。
【0040】
次に、図6(a)に示すように、支持体60の第1主面60Aに、パッドP1を覆うように第1絶縁層20を形成する。第1絶縁層20の一部は、第1金属層11の下に入り込むように形成される。これにより、パッドP1の一部を覆う上記突出部20Bが形成される。この突出部20Bは上記めっき層62の側壁62Bと接するため、その側壁62Bに沿った形状に形成される、すなわち側壁62Bの形状が突出部20Bに転写される。このため、突出部20Bは、めっき層62の内側に向かって湾曲状に突出された形状になるとともに、その表面に微細な凹凸が形成される。また、支持体60の第1主面60Aと接する第1絶縁層20の第1主面20Aには、支持体60の第1主面60Aの形状が転写されるため、微細な凹凸が形成される。
【0041】
なお、上記第1絶縁層20は、例えば支持体60に樹脂フィルムをラミネートした後に、樹脂フィルムを押圧しながら130〜150℃程度の温度で熱処理して硬化させることにより形成することができる。
【0042】
続いて、図6(b)に示すように、上記第3金属層13の第1主面13Aが露出されるように、第1絶縁層20の所定箇所にビアホールVH1を形成する。このビアホールVH1は、例えば炭酸ガスレーザやエキシマレーザ等によるレーザ加工法によって形成することができる。なお、第1絶縁層20が感光性樹脂を用いて形成されている場合には、例えばフォトリソグラフィ法により所要のビアホールを形成するようにしてもよい。
【0043】
次いで、図6(c)に示すように、第1絶縁層20のビアホールVH1にビア導体を充填してビア21aを形成するとともに、そのビア21aを介してパッドP1(第3金属層13)に接続される配線パターン21bを第1絶縁層20上に形成する。これらビア21a及び配線パターン21b、つまり第2配線層21は、例えばセミアディティブ法によって形成することができる。
【0044】
具体的には、まず、無電解めっきやスパッタリング等により、ビアホールVH1の内壁面を含む第1絶縁層20上にCuのシード層(図示略)を形成した後、配線パターン21bの形状に対応した開口部を有するレジスト層(図示略)を形成する。続いて、このレジスト層の各開口部から露出しているシード層上に、このシード層を給電層として利用した電解Cuめっきにより、導体パターンを形成する。そして、レジスト層を除去後、導体パターンをマスクにしてシード層をエッチングすることにより、第2配線層21が形成される。
【0045】
なお、第2配線層21の形成方法としては、上述したセミアディティブ法の他にサブトラクティブ法などの各種の配線形成方法を採用することもできる。
続いて、図6(a)〜図6(c)に示した工程を繰り返すことにより、絶縁層と配線層とを交互に積層する。すなわち、図6(d)に示すように、絶縁層20及び配線層21上に絶縁層30を形成し、この絶縁層30に、配線パターン21bの表面に達するビアホールVH2を形成した後、このビアホールVH2にビア31aを形成するとともに、そのビア31aに接続される配線パターン31bを形成する。次に、絶縁層30及び配線層31上に絶縁層40を形成し、この絶縁層40に、配線パターン31bの表面に達するビアホールVH3を形成した後、このビアホールVH3にビア41aを形成するとともに、そのビア41aに接続される配線パターン41bを形成する。
【0046】
次に、図6(d)に示すように、第4配線層41の所要の箇所に画定されるパッドP2を露出させるための開口部42Xを有するソルダレジスト層42を絶縁層40及び配線層41上に形成する。このソルダレジスト層42は、例えば感光性のソルダレジストフィルムをラミネートし、又は液状のソルダレジストを塗布し、当該レジストを所要の形状にパターニングすることにより形成することができる。これにより、ソルダレジスト層42の開口部42Xから第4配線層41の一部がパッドP2として露出される。なお、このパッドP2上に、Pdからなる金属層と、Au又はAgからなる金属層とを順に積層するようにしてもよい。なお、これらの金属層は、例えば無電解めっきにより形成することができる。
【0047】
続いて、図6(e)に示すように、仮基板として用いた支持体60とめっき層62とを除去する(除去工程)。例えば支持体60として銅箔を用い、めっき層62がCuからなる場合には、塩化第二鉄水溶液、塩化第二銅水溶液、過硫酸アンモニウム水溶液等を用いたウェットエッチングにより、支持体60及びめっき層62の除去を行うことができる。この除去工程により、第1絶縁層20に凹部20Xが形成されるとともに、その凹部20XによってパッドP1が第1絶縁層20から露出される。この除去工程の際、第1金属層11の第1主面11Aが平滑面であり被膜性が良いため、エッチング液が第3金属層13に侵入することを抑制することができ、ピンホールなどの発生を好適に抑制することができる。さらに、エッチング液の侵入しやすいパッドP1(第1金属層11)の端部が第1絶縁層20の突出部20Bによって覆われているため、その端部からエッチング液が侵入して第3金属層13がエッチングされることを好適に抑制することができる。なお、本除去工程では、パッドP1の最表面にAuからなる第1金属層11が形成されているため、パッドP1及び第1絶縁層20に対し、支持体60及びめっき層62を選択的にエッチングして除去することができる。
【0048】
以上の製造工程により、本実施形態の配線基板1を製造することができる。
(半導体装置の製造方法)
次に、上述のように製造された配線基板1を用いた半導体装置2の製造方法を説明する。
【0049】
まず、図7(a)に示すように、配線基板1のパッドP1にはんだ14を形成する。このはんだ14は、例えばはんだペーストの塗布やはんだボールの搭載により形成することができる。続いて、図7(b)に示すように、端子にバンプ51を形成した半導体素子50を、パッドP1上に位置決めし、はんだ14とバンプ51を溶融させ、半導体素子50とパッドP1とを電気的に接続する(フリップチップ接合)。そして、図7(c)に示すように、半導体素子50と配線基板1の第1絶縁層20との間に、液状のアンダーフィル樹脂52を充填し、硬化する。以上の製造工程により、本実施形態の半導体装置2を製造することができる。
【0050】
(パッドのエッチング耐性評価)
次に、図6(e)に示す除去工程で除去されるめっき層62と接する第1金属層11の第1主面11Aの表面粗さとエッチング耐性との関係についての評価を行った結果を説明する。図8は、第1金属層11の第1主面11Aの粗度を変えたときのパッドP1のエッチング耐性(ピンホールの発生率)の変化の様子を示している。具体的には、図6(d)に示す工程で得られた構造体に対して、図6(e)に示す工程、つまり支持体60及びめっき層62を除去するCuエッチング工程を複数回(ここでは、3回)行って、図9(a)、(b)に示すようなピンホールの発生率を測定することで、エッチング耐性を評価した。
【0051】
図8に示した結果から明らかなように、第1金属層11の第1主面11Aの表面粗さRa値が小さくなるほどピンホールの発生率が低くなり、パッドP1のエッチング耐性が高くなる。これは、第1金属層11の第1主面11Aの表面粗さRa値が小さくなるほど、第1金属層11及び第2金属層12の被覆性(ステップカバレジ)が向上することに起因していると考えられる。さらに、第1金属層11の第1主面11Aの表面粗さRa値が0.21μm未満になると、ピンホールの発生率が極めて低くなることが分かる(5%以下)。したがって、第1金属層11の第1主面11Aの表面粗さRa値が0.21μm未満になると、良好なエッチング耐性を得ることができ、図6(e)に示す除去工程においてパッドP1にピンホールが発生することを抑制することができる。換言すると、第1金属層11の第1主面11Aの表面粗さRa値を0.21μm未満に設定することにより、第1金属層11及び第2金属層12を、図6(e)に示す除去工程において第3金属層13や第2配線層21等がエッチングされることを防止するバリア膜として機能させることができる。
【0052】
なお、第1金属層11の第1主面11Aの表面粗さRa値が大きくなると、第1金属層11及び第2金属層12の被覆性(ステップカバレジ)が悪くなり、第1金属層11及び第2金属層12にピンホールが発生するために、図9に示すようなピンホールが発生すると考えられる。すなわち、第1金属層11及び第2金属層12に発生したピンホールからCuをエッチングするためのエッチング液が第3金属層13に侵入し、その第3金属層13がエッチングされることによって、図9に示すようなピンホールが発生すると考えられる。
【0053】
以上説明した本実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)パッドP1の層構成を、第1金属層11(Au層)と第2金属層12(Pd層)と第3金属層13(Cu層)とからなる3層構造とした。このようにパッドP1にNiが含まれない層構成としたため、パッドP1に鉛フリーはんだ等を形成した場合にも、耐落下衝撃性の低下などの問題が発生しない。また、パッドP1の最表層に、安定性の高いAuからなる第1金属層11が形成されるため、パッドP1表面、第2金属層12や第3金属層13などの酸化・変色を好適に抑制することができる。さらに、Auからなる第1金属層11とCuからなる第3金属層13との間に、バリア性の高いPdからなる第2金属層12が介在されるため、熱などによるAuとCuとの相互拡散を抑制することができる。
【0054】
(2)第1金属層11の第1主面11Aを、凹凸の極めて少ない平滑面となるように形成した。これにより、第1金属層11及び第2金属層12の被覆性が向上され、エッチング耐性を向上させることができる。したがって、例えば図6(e)に示す除去工程においてパッドP1にピンホールが発生することを好適に抑制することができる。さらに、第1金属層11及び第2金属層12の被覆性が向上されることによって、耐薬品性やはんだ接続性についても向上させることができる。
【0055】
(3)第1絶縁層20に、パッドP1の一部(端部周辺)を被覆する突出部20Bを形成するようにした。これにより、パッドP1と第1絶縁層20との密着性が増大されるため、パッドP1に半導体素子50のバンプ51や外部接続端子(はんだボールやピン等)を接合したときの引っ張り強度が高められる。したがって、配線基板1からパッドP1が剥離するといった問題の発生を好適に抑制することができる。
【0056】
(4)表面62Aが平滑化された平滑面めっき層62を形成し、その表面62A上に第1金属層11を形成することにより、第1金属層11の第1主面11Aに平滑面を形成するようにした。また、上記めっき層62の側壁62Bをエッチングした後に、その側壁62Bを覆うように第1絶縁層20を形成するようにした。これにより、第1絶縁層20に上記突出部20Bを形成することができる。また、図6(e)に示す除去工程の際に、突出部20Bが形成されていることにより、エッチング液がパッドP1(第1金属層11)の端部から第3金属層13側に侵入されることを抑制できる。したがって、第3金属層13がエッチングされることを好適に抑制することができる。
【0057】
(第2実施形態)
以下、第2実施形態を図10〜図15に従って説明する。先の図1〜図9に示した部材と同一の部材にはそれぞれ同一の符号を付して示し、それら各要素についての詳細な説明は省略する。
【0058】
(配線基板)
まず、配線基板3の構造について説明する。
図10に示すように、配線基板3は、複数の第1〜第4配線層10,21,31,41が第1〜第3絶縁層70,30,40を介在させて積層され、各絶縁層70,30,40に形成されたビアホールVH1,VH2,VH3に充填されたビア21a,31a,41aを介して層間接続された構造を有している。このように、本実施形態の配線基板3も上記第1実施形態の配線基板1と同様に、支持基材を含まない「コアレス基板」の形態を有している。
【0059】
この配線基板3の一方の面側(図10の例では上側)の最外層の第1絶縁層70には、パッドP3を露出させる凹部70Xが形成されている。図11に示すように、この凹部70Xの側壁の一部には、平面視においてパッドP3の第1主面11Aの一部を覆うように、凹部70Xの中心に向かって突出する突出部70Bが形成されている。この突出部70Bの表面が粗面化されており、微細な凹凸形状が形成されている。この突出部70Bの粗度は、例えば表面粗さRa値で0.5〜2μmとなるように設定されている。なお、凹部70Xの平面視は図示を省略するが、円形状である。このため、パッドP3の平面形状も円形である。
【0060】
また、第1絶縁層70の第1主面71(図11の例では上面)では、上記凹部70Xの側壁周辺に凹凸の少ない平坦面71Aが形成されるとともに、その平坦面71A以外の部分に微細な凹凸形状である粗化面71Bが形成されている。具体的には、平坦面71Aは、パッドP3の一部を覆う突出部70Bの上面に形成されている。本実施形態では、この平坦面71Aに、はんだ14が形成されるようになっている。この平坦面71Aの粗度は、例えば表面粗さRa値で0.3〜0.4μmである。一方、上記粗化面71Bの粗度は、例えば表面粗さRa値で0.5〜2μmとなるように設定されている。
【0061】
(半導体装置)
次に、上記配線基板3を用いた半導体装置4の構造を説明する。
図12に示すように、半導体装置4は、配線基板3と、その配線基板3にフリップチップ接合される半導体素子50と、アンダーフィル樹脂52とを有している。配線基板3のパッドP3には、はんだ14が形成されている。
【0062】
半導体素子50は、バンプ51及びはんだ14を介して、配線基板3のパッドP3と電気的に接続されている。アンダーフィル樹脂52は、配線基板3と半導体素子50との隙間を充填するように設けられている。
【0063】
(配線基板の製造方法)
次に、上記配線基板3の製造方法を説明する。
まず、配線基板3を製造するためには、図13(a)に示すように、支持体80を用意する。この支持体80としては、例えば金属板や金属箔を用いることができ、本実施形態では、例えば銅箔を用いる。この支持体80の厚さは、例えば35〜100μmである。
【0064】
次に、図13(b)に示すように、支持体80の第1主面80Aに、開口部81Xを有するレジスト層81を形成する(レジスト形成工程)。開口部81Xは、パッドP3(図10参照)の形成領域に対応する部分の支持体80の第1主面80Aを露出するように形成される。
【0065】
レジスト層81の材料としては、感光性のドライフィルム又は液状のフォトレジスト(ノボラック系樹脂やエポキシ系樹脂等の液状レジスト)等を用いることができる。例えば感光性のドライフィルムを用いる場合には、支持体80の第1主面80Aにドライフィルムを熱圧着によりラミネートし、そのドライフィルムを露光・現像によりパターニングして、パッドP3の形成領域に対応する所定パターンの開口部81Xを持つレジスト層81を形成する。なお、液状のフォトレジストを用いる場合にも、同様の工程を経て、レジスト層81を形成することができる。
【0066】
次に、図13(c)に示すように、上記レジスト層81をめっきマスクとして、支持体80の第1主面80Aに、支持体80をめっき給電層に利用する電解めっきを施す。具体的には、レジスト層81の開口部81Xから露出された支持体80の第1主面80Aに電解めっきを施すことにより、表面82Aが平滑化された平滑面めっき層82を形成する(平滑化工程)。これにより、後工程においてパッドP3が形成される面が凹凸の極めて少ない平滑面となる。ここで、このめっき層82の表面82Aの粗度としては、表面粗さRa値で0.21μm未満が好ましく、0μm以上0.21μm未満の範囲がより好ましく、0.1μm以上0.21μm未満の範囲が最も好ましい。換言すると、上述したような粗度となるように、電解めっきで使用されるめっき液の組成、電流密度や当該めっき層82の厚み等が予め調整されている。この電解めっきでは、めっき液として、例えば硫酸銅、硫酸及び塩素の無機成分に、添加剤として、例えばレベラー、ポリマー及びブライトナーといった有機成分を添加したものを用いることができる。
【0067】
また、めっき層82の厚みは、図11に示した凹部70Xの上端(第1絶縁層70の第1主面70A)から第1金属層11の第1主面11Aまでの距離L2に相当し、例えば5〜20μmであり、図13(c)に示す開口部81Xの深さよりも薄い厚みに形成される。このように、本実施形態では、粗化されていない支持体80上に平滑面めっき層82を形成するようにしたため、粗化された支持体80上に平滑面めっき層を形成する場合に比べてめっき層82の厚みを薄くしても、その表面を凹凸の極めて少ない平滑面に形成することができる。
【0068】
なお、このめっき層82の材料としては、後工程で支持体80を除去する際に支持体80と共に除去可能な材料であることが好ましく、例えば銅などの金属を用いることができる。
【0069】
次に、図13(d)に示すように、上記レジスト層81をめっきマスクとして、めっき層82の表面82Aに電解めっきを施し、めっき層82の表面82Aに第1金属層11と第2金属層12と第3金属層13とを順に積層する(パッド形成工程)。このような第1〜第3金属層11〜13によってパッドP3が形成される。図13(e)に示すように、めっき層82の表面82Aに接する第1金属層11の第1主面11Aは、めっき層82の表面82Aに沿った形状に形成される、すなわち表面82Aの平滑面が第1金属層11の第1主面11Aに転写される。このため、第1金属層11の第1主面11Aは、凹凸が極めて少ない平滑面となる。具体的には、第1金属層11の第1主面11Aの粗度は、表面粗さRaで0.21μm未満となる。この第1金属層11を形成する工程では、支持体80の第1主面80Aに形成されためっき層82の表面82Aにめっき処理が施されるため、その処理に使用されるめっき液等が支持体80とレジスト層81との間(破線枠参照)に染み込むことが抑制される。
【0070】
続いて、図13(f)に示すように、めっきマスクとして用いたレジスト層81を除去する。その後、図14(a)に示すように、第3金属層13の第1主面13A及び側面13B、支持体80の第1主面80A及びめっき層82の側壁82Bに対して粗化処理を施す。この粗化処理は、第3金属層13の第1主面13A及び側面13B、支持体80の第1主面80A及びめっき層82の側壁82B表面の粗度が、表面粗さRaで0.5〜2μmとなるように行われる。この粗化処理としては、例えば等方性エッチング(例えば、ウェットエッチング)などを用いることができる。図14(b)に示すように、このような粗化処理によって、第3金属層13の第1主面13A及び側面13Bに微細な凹凸が形成され、それら第1主面13A及び側面13Bが粗面化される。また、めっき層82の側壁82Bが内側に向かって凹むように一部除去され、その側壁82Bの表面に微細な凹凸が形成されて粗面化される。これにより、上層の第1及び第2金属層11,12の端部が下層のめっき層82から外側にはみ出したオーバハング構造が形成される。さらに、支持体80の第1主面80Aに微細な凹凸が形成され粗化面80Bが形成される。但し、エッチングの際にポスト(ここでは、めっき層82)が存在すると、そのポスト周辺ではエッチングの進行が遅くなるため、めっき層82の一部が除去されたことにより露出される支持体80の第1主面80Aはほとんど粗化されない。この粗化されていない面(以下、平坦面80Cという。)の粗度は、粗化前の支持体80の第1主面80Aの粗度と略同様の粗度になり、例えば表面粗さRa値で0.3〜0.4μmになる。
【0071】
なお、この粗化処理では、Auからなる第1金属層11とPdからなる第2金属層12の表面が粗化されないように、これら第1及び第2金属層11,12に対して第3金属層13、支持体80及びめっき層82が選択的にエッチングされるようにエッチング液等の条件が設定されている。このため、第1金属層11及び第2金属層12は当該粗化処理の影響を受けず、これら金属層11,12の表面は粗面化されない。
【0072】
次に、図14(c)に示すように、支持体80の第1主面80Aに、パッドP3を覆うように第1絶縁層70を形成する。第1絶縁層70の一部は、第1金属層11の下に入り込むように形成される。これにより、パッドP3の一部を覆う上記突出部70Bが形成される。この突出部70Bは上記めっき層82の側壁82Bと接するため、その側壁82Bに沿った形状に形成される、すなわち側壁82Bの形状が突出部70Bに転写される。このため、突出部70Bは、めっき層82の内側に向かって突出された形状になるとともに、その表面に微細な凹凸が形成される。また、支持体80の第1主面80Aと接する第1絶縁層70の第1主面71には、支持体80の第1主面80Aの形状が転写される。このため、上記突出部70Bの上面に対応する第1絶縁層70の第1主面71には、支持体80の平坦面80Cの形状に沿った平坦面71Aが形成される。また、それ以外の第1絶縁層70の第1主面71には、支持体80の粗化面80Bの形状に沿った粗化面71Bが形成される。なお、平坦面71Aの粗度は、例えば表面粗さRa値で0.3〜0.4μmとなり、粗化面71Bの粗度は、例えば表面粗さRa値で0.5〜2μmとなる。
【0073】
以下の工程は、上記第1実施形態と同様に行うことができるため、簡単に説明する。
図14(d)に示すように、上記第3金属層13の第1主面13Aが露出されるように、第1絶縁層70の所定箇所にビアホールVH1を形成する。次いで、そのビアホールVH1にビア導体を充填してビア21aを形成するとともに、そのビア21aを介してパッドP3に接続される配線パターン21bを第1絶縁層70上に形成する。
【0074】
続いて、図14(c)〜図14(e)に示した工程を繰り返すことにより、絶縁層と配線層とを交互に積層する。すなわち、図15(a)に示すように、絶縁層70及び配線層21上に絶縁層30を形成し、この絶縁層30に、配線パターン21bの表面に達するビアホールVH2を形成した後、このビアホールVH2にビア31aを形成するとともに、そのビア31aに接続される配線パターン31bを形成する。次に、絶縁層30及び配線層31上に絶縁層40を形成し、この絶縁層40に、配線パターン31bの表面に達するビアホールVH3を形成した後、このビアホールVH3にビア41aを形成するとともに、そのビア41aに接続される配線パターン41bを形成する。
【0075】
次に、図15(a)に示すように、第4配線層41の所要の箇所に画定されるパッドP2を露出させるための開口部42Xを有するソルダレジスト層42を絶縁層40及び配線層41上に形成する。
【0076】
続いて、図15(b)に示すように、仮基板として用いた支持体80とめっき層82とを除去する(除去工程)。例えば支持体80として銅箔を用い、めっき層82がCuからなる場合には、塩化第二鉄水溶液、塩化第二銅水溶液、過硫酸アンモニウム水溶液等を用いたウェットエッチングにより、支持体80及びめっき層82の除去を行うことができる。この除去工程により、第1絶縁層70に凹部70Xが形成されるとともに、その凹部70XによってパッドP3が第1絶縁層70から露出される。この除去工程の際、第1金属層11の第1主面11Aが平滑面であり被膜性が良いため、エッチング液が第3金属層13に侵入することを抑制することができ、ピンホールなどの発生を好適に抑制することができる。さらに、エッチング液の侵入しやすいパッドP3の端部が第1絶縁層70の突出部70Bによって覆われているため、その端部からエッチング液が侵入して第3金属層13がエッチングされることを好適に抑制することができる。なお、本除去工程では、パッドP3の最表面にAuからなる第1金属層11が形成されているため、パッドP3及び第1絶縁層70に対し、支持体80及びめっき層82を選択的にエッチングして除去することができる。
【0077】
以上の製造工程により、本実施形態の配線基板3を製造することができる。
(半導体装置の製造方法)
次に、上述のように製造された配線基板3を用いた半導体装置4の製造方法を説明する。
【0078】
まず、図15(c)に示すように、配線基板3のパッドP3にはんだ14を形成する。続いて、図15(d)に示すように、端子にバンプ51を形成した半導体素子50を、パッドP3上に位置決めし、はんだ14とバンプ51を溶融させ、半導体素子50とパッドP3とを電気的に接続する(フリップチップ接合)。そして、半導体素子50と配線基板3の第1絶縁層70との間に、液状のアンダーフィル樹脂52を充填し、硬化する。以上の製造工程により、本実施形態の半導体装置4を製造することができる。
【0079】
以上説明した実施形態によれば、第1実施形態の(1)〜(4)の効果に加えて以下の効果を奏する。
(5)パッドP3周辺の第1絶縁層70の第1主面71に(具体的には、突出部70Bの上面に)、凹凸の少ない平坦面71Aを形成するようにした。これにより、パッドP3にはんだボールが搭載しやすくなる。さらに、パッドP3にはんだボール等を搭載する際に、上記平坦面71Aにフラックスが塗布されることにより、粗化面にフラックスが塗布される場合よりも、はんだボール等の濡れ性を向上させることができる。
【0080】
(他の実施形態)
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の態様にて実施することもできる。
・上記各実施形態では、パッドP1,P3を形成する面を平滑化する平滑化工程において、表面62A,82Aが平滑化されためっき層62,82を形成するようにした。これに限らず、例えばパッドP1,P3を形成する面を、エッチングにより平滑化させるようにしてもよい。この場合の配線基板1Aの製造方法を以下に説明する。なお、ここでは、第1実施形態の製造方法を変形した例を説明する。
【0081】
まず、図16(a)に示すように、支持体90を用意する。次に、図16(b)に示すように、支持体90の第1主面90A(図中の上面)に対して粗化処理を施す。これにより、支持体90の第1主面90Aに微細な凹凸が形成され、その第1主面90Aが粗面化される。
【0082】
続いて、図16(c)に示すように、支持体90の第1主面90Aに、開口部91Xを有するレジスト層91を形成する(レジスト形成工程)。開口部91Xは、後工程で形成するパッドP4(図16(f)参照)の形成領域に対応する部分の支持体90の第1主面90Aを露出するように形成される。このレジスト層91の材料としては、所望の解像性があり、耐エッチング性及び耐めっき性がある材料であれば、特に限定されない。
【0083】
次に、図16(d)に示すように、レジスト層91をエッチングマスクとして、支持体90を第1主面90A側からエッチングして、レジスト層91の開口部91Xから露出された支持体90の第1主面90Aを平滑化して平滑面90Bを形成する(平滑化工程)。このエッチング処理は、平滑面90Bの粗度が、表面粗さRa値で0.21μm未満となるように行われる。これにより、レジスト層91の開口部91Xから露出される支持体90上に、凹凸の極めて少ない平滑面90Bを形成することができる。なお、この工程で使用されるエッチング液としては、例えば主成分が硫酸と過酸化水素からなる液を用いることができる。
【0084】
次に、図16(e)に示すように、上記レジスト層91をめっきマスクとして、支持体90の平滑面90Bに電解めっきを施し、その平滑面90B上に第1金属層11と第2金属層12と第3金属層13とを順に積層する(パッド形成工程)。このような第1〜第3金属層11〜13によってパッドP4が形成される。図16(f)に示すように、支持体90の平滑面90Bに接する第1金属層11の第1主面11Aは、平滑面90Bに沿った形状に形成される、すなわち平滑面90Bの形状が第1金属層11の第1主面11Aに転写される。このため、第1金属層11の第1主面11Aは、凹凸が極めて少ない平滑面となる。具体的には、第1金属層11の第1主面11Aの粗度は、表面粗さRaで0.21μm未満となる。
【0085】
続いて、図16(g)に示すように、エッチングマスク及びめっきマスクとして用いたレジスト層91を除去する。次に、図17(a)に示すように、第3金属層13の第1主面11A及び側面13Bに対して粗化処理を施す。この粗化処理は、第3金属層13の第1主面13Aの粗度が、表面粗さRaで0.5〜2μmとなるように行われる。
【0086】
次に、図17(b)に示すように、支持体90の第1主面90Aに、パッドP4を覆うように第1絶縁層100を形成する。このとき、支持体90の第1主面90Aと接する第1絶縁層100の第1主面100Aには、支持体90の第1主面90Aの形状(粗化面)が転写される。このため、第1絶縁層100の第1主面100Aには、微細な凹凸形状が形成される。
【0087】
続いて、図17(c)に示すように、上記第3金属層13の第1主面13Aが露出されるように、第1絶縁層100の所定箇所にビアホールVH1を形成する。次いで、図17(d)に示すように、そのビアホールVH1にビア導体を充填してビア21aを形成するとともに、そのビア21aを介してパッドP4に接続される配線パターン21bを第1絶縁層100上に形成する。
【0088】
続いて、図17(b)〜図17(d)に示す工程を繰り返すことにより、図17(e)に示すように、第2及び第3絶縁層30,40と第3及び第4配線層31,41とを交互に積層する。次いで、第4配線層41の所要の箇所に画定されるパッドP2を露出させるための開口部42Xを有するソルダレジスト層42を絶縁層40及び配線層41上に形成する。
【0089】
続いて、図17(f)に示すように、仮基板として用いた支持体90を除去する。例えば支持体90として銅箔を用いた場合には、塩化第二鉄水溶液、塩化第二銅水溶液、過硫酸アンモニウム水溶液等を用いたウェットエッチングにより、支持体90の除去を行うことができる。この際、パッドP4は最表面にAuからなる第1金属層11が形成されているため、パッドP4及び第1絶縁層100に対し、支持体90を選択的にエッチングして除去することができる。これにより、第1絶縁層100に形成された凹部100XからパッドP4が露出される。このような製造工程により製造された配線基板1Aでは、図17(f)に示すように、第1金属層11の第1主面11Aが、第1絶縁層100の第1主面100Aと略同一平面上に形成されることになる。
【0090】
なお、ここでは、第1実施形態の製造方法の変形例を説明したが、第2実施形態の製造方法についても同様に変更することができる。
・上記第1実施形態では、パッドP1の形成されている側の面をチップ搭載面とし、外部接続用パッドP2が形成されている側の面を外部接続端子接合面とした。これに限らず、例えば図18(a)に示すように、パッドP1の形成されている側の面を外部接続端子接合面とし、その反対側の面をチップ搭載面とするようにしてもよい。この場合、パッドP1には、当該配線基板1Bをマザーボード等に実装する際に使用されるはんだボールやピン等の外部接続端子が接合される。また、パッドP1の形成された側とは反対側の面に形成された配線パターン41bには、配線基板1Bに搭載される半導体素子50のバンプ51がはんだ45等を介してフリップチップ接続される。なお、この配線基板1B及び半導体装置2Bを製造する方法は、図4〜図7に示した製造工程と基本的には同じであるため、ここでは説明を省略する。
【0091】
・上記第2実施形態では、パッドP3の形成されている側の面をチップ搭載面とし、外部接続用パッドP2が形成されている側の面を外部接続端子接合面とした。これに限らず、例えば図18(b)に示すように、パッドP3の形成されている側の面を外部接続端子接合面とし、その反対側の面をチップ搭載面とするようにしてもよい。この場合、パッドP3には、配線基板3Aをマザーボード等に実装する際に使用されるはんだボールやリードピン等の外部接続端子が接合される。また、パッドP3の形成された側とは反対側の面に形成された配線パターン41bには、配線基板3Aに搭載される半導体素子50のバンプ51がはんだ45等を介してフリップチップ接続される。なお、この配線基板3A及び半導体装置4Aを製造する方法は、図13〜図15に示した製造工程と基本的には同じであるため、ここでは説明を省略する。
【0092】
・図18(a)、(b)の例において、配線パターン41b上に、半導体素子50のバンプ51等とのコンタクト性を良くするために、Pdからなる金属層43と、Au又はAgからなる金属層44とを順に積層してパッドP5を形成するようにしてもよい。なお、これら金属層43,44は、例えば無電解めっきにより形成することができる。
【0093】
・上記各実施形態では、パッドP2,P3に、はんだボールやリードピン等の外部接続端子が接続される場合について説明したが、パッドP2,P3自体を外部接続端子として使用するようにしてもよい。
【0094】
・上記各実施形態では、パッドP1,P2,P3の平面形状を円形としたが、これに限定されない。例えばパッドP1,P2,P3の平面形状を矩形や多角形等の円形以外の形状にしてもよい。
【0095】
・上記各実施形態では、配線基板1,1B,3,3Aに半導体素子50を実装する場合について説明したが、被実装体としては半導体素子50に限定されない。例えば配線基板1,1B,3,3Aの上に別の配線基板を積み重ねる構造を有するパッケージ(パッケージ・オン・パッケージ)にも、本発明を適用することが可能である。
【0096】
・上記各実施形態の半導体装置2,4では、配線基板1,3のパッドP1,P3に半導体素子50をフリップチップ接合するようにした。これに限らず、例えば図19(a)に示すように、半導体素子110の上面の電極端子と配線基板1のパッドP1との間をボンディングワイヤ111で接続するようにしてもよい。この場合には、半導体素子110やボンディングワイヤ111等を含む領域が封止樹脂112によって封止される。
【0097】
・また、図18(a)、(b)に示した半導体装置2B,4Aでは、配線基板1B,3AのパッドP5に半導体素子50をフリップチップ接合するようにした。これに限らず、例えば図19(b)に示すように、半導体素子110の上面の電極端子と配線基板1BのパッドP5との間をボンディングワイヤ111で接続するようにしてもよい。この場合には、半導体素子110やボンディングワイヤ111等を含む領域が封止樹脂112によって封止される。
【0098】
・上記各実施形態では、第1金属層11の第1主面11Aを、第1絶縁層20の第1主面20Aとは反対側の面(粗化されていない面)と略平行な平坦面とした。これに限らず、例えば図20に示すように、第1金属層11の第1主面11Aを、パッドP1の内側に向かって(具体的には、第2金属層12や第3金属層13に向かって)湾曲状に凹む曲面としてもよい。これによれば、例えばパッドP1にはんだボールを搭載する際に、そのはんだボールと第1金属層11の第1主面11Aとの接触面積が大きくなるため、はんだボールを安定的に支持することができる。
【0099】
このようなパッドP1は、例えば図4(d)に示した工程において、めっき層62の表面62Aを上方に突出する曲面状に形成し、次いで、その表面62A上に第1金属層11、第2金属層12及び第3金属層13を順に積層し、最終的に図6(e)に示すような除去工程で支持体60とめっき層62を除去することにより形成することができる。なお、上述のような形状のめっき層62は、めっき液の組成や電流密度等のめっき処理条件を調整することにより形成することができる。
【0100】
・上記各実施形態におけるパッドP1,P3,P4から第3金属層13を省略するようにしてもよい。すなわち、この場合、パッドP1,P3,P4の層構成は、Au等からなる第1金属層11と、その第1金属層11とビア21aとの間に形成される、Pd等からなる第2金属層12との2層構造となる。この構成であっても、上記各実施形態と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0101】
1,1A,1B,3,3A 配線基板
2,2B,4,4A 半導体装置
P1,P3,P4 パッド
P2 外部接続用パッド
11 第1金属層
11A 第1主面
12 第2金属層
13 第3金属層
13A 第1主面
21,31,41 配線層
20,70,100 第1絶縁層(最外層の絶縁層)
20A,71,100A 第1主面(最外層の絶縁層の表面)
20X,70X,100X 凹部
20B,70B 突出部
30,40 絶縁層
60,80,90 支持体
60A,80A,90A 第1主面
61,81,91 レジスト層
61X,81X,91X 開口部
62,82 めっき層
62A,82A 表面(平滑化された面)
62B,82B 側壁
71A 平坦面
71B 粗化面
90B 平滑面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線層と絶縁層が積層され、前記配線層に接続され且つ最外層の絶縁層の表面から露出されるパッドが形成された配線基板であって、
前記パッドは、前記最外層の絶縁層の表面から露出される第1金属層と、前記第1金属層と前記配線層との間に形成された第2金属層とからなり、
前記第1金属層は、金又は銀から選択される金属、もしくは金及び銀の少なくとも一種を含む合金からなり、
前記第2金属層は、パラジウム又はパラジウム合金からなることを特徴とする配線基板。
【請求項2】
配線層と絶縁層が積層され、前記配線層に接続され且つ最外層の絶縁層の表面から露出されるパッドが形成された配線基板であって、
前記パッドは、前記最外層の絶縁層の表面から露出される第1金属層と、前記第1金属層に積層された第2金属層と、前記第2金属層と前記配線層との間に形成された第3金属層とからなり、
前記第1金属層は、金又は銀から選択される金属、もしくは金及び銀の少なくとも一種を含む合金からなり、
前記第2金属層は、パラジウム又はパラジウム合金からなり、
前記第3金属層は、銅又は銅合金からなることを特徴とする配線基板。
【請求項3】
前記最外層の絶縁層の表面から露出される、前記第1金属層の第1主面の粗度が、表面粗さRa値で0.21μm未満であることを特徴とする請求項1又は2に記載の配線基板。
【請求項4】
前記最外層の絶縁層には、前記パッドを露出させる凹部が形成され、
前記凹部の側壁の一部には、前記パッドの一部を覆うように突出された突出部が形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の配線基板。
【請求項5】
前記最外層の絶縁層の表面には、平坦面及び粗化面が形成されるとともに、前記パッドを露出させる凹部が形成され、
前記平坦面は、前記凹部の側壁近傍の前記表面に形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の配線基板。
【請求項6】
配線層と絶縁層が積層され、前記配線層に接続され且つ最外層の絶縁層の表面から露出するパッドが形成される配線基板の製造方法であって、
支持体の第1主面に前記パッドの形状に対応する開口部を有するレジスト層を形成するレジスト形成工程と、
前記レジスト層の開口部から露出される前記支持体の第1主面を平滑化する平滑化工程と、
前記平滑化された面上に、金又は銀から選択される金属、もしくは金及び銀の少なくとも一種を含む合金からなる第1金属層と、パラジウム又はパラジウム合金からなる第2金属層とを順次積層して前記パッドを形成するパッド形成工程と、
前記支持体の第1主面上に、所要数の前記絶縁層と前記配線層とを交互に積層する工程と、
前記支持体を除去する除去工程と
を有する配線基板の製造方法。
【請求項7】
前記平滑化工程では、前記レジスト層の開口部から露出される前記支持体の第1主面に、電解めっきにより、表面が平滑化されためっき層が形成され、
前記パッド形成工程では、前記めっき層上に前記パッドが形成され、
前記除去工程では、前記支持体と前記めっき層が除去されることを特徴とする請求項6に記載の配線基板の製造方法。
【請求項8】
前記平滑化工程では、前記めっき層の表面の粗度が、表面粗さRa値で0.21μm未満になるように前記めっき層が形成されることを特徴とする請求項7に記載の配線基板の製造方法。
【請求項9】
前記パッド形成工程は、前記第2金属層上に、銅又は銅合金からなる第3金属層を積層する工程を含み、
前記パッド形成工程後、前記レジスト層を除去する工程と、前記第3金属層の表面、前記支持体の第1主面及び前記めっき層の側壁に粗化処理を施す粗化工程とを含むことを特徴とする請求項7又は8に記載の配線基板の製造方法。
【請求項10】
前記平滑化工程では、前記レジスト層の開口部から露出される前記支持体の第1主面が、エッチングにより平滑化された平滑面が形成され、
前記パッド形成工程では、前記平滑面上に前記パッドが形成されることを特徴とする請求項6に記載の配線基板の製造方法。
【請求項11】
前記レジスト形成工程前に、前記支持体の第1主面に粗化処理を施す粗化工程を含むことを特徴とする請求項6〜10のいずれか1つに記載の配線基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−186296(P2012−186296A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−48021(P2011−48021)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【出願人】(000190688)新光電気工業株式会社 (1,516)
【Fターム(参考)】