説明

配電システム

【課題】システム制御を行う制御部のマイクロコンピュータに対して効率良く給電を行って常時動作可能なようにする。
【解決手段】交流入力部21に入力される交流電力を直流電力に変換する第1AC−DC変換部11及び第2AC−DC変換部12と、第1AC−DC変換部11を制御する出力制御部32と、第1AC−DC変換部11の出力部と並列接続され直流出力部22に直流電力を出力する直流給電装置13と、出力制御部32及び直流給電装置13を含む自システムの動作を制御する制御部31と、起動時に第2AC−DC変換部12の出力電力を制御部31に給電し、直流給電装置13からの直流電力の出力が所定電圧以上となった場合に、直流給電装置13からDC−DC変換部14の出力電力を制御部31に給電するよう給電経路を切り替える給電経路切替部15とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直流電力を負荷機器に配電する配電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅、店舗、オフィスビルなどの建物において、交流電力と直流電力とを配電する配電システムとして、例えば特許文献1に記載のものがある。この配電システムは、自家発電用として太陽光発電装置のような直流発電設備を建物に設置し、直流発電設備の直流電力出力を交流電力に電力変換して電力会社から供給される商用電源(交流電力系統)と系統連系運転を行う系統連系システムである。
【0003】
この種の系統連系システムでは、直流発電設備で発電された直流電力を、直流電力から交流電力に変換する電力変換器(パワーコンディショナ)により交流電力に変換することによって、交流電源である商用電源と協調させる構成を採用している。ここで、建物内の負荷で消費される電力を超える電力が直流発電設備から供給されている場合、余剰分の電力を商用電源に逆潮流させること(いわゆる、売電)が可能となっている。
【0004】
また、直流負荷機器に直流電力を供給する配電システムとして、例えば特許文献2に記載の電力供給システムが提案されている。この電力供給システムは、直流電力供給部と直流負荷機器の端末装置との間で通信を行い、給電制御手段によって、端末装置から通知された受電電源情報と動作情報記憶手段が保持している動作電源情報とを比較し、直流負荷機器が駆動に必要な電圧及び電流を受電できるように出力電圧を制御するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−284245号公報
【特許文献2】特開2009−159690号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
直流電力を配電するための配電システムにおいて、直流電力の出力用コンバータの動作制御などのシステム制御を行う制御部のマイクロコンピュータを動作させる場合、電源を商用電源に接続されたAC−DCコンバータから給電するような構成が一般的である。このような構成では、商用電源からの電力供給が停止した停電時には、マイクロコンピュータへ給電されず、システムの動作が停止してしまうという課題がある。また、太陽光発電装置などの給電装置が動作している場合は、給電装置から供給される電力を基にした直流電力を直流負荷機器に配電するが、マイクロコンピュータは商用電源に接続されたAC−DCコンバータからの給電によって動作しており、常に商用電源を使用するため電力効率が低下するという課題がある。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、システム制御を行う制御部のマイクロコンピュータに対して効率良く給電を行って常時動作させることが可能な配電システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、交流電力源から供給される交流電力を入力する交流入力部と、前記交流入力部に接続され、前記交流入力部に入力される交流電力を直流電力に変換して直流出力部に出力する第1AC−DC変換部と、前記第1AC−DC変換部を制御する出力制御部と、前記第1AC−DC変換部の出力部と並列接続され、前記直流出力部に直流電力を出力する直流給電装置と、前記出力制御部及び前記直流給電装置を含む自システムの動作を制御する制御部と、前記交流入力部に接続され、前記交流入力部に入力される交流電力を所定の電圧レベルの直流電力に変換する第2AC−DC変換部と、前記直流給電装置の出力部に接続され、前記直流給電装置から出力される直流電力を所定の電圧レベルに変換するDC−DC変換部と、前記制御部に対する給電経路を切り替えるもので、前記第2AC−DC変換部または前記DC−DC変換部のいずれかの出力電力を前記制御部に給電する給電経路切替部と、を備え、前記給電経路切替部は、起動時に前記第2AC−DC変換部の出力電力を前記制御部に給電し、前記直流給電装置からの直流電力の出力が所定電圧以上となった場合に、前記DC−DC変換部の出力電力を前記制御部に給電するよう給電経路を切り替える配電システムを提供する。
上記構成により、制御部を配電システムの起動時から適切に機能させ、直流給電装置及び第1AC−DC変換部等のシステム制御を行うことが可能である。また、直流給電装置からの給電が可能になると直流給電装置の電力を利用して制御部を動作させ、第2AC−DC変換部からの出力電力を用いないことで、第2AC−DC変換部における電力損失を低減でき、制御部のマイクロコンピュータに対して効率良く給電を行って常時動作させることが可能となる。
【0009】
また、本発明は、交流電力源から供給される交流電力を入力する交流入力部と、前記交流入力部に接続され、前記交流入力部に入力される交流電力を直流電力に変換して直流出力部に出力する第1AC−DC変換部と、前記第1AC−DC変換部を制御する出力制御部と、前記第1AC−DC変換部の出力部と並列接続され、前記直流出力部に直流電力を出力する直流給電装置と、前記出力制御部及び前記直流給電装置を含む自システムの動作を制御する制御部と、前記交流入力部に接続され、前記交流入力部に入力される交流電力を所定の電圧レベルの直流電力に変換する第2AC−DC変換部と、前記直流給電装置の出力部と前記第1AC−DC変換部の出力部とが接続された系統に接続され、前記系統から出力される直流電力を所定の電圧レベルに変換するDC−DC変換部と、前記制御部に対する給電経路を切り替えるもので、前記第2AC−DC変換部または前記DC−DC変換部のいずれかの出力電力を前記制御部に給電する給電経路切替部と、を備え、前記給電経路切替部は、起動時に前記第2AC−DC変換部の出力電力を前記制御部に給電し、前記直流給電装置の出力部と前記第1AC−DC変換部の出力部とが接続された系統からの直流電力の出力が所定電圧以上となった場合に、前記DC−DC変換部の出力電力を前記制御部に給電するよう給電経路を切り替える配電システムを提供する。
上記構成により、制御部を配電システムの起動時から適切に機能させ、直流給電装置及び第1AC−DC変換部等のシステム制御を行うことが可能である。また、直流給電装置及び第1AC−DC変換部の出力部が接続された系統からの直流電力の出力が所定電圧以上になった場合はこの系統からの出力電力を利用して制御部を動作させ、第2AC−DC変換部からの出力電力を用いないことで、第2AC−DC変換部における電力損失を低減でき、制御部のマイクロコンピュータに対して効率良く給電を行って常時動作させることが可能となる。
【0010】
また、本発明は、上記の配電システムであって、前記給電経路切替部は、前記第2AC−DC変換部の出力の正極側の給電経路と、前記DC−DC変換部の出力の正極側の給電経路とに、それぞれダイオードが直列接続され、これらのダイオードのカソード同士が並列接続されて前記制御部に接続される構成であり、前記直流給電装置からの給電が可能な定常時において、前記DC−DC変換部の出力電圧が前記第2AC−DC変換部の出力電圧よりも高い状態となるように、それぞれの出力電圧を設定して前記給電経路切替部に供給するものを含む。
上記構成により、給電経路切替部を簡単な構成で実現でき、この給電経路切替部によって給電経路の切り替えを行い、直流給電装置から制御部に給電することが可能である。
【0011】
また、本発明は、上記の配電システムであって、前記第1AC−DC変換部の出力部と並列接続され、蓄電した直流電力を前記直流出力部に出力可能な蓄電装置を備え、前記制御部は、前記蓄電装置における蓄電池容量に応じて蓄電装置からの給電経路を切り替えるものを含む。
上記構成により、蓄電装置における蓄電池容量に応じて蓄電装置からの給電経路を切り替え、直流給電装置及び第1AC−DC変換部からの給電が不能な停電時などに、蓄電装置の電力を効率良く利用することが可能である。
【0012】
また、本発明は、上記の配電システムであって、前記制御部は、前記蓄電装置から前記直流出力部に直流電力を出力している際に、蓄電池容量が所定量以下となった場合、前記蓄電装置から前記直流出力部への出力を停止し、前記蓄電装置から制御部に給電させるものを含む。
上記構成により、直流給電装置及び第1AC−DC変換部からの給電が不能な停電時などに、蓄電装置より直流電力を出力していて蓄電池容量が所定量以下となった場合に、直流出力部への出力を停止し、蓄電装置から制御部に給電させることで、蓄電装置の電力を効率良く利用し、停電が継続したときなどでも制御部に給電を行って常時機能させることが可能になる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、システム制御を行う制御部のマイクロコンピュータに対して効率良く給電を行って常時動作させることが可能な配電システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る配電システムの構成を示す図
【図2】本発明の第2の実施形態に係る配電システムの構成を示す図
【図3】本発明の第3の実施形態に係る配電システムの構成を示す図
【図4】第3の実施形態に係る給電切替動作を説明する図
【図5】本発明の第4の実施形態に係る配電システムの構成を示す図
【図6】本実施形態の配電システムの応用例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る配電システムを戸建て住宅に適用した実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。但し、本発明に係る配電システムが適用可能な建物は戸建て住宅に限定されるものではなく、集合住宅の各住戸や事務所等にも適用可能である。
【0016】
図1は本発明の第1の実施形態に係る配電システムの構成を示す図である。本実施形態の配電システムは、負荷機器に直流電力を配電可能なもので、交流入力部21、第1AC−DC変換部11、第2AC−DC変換部12、直流給電装置13、DC−DC変換部14、給電経路切替部15、直流出力部22、制御部31、出力制御部32を有して構成される。
【0017】
交流入力部21は、入力端子等を有して構成され、交流電力系統の交流配電盤等に接続されて商用電源から供給される交流電力を入力する。第1AC−DC変換部11は、交流入力部21より入力される交流電力を所望の電圧レベルの直流電力に変換し、直流出力部22に出力する。第2AC−DC変換部12は、入力部が第1AC−DC変換部11の入力部と並列に接続され、交流入力部21より入力される交流電力を所望の電圧レベルの直流電力に変換し、給電経路切替部15を介して制御部31に出力する。すなわち、第2AC−DC変換部12は、制御部給電用の電源部を構成するAC−DC変換部として機能する。これらの第1AC−DC変換部11、第2AC−DC変換部12は、例えばスイッチングレギュレータ、コンバータ等により構成され、交流電圧を直流電圧に整流し、出力電圧の定電圧制御を行うことによって、入力される交流電力から所望の電圧レベルの直流電力を生成する。
【0018】
直流給電装置13は、太陽電池を備えた太陽光発電装置、燃料電池を備えた燃料電池発電装置などから構成され、発電した直流電力を出力するものである。この直流給電装置13の出力部と第1AC−DC変換部11の出力部とは並列接続され、直流出力部22に接続されている。直流出力部22は、出力端子等を有して構成され、直流配電路に接続されて直流負荷機器に対して配電する直流電力を出力する。直流出力部22から出力される直流電力は、直流給電装置13及び第1AC−DC変換部11の出力部が接続された系統より供給される直流電力である。ここで、直流給電装置13から出力される直流電力が所定の出力範囲である場合、すなわち、直流給電装置13より直流負荷機器に電力供給が可能である場合に、直流給電装置13からの直流電力が直流出力部22より出力される。また、直流給電装置13より電力供給ができない場合には、第1AC−DC変換部11からの直流電力が直流出力部22より出力される。これにより、例えば直流給電装置13として太陽光発電装置を備える場合、昼間の通常時は太陽電池からの発電エネルギーを利用して直流負荷機器を駆動できる。また、夜間においては商用電源からの供給電力を利用して直流負荷機器を駆動できる。
【0019】
直流出力部22には、DC−DC変換部14の入力部が並列に接続されている。DC−DC変換部14は、入力される直流電力を所望の電圧レベルに変換し、給電経路切替部15を介して制御部31に出力する。このDC−DC変換部14は、例えばスイッチングレギュレータ等により構成され、出力電圧を検出するとともに検出した出力電圧が目標電圧と一致するように出力電圧を増減する制御(フィードバック制御)を行う定電圧制御方式によって、所望の電圧レベルの直流電力に変換する。
【0020】
給電経路切替部15は、スイッチ素子、ダイオード等により構成され、制御部31に対する給電経路を切り替えて第2AC−DC変換部12またはDC−DC変換部14のいずれかからの出力電力を制御部31に供給する。
【0021】
制御部31は、マイクロコンピュータ等を有してなる情報処理装置により構成され、配電システムの各部の動作制御を司るものである。制御部31は、直流給電装置13、出力制御部32に対して動作指令を行い、直流給電装置13及び第1AC−DC変換部11からの直流電力の出力を制御する。出力制御部32は、フィードバック制御系による出力電圧制御部等を有して構成され、制御部31からの動作指令に基づいて第1AC−DC変換部11の動作を制御する。すなわち、直流給電装置13及び第1AC−DC変換部11は、制御部31からの動作指令に従って動作を開始し、直流電力を出力する。
【0022】
給電経路切替部15は、起動時の初期状態では第2AC−DC変換部12の出力の給電経路を有効とし、商用電源の供給電力を基に第2AC−DC変換部12から制御部31に給電する。その後、直流給電装置13と第1AC−DC変換部11の少なくとも一つから直流出力部22に所定以上の電圧が印加された場合、すなわち直流給電装置13及び第1AC−DC変換部11の出力部が接続された系統からの直流電力の出力が所定電圧以上となり、直流負荷機器に電力供給が可能な所定の出力範囲となった場合に、給電経路切替部15は給電経路を切り替える。このとき、給電経路切替部15は、DC−DC変換部14の出力の給電経路を有効とし、直流給電装置13及び第1AC−DC変換部11の出力部が接続された系統からの供給電力を基にDC−DC変換部14から制御部31に給電する。なお、直流給電装置13からの直流電力の出力が所定電圧以上となった場合は、直流給電装置13の出力を優先するような構成とする。
【0023】
配電システムの起動時には、直流給電装置13が動作開始しておらず、直流給電装置13から直流電力が出力されずに給電できない状態であるため、商用電源からの電力を制御部31に給電する必要がある。そこで、本実施形態では、制御部給電用の電源部として第2AC−DC変換部12を設け、第2AC−DC変換部12から制御部31に対して給電を行う。これにより、制御部31を起動時から適切に機能させ、直流給電装置13及び第1AC−DC変換部11等のシステム制御を行うことが可能である。そして、直流給電装置13及び第1AC−DC変換部11の出力部が接続された系統からの直流電力の出力が所定電圧に達すると、給電経路切替部15により給電経路を切り替え、直流給電装置13及び第1AC−DC変換部11の出力部が接続された系統からの電力を制御部31に給電する。このように、定常時は直流給電装置13からの電力を利用して制御部31のマイクロコンピュータを動作させ、第2AC−DC変換部12からの出力電力を用いないことで、第2AC−DC変換部12における電力損失を低減できる。また、商用電源からの電力供給が停止した停電時においても、直流給電装置13からの電力を制御部31に給電してマイクロコンピュータを動作させ、配電システムを制御することができる。
【0024】
このように本実施形態によれば、システム起動時、定常時、停電時のそれぞれにおいて、制御部31のマイクロコンピュータに対して効率良く給電を行い、制御部31を常時機能させることができる。
【0025】
図2は本発明の第2の実施形態に係る配電システムの構成を示す図である。第2の実施形態は、給電経路切替部の具体的な構成例を示したものである。なお、第1の実施形態と同様の構成要素には同一符号を付して説明を省略する。
【0026】
第2の実施形態の給電経路切替部25は、第2AC−DC変換部12の出力の正極側の給電経路と、DC−DC変換部14の出力の正極側の給電経路とに、それぞれダイオードが直列接続され、ダイオードのカソード同士が並列接続されて構成されている。そして、並列接続された正極側及び負極側の給電経路が制御部31の電源入力部に接続される。このように給電経路切替部25を構成することによって、ダイオード接続により電圧が高い方の直流電力が出力され、制御部31に入力される。
【0027】
本実施形態では、直流給電装置13からの給電が可能な定常時において、DC−DC変換部14の出力電圧が第2AC−DC変換部12の出力電圧よりも常に高い状態となるように、それぞれの出力電圧を設定して給電経路切替部25に供給する。DC−DC変換部14の出力電圧をV1、第2AC−DC変換部12の出力電圧をV2とした場合、V1>V2となるように出力制御電圧を設定する。例えば、V1=16V、V2=15Vとする。これにより、定常時はDC−DC変換部14からの電力が給電経路切替部25より出力される。なお、配電システムの起動時には、DC−DC変換部14から出力されないため、第2AC−DC変換部12からの電力が給電経路切替部25より出力される。
【0028】
本実施形態によれば、給電経路切替部25を簡単な構成で実現できる。そして、この簡単な構成の給電経路切替部25によって給電経路の切り替えを行い、直流給電装置13から制御部31に給電することが可能である。
【0029】
図3は本発明の第3の実施形態に係る配電システムの構成を示す図である。第3の実施形態は、第1の実施形態の構成に加えて蓄電装置を備えた構成例を示したものである。なお、第1の実施形態と同様の構成要素には同一符号を付して説明を省略する。
【0030】
第3の実施形態の配電システムは、直流電力源として直流給電装置13とともに蓄電装置16を備えている。蓄電装置16は、直流給電装置13の出力電力及び第1AC−DC変換部11の出力電力を蓄電する蓄電池を備えて構成され、直流給電装置13の出力部及び第1AC−DC変換部11の出力部と並列接続され、直流出力部22に接続されている。また、蓄電装置16から制御部31に給電経路が接続されている。この蓄電装置16は、制御部31からの動作指令に従って、蓄電/放電の切り替え、直流出力部22への電力出力のON/OFF、及び制御部31への給電のON/OFFが可能となっている。
【0031】
本実施形態では、直流給電装置13より電力供給ができない場合であって、さらに商用電源からの電力供給が停止した停電時の場合に、制御部31からの動作指令に基づき、バックアップ用として蓄電装置16から放電して直流電力を直流出力部22に出力し、直流負荷機器に供給する。このように蓄電装置16からの直流電力を直流出力部22に出力しているときは、蓄電装置16の蓄電池容量に応じて、蓄電装置16の給電経路を切り替える。
【0032】
図4は第3の実施形態に係る給電切替動作を説明する図であり、蓄電池容量に対する給電経路の切り替えを示している。ここで、蓄電池容量が所定量a[%]より大きい場合は、蓄電装置16から直流出力部22に直流電力を出力する。そして、蓄電池容量が所定量a[%]以下になった場合は、制御部31が動作指令を出力し、蓄電装置16から直流出力部22への出力を停止し、制御部31への給電に切り替えて蓄電装置16から制御部31に給電させる。これにより、停電時など直流出力部22への給電が停止した場合であっても、制御部31のマイクロコンピュータに給電して制御部31を機能させることができる。よって、停電が継続した状態で他の給電装置が出力可能状態に達したとき、例えば太陽光発電装置を備える場合に太陽が照ってきて出力可能になる等のときに、制御部31が機能しているため、その給電装置に対して出力指令を送ることができる。
【0033】
本実施形態によれば、蓄電装置16によりバックアップ用の電力供給を行っている場合に、蓄電池容量に応じて給電経路を切り替えることで、蓄電装置16の電力を効率良く利用し、停電が継続したときも制御部31に給電を行って常時機能させることができる。
【0034】
図5は本発明の第4の実施形態に係る配電システムの構成を示す図である。第4の実施形態は、上述した第1〜第3の実施形態を組み合わせた構成例である。ここでは、図3に示した第3の実施形態の構成と比較して異なる部分についてのみ説明する。
【0035】
第4の実施形態では、直流電力源として、太陽電池給電装置23と蓄電装置26とを備えている。蓄電装置26は、電池27とDC−DC変換部28とが接続されて構成され、DC−DC変換部28の出力部が太陽電池給電装置23の出力部及び第1AC−DC変換部11の出力部と並列接続され、直流出力部22に接続されている。
【0036】
また、給電経路切替部として第2の実施形態の給電経路切替部25を備えており、DC−DC変換部14からの出力電圧V1、第2AC−DC変換部12からの出力電圧V2が入力されている。給電経路切替部25の出力部には、DC−DC変換部35が設けられ、DC−DC変換部35の出力部が制御部31の電源入力部に接続される。DC−DC変換部35によって、DC−DC変換部14からの出力電圧V1または第2AC−DC変換部12からの出力電圧V2が所定の電圧V3(例えば3.3V)に変換され、制御部31に給電される。
【0037】
また、蓄電装置26は、電池27に対してDC−DC変換部28と並列にDC−DC変換部36が接続され、DC−DC変換部36の出力部が制御部31の電源入力部に接続される。DC−DC変換部36の入力部にはスイッチ37が設けられており、制御部31の動作指令に基づいてスイッチ37が切り替えられ、DC−DC変換部36への入力がON/OFFされる。これにより、蓄電装置26から制御部31への給電をON/OFFできるようになっている。スイッチ37をオンした場合、DC−DC変換部36によって蓄電装置26からの出力電圧が所定の電圧V3(例えば3.3V)に変換され、制御部31に給電される。
【0038】
第1AC−DC変換部11を制御する出力制御部32、太陽電池給電装置23、蓄電装置26は、それぞれ制御部31に対して状態送信を行い、制御部31は動作状態によって各装置の動作状態を判断する。そして、制御部31は、状態に応じて各部に動作指令を出力し、予め設定したシステムの動作態様に従って所望の電力源からの供給電力を直流出力部22より出力させる。
【0039】
配電システムの起動時には、第2AC−DC変換部12から制御部31に対して給電を行い、制御部31を機能させる。太陽電池給電装置23からの給電が可能となると、給電経路切替部25により給電経路を切り替え、太陽電池給電装置23からの電力を制御部31に給電する。太陽電池給電装置23が正常動作している定常時は、太陽電池給電装置23からの電力を直流出力部22より出力するとともに、太陽電池給電装置23から制御部31に給電する。これにより、太陽電池のエネルギーを有効利用できるとともに、効率良く制御部31への給電を行うことができる。夜などで太陽電池給電装置23から給電できない場合は、第1AC−DC変換部11からの出力電圧V4の直流電力を直流出力部22より出力するとともに、第2AC−DC変換部12から制御部31に給電する。
【0040】
停電時には、昼などで太陽電池給電装置23からの給電が可能な場合は太陽電池給電装置23からの電力を直流出力部22より出力し、太陽電池給電装置23から給電できない場合は蓄電装置26からの電力を直流出力部22より出力する。長期に停電が継続し、蓄電装置26の蓄電池容量が所定量以下になった場合は、蓄電装置26から直流出力部22への出力を停止し、スイッチ37をオンして蓄電装置26から制御部31に給電する。
【0041】
このように本実施形態によれば、システム起動時、定常時、停電時のそれぞれにおいて、制御部31のマイクロコンピュータに対して効率良く給電を行い、制御部31を常時機能させることができる。
【0042】
次に、本実施形態の配電システムを、太陽電池及び蓄電池を備え交流電力と直流電力を配電可能としたハイブリッド配電システムに適用した応用例の構成を示す。図6は本実施形態の配電システムの応用例を示す図である。
【0043】
この応用例の配電システムは、交流配電路106を介して交流負荷機器に交流電力を配電する交流分電盤104と、直流配電路107を介して直流負荷機器に直流電力を配電する直流配電装置を構成する直流分電盤110とを備えている。交流分電盤104は、入力端に交流電力源である商用電源(交流電力系統)105とパワーコンディショナ103とが接続され、出力端に交流配電路106と直流分電盤110とが接続されている。交流分電盤104は、商用電源105またはパワーコンディショナ103から供給される交流電力を分岐して交流配電路106と直流分電盤110に交流電力を出力する。
【0044】
配電システムの直流電力源としては、太陽光を受光して光電変換することで発電を行い直流電力を出力する太陽電池101と、直流電力の蓄電及び蓄電した直流電力の出力が可能な二次電池により構成される蓄電池102とを備えている。直流分電盤110は、入力端に太陽電池101、蓄電池102、交流分電盤104が接続され、出力端に直流配電路107が接続されている。直流分電盤110は、太陽電池用コンバータ111、蓄電池用コンバータ112、AC−DCコンバータ113、制御部114、表示部115を有して構成される。
【0045】
太陽電池101の出力線路は2つに分岐され、パワーコンディショナ103と直流分電盤110の太陽電池用コンバータ111とが並列接続されている。パワーコンディショナ103は、太陽電池101から出力される直流電力を商用電源105の位相に同期した交流電力に変換して出力するとともに、変換された交流電力を商用電源105に逆潮流する。太陽電池用コンバータ111は、DC−DCコンバータを有して構成され、太陽電池101から出力される直流電力を所望の電圧レベルに変換して出力する。蓄電池用コンバータ112は、DC−DCコンバータを有して構成され、蓄電池102から出力される直流電力を所望の電圧レベルに変換して出力する。AC−DCコンバータ113は、交流分電盤104から供給される交流電力を所望の電圧レベルの直流電力に変換して出力する。
【0046】
制御部114は、マイクロコンピュータ等を有してなる情報処理装置により構成され、直流分電盤110の各部の動作制御を司るものである。制御部114は、太陽電池用コンバータ111、蓄電池用コンバータ112、AC−DCコンバータ113の各コンバータの動作のON/OFF制御、並びに出力電圧制御を行うとともに、表示部115の表示制御を行う。表示部115は、液晶表示装置等により構成され、制御部114の指示に基づき、文字、数字、画像等によって直流分電盤110の動作状態等の各種情報を示す表示を行う。
【0047】
上記のような配電システムにおいても、制御部114に対する給電経路に上述した本実施形態の構成を適用することによって、制御部114のマイクロコンピュータに対して効率良く給電を行うことができ、配電システムの動作制御を常に適切に実行可能となる。
【0048】
なお、本発明は、本発明の趣旨ならびに範囲を逸脱することなく、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者が様々な変更、応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記実施形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0049】
11 第1AC−DC変換部
12 第2AC−DC変換部
13 直流給電装置
14、28、35、36 DC−DC変換部
15、25 給電経路切替部
16、26 蓄電装置
21 交流入力部
22 直流出力部
23 太陽電池給電装置
27 電池
31 制御部
32 出力制御部
37 スイッチ
101 太陽電池
102 蓄電池
103 パワーコンディショナ
104 交流分電盤
105 商用電源
106 交流配電路
107 直流配電路
110 直流分電盤(直流配電装置)
111 太陽電池用コンバータ
112 蓄電池用コンバータ
113 AC−DCコンバータ
114 制御部
115 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電力源から供給される交流電力を入力する交流入力部と、
前記交流入力部に接続され、前記交流入力部に入力される交流電力を直流電力に変換して直流出力部に出力する第1AC−DC変換部と、
前記第1AC−DC変換部を制御する出力制御部と、
前記第1AC−DC変換部の出力部と並列接続され、前記直流出力部に直流電力を出力する直流給電装置と、
前記出力制御部及び前記直流給電装置を含む自システムの動作を制御する制御部と、
前記交流入力部に接続され、前記交流入力部に入力される交流電力を所定の電圧レベルの直流電力に変換する第2AC−DC変換部と、
前記直流給電装置の出力部に接続され、前記直流給電装置から出力される直流電力を所定の電圧レベルに変換するDC−DC変換部と、
前記制御部に対する給電経路を切り替えるもので、前記第2AC−DC変換部または前記DC−DC変換部のいずれかの出力電力を前記制御部に給電する給電経路切替部と、を備え、
前記給電経路切替部は、起動時に前記第2AC−DC変換部の出力電力を前記制御部に給電し、前記直流給電装置からの直流電力の出力が所定電圧以上となった場合に、前記DC−DC変換部の出力電力を前記制御部に給電するよう給電経路を切り替える配電システム。
【請求項2】
交流電力源から供給される交流電力を入力する交流入力部と、
前記交流入力部に接続され、前記交流入力部に入力される交流電力を直流電力に変換して直流出力部に出力する第1AC−DC変換部と、
前記第1AC−DC変換部を制御する出力制御部と、
前記第1AC−DC変換部の出力部と並列接続され、前記直流出力部に直流電力を出力する直流給電装置と、
前記出力制御部及び前記直流給電装置を含む自システムの動作を制御する制御部と、
前記交流入力部に接続され、前記交流入力部に入力される交流電力を所定の電圧レベルの直流電力に変換する第2AC−DC変換部と、
前記直流給電装置の出力部と前記第1AC−DC変換部の出力部とが接続された系統に接続され、前記系統から出力される直流電力を所定の電圧レベルに変換するDC−DC変換部と、
前記制御部に対する給電経路を切り替えるもので、前記第2AC−DC変換部または前記DC−DC変換部のいずれかの出力電力を前記制御部に給電する給電経路切替部と、を備え、
前記給電経路切替部は、起動時に前記第2AC−DC変換部の出力電力を前記制御部に給電し、前記直流給電装置の出力部と前記第1AC−DC変換部の出力部とが接続された系統からの直流電力の出力が所定電圧以上となった場合に、前記DC−DC変換部の出力電力を前記制御部に給電するよう給電経路を切り替える配電システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の配電システムであって、
前記給電経路切替部は、前記第2AC−DC変換部の出力の正極側の給電経路と、前記DC−DC変換部の出力の正極側の給電経路とに、それぞれダイオードが直列接続され、これらのダイオードのカソード同士が並列接続されて前記制御部に接続される構成であり、
前記直流給電装置からの給電が可能な定常時において、前記DC−DC変換部の出力電圧が前記第2AC−DC変換部の出力電圧よりも高い状態となるように、それぞれの出力電圧を設定して前記給電経路切替部に供給する配電システム。
【請求項4】
請求項1または2に記載の配電システムであって、
前記第1AC−DC変換部の出力部と並列接続され、蓄電した直流電力を前記直流出力部に出力可能な蓄電装置を備え、
前記制御部は、前記蓄電装置における蓄電池容量に応じて蓄電装置からの給電経路を切り替える配電システム。
【請求項5】
請求項4に記載の配電システムであって、
前記制御部は、前記蓄電装置から前記直流出力部に直流電力を出力している際に、蓄電池容量が所定量以下となった場合、前記蓄電装置から前記直流出力部への出力を停止し、前記蓄電装置から制御部に給電させる配電システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−97665(P2011−97665A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−246398(P2009−246398)
【出願日】平成21年10月27日(2009.10.27)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】