説明

酵素の安定化

トリペプチド酵素阻害剤を含む液体洗剤組成物が提供される。トリペプチド酵素阻害剤を使用して液体洗剤組成物を安定化する方法もまた提供される。トリペプチド酵素阻害剤が液体洗剤組成物中での少なくとも1つの微生物植物相又は動物相の増殖を少なくとも阻害する、液体洗剤組成物もまた提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酵素安定化系、並びにその使用方法及びそれを含有する組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
プロテアーゼ含有液体組成物は、特に洗濯との関連において、周知である。こうしたプロテアーゼ含有液体組成物において一般的に遭遇する問題は、プロテアーゼ酵素による、アミラーゼ、リパーゼ、及びセルラーゼのような、組成物中の第2の酵素類の、又はプロテアーゼそのものにおける、分解現象である。結果として、第2の酵素又はプロテアーゼそのものの液体組成物中での安定性が影響を受け、それ故に組成物はあまり良好に機能しない。
【0003】
この問題に応えて、種々のプロテアーゼ阻害剤又は安定剤を使用することが提案されてきた。例えば、参考文献は、酵素類の安定化を助成する以下のもののような化合物の使用を提案している:ベンズアミジン塩酸塩、低級脂肪族アルコール類又はカルボン酸類、特定のペプチドアルデヒド類、ポリオール溶媒類とホウ素化合物類の混合物、マグネシウム及び/又はカルシウム塩類(ギ酸カルシウムなど)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これらの化合物が使用され、液体組成物にさまざまな成功をもたらしたが、それらに問題がないわけではない。例えば、こうした化合物はかなり高価であり得、及び/又は配合者にとって、特に液体洗剤に関して、複雑性をもたらす。その他の阻害剤又は安定剤は安価に使用できるが、酵素を十分に安定化しない。従って、経済的であり、有効であり、及び液体洗濯組成物などの液体組成物中で使用するのに好適である、プロテアーゼ阻害剤が依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の1つの態様は、
(a)界面活性剤と、
(b)プロテアーゼ酵素と、
(c)トリペプチド酵素阻害剤である、可逆的ペプチドプロテアーゼ阻害剤と、
(d)補助剤成分と、
を含む液体洗剤組成物であって、
前記液体洗剤組成物が、
(i)前記可逆的ペプチドプロテアーゼ阻害剤が、約50nM〜約2uMの、前記プロテアーゼ酵素に対する親和定数を有する、及び/又は
(ii)約1:1〜約20:1の、前記可逆的ペプチドプロテアーゼ阻害剤と前記プロテアーゼ酵素のモル比、
とを更に含む、液体洗剤組成物に関する。
【0006】
本発明の別の態様は、液体洗剤組成物中の酵素を安定化する方法に関し、前記液体洗剤組成物は、1つ以上のプロテアーゼ酵素を含み、前記方法は少なくとも、安定化に有効な量の可逆的ペプチドプロテアーゼ阻害剤を液体洗剤組成物に加える工程を含み、前記可逆的ペプチドプロテアーゼ阻害剤が、式を有する。
【化1】

本発明の別の態様は、
(a)界面活性剤と、
(b)プロテアーゼ酵素と、
(c)トリペプチド酵素阻害剤である、可逆的ペプチドプロテアーゼ阻害剤と、
(d)補助剤成分と、
を含む液体洗剤組成物であって、前記可逆的ペプチドプロテアーゼ阻害剤が、前記液体洗剤中の少なくとも1つの微生物植物相又は動物相の増殖を少なくとも阻害する、液体洗剤組成物に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
定義−本明細書で使用するとき、「液体洗剤組成物」は、固体(すなわち錠剤若しくは顆粒)又は気体の形態ではないあらゆる洗濯処理組成物を指す。液体洗濯洗剤組成物の例としては、自動洗濯機の洗浄サイクルで使用するための重質液体洗濯洗剤、デリケートな衣類、例えば絹又は羊毛で出来ているものを、手洗いによるか又は自動洗濯機の洗浄サイクルにおいて洗浄するのに適するもののような液体おしゃれ着洗剤及び液体色柄物用洗剤が挙げられる。ジェルとして知られる、流動可能であるがなお固い稠度を有する対応する組成物が、同様に包含される。本明細書に包含されるその他の液体又はジェル形態の洗濯処理組成物としては、上記の組成物の希釈可能な濃縮物、1回用量、スプレー、前処理(固いジェルスティックを包含する)及びすすぎ洗濯処理組成物、又はその他の包装形態のそのような組成物、例えば1又は2区画の瓶、タブ、又はポリビニルアルコール袋等に入れて販売されているものが挙げられる。本明細書の組成物は、好適には、消費者によって、又は家庭若しくは商業用の洗濯装置によって制御される自動投与システムによって投与されてよい十分な流体レオロジーを有する。固いジェル形態は、前処理剤又は効果促進剤(boosters)として使用されてもよく(例えばUS20040102346A1参照)、又は、例えば水流の存在下でその場での溶解を通じて、自動分与システムで分与されてもよい。
【0008】
一般に、本明細書の組成物は等方性であっても、又は非等方性であってもよい。しかしながら、それらは一般に、当該技術分野において記載される相分離洗剤のように別個の層には分かれない。1つの代表的な組成物は、非等方性であり、貯蔵時には、(i)2層に分かれることがない、又は(ii)組成物が層に分かれるとすれば、単一の主要層が存在し、それが組成物の少なくとも約90重量%、より具体的には約95重量%よりも多く、更により具体的には約99重量%よりも多くを構成する、のいずれかである。他の代表的な組成物は完全に等方性である。
【0009】
「ジェル」は、本明細書で使用するとき、1,000〜5,000mPas(ミリパスカル秒)、より具体的には3,000mPas未満、更により具体的には1,500mPas未満の範囲の注入粘度を有するずり減粘ジェルを含む。ジェルが、濃厚な液体を包含する。より具体的には、濃厚な液体はニュートン流体であってもよく、これは蜂蜜又はシロップ剤のように、流動条件の変化に伴ってその粘度は変化しない。この種類の濃厚な液体は、分与が非常に困難及び厄介である。別の種類の液体ゲルは、ずり減粘であり、すなわち、低剪断力下(例えば、静止時)で粘性が高く、高流量では粘性が低い。ずり減粘ジェルのレオロジーは、文献により詳細に記載されており、例えばWO04027010A1(ユニリーバ(Unilever))を参照のこと。
【0010】
本発明による他の代表的な組成物は、具体的には少なくとも1,500mPa.sだが6,000mPa.sを超えない、より具体的には4,000mPa.sを超えない、更により具体的には3,000mPa.sを超えない、更になおより具体的には2,000mPa.sを超えない粘度を有する注ぎ出し可能なジェルである。
【0011】
本発明による更に他の代表的な組成物は、具体的には少なくとも6,000mPa.sであるが12,000mPa.sを超えない、より具体的には10,000mPa.sを超えない、更により具体的には8,000mPa.sを超えない、更になおより具体的には7,000mPa.sを超えない粘度を有する注ぎ出しが不可能なジェルである。
【0012】
本明細書における代表的な特定の液体又はジェル形態の洗濯処理組成物としては、自動洗濯機の洗浄サイクルにおいて使用するための重質液体洗濯洗剤、並びに液体おしゃれ着洗剤及び/又は色柄もの用洗剤が挙げられる。これらは好適には、次のレオロジー特性を有する1,500mPa.sを超えない、より具体的には1,000mPa.sを超えない、なおより具体的には500mPa.sを超えない粘度。一実施形態では、これらの組成物は30〜400mPasの粘度を有し、ニュートニアン(Newtonian)であるか又はずり減粘性である。これらの定義において、特にそうでないと指示されない限り、示された粘度は全てせん断速度21s−1及び温度25℃にて測定されたものである。本明細書における粘度は、いかなる好適な計器でも、例えばカリムド(Carrimed)CSL2レオメータで剪断速度21sec−1で、測定できる。
【0013】
可逆的ペプチドプロテアーゼ阻害剤−本発明の安定化酵素類が、可逆的ペプチドプロテアーゼ阻害剤を含み、前記可逆的ペプチドプロテアーゼ阻害剤は、約50nM〜約2uMの、プロテアーゼ酵素に対する親和定数、及び/又は約1:1〜約20:1の、可逆的ペプチドプロテアーゼ阻害剤とプロテアーゼ酵素のモル比を有する。
【0014】
一実施形態では、可逆的ペプチドプロテアーゼ阻害剤はトリペプチド酵素阻害剤である。トリペプチド酵素阻害剤とは、置換されていても非置換であってもよい3つのアミノ酸類又はそれらの誘導体類を含む化合物を意味する。1つの代表的なトリペプチド酵素阻害剤が、式:
【化2】

式I中、Aはジアミノ酸部分であり、より具体的にはジアミノ酸部分は、アラニン(Ala)、アルギニン(Arg)、アスパラギン(Asn)、アスパラギン酸(Asp)、システイン(Cys)、グルタミン(Gln)、グルタミン酸(Glu)、グリシン(Gly)、ヒスチジン(His)、ホモフェニルアラニン(HPhe)、イソロイシン(Ile)、ロイシン(Leu)、リジン(Lys)、メチオニン(Met)、フェニルアラニン(phenyalanine)(Phe)、フェニルグリシン(PGly)、プロリン(Pro)、セリン(Ser)、トレオニン(Thr)、トリプトファン(Trp)、チロシン(Tyr)、及びバリン(Val)から選択される2つのアミノ酸の組み合わせであるものを有する。
【0015】
一実施形態では、Aは、アラニン、グリシン、ロイシン、バリン、イソロイシン、プロリン、リジン、フェニルアラニン、ホモフェニルアラニン、フェニルグリシン、トリプトファン、グリシン、アルギニン、メチオニン、及びこれらの組み合わせのうちの2つ、なお更により具体的にはバリン及びアラニンを含む。
【0016】
ジアミノ酸部分が、あらゆる好適な光学異性体であってよく、すなわち、ジアミノ酸部分はL若しくはD配置又はその組み合わせのいずれかにおいて光学活性であってもよく、光学不活性であってもよく、或いはラセミ混合物であってもよい。同様に、ジアミノ酸部分を含む個々のアミノ酸類及び/又は可逆的ペプチドプロテアーゼ阻害剤は、L若しくはD配置又はその組み合わせのいずれかにおいて光学活性であってもよく、或いは光学不活性であってもよく、或いはラセミ混合物であってもよい。
【0017】
式I中、XはH、電子求引性基、及びこれらの混合物である。好適な電子求引性基の非限定例としては、CFH、CHF、CF−R CHF−R、CO−R、CHCl、置換又は非置換イミダゾール類、置換又は非置換チオイミダゾール(thioamidazoles)類、置換又は非置換ベンゾイミダゾール類、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されず、Rは、直鎖又は分枝鎖の置換又は非置換C〜Cアルキル、直鎖又は分枝鎖の置換又は非置換C〜Cシクロアルキル部分、及びこれらの混合物から成る群から選択される。
【0018】
式I中、Zは、
【化3】

及びこれらの混合物、より具体的には、
【化4】

及びこれらの混合物、更により具体的には、
【化5】

及びこれらの混合物であり、
R’は、直鎖又は分枝鎖の置換又は非置換C〜Cアルキル、フェニル、直鎖又は分枝鎖の置換又は非置換C〜Cアルキルアリール、直鎖又は分枝鎖の置換又は非置換C〜Cシクロアルキル部分、及びこれらの混合物、より具体的には直鎖又は分枝鎖C〜Cアルキル、フェニル、直鎖又は分枝鎖C〜Cアルキルアリール、及びこれらの混合物、更により具体的には、直鎖又は分枝鎖C〜Cアルキル、直鎖又は分枝鎖の置換又は非置換C〜Cアルキル複素環、及びこれらの混合物から独立して選択される)及びこれらの混合物から選択されるN−キャッピング部位である。
【0019】
好適なトリペプチド酵素阻害剤の代表的な非限定例としては、
【化6】

及びこれらの混合物が挙げられる。
【0020】
可逆的ペプチドプロテアーゼ阻害剤が、あらゆる好適な方法で製造され得る。可逆的ペプチドプロテアーゼ阻害剤を製造するための好適なプロセスの代表的な例は、米国特許第6,165,966号に見出され得る。
【0021】
一実施形態では、組成物が、組成物の約0.00001重量%〜約5重量%、具体的には約0.00001重量%〜約3重量%、より具体的には約0.00001重量%〜約1重量%の可逆的ペプチドプロテアーゼ阻害剤を含む。
【0022】
親和定数−一実施形態では、可逆的ペプチドプロテアーゼ阻害剤は、約50nM〜約2uM、具体的には約100nM〜約1uMの、プロテアーゼ酵素に対する親和定数を有する。阻害剤のプロテアーゼ酵素に対する親和定数は、遊離の酵素の濃度と遊離の阻害剤の濃度との積を酵素/阻害剤錯体の濃度で除した値である。
【0023】
理論によって制限されるものではないが、約2uMよりも大きな親和定数を有する可逆的ペプチドプロテアーゼ阻害剤は、プロテアーゼに結合するには不十分な結合強度を有し、それによってプロテアーゼがそれ自体を分解することを防ぐ、又は存在するいずれかの他の酵素を分解することを防ぐものと考えられる。それとは反対に、約50nM未満の親和定数を有する可逆的ペプチドプロテアーゼ阻害剤は、プロテアーゼに対する親和性が強すぎるため、液体洗剤が典型的な洗浄条件下で希釈されたときに(すなわち、洗剤が洗濯洗浄に加えられたときに)、可逆的ペプチドプロテアーゼ阻害剤は、必要とされる性能を送達するのに十分なプロテアーゼを放出しないことになる。驚くべきことに、これらの範囲、すなわち約50nM〜約2uMの親和定数を有する可逆的ペプチドプロテアーゼ阻害剤は、使用に先立ちプロテアーゼを結合する(それによりプロテアーゼを安定化する)のに十分な強度を有し、希釈されると(液体組成物が典型的な洗浄溶液に加えられると)、可逆的ペプチドプロテアーゼ阻害剤がプロテアーゼ酵素から離れて拡散するため、プロテアーゼ酵素が再活性化されるということが今般見出された。
【0024】
可逆的ペプチド阻害剤のプロテアーゼ酵素に対する親和定数の決定−阻害剤のプロテアーゼに対する親和定数は、50mMリン酸カリウムpH8緩衝剤1mLを含有するキュベット内で室内温度及び圧力、すなわち25℃及び1気圧で、プロテアーゼ酵素と可逆的ペプチドプロテアーゼ阻害剤を混合することによって決定することができる。プロテアーゼ酵素は20nMの濃度で使用し、可逆的ペプチドプロテアーゼ阻害剤は4.2μM(又は対照用では0μM)の濃度で使用する。活性プロテアーゼの量は、基質、すなわちスクシニル−Ala−Ala−Pro−Phe−p−ニトロアニリンを添加して測定する。410nmにおける光学密度の増加を、ベックマンDU−70のような分光光度計を使用して6秒間隔で測定し、増加は基質を添加した後15秒以内に測定を開始する。測定は異なる基質濃度、すなわち400、200、100、及び50μg/mLで行われる。結果をラインウェーバー−バークプロット(Lineweaver-Burk plot)にプロットし、反応速度の逆数を基質濃度の逆数に対してプロットする。傾きを求め、阻害剤なしで行った対照実験の同様のプロットの傾きと比較する。阻害剤の存在下での傾きと可逆的ペプチドプロテアーゼ阻害剤なしの場合の傾きの比率は、(1+[I]/Ki)に等しい(式中[I]は阻害剤の濃度であり、及びKiは阻害剤とプロテアーゼとの親和定数である)。
【0025】
モル比−別の実施形態では、可逆的ペプチドプロテアーゼ阻害剤及びプロテアーゼ酵素は液体洗剤組成物中に、約1:1〜約20:1、具体的には約1:1〜約10:1のモル比で存在する。
【0026】
プロテアーゼ酵素−本発明の組成物及び方法が1つ以上のプロテアーゼ酵素を含む。一実施形態では、本発明の組成物及び方法は、洗剤組成物の約0.0001重量%〜約5重量%、具体的には約0.001重量%〜約2重量%、より具体的には約0.001重量%〜約1重量%、更により具体的には約0.001重量%〜約0.2重量%、なお更により具体的には約0.005重量%〜約0.1重量%のプロテアーゼ酵素を包含する。
【0027】
洗剤中で使用するのに好適なあらゆるプロテアーゼを使用することができる。こうしたプロテアーゼは、動物、植物、又は微生物起源であることができ、変性されたプロテアーゼ類(化学的又は遺伝子的変異型)、及び変性されていないプロテアーゼ類の両方が包含される。
【0028】
好適なプロテアーゼの1つの部類は、いわゆるセリンエンドペプチダーゼ類[E.C.3.4.21]であり、及びその一例はセリンプロテアーゼ[E.C.3.4.21.62]である。セリンプロテアーゼの代表的な非限定例としては、サブチリシン類、例えば、バチルス(例えば、B.サブチリス、B.レンタス、B.リケニフォルミス、B.アミロリケファシエンス、B.アルカロフィルス)から誘導されたサブチリシン類、例えばサブチリシンBPN及びBPN’、サブチリシンカールスバーグ、サブチリシン309、サブチリシン147、サブチリシン168、サブチリシンPB92、それらの突然変異体、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0029】
市販のセリンプロテアーゼ類の代表的な非限定例としては、ノボザイムズ(Novozymes)から入手可能な、アルカラーゼ(Alcalase)(登録商標)、サビナーゼ(Savinase)(登録商標)、カンナーゼ(Kannase)(登録商標)、エバーラーゼ(Everlase)(登録商標)、ジェネンコア(Genencor)から入手可能なピュラフェクト(Purafect)(登録商標)、ピュラスター(Purastar)OxAm(登録商標)、プロペラーゼ(Properase)(登録商標)、ヘンケル(Henkel)から入手可能なBLAP及びBLAP変異体類、花王(KAO)から入手可能なK−16様プロテアーゼ類が挙げられる。追加の代表的なプロテアーゼについては、例えばEP130756、PCT国際公開特許WO91/06637、WO95/10591、WO99/20726、米国特許第5030378号(プロテアーゼ「A」)及びEP251446(プロテアーゼ「B])に記載されている。
【0030】
有機ポリオール溶媒−一実施形態では、本発明の液体洗剤組成物及び方法が、洗剤組成物の約5重量%未満、具体的には洗剤組成物の約3重量%未満、なおより具体的には洗剤組成物の約1重量%未満の有機ポリオール溶媒類を含んでよく、更により具体的には有機ポリオール溶媒類を実質的に含まない。「有機ポリオール溶媒類を実質的に含まない」とは、より具体的にはその処方に有機ポリオール溶媒類が意図的に加えられないことを意味するが、しかし微量の有機ポリオール溶媒類が不純物として又は他の添加剤中における加工/安定化助剤として存在してもよいということを当業者は理解し、すなわち組成物はその組成物の約0.1重量%未満の有機ポリオール溶媒類を含有する。
【0031】
「有機ポリオール溶媒類」とは、エタンジオール、1,2及び1,3プロパンジオール、グリセロール、グリコール類及びグリコールエーテル類、ソルビトール、マンニトール、1,2ベンゼンジオール、並びにこれらの混合物のような、炭素原子と酸素原子と水素原子とから構成され、2つ以上のヒドロキシル基を含む低分子量有機溶媒類を意味する。この定義は特に、ホウ酸及びボレートと錯体を形成してホウ酸エステルを形成することのできるジオール類、特に隣接ジオール類を包含する。
【0032】
これらの有機ポリオール溶媒は、従来はプロテアーゼ酵素安定化系としてホウ酸誘導体類と組み合わせて使用されてきた。約50nM〜約2uMのプロテアーゼ酵素に対する親和定数を有する可逆的ペプチドプロテアーゼ阻害剤を選択することは、これらの有機ポリオール溶媒の使用が低減され、それにより金銭及び時間を節約できるということを意味する。
【0033】
ホウ酸誘導体類−別の実施形態では、本発明の組成物及び方法が、洗剤組成物の約5重量%未満、具体的には洗剤組成物の約3重量%未満、より具体的には洗剤組成物の約1重量%未満のホウ酸誘導体類を含んでもよく、更により具体的にはホウ酸誘導体類を実質的に含まない。「ホウ酸誘導体類を実質的に含まない」とは、より具体的にはその処方にホウ酸誘導体類が意図的に加えられないことを意味するが、しかし微量のホウ酸誘導体類が不純物として又は他の添加剤類における加工/安定性として存在してもよいということを当業者は理解し、すなわち組成物はその組成物の約0.1重量%未満のホウ酸誘導体類を含有する。
【0034】
「ホウ酸誘導体類」とは、ホウ酸そのもの、置換ホウ酸類、及び少なくとも一部が、溶液中でホウ酸、又は置換ホウ酸のようなその化学的等価物として存在する他のホウ酸誘導体類、などのホウ素含有化合物類を意味する。ホウ酸誘導体の代表的であるが非限定的な例としては、ホウ酸、酸化ホウ素、ホウ砂、アルカリ金属ボレート類(オルト−、メタ−、及びピロホウ酸ナトリウム、及び五ホウ酸ナトリウムなど)、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0035】
本明細書に記載されるように、これらのホウ酸誘導体は、従来はプロテアーゼ酵素安定化系として有機ポリオ−ル溶媒類と組み合わせて使用されてきた。約50nM〜約2uMのプロテアーゼ酵素に対する親和定数を有する可逆的ペプチドプロテアーゼ阻害剤を選択することは、これらのホウ酸誘導体類の使用が低減され、それにより金銭及び時間を節約できるということを意味する。
【0036】
界面活性剤類−一実施形態では、本発明の液体洗剤組成物が1つ以上の界面活性剤類(surface active agents)(界面活性剤類(surfactants))を含有してよい。界面活性剤は、アニオン性、非イオン性、カチオン性、両性、双極性、及びこれらの混合物から選択されてよい。一実施形態では、本発明において使用するための界面活性剤洗剤は、アニオン性及び非イオン性界面活性剤類の混合物であるが、あらゆる界面活性剤を単独で又はあらゆる他の界面活性剤又は界面活性剤類と組み合わせて使用してよいということを理解すべきである。濃縮された洗剤組成物中に存在するとき、界面活性剤はその液体洗剤組成物の約0.1重量%〜約70重量%、より具体的には約1重量%〜約50重量%を構成することが可能である。
【0037】
本明細書で有用な界面活性剤の代表的な例は、米国特許第3,664,961号、米国特許第3,919,678号、米国特許第4,062,647号、米国特許第4,316,812号、米国特許第3,630,929号、米国特許第4,222,905号、米国特許第4,239,659号、米国特許第4,497,718号、米国特許第4,285,841号、米国特許第4,284,532号、米国特許第3,919,678号、米国特許第2,220,099号、及び米国特許第2,477,383号に記載されている。界面活性剤は一般的に周知であり、より詳細はカークオスマーの工業化学百科事典(Kirk Othmer’s Encyclopedia of Chemical Technology)第3版、第22巻、360〜379頁、「界面活性剤及び洗剤系(Surfactants and Detersive Systems)」、マカッチャンの洗剤及び乳化剤(McCutcheon’s, Detergents & Emulsifiers)(M.C.パブリッシング・カンパニー(M.C. Publishing Co.))(北アメリカ版(North American edition)1997年)、シュワルツ(Schwartz)ら、界面活性剤、それらの化学及び技術(Surface Active Agents, Their Chemistry and Technology)、ニューヨーク(New York):インターサイエンス・パブリッシャーズ(Interscience Publishers)1949年に記載されており、更なる情報及び例が「界面活性剤及び洗剤(Surface Active Agents and Detergents)」(第I及びII巻、シュワルツ(Schwartz)、ペリー(Perry)、及びベルシェ(Berch)による)に提示されている。
【0038】
非イオン性界面活性剤が、液体洗剤組成物中に存在するとき、その液体洗剤組成物の約0.01重量%〜約70重量%、より具体的には約1重量%〜約50重量%、更により具体的には約5重量%〜約40重量%の量で存在してよい。好適な非イオン性界面活性剤の代表的な例としては以下のものが挙げられる:アルコールエトキシレート類(例えば、シェル・ケミカル・カンパニー(Shell Chemical Co.)からのネオドール(Neodol)25−9)、アルキルフェノールエトキシレート類(例えば、ユニオン・カーバイド(Union Carbide Corp.)からのタージトール(Tergitol)NP−9)、アルキルポリグルコシド類(例えば、ヘンケル(Henkel Corp.)からのグルカポン(Glucapon)600CS)、ポリオキシエチレン化ポリオキシプロピレングリコール類(例えば、BASF(BASF Corp.)からのプルロニック(Pluronic)L−65)、ソルビトールエステル類(例えば、ヘンケル(Henkel Corp.)からのエムソルブ(Emsorb)2515)、ポリオキシエチレン化ソルビトールエステル類(例えば、ヘンケル(Henkel Corp.)からのエムソルブ(Emsorb)6900)、アルカノールアミド類(例えば、ローヌ・プーラン(Rhone-Poulenc Co.)からのアルカミド(Alkamide)DC212/SE)、及びN−アルキルピロリドン類(alkypyrrolidones)(例えば、ISPテクノロジーズ(ISP Technologies Inc.)からのサーファドン(Surfadone)LP−100)、及びこれらの組み合わせ。
【0039】
アニオン性界面活性剤が、液体洗剤組成物中に存在するとき、その液体洗剤組成物の約0.01重量%〜約70重量%、より具体的には約1重量%〜約50重量%、更により具体的には約5重量%〜約40重量%の量で存在してよい。好適なアニオン性界面活性剤の代表的な例としては以下のものが挙げられる:直鎖アルキルベンゼンスルホネート類(例えばビスタ・ケミカル(Vista Chemical Co.)から市販されているビスタ(Vista)C−500)、分枝状直鎖(branched linear)アルキルベンゼンスルホネート類(例えば、MLAS)、アルキルサルフェート類(例えば、ステパン(Stepan Co.)から市販されているポリステップ(Polystep)B−5)、分枝状アルキルサルフェート類、ポリオキシエチレン化アルキルサルフェート類(例えば、ステパン(Stepan Co.)から市販されているスタンダポール(Standapol)ES−3)、α−オレフィンスルホネート類(例えば、ウィトコ(Witco Corp.)から市販されているウィトコネート(Witconate)AOS)、α−スルホメチルエステル類(例えば、ステパン(Stepan Co.)から市販されているアルファステップ(Alpha-Step)MCp−48)、イセチオネート類(例えば、PPGインダストリーズ(PPG Industries Inc.)から市販されているジョルダポン(Jordapon)CI)、及びこれらの組み合わせ。
【0040】
カチオン性界面活性剤が、液体洗剤組成物中に存在するとき、その液体洗剤組成物の約0.01重量%〜約70重量%、より具体的には約1重量%〜約50重量%、更により具体的には約5重量%〜約40重量%の量で存在してよい。具体的なカチオン性界面活性剤としては、C8〜C18アルキルジメチルアンモニウムハロゲン化物類及び1つ又は2つのメチル部分を1つ又は2つのヒドロキシエチル部分で置換したその類似体類が挙げられる。
【0041】
両性界面活性剤が、液体洗剤組成物中に存在するとき、その液体洗剤組成物の約0.01重量%〜約70重量%、より具体的には約1重量%〜約50重量%、更により具体的には約5重量%〜約40重量%の量で存在してよい。両性界面活性剤の例は、ナトリウム3(ドデシルアミノ)プロピオネート、ナトリウム3−(ドデシルアミノ)プロパン−1−スルホネート、ナトリウム2−(ドデシルアミノ)エチルサルフェート、ナトリウム2−(ジメチルアミノ)オクタデカノエート、ジナトリウム3−(N−カルボキシメチルドデシルアミノ)プロパン1−スルホネート、ジナトリウムオクタデシル−イミノジアセテート、ナトリウム1−カルボキシメチル−2−ウンデシルイミダゾール、及びナトリウムN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−スルファト−3−ドデコキシプロピルアミンである。
【0042】
双極性界面活性剤が、液体洗剤組成物中に存在するとき、その液体洗剤組成物の約0.01重量%〜約70重量%、より具体的には約1重量%〜約50重量%、更により具体的には約5重量%〜約40重量%の量で存在してよい。
【0043】
非プロテアーゼ酵素−本発明の組成物及び方法が、非プロテアーゼ酵素を、具体的には洗剤組成物の約0.00001重量%〜約2重量%、より具体的には約0.0005重量%〜約1重量%、更により具体的には約0.001重量%〜約0.5重量%の非プロテアーゼ酵素を包含してもよい。
【0044】
非プロテアーゼ酵素が、本明細書における液体洗濯洗浄組成物中で、例えばタンパク質系、炭水化物系、又はトリグリセリド系の染みの除去、及び/又は布地回復を包含する、多様な布地洗濯の目的で、有効量で包含され得る。
【0045】
好適な非プロテアーゼ酵素の例としては、ヘミセルラーゼ類、ペルオキシダーゼ類、セルラーゼ類、キシラナーゼ類、リパーゼ類、ホスホリパーゼ類、エステラーゼ類、クチナーゼ類、ペクチナーゼ類、ペクテートリアーゼ類、ケラタナーゼ類、レダクターゼ類、オキシダーゼ類、フェノールオキシダーゼ類、リポキシゲナーゼ類、リグニナーゼ類、プルラナーゼ類、タンナーゼ類、ペントサナーゼ類、マラナーゼ類、マンナナーゼ類、β−グルカナーゼ類、アラビノシダーゼ類、ヒアルロニダーゼ、コンドロイチナーゼ、ラッカーゼ類、アミラーゼ類、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。他の種類の酵素も包含され得る。酵素は、植物、動物、細菌、真菌及び酵母起源のような、いずれかの好適な起源であってよい。しかしながら、それらの選択は、pH活性及び/又は安定性の最適条件、熱安定性、活性洗剤やビルダー等に対する安定性などのような幾つかの要因によって左右される。
【0046】
可能な酵素の組み合わせは、プロテアーゼに加えて、リパーゼ、クチナーゼ、セルラーゼ、及び/又はアミラーゼのような従来の洗浄性酵素類の混合物を含む。別の任意の可能な酵素は、セルラーゼ類、リパーゼ類、アミラーゼ類、マンナナーゼ類、ペクテートリアーゼ類、及びこれらの混合物から選択される。洗浄性酵素類については、米国特許第6,579,839号及びPCT国際公開特許WO01/02530に更に詳細に記載されている。
【0047】
好適な市販の非プロテアーゼ酵素の非限定的なリストとしては、以下のものが挙げられる:PCT国際公開特許WO94/02597及びWO96/23873に記載されているアミラーゼ類(α及び/又はβ)。市販品の例は、ピュラフェクトOxAm(Purafect Ox Am)(登録商標)[ジェネンコア(Genencor)]、並びにターマミル(Termamyl)(登録商標)、ナタラーゼ(Natalase)(登録商標)、バン(Ban)(登録商標)、フンガミル(Fungamyl)(登録商標)及びデュラミル(Duramyl)(登録商標)[全てノボザイムズ(Novozymes)より]である。セルラーゼ類としては、細菌性又は真菌性セルラーゼ類、例えばヒューミコーラ・インソレンス(Humicola insolens)により生成されるもの、特にDSM1800、例えば50Kda、及び約43kD(43kD)[ケアザイム(Carezyme)(登録商標)]が挙げられる。好適なセルラーゼ類はまた、トリコデルマ・ロンギプラチアタム(Trichoderma longibrachiatum)由来のEGIIIセルラーゼ類である。好適なリパーゼ類としては、シュードモナス(Pseudomonas)及びクロモバクター(Chromobacter)群によって産生されるものが挙げられる。好ましいのは、例えばノボザイムズ(Novozymes)からのリポラーゼ(Lipolase)(登録商標)、リポラーゼ・ウルトラ(Lipolase Ultra)(登録商標)、リポプライム(Lipoprime)(登録商標)及びリペックス(Lipex)(登録商標)である。クチナーゼ類[EC3.1.1.50]及びエステラーゼ類も好適である。カルボヒドラーゼ類、例えばマンナナーゼ(US6060299)、ペクテートリアーゼ(WO99/27083)、シクロマルトデキストリングルカノトランスフェラーゼ(WO96/33267)、キシログルカナーゼ(WO99/02663)もまた好適である。漂白酵素としては、例えば、ペルオキシダーゼ類、ラッカーゼ類、オキシゲナーゼ類(例えば、カテコール1,2ジオキシゲナーゼ、リポキシゲナーゼ(WO95/26393)、(非ヘム)ハロペルオキシダーゼ類が挙げられる。
【0048】
補助剤成分−本発明の組成物及び方法は、補助剤成分を、具体的には洗剤組成物の約0.0001重量%〜約95重量%、より具体的には約0.001重量%〜約70重量%の補助剤成分を包含してもよい。
【0049】
本発明の一実施形態では、補助剤成分は、ビルダー類、増白剤類、移染防止剤類、キレート剤類、ポリアクリレートポリマー類、分散剤類、着色剤染料、色相染料類、香料類、加工助剤類、漂白添加剤類、漂白活性化剤類、漂白剤前駆体類、漂白触媒類、溶媒類、共溶媒類、ヒドロトロープ類、液体キャリア、相安定剤類、汚れ放出ポリマー類、酵素安定剤類、酵素類、汚れ懸濁剤類、再付着防止剤類、解膠ポリマー類、抗菌剤類、殺真菌剤類、UV吸収剤類、黄ばみ防止剤類、酸化防止剤類、光学的光沢剤類、泡抑制剤類、不透明化剤類、泡増進剤類、防食剤類、ラジカル捕捉剤類、塩素捕捉剤類、構造剤類、布地柔軟化添加剤類、他の布地ケア有益剤類、pH調整剤類、蛍光増白剤類、スメクタイト粘土類、構造化剤類、防腐剤類、増粘剤類、着色剤類、布地柔軟化添加剤類、レオロジー変性剤類、充填剤類、殺菌剤類、及びこれらの混合物から選択されてよい。好適な補助剤成分の更なる例及び使用濃度は、米国特許第3,936,537号(バスカービル(Baskerville)Jr.ら、1976年2月3日発行)、米国特許第4,285,841号(バラット(Barrat)ら、1981年8月25日発行)、米国特許第4,844,824号(マーメルシュテイン(Mermelstein)ら、1989年7月4日発行)、米国特許第4,663,071号(ブッシュ(Bush)ら)、米国特許第4,909,953号(サドロスキー(Sadlowski)ら、1990年3月20日発行)、米国特許第3,933,672号(バルトレッタ(Bartoletta)ら、1976年1月20日発行)、米国特許第4,136,045号(ゴー(Gault)ら、1979年1月23日発行)、米国特許第2,379,942号、米国特許第3,308,067号、米国特許第5,147,576号(モンタギュー(Montague)ら)、英国特許第1,470,250号、英国特許第401,413号(マリオット(Marriott))、英国特許第461,221号(マリオット(Marriott)及びグアム(Guam))、英国特許第1,429,143号、及び米国特許第4,762,645号(ツッカー(Tucker)ら、1988年8月9日発行)に記載されている。
【0050】
一部の可能な補助剤成分の非限定例を以下に挙げる。
【0051】
代表的な漂白添加剤としては、過酸化水素、過ホウ酸塩、過炭酸塩、又は6−フタルイミドペルオキシヘキサノン酸などのペルオキシ酸類、及びこれらの混合物のような漂白剤類が挙げられる。
【0052】
好適なキレート剤類としては、S,S−エチレンジアミン二コハク酸(EDDS)、チロン(Tiron)(登録商標)(別名カテコール−2,5−ジスルホネートとして、その酸又は水溶性塩として知られるもの)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミンペンタア(DTPA)、1−ヒドロキシエチリデン1,1ジホスホン酸(HEDP)、ジエチレントリアミン−ペンタ−メチレンホスホン酸(DTPMP)、ジピコリン酸並びにその塩類及び/又は酸類、並びにこれらの混合物が挙げられる。好適なキレート化剤及び使用濃度の更なる例は、米国特許第3,812,044号、同第4,704,233号、同第5,292,446号、同第5,445,747号、同第5,531,915号、同第5,545,352号、同第5,576,282号、同第5,641,739号、同第5,703,031号、同第5,705,464号、同第5,710,115号、同第5,710,115号、同第5,712,242号、同第5,721,205号、同第5,728,671号、同第5,747,440号、同第5,780,419号、同第5,879,409号、同第5,929,010号、同第5,929,018号、同第5,958,866号、同第5,965,514号、同第5,972,038号、同第6,172,021号、及び同第6,503,876号に記載されている。
【0053】
使用してよい好適なビルダー類の例としては、水溶性アルカリ金属ホスフェート類、ポリホスフェート類、ボレート類、シリケート類、及び更にカーボネート類、水溶性アミノポリカルボキシレート類、脂肪酸石鹸類、フィチン酸の水溶性塩類、ポリカルボキシレート類、ゼオライト類又はアルミノシリケート類、及びこれらの組み合わせが挙げられる。これらの具体例は次のものである:ナトリウム及びカリウムトリホスフェート類、ピロホスフェート類、オルトホスフェート類、ヘキサメタホスフェート類、テトラボレート類、シリケート類、及びカーボネート類;メリト酸、クエン酸、及びカルボキシメチルオキシコハク酸の水溶性塩類、イタコン酸及びマレイン酸のポリマー類の塩類、タータラートモノスクシナート、タータラートジスクシナート;及びこれらの混合物。
【0054】
他の任意の補助剤成分は増粘剤である。増粘剤の代表的な例としては、レオロジー変性剤類、構造剤類、及びこれらの組み合わせが挙げられる。本明細書で有用な構造剤の代表的な例としては、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、例えばメトセル(Methocel)(登録商標)(ダウ・ケミカル(Dow Chemical)からの商標名)、キサンタンガム、ジェランガム、グアーガム、及びヒドロキシプロピルグアーガム、サクシノグリカン及びトリヒドロキシステアリンが挙げられる。構造剤の他の代表的な例としては、非高分子ヒドロキシ官能性構造剤類が挙げられる。構造剤は液体製品における所望のレオロジー特性を確立するために組成物に組み込まれる。組成物中にこれらの任意の補助剤類が存在する場合、それらは所望の特性を与えるような濃度で、具体的には本明細書の組成物の約0.01重量%〜約1重量%、より具体的には約0.015重量%〜約0.75重量%、更により具体的には0.02重量%〜0.5重量%の濃度で存在する。
【0055】
非高分子ヒドロキシ官能性構造剤が、それらが液体マトリックス内でその場で結晶化されたときに、その液体マトリックス全体に渡って糸状構造系を形成できる非高分子結晶性ヒドロキシ官能性物質から選択される。そのような物質は、一般に、結晶性ヒドロキシル含有脂肪酸類、脂肪酸エステル類又は脂肪ろうとして特徴付けできる。ヒドロキシ含有構造剤の具体的な代表的及び非限定的な例としては、ヒマシ油及びその誘導体類が挙げられる。より具体的には硬化ヒマシ油及び硬化キャスターワックスのような硬化ヒマシ油誘導体類。市販の、ヒマシ油系、結晶性、ヒドロキシル含有構造剤としては、レオックス社(Rheox, Inc.)からのチクシン(THIXCIN)(登録商標)が挙げられる。米国特許第6,080,708号及びPCT国際公開特許WO02/40627もまた参照のこと。別の市販の構造剤は、R,R及びS,S形態の1,4−ジ−O−ベンジル−D−トレイトール及び光学活性な又はそうではないあらゆる混合物である。
【0056】
本明細書の洗剤組成物はまた任意で本明細書の液体組成物のための相安定剤類及び/又は共溶媒類として機能する低濃度の物質を含有してもよい。この種の物質としては、メタノール、エタノール、及び/又はプロパノールなどのC〜C低級アルカノール類が挙げられる。モノ−、ジ−、及びトリエタノールアミン類のような低級C〜Cアルカノールアミン類もまた、それ自体で又は低級アルカノール類と組み合わせて使用することができる。相安定剤類/共溶媒類は存在する場合、任意で、本明細書の組成物の約0.1重量%〜約5.0重量%を構成することができる。
【0057】
液体キャリア−本発明による液体洗浄組成物はまた、液体キャリアを含有してもよい。典型的には、本明細書の組成物中に存在するとき液体キャリアの量は比較的多くなり、洗浄組成物の残部を構成することも多いが、洗浄組成物の約5質量%〜約85質量%を構成することができる。一実施形態では、低濃度、洗浄組成物の5重量%〜20重量%の液体キャリアが利用される。
【0058】
別の実施形態では、組成物は洗浄組成物の少なくとも約60重量%、より具体的には少なくとも約65重量%、更により具体的には少なくとも約70重量%、なお更により具体的には少なくとも約75重量%の液体キャリアを含んでいてよい。
【0059】
最もコスト的に有効な種類の水性非界面活性液体キャリアは言うまでもなく水自体である。一実施形態では、水は、存在する場合、蒸留水、脱イオン水、濾過水、及びこれらの組み合わせから選択される。別の実施形態では、水は未処理であってもよい。
【0060】
任意の追加の酵素安定剤−任意の一実施形態では、任意の追加の酵素安定剤が包含され得る。これらの任意の追加の酵素安定剤には、本明細書に記載された可逆的ペプチドプロテアーゼ阻害剤以外の既知の酵素安定剤類が包含される。これらの追加の任意の酵素安定剤の代表的な例としては、カルシウム及び/又はマグネシウム化合物類、低分子量カルボキシレート類、比較的疎水性の有機化合物類(すなわち、特定のエステル類、ジアルキルグリコールエーテル類、アルコール類、又はアルコールアルコキシラート類)、カルシウムイオン源に加えてアルキルエーテルカルボキシレート、ベンズアミジン次亜塩素酸塩、低級脂肪族アルコール類、及びカルボン酸類、N,N−ビス(カルボキシメチル)セリン塩類;(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステルコポリマー、及びPEG;リグニン化合物類、ポリアミドオリゴマー、グリコール酸又はその塩類;ポリヘキサメチレンビグアニド又はN,N−ビス−3−アミノ−プロピル−ドデシルアミン又は塩;及びそれらの混合物のようなあらゆる既知の安定剤系が挙げられる。米国特許第3,600,319号(ゲッジ(Gedge)ら)、EP 0 199 405 A(ベネガス(Venegas))、米国特許第3,519,570号もまた参照のこと。
【0061】
液体洗剤組成物処方−液体洗剤組成物は、それらの必須成分及び任意成分をいずれかの所望の順番で混合し、構成成分を必要な濃度で含有する組成物を提供することにより調製することができる。本発明による液体組成物はまた、「コンパクト形態」であることもでき、このようなケースでは、本発明による液体洗剤組成物は従来の液体洗剤と比較して少ない量の水を含有することになる。
【0062】
可逆的ペプチドプロテアーゼ阻害剤及びプロテアーゼ酵素は液体洗剤組成物に別個に加えることができ、又は液体洗剤組成物に加える前に互いに予備混合され得る。
【0063】
液体洗剤組成物は、あらゆる所望の色又は外観を有していてよく、すなわち米国特許第6,630,437号(マーフィー(Murphy)ら、2003年10月7日発行)の組成物のように、乳白色、透明、又は半透明であってよい。本発明の目的のためには、可視光範囲の一波長が25%よりも多い透過性を有する限り、透明又は半透明であるとみなす。
【0064】
本発明による組成物は、あらゆる好適なpHを有していてよく、具体的には約5.5〜約11のpH、より具体的には約6〜約9、更により具体的には約6〜約8.5のpHを有していてよい。組成物のpHは純溶液として標準の温度及び圧力、すなわち21℃及び1気圧にて測定される。
【0065】
洗剤のパッケージ−本発明による洗剤組成物は、標準的なパッケージ中で消費者に提供されてよく、又はいかなる好適なパッケージ中で提供されてもよい。最近は、分与されそして組み合わされる複数の処方を含有する多区画ボトルが洗剤組成物のために使用されるようになってきた。本発明の組成物はこうしたパッケージ中に包含されるように処方されてもよい。加えて、1回用量パッケージもまた洗剤組成物のために一般的に使用されるようになってきた。こうしたパッケージもまた、本発明の組成物と共に使用するのに好適である。パッケージはあらゆる所望の色又は外観を有していてよく、すなわち、不透明、透明、半透明、又は更にはそれらの組み合わせであってもよい。代表的ではあるが非限定的なパッケージは米国特許第6,630,437号(マーフィー(Murphy)ら、2003年10月7日発行)に見出され得る。
【0066】
使用方法−本発明は布地を洗浄するための方法もまた提供する。こうした方法は、これらの布地を本明細書に前述した有効量の液体洗剤組成物から形成される水性洗浄溶液と接触させることを利用する。布地の洗浄溶液との接触は一般に攪拌条件下で行われる。
【0067】
攪拌は典型的には良好な洗浄のために洗濯機中で提供される。典型的には洗浄に続いて、湿った布地を、従来の衣料用乾燥機中で、屋外の物干し竿、屋内の乾燥ラック、またはこれと似たようなものにかけることにより乾燥する。洗濯機中の水性洗浄溶液中の有効量の液体洗剤組成物が、典型的なヨーロッパの洗浄条件下で具体的には約500〜約10,000ppm、より具体的には約2,000〜約10,000ppmであってよく、及び典型的な米国の洗浄条件下では具体的に約1,000〜約3,000ppmであってよい。米国の新しい高効率(HE)洗濯機においては、より高い製品濃度が布地に送達され、従って洗浄溶液中の汚れ及び染料負荷(dye-loads)が更に高い。それにより製品濃度及び原料レベルが、洗濯機の変化に応じた洗浄条件のこれらの変化に合わせて調節される。
【0068】
抗菌安定化−驚くべきことに本発明の可逆的ペプチドプロテアーゼ阻害剤はまた、液体組成物、具体的には液体洗剤組成物を微生物の攻撃に対して安定化するために使用されてもよいということが今般見出された。具体的には、可逆的ペプチドプロテアーゼ阻害剤が、液体洗剤中での少なくとも1つの微生物植物相又は動物相(微生物有機体としてもまた知られている)の増殖を少なくとも阻害し、具体的には、少なくとも1つの微生物植物相又は動物相による液体洗剤の汚染を少なくとも阻害し、より具体的には、液体洗剤中での少なくとも1つの微生物植物相又は動物相の増殖を防止する。一実施形態では、可逆的ペプチドプロテアーゼ阻害剤が、液体洗剤中での少なくとも1つの細菌の増殖を少なくとも阻害し、具体的には、少なくとも1つの細菌による液体洗剤の汚染を少なくとも阻害し、より具体的には、液体洗剤中での少なくとも1つの細菌の増殖を防止する。別の実施形態では、可逆的ペプチドプロテアーゼ阻害剤は、液体洗剤中での少なくとも1つのグラム陰性細菌の増殖を少なくとも阻害し、具体的には、少なくとも1つのグラム陰性細菌による液体洗剤の汚染を少なくとも阻害し、より具体的にはペプチド、前記液体洗剤中での少なくとも1つのグラム陰性細菌の増殖を防止し、なおより具体的には、液体洗剤中でのグラム陰性細菌の2log減少を提供し、なお更により具体的には、液体洗剤中でのグラム陰性細菌の3log減少を提供する。「阻害する」とは、少なくとも1つの微生物植物相又は動物相、具体的には細菌、より具体的にはグラム陰性細菌の総個体数がほぼ同じのままである、又は変化のない状態であることを意味する。「微生物植物相又は動物相」とは、カビ、真菌、細菌(グラム陰性及びグラム陽性の両方)、ウィルス、微生物、プリオン等のような微生物生命体を意味する。
【0069】
この微生物汚染は、空気汚染、ハンドリング及び交差汚染事象等のような、製造中の種々の原因により起こる場合がある。消費者が使用する際、液体洗剤は、浮遊汚染源、ハンドリング及び交差汚染事象等のような、種々の原因により汚染される可能性があり得る。
【0070】
可逆的ペプチドプロテアーゼ阻害剤は、液体洗剤における少なくとも1つの、これらの微生物汚染の阻害を少なくとも提供し、それにより液体洗剤を防腐する。この驚くべき効果は、従来の微生物防腐剤の量を低減できる可能性があり、又は更には無くすことができる可能性があり、それによりその液体洗剤の製造及び販売に関するコストが低減されるということを意味する。
【0071】
グラム陰性細菌の代表的な非限定例としては、緑膿菌、及び蛍光菌などのシュードモナス類、バークホルデリア・シュードモナ・セパシアなどのバークホルデリア、クレブシェラ・オキシトカなどのクレブシェラ、セラチア、大腸菌などのエシェリキア、又はシトロバクター・フロインデイ及びセラチア・リクファシエンスなどの同様の環境起源の種が挙げられる。
【0072】
化合物が、液体洗剤中の少なくとも1つのグラム陰性細菌の増殖を少なくとも阻害することができるかどうかを決定するために、以下の試験を実施する。
【0073】
グラム陰性混液又は混液としても既知であるグラム陰性細菌の混合物を調製する。グラム陰性混液は、緑膿菌ATCC 9027、蛍光菌ATCC 13525、バークホルデリア(シュードモナス)・セパシアATCC2 5416、クレブシェラ・オキシトカATCC 13182、大腸菌ATCC 8739、シトロバクター・フロインデイATCC 8090、及びセラチア・リクファシエンスATCC 27592の混合物を含む。グラム陰性細菌混液はそれぞれの有機体を増殖培地を含有するプレート上で個々に増殖させ、そしてグラム陰性混液の調製のために、分離されたコロニーをピッキングすることによって調製される。増殖培地はTSA(ベクトン・ディッキンソン(Becton Dickinson)から入手可能な、トリプティック・ソイ寒天)である。TSAは水1リットル当たり次のものを含有する:カゼインの膵臓消化物15g、大豆食物の酵素消化物5g、塩化ナトリウム5g、及び塩酸、HCL(J.T.ベイカー(J. T.Baker))を用いてpHを7.3±0.2に調節された寒天15g。
【0074】
個々に選択されたコロニーを滅菌生理食塩水に加え、そして#2のマックファーランド標準液(McFarland standard)(ビオメリュー(bioMerieux, Inc.)から入手可能)に調節して、その有機体についての標準化生理食塩水懸濁液を調製する。このことを各有機体について個々に繰り返し、それにより各有機体についての標準化生理食塩水懸濁液を調製する。次の混液要員の等しい体積(1mL)の各標準化生理食塩水懸濁液を共に混合する:緑膿菌ATCC 9027、蛍光菌ATCC 13525、バークホルデリア(シュードモナス)・セパシアATCC 25416、クレブシェラ・オキシトカATCC 13182、大腸菌ATCC 8739、シトロバクター・フロインデイATCC 8090、及びセラチア・リクファシエンスATCC 27592。
【0075】
下記の表Aに記載した標準液体洗濯洗剤49.5mLに上記で調製したグラム陰性細菌混液0.5mLを加えることによって、接種液体洗濯洗剤を調製する。この標準液体洗濯洗剤はまた、組成物の約0.00001重量%〜約5重量%の、本明細書に記載されるトリペプチド酵素阻害剤を1つ以上含有する。
【表1】

BASFからの、ルテンゾールFP620
【0076】
混液はおよそ10〜10cfu/mL(コロニー形成単位/mL)を含有するので、接種液体洗濯洗剤における結果として得られる接種レベルは、10〜10cfu/mLである。接種(inoculated)液体洗濯洗剤を35℃、相対湿度約60%及び標準圧力、すなわち1気圧で貯蔵する。以下の時点で接種液体洗濯洗剤から1mLのサンプルを取り出す:1日目、2日目、7日目、14日目、21日目、及び28日目。これらの1mLのサンプルを中和剤、すなわち(蒸留水1リットル当たり)以下のものを含有する多価の万能中和剤(PVUN)を加えることによって直ちに中和する:ポリソルベート(Polysorbate)80(VWRインターナショナル(VWR International)から商標名トウィーン(Tween)80で入手可能)30g、チオ硫酸ナトリウム5g、L−ヒスチジン(L-Histidine)1g、ペプトン(Peptone)1g、塩化ナトリウム8.5g、HCLを用いてpHを7.0±0.2に調節されたレシチン14.3g。
【0077】
次いで、生存している微生物個体群の完全な計数が可能となるように、各中和サンプルを10−5までの連続希釈に供する。例えば、1mLのサンプルを9mLのPVUNに加えることにより1:10希釈、又は10−1希釈とする。この1:10希釈のサンプル1mLを次いで別の9mLのPVUNに加えて1:100希釈、又は10−2希釈とする、など。連続希釈を10−5まで行う。1.0mLの種々の希釈液(10−1又は10−5)を次にTSA(トリプティック・ソイ寒天、ベクトン・ディッキンソン(Becton Dickinson))上に広げるか又は混釈平板とし、及びその後35℃±2℃で72時間培養する。
【0078】
培養後、プレートを計数し、生存cfu/mL 対 時間(1日目、2日目、7日目、14日目、21日目、及び28日目)として記録する。結果は特定のサンプリング日数についてのlog生菌数として記録する。接種液体洗濯洗剤中の、少なくとも1つのグラム陰性細菌の微生物個体群が、ほぼ変化なく保持され、すなわち、最初の接種に対して増加しないならば、トリペプチド酵素阻害剤は、液体洗濯洗剤中の少なくとも1つのグラム陰性細菌の増殖を少なくとも阻害している。或いは、接種液体洗濯洗剤の少なくとも1つのグラム陰性細菌の微生物個体群が減少され、すなわち、最初の接種に対して減少されたならば、その場合はトリペプチド酵素阻害剤は液体洗濯洗剤中での少なくとも1つのグラム陰性細菌の増殖を防止する。
【0079】
次式のトリペプチド酵素阻害剤に関して下記の結果が得られうる:
【化7】

【0080】
このトリペプチド酵素阻害剤は、標準液体洗濯洗剤に、組成物の0.004重量%の量で加えられる。この試験の結果は、トリペプチド酵素阻害剤が液体洗濯洗剤中のグラム陰性細菌の増殖を防止するということを示し得る。
【表2】

【0081】
この混液の代わりに個々の菌株を用いて同様の実験を行い、各個々の菌株の阻害性を評価することができる。
【実施例】
【0082】
実施例−次の表1における液体洗剤組成物を調製し、30℃で3週間貯蔵する。その後プロテアーゼの安定性を判定する。実施例Bは、本組成物及び方法の代表例である組成物である。実施例Bは、比較例Aに対して顕著に改善されたプロテアーゼ安定性を示す。
【表3】

BASFからの、ルテンシット(Lutensit)Z
BASFからの、ルテンゾール(Lutensol)FP620
BASFからの、ルテンゾール(Lutensol)PG105K
EP251446の、プロテアーゼ(Protease)「B」
構造
【化8】

の可逆的プロテアーゼ阻害剤
【0083】
液体洗剤の追加の非限定的な代表例を表2、3、及び4に示す。
【表4】

BASFからの、ルテンシット(Lutensit)Z
EP251446の、プロテアーゼ(Protease)B
構造
【化9】

の、可逆的プロテアーゼ阻害剤
構造
【化10】

の、可逆的プロテアーゼ阻害剤
構造
【化11】

の、可逆的プロテアーゼ阻害剤
WO2002/18528による、カチオン性シリコーン
【表5】

BASFからの、ルテンシット(Lutensit)Z
BASFからの、ルテンゾール(Lutensol)FP620
BASFからの、ルテンゾール(Lutensol)PG105K
米国特許第5308530の、実施例1によるもの
EP251446の、プロテアーゼ(Protease「B」
アーカード(Arquad)2HT
アマコール(Amerchol)から入手可能な、カチオン性セルロースポリマー
構造
【化12】

の、可逆的プロテアーゼ阻害剤
構造
【化13】

の、可逆的プロテアーゼ阻害剤
10構造
【化14】

の、可逆的プロテアーゼ阻害剤
11構造
【化15】

の、可逆的プロテアーゼ阻害剤
【表6】

BASFからの、ルテンシット(Lutensit)Z
BASFからの、ルテンゾール(Lutensol)FP620
BASFからの、ルテンゾール(Lutensol)PG105K
EP251446の、プロテアーゼ(Protease)「B」
アマコール(Amerchol)から入手可能な、カチオン性セルロースポリマー
構造
【化16】

の、可逆的プロテアーゼ阻害剤
【0084】
本発明の「発明を実施するための最良の形態」で引用したすべての文献は、関連部分において本明細書に参考として組み込まれるが、いずれの文献の引用も、それが本発明に対する先行技術であることを容認するものと解釈されるべきではない。この文書における用語のいずれかの意味又は定義が、参考として組み込まれる文献における用語のいずれかの意味又は定義と対立する範囲については、本文書におけるその用語に与えられた意味又は定義を適用するものとする。
【0085】
本発明の組成物は、本発明の構成成分並びに本明細書で記載されるその他の成分を包含することができ、それらから本質的に成ることができ、又はそれらから成ることができる。本明細書で使用するとき、「から本質的に成る」とは、組成物又は構成成分が追加成分を包含してよいが、それら追加成分が特許請求される組成物又は方法の基本的及び新規な特徴を大きく変化させない場合に限ることを意味する。
【0086】
ここで記述されるすべての百分率は、特に指定のない限り、重量百分率である。本明細書全体を通じて記載されているあらゆる最大数値限定には、それより小さいあらゆる数値限定が、そのようなより小さい数値限定が本明細書に明確に記載されているかのように包含されると理解すべきである。本明細書全体を通じて記載されるあらゆる最小数値限定は、それより大きいあらゆる数値限定を、そのような大きい数値限定が本明細書に明確に記載されているかのように包含する。本明細書全体を通じて記載されるあらゆる数値範囲は、そのようなより広い数値範囲内に入るそれよりも狭いあらゆる数値範囲を、そのようなより狭い数値範囲が全て本明細書に明確に記載されているかのように包含する。温度は、特に指定しない限り、全て摂氏(℃)である。
【0087】
本発明の特定の実施形態を説明及び記述してきたが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を行えることが当業者には明白であろう。従って、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)界面活性剤と、
(b)プロテアーゼ酵素、好ましくはセリンプロテアーゼと、
(c)トリペプチド酵素阻害剤である、可逆的ペプチドプロテアーゼ阻害剤と、
(d)補助剤成分と、
を含む液体洗剤組成物であって、
前記液体洗剤組成物が、
(i)前記可逆的ペプチドプロテアーゼ阻害剤が、50nM〜2uMの、前記プロテアーゼ酵素に対する親和定数を有する、及び/又は
(ii)1:1〜20:1の、前記可逆的ペプチドプロテアーゼ阻害剤と前記プロテアーゼ酵素のモル比、
のうちの少なくとも1つを更に含み、好ましくは、前記組成物が、前記組成物の3重量%未満のホウ酸誘導体類を含み、より好ましくはホウ酸誘導体類を実質的に含まない、液体洗剤組成物。
【請求項2】
前記トリペプチド酵素阻害剤が、式:
【化1】

{式中、Aはジアミノ酸部分であり、XはH、電子求引性基、及びこれらの混合物であり、並びにZは、
【化2】

(式中、各R’は、直鎖又は分枝鎖の置換又は非置換C〜Cアルキル、フェニル、直鎖又は分枝鎖の置換又は非置換C〜Cアルキルアリール、直鎖又は分枝鎖の置換又は非置換C〜Cシクロアルキル部分、直鎖又は分枝鎖の置換又は非置換C〜Cアルキル複素環、及びこれらの混合物から独立して選択される)、
及びこれらの混合物から選択される窒素キャッピング部分である}
を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物が、組成物の3重量%未満の有機ポリオール溶媒類を含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記トリペプチド酵素阻害剤が、
【化3】

及びこれらの混合物から選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
(a)容器と、
(b)前記容器中に保存された請求項1に記載の液体洗濯洗剤と、
を含み、好ましくは前記容器が透明又は半透明である、商品。
【請求項6】
液体洗剤組成物中の酵素を安定化する方法であって、
前記液体洗剤組成物が、1つ以上のプロテアーゼ酵素を含み、前記方法が、少なくとも、安定化に有効な量の可逆的ペプチドプロテアーゼ阻害剤を前記液体洗剤組成物に加える工程を含み、前記可逆的ペプチドプロテアーゼ阻害剤が、式:
【化4】

を有する、方法。
【請求項7】
前記液体洗剤組成物が、前記組成物の1重量%未満のホウ酸誘導体類を含み、好ましくは有機ポリオール溶媒類を実質的に含まない、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
(a)界面活性剤と、
(b)プロテアーゼ酵素と、
(c)トリペプチド酵素阻害剤である、可逆的ペプチドプロテアーゼ阻害剤と、
(d)補助剤成分と、
を含む液体洗剤組成物であって、
前記可逆的ペプチドプロテアーゼ阻害剤が、前記液体洗剤中の少なくとも1つの微生物植物相又は動物相の増殖を少なくとも阻害する、液体洗剤組成物。
【請求項9】
前記トリペプチド酵素阻害剤が、式:
【化5】

{式中、Aはジアミノ酸部分であり、XはH、電子求引基、及びこれらの混合物であり、並びにZは、
【化6】

(式中、各R’は、直鎖又は分枝鎖の置換又は非置換C〜Cアルキル、フェニル、直鎖又は分枝鎖の置換又は非置換C〜Cアルキルアリール、直鎖又は分枝鎖の置換又は非置換C〜Cシクロアルキル部分、直鎖又は分枝鎖の置換又は非置換C〜Cアルキル複素環、及びこれらの混合物から独立して選択される)、
及びこれらの混合物から選択される窒素キャッピング部分である}
を有する、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記可逆的ペプチドプロテアーゼ阻害剤が、式:
【化7】

を有する、請求項8又は9に記載の組成物。

【公表番号】特表2009−540042(P2009−540042A)
【公表日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−513827(P2009−513827)
【出願日】平成19年6月5日(2007.6.5)
【国際出願番号】PCT/IB2007/052115
【国際公開番号】WO2007/141736
【国際公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】