説明

酸不安定な医薬組成物の即時放出製剤

本発明は、特に、pH緩衝剤と酸不安定薬剤を含有する制御放出成分を含んでなる組成物を提供する。そのような組成物を使用する方法も提供する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
技術分野
本発明は、緩衝剤と酸不安定薬剤を含有する制御放出成分を含有する胃腸液への放出用の即時放出医薬組成物、そのような医薬組成物の製造の方法、疾患を治療することにおけるそのような医薬組成物の使用、そのような医薬組成物の他の治療薬剤との組合せ、及びそのような医薬組成物を含有するキットに関する。
【0002】
背景技術
酸不安定な医薬化合物は、その医薬活性を維持するために、酸性の胃分泌液との接触から保護されなければならない。酸不安定な化合物は、経口投与時に、pHがそのpKaに近いか又はそれより高く、酸不安定な医薬化合物の吸収が起こり得る胃腸管中の部位へ、インタクトな形態で、即ち酸による分解も酸との反応もない形態で移送されなければならない。典型的には、これらの酸不安定な化合物は、腸への経口送達用に、胃腸液抵抗性の腸溶外皮化された固体剤形として、又は遅延若しくは制御放出カプセル剤若しくは錠剤として、又は静脈内溶液剤として(又は復元用の製品として)製剤化される。
【0003】
腸溶外皮化剤形として投与される一群の酸不安定な医薬化合物は、プロトンポンプ阻害剤である。例には、オメプラゾール(Prilosec(登録商標))、ランソプラゾール(Prevacid(登録商標))、エソメプラゾール(Nexium(登録商標))、ラベプラゾール(Aciphex(登録商標))、パントプラゾール(Protonix(登録商標))、パリプラゾール、テナトプラゾール、及びレミノプラゾールが含まれる。オメプラゾールは、置換ベンゾイミダゾール、5−メトキシ−2−[(4−メトキシ−3,5−ジメチル−2−ピリジニル)メチル]スルフィニル−1H−ベンゾイミダゾールであり、胃酸分泌を阻害する。オメプラゾールは、抗コリン作動特性もHヒスタミンアンタゴニスト特性も明示しない、抗分泌性化合物の群に属する。この群の薬物は、胃壁細胞の分泌表面でのH,K−ATPアーゼ酵素系(プロトンポンプ)の特異的な阻害により胃酸分泌を抑制する。
【0004】
Lovgren et al. への米国特許第4,786,505号は、オメプラゾールの医薬経口固体剤形がその医薬活性を維持するには腸溶コーティング剤によって酸性の胃液との接触より保護されなければならないことを教示する。本特許は、芯材料と腸溶コーティング剤の間に分離サブコートを含有する腸溶外皮化オメプラゾール調製物について記載する。この調製物は、オメプラゾール、サブコーティング剤、及び腸溶コーティング剤を含んでなるアルカリ性の芯を含有する。
【0005】
典型的には、オメプラゾール、ランソプラゾール、及び他の酸不安定なプロトンポンプ阻害剤は、腸溶外皮化された固形剤形(カプセル剤、錠剤、又はパケット剤中の遅延放出顆粒剤のいずれかとして)においてか又は静脈内溶液剤として(復元用の製品として)製剤化され、活動性の十二指腸潰瘍、胃潰瘍、胃食道逆流症(GERD)、重症びらん性食道炎、不良応答症候性GERD、及びゾリンジャー・エリソン症候群のような病理学的な過分泌状態の短期治療に処方される。これらの状態は、酸及びペプシン(攻撃因子と呼ばれる)の産生と粘液、重炭酸塩、及びプロスタグランジン(防御因子と呼ばれる)の産生の間の不均衡により引き起こされる。これらの上記状態は、健常者でも重篤な疾患の患者でも共通して起こり、重大な上部胃腸管の出血を伴う場合がある。
【0006】
ランソプラゾールは、ゼラチンカプセル剤又は単回使用パケット中の顆粒剤として経口投与に利用可能である。ラベプラゾールやパントプラゾールのような他のプロトンポンプ阻害剤は、腸溶外皮化錠剤として供給される。腸溶剤形が利用されてきたのは、これらプロトンポンプ阻害剤が吸収に先立って低pHの胃酸へ曝露されないことが重要であるためである。これらのプロトンポンプ阻害剤はアルカリ性のpHで安定であるが、それらは、pHが低下するにつれて速やかに分解される。故に、マイクロ被包化や腸溶コーティングが壊されると(例えば、液体を調合する摩砕や、カプセル剤又は錠剤を噛むこと)、薬物は胃内の胃酸による分解に曝露されることになる。
【0007】
オメプラゾール、ランソプラゾール、及び他のプロトンポンプ阻害剤は、胃酸分泌の最終の共通経路である、胃壁細胞のH,K−ATPアーゼを阻害することによって胃酸産生を低下させる(Fellenius et al.,「置換ベンゾイミダゾールは、H,K−ATPアーゼを遮断することによって胃酸分泌を阻害する(Substituted Benzimidazoles Inhibit Gastric Acid Secretion by Blocking H+, K+-ATPase)」, Nature, 290: 159-161 (1981);Wallmark et al.,「胃酸分泌と胃のH,K−ATPアーゼ活性の間の相関性(The Relationship Between Gastric Acid Secretion and Gastric H+, K+-ATPase Activity)」, J. Biol. Chem., 260: 13681-13684 (1985);Fryklund et al.,「H,K−ATPアーゼ遮断後の胃壁細胞の機能及び構造(Function and Structure of Parietal Cells After H+, K+-ATPase Blockade)」, Am. J. Physiol., 254 (3 PT 1); G399-407 (1988))。置換ベンゾイミダゾールプロトンポンプ阻害剤は、置換ベンゾイミダゾールとピリジン環の間の架橋中にスルフィニル基を含有する。
【0008】
中性のpHで、上記のプロトンポンプ阻害剤は、阻害活性をほとんど又は全く有さない、化学的に安定で、脂溶性の化合物である。これらの中性化合物が血液から胃壁細胞に達し、分泌毛細管中へ拡散すると、そこで薬物はプロトン化され、それにより捕捉される。プロトン化した薬剤は転位してスルフェン酸とスルフェンアミドを生じる。スルフェンアミドは、膜貫通H,K−ATPアーゼの細胞外(管腔)ドメイン中の必須部位でスルフヒドリル基と共有的に相互作用する。Hardman et al.,「グッドマン・ギルマンの治療薬の薬理学的基礎(Goodman & Gilman's The Pharmacological Basis of Therapeutics)」907頁(第9版、1996年)を参照のこと。故に、上記のプロトンポンプ阻害剤は、有効になるには活性化されなければならないプロドラッグとみなされる。プロトンポンプ阻害剤の効果の特異性はまた、(a)H,K−ATPアーゼの選択分布;(b)反応性阻害剤の産生を触媒するのに酸性条件を必要とすること;及び(c)プロトン化薬物及びカチオン性スルフェンアミドが酸性毛細管の内部と標的酵素の近傍で捕捉されることに依存する。例えば、Hardman et al., (1996)を参照のこと。
【0009】
本発明に先行する技術分野で使用される用語「腸溶コーティング剤」は、腸における薬物放出用の胃酸抵抗性で腸可溶性のコーティング剤を意味する。一般に、腸溶コーティング剤は、担体又は組成物へ塗布される、それと組み合わされる、それと混合される、又は他のやり方でそれへ加えられる医薬的に許容される賦形剤の混合物に関する。このコーティング剤は、例えば、担体又は組成物の圧縮、成形、又は押出された錠剤、ゼラチンカプセル剤、及び/又はペレット剤、ビーズ、顆粒、又は粒子へ塗布することができる。コーティング剤は、水性懸濁液により塗布しても、適切な溶媒に溶かした後で塗布してもよい。
【0010】
様々な腸溶材料、例えば、セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ポリビニルアセテートフタレート、及び様々なEudragitTMアクリル酸ポリマーが腸溶コーティング剤として使用されている。より高いpH値で溶ける腸溶材料は、しばしば結腸特異的な剤形に使用される。
【0011】
腸溶コーティング剤とその特性の選択は、標的の腸部位で迅速に溶けるか又は崩壊する能力が含まれる、いくつかの考慮事項に依存する。このことが起こるには「、腸溶コーティング剤は、胃における溶解及び崩壊に対して抵抗性で、胃にある間に胃液に対して不透過性でなければならない。これらの特性は、製造及び保存の間のある種の物理的及び化学的安定性の特徴にも貢献する。腸溶外皮化組成物の典型的な剤形は、腸溶外皮化された遅延放出経口剤形として、即ち、下部胃腸管において放出をもたらすために腸溶コーティング剤を利用する医薬組成物の経口剤形として製剤化される。
【0012】
しかしながら、そのpH依存性の属性と胃保持時間の不確実性のために、in vivo での性能、並びに被検者間及び被検者内の変動性は、薬物の制御放出用に腸溶外皮化系を使用することの重大な課題となっている。
【0013】
故に、インタクトな非酸分解型又は非酸反応型の被検者の血流中への即時吸収のために酸不安定薬剤を胃腸管中へ放出する、追加の制御放出製剤へのニーズがある。酸不安定な薬物を吸収のために胃の中へ放出する制御放出剤形には、薬物を吸収のために腸で放出する遅延放出調製物に比較して、より速やかな作用発現、より適時的で確実な吸収プロフィール、改善された副作用プロフィール、低減された投薬の量及び頻度、並びに改善された患者コンプライアンスも所望される。以下に続く考察は、上記のニーズを充足させるのに役立つ、酸不安定な化合物を含有する医薬組成物を開示する。
【0014】
発明の要約
プロトンポンプ阻害剤のような、酸不安定薬剤の被検者への有効な経口投与は、その化合物の胃腸液中での酸不安定性により、並びにその他の物理的及び化学的特性によって複雑にされている。しかしながら、治療有効量の薬剤を被検者へ有効に送達することができる、緩衝剤と制御放出成分を含んでなる医薬組成物を発見した。1つの態様において、pH緩衝剤と酸不安定薬剤を含有する制御放出成分を含有する組成物は、例えば、該組成物を被検者へ経口投与することの後や、該組成物を in vitro 胃モデルにおいて試験することのように、該組成物の胃腸液への曝露時に酸不安定薬剤の胃腸液への放出に影響を及ぼす。緩衝剤及び制御放出成分のこれらの組合せは、改善されたバイオアベイラビリティ、及び/又は薬物動態、薬力学、化学又は物理特性を保有する。本発明は、これらの医薬組成物、それに基づいた剤形及びキット、並びにその製造及び使用の方法を含む。
【0015】
発明の詳細な説明
本発明は、酸不安定薬剤での治療が適応となる状態又は障害を治療するための方法、キット、組合せ、及び組成物へ向けられる。本発明の1つの態様において、酸不安定薬剤は、例えば、プロトンポンプ阻害剤のようなH,K−ATPアーゼ阻害薬又は阻害剤である。
【0016】
状態又は障害の療法では、必要とされる治療量の薬物を in vivo で送達して、その薬物を迅速なやり方で生体利用可能にする剤形を提供することが重要である。本発明の製剤は、これらのニーズを満足させる。
【0017】
本発明を多くの異なる形態で具現化することができるが、本明細書でいくつかの具体的な態様について考察しても、その開示は本発明の原理の例示としてのみ考察されるものであり、本発明を例示の態様に制限することは企図されていないと理解されたい。本明細書でプロトンポンプ阻害剤又はH,K−ATPアーゼ阻害剤に特に関連して本発明を例示する場合、他のどんな酸不安定薬剤も、所望されるならば、本明細書に記載する方法、キット、組合せ、及び組成物において全体的又は部分的にプロトンポンプ阻害剤又はH,K−ATPアーゼ阻害剤の代用になり得ると理解されよう。本明細書で緩衝剤として重炭酸ナトリウム、及び/又は炭酸ナトリウム、及び/又は炭酸カルシウムに特に関連して本発明を例示する場合、他のどんな緩衝剤も、所望されるならば、本明細書に記載する方法、キット、組合せ、及び組成物において全体的又は部分的に重炭酸ナトリウム、及び/又は炭酸ナトリウム、及び/又は炭酸カルシウムの代用になり得ると理解されよう。
【0018】
pH緩衝剤と酸不安定薬剤、例えば、H,K−ATPアーゼ阻害剤を含有する制御放出成分を随意の医薬的に許容される担体材料とともに含んでなる医薬組成物が、酸不安定薬剤として改善された性能を明示する独自の組成物であることを発見した。そのような医薬組成物は、改善された作用発現、より適時的で確実な吸収プロフィール、改善された副作用プロフィール、低減された投薬の量及び頻度、並びに改善された患者コンプライアンスを明示する。本発明の1つの態様において、上記の組成物は、H,K−ATPアーゼの延長された阻害を提供して、それにより所望される治療利益を与えるのに十分である投与量で、H,K−ATPアーゼ阻害薬又は阻害剤を被検者へ提供する。限定されないが、胃腸刺激のような望まれない副作用も、本発明の医薬組成物で最少化される。
【0019】
1つの態様において、本組成物は、pH緩衝剤(「緩衝剤」)と酸不安定薬剤を含有する制御放出成分を含有し、いずれも、例えば、被検者の胃の液体内容物(例えば、唾液や胆汁塩及び酵素を含有する水性媒体が含まれる場合がある)が含まれる胃腸液へ放出される。例示すると、緩衝剤は、予め決定された時間の長さの間予め決定されたpHへ胃腸液を緩衝化するのに有効な量であり、制御放出成分は、酸不安定薬剤の胃腸障害有効量を含有する。
【0020】
1つの態様において、状態又は障害は、胃腸障害である。例示すると、胃腸障害は、酸起因性の胃腸障害であり、例えば、十二指腸潰瘍疾患、胃潰瘍疾患、胃食道逆流症、びらん性食道炎、不良応答症候性の胃食道逆流症、病理学的な胃腸過分泌症、ゾリンジャー・エリソン症候群、酸消化不良、胸やけ、食道障害、非びらん性逆流障害、及び/又はNSAID誘発性潰瘍が含まれる。本発明の1つの態様において、胃腸障害は、胸やけである。例示すると、胸やけは、食事関連性又は誘発性、及び/又は睡眠関連性又は誘発性、及び/又は夜間関連性又は誘発性であってよい。睡眠関連性又は誘発性の胸やけ、及び/又は夜間関連性又は誘発性の胸やけは、例えば、睡眠の間、又は夜の睡眠後の早朝時間といった、慣用量の治療薬剤の間に突発する胃炎によって引き起こされる場合がある。これらの状態の治療は、本発明による医薬組成物の胃腸障害有効量(又は治療有効量)を被検者へ投与することによって達成される。被検者は、上記の状態又は障害の1以上を経験している場合がある。
【0021】
本発明は、胃腸障害や胃腸障害に関連したか又は相関する症状をその必要な被検者において治療する、予防する、又はそれを発症するリスクを抑制するための方法、キット、組合せ、及び組成物へも向けられる。
【0022】
本発明の方法、キット、組合せ、及び組成物にまた含まれるのは、胃腸障害有効量の酸不安定薬剤を含有する制御放出組成物と、その酸不安定薬剤をカバーする、コートする、又はそれに層状に積み重なる腸溶コーティング剤を含んでなる制御放出層を含んでなる医薬組成物である。本発明の1つの態様において、本組成物は、少なくとも1つの外皮化されない酸不安定薬剤をさらに含む。本発明の別の態様において、制御放出成分は、腸溶外皮化プロトンポンプ阻害剤を含む。なお別の態様において、本組成物は、腸溶コーティング剤で随意に外皮化されるプロトンポンプ阻害剤と緩衝剤を含む。例えば、米国特許第6,489,346号の、例えば、非腸溶剤形を参照のこと。用語「腸溶コーティング剤」は、例えば「レミントン:調剤の科学及び実践(Remington: The Science and Practice of Pharmacy)」において一般的に定義されるように、胃ではインタクトなままであるが、それが小腸に達したならば、溶解して剤形の内容物を放出するコーティング剤を意味する。本明細書に使用するように、用語「腸溶コーティング剤」には、持続又は制御放出コーティング剤(例、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)と、従来の腸溶コーティング材料(例、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート)より作製されるが、厚さや他の物理特性(例、機械特性、均一性、等)及び/又は化学特性の故に、上部胃腸管及び/又は胃において溶けるか又は崩壊するコーティング剤が含まれる。例示すると、周囲条件下、例えば最終剤形の包装、移送及び保存の間はPPIを分解から護るが、それでも、本明細書の他所で記載のように、胃腸液においてはその溶解又は崩壊が可能であるようなコーティング剤を提供することができる。追加的に、そのようなコーティング剤は、味マスキング属性も提供してよい。
【0023】
本発明の1つの態様において、緩衝剤と、例えば、該組成物の被検者への経口投与時、又は in vitro の胃モデルにおける検査時の胃腸液への曝露時に胃腸液中へ放出される酸不安定薬剤を含有する制御放出成分を提供するように組成物を製剤化する。なお別の態様において、1以上の緩衝剤は、胃腸液のpHを、制御放出層が実質的に溶解するpHまで高めて、それにより酸不安定薬剤が胃腸液へ放出され、そこで、例えば血流中への吸収が起こる。
【0024】
1つの態様において、医薬組成物は、予め決定されたpHに達するまで、酸不安定薬剤の胃腸液への放出を延ばすか又は遅らせる(「遅延放出」又は「時間遅延」)pH依存性のフィルム又はコーティング剤を含む。ひとたびこの予め決定されたpHに達すると、制御放出成分から胃腸液への薬剤の放出は速やかであり、そして in vivo 系では、血流への吸収に利用可能になる。
【0025】
1つの態様において、ひとたび in vivo 系又は in vitro 系のいずれかで予め決定されたpHに達すると、予め決定された環境のpH条件下で、薬剤の実質的に全体量が組成物より胃腸液へ約90分未満以内、又は約60分未満以内、又は約50分未満以内、又は約40分未満以内、又は約30分未満以内、又は約20分未満以内、又は約15分未満以内、又は約10分未満以内、又は約5分未満以内に放出される。本発明の別の態様において、腸溶コーティング剤はpH依存性であり、予め決定されたpHを有する胃腸液において速やかに崩壊する。
【0026】
本発明の様々な態様において、予め決定されたpHは、約3〜約6の間、又は約3〜約8の間、又は約4〜約8の間、又は約4〜約7の間、又は約5〜約8の間、又は約5〜約7の間、又は約3より高いか、又は約3.5、又は約4、又は約4.5、又は約5、又は約5.5、又は約6、又は約6.5、又は約7、又は約7.5、又は約8である。
【0027】
他の態様において、in vivo 系又は in vitro 系のいずれかの胃腸液のpHは、pH依存性のフィルム又はコーティング剤を実質的に溶かす胃腸液への組成物の曝露後の時間の間維持される。本発明のさらなる態様において、ひとたび予め決定されたpHに達すると、制御放出成分から胃腸液への薬剤の放出は速やかであり、約90分以内に、組成物より酸不安定薬剤の約1%〜約85%、又は約85%以上、又は約80%以上、又は約75%以上、又は約70%以上、又は約65%以上、又は約60%以上、又は約55%以上、又は約50%以上、又は約45%以上、又は約40%以上の酸不安定薬剤を胃腸液へ放出して実質的に完了する。
【0028】
遅延時間には、腸溶コーティング剤の移行時間、種類、厚さ、及び組成、様々な種類及び組合せの緩衝剤の使用、及び/又は被検者の食物の影響、一般健康状態、年齢、性別及び食事、組成物を投与する日の時間、又は胃腸管のpHを改変させる制酸薬や他の医薬品の使用といった要因を考慮に容れる。
【0029】
本発明の薬剤は、個々の患者の臨床状態、投与の部位及び方法、投与の予定、そして医療実施者に知られた他の要因を考慮に容れて、良好な医療実践に従って投与及び投薬する。
【0030】
1つの側面において、本発明は、H,K−ATPアーゼ阻害薬又は阻害剤での治療が適応となる状態、疾患又は障害を治療する治療方法へ向けられ、該方法は、本発明の1以上の組成物をその必要な被検者へその状態、疾患、又は障害を治療するのに有効な量で経口投与することを含む。1つの態様において、状態又は障害は、胃腸障害である。状態又は障害を予防する、それからの軽減を与える、又はそれを改善するための投与方式は、多様な要因に準じて変更してよい。これらの要因には、被検者のタイプ、年齢、体重、性別、食事、医学的状態と障害又は疾患の重症度が含まれる。このように、実際に利用する投与方式は、広汎に変動する場合があるので、本明細書に示す投与方式より逸脱する場合がある。
【0031】
本発明にはまた、ひとたび臨床的に明瞭になったならば、本発明の組成物を被検者へ投与することによって、胃腸障害の進行を治療、予防、逆転、休止又は遅延させるか、又は胃腸障害に関連するか又は相関する症状を治療する方法が含まれる。被検者は、投与の時点で胃腸障害をすでに有していてもよいし、胃腸障害を発症するリスク状態にあってもよい。被検者における胃腸障害の症状又は状態は、当業者が決定してよく、標準の教科書に記載されている。本方法は、本発明の1以上の組成物の胃腸障害有効量をその必要な被検者へ経口投与することを含む。
【0032】
用語「胃腸障害有効量」は、限定されないが、不当な有害副作用を伴わずに、胃腸液のpHを高めること、胃腸出血を抑制すること、輸血の必要性を抑えること、生存率を向上させること、より速やかな回復、胃壁細胞の活性化、及びH,K−ATPアーゼの阻害、又は諸症状や当業者により適切な尺度として選択される他の指標の改善又は消失が含まれる、薬理学的効果又は治療改善を不当な有害副作用を伴わずに達成するのに有効な薬剤の量を意味する。
【0033】
本明細書に使用する用語「治療する」又は「治療」は、胃腸障害に関連した障害又は疾患のあらゆる治療を意味し、限定されないが、この障害又は疾患に罹る素因があるかもしれないが、この障害又は疾患を有するとまだ診断されていない被検者において、障害又は疾患が起こることを予防すること;障害又は疾患を阻害すること、例えば、障害又は疾患の発症を阻むこと;障害又は疾患を緩和すること、例えば、障害又は疾患の退縮を引き起こすこと;又は、疾患又は障害により引き起こされる状態を緩和すること、例えば、疾患又は障害の症状を止めることが含まれる。
【0034】
胃腸の障害又は疾患に関連した用語「予防する」又は「予防」は、胃腸の障害又は疾患が一度も起こっていなければ、それを発症させないこと、又は、すでに胃腸の障害又は疾患が発症していたならば、胃腸の障害又は疾患をさらに進展させないことを意味する。
【0035】
ヒトの治療に有用であること以外に、本発明はまた、哺乳動物、齧歯動物、等が含まれる、家畜動物、爬虫類、トリ、珍奇動物、及び農場動物が含まれる他の被検者にも有用である。哺乳動物には、霊長動物、例えば、サル、又はキツネザル、ウマ、イヌ、ブタ、又はネコが含まれる。齧歯動物には、ラット、マウス、リス、又はモルモットが含まれる。
【0036】
本発明の方法、キット、組合せ、及び組成物にまた含まれるのは、胃腸液のpHを、酸不安定薬剤、例えば、プロトンポンプ阻害剤の酸分解をある時間の間実質的に妨げるか又は阻害するpHへ高めるのに十分な量において緩衝剤を含んでなる医薬組成物である。
【0037】
1つの態様において、pHが高められる時間により、実質的に非酸分解性又は非酸反応性の酸不安定薬剤の治療有効量の、被検者の胃から血清への吸収が促進される。例示すると、被検者へ投与されるとき、血清へ吸収されるインタクト薬物の量は、緩衝剤の非存在下でのインタクト薬物の吸収より多い。本発明の別の態様において、血流へ吸収されるインタクト薬物の量は、組成物に存在して被検者へ投与される酸不安定薬剤の全体量の約50%より多い、又は約75%より多い、又は約80%より多い、又は約85%より多い、又は約90%より多い、又は約95%より多い、又は約99%より多い。
【0038】
なお別の態様では、in vivo 及び/又は in vitro モデルにおいて、本発明の組成物は、インタクトで、非酸分解性又は非酸反応性の酸不安定薬剤の上記のそれぞれの百分率を胃腸液において約90分以下、又は約45分未満、又は約30分未満、又は約20分未満、又は約15分未満、又は約10分未満、又は約10分、又は約11分、又は約12分、又は約13分、又は約14分、又は約15分、又は約16分、又は約17分、又は約18分、又は約19分、又は約20分、又は約22.5分、又は約25分、又は約27.5分、又は約30分、又は約32.5分、又は約35分、又は約37.5分、又は約40分、又は約42.5分、又は約45分、又は約47.4分、又は約50分、又は約60分、又は約70分、又は約80分、又は約90分の時間の間実質的に維持する。
【0039】
被検者への経口投与後、ある分量のインタクト薬物がこの時間の間に血流へ吸収される。例示すると、酸不安定薬剤、例えばプロトンポンプ阻害剤のTmaxには、被検者への投与後約30秒〜約90分以内、又は約10分以内、又は約15分以内、又は約20分以内、又は約25分以内、又は約30分以内、又は約35分以内、又は約40分以内、又は約45分以内、又は約50分以内、又は約55分以内、又は約60分以内、又は約65分以内、又は約70分以内、又は約75分以内、又は約80分以内、又は約85分以内、又は約90分以内に達する。
【0040】
一般的に言って、血流中へ吸収されるインタクト薬物の例示される百分率は、プロトンポンプ阻害剤の治療上の障害有効量、例えば胃腸障害有効量が成分の被検者への投与に続いて吸収される限りにおいて、狭く決定されるわけではない。
【0041】
本発明の1つの態様において、約0.1μg/mlより高い非酸分解プロトンポンプ阻害剤の測定可能な血清濃度を組成物の投与後約45分以内、又は約30分以内、又は約25分以内、又は約20分以内、又は約17.5分以内、又は約15分以内、又は約12.5分以内、又は約10分以内、又は約7.5分以内、又は約5分以内に達成する量で組成物を投与する。
【0042】
本発明の別の態様において、約0.1μg/mlより高い非酸分解性又は非酸反応性のプロトンポンプ阻害剤の測定可能な血清濃度を組成物の投与後少なくとも約15分〜約3時間維持する量で組成物を被検者へ投与する。本発明の別の態様において、約0.1μg/mlより高い非酸分解性又は非酸反応性のプロトンポンプ阻害剤の測定可能な血清濃度を、組成物の投与後少なくとも約15分〜少なくとも約90分、又は組成物の投与後少なくとも約15分〜約1時間;又は組成物の投与後少なくとも約15分〜約45分;又は組成物の投与後少なくとも約15分〜約30分維持する量で組成物を被検者へ投与する。
【0043】
本発明の別の態様において、約0.1μg/mlより高い非酸分解性又は非酸反応性のプロトンポンプ阻害剤の初期血清濃度を組成物の投与後少なくとも約30分〜約1時間、又は組成物の投与後少なくとも約30分〜約45分達成する量で組成物を被検者へ投与する。
【0044】
本発明のなお別の態様において、約0.1μg/ml、又は約1.5μg/ml、又は約0.2μg/ml、又は約0.3μg/ml、又は約0.4μg/ml、又は約0.5μg/ml、又は約0.6μg/ml、又は約0.7μg/ml、又は約0.8μg/ml、又は約0.9μg/ml、又は約1μg/mlより高い非酸分解性又は非酸反応性のプロトンポンプ阻害剤の測定可能な血清濃度を組成物の被検者への投与後約1.5時間以内、又は約75分以内、又は約60分以内、又は約55分以内、又は約50分以内、又は約45分以内、又は約40分以内、又は約35分以内、又は約30分以内、又は約25分以内、又は約20分以内、又は約17分以内、又は約15分以内、又は約12分以内、又は約10分以内に達成する量で組成物を被検者へ投与する。
【0045】
本発明の他の態様において、組成物は、被検者による摂取時に、約0.15μgのプロトンポンプ阻害剤/mlの初期血清濃度を被検者において摂取後約15分以内に提供する。別の態様において、組成物は、被検者による摂取時に、約0.15μgのプロトンポンプ阻害剤/mlの初期血清濃度を摂取後約20分以内に提供する。本発明のなお別の態様において、組成物は、被検者による摂取時に、約0.15μgのプロトンポンプ阻害剤/mlの初期血清濃度を摂取後約30分以内に提供する。本発明のなお別の態様において、組成物は、被検者による摂取時に、約0.15μgのプロトンポンプ阻害剤/mlの初期血清濃度を摂取後約45分以内に提供する。
【0046】
本発明のなお別の態様において、組成物は、被検者による摂取時に、プロトンポンプ阻害剤としての治療効果を被検者において摂取後約30分〜約24時間の間隔にわたり提供する。
【0047】
句「胃腸液」は、本発明の組成物の経口投与後の被検者の胃分泌液の液体、又は被検者の唾液、又はその同等物を意味する。胃分泌液の同等物には、例えば、胃分泌液と類似の内容物及び/又はpHを有する in vitro 液体、例えば、弱酸性、中性、又は塩基性の試験液用の1%ドデシル硫酸ナトリウム溶液;より酸性の試験液用の0.1%塩酸水溶液;又は模倣胃腸液、USP 26−NF 21が含まれる。特別な胃分泌液の内容物及びpHは、一般に被検者特異的であり、とりわけ、特別な被検者の体重、性別、年齢、食事、又は健康に依存する。これらの胃分泌液の同等物は、当業者により、例えば模倣又は複製することができる。1つのそのようなモデルは、以下により詳しく記載するが、一般的には「酸中和運動モデル(Kinetic Acid Neutralization Model)」として知られ、本発明の組成物の成分の放出動態(例えば、即時放出動態対制御放出動態)を予め決定された実験条件下で;又は、本明細書に記載する組成物の酸不安定薬剤の酸分解を予め決定された実験条件下で実験的に試験又は決定するために使用し得る。例えば、Beekman SM「新規胃制酸薬の製造及び性質(Preparation and Properties of New Gastric Antacids)」I. J. Pharm Assoc 1960; 49; 191-200; Fuchs C.「制酸薬の機能、製剤化、及び評価(Antacids, Their Function, Formulation and Evaluation)」Drug Cosmetic Ind. 1949; 64; 692-773 を参照のこと。この in vitro 胃モデルは、例えば、摂食状態を模倣する油や他の脂肪物質を含めることによって、被検者の摂食又は非摂食条件を模倣するために使用してもよい。
【0048】
本発明の別の態様において、本発明の組成物は、本発明の組成物又は治療剤の1以上を含有するキット又はパッケージの形態をとる。組成物又は治療剤を含有する組成物は、適切な連続又は同時投与用に時間、日、週、又は月ごとの(又は他の周期の)投与量が配列されたキット又はパッケージの形態で包装してよい。さらに本発明は、各投与量単位が本発明の組成物又は治療剤の少なくとも1つを含んでなる、連日の投与に適した複数の投与量単位を含有するキット又はパッケージを提供する。この薬物送達系を使用して、本発明の組成物及び治療剤の様々な態様のいずれの投与も促進することができる。1つの態様において、この系は、毎日か又は症候性緩和の必要に応じて投与される複数の用量を含有する。キット又はパッケージは、剤形の適切な投与を促進する組合せ療法に利用される薬剤も含有してよい。キット又はパッケージは、被検者用の手引きのセットも含有してよい。
【0049】
本明細書に使用するように、句「酸不安定薬剤」は、酸触媒分解を受けやすい薬理学的に活性な薬物を意味する。用語「薬理学的に活性な薬物」とその同等物には、生きている被検者へ送達されて、所望される、通常は治療上の効果をもたらす、療法的、予防的、及び/又は薬理学的又は生理学的に有益な活性物質の少なくとも1つが含まれる。より具体的には、特に哺乳動物において、本来的には療法用、診断用、又は予防用のいずれであれ、局所性又は全身性の薬理学的応答をもたらすことが可能であるあらゆる薬物が本発明の考慮内にある。この薬物及び/又は生理活性剤は、症例に応じて、単独で、又は2以上のこれら薬剤の混合物として、そして疾患や他の状態を予防、治癒、診断、又は治療するのに十分な量で使用してよいことに留意されたい。
【0050】
理論により束縛されることを望むわけではないが、酸不安定化合物の酸分解は、例えば、G. Rackur et al., Biochem. Biophys. Res. Commun. 1985: 128(1). P477-484 に記載されるような酸触媒反応によると考えられる。従って、本発明に有用な薬理学的に活性な薬剤は、酸(有機酸でも)により分解されるか、又は酸触媒反応において分解されるものである。本発明に有用である酸不安定な薬理学的に活性な薬剤の例には、例えば、EP 244 380;米国特許第4,045,563号;EP−0 005 129;EP−0 166 287;EP−0 174 726;EP−0 184 322;RP−0 261 478;EP−0 268 956;BE−898 880;GB−2 141 429;EP−0 146 370;GB−2 082 580;EP−A−0 173 664;EP−A−0 080 602;EP−0 127 763;EP−0 134 400;EP−0 130 729;EP−0 150 586;DE−34 15971;GB−2 082 580;SE−A−8504048−3、及び米国特許第4,182,766号に開示される化合物;DE−A−35 31 487、EP−A−0 434 999又はEP−A−0 234 485に開示されるような置換フェニルメチルスルフィニル−1H−ベンゾイミダゾール、シクロヘプタピリジン−9−イルスルフィニル−1H−ベンゾイミダゾール、又はピリジン−2−イルメチルスルフィニルチエノイミダゾール;及び2−「2−(N−イソブチル−N−メチルアミノ)ベンジルスルフィニル」ベンゾイミダゾール(レミノプラゾール)及び2−(4−メトキシ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−シクロヘプタニルピリジン−9−イルスルフィニル)−1H−ベンゾイミダゾール(ネパプラゾール)が含まれる。
【0051】
本発明の方法、キット、組合せ、及び組成物に有用な一群の酸不安定薬剤には、H,K−ATPアーゼの阻害剤としての薬理活性を保有する薬剤が含まれる。用語「プロトンポンプ阻害剤」又は「PPI」又は「プロトンポンプ阻害薬」は、H,K−ATPアーゼの阻害剤としての薬理活性を保有するあらゆる薬剤を意味する。本明細書に使用する「PPI」又は「プロトンポンプ阻害剤」又は「プロトンポンプ阻害薬」の定義は、H,K−ATPアーゼの阻害剤としての薬理活性を保有する薬剤が、所望されるならば、フリー塩基、フリー酸、塩、エステル、水和物、アミド、エナンチオマー、異性体、互変異性体、プロドラッグ、多形、誘導体、等の形態であり得ることを意味する場合もあるが、このフリー塩基、フリー酸、塩、エステル、水和物、アミド、エナンチオマー、異性体、互変異性体、プロドラッグ、多形、又は誘導体が薬理学的に適している、即ち、本発明の方法、組合せ、キット、及び組成物において有効であることが条件である。
【0052】
本発明の方法、キット、組合せ、及び組成物に有用な一群のプロトンポンプ阻害剤には、H,K−ATPアーゼの阻害剤のような薬理活性を保有する置換ベンゾイミダゾール化合物が含まれ、置換ベンゾイミダゾール、例えばプロトンポンプ阻害剤が含まれる。
【0053】
なお別の態様において、H,K−ATPアーゼの阻害剤は、式(I):
【0054】
【化1】

【0055】
[Rは、水素、アルキル、ハロゲン、シアノ、カルボキシ、カルボアルコキシ、カルボアルコキシアルキル、カルバモイル、カルバモイルアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ヒドロキシアルキル、トリフルオロメチル、アシル、カルバモイルオキシ、ニトロ、アシルオキシ、アリール、アリールオキシ、アルキルチオ、又はアルキルスルフィニルであり;
は、水素、アルキル、アシル、アシルオキシ、アルコキシ、アミノ、アラルキル、カルボアルコキシ、カルバモイル、アルキルカルバモイル、ジアルキルカルバモイル、アルキルカルボニルメチル、アルコキシカルボニルメチル、又はアルキルスルホニルであり; RとRは、同じであるか又は異なり、それぞれが、水素、アルキル、アルコキシ、アミノ、又はアルコキシアルコキシであり;
は、水素、アルキル、随意にフッ素化され得るアルコキシ、又はアルコキシアルコキシであり;
Qは、窒素、CH、又はCRであり;
Wは、窒素、CH、又はCRであり;
yは、0から4までの整数であり;そして
Zは、窒素、CH、又はCRである]のもの、又はその塩、エステル、水和物、アミド、エナンチオマー、異性体、互変異性体、多形、プロドラッグ、又は誘導体である。
【0056】
例示すると、本発明の方法、キット、組合せ、及び組成物に使用し得る注目の化合物には、限定されないが、オメプラゾール、テナトプラゾール、ランソプラゾール、ラベプラゾール、エソメプラゾール、パントプラゾール、パリプラゾール、及びレミノプラゾールがフリー塩基、フリー酸として、又はこれら化合物の塩、水和物、エステル、アミド、エナンチオマー、異性体、互変異性体、多形、プロドラッグ、又は誘導体が含まれる(「メルクインデックス(The Merck Index)」、メルク社、ニュージャージー州ラーウェイ、(2001年度)に提供されるリストに一部基づく)。
【0057】
他の注目の化合物には、例えば、ソラプラザン(Altanta);イラプラゾール(米国特許第5,703,097号)(Il−Yang);AZD−0865(アストラゼネカ);YH−1885(PCT公開公報WO96/05177)(SB−641257)(2−ピリミジナミン、4−(3,4−ジヒドロ−1−メチル−2(1H)−イソキノリニル)−N−(4−フルオロフェニル)−5,6−ジメチル−、一塩酸塩)(YuHan);BY−112(Altana);SPI−447(イミダゾ(1,2−a)チエノ(3,2−c)ピリジン−3−アミン、5−メチル−2−(2−メチル−3−チエニル)(新日本);3−ヒドロキシメチル−2−メチル−9−フェニル−7H−8,9−ジヒドロ−ピラノ(2,3−c)−イミダゾ(1,2−a)ピリジン(PCT公開公報WO95/27714)(アストラゼネカ);Pharmaprojects No.4950(3−ヒドロキシメチル−2−メチル−9−フェニル−7H−8,9−ジヒドロ−ピラノ(2,3−c)−イミダゾ(1,2−a)ピリジン)(アストラゼネカ、中止)WO95/27714;Pharmaprojects No.4891(EP700899)(アベンティス);Pharmaprojects No.4697(PCT公開公報WO95/32959)(アストラゼネカ);H−335/25(アストラゼネカ);T−330(Saitama 335)(Pharmacological Research Lab);Pharmaprojects No.3177(ロッシュ);BY−574(Altana);Pharmaprojects No.2870(ファイザー);AU−1421(EP264883)(メルク);AU−2064(メルク);AY−28200(ワイス);Pharmaprojects No.2126(アベンティス);WY−26769(ワイス);プマプラゾール(PCT公開公報WO96/05199)(Altana);YH−1238(YuHan);Pharmaprojects No.5648(PCT公開公報WO97/32854)(大日本);BY−686(Altana);YM−020(山之内);GYKI−34655(Ivax);FPL−65372(アベンティス);Pharmaprojects No.3264(EP509974)(アストラゼネカ);ネパプラゾール(トーアエイヨー);HN−11203(ナイコメッド・ファーマ);OPC−22575;プミラシジンA(BMS);サビプラゾール(EP234485)(アベンティス);SK及びF−95601(GSK、中断);Pharmaprojects No.2522(EP 204215)(ファイザー);S−3337(アベンティス);RS−13232A(ロッシュ);AU−1363(メルク);SK及びF−96067(EP259174)(Altana);SUN8176(第一製薬);Ro−18−5362(ロッシュ);ウフィプラゾール(EP74341)(アストラゼネカ);及びBay−p−1455(バイエル)がフリー塩基、フリー酸として、又はこれら化合物の塩、水和物、エステル、アミド、エナンチオマー、異性体、互変異性体、多形、プロドラッグ、又は誘導体が含まれる。
【0058】
胃酸分泌を阻害する、なお他の注目すべきプロトンポンプ阻害剤は、表番号1に収載する特許に記載されている。
表番号1:プロトンポンプ阻害剤を教示する発行済みの米国特許
【0059】
【表1】

【0060】
プロトンポンプ阻害剤の塩型の例には、例えば、エソメプラゾールナトリウム、オメプラゾールナトリウム、ラベプラゾールナトリウム、パントプラゾールナトリウムのようなナトリウム塩型;又は米国特許第5,900,424号に記載されるエソメプラゾールマグネシウム又はオメプラゾールマグネシウムのようなマグネシウム塩型;又はカルシウム塩型;又は米国特許出願番号02/0198239及び米国特許第6,511,996号に記載されるエソメプラゾールのカリウム塩のようなカリウム塩型が含まれる。エソメプラゾールの他の塩は、例えば、米国特許第4,738,974号及び米国特許第6,369,085号に記載されている。パントプラゾールとランソプラゾールについては、それぞれ米国特許第4,758,578号と米国特許第4,628,098号に考察されている。
【0061】
本発明の方法、キット、組合せ、及び医薬組成物に含まれるのは、記載の化合物の互変異性体とその医薬的に許容される塩である。本発明に有用な置換ベンゾイミダゾール互変異性体の例には、米国特許第6,262,085;6,262,086;6,268,385;6,312,723;6,316,020;6,326,384;6,369,087;及び6,444,689号と米国特許出願公開公報番号02/0156103(いずれも Whittle et al. による)に記載されるような、オメプラゾールの互変異性体が含まれる。本発明に有用な置換ベンゾイミダゾールの異性体の例には、オメプラゾールの異性体が含まれる。例えば、オメプラゾールの一般名を有する化合物、5−メトキシ−2−[[(4−メトキシ−3,5−ジメチル−2−ピリジニル)メチル]スルフィニル]−1H−ベンゾイミダゾール、並びにその療法的に許容される塩は、EP5129に記載されている。オメプラゾールの単結晶X線データと導かれる結晶型の分子構造は、Oishi et al., Acta Cryst. (1989), C45, 1921-1923 により記載されている。このオメプラゾールの結晶型は、オメプラゾールB型と呼ばれている。オメプラゾールA型と呼ばれるオメプラゾールの別の結晶型は、Lovqvist et al. により米国特許第6,150,380号、及び米国特許出願公開公報番号02/0156284に記載されている。オメプラゾールC型と呼ばれるオメプラゾールの別の結晶型は、PCT公開公報WO02/085889号に記載されている。
【0062】
好適な多形の例は、例えば、PCT公開公報WO92/08716号;及び米国特許第4,045,563;4,182,766;4,508,905;4,628,098;4,636,499;4,689,333;4,758,579;4,783,974;4,786,505;4,808,596;4,853,230;5,026,560;5,013,743;5,035,899;5,045,321;5,045,552;5,093,132;5,093,342;5,433,959;5,464,632;5,536,735;5,576,025;5,599,794;5,629,305;5,639,478;5,690,960;5,703,110;5,705,517;5,714,504;5,731,006;5,879,708;5,900,424;5,948,773;5,997,903;6,017,560;6,123,962;6,147,103;6,150,380;6,166,213;6,191,148;5,187,340;6,268,385;6,262,086;6,262,085;6,296,875;6,316,020;6,328,994;6,326,384;6,369,085;6,369,087;6,380,234;6,428,810;6,444,689;及び6,462,0577号に記載されている。
【0063】
本発明の方法、キット、組合せ、及び医薬組成物にまた含まれるのは、記載の化合物のプロドラッグとその医薬的に許容される塩である。用語「プロドラッグ」は、その薬理作用(有効な治療剤)が体内の代謝プロセスによる変換より生じる薬物又は化合物を意味する。プロドラッグは、一般的には、被検者への投与と後続の吸収に続き、代謝プロセスのような何らかのプロセスを介して活性又はより活性な分子種へ変換される薬物前駆体とみなされる。変換プロセス由来の他の産物は、身体により容易に処理される。一般に、プロドラッグは、それをより不活性にする、及び/又は可溶性や他の何らかの特性を薬物へ付与する、プロドラッグ上に存在する化学基を有する。ひとたびこの化学基がプロドラッグより切断されると、より活性な薬物が産生される。プロドラッグは、可逆的な薬物誘導体として設計して、部位特異的組織への薬物輸送を高めるための修飾体として利用してよい。今日までのプロドラッグの設計は、固体状態と水系安定性の両方を高めること、並びに、水が主要な溶媒である領域へ標的指向するのに有効な治療化合物の水溶解性を高めることである。プロドラッグとして使用し得るプロトンポンプ阻害剤の例には、例えば、米国特許第6,559,167号(これは、例えば、ランソプラゾール、オメプラゾール、パントプラゾール、及びラベプラゾールの出発材料を使用するプロトンポンプ阻害剤のプロドラッグを記載する)が含まれる。米国特許第4,686,230号はまた、例えば、ピリジルメチルスルフィニルベンゾイミダゾール化合物の誘導体のような、プロドラッグとして作用し得るプロトンポンプ阻害剤を記載する。米国特許第5,021,433号はまた、プロドラッグとして作用し得るピリジルメチルスルフィニルベンゾイミダゾール化合物を記載する。米国特許第4,045,563号には、プロトンポンプ阻害剤のプロドラッグとして作用し得るN−アルコキシカルボニルベンゾイミダゾール誘導体が記載されている。Sih., et al., Journal of Medicinal Chemistry, 1991, vol. 34, pp 1049-1062 は、ベンゾイミダゾールスルホキシドのN−アシルオキシアルキル、N−アルコキシカルボニル、N−(アミノエチル)、及びN−アルコキシアルキル誘導体をプロトンポンプ阻害剤のプロドラッグとして記載する。他のプロドラッグ全般の例には、例えば、デキサメタゾン−β−D−グルクロニドを記載する、Fedorak, et al., Am. J. Physiol, 269: G210-218 (1995) が含まれる。McLoed, et al., Gastroenterol., 106: 405-413 (1994) は、デキサメタゾン−スクシネート−デキストランを記載する。Hochhaus, et al., Biomed. Chrom., 6: 283-286 (1992) は、デキサメタゾン−21−スルホ安息香酸ナトリウムとデキサメタゾン−21−イソニコチネートを記載する。追加的に、J. Larsen and H. Bundgaard, Int. J. Pharmaceutics, 37, 87 (1987) は、N−アシルスルホンアミドの潜在的なプロドラッグ誘導体としての評価を記載する。J. Larsen et al., Int. J. Pharmaceutics, 47, 103 (1988) は、N−メチルスルホンアミドの潜在的なプロドラッグ誘導体としての評価を記載する。プロドラッグはまた、例えば、Sinkula et al., J. Pharm. Sci., 64: 181-210 (1975) にも記載されている。プロドラッグについての考察は、T. Higuchi and V. Stella「新規送達系としてのプロドラッグ(Pro-drugs as Novel Delivery Systems)」A.C.S.シンポジウム・シリーズの14巻にも見出すことができる。プロドラッグについての別の考察は、Edward B. Roche(監修)「薬物設計における生可逆性担体(Bioreversible Carriers in Drug Design)」米国製薬協会及びペルガモン・プレス(1987年)にも見出すことができる。
【0064】
用語「誘導体」は、類似の構造の別の化合物より、ある原子、分子、又は基の別のものでの置き換え又は置換によって生成される化合物を意味する。例えば、ある化合物の水素原子をアルキル、アシル、アミノ、ヒドロキシル、ハロ、ハロアルキル、等により置換して、その化合物の誘導体を生成することができる。
【0065】
他の置換ベンゾイミダゾール化合物とその塩、水和物、エステル、アミド、エナンチオマー、異性体、互変異性体、多形、プロドラッグ、及び誘導体は、合成有機化学の技術分野の当業者に知られて、例えば、J. March「最新有機化学:反応、機序、及び構造(Advanced Organic Chemistry: Reactions, Mechanisms and Structure)」第4版(ニューヨーク:ウィリー・インターサイエンス、1992年)により記載される標準手順を使用して製造することができる。
【0066】
上記に言及される酸不安定薬剤の組合せ及び混合物を本明細書に記載の方法、キット、組合せ、及び組成物に使用してよい。酸不安定薬剤の塩、水和物、エステル、アミド、エナンチオマー、異性体、互変異性体、多形、プロドラッグ、及び誘導体は、合成有機化学の技術分野の当業者に知られて、例えば、J. March「最新有機化学:反応、機序、及び構造(Advanced Organic Chemistry: Reactions, Mechanisms and Structure)」第4版(ニューヨーク:ウィリー・インターサイエンス、1992年)により記載される標準手順を使用して製造することができる。例えば、酸付加塩は、フリー塩基より慣用の方法論を使用して製造して、好適な酸との反応を伴う。一般的には、薬物の塩基型をメタノール又はエタノールのような極性有機溶媒に溶かして、それへ酸を加える。生じる塩は、沈殿するか、又は低極性溶媒の添加により溶液より析出させてもよい。酸付加塩を製造するのに適した酸には、有機酸、例えば、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸、等だけでなく、無機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、等も含まれる。酸付加塩は、好適な塩基での処理によりフリー塩基へ再変換してよい。1つの態様において、本明細書の活性薬剤の酸付加塩は、塩酸又は臭化水素酸を使用して製造することができるような、ハロゲン化物の塩である。なお別の態様において、本明細書の塩基性塩は、アルカリ金属塩、例えばナトリウム塩と、銅塩である。エステルの製造には、薬物の分子構造内に存在し得るヒドロキシル及び/又はカルボキシル基の官能化を伴う。エステルは、典型的には、フリーアルコール基のアシル置換誘導体、即ち、式:RCOOH(ここで、Rはアルキルであり、1つの態様において、低級アルキルである)のカルボン酸より誘導される部分である。エステルは、所望されるならば、慣用の水素添加分解又は加水分解の手順を使用することによって、フリー酸へ再変換してよい。アミドも、当業者に知られているか又は関連文献に記載される技術を使用して製造することができる。例えば、アミドは、好適なアミン反応体を使用してエステルより製造しても、アンモニア又は低級アルキルアミンとの反応によって無水物又は酸クロリドより製造してもよい。
【0067】
本発明の組成物の単位剤形は、典型的には、例えば、組成物の重量の約0.001分量〜約0.5分量、又は組成物の重量の約0.01分量〜約0.4分量、又は組成物の重量の約0.1分量〜約0.3分量のプロトンポンプ阻害剤の量;又は約1mg〜約5000mgの間、又は約1mg、又は約2mg、又は約5mg、又は約10mg、又は約15mg、又は約20mg、又は約30mg、又は約40mg、又は約50mg、又は約60mg、又は約70mg、又は約80mg、又は約90mg、又は約100mg、又は約110mg、又は約120mg、又は約130mg、又は約140mg、又は約150mg、又は約160mg、又は約170mg、又は約180mg、又は約190mg、又は約200mg、又は約220mg、又は約240mg、又は約260mg、又は約280mg、又は約300mg、又は約350mg、又は約400mg、又は約450mg、又は約500mg、又は約550mg、又は約600mg、又は約650mg、又は約700mg、又は約750mg、又は約800mg、又は約850mg、又は約900mg、又は約950mg、又は約1000mg、又は約1100mg、又は約1200mg、又は約1300mg、又は約1400mg、又は約1500mg、又は約1600mg、又は約1700mg、又は約1800mg、又は約1900mg、又は約2000mg、又は約2200mg、又は約2500mg、又は約2800mg、又は約3000mg、又は約3500mg、又は約4000mg、又は約4500mg、又は約5000mgのプロトンポンプ阻害剤を含有する。
【0068】
例示すると、成人では、単位剤形は、組成物の重量の約0.001分量、約0.01分量、約0.05分量、約0.1分量、約0.2分量、約0.3分量、約0.4分量、約0.5分量、約0.6分量、約0.7分量、約0.8分量、約1分量、約1.1分量、約1.2分量、約1.3分量、約1.4分量、約1.5分量、約1.6分量、約1.7分量、約1.8分量、約1.9分量、約2分量、約2.1分量、約2.2分量、約2.3分量、約2.4分量、約2.5分量、約2.6分量、約2.7分量、約2.8分量、約2.9分量、約3分量、約3.1分量、約3.2分量、約3.3分量、約3.4分量、約3.5分量、約3.6分量、約3.7分量、約3.8分量、約3.9分量、約4分量、約4.1分量、約4.2分量、約4.3分量、約4.4分量、約4.5分量、約4.6分量、約4.7分量、約4.8分量、約4.9分量、又は約5分量のプロトンポンプ阻害剤をそれぞれ含有する。
【0069】
例示すると、単位剤形は、約1mg、2mg、5mg、10mg、12.5mg、15mg、17.5mg、20mg、22.5mg、25mg、27.5mg、30mg、32.5mg、35mg、37.5mg、40mg、42.5mg、45mg、47.5mg、50mg、52.5mg、55mg、57.5mg、60mg、62.5mg、65mg、67.5mg、70mg、72.5mg、75mg、77.5mg、80mg、82.5mg、85mg、87.5mg、90mg、92.5mg、95mg、97.5mg、100mg、105mg、110mg、115mg、120mg、125mg、130mg、135mg、140mg、145mg、150mg、155mg、160mg、165mg、170mg、175mg、180mg、185mg、190mg、195mg、200mg、210mg、220mg、230mg、240mg、250mg、260mg、270mg、280mg、290mg、300mg、350mg、400mg、又は500mgのプロトンポンプ阻害剤を含有してよい。
【0070】
単位剤形は、特定される1日投与量をもたらすために使用する所望される投与頻度(例えば、1日1回、2回、3回、又は4回以上)を提供するように選択してよい。投与する医薬組成物の単位剤形の量と状態又は障害を治療するための投与方式は、被検者の年齢、体重、性別、及び医学的状態、状態又は障害の重症度、投与の経路及び頻度が含まれる多様な要因に依存するので、よく知られているように、広く変動する可能性がある。プロトンポンプ阻害剤の上記の具体的なミリグラム量は、適用法と所望される治療結果に依存して、例えば、約0.01%〜約20%以上の間で変動する場合がある。
【0071】
本発明のなお別の態様において、プロトンポンプ阻害剤は、組成物の重量の約0.05%〜約90%で組成物に存在する。例示すると、プロトンポンプ阻害剤の百分率は、組成物の重量の約0.05%、又は約0.1%、又は約0.2%、又は約0.3%、又は約0.4%、又は約0.5%、又は約0.6%、又は約0.7%、又は約0.8%、又は約0.9%、又は約1%、又は約2%、又は約3%、又は約4%、又は約5%、又は約6%、又は約7%、又は約8%、又は約9%、又は約10%、又は約15%、又は約20%、又は約25%、又は約30%、又は約35%、又は約40%、又は約45%、又は約50%、又は約55%、又は約60%、又は約65%、又は約70%、又は約75%、又は約80%、又は約85%、又は約90%である。プロトンポンプ阻害剤の上記の具体的な百分率は、適用法と所望される治療結果に依存して、例えば、約0.01%〜約20%以上の間で変動する場合がある。
【0072】
分子及び基について書かれる記載において、分子の記述子は、組み合わせて構造基を記載する語又は句を生成し得るか、又は組み合わせて構造基を記載する。そのような記述子を本文書において使用する。一般的な例示の例には、アラルキル(又はアリールアルキル)、ヘテロアラルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アラルコキシアルコキシカルボニル、等のような用語が含まれる。最後の記述子、アラルコキシアルコキシカルボニルで包含される化合物の具体的な例は、C−CH−CH−O−CH−O−(C=O)−(式中、C−はフェニルである)である。当該技術分野では、1つの構造基が1以上の記述語又は句を有する場合があることも留意すべきであり、例えば、ヘテロアリールオキシアルキルカルボニルは、ヘテロアリールオキシアルカノイルと名づけてもよい。そのような組合せを本発明の方法、化合物、及び組成物の記載において本明細書に使用して、さらなる例を以下に記載する。以下のリストは、網羅的なものでも、延々と記載するのではなく、本明細書に使用する語又は句(用語)の代表例を提供することを企図している。
【0073】
本明細書に使用するように、用語「アルキル」は、単独で、又は組合せにおいて、1〜約12の炭素原子、好ましくは1〜約10の炭素原子、そしてより好ましくは1〜約6の炭素原子を含有する直鎖又は分岐鎖のアルキル基を意味する。そのような残基の例には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソアミル、ヘキシル、オクチル、等が含まれる。
【0074】
用語「アシル」は、単独で、又は組合せにおいて、有機酸からのヒドロキシルの除去後の残基によりもたらされる残基を意味する。そのようなアシル基の例には、アルカノイル及びアロイル基が含まれる。そのようなアルカノイル基の例には、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、イソバレリル、ピバロイル、ヘキサノイル、トリフルオロアセチル、等が含まれる。
【0075】
用語「カルボニル」又は「オキソ」は、単独で、又は組合せにおいて、即ち、「アルコキシカルボニル」のように他の用語とともに使用して、−C(=O)−基を意味し、ここで残る2つの結合(原子価)は、独立して置換されてよい。用語「カルボニル」には、水和カルボニル基:−C(OH)−も含まれると企図される。
【0076】
用語「ヒドリド」又は「水素」は、単独で、又は組合せにおいて、単一の水素原子(H)を意味する。このヒドリド基は、例えば、酸素原子へ付いてヒドロキシル基を形成しても、又は2つのヒドリド基が炭素原子へ付いてメチレン(−CH−)基を形成してもよい。
【0077】
用語「ハロ」又は「ハロゲン」は、単独で、又は組合せにおいて、フッ化物、塩化物、臭化物、又はヨウ化物のようなハロゲンを意味する。
用語「ハロアルキル」は、単独で、又は組合せにおいて、1以上の水素がハロゲンに置き換わっている、上記に定義される意義を有するアルキル基を意味する。具体的に含まれるのは、モノハロアルキル、ジハロアルキル、及びポリハロアルキル基である。モノハロアルキル基は、例えば、その残基内にヨード、ブロモ、クロロ、又はフルオロ原子のいずれを有してもよい。ジハロ及びポリハロアルキル基は、2以上の同じハロ原子を有しても、異なるハロ基の組合せを有してもよい。
【0078】
用語「チオール」又は「スルフヒドリル」は、単独で、又は組合せにおいて、−SH基を意味する。用語「チオ」又は「チア」は、単独で、又は組合せにおいて、チアエーテル基、すなわち、エーテル酸素がイオウ原子に置き換わっているエーテル基を意味する。
【0079】
用語「アミノ」は、単独で、又は組合せにおいて、アミン又は−NH基を意味するが、用語「モノ置換アミノ」は、単独で、又は組合せにおいて、1つの水素原子が置換基に置き換わっている置換アミン:−N(H)(置換基)基を意味し、二置換アミンは、アミノ基の2つの水素原子が独立して選択される置換基に置き換わっている、−N(置換基)を意味する。
【0080】
アミン、アミノ基、及びアミドは、アミノ窒素の置換の度合いに依存して一級(I°)、二級(II°)、又は三級(III°)、又は未置換、モノ置換、又はN,N−二置換と命名され得る化合物である。四級アミン(アンモニウム)(IV°)は、陽性に荷電して、対イオンを伴う、4つの置換基のある窒素[−N(置換基)]を意味し、一方、N−オキシドは、1つの置換基が酸素であることを意味し、この基は[−N(置換基)−O]として表され、即ち、電荷は内部で補われている。
【0081】
用語「シアノ」は、単独で、又は組合せにおいて、−C三重結合N(−C≡N)基を意味する。
用語「ヒドロキシル」は、単独で、又は組合せにおいて、−OH基を意味する。
【0082】
用語「ニトロ」は、単独で、又は組合せにおいて、−NO基を意味する。
用語「スルホニル」は、単独で、又は組合せにおいて、即ち、アルキルスルホニルのように他の用語へ連結して、−SO−基を意味し、ここで図示される残る2つの結合(原子価)は、独立して置換されてよい。
【0083】
用語「スルホキシド」は、単独で、又は組合せにおいて、−SO−基を意味し、ここで残る2つの結合(原子価)は、独立して置換されてよい。
用語「スルホン」は、単独で、又は組合せにおいて、−SO−基を意味し、ここで図示される残る2つの結合(原子価)は、独立して置換されてよい。
【0084】
用語「アルキルチオ」は、単独で、又は組合せにおいて、1〜約10の炭素原子が2価イオウ原子へ付いた直鎖又は分岐鎖のアルキル基を含有する残基を意味する。例示すると、アルキルチオ基は、1〜6の炭素原子のアルキル基を有する残基である。そのようなアルキルチオ基の例は、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、ブチルチオ、及びヘキシルチオである。
【0085】
用語「ヘテロシクロ」には、飽和、一部不飽和、及び不飽和のヘテロ原子を含有する環形状の残基が含まれ、ここでヘテロ原子は、窒素、イオウ、及び酸素より選択してよい。飽和ヘテロシクロ基の例には、1〜4の窒素原子を含有する飽和の3〜6員複素単環式基(例えば、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピペリジノ、ピペラジニル、等);1〜2の酸素原子と1〜3の窒素原子を含有する飽和の3〜6員複素単環式基(例えば、モルホリニル、等);1〜2のイオウ原子と1〜3の窒素原子を含有する飽和の3〜6員複素単環式基(例えば、チアゾリジニル、等)が含まれる。
【0086】
ヘテロシクロ化合物には、ベンゾ−1,4−ジオキサンのようなベンゾ縮合複素環式化合物が含まれる。そのような部分は、1以上の環炭素原子上でハロゲン、ヒドロキシ、ヒドロキシカルボニル、アルキル、アルコキシ、オキソ、等により、及び/又はその環の二級窒素原子(即ち、−NH−)上でアルキル、アラルコキシカルボニル、アルカノイル、アリール又はアリールアルキルにより、又は三級窒素原子(即ち、=N−)上でオキシドにより随意に置換されてよく、それは炭素原子を介して付く。3つの置換基のある三級窒素原子は、付いてN−オキシド[=N(O)−]基を形成してもよい。
【0087】
用語「アリール」は、単独で、又は組合せにおいて、5若しくは6員の炭素環式芳香族環含有部分、又は2若しくは3の環を含有する5若しくは6員の炭素環式芳香族系を意味し、ここでそのような環は、付随的なやり方で一緒に付くか、又はすべての炭素原子を環中に有する2若しくは3の環を含有する縮合環系、即ち炭素環式アリール基である。アリール部分は、アルキル、アルコキシアルキル、アルキルアミノアルキル、カルボキシアルキル、アルコキシカルボニルアルキル、アミノカルボニルアルキル、アルコキシ、アラルコキシ、ヒドロキシル、アミノ、ハロ、ニトロ、アルキルアミノ、アシル、シアノ、カルボキシ、アミノカルボニル、アルコキシカルボニル、及びアラルコキシカルボニルが含まれる1以上の置換基で置換されてもよい。
【0088】
用語「ヘテロアリール」は、単独で、又は組合せにおいて、5若しくは6員の芳香族環含有部分、又は炭素原子とイオウ、酸素、及び窒素のような環中の1以上のヘテロ原子も有する2又は3の環を含有する縮合環系(残基)を意味する。そのような複素環式又はヘテロアリール基の例は、ピロリジニル、ピペリジル、ピペラジニル、モルホリニル、チアモルホリニル、ピロリル、イミダゾリル(例えば、イミダゾール−4−イル、1−ベンジルオキシカルボニルイミダゾール−4−イル、等)、ピラゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、フリル、テトラヒドロフリル、チエニル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、インドリル(例えば、2−インドリル、等)、キノリニル(例えば、2−キノリニル、3−キノリニル、1−オキシド−2−キノリニル、等)、イソキノリニル(例えば、1−イソキノリニル、3−イソキノリニル、等)、テトラヒドロキノリニル(例えば、1,2,3,4−テトラヒドロ−2−キノリル、等)、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリニル(例えば、1,2,3,4−テトラヒドロ−1−オキソ−イソキノリニル、等)、キノキサリニル、β−カルボリニル、2−ベンゾフランカルボニル、ベンゾチオフェニル、1、2、4又は5−ベンゾイミダゾリル、等の残基である。
【0089】
用語「医薬的に許容される」は、本明細書において、修飾される名詞が医薬品における使用に適していることを意味するために形容詞的に使用する。医薬的に許容されるカチオンには、金属イオンと有機イオンが含まれる。例示すると、金属イオンには、限定されないが、適切なアルカリ金属(Ia族)塩、アルカリ土類金属(IIa族)塩、及び他の生理学的に許容される金属イオンが含まれる。例示のイオンには、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム及び亜鉛がその通常の原子価で含まれる。好ましい有機イオンには、トリエチルアミン、ジエチルアミン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン(N−メチルグルカミン)及びプロカインが一部含まれる、プロトン化三級アミンと四級アンモニウムカチオンが含まれる。例示の医薬的に許容される酸には、限定せずに、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、メタンスルホン酸、酢酸、ギ酸、酒石酸、マレイン酸、リンゴ酸、クエン酸、イソクエン酸、コハク酸、乳酸、グルコン酸、グルクロン酸、ピルビン酸、オキサロ酢酸、フマル酸、プロピオン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、安息香酸、等が含まれる。
【0090】
本発明の酸不安定薬剤は、顆粒剤、スフェロイド、ミクロスフェア、シード、ペレット剤、ビーズ、マイクロカプセル剤、集塊、ミニ錠剤、錠剤、又は慣用の薬理学的技術により製造される他の多粒子型の形態であってよい。
【0091】
本発明の方法、キット、組合せ、及び組成物に有用な一群の緩衝剤には、弱塩基又は強塩基としての薬理活性を保有する薬剤が含まれる。1つの態様において、緩衝剤は、酸不安定薬剤とともに(例えば、その前、間、及び/又は後で)製剤化されるか又は送達されるときに、ある時間の間、例えば、投与される酸不安定薬剤のバイオアベイラビリティを保存するのに十分な時間の間、胃腸液による酸不安定薬剤の酸分解を実質的に防ぐか又は阻害するように機能する。本発明の1つの側面において、本発明に利用する緩衝剤には、例えば、IA族金属の重炭酸塩、IA族金属の炭酸塩が含まれるIA族金属の塩、アルカリ土類金属の緩衝剤、アルミニウム緩衝剤、カルシウム緩衝剤、又はマグネシウム緩衝剤が含まれる。他の好適な緩衝剤には、例えば、ナトリウム又はカリウムのリン酸塩、クエン酸塩、ホウ酸塩、酢酸塩、重炭酸塩、及び炭酸塩のような、アルカリ(ナトリウム及びカリウム)又はアルカリ土類(カルシウム及びマグネシウム)の炭酸塩、リン酸塩、重炭酸塩、クエン酸塩、ホウ酸塩、酢酸塩、フタル酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、等が含まれる。例示すると、本発明の方法、キット、組合せ、及び組成物に使用し得る注目すべき緩衝剤には、限定されないが、アミノ酸、アミノ酸の酸塩、アミノ酸のアルカリ塩、水酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム/炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム/炭酸マグネシウム/炭酸カルシウム共沈物、水酸化マグネシウムアルミニウム、水酸化アルミニウム/水酸化マグネシウム共沈物、水酸化アルミニウム/重炭酸ナトリウム共沈物、グリシン酸アルミニウム、酢酸カルシウム、重炭酸カルシウム、ホウ酸カルシウム、炭酸カルシウム、クエン酸カルシウム、塩化カルシウム、グルコン酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウム、水酸化カルシウム、乳酸カルシウム、フタル酸カルシウム、リン酸カルシウム、コハク酸カルシウム、酒石酸カルシウム、リン酸二塩基性ナトリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二カリウム、リン酸水素二ナトリウム、コハク酸二ナトリウム、乾燥水酸化アルミニウムゲル、L−アルギニン、酢酸マグネシウム、アルミン酸マグネシウム、ホウ酸マグネシウム、重炭酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、クエン酸マグネシウム、グルコン酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、乳酸マグネシウム、アルミン酸メタケイ酸マグネシウム、酸化マグネシウム、フタル酸マグネシウム、リン酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、コハク酸マグネシウム、酒石酸マグネシウム、酢酸カリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、ホウ酸カリウム、クエン酸カリウム、メタリン酸カリウム、フタル酸カリウム、リン酸カリウム、ポリリン酸カリウム、ピロリン酸カリウム、コハク酸カリウム、酒石酸カリウム、酢酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、乳酸ナトリウム、フタル酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、三二炭酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、合成ハイドロタルサイト、ピロリン酸四カリウム、ピロリン酸四ナトリウム、トリヒドロキシメチルアミノメタン、リン酸三カリウム、リン酸三ナトリウム、及びトロメタモールが含まれる。(「メルクインデックス(The Merck Index)」、メルク社、ニュージャージー州ラーウェイ、(2001年度)に提供されるリストに一部基づく)。さらに、タンパク質又はタンパク加水分解物も酸を迅速に中和するその能力により緩衝剤として役立つ場合がある。上記に言及した緩衝剤の組合せも、本明細書に記載する方法、キット、組合せ、及び組成物に使用してよい。
【0092】
別の態様において、緩衝剤は、本発明の方法、キット、組合せ、及び組成物において、1mgの酸不安定薬剤、例えばプロトンポンプ阻害剤につき約0.05mEq〜約15mEqの量で存在する。本発明の別の態様において、緩衝剤は、1mgのプロトンポンプ阻害剤につき約0.1mEq〜約10mEqの量で存在する。本発明の別の態様において、緩衝剤は、1mgのプロトンポンプ阻害剤につき約0.1mEq〜約5mEqの量で存在する。本発明の別の態様において、緩衝剤は、1mgのプロトンポンプ阻害剤につき約0.2mEq〜約2.5mEqの量で存在する。本発明のなお別の態様において、緩衝剤は、1mgのプロトンポンプ阻害剤につき少なくとも約0.5mEq、又は1mgのプロトンポンプ阻害剤につき少なくとも約1mEq、又は1mgのプロトンポンプ阻害剤につき少なくとも約2mEq、又は1mgのプロトンポンプ阻害剤につき少なくとも約4mEq、又は1mgのプロトンポンプ阻害剤につき少なくとも約5mEq、又は1mgのプロトンポンプ阻害剤につき少なくとも約7.5mEq、又は1mgのプロトンポンプ阻害剤につき少なくとも約10mEq、又は1mgのプロトンポンプ阻害剤につき少なくとも約15mEqの量で存在する。
【0093】
本発明のなお別の態様において、医薬組成物に存在する緩衝剤の全量は、約2mEq〜約160mEqである。なお別の態様において、緩衝剤は、約5mEq〜約120mEqの量で存在する。なお別の態様において、緩衝剤は、約10mEq〜約70mEqの量で存在する。なお別の態様において、緩衝剤は、約15mEq〜約55mEqの量で存在する。なお別の態様において、緩衝剤は、約20mEq〜約40mEqの量で存在する。なお別の態様において、緩衝剤は、約12.5mEq〜約30mEqの量で存在する。例示すると、本発明の組成物中の緩衝剤の全量は、約0.1mEq、又は約0.2mEq、又は約0.5mEq、又は約1mEq、又は約2mEq、又は約3mEq、又は約4mEq、又は約5mEq、又は約7.5mEq、又は約10mEq、又は約12.5mEq、又は約15mEq、又は約16mEq、又は約17.5mEq、又は約20mEq、又は約22.5mEq、又は約25mEq、又は約27.5mEq、又は約30mEq、又は約32.5mEq、又は約35mEq、又は約37.5mEq、又は約40mEq、又は約42.5mEq、又は約45mEq、又は約47.5mEq、又は約50mEq、又は約52.5mEq、又は約55mEq、又は約57.5mEq、又は約60mEq、又は約62.5mEq、又は約65mEq、又は約67.5mEq、又は約70mEq、又は約75mEq、又は約80mEq、又は約85mEq、又は約90mEq、又は約95mEq、又は約100mEq、又は約110mEq、又は約120mEq、又は約130mEq、又は約140mEq、又は約150mEq、又は約160mEqである。上記の緩衝剤の具体的なmEq量は、適用法と所望される治療結果に依存して、例えば、約0.01%〜約20%以上の間で変動する場合がある。
【0094】
本発明のなお別の態様において、緩衝剤の量は、組成物中の重量対重量ベースでプロトンポンプ阻害剤の量の約5倍より多い。本発明のなお別の態様において、緩衝剤の量は、組成物中の重量対重量ベースでプロトンポンプ阻害剤の量の約10〜約100倍より多い。本発明のなお別の態様において、緩衝剤の量は、組成物中の重量対重量ベースでプロトンポンプ阻害剤の量の約5倍より多い、又は約10倍より多い、又は約20倍より多い、又は約30倍より多い、又は約40倍より多い、又は約50倍より多い、又は約60倍より多い、又は約70倍より多い、又は約80倍より多い、又は約90倍より多い、又は約100倍より多い量で存在する。
【0095】
本発明の1つの態様において、緩衝剤は、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、重炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、又はこれらの混合物であり、本方法、キット、組合せ及び組成物において、少なくとも約250mgの量で存在する。別の態様において、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、重炭酸カルシウム、又はこれらの混合物は、少なくとも約400mgの量で存在する。なお別の態様において、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、重炭酸カルシウム、又はこれらの混合物は、約250mg〜約4000mgの量で存在する。なお別の態様において、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、重炭酸カルシウム、又はこれらの混合物は、約1000mg〜約2000mgの量で存在する。そしてなお別の態様において、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、重炭酸カルシウム、又はこれらの混合物は、約1250mg〜約1750mgの量で存在する。なお別の態様において、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、重炭酸カルシウム、又はこれらの混合物は、約500mg〜約1680mgの量で存在する。
【0096】
例示すると、本発明の組成物中の単数又は複数の緩衝剤の量は、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mg、約550mg、約600mg、約650mg、約700mg、約750mg、約800mg、約850mg、約900mg、約950mg、約1000mg、約1050mg、約1100mg、約1150mg、約1200mg、約1250mg、約1300mg、約1350mg、約1400mg、約1450mg、約1500mg、約1550mg、約1600mg、約1620mg、約1640mg、約1660mg、約1680mg、約1700mg、約1725mg、約1750mg、約1800mg、約1825mg、約1850mg、約1875mg、約1900mg、約1950mg、又は約2000mg、又は約2500mg、又は約3000mg、又は約3500mgである。上記の具体的な量は、適用法と所望される治療結果に依存して、例えば、約0.01%〜約20%以上の間で変動する場合がある。
【0097】
本発明の1つの態様において、緩衝剤は重炭酸ナトリウムであり、本方法、キット、組合せ及び組成物において、少なくとも約250mgの量で存在する。別の態様において、重炭酸ナトリウムは、少なくとも約400mgの量で存在する。なお別の態様において、重炭酸ナトリウムは、約250mg〜約4000mgの量で存在する。なお別の態様において、重炭酸ナトリウムは、約1000mg〜約2000mgの量で存在する。そしてなお別の態様において、重炭酸ナトリウムは、約1250mg〜約1750mgの量で存在する。なお別の態様において、重炭酸ナトリウムは、約500mg〜約1680mgの量で存在する。例示すると、本発明の組成物中の重炭酸ナトリウムの量は、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mg、約550mg、約600mg、約650mg、約700mg、約750mg、約800mg、約850mg、約900mg、約950mg、約1000mg、約1050mg、約1100mg、約1150mg、約1200mg、約1250mg、約1300mg、約1350mg、約1400mg、約1450mg、約1500mg、約1550mg、約1600mg、約1620mg、約1640mg、約1660mg、約1680mg、約1700mg、約1725mg、約1750mg、約1800mg、約1825mg、約1850mg、約1875mg、約1900mg、約1950mg、又は約2000mgである。上記の具体的な量は、適用法と所望される治療結果に依存して、例えば、約0.01%〜約20%以上の間で変動する場合がある。
【0098】
本発明の1つの態様において、緩衝剤は炭酸ナトリウムであり、本方法、キット、組合せ及び組成物において、少なくとも約250mgの量で存在する。別の態様において、炭酸ナトリウムは、少なくとも約400mgの量で存在する。なお別の態様において、炭酸ナトリウムは、約250mg〜約4000mgの量で存在する。なお別の態様において、炭酸ナトリウムは、約1000mg〜約2000mgの量で存在する。そしてなお別の態様において、炭酸ナトリウムは、約1250mg〜約1750mgの量で存在する。なお別の態様において、炭酸ナトリウムは、約500mg〜約1680mgの量で存在する。例示すると、本発明の組成物中の炭酸ナトリウムの量は、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mg、約550mg、約600mg、約650mg、約700mg、約750mg、約800mg、約850mg、約900mg、約950mg、約1000mg、約1050mg、約1100mg、約1150mg、約1200mg、約1250mg、約1300mg、約1350mg、約1400mg、約1450mg、約1500mg、約1550mg、約1600mg、約1620mg、約1640mg、約1660mg、約1680mg、約1700mg、約1725mg、約1750mg、約1800mg、約1825mg、約1850mg、約1875mg、約1900mg、約1950mg、又は約2000mgである。上記の具体的な量は、適用法と所望される治療結果に依存して、例えば、約0.01%〜約20%以上の間で変動する場合がある。
【0099】
本発明の1つの態様において、緩衝剤は炭酸カルシウムであり、本方法、キット、組合せ及び組成物において、少なくとも約250mgの量で存在する。別の態様において、炭酸カルシウムは、少なくとも約400mgの量で存在する。なお別の態様において、炭酸カルシウムは、約250mg〜約4000mgの量で存在する。なお別の態様において、炭酸カルシウムは、約1000mg〜約2000mgの量で存在する。そしてなお別の態様において、炭酸カルシウムは、約1250mg〜約1750mgの量で存在する。なお別の態様において、炭酸カルシウムは、約500mg〜約1680mgの量で存在する。例示すると、本発明の組成物中の炭酸カルシウムの量は、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mg、約550mg、約600mg、約650mg、約700mg、約750mg、約800mg、約850mg、約900mg、約950mg、約1000mg、約1050mg、約1100mg、約1150mg、約1200mg、約1250mg、約1300mg、約1350mg、約1400mg、約1450mg、約1500mg、約1550mg、約1600mg、約1620mg、約1640mg、約1660mg、約1680mg、約1700mg、約1725mg、約1750mg、約1800mg、約1825mg、約1850mg、約1875mg、約1900mg、約1950mg、又は約2000mgである。上記の具体的な量は、適用法と所望される治療結果に依存して、例えば、約0.01%〜約20%以上の間で変動する場合がある。
【0100】
本発明の1つの態様において、緩衝剤は重炭酸カルシウムであり、本方法、キット、組合せ及び組成物において、少なくとも約250mgの量で存在する。別の態様において、重炭酸カルシウムは、少なくとも約400mgの量で存在する。なお別の態様において、重炭酸カルシウムは、約250mg〜約4000mgの量で存在する。なお別の態様において、重炭酸カルシウムは、約1000mg〜約2000mgの量で存在する。そしてなお別の態様において、重炭酸カルシウムは、約1250mg〜約1750mgの量で存在する。なお別の態様において、重炭酸カルシウムは、約500mg〜約1680mgの量で存在する。例示すると、本発明の組成物中の重炭酸カルシウムの量は、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mg、約550mg、約600mg、約650mg、約700mg、約750mg、約800mg、約850mg、約900mg、約950mg、約1000mg、約1050mg、約1100mg、約1150mg、約1200mg、約1250mg、約1300mg、約1350mg、約1400mg、約1450mg、約1500mg、約1550mg、約1600mg、約1620mg、約1640mg、約1660mg、約1680mg、約1700mg、約1725mg、約1750mg、約1800mg、約1825mg、約1850mg、約1875mg、約1900mg、約1950mg、又は約2000mgである。上記の具体的な量は、適用法と所望される治療結果に依存して、例えば、約0.01%〜約20%以上の間で変動する場合がある。
【0101】
本発明の1つの態様において、緩衝剤は重炭酸ナトリウム及び炭酸ナトリウムであり、本方法、キット、組合せ及び組成物において、少なくとも約250mgの量で存在する。別の態様において、重炭酸ナトリウム及び炭酸ナトリウムは、少なくとも約400mgの量で存在する。なお別の態様において、重炭酸ナトリウム及び炭酸ナトリウムは、約250mg〜約4000mgの量で存在する。なお別の態様において、重炭酸ナトリウム及び炭酸ナトリウムは、約1000mg〜約2000mgの量で存在する。そしてなお別の態様において、重炭酸ナトリウム及び炭酸ナトリウムは、約1250mg〜約1750mgの量で存在する。なお別の態様において、重炭酸ナトリウム及び炭酸ナトリウムは、約500mg〜約1680mgの量で存在する。例示すると、本発明の組成物中の重炭酸ナトリウム及び炭酸ナトリウムの量は、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mg、約550mg、約600mg、約650mg、約700mg、約750mg、約800mg、約850mg、約900mg、約950mg、約1000mg、約1050mg、約1100mg、約1150mg、約1200mg、約1250mg、約1300mg、約1350mg、約1400mg、約1450mg、約1500mg、約1550mg、約1600mg、約1620mg、約1640mg、約1660mg、約1680mg、約1700mg、約1725mg、約1750mg、約1800mg、約1825mg、約1850mg、約1875mg、約1900mg、約1950mg、又は約2000mgである。上記の具体的な量は、適用法と所望される治療結果に依存して、例えば、約0.01%〜約20%以上の間で変動する場合がある。
【0102】
本発明の1つの態様において、緩衝剤は重炭酸ナトリウム及び炭酸カルシウムであり、本方法、キット、組合せ及び組成物において、少なくとも約250mgの量で存在する。別の態様において、重炭酸ナトリウム及び炭酸カルシウムは、少なくとも約400mgの量で存在する。なお別の態様において、重炭酸ナトリウム及び炭酸カルシウムは、約250mg〜約4000mgの量で存在する。なお別の態様において、重炭酸ナトリウム及び炭酸カルシウムは、約1000mg〜約2000mgの量で存在する。そしてなお別の態様において、重炭酸ナトリウム及び炭酸カルシウムは、約1250mg〜約1750mgの量で存在する。なお別の態様において、重炭酸ナトリウム及び炭酸カルシウムは、約500mg〜約1680mgの量で存在する。例示すると、本発明の組成物中の重炭酸ナトリウム及び炭酸カルシウムの量は、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mg、約550mg、約600mg、約650mg、約700mg、約750mg、約800mg、約850mg、約900mg、約950mg、約1000mg、約1050mg、約1100mg、約1150mg、約1200mg、約1250mg、約1300mg、約1350mg、約1400mg、約1450mg、約1500mg、約1550mg、約1600mg、約1620mg、約1640mg、約1660mg、約1680mg、約1700mg、約1725mg、約1750mg、約1800mg、約1825mg、約1850mg、約1875mg、約1900mg、約1950mg、又は約2000mgである。上記の具体的な量は、適用法と所望される治療結果に依存して、例えば、約0.01%〜約20%以上の間で変動する場合がある。
【0103】
本発明の1つの態様において、緩衝剤は炭酸カルシウム及び炭酸ナトリウムであり、本方法、キット、組合せ及び組成物において、少なくとも約250mgの量で存在する。別の態様において、炭酸カルシウム及び炭酸ナトリウムは、少なくとも約400mgの量で存在する。なお別の態様において、炭酸カルシウム及び炭酸ナトリウムは、約250mg〜約4000mgの量で存在する。なお別の態様において、炭酸カルシウム及び炭酸ナトリウムは、約1000mg〜約2000mgの量で存在する。そしてなお別の態様において、炭酸カルシウム及び炭酸ナトリウムは、約1250mg〜約1750mgの量で存在する。なお別の態様において、炭酸カルシウム及び炭酸ナトリウムは、約500mg〜約1680mgの量で存在する。例示すると、本発明の組成物中の炭酸カルシウム及び炭酸ナトリウムの量は、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mg、約550mg、約600mg、約650mg、約700mg、約750mg、約800mg、約850mg、約900mg、約950mg、約1000mg、約1050mg、約1100mg、約1150mg、約1200mg、約1250mg、約1300mg、約1350mg、約1400mg、約1450mg、約1500mg、約1550mg、約1600mg、約1620mg、約1640mg、約1660mg、約1680mg、約1700mg、約1725mg、約1750mg、約1800mg、約1825mg、約1850mg、約1875mg、約1900mg、約1950mg、又は約2000mgである。上記の具体的な量は、適用法と所望される治療結果に依存して、例えば、約0.01%〜約20%以上の間で変動する場合がある。
【0104】
経口投与用に、本発明の医薬組成物は、所望される量の酸不安定薬剤及び/又は緩衝剤を含有してよく、例えば、錠剤(例えば、懸濁錠剤、噛み懸濁錠剤、迅速分散錠剤、チュワブル錠剤、発泡性錠剤、二層錠剤、錠剤中錠剤)、丸剤、散剤(例えば、包装散剤、調合可能散剤、発泡性散剤)、カプセル剤(例えば、軟/硬ゼラチンカプセル剤)、甘味入り錠剤、サシェ剤、カシェ剤、トローチ剤、ペレット剤、顆粒剤、エアゾール剤(固体として、又は液体媒体中)の形態、又は経口投与に合理的に適した他のあらゆる形態であってよい。そのような医薬組成物は、予決定量の酸不安定薬剤及び緩衝剤を含有する、錠剤又はカプセル剤のような離散投与量単位の形態で作製してよい。
【0105】
本発明の1つの態様において、制御放出成分は、約1mg〜約500mgの酸不安定薬剤、例えばプロトンポンプ阻害剤を含有する。別の態様において、制御放出成分は、約5mg〜約240mgのプロトンポンプ阻害剤を含有する。別の態様において、制御放出成分は、約10mg〜約120mgのプロトンポンプ阻害剤を含有する。なお別の態様において、制御放出成分は、約15mg〜約80mgのプロトンポンプ阻害剤を含有する。なお別の態様において、制御放出成分は、約20mg〜約60mgのプロトンポンプ阻害剤を含有する。別の態様において、制御放出成分は、約30mg〜約40mgのプロトンポンプ阻害剤を含有する。追加的に、上記の例示量は、適用法と所望される治療結果に依存して、例えば、約0.01%〜約20%以上の間で変動する場合がある。
【0106】
被検者へ投与されるプロトンポンプ阻害剤の量は、例えば、被検者のタイプ、被検者の性別、年齢、健康全般、食事、及び/又は体重に依存すると理解されよう。例示すると、この薬剤が、例えば、オメプラゾール、テナトプラゾール、ランソプラゾール、パントプラゾール、ラベプラゾール、エソメプラゾール、パリプラゾール、又はレミノプラゾールのような置換ベンゾイミダゾールであり、被検者が、例えば、小児や小動物(例えば、イヌ)である場合、約1mg〜約20mgの用量範囲にある相対的に少ない量の薬剤が治療有効性と一致した血清濃度をもたらす可能性がある。例えば、モルモットのようなさらに小さな哺乳動物では、ずっと少ない量の薬剤が必要とされる。被検者が成人又は大動物(例えば、ウマ)である場合、薬剤の療法的な血清濃度の達成には、相対的により多い量の薬剤、例えば、成人では、約15mg、20mg、30mg、40mg、50mg、60mg、70mg、80mg、90mg、100mg、110mg、又は120mg用量、又は成馬では、約150mg、200mg、400mg、800mg、1000mg、2000mg、3000mg、4000mg、又は5000mg(又はより多い)用量を含有する用量単位が必要とされる可能性がある。
【0107】
なお別の態様において、本発明の組成物は、用量あたり体重1キログラムにつき、約0.1mg/kg〜約10mg/kg、又は約0.01mg/kg〜約5mg/kg、又は約0.5mg/kg〜約10mg/kg、又は約0.5mg/kg〜約5mg/kg、又は約0.5mg/kg〜約2.5mg/kgの酸不安定薬剤、例えばプロトンポンプ阻害剤を含有する。例示すると、本発明の組成物に存在する酸不安定薬剤、例えばプロトンポンプ阻害剤の量は、用量あたり体重1キログラムにつき、約0.1mg/kg、又は約0.5mg/kg、又は約1mg/kg、又は約1.5mg/kg、又は約2mg/kg、又は約2.5mg/kg、又は約3mg/kg、又は約3.5mg/kg、又は約4mg/kg、又は約4.5mg/kg、又は約5mg/kgの酸不安定薬剤、例えばプロトンポンプ阻害剤である。追加的に、上記の例示量は、適用法と所望される治療結果に依存して、例えば、約0.01%〜約20%以上の間で変動する場合がある。上記の用量は、1日につき1回で投与しても、数回の分割用量で投与してもよい。
【0108】
本発明の固体組成物は、一般に、錠剤(例えば、懸濁錠剤、噛み懸濁錠剤、迅速分散錠剤、チュワブル錠剤、又は発泡性錠剤)、丸剤、散剤(例えば、包装散剤、調合可能散剤、発泡性散剤)、カプセル剤(例えば、軟/硬ゼラチンカプセル剤)、甘味入り錠剤、サシェ剤、カシェ剤、トローチ剤、ペレット剤、又は顆粒剤のような、離散単位剤形の形態である。そのような投与量単位は、1日につき少なくとも1回、2回、3回、又は4回投与しても、治療応答を誘発するために必要とされるほど多くの回数で投与してもよい。特別な単位剤形を選択して、特定の1日投与量を達成するために使用する所望の投与頻度を提供することができる。
【0109】
例示すると、適正な成人1日経口投与量は、典型的には、20mg〜40mgのオメプラゾール、15mg〜30mgのランソプラゾール、20mg〜40mgのパントプラゾール、20mgのラベプラゾール、20〜40mgのエソメプラゾールと、薬理学的同等量のパリプラゾール及びレミノプラゾールである。「医師要覧(Physicians' Desk Reference)」第55版(2001年)を参照のこと。
【0110】
本発明の組成物は、被検者へ経口的又は経腸的に投与してよい。このことは、例えば、経鼻胃管や、胃腸管中に置く他の留置管を介して本発明の懸濁液剤を投与することによって達成することができる。本発明の1つの態様において、多量の重炭酸ナトリウムを投与することに伴う欠点を回避するために、本発明のプロトンポンプ阻害剤を単回用量で投与し、これには、プロトンポンプ阻害剤の投与に続く、重炭酸塩や他の緩衝剤のさらなる投与も必要とされず、多量の重炭酸塩や緩衝剤も全体で必要とされない。本発明は、追加量の水及び重炭酸ナトリウムの前投薬や後投薬の必要性を消失させる。本発明の単一用量投与により投与される重炭酸塩の量は、上記に引用した参考文献に教示されるように投与される重炭酸塩の量より少ない。
【0111】
用語「即時放出」は、例えば、胃の胃腸内容物、経口投与後の口の唾液内容物、又は37℃の1%ドデシル硫酸ナトリウム水溶液、又は0.1N塩酸水溶液が含まれる、胃腸液のような水系媒体への薬剤の放出が実質的に即時(例えば、約30秒〜約60分以内)である製剤を意味すると企図される。「即時放出」製剤では、経口投与により組成物から胃腸液への薬剤の即時放出がもたらされる。制御放出製剤では、反対のことが概ね正しく、薬物の剤形からの放出の速度が薬物の標的領域への送達における律速工程となる。用語「制御放出」には、限定されないが、腸溶外皮化製剤が含まれるあらゆる非即時放出製剤が含まれ、これは、薬剤を組成物より適正なpHを有する胃腸液へ該液との接触後約1分〜約90分以内、又は約1分以内、又は約5分以内、又は約10分以内、又は約15分以内、又は約20分以内、又は約25分以内、又は約30分以内、又は約35分以内、又は約40分以内、又は約45分以内、又は約50分以内、又は約55分以内、又は約60分以内、又は約65分以内、又は約70分以内、又は約75分以内、又は約80分以内、又は約85分以内、又は約90分以内に放出する。「レミントン:調剤の科学と実践(Remington: The Science and Practice of Pharmacy)」第19版(ペンシルヴェニア州イーストン、マックパブリッシングカンパニー、1995年)を参照のこと。
【0112】
「血漿濃度」は、被検者の血漿又は血清中の物質の濃度を意味する。
「薬物吸収」又は「吸収」は、薬物の投与の部位から被検者の全身循環へ、例えば血流への移行のプロセスを意味する。
【0113】
「バイオアベイラビリティ」は、活性部分(薬物又は代謝物)が体循環へ吸収され、体内の薬物作用部位で利用可能になる程度を意味する。
「代謝」は、薬物の体内での化学的改変のプロセスを意味する。
【0114】
「半減期」は、血漿薬物濃度又は体内量をその最高濃度より50%減少させるのに必要とされる時間を意味する。
用語「約」の本開示における使用は、「ほぼ」を意味し、例示すると、用語「約」の使用は、引用される数値のわずかに外側の数値(例えば、プラス又はマイナス0.1%〜20%)も有効かつ安全であり得ることを示し、そのような投与量も本特許請求項の範囲に含まれる。
【0115】
用語「測定可能な血清濃度」は、投与後に血流へ吸収される治療薬剤の血清濃度(典型的には、血清1ml、1dl、又は1lあたりの治療薬剤のmg、μg、又はngで測定される)を意味する。例示すると、成人被検者の測定可能な血清濃度に対応する本発明のプロトンポンプ阻害剤の血清濃度は、約5ng/mlより高い。本発明の別の態様において、成人の測定可能な血清濃度に対応するプロトンポンプ阻害剤の血清濃度は、約10.0μg/ml未満である。本発明のなお別の態様において、成人の測定可能な血清濃度に対応するプロトンポンプ阻害剤の血清濃度は、約0.01μg/ml〜約5μg/mlである。
【0116】
腸溶コーティング剤でカバーされた、コートされた、又はそれが層状に積み重なった剤形からの酸不安定薬剤の迅速放出をもたらす試みにおいて、出願人は、当該技術分野で一般的に実践されているような腸溶外皮化剤形の使用が、被検者へ、及び/又はあるpH条件下で)投与するときに、胃腸管の所望される部位での薬剤の胃腸液への有効な放出をもたらさないことを見出した。そのような腸溶外皮化剤形は、例えば、表番号2に収載する特許に概ね記載されている。
【0117】
表番号2:腸溶外皮化プロトンポンプ阻害剤を教示する発行済みの米国特許
【0118】
【表2】

【0119】
上記の特許に記載される腸溶コーティング剤の典型的な組成、厚さ、量、及び構成を使用する剤形を被検者へ投与するとき、この剤形に存在する薬剤の大部分は、下部胃腸管で概ね放出されるので、胃の所望される部位、及び/又は投与後の予め決定された時間での薬物送達はほとんど又は全く存在しない。しかしながら、これらの腸溶外皮化剤形は、1つの態様では、本明細書に記載するような緩衝剤と一緒に提供するときに、本発明の所望される投与量放出プロフィールを満たすことができる。この態様において、緩衝剤は、ある時間の間、腸溶コーティング剤を実質的に溶かすか又は分散させることにより薬剤を腸溶外皮化剤形から胃腸液へ放出させるpHへ胃腸液のpHを上昇させる。緩衝剤は、腸溶コーティング剤を溶かすか又は分散させるレベルへpHを上昇させることによって、胃腸液の酸性条件を抑制することにより酸不安定薬剤を酸分解より実質的に防ぐか又は保護するようにも作用する。
【0120】
本発明に使用するように、用語「崩壊する」には、腸溶コーティング剤の胃腸液における溶解と、剤形の胃腸液への後続の溶解及び分散が含まれる。用語「崩壊する」は、腸溶コーティング剤の胃腸液への障壁としての完全性の損失、そして胃腸液保護剤としての機能性のその損失も意味する。コーティング剤の成分は、胃腸液において約2分以内、又は約90分以内に概ね崩壊するが、これらの量は、本明細書に記載する適用法と所望される治療結果に依存して変動する場合がある。
【0121】
プロトンポンプ阻害剤や他の酸不安定薬物の本発明の新規組成物からの放出は、参照により本明細書に組み込まれる、米国薬局方(USP 26−NF−1)に記載されるような in vitro 法(例えば、USP<724>「薬物放出(Drug Release)」;及びUSP<711>「溶解(Dissolution)」が含まれる)や当該技術分野で知られた他の標準 in vitro 溶解アッセイ技術によって決定することができる。例示すると、本発明の製剤について、USP溶解装置2を50rpmのパドル速度で使用して、in vitro 溶解性及び/又は崩壊特性を試験することができる。本製剤は、37℃へ平衡化した1、2、又は多段階溶解媒体を使用して、溶かすことができる。2及び多段階溶解媒体では、この溶解媒体を様々なpH点へ調整して、ある範囲のpHにわたって溶解プロフィールを決定することができる。pHの分析では、例えば、Orion pH電極装置(組合せプローブ/PerpHeot Ross Semimicro Electrode)付きのOrion pH Meter(モデル720A)を利用してよい。模倣胃腸液には、例えば、ペプシン(6.8未満のpH)又はパンクレアチン(6.8以上のpH)を含むか又は含まない0.1N塩酸;0.1N塩酸と0.2M三塩基性リン酸ナトリウム(3:1)を混合して、必要ならばpHを調整することによって調製するpH6.8リン酸緩衝液;及び/又は模倣胃腸液(USP 26−NF 21)を利用してよい。溶解媒体のpHは、例えば、0.2M三塩基性リン酸ナトリウム、2N塩酸、及び/又は2N水酸化ナトリウムを使用することによって所望のpHへ調整することができる。溶解媒体由来のアリコートを経時的に採取して、溶解媒体へ放出される酸不安定薬物の量を、例えば高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用することによって決定することができる。次いで、経時的で様々なpH点での溶解、崩壊、及び/又は放出プロフィールを計算することができる。本発明の腸溶コーティング剤について緩衝剤を伴うか又は伴わずに試験して、特別な腸溶コーティング剤の様々なpH点での溶解及び/又は崩壊プロフィール(例えば、様々な腸溶コーティング剤の厚さ)を決定することができる。組成物に存在し得る緩衝剤が試験の間に模倣胃腸液のpHに及ぼす効果は、例えば、以下に記載する「酸中和運動モデル」によって決定することができる。
【0122】
簡潔に言えば、「酸中和運動モデル」では、単数又は複数の緩衝剤の量(例えば、炭酸カルシウム、及び/又は重炭酸ナトリウム、及び/又は炭酸ナトリウムの代表的な量)の経時的な酸中和を評価することができる。理論により束縛されることを望まないが、健常人の胃は、塩酸を胃内容物へ毎時30mlの速度で加えると一般には考えられている。「酸中和運動モデル」は、ガラスフラスコを(例えば、100ml又は200mlの溶解フラスコの形態で)使用して、0.1N塩酸(HCl)を固定する(絶食状態の胃の酸性を模倣する)。絶食した胃に通常見出される胃腸液の容量は50mlとみなされるが、実験上の便宜性のために、このモデルは、例えば100ml(通常の絶食胃の容積の倍)の液体と対応する2倍量の緩衝剤及び/又は試験する酸不安定薬剤を利用する。撹拌子を一定の制御された再現可能なrpmに維持して、フラスコの内容物を撹拌する。pHの分析では、例えば、Orion pH電極装置(例えば、組合せプローブ/PerpHeot Ross Semimicro Electrode)付きのOrion pH Meter(モデル720A)が含まれる、どの種類のpHモニターを使用してもよい。「酸中和運動モデル」は、ペリスタポンプ(例えば、酸抵抗管付きのWatson/Marlow Multichannel PumpProモデル)により、毎時200mlの0.05N塩酸を加えることができる。この速度により、0.1N塩酸の初期容量の50から100mlへの2倍化が補われる。胃の空洞化を模倣するには、液体を同じ速度で、そして同じペリスタポンプによりフラスコより抜き取って、100ml容量を一定に維持することができる。この「酸中和運動モデル」は、参照により本明細書に組み込まれる、USP(米国薬局方)<301>「酸中和能力試験(Acid-Neutralizing Capacity Test)」の概念とUSP<724>「薬物放出試験用フロースルー細胞(Flow Through Cell for Drug Release Testing)」の概念を組み合わせる。例示すると、フラスコ中の最初の酸のpHを時間の関数として測定することができる。時間0で緩衝剤をフラスコへ加え、その内容物のpHを測定し、1分間隔で開始して、予め決定されたレベル、例えば、3以下の数値より下にpHが落ちるまで、好便な時間間隔で進行させる。本発明の制御放出剤形をこのモデルで試験するとき、この剤形から胃腸液へ放出される酸不安定薬剤の量、及び/又はその薬剤の酸分解を、例えば高速液体クロマトグラフィー(HPLC)や当該技術分野で知られた他の標準アッセイ技術を使用することによって測定することができる。
【0123】
本発明の制御放出層(例えば、腸溶コーティング剤)の酸抵抗性も、剤形を模倣胃腸液、USP 26−NF 21、又は0.1M塩酸(水溶液)へ曝露することによって測定することができる。一般に、酸抵抗性は、そのような液体へ曝露後の剤形中の活性物質に対する非曝露剤形のそれのそれぞれの量として定義される。この試験は、例えば、以下のやり方で達成することができる。ある剤形、例えば、錠剤又はペレット剤を37℃の温度で模倣胃腸液へ曝露する。剤形は崩壊して、腸溶外皮化された酸不安定薬物を媒体へ放出する。予め決定した時間の後で、腸溶外皮層のある薬物を除去し、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用して、酸分解及び/又は非酸分解した薬物の含量を分析する。次いで、様々なpH点での酸抵抗性、並びに経時的な崩壊又は放出プロフィールを計算することができる。
【0124】
本発明の1つの態様において、組成物の腸溶コーティング剤は、上記に記載の in vitro 試験の1以上を使用するとき、約90分以内に少なくとも85%のプロトンポンプ阻害剤の in vitro での放出をもたらす厚さである。他の態様において、組成物の腸溶コーティング剤は、約90分以内に少なくとも約80%のプロトンポンプ阻害剤の in vitro での放出をもたらす厚さである。本発明の別の態様において、組成物の腸溶コーティング剤は、約90分以内に少なくとも約75%のプロトンポンプ阻害剤の in vitro での放出をもたらす厚さである。なお別の態様において、組成物の腸溶コーティング剤は、約90分以内に少なくとも約70%のプロトンポンプ阻害剤の in vitro での放出をもたらす厚さである。なお別の態様において、組成物の腸溶コーティング剤は、約90分以内に少なくとも約60%のプロトンポンプ阻害剤の in vitro での放出をもたらす厚さである。そしてなお別の態様において、組成物の腸溶コーティング剤は、約90分以内に少なくとも約50%のプロトンポンプ阻害剤の in vitro での放出をもたらす厚さである。
【0125】
本発明の1つの態様において、組成物の腸溶コーティング剤は、上記に記載の in vitro 試験の1以上を使用するとき、約60分以内に少なくとも85%のプロトンポンプ阻害剤の in vitro での放出をもたらす厚さである。他の態様において、組成物の腸溶コーティング剤は、約60分以内に少なくとも約80%のプロトンポンプ阻害剤の in vitro での放出をもたらす厚さである。本発明の別の態様において、組成物の腸溶コーティング剤は、約60分以内に少なくとも約75%のプロトンポンプ阻害剤の in vitro での放出をもたらす厚さである。なお別の態様において、組成物の腸溶コーティング剤は、約60分以内に少なくとも約70%のプロトンポンプ阻害剤の in vitro での放出をもたらす厚さである。なお別の態様において、組成物の腸溶コーティング剤は、約60分以内に少なくとも約60%のプロトンポンプ阻害剤の in vitro での放出をもたらす厚さである。そしてなお別の態様において、組成物の腸溶コーティング剤は、約60分以内に少なくとも約50%のプロトンポンプ阻害剤の in vitro での放出をもたらす厚さである。
【0126】
本発明の1つの態様において、組成物の腸溶コーティング剤は、上記に記載の in vitro 試験の1以上を使用するとき、約45分以内に少なくとも85%のプロトンポンプ阻害剤の in vitro での放出をもたらす厚さである。他の態様において、組成物の腸溶コーティング剤は、約45分以内に少なくとも約80%のプロトンポンプ阻害剤の in vitro での放出をもたらす厚さである。本発明の別の態様において、組成物の腸溶コーティング剤は、約45分以内に少なくとも約75%のプロトンポンプ阻害剤の in vitro での放出をもたらす厚さである。なお別の態様において、組成物の腸溶コーティング剤は、約45分以内に少なくとも約70%のプロトンポンプ阻害剤の in vitro での放出をもたらす厚さである。なお別の態様において、組成物の腸溶コーティング剤は、約45分以内に少なくとも約60%のプロトンポンプ阻害剤の in vitro での放出をもたらす厚さである。そしてなお別の態様において、組成物の腸溶コーティング剤は、約45分以内に少なくとも約50%のプロトンポンプ阻害剤の in vitro での放出をもたらす厚さである。
【0127】
本発明の1つの態様において、組成物の腸溶コーティング剤は、上記に記載の in vitro 試験の1以上を使用するとき、約30分以内に少なくとも85%のプロトンポンプ阻害剤の in vitro での放出をもたらす厚さである。他の態様において、組成物の腸溶コーティング剤は、約30分以内に少なくとも約80%のプロトンポンプ阻害剤の in vitro での放出をもたらす厚さである。本発明の別の態様において、組成物の腸溶コーティング剤は、約30分以内に少なくとも約75%のプロトンポンプ阻害剤の in vitro での放出をもたらす厚さである。なお別の態様において、組成物の腸溶コーティング剤は、約30分以内に少なくとも約70%のプロトンポンプ阻害剤の in vitro での放出をもたらす厚さである。なお別の態様において、組成物の腸溶コーティング剤は、約30分以内に少なくとも約60%のプロトンポンプ阻害剤の in vitro での放出をもたらす厚さである。そしてなお別の態様において、組成物の腸溶コーティング剤は、約30分以内に少なくとも約50%のプロトンポンプ阻害剤の in vitro での放出をもたらす厚さである。
【0128】
本発明の1つの態様において、組成物の腸溶コーティング剤は、上記に記載の in vitro 試験の1以上を使用するとき、約15分以内に少なくとも85%のプロトンポンプ阻害剤の in vitro での放出をもたらす厚さである。他の態様において、組成物の腸溶コーティング剤は、約15分以内に少なくとも約80%のプロトンポンプ阻害剤の in vitro での放出をもたらす厚さである。本発明の別の態様において、組成物の腸溶コーティング剤は、約15分以内に少なくとも約75%のプロトンポンプ阻害剤の in vitro での放出をもたらす厚さである。なお別の態様において、組成物の腸溶コーティング剤は、約15分以内に少なくとも約70%のプロトンポンプ阻害剤の in vitro での放出をもたらす厚さである。なお別の態様において、組成物の腸溶コーティング剤は、約15分以内に少なくとも約60%のプロトンポンプ阻害剤の in vitro での放出をもたらす厚さである。そしてなお別の態様において、組成物の腸溶コーティング剤は、約15分以内に少なくとも約50%のプロトンポンプ阻害剤の in vitro での放出をもたらす厚さである。
【0129】
本発明の1つの態様において、本発明に従って製造する組成物は、胃腸液への曝露後、約10〜約90分以内に、又は約10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、30、40、50、60、70、80、又は90分未満以内に約50%以上の酸不安定薬剤が組成物より放出される;又は約10〜約90分以内に、又は約10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、30、40、50、60、70、80、又は90分未満以内に少なくとも約80%以上の酸不安定薬剤が組成物より放出される;又は約10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、30、40、50、60、70、80、又は90分未満以内に少なくとも約90%以上の酸不安定薬剤が組成物より放出される;又は約10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、30、40、50、60、70、80、又は90分未満以内に少なくとも約95%以上の酸不安定薬剤が組成物より放出される;又は約10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、30、40、50、60、70、80、又は90分未満以内に少なくとも約99%以上の酸不安定薬剤が組成物より放出される、酸不安定薬剤の胃腸液への放出プロフィールを提供する。
【0130】
本発明の別の態様において、本発明に従って製造する組成物は、胃腸液への曝露後、約20以内に約50%〜約85%の酸不安定薬剤が組成物より放出される、又は約20分以内に約85%以上、又は約80%以上、又は約75%以上、又は約50%以上、又は約25%以上、又は約10%以上の酸不安定薬剤が胃腸液へ放出される、酸不安定薬剤の胃腸液への放出プロフィールを提供する。
【0131】
本発明の別の態様において、本発明に従って製造する組成物は、胃腸液への曝露後、約30以内に約50%〜約85%の酸不安定薬剤が組成物より放出される、又は約30分以内に約85%以上、又は約80%以上、又は約75%以上、又は約50%以上、又は約25%以上、又は約10%以上の酸不安定薬剤が胃腸液へ放出される、酸不安定薬剤の胃腸液への放出プロフィールを提供する。
【0132】
本発明の別の態様において、本発明に従って製造する組成物は、胃腸液への曝露後、約45以内に約50%〜約85%の酸不安定薬剤が組成物より放出される、又は約45分以内に約85%以上、又は約80%以上、又は約75%以上、又は約50%以上、又は約25%以上、又は約10%以上の酸不安定薬剤が胃腸液へ放出される、酸不安定薬剤の胃腸液への放出プロフィールを提供する。
【0133】
本発明の別の態様において、本発明に従って製造する組成物は、胃腸液への曝露後、約60以内に約50%〜約85%の酸不安定薬剤が組成物より放出される、又は約60分以内に約85%以上、又は約80%以上、又は約75%以上、又は約50%以上、又は約25%以上、又は約10%以上の酸不安定薬剤が胃腸液へ放出される、酸不安定薬剤の胃腸液への放出プロフィールを提供する。
【0134】
本発明の別の態様において、本発明に従って製造する組成物は、胃腸液への曝露後、約90以内に約50%〜約85%の酸不安定薬剤が組成物より放出される、又は約90分以内に約85%以上、又は約80%以上、又は約75%以上、又は約50%以上、又は約25%以上、又は約10%以上の酸不安定薬剤が胃腸液へ放出される、酸不安定薬剤の胃腸液への放出プロフィールを提供する。
【0135】
本発明のなお別の態様において、腸溶外皮化された酸不安定薬剤、例えばプロトンポンプ阻害剤を含有する組成物を提供するために組成物を製剤化して、被検者への投与に先立って、組成物を水や他の水系媒体と混合して溶液剤又は懸濁液剤を産生するときは、腸溶コーティング剤を溶かすか又は酸不安定薬剤より除去する。
【0136】
本発明の1つの態様において、胃腸液において約10分〜約90分、又は約20分〜約90分、又は約30分〜約45分、又は約20分〜約45分、又は約10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、30、40、50、60、70、80、又は90分未満以内に実質的にすべての酸不安定薬剤を制御放出成分より胃腸液へ放出する、本発明の腸溶コーティング剤の崩壊又は放出プロフィールを提供するように成分と組成物用の担体材料を選択する。
【0137】
本発明の別の態様において、本明細書において考察した溶解アッセイにおいて0.1N塩酸水溶液を37℃で使用するとき、約50%以上の酸不安定薬剤が組成物より in vitro で約10分〜約90分、又は約10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、30、40、50、60、70、80、又は90分未満以内に放出される;又は少なくとも約80%以上の酸不安定薬剤が in vitro で約10分〜約90分、又は約10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、30、40、50、60、70、80、又は90分未満以内に放出される;又は少なくとも約85%以上の酸不安定薬剤が in vitro で約10分〜約90分、又は約10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、30、40、50、60、70、80、又は90分未満以内に放出される、腸溶コーティング剤の崩壊プロフィールを提供するように成分と組成物用の担体材料を選択する。
【0138】
1つの側面において、本発明は、少なくとも1つのプロトンポンプ阻害剤の、腸溶コーティング剤で外皮化された制御放出成分から胃腸液への放出をもたらす組成物へ向けられ、ここで腸溶コーティング剤は一定の厚さを有する。典型的には、より厚いコーティング剤(例えば、20μmより厚い)を適用すると、どの所与pHレベルでも完全な放出の時間が増加する。故に、本発明の1つの側面では、約3〜約8のpHの間で、約120分未満、例えば約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、30、40、50、60、70、80、90、100、又は110分未満以内に実質的に溶解する、予め決定された厚さの腸溶コーティング剤を利用することによって、酸不安定薬剤の放出を達成する。
【0139】
本発明の1つの態様において、腸溶コーティング剤の平均の厚さは、約100ミクロン以下、又は約50ミクロン以下、又は約0.001ミクロン〜約20ミクロン、又は約0.05ミクロン〜約15ミクロン、又は約0.1ミクロン〜約10ミクロンである。例示すると、腸溶コーティング剤の平均の厚さは、約100ミクロン、又は約90ミクロン、又は約80ミクロン、又は約70ミクロン、又は約60ミクロン、又は約50ミクロン、又は約40ミクロン、又は約30ミクロン、又は約20ミクロン、又は約15ミクロン、又は約10ミクロン、又は約5ミクロン、又は約2ミクロン、又は約1ミクロン、又は約0.5ミクロン、又は約0.25ミクロン、又は約0.1ミクロン、又は約0.05ミクロン、又は約0.01ミクロンである。
【0140】
本発明のなお別の態様において、制御放出成分の腸溶コーティング剤は、約0.001ミクロン〜約100ミクロン、又は約0.01ミクロン〜約50ミクロンの平均厚を有する。例示すると、腸溶コーティング剤は、約25ミクロン未満、又は約20ミクロン未満、又は約15ミクロン未満、又は約10ミクロン未満の厚さを有する。
【0141】
なお別の態様において、本発明の組成物は、約50mlの0.1N塩酸水溶液において37℃で約60分以内に、少なくとも75%の酸不安定薬剤の組成物からの in vitro 放出をもたらす厚さの腸溶コーティング剤を有する制御放出成分を含有する。
【0142】
なお別の態様において、本発明の組成物は、約50mlの1%ドデシル硫酸ナトリウム水溶液において37℃で約60分以内に、少なくとも75%の酸不安定薬剤の組成物からの in vitro 放出をもたらす厚さの腸溶コーティング剤を有する制御放出成分を含有する。
【0143】
以下は、所望される放出プロフィールをもたらす、本発明の制御放出層の腸溶コーティング剤を構成し得る成分の例示リストである:アセチル化モノグリセリド;カルボキシメチルセルロース;セルロースアセテートフタレート;セチルアルコール;無水クエン酸;着色剤;フタル酸ジエチル;Eugragit(登録商標)L−30D−55;Eudragit(登録商標)NE30D;Eudragit(登録商標)L100;Eudragit(登録商標)L100−55;Eudragit(登録商標)S100;Eudragit(登録商標)FS30D;グリセリルモノステアレート;過酸化水素;ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート;ヒドロキシプロピルメチルセルロース;ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート;KollICoat MAE30DP;Macrogel 6000;メタクリル酸共重合体;モノ及びジグリセリド;ポリエチレングリコール6000;ポリエチレングリコール;ポリエチレングリコール400;ポリエチレングリコール6000;Polyquid PA−30;ポリソルベート80;Shellac;ラウリル硫酸ナトリウム;安定化剤;ステアリルアルコール;タルク;トリアセチン;クエン酸トリエチル;及びTween(登録商標)80。
【0144】
本発明に有用な他の腸溶コーティング材料についての考察は、例えば、「レミントン:調剤の科学と実践(Remington: The Science and Practice of Pharmacy)」第19版(ペンシルヴェニア州イーストン、マックパブリッシングカンパニー、1995年)にも論じられている。腸溶コーティング材料に関する別の考察は、Hoover, John E.,「レミントン製薬科学(Remington's Pharmaceutical Sciences)」、マックパブリッシング社、ペンシルヴェニア州イーストン(1975年)に見出すことができる。腸溶コーティング材料に関する別の考察は、Liberman, H. A. and Lachman, L.(監修)「医薬品の剤形(Pharmaceutical Dosage Forms)」マーセルデッカー、ニューヨーク州ニューヨーク(1980年)に見出すことができる。腸溶コーティング材料に関する別の考察は、「医薬品の剤形と薬物送達系(Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems)」第7版(Lippincott Williams & Wilkins, 1999年)に見出すことができる。例示すると、本発明に使用し得る腸溶コーティング剤の各成分を以下の表番号3〜14に提供する。本発明の1つの態様において、全般的には、当業者に知られた方法(表1を参照のこと)により製造する顆粒剤を以下の表番号3〜14に特定する腸溶コーティング組成物で外皮化することによって、腸溶外皮化顆粒剤を製造する。例えば、入口空気温度が約50℃で、造粒温度が約40℃であるような条件で流動床造粒機(岡村鉄工所、日本)を使用して、腸溶外皮化顆粒剤を製造することができる。本発明の1つの態様において、表番号3〜13の例示の腸溶外皮化組成物の成分を一緒に徹底的に混合して、顆粒又は粒子への塗布用の微粉末を入手する。
【0145】
表番号3 例示の腸溶コーティング組成物
【0146】
【表3】

【0147】
表番号4 例示の腸溶コーティング組成物
【0148】
【表4】

【0149】
表番号5 例示の腸溶コーティング組成物
【0150】
【表5】

【0151】
表番号6 例示の腸溶コーティング組成物
【0152】
【表6】

【0153】
表番号7 例示の腸溶コーティング組成物
【0154】
【表7】

【0155】
表番号8 例示の腸溶コーティング組成物
【0156】
【表8】

【0157】
表番号9 例示の腸溶コーティング組成物
【0158】
【表9】

【0159】
表番号10 例示の腸溶コーティング組成物
【0160】
【表10】

【0161】
表番号11 例示の腸溶コーティング組成物
【0162】
【表11】

【0163】
表番号12 例示の腸溶コーティング組成物
【0164】
【表12】

【0165】
表番号13 例示の腸溶コーティング組成物
【0166】
【表13】

【0167】
表番号14 例示の腸溶コーティング組成物
【0168】
【表14】

【0169】
本発明の別の態様において、当該技術分野で記載されるような腸溶コーティング剤のより薄い塗布、例えば表番号2の特許に教示されるような腸溶コーティング剤、及び/又は表番号3〜13に記載される腸溶コーティング剤のより薄い塗布により、適切な時間での、及び/又は胃腸管の所望される予決定領域における、例えば胃における、実質的にすべての酸不安定薬物の組成物からの放出が可能になるか又は促進される。
【0170】
本発明の緩衝剤とともに使用するとき、胃腸障害有効量又は用量の薬剤が実質的に非酸分解又は非反応型で血流へ吸収される程度にまで、酸不安定薬剤の酸分解を実質的に妨げるか又は阻害することができる。本発明の適切な放出プロフィールを提供する厚さは、上記のように、又は、本明細書に記載の「酸中和運動モデル」をHPLCとともに使用することによって実験的に決定することができる。酸不安定薬剤の胃腸液への放出をもたらす腸溶コーティング剤の厚さは、例えば、腸溶コーティング剤の組成、胃腸液のpH、剤形に使用する緩衝剤の量、そして被検者へ投与するならば、投与に先立つ胃分泌液のpH、被検者の年齢、体重、性別、摂食状態、及び健康、そして剤形が投与される時期(例えば、就寝前、食事前、食間、食後)が含まれる、多くの要因に依存する。
【0171】
制御放出コーティング剤の硬さは、Schleuniger硬度テスターで測定してよく、本発明の1つの態様において、約0.1N〜約200Nに及ぶ。腸溶コーティング層の柔軟性/硬さは、例えば、島津製作所、押込み硬さ試験機 HMV2000で測定されるビッカース硬度として特性決定してもよい。例示すると、本発明のペレット剤又は顆粒剤へ塗布される腸溶コーティング層は、約0.1〜約10に及ぶか又は約10未満、又は約8未満、又は約6未満、又は約4未満、又は約2未満、又は約1未満、又は約0.1未満のビッカース硬度値を有する。ペレット剤をオーバーコーティング層で外皮化する場合は、一般に、オーバーコーティング層を塗布する前に腸溶コーティング層のビッカース硬度を特性決定する。
【0172】
腸溶コーティング剤は、親水性及び/又は疎水性ポリマー又はフィルム成型化合物をさらに含んでよく、これは腸溶コーティング剤の水系媒体における侵食を制御する、及び/又は腸溶外皮を通って活性医薬物質を含有する調製物の芯へ至る水系媒体の浸透を制御するのに役立つさらなる添加物を随意に含有する。
【0173】
制御放出組成物の製造における使用に適した他の腸溶コーティング材料には、限定されないが、エチルセルロース、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテート、四級アンモニウム基を含有するポリメタクリレートや他の医薬的に許容されるポリマー、ポリエチレングリコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、及びポリビニルアルコールのような医薬的に許容されるポリマー;乳糖、ショ糖、フルクトース、及びマンニトールが含まれる糖のようなモノマー材料;塩化ナトリウム、塩化カリウムが含まれる塩と誘導体;フマル酸、コハク酸、乳酸、及び酒石酸が含まれる有機酸とその混合物;ポリビニルアセテートフタレート、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートトリメリテート、セラック、ゼイン、及びカルボキシル基を含有するポリメタクリレートが含まれる他の腸溶ポリマーが含まれる。これらのポリマーは、溶液又はラテックスとして塗布してよい。ワックスのような他の障壁も使用してよい。
【0174】
本発明の層及びコーティング剤は、主要成分又は成分の混合物のガラス転移温度、又はコーティング組成物を塗布するために使用する溶媒のような、コーティングブレンドの特性に従って可塑化してもよい。コーティング組成物の約0〜約50重量%で好適な可塑剤を加えてよい。そのような可塑剤には、例えば、フタル酸ジエチル、クエン酸エステル、ポリエチレングリコール、グリセロール、アセチル化グリセリド、及びヒマシ油からなる群が含まれる。
【0175】
本発明の組成物からの薬剤の所望される放出プロフィールを与えるために、様々な制御放出層及びコーティング剤の混合物も使用してよい。
本組成物には、腸管中への放出用の酸不安定薬剤と組み合わせた、酸不安定薬剤の胃腸液への放出用の制御放出成分も含めてよい。そのような組成物の形態には、組成物のプロトンポンプ阻害剤の全量の約0.5%〜約99.5%である、胃腸液への放出用のプロトンポンプ阻害剤の量を含めてよく、腸管へ放出されるプロトンポンプ阻害剤は、プロトンポンプ阻害剤の残り(約0.5%〜約99.5%)を含有する。結果として、最終組成物は、胃腸液への放出用のプロトンポンプ阻害剤の量と腸への放出用のプロトンポンプ阻害剤の追加量を投与後に提供する。この組合せは、プロトンポンプ阻害剤の治療作用部位での実質的に即時の利用可能性をもたらす、胃から血清へのプロトンポンプ阻害剤の迅速な吸収をもたらす一方で、プロトンポンプ阻害剤の腸管からの遅延吸収(従って、遅延された治療作用)をもたらして、即時の症状緩和と延長された症状緩和をもたらす。
【0176】
本発明の組成物は、1以上の芳香剤、甘味剤、及び/又は着色剤も含有してよい。
組成物の味を改善するのに本発明において有用な「芳香剤」には、例えば、アカシアシロップ、アセスルフェーム(acesulfame)カリウム、アリテーム(alitame)、アニス、リンゴ、アスパルテーム、バナナ、ババロア、ベリー、クロフサスグリ、バター、バターペカン、バタースコッチ、クエン酸カルシウム、カンフル、カラメル、チェリー、チェリークリーム、チョコレート、シナモン、シトラス、シトラスパンチ、シトラスクリーム、ココア、コーヒー、コーラ、クールチェリー、クールシトラス、シクラメート、シラメート、デキストロース、ユーカリノキ、オイゲノール、フルクトース、フルーツポンチ、ショウガ、グリシルヘチネート、カンゾウ(甘草)シロップ、ブドウ、グレープフルーツ、ハチミツ、イソマルト、レモン、ライム、レモンクリーム、MagnaSweet(登録商標)、マルトール、マンニトール、メープル、メントール、ミント、ミントクリーム、混合液果、ネオヘスペリジンDC、ネオテーム、ナッツ、オレンジ、ピーナツバター、洋ナシ、ペパーミント、ペパーミントクリーム、Prosweet(登録商標)Powder、ラズベリー、ルートビアー、ラム、サッカリン、サフロール、ソルビトール、スペアミント、スペアミントクリーム、イチゴ、イチゴクリーム、ステビア、スクラロース、ショ糖、スイスクリーム、タガトース、タンジェリン、タウマチン、混合果実エキス、バニラ、クルミ、スイカ、セイヨウミザクラ、冬緑油、キシリトール、又はこれら芳香成分のあらゆる組合せ、例えば、アニス−メントール、チェリー−アニス、シナモン−オレンジ、チェリー−シナモン、チョコレート−ミント、ハチミツ−レモン、レモン−ライム、レモン−ミント、メントール−ユーカリノキ、オレンジ−クリーム、バニラ−ミント、及びこれらの混合物が含まれる。さらに、芳香剤には、米国特許第4,851,226、5,075,114、及び5,876,759号に記載のように、組成物の味に影響を及ぼすフィルムコーティング剤を含めてよい。また、「レミントン:調剤の科学と実践(Remington: The Science and Practice of Pharmacy)」第19版(ペンシルヴェニア州イーストン、マックパブリッシングカンパニー、1995年)を参照のこと。別の考察は、Hoover, John E.,「レミントン製薬科学(Remington's Pharmaceutical Sciences)」、マックパブリッシング社、ペンシルヴェニア州イーストン(1975年)に見出すことができる。別の考察は、Liberman, H. A. and Lachman, L.(監修)「医薬品の剤形(Pharmaceutical Dosage Forms)」マーセルデッカー、ニューヨーク州ニューヨーク(1980年)に見出すことができる。別の考察は、「医薬品の剤形と薬物送達系(Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems)」第7版(Lippincott Williams & Wilkins, 1999年)に見出すことができる。
【0177】
本発明に使用し得る「甘味剤」には、例えば、アセスルフェームカリウム(アセスルフェームK)、アリテーム、アスパルテーム、シクラメート、シラメート、デキストロース、イソマルト、MagnaSweet(登録商標)、マルチトール、マンニトール、ネオヘスペリジンDC、ネオテーム、Prosweet(登録商標)Powder、サッカリン、ソルビトール、ステビア、スクラロース、ショ糖、タガトース、タウマチン、キシリトール、等が含まれる。
【0178】
本発明の組成物は、例えば、OpadryTMWhite YS−1−18027A(又は別の色)のような、色識別用の1以上のコーティング剤も含有してよい。
本発明の様々な態様において、腸溶コーティング剤は、コーティング剤の侵食又は分散を促進して組成物の分解を促進し、組成物から胃腸液への成分の放出をもたらす、1以上の薬剤を含有してもよい。侵食促進剤(erosion facilitators)には、例えば、制御放出コーティング剤の胃腸液における侵食を制御して、当業者に概して知られている材料が含まれる。例示の材料には、限定なしに、親水性ポリマー、電解質、タンパク質、ペプチド、及びアミノ酸が含まれる。分散促進剤には、例えば、水性液の制御放出コーティング剤を通る分散を制御して、当業者に概して知られている材料が含まれる。例示の材料には、限定なしに、親水性ポリマー、電解質、タンパク質、ペプチド、及びアミノ酸が含まれる。上記の侵食促進剤及び分散促進剤の材料の組合せも、本発明の組成物に使用してよい。
【0179】
本発明の1つの態様において、剤形は、1以上の酸不安定薬剤のある組成物;1以上の酸不安定薬剤について様々な厚さのある1以上の制御放出層の腸溶コーティング剤;及び、1以上の緩衝剤を含む。1以上の緩衝剤と腸溶コーティング剤の組合せは、驚くべきことに、酸不安定薬剤の特有な放出プロフィールを所望される時間で胃腸管の所望される領域において提供する。1つの側面において、1以上の酸不安定薬剤を芯、粒子、又は顆粒の内部に、又はその一部として提供してよく、その周りに腸溶コーティング剤を塗布して、それが本発明の剤形の制御放出成分を構成する。
【0180】
本発明の組成物を作製するのに利用し得る担体材料は、医薬品において一般的に使用される賦形剤のいずれでもよく、酸不安定薬剤との適合性と所望される剤形の放出プロフィール特性に基づいて選択すべきである。例示すると、好適な医薬賦形剤には、以下が含まれる:
(a)粉末化した材料へ凝集特性を付与する、例えば、アルギン酸とその塩;セルロース誘導体、例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース(例えば、Ethocel(登録商標))、及び微結晶性セルロース;微結晶性デキストロース;アミロース;ケイ酸アルミニウムマグネシウム;多糖酸;ベントナイト;ゼラチン;ポリビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体;クロスポビドン;ポビドン、ポリメタクリレート、例えば、Eugradit(登録商標)NE30D及びRS30D;デンプン;ゼラチン化デンプン;トラガカント;デキストリン;糖、例えば、ショ糖、ブドウ糖、デキストロース、糖蜜、及び乳糖;天然又は合成ゴム、例えば、アカシア、ガッチ・ゴム、isapol husks のゴム糊、ポリビニルピロリドン(例えば、Polyvidone(登録商標)CL、Polyvidone(登録商標)、Kollidon(登録商標)CL、Polyplasdone(登録商標)XL、Polyplasdone(登録商標)XL−10)、及び larch arabogalactan;Veegum(登録商標);ポリエチレングリコール;ワックス;ソルビトール;アルギン酸ナトリウム;等が含まれる、結合剤。
【0181】
(b)ポリビニルピロリドン、例えば、ポリビニルピロリドンK12、ポリビニルピロリドンK17、ポリビニルピロリドンK25、又はポリビニルピロリドンK30;ポリエチレングリコール、例えば、約300〜約6000、又は約3350〜約4000、又は約7000〜約5400の分子量を有し得るポリエチレングリコール;ポリソルベート80;アルギン酸ナトリウム;例えば、トラガカントゴム及びアカシアゴムのようなゴム;キサンタンゴムが含まれる、キサンタン;糖;例えば、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースのようなセルロース類;ポリソルベート80;アルギン酸ナトリウム;ポリエトキシル化ソルビタンモノラウレート;ポリエトキシル化ソルビタンモノラウレート;等のような、懸濁剤。
【0182】
(c)物質の分解又は崩壊を促進する、デンプン、例えば、天然デンプン(例えば、トウモロコシデンプン又はジャガイモデンプン)、ゼラチン化デンプン(例えば、National 1551、又はAmijel(登録商標))、又はグリコール酸ナトリウムデンプン(例えば、Promogel(登録商標)、又はExplotab(登録商標));セルロース、例えば、木材品、メチル結晶性セルロース(例えば、Avicel(登録商標)、Avicel(登録商標)PH101、Avicel(登録商標)PH102、Avicel(登録商標)PH105、Elcema(登録商標)P100、Emococel(登録商標)、Vivacel(登録商標)、Ming Tia(登録商標)、及びSolka−Floc(登録商標))、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、クロスカルメロース、又はカルボキシメチルセルロース(例えば、Primogel(登録商標)、及びExplotab(登録商標));架橋結合性セルロース、例えば、架橋結合性ナトリウムカルボキシメチルセルロース(Ac−Di−Sol(登録商標))、架橋結合性カルボキシセルロース、又は架橋結合性クロスカルメロース;架橋結合性デンプン、例えばグリコール酸ナトリウムデンプン;架橋結合性ポリマー、例えば、クロスポビドン;架橋結合性ポリビニルピロシドン;カルシウム;アルギン酸塩、例えば、アルギン酸又はアルギン酸の塩(例えば、アルギン酸ナトリウム);粘土、例えば、Veegum(登録商標)HV(ケイ酸アルミニウムマグネシウム);ゴム、例えば、寒天、グアー、イナゴマメ、カラヤ、ペクチン、又はトラガカント;グリコール酸ナトリウムデンプン;ベントナイト;天然スポンジ;界面活性剤;樹脂、例えば、陽イオン交換樹脂;シトラスパルプ(citrus pulp);ラウリル硫酸ナトリウム;デンプンと組み合わせたラウリル硫酸ナトリウム;等が含まれる、崩壊剤。
【0183】
(d)乳糖;炭酸カルシウム;リン酸カルシウム;二塩基性リン酸カルシウム;硫酸カルシウム;微結晶性セルロース;セルロース粉末;デキストロース;デキストレート;デキストラン;デンプン;ゼラチン化デンプン;ショ糖;キシリトール;ラクチトール;マンニトール;ソルビトール;塩化ナトリウム;ポリエチレングリコール;等のような充填剤。
【0184】
(e)ラウリル硫酸ナトリウム;ソルビタンモノオレエート;ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート;ポリソルベート;ポラキソマー(polaxomer);胆汁塩;グリセリルモノステアレート;酸化エチレン及び酸化プロピレンの共重合体、例えば、Pluronic(登録商標)(BASF);等のような界面活性剤。
【0185】
(f)クエン酸;コハク酸;フマル酸;リンゴ酸;酒石酸;マレイン酸;グルタル酸;重炭酸ナトリウム;炭酸ナトリウム、等のような可溶化剤。
(g)抗酸化剤;緩衝剤;酸;等のような安定化剤。
【0186】
(h)材料の付着又は摩擦を妨害、抑制、又は阻害する、ステアリン酸;水酸化カルシウム;タルク;ステアリルフマル酸ナトリウム;炭化水素、例えば鉱油、又は水素添加植物油(例えば、水素添加ダイズ油(Sterotex(登録商標)));ステアリン酸マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、及びナトリウム、ステアリン酸のような高級脂肪酸とそのアルカリ金属及びアルカリ土類金属の塩;ステアリン酸;グリセリル;マグネシウム;タルク;ワックス;Stearowet(登録商標);ホウ酸;安息香酸ナトリウム;酢酸ナトリウム;塩化ナトリウム;ロイシン;ポリエチレングリコール又はメトキシポリエチレングリコール、例えば、CabowaxTM(例えば、CarbowaxTM4000又は6000);オレイン酸ナトリウム;グリセリルベハペート(glyceryl behapate);ポリエチレングリコール;ラルリル硫酸マグネシウム又はナトリウム;コロイド状シリカ、例えば、SyloidTM;Carb−O−Sil(登録商標);デンプン、例えば、トウモロコシデンプン;シリコーン油;界面活性剤;等が含まれる滑沢剤。
【0187】
(i)オレイン酸;グリセリルモノステアレート;ソルビタンモノオレエート;ソルビタンモノラウレート;オレイン酸トリエタノールアミン;ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート;オレイン酸ナトリウム;ラウリル硫酸ナトリウム;等のような湿潤剤。
【0188】
(j)組成物のかさを増やして圧縮を促進する、例えば、乳糖;デンプン;マンニトール;ソルビトール;デキストロース;微結晶性セルロース(例えば、Avicel(登録商標));二塩基性リン酸カルシウム;リン酸二カルシウム二水和物;リン酸三カルシウム;リン酸カルシウム;無水乳糖;スプレー乾燥化乳糖;ゼラチン化デンプン;圧縮可能な糖、例えば、Di−Pac(登録商標)(Amstar);マンニトール;ヒドロキシプロピルメチルセルロース;ショ糖ベースの希釈剤;精製糖;一塩基性硫酸カルシウム一水和物;硫酸カルシウム二水和物;乳酸カルシウム三水和物;デキストレート;イノシトール;加水分解セリアル固形物;アミロース;粉末化セルロース;炭酸カルシウム;グリシン;カオリン;マンニトール;塩化ナトリウム;イノシトール;ベントナイト、等が含まれる希釈剤。
【0189】
(k)材料の流動特性を改善する、コロイド状二酸化シリコン、例えば、Cab−o−sil(登録商標)(Cabot);三塩基性リン酸カルシウム;タルク;トウモロコシデンプン;DL−ロイシン;ラウリル硫酸ナトリウム;ステアリン酸マグネシウム、カルシウム、又はナトリウム;等が含まれる、抗付着剤又は滑り剤。
【0190】
(l)医薬適合性の担体は、アカシア;ゼラチン;コロイド状二酸化シリコン;グリセロリン酸カルシウム;乳酸カルシウム;マルトデキストリン;グリセリン;ケイ酸マグネシウム;カゼイン酸ナトリウム;大豆レシチン;塩化ナトリウム;リン酸三カルシウム;リン酸二カリウム;ステアロイルラクチレートナトリウム;カラゲナン;モノグリセリドジグリセリド;ゼラチン化デンプン;等を含む。
【0191】
本発明の様々な態様において、上記の担体材料の組合せも使用してよい。追加的に、本発明に有用な医薬製剤及び担体材料は、例えば、「レミントン:調剤の科学と実践(Remington: The Science and Practice of Pharmacy)」第19版(ペンシルヴェニア州イーストン、マックパブリッシングカンパニー、1995年)に論じられている。医薬製剤及び担体材料に関する別の考察は、Hoover, John E.,「レミントン製薬科学(Remington's Pharmaceutical Sciences)」、マックパブリッシング社、ペンシルヴェニア州イーストン(1975年)に見出すことができる。医薬製剤及び担体材料に関する別の考察は、Liberman, H. A. and Lachman, L.(監修)「医薬品の剤形(Pharmaceutical Dosage Forms)」マーセルデッカー、ニューヨーク州ニューヨーク(1980年)に見出すことができる。医薬製剤及び担体材料に関する別の考察は、「医薬品の剤形と薬物送達系(Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems)」第7版(Lippincott Williams & Wilkins, 1999年)に見出すことができる。
【0192】
本発明の1つの態様において、組成物は、少なくとも1つの賦形剤、医薬適合性の担体、結合剤、充填剤、懸濁剤、芳香剤、甘味剤、崩壊剤、流動補助剤、滑沢剤、アジュバント、着色剤、希釈剤、可溶化剤、加湿剤、安定化剤、湿潤剤、抗付着剤、滑り剤、保存剤、胃壁細胞アクチベーター、消泡剤、抗酸化剤、キレート剤、抗真菌剤、抗細菌剤、等張剤、及びこれらの組合せを含有する。
【0193】
本発明の組成物を作製するには、制御放出成分及び/又は緩衝剤を医薬的に許容される賦形剤と混合する、賦形剤により希釈する、又はカプセル、サシェ、ペーパー、又は他の容器の形態であり得る担体の内部に封入することをしてよい。好適な賦形剤の例には、乳糖、デキストロース、ショ糖、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アカシアゴム、リン酸カルシウム、アルギン酸塩、トラガカント、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップ、及びメチルセルロースが含まれる。本製剤は、追加的に、タルク、ステアリン酸マグネシウム、及び鉱油のような滑沢剤;湿潤剤;乳化及び懸濁剤;ヒドロキシ安息香酸メチル及びプロピルのような保存剤;甘味剤;及び芳香剤を含んでよい。
【0194】
賦形剤が希釈剤として役立つとき、それは、固体、半固体、又は液体の材料でよく、有効成分の運搬体、担体、又は媒体として作用する。従って、組成物は、錠剤、丸剤、散剤、甘味入り錠剤、サシェ剤、カシェ剤、エリキシル剤、トローチ剤、エアゾール剤(固体媒体として)、軟及び硬ゼラチンカプセル剤、無菌包装散剤、調合可能散剤、顆粒剤、又は液剤の形態であり得る。
【0195】
錠剤型には、例えば、1以上の乳糖、マンニトール、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、微結晶性セルロース、アカシア、ゼラチン、コロイド状二酸化シリコン、クロスカルメロースナトリウム、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸と、他の賦形剤、着色剤、希釈剤、緩衝剤、加湿剤、保存剤、芳香剤、及び医薬適合性の担体を含めてよい。本発明の1つの態様において、製造方法は:(1)乾式混合、(2)直接圧縮、(3)粉砕、(4)乾式又は非水性造粒、(5)湿式造粒、又は(6)融解の方法の1つ又は組合せを利用してよい。Lachman et al.,「工業製剤の理論と実践(The Theory and Practice of Industrial Pharmacy)」(1986年)。こうした錠剤は、経口摂取時か又は希釈剤との接触時に崩壊する、フィルムコーティング剤も含んでよい。
【0196】
本発明の別の態様において、錠剤のような固形製剤は、酸不安定薬剤を医薬賦形剤と混合して、本発明の酸不安定薬剤及び緩衝剤の均質混合物を含有する固形のプレ製剤組成物を形成することによって製造する。上記のプレ製剤組成物について均質と言及する場合、酸不安定薬剤と緩衝剤が組成物全体に均等に分散して、錠剤、丸剤、及びカプセル剤のような、等しく有効な単位剤形へ組成物を容易に細分することができることを意味する。次いで、この固形のプレ製剤を本明細書に記載の種類の単位剤形へ細分する。
【0197】
圧縮錠剤は、加工処理に役立って製品の特性を改善するために選択される、酸不安定薬剤及び/又は緩衝剤及び/又は賦形剤を含有する製剤を詰めることによって製造される固形の剤形である。用語「圧縮錠剤」は、単回圧縮か又は圧縮前充填に次ぐ最終圧縮により製造される、経口摂取用の無地の非外皮化錠剤を概して意味する。
【0198】
本発明の錠剤又は丸剤は、外皮化しても、あるいは他のやり方で調合してもよく、改善された取扱い又は保存特性の利点をもたらす剤形を提供する。例えば、錠剤又は丸剤は、内部投与量と外部投与成分を含む場合があり、後者は、前者全体の包皮の形態である。
【0199】
本明細書に使用する用語「懸濁錠剤」は、水中に入れた後で速やかに崩壊して、すぐに分散して正確な用量の酸不安定薬剤及び/又は緩衝剤を含有する懸濁液を生じる、圧縮錠剤を意味する。クロスカルメロースナトリウムは錠剤製剤化に知られた崩壊剤であり、Ac−Di−Sol(登録商標)の商品名でFMCコーポレーション(ペンシルヴェニア州フィラデルフィア)より入手可能である。それは、単独で、又は微結晶性セルロースと組み合わせて圧縮錠剤化製剤においてしばしば混和されて、錠剤の速やかな崩壊を達成する。
【0200】
例示すると、単独で、又は他の成分と混合処理される微結晶性セルロースは、錠剤へ圧縮されて、圧縮することが困難な錠剤材料の圧縮性を改善するその能力で知られている。市販製品が入手可能であり、本発明で使用してよい。1つの例は、Avicel(登録商標)商品名で市販されている。微結晶性セルロースであるAvicel(登録商標)PHと、微結晶性セルロースとアルギン酸カルシウム−ナトリウム複合体(ここで、カルシウム対ナトリウムの比は、約0.40:1〜約2.5:1の範囲にある)の混合処理スプレー乾燥残渣である、Avicel(登録商標)AC−815という、2つの異なるAvicel(登録商標)製品を利用する。AC−815は、85%の微結晶性セルロース(MCC)と15%のアルギン酸カルシウム−ナトリウム複合体からなるが、本発明の目的では、この比は、約75% MCC−25%アルギン酸塩から約95% MCC−5%アルギン酸塩まで変動してよい。特別な製剤及び有効成分に依存して、これら2つの成分は、ほぼ等しい量でも等しくない量でも存在してよく、いずれも錠剤の約10重量%〜約50重量%を含む場合がある。
【0201】
乾燥経口製剤は、結合剤(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、他のセルロース性材料、及びデンプン)、希釈剤(例えば、乳糖と他の糖、デンプン、リン酸二カルシウム及びセルロース性材料)、崩壊剤(例えば、デンプンポリマー及びセルロース性材料)、及び滑沢剤(例えば、ステアリン酸塩とタルク)のような賦形剤を含有してよい。
【0202】
上記の錠剤を使用して、速崩壊性のチュワブル錠剤、甘味入り錠剤、トローチ剤、又は嚥下可能錠剤を成形することができるので、中間製剤とそれらを製造する方法も、本発明の追加の側面を提供する。
【0203】
発泡性の錠剤及び散剤も、本発明により製造される。発泡性の塩は、経口投与用に医薬品を水に分散させるために使用されてきた。発泡性の塩は、通常は重炭酸ナトリウム、クエン酸及び酒石酸からなる乾燥混合物中に医薬剤を含有する顆粒剤又は粗粉末である。
【0204】
この塩を水へ加えると、酸と塩基が反応して二酸化炭素ガスを遊離させ、それにより「発泡」を引き起こす。
発泡性顆粒剤の成分の選択は、製造方法の必要条件と水中で速やかに崩壊する調製物を作製することの必要性の両方に依存する。一般的には、この2つの必要とされる成分は、少なくとも1つの酸と少なくとも1つの塩基である。塩基は、酸との反応時に二酸化炭素を遊離する。こうした酸の例には、限定されないが、酒石酸とクエン酸が含まれる。1つの態様において、酸は、酒石酸とクエン酸の両方の組合せである。塩基の例には、限定されないが、炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、及び重炭酸ナトリウムが含まれる。1つの態様において、塩基は重炭酸ナトリウムであり、発泡性の組合せは、約6.0かそれより高いpHを有する。
【0205】
例示すると、発泡性の塩には以下の成分が含まれ、これらは実際に発泡を生じる:重炭酸ナトリウム、クエン酸及び酒石酸。水へ加えると、この酸と塩基は、反応して二酸化炭素を遊離し、発泡をもたらす。二酸化炭素の遊離をもたらすどの酸−塩基の組合せも、その成分が医薬使用に適していて、約6.0かそれより高いpHをもたらす限りにおいて、重炭酸ナトリウムとクエン酸及び酒石酸の組合せの代わりに使用してよいことに留意されたい。
【0206】
1分子のクエン酸を中和するには3分子のNaHCOが必要とされ、1分子の酒石酸を中和するには2分子のNaHCOが必要とされることに留意されたい。成分の近似比は、以下のようになることが望ましい:クエン酸:酒石酸:重炭酸ナトリウム=1:2:3.44(重量比)。この比を変動させて、二酸化炭素の有効な放出をもたらすことを継続してよい。例えば、約1:0:3や0:1:2の比も有効である。
【0207】
本発明の発泡性顆粒剤の製造の方法は、3つの基本的な方法:湿式造粒、乾式造粒、及び融解を利用する。融解法は、ほとんどの市販の発泡性散剤の製造に使用される。この方法は顆粒剤の製造に企図されているが、本発明の発泡性塩の製剤も、錠剤製造についての既知技術に従って、錠剤として製造し得ることに留意されたい。
【0208】
湿式造粒は、顆粒製造の最も古い方法の1つである。錠剤製造の湿式造粒法における個別の工程には、成分の粉砕及び篩い分け、乾燥粉末の混合、湿式集塊化(massing)、造粒、及び最終粉砕が含まれる。
【0209】
乾式造粒は、粉末混合物を高荷重回転式打錠プレスで粗い錠剤又は「スラグ」へ圧縮することを伴う。次いで、このスラグを粉砕操作により、通常は振動造粒機を通過させることによって顆粒状粒子へ粉砕する。個別の工程には、粉末の混合、圧縮(スラッギング)、及び粉砕(スラグ削減又は造粒)が含まれる。この工程のいずれでも湿った結合剤や湿気は伴わない。
【0210】
多くの他の種類の放出送達系が利用可能であり、当業者に知られている。それらには、ポリ乳酸及びポリグリコール酸、ポリ無水物、及びポリカプロラクトンのようなポリマーベース系;コレステロール、コレステロールエステル及び脂肪酸のようなステロールが含まれる脂質、又はモノ、ジ、及びトリグリセリドのような中性脂肪である非ポリマー系;ヒドロゲル放出系;シラスティック系;ペプチドベース系;ワックスコーティング剤;慣用の結合剤(例えば、Liberman, et al.「医薬品の剤形(Pharmaceutical Dosage Forms)」第2版、第1巻、209-214頁(1990)を参照のこと)と賦形剤を使用する圧縮錠剤;部分融合インプラント;等が含まれる。具体的な例には、限定されないが:(a)米国特許第4,452,775号;米国特許第4,667,014号;及び米国特許第4,748,034号、及び米国特許第5,239,660号に見出される、多糖がマトリックス内部の形態に含まれる侵食系と(b)米国特許第3,832,253号及び米国特許第3,854,480号に見出される、有効成分が制御速度でポリマー全体に浸透する分散系が含まれる。
【0211】
経口投与用の液体剤形には、当該技術分野で通常使用される水のような不活性希釈剤を含有する、医薬的に許容される乳剤、溶液剤、懸濁液剤、シロップ剤、及びエリキシル剤を含めてよい。そのような組成物は、例えば、湿潤剤、乳化剤及び懸濁剤、及び甘味剤、芳香剤、及び発香剤も含めてよい。液体剤形については、例えば、米国特許第5,840,737号も参照のこと。
【0212】
好適な液体剤形の例には、限定されないが、β−デキストリン、又はスルホブチルエーテルβ−シクロデキストリン;ヘプタキス−2,6−ジ−O−メチル−β−シクロデキストリン;ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン;及びジメチル−β−シクロデキストリンのようなβ−シクロデキストリンの水溶性誘導体を含んでなる水溶液剤が含まれる。
【0213】
本発明の1つの態様において、組成物には、消泡剤(例えば、シメチコン 80mg,Mylicon(登録商標))、及び/又は胃壁細胞アクチベーターをさらに含めてよい。チョコレート、重炭酸カルシウム及びナトリウム、及び他のアルカリ性物質のような胃壁細胞アクチベーターは、胃壁細胞を刺激して、投与されるプロトンポンプ阻害剤の薬理活性を高める。本出願の目的では、「胃壁細胞アクチベーター」又は「アクチベーター」は、こうした刺激効果を保有するあらゆる化合物又は化合物の混合物を意味し、それには、限定されないが、チョコレート、重炭酸ナトリウム、カルシウム(例、炭酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、水酸化カルシウム、酢酸カルシウム、及びグリセロリン酸カルシウム)、ペパーミントオイル、スペアミントオイル、コーヒー、茶及びコーラ(カフェイン抜きでも)、カフェイン、テオフィリン、テオブロミン、及びアミノ酸(特に、フェニルアラニン及びトリプトファンのような芳香族アミノ酸)とこれらの組合せ、並びにその塩が含まれる。
【0214】
こうした胃壁細胞アクチベーターは、患者に対して不都合な副作用を引き起こすことなく所望の刺激効果をもたらすのに十分な量で投与される。例えば、ココア原料としてのチョコレートは、20mg用量のオメプラゾール(又は、他のプロトンポンプ阻害剤の同等の薬理学的用量)につき約5mg〜2.5gの量で投与される。本発明の文脈では、被検者、例えばヒトへ投与されるアクチベーターの用量は、治療応答(即ち、プロトンポンプ阻害剤の亢進効果)を所望の時間フレームにわたりもたらすのに十分であるべきである。この用量は、利用する特別な組成物の効力と治療されるヒトの状態、並びに治療されるヒトの体重によって決定される。用量のサイズは、特別な組成物の投与に随伴する場合がある有害な副作用の存在、性質、及び程度によっても決定される。
【0215】
例示すると、20mg用量のオメプラゾール(又は、他のPPIの同等量)につき様々な胃壁細胞アクチベーターの近似有効範囲には、チョコレート(ココア原料)−5mg〜2.5g;重炭酸ナトリウム−7mEq〜25mEq;炭酸カルシウム−1mg〜1.5g;グルコン酸カルシウム−1mg〜1.5g;乳酸カルシウム−1mg〜1.5g;水酸化カルシウム−1mg〜1.5g;酢酸カルシウム−0.5mg〜1.5g;グリセロリン酸カルシウム−0.5mg〜1.5g;ペパーミントオイル−(粉末型)1mg〜1g;スペアミントオイル−(粉末型)1mg〜1g;コーヒー−20ml〜240ml;茶−20ml〜240ml;コーラ−20ml〜240ml;カフェイン−0.5mg〜1.5g;テオフィリン−0.5mg〜1.5g;テオブロミン−0.5mg〜1.5g;フェニルアラニン−0.5mg〜1.5g;及びトリプトファン−0.5mg〜1.5gが含まれる。
【0216】
本発明の1つの態様では、組成物を胃腸障害有効量で被検者へ投与する、即ち、被検者の血清におけるプロトンポンプ阻害剤の治療有効量を、所望の治療効果を引き起こす時間の間、達成する量で組成物を投与する。例示すると、絶食した(一般に、少なくとも10時間絶食した)成人において、組成物の投与後約5分から被検者の血清においてプロトンポンプ阻害剤の治療有効量を達成するように組成物を投与する。本発明の別の態様では、プロトンポンプ阻害剤の治療有効量を、被検者の血清において、組成物の被検者への投与の時間から約10分で達成する。本発明の別の態様では、プロトンポンプ阻害剤の治療有効量を、被検者の血清において、組成物の被検者への投与の時間から約20分で達成する。本発明のなお別の態様では、プロトンポンプ阻害剤の治療有効量を、被検者の血清において、組成物の被検者への投与の時間から約30分で達成する。本発明のなお別の態様では、プロトンポンプ阻害剤の治療有効量を、被検者の血清において、組成物の被検者への投与の時間から約40分で達成する。
【0217】
本発明の1つの態様では、プロトンポンプ阻害剤の治療有効量を、被検者の血清において、組成物の被検者への投与の時間から約10分〜約12時間で達成する。本発明の別の態様では、プロトンポンプ阻害剤の治療有効量を、被検者の血清において、組成物の被検者への投与の時間から約20分〜約6時間で達成する。本発明のなお別の態様では、プロトンポンプ阻害剤の治療有効量を、被検者の血清において、組成物の被検者への投与の時間から約20分〜約2時間で達成する。本発明のさらに別の態様では、プロトンポンプ阻害剤の治療有効量を、被検者の血清において、組成物の被検者への投与の時間から約40分〜約2時間で達成する。そして、本発明のなお別の態様では、プロトンポンプ阻害剤の治療有効量を、被検者の血清において、組成物の被検者への投与の時間から約40分〜約1時間で達成する。
【0218】
本発明の想定組成物は、プロトンポンプ阻害剤の医薬品としての治療効果を投与後約5分〜約24時間の間隔にわたり提供し、所望されるならば、1日1回又は1日2回の投与を可能にする。治療効果を引き起こすのに必要な治療薬剤の量は、例えば、薬剤の血清中への吸収速度、薬剤のバイオアベイラビリティ、及び、薬剤のタンパク結合の量に基づいて実験的に決定することができる。しかしながら、ある特別な被検者に特定の本発明の治療薬剤の用量レベルは、利用する特定の化合物の活性、被検者の年齢、体重、健康全般、性別、及び食事(例えば、被検者が絶食状態にあるか、又は摂食状態にあるかが含まれる)、投与の時間、排出の速度、薬物の組合せ、そして治療される特別な障害の重症度と投与の形態が含まれる多様な要因に依存する。治療投与量は、一般に、安全性及び効果を最適化するために検定してよい。典型的には、in vitro 及び/又は in vivo 試験からの投与量−効果の相関性が、被検者への投与に適切な用量についての有用なガイダンスをはじめに提供する場合がある。一般に、胃腸の障害又は疾患の本発明による治療に有効な投与量に関するガイダンスに動物モデルでの試験を使用し得る。治療プロトコールに関しては、投与すべき投与量が、投与される特別な薬剤、投与される経路、特別な被検者の状態、等が含まれるいくつかの要因に依存すると理解すべきである。一般的に言えば、治療効果を引き起こすのに有効な時間の間、in vitro で有効であるとわかっている濃度に比例した血清レベルを達成するのに有効である化合物の量を投与することが望まれる。従って、化合物が、例えば10ng/mlで in vitro 活性を明示するとわかっている場合、所望される治療効果(例えば、胃のpHを上昇させること、胃腸出血を抑えること、輸血の必要性を低下させること、生存率を向上させること、より速やかな回復、胃壁細胞の活性化、及びH,K−ATPアーゼの阻害、又は、諸症状や当業者により適切な測定項目として選択される他の指標の改善又は消失)を引き起こす時間の間、少なくとも約10ng/mlの in vivo 濃度を提供するのに有効である薬物の量を投与することが望まれる。これらのパラメータの決定は、当該技術分野の技量内にある。上記の考察事項は当該技術分野でよく知られていて、標準の教科書に記載されている。
【0219】
被検者へ送達されるプロトンポンプ阻害剤の胃腸障害又は疾患に有効な量を測定して決定するには、例えばHPLCのような標準アッセイ技術を使用して、プロトンポンプ阻害剤の血清濃度を測定することができる。
【0220】
本発明の1つの態様において、制御放出成分は、置換ベンゾイミダゾールを顆粒又は芯の形態で含む。この顆粒又は芯への直接の塗布に適した腸溶コーティング剤は、一般に、セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ポリビニルアセテートフタレート、カルボキシメチルエチルセルロース、アクリル酸ポリマー及び共重合体、メタクリル酸ポリマー及び共重合体のような胃酸抵抗性ポリマーである腸溶コーティング剤である。さらに、腸溶コーティング剤を顆粒又は芯へ直接(即ち、サブコーティング剤の非存在下に)塗布する剤形は、本発明の範囲内にある。
【0221】
本発明の1つの態様において、規定の組成及び/又は厚さを有する腸溶コーティング剤を本発明の組成物の一部へ塗布すると、予決定されたpHに達するまで、組成物のその部分は胃腸液に対して非浸透性にすることが有効である。1つの態様において、制御放出成分は、その液体への曝露後約30〜45秒、又は約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、30、40、50、60、70、80、又は90分の時間の間、上記のそれぞれのpHを有する胃腸液に対して非浸透性であり続ける。特に望ましいpHは、一般に化合物特異的であり、とりわけ、その特別なpKaや他の化学特性に依存する。
【0222】
いくつかの態様において、本発明の組成物は、当該技術分野で知られた現行の製剤に比べて改善されたバイオアベイラビリティを有する。1つの態様において、本発明は、米国食品医薬品局承認新薬申請19810項の主題であるオメプラゾール製剤に比べて改善されたバイオアベイラビリティを有するオメプラゾール剤形に関し、そして米国食品医薬品局承認新薬申請20406項の主題であるランソプラゾール製剤に比べて改善されたバイオアベイラビリティを有するランソプラゾール剤形に関する。確実ではなく、特別な理論に束縛されるわけではないが、腸溶外皮化顆粒剤又はペレット剤を含有する市販の製剤に比べて本組成物が改善されたバイオアベイラビリティを有するのは、市販製品では顆粒剤又はペレット剤の一部がその内容物を胃に放出して、有効成分が血流へ吸収される前に分解されるからであると考えられる。
【0223】
本発明の1つの態様では、緩衝剤と制御放出成分を乾式混和して、胃腸液への曝露後、例えば、被検者への経口投与後、又は in vitro 胃モデルにおいて組成物を検査することの30分以内に組成物が崩壊して、それにより緩衝剤と制御放出成分が胃腸液へ放出され、その内部で崩壊することを引き起こすのに十分な硬さを有する、錠剤又は顆粒剤のような集塊組成物へ圧縮する。
【0224】
本発明はまた、プロトンポンプ阻害剤のようなH,K−ATPアーゼ阻害剤での治療が適応となる状態又は障害を治療する療法へ向けられる。この方法は、本発明の医薬組成物の1以上をその必要な被検者へ経口投与することを含む。治療は、一般に、その状態又は障害が制御されるか又は消失するまで、数時間、数日、数週〜数ヶ月又は数年の期間にわたり必要に応じて継続される。本明細書に開示する組成物での治療を受けている被検者は、当該技術分野でよく知られたいずれの方法でも定型的にモニタリングして、治療の有効性を決定することができる。そのようなデータの継続した解析により治療の間の治療方式の修正が可能になり、本発明の化合物の最適有効量をどの時点でも投与して、治療の期間も決定することができる。このようにして、満足すべき有効性を明示するH,K−ATPアーゼの阻害剤の最低量を投与して、その状態又は障害を成功裡に治療するのに必要である限りにおいて投与を継続するように、治療方式/投薬スケジュールを治療のクールにわたり合理的に修正することができる。
【0225】
本発明の1つの態様では、酸不安定薬剤の酸分解を防ぐ一方で、酸不安定薬剤の送達部位(典型的には、胃)への放出をもたらすように組成物を設計する。例えば、酸不安定薬剤は、ある環境において酸不安定薬剤を保護するのに十分な1以上の緩衝剤とともに製剤化又は同時投与してよく、最終の目標は、酸不安定薬剤が実質的に非酸分解又は非反応型で吸収に速やかに利用されるように、酸不安定薬剤の放出の前、間、又は後に緩衝剤の組成物からの即時放出をもたらす、液体、粉末、又は固体の剤形のいずれかを介して酸不安定薬剤を胃(又は他の環境)へ送達することである。故に、出願人は、ある種の酸不安定薬剤と同時投与されるか又は混合されるある量の緩衝剤が酸不安定薬剤の酸分解を妨げて、このとき、胃腸液、例えば胃や他の投与部位において、酸不安定薬剤のpKa+未分解で生物活性のある酸不安定薬剤を投与時に血液へ提供するのに十分な量に等しいpHを緩衝剤がもたらすことを見出した(例えば、約0.7対数値の増加は、その分解を約10%まで抑える)。pKaは、化学品の約50%がイオン化型にあるpHと定義される。環境のpHが酸不安定薬剤のpKaに等しいときは、酸不安定薬剤の50%イオン化(分解)が起きる。しかしながら、約0.7の力価を加えることによって、このイオン化が約90%まで抑制される。こうした緩衝剤は、酸不安定薬剤との相互作用を超える速度で水素イオンと相互作用するはずである。従って、緩衝剤と酸不安定薬剤の溶解性は、溶解性がHイオンの別の化合物との相互作用の速度をしばしば決定するので、考察事項となる。
【0226】
本発明の1つの態様において、緩衝剤には、酸不安定薬剤が塩酸と相互作用するより速くこの酸(又は注目の環境中の他の酸)と相互作用する、緩衝剤又は緩衝剤の組合せが含まれる。液相に(通常、水中に)置かれるとき、緩衝剤は、酸不安定薬剤のpKaより高いpHを生じて維持する。1つの態様では、環境のpHを酸不安定薬剤のpKa+約0.7対数値の同値(又はより高い値)へ高めることによって、予測される分解(イオン化)を、約50%から約10%へ抑えることができる。酸不安定薬剤の酸誘発性分解を最小化するか又は消失させるのに必要とされる注目の環境の最低pHへ約0.7の対数値を加えると、酸不安定薬剤の安定性において1対数値から約5.01187%の減少を表し、それにより医薬品において望ましいと広く受け入れられた数値である、ほぼ90%の安定性をもたらす。多くの場合、治療有効量の酸不安定薬剤が被検者の血流へ吸収される限りにおいて、0.7未満の値を受け入れることが許容されている。
【0227】
上記のように、所与の酸不安定薬剤のpKaは、酸分解に関する固有の安定性を示す。即ち、pKaが低いほど、酸不安定薬剤はより安定である。酸不安定薬剤の溶解性も、酸不安定薬剤が酸と複合してそれにより分解される速度を決定する。酸不安定薬剤のこれら2つの物理化学特性(pKa及び溶解性)は、酸が環境中に存在するときの緩衝剤の物理化学特性(pH、緩衝能力、及び緩衝作用の速度)と相互作用して、酸不安定薬剤の経時的な分解を決定する。酸不安定薬剤が水に溶けないほど、酸性環境に置かれたときの最初の分解は一般により少ない。以下の表15は、いくつかのプロトンポンプ阻害剤の、薬物の50%が分解される時間(t1/2)、pKa、及び水中での溶解性について詳解する。
【0228】
表番号15 経時的な酸分解
【0229】
【表15】

【0230】
Kromer W, et al.「置換ベンゾイミダゾールのpH依存性活性化速度の差異と生物学的な in vitro 相関現象(Differences in pH-Dependent Activation Rates of Substituted Benzimidazoles and Biological in vitro Correlates)」Pharmacology 1998; 56: 57-70 を参照のこと。
【0231】
理論により束縛されることを望まないが、パントプラゾールナトリウムは、pKaが3であり、他のプロトンポンプ阻害剤よりも酸性環境において本来的により安定であると考えられていて、それはまた、きわめてよく水に溶けるので、pH1.2の酸性の胃において、5分未満のうちに50%分解を受ける場合がある。故に、本発明の1つの態様において、パントプラゾールナトリウムとともに使用する緩衝剤は、パントプラゾールナトリウムがHイオン(又は他の酸性物質)と相互作用するよりも速くそうした酸と相互作用し、滞留時間を通してその迅速な複合化を維持する。なお別の態様において、胃内容物全体のpHは、溶液状態のプロトンポンプ阻害剤が胃酸と接触する時間から滞留時間全体を通して、少なくともpKa+0.7(即ち、3.7)に保たれる。1つの態様において、パントプラゾールナトリウムの製剤用の緩衝剤には、その共役酸が3.7より大きいpKaを保有し、きわめて溶解性である緩衝剤(例えば、重炭酸カリウム及び重炭酸ナトリウム)が含まれる。パントプラゾールの別の製剤化の方法は、より溶けない塩型又は非塩型のパントプラゾールを選択することによって、その溶解性を下げることである。
【0232】
ラベプラゾールナトリウムもきわめてよく水に溶け、pH1.2の酸性の胃において1.5分未満のうちに50%分解を受ける場合がある。それは、4.9というそのより高いpKaのために、酸分解に対してあまり安定ではない。本発明の1つの態様において、ラベプラゾールナトリウムとともに使用する緩衝剤は、ラベプラゾールナトリウムがHイオン(又は他の酸性物質)と相互作用するより速くそうした酸と相互作用して早期の分解を防ぎ、ラベプラゾールが滞留時間を通して存続することを可能にする高い中和能力を保有する。例示すると、重炭酸ナトリウム又はカリウムは、この例において良好な選択肢となろう。
【0233】
ラベプラゾールナトリウム(並びに、プロトンポンプ阻害剤のあらゆるナトリウム塩、これは、塩基型よりも溶けやすい傾向がある)の別の選択肢は、より溶けない塩型を使用すること、又は非塩型を使用することのように、水性型であるときにラベプラゾールナトリウムの溶解性を低下させることである。このことにより、ラベプラゾールは、酸により分解される前に、先ず水に溶けなければならないので、早期の分解が減少する。この態様において、ラベプラゾールナトリウムに適した緩衝剤は、ラベプラゾールが滞留時間を通して存続することを可能にする高い中和能力を保有すべきである。
【0234】
剤形は、製剤に使用の緩衝剤の適格性に影響を及ぼす場合がある。例えば、酸化マグネシウムは、錠剤として製剤化されるときは、高い緩衝能力があるが、作用発現の遅い緩衝剤である。しかしながら、散剤として、又は低圧縮性の錠剤としてか、又はゼラチン化デンプンのような錠剤の崩壊剤とともに製剤化されるとき、それはより速やかに崩壊する。
【0235】
オメプラゾール塩基は水にほとんど溶けないので、そのままでは、その薬物が早期の継続的な分解を受けることはほとんどない。オメプラゾールの可溶部分は、胃の環境において早期分解を受けやすい。残る不溶性部分の溶解は、胃分泌液の水分に遭遇する数分以内に起こると予測される。この溶解時間は、送達の間に、又は製品製剤化のときに相対的に少ない量の水を使用すれば、早期の分解に抗するいくらかの保護を提供する。胃の環境中で数分後に、完全に溶解すると、オメプラゾールは、3分未満に50%の分解を受ける場合がある。オメプラゾールは、その3.9というpKaのために中等度に安定である。例示すると、オメプラゾールに適した緩衝剤は、速作用性で、オメプラゾールが滞留時間を通して存続することを可能にする少なくとも中等度の中和能力を保有する。
【0236】
ランソプラゾール塩基は水にほとんど溶けないので、そのままでは、その薬物が早期の継続的な分解を受けることはほとんどない。その可溶部分は、早期の分解を受けやすい。残る不溶性部分の溶解は、胃分泌液の水分に遭遇する数分以内に起こると予測される。この溶解時間は、送達に、又は製品製剤化のとき相対的に少ない量の水を使用すれば、早期の分解に抗するいくらかの保護を提供する。数分後に、完全に溶解すると、ランソプラゾールは、2分のうちに50%の分解を受ける場合がある。ランソプラゾールは、その4.1というpKaのために中等度に安定である。例示すると、ランソプラゾールに適した緩衝剤は、速作用性で、ランソプラゾールが滞留時間を通して存続することを可能にする中等度〜高い中和能力を保有する。1つの態様において、胃腸液のpHは、溶液状態のプロトンポンプ阻害剤が胃酸と接触する時間から続く滞留時間を通して約4.8より高く保たれる。
【0237】
本明細書に使用ように、緩衝剤の文脈における「速作用性」は、酸不安定薬剤の有意な分解を防ぐのに十分な時間のうちに、環境のpHを酸不安定薬剤のpKa+約0.7の合計以上へ高める緩衝剤を意味する。1つの態様において、速作用性の緩衝剤は、pHを少なくともプロトンポンプ阻害剤のpKa+0.7対数値まで10分以内に高める。
【0238】
本方法、キット、及び組成物は、胃腸障害を治療又は予防することを適応とする、例えば、この障害に関連した疼痛及び/又は合併症を最小化するために通常投与される、抗細菌剤、過敏性腸管症候群薬、自発運動剤、制吐剤、アルギン酸塩、運動亢進(prokinetic)剤、Hアンタゴニスト、制酸薬、又はスクラルファートのような別の薬剤との組合せ(「組合せ療法」)において使用してもよい。例示すると、そのような薬物には、メトクロパミド、Lotrenex(登録商標)、メサラミン(5−ASA)、プレドニゾン、ラニチジン、及びシメチジンが含まれる。これらの薬物には、その使用に関連した特定の欠点がある。これらの薬物の中には、上記の状態の治療に完全には有効でない、及び/又は精神錯乱、便秘、下痢、及び血小板減少症のような有害な副作用をもたらすものがある。ラニチジンやシメチジンのようなHアンタゴニストは、特にNPO患者において、相対的に高額な治療様式であり、この薬物の連続静脈内注入のために自動注入ポンプの使用をしばしば必要とする。しかしながら、本発明と組み合わせて、即ち組合せ療法において使用すると、上記の望まれない副作用の全部ではなくても多くを抑制又は消失させることができる。一般に、これら薬物の抑制された副作用プロフィールは、例えば、投与される組合せで治療効果を達成するのに必要な投与量の低下によるものである。
【0239】
句「組合せ療法」には、胃腸障害を被検者において治療又は予防することを適応とする別の薬剤と組み合わせて、胃腸障害の治療用のこれら治療薬剤の同時作用より有益な効果を提供することを企図した特定の治療方式の一部として、本発明の組成物を投与することが含まれる。この組合せの有益な効果には、限定されないが、治療薬剤の組合せより生じる薬物動態又は薬力学上の同時作用が含まれる。これら治療薬剤の組合せでの投与は、典型的には、一定の期間(選択する組合せに依存して、通常は実質的に同時、数分、数時間、数日、数週、数ヶ月、又は数年)にわたり実行される。「組合せ療法」は、一般的には、本発明の組合せを偶発的又は恣意的にもたらす別々の単独療法の方式の一部として2以上のこれら治療薬剤の投与を含むことを企図しない。「組合せ療法」は、これら治療薬剤の連続したやり方での投与(即ち、各治療薬剤を異なる時間で投与する場合)、並びにこれら治療薬剤、又は治療薬剤のうち少なくとも2つを実質的に同時のやり方で投与することを含むと企図される。実質的に同時の投与は、例えば、各治療薬剤の一定比を有する単一の錠剤又はカプセル剤、又は治療薬剤それぞれの単一カプセル剤又は錠剤を多数、被検者へ投与することによって達成することができる。各治療薬剤の連続又は実質的に同時の投与は、どの適正な経路によって行ってもよい。本発明の組成物は、経口又は経鼻胃で投与してよいが、組合せの他の治療薬剤は、特別な薬剤のどの適正な経路によって投与してもよく、限定されないが、経口経路、経皮経路、静脈内経路、筋肉内経路、又は粘膜組織を介した直接吸収が含まれる。例えば、本発明の組成物を経口又は経鼻胃で投与して、組合せの治療薬剤を経口又は経皮的に投与してよい。治療薬剤を投与する順序は狭く限定されるわけではない。「組合せ療法」には、限定されないが、例えば、疼痛緩和剤(ステロイド、オピエート又はオピオイドのような)、又は非ステロイド性抗炎症薬、又は胃運動改善剤のような他の生物学的に有効な成分と、そして限定されないが、外科手術のような非薬物療法とさらに組み合わせて上記に記載される治療薬剤を投与することも含めてよい。
【0240】
例示すると、本発明の方法、キット、組合せ、及び組成物に使用し得る注目すべき制酸薬には、限定されないが、アレキシトールナトリウム、アルマゲート(almagete)、水酸化アルミニウム、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、リン酸アルミニウム、アズレン、塩基性炭酸アルミニウムゲル、アルミン酸ビスマス、リン酸ビスマス、次没食子酸ビスマス、亜硝酸ビスマス、アミノ酢酸ジヒドロキシアルミニウム、炭酸ナトリウムジヒドロキシアルミニウム、エビマー(ebimar)、マガルドレート、水酸化炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、過酸化マグネシウム、三塩基性リン酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、クエン酸カリウム、及びこれらの組合せが含まれる。(「メルクインデックス(The Merck Index)」、メルク社、ニュージャージー州ラーウェイ、(2001年度)に提供されるリストに一部基づく)。
【0241】
組合せ療法を構成する治療化合物は、組み合わせた剤形でも、実質的に同時の投与を企図した別々の剤形でもよい。組合せ療法を構成する治療化合物は、連続的に投与してもよく、各治療化合物は、2工程投与を必要とする方式により投与される。このように、ある方式は、別々の活性薬剤の間隔の空いた投与を伴う、治療化合物の連続投与を必要とする場合がある。多数の投与工程間の時間は、治療化合物の効力、溶解性、バイオアベイラビリティ、血漿半減期、及び動態プロフィールのような各治療化合物の特性に依存して、並びに食物摂取の影響や患者の年齢及び状態に依存して、例えば、数分〜数時間〜数日に及ぶ場合がある。標的分子濃度の日周変動も、最適投薬間隔を決定する場合がある。組合せ療法の治療化合物は、同時に、実質的に同時に、又は連続的に投与されても、一方の治療化合物を経口経路より、他方の治療化合物を、例えば経口経路、皮下経路、静脈内経路、筋肉内経路、又は粘膜組織を介した直接吸収により投与することを必要とする方式を伴ってよい。組合せ療法の治療化合物が経口、吸入スプレーにより、直腸、局所、頬内(例えば、舌下)、又は非経口(例えば、皮下、筋肉内、静脈内、及び皮内注射、又は注入技術)で、別々に又は一緒に投与されても、そのような各治療化合物は、医薬的に許容される賦形剤、希釈剤、又は他の製剤成分の好適な医薬製剤に含まれるものである。
【0242】
本発明を以下の実施例によりさらに例示するが、これは本発明を限定するものと解釈してはならない。示すデータを得るための実験手順を以下により詳しく論じる。これらの実施例において使用する記号及び慣例は、現代の医薬文献に使用されるものと一致している。他に述べなければ、(i)これらの実施例において引用するすべての比率は、組成物の全体重量に基づいた重量百分率であり、そして(ii)カプセル剤の全組成物重量は全カプセル充填重量であり、利用する実カプセルの重量を含めない。
【0243】
実施例
本明細書のすべての製剤で、当該技術分野で知られるように、頻回用量を比例的に調合することができる。
【0244】
実施例1:pH依存性の制御放出組成物
腸溶コーティング剤を含有するpH依存性制御放出成分を含有する組成物の放出プロフィールを以下の手順に従って決定する:50mlの0.1N塩酸の1段階溶解媒体を37℃で使用して、USP装置II(50rpmでのパドル)で溶解試験を実施する。選択した間隔で引き抜いた試料についてHPLCにより薬物放出を経時的に決定する。
【0245】
本発明の1つの態様において、オメプラゾールの細粒剤をEudragit L30 D−55で外皮化する。次いで、この腸溶外皮化した細粒剤を1以上の好適な緩衝剤と随意に1以上の好適な賦形剤と組み合わせる。
【0246】
消費と同時に、この医薬組成物に存在する制酸薬が胃中で放出されて、これにより胃腸液のpHが上昇して、腸溶外皮の崩壊が可能になる。腸溶外皮が崩壊したらすぐに、酸不安定薬剤が放出される。いくつかの実施例では、腸溶コーティング剤が制御放出層として作用して、酸不安定薬剤の放出の約30秒〜約60分というラグタイムをもたらす。例示すると、上記に記載される1段階 in vitro 溶解媒体により試験するときの本発明の制御放出製剤の放出プロフィールを以下の表番号16及び17に提供する。
【0247】
表番号16:制御放出製剤−重炭酸ナトリウム(15mEq)/炭酸カルシウム(15mEq)緩衝液の放出プロフィール
【0248】
【表16】

【0249】
表番号17:制御放出製剤−重炭酸ナトリウム(20mEq)緩衝液の放出プロフィール
【0250】
【表17】

【0251】
本発明を例示的なやり方で記載してきたが、使用する用語は、限定ではなくて説明のものであることを企図していると理解されたい。本明細書に引用するすべての特許と他の参考文献は、そのまま参照により本明細書に組み込まれる。本発明の多くの改良、同等物、及びバリエーションが上記の教示に照らして可能であり、それ故に、本発明は、具体的に記載されるものとしてではなく、付帯の特許請求項の範囲内で実施することができると理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)胃腸障害有効量の少なくとも1つの腸溶外皮化プロトンポンプ阻害剤(該プロトンポンプ阻害剤は、酸不安定である);及び
(b)少なくとも1つの緩衝剤
を含んでなる固体医薬組成物であって、経口投与時に、腸溶コーティング剤は実質的に胃腸液に溶け;そして
緩衝剤の量は、少なくとも治療有効量のプロトンポンプ阻害剤を胃腸液中での酸分解に対して保護するのに十分な量である、前記組成物。
【請求項2】
プロトンポンプ阻害剤が、オメプラゾール、テナトプラゾール、ランソプラゾール、ラベプラゾール、エソメプラゾール、パントプラゾール、パリプラゾール、及びレミノプラゾール、及びその塩、エステル、水和物、アミド、エナンチオマー、異性体、互変異性体、プロドラッグ、多形、又は誘導体より選択される、請求項1の組成物。
【請求項3】
プロトンポンプ阻害剤が、オメプラゾール、ランソプラゾール、エソメプラゾール、及びその塩、エステル、水和物、アミド、エナンチオマー、異性体、互変異性体、プロドラッグ、多形、又は誘導体より選択される、請求項1の組成物。
【請求項4】
プロトンポンプ阻害剤が約2mg〜約300mgの量である、請求項1の組成物。
【請求項5】
プロトンポンプ阻害剤が、5mg、10mg、15mg、20mg、30mg、40mg、及び60mgより選択される量である、請求項2の組成物
【請求項6】
プロトンポンプ阻害剤が微粒子化されている、請求項1の組成物。
【請求項7】
請求項1の組成物であって、該組成物の投与後約1時間以内のどの時点でも約0.1μg/mlより高いプロトンポンプ阻害剤の初期血清濃度を達成する量で投与される、前記組成物。
【請求項8】
請求項1の組成物であって、該組成物の被検者への経口投与後約30分以後は約0.1μg/mlより高いプロトンポンプ阻害剤の血清濃度を維持する量で投与される、前記組成物。
【請求項9】
請求項1の組成物であって、被検者への経口投与時に、プロトンポンプ阻害剤について少なくとも約50%の血清濃度時間曲線下全面積(AUC)が、該組成物の単回用量の被検者への投与後約1.5時間以内に生じるような薬物動態プロフィールを提供する、前記組成物。
【請求項10】
請求項1の組成物であって、被検者への経口投与時に、プロトンポンプ阻害剤が該組成物の単回用量の投与後約1時間以内に最高血清濃度に達するような薬物動態プロフィールを提供する、前記組成物。
【請求項11】
緩衝剤が、被検者による摂取後に、胃腸液のpHが約3〜約8の間に調整される量で存在する、請求項1の組成物。
【請求項12】
少なくとも1つの緩衝剤が、水酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム/炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム/炭酸マグネシウム/炭酸カルシウム共沈物、水酸化マグネシウムアルミニウム、水酸化アルミニウム/水酸化マグネシウム共沈物、水酸化アルミニウム/重炭酸ナトリウム共沈物、酢酸カルシウム、重炭酸カルシウム、ホウ酸カルシウム、炭酸カルシウム、クエン酸カルシウム、塩化カルシウム、グリセロリン酸カルシウム、水酸化カルシウム、乳酸カルシウム、フタル酸カルシウム、リン酸カルシウム、コハク酸カルシウム、酒石酸カルシウム、二塩基性リン酸ナトリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二カリウム、リン酸水素二ナトリウム、コハク酸二ナトリウム、乾燥水酸化アルミニウムゲル、酢酸マグネシウム、アルミン酸マグネシウム、ホウ酸マグネシウム、重炭酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、クエン酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、乳酸マグネシウム、アルミン酸メタケイ酸マグネシウム、酸化マグネシウム、フタル酸マグネシウム、リン酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、コハク酸マグネシウム、酒石酸マグネシウム、酢酸カリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、ホウ酸カリウム、クエン酸カリウム、メタリン酸化リウム、フタル酸カリウム、リン酸カリウム、ポリリン酸カリウム、ピロリン酸カリウム、コハク酸カリウム、酒石酸カリウム、酢酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、乳酸ナトリウム、フタル酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、三二炭酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、合成ヒドロタルシット(hydrotalcite)、ピロリン酸四カリウム、ピロリン酸四ナトリウム、トリヒドロキシメチルアミノメタン、リン酸三カリウム、リン酸三ナトリウム、及びトロメタモール;並びにこれらの組合せより選択される、請求項1の組成物。
【請求項13】
少なくとも1つの緩衝剤が、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、及びこれらの混合物より選択される、請求項1の組成物。
【請求項14】
少なくとも1つの緩衝剤が少なくとも約2mEqの量である、請求項1の組成物。
【請求項15】
少なくとも1つの緩衝剤が約2mEq〜約40mEqの量である、請求項1の組成物。
【請求項16】
少なくとも1つの緩衝剤が約250mg〜約3000mgの量である、請求項1の組成物。
【請求項17】
腸溶コーティング剤が、アセチル化モノグリセリド、カルボキシメチルセルロース、酢酸セルロース、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートトリメリテート、セチルアルコール、無水クエン酸、フタル酸ジエチル、ジグリセリド、エチルセルロース、Eudragit(登録商標)L−30D−55、Eudragit(登録商標)NE30D、Eudragit(登録商標)L 100、Eudragit(登録商標)L 100−55、Eudragit(登録商標)S100、Eudragit(登録商標)FS 30D、グリセリルモノステアレート、過酸化水素、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、KollICoat(登録商標)MAE30DP、Macrogel(登録商標)6000、メタクリル酸共重合体、モノグリセリド、有機酸、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール400、ポリエチレングリコール6000、カルボキシル基を含有するポリメタクリレート、四級アンモニウム基を含有するポリメタクリレート、ポリキッド(polyquid)PA−30、ポリソルベート80、ポリビニルアセテートフタレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、塩、セラック、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリルアルコール、糖、タルク、トリアセチン、クエン酸トリエチル、Tween(登録商標)80、ワックス、又はゼインの少なくとも1つを含む、請求項1の組成物。
【請求項18】
腸溶コーティング剤が約0.001ミクロン〜約100ミクロンの厚さを有する、請求項1の組成物。
【請求項19】
腸溶コーティング剤が約0.01ミクロン〜約50ミクロンの厚さを有する、請求項1の組成物。
【請求項20】
腸溶コーティング剤が約25ミクロン未満の厚さを有する、請求項1の組成物。
【請求項21】
腸溶コーティング剤が約10ミクロン未満の厚さを有する、請求項1の組成物。
【請求項22】
腸溶コーティング剤が少なくとも80%のプロトンポンプ阻害剤の in vitro 放出を約120分以内にもたらす厚さである、請求項1の組成物。
【請求項23】
腸溶コーティング剤が少なくとも80%のプロトンポンプ阻害剤の in vitro 放出を約60分以内にもたらす厚さである、請求項1の組成物。
【請求項24】
腸溶コーティング剤が少なくとも50%のプロトンポンプ阻害剤の in vitro 放出を約120分以内にもたらす厚さである、請求項1の組成物。
【請求項25】
腸溶コーティング剤が少なくとも50%のプロトンポンプ阻害剤の in vitro 放出を約60分以内にもたらす厚さである、請求項1の組成物。
【請求項26】
錠剤、チュワブル錠剤、カプレット、散剤、丸剤、カプセル剤、甘味入り錠剤、サシェ剤、カシェ剤、トローチ剤、カプセル剤中のミニ錠剤、ペレット剤、及び顆粒剤より選択される医薬剤形である、請求項1の組成物。
【請求項27】
賦形剤、製剤適合性の担体、結合剤、充填剤、懸濁剤、味マスキング剤、芳香剤、甘味剤、崩壊剤、流動補助剤(flow aid)、滑沢剤、アジュバント、着色剤、希釈剤、安定化剤、保湿剤、安定化剤、湿潤剤、抗付着剤、滑り剤(glidant)、保存剤、胃壁細胞アクチベーター、消泡剤、抗酸化剤、キレート剤、抗真菌剤、抗菌剤、又は等張剤の少なくとも1つをさらに含む、請求項1の剤形。
【請求項28】
プロトンポンプ阻害剤での治療が適応となる状態又は障害を治療する方法であって、請求項1に記載の組成物をそのような治療の必要な被検者へ経口投与することを含んでなる、前記方法。
【請求項29】
胃腸障害が、十二指腸潰瘍疾患、胃潰瘍疾患、胃食道逆流症、びらん性食道炎、不良応答症候性の胃食道逆流症、病理学的な胃腸過分泌症、ゾリンジャー・エリソン症候群、酸性消化不良、胸やけ、食道障害、非びらん性逆流障害、又はNSAID起因性潰瘍である、請求項28の方法。

【公表番号】特表2006−528198(P2006−528198A)
【公表日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−521232(P2006−521232)
【出願日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【国際出願番号】PCT/US2004/023558
【国際公開番号】WO2005/009381
【国際公開日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【出願人】(505101868)ザ キュレイターズ オブ ザ ユニバーシティー オブ ミズーリ (7)
【出願人】(504284249)サンタラス インコーポレイティッド (9)
【Fターム(参考)】