説明

重ね合わせラベルおよびその製造方法

【課題】互いに重ね合わされる各ラベルについて、互いに剥離した後製品に貼着する際、当該角部領域においても確実に貼着され、簡単に剥離しないように構成した。
【解決手段】共にラベル基材1、2の表面が印刷面1a、2aと成すと共に裏面を貼着面1b、2bと成す一対の多角形状を呈するラベル10、20同士を互いに重ね合わせて構成する際に、各ラベル10、20における角部領域Yにおいては、当該角部領域Yにおける両辺Y−1,Y−2が互いに交叉することにより形成された交叉点Y−4を始点として内方に延長して形成される分割線Y−3により分割された互いに隣り合う両分割域部の一方を粘着剤塗布領域部4に成し、他方を剥離剤塗布領域部4に成して構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一対のラベルの粘着面側を互いに積層構成する重ね合わせラベルに関し、特に、剥離紙を使用せずして積層したラベル同士を剥離可能に成すと共に、剥離後の各ラベルを再接着し得る重ね合わせラベルおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来知られているこの種の重ね合わせラベルは、特許文献1に記載されているように、互いに重ね合わせたラベルの対向面の一方に、接着域と、この接着域よりは大きい剥離域とを、互いに間隙をおいて複数設け、前記対向面の他方には、前記接着域に対してはこれより大きい剥離域を、また前記剥離域に対してはこれより小さい接着域を、それぞれ対向するように設け、前記対向面において重ね合わせたラベルを剥離可能に、かつ剥離後には各ラベルを露出した接着域によって接着可能に構成して、重ね合わせたラベル同士を剥離可能とする剥離紙を廃止すべく成したものである。
【0003】
そして、かかる重ね合わせラベルにおける各ラベルの接着域は、アクリル系二液架橋型の強粘着剤を円形状に塗布して形成しており、又、剥離域は、シリコーンを円形状に塗布して形成したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−64858号公報
【特許文献2】特開平7−44101号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
かかる構成を有する従来の重ね合わせラベルにおいては、互いに重ね合わされる一対のラベルにおいて、一方のラベルにおける接着域と他方のラベルにおける剥離域とが互いに剥離可能に重ね合わさるという構成を呈することになるのであるが、かかる構成は両ラベルの角部領域においても同様な構成を採ることになり、結果的に、一方のラベルにおける角部領域が接着域に形成されている場合、他方のラベルにおける角部領域は、剥離域に形成されていることになる。
【0006】
この結果、上記従来の重ね合わせラベルは、角部領域を剥離域として構成した他方のラベルにおいては、当該ラベルを製品に貼着した際には、当該角部領域が貼着され得ないことになり、当該角部領域から剥離しやすくなってしまうことになる。
【0007】
そこで、本発明は、かかる点に鑑み、互いに重ね合わされる各ラベルについて、互いに剥離した後製品に貼着する際、当該角部領域においても確実に貼着され、簡単に剥離しないように構成した重ね合わせラベルおよびその製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る重ね合わせラベルは、共にラベル基材の表面が印刷面と成すと共に裏面を貼着面と成す一対の多角形状を呈するラベル同士を互いに重ね合わせて構成する際に、前記両ラベルの各貼着面に、それぞれ一の部位に粘着剤を塗布した粘着剤塗布領域部を形成するとともに、残りの部位に剥離剤を塗布した剥離剤塗布領域部を形成して、前記一方のラベルにおける前記粘着剤塗布領域部に前記他方のラベルの前記剥離剤塗布領域部を互いに貼り合せて積層して、前記両ラベルを互いに剥離可能に構成すると共に剥離後各ラベルを露出した粘着剤塗布領域部によって接着可能に構成した重ね合わせラベルであって、前記各ラベルにおける角部領域においては、当該角部領域の外郭部を区画する両辺が互いに交叉して形成される交叉点を始点として内方に延長して形成される分割線により分割された互いに隣り合う両分割域部の一方を前記粘着剤塗布領域部に成し、他方を前記剥離剤塗布領域部に成して構成したことを特徴とする。
【0009】
かかる構成により、互いに重ね合わされる各ラベルの角部領域において、当該角部領域を外郭部を区画する両辺が互いに交叉して形成される交叉点を始点として内方に延長して形成される分割線により分割された互いに隣り合う両分割域部の一方を前記粘着剤塗布領域部に成し、他方を前記剥離剤塗布領域部に成して構成していることから、互いに重ね合っているラベル同士は非常に簡単に剥離し易いと共に、相手製品に貼着した際に、各ラベルにおける一般部位と同様に、角部領域においても頂点に達する位置まで粘着剤塗布領域部が必ず存在して相手製品に確実に貼着することができ、一旦相手製品に貼着した後は、一般部位と同様に角部領域も相手製品から剥離し難い重ね合わせラベルを提供することができる。
【0010】
また、本発明における重ね合わせラベルは、前記発明において、前記粘着剤塗布領域部と前記剥離剤塗布領域部との間に、粘着剤及び剥離剤を共に塗布しないラベル基材表出部を形成して、前記粘着剤塗布領域部と前記剥離剤塗布領域部とを互いに切り離して構成したものである。
【0011】
かかる構成により、粘着剤塗布領域部と剥離剤塗布領域部との間に、ラベル基材表出部が存することにより、粘着剤塗布領域或いは剥離剤塗布領域部が、ラベル基材に所定形状に対して多少大きく形成された場合や小さく形成された場合においても、ラベル基材表出部の存在により、両ラベルの粘着剤塗布領域部同士が貼着してしまうことを防止することができる。
【0012】
また、本発明における重ね合わせラベルは、前記発明において、一方のラベル側の粘着剤塗布領域部及び他方のラベル側の粘着剤塗布領域部の粘着力が互いに異なるように構成したものである。
【0013】
かかる構成において、万一両ラベルにおける粘着剤領域部が張り合わされてしまった場合でも、両ラベルは、これら粘着剤塗布領域の粘着力が異なることから、両ラベルにおける粘着剤塗布領域部同士の貼着を確実に防止することができ、共に相手製品に貼着使用することができる。
【0014】
また、本発明における重ね合わせラベルは、前記発明において、両ラベルの粘着剤塗布領域を構成する粘着剤が、互いに非ブロッキング性を有するように構成したものである。
【0015】
したがって、両ラベルは、これら粘着剤塗布領域の粘着剤が互いに非ブロッキング性を有することから、粘着剤塗布領域部と剥離剤塗布領域部との間に、ラベル基材表出部が存することにより、粘着剤塗布領域或いは剥離剤塗布領域部が、ラベル基材に所定形状に対して多少大きく形成された場合や小さく形成された場合においても、ラベル基材表出部の存在により、両ラベルの粘着剤塗布領域部同士が貼着してしまうことを防止することができ、しかも、殊更、粘着剤塗布領域部と剥離剤塗布領域部との間に、ラベル基材表出部を形成せずに構成できることから、粘着剤塗布領域部及び剥離剤塗布領域部の互いの剤の塗布厚さを同等にすることができて、貼着面の凹凸を少なくして、ラベルにおける相手製品への貼着姿の見栄えを向上させることができる。
【0016】
また、本発明は、上記発明に係る重ね合わせラベルにおける両ラベルは、互いに連続して構成する複数の単片ラベルにより構成することができる。
【0017】
かかる構成により、相手製品に貼着する際に、単片ラベル毎に剥離して使用することができ、当面貼着しない単片ラベルを貼着したままにしておけば、重ね合わせラベルが製品の組立工程等において非常に扱い易くすることができる。
【0018】
また、本発明は、共にラベル基材の表面が印刷面と成すと共に裏面を貼着面と成す一対の多角形状を呈するラベル同士を互いに重ね合わせて構成する際に、前記両ラベルの各貼着面に、それぞれ一の部位に粘着剤を塗布した粘着剤塗布領域部を形成するとともに、残りの部位に剥離剤を塗布した剥離剤塗布領域部を形成して、前記一方のラベルにおける前記粘着剤塗布領域部に前記他方のラベルの前記剥離剤塗布領域部を互いに貼り合せて積層して、前記両ラベルを互いに剥離可能に構成すると共に剥離後各ラベルを露出した粘着剤塗布領域部によって接着可能に構成した重ね合わせラベルであって、前記両ラベルの貼着面側の角部領域は、共に粘着剤塗布領域部と成すと共に、前記一方のラベルの一端側及び前記他方のラベルの他端側の全域に、前記ラベル基材を延在させて剥離剤を塗布して構成する剥離剤塗布余長部を形成し、前記一方のラベルにおける前記剥離剤塗布余長部を他方のラベルの一端側貼着面を貼着すると共に、前記他方のラベルにおける前記剥離剤塗布余長部を一方のラベルの他端側貼着面に貼着し、且つ、前記両剥離剤塗布余長部は前記各ラベルに対して分離可能に構成したことを特徴とするである。
【0019】
かかる構成により、一方のラベルにおける角部領域に形成した粘着剤塗布領域部は、他方のラベルにおける一端側の剥離剤塗布余長部に貼着すると共に、他方のラベルにおける角部領域に形成した粘着剤塗布領域部は、一方のラベルにおける他端側の剥離剤塗布余長部に貼着することにより重ね合わせラベルを構成していることから、各ラベルを使用する際には、互いに容易に剥離可能となり、しかも、両ラベルの角部領域共に、必ず粘着剤塗布領域部が存在していることから、相手製品に貼着した際に、各ラベルにおける一般部位と同様に、角部領域においても頂点に達する位置まで粘着剤塗布領域部が存在して相手製品に確実に貼着することができ、一旦相手製品に貼着した後は、一般部位と同様に角部領域も相手製品から剥離し難い重ね合わせラベルを提供することができる。そして、剥離剤塗布余長部は、相手製品にラベルを貼着した後廃材となってしまうが、比較的高コストの剥離紙を廃材と刷るよりも、相当省エネルギー化に寄与することができる。
【0020】
更に、本発明に係る重ね合わせラベルの製造方法は、共にラベル基材の表面が印刷面と成すと共に裏面を貼着面と成す一対の多角形状を呈するラベル同士を互いに重ね合わせて構成する際に、前記両ラベルの各貼着面に、それぞれ一の部位に粘着剤を塗布した粘着剤塗布領域部を形成するとともに、残りの部位に剥離剤を塗布した剥離剤塗布領域部を形成して、前記一方のラベルにおける前記粘着剤塗布領域部に前記他方のラベルの前記剥離剤塗布領域部を互いに貼り合せて積層して、前記両ラベルを互いに剥離可能に構成すると共に剥離後各ラベルを露出した粘着剤塗布領域部によって接着可能に構成した重ね合わせラベルを製造する場合、一対のラベルを構成する両ラベル基材を一体構成とする長尺帯状のフィルム状帯材の一方の面を印刷面として、所定の表示事項を印刷する印刷工程と、該印刷工程の後に前記フィルム状帯材の他方の面を貼着面として互いに隙間を空けながら粘着剤を塗布して前記粘着剤塗布領域部を形成する粘着剤塗布工程と、該粘着剤塗布工程の後、前記粘着剤塗布領域間の前記隙間に剥離剤を塗布して前記剥離剤塗布領域部を形成する剥離剤塗布工程と、前記剥離剤塗布領域部及び貼着剤塗布領域部が形成された前記フィルム状帯材を長辺方向に二分割するように折曲して一対のラベル基材を構成すると共に、互いに向き合った前記貼着面同士を接合することにより、前記両ラベル基材を重ね合わすラベル基材重ね合わせ工程と、かかるラベル基材を重ね合わせた後に、前記フィルム状帯材を適宜の大きさにカットして複数個のラベルを一単位とするラベルユニットに構成するフィルム状帯材カット工程とを有して、前記貼着面同士が互いに重ね合わされたラベル同士を剥離可能に構成したことを特徴としている。
【0021】
かかる構成によって、一体構成の長尺帯状のフィルム状帯材を用いて一対のラベルを同時に形成するとともに、互いに重ね合わせた状態で一単位毎に適宜カットすることにより製造することから、ラベル製造工数を少なくして重ね合わせラベルを製作することができる。
【0022】
しかも、かかる構成によって、ラベル基材の印刷面に印刷を行った後に、貼着面への粘着剤及び剥離剤の塗布を行うようにしたことから、印刷工程において、粘着剤および剥離剤の塗布により形成されてしまう印刷面の凹凸形状に影響されずに、印刷処理が可能となり、印刷ずれ等を確実に防止できることになる。
【発明の効果】
【0023】
上記のように構成する本発明は、互いに重ね合っているラベル同士は非常に簡単に剥離し易いと共に、相手製品に貼着した際に、各ラベルにおける一般部位と同様に、角部領域においても頂点に達する位置まで粘着剤塗布領域部が存在して相手製品に確実に貼着することができ、一旦相手製品に貼着した後は、一般部位と同様に角部領域も相手製品から剥離し難い重ね合わせラベルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】互いに重なり合う一対のラベル同士を一部剥離して描画した本発明に係る第1の実施の形態を採用した重ね合わせラベルの斜視図である。
【図2】互いに重ね合わされる一対のラベルのうち、一方のラベルの貼着面側から描画した平面図である。
【図3】互いに重ね合わされる一対のラベルのうち、他方のラベルの貼着面側から描画した平面図である。
【図4】図3に描画した他方のラベルの角部領域周辺を拡大して描画した平面図である。
【図5】本発明に係る実施の形態における各ラベルを構成するラベル基材の表面に印刷を施して印刷面に構成する印刷工程を示す説明図である。
【図6】図5における印刷工程に後に、本発明に係る実施の形態における各ラベルを構成するラベル基材の裏面に粘着剤塗布領域部及び剥離剤塗布領域部を形成する貼着面形成工程を示す説明図である。
【図7】図6に示す貼着面工程の後に一方のラベル及び他方のラベル同士の貼着面を貼り合せる重ね合わせ工程を示す説明図である。
【図8】図7に示す方のラベル及び他方のラベル同士の重ね合わせ工程の後に、幾つかの単片ラベルを一ブロックとして使用しやすい大きさいのシートに構成するシートカット工程を示す説明図である。
【図9】本発明に係る第2の実施の形態を採用した一対のラベル同士を互いに重ねることによって構成した重ね合わせラベルの斜視図である。
【図10】図9における重ね合わせラベルを構成する一対のラベル同士における剥離した状態を貼着面側から描画した平面図である。
【図11】本発明に係る第3の実施の形態を採用した重ね合わせラベルを構成する一対のラベル同士における剥離した状態を貼着面側から描画した平面図である。
【図12】本発明に係る第4の実施の形態を採用した重ね合わせラベルを構成する一対のラベルのうち、一方のみを粘着面側から描画した平面図である。
【図13】本発明に係る第5の実施の形態を採用した重ね合わせラベルを構成する一対のラベルのうち、一方のみを粘着面側から描画した平面図である。
【図14】本発明に係る第6の実施の形態を採用した重ね合わせラベルを構成する一対のラベルのうち、一方のみを粘着面側から描画した平面図である。
【図15】本発明に係る第7の実施の形態を採用した重ね合わせラベルを構成する一対のラベルのうち、一方のみを粘着面側から描画した平面図である。
【図16】本発明に係る第8の実施の形態を採用した重ね合わせラベルを構成する一対のラベルのうち、一方のみを粘着面側から描画した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
重ね合わせラベルにおける互いに重ね合わされる各ラベルについて、互いに剥離した後製品に貼着する際、当該角部領域においても確実に貼着され、簡単に剥離しないように構成した。
【実施例1】
【0026】
次に、前記図面を用いて、本発明を実施するための形態の一について説明する。
【0027】
図1は、互いに重なり合う一対のラベル同士を一部剥離して描画した本発明に係る実施の形態を採用した重ね合わせラベルの斜視図、図2は、互いに重ね合わされる一対のラベルのうち、一方のラベルの貼着面側から描画した平面図、図3は、互いに重ね合わされる一対のラベルのうち、他方のラベルの貼着面側から描画した平面図、図4は図3に描画した一方のラベルの角部領域周辺を拡大して描画した平面図、図5は本発明に係る実施の形態における各ラベルを構成するラベル基材の表面に印刷を施して印刷面に構成する印刷工程を示す説明図、図6は図5における印刷工程に後に、本発明に係る実施の形態における各ラベルを構成するラベル基材の裏面に粘着剤塗布領域部及び剥離剤塗布領域部を形成する貼着面形成工程を示す説明図、図7は、図6に示す貼着面工程の後に一方のラベル及び他方のラベル同士の貼着面を貼り合せる重ね合わせ工程を示す説明図、図8は、図7に示す方のラベル及び他方のラベル同士の重ね合わせ工程の後に、幾つかの単片ラベルを一ブロックとして使用しやすい大きさいのシートに構成するシートカット工程を示す説明図である。
【0028】
先ず、図1乃至図3に示すように、重ね合わせラベルは、多角形状、例えば本実施の形態では四角形を呈する一対のフィルム状シートからなるラベル基材1およびラベル基材2を有して構成し、ラベル基材1および2の表面側は、それぞれ印刷面1a、2aとし、裏面側を貼着面1b、2bとして、貼着面1b、2bを互いに剥離可能に貼着した状態で重ね合わせる可能に構成している。
【0029】
このために、後述する方法で、各ラベル基材1及び2は、その印刷面1a、2aに所定の表示事項を印刷するために、適正な印刷加工を行うのに優れた上質紙、色上質紙や上質紙の表面に顔料をコーティングしたアート紙、コート紙、或いは上記コート紙より表面の平滑性が高く光沢度があるミラーコート紙、又は、平滑性の高い紙に薄いアルミ箔(艶あり或いは艶消しの金色・銀色箔)をラミネート加工したフォイル紙、更には、合成紙、和紙、サーマル紙、ノーカーボン紙、特殊紙、樹脂フィルムをラミネートした紙等、その他、塩化ビニル、ネーマー、ユポ、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン等のフィルムなどで構成されている。
【0030】
各ラベル基材1、2の裏面である貼着面1b、2bは、それぞれ、その一部に粘着剤を塗布して構成する粘着剤塗布領域部3と剥離剤を塗布して構成する剥離剤塗布領域部4とを有して構成すると共に、粘着剤塗布領域部3と剥離剤塗布領域部4とを区画するように、両者の間に、粘着剤及び剥離剤共に塗布されていないラベル基材表出部5が形成されており、ラベル基材表出部5は、粘着剤塗布領域部3と剥離剤塗布領域部4とを所定の離間距離をもって切り離し構成している。
【0031】
本実施の形態の粘着剤塗布領域部3は、一対の三角形状の粘着剤塗布小片部3a、3bを一組とする複数組から構成すると共に、剥離剤塗布領域部4も、一対の三角形状の剥離剤塗布小片部4a、4bを一組とする複数組から構成している。
【0032】
一対の粘着剤塗布小片部3a及び3b及び一対の剥離剤塗布小片部4a、4bは、各頂角を対向させた状態で、ラベル基材1或いは2に形成されている。
【0033】
又、一対の剥離剤塗布小片部4a、4bは、各粘着剤塗布小片部3a、3bとの間にそれぞれ配置形成されていて、粘着剤塗布小片部3aおよび3bと剥離剤塗布小片部4aおよび4bとは、協同して略四角形状を呈する小片組編Xを構成しており、小片組編Xは、複数組各ラベル基板1、2の貼着面1b、2bにそれぞれ配設形成され、相隣り合う小片組編Xは互いに90°回転した状態となって、粘着剤塗布小片部3a、3bと剥離剤塗布小片部4a、4bとが互いに隣り合わないように配置されている。
【0034】
更に、粘着剤塗布小片部3a、3b及び剥離剤塗布小片部4a、4bは、ラベル基材表出部5が侵入してきて、互いに所定の離間距離をもって切り離し構成されている。
【0035】
しかも、両ラベル基材1、2を互いに貼着面1b、2bにおいて貼着した際、一方のラベル基材1の粘着剤塗布小片部3a又は3bが他方のラベル基材2の剥離剤塗布小片部4a又は、4bに添設貼着されると共に、他方のラベル基材2の粘着剤塗布小片部3a又は3bが一方のラベル基材1の剥離剤塗布小片部4a又は4bに添設貼着され、貼着後の両ラベル基材1と2とは、剥離可能に構成されている。
【0036】
かかることから、ラベル基材1、2の貼着面側に互いにラベル基材表出部5によって切り離された状態で粘着剤塗布領域部3及び剥離剤塗布領域部4を有する一対のラベル10及び20を構成することになる。
【0037】
図4に示すように、両ラベル10及び20における角部領域Yにおいては、角部領域を構成する一対の辺Y−1およびY−2が互いに交叉することにより形成される交叉点Y−4を始点として内方に延長して形成される分割線Y−3により分割された互いに隣り合う両分割部の一方は、粘着剤塗布小片部3aが存しており、他方は剥離剤塗布小片部4bが存在しているように構成されている。
【0038】
粘着剤塗布領域部3を構成する粘着剤としては、耐候性のほかに耐熱・耐熱性などを付加したアクリル系接着剤を使用して、幅広い用途に対応させるようにしている。又、粘着剤塗布領域部3を構成する粘着剤としては、接着性に乏しいポリプロピレン、ポリエチレンを基材用として接着性に富んだ天然ゴム系接着剤及び合成ゴム系接着剤、或いはシリコーンゴム系接着剤、UV粘着剤、エマルジョン系接着剤等様々なものを使用することができる。
【0039】
そして、一方のラベル10の粘着剤塗布領域3を構成する粘着剤と他方のラベル20の粘着塗布領域部3を構成する粘着剤とは同種・異種いずれでもよく、更に、粘着剤塗布領域部3の粘着強度として、永久接着タイプのもの、或いは、一旦接着後に剥がした後も粘着強度が落ち難い再剥離タイプのもの、貼着剥離を何度も繰り返し可能な最貼付タイプのものを適宜使用用途に従って選択することができ、一方のラベル10と他方のラベル20で異なる粘着剤を使用することで、用途の異なるラベルを一緒に作成することも可能である。
【0040】
剥離剤塗布領域部4を構成する剥離剤としては、ソルベントレス系シリコーン剥離剤、ソルベント系シリコーン剥離剤、エマルジョン系シリコーン剥離剤、UV硬化型シリコーン剥離剤、或いは、共重合体系剥離剤等を用いることができる。
【0041】
そのうち、UV硬化型シリコーン剥離剤は、無溶剤タイプのものを使用すると、加熱できないフィルム等のラベル基材にも使用することができ、環境にやさしい、安全なものとして知られている。
【0042】
なお、一方のラベル10の端部に延設されたラベル基材1、2より成る短冊状部6は、一方のラベル10と他方のラベル20とを剥離する際の取っ手として使用するものであり、ミシン目等を施すことによって、分離できる。また、一方のラベル10及び他方のラベル20の両方に存してもよい。
【0043】
そして、短冊状部6は、他方のラベル20の接着剤と接着しないように、ラベル基材1、2に剥離剤を塗布した構成(後述する剥離剤塗布余長部)が望ましく、また、短冊状部6は、短冊状に形成しているがかかる形状に限定されるものではなく、剥離用の取っ手として機能する形状であればよい。
【0044】
次に、上記のように構成する本発明の第1の実施の形態における重ね合わせラベルの製造工程について、図5乃至図8を用いて説明する。
【0045】
重ね合わせラベルは、一対のラベル10、20の貼着面1b、2b同士を剥離可能に積層貼着して構成しているのであるが、かかる重ね合わせラベルを製造する場合、先ず、図5に示すように、一対のラベル10、20を構成する両ラベル基材1、2を一体構成とする長尺帯状のフィルム状帯材30の一方の面を印刷面30aとして、かかる印刷面30aに所定の印刷表示事項31を印刷する。
【0046】
次に、印刷面30aに所定の印刷表示事項31を印刷した後に、図6に示すように、フィルム状帯材30の他方の面を貼着面30bとして、かかる貼着面30bに互いに隙間33を空けながら粘着剤を塗布した粘着剤塗布ローラー34を用いて粘着剤を塗布して、粘着剤塗布領域部3を形成する。
【0047】
次に、粘着剤塗布領域部3を形成した後、粘着剤塗布領域3間の隙間33に剥離剤塗布ローラー35により粘着剤を埋設するように塗布して、剥離剤塗布領域部4を形成する。この時、図示しないが、併行して短冊状部6にも剥離剤を塗布することになる。
【0048】
次に、剥離剤塗布領域部4及び貼着剤塗布領域部3が形成されたフィルム状帯材30の印刷面30a側から、センタースリット形成ローラー36によって長辺方向に二分割して一対のラベル10、20を構成すると共に、互いに向き合った貼着面1b、2b同士を接合することにより、両ラベル10、20を重ね合わすラベル基材重ね合わせ工程に移っていく(図7参照)。
【0049】
このように、両ラベル10,20を重ね合わせた後に、図8に示すように、フィルム状帯材30を適宜の大きさにカットして互いに重ね合わされたラベル10、20を一単位として、シートカット工具37によりフィルム状帯材をカットする。かかる結果、互いに重ね合わされた一対のラベル10、20が完成し、貼着面1b、2b同士が互いに重ね合わされた両ラベル10、20は、剥離可能に構成されることになる。
【0050】
以上の説明では、一対のラベル10、20は、一単位毎に構成するようにしたが、これに限定されるものではなく、複数単位を組としてロール巻き状に構成するようにしてもよく、この場合、互いに隣り合うラベル10、20の間は、互いを切離し使用可能に例えばミシン目を施されている。
【0051】
粘着剤塗布領域部4及び剥離剤塗布領域部3の形状は、上記した形状に限るものではなく、互いに対向させて向後に縞状若しくは市松模様状(格子模様状)等にて構成することができるが、いずれにしても、製作上の誤差等から、両ラベル10、20の粘着剤塗布領域部4同士が位置的にずれて形成されてしまう場合が考えられ、この状態をそのままにして、両ラベル10、20同士を重ね合わせてしまった場合には、両粘着剤塗布領域部3同士が互いに粘着されてしまうことになる。又、両粘着剤塗布領域部3は、互いに、経年変化や何らかの圧力が加えられた場合などには、変形して互いに貼着されてしまうこともある。
【0052】
そこで、上記第1の実施の形態では、粘着剤塗布領域部3と剥離剤塗布領域部4との間に、ラベル基材表出部5が存するように構成して、両ラベル10,20における粘着剤塗布領域部3同士が上記した原因により粘着しないように構成したものである。
【0053】
更に、上記ラベル基材表出部5に剥離剤を塗布するようにすれば、両ラベル10、20における粘着剤塗布領域部3同士の貼着を確実に防止することができる。
【0054】
この点、一方のラベル10側の粘着剤塗布領域部3と他方のラベル20側の粘着剤塗布領域部3における粘着剤の材質において互いに粘着力が異なるように構成することによって、万一両ラベル10、20における粘着剤領域部3同士が張り合わされてしまった場合でも、両ラベル10、20は、これら粘着剤塗布領域3の粘着力が異なることから、両ラベル10、20における粘着剤塗布領域部3同士の貼着を更に確実に防止することができ、共に相手製品に貼着使用することができることになる。
【0055】
又、両ラベル10,20における粘着剤塗布領域部3同士の貼着を防止する対策として、たとえ当接したとしても互いに粘着しない粘着剤の組合せを選択することが考えられる。
【0056】
かかる粘着剤として、アクリル系粘着剤同士の組合せ(例えば、一方の粘着剤に粘着強度を調整する非親和性、例えばシリコーン系のポリマー、炭酸カルシウム或いは酸化チタン等を混合しておく)、或いはゴム系粘着剤とアクリル系粘着剤との組み合わせ等が考えられる。
【0057】
これにより、本発明に係る両ラベル10、20における粘着剤塗布領域部3と剥離剤塗布領域部4とは、製造工程において形状寸法を正確に製作する場合や粘着剤の材質等を適宜選択すれば、その間に必ずしもラベル基材表出部5を設けなくても、両ラベル10,20における粘着剤塗布領域部3同士の貼着を防止するように構成することができ、この結果、ラベル基材表出部5を設けないために、粘着剤塗布領域部3及び剥離剤塗布領域部4の互いの剤の塗布厚さを同等にすることができ、両ラベル10、20の貼着面1b、2bは、凹凸を少なくなって、相手製品への貼着姿の見栄えを向上させることができる。
【0058】
かかるラベル基材表出部5を設けない場合に、特に、粘着剤塗布領域部3を構成する粘着剤は、非ブロッキング性を有する材料を使用するのが好適である。ブロッキング性を有する材料として、例えば、非ブロッキング製可塑性樹脂、例えば、ポリプロピレン、プロピレン成分及びエチレン成分からなるブロック系、ランダム系等のプロピレン系ポリマー、低密度、高密度、リニア低密度ポリエチレン等のエチレン系ポリマー、ポリスチレン、ポリエチレン、エチレン、メタクリル酸メチル共重合体などのエチレン成分と他のモノマー成分からなるオレフィン系ポリマー等が列挙することができる。
【0059】
上記のように構成する本発明に係る実施の形態においては、互いに重ね合わされる各ラベル10、20の角部領域Yにおいて、当該角部領域Yにおける対辺が互いに交叉することによって形成された交叉点を始点として内方に延長して形成される分割線Y−3により分割された互いに隣り合う両分割域部の一方を粘着剤塗布領域部3に成し、他方を剥離剤塗布領域部4に成して構成していることから、相手製品に貼着した際に、各ラベル10、20における一般部位と同様に、角部領域Yにおいても交叉点Y−4に達する位置まで粘着剤塗布領域部3が存在して相手製品(不図示)に確実に貼着することができ、一旦相手製品に貼着した後は、一般部位と同様に角部領域Yも相手製品から剥離し難い重ね合わせラベルを提供することができる。
【0060】
また、かかる構成により、粘着剤塗布領域部3と剥離剤塗布領域部4との間に、ラベル基材表出部5が存することにより、粘着剤塗布領域3或いは剥離剤塗布領域部4が、ラベル基材1、2に所定形状に対して多少大きく形成された場合や小さく形成された場合においても、ラベル基材表出部5の存在により、両ラベル10、20の粘着剤塗布領域部3同士が貼着してしまうことを防止することができる。
【0061】
この点、たとえ粘着剤塗布領域部3と剥離剤塗布領域部4との間にラベル基材表出部5が設けない場合でも、例えば、製造工程において形状寸法を正確に製作したり粘着剤の材質として粘着力強度を異なるものを使用したり、更には粘着剤の材質に非ブロッキング性を有するものを使用することにより、両ラベル10,20における粘着剤塗布領域部3同士の貼着を防止するように構成することができ、この結果、ラベル基材表出部5を設けないために、粘着剤塗布領域部3及び剥離剤塗布領域部4の互いの剤の塗布厚さを同等にすることができ、両ラベル10、20の貼着面1b、2bは、凹凸を少なくなって、相手製品への貼着姿の見栄えを向上させることができる。
【0062】
また、両ラベル10、20は、互いに連続して構成すると共ミシン目等による互いに切離し可能な複数の単片ラベルにより構成することにより、相手製品に貼着する際に、単片ラベル毎に剥離して使用することができ、当面貼着しない単片ラベルを貼着したままにしておけば、重ね合わせラベルが製品の組立工程等において非常に扱い易くすることができる。
【0063】
また、上記製造方法によれば、ラベル基材1の印刷面1a、2aに印刷を行った後に、貼着面1b、2bへの粘着剤及び剥離剤の塗布を行うようにしたことから、印刷工程において、粘着剤および剥離剤の塗布により形成されてしまう印刷面1a、2aの凹凸形状に影響されずに、印刷処理が可能となり、印刷ずれ等を確実に防止できる。
【0064】
次に、図9乃至図16を用いて、本発明に係る他の実施の形態について説明する。
【実施例2】
【0065】
先ず、図9及び図10に示す本発明に係る第2の実施の形態においては、両ラベル10、20における貼着面1b、2bには、共に小四角形を呈する粘着剤塗布小片部3cと剥離剤塗布小片部4cとが互いに交互に配設されて、粘着剤塗布小片部3cと剥離剤塗布小片部4cが複数個組みになって粘着剤塗布領域部3(両端が粘着剤塗布小片部3c)を構成すると共に、粘着剤塗布小片部3cと剥離剤塗布小片部4cとが複数個組みになって剥離剤塗布領域部4(両端が剥離剤塗布小片部4c)を構成している。
【0066】
これら粘着剤塗布領域部3と剥離剤塗布領域部4及びもう一つの粘着剤領域部3を一組を一単位としてn倍(nは0を除く自然数)して単片のラベル10、20を構成し、各単片のラベル10、20毎に、ミシン目等の切れ目38を刻設して、互いに切離し可能に構成している。
【0067】
そして、一方のラベル10の前端辺部及び他方のラベル20の後端辺部には、剥離剤を塗布して構成する剥離剤塗布余長部6が形成されていると共に、互いに隣り合う各単片の両ラベル10、20の間にも、剥離剤塗布余長部6が形成されている。剥離剤塗布余長部6は、粘着剤塗布領域部3と同等のサイズ(大きさ)としており、ラベル10とラベル20を剥離する際の取っ手としても機能する。
【0068】
剥離剤塗布余長部6は、両ラベル10、20を単位当りの単片ラベル毎に区画する区画部にもなっており、ミシン目等を施すことによって、分離でき、分離した後は、廃材になる。
【0069】
この結果、両ラベル10および20における4つの角部領域Yには、共に、粘着剤塗布小片部3cが存するように構成されている。
【0070】
かかる剥離剤塗布余長部6が廃材となったとしても、高コストの剥離紙を使用する場合に比して、廃材量は少なく、省エネルギー化に十分寄与しているといえる。
【実施例3】
【0071】
次に、図11に示す本発明に係る第3の実施の形態について説明すると、一方のラベル10の粘着面は、前端側に剥離剤が塗布された短冊状の剥離剤塗布余長部6を形成した状態で、短冊状に形成された粘着剤塗布小片部3dと剥離剤塗布小片部4dとを互いに交互に並列して形成することにより、粘着剤塗布領域部3及び剥離剤塗布領域部4を構成しているものである。
【0072】
同様に、他方のラベル20の粘着面は、後端側に剥離剤が塗布された短冊状の剥離剤塗布余長部6を形成した状態で、短冊状に形成された粘着剤塗布小片部3dと剥離剤塗布小片部4dとを互いに交互に並列して形成することにより、剥離剤塗布領域部4及び剥離剤塗布領域部3を構成しており、更に、複数個の粘着剤塗布小片部3dと剥離剤塗布小片部4d及びもう一つの粘着剤塗布小片部3dを一組一単位としてn倍(nは0を除く自然数)として単片のラベル10、20を構成し、各単片のラベル10、20毎の間には、,ミシン目等の切れ目38を刻設して、互いに切離し可能に配置することにより、互いに連続した複数の単片ラベルとして構成している。
【0073】
そして、一方のラベル10の剥離剤塗布余長部6に他方のラベル20の前端に存する粘着剤塗布小片部3dを貼着することにより、一方のラベル10の他の粘着剤塗布小片部3dと他方のラベル20の剥離剤塗布小片部4d及び一方のラベル10の他の剥離剤塗布小片部4dと他方のラベル20の粘着剤塗布小片部3dとを順次貼着し、最後に、他方のラベル20の後端部に存する剥離剤塗布余長部6を一方のラベル10の後端に存する粘着剤塗布小片部3dを貼着して、重ね合わせラベルが構成されることになる。
【0074】
剥離剤塗布余長部6は、ラベル10、20を相手製品に貼着使用した際には、上記第2の実施の形態と同様に、切離されて廃材となるも、高コストの剥離紙を使用する場合に比して、廃材量は少なく、省エネルギー化に十分寄与しているといえる。
【0075】
また、この剥離剤塗布余長部6は、粘着剤塗布小片部3dと同等のサイズ(大きさ)としており、ラベル10とラベル20を剥離する際の取っ手としても機能する。
【0076】
そして、各単片のラベル10、20の角部領域Yには、必ず、短冊状の粘着剤塗布小片部3dが存在していることになり、相手製品に貼着した際に、ラベル10、20の角部が容易に剥離することを確実に防止することができる。
【0077】
なお、上記第2及び第3の実施の形態においても、粘着剤或いは剥離剤としては、前記第1の実施の形態において使用したものと同様のものを使用することになる。
【0078】
更に、図12乃至図16を用いて、本発明に係る第4乃至第8の実施の形態について説明する。なお、図示するものは、互いに重ね合わせられる一対のラベル基材1、2のうち、一方のラベル基材1のみを描画したものであるが、他方のラベル基材2の構成もラベル基材1と同様な貼着面構成(第1の実施の形態と同様に粘着剤塗布領域部3と剥離剤塗布領域部4とを重ね合わせる構成)を有するものである。
【実施例4】
【0079】
図12に示す本発明に係る第4の実施の形態においては、一方のラベル10の粘着面は、ラベル10における4つの角部領域Yにおいて、外郭部を区画する両辺Y−1、Y−2が互いに交叉して形成された交叉点Y−4を始点にして内方に延長して形成される分割線Y−3を一辺とする三角形状を呈する互いに隣り合う両分割領域部の一方を粘着剤塗布領域部3に成し、他方を剥離剤塗布領域部4に成したもので、その他の部分はラベル基材表出部5となしたものである。
【実施例5】
【0080】
図13に示す本発明に係る第5の実施の形態においては、一方のラベル10の粘着面は、ラベル10における4つの角部領域Yにおいて、外郭部を区画する両辺Y−1、Y−2が互いに交叉して形成された交叉点Y−4を始点にして内方に延長して形成される分割線Y−3を一辺とする三角形状を呈する互いに隣り合う両分割領域部の一方を粘着剤塗布領域部3に成し、他方を剥離剤塗布領域部4に成したものである。
【0081】
かかる第5の実施の形態では、4つの角部領域Yの交叉点Y−4より内方に延びる分割線Y−3は、各々交叉する地点を終点としている。
【0082】
従って、本第5の実施の形態では、上記図12に示す第4の実施の形態におけるラベル基材表出部5は存在せず、粘着剤領域部3は、面積が拡大された状態で風車状に配置されていることになり、粘着強度を上げることを意図しているものである。
【実施例6】
【0083】
図14に示す本発明に係る第6の実施の形態においては、一方のラベル10の貼着面は、剥離剤塗布余長部6を除く四角形状の貼着面1bについて、対角線を区画とする4つの領域に分割し、図において、三角形状の左右部に、粘着剤塗布領域部3を配し、同じく上下部に剥離剤塗布領域部を配したものである。
【実施例7】
【0084】
図15に示す本発明に係る第7の実施の形態においては、一方のラベル10の貼着面は、ラベル10における4つの角部領域Yにおいて、外郭部を区画する両辺Y−1、Y−2が互いに交叉して形成された交叉点Y−4を始点にして内方に延長して形成される分割線Y−3を一辺とする三角状の粘着剤塗布領域部3を形成すると共に、貼着面の略中央部に短冊状の粘着剤塗布領域部3を形成したもので、残部を剥離剤塗布領域部4に形成したものである。
【実施例8】
【0085】
図16に示す本発明に係る第8の実施の形態においては、一方のラベル10の粘着面は、ラベル10における4つの角部領域Yにおいて、外郭部を区画する両辺Y−1、Y−2が互いに交叉して形成された交叉点Y−4を始点として内方に延長して形成される分割線Y−3により互いに隣り合う両分割領域部の一方を粘着剤塗布領域部3に成し、他方を剥離剤塗布領域部4に成して、これら角部領域Yの粘着剤塗布領域部3及び剥離剤塗布領域部4が挟む貼着面に、やはり三角形状を呈する粘着剤塗布領域部3及び剥離剤塗布領域部4を互い違いに配して成るもので、粘着剤塗布領域部3及び剥離剤塗布領域部4によって取囲まれた貼着面の中央部は、ラベル基材表出部5となしたものである。
【0086】
上記第1乃至第8の実施の形態は、相手製品のラベル貼着領域部の形状等により適宜選択して使用することができる。
【0087】
また、第2乃至第8の実施の形態は、粘着剤塗布領域部3及び粘着剤塗布小片部3cと、剥離剤塗布領域部4および剥離剤塗布小片部4cとを区画するように、両者の間に、ラベル基材表出部5を形成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0088】
以上説明したように、本発明は、互いに重ねあっているラベル同士は非常に簡単に剥離し破水と共に、相手製品に貼着した際に、各ラベルにおける一般部位と同様に、角部領域において貼着した相手製品から大変剥離し難い重ね合わせラベルを提供することができるために、一対のラベルの粘着面側を互いに積層構成する重ね合わせラベルに関し、特に、剥離紙を使用せずして積層したラベル同士を剥離可能に成すと共に、剥離後の各ラベルを再接着し得る重ね合わせラベルおよびその製造方法等に好適である。
【符号の説明】
【0089】
1、2 ラベル基材
1a、2a 印刷面
1b、2b 貼着面
3 粘着剤塗布領域部
3a、3b、3c、3d 粘着剤塗布小片部
4 剥離剤塗布領域部
4a、4b、4c、4d 剥離剤塗布小片部
5 ラベル基材表出部
6 剥離剤塗布余長部(短冊状部)
10、20 ラベル
30 フィルム状帯材
30a 印刷面
30b 粘着面
31 印刷表示事項
X 小片組編
Y 角部領域
Y−1、Y−2 辺
Y−3 分割線
Y−4 交叉点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
共にラベル基材の表面が印刷面と成すと共に裏面を貼着面と成す一対の多角形状を呈するラベル同士を互いに重ね合わせて構成する際に、前記両ラベルの各貼着面に、それぞれ一の部位に粘着剤を塗布した粘着剤塗布領域部を形成するとともに、残りの部位に剥離剤を塗布した剥離剤塗布領域部を形成して、前記一方のラベルにおける前記粘着剤塗布領域部に前記他方のラベルの前記剥離剤塗布領域部を互いに貼り合せて積層して、前記両ラベルを互いに剥離可能に構成すると共に剥離後各ラベルを露出した粘着剤塗布領域部によって接着可能に構成した重ね合わせラベルであって、前記各ラベルにおける角部領域においては、当該角部領域の外郭部を区画する両辺が互いに交叉して形成された交叉点を始点として内方に延長して形成される分割線により分割された互いに隣り合う両分割域部の一方を前記粘着剤塗布領域部に成し、他方を前記剥離剤塗布領域部に成して構成したことを特徴とする重ね合わせラベル。
【請求項2】
請求項1に記載の重ね合わせラベルであって、前記粘着剤塗布領域部と前記剥離剤塗布領域部との間に、粘着剤及び剥離剤を共に塗布しないラベル基材表出部を形成して、前記粘着剤塗布領域部と前記剥離剤塗布領域部とを互いに切り離して構成したことを特徴とする重ね合わせラベル。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の重ね合わせラベルであって、前記一方のラベル側の粘着剤塗布領域部及び他方のラベル側の粘着剤塗布領域部の粘着力が互いに異なるように構成したことを特徴とする重ね合わせラベル。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一に記載の重ね合わせラベルであって、前記両ラベルの粘着剤塗布領域を構成する粘着剤が、互いに非ブロッキング性を有することを特徴とする重ね合わせラベル。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一に記載の重ね合わせラベルであって、前記両ラベルは、互いに切離し可能に連続して構成する複数の単片ラベルにより構成していることを特徴とする重ね合わせラベル。
【請求項6】
共にラベル基材の表面が印刷面と成すと共に裏面を貼着面と成す一対の多角形状を呈するラベル同士を互いに重ね合わせて構成する際に、前記両ラベルの各貼着面に、それぞれ一の部位に粘着剤を塗布した粘着剤塗布領域部を形成するとともに、残りの部位に剥離剤を塗布した剥離剤塗布領域部を形成して、前記一方のラベルにおける前記粘着剤塗布領域部に前記他方のラベルの前記剥離剤塗布領域部を互いに貼り合せて積層して、前記両ラベルを互いに剥離可能に構成すると共に剥離後各ラベルを露出した粘着剤塗布領域部によって接着可能に構成した重ね合わせラベルであって、前記両ラベルの貼着面側の角部領域は、共に粘着剤塗布領域部と成すと共に、前記一方のラベルの一端側及び前記他方のラベルの他端側の全域に、前記ラベル基材を延在させて剥離剤を塗布して構成する剥離剤塗布余長部を形成し、前記一方のラベルにおける前記剥離剤塗布余長部を他方のラベルの一端側貼着面を貼着すると共に、前記他方のラベルにおける前記剥離剤塗布余長部を一方のラベルの他端側貼着面に貼着し、且つ、前記両剥離剤塗布余長部は前記各ラベルに対して分離可能に構成したことを特徴とする重ね合わせラベル。
【請求項7】
共にラベル基材の表面が印刷面と成すと共に裏面を貼着面と成す一対の多角形状を呈するラベル同士を互いに重ね合わせて構成する際に、前記両ラベルの各貼着面に、それぞれ一の部位に粘着剤を塗布した粘着剤塗布領域部を形成するとともに、残りの部位に剥離剤を塗布した剥離剤塗布領域部を形成して、前記一方のラベルにおける前記粘着剤塗布領域部に前記他方のラベルの前記剥離剤塗布領域部を互いに貼り合せて積層して、前記両ラベルを互いに剥離可能に構成すると共に剥離後各ラベルを露出した粘着剤塗布領域部によって接着可能に構成した重ね合わせラベルを製造する場合、一対のラベルを構成する両ラベル基材を一体構成とする長尺帯状のフィルム状帯材の一方の面を印刷面として、所定の表示事項を印刷する印刷工程と、該印刷工程の後に前記フィルム状帯材の他方の面を貼着面として互いに隙間を空けながら粘着剤を塗布して前記粘着剤塗布領域部を形成する粘着剤塗布工程と、該粘着剤塗布工程の後、前記粘着剤塗布領域間の前記隙間に剥離剤を塗布して前記剥離剤塗布領域部を形成する剥離剤塗布工程と、前記剥離剤塗布領域部及び貼着剤塗布領域部が形成された前記フィルム状帯材を長辺方向に二分割するように折曲して一対のラベル基材を構成すると共に、互いに向き合った前記貼着面同士を接合することにより、前記両ラベル基材を重ね合わすラベル基材重ね合わせ工程と、かかるラベル基材を重ね合わせた後に、前記フィルム状帯材を適宜の大きさにカットして複数個のラベルを一単位とするラベルユニットに構成するフィルム状帯材カット工程とを有して、前記貼着面同士が互いに重ね合わされたラベル同士を剥離可能に構成したことを特徴とする重ね合わせラベルの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−160421(P2010−160421A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−3756(P2009−3756)
【出願日】平成21年1月9日(2009.1.9)
【出願人】(593132641)株式会社アイワ・コーポ (1)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】