説明

重合体と金属/メタロイド酸化物ナノ粒子との複合体及びこれらの複合体を形成するための方法

無機粒子の乾燥粉体の分散物の形成のための好適な分散手法が記載される。実施態様によっては、2つの加工段階で分散を形成させることが望ましく、粒子は第2の加工段階で表面改質される。良好に分散された粒子を用いて複合体が形成されて改善された無機粒子‐重合体複合体を形成することができる。これらの複合体は、光学用途及び比較的高い率又は屈折を有することができる透明な膜を形成させるのに適する。実施態様によっては、金属酸化物粒子の表面化学を変化させるために水が用いられることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重合体と無機粒子とを含む複合材料に関する。より詳しくは、本発明は、表面改質された無機粒子、特に金属/メタロイド酸化物粒子との重合体の複合体に関する。本発明は、さらに、複合体を作る方法、及び重合体複合体又は他の生成物を形成するために用いられることができる液体中の無機粒子の分散物に関する。
【背景技術】
【0002】
さまざまな分野における進歩は、多くの種類の新しい材料への求めを作り出した。特に、無機粉体は、例えば電子デバイス、光デバイス及び電子‐光デバイスを含む一連の商業製品の生産において用いられることができる。同様に、技術的な進歩は、コストを抑制しながらもデバイスの性能を改善するために、加工パラメータに対して厳密な公差を有する改善された材料加工法への求めを増大させた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
微細化が続くにつれて、材料加工法も同様に構造物の寸法に関してより厳密な公差の範囲におさまる。現行の集積回路技術は既に、加工寸法に関してサブミクロン規模の公差を要求する。一体部品の中への機械デバイス、電気デバイス及び光デバイスの統合は、単一の構造物の中に組み込まれる種々の組成物に対して材料加工法に関するさらに別の求めを作り出した。
【0004】
複合体の中に組み込まれる異なる個々の組成物の望ましい特性を組み合わせるとともに、個々の組成物からは実現することができない新しい特性を作り出すために、複合材料が用いられることができる。従って、複合体によってより広い範囲の材料特性が利用されることができる。あるいは、複合体の1つの材料に関連する改善された加工能力又はより柔軟な加工能力を実現する一方で、複合体の別の成分の望ましい特性のなんらかの態様を実現するために、複合材料が形成されることができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様では、本発明は、複合体に関する。この複合体は、重合体と、複合体の少なくとも5重量パーセントの充填率の表面改質された金属酸化物粒子とを含む。一般に、金属酸化物粒子は、約20ナノメートル未満の数平均一次粒子サイズと、約100ナノメートルを超えないz‐平均二次粒子サイズとを有する。表面改質は、粒子の表面上の複数の結合された分子を含むことができる。実施態様によっては、透明基板上の5ミクロンの厚さを有する膜に形成された複合体は、複合体被覆物のない基板の透過率に対して少なくとも約90%の1つの可視波長における透過率を有する。
【0006】
別の態様では、本発明は、重合体と、100nmを超えない平均一次粒子サイズを有する金属酸化物粒子との複合体を形成するための方法に関する。この方法は、表面改質された金属酸化物粒子と分散媒とを含む分散物の一部を、重合体と溶媒とを含む重合体溶液の中に段階的にブレンドして均一な重合体‐無機粒子複合体を形成することを含む。実施態様によっては、分散媒は溶媒と相溶性である。ブレンドすることは、一般に、事実上ブレンドから粒子が沈降しないように実行される。
【0007】
また別の態様では、本発明は、50nmを超えない平均一次粒子サイズを有する金属酸化物粒子の表面特性を改質するための方法に関する。この方法は、金属酸化物粒子の乾燥粉体を水と接触させて粒子表面の(‐OH)含有率を増加させること、水と相溶性の液体の添加によって粒子を沈殿させること、及び少なくとも約1重量パーセントの濃度と約100nmを超えないz‐平均二次粒子サイズとでアルコールの中に粒子を分散させることを含む。
【0008】
他の実施態様では、本発明は、増強された(‐OH)の寄与を有する表面構造を有する金属酸化物粒子を流れの中で製造するための方法に関する。この方法は、生成物粒子の流れを水蒸気に曝露すること、及び水によって改質された粒子を回収することを含む。実施態様によっては、粒子は、流れの中で金属酸化物前駆体を含む反応体の流れから合成される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】金属酸化物粒子のレーザー熱分解合成を実行するための反応チャンバの概略断面図である。
【図2】反応体をレーザー熱分解装置に供給する反応体供給システムの概略図である。
【図3】実施例1に記載されているように製造されたルチル二酸化チタンの代表的なX線回折図である。
【図4】実施例1に記載されているように製造されたルチル二酸化チタンの代表的な透過型電子顕微鏡像である。
【図5】実施例1に記載されているように製造されたルチル二酸化チタンの代表的な制限視野回折像である。
【図6】0.5重量パーセントの酸化チタン粒子の水中の分散物の動的光散乱プロットである。
【図7】0.5重量パーセントの酸化チタン粒子のメタノール中の分散物の動的光散乱プロットである。
【図8】0.5重量パーセントの酸化チタン粒子のプロピレングリコール中の分散物の動的光散乱プロットである。
【図9】水による前処理の後の酸化チタン粒子のメタノール中の分散物の動的光散乱プロットである。
【図10】水による前処理の後の酸化チタン粒子のプロピレングリコール中の分散物の動的光散乱プロットである。
【図11】ビーズ摩砕処理の後の酸化チタン粒子のプロピレングリコール中の分散物の動的光散乱プロットである。
【図12】水前処理の後の酸化チタン粒子のプロピレングリコール中の分散物の別の実施態様の動的光散乱プロットである。
【図13】オクタデシルトリメトキシシランによる表面改質の後のトルレン中に分散された図12の分散物の粒子の動的光散乱プロットである。
【図14】図13において分散された、表面改質された粒子の熱重量分析のプロットである。
【図15】図13の分散物の表面改質された粒子のフーリエ変換赤外スペクトルである。
【図16】図13の分散物の表面改質された粒子の透過型電子顕微鏡像である。
【図17】メタノール中の酸化チタン粒子の分散物の別の実施態様の動的光散乱プロットである。
【図18】メタシルオキシプロピルトリメトキシシランによる表面改質の後にメタノール中に分散された図17の分散物の粒子の動的光散乱プロットである。
【図19】図18の分散物の表面改質された粒子の熱重量分析のプロットである。
【図20】図18の分散物の表面改質された粒子のフーリエ変換赤外スペクトルである。
【図21】ヘキサメチルジシラザンによる表面改質の後にメチルエチルケトンの中に分散された酸化チタン粒子の動的光散乱プロットである。
【図22】図21において分散された、表面改質された粒子の熱重量分析のプロットである。
【図23】アリルトリメトキシシランによる表面改質の後にメチルエチルケトンの中に分散された酸化チタン粒子の動的光散乱プロットである。
【図24】図23において分散された、表面改質された粒子の熱重量分析のプロットである。
【図25】アクリレート共重合体中のメタリルオキシプロピルトリメトキシシランによって表面改質された酸化チタン粒子によって形成された複合膜の断面の走査型電子顕微鏡像である。
【図26】図25の膜の表面の走査型電子顕微鏡像である。
【図27】図25の膜の透過率測定値のプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
多くの用途のためのナノ粒子の効果的な使用は、粒子の凝塊物が減らされるような粒子の分散を含む。本明細書に記載される改善された材料は、分散物として用いられるか又は改善された重合体複合体の中に組み込まれることができる良好に分散された金属酸化物ナノ粒子を含む。実施態様によっては、粒子の改善された表面改質が改善された複合体の形成を提供する。改善された材料を形成するために、顕著な硬い融合のない高品質のナノ粒子が用いられて小さな二次粒子サイズを有する高度に分散された液体分散物を形成する。レーザー熱分解法は、高度に均一な分散可能なナノ粒子を形成する望ましい手法である。複合体全体に良好に分散されたナノ粒子を有する複合体を形成するために、液体中に良好に分散されたナノ粒子が用いられることができる。結果として得られる複合体は改善された均一性を有することができ、改善された均一性は結果として対応して改善された複合体の特性を生じる。これらの複合体は、複合体内の均一な分散と小さな実効二次無機粒子サイズとによる極めて良好な透明性など、改善された光学特性によって光学用途に特に望ましい。従って、本明細書に記載される複合体は、高屈折率透明光学材料としての使用に特に効果的である。
【0011】
サブミクロン規模における粒子サイズの概念は、異なる測定手法が粒子サイズに関する異なる情報を生むので複雑である。一次粒子サイズの概念は、多くの合成手法が、直接的に分散されることができない硬い凝塊物を生じるので発生した。歴史的に、火炎熱分解法は結果として一次粒子の融合された鎖を生じた。しかし、一次粒子は顕微鏡像で見ることができ、一次粒子は、表面積などの材料のいくつかの特性と有意に相関することがある。融合された凝塊物の不規則さも粉体を比較的高い充填密度で充填することを難しくすることがある。さらに、粒子の硬い融合によって、これらの粒子を用いて形成された複合体によって実現することができる特性に限界がある。
【0012】
物理的粒子という用語は、粒子の集まりの中の互いに硬く融合していない粒子を指すために用いられることができる。従って、一次粒子が硬く融合していれば一次粒子は物理的粒子と異なる。粒子が硬く融合していれば、硬く融合した一次粒子の1個の集りが1個の物理的粒子を形成する。一次粒子が硬く融合していなければ、物理的粒子は一次粒子と同じになる。下記にさらに記載されるように、物理的粒子は、一般に良好な透過型電子顕微鏡像から識別されることができる。組成物によっては、高いせん断によって研磨することは、例えば融合した一次粒子の間の融合した結合を壊すか又は一次粒子を破壊することによって、物理的粒子のサイズを低下させることができることがある。しかし、高いせん断によって研磨することは、結晶化度を低下させ、望ましくない他の面で粒子特性を変化させるとともに、高度に不均一な物理的粒子を生じることがある。研磨することによって発生した熱によっても、研磨することからの熱が粒子を焼結させることがあるので、多くの材料について研磨することによって実現することができる物理的粒子のサイズに下限があることがある。レーザー熱分解法及び他の流れを利用する手法によって形成される粒子の場合、物理的粒子は、合成において最初に形成された粒子が回収の前に融合しないことを反映して、一次粒子とほぼ等しくなることがある。
【0013】
二次粒子サイズとは、分散物の中の粒子サイズを指す。二次粒子サイズは、例えば、液体分散物からの光散乱を用いて測定されることができる。液体内に粒子を分散させる液体の能力は、粒子の表面特性、液体の性質、粒子の濃度及び粒子を分散させるために用いられるプロセスならびに物理的粒子サイズに依存する。基礎的な熱力学の原理によって、高濃度の粒子ほど凝塊を有利にする傾向がある。しかし、粒子の表面特性にもとづく溶媒/分散媒特性の適切な選択は、より良好な分散を促進することができる。同様に、せん断、音波及び/又は他の混合力/撹乱力の適用は、粒子の分散を促進することができる。本明細書に開示される高品質無機粒子は、適切な条件下で分散されて一次粒子サイズよりほぼ2,3倍大きな二次粒子サイズを有することができる。これらの優れた分散特性は、合成された金属/メタロイド酸化物の乾いた粉体の場合に最大5重量パーセント無機粉体又はさらに高い濃度など、適度に高い充填率で実現されることができる。
【0014】
選ばれた重合体を、選択可能な組成及び流通系の合成手法によって実現可能な特性を有する高度に分散された無機粒子と組み合わせる能力にもとづいて、改善された材料が得られることができる。粒子の良好な液体分散物を形成する能力は、重合体複合体全体にわたる粒子の均一な分散を促進する。均一性の高い複合材料は、対応して、粗く平均の特性を有するブレンド材料の挙動でなく、ハイブリッド特性を有する単一の材料としての挙動を有する。設定された距離の規模を有する物理的性質に関して、この均一な複合体は、均質な均一材料の外観を有することができる。特に、例えば重合体の中に均一に分散された50nm未満の平均二次粒子サイズを有する粒子は、光の波長が無機粒子サイズならびに不均一性の距離規模より大きいので、可視光に関して均一材料のように挙動する構造を有することができる。その結果、可視光はこの複合体全体にわたって高い透過率を有することができる。本明細書に開示されるように、約5重量パーセントより大きな濃度以上などの粒子充填率を有する複合体が形成されることができる。
【0015】
複合体の改善された光学特性は、重合体の中に分散された粒子の小さな平均粒子サイズ及び重合体の中に分散された粒子の狭い粒子サイズ分布に依存する。重合体の中の良好な分散物の形成は、無機粒子を粒子マトリックスと適合性にし、重合体内の粒子の凝塊を防ぐのを助ける無機粒子の適切な表面改質に依拠する。粒子の良好な表面改質を得ることは、表面改質剤の分子が、凝塊によって立体的に阻まれていない粒子のより多くの表面を被覆することができるように、分散媒の中の改質されていない粒子の凝塊量の少ない良好に分散された粒子を得ることに依存する。粒子が表面改質された後、粒子は、複合体の中に組み込まれる重合体又は単量体と適合する溶媒の中に懸濁される。この溶媒は、表面改質された粒子のための最適な分散媒であってよいが、液体は重合体の中へブレンドするために粒子を保持するだけなので、表面改質された粒子のための最適な分散媒である必要はない。表面改質された粒子のための分散媒が重合体との良好な適合性を有する限り、液体が除去されれば、改善された複合体が形成されることができる。
【0016】
無機粒子は、重合体複合体の中への取り込みのために表面改質されてもよく、されなくてもよい。表面改質剤は、無機粒子と化学的に結合してもよく、しなくてもよい。表面改質剤が粒子と化学的に結合しないなら、この組成物は、非特異的相互作用及び/又はエントロピー効果によって表面と会合してよい。同様に、重合体は、無機粒子に化学的に結合されてもよく、されなくてもよい。重合体が無機粒子に化学的に結合されるなら、重合体は、粒子表面に直接結合されるか、又は粒子表面に化学的に結合されている表面改質組成物への結合によって間接的に結合されてよい。無機粒子に結合された重合体を有する構造物が形成されるなら、表面改質用組成物としての起源を有する結合用組成物を区別するのは任意であってよいが、表面改質用組成物は、合成反応の結果として形成される官能基によって特定することができる存在を有することができる。本明細書中で用いられる化学結合とは、ある程度の共有結合特性を有する結合を指す。この結合は、例えば、有機組成物、金属‐配位子結合及び類似物に見いだされる結合を含むことができる。
【0017】
特定の官能基は、無機粒子と化学結合を形成する能力を有する。これらの官能基は、表面改質剤及び/又は重合体を無機粒子表面に結合させるための基礎を形成することができる。重合体に結合させることは、重合体末端基によって、及び/又は重合体側鎖によって行うことができる。重合体を直接又は間接にナノ粒子と結合させることは、参照によって本明細書に組み込まれる「重合体‐無機粒子複合体(Polymer‐Inorganic Particle Composites)」という標題のカンベ(Kambe)らの米国特許第6,599,631号明細書中にさらに考察されている。表面改質用組成物が無機粒子に化学的に結合されていてもいなくても、重合体は表面改質剤に化学的に結合されることができる。
【0018】
本明細書中に記載されている複合体を形成するために、広い範囲の重合体が個別に又は組み合わされて用いられることができる。特に、有機重合体、及びポリシロキサンなどのシリコン系重合体が複合体の形成に適している。実施態様によっては、重合体は、表面改質剤又は無機粒子に結合するのに適している特定の官能基を有するように選択されるか又は改質される。一般に、重合体は、結果として得られる複合体に所望の特性を付与するように選択される。重合体は、最終複合体内で架橋されていてもよく、いなくてもよい。
【0019】
一般に、複合体のために望ましい粒子はサブミクロンである。すなわち、粒子の集まりは、約1ミクロン、1ミクロンは1000ナノメートル(nm)に等しい、を超えず、光学用途の場合は一般に約100nmを超えない平均一次粒子直径を有する。実施態様によっては、粒子は、粒子サイズが非常に均一であり、これによって、粒子の集りは対応する特性の均一性を有する。実施態様によっては、複合体は、最終的な複合体に種々の特性を付与するように選ばれることができる無機粒子の混合物を含む。例えば、火炎熱分解法、燃焼法などの蒸気系流通プロセス、又はゾルゲル手法などの溶液系手法によって適当なナノ粒子が形成されることができる。
【0020】
生成物粒子組成に関する柔軟性、直接的に又は穏やかな追加の加工法によって高度に結晶性の粒子を形成する能力、及びドーパントを導入する広い範囲の能力によって、流れの中の蒸気系粒子製造技法が望ましい。しかし、結果として得られる粒子の乾燥粉体は、加工するのが難しくなる。特に、これらの粒子は、液体の中に分散させるのが難しくなる。これに対して、溶液系合成手法は、固有に分散しやすい粒子を形成させることができるが、粒子は、低下した結晶化度レベル、限られた化合物選択、及び種々の結晶構造の中から選ぶ上での難しさによって、望ましさの低い特性を有することがある。
【0021】
本明細書中に記載されているように、改善された手法が乾燥ナノ粒子粉体を分散させ、分散物の中の粒子の表面改質を実行し、複合体を形成させることが見いだされる。本明細書中に記載されている改善された加工手法の1つ以上を用いると、複合体全体にわたる極めて良好な粒子の分散によって顕著に改善された光学特性ならびに高い粒子充填率を有する複合体が形成されることができる。従って、蒸気系粒子合成の利点が、高度に分散された粒子を有する望ましい溶液系加工手法と組み合わされて従来は実現することができなかった特性を有する改善された複合体を得ることができる。
【0022】
特に興味深いいくつかの実施態様では、粒子は、強力な光源からの光が反応を推進して粒子を形成させるレーザー熱分解法によって合成される。レーザー熱分解法は、特に多面的な蒸気系粒子合成手法である。レーザー熱分解法は、組成、結晶化度及びサイズが高度に均一な粒子の形成において有用である。
【0023】
レーザー熱分解法は、例えば複数の金属/メタロイド元素ならびにドーピングされた材料を有する組成物を含む広い範囲の複雑な無機粒子の合成に用いられ、成功を収めてきた。例えば、望ましい特性を有する蛍光体粒子が製造された。例えば、参照によって本明細書に組み込まれる高ルミネセンス性蛍光体粒子及び関連粒子組成物(High Luminescent Phosphor Particles and Related Particle Compositions)」という標題のクマー(Kumar)の米国特許第6,692,660号明細書を参照すること。高品質ルチル酸化チタン粒子も高い屈折率を有する複合体を形成するのに適している。ルチル二酸化チタンの形成は、参照によって本明細書に組み込まれる重合体無機粒子複合体(Polymer Inorganic Particle Composites)」という標題のカンベ(Kambe)らの米国特許第6,599,631号明細書中にさらに記載されている。下記に、レーザー熱分解によって形成される他の望ましい無機粒子が記載されている。
【0024】
無機粒子は、金属元素及び/又はメタロイド元素を元素の形で又は化合物として含む。詳しくは、無機粒子は、例えば、元素金属又は元素メタロイド、すなわちイオン化されていない元素、金属/メタロイド酸化物、金属/メタロイド窒化物、金属/メタロイド炭化物、金属/メタロイド硫化物、又はそれらの組み合わせを含むことができる。本明細書に記載されている複合体のために、金属/メタロイド酸化物化合物が特に興味深い。メタロイドとは、金属と非金属との間の中間の又は両方を含む化学的性質を示す元素である。メタロイド元素は、シリコン、ホウ素、ヒ素、アンチモン及びテルルを含む。
【0025】
結晶性粒子の場合、粒子の表面は、結晶構造の突然の終結を表す。粒子の表面化学と表面における結晶の構造とは互いに相関している。概念として、単に結晶構造を突然終らせると結果としてダングリングボンドによってフリーラジカル又は類似の不安定構造物が生じる。ある種のラジカルは安定なことがあるが、一般に粒子表面は転位して表面の近くの表面汚れ及び結晶構造の変化を有することができる化学的に安定な化学種を形成する。
【0026】
金属酸化物粒子の場合、粒子表面上の構造は、橋かけ酸素原子(‐O‐)又は二重結合酸素原子(=O)を有して結晶構造を適切な化学的安定性で終結させることができる。しかし、これらの構造は、比較的不活性な表面を除いて歪んだ表面を導入する傾向がある。あるいは、又はさらに、H又はハロゲンなどの一価原子の存在は、M‐Cl又はM-O-H、ここでMは結晶の金属原子、などの安定な基で結晶構造を終結させることがある。一価原子における結晶格子の打ち切りは、表面歪みを軽減させることができ、その結果、粒子表面近くの結晶再構成が少なくなり、後の表面改質のための表面基を提供する。
【0027】
レーザー熱分解法によって形成された粒子と水との接触は、表面化学を改質することができることが発見された。理論によって限定されることは望まないが、この表面改質は、水がCl1−イオン又は他の反応性基を粒子表面から移動させ、これらを(‐OH)基で置き換える結果のことがある。水によるこの処理がアルコール中の粒子の分散を改善し、アルコキシシランによる粒子の表面改質も改善することが見いだされた。表面に結合された塩素原子を有する、他の流れ系技法によって形成された粒子は、水によって同様に改質されると予測される。水処理は、飛行時(in‐flight)に実行されるか又は水と形成されたままの(as‐formed)粒子との別個の接触によって実行されることができる。
【0028】
無機粒子の表面改質のための組成物は、特定の無機粒子の表面と会合する能力によって選択されることができる。表面改質組成物は、一般に、反応性官能基を有さないか、1つの反応性官能基、2つの反応性官能基又は3つ以上の反応性官能基を有することができる。官能基は粒子との非結合性相互作用ならびに溶媒/分散媒との変化する相互作用に寄与することもできるが、反応性官能基の数は、一般に粒子表面及び/又は重合体に対する表面改質剤の所望の化学結合と矛盾しない。
【0029】
アルコキシシランは大分前から金属酸化物粒子の表面と化学的に結合することが知られてきた。アルコキシ基は加水分解して対応するアルコールを形成し、シランは酸素基によって粒子に結合される。すなわち「粒子‐O‐シラン」結合である。結果として得られる基の酸素原子を粒子の一部とみなすのか又はシラン基の一部とみなすのかは任意であるが、この得られる基は便宜上オキシシラン基と呼ばれることができる。3つのアルコキシ基の加水分解は、結果として3点で粒子表面に結合された非常に安定な表面改質基を生じるので、一般にトリアルコキシシランが用いられる。
【0030】
一般に、本明細書中に記載されているプロセスは、表面改質のない乾燥金属酸化物によって出発する液体分散物の形成に関する。溶液系プロセスなどの他のプロセスが用いられることができるが、金属/メタロイド酸化物粉体は、蒸気系の流通合成方法から形成されることができる。溶液中で形成された粉体は、合成された後、溶液から粒子を回収する前により便利に表面改質されることができるが、粒子を改質されていない乾燥粉体として熱的に加工して粒子の特性を表面改質と適合しない方法で変化させるか又は改善することが望ましいことがある。従って、ゾルゲルなどの溶液系の方法によって、表面改質のない金属/メタロイド酸化物の乾燥粉体が形成されることができる。しかし、溶液系の手法によって形成された改質されていない粒子は、おそらくこれらの材料の表面化学によって、回収及び/又はさらに加工すると硬い凝塊物を形成する傾向がある。
【0031】
分散物に関して、実施態様によっては、最後の目的は、一般に表面改質剤を有する粒子の分散物の形成を含む。表面改質された粒子によるこれらの分散物は、表面改質されていない粒子による分散物より高い粒子濃度で安定な分散物として形成されることができる。しかし、この分散プロセスは、プロセス中で少なくとも2つの段階を用いて実行した方がよいことが見いだされた。詳しくは、表面改質のない粒子が液体の中に良好に分散され、液体は、非結合性の表面活性剤を有することもあり、有しないこともある。次に、良好に分散された、改質されていない粒子によるこの分散物が表面改質化合物と接触させられる。この第2の段階は、溶媒/分散媒液体の変化を含むこともあり、含まないこともある。
【0032】
一般に、改質されていない粒子を分散させる能力は、分散媒の選択に顕著に依存する。改質されていない無機粒子の乾燥粉体が液体の中に良好に分散されることができ、表面改質用化合物が同じ液体の中に可溶性であるなら、良好に分散された、改質されていない粒子に表面改質用化合物が加えられることができる。しかし、目的は、広い範囲の材料を製造するための選択肢を有する多面的な加工手法を有することである。表面改質用化合物が粒子のための適当な分散媒である液体の中に可溶性でないなら、表面改質用化合物は、粒子のための分散媒と相溶性である液体の中に溶解されることができる。従って、表面改質用溶液が粒子分散物と混合されるとき、表面改質用化合物は粒子表面と効果的に接触することができる。こうすると、より広い範囲の表面改質剤を有する非常に良好に分散された粒子が実現されることができる。さらに、表面改質された粒子が形成されたら、第2の液体が表面改質された粒子の分散を安定化させるのを助ける。粒子は表面改質の前に良好に分散されるので、対応して凝塊がほとんど又はまったくない良好に分散された表面改質された粒子が得られることができる。
【0033】
一般に、表面改質された粒子は、改質されていない粒子より高い濃度で良好に分散されることができる。表面改質が実行された後のこのより高い濃度を実現するために、溶媒が分散物から蒸発させられることができる。しかし、蒸発させられた溶媒がリサイクルされても、溶媒を蒸発させることは顕著な量のエネルギーを消費することがある。従って、表面改質された粒子を沈殿させることが望ましいことがある。粒子は、相溶性の液体を加えて粒子が分散されたままでいない液体ブレンドを形成させることによって沈殿させられることができる。粒子が液体から沈降したら、液体はデカンテーションして除かれることができる。表面改質された粒子は、一般に、乾燥しない限り、元の改質されていない粉体より顕著に再懸濁しやすい。表面改質された粒子は、所望の濃度で再懸濁されることができる。
【0034】
流通系の合成手法によって製造された金属酸化物粒子は、メタノール又はプロピレングリコールなどのアルコールの中に改質されていない形で適度な濃度で良好に分散されることができることが見いだされた。平均二次粒子サイズは、一般に特定のアルコール中の分散物の中より大きいが、合成されたままの粒子は、適度な濃度で水の中に安定に分散されることができる。粒子の水との接触も粒子の表面上の‐OH基の存在を増加させることができることも発見された。‐OH基の増加された存在は、その後のアルコール中の粒子の分散を改善し、アルコキシシランなどの表面改質剤と結合するための追加の官能基を提供する。従って、無機粒子の最初の水との接触及びその後の適当なアルコール中の分散の結果、驚くほど改善されたアルコール中の分散物が得られる。改善された分散は、特定の濃度で比較的小さな平均二次粒子サイズを有し、安定である。
【0035】
水による形成後処理への代替法として、粒子の合成の後であるが粒子の回収の前に、粒子が移動中に水と接触することができる。水は、反応チャンバ内の反応区域の下流及び/又は回収システムの管路内で生成物の流れの中に例えばエーロゾルとして導入されることができる。水は、適切な入口を用いて導入されることができる。参照によって本明細書に組み込まれる2006年5月22日出願の「反応生成物流れ内の無機粒子の飛行時改質(In‐Flight Modification of Inorganic Particles Within a Reaction Product Flow)」という標題のチルボル(Chiruvolu)らの係属中の米国特許出願第11/438,477号明細書中に、レーザー熱分解、又は火炎合成手法などの他の反応性流れによって形成された無機粒子の移動中改質がさらに記載されている。
【0036】
良好に分散された粒子は、一連の用途のための分散物として供給されることができる。粒子は、表面改質されて供給されることもあり、表面改質されないで供給されることもある。実施態様によっては、表面改質された粒子を出荷するのが望ましく、これは一般に分散物がさらに安定となり、一般に濃度がさらに高くなるためである。分散物が顕著に高濃度であるなら出荷コストはそれに対応して低くなり、分散物が安定であるなら商品寿命が高くなる。分散物は、粒子を一連の構造物に供給するために用いられることができる。分散物は、スプレーコーティング、スピンコーティング、印刷法及び類似法などの一連の供給手法を用いて供給されることができる。しかし、用途によっては、分散物は、デバイスのための構造物にさらに加工される前に溶液中で形成される複合材料を形成するために用いられる。
【0037】
原理的に、良好に分散された粒子の重合体複合体の中への取り込みは直截的に見えるが、粒子を適切に複合材料全体にわたって一様に分散させるのは複雑になることがある。第1の複雑化要因は、重合体のために適当な溶媒が粒子分散物のために適当でないことがあることである。粒子分散物は、一般に液体の性質に非常に敏感である。第2の複雑化要因は、複合体を形成する前に粒子が良好に分散されていても、粒子は複合体の中で塊りとなる傾向があることである。無機粒子表面改質剤が適切に選ばれれば、重合体は、粒子が重合体の中に良好に分散されているなら良好に分散されたままでいるように、表面改質された粒子と安定に相互作用する。特に、表面改質された粒子は、粒子が重合体と化学的に結合していようといまいと、重合体と安定な形成物を形成する傾向がある。しかし、粒子が顕著に凝塊するなら、後で粒子を重合体の中に均一に分散させるのは難しくなることがある。
【0038】
重合体分子は、均一な構造物の中への粒子の取り込みを不利にすることができる溶液中の構造を有することがある。例えば、重合体分子は、溶液内で折り畳まれてナノスケール重合体粒子を形成することができる。溶液内の重合体分子の折り畳みは、重合体粒子の表面しか露出されないことがあるので、複合体内の粒子の均一なブレンド化をさらに不利にすることができる。重合体分子の三次構造を変性させる溶媒の選択は、均一な複合体の形成を有利にすることができる。重合体の分子量分布及び重合体の濃度は、選ばれた溶媒中の重合体溶液の粘度を決定する。より低い粘度は無機粒子分散物との混合を改善する。一定の分子量の場合、所望の範囲内の粘度を提供するために溶媒及び濃度が調整されることができる。混合条件は、高分子が再配置し、粒子が重合体高分子の中へ組み込まれる混合プロセスの間に適切な量の時間及び環境を提供するように選ばれるべきである。
【0039】
これらの問題は、重合体溶液を混合しながらの重合体の溶液への粒子分散物の段階的な添加によって顕著に克服されることができる。粒子分散物の滴下による添加又は他の段階的な添加は、一緒にされた溶液内の低濃度の粒子を残し、粒子は重合体とまだ会合していない。無機粒子が重合体と会合すると、一般に、これらの粒子は、他の無機粒子と凝塊物を形成するのに利用可能でない。従って、粒子分散物の重合体溶液との段階的な添加によって、粒子は、より小さな距離規模で材料が均一な材料の外観を有するように、複合体全体にわたって非常に均一に分配されることができる。
【0040】
実施態様によっては、分散された粒子は、重合の前に溶媒中の単量体又はオリゴマと混合されることができる。良好なブレンド化を得るために、段階的な添加も用いられることができる。重合は、粒子分散物の添加時又は粒子が重合体前駆体とブレンドされた後に開始されることができる。ラジカル開始剤などの反応体、触媒、放射線、それらの組み合わせ又は類似物の添加によって重合又は架橋が開始されることができる。
【0041】
重合体又は重合体前駆体の溶液への粒子の添加について、表面改質化合物を無機粒子分散物と混合する場合に遭遇する問題と同様な溶媒安定性の問題が発生する。特に、粒子のために用いられる分散媒は、重合体又は重合体前駆体のための溶媒と相溶性であるべきである。溶媒の適切な選択は、粒子が重合体材料に加えられるとき凝塊を減らす。分散媒のこの選択は、粒子が重合体溶液に段階的に加えられる実施態様の場合にも溶媒全体にわたって粒子の分散を改善する。
【0042】
本明細書中に記載される改善された均一性を有する複合材料は、顕著に改善された光学特性を提供する。特に、材料は可視及び赤外の距離規模で顕著により均一になることができるので、複合体は、適切な波長を有する光に対して顕著により透明になる。理論に限定されることは望まないが、粒子のクラスタ化からの結果として、又は同様に大体光の波長の距離の大きさのオーダーである微視的な屈折率の変動によって、均一性の低い複合体の増加された散乱が生じると想像することができる。それでも、本発明において実現される複合体の改善された均一性は、粒子のない重合体によって形成された対応する構造物の中の透過率に対して90パーセントより大きな可視光の透過率を提供する。
【0043】
複合体の他の光学特性は、同様に改善されることができる。例えば、蛍光体粒子を有する複合体の形成は、改善された材料の均一性によって改善された複合体のルミネセンスを結果として生じることができる。他の機能性光学材料は、同様に改善された複合体の均一性によって改善された性能を有する。
【0044】
無機粒子の組成
一般に、複合体を形成するために任意の安定な組成を有する無機粒子が用いられることができる。実施態様によっては、粒子は、約1ミクロンを超えない平均直径を有し、別の実施態様では、結果として得られる材料のために所望の特性を導入するように、より小さな粒子サイズを有する粒子を有することが望ましい。一般に、粒子の組成は、所望の特性を複合体に付与するように選ばれる。従って、光学材料の形成において、例えば、無機粒子の光学特性は、屈折率、発光及び/又は透明性などの所望の光学特性を有する複合材料を形成するように選ばれることができる。
【0045】
均一な複合材料を形成することに関して、小さな均一な無機粒子が加工利点を提供することができる。さらに、小さな無機粒子は、例えば、紫外線の方へ移動した吸収スペクトル及び減らされた可視光の散乱を含む光学用途のための望ましい特性を有する。例えば、レーザー熱分解法、火炎合成法、燃焼法、又はゾルゲル手法などの溶液系プロセスによって適当なナノ粒子が形成されることができる。特に、組成、結晶化度及びサイズが高度に均一な粒子の形成においてレーザー熱分解法が有用である。レーザー熱分解法は、反応を推進して粒子を形成させる強い光源からの光を含む。レーザー熱分解法は、選ばれた組成及び狭い平均粒子直径の分布を有する広い範囲のナノスケール粒子を効率的に製造するための優れた手法である。あるいは、参照によって本明細書に組み込まれる「ナノスケールセラミック粒子を製造するための装置(Apparatus for Producing Nanoscale Ceramic Particles)」という標題のヘルブル(Helble)らの米国特許第5,447,708号明細書に記載されている装置などの火炎製造装置を用いてサブミクロン粒子が製造されることができる。さらに、参照によって本明細書に組み込まれる「金属酸化物の超微細球状粒子及びその製造のための方法(Ultrafine Spherical Particles of Metal Oxide and a Method for the Production Thereof)」というイノウエ(Inoue)らの米国特許第4,842,832号明細書に記載されている装置などの熱反応チャンバによってサブミクロン粒子が製造されることができる。
【0046】
便宜上、光系の熱分解法は、レーザー熱分解と呼ばれるが、これは、この用語が放射源としてのレーザーの利便性を反映し、当分野における通常の用語であるからである。本明細書中で考察されるレーザー熱分解手法は、気体、蒸気、エーロゾル又はそれらの組み合わせを含んで所望の元素を流体の流れの中に導入することができる反応体の流れを組み込む。気体、蒸気及び/又はエーロゾル前駆体を有する反応体の流れを発生させる多面性は、広い範囲の潜在的な組成を有する粒子の発生を提供する。
【0047】
サブミクロン/ナノスケール粒子の集まりが約500nm未満、実施態様によっては約2nmから約100nm、あるいは約2nmから約75nm、又は約2nmから約50nmの一次粒子の平均直径を有することがある。これらの特定の範囲内の他の範囲が本明細書中の開示によって包含されることは当業者には自明であろう。一次粒子直径は透過型電子顕微鏡法によって評価される。
【0048】
本明細書中で用いられる用語「粒子」は、任意の融合した一次粒子が凝集体、すなわち物理的粒子とみなされるように、融合していない物理的粒子を指す。レーザー熱分解によって形成された粒子の場合、一般に、粒子は事実上一次粒子すなわち材料内の一次構造要素と同じであることができる。いくつかの一次粒子の硬い融合があるなら、これらの硬く融合した一次粒子は対応して大きくなった物理的粒子を形成する。一次粒子は、ほぼ球状の全体的外観を有するか又はロッド形状、プレート形状又は他の非球体形状を有することができる。より詳細に調べると、一般に、結晶性粒子は下にある結晶格子に対応するファセットを有する。一般に、非晶質粒子は、球形の態様を有する。非対称性を有する粒子の直径測定値は、粒子の主軸上の長さ測定値の平均にもとづく。
【0049】
粒子は、小さなサイズのため、近傍粒子間のファンデルワールス力及び他の電磁力によって緩やかな凝塊物を形成する傾向がある。これらの緩やかな凝塊物は,顕著な度合いに、実施態様によってはほぼ完全に分散媒の中に分散されて分散された一次粒子を形成することができる。分散された粒子のサイズは、二次粒子サイズと呼ばれることができる。一次粒子サイズは、もちろん、一次粒子が実質的に融合しておらず、粒子が液体の中に事実上完全に分散されているなら、平均二次粒子サイズが近似的に平均一次粒子サイズであることができるように、特定の粒子の集まりについての二次粒子サイズの下限である。
【0050】
二次粒子サイズ又は凝塊された粒子のサイズは、初期形成の後の粒子のその後の加工ならびに粒子の組成及び構造に依存することがある。特に、粒子の表面化学、分散媒の特性、せん断力又は音響力及び類似力などの撹乱力の適用が、粒子を完全に分散させる効率に影響することがある。実施態様によっては、二次粒子は、約1000nmを超えない、別の実施態様では約500nmを超えない、さらに別の実施態様では約2nmから約300nm、他の実施態様では約2nmから約100nm、あるいは約2nmから約50nmの平均直径を有する。これらの特定の範囲内の他の範囲が包含され、本開示の範囲内にあることは当業者には自明であろう。
【0051】
液体分散物内の二次粒子サイズは、動的光散乱法などの確立された手法によって測定されることができる。適当な粒子サイズ分析装置は、例えば、動的光散乱法にもとづくハネウェル(Honeywell)からのマイクロトラックUPA(Microtrac UPA)装置、日本の堀場製作所(Horiba, Japan)からの堀場粒子サイズ分析装置(Horiba Particle Size Analyzer)、及び光子相関分光法によるマルバーン(Malvern)からのゼータサイザーシリーズ(ZetaSizer Series)の装置を含む。液体中の粒子サイズ測定のための動的光散乱法の原理は十分に確立されている。
【0052】
粒子が緩やかな凝塊物を形成することがあるとしても、粒子のナノメートルの規模は、粒子の透過型電子顕微鏡像において明瞭に観察することができる。一般に、粒子は、顕微鏡像において観測されるようにナノメートルの規模で粒子に対応する表面積を有する。さらに、粒子は、材料の小さなサイズ及び重量あたり大きな表面積による固有の特性を顕わすことができる。例えば、結晶性のナノスケールのTiO粒子の吸収スペクトルは紫外域の方へ移動する。
【0053】
粒子は、高度のサイズの均一性を有することができる。一般に、レーザー熱分解法は、結果として非常に狭い範囲の粒子直径を有する粒子を生じる。さらに、適当に緩やかな条件下の熱加工は、一般にこの非常に狭い範囲の粒子直径をあまり変化させない。レーザー熱分解法の場合に反応体のエーロゾル供給を用いると、粒子直径の分布は反応条件に特に敏感である。それでも、反応条件が適切に制御されれば、エーロゾル供給システムを用いて非常に狭い粒子直径の分布が得られることができる。透過型電子顕微鏡像の検討から測定されるとき、粒子は、一般に、少なくとも粒子の約95パーセント、実施態様によっては99パーセントが平均直径の約35パーセントより大きく、平均直径の約220パーセントより小さな直径を有するようにサイズの分布を有する。別の実施態様では、粒子は、一般に、少なくとも粒子の約95パーセント、実施態様によっては99パーセントが平均直径の約40パーセントより大きく、平均直径の約160パーセントより小さな直径を有するようにサイズの分布を有する。特に興味深い実施態様では、粒子は、少なくとも粒子の約95パーセント、実施態様によっては99パーセントが平均直径の約60パーセントより大きく平均直径の約140パーセントより小さな直径を有するようにサイズの分布を有する。これらの特定の範囲内の他の範囲の均一性が本明細書中の開示によって包含されることは当業者には自明であろう。
【0054】
さらに、実施態様によっては、基本的に、平均直径の約5倍、他の実施態様では平均直径の約4倍、さらに別の実施態様では平均直径の約3倍、別の実施態様では平均直径の2倍より大きな平均直径を有する粒子はない。言い換えると、粒子サイズ分布は、顕著に大きくなったサイズを有する少数の粒子を示す尾の部分を事実上有しない。これは、無機粒子を形成する小さな反応領域及び無機粒子の対応する迅速な急冷の結果である。サイズ分布の尾の部分の有効なカットオフは、平均直径より上の特定のカットオフ値より大きな直径を有する粒子が10個に約1個未満しかないことを示す。さまざまな用途において高い粒子均一性が利用されることができる。
【0055】
さらに、複合体粒子の中への取り込みのためのナノ粒子は、非常に高い純度レベルを有することがある。さらに、レーザー熱分解法によって製造されたものなどの結晶性ナノ粒子は、高い結晶化度を有することができる。同様に、レーザー熱分解法によって製造された結晶性ナノ粒子は、続いて熱加工されて結晶化度及び/又は特定の結晶構造を改善し、及び/又は改質することができる。粒子を加熱することによって粒子の表面の上の不純物が除去されて高い結晶純度だけでなく高い全体の純度も実現されることがある。
【0056】
望ましい無機ナノ粒子の製造のためのレーザー熱分解法の好適な適用の基本的な特徴は、1つ以上の金属/メタロイド前駆体化合物、放射吸収剤、及び実施態様によっては二次反応体を含む反応体の流れの発生である。二次反応体は、所望の生成物のために必要な酸素などの非金属/メタロイド原子の源、及び/又は所望の生成物形成を推進する酸化剤又は還元剤であってよい。前駆体が強い光放射下で分解して所望の生成物となるなら、二次反応体が用いられないことがある。同様に、金属/メタロイド前駆体及び/又は二次反応体が適切な光放射を吸収して反応を推進するなら、別個の放射吸収剤が用いられないことがある。反応体の流れの反応は、光線、例えばレーザービームなどの強い放射ビームによって推進される。実施態様によっては、COレーザーが効果的に用いられることができる。反応体の流れが放射ビームから離れるとき、無機粒子は、反応体の流れの継続である、結果として得られる生成物粒子の流れの中に存在する粒子によって迅速に急冷される。流れの概念は、1つの位置から起こり別の位置で終り、混合構成中の移動から区別される、これら2点間の質量の移動を有する流れという通常の意味を有する。
【0057】
レーザービームの経路上の方向に著しく伸長された反応体入口を用いて、レーザー熱分解法による商業規模量の粒子の製造に適するレーザー熱分解装置が開発された。例えば1時間あたり1キログラム以上のこの高能力レーザー熱分解装置は、参照によって本明細書に組み込まれる「化学反応による粒子の効率的な製造(Efficient Production of Particles By Chemical Reaction)」という標題の米国特許第5,958,348号明細書中に記載されている。参照によって本明細書に組み込まれる「反応体供給装置(Reactant Delivery Apparatus)」という標題の係属中及び共通出願人のガードナー(Gardner)らの米国特許第6,193,936号明細書中に、レーザー熱分解法による粒子の商業生産のためのエーロゾル前駆体の供給のための手法が記載されている。
【0058】
一般に、レーザー熱分解法によって製造されたナノ粒子が追加の加工に付されて組成及び/又は結晶化度などの粒子の特性を変化させることができる。例えば、ナノ粒子は、使用の前に気体雰囲気中の熱加工に付されることができる。適当に穏やかな条件下で、熱加工は最初の粒子のナノスケールサイズ又は狭い粒子サイズ分布を損なわずに粒子の特性を改質するために効果的である。例えば、参照によって本明細書に組み込まれる「熱による酸化バナジウム粒子の加工法(Processing of Vanadium Oxide Particles With Heat)」という標題のビー(Bi)らの米国特許第5,989,514号明細書中に、サブミクロン酸化バナジウム粒子の熱加工法が記載されている。
【0059】
追加の熱加工を用いて、又は用いないでレーザー熱分解法によって広い範囲の簡単な及び複雑なサブミクロン及び/又はナノスケールの粒子が製造された。一般に、無機粒子は、通常、金属又はメタロイド元素を元素の形又は化合物の形で含む。詳しくは、無機粒子は、例えば、元素金属又は元素メタロイド、すなわち銀又はシリコンなどのイオン化されていない元素、金属/メタロイド酸化物、金属/メタロイド窒化物、金属/メタロイド炭化物、金属/メタロイド硫化物又はそれらの組み合わせを含むことができる。さらに、ナノ粒子炭素材料を製造するための能力がある。複雑な三成分及び四成分化合物を含む粒子も作られた。さらに、これらの高品質材料の均一性は著しいものであることができる。一般に、これらの粒子は、非常に狭い粒子サイズ分布を有することができる。ナノ粒子の広い範囲の組成及び結晶構造の利用可能性は、ナノ粒子と重合体との間の潜在的な組み合わせならびに結果として得られる複合体の特性において対応する顕著な範囲を提供する。
【0060】
粒子の電気特性に関して、いくつかの粒子は、粒子が電気伝導体、電気絶縁体又は電気半導体であるように、組成物を含む。適当な電気伝導体は、例えば、元素金属及びいくつかの金属組成物を含む。一般に、金属などの電気伝導体は、約1×10−3オーム‐cmを超えない室温比抵抗を有する。一般に、電気絶縁体は、少なくとも約1×10オーム‐cmの室温比抵抗を有する。電気半導体は、例えば、シリコン、GaN、CdS及びInPを含む。半導体結晶は、いわゆるII‐VI化合物、III‐V化合物及びIV族化合物、ここで数は周期律表中の族を指す、を含むように分類されることができる。半導体は、純粋な形での温度による電気伝導率の大きな増加、及び電気的に活性な不純物でドーピングしたときの何桁もの電気伝導率の増加を特徴とする。一般に、半導体は、観測される電気伝導率挙動を結果として生じるバンドギャップを有する。一般に、半導体の電気伝導率は、室温で金属の電気伝導率と良好な電気絶縁体の電気伝導率との間である。
【0061】
レーザー熱分解法によっていくつかの異なる種類のナノスケール粒子が製造された。一般に、選択される無機粒子は、さまざまな相対比率で存在する複数の異なる元素を有する組成物を含むことが特徴とされることができ、数及び相対比率はナノスケール粒子のための用途によって選択される。製造され(可能性として熱処理などの追加の加工を用いて)たか又はレーザー熱分解法による製造について詳しく記載された材料は、例えば炭素粒子、シリコン、SiO、ドーピングされたSiO、酸化チタン(アナターゼ及びルチルTiO)、MnO、Mn、Mn、Mn、酸化バナジウム、酸化銀バナジウム、酸化リチウムマンガン、酸化アルミニウム(γ‐Al、デルタ‐Al及びシータ‐Al)、ドーピングされた酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化スズ、酸化亜鉛、希土類金属酸化物粒子、希土類をドーピングされた金属/メタロイド窒化物粒子、希土類金属/メタロイド硫化物、希土類をドーピングされた金属/メタロイド硫化物、銀金属、鉄、酸化鉄、炭化鉄、硫化鉄(Fe1−xS)、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、チタン酸バリウム(BaTiO)、ケイ酸アルミニウム、チタン酸アルミニウム、炭化シリコン、窒化シリコン、及び錯アニオン例えばリン酸塩、ケイ酸塩及び硫酸塩との金属/メタロイド化合物を含む。レーザー熱分解法による一連の粒子の製造は、参照によって本明細書に組み込まれる「ナノ粒子製造法及び対応する構造物(Nanoparticle Production and Corresponding Structures)」という標題のビー(Bi)らの米国特許出願公開第2003/203205号明細書にさらに記載されている。
【0062】
レーザー熱分解法及び他の流通反応器システムを用いて、選ばれたドーパントを有するサブミクロン及びナノスケールの粒子が製造されることができる。複数の選ばれたドーパントを含む複雑な組成を有する非晶質の粉体及び結晶性の粉体が形成されることができる。光学材料及び類似物を形成するためにこれらの粉体が用いられることができる。参照によって本明細書に組み込まれる「光学材料及び光デバイス(Optical Materials And Optical Devices)」という標題のホーン(Horne)らの米国特許第6,849,334号明細書中に、希土類ドーパント及び/又は他の金属ドーパントなどのドーパントを有する非晶質サブミクロン及びナノスケールの粉体及びガラス層がさらに記載されている。参照によって本明細書に組み込まれる「高ルミネセンス蛍光体粒子(High Luminescence Phosphor Particles)」という標題のクマー(Kumar)らの米国特許第6,692,660号明細書中に、希土類ドーパントなどのドーパントを有する結晶性サブミクロン及びナノスケールの粒子がさらに記載されている。
【0063】
ドーパントは、反応体の流れの組成を変化させることによって所望の量で導入されることができる。ドーパントは、反応体の流れの中の組成及び加工条件を適切に選ぶことによって、適切なホスト材料の中に導入される。従って、例えば希土類ドーパント及び/又は複雑なドーパント組成物のブレンドを含む選ばれたドーパントを有するホスト組成物として1つ以上の金属又はメタロイド元素を組み込むサブミクロン粒子が形成されることができる。ホスト材料が酸化物である実施態様の場合、反応体の流れの中に酸素源も存在するべきである。これらの実施態様の場合、反応器の中の条件は、酸化物材料を製造するために十分に酸化性であるべきである。
【0064】
さらに、ドーパントが導入されて結果として得られる粒子の特性を変化させることができる。例えば、ドーパントが導入されて粒子の光学特性を変化させ、続いて粒子が重合体‐無機粒子複合体粒子の中に組み込まれることができる。光学用途の場合、選ばれた周波数範囲の光によって動作する特定の光デバイスを形成するように屈折率が変えられるか、又は粒子が蛍光体として機能することができるようにドーパントが粒子に蛍光特性又はリン光特性を導入することができる。材料の加工特性を変化させるようにドーパントが導入されることもできる。さらに、ドーパントが材料内で相互作用することもできる。例えば、他のドーパントの溶解性を増加させるようにいくつかのドーパントが導入される。
【0065】
実施態様によっては、一つ又は複数のドーパントは、希土類金属、又は1つ以上の他のドーパント元素を有する希土類金属である。希土類金属は、周期律表のIIIb族の遷移金属を含む。詳しくは、希土類元素は、Sc、Y及びランタニド系列を含む。他の適当なドーパントは、アクチニド系列の元素を含む。光学ガラスの場合、ドーパントとして特に興味深い希土類金属は、例えばHo、Eu、Ce、Tb、Dy、Er、Yb、Nd、La、Y、Pr及びTmを含む。一般に、興味深い希土類イオンは+3のイオン化状態を有するが、Eu+2及びCe+4も興味深い。希土類ドーパントは、光増幅装置及び他の光デバイスの製造へのこれらの材料の利用を可能にすることができる光吸収特性に影響することができる。さまざまな目的のための適当な非希土類ドーパントは、例えばBi、Sb、Zr、Pb、Li、Na、K、Ba、B、Si、Ge、W、Ca、Cr、Ga、Al、Mg、Sr、Zn、Ti、Ta、Nb、Mo、Th、Cd及びSnを含む。
【0066】
上記のように、一連の粉体組成物を製造するためにレーザー熱分解法が用いられてきた。これらの組成物は、複数の金属/メタロイド元素を含むことができる。これらの粉体材料のいくつかに関する代表的な基準試料が以下に示される。
【0067】
ナノ粒子製造の第1の例として、酸化シリコンナノ粒子の製造が、参照によって本明細書に組み込まれる「酸化シリコン粒子(Silicon Oxide Particles)」という標題のクマー(Kumar)らの米国特許第6,726,990号明細書中に記載されている。この特許出願は、非晶質SiOの製造法を記載している。レーザー熱分解法による炭化シリコン及び窒化シリコンの合成が、参照によって本明細書に組み込まれる1999年11月5日出願の「粒子分散物(Particle Dispersions)」という標題のライツ(Reitz)らの同時係属及び共通出願人の米国特許出願第09/433,202号明細書中に記載されている。レーザー熱分解法によるシリコン粒子の製造は、参照によって本明細書に組み込まれるレーザー推進反応からの焼結可能なセラミック粒子 II.粉体特性及びプロセス変数(Sinterable Ceramic Particles From Laser−Driven Reactions: II, Powder Characteristics And Process Variables)」という標題の米国セラミック学会誌(J.of the American Ceramic Society),Vol.65,No.7,p.330〜335(1982)のキャノン(Cannon)らによる記事の中に記載されている。
【0068】
酸化チタンナノ粒子及び結晶性二酸化シリコンナノ粒子の製造が、参照によって本明細書に組み込まれる「金属(シリコン)酸化物/炭素複合体(Metal (Silicon) Oxide/Carbon Composites)」という標題のビー(Bi)らの米国特許第6,387,531号明細書中に記載されている。特に、この出願は、アナターゼ及びルチルTiOの製造を記載している。酸化アルミニウムナノ粒子の製造が、参照によって本明細書に組み込まれる「酸化アルミニウム粒子(Aluminum Oxide Particles)」という標題の同時係属及び共通出願人のクマー(Kumar)らの米国特許出願第09/136,483号明細書中に記載されている。
【0069】
さらに、参照によって3件すべてが本明細書に組み込まれる「複合金属酸化物粒子(Composite Metal Oxide Particles)」という標題のクマー(Kumar)らの米国特許第6,607,706号明細書、「リチウム金属酸化物粒子を製造するための反応方法(Reaction Methods for Producing Lithium Metal Oxide Particles)」という標題のクマー(Kumar)らの米国特許第6,482,374号明細書、及び「リチウムマンガン酸化物及びバッテリー(Lithium Manganese Oxides and Batteries)」という標題のホーン(Horne)らの米国特許第6,136,287号明細書中に記載されているように、後の熱加工を用いるか又は用いないで、レーザー熱分解法によって混合金属酸化物ナノ粒子が製造された。錯アニオンを有する金属/メタロイド化合物を含むサブミクロン及びナノスケールの粒子の形成が、参照によって本明細書に組み込まれる同時係属及び共通出願人の「リン酸塩粉体組成物及び錯アニオンとの粒子を形成させるための方法(Phosphate Powder Compositions and Methods for Forming Particles With Complex Anions)」という標題のチャロナー‐ジル(Chaloner‐Gill)らの米国特許出願第09/845,985号明細書中に記載されている。適当な錯アニオンは、例えばリン酸塩、ケイ酸塩及び硫酸塩を含む。
【0070】
無機粒子の分散
乾燥粉体として形成された無機粒子の分散は、いくつかの重要な因子に依存する。1つの重要な因子は、粒子の表面化学ならびに粒子を形成する技法である。分散媒の性質も、分散内の粒子を分離するのに適切であるように選ばれるべきである。本節では、粒子の表面改質を用いない無機粒子の分散が考察される。次節では、表面改質が考察される。蒸気系プロセスにおいて形成された粒子の場合、最初に粒子を分散させ、次に表面改質を実行した方が良い結果が得られる。
【0071】
複合体の形成のために有用なナノ粒子は、一般にいくつかの手法の任意のものによって製造されることができるが、レーザー熱分解法が粒子の合成のために特に望ましい手法である。レーザー熱分解手法における迅速な急冷によって、粒子は非常に均一となり、粒子の分散を促進する適当な表面化学を有するように形成されることができる。さらに、レーザー熱分解プロセスのために選ばれる前駆体は、結果として得られる粒子の表面化学に影響する。例えば、塩化物前駆体の使用は、副生物として塩素原子を提供し、塩素原子は次に粒子表面を覆うために利用可能である。
【0072】
金属/メタロイド酸化物粒子の場合、結晶構造は粒子の表面で終結する。一般に、ラジカルは反応性が高すぎ、その結果、表面上のダングリングボンドは、特定の合成手法において利用可能になるように終結される必要がある。状況によっては、青い色調を有する二酸化チタンなどの比較的安定なラジカルが観測される。ラジカルの存在は光学特性に影響することがあるので、一般にこれらの材料は望ましくない。あるいは、表面上の酸素原子は、酸素橋架け構造又は酸素原子との二重結合を形成することができる。橋架け構造及び二重結合は、粒子の表面上の結晶特性を変形させ、歪みを導入する。一般に、火炎又は他の熱分解プロセスにおいて予測される高度に酸化性の条件下で粒子が形成されるなら、橋架け構造及び二重結合酸素原子が形成すると予測されることができる。酸化性の低い条件下では、O‐H又はM‐X結合、ここでMは金属原子であり、Xはハロゲン原子であることができる、などの一価原子が結晶表面を終結させることができる。本明細書に記載されているように、表面上の‐OH基がこれらの粒子のアルコール中の優れた分散に有利であるとともに粒子の非常に高い結晶性に寄与するようであることを証拠が示している。
【0073】
一般に、表面特性が溶媒との相互作用に影響するので、分散媒は、粒子の表面特性にもとづいて選ばれるべきである。一般に、表面上の‐OH基は、極性溶媒中の分散に有利と考えられる。粒子が液体の中に配置されるとき、表面化学も表面上の電荷の形成に影響する。表面電荷の度合いは、コロイド化学の分野から借用された概念であるゼータ電位として表されることができる。ゼータ電位を測定する市販の装置が利用可能である。加工のこの段階で粒子表面と結合しない界面活性剤を加えることが望ましいこともあり、望ましくないこともある。一般に、加工の適切な段階で、粒子表面に結合する表面改質剤によって適切な界面活性剤が置換される。特定の粒子のために適当な界面活性剤が選ばれることができ、陽イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、非イオン活性剤及び/又は双性イオン界面活性剤のことがある。
【0074】
一般に、レーザー熱分解法によって形成された金属酸化物粒子は、表面改質なしに水又はアルコールの中に適度な濃度で良好に分散されることができる。適当なアルコールは、例えば、メタノール、エタノール、プロピレングリコール、ブタンジオール及び類似物などの小さな脂肪族アルコールを含む。これらのアルコールは、一般に、同じ濃度で水より良好な分散物を形成する。良好な分散物ほど安定であり、及び/又は小さな二次粒子サイズを有し、少ない凝塊を示す。一般に、最大15重量パーセント、他の実施態様では約0.25から約10重量パーセント、さらに別の実施態様では約0.5から約9重量パーセントの無機粒子濃度で良好に分散された粒子を有する分散物が形成されることができる。実施態様によっては、良好に分散された粒子を有する分散物の場合、平均二次粒子サイズは、平均一次粒子サイズの4倍を超えず、別の実施態様では平均一次粒子サイズの3倍を超えず、追加の実施態様では平均一次粒子サイズの約2倍を超えないことができる。粒子サイズ分布に関しては、基本的にすべての二次粒子はz‐平均二次粒子サイズの4倍を超えない、別の実施態様ではz‐平均粒子サイズの約3倍を超えない、他の実施態様ではz‐平均粒子サイズの約2倍を超えないサイズを有することができる。z‐平均粒子サイズは、動的光散乱法を用いて測定される。あるいは、z‐平均値の方が一般に測定値の変化が少ないが、二次粒子サイズを評価するために体積平均粒子サイズが用いられることがある。実施態様によっては、平均二次粒子サイズは一次粒子サイズを近似することができる。上記の明示範囲内の別の範囲の濃度及び二次粒子サイズが包含され、本開示の範囲内にあることは当業者には自明であろう。本明細書中で用いられるとき、基本的にすべての粒子への参照は、100万個の粒子の中の1個を超えない粒子を示す。
【0075】
実施態様によっては、最初に金属酸化物粒子を水と混合すると最終的なアルコール中の分散を改善することができることが発見された。これは、水が粒子の表面化学を改質することができるある程度の証拠を提供する。理論に限定されることは望まないが、1つの説明は、水の中のOH−1基が粒子表面上のM‐X基と求核置換を行ってM‐O‐H基及びX−1及び/又は橋架け酸素原子によって形成される開環基を形成することである。特に、塩素原子が存在するときに形成された粒子は、OH−1の除去及びCl−1の生成と矛盾しない酸性条件を水中に作り出すことが観測された。粒子表面上に‐OH基が形成した方が、粒子はアルコール中に良好に分散されると予想される。下の実施例2に示すように、そのような結果が見いだされた。水は、純溶媒として又は水アルコールブレンドとして提供されることができる。水は、水との反応を加速させるために例えば50℃を超えて加熱されることもできる。
【0076】
水による表面化学の変化のために、粒子は、水又は水溶液の中で混合される。一般に、水反応は、少なくとも約1分間、別の実施態様では約2分から、水の中に長く存在させても一般に材料特性をそれ以上変化させないが約24時間以上、他の実施態様では約5分から約10時間、別の実施態様では約10分から約4時間実行されることができる。これらの明示的な時間範囲内の別の範囲が包含され、本開示の範囲内にあることは当業者には自明であろう。粒子は、水との接触時に良好に分散されている必要はなく、その結果、この段階のためにより高い濃度が用いられることができる。水の中の分散のための十分な時間の後、粒子は、溶媒のブレンド操作によって沈殿させられることができる。一般に、これは、水の中に相溶性である低極性溶媒の十分な量の添加によって実行されることができる。適当な溶媒は、例えばアセトンを含む。粒子は、水溶液から除去されたら、選ばれた分散媒で1回以上すすがれて残留水を除去することができる。次に、粒子はアルコール又は他の選ばれた分散媒の中に分散される。各段階において適切な混合が実行されることができる。上記のように、水を用いる表面化学の変化は、粒子を合成するために用いられる反応システム内で移動中に実行されることができる。参照によって本明細書に組み込まれる「反応生成物の流れの中の無機粒子の飛行時改質(In‐Flight Modification of Inorganic Particles Within a Reaction Product Flow)」という標題の同時出願のチルボル(Chiruvolu)らの米国特許出願第11/438,477号明細書は、飛行時加工を実行するための適当な方法及び装置を記載している。例えば、下記に記載されているレーザー熱分解装置は、回収装置の手前での生成物流の中への水のエーロゾルの導入を提供するように修正されることができる。
【0077】
二次粒子サイズは、一般に動的光散乱法を用いて評価されることができるが、レーザー回折法及び音響散乱法などの他の手法もいくつかの市販の装置中で用いられることができる。分散物中の粒子サイズに関する詳細な情報を得るために、散乱された光の測定値が用いられることができる。適当な光散乱法粒子サイズ分析装置が市販されている。例えば、カリフォルニア州アーバイン(Irvine,CA)のホリバインスツルメンツ(Horiba Instruments,Inc)及び英国のマルバーンインスツルメンツ社(Malvern Instruments Ltd.UK)から、適当な粒子サイズ分析装置が入手可能である。
【0078】
粒子分散物は、長時間にわたって安定であることができる。一般に、粒子分散物は、静置すると少なくとも約24時間、実施態様によっては少なくとも約1週間安定であることができ、あるものは少なくとも数ヶ月間安定であることが観測された。分散物は、ろ過されるか又は遠心分離されて不純物及び希少な大きな凝塊物をすべて除去することができる。一般に、沈殿物は、暗く見え、初期の取り扱い段階で試料に導入された不純物を示す。ろ液は、さらに別の加工のために用いられることができる。例えば、ミクロン規模のフィルターがニュージャージー州フローラムパーク(Florham Park,NJ)のワットマン社(Wattman Inc)から入手可能である。同様に、分散物は、3000rpmから4000rpmで約3分から約10分間遠心分離されることができる。遠心分離の後、分散物は、すべての沈殿物からデカンテーションされることができる。
【0079】
一般に、分散物の形成を推進するためにある種の混合が用いられる。例えば、粒子と分散媒との組み合わせは、音波をブレンドに供給して組み合わせを混合する超音波処理によって混合されることができる。あるいは、又はさらに、回転ブレンダー、シェーカー、ブレードミキサー、スピンバー又は類似物を用いてせん断が直接加えられてブレンドを混合することができる。一般に、混合は、少なくとも約5分間、実施態様によっては少なくとも約10分間、別の実施態様では12分から約24時間、さらに別の実施態様では約15分間から約4時間実行される。上記の明示的な範囲内のまた別の範囲の混合時間が包含され、本開示の範囲内にあることは当業者には自明であろう。適当な超音波処理及びブレンド化装置が市販されている。
【0080】
良好な分散物が形成されたら、一般に、粒子をさらに加工することが望ましい。例えば、粒子は、有機又はシリコン系の表面改質剤で表面改質されることができる。表面改質は、分散物中の粒子をさらに安定化させることができる。従って、下記にさらに記載されるように、さらに大きな濃度で、さらに長期の安定性を有する分散物を形成するために、表面改質が用いられることができる。さらに、分散された粒子は、表面改質なしで複合体へ直接加工されることができる。複合体形成の前に大きな濃度の分散された粒子を有する方が望ましいことがあるが、複合体形成のための粒子の直接使用はプロセスから1段階を短縮する。しかし、表面改質は、重合体と適合性である側鎖を有する表面改質組成物を選ぶ能力によって、より広い範囲の重合体の中に粒子を均一に分散させる能力を提供する。従って、多くの実施態様の場合、次節に記載されているように表面改質された粒子を形成することが望ましい。
【0081】
無機粒子の表面改質
無機粒子の表面改質は、粒子分散物の安定性を改善し、より広い範囲の液体の中の粒子の分散物を提供し、複合体の形成のための所望の加工柔軟性を提供することができるとともに、より広い範囲の重合体との無機粒子の均一な分散を促進する。表面改質剤が単に表面を被覆することしかできないのに対し、表面に化学的に結合する表面改質剤によって被覆された粒子の改善された安定性が実現される。特に、アルコキシシラン類は金属酸化物と反応してシリコン‐O‐金属結合を形成して安定な表面被覆物を形成し、置換されたシラン官能基から対応する化合物を放出する。金属酸化物粒子の表面上の改善された‐OH官能基被覆率を有する改善された表面被覆物が実現される。表面改質プロセスは、分散媒の切り替えを含むことができる。用語法の便宜上、‐OH基の置換によるなどの金属酸化物粒子の表面を改質する水などの組成物を区別するために、表面改質用化合物とは、粒子表面に結合するとき少なくとも3つの原子を粒子表面に加える化合物を指す。
【0082】
粒子表面に化学的に結合するために一連の表面改質用化合物が用いられることができる。参照によって本明細書に組み込まれる「重合体‐無機粒子複合体(Polymer‐Inorganic Particle Composites)」という標題のカンベ(Kambe)らの米国特許第6,599,631号明細書中に、種々の組成を有する無機粒子に結合するための適当な官能基が記載されている。アルコキシシランは、金属酸化物粒子への安定な結合を提供する。特に、トリアルコキシシランは、可能性として3つの結合点を有する非常に安定な粒子表面への結合を提供する。トリアルコキシシランの第4の側鎖は、表面改質された無機粒子の分散性及び他の表面特性に影響する能力を提供する。詳しくは、シランの第4の側鎖は、選ばれた溶媒の中の分散性を改善し、及び/又はさらに別の加工のための反応性官能基を提供するように選ばれることができる。あるいは、又はさらに、第4の側鎖は、表面改質された粒子と選ばれた重合体との相互作用を安定化させ、その結果、均一な複合体が形成されるように用いられることができる。同様に、ポリジアルコキシシロキシシラン類は、粒子への2つの結合を形成する各単量体単位の能力によって、安定な結合を提供する。この重合体は、結合プロセス時に粒子のまわりに巻きつくことができる。アルコキシシラン類に加えて、他の官能基を有する化合物が金属酸化物粒子への結合を形成することができる。詳しくは、クロロシリケート(‐SiCl)基、いくつかのアミン基、カルボン酸基及び水酸化物基を有する化合物も金属酸化物粒子表面に結合することができる。これらの化合物の追加官能基は、結果として得られる表面改質された粒子のための望ましい特性を生むように、同様に選ばれることができる。
【0083】
シラン類のアルコキシ側鎖に関して、メトキシ基及びエトキシ基が金属酸化物粒子表面と反応する際に効果的であることが見いだされ、これらの官能基を有する一連の化合物が市販されている。トリアルコキシシラン類のための適当な第4の官能基は、例えばアルキル基、エポキシド基(‐(CHCHCH橋架け)、メタクリレート(‐(CHOOC=CH)、イソシアネート(‐(CHNCO)、チオール(‐(CHSH)、アセチル(‐(CHOOCCH)、ヒドロキシベンゾフェニル(‐(CHОC(OH)COC)、アリル(‐CHCH=CH)、及びフェネチル(‐(CH)を含む。一般に、表面改質用化合物は、単分子層未満から4層以上の単分子層の被覆率で被覆されることができる。被覆率の量は、粒子の表面積と粒子表面上に充填されると予測されることができる化合物の量とにもとづいて推定される。
【0084】
表面改質された粒子の分散物は、より大きな粒子濃度で安定して形成されることができ、少なくとも1週間、眼に見える沈降がない。特に、約2重量パーセント固体より高濃度、別の実施態様では少なくとも約4重量パーセント固体、他の実施態様では約5重量パーセント固体から約15重量パーセント固体で安定な分散物が形成されることができる。z‐平均粒子サイズに関して、表面改質された粒子は、約75nmを超えない、他の実施態様では約60nmを超えない、さらに別の実施態様では約50nmを超えないz‐平均粒子サイズを有することができる。粒子サイズ分布に関して、基本的にすべての二次粒子は、z‐平均粒子サイズの4倍を超えない、別の実施態様ではz‐平均粒子サイズの約3倍を超えない、他の実施態様ではz‐平均粒子サイズの約2倍を超えないサイズを有することができる。一般に、z‐平均二次粒子サイズは、数平均一次粒子サイズの4倍の因子を超えない、別の実施態様では数平均一次粒子サイズの約3倍を超えない、さらに別の実施態様では数平均一次粒子サイズの約2倍を超えないことができる。上記の明示的な範囲内にあるまた別の範囲の粒子充填率及び二次粒子サイズならびに分布が包含され、本開示の範囲内にあることは当業者には自明であろう。二次粒子サイズは、動的光散乱法によって評価される。
【0085】
表面改質を実行するために2つのプロセスが用いられることができる。1つの手法では、粒子を用いて不安定な、高い濃度の分散物が形成され、この高い濃度の分散物を安定化させるために表面改質が実行されることができる。しかし、一般に、最初に希薄な、安定な表面改質のない粒子の分散物を形成させ、次に表面改質を実行することによる方が良好な粒子分散物が得られる。
【0086】
直接手法では、液体は、改質されていない粒子の分散、粒子に結合されていない表面改質用化合物の溶解度、及び表面改質の後の粒子の分散を均衡させるように選ばれる。一般に、液体は、改質されていない粒子のための特に良好な分散媒ではない。同様に、液体は、表面改質剤のための良好な溶媒でないことがある。しかし、表面改質剤が液体の中になんとか可溶性であり、改質されていない粒子が混合によって分散されることができるなら、表面改質反応は実行されることができる。粒子が表面改質されるとき、反応が進むにつれて分散は安定化されることがある。
【0087】
最初に、望ましくは小さな平均二次粒子サイズを有する表面改質剤のない無機粒子が安定に分散されるなら、より良好な分散結果が得られる。上記のように、改質されていない金属酸化物粒子にとってアルコール特にプロピレングリコール、及び水/アルコールブレンドが良好な分散媒である。表面改質用化合物は、ある程度の溶解性を有するならアルコール又は水/アルコールブレンドの中に直接加えられることができ、又は表面改質化合物は、粒子分散物の液体と相溶性であるか又は可溶性である溶媒の中に溶解されることができる。表面改質が完了した後、粒子は、表面改質を実行するために用いられた分散媒に可溶性であるか又は相溶性である適当な液体を分散物の中に混合することによって分散媒から沈殿し、次に所望の分散媒の中に再懸濁されることができる。表面改質された粒子は、別の加工に適する液体の中で貯蔵されるか又は出荷されることができる。
【0088】
一般に、分散の安定性が失われる液体混合物を形成することによって、粒子を沈降させることが非常に効果的であることが見いだされた。粒子がもはや安定に分散されていないなら、効率的に粒子を液体から分離するために遠心分離又はろ過が用いられることができる。粒子が遠心分離されるなら、液体は沈殿した粒子からデカンテーションされる。残留液体を除去するために、粒子は選ばれた分散媒で1回以上洗浄されることができる。次に、粒子は選ばれた液体中に再分散されることができる。こうすると、液体は、選ばれた液体の中の分散を促進する表面改質剤の選択によって、後の加工段階のために変えられることができる。
【0089】
重合体複合体組成及び特性
無機粒子は、本明細書に記載されているように、重合体複合体の中に良好に分散されることができる。一般に、粒子は、表面改質されていることもあり、表面改質されていないこともあり、重合体は、粒子と直接又は間接に結合していてもよく、結合していなくてもよい。望ましい光学特性を有する複合体を得るために、粒子は、複合体を形成する前に良好に分散され、下記にさらに記載されているように、均一にブレンドされて複合体を形成するべきである。結果として得られる複合体は、複合体の屈折率を重合体の屈折率に対して顕著に増加させる粒子充填率において、非常に高い透過率を有することができる。
【0090】
適当な重合体は、例えば、有機重合体、シリコン系重合体及びそれらの混合物を含む。適当な有機重合体は、例えばポリアミド(ナイロン)、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸、ポリアクリレート、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、複素環重合体、ポリエステル、改質ポリオレフィンならびにそれらの混合物及び妥当な共重合体を含む。ナイロン重合体すなわちポリアミドと無機ナノ粒子とによって形成される複合体は、ナノナイロン(商標)と呼ばれることができる。適当なシリコン系重合体は、例えばポリシラン、及びポリ(ジメチルシロキサン)(PDMS)及びポリ(メチルフェニルシロキサン)(PMPS)などのポリシロキサン(シリコーン)重合体を含む。ポリシロキサンは、可視及び紫外光に対する透明性、高い熱安定性、酸化分解への抵抗性及び疎水性のため、望ましい重合体であることができる。他の無機重合体は、例えば、ホスファゼン重合体(ホスホニトリル重合体)を含む。重合体は、複合体に所望の機械的特性を提供するために架橋されることができる。
【0091】
多くのブロック共重合体の標準的な性質である分離する異なる重合体のブロックを有することができるブロック共重合体が用いられることができる。適当なブロック共重合体は、例えばポリスチレン‐ブロック‐ポリ(メチルメタクリレート)、ポリスチレン‐ブロック‐ポリアクリルアミド、ポリシロキサン‐ブロック‐ポリアクリレート及びそれらの混合物を含む。他の数のブロック及び他の種類の重合体組成を有するブロック共重合体も用いられることができる。無機粒子はブロック内の重合体組成物の一つとだけ会合され、これによって、無機粒子は分離ブロック共重合体内でその重合体組成物とともに分離されることができる。例えば、ABジブロック共重合体は、主に基本的にブロックA内にだけ無機粒子を有することができる。
【0092】
複合体の中の重合体が直接又は間接に無機粒子に結合されるなら、重合体は、適当な反応性官能基を有するように選ばれるか又は改質されることができる。金属酸化物粒子に結合する場合、アルコキシシラン基に加えてクロロシリケート(‐SiCl)基、いくつかのアミン基、カルボン酸基及び水酸化物基が金属酸化物粒子に結合することができる。重合体の官能基と反応する適切な官能基を有するように表面改質用化合物が選ばれることができる。表面改質剤又は重合体の上に適切に置かれることができる2,3の代表的な例は、例えば、それぞれがアミン基、チオール基又は水酸化物基と反応するカルボン酸基又はエポキシ基を含む。参照によって本明細書に組み込まれる「重合体‐無機粒子複合体(Polymer‐Inorganic Particle Composites)」という標題のカンベ(Kambe)らの米国特許第6,599,631号明細書中に、表面改質用組成物又はリンカーを重合体と結合させるための適当な官能基がさらに記載されている。
【0093】
無機粒子の充填率は、複合体の所望の特性を実現するように選ばれることができる。一般に、興味深い特性は、機械的強度及び機械的安定性などの機械的特性、ならびに屈折率などの機能特性を含む。一般に、望まれるなら低い粒子充填率が用いられることができるが、実施態様によっては、高い粒子充填率を用いることが望ましい。非常に良好な分散を有する粒子充填率が最大約80重量パーセント、他の実施態様では約1重量パーセントから約75重量パーセント、さらに別の実施態様では約5重量パーセントから約65重量パーセントで実現されることができる。いくつかの光学用途の場合、複合体は、少なくとも約5重量パーセントの粒子を含む。上記の明示的な範囲内の別の範囲の粒子充填率が包含され、本開示の範囲内にあることは当業者には自明であろう。
【0094】
複合体の屈折率は、近似的に無機粒子と重合体との体積比による一次結合である。特に、ルチルTiO及びZrOが高い屈折率を有し、これによって高屈折率複合体の形成にとって望ましい材料である。約1.4単位の屈折率を有する重合体の中で用いられるなら、光のスペクトルの可視部分にわたって2以上に近づく屈折率を有する複合体が形成されることができる。
【0095】
光学用途の場合、複合体がスペクトルの可視部分において高い透過率を有することが望ましいことがある。小さな無機粒子が用いられるなら、粒子は、可視域において光を吸収しない。詳しくは、粒子サイズが100nmより小さければ粒子は可視光の波長よりはるかに小さいので、粒子の吸収スペクトルは紫外域にシフトされ、平均一次粒子直径が20nm以下のオーダーであり、粒子が高度に結晶性であるなら、可視スペクトルは実質的に0に低下する。しかし、粒子が高度に凝塊しているか又は粒子が重合体の中に均一に分布していないかのどちらであっても、複合体の中の粒子は可視光を散乱させ、それによって可視光の透過率を低下させることがある。100ナノメートル以下のオーダーのz‐平均二次粒子サイズを有する良好に分散された粒子分散物を形成し、粒子を重合体の中に均一に分布させることによって、散乱の低下によって複合体について高いレベルの透過率が実現されることができる。z‐平均二次粒子サイズがさらに小さくされるなら、改善された複合体が形成されることができる。
【0096】
基準点を提供するために、無機粒子をまったく含まない重合体に対して透過率が測定されることができる。少なくとも約5重量パーセントの複合体中の粒子充填率を有するいくつかの実施態様では、複合体は、5ミクロンの厚さを有する膜に成形されたとき、少なくとも1つの可視波長の場合に、重合体単独に対して少なくとも85パーセント、他の実施態様では少なくとも約87.5パーセント、さらに別の実施態様では少なくとも約90パーセント、他の実施態様では少なくとも約92パーセント、実施態様によっては少なくとも約95パーセント、さらに別の実施態様では約92パーセントから約98パーセントの透過率を有する。実施態様によっては、複合膜中のこれらのレベルの透過率は、可視波長範囲全体に及ぶ。別の実施態様では、複合膜全体にわたる透過率のこれらの値は、複合体内の約20重量パーセントから約85重量パーセントの粒子充填率で実現される。上記の明示的な範囲内のさらに別の範囲の透過率が包含され、本開示の範囲内にあることは当業者には自明であろう。
【0097】
複合体は、重合体材料のための通常の添加剤などの有用な添加剤を含むことができる。一般に、添加剤は、複合体重量の約5重量パーセントを超えない量で含まれる。適当な添加剤は、例えば粘度調整剤、酸化防止剤、UV安定剤及び類似物を含む。これらの添加剤は、可視光に透明であるように選ばれることができる。
【0098】
重合体‐無機複合体を形成するためのプロセス
複合材料を形成する加工法は、複合材料のための望ましい性質を得るために重要である。特に、材料のために意図される機能のために適切な距離規模で材料が均一に見えるように良好に分散された粒子を用いて複合体を形成することが望ましい。電磁スペクトルの可視部分において機能する光学材料の場合、材料が約500nm以下の距離規模で基本的に均一であることが望ましい。この均一性は、結果として得られる透明度によって間接的に測定されることができ、複合体の中の粒子は、例えば膜の場合には透過型電子顕微鏡法、及び/又は厚手の膜の断面及び表面の場合には走査電子顕微鏡法を用いて観測されることができる。
【0099】
一般に、重合は、ナノ粒子の存在下で実行されることができ、及び/又はナノ粒子は、重合体溶液と会合させられることができる。粒子の表面改質は、粒子が重合体溶液の中への導入の後に凝塊しないように重合体と適合する改質された粒子のための表面化学を結果として生じるべきである。一般に、複合体を形成する加工においてより高い粒子濃度が用いられることができるように、表面改質された無機粒子を用いることが望ましい。
【0100】
改質された粒子が重合体と適合性であると仮定すると、加工時に粒子が重合体の中に均一に分散されるとき、粒子は良好に分散されたままである。重合体と適合する改質された粒子を有するために、表面改質用部分は、重合体と同様な化学式又は電気陰性度を有する側鎖を有することができる。改質された粒子は、重合体と化学的に結合することもあり、しないこともある。従って、粒子が凝塊することなく重合体組成物の中により均一に分散され、安定化されることができるように、重合体と会合していない大きな濃度の無機粒子を回避する加工手法が設計されることができる。無機粒子が顕著に凝塊すると、複合体を形成するプロセス内にある間に無機粒子を凝塊解除させることは一般に難しい。無機粒子が重合体内に良好に分散されると、良好に分散された複合体溶液は仕上げられた製品に加工され、このプロセスにおいて溶媒は除去されることができる。望まれるなら、重合体の架橋が実行されることができる。
【0101】
改質された無機粒子と重合体との均一な溶液を形成するために、良好な粒子の分散物を重合体の混合用溶液へ加えることが効果的であることが見いだされた。良好な分散物は上記に完全に記載されており、一般に、約100nmを超えない平均二次粒子直径を有する。無機粒子は、重合体溶液への添加の前に良好に分散されるべきである。一般に、添加の速度は、重合体によって良好に分散されない高い濃度の粒子を回避するべきである。これらの条件は、一般に、粒子分散物及び重合体のそれぞれの濃度、混合条件、及び装置構成に依存する。当業者は、本明細書中の教示によってこれらの条件を経験的に評価することができるであろう。
【0102】
一般に、表面改質された無機粒子の良好な分散物を形成させるために用いられる分散媒は、重合体を溶解するために用いられる溶媒と同じ液体でないことがある。しかし、一般に、粒子分散媒は、重合体溶媒と相溶性であるように選ばれることができ、表面改質剤組成物及び重合体は、液体のこの選択を容易にするように選ばれることができる。この相溶性が満たされるなら、均一な複合体が形成されることができることが観測された。従って、改質された粒子を液体間で移動させて適切な液体の中の分散物を得る能力を有することは、重要な加工上の考慮事項であることができる。
【0103】
一般に、複合体は、従来の加工手法を含む一連の重合体加工技法を用いてさらに加工されることができる。複合体は、溶媒の蒸発、及び/又は相溶性の液体の添加によって、複合体を沈殿させることによって濃縮されて複合体がもはや可溶性でない液体ブレンドを形成することができる。沈殿させられた複合体は、適当な液体の中に再懸濁されることもあり、されないこともある。さらに、スピンコーティング、ディップコーティング、スプレーコーティング及び類似技法などのさまざまな被覆手法によって複合膜が形成されることができる。一般に10nmから1センチメートル、別の実施態様では約500nmから約500ミクロン、他の実施態様では約1ミクロンから約50ミクロンの所望の厚さを有する膜が形成されることができる。上記の明示的な範囲内の別の範囲の膜厚が包含され、本開示の範囲内にあることは当業者には自明であろう。さらに、複合体は、射出成形、圧縮形成、押し出し又は類似技法を用いてキャストされることができる。成形された複合体は、適当な製品に組み立てられることができる。
【0104】
高屈折率膜及び接着剤への利用
高度に透明な無機粒子複合体を形成する能力は、高屈折率膜及び高屈折率接着剤を形成する能力を提供する。高屈折率膜は、光デバイス上に保護被覆物を形成させるために用いられることができる。保護被覆物は、物理的な接触からのある程度のレベルの保護を提供する一方で、湿気及び他の大気の攻撃を封止して除くことができる。同様に、重合体の選択は、接着剤として有用な重合体の選択を目的とすることができる。接着剤は、接触する表面を濡らして接着性結合を形成する能力を有する。
【0105】
膜及び接着剤の場合に複合体の中に組み込まれる重合体は、乾燥、大気中の酸素への曝露及び/又は紫外線、コロナ放射又は類似物などの放射への曝露によって硬化するか又は架橋するように選ばれることができる。上記で考察された重合体の多くが膜形成に適している。
【0106】
当分野ではさまざまな接着剤が公知である。例えば、参照によって本明細書に組み込まれる「粘着化された乳剤感圧接着剤(Tackified Emulsion Pressure‐Sensitive Adhesive)」という標題のバーナード(Bernard)の米国特許第5,623,011号明細書中に代表的な接着剤組成物が記載されている。参照によってともに本明細書に組み込まれる「封止基板、同基板、ディスプレイデバイス及び電子計器を作製する方法(Sealing Substrate, Method of Fabricating the Same,Display Device,and Electronic Instrument)」という標題のハヤシ(Hayashi)の米国特許出願公開第2004/0046501号明細書、及び「環状構造を有する共役ジエン重合体を含む接着材層を有する複合体成形及びコーティング材料(Composite Molding With Adhesive Layer Comprising Conjugated Diene Polymer Having Cyclic Structure,and Coating Materia)」という標題のキタハラ(Kitahara)らの米国特許出願公開第2005/0003220号明細書中にレンズ又は類似物を接着させるのに適する接着剤が記載されている。
【0107】
同様に、複合体は、反射防止膜に適している。無機粒子を用いる反射防止膜の形成は、例えば、参照によって本明細書に組み込まれる「被覆用組成物、その被覆膜、反射防止被覆物、反射防止膜、画像ディスプレイ及び中間製品(Coating Composition,Coating Film Thereof,Antireflection Coating,Antireflection Film,Image Display,and Intermediate Product)」という標題のヨシハラ(Yoshihara)らの米国特許出願公開第2003/0096102号明細書中にさらに記載されている。同様に、輝度増強膜、眼科レンズ用の屈折率整合膜、及び窓用のUV遮断膜のために複合体が用いられることができる。
【実施例1】
【0108】
レーザー熱分解法による無機粒子合成
この実施例にはレーザー熱分解を用いるルチルナノスケールTiOの合成が記載される。
【0109】
図1を参照すると、これらの実験において用いられるレーザー熱分解システム100が概略的に示されている。レーザー熱分解システム100は、反応体供給装置102、反応チャンバ104、遮蔽用気体供給装置106、回収装置108及びCW COレーザー110を含む。図2を参照すると、反応体供給装置102は、前駆体組成物源120を含む。前駆体源120は、前駆体の蒸気を選ばれた蒸気圧で供給するフラッシュエバポレーター又は揮発性蒸気バブラーを含む。これらの実験のために用いられた前駆体は、液体TiCl(マサチューセッツ州ニューベリーポート(Newburyport MA)のストレムケミカル社(Strem Chemical Inc.))であった。
【0110】
前駆体源120からの蒸気は、配管130の単一の部分の中で気体を組み合わせることによってC源124、不活性気体源126及び/又はO源128からの気体と混合される。菅130の中の組み合わされた気体/蒸気は、ダクト132を通ってチャネル134に入る。チャネル134は、反応体入口156(図1)と流体連通している。
【0111】
反応体供給システム102は、注入ノズル152において主チャンバ150に連結する。注入ノズル152の末端は、不活性遮蔽用気体の通過のための環状の開口154、及び反応チャンバの中の反応体流を形成する反応体の通過のための反応体入口156(左下挿入図)を有する。反応体入口156は、図1の下の挿入図に示されるようにスリットである。環状の開口154を通る遮蔽用気体の流れは、反応体気体及び生成物粒子の反応チャンバ104全体にわたる広がりを防ぐのを助ける。
【0112】
注入ノズル152の両側に管区間160、162が配置されている。管区間160は、窓164としてのZnSe円筒レンズを含む。管区間162は、ビームダンプとして機能するパワーメーター166を含む。管部入口168、170は、窓164及びビームダンプ166の汚染を減らす管区間160、162の中への不活性遮蔽用気体の流れを提供する。管部入口168、170は、遮蔽用気体供給装置106に連結されている。
【0113】
図1を参照すると、遮蔽用気体供給システム106は、不活性気体ダクト182に連結された不活性気体源180を含む。不活性気体ダクト182は、環状開口154に至る環状チャネル184の中に流れる。マスフローコントローラ186が不活性気体ダクト182の中への不活性気体の流れを調節する。菅部168、170への流れは、マスフローコントローラ188によって制御される。
【0114】
反応体流の通路は、回収ノズル210へ続く。回収ノズル210は、図1の上の挿入図に示されるように円形の開口212を有する。円形の開口212は、回収システム108の中へ供給する。チャンバは、粒子形成の後に別の不活性気体を流れに加えて粒子を冷却するように設計されている。回収システム108は、気体の流れの中の生成物粒子を集めるフィルター214を含む。ポンプ216が回収システム108を選ばれた圧力に維持する。
【0115】
フラッシュエバポレーター又は揮発性蒸気バブラーから四塩化チタン(純度>98%)が供給された。C気体がレーザー吸収用気体として用いられ、アルゴンが不活性希釈気体として用いられた。チタン前駆体、Ar、O及びCを含む反応体混合物が反応チャンバの中への注入のために反応体ノズルの中に導入された。実施例1の粒子に関するレーザー熱分解合成の追加のパラメータが表1の中に指定されている。
【0116】
【表1】

【0117】
原子配置を評価するために、理学ミニフレックス(Rigaku Miniflex)X線回折計上でCr(Kα)放射ラインを用いるX線回折によって試料が調べられた。試料のそれぞれにおいて、既知の回折図との比較によってルチルTiOに対応する結晶相が特定された。図3に代表的なX線回折図が示される。
【0118】
同様な試料の透過型電子顕微鏡像が撮影された。これらの顕微鏡像は狭い粒子サイズ分布を示し、直径は5nmから20nmの範囲であった。図4に代表的な透過型電子顕微鏡像が示される。粒子は、ルチル相TiOと矛盾しない結晶格子を示す。制限視野回折像から得られた回折パターンも、図5に示すようにルチル相TiOと矛盾しない。
【実施例2】
【0119】
合成されたままの粒子の分散
本実施例は、レーザー熱分解によって形成されたTiO粒子をいくつかの異なる溶媒の中に分散させる能力を示す。最初の水中の分散の直後にアルコール分散物が形成される。
【0120】
TiO粒子は、基本的に実施例1に記載されているように形成された。合成されたままの粒子は、約7nmから約10nmの平均一次粒子サイズを有していた。無機粉体が分散物の0.5重量パーセントで存在するように、TiOの粉体が液体に加えられた。混合物は、ブランソン(Branson)浴型超音波処理装置(コネチカット州ダンベリー(Danbury CT)のブランソンソニックパワー社(Branson Sonic Power Co.))によって2時間超音波処理された。超音波処理の完了後、マバーンゼータサイザー(Mavern Zetasizer)を用いる動的光散乱法を用いて分散された粉体の粒子サイズが評価された。動的光散乱法測定の結果は、多くの場合にz‐平均又は累積平均と呼ばれる強度平均として報告される。これが他の平均値より比較的安定な測定であるからである。対応して、分布幅が多分散性指数(PDI)として報告される。
【0121】
代表的な試料についての水、メタノール及びプロピレングリコールの場合の粒子サイズ測定値が図6〜8にそれぞれ示される。試料は、汚染物質を除去するために3500rpmで5分間遠心分離された。遠心分離の後、上澄みが別の容器へ移され、沈降物は廃棄される。これらの試料は、それぞれ73.2nm、54.3nm及び37.1nmのz‐平均粒子サイズ、ならびにそれぞれ0.249、0.149及び0.107のPDIを有していた。TiO粉体の多くの試料について同様な傾向が観測された。従って、プロピレングリコールの場合に最良の分散が観測され、水は妥当な分散物を生じるが、アルコールで得られるほど良くはない。
【0122】
追加の試料の調製のために、最初に粉体を水と混合し、次に粒子をアルコールに移すことによって、アルコール中の粒子の分散が実行された。最初に、0.2gのTiOが2mlの水に加えられた。この混合物は、60℃で約30分間超音波処理された。次に、粒子を分散物から追い出すために水とほぼ等しい体積のアセトンが加えられ、分散物は6000rpmで10分間遠心分離された。液体は沈降された粒子からデカンテーションによって除かれ、残留水をすべて除去するために粒子はアセトンですすがれた。次に、粒子はアルコールに加えられ、新しい混合物は2時間超音波処理された。次に、再び粒子サイズが測定された。
【0123】
0.5重量パーセント固体でのメタノール及びプロピレングリコール中の粒子の最分散について、図9及び10に粒子サイズ分布がそれぞれ示される。対応する水前処理のない分散物がAのプロットに示され、水前処理の後のアルコール分散物がBのプロットに示される。アルコール試料についてのz‐平均粒子サイズはそれぞれ39.6nm及び27.3nmであり、PDIは0.216及び0.232であった。前処理の後のアルコール分散物は、遠心処理によって除去されることができる大体5から6ミクロンの小さな粒子クラスタを有していた。
【0124】
ビーズ摩砕の後に、より高い濃度の無機粒子がプロピレングリコールの中に安定に分散された。ビーズ摩砕は、再循環付きのネッチ(Netzsch)(ドイツ(Germany))ミニサー(MiniCer)ブランドのビーズミルを用い、3720rpmの速度で0.1mmイットリウム安定化ジルコニウムビーズによって100分間実行された。ビーズ摩砕は、ポリプロピレングリコールの存在下で実行された。ビーズ摩砕は、一次粒子を断片化しないように選ばれた条件下で実行された。この断片化は、結果として生じる熱によって、粒子の結晶品質を低下させるとともに均一性を低下させ、いくつかの粒子を融合させると予測されるからである。磨砕の完了時点で、材料は9重量パーセント固体に希釈された。結果として得られた粒子サイズ分布が図11に示される。z‐平均粒子サイズは32.04nmであり、PDIは0.194であった。
【実施例3】
【0125】
アルコキシシランによるTiOの表面改質
本実施例は、異なる化学的性質を有する4つの異なるアルコキシシランによるチタニア粒子の表面改質を示す。本実施例中で、これらの4つの異なるシランは、試験された多数のうちの代表的な化合物として考察される。TiO粉体は、基本的に実施例1に記載されているように形成された。
【0126】
シラン表面改質の第1の代表的な方法では、TiOを表面改質してトルエン中の5重量パーセント固体分散物を形成するためにオクタデシルトリメトキシシランが用いられる。TiO粒子は、‐OH基の表面密度を増加させるために水と接触させられた。これは、5.5gのTiO粉体を40mlの水の中に分散させることによって実行された。この分散物が60℃で0.5時間超音波処理された。アセトンが加えられて水で処理された粒子を沈殿させ、沈殿物はアセトンで1回度洗浄された。粒子は、次に400mlのプロピレングリコールの中に分散され、この新しい分散物は1.5時間超音波処理された。超音波処理が完了した後、分散物は4000rpmで5分間遠心分離され、沈殿物は廃棄された。動的光散乱法によって二次粒子サイズが測定された。粒子サイズ分布が図12に示される。
【0127】
5.6ml量のオクタデシルトリメトキシシランが40mlのアセトンの中に溶解された。アセトン溶液は、次に振盪及び超音波処理しながら少しずつTiO‐プロピレングリコール分散物に加えられた。アセトン溶液とプロピレングリコール分散物とのブレンドは65℃で2時間超音波処理された。この期間の間に、分散物は非常に曇り、かなりの量の沈殿があった。超音波処理期間の終わりにさらにアセトンを加えてすべての粒子が沈殿した。沈殿物は、アセトンで1回洗浄された。洗浄された沈殿物は110mlのトルエンの中に再分散され、0.5時間超音波処理された。動的光散乱法によってトルエン分散物中のTiOの二次粒子サイズが測定された。測定された粒子サイズ分布が図13に示される。粒子サイズ分布のz‐平均は、表面改質の前の粒子サイズ分布のz‐平均と近似的に等しい。
【0128】
ティーエイインスツルメンツ(TA Instruments)(デラウェア州ニューキャッスル(New Castle,DE))からの装置を用いる熱重量分析(TGA)によって表面改質化合物の被覆の度合いが測定された。この技法では、重量が温度の関数として追跡される。温度が増加すると、揮発性成分又は可燃性成分が失われ、その結果、重量は対応して減少する。オクタデシルシランで改質された粒子に関するTGAプロットが図14に示される。900℃の温度における28.6%の重量減少は、粒子が表面改質されていたことを示している。表面改質された粒子は、フーリエ変換赤外(FTIR)分光法を用いても分析された。図15に示されるFTIRスペクトルは‐CH振動に対応する2851cm−1及び2919cm−1、Si‐O振動に対応する1087cm−1、及びTiO振動に対応する634にピークを有し、表面改質の別の証拠を提供する。図16を参照すると、表面改質された粒子の透過型電子顕微鏡像は、有機被覆物の眼に見える層を有する。
【0129】
別の代表的な例では、粒子はメタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(CH=CHCOO(CHSi(OCH)(ダウ‐コーニング(Dow‐Corning)からのZ‐6030(登録商標))で表面改質されてメタノール中の4重量パーセント分散物を形成した。TiO粒子は、185m/gのBET表面積を有していた。最初に、0.25g量のTiO粒子が50mlのメタノールの中に分散されて0.5重量パーセントの分散物を形成した。この分散物は、2時間超音波処理された。超音波処理された分散物は、次に、3500rpmで5分間遠心分離され、沈殿物が除去された。動的光散乱法を用いてこの試料の二次粒子サイズ分布が測定された。結果は図17にプロットされている。
【0130】
表面改質を実行するために、単分子層の被覆率のために十分な0.140ml量のZ‐6030(登録商標)シランが分散物に加えられ、混合物は65℃で2時間超音波処理された。ロータリーエバポレーターを用いて5mlの分散物が残されて4から5重量パーセントの濃度となるまでメタノールが蒸発除去された。溶液は安定であり、青みがかった色を有していた。
【0131】
動的光散乱法によって表面改質された粒子の二次粒子サイズが測定された。結果として得られた粒子サイズ分布が図18に示される。改質された粒子の粒子サイズ分布は、2つの顕著なピークがある。小さな方のピークは、一次粒子サイズに近い11.7nmに極大を有していた。大きな方のピークは、改質されていない粒子の場合のピークにおける直径の約2倍である123nmに極大を有していた。改質された粒子は、TGA及びFTIRを用いてさらに分析された。TGAスペクトルが図19に示される。初期の重量低下が溶媒及び吸着された物質の損失に帰属されることができ、重量がTiO残留物重量で平らになる、より明らかな低下はシラン分解に帰属されることができる。図20を参照すると、表面改質された粒子の赤外スペクトルがシランのスペクトルと比較され、その結果、スペクトルはシランによる表面改質の確証を提供する。
【0132】
代表的な第3の方法では、ポリジメチルシロキサンによって表面改質が実行された。重合体の各単量体単位は、粒子表面と反応を行うことができる2つのメトキシ基を有する。表面改質剤の重合体の性質によって、重合体分子は粒子の周りに巻きついて高度に官能化されたシェルを形成すると予測されることができる。粒子は、水と予備反応されて反応性を増加されることができ、これは、高度に官能化された粒子表面と相乗的な効果を有することが見いだされた。粒子を、加水分解して表面‐OH基と反応する2つのトリメチルシラノールになるヘキサメチルジシラザンと反応させることによって、重合体で改質された粒子はキャップされる。
【0133】
100mgのTiO粉体を2mlの水の中に分散させ、このブレンドを60℃で0.5時間超音波処理することによって、水予備処理が実行された。超音波処理の後、2mlのアセトンが加えられ、分散物は6000rpmで5分間遠心分離された。上澄みは廃棄され、沈殿物はさらに処理された。
【0134】
予備処理されたTiOが20mlのメタノールの中に再分散され0.5重量パーセント分散物を作った。この分散物は室温で2時間超音波処理された。超音波処理の後、分散物は4000rpmで5分間遠心分離された。沈殿物は、少量の炭素粒子及び大きなTiO粒子とともに廃棄された。次に、0.025gのポリジメトキシシロキサン(ジェレスト社(Gelest,Inc.))が上澄みに加えられた。次に、この混合物は60℃で2時間超音波処理された。
【0135】
0.5ml量のヘキサメチルジシラザン((CHSiNHSi(CH)(シグマ‐オールドリッチ(Sigma‐Aldrich))が10mlのメチルエチルケトンの中に溶解されてキャッピング溶液を形成した。キャッピング溶液がメタノール中の分散物に滴下されて加えられた。結果として得られた混合物が60℃で2時間超音波処理された。超音波処理が完了した後、10mlのアセトンが加えられ改質された粒子が沈殿させられた。アセトンの添加の後、混合物は6000rpmで0.5時間遠心分離されて粒子を沈降させた。粒子は液体からデカンテーションされ、沈殿物はメチルエチルケトンの中に再分散された。再分散された粒子は5から60分間超音波処理されて安定な5重量パーセント分散物を形成した。動的光散乱法によって二次粒子サイズが測定された。結果として得られた粒子分散が図21に示される。分布は2つの明らかなピークを有し、一方は約14.9nm、第2のものは130.8nmにピーク極大を有していた。表面改質された粒子に関するTGA測定が図22に示される。このプロットは、表面改質用シランの分解と一致する適切な形状を示し、適切に表面改質された粒子を示している。
【0136】
第4の代表的な表面改質では、TiO粒子は、表面改質を実行する前に良好に分散されなかった。アリルトリメトキシシラン(CH=CHSi(OCH)を用いて表面改質が実行された。151.8m/gのBET表面積を有する0.5g量のTiO粉体が12.5mlのメチルエチルケトンの中に分散されて5重量パーセント分散物を形成した。この分散物は、浴形超音波処理装置より効果的であるプローブ形超音波処理装置によって超音波処理されたが、粒子は安定に分散されなかった。0.23ml量のアリルトリメトキシシランが加えられ、超音波処理が30分続けられた。粒子は分散され、非常に安定な分散物になった。動的光散乱法によって粒子サイズが測定された。粒子サイズ分布が図23にプロットされている。11.6nmに極大を有する小さなピークが観測されるが、大部分の粒子は、表面改質の前に粒子が良好に分散された改質された粒子の場合に観測された二次粒子サイズより大きな152.6nmの直径におけるピークと関連することが見いだされた。TGAの結果が図24に示されている。TGAプロットは、シランの分解に一致する重量減少を有する。
【実施例4】
【0137】
重合体‐チタニア粒子複合体
本実施例は、高い屈折率を有する高度に透明な複合膜を形成する能力を示す。
【0138】
この複合体は、メタクリル酸メチルとメタクリル酸との共重合体を用いて形成される。ポリサイエンス社(Polyscience Inc.)からの共重合体(カタログ番号08208)は、3:1のメタクリル酸に対するメタクリル酸メチルの単量体比及び約120万ダルトンの平均分子量を有していた。この共重合体が9:1の体積比のイソプロピルアルコールと水との溶媒ブレンドの中に5重量パーセント固体で溶解された。メタリルオキシプロピルトリメトキシシラン(Z‐6030(登録商標))で改質された約4重量パーセントのTiO粒子分散物が実施例3に記載されているように調製された。
【0139】
粒子分散物は、沈殿を回避するために、ゆすりながら重合体溶液にゆっくり加えられた。重合体溶液が粒子分散物に加えられると、同程度のゆすりながらの遅い添加のときでも沈殿が観測される。粒子分散物が重合体溶液に完全に加えられたら、結果として得られた複合体スラリーは室温で1.5から2.0時間超音波処理された。超音波処理の後、複合体スラリーは濃縮された。詳しくは、ロータリーエバポレーターによってスラリー中のメタノールが蒸発された。メタノールが除去されると粘度が増加し、溶剤除去は、別の加工のための所望の粘度に達したら停止されることができる。溶剤除去の後、複合体スラリーは、2.7ミクロンのWattman(登録商標)フィルターを用いてろ過されて凝塊物をすべて除去した。一般に、最大75重量パーセントの粒子充填率を有する、良好に分散された粒子を有する複合体が形成された。
【0140】
厚さ及び屈折率測定のためにシリコンウエハの上に、透過率測定のためにガラススライドの上に膜がスピンコートされた。ペンシルベニア州ノースウェールズ(North Wales,PA)のローレルテクノロジーズ社(Laurell Technologies Corp.)からのWS‐400B‐NPP‐ライト(Lite)スピンコータを用いて、粘度の選択によって1ミクロンから5ミクロンの膜厚の値が得られた。スピンコート被覆物は、2段階で形成された。第1の段階は50rpmで10秒間実行され、第2の段階は1500rpmで3分間回転させることを含んでいた。カリフォルニア州カールズバッド(Carlsbad,CA)のサイエンティフィックコンピューティングインターナショナル(Scientific Computing International)からのFilmTek(商標)4000装置によって膜厚及び屈折率が評価された。膜形態は、JSM‐6330F走査電子顕微鏡(日本の東京(Tokyo,Japan)の日本電子(株)(Joel,Ltd.))によって調べられた。約2.5ミクロンの厚さ又は50重量パーセントの粒子充填率、シリコン基板上1.7単位の反射指数を有する膜の断面の走査型電子顕微鏡(SEM)像が図25に示される。同じ膜の表面のSEM像が図26に示される。像は、膜内に均一に分布した粒子を示す。
【0141】
シンコー(SINCO)紫外可視分光計によって膜の透過率が評価された。6つの膜試料についての結果が図27に示されている。ガラス基板を基準として透過率が測定された。屈折率の値は、1.49から1.80単位の範囲であった。これは、0から75の粒子充填率と一致していた。膜は、1ミクロンから4.1ミクロンの厚さを有していた。これらの膜はすべて90パーセントより大きな透過率を有していた。
【0142】
上記の実施態様は、例示的であることが意図され、限定的であることは意図されない。追加実施態様は、請求項の範囲内にある。さらに、特定の実施態様を参照して本発明が記載されてきたが、本発明の技術思想及び範囲から逸脱することなく、形式及び細部において変化が施されることができることは当業者には自明である。上記の文書の参照による組み込みはすべて、本明細書中の明示的な開示に反するいかなる主題も組み込まれないように限定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合体であって、重合体と、前記複合体の少なくとも5重量パーセントの充填率の表面改質された複数の金属酸化物粒子とを含み、前記複数の金属酸化物粒子は、20ナノメートル未満の数平均一次粒子サイズと100ナノメートルを超えないz‐平均二次粒子サイズとを有し、前記表面改質は、前記複数の金属酸化物粒子の表面上の多くの結合された分子を含み、透明な基板上の5ミクロンの厚さを有する膜に形成された前記複合体は、1つの可視波長において前記複合体の被覆物のない前記透明な基板の透過率と比較して少なくとも90%の透過率を有する複合体。
【請求項2】
前記複合体は、少なくとも20重量パーセントの金属酸化物粒子を含む、請求項1に記載の複合体。
【請求項3】
前記複合体は、少なくとも40重量パーセントの金属酸化物粒子を含む、請求項1に記載の複合体。
【請求項4】
前記平均一次粒子サイズは、15ナノメートルを超えない、請求項1に記載の複合体。
【請求項5】
前記z‐平均二次粒子サイズは、60ナノメートルを超えない、請求項1に記載の複合体。
【請求項6】
前記z‐平均二次粒子サイズは、50ナノメートルを超えない、請求項1に記載の複合体。
【請求項7】
1つの可視波長における前記透過率は、少なくとも93%である、請求項1に記載の複合体。
【請求項8】
前記重合体は、アクリレートを含む、請求項1に記載の複合体。
【請求項9】
前記表面改質剤は、前記粒子表面に化学的に結合されたシランを含む、請求項1に記載の複合体。
【請求項10】
重合体と、100nmを超えない平均一次粒子サイズを有する金属酸化物粒子との複合体を形成するための方法であって、
表面改質された金属酸化物粒子と分散媒とを含む分散物の一部を、重合体と溶媒とを含む重合体溶液の中に段階的にブレンドして均一な重合体‐無機粒子複合体を形成することを含み、前記分散媒は、前記溶媒と相溶性であり、前記ブレンドすることは、実質的にいかなる粒子も前記ブレンドから沈降しないように実行される方法。
【請求項11】
前記分散媒は、有機液体を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
50nmを超えない平均一次粒子サイズを有する金属酸化物粒子の前記表面特性を改質するための方法であって、
前記金属酸化物粒子の乾燥粉体を水と接触させて前記粒子表面の前記(‐OH)含有率を増加させること、
水と相溶性の液体の前記添加によって前記粒子を沈殿させること、及び
少なくとも1重量パーセントの濃度及び100nmを超えないz‐平均二次粒子サイズで前記粒子をアルコールの中に分散させることを含む方法。
【請求項13】
前記水と接触させることは、前記粒子を水溶液と混合することによって実行される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記金属酸化物粒子は、レーザー熱分解を用いて合成される、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
水と相溶性の前記液体は、アセトンを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
増強された(‐OH)の寄与を有する表面構造を有する金属酸化物粒子を流れの中で製造するための方法であって、
生成物粒子の流れを水蒸気に曝露させることであって、前記粒子は、前記流れの中で金属酸化物前駆体を含む反応体の流れから合成されること、及び
前記水によって改質された粒子を回収すること
を含む方法。
【請求項17】
前記粒子の前記合成は、反応チャンバの中で実行され、前記流れは、反応体供給システムに結合されたノズルにおいて開始される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記金属酸化物粒子の前記合成は、前記反応体の流れと交差する強い光線によって推進される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記ノズルの前記開口は、少なくともアスペクト比5で伸長され、前記レーザービームは、前記結果として得られた流れの前記伸長された寸法の方向に伝播するように配向され、その結果、実質的に前記反応体の流れ全体が前記レーザービームの中を通過する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記水蒸気は、前記粒子が合成される前記反応チャンバに結合された回収チャネルの中に配置されているベントを通して導入される、請求項17に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公表番号】特表2010−513666(P2010−513666A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−542820(P2009−542820)
【出願日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際出願番号】PCT/US2007/025630
【国際公開番号】WO2008/085298
【国際公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【出願人】(503157216)ナノグラム・コーポレイション (15)
【氏名又は名称原語表記】NanoGram Corporation
【Fターム(参考)】