説明

重送検知装置及び画像形成装置

【課題】光学的な重送検知手段を用いても、記録材の種類に関わらず、精度よく重送検知を行える重送検知装置を提案する。
【解決手段】重送検知装置200は、超音波信号を送信する送信センサ23A、記録材Sを搬送する搬送経路を挟んで対向して配置され送信センサから送信された超音波信号を受信する受信センサ23Bを備えた重送検知手段23と、送信センサから超音波信号を送信、受信センサから受信した超音波信号の受信レベルによって記録材の搬送状態を検知する重送判定回路210と、少なくとも送信センサからの超音波信号の送信を、記録材の搬送に同期して制御する制御部201と、連続搬送される記録材のサイズと記録材が送信センサと受信センサ間を通過するタイミングに応じて、送信センサから送信される超音波信号のサンプリング周期を変化させるサンプリング周期変更手段202を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録材の重送を検知する重送検知装置及びそれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置の給紙機構は、1枚ずつ記録材を定期的に搬送されるよう構成されているが、静電気、湿度等により用紙同士が吸着し、2枚以上の用紙が重なりあって搬送されてしまう不具合(以下、重送と記述する)が発生する場合がある。本不具合を確実に検知し、重送状態の記録材に画像形成が行われないようにする必要がある。その重送状態を検知する手法の一つとして、超音波による重送検知方式を用いることが既に知られている。
一般に超音波による重送検知方式では、重送検知手段となる超音波センサから検知対象物となる記録材に超音波を照射して、その透過時の減衰率に基づき重送しているか否かを判断しているが、駆動時間が限定的であることから、連続的に検知することが困難である。このため、記録材に対し、サンプリング箇所を任意に設定し、記録材全体を確認する検知方式となっている。
特許文献1には、重送検出精度を高める目的で、記録材のサイズによって異なってしまうサンプリング回数をサイズ毎に算出し、そのサイズ毎のサンプリング周期で超音波センサを駆動させて重送検知する方法が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
記録材の重送状態には記録材全体が重なる場合と、部分的に重なる場合とがある。このため従来の重送検知方式では、部分的に重なった重送状態の記録材において、サンプリング箇所の設定によっては、前述した検知方式では重送状態部分を検知できず重送と判定できない場合がある。つまり、部分的に重送状態となっている記録材で、サンプリング箇所が部分的重送状態の箇所に当たらなければ、確実に重送と判定できない場合があった。
画像形成装置で使用する記録材は多種多様であり、封筒、ラベル紙、圧着紙のような1部で記録材が複数枚重なって構成されているものや、パンチ済み紙のような部分的に穴のあいているものなどの特殊記録材がある。このような特殊記録材による重送検知を従来の重送検知方式により行うことは、減衰率の関係から難しく、誤検知となることが多くため、特殊記録材の重送検知は行わないよう除外している場合が多い。
特許文献1では、記録材のサイズによって超音波センサ駆動のサンプリング周期を変えているが、部分的な重送となっていた場合、サンプリング周期によっては重送部分を見逃す可能性があり、さらに、封筒、ラベル紙、圧着紙、パンチ済み紙などの特殊記録材に対しては、特許文献1に記載の構成でも重送検知は困難である。
本発明は、光学的な重送検知手段を用いても、記録材の種類に関わらず、精度よく重送検知を行える重送検知装置及び、それを用いた画像形成装置を提案することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明に係る重送検知装置は、超音波信号を送信する送信センサ及び記録材を搬送する搬送経路を挟んで対向して配置され送信センサから送信された超音波信号を受信する受信センサを備えた重送検知手段と、送信センサから超音波信号を送信、受信センサから受信した超音波信号の受信レベルによって記録材の搬送状態を検知する重送判定回路と、少なくとも送信センサからの超音波信号の送信を、記録材の搬送に同期して制御する制御部と、連続搬送される記録材のサイズと記録材が送信センサと受信センサ間を通過するタイミングに応じて、送信センサから送信される超音波信号のサンプリング周期を変化させるサンプリング周期変更手段を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、送信センサから送信され受信センサで受信した超音波信号の受信レベルによって記録材の搬送状態を検知する重送判定回路と、少なくとも送信センサからの超音波信号の送信を、記録材の搬送に同期して制御する制御部と、連続搬送される記録材のサイズと記録材が送信センサと受信センサ間を通過するタイミングに応じて、送信センサから送信される超音波信号のサンプリング周期を変化させるサンプリング周期変更手段を有するので、記録材のサイズに合わせたサンプリング周期によって超音波センサを駆動させて重送検知するだけでなく、搬送されている記録材間の隙間部分でも超音波センサが駆動するので、記録材の有無も検知することができ、記録材同士がずれて部分的な重送状態の検知も可能となる。さらに、これまで重送検知が困難とされていた特殊記録材の重送検知が可能となるとともに、搬送記録材間の隙間部分で駆動した超音波センサの受信信号は記録材の有無を判定できればいいので、重送判別できるレベルまで信号増幅する必要がなくなり、ノイズによる誤検知も低減できるため、記録材の種類に関わらず、精度よく重送検知を行える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一形態を示す概略構成図。
【図2】重送検知装置の回路構成の一形態を示すブロック図。
【図3】重送検知装置による重送検知のタイミングチャート。
【図4】重送検知装置による記録材の有無検知のタイミングチャート。
【図5】重送検知装置によるサンプリングポイントを説明する図であり、(a)は初期状態、(b)記録材が全面重送状態となっている場合、(c)は記録材が部分的重送状態となっている場合、(d)は記録材が部分的重送状態となっている別な場合を示すそれぞれ示す。
【図6】重送検知装置による特殊記録材に対する重送検知のサンプリング周期を示す図であり、(a)は初期状態、(b)は記録材が部分的重送状態となっている場合をそれぞれ示す。
【図7】重送検知装置によるサンプリング周期設定のためのフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図を参照して本発明の実施形態を説明する。最初に画像形成装置の全体構成と動作を説明し、そのあとに重送検知装置について説明する。実施の形態において、同一の機能もしくは形状を有する部材や構成部品等の構成要素については、判別が可能な限り同一符号を付すに留め、先の説明との重複説明は省略する。
【0008】
図1は、本発明を適用し得る画像形成装置1の実施形態の一例を示す。この画像形成装置1は、装置中央付近に、無端ベルト状の中間転写体となる中間転写ベルト2を配置されている。中間転写ベルト2は、複数の支持ローラ28及び駆動ローラ8、二次転写対向ローラ10に掛け回してあり、駆動ローラ8を回転駆動することで図中時計回りに回転搬送する。中間転写ベルト2の上方には、その搬送方向に沿って、複数の画像形成手段3(本実施例では画像形成手段3は4色構成とする)を横に並べて配置したタンデム画像形成部4が配置されている。このタンデム画像形成部4の上方には、露光装置5が配置されている。タンデム画像形成部4の各画像形成手段3は、イエロ、シアン、マゼンタ、ブラックの各色トナー像を担持する像担持体としての感光体ドラム6を有している。
【0009】
各感光体ドラム6から中間転写ベルト2にトナー像を転写する一次転写位置には、中間転写ベルト2を間に挟んで各感光体ドラム6に対向するように一次転写手段の構成要素としての一次転写ローラ7が配置されている。
【0010】
画像形成装置1は、制御部となるコントローラボックス25を備えている。このコントローラボックス25には図示していない上位装置が接続されていて、当該上位装置からコントローラボックス25内のコントローラボード26に印刷データが送信されるように構成されている。コントローラボード26は、印刷データを、画像形成装置1で印刷するための画像データに編集し画像形成装置1に送信する機能を備えている。画像形成装置1は画像データを受信すると、駆動ローラ8を回転駆動して他の複数の支持ローラ28を従動回転し、中間転写ベルト2を回転搬送する。同期して個々の画像形成手段3で各感光体6上にそれぞれの単色のトナー像を形成する。そして、中間転写ベルト2の搬送とともに、それらの単色トナー像を各一次転写ローラ7で順次転写して合成し、中間転写体2上に合成画像を形成する。
【0011】
中間転写ベルト2を挟んでタンデム画像形成部4との反対側には、二次転写装置9が配置されている。二次転写装置9は、二次転写対向ローラ10に二次転写ローラ11を押し当て転写電界を印加することで、中間転写ベルト2上の画像を、ローラ間を通過する記録材Sに転写するものである。二次転写装置9よりも記録材搬送方向の下流側には、記録材S上の転写画像を定着する定着機構部12が配置されている。本形態において、定着機構部12は、無端ベルトである定着ベルト13に加圧ローラ14を押し当てて構成した周知のベルト定着方式のものである。無論ローラ同士を接触させたローラ定着方式のものであってもよい。
【0012】
画像形成装置1の上部には、印刷方法、カラー/モノクロ印刷、用紙サイズ、紙種等の各種印刷設定を行うオペレータパネル27が設けられていて、オペレータが任意に印刷設定を変更することが可能とされている。
【0013】
記録材Sは図1中の点線、一点鎖線が示す搬送経路に沿って搬送される。点線は片面印刷時に通る搬送経路で、一点鎖線は両面印刷を行う場合に片面印刷完了後の記録材Sが通る搬送経路を示す。画像形成装置1の下部に配置された給紙カセット18に格納する記録材Sは任意の用紙サイズを格納することが可能となっており、用紙格納時に自動認識され、そのサイズがオペレータパネル27に表示される。印刷時、格納してある記録材Sから印刷する記録材Sを自動またはオペレータによって選定し、選定された用紙サイズを格納している給紙テーブル16の給紙ローラ17の1つを回転し、給紙カセット18の1つから記録材Sを定期的に繰り出し、搬送経路上に配置された各搬送ローラ19を適時駆動して搬送する。各搬送ローラ19には搬送経路下流側直近に搬送センサ(本図では図示せず)が配置されており、記録材Sの搬送を監視している。給紙カセット18より搬送された記録材Sは、搬送経路上に配置された重送検知手段となる超音波センサ23により記録材Sが重なった状態で搬送されていないか(以下、重送と記載する)監視(検知)している。1枚ずつ搬送された記録材Sはレジストローラ20に突き当てて止め、中間転写ベルト2上の画像にタイミングを合わせてレジストローラ20を回転し、二次転写装置9で転写され記録材S上に画像が転写される。画像転写後の記録材Sは、搬送ベルト15により定着機構部12へと搬送され、熱と圧力とを加えて転写画像が定着される。両面印刷時はこの後、記録材Sを表裏反転し定着機構部12下側から搬送経路の上流側へ搬送し、もう片面を同様に印刷する。印刷完了した記録材Sは排出ローラ21により、デカーラユニット22へと搬送され印刷動作によりカールしている記録材Sのカールをデカーラユニット22で改善し排出され、排紙トレイ24上に積載される。
【0014】
次に図2を用いて重送検知装置200の構成について説明する。重送検知装置200は、超音波センサ23と、重送検知回路210と、サンプリング周期変更手段211を備えている。超音波センサ23は、送信センサ23Aと受信センサ23Bを備えている。重送検知回路210は、制御部201、駆動パルス生成回路202、フィルタ回路203、増幅回路A204、増幅回路B205、検波回路A206、比較回路A207、検波回路B208、比較回路B209を備えている。
【0015】
以下、本発明の実施形態の回路構成について具体的に説明する。
重送検知装置200は、制御部201で記録材Sの重送状態を判断するため、超音波センサ23を駆動し送信センサ23Aから超音波を送信(パルス出力)させるとともに、送信(出力)された超音波を、送信センサ23Aに対して記録材搬送経路を挟んで対向した位置に配置された受信センサ23Bで受信し、受信した超音波を重送判定回路210で記録材Sの有無、重送状態の有無を検知し、検知結果を制御部201に出力するように構成されている。超音波センサ23から連続でパルス出力した場合、超音波の干渉によって反射波を誤検知してしまうため、超音波パルスは一定のサンプリング周期で断続的に超音波を送信するバースト波で出力する。サンプリング周期は、サンプリング周期変更手段211で記録材Sのサイズ、搬送速度、記録材S間の搬送間隙をパラメータとして算出される。また、本実施形態において、発信した超音波の反射波の影響を受けないように、送信センサ23Aと受信センサ23Bは、記録材Sに対し、任意の角度傾けた配置となっており、超音波周波数は300kHz、バースト波数は6波としている。
【0016】
制御部201は、記録材Sの搬送と同期して超音波センサ駆動タイミングを生成する。生成した駆動タイミング信号は、駆動パルス生成回路202で送信センサ23Aから超音波パルスを出力するための駆動パルスに変換し、送信センサ23Aに入力する。送信センサ23Aから出力された超音波パルスは、受信センサ23Bで受信する。超音波パルスは記録材Sを通過することによって減衰され、記録材Sの種類により減衰率が異なる。受信した超音波パルスは、フィルタ回路203にて送信された超音波周波数を中心とした帯域を抽出する。抽出された超音波パルスは前述したように記録材Sによって減衰しているため、増幅回路A204にて増幅する。重送状態検知をする場合、増幅回路A204にて増幅された超音波パルスを、更に増幅回路B205で重送検知を判別しやすいレベルに増幅し、検波回路A206で増幅回路A204、増幅回路B205で増幅された超音波パルスの増幅分を取り出す。検波された超音波パルスは、比較回路A207にて予め設定されている閾値Vthdと比較されて重送可否の判定に用いられ、判定結果を制御部201に送信する。また、記録材Sの有無を検知する場合、検波回路B208を用いて増幅回路A204で増幅された超音波パルスの増幅分を取り出す。検波された超音波パルスは比較回路B209にて予め設定されている閾値Vthpと比較され、記録材Sの有無判定を行い、判定結果を制御部201に送信する。
【0017】
本形態では、重送検知装置200の構成として単独で制御部201を備えた構成としたが、この重送検知装置200を単体で販売するのではなく、画像形成装置1に搭載して販売する場合、あるいは、オプションで後付けする場合には、制御部としては、画像形成装置1のコントローラボックス25内のコントローラボード26を用いるようにしても良い。
【0018】
図3は超音波センサ23による記録材Sの重送を検知する場合のタイミングチャートであり、図4は、超音波センサ23による記録材Sの有無を検知する場合のタイミングチャートである。
【0019】
図3、図4において、(A)〜(G)、(B’)〜(G’)は本実施形態の一例の回路上の信号波形であり、(A)、(B)、(D)、(E)、(B’)、(D’)、(E’)については図2のブロック図にも示した。
【0020】
図3において、(α)区間は重送なしの場合、(β)区間は重送ありの場合のタイミングチャートである。駆動パルス生成回路202によって生成された駆動パルス(波形(A))はバースト周期Tuw間隔のバースト波パルスとなっていて、送信センサ23Aにこのバースト波パルスを入力するとセンサから超音波を出力する。受信センサ23Bは超音波信号が記録材Sの重送の有無によって減衰率が異なるパルスを受信し、フィルタ回路203で超音波周波数を中心とした帯域を抽出し、増幅回路A204、増幅回路B205で信号増幅(波形(B))される。また、送信センサ23A、受信センサ23Bは記録材Sの搬送経路上に対向した配置構成となっており、送信センサ23A、受信センサ23B間の距離から超音波パルス到達時間Taが算出できる。増幅された信号は検波回路A206によってパルス増幅分の信号(波形(C))を抽出し、積分化(波形(D))して、比較回路A207にて重送閾値Vthdと比較する。(α)区間において処理した信号は重送閾値Vthd以上であるので、重送状態無しと判定し、重送無しのHレベルのパルスを出力(波形(E))する。一方、(β)区間において処理した信号は重送閾値Vthd以下であるので、重送状態と判定しLレベルを出力し制御部201に送信される。制御部201は超音波パルス到達時間Ta、ディレイ時間Td、遅延した超音波パルス有効期間Tenb(波形F)と入力した判定信号(波形(E))とで重送有無信号(波形G)を生成し、重送状態であればエラー処理を行う。
【0021】
図4において、(α’)区間は記録材なしの場合、(β’)区間は記録材ありの場合のタイミングチャートである。
【0022】
駆動パルス生成回路202によって生成された駆動パルス(波形(A))はバースト周期Tuw間隔のバースト波パルスとなっていて、送信センサ23Aにこのバースト波パルスを入力するとセンサから超音波を出力する。受信センサ23Bは超音波信号が記録材Sがあれば減衰した信号を受信し、なければ直信号を受信する。フィルタ回路203で超音波周波数を中心とした帯域を抽出し、増幅回路A204で信号増幅(波形(B’))される。増幅された信号は検波回路B206によってパルス増幅分の信号(波形(C’))を抽出し、積分化(波形(D’))して、比較回路B207にて記録材有無閾値Vthpと比較する。(α)区間において処理した信号は、記録材有無の閾値Vthp以上であるので記録材S無しと判定し、記録材S無しのHレベルのパルスを出力(波形(E’))し、(β)区間において処理した信号は、記録材有無の閾値Vthp以下であるので記録材S有りと判定し、Lレベルを出力し制御部201に送信される。制御部201は超音波パルス到達時間Ta、ディレイ時間Td遅延した超音波パルス有効期間Tenb(波形F’)と入力した判定信号(波形(E’))とで記録材有無信号(波形G’)を生成する。
【0023】
図5を用いて具体的な重送検知のサンプリングポイントについて説明する。
図5(a)〜図5(d)において、23Aは送信センサ、23Bは受信センサ、S、S0、S1−1、S1−2、S2、S3は記録材、19は搬送ローラ、401は搬送センサをそれぞれ示す。
【0024】
以下、本発明の実施形態の一例について具体的に説明する。
図5において、記録材Sは搬送方向に等間隔で連続搬送されている。搬送ロー19ラの直近(搬送ロー19よりも搬送方向下流側)に配置されている搬送センサ401は記録材Sの搬送を監視している。搬送する記録材Sのサイズは、図1に示した給紙テーブル16、またはオペレータによるオペレータパネル27の設定によって確認ができるので、記録材Sの搬送時間Tpを算出することができ、この算出結果と、記録材Sを連続搬送するときの記録材S間の間隙は一定であるので記録材Sの搬送周期Tpcを算出できる。また、搬送センサ401が記録材Sを検知し送重送検知のための送信センサ23A、受信センサ23B間の中央位置まで到達する時間である超音波センサ到達時間Tarは搬送速度に比例しているので、制御部201は超音波センサ到達時間Tarを搬送センサ401が記録材Sを検知する度に算出することができる。また、サンプリング周期Tspは超音波センサ23の駆動周期Tuw以上である。以上の算出結果、条件から、重送検知開始するサンプリングポイントSp1が決まり、サンプリング周期Tspがサンプリング周期変更手段211で算出される。
【0025】
図5(a)〜図5(c)で示す実施形態では、記録材S間の間隙でのサンプリングポイントSp1、Sp6が設定され、記録材SでのサンプリングポイントSp2〜Sp5、Sp7を設定している。よって、間隙のサンプリングポイントはSp(5n−4)(nは整数)となり、それ以外のサンプリングポイントは記録材Sを検知するサンプリングポイントとなる。
【0026】
図5(b)は記録材S1−1、s1−2が全面重送状態となっている場合である。制御部201は示されたサンプリングポイントSp2で重送検知することができる。
【0027】
図5(c)は記録材S1−1、S1−2が部分的重送状態となっている場合(ケース1)である。制御部201は示されたサンプリングポイントSp1で重送検知することができる。つまり、記録材Sの重送検知を行うよりも、より検知が容易な記録材有無検知で重送と判定することができる。
【0028】
図5(d)は記録材S1−1、S1−2が部分的重送状態となっている場合(ケース2)である。この状態は搬送速度が速い場合、または記録材Sのサイズが小さい場合に生じる。記録材S間の間隙でのサンプリングポイントSp1、Sp3が設定され、記録材SでのサンプリングポイントSp2、Sp4を設定している。制御部201は示されたサンプリングポイントSp1で重送検知することができる。
【0029】
以上より、制御部201は間隙のサンプリングポイントでは記録材有無信号でサンプリングを行い、それ以外のサンプリングポイントでは重送有無信号でサンプリングすることで重送検知の精度を高めることができる。
【0030】
図6を用いて特殊記録材の重送検知のサンプリング周期について説明する。
図6において、23Aは送信センサ、23Bは受信センサ、S、S0、S1−1、S1−2、S2、S3は記録材、19は搬送ローラ、401は搬送センサを示す。
【0031】
以下、本発明の実施形態の一例について具体的に説明する。なお、この図6おいて、記録材S、S0、S1−1、S1−2、S2、S3は封筒、ラベル紙、圧着紙、パンチ済み紙などの特殊記録材であり、1部が2枚重なっている。このため特殊記録材に超音波センサ23による重送検知を行うと、重送状態と誤検知してしまう。このため、記録材が上述したような特殊記録材の場合、搬送される記録材Sの間隙で記録材Sの有無検知を行うことで、部分的な重送検知が可能となる。
【0032】
図5で説明したように本実施形態において搬送時間Tp、搬送周期Tpcが算出できる。図6(a)において、記録材S間の間隙部分の搬送時間TkはTpc−Tpとなり、記録材S間の間隙部分の搬送時間は、超音波センサ23の駆動周期Tuw以上なので、1つの間隙部分でのサンプリング回数N=Tk/Tuw(Nは自然数)であり、間隙部分でのサンプリング周期Tspは超音波センサ23の駆動周期Tuwとなる。尚、本図において、1つの間隙部分のサンプリング回数は2回となっている。
【0033】
搬送センサ401が記録材Sを検知し、重送検知のための送信センサ23A、受信センサ23B間の中央位置まで到達する時間である超音波センサ到達時間Tarは、図5で説明したように算出することができるので、間隙部分でサンプリングを行うためには記録材Sの搬送時間Tpと間隙のサンプリング周期で残る余り時間Tk−Tuw×Nを合わせたウェイト時間Tw遅らせるとサンプリングポイントSp1が決まる。以下、次の間隙部分も同様に間隙前の記録材Sを搬送センサ401が検知することでサンプリングポイントが決まる。決められたサンプリングポイントで記録材Sの有無検知を行うことにより、記録材Sの重送検知ができる。
【0034】
図6(b)は記録材S1−1、S1−2が部分的重送状態となっている場合である。制御部201は示されたサンプリングポイントSp2で重送検知することができる。
【0035】
図7は、超音波センサ23による重送検知のサンプリング周期設定のフローチャートである。制御部201は重送検知のサンプリング周期Tsp、サンプリングパターンを設定するため、図7示す手順の制御を行う。尚、図7に示す本フローチャートは初期設定に関するもので、印刷中に記録材Sの変更、サイズ変更、印刷モード変更が行われても、重送検知のサンプリング周期Tsp、サンプリングパターンを再設定することは可能である。
【0036】
図7において、制御部1は、給紙テーブル16に格納されている記録材Sのサイズを確認する(STEP1)。
制御部201はオペレータがオペレータパネル27によって設定した記録材Sの仕様(特殊記録材等)について確認する(STEP2)。
モノクロ印刷、カラー印刷、両面印刷、片面印刷等の印刷モードの設定を確認する(STEP3)。
STEP1〜3での確認結果から記録材Sを搬送する速度、記録材S間の間隙が判明するので、搬送周期Tpcを算出する(STEP4)。
搬送センサ401が記録材Sを検知し送重送検知のための送信センサ23A、受信センサ23B間の中央位置まで到達する時間である超音波センサ到達時間Tarを算出する(STEP5)。
【0037】
記録材Sは特殊記録材かどうかを判断する(STEP6)。
(STEP6)で特殊記録材でなければ、記録材Sと記録材間の間隙の両方をサンプリングするサンプリングパターンA、超音波センサ駆動のサンプリング周期Tspを設定する(STEP7)。
【0038】
一方、(STEP6)で特殊記録材であれば、記録材間の間隙のみをサンプリングするサンプリングパターンB、超音波センサ駆動のサンプリング周期Tspを設定する(STEP8)。
【0039】
つまり、従来の超音波センサを用いた重送検知方式では、2枚以上の記録材が重なった重送部分の検出を目的として構成されているが、連続的な検知ができないため、任意のサンプリング周期によって記録材の重送検知を行っている。しかし上述の本発明にかかる構成では、記録材Sのサイズ、搬送速度に合わせたサンプリング周期によって超音波センサ23を駆動させて重送検知するだけでなく、搬送されている記録材間の隙間部分でも超音波センサ23を駆動させ記録材有無を検知することで、記録材同士がずれて部分的な重送状態の検知が可能となる。
【0040】
また、本構成よれば、これまで重送検知が困難とされていた封筒、ラベル紙、圧着紙、パンチ済み紙などの特殊記録材の重送検知が可能となる。さらに、搬送記録材間の隙間部分で駆動した超音波センサ23の受信信号は記録材Sの有無を判定できればいいので重送判別できるレベルまで信号増幅する必要がなくなり、ノイズによる誤検知も低減できる。このようにことを上記の構成では達成できるので、記録材Sの種類に依らず超音波センサ23を用いて、より精度よく重送判定することができる。
【符号の説明】
【0041】
23 重送検知手段
23A 送信センサ
23B 受信センサ
200 重送検知装置
201 制御部
202 サンプリング周期変更手段
210 重送判定回路
S 記録材
【先行技術文献】
【特許文献】
【0042】
【特許文献1】特開2008−211459号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波信号を送信する送信センサと、記録材を搬送する搬送経路を挟んで対向して配置され前記送信センサから送信された超音波信号を受信する受信センサとを備えた重送検知手段と、
前記送信センサから超音波信号を送信、前記受信センサから受信した超音波信号の受信レベルによって前記記録材の搬送状態を検知する重送判定回路と、
少なくとも前記送信センサからの超音波信号の送信を、前記記録材の搬送に同期して制御する制御部と、
連続搬送される記録材のサイズと記録材が前記送信センサと受信センサ間を通過するタイミングに応じて、前記送信センサから送信される超音波信号のサンプリング周期を変化させるサンプリング周期変更手段を有することを特徴とする重送検知装置。
【請求項2】
前記制御部は、連続搬送される記録材間の間隙部分で前記超音波信号を送信することを特徴とする請求項1記載の重送検知装置。
【請求項3】
前記制御部は、連続搬送される記録材の搬送速度によって前記超音波信号を送信するタイミングを生成することを特徴とする請求項1記載の重送検知装置。
【請求項4】
前記サンプリング周期変更手段は、記録材のサイズ、搬送速度によって変動する記録材間の間隙部分に同期してサンプリングを行うことを特徴とする請求項1記載の重送検知装置。
【請求項5】
前記制御部は、記録材と記録材間の間隙で前記超音波信号を送信し、重送状態の検知を行うことを特徴とする請求項1記載の重送検知装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記記録材が封筒の場合、記録材間の間隙でのみサンプリングを行うことを特徴とする請求項1記載の重送検知装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記記録材がラベル紙の場合、記録材間の間隙でのみサンプリングを行うことを特徴とする請求項1記載の重送検知装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記記録材が圧着紙の場合、記録材間の間隙でのみサンプリングを行うことを特徴とする請求項1記載の重送検知装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記記録材がパンチ済み紙の場合、記録材間の間隙でのみサンプリングを行うことを特徴とする請求項1記載の重送検知装置。
【請求項10】
請求項1ないし9の何れか1つに記載の重送検知装置を備えたことを特徴とする画像成形装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−63820(P2013−63820A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−203539(P2011−203539)
【出願日】平成23年9月16日(2011.9.16)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】