説明

重量測定装置、及び液滴吐出装置

【課題】性質の異なる複数種類の液状体の重量測定の精度を向上させることができる重量測定装置、及び、これを備えた液滴吐出装置を提供する。
【解決手段】液状体の重量測定装置は、液滴吐出ヘッド30iから吐出される複数種類の液状体の種類に応じて設けられ、液滴吐出ヘッド30iから液状体の吐出を種類ごとに受けるとともに、受けた液状体を吸収する複数の吸収材55R,55G,55Bと、吸収材55R,55G,55Bを介して収集された液状体の重量を測定する電子天秤50とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重量測定装置、及び液滴吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、液晶表示装置のカラーフィルタ、配向膜等の成膜等工業上の各種の分野に液滴吐出装置が利用されている。液滴吐出装置は、液滴吐出ヘッドと呼ばれる液滴吐出機構を有している。この液滴吐出ヘッドには、複数のノズルが規則的に形成されている。液滴吐出装置では、これらのノズルから液状体を液滴として吐出することにより、基板等のワーク上に液状体からなるパターンの描画を行う。
【0003】
近年、このパターンは微細化が進んでおり、液滴吐出ヘッドから吐出される液状体の吐出量を精度良く制御することが重要となってきている。液滴吐出ヘッドから吐出される液状体の吐出量を精度良く制御するためには、当該液状体の重量を正確に測定することが極めて重要となっている。液滴吐出ヘッドから吐出された液状体の重量を測定する装置としては、液状体を吸収材に吸収保持し当該吸収材の重量を測定する重量測定装置が公知である(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2004−191308号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、液状体の種類が多岐にわたり、互いに性質が異なる複数種類の液状体が、1つの液滴吐出装置で並行して使用されるようになってきている。このような液滴吐出装置に、上記特許文献1に記載された重量測定装置を適用すると、吸収材で複数種類の液状体が混合することになる。吸収材で複数種類の液状体が混合すると、化学変化等によって吸収材の表面や内部が固化してしまうことが考えられる。
【0006】
吸収材が固化してしまうと、固化した部位に液滴が衝突し液状体が吸収材の外に飛散してしまったり、固化した部位を伝わって液状体が吸収材の外に漏洩してしまったりすることが考えられる。吸収材の外に飛散または漏洩した液状体は、重量が測定されないことになる。
【0007】
つまり、上記特許文献1に記載された重量測定装置を、複数種類の液状体を並行して使用する液滴吐出装置に適用した構成では、液状体の重量測定の精度を向上させることが困難であるという未解決の課題がある。
【0008】
本発明は、この未解決の課題に着目してなされたものであり、液状体の重量測定の精度を向上させることができる重量測定装置、及び、これを備えた液滴吐出装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、液滴吐出ヘッドから吐出される液状体の重量を測定する重量測定装置であって、前記液滴吐出ヘッドから吐出される複数種類の前記液状体の前記種類に応じて設けられ、前記液滴吐出ヘッドから吐出された前記液状体を前記種類ごとに吸収する複数の吸収材と、前記吸収材を介して収集された前記液状体の重量を測定する測定手段と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、液滴吐出ヘッドから吐出された互いに性質の異なる複数種類の液状体は、各々別々な吸収材に吸収されるので、当該液状体の混合による吸収材の固化の可能性が低減される。そのため、液状体の飛散、漏洩の可能性が低減され、液状体の吸収材への吸収能力を持続させやすくすることができる。従って、液滴吐出ヘッドから吐出された液状体の重量を精度良く測定することができる。ここで、吸収能力とは、液滴吐出ヘッドから吐出された液状体を受けて吸収材が当該液状体を吸収することができる能力をいう。
【0011】
この重量測定装置において、前記複数の吸収材同士間を仕切る仕切りを備えることが望ましい。
【0012】
この構成によれば、吸収材同士間が、仕切りによって仕切られているため、各吸収材に吸収された液状体が吸収材同士間を移動することが低く抑えられる。従って、各吸収材が各液状体を吸収した後に各液状体が混合してしまうことを低く抑えることが可能となる。
【0013】
この重量測定装置において、前記複数の吸収材を支持するとともに、各前記吸収材から前記液状体の滴下を受ける受け容器を備え、前記測定手段は、前記液状体の重量を前記受け容器ごと測定することが望ましい。
【0014】
この構成によれば、液滴吐出ヘッドから吐出された液状体は、吸収材に吸収された後、受け容器の内部に滴下して液状態で溜められる。従って、吸収材内部で液状体が飽和する可能性が低減され、液状体の吸収材への吸収能力を持続させやすくすることができる。
【0015】
この重量測定装置において、前記複数の吸収材を保持するとともに、前記受け容器に着脱可能に設けられたフレームを備え、前記複数の吸収材は、前記フレームを介して、前記受け容器に支持されていることが望ましい。
【0016】
この構成によれば、フレームを受け容器に着脱することで、複数の吸収材をフレームごと受け容器に着脱することができる。従って、複数の吸収材をフレームごと交換することができ、吸収材の交換が容易になる。
【0017】
本発明の液滴吐出装置は、上記の重量測定装置と、複数のノズル列を有するとともにワークに対し液状体を吐出する液滴吐出ヘッドと、を備え、前記複数の吸収材のそれぞれは、平面視で前記液滴吐出ヘッドの1本のノズル列を覆う大きさに形成されており、前記液滴吐出ヘッドは、前記液状体の重量を測定するときに、各前記吸収材に各前記液状体を前記ノズル列単位で吐出することを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、各吸収材はノズル列単位で液状体の吐出を受けることができ、液滴吐出装置が大型化してしまうことを避けやすくすることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。
本実施形態における液滴吐出装置1は、概略斜視図である図1に示すように、ヘッドユニット9と、キャリッジ2と、基台3と、キャリッジ搬送機構4と、テーブル搬送機構5と、ワークテーブル6と、測定テーブル7と、重量測定装置10と、制御回路8とを備えている。
【0020】
この液滴吐出装置1は、キャリッジ2と、ワークテーブル6との相対位置を変化させつつ、キャリッジ2に搭載された複数の液滴吐出ヘッドから液状体を液滴として吐出して、ワークテーブル6に搭載されたワークWに液状体で所望のパターンを形成するものである。なお、図中のX軸方向はキャリッジ2の移動方向を示し、Y軸方向はワークテーブル6の移動方向を示している。Z軸方向は、X軸とY軸とが作る面と直交する方向を示している。
【0021】
このような液滴吐出装置1は、例えば、各種の表示装置のカラー表示を可能にするカラーフィルタの製造に適用され得る。例えば、赤、緑及び青の3色のフィルタエレメントを有するカラーフィルタを製造する場合は、液滴吐出装置1の各々の液滴吐出ヘッドから、赤、緑及び青の3色の液状体のいずれかをワークWに液滴として吐出して、赤、緑及び青の3色のフィルタエレメントのパターンを描画する。
【0022】
ここで、液滴吐出装置1の各構成について説明する。
ヘッドユニット9は、底面図である図2に示すように、12個の液滴吐出ヘッド301〜3012と、12個の液滴吐出ヘッド30i(iは、1〜12の整数)が配設されるヘッドプレート21とを備えている。12個の液滴吐出ヘッド30iは、6個ずつに二分されY方向に所定の間隔をあけて、ヘッド列40a及び40bを形成している。ヘッド列40a及び40bは、Y方向から所定の角度θを有する方向に延びるように構成されている。
【0023】
各液滴吐出ヘッド30iは、底面図である図3に示すように、複数のノズル31を有している。複数のノズル31は、ノズル面39にX方向に沿って所定のピッチ間隔Pを有して互いに平行なノズル列32a及び32bを形成している。ノズル列32a及び32bは、ノズル列32a及び32bのノズル31同士がX方向にP/2の間隔だけずれた位置に形成されている。
【0024】
本実施形態では、12個の液滴吐出ヘッド30iにおいて、液滴吐出ヘッド301,304,307,3010に、赤の液状体が供給され、液滴吐出ヘッド302,305,308,3011に、緑の液状体が供給され、液滴吐出ヘッド303,306,309,3012に、青の液状体が供給される。
【0025】
キャリッジ2は、各液滴吐出ヘッド30iのノズル面39がZ方向の下方に向くようにヘッドユニット9を支持する。
【0026】
基台3は、例えば石などの熱膨張係数が小さい材料から形成されており、X方向に一定の幅を有し、Y方向に沿って延びるように4本の脚部11に支持されている。また、基台3のZ方向の下部には、制御回路8が設けられている。
【0027】
キャリッジ搬送機構4は、図1に示すように、キャリッジ搬送軸12と、キャリッジ搬送モータ13と、動力伝達機構25とを備えている。
【0028】
キャリッジ搬送軸12は、基台3の上部から浮いた状態でX方向に延びて設けられている。キャリッジ搬送軸12は、例えばボールねじが採用され、X方向を軸として回転可能に設けられている。キャリッジ搬送軸12は、キャリッジ2に固定された図示しないボールナットに係合している。
【0029】
キャリッジ搬送モータ13は、例えばステッピングモータが採用され、輪列等を備えた動力伝達機構25を介し、キャリッジ搬送軸12の一端に接続されている。キャリッジ搬送モータ13は、キャリッジ搬送軸12を回転させるための動力を発生する。
【0030】
上記構成を有するキャリッジ搬送機構4は、キャリッジ搬送モータ13がキャリッジ搬送軸12を回転させることにより、ボールナットが固定されたキャリッジ2を、キャリッジ搬送軸12に沿って、すなわちX方向に沿って往復移動させることができる。
【0031】
テーブル搬送機構5は、図1に示すように、テーブル搬送軸15と、ワークテーブル搬送モータ16と、動力伝達機構27と、測定テーブル搬送モータ17と、動力伝達機構28とを備えている。
【0032】
テーブル搬送軸15は、キャリッジ搬送軸12と基台3との間の空間に、基台3から浮いた状態でY方向に延びて設けられている。テーブル搬送軸15は、例えばボールねじが採用され、両端が基台3に固定されている。
【0033】
ワークテーブル搬送モータ16は、例えばステッピングモータが採用され、ワークテーブル6の下部に固定されている。ワークテーブル搬送モータ16は、輪列等を備えた動力伝達機構27を介し、図示しないボールナットに接続している。ワークテーブル搬送モータ16に接続しているボールナットは、ボールねじであるテーブル搬送軸15と係合している。ワークテーブル搬送モータ16は、ボールナットを回転させるための動力を発生する。
【0034】
測定テーブル搬送モータ17は、例えばステッピングモータが採用され、測定テーブル7の下部に固定されている。測定テーブル搬送モータ17は、輪列等を備えた動力伝達機構28を介し、図示しないボールナットに接続している。測定テーブル搬送モータ17に接続しているボールナットは、ボールねじであるテーブル搬送軸15と係合している。測定テーブル搬送モータ17は、ボールナットを回転させるための動力を発生する。
【0035】
ワークテーブル6は、図1に示すように、ワークテーブル搬送モータ16が固定されている側とは反対側に、ワークWが載置される載置面19を有している。また、ワークテーブル6は、載置面19がZ方向の上方に向くように、ボールナットを介してテーブル搬送軸15に支持されている。
【0036】
測定テーブル7は、図1に示すように、後述する重量測定装置10のフレーム53が露出するテーブル面49を有している。測定テーブル7は、テーブル面49がZ方向の上方に向くように、ボールナットを介して、テーブル搬送軸15に支持されている。
【0037】
上記構成を有するテーブル搬送機構5は、ワークテーブル搬送モータ16がボールナットを回転させることにより、ワークテーブル6をテーブル搬送軸15に沿って、すなわちY方向に沿って往復移動させることができる。また、テーブル搬送機構5は、測定テーブル搬送モータ17がボールナットを回転させることにより、測定テーブル7をテーブル搬送軸15に沿って、すなわちY方向に沿って往復移動させることができる。
【0038】
重量測定装置10は、測定テーブル7に設置されており、図4に示すように、受容部51と、電子天秤50とを備える。ここで、測定テーブル7には、受容部51と、電子天秤50とを収容する空間66が形成されている。受容部51は、3個の吸収材55R,55G,55Bと、フレーム53と、受け容器52とを有している。
【0039】
各吸収材55R,55G,55Bは、受容部51の分解斜視図である図5に示すように、それぞれ6面体に形成されている。そして、各吸収材55R,55G,55Bの面Cは、Z方向から見て、各液滴吐出ヘッド30iのノズル面39に位置する1本のノズル列32aまたは32bを覆うことができる大きさに設定されている。
【0040】
各吸収材55R,55G,55Bは、耐食性(耐薬品性)や液状体の吸収能力の優れた材料から構成されており、例えば、ポリビニルアルコールの連続多孔質体などが採用され得る。
【0041】
フレーム53は、図5に示すように、天面Aに3個の貫通孔56がY方向に一定の間隔をおいて設けられている。貫通孔56は、天面Aの開口部が、各吸収材55R,55G,55Bの面Cの外形よりわずかに大きい形状に形成されている。
【0042】
この貫通孔56は、図5中のE−E断面図である図6に示すように、天面Aと反対側の面の開口部に貫通孔56の内壁61から中心に向かって段差57が設けられている。この段差57は、貫通孔56の開口部全周にわたって設けられている。また、天面Aから段差57までの距離dは、各吸収材55R,55G,55Bの厚さtよりわずかに大きく形成されている。
【0043】
3個の貫通孔56は、各吸収材55R,55G,55Bが嵌挿され、貫通孔56の内壁61及び段差57で各吸収材55R,55G,55Bを保持する。各吸収材55R,55G,55Bは、貫通孔56同士間に構成された仕切り59により仕切られた状態でフレーム53により保持されている。
【0044】
なお、吸収材55Rは、図2に示す液滴吐出ヘッド301,304,307,3010から吐出される赤の液状体を受ける。吸収材55Gは、液滴吐出ヘッド302,305,308,3011から吐出される緑の液状体を受ける。吸収材55Bは、液滴吐出ヘッド303,306,309,3012から吐出される青の液状体を受ける。
【0045】
また、フレーム53は、図6に示すように、天面Aと反対側の面に3個の貫通孔56を囲む溝58が設けられている。この溝58は、後述の受け容器52の端部62と係合する大きさに形成されている。
【0046】
受け容器52は、図5に示すように、底64を有する箱状に形成されている。受け容器52は、耐食性に優れた材料から形成されており、例えば、ステンレス等が採用され得る。
【0047】
フレーム53は、受け容器52の端部62がフレーム53の溝58内にはめ込まれて、受け容器52に対して蓋状に設けられている。フレーム53と受け容器52とは、フレーム53が受け容器52に対して着脱可能に構成されている。フレーム53が受け容器52に取り付けられると、受け容器52の内部には、各吸収材55R,55G,55Bを介して滴下する液状体を貯蔵する空間が形成される。
【0048】
電子天秤50は、図4に示すように、空間66の底面69に配設された状態で空間66に収容されている。そして、受け容器52は、電子天秤50の被測定物載置台63に配置されている。なお、受容部51は、フレーム53の天面Aとテーブル面49とが同等の高さとなるように空間66内に収容されている。また、フレーム53と測定テーブル7のテーブル貫通孔68の内壁との間には、隙間が保たれている。
【0049】
上記の構成を有する重量測定装置10は、各吸収材55R,55G,55Bが各液滴吐出ヘッド30iからノズル列単位で液滴の吐出を受けて、各吸収材55R,55G,55Bを介して収集された液状体の重量を液滴吐出ヘッド30iごとに電子天秤50で測定する。
【0050】
制御回路8は、液滴吐出装置1の主要構成を示すブロック図である図7に示すように、制御部105と、ヘッドドライバ107と、モータドライバ109と、インタフェース部111とを備えている。
制御部105は、例えば、マイクロコンピュータで構成され、CPU(Central Processing Unit)113と、メモリ部115とを備えている。CPU113は、描画処理等の各種処理を実行する。
【0051】
メモリ部115は、RAM(Random Access Memory)や、ROM(Read-Only Memory)などを含んだ構成を有している。RAMは、ホストコンピュータ117からインタフェース部111を介して入力される描画データを格納したり、CPU113によって実行される描画処理等のプログラムを一時的に展開したり、各種データを一時的に格納したりする。
【0052】
ここで、描画データは、液状体でワークWに描画すべきパターンを指示するものであり、描画すべきパターンがビットマップ状に表現されている。なお、描画データは、ホストコンピュータ117によって生成され、ホストコンピュータ117からインタフェース部111を介して制御部105に入力される。
【0053】
ROMは、例えば不揮発性半導体メモリで構成され、CPU113が実行するプログラムなどが格納されている。
ヘッドドライバ107は、CPU113からの指令に基づいて、ヘッドユニット9の各液滴吐出ヘッド30iを個別に制御する。
【0054】
モータドライバ109は、CPU113からの指令に基づいて、キャリッジ搬送モータ13、ワークテーブル搬送モータ16及び測定テーブル搬送モータ17のそれぞれを個別に制御する。
インタフェース部111は、ホストコンピュータ117から受け取った描画データを制御部105に出力したり、制御部105から受け取った各種情報をホストコンピュータ117に出力したりする。
【0055】
なお、電子天秤50は、CPU113からの指令に基づいて、受容部51の重量変化を検出するとともに、検出した結果を制御部105に出力する。ここで、受容部51の重量変化とは、受容部51に対向する各液滴吐出ヘッド30iが液状体を液滴として受容部51に吐出する前の重量と吐出した後の重量との変化をいう。
【0056】
ここで、重量測定装置10による液状体の重量測定の流れについて説明する。
液状体の重量測定は、CPU113が図8に示す重量測定処理を開始することによって、動作が開始される。この重量測定処理は、ホストコンピュータ117から制御部105に重量測定指令が入力されると、CPU113によって開始される。
【0057】
ステップS1において、変数nの値をクリアして、ステップS2に移行する。ここで、変数nは、各液滴吐出ヘッド30iの個数をカウントする変数である。
このステップS2において、測定準備指令をモータドライバ109に出力して、ステップS3に移行する。このとき、モータドライバ109は、キャリッジ搬送モータ13及び測定テーブル搬送モータ17のそれぞれの駆動を制御して、キャリッジ2及び測定テーブル7のそれぞれを初期位置につかせる。
【0058】
ここで、キャリッジ2及び測定テーブル7のそれぞれの初期位置とは、赤の液状体を吐出する液滴吐出ヘッド301のノズル列32aが、重量測定装置10の吸収材55Rに対向する位置である。
【0059】
ステップS3において、変数nの値が0であるか否かを判定し、0である(YES)と判定されると、ステップS4に移行し、0でない(NO)と判定されると、ステップS13に移行する。
ステップS4において、変数nに1を加算して新たな変数nとし、ステップS5に移行する。
このステップS5において、電子天秤50の指示値を読み込んで、ステップS6に移行する。
【0060】
このステップS6において、測定対象の液滴吐出ヘッド301の1本のノズル列32aに対する吐出指令をヘッドドライバ107に出力して、ステップS7に移行する。このとき、ヘッドドライバ107は、測定対象の液滴吐出ヘッド301の1本のノズル列32aのみを駆動させて、このノズル列32aからその測定対象の液滴吐出ヘッド301が吐出する赤の液状体を受ける吸収材55Rに向けて所定回数だけ液滴を吐出させる。
【0061】
なお、このとき、ヘッドドライバ107は、液滴吐出ヘッド301のノズル列32b及び他の液滴吐出ヘッド302〜3012を駆動させず待機させる。
【0062】
ステップS7において、測定対象の液滴吐出ヘッド301の1本のノズル列32aでの吐出が終了したか否かを判定し、終了した(YES)と判定されると、ステップS8に移行する。終了していない(NO)と判定されると、吐出が終了するまで待機する。
【0063】
ステップS8において、相対移動指令をモータドライバ109に出力してステップS9に移行する。このとき、モータドライバ109は、キャリッジ搬送モータ13及び測定テーブル搬送モータ17のそれぞれの駆動を制御して、測定対象の液滴吐出ヘッド301のノズル列32bと吸収材55Rとが対向するように、キャリッジ2及び測定テーブル7のそれぞれを移動させる。
【0064】
ステップS9において、測定対象の液滴吐出ヘッド301のノズル列32bに対する吐出指令をヘッドドライバ107に出力して、ステップS10に移行する。このとき、ヘッドドライバ107は、測定対象の液滴吐出ヘッド301の1本のノズル列32bのみを駆動させて、この測定対象の液滴吐出ヘッド301の1本のノズル列32bから吸収材55Rに向けて所定回数だけ液滴を吐出させる。
【0065】
なお、このとき、ヘッドドライバ107は、液滴吐出ヘッド301のノズル列32a及び他の液滴吐出ヘッド302〜3012を駆動させず待機させる。
【0066】
ステップS10において、測定対象の液滴吐出ヘッド301の1本のノズル列32bでの吐出が終了したか否かを判定し、終了した(YES)と判定されると、ステップS11に移行する。終了していない(NO)と判定されると、吐出が終了するまで待機する。
【0067】
ステップS11において、電子天秤50の指示値を読み込んでステップS12に移行する。これにより、測定対象の液滴吐出ヘッド301が吸収材55Rに液滴を吐出する前後での受容部51の重量変化が把握され得る。
【0068】
ステップS12において、変数nの値が12であるか否か、すなわちすべての液滴吐出ヘッド301〜3012に対する測定が終了したか否かを判定する。そして、変数nの値が12である(YES)、すなわちすべての液滴吐出ヘッド301〜3012に対する測定が終了したと判定されると、吐出重量測定処理を終了する。
また、変数nの値が12未満である(NO)、すなわちすべての液滴吐出ヘッド301〜3012に対する測定が終了していないと判定されると、ステップS13に移行する。
【0069】
ステップS13において、相対移動指令をモータドライバ109に出力してステップS4に移行する。このとき、モータドライバ109は、キャリッジ搬送モータ13及び測定テーブル搬送モータ17のそれぞれの駆動を制御して、新たな測定対象の液滴吐出ヘッド30iのノズル列32aと、その測定対象の液滴吐出ヘッド30iが吐出する液状体の種類を受ける各吸収材55R,55G,55Bのいずれかとが対向するように、キャリッジ2及び測定テーブル7のそれぞれを移動させる。
【0070】
ここでは、緑の液状体を吐出する液滴吐出ヘッド302が新たな測定対象となるため、モータドライバ109は、キャリッジ搬送モータ13及び測定テーブル搬送モータ17のそれぞれの駆動を制御して、液滴吐出ヘッド302のノズル列32aと、重量測定装置10の吸収材55Gとが対向する位置までキャリッジ2及び測定テーブル7のそれぞれを移動させる。
【0071】
また、青の液状体を吐出する液滴吐出ヘッド303が新たな測定対象となるときは、モータドライバ109は、キャリッジ搬送モータ13及び測定テーブル搬送モータ17のそれぞれの駆動を制御して、液滴吐出ヘッド303のノズル列32aと、重量測定装置10の吸収材55Bとが対向する位置までキャリッジ2及び測定テーブル7のそれぞれを移動させる。
【0072】
なお、本実施形態において、電子天秤50が測定手段に対応している。
【0073】
本実施形態の液滴吐出装置1では、重量測定装置10において、各液滴吐出ヘッド30iから吐出された性質の異なる赤、緑、及び青の液状体は、それぞれ別々な吸収材55R,55G,55Bに吸収される。
【0074】
これにより、性質としての色が異なる赤、緑及び青の液状体の混合による各吸収材55R,55G,55Bの固化の可能性が抑制される。そのため、液状体の飛散、漏洩の可能性が低減され、液状体の吸収材55R,55G,55Bへの吸収能力を持続させやすくすることができる。従って、各液滴吐出ヘッド30iから吐出された液状体の重量を精度良く測定することが可能となる。
【0075】
また、重量測定装置10において、各吸収材55R,55G,55Bは、フレーム53の仕切り59により仕切られている。これにより、赤、緑及び青の液状体が、各吸収材55R,55G,55B間を移動することが抑制され、各吸収材55R,55G,55Bの固化の可能性がさらに低減される。
【0076】
また、各吸収材55R,55G,55Bが吸収保持しきれなくなった赤、緑及び青の液状体は、各吸収材55R,55G,55Bから受け容器52の内部に滴下する。これにより、各吸収材55R,55G,55Bが、各液状体で飽和状態となってしまうことを低く抑えることが可能となる。
【0077】
また、本実施形態の重量測定装置10は、受け容器52内に液状体を貯蔵する空間を有するため、液状体を吸収材に吸収保持し当該吸収材の重量を測定する従来の重量測定装置に比較して、より多量の液状体を貯蔵することができる。従って、測定済の液状体を廃棄する頻度を低減することができ、測定の効率化を図りつつ、メンテナンスを容易にすることが可能となる。
【0078】
また、各吸収材55R,55G,55Bを保持するフレーム53は、受け容器52に着脱可能に設けられている。従って、フレーム53を受け容器52から外すことにより、劣化汚染された各吸収材55R,55G,55Bの交換が容易になるとともに、受け容器52内に貯蔵された重量測定が終了した液状体を容易に排出することが可能となる。
【0079】
また、各吸収材55R,55G,55Bの面Cは、ノズル面39に位置する1本のノズル列32aまたは32bを覆うことができる大きさに形成されている。液滴吐出ヘッド30iは、液状体の吐出重量を測定するときに、各吸収材55R,55G,55Bに各液状体を1本のノズル列単位で吐出することができる。
【0080】
ここで、各液滴吐出ヘッド30iから液状体をノズル31単位で吐出して液状体の重量測定をしてもよいが、重量測定に時間がかかってしまう。また、各液滴吐出ヘッド30iから各液状体を各液滴吐出ヘッド30i単位で吐出して液状体の重量測定をもよいが、各吸収材55R,55G,55Bを各液滴吐出ヘッド30iのノズル面39を覆うことができる大きさに形成する必要がある。そのため、液滴吐出装置1及び重量測定装置10が大型化してしまう。
【0081】
従って、本実施形態のように、各吸収材55R,55G,55Bを1本のノズル列32aまたは32bを覆うことができる大きさとし、1本のノズル列単位で液状体を吐出して液状体の重量を測定することは、測定の効率化や装置の小型化が図られるという点で好ましい。
【0082】
なお、本実施形態では、電子天秤50で液状体の重量を測定する場合を例に説明したが、これに限定されず、受容部51の重量を精密に測定できるものであれば任意の重量測定器を採用することができる。
【0083】
また、本実施形態では、12個の液滴吐出ヘッド301〜3012を備えた場合を例に説明したが、液滴吐出ヘッド30iの個数は12個に限定されず、2個以上の任意の個数とすることができる。
【0084】
また、本実施形態では、各液滴吐出ヘッド30iが3種類の性質の異なった液状体を吐出する場合を例に説明したが、各液滴吐出ヘッド30iが吐出する液状体の種類は3種類に限定されず、2つ以上の任意の種類とすることができる。この場合、性質の異なった液状体の種類に応じて吸収材の個数を適宜設定すればよい。
【0085】
また、本実施形態では、各吸収材55R,55G,55Bの材料や大きさが同一の場合を例に説明したが、各吸収材55R,55G,55Bの材料や大きさはこれに限定されない。各吸収材55R,55G,55Bの材料や大きさについては、各液滴吐出ヘッド30iから吐出される液状体の性質、種類、または吐出頻度等により、適宜設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の実施形態における液滴吐出装置の概略斜視図。
【図2】本発明の実施形態におけるヘッドユニットの底面図。
【図3】本発明の実施形態における液滴吐出ヘッドの底面図。
【図4】本発明の実施形態における重量測定装置の構成を説明する図。
【図5】本発明の実施形態における重量測定装置の受容部の分解斜視図。
【図6】図5中のE−E断面図。
【図7】本発明の実施形態における液滴吐出装置の主要構成を示すブロック図。
【図8】本発明の実施形態における液滴吐出装置の重量測定処理の流れを示す図。
【符号の説明】
【0087】
W…ワーク、1…液滴吐出装置、2…キャリッジ、6…ワークテーブル、7…測定テーブル、8…制御回路、10…重量測定装置、30i…液滴吐出ヘッド、32a,32b…ノズル列、50…電子天秤、51…受容部、52…受け容器、53…フレーム、55R,55G,55B…吸収材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液滴吐出ヘッドから吐出される液状体の重量を測定する重量測定装置であって、
前記液滴吐出ヘッドから吐出される複数種類の前記液状体の前記種類に応じて設けられ、前記液滴吐出ヘッドから吐出された前記液状体を前記種類ごとに吸収する複数の吸収材と、
前記吸収材を介して収集された前記液状体の重量を測定する測定手段と、
を備えたことを特徴とする重量測定装置。
【請求項2】
前記複数の吸収材同士間を仕切る仕切りを備えることを特徴とする請求項1に記載の重量測定装置。
【請求項3】
前記複数の吸収材を支持するとともに、各前記吸収材から前記液状体の滴下を受ける受け容器を備え、
前記測定手段は、前記液状体の重量を前記受け容器ごと測定することを特徴とする請求項1または2に記載の重量測定装置。
【請求項4】
前記複数の吸収材を保持するとともに、前記受け容器に着脱可能に設けられたフレームを備え、前記複数の吸収材は、前記フレームを介して、前記受け容器に支持されていることを特徴とする請求項3に記載の重量測定装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか一項に記載の重量測定装置と、
複数のノズル列を有するとともにワークに対し液状体を吐出する液滴吐出ヘッドと、を備え、前記複数の吸収材のそれぞれは、平面視で前記液滴吐出ヘッドの1本のノズル列を覆う大きさに形成されており、前記液滴吐出ヘッドは、前記液状体の重量を測定するときに、各前記吸収材に各前記液状体を前記ノズル列単位で吐出することを特徴とする液滴吐出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−224577(P2008−224577A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−66330(P2007−66330)
【出願日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】