説明

金属ストリップの溶接システム

三つの軸x,y及びz上を移動することが可能で、端部の用意のための切断作業及び溶接作業と共に溶接した接合部の側部切込み作業をも行うことが可能なレーザー溶接切断システムを備える金属ストリップ用溶接システムであり、特定の機械システムを必要とせず、投資する時間と費用の観点からかなりの節約となる。そのシステムは、適応性があり、寸法及び物理化学的性質の観点から、広範な製品を対象とすることが可能である。更に、溶接方法についても説明するが、該溶接方法は、迅速で、同時に正確でもあり、ストリップ溶接のより高い質を確保しつつ、生産コストを低減する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属ストリップの溶接システム及びその溶接方法に関するものであり、特には、金属ストリップの生産システム用であるか又は前記ストリップの異なる処理ラインに関するものである。
【背景技術】
【0002】
裸の及び/又は被覆したストリップの低温生産のための処理ラインに関し、不良品のストリップが生産されるのを避けるため、ストリップをその処理区域で止める際に、ストリップは継ぎ目がないように通過することが必要である。
【0003】
処理ラインに沿って連続する二つのストリップを接合する方法は、以下「溶接方法」と名付けられるが、その順序は、(メカニカルクリンチ機械の使用は、少しの用途、主に塗装ライン用途に制限されるため)以下のとおりである。
・第一ストリップの尾部の通過
・第一ストリップの尾部の接合端を用意するための切断
・万力を用いた尾部の締め付け
・第二ストリップの頭部の供給
・第二ストリップの頭部の接合端を用意するための切断
・万力を用いた頭部の締め付け
・溶接される二つの縁又は端を近づけること
・前記端の溶接
・溶接経過を認識するための打ち抜き
・万力の開放
・溶接した接合部の側面切込み機への移送
・溶接した接合部の側面切込み
・溶接ストリップの牽引、及び新しい溶接サイクルの開始
【0004】
溶接される端部を用意するための切断工程は、機械的せん断によって行われる。機械的せん断の切断及び引裂き過程のため、その切断部分は、ばり及び垂直面からのずれ、並びに起こり得る切断端部の曲がり等の幾何学的異常を有する。
【0005】
それらの外観は、溶接した接合部に悪影響を与え、加工及び圧延ラインでの通過及び処理中のグリップを台無しにする。
【0006】
破損の場合には、加工区域に存在する材料の除去に加えて、システムの機能性保存及びシステム作業者の安全性への関わりに関係した問題が起こり得るため、接合部は、処理ラインを安全に通過できるようにする必要がある。
【0007】
更に、溶接した接合部の破損は、走行状態を元に戻すのに時間を必要とするため、生産活動を停止し、それ故に、生産システムの管理者にかなりの経済的損害を発生させる。
【0008】
また、溶接/接合過程は、異なる厚み及び幅のストリップをつなぐことができるように適応性が必要である。接合部の製造時間は、そのプロセスが停止するのを防止するために入力区域(ストリップを接続する)とそのプロセスとの間に緩衝システムを配置させるという理由から、非常に重要である。それら緩衝システムの大きさ及び対応する投資コストは、プロセス速度と、入力区域で発生するむだ時間とに関係している。
【0009】
そのため、接合部の再加工の回避は、貧弱な溶接システムを示す他、これが生産の速度を落とし且つより高い製造コストを暗示するため、非常に重要である。
【0010】
異なる幅の溶接ストリップに関し、特に狭いストリップ部分から幅の広いストリップ部分に移行する場合には、処理ラインに沿って通過する間の引っ掛かりを防ぐため、二つのストリップの溶接部分の間に、サイドノッチャー又はエッジトリミング機として知られる適当な切断機を用いて、段階的な接合部を作る。
【0011】
ストリップの溶接、即ち、前のコイルの尾部の次のコイルの頭部への溶接は、以下に示すような様々なプロセスによって行われる。
・溶接ホイールによる抵抗溶接
・MIG/TIG溶接トーチによる溶接
・レーザー溶接
【0012】
後者のプロセスは、溶接されるスチールストリップの化学に関係した負の効果によって強い影響を受けない信頼性のあるプロセスであるため、この20年に亘って開発され、他の接合プロセスに取って代わってきた。
【0013】
溶接機には、入力ストリップ用の心合せ誘導システム、入力頭部の締め付け用万力、出力尾部の締め付け用万力、出力ストリップ用の心合せ誘導システム、ストリップの頭部及び尾部を切断するための機械的切断システム、溶接システムが含まれる。
【0014】
溶接システムは、上述の各種プロセスを用いて実施できる。以下、レーザー溶接システムについて考察する。
【0015】
レーザー溶接プロセスの第一の適用では、レーザー溶接機を抵抗溶接機の中に取り付ける。レーザーヘッドは、ストリップの進行方向xに対して横方向のy軸に沿って移動し、場合により、パスラインに対して直角な縦のz軸に沿って移動した。
【0016】
このようなタイプの溶接機は、特許JP11285876に記載されている。このような解決手段の臨界は、その性質によってばり又は垂直面からのずれ等の幾何学的欠陥のない縁を供給できない機械的切断プロセスに関連している。
【0017】
溶接される端部を切断して用意するのにもレーザーを使用する技術が最近開発された。その技術的発展は、適当なレンズを用いた切断及び溶接プロセスの両方が可能な複合機械の作製に至った。適切に制御されたレーザー切断によって、幾何学的欠陥の無い完全に正常な縁が得られる。
【0018】
特許JP20077313511に記載されるように、レーザーを用いた縁の切断とその溶接の両方を組み合わせることが可能な機械が、スチールストリップ加工ライン用の溶接機械の実現のためにデザインされている。切断ヘッドと溶接ヘッドの両方は、ストリップの進行方向xに対して横方向のy軸と、パスラインに対して直角な縦のz軸とに沿って移動する。
【0019】
それらの機械の使用は、溶接端部用のメカニカルエッジトリミングシステムを使用し続ける必要性をほのめかす不利益があり、時間と投資コストの負担は明らかである。
【0020】
従って、上述の不利の克服を可能にする金属スプリット用溶接システムを作ることが必要であると思われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】JP11285876
【特許文献2】JP20077313511
【発明の概要】
【0022】
本発明の第一の目的は、三つの軸x、y及びz上での移動が可能で、端部を用意するための切断作業及び溶接作業だけでなく、溶接した接合部の側部切込み又は端部トリミング作業さえも実行可能なレーザー溶接切断システムを備えてなり、特定の機械的システムの必要性がなく、投資する時間及び費用をかなり節約する金属ストリップ用溶接システムを提供することにある。
【0023】
本発明の他の目的は、大きさ及び物理化学的特徴の観点から、広範な製品を対象とすることが可能な適応性の高いシステムを提供することにある。
【0024】
本発明の更なる目的は、迅速で、同時に正確でもあり、それ故に、ストリップ溶接のより高い質を確保しつつ、生産コストを低減する対応溶接方法を提供することにある。
【0025】
従って、本発明は、長手方向軸Xを規定する金属ストリップの供給面に沿った金属ストリップの溶接システムを提供することにより、上述の目的を達成することを提案するものであり、ここで、該溶接システムは、請求項1に従うものであり、第一切断位置において、第一ストリップの尾部部分及び第二ストリップの頭部部分の切断作業と、第一ストリップ及び第二ストリップそれぞれの尾部及び頭部を溶接するための溶接作業との両方を行い、その結果、溶接ストリップが得られるように構成された、レーザーヘッドを備える作業機械と;第一ストリップの尾部を前記供給面に沿って第一切断位置に置くように構成された第一位置決め手段と;第二ストリップの頭部を前記第一切断位置に置くように構成された第二位置決め手段とを備えてなり;前記作業機械は、溶接ストリップが第二切断位置に達する際に溶接ストリップの接続部位での側部切込み作業を行うため、前記長手方向軸Xに沿って前記レーザーヘッドを前記第一切断位置から第二切断位置に平行移動させるのに適したロボットである。
【0026】
上記レーザーヘッドは、前記長手方向軸Xと、該長手方向軸に対し直角で且つ前記供給面上にある第一軸Yと、該長手方向軸と該供給面に対して直角の第二軸Zとに沿って平行移動するのに適した、前記ロボットの一つの腕部に取り付けられるのが有利である。上記第一位置決め手段は、第一ストリップの尾部についての、二つ一組の第一モーター駆動式ロール、第一心合せ誘導部及び第一締め付け手段を備える。同様に、上記第二位置決め手段は、第二ストリップの頭部についての、二つ一組の第二モーター駆動式ロール、第二心合せ誘導部及び第二締め付け手段を備える。
【0027】
有利には、供給面に対して、第一ストリップの尾部及び第二ストリップの頭部それぞれについての水平な対称面の位置を見つけるための検出手段と、第一ストリップの尾部及び第二ストリップの頭部それぞれについての垂直な対称面の位置を見つけるための検出手段とが含まれる。
【0028】
更なる利点としては、第一及び/又は第二締め付け手段を移動させるための移動手段を提供することであり、ここで、該移動手段は、前記検出手段によって制御され、第一及び第二ストリップの上記垂直な対称面を整合させるために前記第一軸Yに沿った前記締め付け手段の平行移動を可能にし及び/又は第一及び第二ストリップの上記水平な対称面を前記供給面と共に整合させるために第二軸Zに沿った前記締め付け手段の平行移動を可能にするように構成される。前記移動手段は、第一ストリップの尾部及び第二ストリップの頭部が所定の溶接パラメータとの関連で適当な間隔を置いて配置されるために、第一及び/又は第二締め付け手段を長手方向軸Xに沿って平行移動することができる。
【0029】
本発明の第二の態様は、長手方向軸Xを規定する金属ストリップの供給面に沿った金属ストリップの溶接方法に関するものであり、ここで、該溶接方法は、上述の溶接システムによって実施できるものであり、請求項12に従って、
第一位置決め手段を用いて、第一ストリップの尾部を前記供給面に沿って第一切断位置に置く工程と;
第二位置決め手段を用いて、第二ストリップの頭部を前記第一切断位置に置く工程と;
作業機械のレーザーヘッドを用い、前記第一切断位置にて、第一ストリップの尾部部分及び第二ストリップの頭部部分を切断する工程と;
溶接ストリップを得るため、前記レーザーヘッドを用い、前記第一切断位置にて第一ストリップの尾部を第二ストリップの頭部に溶接する工程と;
前記溶接ストリップの接続部位が前記第一切断位置から前記供給面に沿って第二切断位置まで移動するように溶接ストリップを供給する工程と;
レーザーヘッドを前記長手方向軸に沿って前記第一切断位置から前記第二切断位置に平行移動させる工程と;
前記第二切断位置にあるレーザーヘッドを用いて、接続部位の端部にて溶接ストリップの側面に切込みを付ける工程と
を備える。
【0030】
有利には、溶接工程の前に、以下の工程を提供してもよい。
・前記検出手段を用い、供給面に対して、第一ストリップの尾部及び第二ストリップの頭部それぞれについての水平な対称面の位置を見つける工程と、第一ストリップの尾部及び第二ストリップの頭部それぞれについての垂直な対称面を見つける工程
・第一及び第二ストリップの上記垂直な対称面を整合させるように前記締め付け手段を第一軸Yに沿って平行移動させるため、及び/又は、第一及び第二ストリップの上記水平な対称面を前記供給面と共に整合させるように前記締め付け手段を第二軸Zに沿って平行移動させるため、検出手段によって制御される前記移動手段を用いて、第一ストリップの尾部及び第二ストリップの頭部それぞれについての第一及び/又は第二締め付け手段を移動させる工程
・第一ストリップの尾部及び第二ストリップの頭部が所定の溶接パラメータとの関連で適当な間隔を置いて配置されるため、前記移動手段を用いて、第一及び/又は第二締め付け手段を長手方向軸Xに沿って平行移動させる工程
【0031】
本発明のシステムは、三つの軸x、y及びz上での移動が広い移動範囲で可能で且つレーザーの可能性を最大限発揮できる線形ロボットに取り付けられたレーザー装置を使用することにより、そのラインから機械的な側部切込み機又は端部トリミング機を有利に除去することができ、それ故に、投資コストの観点から、かなりの利益も得られる。
【0032】
本発明のシステム及び方法として、更に有利には、
複合されたレーザー切断溶接ヘッドの使用;
上記切断溶接ヘッドが取り付けられ、三つの軸x、y及びz上での移動範囲が広い線形ロボットの使用;
ストリップの頭部及び尾部の心合せ、誘導及び締め付けに必要な機械装置
が含まれる。
【0033】
x及びy軸に沿った切断溶接レーザーヘッドの移動は、数メートル程度である。数値制御装置付きのレーザーヘッドは、線形の切断及び溶接だけでなく、多項式、円形、楕円形若しくは三角形の経路又は前記経路の組み合わせ若しくは関数から得られる曲線によって複雑な外形を有利に作ることが可能である。
【0034】
本発明のシステムは、各構成要素が一連のストリップを確実に接合するのに役立つ統合システムを有利に形成する。
【0035】
更なる利点としては、自動化手段を提供することであり、ここで、該自動化手段は、溶接システムの装置一つずつを同調して制御することが可能である。また、それら自動化手段は、考えられる接合部寸法の自動検査に加えて、切断及び溶接プロセスのパラメータの一部を監視することによって溶接した接合部の品質を制御することを提供する。
【0036】
本発明の目的である溶接システム及び方法は、以下の観点から、現在のニーズを満たす。
・信頼性
・接合部の品質
・投資及び管理の観点からの費用有効性
・柔軟性
・実行速度
【0037】
本発明の解決手段は、酸洗いライン、連続練りロール機、高温亜鉛めっきライン、電気亜鉛めっきライン、連続焼鈍ライン、錫めっきライン、予備塗装ライン、及び、好ましくは厚みが0.15〜7mmで且つ幅が500〜2300mmの範囲の、ステンレス鋼及びシリカスチールストリップを処理するためのライン等の全てのプロセスラインに適用できる。
【0038】
従属請求項は、本発明の好適な実施態様を記載する。
【0039】
添付の図面の助けと共に、非制限的な例を手段として示される溶接システムの好適であるが排他的でない実施態様の詳細な説明を考慮することにより、本発明の更なる特徴及び利点がより明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1a】技術の現状に従うレーザー溶接システムの典型的な配置の斜視図である。
【図1b】図1aにおける配置の平面図である。
【図2】図1aにおけるシステムを用いた溶接接合部端部上での半円形の機械的切断順序を示す。
【図3】図1aにおけるシステムを用いた溶接接合部端部上での半円形の機械的切断順序を示す。
【図4】図1aにおけるシステムを用いた溶接接合部端部上での半円形の機械的切断順序を示す。
【図5a】本発明に従う溶接システムの配置の側面図を示す。
【図5b】図5aにおける配置の平面図を示す。
【図6】本発明に従うレーザー切断溶接順序を示す。
【図7】本発明に従うレーザー切断溶接順序を示す。
【図8】本発明に従うレーザー切断溶接順序を示す。
【図9】本発明に従うレーザー切断溶接順序を示す。
【図10】本発明に従うレーザー切断溶接順序を示す。
【図11】本発明に従うレーザー切断溶接順序を示す。
【図12】本発明に従うシステムを用いた溶接接合部端部上での半円形の切断順序を示す。
【図13】本発明に従うシステムを用いた溶接接合部端部上での半円形の切断順序を示す。
【図14】本発明の切断溶接経路の図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1a及び1bは、金属ストリップの処理ライン又はその生産システムにおいて使用される金属ストリップの溶接システムを示し、現状の技術に属している。
【0042】
かかる溶接システムは、
C形構造体3であって、ストリップの供給方向に対して横方向に配置され、そのCの内側に二つのストリップの端部、即ち第一ストリップ11の尾部及び第二ストリップ10の頭部を切断するためのせん断機が付いているC形構造体と;
レーザー光源1であって、レーザー溶接ヘッド2又は溶接ヘッドが設けられ、構造体3と一体化しており、ストリップの幅のy方向に沿って移動できるレーザー光源と;
第二ストリップ10の頭部及び第一ストリップ11の尾部の心合せ誘導部4,4’と;
第二及び第一ストリップの頭部及び尾部をそれぞれ溶接システムに供給するための二つ一組の保持ロール5,5’と;
前記二つ一組の保持ロール5,5’の近くに配置されたループ又はバンド発生装置6,6’と;
第一ストリップ11の尾部の端部を把持するための万力9と;
第二ストリップ10の頭部の端部を把持するための万力8と;
第一及び第二ストリップの溶接により得られる、所謂、溶接ストリップの出力方向に配置された、機械的な側部切込み機又は端部トリミング装置7と
を備える。
【0043】
第一ストリップ11の尾部は、例えば巻き取り機にコイルのように巻かれているが、前記溶接ストリップの出力ロール5’と名付けられた一対の第一保持ロール5’の助けを借りて、出力万力9の下に供給される。その間、バンド又はループ発生装置6’は上方に移動し、第一ストリップ11の尾部は出力心合せ誘導部4’に導かれ、出力万力9はストリップ11の尾部を塞ぐように締め付けられている。
【0044】
溶接順序は、例えば更なる巻き取り機上にコイルのように巻かれている、第二ストリップ10の頭部を供給することによって進行する。ストリップ10の頭部は、前記溶接ストリップの入力ロール5と名付けられた一対の第二保持ロール5の助けを借りて、入力万力8の下に供給される。その間、バンド又はループ発生装置6は上方に移動し、該ストリップの頭部は入力心合せ誘導部4の助けによって導かれ、入力万力8はストリップ10の頭部を塞ぐように締め付けられている。
【0045】
C形構造体3に含まれるせん断機は下方に移動し、二つのストリップの頭部及び尾部から突き出ているクロップ端部を切り取る。可動出力万力9、又はその逆で可動入力万力8は、溶接される二つの縁部又は端部と共に所定の最適位置まで移動する。
【0046】
この二つの縁部を一緒に移動させる作業の最後は、縁部の準備シーケンスの終わりである。この時から、溶接工程が開始する。
【0047】
C形構造体3と一体化した溶接ヘッド2は、ストリップに対して横方向に移動し;レーザービームが光源1によって放出され、溶接ヘッド2は二つのストリップの縁部を溶接し、いわゆる溶接ストリップを形成する。
【0048】
溶接ヘッドの速度及びレーザービームの強度は、溶接されるスチールの幾何学的及び物理化学的パラメータとの関連で規定され且つ制御される。
【0049】
溶接した接合部を平らにするため、ヘッド2に続く平坦化車輪アセンブリを溶接ヘッド2と組み合わせて備えていてもよい。
【0050】
溶接の完了後、入力及び出力バンド又はループは、ループ発生装置6’、6を下げることによって回収され;そのストリップが引っ張られ、溶接した接合部12は側部切込み機又は端部トリミング装置7に近い位置に達するように協調して移動する。
【0051】
図2〜4は、溶接ストリップ上での2つの半円形の同時切断を得るのに必要な作業を順番に示す。該半円形は、溶接接合部12で作られる。
【0052】
図2は、第一ストリップ11と第二ストリップ10間の、該第一ストリップより狭い、溶接した接合部12を示し、該接合部は、二つ一組の切込み要素を備える側部切込み機に置かれており、該切込み要素は、それぞれ上方ブレード7’及び下方ブレード7’’が設けられている。図3は、図4に示されるように異なる幅の二つの溶接ストリップ部分を接合するため、第二ストリップ10上での半円形の切断を得るように、溶接ストリップの供給軸xに接近した後の切断位置における切込み要素を示す。
【0053】
図5a及び5bは、金属ストリップの処理ライン又はその生産システムにおいて使用される本発明に従う金属ストリップの新規な溶接システムを示す。
【0054】
かかる溶接システムは、C形構造体3及びメカニカル側部切込み機7を除き、同一の参照番号で示された図1aの溶接システムと同一の構成要素を備える。
【0055】
本発明の溶接システムは、三つの軸x、y及びz上での移動範囲が広い線形ロボット15が有利に設けられている。切断溶接レーザーヘッド16、即ち、溶接される端部又は縁部を用意するためのストリップの頭部及び尾部の切断と前記縁部のレーザーによる溶接の両方に適しており、また、いわゆる溶接ストリップの側部切込み又は端部トリミングに適した複合溶接ヘッドが、前記線形ロボットに取り付けられている。レーザーヘッド16は、供給レーザー光源を備えていてもよいし、図5a及び5bに示されるように線形ロボット15の本体と一体化した分離レーザー光源1によって供給されてもよい。
【0056】
第一ストリップ11の尾部は、例えば巻き取り機にコイルのように巻かれていたり、X軸に沿って供給されたりするが、前記溶接ストリップの出力ロール5’と名付けられた二つ一組の第一モーター駆動式保持ロール5’の助けを借りて、出力万力9の下に供給される。その間、バンド又はループ発生装置6’は上方に移動し、第一ストリップ11の尾部は出力心合せ誘導部4’に導かれ、出力万力9はストリップ11の尾部を塞ぐように締め付けられている(図6)。
【0057】
この時点で、レーザーヘッド16は、適切に供給されているが、図7に示されるように、第一ストリップ11の尾部クロップ端部の切断を開始する。同時に、第二ストリップ10の頭部の供給サイクルが以下に示されるように進行し、ここで、前記第二ストリップ10は、例えば更なる巻き取り機上にコイルのように巻かれていたり、X軸に沿って供給されたりする。ストリップ10の頭部は、前記溶接ストリップの入力ロール5と名付けられた二つ一組の第二モーター駆動式保持ロール5の助けを借りて、入力万力8の下に供給される。その間、バンド又はループ発生装置6は上方に移動し、ストリップ10の頭部は入力心合せ誘導部4の助けによって導かれ、入力万力8はストリップ10の頭部を塞ぐように締め付けられている(図7)。
【0058】
ストリップ10及び11の溶接前に、ストリップ10、11それぞれの水平な対称面の位置、即ち、前記ストリップの厚みの中心線の面の位置を有利に検出し、ストリップの供給面に対して起こり得るずれを決定する。また、ストリップ10、11それぞれの垂直な対称面の位置を有利に検出してもよい。
【0059】
このため、ストリップ10、11それぞれの水平な対称面の位置を検出するための検出手段と、ストリップの供給面及びストリップ10、11それぞれの垂直な対称面の位置からのずれを検出するための検出手段とが提供される。
【0060】
前記検出手段は、制御信号を出力万力9及び/又は入力万力8の移動手段に送る。該移動手段は、ストリップの垂直な対称面を整合させるためにy軸に沿った平行移動と、ストリップの水平な対称面を相互に前記供給面と整合させるためにz軸に沿った平行移動の両方が可能である。
【0061】
検出手段は、例えば、ストリップの頭部及び尾部の正確な位置を検出するために光電池を備える。
【0062】
万力の移動手段は、例えば、位置変換器が設けられた、位置制御油圧シリンダー又は電気機械ジャッキを備える。
【0063】
ストリップ10の頭部が入力万力8の締め付けによって塞がれると、線形ロボット15の腕部は、図8に示されるようにレーザーヘッド16を第二ストリップ10の頭部クロップ端部を切断するための所定位置に持って行くため、x軸に沿ってわずかに移動する。
【0064】
この尾部及び頭部のクロップ端部又は部分を切断する工程の完了時に、可動入力万力8及び/又は可動出力万力9は、所定の溶接パラメータとの関連でストリップ10の頭部とストリップ11の尾部の2つの縁部に適当な間隔を置いて離すため、前記移動手段を用いて、x軸に沿って平行移動することができる(図9)。
【0065】
線形ロボット15の腕部17は、図10に示されるようにレーザーヘッド16を2つの縁部を溶接するための所定位置に持っていくため、x軸に沿ってわずかに移動する。この時点で、線形ロボット15の腕部17は、x軸に対して横方向のy軸に沿って移動するため、レーザーヘッド16は、光源1によって放出されるレーザービームを用いて2つの縁部を溶接でき、いわゆる溶接ストリップを形成する。二つ一組の平坦化ロール(図示せず)が含まれていてもよく、該平坦化ロールは、レーザーヘッド16と一体化して移動し、新たに形成された溶接接合部12を薄板状にするのに適している。
【0066】
溶接ヘッドの速度及びレーザービームの強度は、溶接されるスチールの幾何学的及び物理化学的パラメータとの関連で規定され且つ制御される。
【0067】
溶接の完了時に(図11)、入力及び出力バンドは、ループ発生装置6’、6を下げることによって回収され、その溶接ストリップが引っ張られ、溶接した接合部12は、図12に示されるように、溶接位置13から側部切込み位置14に協調して移動する。
【0068】
切断/溶接レーザーヘッド16は、線形ロボット15の腕部17を用いて、位置14に有利に位置付けられており、そして、固定経路に従って移動し、溶接した接合部12の第一端部に近い所定のレーザービームを用いた材料の切断によって第一の半円形を形成する。第一半円形の切断が完了したら、レーザーヘッド16は、所定の経路に従って、溶接した接合部12の第二端部に近い前記所定のレーザービームを用いた材料の切断によって第二の半円形を形成できるように、y軸に沿って平行移動する。
【0069】
図13において、破線は、溶接接合部12の端部での半円形切断を得るためにレーザーヘッドが続く経路の例を示す。
【0070】
溶接が作業者側からモーター側へのレーザーヘッド16の移動によって起こると仮定すれば、半円形の切断は、モーター側から開始することになる。
【0071】
これに関し、図14は、溶接される端部を用意するための切断作業、前記端部の溶接作業、及び異なる幅又は等しい幅のストリップの溶接した部分の間に半円形又は接合部を得るための切断作業を行うため、線形ロボット15の腕部17によって動かされるレーザーヘッド16が続くx軸及びy軸に沿った経路を示す。
【0072】
図14は、運転時間を有利に最適化し、本発明に従う方法の重要な側面である切断溶接経路を示す。
【0073】
特に、本発明の溶接方法の作業サイクル中、切断/溶接レーザーヘッド16は、以下の範囲に及ぶ。
・第一ストリップ11の尾部クロップ端部を切断するための、y軸に沿ったセグメントAB
・第二ストリップ10の頭部クロップ端部の切断位置に達するための、x軸に沿ったセグメントBC
・第二ストリップ10の頭部クロップ端部を切断するための、y軸に沿ったセグメントCD
・可能性のある、ストリップ11及び10の縁部の溶接位置に達するための、x軸に沿ったセグメントDE(セグメントCDが溶接位置にも対応する場合には不要な移動である)
・ストリップ11及び10の縁部を溶接するための、y軸に沿ったセグメントEF
・溶接接合部12の第一端部にて第一側部切込み又は半円形を作るための切断位置に達するための、x軸に沿ったセグメントFG(その間、該接合部は、位置13(EF)から位置14(GL)に供給されている)
・前記第一側部切込み又は半円形の切断を行うための、曲線経路GH
・溶接接合部12の第二端部にて第二側部切込み又は半円形を作るための切断位置に達するための、y軸に沿ったセグメントHI
・前記第二側部切込み又は半円形の切断を行うための、曲線経路IL
・次の第一ストリップ11の尾部クロップ端部の切断位置に達するための、x軸に沿ったセグメントLM
・新しい尾部クロップ端部の前記切断位置に達するための、y軸に沿った可能性のあるセグメントMA
【0074】
切断溶接ヘッドの移動を制御するための制御手段が有利に提供され、該制御手段は、上述の作業サイクルの時間を最適化する。それら制御手段は、例えば、3つの軸x、y及びz上でのロボット15の腕部17の移動を制御する電気モーターに直接接続されたエンコーダーを備えてもよい。
【0075】
また、レーザー切断ヘッドは、端部又は縁部を連続して若しくは不連続にトリミングするため又は端部から考えられる不良を削除するために使用されてもよい。また、それは、全処理ラインを通過する接合部12の経過を追うのに役立つ溶接接合部12を示す穴を作るために使用されてもよい。
【0076】
等しい幅又は異なる幅のストリップのために作られた、接合半円形は、曲線であって、2〜13度の曲線の組み合わせとして作ることができる。半円形は、150〜7000mmの半径の外周部分であってもよい。
【符号の説明】
【0077】
1 レーザー光源
2 レーザー溶接ヘッド
3 C形構造体
4 心合せ誘導部
4’ 心合せ誘導部
5 保持ロール
5’ 保持ロール
6 発生装置
6’ 発生装置
7 機械的な側部切込み機又は端部トリミング装置
7’ 上方ブレード
7’’ 下方ブレード
8 万力
9 万力
10 第二ストリップ
11 第一ストリップ
12 接合部
13 溶接位置
14 側部切込み位置
15 ロボット
16 レーザーヘッド
17 腕部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向軸(X)を規定する金属ストリップの供給面に沿った金属ストリップの溶接システムであって、
第一切断位置(13)において、第一ストリップ(11)の尾部部分及び第二ストリップ(10)の頭部部分を切断するための切断作業と、第一ストリップ(11)の尾部と第二ストリップ(10)の頭部とを溶接するための溶接作業との両方を行い、その結果、溶接ストリップが得られるように構成された、レーザーヘッド(16)を備える作業機械(15)と、
第一ストリップ(11)の尾部を前記供給面に沿って第一切断位置に置くように構成された第一位置決め手段(5’,4’,9)と、
第二ストリップ(10)の頭部を前記第一切断位置に置くように構成された第二位置決め手段(5,4,8)と
を備えてなり、
前記作業機械が、溶接ストリップが第二切断位置に達する際に溶接ストリップの接続部位(12)での側部切込みを行うため、前記レーザーヘッド(16)を前記第一切断位置から前記長手方向軸(X)に沿って第二切断位置(14)に平行移動させるのに適したロボット(15)であることを特徴とする溶接システム。
【請求項2】
前記レーザーヘッド(16)が、前記ロボット(15)の腕部(17)に取り付けられており、長手方向軸(X)と、長手方向軸(X)に対し直角で且つ前記供給面上にある第一軸(Y)と、長手方向軸(X)と該供給面に対して直角の第二軸(Z)に沿って平行移動することが可能であることを特徴とする請求項1に記載の溶接システム。
【請求項3】
供給面に対して、第一ストリップ(11)の尾部及び第二ストリップ(10)の頭部のそれぞれについての水平な対称面の位置を検出するための検出手段と、第一ストリップ(11)の尾部及び第二ストリップ(10)の頭部のそれぞれについての垂直な対称面の位置を検出するための検出手段とを備えることを特徴とする請求項2に記載の溶接システム。
【請求項4】
前記第一位置決め手段(5’,4’,9)が、第一ストリップ(11)の尾部の、二つ一組の第一モーター駆動式ロール(5’)、第一心合せ誘導部(4’)及び第一締め付け手段(9)を備えることを特徴とする請求項3に記載の溶接システム。
【請求項5】
前記第二位置決め手段(5,4,8)が、第二ストリップ(10)の頭部の、二つ一組の第二モーター駆動式ロール(5)、第二心合せ誘導部(4)及び第二締め付け手段(8)を備えることを特徴とする請求項4に記載の溶接システム。
【請求項6】
第一及び/又は第二締め付け手段(9,8)を移動させるための移動手段であって、前記検出手段によって制御され、且つ、第一ストリップ(11)と第二ストリップ(10)の前記垂直な対称面を整合させるために第一軸(Y)に沿った前記締め付け手段の平行移動を可能にし及び/又は第一ストリップ(11)と第二ストリップ(10)の前記水平な対称面を前記供給面と整合させるために第二軸(Z)に沿った前記締め付け手段の平行移動を可能にするように構成された移動手段を備えることを特徴とする請求項5に記載の溶接システム。
【請求項7】
前記移動手段は、第一ストリップ(11)の尾部及び第二ストリップ(10)の頭部が所定の溶接パラメータについて適当な間隔を置いて配置されるために、第一締め付け手段(9)及び/又は第二締め付け手段(8)を長手方向軸(X)に沿って平行移動することができることを特徴とする請求項6に記載の溶接システム。
【請求項8】
第一切断位置におけるストリップの前記頭部及び前記尾部の位置決め工程において、第一ストリップ(11)及び第二ストリップ(10)をそれぞれ前記供給面に対して上昇させるためのループ発生装置(6,6’)を備えることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の溶接システム。
【請求項9】
二つ一組の平坦化ロールを備えており、該平坦化ロールは、レーザーヘッド(16)と一体化して移動可能であり、溶接ストリップの接続部位(12)を薄板状にするように構成されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の溶接システム。
【請求項10】
レーザーヘッド(16)の移動を制御するための制御手段を備えることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の溶接システム。
【請求項11】
前記制御手段が、長手方向軸(X)、第一軸(Y)及び第二軸(Z)に沿ったロボット(15)の腕部(17)の移動を制御する電気モーターに直接接続されているエンコーダーを備えることを特徴とする請求項10に記載の溶接システム。
【請求項12】
長手方向軸(X)を規定する金属ストリップの供給面に沿った金属ストリップの溶接方法であって、請求項1〜11のいずれかに記載の溶接システムを用いて実施でき、
第一位置決め手段(5’,4’,9)を用いて、第一ストリップ(11)の尾部を前記供給面に沿って第一切断位置に置く工程と、
第二位置決め手段(5,4,8)を用いて、第二ストリップ(10)の頭部を前記第一切断位置に置く工程と、
作業機械(15)のレーザーヘッド(16)を用い、前記第一切断位置にて、第一ストリップ(11)の尾部部分及び第二ストリップ(10)の頭部部分を切断する工程と、
溶接ストリップを得るため、前記レーザーヘッド(16)を用い、前記第一切断位置にて第一ストリップ(11)の尾部と第二ストリップ(10)の頭部とを溶接する工程と、
前記溶接ストリップの接続部位(12)が前記第一切断位置(13)から前記供給面に沿って第二切断位置(14)に移動するように溶接ストリップを供給する工程と、
レーザーヘッド(16)を前記長手方向軸(X)に沿って前記第一切断位置(13)から前記第二切断位置(14)に平行移動させる工程と、
前記第二切断位置(14)にあるレーザーヘッド(16)を用いて、接続部位(12)の端部にて溶接ストリップの側部切込みを行う工程と
を備えることを特徴とする溶接方法。
【請求項13】
溶接工程を行う前に、検出手段を用い、供給面に対して、第一ストリップ(11)の尾部及び第二ストリップ(10)の頭部のそれぞれについての水平な対称面の位置を検出すること、第一ストリップ(11)の尾部及び第二ストリップ(10)の頭部のそれぞれについての垂直な対称面の位置を検出することを備えることを特徴とする請求項12に記載の溶接方法。
【請求項14】
溶接工程を行う前に、第一ストリップ(11)と第二ストリップ(10)の前記垂直な対称面を整合させるように締め付け手段を長手方向軸(X)に対し直角で且つ前記供給面上にある第一軸(Y)に沿って平行移動させるため、及び/又は、第一ストリップ(11)と第二ストリップ(10)の前記水平な対称面を前記供給面と整合させるように締め付け手段を長手方向軸(X)及び供給面に対して直角な第二軸(Z)に沿って平行移動させるため、前記検出手段によって制御される移動手段を用いて、第一ストリップ(11)の尾部及び第二ストリップ(10)の頭部のそれぞれについての第一及び/又は第二締め付け手段(9,8)を移動させることを備えることを特徴とする請求項13に記載の溶接方法。
【請求項15】
溶接工程の前に、第一ストリップ(11)の尾部及び第二ストリップ(10)の頭部が所定の溶接パラメータに従って適当に間隔を置いて配置されるため、前記移動手段を用いて、第一締め付け手段(9)及び/又は第二締め付け手段(8)を長手方向軸(X)に沿って平行移動させることを特徴とする請求項14に記載の溶接方法。

【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2012−508113(P2012−508113A)
【公表日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−535137(P2011−535137)
【出願日】平成21年11月10日(2009.11.10)
【国際出願番号】PCT/EP2009/064924
【国際公開番号】WO2010/052339
【国際公開日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(508018451)ダニエリ アンド シー.オフィチネ メッカニチェ ソシエタ ペル アチオニ (8)
【Fターム(参考)】