説明

金属ヒドロキシ塩を含む組成物、その製造および触媒または吸着剤としての使用

1以上の金属ヒドロキシ塩および、マトリックス、バインダーまたは担体物質を含む組成物において、金属ヒドロキシ塩が、(a)金属としての(i)1以上の2価金属、それらの少なくとも1はNi、Co、Ca、Zn、Mg、Fe、およびMnから成る群から選択される、または(ii)1以上の3価金属、のいずれか、(b)骨組としてのヒドロキサイド、および(c)置き換え可能なアニオンを含む化合物であるところの組成物。この組成物は、種々の触媒用途を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属、骨組としてのヒドロキサイド(framework hydroxide)および置き換え可能なアニオンを含む化合物を含む組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
金属、骨組としてのヒドロキサイドおよび置き換え可能なアニオンを含む化合物を含む公知組成物は、アニオン性クレー(anionic clay)、すなわち層状の二重水酸化物(layered double hydroxide)またはハイドロタルサイト様物質、を含む組成物である。これらの化合物は、流動接触分解(FCC)法において、FCC再生器におけるSOxおよびNOxの減少または硫黄の少ない燃料の製造のための触媒添加剤または吸着剤として適切に使用され得る(米国特許第5,358,701号、米国特許第4,946,581号、米国特許第4,952,382号、国際出願WO99/41195、国際出願WO99/41196、国際出願WO99/41197および国際出願WO99/41198を参照)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、FCCでの使用に適する新規組成物に関する。この新規組成物は、FCC再生器からのSOxおよび/またはNOx排出物質の減少および硫黄の少ない燃料、例えばガソリンおよびディーゼルの製造のために特に適する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明に従う組成物は、1以上の金属ヒドロキシ塩および、マトリックス、バインダーまたは担体物質を含む。金属ヒドロキシ塩は、
(a)金属としての(i)1以上の2価金属、ここで、それらの少なくとも1はNi、Co、Ca、Zn、Mg、Fe、およびMnから成る群から選択される、または(ii)1以上の3価金属、のいずれか、
(b)骨組としてのヒドロキサイド、および
(c)置き換え可能なアニオン
を含む化合物である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
触媒組成物中には一般に、マトリックス、バインダーまたは担体物質が存在する。本発明に従う組成物におけるそれらの目的は、金属ヒドロキシ塩および所望により、組成物中に存在する他の化合物を結合させること、および/または組成物の機械的強度(摩耗耐性または破砕強度)、表面積、接近性、および/または熱安定性を高めることである。
【0006】
この新規組成物は、FCC以外のプロセスにおける触媒または吸着剤としても適することがさらに見出された。例えば、製鋼所、発電所およびセメント工場からの有害ガス(例えば、HCN、アンモニア、またはハロゲン、例えばClおよびHCl)の除去、COのCOへの転化、自動車の排気ガスからのNOxの減少、フィッシャー−トロプシュ(Ficsher−Tropsch)法および水素化処理(水素化脱硫、水素化脱窒、脱金属)が挙げられる。
【0007】
金属ヒドロキシ塩(MHS)は、層状の二重水酸化物(LDH)とは、前者が2価金属のみまたは3価金属のみを含むのに対し、後者は2価金属および3価金属の両方を含む点で区別される。さらに、金属ヒドロキシ塩は、層状構造を必ずしも有しない。また、金属ヒドロキシ塩は、三次元構造を有し得る(Helv. Chim Acta 47 (1964), 272-289を参照)。
【0008】
金属ヒドロキシ塩は、骨組としてのヒドロキサイドを含む。これは、金属に結合した、置き換え可能でないヒドロキサイドを意味する。さらに、金属ヒドロキシ塩は、置き換え可能なアニオンを含む。用語「置き換え可能なアニオン」は、MHSを適する条件下で他のアニオンの溶液と接触させると、これらの他のアニオンによって置き換えられる(例えばイオン交換される)能力を有するアニオンを意味する。
【0009】
MHSの例は、次の理想化された式:[(Me2+,M2+(OH)(Xn−1/n(Me2+およびM2+は同じまたは異なる2価の金属イオンを表し、OHは骨組としてのヒドロキサイドを意味し、Xは置き換え可能なアニオンであり、nはXの原子価である。)に従う2価金属のヒドロキシ塩である。MHSの別の例は、一般式[(Me2+,M2+(OH)2+(Xn−2/nを有し、ここで、Me2+およびM2+は同じまたは異なる2価の金属イオンであり得、OHは骨組としてのヒドロキサイドを意味し、Xは置き換え可能なアニオンであり、nはXの原子価である。
【0010】
上記で説明したように、上記した2価金属をベースとするMHS構造のいくつかは、1または複数の2価金属が骨組としてのヒドロキサイドイオンと共に八面体状に配位されているところの改変されたブルサイト(brucite)様の層が交互に配列したものとして考えられ得る。1つの群では、骨組としてのヒドロキサイドが他のアニオン(例えば、ナイトレート)によって部分的に置き換えられている。別の群では、八面体層における空間が、四面体状に配位したカチオンを伴う。金属水酸化物の別の構造は、Helv. Chim Acta 47 (1964), 272-289に記載された三次元構造である。
【0011】
用語「金属ヒドロキシ塩」は、「(層状)ヒドロキシ塩((layered) hydroxy salt)」、「(層状)ヒドロキシ二重塩((layered) hydroxy double salt)」および「層状塩基性塩(layeredbasic salt)」として公知文献で参照されている物質を包含する。これらの種の物質に関する研究に関しては、以下が参照される。

【0012】
本発明に従う組成物において適切に使用され得、かつ一つの種のみの金属を含むヒドロキシ塩の例は、Zn−MHS(例えば、Zn(OH)(X)、Zn(OH)X、Zn(OH)(X)・2HO、Zn(OH)(X))、Co−MHS(例えば、Co(OH)X)、Ni−MHS(例えば、Ni(OH)X)、Mg−MHS(例えば、Mg(OH)X)、Fe−MHS、Mn−MHSおよびLa−MHS(La(OH)NO)である。
【0013】
本発明に従う組成物において適切に使用され得る、2以上の異なる種の金属を含むヒドロキシ塩の例は、Zn−Cu MHS、Zn−Ni MHS、Zn−Co MHS、Fe−Co MHS、Zn−Mn MHS、Zn−Fe MHS、Ni−Cu MHS、Cu−Co MHS、Cu−Mg MHS、Cu−Mn MHS、Fe−Co MHS、Ni−Co MHS、Zn−Fe−Co MHS、Mg−Fe−Co MHS、およびNi−Cu−Co MHSである。
【0014】
適する置き換え可能な無機アニオンXn−の例は、OH、NO、NO、CO2−、HCO、SO2−、SONH、P2−、MnO、SCN、S2−、Si208−、SeO、F、Cl、Br、I、ClO、ClO、BrOおよびIOである。適する有機の置き換え可能なアニオンの例は、アセテート、長鎖カルボキシレート(例えば、セバケート、カプレートおよびカプリレート(CPL))、アルキルスルフェート(例えば、ドデシルスルフェート(DS)およびドデシルベンゼンスルフェート)、ベンゾエートおよびフタロシアニンテトラスルフォネートである。これらのイオンの置き換え(例えばイオン交換)は、文献に十分記載されている。置き換え条件を制御することにより、混合された無機/有機組成物が得られ得る。
【0015】
層状の二重水酸化物の欠点の1つは、活性金属が2価金属であるならば、3価金属の追加の存在を必要とすることである。これは、活性金属の希釈、高められた価格、望ましくない副反応、および活性金属の触媒活性の低下をもたらし得る。この問題は、一つの種類のみの金属を含む金属ヒドロキシ塩によって解決される。さらに、2価および3価金属は、一般に、全く異なるpHで析出するので、同時に容易には析出しない。2つの異なる2価金属または2つの異なる3価金属の同時析出は一般に、比較的容易である。これは、層状の二重水酸化物に対する金属ヒドロキシ塩の別の利点である。
【0016】
最後に、LDH合成で一般に使用される3価金属(例えば、GaおよびCr)のいくつかは、環境上の欠点を有する。2価の金属のみを含む金属ヒドロキシ塩がこの問題を解決する。
【0017】
本発明に従う組成物は、1以上の金属ヒドロキシ塩を、組成物の重量に基づいて、いずれも酸化物として計算して、好ましくは2〜98重量%の量で含む。この好ましい実施態様では、組成物中の金属ヒドロキシ塩の総量が2〜98重量%の範囲にある限り、上記組成物は、1以上の金属ヒドロキシ塩を各々、2重量%以下の量で含み得る。特に断らない限り、MHSの重量%は全て、金属酸化物として計算され、かつ酸化物として計算された組成物全体に基づいて計算される。
【0018】
組成物中のMHSのより好ましい総量は、適用に依存する。いくつかの適用では、60〜90重量%(例えば80重量%付近)の総MHS量が有益であろう。他の適用では、より少ない量、例えば5〜20重量%、好ましくは10重量%付近が有用であろう。さらに他の適用では、50重量%付近のMHSを含む組成物が好ましいであろう。特定の目的のために適する組成物を下記に概説する。
【0019】
金属ヒドロキシ塩は、いくつかの方法によって製造され得、そのうちの2つを以降に例示する。1つの方法(方法1)は、金属酸化物を、溶解された金属塩、例えば硝酸塩、とスラリー中で反応させることを含む。別の方法(方法2)は、金属塩溶液からの(共)沈殿を含む。MHSの形成中にスラリーまたは溶液中に他の化合物を存在させることも可能である。
【0020】
方法1に関しては、Inorg. Chem. 32 (1993), 1209-1215が参照される。方法2に関しては、J. Solid State Chem. 148 (1999), 26-40およびJ. Mater. Chem. 1 (1991), 531-537が参照される。これらの文献は全て、ヒドロキシ(二重)塩の製造に関し、それらの物質は用語「金属ヒドロキシ塩」によって包含される。
【0021】
MHSの製造後、置き換え可能なアニオンが、望ましいならば、通常のイオン交換手順によって交換され得る。
【0022】
MHSが固体化合物から、または固体化合物の存在下で形成されるならば、これらの化合物(の1つ)を挽くことが望ましくあり得る。本明細書において、用語「挽くこと」は、粒子の大きさの減少を生じるところの任意の方法として定義される。そのような粒子の大きさの減少は、粒子の反応性表面の形成および/または粒子の加熱を同時に生じ得る。挽くために使用され得る器具は、ボールミル、高せん断ミキサー、コロイドミキサー、およびスラリー中に超音波を導入し得る電気変換器を包含する。低せん断混合、すなわち本質的に懸濁物中の成分を保持するように行われる撹拌、は「挽くこと」としてはみなされない。
【0023】
さらに、方法1は好ましくは、連続様式で行われる。より好ましくは、2以上の転化容器を含む装置、例えば米国特許公開2003−0003035および国際出願WO03/078055の番号で公開された特許出願に記載された装置において行われる。
【0024】
例えば、金属塩および金属酸化物を含むスラリーが、供給原料調製溶液中で調製され、その後、混合物が2以上の転化容器をポンプによって連続的に通される。所望ならば、転化容器のいずれかにおける混合物に添加剤、酸または塩基が添加され得る。容器の各々は、それ自体の望ましい温度に調整され得る。
【0025】
組成物は、マトリックス、バインダーまたは担体物質をさらに含む。このマトリックス、バインダーまたは担体物質は、分散したMHSのための支持体として役立ち、および/またはMHS含有組成物の摩耗耐性、表面積、接近性、熱安定性および/または破砕強度を高める。
【0026】
適するマトリックス、バインダーまたは担体物質は、アルミナ、シリカ、シリカ−アルミナ、シリカ−マグネシア、クレー、チタニア、チタニア−アルミナ、シリカ−チタニア、リン酸アルミニウム、ジルコニア、酸化セリウム、酸化カルシウム、酸化ランタン、酸化バリウムおよび酸化マグネシウムを包含する。
【0027】
好ましい実施態様では、これらのマトリックス、バインダーまたは担体物質の2以上の混合物が組成物中に存在する。
【0028】
適するアルミナの例は、ベーマイト、ギブサイト(gibbsite)、フラッシュ焼成されたギブサイト、ゲルアルミナ、無定形アルミナ、遷移アルミナ(例えば、ガンマ−アルミナ)およびそれらの混合物である。
【0029】
適するクレーは、アニオン性クレー(すなわち、層状の二重水酸化物またはハイドロタルサイト様物質)、スメクタイトまたはモンモリロナイト(例えば、ヘクトライト、ラポナイト)、(メタ)カオリン、脱アルミネート化されたカオリン、脱シリケート化されたカオリン、ベントナイト、ハロイサイト、アタパルガイト(attapulgite)、セピオライトおよびそれらの混合物を包含する。これらのクレーは、所望により改変され得る。例えば酸によって活性化され、またはリン酸処理され得る。そのような改変されたクレーの例は、酸処理されたベントナイトである。
【0030】
MHSおよび、マトリックス、バインダーまたは担体物質に加えて、上記組成物は追加の物質、例えばモレキュラーシーブ、金属(水)酸化物、金属添加剤、ホスフェート(例えば、メタまたはピロホスフェート)、孔調節剤(例えば、糖、界面活性剤、ポリマー)、ボリア、およびそれらの組み合わせを含み得る。
【0031】
モレキュラーシーブは、小さい孔のゼオライト(例えば、ZSM−5、ZSM−21、ゼオライトβ、シリケート)、ホージャサイトゼオライト(例えば、ゼオライトXまたはY、REY、USY、RE−USY)、中多孔性(mesopourous)酸化物(例えば、MCM型物質および中多孔性アルミナ)、モルデナイト、シリコアルミナホスフェート(SAPOs)、リン酸アルミニウム(AlPOs)およびそれらの混合物を包含する。
【0032】
適する金属添加剤は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属(例えば、V、Mo、W、Cr、Mn、Ni、Co、Fe)、貴金属(例えば、Pt、Pd、Ru、Rh)、および希土類金属(例えば、Ce、La、PrおよびNd)の化合物を包含する。
【0033】
本発明に従う組成物は、(a)MHSをバインダーまたはマトリックス物質(またはそれらの前駆体)および所望により、組み入れられるべき他の物質と共にスラリー化させることにより、または(b)MHSの製造中にバインダー、マトリックスおよび/または担体物質(またはそれらの前駆体)を存在させることにより製造され得る。上記製造は、好ましくは、その後に成形工程が続く。適する成形法は、噴霧乾燥、ペレット化、押出(所望により混練と組み合わせられる)、ビーズ化、または触媒および吸着剤分野において使用される任意の他の慣用の成形法を包含する。
【0034】
(成形された)組成物は次いで、焼成され、還元され、蒸気処理され、再水和され、イオン交換され、硫化され、および/または窒化され得る。硫化は、従来公知の任意の方法によって行われ得る。一般に、それは、組成物を硫黄含有化合物、例えば硫黄元素、硫化水素、DMDS、またはポリスルフィドと接触させることを含む。硫化は一般に、インシチューで(in situ)および/またはエクスシチューで(ex situ)行われ得る。
【0035】
本発明はまた、硫化された、窒化された、焼成された、および還元された形態の組成物にも向けられる。
【0036】
FCCにおける使用
本発明組成物は、FCC法における触媒(添加剤)組成物として適切に使用され得る。
【0037】
FCC適用に関しては、Mg−MHS、Zn−MHS、Fe−MHS、Ca−MHS、La−MHS、Mn−MHS、Mg−Fe MHS、Zn−Fe MHSおよびZn−Cu MHSが好ましい金属ヒドロキシ塩である。この適用に関して、15以下の摩耗指数(Al)および/または少なくとも0.5g/mlのかさ密度を有するMHS含有組成物を与えるマトリックスまたはバインダー物質が好ましい。そのような物質の例は、アルミナ、シリカ、シリカ−アルミナ、クレー、チタニア、ジルコニア、チタニア−ジルコニア、チタニア−アルミナ、およびリン酸アルミニウムである。
【0038】
摩耗指数は次のように測定される。粒子床が、3つのノズルを有する摩耗プレート上にある。摩耗プレートが環境温度で摩耗管内に位置される。空気がノズルを通され、そして得られた噴射が、粒子および生じた細粒の上方への輸送をもたらす。摩耗管の頂部に分離チャンバーがあり、そこで流れが消失し、そして約16ミクロンより大きいほとんどの粒子が落下して摩耗管中に戻る。より小さい粒子は収集バッグ中に集められる。
【0039】
摩耗は、50gの仮想の取り入れに基づいて、24時間後に収集バッグに集められた細粒の重量%として測定される。試験は、最初に5時間行われて最初の(0〜5時間)摩耗が測定され、次いでさらに15時間行われて固有の(5〜20時間)摩耗を得る。摩耗指数(Al)は、25時間後の外挿された摩耗%である。こうして、摩耗耐性が大きい粒子ほど、小さいAl値を生じるであろう。
【0040】
かさ密度は、2cmの内径および既知重量を有する25mlのシリンダーを触媒粒子で満たすことにより決定される。シリンダーは、内径1cmの管(stem)を有する、シリンダーの頂部より2cm上に置かれた漏斗を使用してほぼ一杯になるまで充填される。充填されたシリンダー中の粒子の重量を測定し、シリンダーの体積で割ってかさ密度を得る。
【0041】
FCC触媒添加剤として使用される場合、上記組成物は好ましくは、MHSおよびアルミナを含む。好ましくは、小さい孔のゼオライト(ZSM−5など)およびクレー(例えばカオリン)をも含む。より好ましくは、シリカ、シリカ−アルミナおよび/またはホスフェートをも含む。上記添加剤は、好ましくは、2〜30重量%、より好ましくは5〜20重量%、最も好ましくは10〜15重量%のMHSを含む。上記添加剤は、さらに好ましくは、10〜80重量%、より好ましくは20〜60重量%、最も好ましくは20〜40重量%のアルミナを含む。さらに好ましくは、10〜70重量%のクレー、より好ましくは20〜60重量%のクレーを含む。FCC添加剤として適する典型的な組成物は、15重量%のMHS、30重量%のアルミナ、および55重量%のクレーを含む。別の適する例は、15重量%のMHS、30重量%のアルミナ、30重量%のクレーおよび25重量%の小さい孔のゼオライトを含む組成物である。
【0042】
FCC触媒として使用される場合、上記組成物は好ましくは、MHS、アルミナ、クレー(例えばカオリン)、およびモレキュラーシーブを含む。好ましいモレキュラーシーブは、ホージャサイトゼオライト(Y、RE−Y、USY、RE−USY)、モルデナイト、小さい孔のゼオライト(例えばZSM−5、ZSM−21、ゼオライト−ベータ)、シリコアルミナホスフェート(SAPOs)、リン酸アルミニウム(AlPOs)および/または(改変された形態の)中多孔性物質、例えばMCM−41、または中多孔性アルミナである。この目的のためのより好ましいモレキュラーシーブは、ホージャサイトゼオライト、ZSM−5およびそれらの組み合わせである。
【0043】
より好ましくは、そのような添加剤が、2〜15重量%のMHS、10〜20重量%のアルミナ、30〜50重量%のクレー、および20〜45重量%のモレキュラーシーブを含む。さらにより好ましくは、そのような添加剤が5〜10重量%のMHS、15〜20重量%のアルミナ、30〜50重量%のクレー、および20〜30重量%のモレキュラーシーブを含む。
【0044】
FCC触媒としての使用のための本発明に従う組成物は、約15〜45重量%の希土交換されたおよび/または超安定なゼオライトを、バインダーまたはマトリックス物質またはそれらの前駆体(例えば、アルミニウムクロロヒドロール、(解膠された)擬ベーマイト、微結晶ベーマイト、シリカゾル、ケイ酸ナトリウム、シリカ−アルミナコゲルおよび/またはカオリンクレー)、MHS、および所望により金属添加剤(例えば、遷移金属塩、アルカリ土類金属塩、希土類金属塩、および貴金属塩)、および得られる組成物中に所望により存在する他の物質(またはその前駆体)と、水性スラリー中で混合することにより製造され得る。典型的には、バインダーの組み合わせ、例えばシリカゾルおよび解膠された擬ベーマイトが組成物全体の重量に基づいてそれぞれ2〜10重量%および10〜20重量%の範囲の割合で使用され得る。スラリーは、高せん断で混合するまたは挽くことにより均質化される。酸または塩基を添加して、生成物が噴霧乾燥され得るように粘度に影響を与えることができる。スラリーは次いで噴霧乾燥されて、微小球粒子を形成する。他の分解法、例えばTCCおよびDCC、に関しては、微小球の代わりに押出物またはペレットが望ましい。
【0045】
あるいは、MHSが、最終組成物の1以上の成分の存在下で製造される。
【0046】
好ましくは、FCCにおいて使用されるべき組成物がまた、バナジウム、タングステン、セリウム、ランタン、白金およびパラジウムの群から選択される金属を含む。
【0047】
FCCにおいて使用されるとき、本発明に従う組成物は、SOxおよび/またはNOx排出物質の減少および/または製造された燃料の硫黄および/または窒素含量の減少において適切に役に立ち得る。
【0048】
しかし、上記組成物はまた、吸着剤として、例えば発電所の煙道ガスからの例えばハロゲン(Cl、HCl)、HCN、NH、SOxおよび/またはNOxのための吸着剤として使用され得る。これらの目的のために、組成物は好ましくは、アルミナまたはシリカ−アルミナを含む。さらに、ホスフェート、チタニアおよびジルコニアを含み得る。
【0049】
FCCにおける使用の前に、組成物は好ましくは焼成される。
【0050】
HPCにおける使用
本発明に従う組成物はまた、特にNi−MHSまたはCo−Ni MHSを含むときに、水素化処理(HPC)触媒として適する。
【0051】
HPCでの使用のために適するマトリックス、バインダーまたは担体物質は、アルミナ、シリカ、シリカ−アルミナおよびアルミナ−チタニアを包含する。これらのバインダーまたはマトリックス物質は、適する破砕強度を有するMHS含有粒子を与えるために役立つ。
【0052】
これらの組成物はまた、マグネシア、ジルコニア、ボリア、チタニア、またはそれらの混合物、および金属塩、例えばモリブデン酸塩またはタングステン酸塩、を含み得る。後者の塩は、例えば含浸、析出またはイオン交換によって組成物上に沈着され得、または組成物の製造中に添加され得る。
【0053】
HPCでの使用に好ましい組成物は、5〜75重量%のMHS、20〜95重量%のアルミナおよび2〜10重量%の1以上の金属、例えばWおよび/またはMo、を含む。例として、70重量%のMo含浸されたCo−Ni MHSおよび30重量%のアルミナを含む組成物、および70重量%のMo−およびW−含浸されたCo−Ni MHSおよび30重量%のアルミナを含む組成物が挙げられる。
【0054】
そのような組成物を製造する1つの方法は、MHSおよび金属添加剤(例えばモリブデン酸塩またはタングステン酸塩)をバインダーまたはマトリックス物質またはそれらの前駆体(例えば擬ベーマイト)に添加し、そして得られた混合物を成形する(例えば押出す)ことによる。押出物は次いで乾燥される。HPCでの使用の前に、組成物は、好ましくは焼成および/または還元工程の後に、硫化される。
【0055】
フィッシャー−トロプシュ(Fischer−Tropsch)における使用
組成物はまた、特にFeおよび/またはCo含有MHSを含むとき、フィッシャー−トロプシュ(Fischer−Tropsch)触媒として適する。適する組成物は、例えば、Fe−MHS、Fe−Co MHS、Co−MHS、Fe−Zn MHS、Co−Fe MHS、Ni−Co MHSおよび/またはZn−Co−Fe MHSを含む。
【0056】
MHSに加えて、そのような組成物は、好ましくは、バインダー、マトリックスまたは担体物質としてのアルミナを含む。
【0057】
フィッシャー−トロプシュ触媒として使用するための本発明に従う組成物は、適する金属ヒドロキシ塩をアルミナ、例えば擬ベーマイト、とともにスラリー化することにより製造され得る。好ましくは、MHSがコロイド状粒子としてこのスラリー中に存在し、該粒子はアルミナ(例えばベーマイト結晶)上に沈着される。後者はそのとき、MHSのための担体として役立つ。さらに、他の金属化合物、例えば鉄、亜鉛、コバルトおよび/またはルテニウム含有化合物が添加され得る。
【0058】
あるいは、MHSの製造中にアルミナ化合物が存在する。得られる生成物は、挽くことまたは混練することにより均質化され、最後に押出されそして乾燥される。
【0059】
フィッシャー−トロプシュ法での使用の前に、組成物は好ましくは焼成され、次いで水素雰囲気中で還元される。
【0060】
他の適用
本発明に従う組成物はまた、COのCOへの転化、水素化分解、水素化、脱水素、アルキル化、異性化、フリーデルクラフツ法、アンモニア合成、自動車排気機構におけるNOxの吸着および/または減少などにおける添加剤として使用され得る。これらの適用での使用の前に、上記組成物は焼成され、還元され、および/またはS−またはN−含有化合物で処理され得る。焼成された形態は、自動車排気機構におけるような気体流からの汚染物質の除去を含む適用のために特に好ましい。さらに、上記組成物は、有機剤によって処理され得、それによって、一般的に親水性である組成物の表面をより疎水性にすることができる。これは、組成物が有機媒体中により容易に分散することを可能にする。
【0061】
上記目的に適する組成物は、好ましくは、50〜95重量%のマトリックス、バインダーまたは担体物質、5〜50重量%の金属ヒドロキシ塩、および0.05〜5重量%の貴金属、例えばRh、PdまたはRuを含む。
【0062】
MHSをマトリックス、バインダーまたは担体物質および任意的な他の組成物成分と混合する前に、層間に内位添加剤(intercalating agent)を導入し、そして例えば有機液体、超音波または高せん断によってMHSを処理することによって、MHSを薄い層に裂くまたは剥離することも可能である。構造を(部分的に)脱層状化することによるこの処理によって、MHS層の積み重ね順序が歪められるであろう。
【0063】
ナノコンポジット(すなわち、約500nm未満の直径を有する粒子)として適用されるとき、本発明に従う組成物は、プラスチック、樹脂、ゴム、およびポリマーにおいて適切に使用され得る。例えば有機剤による処理によって得られる、疎水性表面を有するナノコンポジットは、特にこの目的に適する。
【実施例1】
【0064】
Zn−MHSのサンプルが、S.P. Newman and W. Jones, J. Solid State Chemistry 148 (1999),26-40の析出法を使用して調製され、そして洗浄および乾燥された物質が、硝酸によって解膠されたCatapal(商標)アルミナ(擬似結晶性ベーマイト)と、スラリー中で一緒にされた。スラリーは高せん断混合によって均質化され、次いで乾燥された。得られた組成物は、酸化物として計算して、15重量%のZnーMHSおよび85重量%のアルミナを含んでいた。
【0065】
粉末を砕いて4ミクロン未満の大きさの粒子にし、慣用のFCC触媒と混合し、そしてマイクロ活性(microactivity)(MAT)試験装置中で試験した。この試験は、本発明に従う組成物の存在が、ガソリンの硫黄含量を約35%減少させたことを示した。
【実施例2】
【0066】
実施例1で製造された粉末の一部を、合計固体含量に基づきかつ酸化物として計算して、25重量%のRE交換されたゼオライトY、22重量%のアルミナ、および23重量%のクレーを含むスラリーに添加した。スラリーが混合され、そして噴霧乾燥された。得られた組成物は、実施例1で製造された組成物を約30重量%含んでいた。
【0067】
次いで、組成物をFCCマイクロ活性装置中で試験した。試験は、実施例1で言及された慣用のFCC触媒と比較して、ガソリンの硫黄含量の約42%の減少を示した。
【実施例3】
【0068】
実施例1で引用された参考文献に従ってMg−MHSを製造した。このMHSを、ギ酸によって解膠された擬ベーマイトと、約3のMg対Alモル比が得られる割合で高せん断混合した。この均質な混合物に、Cu−MHSを、CuOとして乾燥重量に基づいて計算して約20重量%のCuを含む混合物を得るのに十分な量で添加した。
【0069】
この混合物を高せん断混合し、次いで乾燥して粉末を形成した。この粉末を500℃で3時間焼成し、次いで、慣用のFCC触媒と混合した。得られた生成物を、実施例2に従ってマイクロ活性試験装置中で試験した。FCC触媒のみの使用と比較して、再生器ガスのNOxおよびSOx含量の47%の減少が認められた。
【実施例4】
【0070】
実施例3に従ってMg−MHSを製造した。このMg−MHSの一部が、Catapal(商標)アルミナ(硝酸によって解膠された)と約3のMg/Alモル比で高せん断混合された。次いで、12重量%の硝酸セリウムおよび5重量%のバナジウム酸アンモニウム(最終生成物の重量に基づき、それぞれCeOおよびVとして計算)が混合物に添加された。混合物を100℃で乾燥して粉末を形成した。
【0071】
粉末を500℃で3時間焼成し、慣用のFCC触媒と混合し、次いで、マイクロ活性試験装置中で試験した。これらの試験は、慣用のFCC触媒のみの使用と比較して、再生器の気体排出物質のSOx含量の約65%の減少、およびガソリンおよびディーゼル燃料液体生成物の硫黄含量の減少を示した。
【実施例5】
【0072】
実施例1に従ってZn−MHSを製造した。このZn−MHSを、解膠されたCatapal(商標)と水性懸濁物中で混合した。この混合物にタングステン酸アンモニウムを添加した。混合物を挽き、次いで100℃で乾燥して粉末を形成した。得られた組成物は、30重量%のZn−MHS(ZnOとして計算)、67重量%のアルミナ(Alとして計算)および3重量%のタングステン酸アンモニウム(WOとして計算)を含んでいた。
【0073】
粉末を挽いて、4ミクロン未満の粒子サイズを得、500℃で3時間焼成し、次いで、慣用のFCC触媒と混合し、FCCパイロットプラントにおいて硫黄含有油供給原料を使用して試験した。この試験は、慣用のFCC触媒のみの使用と比較して、ガソリンおよびディーゼル液体生成物の硫黄含量の約38%の減少を示した。
【実施例6】
【0074】
実施例3に従って製造されたMg−MHSを、フラッシュ焼成されたギブサイトと、2のMg/Alモル比で、水性懸濁物中で高せん断混合した。ヘプタモリブデン酸アンモニウム(乾燥重量に基づいてMoOとして計算して8重量%)をこの懸濁物に添加した。混合物を挽き、次いで噴霧乾燥して微小球を形成した。これらの微小球を焼成し、慣用のFCC触媒と混合し、FCCパイロットプラントにおいて硫黄含有油供給原料を使用して試験した。この試験は、慣用のFCC触媒のみの使用と比較して、ガソリン液体生成物の硫黄含量の実質的な減少を示した。
【実施例7】
【0075】
実施例6を繰返したが、噴霧乾燥の前に、懸濁物を160℃で1時間老化させた。試験結果は、実施例6における減少に匹敵し得る、ガソリン液体生成物の硫黄含量の減少を示した。
【実施例8】
【0076】
実施例7を繰返したが、フラッシュ焼成されたギブサイトが、細かく粉砕されたギブサイトで置き換えられた。試験結果は、実施例6における減少と同様の、ガソリンの硫黄含量の減少を示した。
【実施例9】
【0077】
実施例1に従って製造されたZn−MHSが、フラッシュ焼成されたギブサイトおよび2重量%のバナジウム酸アンモニウムと水性懸濁物中で高せん断混合された。混合物を噴霧乾燥して微小球を形成した。得られた組成物は、20重量%のZn−MHS(ZnOとして計算)、78重量%のアルミナ(Alとして計算)および2重量%のバナジウム(Vとして計算)を含んでいた。
【0078】
微小球を焼成し、慣用のFCC触媒と混合し、FCCパイロットプラントにおいて硫黄含有油供給原料を使用して試験した。この試験は、実施例5における減少と同様の、ガソリンおよびディーゼル液体生成物の硫黄含量の減少を示した。
【実施例10】
【0079】
実施例3に従って製造されたMg−MHSが、フラッシュ焼成されたギブサイト(Mg/Alモル比3)および12重量%の酢酸セリウム(最終組成物に基づいてCeOとして計算)と、水性懸濁物中で高せん断混合され、そして噴霧乾燥されて微小球を形成した。微小球を次いで焼成し、次いで、バナジウム酸アンモニウムの水性溶液中で85℃でスラリー化した。最終生成物は、Vとして計算して約3重量%のバナジウムを含んでいた。上記物質は、再生器ガスのSOx含量の実質的な減少を示した。
【実施例11】
【0080】
Cu−MHSおよびLa−MHSの混合物を製造した。この混合物に、Mg−MHSを添加し、次いで水酸化アルミニウムゲルを添加した。混合物中には、等モルのCuおよびLaが存在した。混合物を高せん断混合し、噴霧乾燥して微小球を形成した。混合物の組成は、Cu:La:Mg:Al原子比が1:1:0.5:0.1であるような組成であった。
【0081】
微小球を慣用のFCC触媒と混合し、複合体を焼成し、そしてFCCパイロットプラントにおいて窒素含有油供給原料を使用して試験した。FCC触媒のみの使用と比較して、再生器ガスのNOx含量の58%減少が認められた。
【実施例12】
【0082】
ほぼ等モル比のCoおよびNiを含む、Co−MHSおよびNi−MHSの混合物が製造された。上記混合物を、Catapal(商標)アルミナ(硝酸によって解膠された)と高せん断混合した。混合物のアルミナ含量(Alとして計算)は、乾燥重量に基づいて約70重量%であった。混合物を押出し、押出物を焼成した。高圧反応器において、これらの押出物を、標準の水素化脱硫条件下でHDS/HDN活性に関して試験した。押出物は、標準のHDS/HDN触媒に匹敵し得る活性を示した。
【実施例13】
【0083】
ほぼ等モル比のCoおよびNiを含む、Co−MHSおよびNi−MHSの混合物が製造された。この混合物に、ヘプタモリブデン酸アンモニウムが、解膠されたCatapal(商標)アルミナと共に添加された。混合物を高せん断混合した。
【0084】
得られた組成物は、1:0.7:0.7:1のNi:Co:Mo:Al原子比を有した。混合物を押出し、押出物を焼成し、硫化し、そしてHPC高圧装置中で脱硫活性に関して試験した。生成物は、市販の触媒生成物に匹敵し得る、液体生成物の硫黄および窒素含量の減少を示した。
【実施例14】
【0085】
Ni−MHSがヘプタモリブデン酸アンモニウム溶液およびタングステン酸アンモニウム溶液で含浸された。金属が、1:0.68:0.32のNi:Mo:W重量比で存在した。混合物を、0.25のNi/Al原子比を生じるような量のホスフェート化されたベントナイトと共に挽いた。
【0086】
最終混合物を押出し、乾燥し、焼成し、硫化し、そして高圧水素反応器において、硫黄を多く含む油供給原料を使用して、脱硫活性に関して試験した。HDSおよびHDN活性のための標準水素化処理条件下で認められた脱硫活性は、実施例13と同じであった。
【実施例15】
【0087】
実施例14を繰返したが、ホスフェート化されたベントナイトがリン酸アルミニウムバインダーで置き換えられた。試験結果は、実施例13に匹敵し得るHDS/HDN活性を示した。
【実施例16】
【0088】
実施例14を繰返したが、ホスフェート化されたベントナイトがチタニウムゲルで置き換えられた。試験結果は、実施例13に匹敵し得るHDS/HDN活性を示した。
【実施例17】
【0089】
Cu−MHS、Mn−MHSおよびLa−MHSが、クロミア(chromia)ゲル(硝酸クロム溶液を沈殿させることにより作られた)と、等モル比のCu、Mn、CrおよびLaを使用して高せん断混合された。混合物を噴霧乾燥し、次いで、約800〜900℃で焼成した。
【0090】
焼成された微小球を挽いて細かい粒子にし、次いでMg−MHSとフラッシュ焼成されたギブサイトとの混合物(Mg/Al原子比3)42重量%(乾燥重量に基づく)と混合した。得られた混合物を挽き、噴霧乾燥して微小球を形成し、最後に600℃で焼成した。
【0091】
焼成された生成物を慣用のFCC触媒と混合し、そしてFCCパイロットプラントにおいて窒素含有油供給原料を使用して試験した。FCC触媒のみの使用と比較して、再生器ガスのNOx含量の実質的な減少が認められた。
【実施例18】
【0092】
La−MHSおよびMg−MHSが、1のMg/Laモル比に対応する量で一緒に混合された。この混合物に、硝酸によって解膠されたCatapal(商標)アルミナが、Mg/Alモル比が3であるように添加された。得られた混合物を挽き、そして噴霧乾燥して微小球を得た。
【0093】
微小球を600℃で焼成し、次いで重質残油供給原料を使用するFCCパイロットプラントにおいて触媒添加剤として使用した。試験結果は、この触媒添加剤の存在が(i)金属(Ni、V、Fe、Cu)毒故のFCC触媒の非活性化および(ii)再生器ガス排出物質のSOxおよびNOx含量を低下させることを示した。
【実施例19】
【0094】
実施例18を繰返したが、酸によって解膠されたCatapal(商標)アルミナが、水酸化アンモニウムによって析出された等量の硝酸アルミニウムで置き換えられた。FCCパイロットプラント結果は、同様の量の金属不動態化ならびにSOxおよびNOxの低下を示した。
【実施例20】
【0095】
Cu−Mg MHSを、硝酸によって解膠されたCatapal(商標)アルミナと共に、26重量%のCu、26重量%のMgおよび48重量%のAl(全て、酸化物として全固形含量に基づいて計算)を含む混合物をもたらす量で、スラリー化した。混合物を挽き、噴霧乾燥して微小球を形成し、焼成した。得られた生成物を、実施例11に従うマイクロ活性試験装置において試験した。再生器ガスのSOx含量の有意な減少が認められた。
【実施例21】
【0096】
Cu−MHS、Mn−MHSおよびLa−MHSを混合した。Cu:Mn:La原子比は1:1:1になった。上記混合物を乾燥させ、800℃で3時間焼成し、挽き、40重量%の解膠されたベーマイト(酸化物として乾燥固体重量に基づいて計算)と共にスラリー化し、最後に噴霧乾燥して微小球を形成した。微小球を慣用のFCC触媒と混合し、そしてFCCパイロットプラントにおいて窒素含有油供給原料を使用して試験した。再生器ガスのNOx含量の実質的な減少が認められた。
【実施例22】
【0097】
Co−MHSがMg−Alアニオン性クレーと共に3のMg/Alモル比でスラリー化された。Co/Mgモル比は0.5であった。生成物を100℃で乾燥し、次いで500℃で3時間焼成した。
【実施例23】
【0098】
実施例22の生成物を、ギ酸によって解膠されたCatapal(商標)アルミナ40重量%(酸化物として乾燥固体重量に基づいて計算)と共にスラリー化し、噴霧乾燥して微小球を得た。次いで、微小球を慣用のFCC触媒と混合し(20重量%の添加剤および80重量%のFCC触媒)、混合物を500℃で3時間焼成した。生成物がマイクロ活性試験装置において試験され、良好なSOx減少活性を示した。
【実施例24】
【0099】
Cu−MHSおよびZn−MHSの混合物を水中で調製し、解膠されたCatapal(商標)アルミナを添加した(Cu:Zn:Alモル比1:1:1)。スラリーを噴霧乾燥し、500℃で4時間焼成し、慣用のFCC触媒と混合し、500℃で3時間再び焼成した。得られた混合物がマイクロ活性試験装置において試験され、良好なSOxおよびNOx減少活性を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上の金属ヒドロキシ塩および、マトリックス、バインダーまたは担体物質を含む組成物において、金属ヒドロキシ塩が、
(a)金属としての(i)1以上の2価金属、ここで、それらの少なくとも1はNi、Co、Ca、Zn、Mg、Fe、およびMnから成る群から選択される、または(ii)1以上の3価金属、のいずれか、
(b)骨組としてのヒドロキサイド、および
(c)置き換え可能なアニオン
を含む化合物であるところの組成物。
【請求項2】
組成物の総重量に基づいて2〜98重量%の金属ヒドロキシ塩を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
金属ヒドロキシ塩の少なくとも1が2価金属を含む、請求項1または2記載の組成物。
【請求項4】
金属ヒドロキシ塩が、Ni、Co、Ca、Zn、Mg、Fe、およびMnから成る群から選択される2価金属の一つの種を含む、請求項3記載の組成物。
【請求項5】
金属ヒドロキシ塩が少なくとも2の異なる種の2価金属を含む、請求項3または4記載の組成物。
【請求項6】
金属ヒドロキシ塩がZn−Cu MHS、Zn−Ni MHS、Zn−Co MHS、Fe−Co MHS、Fe−Mg MHS、Zn−Mn MHS、Zn−Fe MHS、Ni−Cu MHS、Cu−Co MHS、Cu−Mg MHS、Cu−Mn MHS、Fe−Co MHS、Ni−Co MHS、Zn−Fe−Co MHS、Mg−Fe−Co MHS、およびNi−Cu−Co MHSから成る群から選択される、請求項5記載の組成物。
【請求項7】
金属ヒドロキシ塩の少なくとも1が3価金属を含む、請求項1または2記載の組成物。
【請求項8】
3価金属がLaである、請求項7記載の組成物。
【請求項9】
マトリックス、バインダーまたは担体物質が、アルミナ、シリカ、シリカ−アルミナ、シリカ−マグネシア、アルミナ−チタニア、クレー、チタニア、ジルコニア、およびリン酸アルミニウムから成る群から選択される、請求項1〜8のいずれか1項記載の組成物。
【請求項10】
モレキュラーシーブをさらに含む、請求項1〜9のいずれか1項記載の組成物。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項記載の組成物を流動接触分解、フィッシャー−トロプシュ合成、水素化処理、水素化分解、アルキル化、異性化、水素化、酸化またはNOx除去における触媒または吸着剤として使用する方法。
【請求項12】
請求項1〜10のいずれか1項記載の組成物の焼成された形態を流動接触分解、フィッシャー−トロプシュ合成、水素化処理、水素化分解、アルキル化、異性化、水素化、酸化またはNOx除去における触媒または吸着剤として使用する方法。

【公表番号】特表2007−524494(P2007−524494A)
【公表日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−501844(P2006−501844)
【出願日】平成16年2月10日(2004.2.10)
【国際出願番号】PCT/EP2004/001409
【国際公開番号】WO2004/071653
【国際公開日】平成16年8月26日(2004.8.26)
【出願人】(390009612)アクゾ ノーベル ナムローゼ フェンノートシャップ (132)
【氏名又は名称原語表記】Akzo Nobel N.V.
【出願人】(505002495)アルベマーレ ネザーランズ ビー.ブイ. (19)
【Fターム(参考)】