説明

金属ベース回路基板

【課題】金属ベース回路基板を重ねて製品管理しても金属基板が白色レジスト層で擦られることを抑制することを可能とする。
【解決手段】金属基板3上に絶縁層5を介して設けられた回路部7と、金属基板3の絶縁層5及び回路部7上を、LEDのハンダ付けランド9a,9bを回路部7に対し形成して覆う無機フィラーを含んだ白色レジスト層9とを備えた金属ベース回路基板1であって、白色レジスト層9と金属基板3側の絶縁層5との間に、回路部7に対し離間した位置で高さを維持するダミー回路11a,11bを形成し、このダミー回路11a,11bで高さの維持された白色レジスト層9の表面に、基板最上部を構成するシンボル・パターン13a,13bをシンボル・インクにより形成したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源からの反射機能をもつ金属ベース回路基板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の回路基板として、例えば特許文献1のような金属ベース回路基板がある。
【0003】
この金属ベース回路基板は、例えば光源装置に用いられ、無機フィラーを含有した白色レジスト層を備えて光の反射率を高めている。また、高放熱を維持するためにベースに銅、アルミニウムなどの金属基板を用いた金属ベース回路基板が採用されている。
【0004】
かかる金属ベース回路基板の製造工程では、製品管理、搬送などのために製品としての金属ベース回路基板が重ねられることになる。
【0005】
この金属ベース回路基板の重ねにより金属ベース回路基板の白色レジスト層の上に他の金属ベース回路基板の金属基板が乗ることになり、搬送時の振動等により金属基板が白色レジスト層中の高硬度の無機フィラーに擦られ、金属基板の金属粉が発生していた。
【0006】
この結果、金属粉が白色レジスト層表面に付着し反射率を低下させるという問題があった。
【0007】
これに対し、金属ベース回路基板を重ねずに搬送し、或いは重ねられる金属ベース回路基板相互間に緩衝材を入れることも考えられるが、製品管理スペースの増大や作業効率の低下を招く原因ともなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−4718号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が解決しようとする問題点は、金属ベース回路基板を重ねて製品管理等した場合に、金属ベース回路基板の金属基板が擦られ、金属粉が光反射レジスト層に付着する点である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、金属ベース回路基板を重ねて製品管理しても金属基板が光反射レジスト層で擦られることを抑制するため、金属基板上に絶縁層を介して設けられた回路部と、前記金属基板の絶縁層及び回路部上を、実装部品の取付ランドを前記回路部に対し形成して覆う光反射率向上物質を含んだ光反射レジスト層とを備えた金属ベース回路基板であって、前記光反射レジスト層と前記金属基板側との間に、前記回路部に対し離間した位置で高さを維持する高さ維持層を形成し、この高さ維持層で高さの維持された光反射レジスト層の表面に、基板最上部を構成するパターン層をインクにより形成したことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】金属ベース回路基板の平面図である。(実施例1)
【図2】図1のII−II線矢視断面図である。(実施例1)
【図3】金属ベース回路基板の平面図である。(実施例2)
【図4】図3のIV−IV線矢視断面図である。(実施例2)
【発明を実施するための形態】
【0012】
金属ベース回路基板を重ねて製品管理しても金属基板が白色レジスト層で擦られることを抑制するという目的を、高さ維持層で高さの維持された光反射レジスト層の表面に、基板最上部を構成するパターン層をインクにより形成することで実現した。
【実施例1】
【0013】
図1は、金属ベース回路基板の平面図、図2は、図1のII−II線矢視断面図である。
【0014】
図1、図2のように、本実施例の金属ベース回路基板1は、光源装置、例えばLEDを用いた電球内に取り付けられるものである。この金属ベース回路基板1は、金属基板3上に絶縁層5を介して回路部7が設けられ、金属基板3の絶縁層5及び回路部7上が、光反射レジスト層である白色レジスト層9で覆われている。
【0015】
金属基板3は、銅製、銅合金製、アルミニウム製、アルミニウム合金製、銅及びアルミニウムを圧着させたクラッド材製の何れかからなり、多角形として本実施例では矩形形状に形成されている。
【0016】
絶縁層5は、無機フィラー含有のエポキシ樹脂などにより金属基板3の表面を覆うように形成され、金属基板3に対し絶縁処理を行っている。
【0017】
回路部7は、銅箔で所定のパターンに形成されている。
【0018】
白色レジスト層9は、前記金属基板3の絶縁層5及び回路部7上を覆うように形成されている。この白色レジスト層9は、光の反射を高めるためのものであり、光反射率向上物質として無機フィラーを50〜75%含んでいる。白色レジスト層9は、実装部品の取付ランドとしてLEDのハンダ付けランド9a,9b,9cが前記回路部7に対し開口形成されている。
【0019】
本発明実施例では、白色レジスト層9と金属基板3側である絶縁層5との間に、前記回路部7に対し離間した位置で高さを維持する高さ維持層としてダミー回路11a,11b,11c,11dが形成されている。ダミー回路11a〜11dは、回路部7と同材質の銅箔で回路部7と共に形成されている。
【0020】
ダミー回路11a〜11dで高さの維持された白色レジスト層9の表面に、基板最上部を構成するパターン層としてのシンボル・パターン13a,13b,13c,13dをインクとしてのシンボル・インクにより形成した。シンボル・パターン13a〜13dは、金属ベース回路基板1の特性、機能などを表示し、印刷技術等により形成される。シンボル・インクにも、多少無機フィラーが混入されている。しかし、シンボル・インクの無機フィラーは、白色レジスト層9の50〜75%に比較してはるかに少ない数%である。
【0021】
ダミー回路11a〜11d及びシンボル・パターン13a〜13dは、金属基板3の縁部側に沿って複数間隔を置きバランスして配置されている。このバランスは、金属ベース回路基板1に他の金属ベース回路基板1が重ねられたとき、他の金属ベース回路基板1の金属基板3が下側の金属ベース回路基板1の各シンボル・パターン13a〜13dに安定して載置されることを意味する。
【0022】
図2において、ダミー回路11及びシンボル・パターン13a〜13dは、矩形形状の金属基板3の各角部の内側に配置されている。但し、ダミー回路11a〜11d及びシンボル・パターン13a〜13dを、金属基板3の各角部及び辺部中間の双方に配置し、或いは辺部中間にのみ配置し周縁部でバランスさせることもできる。
【0023】
ダミー回路11a〜11dは、金属基板3の反り状態を考慮して形成箇所を特定することもできる。金属基板3の反り状態は、プレス成型時等に発生するため、その反りの特性を予め特定し、この反りに合わせてダミー回路11a〜11dを配置形成することもできる。
【0024】
かかる金属ベース回路基板1を順次重ねると、基板最上部である四隅のシンボル・パターン13a〜13d上に他の金属ベース回路基板1の金属基板3が重なることになる。
【0025】
このため、製品搬送時などの振動があっても、金属基板3が白色レジスト層9に擦られることを抑制できる。
【0026】
[実施例1の効果]
本発明実施例は、金属基板3上に絶縁層5を介して設けられた回路部7と、金属基板3の絶縁層5及び回路部7上を、LEDのハンダ付けランド9a,9b,9cを回路部7に対し形成して覆う無機フィラーを含んだ白色レジスト層9とを備えた金属ベース回路基板1であって、白色レジスト層9と金属基板3側の絶縁層5との間に、回路部7に対し離間した位置で高さを維持するダミー回路11a〜11dを形成し、このダミー回路11で高さの維持された白色レジスト層9の表面に、基板最上部を構成するシンボル・パターン13a〜13dをシンボル・インクにより形成した。
【0027】
このため、金属ベース回路基板1を重ねた時、金属基板3が白色レジスト層9に擦られることを抑制でき、緩衝材等を用いることなく白色レジスト層9に金属摩耗粉が付着するのを抑制することができる。結果として、白色レジスト層9の本来の光反射機能を維持させることができる。
【0028】
ダミー回路11a〜11d及びシンボル・パターン13a〜13dは、金属基板3の縁部側に沿って複数間隔を置きバランスして配置された。
【0029】
このため、金属ベース回路基板1を重ねた時、金属ベース回路基板1の金属基板3周縁が他の金属ベース回路基板1のダミー回路11a〜11d上の各シンボル・パターン13a〜13dにバランス良く当接することができ、金属基板3が白色レジスト層9に擦られることを防止できる。
【0030】
ダミー回路11a〜11dは、金属基板3の反り状態を考慮して形成箇所が特定される。
【0031】
このため、金属基板3に反りがある場合でもシンボル・パターン13a〜13dにより基板最上部を形成し、金属基板3の擦れを防止することができる。
【0032】
回路部7と共に形成されたダミー回路11a〜11dを高さ維持層としている。
【0033】
このため、回路部7及びダミー回路11a〜11dを同時に形成して、製造を容易にすることができる。また、高さ維持層を回路部7の高さに容易に維持し、基板最上位部を容易に設定することができる。
【0034】
表示を行うためのシンボル・パターン13a〜13dをパターン層とした。
【0035】
このため、特別なパターン層を不要とし、製造を容易にすることができる。
【0036】
白色レジスト層9は、光反射率向上物質として無機フィラーを含んでいるため、金属基板3の擦れを抑制しながら光源装置等の基板として適している。
【0037】
実装部品は、白色LEDである。
【0038】
このため、金属基板3の擦れを抑制しながら白色LEDの機能を白色レジスト層9により維持増幅させることができる。
【0039】
金属基板3は、銅製、銅合金製、アルミニウム製、アルミニウム合金製、銅及びアルミニウムを圧着させたクラッド材製の何れかである。
【0040】
このため、金属基板3の擦れを抑制しながら金属ベース回路基板1上での発熱を効率よく放熱させることができる。
【実施例2】
【0041】
図3は、金属ベース回路基板の平面図、図4は、図3のIV−IV線矢視断面図である。
【0042】
なお、基本的な構成は、実施例1と同様であり、同一又は対応する構成部分には、同符号又は同符号にAを付し、重複した説明は省略する。
【0043】
図3、図4のように、本実施例の金属ベース回路基板1Aは、金属基板3Aが、多角形として、八角形に形成されている。
【0044】
本実施例では、回路部7A上でハンダ付けランド9Aa,9Ab,9Ac,9Ad,9Ae,9Af,9Ag,9Ahを備えた白色レジスト層9Aの表面に、基板最上部となるダミー回路上のシンボル・パターン13aA〜13dAが4箇所に形成されている。また、このシンボル・パターン13aA〜13dAと同等の基板最上部を構成する他のパターン層としてシンボル・パターン15a,15bがシンボル・インクにより2箇所に形成されている。シンボル・パターン15a,15bも、所定の機能表示等を行う。
【0045】
ダミー回路上のシンボル・パターン13aA〜13dAと他のシンボル・パターン15a,15bとは、金属基板3Aの縁部側に沿って複数間隔を置きバランスして配置されている。実施例では、2個のシンボル・パターン13aA,13bAが2個の角部に分けて配置され、この角部のシンボル・パターン13aA,13bAに隣接して2個の辺部に2個のシンボル・パターン13cA,13dAが配置され、この辺部の2個のシンボル・パターン13cA,13dAに隣接して2個のシンボル・パターン15b,15aが配置され、八角形の金属ベース回路基板1Aの周縁にバランスして配置されている。
【0046】
なお、シンボル・パターン13aA〜13dA,15b,15aを、角部にのみ、又は辺部にのみ配置することもできる。
【0047】
したがって、本実施例でも、シンボル・パターン13aA〜13dA,15b,15aの存在により、実施例1と同様な作用効果を奏することができる。
【0048】
また、本実施例では、2個の基板最上部を回路部7Aにより形成しているので、ダミー回路を少なくすることができる。
[その他]
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各種の変更が可能である。
【0049】
高さ維持層は、基板最上部を形成できればよく、ダミー回路以外によっても構成することができる。
【0050】
基板最上部は、回路部上のシンボル・パターンのみでバランスさせ配置することもできる。
【符号の説明】
【0051】
1,1A 金属ベース回路基板
3,3A 金属基板
5,5A 絶縁層
7,7A 回路部
9,9A 白色レジスト層
9a,9b,9c,9Aa,9Ab,9Ac,9Ad,9Ae,9Af,9Ag,
9Ah ハンダ付けランド(取付ランド)
11a,11b,11c,11d,11aA,11bA,11cA,11dA ダミー回路(高さ維持層)
13a,13b,13c,13d,13aA,13bA,13cA,13dA,15a,15b シンボル・パターン(パターン層)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属基板上に絶縁層を介して設けられた回路部と、
前記金属基板の絶縁層及び回路部上を、実装部品の取付ランドを前記回路部に対し形成して覆う光反射率向上物質を含んだ光反射レジスト層と、
を備えた金属ベース回路基板であって、
前記光反射レジスト層と前記金属基板側との間に、前記回路部に対し離間した位置で高さを維持する高さ維持層を形成し、
この高さ維持層で高さの維持された光反射レジスト層の表面に、基板最上部を構成するパターン層をインクにより形成した、
ことを特徴とする金属ベース回路基板。
【請求項2】
請求項1記載の金属ベース回路基板であって、
前記回路部上で前記光反射レジスト層の表面に、前記基板最上部と同等の基板最上部を構成する他のパターン層をインクにより形成した、
ことを特徴とする金属ベース回路基板。
【請求項3】
請求項1記載の金属ベース回路基板であって、
前記高さ維持層及びパターン層は、前記金属基板の縁部側に沿って複数間隔を置きバランスして配置された、
ことを特徴とする金属ベース回路基板。
【請求項4】
請求項2記載の金属ベース回路基板であって、
前記高さ維持層及びパターン層と前記他のパターン層とは、前記金属基板の縁部側に沿って複数間隔を置きバランスして配置された、
ことを特徴とする金属ベース回路基板。
【請求項5】
請求項3記載の金属ベース回路基板であって、
前記金属基板は、多角形であり、
前記高さ維持層及びパターン層は、前記多角形の各角部又は各辺部若しくは各角部及び各辺部にバランスして配置された、
ことを特徴とする金属ベース回路基板。
【請求項6】
請求項4記載の金属ベース回路基板であって、
前記金属基板は、多角形であり、
前記高さ維持層及びパターン層と前記他のパターン層とは、前記多角形の各角部又は各辺部若しくは各角部及び各辺部にバランスして配置された、
ことを特徴とする金属ベース回路基板。
【請求項7】
請求項1〜6の何れかに記載の金属ベース回路基板であって、
前記高さ維持層は、前記金属基板の反り状態を考慮して形成箇所が特定される、
ことを特徴とする金属ベース回路基板。
【請求項8】
請求項1〜7の何れかに記載の金属ベース回路基板であって、
前記高さ維持層は、前記回路部と共に形成されたダミー回路である、
ことを特徴とする金属ベース回路基板。
【請求項9】
金属基板上に絶縁層を介して設けられた回路部と、
前記金属基板の絶縁層及び回路部上を、実装部品の取付ランドを前記回路部に対し形成して覆う光反射率向上物質を含んだ光反射レジスト層と、
を備えた金属ベース回路基板であって、
前記回路部上で前記光反射レジスト層の表面に、基板最上部を構成するパターン層をインクにより形成した、
ことを特徴とする金属ベース回路基板。
【請求項10】
請求項1〜9の何れかに記載の金属ベース回路基板であって、
前記パターン層は、表示を行うためのシンボル・パターンである、
ことを特徴とする金属ベース回路基板。
【請求項11】
請求項1〜10の何れかに記載の金属ベース回路基板であって、
前記光反射レジスト層は、前記光反射率向上物質として無機フィラーを含んだ白色レジスト層であり、
前記実装部品は、LEDである、
ことを特徴とする金属ベース回路基板。
【請求項12】
請求項1〜11の何れかに記載の金属ベース回路基板であって、
前記金属基板は、銅製、銅合金製、アルミニウム製、アルミニウム合金製、銅及びアルミニウムを圧着させたクラッド材製の何れかである、
ことを特徴とする金属ベース回路基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−84567(P2012−84567A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−227002(P2010−227002)
【出願日】平成22年10月6日(2010.10.6)
【出願人】(000004640)日本発條株式会社 (1,048)
【Fターム(参考)】